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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-22
(45)【発行日】2022-05-06
(54)【発明の名称】加熱調理器システム
(51)【国際特許分類】
   F24C 7/02 20060101AFI20220425BHJP
   F24C 15/00 20060101ALI20220425BHJP
   G10L 15/00 20130101ALI20220425BHJP
   G16Y 10/80 20200101ALI20220425BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20220425BHJP
   H05B 6/12 20060101ALI20220425BHJP
【FI】
F24C7/02 301K
F24C7/02 301J
F24C15/00 K
G10L15/00 200A
G10L15/00 200N
G16Y10/80
H04Q9/00 301D
H05B6/12 313
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2017234120
(22)【出願日】2017-12-06
(65)【公開番号】P2019100659
(43)【公開日】2019-06-24
【審査請求日】2020-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】390010168
【氏名又は名称】東芝ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】特許業務法人牛木国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100188994
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 裕介
(72)【発明者】
【氏名】太田 宣章
(72)【発明者】
【氏名】木村 智志
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-050766(JP,A)
【文献】特開2016-072913(JP,A)
【文献】特開2009-042298(JP,A)
【文献】特開2007-132567(JP,A)
【文献】特開昭63-201686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 7/02
F24C 15/00
G10L 15/00
G16Y 10/80
H04Q 9/00
H05B 6/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声入出力部と、加熱制御部を備えた加熱調理器が分離されており、前記音声入出力部と前記加熱調理器を別々の場所に設置可能な加熱調理器システムであって、
前記音声入出力部からの音声入力データを認識する音声認識部と、前記音声認識部による認識結果に基づき、前記音声入出力部や前記加熱調理器に制御データを送出する音声制御部と、をクラウド上に設置し、
前記音声入出力部と前記加熱制御部が、ネットワークを経由して前記音声認識部と前記音声制御部に接続され
複数の前記音声入出力部が前記ネットワークに接続可能であり、どの音声入出力部であっても、前記加熱調理器の操作が可能となる構成とし、
複数の前記音声入出力部のなかで、ある1つの前記音声入出力部から前記加熱調理器の操作を入力しても、前記加熱制御部による加熱調理の途中経過状態や終了の情報を、複数の前記音声入出力部から同時に音声出力する構成としたことを特徴とする加熱調理器システム。
【請求項2】
音声入出力部と、加熱制御部を備えた加熱調理器が分離されており、前記音声入出力部と前記加熱調理器を別々の場所に設置可能な加熱調理器システムであって、
前記音声入出力部からの音声入力データを認識する音声認識部と、前記音声認識部による認識結果に基づき、前記音声入出力部や前記加熱調理器に制御データを送出する音声制御部と、をクラウド上に設置し、
前記音声入出力部と前記加熱制御部が、ネットワークを経由して前記音声認識部と前記音声制御部に接続され、
複数の前記音声入出力部が前記ネットワークに接続可能であり、どの音声入出力部であっても、前記加熱調理器の操作が可能となる構成とし、
複数の前記音声入出力部のなかで、ある1つの前記音声入出力部から前記加熱調理器の操作を入力しても、前記加熱制御部による加熱調理の途中経過状態や終了の情報を、複数の前記音声入出力部のなかで、予め指定した前記音声入出力部だけから音声出力する構成としたことを特徴とする加熱調理器システム。
【請求項3】
音声入出力部と、加熱制御部を備えた加熱調理器が分離されており、前記音声入出力部と前記加熱調理器を別々の場所に設置可能な加熱調理器システムであって、
前記音声入出力部からの音声入力データを認識する音声認識部と、前記音声認識部による認識結果に基づき、前記音声入出力部や前記加熱調理器に制御データを送出する音声制御部と、をクラウド上に設置し、
前記音声入出力部と前記加熱制御部が、ネットワークを経由して前記音声認識部と前記音声制御部に接続され、
前記音声入出力部への音声入力により、前記加熱調理器で加熱調理が可能なメニューの選択を行なえる構成とし、
前記音声認識部による音声の認識結果から、ユーザーの感情を認識する機能を有する感情認識手段をさらに備え、
前記感情認識手段による感情の認識結果によって、前記音声入出力部からの音声出力で適切な前記メニューを提示する構成としたことを特徴とする加熱調理器システム。
【請求項4】
前記音声認識部による音声の認識結果から、ユーザーの体調を判定する機能を有する体調認識手段をさらに備え、
前記体調認識手段による体調の判定結果によって、前記音声入出力部からの音声出力で適切な前記メニューを提示する構成としたことを特徴とする請求項に記載の加熱調理器システム。
【請求項5】
複数の前記音声入出力部が前記ネットワークに接続可能であり、どの音声入出力部であっても、前記加熱調理器の操作が可能となる構成とし、
複数の前記音声入出力部のなかで、音声で回答するのは音声が入力された前記音声入出力部のみとなる構成としたことを特徴とする請求項3または4に記載の加熱調理器システム。
【請求項6】
複数の前記音声入出力部が前記ネットワークに接続可能であり、どの音声入出力部であっても、前記加熱調理器の操作が可能となる構成とし、
前記加熱制御部による加熱調理の途中経過状態や終了の情報を、複数の前記音声入出力部から同時に音声出力する構成としたことを特徴とする請求項3または4に記載の加熱調理器システム。
【請求項7】
複数の前記音声入出力部が前記ネットワークに接続可能であり、どの音声入出力部であっても、前記加熱調理器の操作が可能となる構成とし、
前記加熱制御部による加熱調理の途中経過状態や終了の情報を、複数の前記音声入出力部のなかで、予め指定した前記音声入出力部だけから音声出力する構成としたことを特徴とする請求項3または4に記載の加熱調理器システム。
【請求項8】
複数の前記音声入出力部が前記ネットワークに接続可能であり、どの音声入出力部であっても、前記加熱調理器の操作が可能となる構成とし、
前記加熱制御部による加熱調理の状態について、ユーザーが前記音声入出力部に音声で尋ねた場合は、当該音声が入力された前記音声入出力部から、加熱調理の状態を音声で回答する構成としたことを特徴とする請求項3または4に記載の加熱調理器システム。
【請求項9】
複数種類の前記加熱調理器が前記ネットワークに接続可能であり、同じ前記音声入出力部から複数種類の前記加熱調理器を操作でき、
前記音声認識部は共通で、前記加熱調理器の種類毎に、前記音声制御部を設置したことを特徴とする請求項1~8の何れか一つに記載の加熱調理器システム。
【請求項10】
同一種類で複数の前記加熱調理器が前記ネットワークに接続可能であり、同じ前記音声入出力部から複数の前記加熱調理器を操作でき、
それぞれの前記加熱調理器に対応したキーワードを設定して、ユーザーが前記音声入出力部に音声でキーワードと共に操作を指示した場合は、そのキーワードに対応した前記加熱調理器の操作が可能となる構成としたことを特徴とする請求項1~8の何れか一つに記載の加熱調理器システム。
【請求項11】
前記音声入出力部に音声で操作を指示する際に、前記キーワードが含まれていなかった場合は、どの加熱調理器に対する操作の指示であるのかを、前記音声入出力部からの音声出力で問い合わせ、それに対するユーザーから前記音声入出力部への音声入力による回答を受け付ける構成としたことを特徴とする請求項10記載の加熱調理器システム。
【請求項12】
前記音声入出力部への音声入力により、前記加熱調理器で加熱調理が可能なメニューの選択を行なえる構成とし、
選択したメニューについて、ユーザーが前記音声入出力部に使用する食材を提示するように音声で指示した場合は、前記音声入出力部からの音声出力で食材と分量を順に提示す
る構成としたことを特徴とする請求項1~11の何れか1つに記載の加熱調理器システム。
【請求項13】
前記音声入出力部からの音声出力では、一つの食材と分量を提示した後に一時停止状態となり、ユーザーからの再開の指示により、次の食材と分量を提示する構成としたことを特徴とする請求項12記載の加熱調理器システム。
【請求項14】
前記音声入出力部からの音声出力では、食材と分量を提示した後に、ユーザーからの再確認の指示があった場合には、もう一度同じ食材と分量を提示する構成としたことを特徴とする請求項12または13記載の加熱調理器システム。
【請求項15】
前記音声入出力部からの音声出力では、全ての食材と分量を提示した後に、ユーザーからの再提示の指示があった場合には、もう一度全ての食材と分量を提示する構成としたことを特徴とする請求項12~14の何れか一つに記載の加熱調理器システム。
【請求項16】
前記音声入出力部への音声入力により、前記加熱調理器で加熱調理が可能なメニューの選択を行なえる構成とし、
選択したメニューについて、ユーザーが前記音声入出力部に調理方法を提示するように音声で指示した場合は、前記音声入出力部からの音声出力で調理方法の工程を順に提示する構成としたことを特徴とする請求項1~15の何れか1つに記載の加熱調理器システム。
【請求項17】
前記音声入出力部からの音声出力では、一つの工程を提示した後に一時停止状態となり、ユーザーからの再開の指示により、次の工程を提示する構成としたことを特徴とする請求項16記載の加熱調理器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザーからの音声入力により、加熱調理器への加熱制御を可能にした加熱調理器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
オーブンレンジなどの加熱調理器を操作する際に、料理の下ごしらえで手が汚れた場合には、操作キーを触りたくないとの潜在的なニーズが考えられる。こうしたユーザーのニーズに応えるために、例えば特許文献1には、マイクやスピーカーなどの音声入出力部を搭載し、音声対話により操作キーに手を触れることなく、加熱調理器への操作ひいては加熱制御を可能にするものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-67382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した特許文献1の加熱調理器では、音声対話を行なうのに必要な音声入出力部が加熱調理器に搭載されており、ユーザーが加熱調理器に近付いて音声を発しなければ、その加熱調理器への加熱制御を行なうことができない。
【0005】
また、加熱調理器には音声入出力部だけでなく、マイクで検出したユーザーの音声入力データを認識する音声認識部や、その認識結果に基づく負荷への制御データとして、例えばスピーカーに音声出力データを送出したり、オーブン加熱部やレンジ加熱部などを制御する加熱制御部に、適切な加熱制御データを送出したりする音声制御部も組み込まれている。そのため、加熱調理器への負担が増加して構成が複雑化し、ユーザーに安価な加熱調理器を提供できない。
【0006】
こうした問題を一挙に解決するには、単に加熱調理器の内部構成だけでなく、その加熱調理器をネットワークにつなげた加熱調理器システムとしての包括的な工夫が必要となる。
【0007】
本発明は上記事情に鑑み、加熱調理器の構成を簡素化しつつ、ユーザーが加熱調理器の近辺にいなくても、加熱調理器に関する音声対話を可能にした加熱調理器システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の加熱調理器システムは、音声入出力部と、加熱制御部を備えた加熱調理器が分離されており、前記音声入出力部と前記加熱調理器を別々の場所に設置可能な加熱調理器システムであって、前記音声入出力部からの音声入力データを認識する音声認識部と、前記音声認識部による認識結果に基づき、前記音声入出力部や前記加熱調理器に制御データを送出する音声制御部と、をクラウド上に設置し、前記音声入出力部と前記加熱制御部が、ネットワークを経由して前記音声認識部と前記音声制御部に接続され、複数の前記音声入出力部が前記ネットワークに接続可能であり、どの音声入出力部であっても、前記加熱調理器の操作が可能となる構成とし、複数の前記音声入出力部のなかで、ある1つの前記音声入出力部から前記加熱調理器の操作を入力しても、前記加熱制御部による加熱調理の途中経過状態や終了の情報を、複数の前記音声入出力部から同時に音声出力する構成としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、ユーザーが加熱調理器に依存することなく、加熱調理器とは別な好みの場所に音声入出力部を設置できる。また、音声認識部や音声制御部も、加熱調理器にではなくクラウド上に設置され、ネットワークを介して、音声入出力部や加熱調理器に備えた加熱制御部との間で、各種データのやり取りが可能になる。そのため、加熱調理器の構成を簡素化しつつ、ユーザーが加熱調理器の近辺にいなくても、加熱調理器に関する音声対話を可能にした加熱調理器システムを提供できる。
【0010】
請求項の発明によれば、特定の音声入出力部に限定されず、ネットワークに接続できるどの音声入出力部であっても、ユーザーからその音声入出力部への音声入力により、ネットワークを経由して加熱調理器への操作ひいては加熱制御を実現できる。
【0011】
請求項の発明によれば、ユーザーが音声入力した特定の音声入出力部に対してのみ、音声での回答が行われるので、ユーザーが利用していない音声入出力部から音声が不意に出力される不都合を回避できる。
【0012】
請求項の発明によれば、加熱制御部により加熱調理器で行われる加熱調理の途中経過状態や終了の情報については、ネットワークに接続する全ての音声入出力部から同時に音声出力させることで、ユーザーがどの音声入出力部の近くにいても、加熱調理器の状況を適確に把握できる。
【0013】
請求項の発明によれば、加熱制御部により加熱調理器で行われる加熱調理の途中経過状態や終了の情報については、ネットワークに接続する全ての音声入出力部のなかで、ユーザーが予め指定した音声入出力部だけから音声出力させることで、全ての音声入出力部から無駄に音声出力させることなく、加熱調理器の状況を適確に把握できる。
【0014】
請求項の発明によれば、加熱制御部により加熱調理器で行われる加熱調理の状態について、ユーザーが尋ねた特定の音声入出力部に対してのみ、音声での回答が行われるので、ユーザーが利用していない音声入出力部から、加熱調理の状態が音声で不意に出力される不都合を回避できる。
【0015】
請求項の発明によれば、クラウド上の音声認識部を共通の構成とする一方で、音声制御部については加熱調理器の種類毎に別々に設置することで、同一の音声入出力部への音声入力により、異なる種類の加熱調理器をそれぞれ操作して加熱制御することが可能になる。
【0016】
請求項10の発明によれば、同一種類で複数の加熱調理器がネットワークに接続される場合は、それぞれの加熱調理器に個別のキーワードを設定しておけば、ユーザーが音声入出力部に音声で加熱調理器への操作を指示する際に、特定のキーワードを含ませることで、その特定のキーワードに対応した加熱調理器だけを操作して加熱制御することが可能になる。
【0017】
請求項11の発明によれば、音声認識部からの認識結果を受けて、音声制御部がどの加熱調理器に対する操作の指示であるのかを特定できなかった場合は、その旨を音声入出力部から音声出力で問い合わせることで、特定の加熱調理器を操作できない状況を、ユーザーに音声対話で直ちに知らせることができる。また、引き続きユーザーからの音声入力による回答を受け付けることで、最終的に特定のキーワードに対応した加熱調理器だけを操作して加熱制御することが可能になる。
【0018】
請求項12の発明によれば、音声入出力部への音声入力により選択される特定のメニューについて、音声入出力部へ音声で食材と分量を提示するように指示すれば、レシピ本などをわざわざ広げなくても、音声入出力部から必要な食材と分量を音声で知ることが可能になる。
【0019】
請求項13の発明によれば、選択したメニューについて、複数の食材が必要な場合、音声入出力部から音声で一度に連続してそれらの食材と分量を提示されても、全ての食材を分量通りに準備することが難しいが、ユーザーからの音声による再開の指示に合せて、食材と分量を一つずつ音声で順に教えてくれるので、加熱調理器を利用して加熱調理を行なう上で、全ての食材を分量通りに準備できる。
【0020】
請求項14の発明によれば、選択したメニューについて、音声入出力部に音声で再確認の指示を行なえば、直前に音声入出力部から音声出力された食材や分量を、もう一度音声で知ることができ、食材や分量の聞き違いを減らすことが可能になる。
【0021】
請求項15の発明によれば、選択したメニューについて、音声入出力部に音声で再提示の指示を行なえば、既に音声入出力部から音声出力された一通り全ての食材や分量を、もう一度音声で知ることができ、食材や分量の聞き違いを減らすことが可能になる。
【0022】
請求項16の発明によれば、音声入出力部への音声入力により選択可能な特定のメニューについて、音声入出力部へ音声で調理方法を提示するように指示すれば、レシピ本などをわざわざ広げなくても、音声入出力部から必要な調理方法の工程を音声で知ることが可能になる。
【0023】
請求項17の発明によれば、特定のメニューについて、ユーザーからの音声による再開の指示に合せて、調理方法の工程を一つずつ音声で順に教えてくれるので、調理方法を間違えずに加熱調理器を利用して加熱調理を行なうことができる。
【0024】
請求項の発明によれば、ユーザーの発する声の抑揚などを手掛かりにして、感情認識手段による感情の認識結果から、ユーザーの感情に適したメニューを提示できる。そのため、例えばユーザーがイライラした感情であると認識された場合は、カルシウムの多くとれるメニューを提示したり、ユーザーが落ち込んだ感情であると認識された場合は、カリウムやマグネシウムの豊富なメニューを提示したりすることが可能となる。
【0025】
請求項の発明によれば、ユーザーの発する声質などを手掛かりにして、体調認識手段による体調の判定結果から、ユーザーの体調に適したメニューを提示できる。そのため、例えばユーザーが普段よりも声がかすれていて、風邪気味の体調であると判定された場合は、体が温まるメニューを提示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の加熱調理器システムの一実施形態について、その全体の構成を概略的に示す図である。
図2】同上、図1に示す加熱調理システムのより具体的な説明図である。
図3】同上、加熱調理器となるオーブンレンジの主な電気的構成を示すブロック図である。
図4】同上、クラウド上の構成を示すブロック図である。
図5】同上、調理加熱中の状態を示す説明図である。
図6】同上、調理加熱終了時の状態を示す説明図である。
図7】同上、調理加熱中にユーザーが問い合わせた時の状態を示す説明図である。
図8】同上、指定した加熱調理器にメニューを設定する場合の状態を示す説明図である。
図9】同上、指定した加熱調理器が音声認識できない場合の状態を示す説明図である。
図10】同上、加熱調理器で選択可能な個々のメニューについて、音声対話によりメニューの食材と分量を提示する一連の手順を示す図である。
図11】同上、加熱調理器で選択可能な個々のメニューについて、音声対話によりメニューの調理方法を提示する一連の手順を示す図である。
図12】同上、変形例におけるクラウド上の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る好ましい加熱調理器システムの実施形態について、添付図面を参照しながら詳しく説明する。
【0028】
図1は、一実施形態における加熱調理器システムの全体構成を概略的に示したものである。同図において、1は被調理物の加熱調理を可能にした加熱調理器、2は音声の入出力を可能にした音声入出力部であり、これらの加熱調理器1と音声入出力部2は、何れも無線端末となるアクセスポイント3に接続される。アクセスポイント3は、ここには図示しないネットワークへのアクセス手段としての機能を有し、アクセスポイント3を経由して、加熱調理器1や音声入出力部2と、ネットワークに接続するクラウド4上のサーバー5との間で、相互に各種データのやり取りを行なう構成となっている。
【0029】
アクセスポイント3は、その能力が許す限り、一乃至複数台の加熱調理器1と、一乃至複数台の音声入出力部2を任意に接続できる。図1には、3台の加熱調理器1-1,1-2,1-3と、2台の音声入出力部2-1,2-2を、アクセスポイント3に同時に接続した状態を示しているが、加熱調理器1は1台だけをアクセスポイント3に接続し、音声入出力部2は2台以上をアクセスポイント3に接続したり、加熱調理器1は2台以上をアクセスポイント3に接続し、音声入出力部2は1台だけをアクセスポイント3に接続したりすることも可能である。これらの加熱調理器1-1,1-2,1-3と音声入出力部2-1,2-2は、それぞれ個々に独立した構成であり、アクセスポイント3との通信範囲内で任意の場所に設置することができる。
【0030】
また図1では、アクセスポイント3に接続する複数種類の加熱調理器1として、2台のオーブンレンジによる同一種類の加熱調理器1-1,1-2と、これとは別な種類の1台のIH(電磁誘導加熱)調理器による加熱調理器1-3が図示されている。ここでいう同一種類の加熱調理器1とは、制御対象となる加熱手段を同一に備えた同じ機種のものを言い、加熱調理器1-1,1-2は何れも加熱手段として、被調理物をヒータ加熱するヒータ加熱手段と、被調理物をレンジ加熱するレンジ加熱手段を備えた同じ機種のオーブンレンジである。それに対して、加熱調理器1-3は加熱手段として、被調理物を電磁誘導加熱するIH加熱手段を備えており、オーブンレンジとは異なる加熱手段を備えた別な機種のIH調理器である。
【0031】
アクセスポイント3に接続するのは、図1に示すような複数種類の加熱調理器1ではなく、同一種類で複数台の加熱調理器1であっても構わない。また、オーブンレンジやIH調理器以外の別な種類の加熱調理器1として、例えば加熱手段が異なるヒータ加熱と電磁誘導加熱を併用した炊飯器などを含めてもよい。但し、加熱調理器1の構成を複雑化させないために、アクセスポイント3に接続する全ての加熱調理器1に対して、音声入出力部2としての機能を設けないようにする。つまり本実施形態では、加熱調理器1と音声入出力部2とを構造的に分離することで、加熱調理器1と音声入出力部2とを別々の場所に設置した状態で、それぞれがアクセスポイント3に接続できるように加熱調理器システムが構築される。なお、加熱調理器1の内部構成については、後程詳しく説明する。
【0032】
音声入出力部2は、少なくとも音声入力器となるマイク11と、音声出力器となるスピーカー12の他に、アクセスポイント3との間の無線通信を可能にする送受信部13を備えて構成される。マイク11は、音声入出力部2の周辺でユーザーが発した音声を取り込み、これを電気的な音声入力データに変換して、送受信部13に送出するものである。またスピーカー12は、送受信部13からの音声出力データを受けて、これを物理的な振動に変換して音声を生成するものである。
【0033】
クラウド4上には、加熱調理器1や音声入出力部2がネットワークを経由してアクセスできるサーバー5として、音声入出力部2からの音声入力データを認識する音声認識部15と、音声認識部15による認識結果に基づき、加熱調理器1や音声入出力部2に制御データを送出する音声制御部16と、を備えている。音声認識部15は、サーバー5に接続する音声入出力部2の数に拘らず、全ての音声入出力部2に共通してクラウド4上に一つだけ設置される。それに対して音声制御部16は、サーバー5に接続可能な加熱調理器1の種類毎にそれぞれ設置される。したがって図1に示すように、加熱調理器1としてオーブンレンジとIH調理器をサーバー5に接続できる加熱調理器システムでは、加熱調理器1-1,1-2に制御データとなるオーブンレンジ用の加熱制御データを送出する音声制御部16-1と、加熱調理器1-3に制御データとなるIH調理器用の加熱制御データを送出する音声制御部16-1が、クラウド4上に予め用意される。音声認識部15とそれぞれの音声制御部16-1,16-2は、サーバー5内でお互いにデータのやり取りができる構成となっている。
【0034】
図2は、図1に示した加熱調理器システムを、より具体的に示したものである。ここでは説明のために、ユーザーUが居住する自宅H内で、アクセスポイント3となるWi-Fi(登録商標)ルーター21に、1台のオーブンレンジとなる加熱調理器1(すなわち、図1に示す加熱調理器1-1)と、1台の音声入出力部2(すなわち、図1に示す音声入出力部2-1)とを、無線LAN(Wi-Fi)で接続した状態を示している。
【0035】
加熱調理器1は、被調理物を加熱調理する箱状の調理器本体22に通信モジュール23を内蔵して構成される。通信モジュール23は、加熱調理器1とWi-Fiルーター21との間の無線通信を可能にする送受信部として、どの種類の加熱調理器1であっても、加熱調理器1の内部に搭載される。加熱調理器1とアクセスポイント3との間、および/または音声入出力部2とアクセスポイント3との間は、有線で接続しても構わない。例えば有線LANで接続する場合、アクセスポイント3はWi-Fiルーター21に代わって有線ルーターを設置し、有線ルーターと送受信部13や通信モジュール23との間をLANケーブルで接続すればよい。ここでもWi-Fiルーター21は、ネットワークとなるインターネット24へのアクセス手段としての機能を有し、Wi-Fiルーター21を経由して、加熱調理器1や音声入出力部2と、インターネット24に接続するクラウド4上のサーバー5との間で、相互に各種データのやり取りを行なう構成となっている。
【0036】
自宅Hの外部に設置されるクラウド4上のサーバー5は、前述のように音声認識部15や、音声制御部16(すなわち、図1に示すオーブンレンジ用の音声制御部16-1)を備えて構成される。図2では、サーバー5に接続する或るユーザーUの自宅H内の配線例を示しているが、実際には別な多くのユーザーUの自宅Hでも、アクセスポイント3とインターネット24を経由して、一乃至複数台の加熱調理器1と、一乃至複数台の音声入出力部2が、共通するサーバー5に接続される。
【0037】
次に、加熱調理器1となるオーブンレンジの構成を説明すると、調理器本体22の内部には、前面を開口した調理室27が配設される。また、調理器本体22のほぼ前面を覆うように、調理室27の前面開口部を開閉する扉28が回動可能に取り付けられ、調理室27内に被調理物を出し入れできる構成となっている。扉28の下部には、表示や報知や操作のための操作パネル部29を備えており、操作パネル部29は、調理の設定内容や進行状況などを表示する表示手段31の他に、表示手段31の画面上をタッチ操作することで、調理のメニューや条件などを選択するための項目選択手段32と、被調理物に対する調理の開始を指示する調理開始指示手段33と、設定を取り消したり調理を中止したりする取消し指示手段34が、ユーザーの手動操作が可能な操作手段としてそれぞれ配設される。ここでの表示手段31は、図示しないバックライト付きのドットマトリックス液晶ディスプレイを使用しており、液晶ディスプレイ背面をバックライトで照射しながら、文字やイラストなどをドットで表示できる。また、選択項目手段32は、表示手段31の手前(表面)側に配置され、複数の透明電極スイッチを有してなるタッチパネルであり、タッチされた位置が検出されるようになっている。
【0038】
図3は、図2に示す加熱調理器1の主な電気的構成を示すブロック図である。同図において、41は調理器制御手段となるマイクロコンピュータで、このマイクロコンピュータ41は周知のように、演算処理手段としてのCPUや、計時手段としてのタイマーや、記憶手段としてのメモリや、入出力デバイスなどを備えている。本実施形態では計時手段として、加熱調理を開始した後の経過時間を計測する時間計測部42を備え、記憶手段として、調理器本体22内で加熱調理が可能な個々のメニューに関する全ての情報を記憶するメニュー全情報記憶部43などを備えている。ここでいう個々のメニューに関する全ての情報とは、そのメニューに対応する加熱条件および手順や、お気に入りメニューとしての登録の有無や、使用する食材とその分量、および作り方となる調理方法などのレシピ情報や、栄養成分や、調理の仕上がり条件として設定された仕上がり度や、メニューの名前などを含み、最初から製品に搭載されている複数のメニューの全情報により構成される。
【0039】
マイクロコンピュータ41の入力ポートには、前述した項目選択手段32や、調理開始指示手段33や、取消し指示手段34の他に、調理室27内の温度を検出するサーミスタや赤外線センサなどの温度検出手段45と、扉28の開閉状態を検出する扉開閉検出手段46が、それぞれ電気的に接続される。マイクロコンピュータ41の出力ポートには、前述した表示手段31の他に、調理室27内の被調理物を電波となるマイクロ波で加熱するためのレンジ加熱手段47と、調理室27内の被調理物をヒータからの熱で加熱するためのヒータ加熱手段48と、調理加熱の一時停止や調理加熱の終了などを、ユーザーUにブザー音でその都度知らせるブザー報知手段49が、それぞれ電気的に接続される。
【0040】
この中で、マグネトロンやその駆動手段を含むレンジ加熱手段47と、ヒータやその駆動手段を含むヒータ加熱手段48は、何れも調理器本体22の内部で被調理物を加熱する加熱手段として配設される。図示しないが、ヒータ加熱手段48を構成するヒータは、調理室27の後方に備えた熱風ユニットの熱源として配設され、ヒータの通電時に熱風ユニットから調理室27に熱風を循環供給するオーブン加熱機能を備えている。これに加えて、若しくはこれに代わって、ヒータを調理室27の上部や下部に配設して、ヒータの通電時に調理室27内へ輻射熱を発生させることもできる。その他、オーブンレンジの加熱手段として、レンジ加熱手段47とヒータ加熱手段48以外に、調理室27内に水蒸気を供給するスチーム加熱用の蒸気発生装置を組み込むことも可能である。
【0041】
そして本実施形態では、加熱調理器1をIоT対応機器として利用できるように、図2に示した無線や有線の送受信部からなる通信モジュール23が、調理器本体22の内部でマイクロコンピュータ41の入出力ポートと電気的に接続される。
【0042】
マイクロコンピュータ41は、項目選択手段32や、調理開始指示手段33や、取消し指示手段34からの各操作信号と、温度検出手段45や、扉開閉検出手段46からの各検出信号を受けて、時間計測部42からの計時に基づく所定のタイミングで、レンジ加熱手段47やヒータ加熱手段48に駆動用の制御信号を出力し、また表示手段31に表示用の制御信号を出力する機能を有する。こうした機能は、記憶媒体としての前記メモリに記録したプログラムを、マイクロコンピュータ41が読み取ることで実現するが、特に本実施形態では、マイクロコンピュータ41を加熱制御部51と、表示制御部52として機能させるプログラムを備えている。
【0043】
加熱制御部51は、主に被調理物の加熱調理に係る各部の動作を制御するもので、調理開始指示手段33の操作に伴う操作信号を受け取ったり、音声制御部16からの制御データとして、通信モジュール23を介して調理開始を指示する加熱制御データを受け取ったりすると、扉開閉検出手段46からの検出信号により、扉28が閉じていると判断した場合に、レンジ加熱手段47やヒータ加熱手段48に制御信号を送出して、被調理物に対する種々の加熱調理を開始させる。本実施形態では、こうした加熱調理の開始前に、調理器本体22側の項目選択手段32からの操作信号や、外部の音声制御部16からの加熱条件を指示するための加熱制御データにより、加熱の種類(レンジ加熱またはヒータ加熱の選択)や、加熱の時間や、加熱の出力または温度を、それぞれ加熱条件として設定するための情報が、マイクロコンピュータ41に取り込まれると、加熱制御部51がその設定した内容に基づきレンジ加熱手段47やヒータ加熱手段48を制御して、調理室27内の被調理物を加熱できるようにする手動調理機能と、加熱条件の設定を行なうことなく、調理器本体22側の項目選択手段32からの操作や、外部の音声制御部16からのメニューを設定するための加熱制御データにより、ユーザーUが意図して選択した特定のメニューの情報がマイクロコンピュータ11に取り込まれると、加熱制御部51がその特定のメニューに対応する全ての情報をメニュー全情報記憶部43から読み出し、必要に応じてお気に入りメニューとしての登録の有無や、仕上がり度を書き換えた後に、当該特定のメニューに従う加熱条件と手順でレンジ加熱手段47やヒータ加熱手段48を制御して、被調理物を自動的に加熱できるようにする自動調理機能と、をそれぞれ備えている。
【0044】
表示制御部52は、加熱制御部51と連携して、表示手段31の表示に係る動作を制御するものである。前述の図2では、特定のメニューとして設定される「ハンバーグ」を調理するためのメニューを、表示手段31のメニュー決定画面に表示させた状態を、拡大して示している。
【0045】
図4は、サーバー5のより詳細な構成を示している。同図において、音声制御部16は、加熱調理器1のメニュー全情報記憶部43と同じく、調理器本体22内で加熱調理が可能な複数のメニューの全情報を記憶するメニュー全情報記憶部61と、音声認識部15からの認識結果に応じて、どの音声入出力部2からの音声入力データを受けたときに、どの加熱調理器1や音声入出力部2に制御データを送出するのかをその都度決定するための関連付け情報を、サーバー5にアクセス可能な全てのIоT対応機器となる加熱調理器1と音声入出力部2について予め記憶する機器関連付け全情報記憶部62と、を備えている。
【0046】
前述のように、音声制御部16はサーバー5に接続可能な加熱調理器1の種類毎にそれぞれ設置されるので、例えば図1に示すオーブンレンジ用の音声制御部16-1は、一つの機種の加熱調理器1-1,1-2で加熱調理が可能な複数メニューの全情報が、メニュー全情報記憶部61-1に記憶され、IH加熱器用の音声制御部16-2は、別な機種の加熱調理器1-3で加熱調理が可能な複数メニューの全情報が、メニュー全情報記憶部61-2に記憶される。また、音声制御部16-1の機器関連付け全情報記憶部62-1には、音声入出力部2-1や,音声入出力部2-2からの音声入力データを受けたときに、音声認識部15からの認識結果に応じて、加熱調理器1-1,1-2および音声入出力部2-1,2-2のどれに制御データを送出するのかが、関連付け情報として記憶され、また音声制御部16-2の機器関連付け全情報記憶部62-2には、音声入出力部2-1や,音声入出力部2-2からの音声入力データを受けたときに、音声認識部15からの認識結果に応じて、加熱調理器1-3および音声入出力部2-1,2-2のどれに制御データを送出するのかが、関連付け情報として記憶される。
【0047】
以上のように構成される加熱調理器システムの動作を、詳しく説明する。なお以下の説明は、加熱調理器1と音声入出力部2が、アクセスポイント3とインターネット24を通して、クラウド4上のサーバー5と互いに通信可能な状態にあることを前提とする。
【0048】
図2は、本実施形態の加熱調理器システムを利用して、加熱調理器1となるオーブンレンジに搭載される複数のメニューの中から、自宅HにいるユーザーUが、音声対話で「ハンバーグ」のメニューを加熱調理器1に設定させる一例を示している。ユーザーUが音声対話で加熱調理器1に特定のメニューを設定させたい場合、その特定のメニューに設定を促す言葉を付加して、音声入出力部2のマイク11に向けて発声する。例えば、ユーザーUが加熱調理器1に「ハンバーグ」のメニューを設定させたい場合、特定のメニューである「ハンバーグ」に続けて、設定を促す「を設定して!」というメッセージ情報M1を、音声入出力部2のマイク11に向けて発声すると、これを電気信号に変換した音声入力データとなる音声指示データが、自宅H内のアクセスポイント3となるWi-Fiルーター21からインターネット24を経由して、クラウド4上のサーバー5に送出される。このとき音声指示データには、電気的なメッセージ情報M1の他に、音声入出力部2を特定する固有の識別子が含まれている。
【0049】
これを受けてサーバー5内では、音声指示データに含まれるメッセージ情報M1の内容が音声認識部15により音声認識で分析され、その結果が音声制御部16に送り出される。音声制御部16は、音声認識部15からの認識結果に基づいて、加熱調理器1に「ハンバーグ」のメニューを設定させるためのテキストデータを、加熱調理器1への加熱制御データとして生成し、「ハンバーグ」のメニューを設定する旨を報知させるための音声応答データを、音声入出力部2への音声出力データとして生成する。
【0050】
また音声制御部16は、音声指示データに含まれる識別子から、その識別子に対応した関連付け情報を機器関連付け全情報記憶部62から読み出し、生成したテキストデータをどの加熱調理器1に送出し、音声応答データをどの音声入出力部2に送出するのかを決定する。ここでは、特定のメニューを設定させるためのメッセージ情報M1が音声指示データに含まれているので、音声制御部16はメッセージ情報M1が入力された音声入出力部2にのみ、インターネット24を介して音声応答データを送出し、またその音声入力部2に関連付けられたユーザーUの自宅Hに設置した加熱調理器1にのみ、インターネット24を介してテキストデータを送出する。
【0051】
その結果、例えば図1の音声入出力部2のように、自宅H内に複数の音声入出力部2-1,2-2がWi-Fiルーター21に接続された状態であっても、ユーザーUがメッセージM1を音声入力した特定の例えば音声入出力部2-1だけから、例えば「了解しました。ハンバーグを設定します。」のようなアナウンスA1が、スピーカー12を通して報知される。これにより、ユーザーUはその場で、所望する「ハンバーグ」のメニューが設定されたのを音声で確認できる。それと共に、ユーザーUがメッセージM1を音声入力した以外の音声入出力部2-2は、アナウンスA1が不意に出力されることはなく、必要以外の音声報知を回避できる。
【0052】
また、テキストデータが送出された加熱調理器1は、そのテキストデータを受けて、加熱制御部51が「ハンバーグ」のメニューに対応する全ての情報をメニュー全情報記憶部43から読み出し、次に調理開始指示手段33を押動操作するか、或いはユーザーUが音声入出力部2に向けて調理の開始を音声で指示したときに、「ハンバーグ」のメニューを設定して、そのメニューに従う加熱条件と手順で、レンジ加熱手段47やヒータ加熱手段48を制御した加熱調理が開始できるように待機する。したがってユーザーUは、いちいち加熱調理器1の項目選択手段32に指を触れることなく、身近な音声入出力部2を利用して、所望するメニューの設定を音声対話で行なうことが可能になる。
【0053】
こうした加熱調理器1に対する特定のメニューの設定や、調理開始などの音声による指示は、自宅H内のWi-Fiルーター21に接続する複数の音声入出力部2-1,2-2のどこでも可能である。ユーザーUは特定の例えば音声入出力部2-1に制限されることなく、インターネット24に接続できるどの音声入出力部2-1,2-2からでも、そこからの音声入力によりインターネット24を経由して、操作パネル部29に指を触れずに加熱調理器1を操作することが可能になり、加熱制御部51による加熱制御を実現して、調理室27内の被調理物を自動的に加熱調理できる。
【0054】
以上のように、本実施形態の加熱調理器システムは、音声入出力部2と、加熱制御部51を備えた加熱調理器1が分離されており、アクセスポイント3を共有する音声入出力部2と加熱調理器1を、アクセスポイント3との間で通信が可能な範囲で、別々の場所に設置可能な構成となっており、音声入出力部2からの音声入力データを認識する音声認識部15と、その音声認識部15による認識結果に基づき、音声入出力部2や加熱調理器1に制御データを送出する音声制御部16と、をクラウド4上に設置し、音声入出力部2と加熱調理器1の加熱制御部51が、ネットワークとなるインターネット24を経由して音声認識部15と音声制御部16に接続されている。
【0055】
この場合、ユーザーUが加熱調理器1に依存することなく、加熱調理器1とは別な好みの場所に音声入出力部2を設置できる。また、音声認識部15や音声制御部16も、加熱調理器1にではなくクラウド4上に設置され、インターネット24を介して、音声入出力部2や加熱調理器1に備えた加熱制御部52との間で、音声入力データや制御データなどの各種データのやり取りが可能になる。そのため、加熱調理器1の構成を簡素化しつつ、ユーザーUが加熱調理器1の近辺にいなくても、加熱調理器1に関する音声対話を可能にした加熱調理器システムを提供できる。
【0056】
また本実施形態では、複数の音声入出力部2-1,2-2が共通するWi-Fiルーター21を介してインターネット24に接続可能であり、どの音声入出力部2-1,2-2であっても、音声制御部16から送出する制御データとして、加熱調理器1に搭載された加熱制御部51への加熱制御データにより、その加熱調理器1の操作が可能となるように、音声制御部16の構成を工夫している。
【0057】
この場合、特定の例えば音声入出力部2-1に限定されず、インターネット24に接続できるどの音声入出力部2-1,2-2であっても、ユーザーUからその音声入出力部2-1,2-2への音声入力により、インターネット24を経由して加熱調理器1への操作ひいては、加熱制御部51による加熱制御を実現できる。
【0058】
また本実施形態では、複数の音声入出力部2-1,2-2のなかで、音声制御部16から送出する制御データとして音声出力データにより音声で回答するのは、音声が入力された例えば音声入出力部2-1のみとなるように、音声制御部16の構成を工夫している。
【0059】
つまり、ユーザーUが音声入力した特定の例えば音声入出力部2-1に対してのみ、その音声入出力部2-1から音声での回答が行われるので、ユーザーUが利用していない別な音声入出力部2-2から、音声が不意に出力される不都合を回避できる。
【0060】
次に、調理を開始した後の音声報知について、図5図7を参照しながら詳しく説明する。これらの各図では、自宅H内で2台の音声入出力部2-1,2-2が、1台のオーブンレンジとなる加熱調理器1-1と共に、Wi-Fiルーター21に接続された状態を示している。
【0061】
図5および図6において、加熱調理器1-1は被調理物への加熱調理を開始すると、加熱制御部51から所定のタイミングで、加熱調理の進行状況をあらわす進行状況データとしてのテキストデータを、インターネット24経由でサーバー5に送出する。機器関連付け全情報記憶部62には、どの加熱調理器1から進行状況データを受けたときに、どの音声入出力部2に音声応答データを送出するのかを決定するための別な関連付け情報も予め記憶保持されており、音声制御部16は進行状況データに含まれる加熱調理器1に固有の識別子から、その識別子に対応した関連付け情報を機器関連付け全情報記憶部62から読み出し、加熱調理器1の進行状況を知らせる音声応答データをどの音声入出力部2に送出するのかを決定する。
【0062】
具体的には、例えば図5に示すように、オーブンレンジ用の音声制御部16-1が、加熱調理器1-1からの進行状況データを受けて、その加熱調理器1-1と同じ自宅H内の全ての音声入出力部2-1,2-2に、インターネット24経由で音声応答データを送出する。これにより各音声入出力部2-1,2-2からは、例えば「加熱中 残り時間○○分です。」のような加熱調理の途中経過状態をあらわすアナウンスA2が、スピーカー12を通して一斉に報知される。つまりこの例では、或る自宅Hの加熱調理器1-1から進行状況データを受けたときに、同じ自宅H内の複数の音声入出力部2-1,2-2から同時にアナウンスA2が報知されるような関連付け情報が、予め機器関連付け全情報記憶部62に記憶保持されており、ユーザーUがどの音声入出力部2-1,2-2の近くにいても、加熱調理器1の進行状況を適確に把握できる。
【0063】
代わりに、例えば図6に示すように、音声制御部16-1が加熱調理器1-1からの進行状況データを受け取ると、その加熱調理器1-1と同じ自宅H内で、特定の音声入出力部2-1に対してのみ、インターネット24経由で音声応答データを送出してもよい。これにより特定の音声入出力部2-1から、例えば「加熱終了しました。」のような加熱調理の終了をあらわすアナウンスA3が、スピーカー12を通して報知され、それ以外の音声入出力部2-2からは報知を行なわないようにすることができる。この例では、或る自宅Hの加熱調理器1-1から進行状況データを受けたときに、同じ自宅H内の特定の音声入出力部2-1だけからアナウンスA3が報知されるような関連付け情報が、予め機器関連付け全情報記憶部62に記憶保持されており、全ての音声入出力部2-1,2-2から無駄に音声出力させることなく、加熱調理器の状況を適確に把握できる。
【0064】
なお、加熱調理の途中経過状態をあらわすアナウンスA2を、特定の音声入出力部2-1だけから報知させたり、加熱調理の終了をあらわすアナウンスA3を、複数の音声入出力部2-1,2-2から同時に報知させたりしてもよい。この場合、同じ加熱調理器1からの進行状況データであっても、その内容に応じて、どの音声入出力部2に音声応答データを送出するのかを切替えられるような関連付け情報を、機器関連付け全情報記憶部62に記憶保持させてもよい。さらに、加熱調理器1の操作パネル部29からの操作や、音声入出力部2への音声入力により、機器関連付け全情報記憶部62に記憶される関連付けの設定を適宜書換え更新できる構成にすれば、どの加熱調理器1に加熱制御データを送出し、および/またはどの音声入出力部2に音声出力データを送出するのかを、ユーザーUが必要に応じて何時でも変更することが可能になる。
【0065】
また図7に示すように、加熱調理器1の加熱制御部51による加熱調理の状態について、ユーザーUが音声入出力部2-1に例えば「進行状況は?」のようなメッセージ情報M2を音声で尋ねた場合は、そのメッセージ情報M2を受けて音声制御部16-1が加熱調理器1から進行状況データを取り込み、音声が入力された音声入出力部2-1に対してのみ、インターネット24経由で進行状況データに基づいた音声応答データを送出して、例えば「加熱中 残り時間○○分です。」のような加熱調理の途中経過状態をあらわすアナウンスA4を、当該音声入出力部2-1のスピーカー12を通して報知してもよい。このときの報知は、例えば前述の加熱調理の終了をあらわすアナウンスA3でもよいし、また図5図6のようなアナウンスA2,A3に加えて行なわれてもよい。
【0066】
以上のように本実施形態では、加熱調理器1-1の加熱制御部51における加熱調理の途中経過状態や終了の情報を、例えば「加熱中 残り時間○○分です。」のようなアナウンスA2や、「加熱終了しました。」のようなアナウンスA3で、複数の音声入出力部2-1,2-2から同時に音声出力するように、音声制御部16-1の構成を工夫している。
【0067】
この場合、加熱制御部51により加熱調理器1-1で行われる加熱調理の途中経過状態や終了の情報については、インターネット24に接続する全ての音声入出力部2-1,2-2から同時に音声出力させるように、音声制御部16-1が音声入出力部2-1,2-2に音声応答データを送出することで、ユーザーUがどの音声入出力部2-1,2-2の近くにいても、加熱調理器1の状況を適確に把握できる。
【0068】
また本実施形態では、加熱調理器1-1の加熱制御部51における加熱調理の途中経過状態や終了の情報を、複数の音声入出力部2-1,2-2のなかで、予め指定した例えば音声入出力部2-1だけから、例えば「加熱中 残り時間○○分です。」のようなアナウンスA2や、「加熱終了しました。」のようなアナウンスA3で音声出力するように、音声制御部16-1の構成を工夫している。
【0069】
この場合、加熱制御部51により加熱調理器1-1で行われる加熱調理の途中経過状態や終了の情報については、インターネット24に接続する全ての音声入出力部2-1,2-2のなかで、ユーザーUが予め指定した例えば音声入出力部2-1だけから音声出力させるように、音声制御部16-1が音声入出力部2-1に音声応答データを送出することで、全ての音声入出力部2-1,2-2から無駄に音声出力させることなく、ユーザーUが加熱調理器1の状況を適確に把握できる。
【0070】
また本実施形態では、加熱調理器1-1の加熱制御部51における加熱調理の状態について、ユーザーUが例えば音声入出力部2-1に音声で尋ねた場合は、その音声が入力された音声入出力部2-1から、例えば「加熱中 残り時間○○分です。」のようなアナウンスA4や、「加熱終了しました。」のようなアナウンスA3で、加熱調理の状態を音声で回答するように、音声制御部16-1の構成を工夫している。
【0071】
この場合、加熱制御部51により加熱調理器1-1で行われる加熱調理の状態について、ユーザーUが問合わせで尋ねた特定の例えば音声入出力部2-1に対してのみ、その音声入出力部2-1から音声での回答が行われるので、ユーザーUが利用していない別な音声入出力部2-2から、加熱調理の状態が音声で不意に出力される不都合を回避できる。
【0072】
次に、自宅H内でアクセスポイント3に複数の加熱調理器1が接続する場合のメニューの設定手順を、図8および図9に基づき説明する。これらの各図では、図1と同じく3台の加熱調理器1-1,1-2,1-3と、2台の音声入出力部2-1,2-2を、アクセスポイント3となるWi-Fiルーター21に同時に接続した状態を示している。
【0073】
本実施形態の加熱調理器システムでは、複数種類の加熱調理器1がインターネット24に接続可能でき、例えば同じ音声入出力部2-1から、オーブンレンジとなる加熱調理器1-1,1-2と、それとは別な種類のIH調理器となる加熱調理器1-3を音声でそれぞれ操作できる。この場合、音声認識部15は共通の構成で、加熱調理器1の種類毎に例えばオーブンレンジ用の音声制御部16-1と、IH加熱用の音声制御部16-2がそれぞれ設置される。それぞれの音声制御部16-1,16-2は、音声認識部15で認識された特定のキーワードに基いて、音声認識部15の認識結果全体を受け取るか否かを決定する。
【0074】
具体的には図8に示すように、どの加熱調理器1に対しての指示であるのかを特定するキーワード「レンジ2」の後に、特定のメニューである「ハンバーグ」と、設定を促す「を設定して!」という一続きのメッセージ情報M3を、音声入出力部2-1のマイク11に向けて発声し、メッセージ情報M3の内容が音声認識部15により音声認識で分析されると、音声制御部16-1はメッセージ情報M3に含まれるキーワード「レンジ2」から、それが機器関連付け全情報記憶部62で音声入出力部2-1と関連付けられた加熱調理器1-2に対する操作の指示であると判断して、当該加熱調理器1-2に「ハンバーグ」のメニューを設定させるためのテキストデータを送出する。また、メッセージ情報M3を入力した音声入出力部2-1に対しては、例えば「了解しました。レンジ2でハンバーグを設定します。」のようなアナウンスA5が、スピーカー12を通して報知されるように、インターネット24を介して当該音声入出力部2-1に音声応答データを送出する。
【0075】
ここでは、それぞれの加熱調理器1-1,1-2,1-3に対応して、例えば「レンジ1」,「レンジ2」、「アイエイチ3」のようなキーワードが音声制御部16で設定されており、図示しないが例えば「レンジ1 鶏のから揚げを設定して!」というメッセージ情報を、音声入出力部2-1のマイク11に向けて発声すれば、音声制御部16-1からキーワードに対応したオーブンレンジとなる加熱調理器1-1に対して、「鶏のから揚げ」のメニューを設定させるためのテキストデータが送出される。また、「アイエイチ3 肉じゃがを設定して!」というメッセージ情報を、音声入出力部2-1のマイク11に向けて発声すれば、音声制御部16-1にからキーワードに対応したIH調理器となる加熱調理器1-3に対して、「肉じゃが」のメニューを設定させるためのテキストデータが送出される。こうして、ユーザーUが音声入出力部2に音声で、例えば加熱調理器1-1を特定するキーワードと共に、その加熱調理器1-1への何等かの操作を指示した場合は、そのキーワードに対応した音声制御部16-1からの加熱制御データにより、特定した加熱調理器1-1の操作が可能となる。
【0076】
また図9に示すように、キーワードを含めずに、例えは特定のメニューである「ハンバーグ」と、設定を促す「を設定して!」という一続きのメッセージ情報M4を、音声入出力部2-1のマイク11に向けて発声し、メッセージ情報M4の内容が音声認識部15により音声認識で分析されると、音声制御部16はどの加熱調理器1-1,1-2,1-3に対する操作の指示であるのかを特定できない。そこでこの場合は、どの加熱調理器1-1,1-2,1-3に対する操作の指示であるのかを、メッセージ情報M4を入力した音声入出力部2-1から音声で問い合わせるために、インターネット24を介して当該音声入出力部2-1に問い合わせのための音声応答データを送出する。これにより例えば「どの調理器への指示ですか?」のようなアナウンスA6が、音声入出力部2-1のスピーカー12を通して報知される。
【0077】
そして、音声入出力部2-1からのアナウンスA6を受けて、ユーザーUが図8に示すように、キーワードを含めた「レンジ2 ハンバーグを設定して!」のようなメッセージ情報M3を音声入出力部2-1のマイク11に向けて音声で回答すれば、音声制御部16-1はこの回答を受け付けて、上述のように加熱調理器1-2に「ハンバーグ」のメニューを設定させる操作を行ない、また音声入出力部2-1のスピーカー12から「了解しました。レンジ2でハンバーグを設定します。」のようなアナウンスA5を報知させる。
【0078】
以上のように本実施形態の加熱調理器システムは、複数種類の加熱調理器1として、例えばオーブンレンジとなる加熱調理器1-1,1-2と、それとは別な種類のIH調理器となる加熱調理器1-3が、ネットワークとなるインターネット24に接続可能であり、同一の例えば音声入出力部2-1からそれぞれの種類の加熱調理器1-1,1-2,1-3を操作でき、クラウド4上の音声認識部15は単独の共通する構成で、加熱調理器1の種類毎に、オーブンレンジ用の音声制御部16-1と、IH調理器用の音声制御部16-2をそれぞれ設置した構成となっている。
【0079】
この場合、クラウド上4の音声認識部15を共通の構成とする一方で、音声制御部16-1,16-2については、加熱調理器1-1,1-2,1-3の種類毎に別々に設置することで、同一の例えば音声入出力部2-1への音声入力により、異なる種類の加熱調理器1-1,1-2,1-3をそれぞれ操作して加熱制御することが可能になる。
【0080】
また本実施形態では、同一種類で複数の加熱調理器1として、いずれもオーブンレンジとなる加熱調理器1-1,1-2が、インターネット24に接続可能であり、同一の例えば音声入出力部2-1からそれぞれの加熱調理器1-1,1-2を操作でき、それぞれの加熱調理器1-1,1-2に対応して、個々に識別できるキーワードを設定して、ユーザーUが音声入出力部2-1に音声で例えばキーワード「レンジ2」と共に、メニューの設定などの何らかの操作を指示した場合は、そのキーワードに対応した加熱調理器1-2の操作が可能となるように、音声制御部16-1の構成を工夫している。
【0081】
この場合、同一種類で複数の加熱調理器1-1,1-2がインターネット24に接続される場合は、それぞれの加熱調理器1-1,1-2に個別のキーワードを設定しておけば、ユーザーUが音声入出力部2-1に音声で加熱調理器1への操作を指示する際に、特定のキーワードとして例えば「レンジ2」を含ませることで、その特定のキーワード「レンジ2」に対応した加熱調理器1-2だけを操作して加熱制御することが可能になる。
【0082】
また本実施形態では、例えば音声入出力部2-1に音声で操作を指示する際に、前述のキーワードが含まれていなかった場合は、どの加熱調理器1に対する操作の指示であるのかを、例えば「どの調理器への指示ですか?」のような音声入出力部2-1からの音声出力となるアナウンスA6で問い合わせ、それに対するユーザーUから音声入出力部2-1への音声入力による回答を受け付けるように、音声制御部16-1の構成を工夫している。
【0083】
この場合、音声認識部15からの認識結果を受けて、音声制御部16がどの加熱調理器1-1,1-2に対する操作の指示であるのかを特定できなかった場合は、その旨を音声入出力部2-1から音声出力で問い合わせることで、特定の加熱調理器1を操作できない状況を、ユーザーUに音声対話で直ちに知らせることができる。また、引き続きユーザーUからの音声入力による回答を受け付けることで、最終的にユーザーUが音声入出力部2-1に音声で加熱調理器1への操作を指示する際に、特定のキーワードとして例えば「レンジ2」を含ませることで、その特定のキーワード「レンジ2」に対応した加熱調理器1-2だけを操作して加熱制御することが可能になる。
【0084】
次に、加熱調理器1に搭載される個々のメニューについて、音声対話によりメニューの食材と分量を提示する一連の手順を、図10に基づき説明する。前述のように、自宅HにいるユーザーUが、特定のメニューとして例えば「ハンバーグ」のメニューを加熱調理器1-1に設定させるために、「ハンバーグを設定して!」というメッセージ情報M11を、音声入出力部2-1のマイク11に向けて発声すると、同じ自宅H内の加熱調理器1-1は、音声制御部16-1からの加熱制御データを受けて、選択した「ハンバーグ」のメニューを次に設定して、加熱調理が開始できるように待機する。また、メッセージ情報M11が入力された音声入出力部2-1は、音声制御部16-1からの音声応答データを受けて、例えば「了解しました。ハンバーグを設定します。」のようなアナウンスA11を、スピーカー12からユーザーUに向けて報知する。
【0085】
この状態から、ユーザーUが「ハンバーグ」のメニューで使用する食材を音声対話で知りたい場合、最初に食材を提示するための音声指示として、例えば「材料を教えて。」というメッセージ情報M12を、音声入出力部2-1のマイク11に向けて発生すると、音声認識部15からのメッセージ情報M11の認識結果に基づいて、そのメッセージ情報M11で指示された「ハンバーグ」のメニューに関するレシピ情報が、音声制御部16-1によりメニュー全情報記憶部61から読み出される。
【0086】
ここで音声制御部16-1は、レシピ情報に複数の食材と分量が含まれていた場合、ユーザーUからの食材を提示するためのメッセージ情報M11を受けて、全ての食材と分量を一度に音声入出力部2-1から音声出力で提示させるのではなく、一つの食材と分量だけを音声入出力部2-1から音声出力で提示させた後、音声入出力部2-1からの食材と分量の提示を一時停止して、次にユーザーUから提示を再開するための音声指示を受けて、次の一つの食材と分量を音声入出力部2-1から音声で提示させるように構成している。また音声制御部16-1は、音声入出力部2-1で一つの食材と分量を提示させた後、ユーザーUがその内容を聞き取れずに、ユーザーUから提示を再確認するための音声指示を受けると、直前に提示したのと同じ食材と分量を、音声入出力部2-1からもう一度音声で提示させるように構成している。
【0087】
具体的には、音声制御部16-1は前述の「材料を教えて。」というメッセージ情報M12を受けて、例えば「2個分の材料です。合びき肉150g。」のような一つの食材とその分量を含めたアナウンスA12が、スピーカー12からユーザーUに向けて報知されるように、インターネット24を経由して音声入出力部2-1に音声応答データを送出する。この後、音声入出力部2-1からの食材と分量の提示は一時的に停止するが、ユーザーUが音声入出力部2-1に向けて、例えば「次。」のような提示の再開を促すメッセージ情報M13を発生すると、音声制御部16-1は音声入出力部2-1に音声応答データを送出して、例えば「玉ねぎ(みじん切り)。100g。」のような次の一つの食材とその分量となるアナウンスA14を、音声入出力部2-1のスピーカー12から報知させる。
【0088】
以後、同様の音声対話による手順で、「次。」という音声入出力部2-1へのメッセージ情報M14を受けて、次の一つの食材と分量である「パン粉20g(1/2カップ)。」のようなアナウンスA14が、音声入出力部2-1から音声で提示され、その後に「次。」という音声入出力部2-1へのメッセージ情報M15を受けて、次の一つの食材と分量である「牛乳 大さじ1と1/2。」のようなアナウンスA15が、音声入出力部2-1から音声で提示され、その後に「次。」という音声入出力部2-1へのメッセージ情報M16を受けて、次の一つの食材と分量である「バター 6g(大さじ1/2)。」のようなアナウンスA16が、音声入出力部2-1から音声で提示される。
【0089】
また、ユーザーUが再度同じ食材と分量の提示を確認するために、例えば「もう一度 言って。」というメッセージ情報M17を、音声入出力部2-1に向けて発声すると、先ほど提示したのと同じ「バター 6g(大さじ1/2)。」のアナウンスA16が、音声入出力部2-1からもう一度音声で提示される。
【0090】
その後、残りの食材と分量を順に報知させるために、「次。」というメッセージ情報M18を、音声入出力部2-1に向けて発声すると、次の一つの食材と分量である「塩 少々。」のアナウンスA17が、音声入出力部2-1から音声で提示され、その後に「次。」というメッセージ情報M19を、音声入出力部2-1に向けて発声すると、次の一つの食材と分量である「こしょう 少々。」のアナウンスA18が、音声入出力部2-1から音声で提示され、その後に「次。」というメッセージ情報M20を、音声入出力部2-1に向けて発声すると、食材と分量の提示が終了したことを知らせるのに、例えば「以上です。」のアナウンスA19が、音声入出力部2-1から音声で提示される。
【0091】
そして音声制御部16-1は、音声入出力部2-1で上述のアナウンスA11~A19による全ての食材と分量を提示させた後、ユーザーUから再び全ての食材と分量を提示するための音声指示を受けると、音声入出力部2-1からもう一度、全ての食材と分量を音声で提示させるように構成している。つまりここでは、「ハンバーグ」のメニューに関する全ての食材と分量を提示したことを、音声入出力部2-1からアナウンスA19で報知した後に、例えば「材料をすべて読み上げて。」のようなメッセージ情報M21を、音声入出力部2-1に向けて発声すると、これまでのアナウンスA11~A19を一続きにしたアナウンスA20が、音声入出力部2-1から音声で提示される。
【0092】
そして、上述した音声対話により食材と分量を提示する一連の手順は、どのような種類の加熱調理器1で選択が可能なメニューに対しても、また他のどのような音声入出力部2であっても、同様に行なうことが可能である。
【0093】
以上のように本実施形態では、音声入出力部2への音声入力により、加熱調理器1で加熱調理が可能なメニューの選択を、音声制御部16からの加熱制御データにより、加熱調理器に組み込まれた加熱制御部51が行なえる構成とし、加熱制御部51で選択したメニューについて、ユーザーUが音声入出力部2に使用する食材を提示するように音声で指示した場合は、その音声入出力部2からの音声出力で食材と分量を順に提示できるように、音声制御部16を構成している。
【0094】
この場合、音声入出力部2への音声入力により選択される特定のメニューについて、ユーザーUが音声入出力部2へ音声で食材と分量を提示するように指示すれば、レシピ本などをわざわざ広げなくても、音声入出力部2から必要な食材と分量を音声で知ることが可能になる。
【0095】
また本実施形態において、音声入出力部2からの音声出力では、一つの食材と分量を提示した後に一時停止状態となり、ユーザーUからの音声による再開の指示により、次の食材と分量を音声入出力部2から提示できるように、音声制御部16を構成している。
【0096】
この場合、音声入出力部2への音声入力により選択したメニューについて、複数の食材が必要な場合、音声入出力部2から音声で一度に連続してそれらの食材と分量を提示されても、全ての食材を分量通りに準備することが難しいが、ユーザーUからの音声による再開の指示に合せて、食材と分量を一つずつ音声で順に教えてくれるので、加熱調理器1を利用して加熱調理を行なう上で、全ての食材を分量通りに準備できる。
【0097】
また本実施形態において、音声入出力部2からの音声出力では、食材と分量を提示した後に、ユーザーUからの再確認の指示があった場合には、もう一度同じ食材と分量を音声入出力部2から提示できるように、音声制御部16を構成している。
【0098】
この場合、音声入出力部2への音声入力により選択したメニューについて、音声入出力部2に音声で再確認の指示を行なえば、直前に音声入出力部2から音声出力された食材や分量を、もう一度音声で知ることができ、食材や分量の聞き違いを減らすことが可能になる。
【0099】
また本実施形態において、音声入出力部2からの音声出力では、全ての食材と分量を提示した後に、ユーザーUからの再提示の指示があった場合には、もう一度全ての食材と分量を音声入出力部2から提示できるように、音声制御部16を構成している。
【0100】
この場合、音声入出力部2への音声入力により選択したメニューについて、音声入出力部2に音声で再提示の指示を行なえば、既に音声入出力部2から音声出力された一通り全ての食材や分量を、もう一度音声で知ることができ、食材や分量の聞き違いを減らすことが可能になる。
【0101】
図11は、加熱調理器1で選択可能な個々のメニューについて、音声対話によりメニューの作り方となる調理方法を提示する一連の手順を示したものである。
【0102】
同図において、ここでは自宅HにいるユーザーUが、加熱調理器1-1で選択できる特定のメニューとして、例えば「ハンバーグ」のメニューに関する調理方法を音声対話で知りたい場合、最初に調理方法を提示するための音声指示として、例えば「ハンバーグの調理方法を教えて。」というメッセージ情報M31を、音声入出力部2-1のマイク11に向けて発声すると、音声認識部15からのメッセージ情報M11の認識結果に基づいて、そのメッセージ情報M11で指示された「ハンバーグ」のメニューに関するレシピ情報が、音声制御部16-1によりメニュー全情報記憶部61から読み出される。
【0103】
ここで音声制御部16-1は、レシピ情報に複数の工程からなる調理方法が含まれていた場合、ユーザーUからの調理方法を提示するためのメッセージ情報M11を受けて、特定のメニューにおける調理方法の全ての工程を一度に音声入出力部2-1から音声出力で提示させるのではなく、一つの工程だけを音声入出力部2-1から音声出力で提示させた後、音声入出力部2-1からの工程の提示を一時停止して、次にユーザーUから提示を再開するための音声指示を受けて、次の一つの工程を音声入出力部2-1から音声で提示させるように構成している。
【0104】
具体的には、音声制御部16-1は前述の「ハンバーグの調理方法を教えて。」というメッセージ情報M31を受けて、例えば「(1) 耐熱容器に玉ねぎ・バターを入れ、ラップなしで庫内中央に置いて加熱し、冷ます。」のような、ハンバーグの調理方法に関する一つの工程となるアナウンスA31が、スピーカー12からユーザーUに向けて報知されるように、インターネット24を経由して音声入出力部2-1に音声応答データを送出する。この後、音声入出力部2-1からの工程の提示は一時的に停止するが、ユーザーUが音声入出力部2-1に向けて、例えば「次。」のような提示の再開を促すメッセージ情報M32を発生すると、音声制御部16-1は音声入出力部2-1に音声応答データを送出して、例えば「「毎日1」「レンジ」「600W」で2~3分に設定し、スタート。」のような次の一つの工程となるアナウンスA32を、音声入出力部2-1のスピーカー12から報知させる。これによりユーザーUは、加熱制御部51の手動調理機能を利用して、操作パネル部29からの操作により、メッセージ情報M32を参考にして手動で設定した加熱条件で、調理室27内の耐熱容器に入れた玉ねぎとバターを加熱調理することができる。なお、ここでの加熱条件の設定と調理開始の操作を、音声入出力部2-1への音声入力で実現させてもよい。
【0105】
以後、同様の音声対話による手順で、「次。」という音声入出力部2-1へのメッセージ情報M33を受けて、「(2) パン粉は器に入れ、牛乳にひたしておく。」のような、次の工程を示すアナウンスA33が、音声入出力部2-1から音声で提示され、その後に「次。」という音声入出力部2-1へのメッセージ情報M34を受けて、「(3) ボウルにひき肉と塩を入れ、粘りが出るまでよく混ぜる(約2分)。粘りが出たら、(1)(2)にこしょうを入れ、混ぜ合わせる。」のような、次の工程を示すアナウンスA34が、音声入出力部2-1から音声で提示され、その後に「次。」という音声入出力部2-1へのメッセージ情報M35を受けて、「(4) 庫内には何もいれず、予熱する。「ハンバーグ」のメニューを設定する。」のような、次の工程を示すアナウンスA35が、音声入出力部2-1から音声で提示される。
【0106】
これを受けて、ユーザーUが「ハンバーグを設定して!」というメッセージ情報M36を、音声入出力部2-1のマイク11に向けて発声すると、加熱調理器1-1は音声制御部16-1からの加熱制御データを受けて、選択した「ハンバーグ」のメニューを次に設定して、加熱調理が開始できるように待機する。また、メッセージ情報M36が入力された音声入出力部2-1は、音声制御部16-1からの音声応答データを受けて、例えば「ハンバーグを設定します。スタート。」のような、特定のメニューの選択(設定)とスタートを促すアナウンスA11を、スピーカー12からユーザーUに向けて報知する。
【0107】
この後、ユーザーUが「スタートして!」というメッセージ情報M36を、音声入出力部2-1のマイク11に向けて発声すると、加熱調理器1-1に組み込まれた加熱制御部51は、音声制御部16-1からの加熱制御データを受けて「ハンバーグ」のメニューを設定し、そのメニューに従う加熱条件と手順で加熱調理(この場合は、最初に調理室27内が空の状態で予熱される。)を自動的に開始する。
【0108】
その後の調理方法の各工程についても、引き続き「次。」という音声入出力部2-1へのメッセージ情報M38を受けて、「(5) (3)を2等分にして、ハンバーグの形に整えて角皿に並べ、中央をくぼませる。」のような、次の工程を示すアナウンスA37が、音声入出力部2-1から音声で提示され、その後に「次。」という音声入出力部2-1へのメッセージ情報M39を受けて、「(6) 予熱終了後、(5)を上段に入れて加熱する。スタート。」のような、次の工程とスタートを促すアナウンスA38が、音声入出力部2-1から音声で提示される。
【0109】
この後、ユーザーUが「スタートして!」というメッセージ情報M40を、音声入出力部2-1のマイク11に向けて発声すると、加熱調理器1-1に組み込まれた加熱制御部51は、音声制御部16-1からの加熱制御データを受けて、予熱の終了した調理室27内で、ハンバーグとなる被調理物に対する加熱調理を、メニューに従う加熱条件で自動的に開始する。そして最後に、ユーザーUが「次。」というメッセージ情報M41を、音声入出力部2-1のマイク11に向けて発声すると、「(7) 加熱終了後、ハンバーグを盛り付け、ソースをかける。スタート」のような、次の工程を示す促すアナウンスA39が、音声入出力部2-1から音声で提示される。
【0110】
上述した音声対話により調理方法の各工程を提示する一連の手順は、どのような種類の加熱調理器1で選択が可能なメニューに対しても、また他のどのような音声入出力部2であっても、同様に行なうことが可能である。また、例えば前述の「もう一度 言って。」のようなメッセージ情報M17により、ユーザーUから提示を再確認するための音声指示を音声入出力部2で受けると、直前に提示したのと同じ調理方法の工程を、音声入出力部2からもう一度音声で提示できるように、音声制御部16を構成してもよい。
【0111】
以上のように本実施形態では、音声入出力部2への音声入力により、加熱調理器1で加熱調理が可能なメニューの選択を、音声制御部16からの加熱制御データにより、加熱調理器に組み込まれた加熱制御部51が行なえる構成とし、加熱制御部51で選択したメニューについて、ユーザーUが音声入出力部2に調理方法を提示するように音声で指示した場合は、その音声入出力部2からの音声出力で調理方法の工程を順に提示できるように、音声制御部16を構成している。
【0112】
この場合、音声入出力部2への音声入力により選択可能な特定のメニューについて、ユーザーUが音声入出力部2へ音声で調理方法を提示するように指示すれば、レシピ本などをわざわざ広げなくても、音声入出力部2から必要な調理方法の工程を音声で知ることが可能になる。
【0113】
また本実施形態において、音声入出力部2からの音声出力では、一つの工程を提示した後に一時停止状態となり、ユーザーUからの音声による再開の指示により、次の工程を音声入出力部2から提示できるように、音声制御部16を構成している。
【0114】
この場合、音声入出力部2への音声入力により選択される特定のメニューについて、ユーザーUからの音声による再開の指示に合せて、調理方法の工程を一つずつ音声で順に教えてくれるので、調理方法を間違えずに加熱調理器1を利用して加熱調理を行なうことができる。
【0115】
また本実施形態において、音声入出力部2からの音声出力では、調理方法の工程を提示した後に、ユーザーUからの再確認の指示があった場合には、もう一度同じ調理方法の工程を音声入出力部2から提示できるように、音声制御部16を構成してもよい。
【0116】
この場合、音声入出力部2への音声入力により選択した調理方法の工程について、音声入出力部2に音声で再確認の指示を行なえば、直前に音声入出力部2から音声出力された調理方法の工程を、もう一度音声で知ることができ、調理方法の聞き違いを減らすことが可能になる。
【0117】
次に、本実施形態の変形例について、図12を参照して説明する。同図において、ここでのサーバー5は、音声入出力部2からの音声指示データを受けて、音声認識部15による音声の認識結果から、ユーザーの感情を認識する機能を有する感情認識手段71と、ユーザーの体調を判定する機能を有する体調認識手段72と、を音声制御部16にそれぞれ備えている。感情認識手段71と体調認識手段72は、そのどちらかだけを備えてもよいし、音声制御部16にではなく音声認識部15に備えてもよい。何れにせよクラウド4上の音声制御部16は、感情認識手段71による感情の認識結果と、体調認識手段72による体調の判定結果に応じて、音声入出力部2からの音声出力で適切なメニューを提示できるように構成される。
【0118】
感情認識手段71は、ユーザーUが音声入出力部2から入力した声の抑揚などを手掛かりとして、話し手となるユーザーUの感情を読み取るものであり、具体的には特許第6073649号明細書などにその手法が開示されている。本実施形態ではこれを加熱調理器システムに応用して、ユーザーUが例えば「感情に適したメニューを提示して」のような、感情に応じたメニューの選択を促すメッセージ情報を音声入出力部2-1のマイク11に向けて発声したときに、音声制御部16がメニュー全情報記憶部61の中から最適なメニューを選択するために、音声認識部15からの音声の認識結果に基づいて、感情認識手段71にユーザーUの感情を分析判断させる。
【0119】
ここで、例えばユーザーUの声の抑揚が予めサーバー5の記憶部に登録した標準の声に比べて大きく、感情認識手段71により普段よりもイライラした感情であると判断されると、音声制御部16はメニュー全情報記憶部61の中から、他のメニューよりもカルシウムの多く取れる栄養成分のメニューを選択して、その選択したメニューがスピーカー12からユーザーUに向けて報知されるように、インターネット24を経由して音声入出力部2-1に音声応答データを送出する。また、ユーザーUの声の大きさが標準の声に比べて小さく、声のスピードも標準の声より遅い場合には、感情認識手段71により普段よりも落ち込んだ感情であると判断され、その場合に音声制御部16はメニュー全情報記憶部61の中から、他のメニューよりもカリウムやマグネシウムの豊富な栄養成分のメニューを選択して、その選択したメニューがスピーカー12からユーザーUに向けて報知されるように、インターネット24を経由して音声入出力部2に音声応答データを送出する。
【0120】
こうして、感情認識手段71による感情の認識結果から、ユーザーUの感情に適したメニューを音声入出力部2からユーザーUに音声で提示することができ、その後は上述した音声対話による特定のメニューの設定で、操作パネル部29に指を触れることなく、加熱調理器1を操作して加熱制御部51による加熱調理を行なうことが可能になる。
【0121】
一方、体調認識手段72は、ユーザーUが音声入出力部2から入力した声質などを手掛かりとして、話し手となるユーザーUの体調を読み取るものであり、具体的には特許第4631464号明細書などにその手法が開示されている。本実施形態ではこれを加熱調理器システムに応用して、ユーザーUが例えば「体調に適したメニューを提示して」のような、体調に応じたメニューの選択を促すメッセージ情報を音声入出力部2-1のマイク11に向けて発声したときに、音声制御部16がメニュー全情報記憶部61の中から最適なメニューを選択するために、音声認識部15からの音声の認識結果に基づいて、体調認識手段72にユーザーUの体調を分析判断させる。
【0122】
ここで、例えばユーザーUの声の調子が予めサーバー5の記憶部に登録した標準の声に比べてかすれていて、体調認識手段72により普段よりも風邪気味の体調であると判断されると、音声制御部16はメニュー全情報記憶部61の中から、他のメニューよりも体があたたまる栄養成分のメニューを選択して、その選択したメニューがスピーカー12からユーザーUに向けて報知されるように、インターネット24を経由して音声入出力部2-1に音声応答データを送出する。
【0123】
こうして、体調認識手段72による体調の判定結果から、ユーザーUの体調に適したメニューを音声入出力部2からユーザーUに音声で提示することができ、その後は上述した音声対話による特定のメニューの設定で、操作パネル部29に指を触れることなく、加熱調理器1を操作して加熱制御部51による加熱調理を行なうことが可能になる。
【0124】
以上のように本実施形態では、音声入出力部2への音声入力により、加熱調理器1で加熱調理が可能なメニューの選択を、音声制御部16からの加熱制御データにより、加熱調理器1に組み込まれた加熱制御部51が行なえる構成とし、音声認識部15による音声の認識結果から、ユーザーUの感情を認識する機能を有する感情認識手段71をさらに備え、この感情認識手段71による感情の認識結果によって、音声入出力部2からの音声出力で適切なメニューを提示するように、音声制御部16を構成している。
【0125】
この場合、ユーザーUの発する声の抑揚などを手掛かりにして、感情認識手段71による感情の認識結果から、ユーザーUの感情に適したメニューを提示できる。そのため、例えばユーザーUがイライラした感情であると感情認識手段71により認識された場合は、カルシウムの多くとれるメニューを提示したり、ユーザーが落ち込んだ感情であると認識された場合は、カリウムやマグネシウムの豊富なメニューを提示したりすることが可能となる。
【0126】
また本実施形態では、音声認識部15による音声の認識結果から、ユーザーの体調を判定する機能を有する体調認識手段72をさらに備え、この体調認識手段72による体調の判定結果によって、音声入出力部2からの音声出力で適切なメニューを提示するように、音声制御部16を構成している。
【0127】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。本実施形態における加熱調理器システムは、加熱調理器1やサーバー5に共通して最初から登録されているメニュー以外に、他のWebサーバーで随時更新されるメニューにも対応可能である。例えばユーザーUが加熱調理器1には搭載されていないメニューの名前を、音声入出力部2に向けて発声した場合に、音声制御部16がそのメニューの食材と分量や調理方法などを、サーバー5以外の図示しないWebサーバーから読み込み、前述の手順に従って音声入出力部2から音声で提示させたりすることが可能になる。また、音声入出力部2を使用してメニューを設定する際に、新しいメニューの全情報をWebサーバーからダウンロードして、これを加熱調理器1やサーバー5に追加登録させてもよい。こうして、自宅H内に設置される加熱調理器1や音声入出力部2は、IоT(Internet Of Things)対応機器として、単に加熱調理器1の各機種に特化した専用のサーバー5だけでなく、インターネット24に接続する他のWebサーバーや各種インターネット端末(図示せず)との間でも、様々なデータのやり取りが可能になる。
【符号の説明】
【0128】
1,1-1,1-2,1-3 加熱調理器
2,2-1,2-2 音声入出力部
4 クラウド
15 音声認識部
16,16-1,16-2 音声制御部
24 インターネット(ネットワーク)
71 感情認識手段
72 体調認識手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12