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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-22
(45)【発行日】2022-05-06
(54)【発明の名称】仮設足場のすき間塞ぎ体
(51)【国際特許分類】
   E04G 5/00 20060101AFI20220425BHJP
   E04G 7/34 20060101ALI20220425BHJP
【FI】
E04G5/00 301G
E04G7/34 303B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2017241791
(22)【出願日】2017-12-18
(65)【公開番号】P2019108714
(43)【公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】592123923
【氏名又は名称】株式会社タカミヤ
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100095212
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 武
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(72)【発明者】
【氏名】磯部 凌吾
(72)【発明者】
【氏名】吉田 拓
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-028091(JP,U)
【文献】実開平04-023755(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 5/00
E04G 5/08
E04G 7/28
E04G 7/34
E04G 1/36
E04G 3/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮設足場を構成していて、すき間を開け、かつ水平方向の角度をなして配置されている作業布板同士の間の前記すき間に配置される仮設足場のすき間塞ぎ体であって、
作業者が乗る天板部材と、この天板部材に間隔をあけて少なくとも2個配置され、それぞれが前記仮設足場の構成部材に係止される係止部材とを含んで構成され、これらの係止部材のうち、少なくとも1個の係止部材が前記天板部材に対し水平方向に回動自在となっており、
前記天板部材の下側には、長さを有する棒状部材が配置され、この棒状部材に、前記天板部材に対し水平方向に回動自在となっている前記係止部材が、前記棒状部材の長さ方向の間隔をあけて2個取り付けられ、前記棒状部材が前記天板部材に水平方向へ回動自在に連結されていることにより、前記2個の係止部材のそれぞれが前記天板部材に対し水平方向に回動自在となっていることを特徴とする仮設足場のすき間塞ぎ体。
【請求項2】
請求項1に記載の仮設足場のすき間塞ぎ体において、前記係止部材は、下向きに開口した開口部を有するものとなっていることを特徴とする仮設足場のすき間塞ぎ体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の仮設足場のすき間塞ぎ体において、前記係止部材には、前記仮設足場の前記構成部材に対する前記係止部材の係止が解除されることを防止するためのロック部材が遊動可能に設けられていることを特徴とする仮設足場のすき間塞ぎ体。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の仮設足場のすき間塞ぎ体において、前記係止部材の全部の個数は4個であって、前記棒状部材は第1棒状部材であり、前記天板部材の下側には、前記第1棒状部材と対向して第2棒状部材が配置され、長さを有するこの第2棒状部材にも2個の係止部材が、この第2棒状部材の長さ方向の間隔をあけて取り付けられていることを特徴とする仮設足場のすき間塞ぎ体。
【請求項5】
請求項4に記載の仮設足場のすき間塞ぎ体において、前記第2棒状部材も前記天板部材に水平方向へ回動自在に連結されていることを特徴とする仮設足場のすき間塞ぎ体。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の仮設足場のすき間塞ぎ体において、前記第1棒状部材と前記第2棒状部材のうち、少なくとも一方の棒状部材は、前記第1棒状部材と前記第2棒状部材の接近、離間方向に移動可能となっていることを特徴とする仮設足場のすき間塞ぎ体。
【請求項7】
請求項6に記載の仮設足場のすき間塞ぎ体において、前記第1棒状部材は、この第1棒状部材を前記天板部材に連結している連結具を中心に前記天板部材に対して回動自在となっており、前記天板部材に、前記第1棒状部材と前記第2棒状部材との間の間隔方向に長い長孔が形成されていて、この長孔に前記連結具が挿通されていることによって前記第1棒状部材が、前記第2棒状部材に対する接近、離間方向に移動可能となって前記天板部材に配置されていることを特徴とする仮設足場のすき間塞ぎ体。
【請求項8】
請求項4~7のいずれかに記載の仮設足場のすき間塞ぎ体において、前記天板部材の下面には、この天板部材の強度を補強するための補強部材が結合されていることを特徴とする仮設足場のすき間塞ぎ体。
【請求項9】
請求項8に記載の仮設足場のすき間塞ぎ体において、前記補強部材は、前記第1棒状部材と前記第2棒状部材の間において、複数本が設けられていることを特徴とする仮設足場のすき間塞ぎ体。
【請求項10】
請求項9に記載の仮設足場のすき間塞ぎ体において、前記複数本の補強部材は、互いに平行の位置関係となって前記天板部材の下面に配置されているとともに、これらの補強部材は、回動していないときにおける前記第1棒状部材と直角又は略直角をなして前記天板部材の下面に配置されていることを特徴とする仮設足場のすき間塞ぎ体。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の仮設足場のすき間塞ぎ体において、前記天板部材の下面には、この天板部材の強度を補強するための補強部材が結合され、この補強部材は、前記天板部材に水平方向へ回動自在に連結されている前記棒状部材と干渉する長さ寸法を有し、前記天板部材に水平方向へ回動自在に連結されている前記棒状部材と前記補強部材とのうち、一方には、前記天板部材に水平方向へ回動自在に連結されている前記棒状部材の回動を可能するために他方が遊合状態で嵌合されている切欠部が設けられていることを特徴とする仮設足場のすき間塞ぎ体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮設足場を構成する作業布板同士が、すき間を開け、かつ水平方向の角度をなして配置される場合に、そのすき間を塞ぐために仮設足場に配置されるすき間塞ぎ体に係り、建築や土木等の各種の作業現場で構築される仮設足場に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1及び特許文献2には、仮設足場を構成するものであって、作業者が乗って作業や歩行などを行うための作業布板が示されている。この作業布板を直列的に複数個配置することにより、仮設足場に通路等となる所定長さの直線状の作業布板列を形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-311304号公報
【文献】特開2009-41328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業布板が用いられる仮設足場は、建築物等の作業対象物の外観形状等に基づいて構築されるため、仮設足場が構築される作業現場によっては、作業布板同士を、これらの作業布板の長さ方向の端部同士が鋭角の角度をなすように配置することにより、これらの作業布板同士を、すき間を開け、かつ水平方向の角度をなして配置しなければならない場合があり、このような場合には、作業布板同士の間に、上記角度に基づくすき間が生ずるため、このすき間を有効に塞ぎ、作業者が歩行などを行えるようにするための仮設足場用物品が求められる。
【0005】
本発明の目的は、仮設足場を構成する作業布板同士が、すき間を開け、かつ水平方向の角度をなして配置される場合に、そのすき間を有効に塞ぐことができるようになる仮設足場のすき間塞ぎ体を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る仮設足場のすき間塞ぎ体は、仮設足場を構成していて、すき間を開け、かつ水平方向の角度をなして配置されている作業布板同士の間の前記すき間に配置される仮設足場のすき間塞ぎ体であって、作業者が乗る天板部材と、この天板部材に間隔をあけて少なくとも2個配置され、それぞれが前記仮設足場の構成部材に係止される係止部材とを含んで構成され、これらの係止部材のうち、少なくとも1個の係止部材が前記天板部材に対し水平方向に回動自在となっていることを特徴とするものである。
【0007】
このように本発明に係るすき間塞ぎ体では、作業者が乗るための部材となっている天板部材に間隔をあけて少なくとも2個の係止部材が配置されており、それぞれが仮設足場の構成部材に係止されるこれらの係止部材のうち、少なくとも1個の係止部材が天板部材に対し水平方向に回動自在となっているため、仮設足場を構成していて、すき間を開け、かつ水平方向の角度をなして配置されている作業布板同士の間のすき間にすき間塞ぎ体を配置する際に、天板部材に対し水平方向に回動自在となっている係止部材を回動させることにより、上述の少なくとも2個の係止部材を仮設足場の構成部材に係止させることができ、これにより、すき間塞ぎ体によって作業布板同士の間のすき間を有効に塞ぐことができる。
【0008】
以上の本発明において、係止部材を、この係止部材を係止させる仮設足場の構成部材の長さ方向に長いものとしてもよく、このようにした場合には、係止部材の個数は2個でもよい。
【0009】
また、天板部材に対し水平方向に回動自在となっている係止部材を、この係止部材を係止させる仮設足場の構成部材の長さ方向の長さが短いものとする場合には、天板部材の下側に、長さを有する棒状部材を配置し、この棒状部材に、天板部材に対し水平方向に回動自在となっている係止部材を、棒状部材の長さ方向の間隔をあけて2個取り付け、棒状部材を天板部材に水平方向へ回動自在に連結することにより、2個の係止部材のそれぞれが天板部材に対し水平方向に回動自在となるようにしてもよい。
【0010】
また、係止部材の全部の個数を4個とし、そして、上述の棒状部材を第1棒状部材とし、天板部材の下側に、第1棒状部材と対向して第2棒状部材を配置し、長さを有するこの第2棒状部材にも2個の係止部材を、この第2棒状部材の長さ方向の間隔をあけて取り付けてもよい。
【0011】
さらに、このように本発明に係るすき間塞ぎ体を構成する場合には、第2棒状部材も天板部材に水平方向へ回動自在に連結してもよい。
【0012】
これによると、第1棒状部材と第2棒状部材の両方が天板部材に水平方向に回動自在に連結されるため、本発明に係るすき間塞ぎ体を作業布板同士の間のすき間に配置する際に、これらの作業布板がなす水平方向の角度に応じて第1棒状部材と第2棒状部材がなす角度を大きな角度とすることを、これらの棒状部材を天板部材に対し水平方向へ回動させることによって実施できることになる。
【0013】
また、上述したように天板部材の下側に、この天板部材に水平方向へ回動自在に連結された第1棒状部材を配置するとともに、この第1棒状部材に2個の係止部材を第1棒状部材の長さ方向の間隔をあけて取り付け、天板部材の下側に、第1棒状部材と対向して第2棒状部材を配置し、この第2棒状にも2個の係止部材を、この第2棒状部材の長さ方向の間隔をあけて取り付ける場合には、第1棒状部材と第2棒状部材のうち、少なくとも一方の棒状部材を、第1棒状部材と第2棒状部材の接近、離間方向に移動可能としてもよい。
【0014】
これによると、第1棒状部材と第2棒状部材の間の間隔を変更することができるため、この間隔を、水平方向の角度をなして配置される作業布板同士の間のすき間の大きさに応じて調整することが可能となる。
【0015】
また、以上説明した本発明に係るすき間塞ぎ体において、天板部材の下面には、この天板部材の強度を補強するための補強部材を結合してもよい。これによると、作業者が乗って作業や歩行などを行うための天板部材が板材によって形成されていても、この天板部材に、作業者が乗って作業や歩行などを行うために求められる充分の強度を付与できる。
【0016】
また、前述したように、天板部材の下側に、この天板部材に水平方向へ回動自在に連結された第1棒状部材や第2棒状部材を配置する場合であって、天板部材の下面に、この天板部材の強度を補強するための補強部材を結合するとともに、この補強部材を、天板部材に水平方向へ回動自在に連結されている棒状部材と干渉する長さ寸法を有するものとする場合には、天板部材に水平方向へ回動自在に連結されている棒状部材と補強部材とのうち、一方に、天板部材に水平方向へ回動自在に連結されている棒状部材の回動を可能するために他方を遊合状態で嵌合する切欠部を設けてもよい。
【0017】
これによると、補強部材が棒状部材と干渉する大きな長さ寸法を有するものとなっていても、天板部材に水平方向へ回動自在に連結されている棒状部材と補強部材とのうち、一方に設けられている切欠部に他方を遊合状態で嵌合させて、棒状部材を天板部材に対し水平方向へ回動自在とすることができ、また、棒状部材と干渉する大きな長さ寸法を有する補強部材の補強作用により、天板部材の補強を有効に行えることになる。
【0018】
また、棒状部材が天板部材に対して水平方向に一定角度まで回動すると、棒状部材は補強部材に当接するため、棒状部材が天板部材に対し360度回動することはなく、このため、仮設足場の構築現場へ搬送等するときにおけるすき間塞ぎ体の取り扱い性を良好にすることができる。
【0019】
なお、上述の切欠部は、天板部材に水平方向へ回動自在に連結されている棒状部材に設けてもよく、あるいは、補強部材に設けてもよい。
【0020】
また、本発明に係るすき間塞ぎ体は、すき間を開け、かつ水平方向の角度をなして配置される作業布板が、これらの作業布板の長さ方向の端部同士が上記すき間を開けて作業布板の長さ方向に配置される場合において、作業布板が、この作業布板の幅方向に複数個並設されるときにも適用できる。この場合には、本発明に係るすき間塞ぎ体を、複数個が並設される作業布板の幅方向に複数個配置し、複数個が幅方向に並設されている作業布板ごとに本発明に係るすき間塞ぎ体を配置してもよい。
【0021】
そして、このように複数個が幅方向に並設されている作業布板ごとに本発明に係るすき間塞ぎ体を配置する場合には、これらのすき間塞ぎ体の天板部材の大きさ等をすき間塞ぎ体ごとに異ならせ、これにより、これらのすき間塞ぎ体の天板部材を、作業布板の長さ方向の端部同士の間に設けられるすき間の大きさに対応できるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、仮設足場を構成する作業布板同士が、すき間を開け、かつ水平方向の角度をなして配置される場合に、そのすき間を有効に塞ぐことができるという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るすき間塞ぎ体と作業布板が用いられて構築されている仮設足場を示す斜視図である。
図2図2は、すき間塞ぎ体が配置されている仮設足場の略円弧状部を示す平面図である。
図3図3は、天板部材を二点鎖線による想像線で示したすき間塞ぎ体の斜視図である。
図4図4は、すき間塞ぎ体の平面図である。
図5図5は、すき間塞ぎ体の正面図である。
図6図6は、すき間塞ぎ体の側面図である。
図7図7は、すき間塞ぎ体を仮設足場のすき間に配置するために係止部材となっているフック部材等を天板部材に対し水平方向に回動させたときを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1には、建築や土木等の作業現場で略円弧状部を有して構築された仮設足場が示されている。この仮設足場は、立設された複数本の支柱1と、隣接する2本の支柱1の間に架け渡された手摺り部材2,3,4と、ブレース部材5と、作業者が乗って作業を行うための複数個の作業布板6とが用いられて構築されており、これらの作業布板6は、手摺り部材2,4の延び方向が長さ方向となっている平面視で長方形のものである。
【0025】
図2には仮設足場の平面図が示されており、この図2に示されているように、それぞれの作業布板6は、長さ方向の端部に端部カバー部材7が設けられたものとなっており、仮設足場の上述した略円弧状部を構成するために、水平方向の角度をなして長さ方向に互いに隣接している作業布板6同士は、これらの作業布板6の端部カバー部材7の先端部によって形成されている作業布板6の長さ方向の端部同士の間にすき間Sを開けて仮設足場に配置されているとともに、これらの作業布板6の長さ方向の端部同士がなす角度が鋭角となるように仮設足場に配置され、これにより、仮設足場に上述の略円弧状部が形成されている。
【0026】
また、図1及び図2に示されている仮設足場は、作業布板6の幅方向に2個の作業布板6を並設することにより形成されている。このため、作業布板6には、仮設足場の略円弧状部における内側に配設された作業布板6Aと、外側に配設された作業布板6Bとがあり、また、図2で示されているすき間Sには、内側の作業布板6A同士の間に設けられた内側のすき間S1と、外側の作業布板6B同士の間に設けられた外側のすき間S2とがある。
【0027】
略円弧状部の内側と外側に配置された2本の支柱1の間には、パイプ材による横架部材8が水平に架け渡されており、仮設足場の構成部材となっているこの横架部材8は、すき間Sの両側に2本設けられ、これらの横架部材8に作業布板6の幅方向両側に設けられている係止部材9が上から係止されることにより、それぞれの作業布板6は、仮設足場に水平に配置されている。
【0028】
すき間Sには、本実施形態に係るすき間塞ぎ体10が配置されており、図1及び図2には、このすき間塞ぎ体10として、内側のすき間S1を塞ぐためのすき間塞ぎ体10Aと、外側のすき間S2を塞ぐためのすき間塞ぎ体10Bとが示されている。これらのすき間塞ぎ体10A,10Bは、作業布板6と同様に、作業者が乗って作業や歩行などを行うための天板部材11を備えたものとなっており、内側のすき間S1を塞ぐためのすき間塞ぎ体10Aの天板部材11Aと、外側のすき間S2を塞ぐためのすき間塞ぎ体10Bの天板部材11Bは、仮設足場の略円弧状部の半径方向における長さ寸法が同じ又は略同じになっているが、略円弧方向における長さ寸法は異なっており、この略円弧方向における長さ寸法は、すき間S1とすき間S2の大きさに応じて、天板部材11Aでは短く、天板部材11Bでは長くなっている。
【0029】
これにより、図2に示されているように、内側のすき間S1を塞ぐためのすき間塞ぎ体10Aの天板部材11Aの端部は、内側の作業布板6Aの端部カバー部材7の上面に載せられ、外側のすき間S2を塞ぐためのすき間塞ぎ体10Bの天板部材11Bの端部は、外側の作業布板6Bの端部カバー部材7の上面に載せられるようになっている。
【0030】
以上のように内側のすき間S1を塞ぐためのすき間塞ぎ体10Aと、外側のすき間S2を塞ぐためのすき間塞ぎ体10Bでは、天板部材11A,11Bの大きさが異なっているが、このような寸法を除くその他の構成は同じになっているため、以下にすき間塞ぎ体10A,10Bの構造を、天板部材11を二点鎖線による想像線で示した図3と、平面図である図4と、正面図である図5と、側面図である図6とにより示されているすき間塞ぎ体10によって説明する。
【0031】
板材により形成されている天板部材11は、図4に示されているように、互いに対向する2つの辺部12A,12Bが平行であって、これらの辺部12A,12Bと直角をなす2つの辺部13A,13Bも平行になっていて、4つの辺部12A,12B,13A,13Bが直線状の4つの面取り部14により連結されている平面視の形状を有するものである。この天板部材11の下側には、厚板材で形成されている4個のフック部材15が配置されており、これらのフック部材15のうち、2個のフック部材15A,15Bは、天板部材11の下側に配置された第1棒状部材16の長さ方向の両端部に溶接等で取り付けられ、2個のフック部材15C,15Dは、天板部材11の下側に配置された第2棒状部材17の長さ方向の両端部に溶接等で取り付けられ、長さ寸法を有するこれらの第1棒状部材16と第2棒状部材17は、互いに対向して天板部材11の下側に配置されている。
【0032】
なお、これらのフック部材15A~15Dは、後述するように、すき間塞ぎ体10を仮設足場のすき間Sに配置するために、図2で示した2本の横架部材8に上から係止されるものであり、このため、フック部材15A~15Dは、仮設足場の構成部材となっている横架部材8に係止される係止部材となっている。
【0033】
また、それぞれのフック部材15は、図3及び図5に示されているように、下向きに開口した開口部27を有するものである。
【0034】
本実施形態では、それぞれが長さ寸法を有している第1棒状部材16と第2棒状部材17は、図3に示されているように、長寸の1個の角パイプ部材18と、この角パイプ部材18の長さ方向の両端部に間隔をあけて配置された短寸の2個の角パイプ部材19と、これらの角パイプ部材18,19を連結するために、角パイプ部材18,19の下面に溶接等で結合されたフラットバーによる連結部材20とからなり、長寸の角パイプ部材18と短寸法の角パイプ部材19との間は、第1棒状部材16と第2棒状部材17のそれぞれの切欠部21となっている。この切欠部21は、第1及び第2棒状部材16,17のそれぞれについて、2個ずつ設けられている。
【0035】
そして、第1棒状部材16と第2棒状部材17は、これらの棒状部材16,17の長さ方向中央部において、これらの棒状部材16,17ごとに設けられた連結具22により天板部材11に連結されており、これらの連結具22は、図5及び図6に示されているように、軸部が天板部材11と第1及び第2棒状部材16,17の長寸の角パイプ部材18とに上から挿通されたボルト22Aと、角パイプ部材18の下面から突出したボルト22Aの軸部の先部に螺合されたナット22Bとからなるものである。このため、第1棒状部材16と第2棒状部材17は、それぞれのボルト22Aの軸部を中心に天板部材11に対し水平方向へ回動自在となっており、また、4個のフック部材15も、ボルト22Aの軸部を中心に天板部材11に対し回動自在となって天板部材11に配置されていることになる。
【0036】
また、図3に示されているように、天板部材11には、第1棒状部材16のための連結具22のボルト22Aの軸部を挿通するために、第1棒状部材16と第2棒状部材17との間の間隔の方向に長い長孔23が形成されている。これに対して、第2棒状部材17のための連結具22のボルト22Aの軸部を挿通するために天板部材11に形成されている孔は、単なる丸孔である。
【0037】
このため、第1棒状部材16と第2棒状部材17のうち、第1棒状部材16は、長孔23の長さにより、第2棒状部材17に対する接近、離間方向に天板部材11に対し移動可能となっている。
【0038】
図3に示されているように、天板部材11の下側には、第1及び第2棒状部材16,17の間において、3本の補強部材24,25,26が、ボルト22Aの軸部を中心に回動していないときの第1及び第2棒状部材16,17と直角又は略直角をなして配置されており、これらの補強部材24~26は、互いに平行の位置関係となって天板部材11の下面に溶接等で結合されている。それぞれの補強部材24~26は、第1及び第2棒状部材17を構成している角パイプ部材18,19よりも縦断面積が小さい角パイプ部材によって形成されているとともに、これらの補強部材24~26のうち、中央の補強部材25は、連結具22が配置されている第1及び第2棒状部材16,17の長さ方向中央箇所まで達しない長さを有する短寸法のものであり、これに対して補強部材24,26は、第1及び第2棒状部材16,17まで達する長さを有する長寸法のものである。
【0039】
このため、これらの長寸法の補強部材24,26は、第1及び第2棒状部材16,17と干渉する長さ寸法となっているが、補強部材24,26の長さ方向の両端部は、第1及び第2棒状部材16,17のそれぞれに2個ずつ設けられている切欠部21に嵌合されており、それぞれの切欠部21は、補強部材24,26の幅寸法よりも充分に大きい第1及び第2棒状部材16,17の長さ方向の寸法を有しているため、補強部材24,26の長さ方向の両端部は、第1及び第2棒状部材16,17に設けられている切欠部21にすき間を開けた遊合状態で嵌合されている。
【0040】
したがって、第1及び第2棒状部材16,17は、連結具22のボルト22Aの軸部を中心に切欠部21の上記すき間がなくなるまで、言い換えると、第1及び第2棒状部材16,17の角パイプ部材18や角パイプ部材19が補強部材24,26の長さ方向の両端部に当接するまで、天板部材11に対して水平方向に回動可能となっている。
【0041】
図2に示されているように、すき間塞ぎ体10を仮設足場に設けられている前述のすき間Sに配置する作業を行う際には、図7に示されているように、第1及び第2棒状部材16,17を連結具22のボルト22Aの軸部を中心に水平方向に回動させ、これにより、第1棒状部材16を、仮設足場の構成部材としてこの仮設足場に設けられている前述の2本の横架部材8のうち、一方の横架部材8と平行又は略平行にするとともに、第2棒状部材17を、他方の横架部材8と平行又は略平行にする。次いで、すき間塞ぎ体10を上からすき間Sに落とし込み、これにより、第1棒状部材16に取り付けられている2個のフック部材15A,15Bに設けられた前述の開口部27を上述の一方の横架部材8に上から嵌合することにより、これらのフック部材15A,15Bをこの一方の横架部材8に係止するとともに、第2棒状部材17に取り付けられている2個のフック部材15C,15Dの開口部27も上述の他方の横架部材8に上から嵌合することにより、これらのフック部材15C,15Dをこの他方の横架部材8に係止する。
【0042】
以上の作業を、図2で示した内側のすき間S1を塞ぐためのすき間塞ぎ体10Aと、外側のすき間S1を塞ぐためのすき間塞ぎ体10Bとについて行い、これらのすき間塞ぎ体10A,10Bの天板部材11A,11Bの端部を、仮設足場の前述した略円弧状部における内側と外側に配設された作業布板6A、6Bの端部カバー部材7の上に載せる。
【0043】
なお、以上の作業を行ったときには、すき間塞ぎ体10A,10Bのフック部材15は、横架部材8に作業布板6A,6Bの係止部材9とこの横架部材8の長さ方向に並んで係止されるが、これらのフック部材15のうち、係止部材9よりも作業布板6A,6Bの幅方向内側に配設されるフック部材15は、係止部材9と、作業布板6A,6Bの端部カバー部材7の幅方向端面との間にスリットが設けられているため、このスリットを通過して横架部材8に上から係止されるようになっている。
【0044】
以上の作業により、内側のすき間S1を塞ぐためのすき間塞ぎ体10Aと、外側のすき間S1を塞ぐためのすき間塞ぎ体10Bは、作業布板6A,6Bを仮設足場に配設するためにこの仮設足場に水平に設けられている横架部材8にフック部材15A~15Dが係止されることで仮設足場に配置されたことになり、仮設足場の構成部材としてこの仮設足場に設けられている横架部材8には、前述したように作業布板6A,6Bに設けられている係止部材9も係止されているため、すき間塞ぎ体10A,10Bは、作業布板6A,6Bのための横架部材8が利用されて仮設足場に配置されたことになる。
【0045】
なお、作業布板6A,6Bの係止部材9は、すき間塞ぎ体10のフック部材15A~15Dと同様に、下向きに開口した開口部を有するものである。
【0046】
また、すき間塞ぎ体10のフック部材15A~15Dには、図5に示されているように、横架部材8に対するフック部材15A~15Dの係止が解除されることを防止するためのロック部材30が設けられている。このロック部材30は、頭部付きピン31,32の頭部によりフック部材15A~15Dに分離不能に配置され、ロック部材30には、ピン31,32が挿通された湾曲状の長孔33が形成されているため、ロック部材30は、フック部材15A~15Dに対して回動しながら上下に遊動可能となっている。長孔33には、ピン31,32を嵌入させることができる凹部が複数個設けられているため、フック部材15A~15Dの開口部27を横架部材8に上から嵌合する際には、ロック部材30を、開口部27の全体を開口させることができる上側位置に配置し、開口部27を横架部材8に上から嵌合した後に、ロック部材30を下側位置へ遊動させることにより、開口部27の一部がロック部材30で閉じられ、これにより、横架部材8からのフック部材15A~15Dの係止解除が防止される。なお、このようなロック部材は作業布板6A,6Bの係止部材9にも設けられている。
【0047】
以上説明した本実施形態のすき間塞ぎ体10によると、天板部材11に配置されているフック部材15A~15Dは、天板部材11の下側に連結具22のボルト22Aの軸部を中心に水平方向へ回動自在に配置されている第1及び第2棒状部材16,17に取り付けられているため、これらのフック部材15A~15Dも天板部材11に対し水平方向に回動自在となっている。このため、仮設足場を構成している複数個の作業布板6が、図2で示したすき間Sを開けて作業布板6の長さ方向に配置されているとともに、これらの作業布板6が、作業布板6の長さ方向の端部同士が鋭角の角度をなすことによって水平方向の角度をなして配置されている場合には、すき間塞ぎ体10を作業布板6同士の間のすき間Sに配置する際に、第1及び第2棒状部材16,17をボルト22Aの軸部を中心に水平方向へ回動させることにより、フック部材15A~15Dも天板部材11に対し水平方向に回動させることができ、これにより、これらのフック部材15A~15Dを図2に示されている2本の横架部材8に係止させて、すき間塞ぎ体10によりすき間Sを有効に塞ぐことができる。
【0048】
また、フック部材15A~15Dの天板部材11に対する水平方向への回動角度は調節することができるため、上述した作業布板6の長さ方向の端部同士がなす鋭角の角度が異なるそれぞれの仮設足場において、本実施形態に係るすき間塞ぎ体10を用いることができる。
【0049】
また、本実施形態に係るすき間塞ぎ体10をすき間Sに配置したときには、天板部材11の端部は、前述したように、作業布板6の端部カバー部材7の上に載るため、すき間塞ぎ体10と作業布板6との連続性を確保でき、これにより、作業者は、すき間塞ぎ体10と作業布板6の上で安定して作業や歩行などを行える。
【0050】
さらに、天板部材11の下面には補強部材24~26が取り付けられているため、天板部材11が板材で形成されていても、作業者が乗って作業や歩行などを行うために求められる充分の強度を天板部材11に付与できる。
【0051】
また、図5及び図6に示されているように、第1及び第2棒状部材16,17の上面は天板部材11の下面に接触しているため、これらの棒状部材16,17も天板部材11の強度を大きくための補強部材となり、これにより、天板部材11の強度を一層大きくすることができる。
【0052】
さらに、補強部材24~26のうち、長寸法の補強部材24,26は、第1及び第2棒状部材16,17と干渉する長さ寸法を有し、これにより、補強部材24,26による天板部材11の大きな補強効果を得られているが、天板部材11に水平方向へ回動自在に連結されているこれらの棒状部材16,17には、補強部材24,26の長さ方向の両端部を嵌合するための切欠部21が設けられており、この切欠部21は、補強部材24,26の長さ方向の両端部をすき間を設けて遊合状態で嵌合できるものとなっているため、補強部材24,26が第1及び第2棒状部材16,17と干渉する長さ寸法を有するものとなっていても、第1及び第2棒状部材16,17の天板部材11に対する水平方向への回動を保障することができる。
【0053】
また、第1及び第2棒状部材16,17が天板部材11に対して水平方向に一定角度まで回動すると、これらの棒状部材16,17の角パイプ部材18,19は補強部材24,26に当接するため、棒状部材16,17が天板部材11に対し360度回動することはなく、このため、仮設足場の構築現場へ搬送等するときにおけるすき間塞ぎ体10の取り扱い性は良好となる。
【0054】
さらに、天板部材11には、第1棒状部材16をこの天板部材11に連結している連結具22のボルト22Aの軸部を挿通させるための孔として長孔23が形成されており、この長孔23は、第1棒状部材16と第2棒状部材17との間の間隔の方向に長い長孔となっているため、第1棒状部材11は、第1棒状部材16と第2棒状部材17の接近、離間方向に天板部材11に対し移動可能となっており、このため、すき間塞ぎ体10を配置すべきすき間Sの大きさに応じて第1棒状部材16と第2棒状部材17との間の間隔を調整できるため、大きさの異なるそれぞれのすき間Sに有効に対処することができる。
【0055】
また、天板部材11は、図4で示したように、互いに平行となっている2つの辺部12A,12Bを有するものとなっているため、図2に示したように、すき間Sのうち、内側のすき間S1をすき間塞ぎ体10Aにより塞ぎ、外側のすき間S2をすき間塞ぎ体10Bにより塞いだときに、すき間塞ぎ体10Aの天板部材11Aの辺部12Bと、すき間塞ぎ体10Bの天板部材11Bの辺部12Aとを平行又は略平行にして対面させることができ、これにより、すき間Sの全体をすき間塞ぎ体10Aと10Bとにより有効に塞ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、建築や土木等の作業現場で構築される仮設足場に利用することができる。
【符号の説明】
【0057】
6,6A,6B 作業布板
8 仮設足場の構成部材である横架部材
10,10A,10B すき間塞ぎ体
11,11A、11B 天板部材
15,15A,15B,15C,15D 係止部材であるフック部材
16 第1棒状部材
17 第2棒状部材
21 切欠部
24,25,26 補強部材
S,S1,S2 すき間


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7