(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-22
(45)【発行日】2022-05-06
(54)【発明の名称】周波数が限定されたクライアント密集環境におけるワイヤレス通信のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H04W 72/04 20090101AFI20220425BHJP
H04W 4/48 20180101ALI20220425BHJP
【FI】
H04W72/04 131
H04W4/48
(21)【出願番号】P 2017540571
(86)(22)【出願日】2016-02-01
(86)【国際出願番号】 US2016016020
(87)【国際公開番号】W WO2016123631
(87)【国際公開日】2016-08-04
【審査請求日】2019-01-23
【審判番号】
【審判請求日】2020-09-25
(32)【優先日】2015-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516298445
【氏名又は名称】サフラン パッセンジャー イノベーションズ, エルエルシー
【住所又は居所原語表記】2929 East Imperial Highway, Suite 170, Brea, California 92821(US)
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【氏名又は名称】舛谷 威志
(74)【代理人】
【識別番号】100129263
【氏名又は名称】中尾 洋之
(72)【発明者】
【氏名】カーズウェル,サミュエル エー.
【合議体】
【審判長】國分 直樹
【審判官】横田 有光
【審判官】廣川 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-234208(JP,A)
【文献】特開2005-311828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/24-7/26
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内のワイヤレス通信のためのシステムであって、
システム制御ユニットと、
前記システム制御ユニットに通信可能に接続された複数のワイヤレスアクセスポイントであって、前記複数のワイヤレスアクセスポイントは少なくとも第1のワイヤレスアクセスポイントと第2のワイヤレスアクセスポイントを含む、複数のワイヤレスアクセスポイントと、
前記複数のワイヤレスアクセスポイントのいずれかに通信可能に接続された複数のアンテナであって、前記複数のアンテナは互いに2メートル以上離れて置かれ、前記複数のアンテナは第1の複数のアンテナと第2の複数のアンテナを含み、前記第1の複数のアンテナは前記第1のワイヤレスアクセスポイントに通信可能に接続され且つ第1のアンテナと第2のアンテナとを含み、前記第2の複数のアンテナは前記第2のワイヤレスアクセスポイントに通信可能に接続され且つ第3のアンテナを含む、複数のアンテナと、
前記複数のアンテナのうちの少なくとも1つを使用して該使用するアンテナが接続されたワイヤレスアクセスポイントに割り当てられる、複数のクライアントデバイスであって、前記複数のクライアントデバイスの各々はクライアントアンテナを備える、クライアントデバイスと、
を備え、
前記第1のアンテナは前記第2のアンテナに隣接し、前記第2のアンテナは前記第3のアンテナに隣接し、前記第1のアンテナと前記第3のアンテナは非隣接であるように配置され、
前記システム制御ユニットは前記複数のクライアントデバイスのレイアウトの情報を前記複数のワイヤレスアクセスポイントにロードし、
前記複数のワイヤレスアクセスポイントは時間的に同期され、
前記
第1及び第2ワイヤレスアクセスポイントは、非隣接の前記第1のアンテナおよび第3のアンテナに、送信サイクル内の第1の時間スロットに、
前記第1のアンテナを使用する第1の複数のクライアントデバイスおよび
前記第3のアンテナを使用する第3の複数のクライアントデバイスそれぞれに送信させるようにプログラムされ、
前記
第1ワイヤレスアクセスポイントは、前記第2のアンテナに
、送信サイクル内の第2の時間スロットに
前記第2のアンテナを使用する第2の複数のクライアントデバイスに送信させるようにさらにプログラムされ、前記第1の時間スロットと前記第2の時間スロットとは重複
しない、
システム。
【請求項2】
前記
第1のワイヤレスアクセスポイント
及び前記第2のワイヤレスアクセスポイントはさらに、前記第1のアンテナおよび前記第3のアンテナのための送信レンジが前記複数のアンテナの前記第2のアンテナまたは他のアンテナのいずれかの送信レンジに重複するかどうかを最初に判定し、重複する前記アンテナのいずれとも異なる時間スロットを前記第1のアンテナおよび前記第3のアンテナに割り当てることにより、前記第1のアンテナおよび前記第3のアンテナに前記第1の時間スロットを割り当てるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記
第1のワイヤレスアクセスポイント
及び第2のワイヤレスアクセスポイントはさらに、
前記第2のアンテナの送信レンジが前記第1のアンテナおよび前記第3のアンテナの前記送信レンジと重複しないことを判定し、
前記第2のアンテナが前記第1の時間スロットではなく、前記第2の時間スロット中に第2の複数のクライアントデバイスに送信するように前記第2のアンテナに前記第2の時間スロットを割り当てるようにプログラムされる、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記
複数のワイヤレスアクセスポイント
の各々はさらに
、 当該ワイヤレスアクセスポイントに割り当てられたクライアントデバイス各々によって送信される信号を検出し、
前記
クライアント各々の位置が前記レイアウトの情報とマッチすることを確認するようプログラムされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記
複数のアンテナと前記
複数のクライアントアンテナとは、固定の周波数帯を使用して通信するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記周波数帯は、61.56から62.9GHzのISMバンドを
含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記
第1のアンテナを使用する第1のクライアントデバイスは、
前記第1のアンテナからのデータ送信を受信し、
前記データ送信が中断され
たことを検出し、
前記第1のクライアントデバイス
が前記第2のアンテナからの第2のブロードキャストレンジ内であることを判定し、
前記第2のアンテナにアンテナ変更要求を送信するようにプログラムされ、
前記アンテナ変更要求は前記第1のクライアントデバイスが前記第2のアンテナへの切り替えを要求していることを示しており、
前記
第1のワイヤレスアクセスポイントはさらに、
前記アンテナ変更要求を受信し、
前記アンテナ変更要求に応答して、前記第2のアンテナを介して前記第1のクライアントデバイスへの前記データ送信を再開するようにプログラムされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記
複数のワイヤレスアクセスポイント
の各々はさらに、前記
各ワイヤレスアクセスポイントに接続された複数のアンテナの1つ以上を使用して
該複数のアンテナを使用するクライアントデバイスの各々の
位置を特定するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記ワイヤレスアクセスポイントの各々は、該各ワイヤレスポイントに通信可能に接続された前記複数のアンテナの各々に、前記複数のアンテナの各々に時分割多重を用いて割り当てられた時間スロットに従い、通信させるように構成されており、前記第1の時間スロットと前記第2の時間スロットは、前記時分割多重により割り当てられた時間スロットである、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2015年1月30日に出願された米国仮出願番号第62/109,681号の優先権を主張し、米国仮出願番号第62/109,681号およびここに含まれるすべての他の付帯的な引用文献は、その全体が引用により組み込まれる。
本発明は、高密度のクライアントおよび潜在的に高密度のアクセスポイントで占められた、周波数が限定された環境における、たとえば機内エンターテインメントシステムのための、ワイヤレスネットワーキングに関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術の説明は、本発明を理解するのに有用であり得る情報を含む。それは、ここで提供される情報のいずれもが先行技術であるかまたは現在特許請求されている発明に関連することを認めるものでも、具体的または暗示的に参照された任意の刊行物が先行技術であることを認めるものでもない。
【0003】
機内エンターテインメントを提供することは空の旅の重要な構成要素であり、テクノロジーが進歩してくるにつれ、機内エンターテインメントのための利用可能な選択肢が広がってきている。ワイヤレスネットワーキングは、機内エンターテインメントシステムにおける多くの異なるモードのエンターテインメント配信に便宜を与えてきている。
【0004】
しかしながら、航空機または他の車両の領域内では、限定された量の、一般的に採用されているスペクトル内の免許不要で制限のない利用可能な帯域幅(たとえば、WiFi、セルラー、等)が存在する。航空機内と乗客による携行との両方のネットワーク可能なデバイスの量が増加するにつれ、信頼性の高いコンテンツ配信のための帯域幅の量は減少する。
【0005】
60GHzスペクトルは、非常に速いデータ転送を可能にするWiFiおよびセルラー帯域の代替策を提供するが、それは、空気による非常に激しい減衰を受けやすく、そのようなものとして、非常に限定されたレンジを有する。加えてそれは、障害物および他の環境ファクターによる途絶に非常に敏感であり、見通し内通信を要求する。そのようなものとして、60GHzスペクトルは従来より、航空機の内部といった混雑した環境に適してこなかった。
【0006】
加えて、航空機内で利用可能な帯域幅がますます予約またはそうでなければ制限されるようになるにつれ、送信のために利用可能な周波数が限定されるようになり、送信の競合を解決するための周波数ホッピングが選択肢として利用可能でないかもしれない。しかしながら、多くのアクセスポイントおよび多くのクライアントを有する環境では、同一の周波数帯で送信するがゆえに通信を途絶させるデバイス間の干渉の高い潜在性が存在する。
【0007】
それゆえに、航空路線の個人用電子機器(PED)および航空機装備への情報の分配のための改善された機内ワイヤレスネットワーキングソリューションに対するニーズが未だに存在する。
【発明の概要】
【0008】
本発明の主題は、車両内エンターテインメントシステムが、構成可能な周波数帯を使用して車両の客室の混雑した環境内でワイヤレスで効率的にデータを送信できる、装置、システム、および方法を提供する。本発明の主題に係るシステムおよび方法は、密集した間隔の複数のクライアントと通信するために複数のアクセスポイントアンテナを使用する混雑した環境内でのデータの高速転送を可能にするために、60GHz周波数帯の拡散品質を利用する。
【0009】
ここで「ZAP」と呼ばれるアクセスポイントデバイスは、その複数のアンテナが固定の時間スロットブロードキャストスケジュールにしたがって送信し、それにより、互いの送信レンジ内の2つのアンテナが同一の時間に送信しないように、アンテナの送信を制御する。アンテナおよびクライアントデバイスはすべて、57~66GHzの周波数レンジ内で、より好ましくは61.56から62.9GHzのISMバンド内で行われるものを使用して送信する。かくして、ZAPは、隣接アンテナがそれらの送信が互いに干渉しないように異なる時間に送信することを保証する。
【0010】
ZAPはアンテナに、航空機の座席の背もたれに設置されるもののような機内エンターテインメントデバイス(「IFE」)での再生のためのコンテンツ(たとえば、映画、テレビ番組、等)を受信できる、IFEに接続または統合されたクライアントデバイスへと、コンテンツを送信させる。
【0011】
クライアントデバイスは、客室内の現在の状況に基づいて使用のためのアンテナを選択することができる。かくして、環境ファクターによって(たとえば、客室を動き回る乗客、客室に下りてくるサービスカート、または送信の断絶を引き起こす他の障害によって)中断された第1のアンテナからのデータ送信を有するクライアントデバイスは、データの受信を再開するために異なるアンテナを使用するように要求することができる。クライアントデバイスは、途絶を学習するとZAPに新たなアンテナを要求することができる。
【0012】
ZAPはまた、クライアントデバイスが、アンテナからのブロードキャストへの干渉を引き起こさずにZAPにブロードキャストし返すために利用可能なスロットを有するように、時間スロットを管理する。かくして、クライアントデバイスは、必要に応じて、たとえば、アンテナを切り替えたり、ZAPへの情報(たとえば、使用情報、診断情報、客室乗務員呼出し要求、等)を報告したりするために、ZAPとデータを交換できる。
【0013】
提示されるイノベーションは、座席、給仕室、照明、洗面所、およびカートといった、設置された航空機装備のクライアントとの通信のためのものである。個々のクライアントの同時ファイルダウンロードおよび複数のクライアントのデータストリーミングが、そうでなければ制限された利用可能なスペクトル内で実現できるであろうものを超過したビットレートおよびサービス品質で配信される。
本発明の主題はその目的、特徴、態様および利点とともに、同様の番号が同様の構成要素を表す図面及び好ましい実施形態の以下の詳細な説明とから、より明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】航空機に設置されたシステムの一例を客室レイアウト例とともに示す平面図である。
【
図2】
図1のシステムにおける複数のクライアントデバイスを示す図である。
【
図3A】複数のアンテナが同時に送信しようとした場合の、それらのアンテナからの複数の送信カバレッジエリアの概要を示す図である。
【
図3B】隣接アンテナおよび非隣接アンテナの例を強調した、
図3Aの概要を示す図である。
【
図4A】各々のアンテナからの各々の送信のための割り当てられた時間スロットの概要を示す図である。
【
図4B】非隣接アンテナの割り当て時間スロット中に送信する非隣接アンテナの送信および同一の時間スロット中にサイレントな隣接アンテナを示す図である。
【
図5】本実施形態に係る様々なクライアント間で確立される通信のシナリオの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明は、本発明を理解するのに有用であり得る情報を含む。それは、ここで提供される情報のいずれもが先行技術であるかまたは現在特許請求されている他の発明に関連することを認めるものでも、具体的または暗示的に参照された任意の刊行物が先行技術であることを認めるものでもない。
【0016】
以下の説明全体を通して、サーバ、サービス、インターフェース、エンジン、モジュール、クライアント、ピア、ポータル、プラットフォーム、またはコンピューティングデバイスから形成される他のシステムに関し、数多くの言及がなされるであろう。そのような用語の使用は、コンピュータ読み取り可能な有形の非一時的な媒体(たとえば、ハードドライブ、ソリッドステートドライブ、RAM、フラッシュ、ROM、等)に記憶されたソフトウェア命令を実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサ(たとえば、ASIC、FPGA、DSP、x86、ARM、ColdFire、GPU、マルチコアプロセッサ、等)を有する1つ以上のコンピューティングデバイスを表すものと考えられる、ということが理解されるべきである。たとえば、サーバは、説明された役割、責任、または機能を果たすようにウェブサーバ、データベースサーバ、または他のタイプのコンピュータサーバとして動作する1つ以上のコンピュータを含み得る。開示されるコンピュータに基づいたアルゴリズム、処理、方法、または他のタイプの命令セットは、開示されるステップをプロセッサに実行させる命令を記憶した非一時的な有形のコンピュータ読み取り可能な媒体を備えるコンピュータプログラム製品として具現化され得る、ということがさらに理解されるべきである。さまざまなサーバ、システム、データベース、またはインターフェースは、ことによるとHTTP、HTTPS、AES、公開-秘密鍵の交換、ウェブサービスAPI、既知の金融取引プロトコル、または他の電子情報交換方法に基づいて、標準化されたプロトコルまたはアルゴリズムを使用してデータを交換し得る。データ交換は、パケット交換ネットワーク、インターネット、LAN、WAN、VPN、または他のタイプのパケット交換ネットワークにわたって行われ得る。
【0017】
本発明のシステムおよび方法は、制限された周波数帯での、航空機または他の大きな旅客車両といった混雑した環境内ですべてが送信する多くのアクセスポイントアンテナと多くのクライアントとの間の、信頼性の高いワイヤレス送信を可能にする、という技術的効果を提供する、ということが理解されるべきである。発明の主題のシステムおよび方法は、そのような環境における通信のための60GHzスペクトルの使用を可能にするという追加の技術的効果を提供する。
【0018】
ここで特定されるすべての刊行物は、あたかも各々の個々の刊行物または特許出願が引用により組み込まれるよう具体的におよび個別的に示されているかのような程度と同程度に、引用により組み込まれる。組み込まれる引用文献における用語の定義または使用がここで提供されるその用語の定義と一致しないかまたは相反する場合、ここで提供されるその用語の定義が適用され、引用文献におけるその用語の定義は適用されない。
【0019】
いくつかの実施形態において、本発明のある特定の実施形態を説明および特許請求するために使用される、成分量、濃度のような特性、反応条件、等を表現する数字は、「およそ」という用語によりいくつかの例において変更されるものとして理解されるべきである。したがって、いくつかの実施形態において、記載説明および添付の請求項において記述される数値パラメータは、特定の実施形態によって得られようと努められる所望の特性に依存して変わり得る近似値である。いくつかの実施形態において、数値パラメータは、報告された有効桁の数字に鑑みて、および普通の丸め技法を適用することにより、解釈されるべきである。本発明のいくつかの実施形態の広い範囲を記述する数値範囲およびパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の例において記述される数値は、実現可能な限り精確に報告される。発明のいくつかの実施形態において提示される数値は、それらのそれぞれの試験測定において見いだされる標準偏差の結果として必然的に生じるある特定の誤差を含み得る。
【0020】
文脈が逆のことを指示しない限り、ここで記述されるすべての範囲は、それらのエンドポイントを含むものと解釈されるべきであり、オープンエンドの範囲は、商業的に実際的な値しか含まないように解釈されるべきである。同様に、値のすべてのリストは、文脈が逆のことを指示しない限り、中間値を含むものとみなされるべきである。
【0021】
ここでの説明においておよび後続する請求項全体を通して使用される場合、不定冠詞(「a」、「an」)および定冠詞(「the」)の意味は、文脈がそうでないと明確に指示しない限り、複数形の言及を含む。また、ここでの説明において使用される場合、「~における」の意味は、文脈がそうでないと明確に指示しない限り、「~における」および「~上の」を含む。
【0022】
ここでの値の範囲の列挙は単に、範囲に属する各々の別個の値に個別的に言及する簡略表記法としての役割を果たすように意図される。ここでそうでないと示されない限り、各々の個々の値は、あたかもそれがここで個別的に列挙されているかのように、明細書に組み込まれる。ここで説明されるすべての方法は、ここでそうでないと示されない限り、または、文脈によってそうでないと明確に否定されない限り、任意の適切な順序で行われ得る。任意のおよびすべての例の使用、またはここである特定の実施形態に関し提供される例示的な言語(たとえば、「~といった」)は、単に発明をよりよく解明するように意図されたものであり、そうでなければ特許請求される発明の範囲についての限定をもたらすものではない。明細書における言語は、発明の実現に不可欠な特許請求されていないいずれの要素を示すものとしても解釈されるべきではない。
【0023】
ここで開示される発明の代替の要素または実施形態のグループ化は、限定として解釈されるべきではない。各々のグループの部材は、個別的に、またはグループの他の部材またはここで見いだされる他の要素との任意の組み合わせで、言及され、特許請求され得る。グループの1つ以上の部材は、簡便性および/または特許性の理由のために、グループに包含されることもグループから削除されることもあり得る。任意のそのような包含または削除が行われる場合、明細書はここで、添付の請求項において使用されるすべてのマーカッシュグループの記載説明を果たすように変更されたグループを含むものと考えられる。
【0024】
以下の議論は、発明の主題の多くの例示的な実施形態を提供する。各々の実施形態は発明の要素の単一の組み合わせを表すが、発明の主題は、開示された要素のすべての可能な組み合わせを含むものとみなされる。かくして、1つの実施形態が要素A、B、およびCを備え、第2の実施形態が要素BおよびDを備える場合には、発明の主題はまた、たとえ明示的に開示されていなくても、A、B、C、またはDの他の残りの組み合わせを含むものとみなされる。
【0025】
ここで使用される場合、および文脈がそうでないと指示しない限り、「~に結合される」という用語は、直接結合(互いに結合された2つの要素が互いに接触する)および間接結合(少なくとも1つの追加の要素が2つの要素間に設けられる)の両方を含むように意図される。したがって、「~に結合される」と「~と結合される」という用語は同意語として使用される。
【0026】
発明の主題のシステムおよび方法は、旅客機または他の車両の内部のような妨害物および/または干渉で満たされた環境の領域内の、固定された周波数帯の動作における、アクセスポイントとクライアントとの間の効率的で、速く、信頼性の高いワイヤレス通信を可能にする。
【0027】
図1は、発明の主題の実施形態に係る、上から見下ろす視点からの(すなわち、航空機101の上方から見下ろした)、航空機101に設置されたシステム100の態様の客室レイアウトの例示的な例を提供する。
【0028】
図1に示すように、システム100は、少なくとも1つのアクセスポイント110を含む。
図1の例示された例では、システム100はアクセスポイント120、130を含むが、システム100が追加のアクセスポイントを含み得ることが企図される。従来のワイヤレスアクセスポイント(たとえば、セルラー、WiFi)のワイヤレスアクセスポイントとの混同を避けるために、発明の主題のアクセスポイント110、210、310はここで、「ZAP」と呼ばれる。各々のZAP110、120、130は、それぞれ複数のアンテナ110A~110D、120A~120D、および130A~130Dとの有線データ接続を介して通信可能に結合される。
【0029】
各々のアンテナは、数メートルだけ分離され、かくして、あらゆるクライアントとの複数の物理的な通信経路にわたるZAP集中型リアルタイム制御を付与する。ZAPとアンテナとの間のリアルタイムデジタル通信は、ZAPに、各々のアンテナの送信および受信時間スロット、電力、およびサブ周波数を同期制御することを可能にさせる。ZAPはかくして、そのアンテナのすべてでの同時の別個のまたは重複した通信を指令することができる。複数のZAP間の通信は、隣接するZAPアンテナ間の同期を可能にする。
【0030】
システム100はまた、
図2に示すように、複数のクライアントデバイス210を含む。
図2は
図1の同一のシステムであり、ZAP110、120、130、SCU140、および例示された有線接続は、クライアントデバイス210を例示する目的のために図から取り除かれている。また、アンテナの下に設けられたある特定のクライアントデバイス210は、図中で例示の簡単さおよび明確さのために点線で示されている、ということに注意すべきである。
【0031】
明確さおよび単純さのために、発明の主題のアクセスポイント(単数または複数)のさまざまな詳細の議論は、ZAP110に個別に言及する。しかしながら、そうでないと特に注意されない限り、または文脈がそうでないと指示しない限り、ZAP110の議論はZAP120、130に同様に適用される、ということが理解されるべきである。
【0032】
同様に、明確さおよび単純さのために、本発明の主題のアンテナ(単数または複数)のさまざまな詳細の議論は、アンテナ110Aに個別に言及する。しかしながら、そうでないと特に注意されない限り、または文脈がそうでないと指示しない限り、アンテナ110Aの議論はアンテナ110B~110D、120A~120D、および130A~130Dに同様に適用される、ということが理解されるべきである。
【0033】
ここでさらに詳細に議論されるように、ZAP110は、構成可能な周波数帯の送信を使用してZAPのアンテナ110Aを介してクライアント210とワイヤレスでデータを交換する。発明の主題の好ましい実施形態において、データ交換は、57~66GHzの周波数レンジ内で、より好ましくは61.56から62.9GHzのISMバンド内で行われる。
【0034】
ZAP110およびアンテナ110Aは、航空機101において頭上に設置される。好ましい実施形態において、アンテナ110Aは、それらの対応するZAP110からわずか20メートルのところに配置される。アンテナ110Aは、アンテナの送信レンジ、使用されるアンテナの数、航空機の内部の寸法および形状、クライアント210でのアンテナの位置といったファクター、および他のファクターに依存して、航空機101内に配列され得る。実施形態において、アンテナは、およそ10メートル刻みで航空機の長さに沿って間隔をあけられる。実施形態において、アンテナは、およそ同一の刻みで、または航空機101の長さにおいて使用される間隔とは異なる距離だけ、航空機101の幅に沿って間隔をあけられ得る。たとえば、アンテナは、航空機101の長さに沿って10メートル刻みで間隔をあけられ得るが、航空機の幅に沿って3メートル刻みで間隔をあけられ得る。好ましくは、アンテナ110Aは、2メートル以上離れて置かれる。ここで例示的な例を議論する目的のために、アンテナ110Aは、約10メートルのブロードキャストレンジを有するものと仮定される。
【0035】
ZAP110は、それらのワイヤレスで接続されたクライアント210とGigEインターフェースを介してSCU140によって提供されるデータ(コンテンツおよびその他)との間のマネージドイーサネットスイッチである。ZAP110は、ここで説明される機能を行うようにプログラムされた少なくとも1つのプロセッサと、ここで説明されるように航空機101内の他のシステム構成要素および他のコンピューティングデバイスとデータを交換することをそれに可能にさせるデータ交換インターフェースとを備える。ZAP110はまた、その対応する機能を実行するためにZAPのプロセッサによって遂行されるコンピュータ実行可能な命令を記憶する少なくとも1つの非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を含む。実施形態において、記憶媒体はまた、SCU140によってコンテンツストアの部分的および/または完全なコピーを記憶するために使用され得るので、それは、SCU140からそれを検索する必要なくクライアント210にストリーミングするために利用可能である。
【0036】
アンテナ110Aは、無線周波数(「RF」)信号を送信および受信することができるアンテナである。好ましくは、アンテナ110Aは、極超短波(「EHF」)レンジにおける、特に57~66GHzの周波数レンジ(ここでは「60GHzスペクトル」とも呼ばれる)内のRF信号を放射および受信するように構成される。より好ましくは、アンテナ110Aは、61.56から62.9GHzのISMバンド内で動作するように構成される。
【0037】
図1の航空機101は、パーティション104および105によって客室102および103へと分割される。客室102、103は、パーティション104および105(ならびに航空機の前端および後端)によって細分割された航空機のセクションである。パーティション104、105は、給仕室、洗面所、カーテン、または航空機101のさまざまな客室セクション間の他の物理的分割であり得る。パーティション104、105は、特定の客室座席クラスの境界を定義する物理的分割であり得る(かくして、パーティション105の向こうには、図示されていない追加の客室が存在し得る)。たとえば、特定の航空機101において、客室102は、ファーストクラスの客室であることができ、客室103は、「主客室」(すなわち、エコノミーまたは「二等」)であることができる。しかしながら、ある特定の航空機の構成のために、パーティションは、同一の座席クラス内であることができ(すなわち、エコノミークラスの中央の洗面所)、かくして、ある座席クラスを2つの客室へと分割する、ということに注意すべきである。
【0038】
ZAP110、120、130は、たとえばGigEインターフェースを介して、航空機101の1つ以上のシステム制御ユニット(「SCU」)140に通信可能に接続される。SCU140は、ZAPが送信のためのコンテンツ、動作命令、更新、等を得、ZAPがコンテンツ要求、メンテナンスやトラブルシューティングの目的のための報告情報、および一般的な使用報告を送出し得る、航空機101に設置された1つ以上のコンピューティングデバイスであり得る。SCU140は、1つ以上のプロセッサおよび記憶媒体(たとえば、ハードドライブ、ソリッドステートドライブ、等)を含み得る。SCU140は、オーディオ、ビデオ(たとえば、映画、テレビ番組、予め記録された客室アナウンス、等)、インタラクティブゲーム、および他の機内エンターテインメントコンテンツといったコンテンツをメモリ内に個別的または(2つ以上存在する構成では)集合的のいずれかで記憶する。SCU140はまた、(たとえば、乗客によるアクセスが可能な地図機能のための測位データ、等を)他の航空機システムと、(たとえば、利用可能なコンテンツの更新、しかるべき当事者に対するメンテナンスの必要性や使用データの報告、等のために)航空機の外部の他のコンピューティングデバイスと、データを送出および受信することをSCU140に可能にさせる通信インターフェースを含み得る。
【0039】
クライアントデバイス210は、アンテナと、ここで説明されるクライアントの機能を遂行するようにプログラムされたプロセッサとを含む。クライアント210のアンテナは、無線周波数(「RF」)信号を送信および受信することができ、好ましくは、極超短波(「EHF」)レンジにおける、特に57~66GHzの周波数レンジ(ここでは「60GHzスペクトル」とも呼ばれる)内のRF信号を放射および受信するように構成されたアンテナである。より好ましくは、アンテナは、61.56から62.9GHzのISMバンド内で動作するように構成される。クライアント210のアンテナはアンテナ110Aと同一の周波数帯で動作するように構成される、ということに注意すべきである。
【0040】
クライアントデバイス210は、航空機101の座席内(すなわち、座席の背もたれおよび/または下)に設置された機内エンターテインメントユニット(「IFE」)に接続されるかまたはその中に統合され得る。IFEは典型的には、プロセッサ、ディスプレイユニット、およびオーディオ出力インターフェース(たとえば、ヘッドフォンジャック、スピーカー、または他の出力)を含み、制御インターフェース(たとえば、タッチスクリーン、リモートコントロール、アームレストにおけるコントロール、等)を含み得、またはそうでなければ、ユーザにIFEとの対話を可能にさせる制御インターフェース(たとえば、アームレストまたはリモートのコントロール)に接続され得る。実施形態において、IFEは、当該技術で知られているようにセルラー、WiFi、および/またはBluetoothプロトコルを介してデータを交換することをIFEに可能にさせる1つ以上のワイヤレスネットワークインターフェースを含み得る。
【0041】
各々のクライアントデバイス210は、その対応するZAP110によってMACアドレスを割り当てられる。クライアントデバイス210は、イーサネット接続性のないIFEのさまざまな構成要素(たとえば、ディスプレイユニット、IFEにローカルなストレージ、等)および他の航空機システム(たとえば、客室乗務員呼出し、座席コントロール、座席アクチュエータ、等)に、個別的にブリッジ機能を提供することができる。
【0042】
実施形態において、ZAP110は、それらのそれぞれのアンテナ110Aの1つ以上を介して、航空機に設置された各々のクライアント210からのワイヤレス送信を検知することにより、クライアント210の位置を学習することができる。かくして、位置は、三角測量または他の電子的な位置決定技法によって決定され得る。特定のクライアント210が取り替えられた場合、または航空機の座席構成が変化した場合、クライアントデバイス210の1つ以上の位置は、航空機101の機上の1つ以上のZAP110のZAPアンテナ110Aに対し変化し得る。ZAP110は続いて、その位置が変化した任意のクライアント210の位置に関するそれらの情報を更新し得る。各々のZAP110への(およびオプションで、1つ以上の特定のZAPアンテナへの)クライアント210の割り当てが、位置発見処理中、検出された信号品質に基づいてZAP110により行われ得る。
【0043】
クライアント210は、そのZAPからのワイヤレス送信を介してそのソフトウェアだけでなくそれに関連づけられたIFEのソフトウェアを構成(初期インストール時)および更新するようにプログラムされる。関連する更新は、SCU140を介してZAP110にプッシュされ得る。かくして、クライアント210またはそれに関連づけられたIFEへのいずれの更新も、任意の航空機整備士または他の職員により、必要とされる何の構成アクションもなしに行われることができる。加えて、実施形態において、各々のクライアント210は、起動時、リセット時、または定期的に、構成情報(たとえば、ソフトウェアのバージョン番号、ハードウェア情報、等)をZAPに提供するようにプログラムされ得、それが今度はSCU140を介して製造者または他のソースに、必要な更新を要求し得る。
【0044】
各々のクライアントデバイス210は、ZAPのアンテナ(単数または複数)の1つ以上に対するその位置に基づいて特定のZAP110に割り当てられ、冗長性のためにセカンダリZAP110に関連づけられ得る。セカンダリZAP110は、セカンダリZAP110の少なくとも1つのアンテナ110Aが特定のクライアント210の送信レンジ内にあるように、そのアンテナの位置に基づいて選択される。かくして、好ましい実施形態において、セカンダリZAP110は、特定のクライアントのためのプライマリZAP110に隣接する。実施形態において、クライアントデバイス210は、動作中に使用すべきデフォルトのアンテナ(単数または複数)として、その割り当てられたZAP110に関連づけられた1つ以上の特定のアンテナ110Aを割り当てられ得る。たとえば、特定のクライアントデバイス210は、特定のZAPのプライマリアンテナおよびセカンダリアンテナを割り当てられ得る。他の実施形態において、クライアントデバイス210は、アンテナからの、検出されたアンテナ信号強度および/または測定された送信速度に基づいて、その割り当てられたZAP110で最良のアンテナを動的に選択し得る。クライアントデバイス210がアンテナを選択する(または選択されたアンテナを変更する)場合、それは、どのアンテナをそれが送信のために使用することを望むかをその割り当てられたZAP110に知らせて、ZAP110にその選択を送信する。(割り当てられたか選択されたかのいずれかである)対応するアンテナを確立すると、クライアントデバイス210は、そのアンテナからのものでないすべてのメッセージを破棄する。
【0045】
電源投入またはリセットされると、各々のクライアント210は、そのプライマリZAP110との通信を試行するようにプログラムされる。クライアント210が(たとえば、ある特定の時間期間、ある特定の試行回数、または他のしきい値以内に)通信を確立できない場合、クライアント210は、プライマリZAPが未だ存在しない場合、セカンダリZAPへの接続を試行するようにプログラムされる。
【0046】
動作中、各々のクライアントデバイス210のポジションは、システム100の動作中、航空機101内で固定され、そのようなものとして、各々のZAP110は、それ自身のアンテナ110Aおよびそれに割り当てられた各々のクライアントデバイス210の位置を知る。
【0047】
実施形態において、航空機101内のクライアントデバイス210の配列の予め定義されたレイアウトまたは地図を含む航空機構成データ(「ACD」)は、各々のZAP110のためのクライアントの割り当てとともに、各々のZAP110にロードされる。ACDはまた、座席番号、座席グループ、IFE構成データ、および航空機の認定された構成にマッチする構成の名前についてのデータを含む。レイアウトは、SCU140を介して航空機101にアップロードされることができ、それが続いてZAP110にそれを提供する。かくして、クライアントデバイス210の1つ以上の位置が(たとえば、メンテナンスのためのクライアントの除去または追加、航空機の客室構成の変化、等のために)変化する場合、更新された地図が、航空機内の新たなクライアントの配列を説明するために提供されなくてはならない。
【0048】
実施形態において、ACDおよび位置発見の実施形態の組み合わせは、航空機内のクライアント210の位置をZAP110に提供するために使用される。レイアウトがACDによって提供されると、ZAP110は、クライアント210の位置がACDによって提供された構成にマッチすることを電子的に確認し、各々のクライアント210に関連づけられた座席番号/グループを決定し、実行のためにしかるべきクライアント210に任意の必要なIFE構成情報または更新を送信し得る。
【0049】
上述されているように、ZAP110(アンテナ110Aを介して)およびクライアント210は、60GHzスペクトルにおける(好ましくは61.56~62.9GHzの間の)固定の周波数を使用してデータを交換する。互いに干渉せずに航空機101の客室内でさまざまなアンテナ110Aとクライアント210との間でデータを成功裏に送信するために、ZAP110、120、130の各々は、それらのそれぞれのアンテナ110A~110D、120A~120D、および130A~130Dの各々に、各々のアンテナのための予め決定されたスケジュールおよび送信方向に基づいて、固定の時間スロット割り当てにしたがって送信させるために、時分割多重を用いるようにプログラムされる。複数のZAPに均一のスケジュールにしたがって送信させることができるために、ZAP110、120、130は時間的に同期される。
【0050】
図3Aは、それぞれアンテナ120A、120B、120C、120D、130A、および130Bからの送信121A、121B、121C、121D、131A、および131Bの、すべてが同時に送信しようとした場合の、例示的な例を示す。送信121A、121B、121C、121D、131A、および131Bを表す円は、例示を目的としており、共通の縮尺をもつように意図されているわけではない、ということに注意すべきである。
【0051】
ここでの発明の主題の議論は、「隣接」および「非隣接」アンテナへの言及を含む。ここで使用される場合、「隣接」は、アンテナの1つのそれらの送信レンジが別のアンテナの送信レンジ内にあるような、論理的、物理的、および/または幾何学的に最も近い2つ以上のアンテナ110Aに一般的に言及するように意図される。かくして、2つの隣接アンテナ110Aは、各々のアンテナの送信のレンジが(たとえ隣接アンテナに直接向けられた場合であっても)隣接アンテナ自身には到達しないほど、物理的に十分遠くに離れて設けられるが、アンテナの送信レンジは、隣接アンテナが同時に送信したのなら送信が交差する(かくして干渉を引き起こす)ようになっている、という可能性がある。
【0052】
たとえば、
図3Aにおいて、アンテナ120B、120C、および120Dは、アンテナ120Aに隣接する。というのも、アンテナ120Aの送信121Aは、送信が同時に行われたのなら、それぞれアンテナ120B、120C、および120Dの送信121B、121C、および121Dの各々と交差する(かくして干渉する)からである。逆に、アンテナ130Bは、アンテナ120Aに隣接するとはみなされない。というのも、送信121Aと送信131Bは、たとえ送信が同時に行われた場合であっても交差しないからである。
図3Bは、
図3Aの送信を示し、送信121Aに隣接するとみなされる送信が破線で、非隣接送信(121Aおよび131B)が実線である。
【0053】
アンテナ110Cおよび110Dの送信は示されていないが、アンテナ110Cおよび110Dは、それらのそれぞれの送信が上述したように同時送信中に送信121Aに干渉し得る場合、120Aに隣接するとみなされるであろう、ということに注意すべきである。しかしながら、パーティション104の幅に依存して、客室102と103との間の分離は、送信121Aをアンテナ110Cおよび110Dの一方または両方の送信のレンジ内に入らないようにするのに十分であり得る。同様に、パーティション104は、パーティション104がアンテナ110Cおよび/または110Dの送信から送信121Aを隔離し、逆もまた同様にする役割を果たすような幅および/または材料のものであり得る。これらのケースでは、アンテナ120Aは、アンテナ110Cおよび/または110Dに隣接するとはみなされないであろう。
【0054】
隣接アンテナの送信間の干渉を回避するために、ZAPは、各々のアンテナに固定のブロードキャスト時間スロットを割り当てる。ZAPは、第1のZAPからのアンテナ(たとえば、ZAP120のアンテナ120C)が第2のZAPからのアンテナ(ZAP130のアンテナ130A)に隣接する場合に、アンテナが、他のZAPのアンテナへの干渉を回避するような時間スロットに割り当てられ得るように、同期される。
図4Aは、それぞれ時間スロットT1、T2、T3、T4、T1、およびT2を割り当てられたアンテナ120A、120B、120C、120D、130A、および130Bからの送信121A、121B、121C、121D、131A、および131Bを示す。
【0055】
表1は、以下のようにアンテナ(およびそれらの対応するZAP)に割り当てられた固定の時間スロットT1~T4を描く。
【表1】
【0056】
時間スロットT1、T2、T3、T4、T1、およびT2は、(同一のZAPまたはこの例のように複数のZAP-ZAP120および130からの)複数のアンテナが送信している場合に干渉を回避するために、非隣接アンテナに割り当てられている。
図4Bは、アンテナ120Aおよび130Bの両方が送信し、隣接アンテナ120B、120C、120D、130A、130C、および130D(各々アンテナ120Aおよび130Bの一方または両方に隣接する)がサイレントであるのを示す、時間スロットT1での送信アクティビティの例示を提供する。
【0057】
アンテナ130C、130Dからの送信は示されていないが、この例の目的のために、それぞれの121A、121B、121C、121D、131A、および131Bとほぼ同一の大きさのものであるとみなされる。例示的な例の目的のために、アンテナ130C、130Dは、航空機の後部近傍のクライアントデバイス210に、またはさらに後方の別の客室(図示せず)へと送信していることができる。
【0058】
かくして、
図4Aにおいて適用された表1における時間スロット割り当てによって示されているように、隣接アンテナは同一の時間に送信せず、同時に送信する任意の2つのアンテナ間の干渉の可能性を最小化する。
【0059】
例示された例における単純さのために、表1の提示されたスケジュールは、4つの時間スロットT1~T4を描く。アンテナ110Aの数および配列、クライアント210の数、客室の構成、客室に存在する妨害物の量、等に依存して、時間スロットの数は、より多くの数の潜在的な干渉の事例を説明するためにより大きいものであり得る。
【0060】
航空機101内のアンテナ110Aのグルーピングが、隣接アンテナのチェーンに「断絶」が存在するようになっている場合には、ブロードキャスト時間のスケジューリングは、協調させられる必要はない。というのも、1つのグループから別への干渉の危険が存在しないからである。これは、アンテナ110Aのある特定のグルーピングの間隔により、および/または、パーティションのような妨害物の存在により、生じ得る。たとえば、パーティション104により、客室102からのアンテナが客室103のいずれのアンテナにも隣接するものとみなされない場合には、ZAP110のアンテナ110A~110Dのための時間スロットは、客室103におけるそれらからは独立してスケジューリングされ得る。しかしながら、客室102からの少なくとも1つのアンテナが客室103の少なくとも1つのアンテナに隣接する場合には、ZAP110および120は(およびこの例では103もまた)、隣接アンテナによる客室間干渉が存在しないことを保証するように同期される。かくして、
図3A~
図4Bにおいて、アンテナ110A、110C、および110Dはアンテナ120Aに隣接するが、アンテナ110Bは隣接せず、アンテナ110Bもまた時間T1で送信しているであろう、ということが仮定される。
【0061】
実施形態において、各々のアンテナ110Aのための時間スロットスケジュールは、システム内のアンテナ110Aの既知の位置および送信レンジに基づいて、ZAP110にアプリオリに提供され得る。
【0062】
実施形態において、ZAP110は、各々のアンテナ110Aのために、どの他のアンテナ110Aが隣接であり、どれが非隣接であるかを決定するようにプログラムされ得る。実施形態において、ZAP110は、航空機101内のアンテナ110Aの各々の位置およびアンテナ110Aのためのブロードキャストレンジについての情報を受信し、アンテナ間の距離およびそれらのブロードキャストレンジに基づいて、どのアンテナが隣接であるかを決定し得る。この情報は、技師または他のデータソースによって提供され得、計画されたレイアウトおよびハードウェア構成要素(たとえば、アンテナ)の既知の仕様から得られるデータであり得る。実施形態において、ZAP110は、どのクライアントがブロードキャストを受信したかを見るために各々のアンテナに送信させてからクライアント210をポーリングし、さまざまなアンテナ110Aのブロードキャスト間のブロードキャストレンジにおける重複がどこに存在するかを判定することにより、アンテナの位置またはブロードキャストレンジを決定し得る。複数ZAP環境において、ZAP110は、客室全体またはさらには航空機全体にわたり、隣接または非隣接としての全アンテナの状態を決定するために、この処理を協調させ得る。この決定は、航空機101における初期システム設置時に、定期的に(たとえば、客室のある特定の配列がアンテナについての位置の変化という結果を生じ得るメンテナンス後)、またはアンテナハードウェアあるいは動作パラメータの変更(たとえば、アンテナが異なる送信レンジを有するものに変更された)時に、行われ得る。
【0063】
特定の時間スロットが航空機101じゅうの複数のアンテナによって使用され得るようアンテナ110Aを非隣接グループにグルーピングするために、ZAPは、上述されたように、第1のアンテナ110Aのために、どのアンテナ(単数または複数)110Aが非隣接であるかを決定する。続いて、ZAP110は、一般に非隣接であるそれらのアンテナ110Aにグループを連続的に狭めながら(すなわち、グループにおけるどのアンテナ110Aもグループにおける任意の他のアンテナ110Aに隣接しない)、第1のアンテナ110Aに隣接しないそれらのアンテナ110Aの各々について隣接しないアンテナ110Aを決定する。
【0064】
これらの実施形態において、ZAP110はさらに、非隣接アンテナ110Aのグループの数に基づいて送信サイクルを分割するようにプログラムされ得る。
【0065】
例示の単純さのために、表1および
図4Aの例は、クライアント210へのアンテナによる送信のための固定の時間スロットを描いている。しかしながら、クライアント210はまた、それらのそれぞれの割り当てられたZAPとも通信し得る。ちょうどアンテナ110Aからの送信が互いに干渉を引き起こし得るように、クライアント210からの送信も1つ以上のアンテナ110Aからの送信に干渉し得る。かくして、固定の時間スロットスケジュールは、表2に示すように、クライアント210が(それらの選択されたアンテナを介して)それらのそれぞれのZAPにデータを送信するために予約された時間スロットTCを含む。クライアント-ZAP送信は、ZAP-クライアント送信よりはるかに少ないデータを含み、はるかに少ない頻度で行われるので、クライアント210の送信のために予約された時間スロットは、はるかに少ない頻度で行われるようにスケジューリングされ得る。たとえば、それは、(表2の例におけるように)スケジュールの1つおきのサイクル、3つおきのサイクル、10個おきのサイクル、等で行われ得る。
【表2】
【0066】
上述のごとくアンテナ110Aによるように、隣接クライアント210による同時送信も同様に干渉を引き起こし得る。ZAP110は、隣接クライアント210が同一の時間に送信しないようにTDMAスロットを同期させる。クライアント-ZAP送信はZAP-クライアント送信よりはるかに少ない頻度でありおよび/またははるかに少ないデータを含むので、ZAP110は、実施形態において、クライアントに割り当てられた時間スロットTCを、送信する必要があるクライアントに各々が割り当てられるサブスロットに分けることにより、複数のクライアントの送信を管理し得る。他の実施形態において、時間スロットTCは、1サイクルあたり単一のクライアントに割り当てられ得、クライアント210は、時間スロットTCが利用可能になると送信のための待ち行列に入れられた送信を要求する。
【0067】
上述したように、クライアント210は、その割り当てられたZAP110におけるどのアンテナをそれが使用することを望むかを動的に選択し得る。クライアントがどのアンテナを選択したかを「知る」ために、ZAP110は、そのアンテナ110Aのいずれかから受信されたその割り当てられたクライアント210のいずれかからのいずれかの送信をリッスンするようにプログラムされる。
【0068】
60GHzスペクトルは、環境ファクターおよび物体による干渉に特に影響されやすい。かくして、クライアント210と選択されたアンテナとの間の送信は、立っている乗客によって生み出される阻害、通路における運航乗務員のアクティビティまたはカート、開いた頭上のコンパートメント、または客室に存在する他の障害物によって途絶または徹底的に中断させられるかもしれない。クライアント210はかくして、その選択されたアンテナからの送信における中断を検出し、送信を再開するために新たなアンテナを選択するようにプログラムされる。クライアント210は続いて、アンテナの変更をその割り当てられたZAP110に通知する。
【0069】
クライアント210は、その現在のアンテナからの受信される送信を監視することにより、および、アンテナからのデータ送信レートが、予め決定された長さの時間にわたり、その現在のアンテナからの許容可能なしきい値を下回る(または、実施形態において、クライアント210がデータを一緒に受信するのを止める)場合、送信における中断を検出するようにプログラムされる。
【0070】
図5は、この例示的な実現におけるさまざまなクライアント間で確立される通信の例示的なシナリオを提供する。
図5は、複数のクライアント210A~210Gがアンテナ120A~120Dを介してZAP120との通信を確立しているところを示す。明確さの目的のために、ZAP120および他のシステム構成要素は
図5に示されていない、
図5において、双方向通信は破線によって示されており、一方向通信は実線によって示されている。
【0071】
図5に示すように、クライアント210Aは、双方向通信のためにアンテナ120Aを選択しており、クライアント210Bも同様に、アンテナ120Bを選択している。アンテナ120Cは、クライアント210Cおよび210Dによる双方向通信のために選択されており、また、クライアント210Cに300Mbpsで92秒の動画をダウンロード中である。かわってアンテナ120Dは、双方向通信のために4つのクライアント(210E、210G、210E、210F)によって選択されており、300Mbpsで2つの動画を(1つはクライアント210Eへ、1つはクライアント210Fへ)ダウンロード中である。
【0072】
かくして、クライアント210Aは、時間T1でデータを受信しているであろうし、クライアント210Bは、時間スロットT4でデータを受信しているであろうし、クライアント210Cおよび210Dは時間T2で、クライアント210E~210Hは時間T3であろう。加えて、クライアントからそれらのそれぞれのアンテナへのデータの送信は、上述したように、互いに干渉しないように、時間スロットTCにしたがって協調させられる。
【0073】
上記議論は航空機内で適用されるシステムを説明しているが、システムは同様に、バス、電車、船、潜水艦、または他の大容量車両にも適用可能である、ということに注意すべきである。同様に、システムはまた、他の、占有率の高い、帯域幅が限定された、または帯域幅が規制された環境において適用可能である。
【0074】
すでに説明されているものに加えて多くのさらなる変更がここでの発明の概念から逸脱せずに可能である、ということが当業者に理解されるべきである。したがって、発明の主題は、添付の請求項の精神における以外は制限されないものとする。さらに、明細書および請求項の両方を解釈するにあたり、すべての用語は、文脈と一致する最も広い可能な手法で解釈されるべきである。特に、「備える」および「備えている」という用語は、非排他的に要素、構成要素、またはステップに言及し、言及された要素、構成要素、またはステップが、明確に言及されていない他の要素、構成要素、またはステップとともに存在し、または利用され、または組み合わせられ得ることを示すものとして、解釈されるべきである。明細書および請求項がA、B、C、…およびNからなるグループから選択された何らかのものの少なくとも1つに言及する場合、本文は、AプラスN、またはBプラスN、等でなく、グループからの要素を1つだけ要求するものとして解釈されるべきである。