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特許7062448放射線検出器設置治具、放射線検出器設置方法、および試料容器の位置決め方法
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  • 特許-放射線検出器設置治具、放射線検出器設置方法、および試料容器の位置決め方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-22
(45)【発行日】2022-05-06
(54)【発明の名称】放射線検出器設置治具、放射線検出器設置方法、および試料容器の位置決め方法
(51)【国際特許分類】
   G01T 7/00 20060101AFI20220425BHJP
【FI】
G01T7/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018007720
(22)【出願日】2018-01-19
(65)【公開番号】P2019128160
(43)【公開日】2019-08-01
【審査請求日】2020-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】710002462
【氏名又は名称】セイコー・イージーアンドジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】服部 友紀
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-175657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 7/00
G01T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を遮蔽する遮蔽体の内部に収容される放射線検出器のエンドキャップが貫通する貫通孔を有するベース部材と、
前記ベース部材を貫通した前記エンドキャップの周囲において、一端が前記ベース部材に固定された少なくとも1つ以上の支持部材と、
前記支持部材に固定されるとともに前記エンドキャップに装着され、前記遮蔽体を貫通する貫通領域を形成する壁部によって、前記遮蔽体の貫通領域を前記エンドキャップが貫通する方向と直交する方向に位置決めされる検出器ガイド部材と、
前記支持部材の他端に固定されて支持され、前記エンドキャップの先端と接することにより、前記エンドキャップの先端位置が前記遮蔽体の貫通領域を貫通する方向に移動するのを規制する規制部材と、
前記支持部材に固定されるとともに、前記遮蔽体の内部において試料容器の前記エンドキャップが貫通する方向と直交する方向への位置決め用に設置される容器ガイド部材を、前記エンドキャップが貫通する方向と直交する方向に位置決めするガイド位置決め部材と、
を備え、
前記検出器ガイド部材及び前記ガイド位置決め部材の少なくとも何れかは、前記支持部材に対して取り外し可能に形成されている、
ことを特徴とする放射線検出器設置治具。
【請求項2】
前記エンドキャップの先端と前記規制部材との間の間隔を調整する間隔調整部材を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の放射線検出器設置治具。
【請求項3】
前記間隔調整部材は、前記規制部材と前記支持部材との間に配置される、
ことを特徴とする請求項2に記載の放射線検出器設置治具。
【請求項4】
請求項又は請求項に記載の放射線検出器設置治具を前記遮蔽体の内部に収容し、前記検出器ガイド部材を前記壁部によって位置決めする工程と、
前記検出器ガイド部材が前記エンドキャップに装着されるように前記エンドキャップを前記遮蔽体の内部に収容する工程と、
前記エンドキャップの先端と前記規制部材との間の間隔を所定間隔に設定する工程と、
前記放射線検出器設置治具を前記遮蔽体の内部から取り出す工程と、
を含む、
放射線検出器設置方法。
【請求項5】
請求項1に記載の放射線検出器設置治具を前記遮蔽体の内部に収容し、前記検出器ガイド部材を前記壁部によって位置決めする工程と、
前記容器ガイド部材を前記ガイド位置決め部材によって位置決めして、前記容器ガイド部材を前記遮蔽体の内部に固定する工程と、
前記放射線検出器設置治具を前記遮蔽体の内部から取り出し、前記遮蔽体の内部に前記試料容器を収容し、前記試料容器を前記容器ガイド部材によって位置決めする工程と、
を含む、
試料容器の位置決め方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、放射線検出器設置治具、放射線検出器設置方法、および試料容器の位置決め方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、測定試料を収容するマリネリ容器などの容器に対して放射線量計を位置決め固定する治具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-36957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術に係るマリネリ容器などの容器を遮蔽体内に設置して放射線検出器による検出を行なう場合には、放射線検出器の調整および保守のために、遮蔽体内に放射線検出器を収容する作業と遮蔽体内から放射線検出器を取り出す作業とを繰り返し行う場合がある。このため遮蔽体内での放射線検出器の露出量およびマリネリ容器の中心に対する放射線検出器の中心の相対位置などを容易に位置決めすることが望まれている。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、遮蔽体内での放射線検出器の相対的な設置位置を容易に位置決めすることが可能な放射線検出器設置治具、放射線検出器設置方法、および試料容器の位置決め方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明は以下の態様を採用した。
(1)本発明の一態様に係る放射線検出器設置治具は、放射線を遮蔽する遮蔽体の内部に収容される放射線検出器のエンドキャップの先端位置を規制する規制部材と、前記エンドキャップの周囲において前記規制部材を支持する少なくとも1つ以上の支持部材と、前記支持部材に固定されるとともに前記エンドキャップに装着され、前記遮蔽体を貫通する貫通領域を形成する壁部によって位置決めされる検出器ガイド部材と、を備える。
【0007】
(2)上記(1)に係る放射線検出器設置治具は、前記支持部材に固定されるとともに、前記遮蔽体の内部において試料容器の位置決め用に設置される容器ガイド部材を位置決めするガイド位置決め部材を備えてもよい。
【0008】
(3)上記(2)に係る放射線検出器設置治具では、前記検出器ガイド部材及び前記ガイド位置決め部材の少なくとも何れかは、前記支持部材に対して取り外し可能に形成されてもよい。
【0009】
(4)上記(1)から(3)の何れか1つに係る放射線検出器設置治具は、前記エンドキャップの先端と前記規制部材との間の間隔を調整する間隔調整部材を備えてもよい。
【0010】
(5)上記(4)に係る放射線検出器設置治具では、前記間隔調整部材は、前記規制部材と前記支持部材との間に配置されてもよい。
【0011】
(6)本発明の一態様に係る放射線検出器設置方法は、上記(4)又は(5)に記載の放射線検出器設置治具を前記遮蔽体の内部に収容し、前記検出器ガイド部材を前記壁部によって位置決めする工程と、前記検出器ガイド部材が前記エンドキャップに装着されるように前記エンドキャップを前記遮蔽体の内部に収容する工程と、前記エンドキャップの先端と前記規制部材との間の間隔を所定間隔に設定する工程と、前記放射線検出器設置治具を前記遮蔽体の内部から取り出す工程と、を含む。
【0012】
(7)本発明の一態様に係る試料容器の位置決め方法は、上記(2)又は(3)に記載の放射線検出器設置治具を前記遮蔽体の内部に収容し、前記検出器ガイド部材を前記壁部によって位置決めする工程と、前記容器ガイド部材を前記ガイド位置決め部材によって位置決めして、前記容器ガイド部材を前記遮蔽体の内部に固定する工程と、前記放射線検出器設置治具を前記遮蔽体の内部から取り出し、前記遮蔽体の内部に前記試料容器を収容し、前記試料容器を前記容器ガイド部材によって位置決めする工程と、を含む。
【発明の効果】
【0013】
上記(1)に記載の態様に係る放射線検出器設置治具によれば、検出器ガイド部材を介して遮蔽体に対して位置決めされる支持部材及び規制部材によって、放射線検出器と遮蔽体との位置合わせを容易に行うことができる。また、規制部材を支持する支持部材の数及び形状を任意に設定することができるので、放射線検出器設置治具の汎用性及び製造容易性を向上させることができる。
【0014】
上記(2)に記載の態様に係る放射線検出器設置治具によれば、放射線検出器と遮蔽体との位置合わせに加えて、間接的に試料容器と遮蔽体との位置合わせを容易に行うことができ、試料容器を用いた放射能測定の所定精度を容易に確保することができる。
【0015】
上記(3)に記載の態様に係る放射線検出器設置治具によれば、遮蔽体に設けられる貫通領域の大きさ及び形状に応じた検出器ガイド部材の交換、並びに試料容器の大きさ及び形状に応じたガイド位置決め部材の交換の少なくとも何れかを行うことができる。これにより、放射線検出器設置治具の汎用性を向上させることができる。
【0016】
上記(4)に記載の態様に係る放射線検出器設置治具によれば、エンドキャップの先端と規制部材との間を容易に所定間隔に設定することができ、遮蔽体に対する放射線検出器の設置位置を容易に位置決めすることができる。
【0017】
上記(5)に記載の態様に係る放射線検出器設置治具によれば、規制部材と支持部材との間の間隔を容易に調整することができ、エンドキャップの先端と規制部材との間の間隔を精度良く所定間隔に設定することができる。
【0018】
上記(6)に記載の態様に係る放射線検出器設置方法によれば、放射線検出器設置治具を用いて遮蔽体の内部における放射線検出器の位置を容易に精度良く位置決めすることができる。
【0019】
上記(7)に記載の態様に係る試料容器の位置決め方法によれば、遮蔽体の内部に放射線検出器を挿入する際に用いる放射線検出器設置治具によって、放射線検出器と遮蔽体との位置合わせに加えて、間接的に試料容器と遮蔽体との位置合わせを容易に行うことができる。これにより、遮蔽体の内部における放射線検出器と試料容器との相対位置を容易に精度良く所定位置に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態による放射線検出器設置治具によって放射線遮蔽体に位置決めされる放射線検出器及び試料容器の一例を示す構成図であり、放射線遮蔽体及び試料容器を破断して示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る放射線検出器設置治具の断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る放射線検出器設置治具の平面図である。
図4】本発明の実施形態に係る放射線検出器設置治具の底面図である。
図5図3に示すA-A線矢視図である。
図6】本発明の実施形態の変形例に係る放射線検出器設置治具の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係る放射線検出器設置治具について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態による放射線検出器設置治具10によって放射線遮蔽体12に位置決めされる放射線検出器11及び試料容器13の一例を示す構成図であり、放射線遮蔽体12及び試料容器13を破断して示す図である。図2図3、及び図4は、放射線検出器設置治具10の断面図、平面図、及び底面図である。図5は、図3に示すA-A線矢視図である。
本実施形態の放射線検出器設置治具10は、放射線検出器11を放射線遮蔽体12に位置決めするために用いられる。放射線検出器11は、放射線遮蔽体12に位置決めされた後に、放射線遮蔽体12の内部に配置される試料容器13内の試料から放出される放射線を検出する。試料容器13は、放射線検出器設置治具10によって間接的に放射線遮蔽体12に位置決めされる。
【0022】
放射線検出器11は、例えばゲルマニウム半導体検出器又はシリコン半導体検出器などの半導体検出器である。
放射線検出器11は、垂直型のクライオスタット21において、放射線の入射窓(図示略)を有するエンドキャップハウジング22の内部の真空領域に、放射線に対して有感なゲルマニウム結晶又はシリコン結晶などの半導体結晶(図示略)を保持している。
【0023】
クライオスタット21の内部は、デュワー23の内部に貯溜された液体窒素に浸漬された銅からなる冷却棒(図示略)との熱的な接触により冷却されている。
半導体結晶に形成された結晶電極(図示略)はエンドキャップハウジング22の内部に収容された電荷型前置増幅器(図示略)に接続されている。
電荷型前置増幅器は半導体結晶に入射した放射線のエネルギーに応じた波高値を有する出力信号パルスを外部に露出した出力端子(図示略)から出力する。
【0024】
放射線遮蔽体12は、放射線検出器11及び測定対象の試料を保持するマリネリ容器などの試料容器13を内部に収容して、放射線検出器11をバックグラウンド放射線から遮蔽する。
例えば、放射線遮蔽体12の外形は、複数の部材(図示略)によって構成された箱型に形成されている。放射線遮蔽体12は、鉛を有する鉛遮蔽部(図示略)と、鉛遮蔽部の表面を被覆するように設けられた鋼材からなる鋼材遮蔽部(図示略)と、鋼材遮蔽部の表面を被覆する腐食防止用などの非導電性の塗膜(図示略)と、を備えている。放射線遮蔽体12は、内面上に、無酸素銅からなる第1内張(図示略)と、アクリルなどの樹脂からなる第2内張(図示略)とを備えている。
【0025】
放射線遮蔽体12の鉛直方向の下部には、放射線検出器11の検出器本体を構成するエンドキャップハウジング22が挿入される貫通孔12aが形成されている。例えば、貫通孔12aの外形は、円筒状に形成されている。放射線遮蔽体12は、放射線遮蔽体12の内部の下面12A上に設けられた容器ガイド部材12bを備えている。例えば、容器ガイド部材12bの外形は、円環状に形成されている。容器ガイド部材12bは、後述する放射線検出器設置治具10のガイド位置決め部材55によって位置決めされて、例えばねじなどの固定部材(図示略)によって放射線遮蔽体12の内部に固定されている。容器ガイド部材12bは、後述する試料容器13の試料容器本体41の外周面41Bに接触して、試料容器13を所定位置に位置決めして固定する。
【0026】
放射線遮蔽体12は、架台31に載置されている。架台31は、腐食防止用などの非導電性の塗膜によって被覆された表面を有する鋼材などの材料によって形成されている。架台31は、デュワー23を内部に収容している。
架台31は、ベース32に載置されている。ベース32は、腐食防止用などの非導電性の塗膜によって被覆された表面を有する鋼材などの材料によって形成されている。例えば、ベース32の外形は、板状に形成されている。ベース32は、表面上に載置された架台31を支持している。
【0027】
架台31の内部において、検出器台33は、表面上に載置された放射線検出器11のデュワー23を支持する。検出器台33は、アルミニウムなどの金属の材料によって形成されている。例えば、検出器台33の外形は、板状に形成されている。
高さ調整機構34は、検出器台33の鉛直方向の高さ位置を調整する。
スライド機構35は、検出器台33の水平方向のスライド移動によって、放射線検出器11のデュワー23を架台31の内部に搬入および内部から搬出する。
【0028】
試料容器13は、いわゆるマリネリ容器であって、内部に試料を収容する。試料容器13は、有底円筒型の試料容器本体41と、試料容器本体41の中心軸Oに同軸に試料容器本体41の底面41A上に設けられた円柱状凹部42と、を備えている。円柱状凹部42の直径は、保護用のキャップ43が装着されたエンドキャップハウジング22を収容可能な大きさに形成されている。
試料容器13は、放射線遮蔽体12の内部の下面12Aに試料容器本体41の底面41Aを接触させて、貫通孔12aに円柱状凹部42を臨ませるように配置されている。試料容器13は、試料容器本体41の外周面41Bが、放射線遮蔽体12の内部の下面12A上に設けられた容器ガイド部材12bに接触することによって、放射線遮蔽体12の内部の所定位置に位置決め固定されている。
【0029】
放射線検出器設置治具10は、規制部材51と、4つの支持部材52と、ベース部材53と、検出器ガイド部材54と、ガイド位置決め部材55と、間隔調整部材56と、を備えている。
規制部材51は、放射線検出器11のエンドキャップハウジング22の先端22aの位置を規制する。例えば、規制部材51の外形は、円形板状に形成されている。規制部材51には、4つの支持部材52の各々に装着される4つの固定ボルト57が挿入される4つのボルト挿入孔51aが形成されている。規制部材51は、4つの固定ボルト57によって4つの支持部材52に固定されている。規制部材51には、後述するベース部材53の4つの第2ねじ挿入孔53cに臨む4つの工具孔51bが形成されている。
【0030】
支持部材52は、規制部材51を支持している。例えば、支持部材52の外形は、円環棒状に形成されている。支持部材52の両端部には、固定ボルト57が装着されるボルト穴52a及び第1ねじ58が装着されるねじ穴52dが形成されている。支持部材52は、第1ねじ58によってベース部材53に固定されている。4つの支持部材52は、
放射線検出器11が放射線遮蔽体12の内部に収容された場合に、エンドキャップハウジング22の周囲に配置されるように設けられている。
【0031】
ベース部材53には、4つの支持部材52、検出器ガイド部材54、及びガイド位置決め部材55が固定されている。例えば、ベース部材53の外形は、円環板状に形成されている。ベース部材53の貫通孔53aの直径は、放射線検出器11のエンドキャップハウジング22の外径よりも僅かに大きく形成されている。ベース部材53には、4つの支持部材52の各々に装着される4つの第1ねじ58が挿入される4つの第1ねじ挿入孔53bが形成されている。ベース部材53には、検出器ガイド部材54に装着される4つの第2ねじ59が挿入される4つの第2ねじ挿入孔53cが形成されている。ベース部材53の外周部53dの外形は、ガイド位置決め部材55の内周部55aに嵌め合わされる段付き形状に形成されている。
【0032】
検出器ガイド部材54は、放射線遮蔽体12の貫通孔12aに挿入され、貫通孔12aを形成する壁部12cによって位置決めされている。例えば、検出器ガイド部材54の外形は、円環板状に形成されている。検出器ガイド部材54の外径R1は、放射線遮蔽体12の貫通孔12aの直径よりも僅かに小さく形成されている。検出器ガイド部材54の貫通孔54aの直径は、放射線検出器11のエンドキャップハウジング22の外径よりも僅かに大きく形成されている。検出器ガイド部材54には、4つの第2ねじ59の各々が装着される4つのねじ穴54bが形成されている。検出器ガイド部材54は、ベース部材53と同軸に配置され、4つの第2ねじ59によってベース部材53に固定されている。
なお、検出器ガイド部材54の外径R1及び厚さW1は、放射線遮蔽体12の貫通孔12aの大きさ及び放射線遮蔽体12の内張などの構成に応じて適宜に変更される。
【0033】
ガイド位置決め部材55は、放射線遮蔽体12の容器ガイド部材12bを位置決めする。例えば、ガイド位置決め部材55の外形は、円環板状に形成されている。ガイド位置決め部材55の内周部55aの内径は、ベース部材53の外周部53dの外径よりも僅かに小さく形成されている。ガイド位置決め部材55の内周部55aの外形は、ベース部材53の外周部53dに嵌め合わされる段付き形状に形成されている。ガイド位置決め部材55は、内周部55aがベース部材53の外周部53dに嵌め合わされることによって、ベース部材53に固定されている。ガイド位置決め部材55の外径R2は、試料容器13の試料容器本体41の外径と同一に形成されている。なお、ガイド位置決め部材55の外径R2は、試料容器13の容量などに応じて適宜に変更される。
ガイド位置決め部材55は、放射線遮蔽体12の容器ガイド部材12bの内周面12Bがガイド位置決め部材55の外周面55Aに接触させられることによって、容器ガイド部材12bを所定位置に位置決めする。
【0034】
間隔調整部材56は、エンドキャップハウジング22の先端22aと規制部材51との間の間隔を必要に応じて調整する。例えば、間隔調整部材56は、いわゆるシムリングであって、必要に応じた個数で規制部材51と支持部材52との間に配置される。
【0035】
以下、実施形態の放射線検出器設置治具10を用いて放射線検出器11を放射線遮蔽体12に位置決めする放射線検出器設置方法、および試料容器13を放射線遮蔽体12に位置決めする方法について説明する。
先ず、放射線検出器設置治具10を放射線遮蔽体12の内部に収容し、検出器ガイド部材54を放射線遮蔽体12の貫通孔12aに挿入する。これにより、検出器ガイド部材54の外周面54Aは貫通孔12aの壁部12cに接触させられ、放射線検出器設置治具10は、放射線遮蔽体12の壁部12cによって所定位置に位置決めされる。
【0036】
次に、放射線遮蔽体12の容器ガイド部材12bの内周面12Bをガイド位置決め部材55の外周面55Aに接触させて容器ガイド部材12bを所定位置に位置決めする。そして、ねじなどの固定部材(図示略)によって、容器ガイド部材12bを放射線遮蔽体12の内部に固定する。
【0037】
次に、架台31のスライド機構35によって検出器台33をスライド移動させて、放射線検出器11のエンドキャップハウジング22の先端22aを、放射線遮蔽体12の貫通孔12aに臨ませる。そして、高さ調整機構34によって検出器台33の鉛直方向の高さ位置を調整し、エンドキャップハウジング22を放射線検出器設置治具10の検出器ガイド部材54及びベース部材53の各貫通孔54a,53aに挿入する。これにより、放射線検出器11のエンドキャップハウジング22は、検出器ガイド部材54及びベース部材53に同軸に位置決めされる。
さらに、高さ調整機構34によって検出器台33の鉛直方向の高さ位置を調整し、エンドキャップハウジング22の先端22aと規制部材51との間の間隔を所定間隔に設定する。例えば、エンドキャップハウジング22の先端22aを、検出器ガイド部材54及びベース部材53を通じて、規制部材51に接触させる場合、所定間隔はゼロに設定される。これにより、エンドキャップハウジング22の先端22aの位置を、支持部材52又は支持部材52及び間隔調整部材56に応じた所定の高さ位置に設定する。
【0038】
次に、高さ調整機構34による検出器台33の鉛直方向の高さ位置を維持した状態で、放射線検出器設置治具10を取り出し、必要に応じて保護用のキャップ43をエンドキャップハウジング22に装着する。そして、放射線遮蔽体12の内部に試料容器13を収容し、試料容器13の試料容器本体41の外周面41Bを容器ガイド部材12bの内周面12Bに接触させて試料容器13を所定位置に位置決め固定する。
【0039】
上述したように、本実施形態による放射線検出器設置治具10によれば、検出器ガイド部材54を介して放射線遮蔽体12に対して位置決めされる支持部材52及び規制部材51によって、放射線検出器11と放射線遮蔽体12との位置合わせを容易に行うことができる。
さらに、規制部材51と支持部材52とは分割可能に形成されているので、各部材51,52の交換が容易であり、放射線検出器設置治具10の汎用性及び製造容易性を向上させることができる。しかも、規制部材51と支持部材52との間に間隔調整部材56を配置して、規制部材51と支持部材52との間の間隔を容易に調整することができ、エンドキャップハウジング22の先端22aと規制部材51との間の間隔を精度良く所定間隔に設定することができる。
さらに、ベース部材53と検出器ガイド部材54とは分割可能に形成されているので、放射線遮蔽体12に設けられる貫通孔12aの大きさ及び形状に応じて検出器ガイド部材54を交換することができ、放射線検出器設置治具10の汎用性及び製造容易性を向上させることができる。
【0040】
さらに、ガイド位置決め部材55によって容器ガイド部材12bを位置決めすることにより、間接的に試料容器13と放射線遮蔽体12との位置合わせを容易に行うことができ、試料容器13を用いた放射能測定の所定精度を容易に確保することができる。さらに、ベース部材53とガイド位置決め部材55とは分割可能に形成されているので、試料容器13の大きさ及び形状に応じてガイド位置決め部材55を交換することができ、放射線検出器設置治具10の汎用性及び製造容易性を向上させることができる。
【0041】
また、本実施形態による放射線検出器設置方法によれば、放射線検出器設置治具10を用いて放射線遮蔽体12の内部における放射線検出器11の位置を容易に精度良く位置決めすることができる。
また、本実施形態による試料容器13の位置決め方法によれば、放射線遮蔽体12の内部に放射線検出器11を挿入する際に用いる放射線検出器設置治具10によって、放射線検出器11と放射線遮蔽体12との位置合わせに加えて、間接的に試料容器13と放射線遮蔽体12との位置合わせを容易に行うことができる。これにより、放射線遮蔽体12の内部における放射線検出器11と試料容器13との相対位置を容易に精度良く所定位置に設定することができる。
【0042】
以下に、上述した実施形態の変形例について説明する。
図6は、実施形態の変形例に係る放射線検出器設置治具10の断面図である。実施形態の変形例に係る放射線検出器設置治具10は、図6に示すように、上述した実施形態の間隔調整部材56の代わりに、目盛り71aを有する間隔調整部材71を備えてもよい。
間隔調整部材71は、一体に形成された接触部72及び突出部73を備えている。接触部72は、エンドキャップハウジング22の先端22aに接触して、エンドキャップハウジング22の先端22aとともに移動する。突出部73は、規制部材51に設けられた貫通孔51cから放射線検出器設置治具10の外部に突出している。突出部73の表面上には、エンドキャップハウジング22の先端22aと規制部材51との間の間隔を示す目盛り71aが設けられている。目盛り71aは、例えば、エンドキャップハウジング22の先端22aと規制部材51との間の間隔の数値を示す。なお、目盛り71aは、例えば、エンドキャップハウジング22の先端22aと規制部材51との間の間隔に対して予め設定されている所定間隔に対応する位置のみを示すものであってもよい。
【0043】
この変形例の放射線検出器設置治具10を用いて放射線検出器11を放射線遮蔽体12に位置決めする場合には、接触部72をエンドキャップハウジング22の先端22aに接触させた状態で高さ調整機構34によって検出器台33の鉛直方向の高さ位置を調整する。これにより、接触部72はエンドキャップハウジング22の先端22aとともに規制部材51に向かって移動し、規制部材51の貫通孔51cから突出する突出部73の突出量は増大する。突出部73の目盛り71aが、エンドキャップハウジング22の先端22aと規制部材51との間の間隔に対して予め設定されている所定間隔に対応する目盛り位置を指し示す状態に到達したときに、高さ調整機構34による検出器台33の上昇を停止する。
この変形例によれば、エンドキャップハウジング22の先端22aと規制部材51との間の間隔に応じて突出量が変化する突出部73に設けられる目盛り71aを目視しながら、エンドキャップハウジング22の先端22aと規制部材51との間の間隔を容易に所定間隔に設定することができる。
【0044】
なお、上述した実施形態において、間隔調整部材56は、規制部材51と支持部材52との間に配置されるとしたが、これに限定されない。
例えば、間隔調整部材56は、適宜のタイミングでエンドキャップハウジング22の先端22aと規制部材51との間に挿入されてもよい。つまり、高さ調整機構34によって検出器台33の鉛直方向の高さ位置を調整しつつ、エンドキャップハウジング22の先端22aを規制部材51に向かって移動させる際に、間隔調整部材56をエンドキャップハウジング22の先端22aと規制部材51との間に挿入する。そして、すきまゲージなどを用いて、間隔調整部材56と規制部材51との間の間隔を調整することによって、エンドキャップハウジング22の先端22aと規制部材51との間の間隔を所定間隔に設定する。
この場合、実際にエンドキャップハウジング22の先端22aと規制部材51との間の間隔を目視しつつ所定間隔に調整することができる。
【0045】
なお、上述した実施形態において、規制部材51の外形は円形板状に形成されるとしたが、これに限定されない。規制部材51の外形は、例えば、棒状、枠状、又は板状などの他の形状に形成されてもよい。
【0046】
なお、上述した実施形態において、放射線検出器設置治具10は、4つの支持部材52を備えるとしたが、これに限定されない。放射線検出器設置治具10は、少なくとも1つ以上の支持部材52を備えていればよい。また、支持部材52の外形は、円環棒状に形成されるとしたが、これに限定されず、例えば、柱状又は棒状などの他の形状に形成されてもよい。
このように規制部材51を支持する支持部材52の数及び形状を任意に設定することができるので、放射線検出器設置治具10の汎用性及び製造容易性を向上させることができる。
【0047】
なお、上述した実施形態において、検出器ガイド部材54の外形は円環板状に形成されるとしたが、これに限定されない。検出器ガイド部材54は、例えば、扇形板状などに形成されてもよい。この場合、3つ以上などの複数の検出器ガイド部材54がベース部材53に固定されてもよい。
【0048】
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0049】
10…放射線検出器設置治具、11…放射線検出器、12…放射線遮蔽体、12b…容器ガイド部材、13…試料容器、21…クライオスタット、22…エンドキャップハウジング、23…デュワー、31…架台、32…ベース、33…検出器台、34…高さ調整機構、35…スライド機構、51…規制部材、52…支持部材、53…ベース部材、54…検出器ガイド部材、55…ガイド位置決め部材、56…間隔調整部材、71…間隔調整部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6