(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-22
(45)【発行日】2022-05-06
(54)【発明の名称】ラベル及びこれが連接してなるラベルシート
(51)【国際特許分類】
G09F 3/10 20060101AFI20220425BHJP
B42D 11/00 20060101ALN20220425BHJP
【FI】
G09F3/10 A
B42D11/00 E
(21)【出願番号】P 2018091191
(22)【出願日】2018-05-10
【審査請求日】2021-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】トッパン・フォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】内野 綾
(72)【発明者】
【氏名】飯島 恵
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-226276(JP,A)
【文献】特開2017-219752(JP,A)
【文献】特開2017-185768(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 3/10
B42D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースシートと、
前記ベースシートの一方の面の全面に積層された再湿糊からなる貼着層と、
前記貼着層上の少なくとも一部に積層され、前記貼着層による貼着力を抑制する貼着抑制層とを有
し、
前記貼着抑制層は、微細孔を具備する防水膜が前記貼着層上の少なくとも一部に積層されることで、前記貼着層による貼着力を抑制する、ラベル。
【請求項2】
請求項
1に記載のラベルにおいて、
前記ベースシートの前記貼着層とは反対側の面に表面シートが剥離可能に貼着されている、ラベル。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のラベルが1つの辺を連接辺として複数連接してなるラベルシートであって、
前記貼着抑制層は、前記ベースシートの前記貼着層が積層された面が内側となるように前記連接辺を中心として前記ラベルシートが折り畳まれた場合に、前記連接辺を介して連接するラベルの貼着層が前記貼着抑制層を介して対向するように前記貼着層上の一部に積層されている、ラベルシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベースシートの一方の面に再湿糊が塗布されてなるラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配送物を配送する場合、配送物の配送元及び配送先の住所や氏名あるいは名称等の配送情報が記載された配送ラベルが用いられている。このような配送ラベルは、上述したような配送情報が印字あるいは記入され、裏面に塗布された粘着剤によって配送物に貼着されて使用される。そのため、配送物に貼着される前の状態においては、粘着剤が塗布された面に剥離紙が剥離可能に貼着されている。
【0003】
このように、従来の配送ラベルは、配送物に貼着される前の状態において剥離紙が剥離可能に貼着されているため、配送物に貼着される際に剥離紙によるごみが生じてしまう。そこで、配送物への貼着面に、粘着剤が塗布された領域と剥離剤が塗布された領域とを有し、折り畳まれた場合にこれら粘着剤が塗布された領域と剥離剤が塗布された領域とが互いに重なり合うように設けられた配送ラベルが考えられている(例えば、特許文献1,2参照)。この配送ラベルを用いれば、配送物に貼着される前の状態では折り畳んでおくことで、剥離紙を用いることなく粘着剤が表出しない状態としておくことができる。
【0004】
ところが、上述したような配送ラベルにおいては、配送物への貼着面に、粘着剤が塗布された領域と剥離剤が塗布された領域とを有する構成であるため、折り畳んでいない状態においては粘着剤が表出しており、折り畳んだ状態でしか保管することができない。
【0005】
ところで、水分が付与されることで活性化する再湿糊が様々な用途に用いられている。そこで、上述した配送ラベルのような帳票ラベルにも一方の面に再湿糊を塗布しておくことで、剥離紙によるごみが生じることなく、折り畳んでいない状態でも保管することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5248988号公報
【文献】実用新案登録第3120174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、再湿糊は水分によって活性化するものであるため、湿度が比較的高い環境下等においては、再湿糊が塗布された面にある程度の圧力で長時間接触していると、その接触している物品が、再湿糊が塗布された面に貼着してしまう場合がある。
【0008】
ここで、封筒のフラップ部に再湿糊を塗布しておき、封緘する際に再湿糊を水分で活性化させることが行われている。しかしながら、封筒を重ねた場合、フラップ部は表面片と裏面片とが重ね合わされた領域よりも薄く、また、封筒は、保管する際に重ねられる枚数が多くても50枚や100枚程度であることがほとんどであるため、再湿糊が塗布された面にはあまり強い圧力がかからず、再湿糊が塗布された面が他の封筒等に貼着されてしまう可能性は低い。
【0009】
一方、上述したような帳票ラベルは、大量の枚数を重ね合わせて保管しておくことが多いため、周囲の湿度等の条件によっては、使用前の状態、すなわち、貼着してはいけない状態において、重ね合わされた帳票ラベルどうしが貼着してしまうという問題点がある。
【0010】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、ベースシートの一方の面に再湿糊が塗布されてなるラベルにおいて、再湿糊が塗布された面に使用前の状態にて他の物品等が接触していたとしてもその物品等が貼着されにくいラベル及びラベルセットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明は、
ベースシートと、
前記ベースシートの一方の面の全面に積層された再湿糊からなる貼着層と、
前記貼着層上の少なくとも一部に積層され、前記貼着層による貼着力を抑制する貼着抑制層とを有し、
前記貼着抑制層は、微細孔を具備する防水膜が前記貼着層上の少なくとも一部に積層されることで、前記貼着層による貼着力を抑制する。
【0012】
上記のように構成された本発明においては、ベースシートの一方の面の全面に再湿糊からなる貼着層が積層されているものの、貼着層上の少なくとも一部に、貼着層による貼着力を抑制する貼着抑制層が積層されているため、使用前においては、貼着抑制層によって貼着層の少なくとも一部が覆われた状態となっており、それにより、貼着層が積層された面に他の物品等が接触していたとしても、その物品等と貼着層との間の少なくとも一部に貼着抑制層が介在することで、その物品等が貼着されにくくなる。
【0013】
また、貼着抑制層が、微細孔を具備する防水膜が貼着層上の少なくとも一部に積層されることで、貼着層による貼着力を抑制するものであることにより、使用時に、貼着抑制層が積層された面側から水分が付与された場合に、付与された水分が、防水膜の微細孔や、防水膜が積層されていない領域を介して貼着層に付着し、貼着層を構成する再湿糊がその全面にて活性化することになる。
【0015】
また、ベースシートの貼着層とは反対側の面に表面シートが剥離可能に貼着されていれば、貼着層によって被着体に貼着された後に、表面シートのみを被着体から分離する使用方法を採用できる。
【0016】
また、上述したラベルが1つの辺を連接辺として複数連接してなるラベルシートであって、貼着抑制層が、ベースシートの貼着層が積層された面が内側となるように連接辺を中心としてラベルシートが折り畳まれた場合に、連接辺を介して連接するラベルの貼着層が貼着抑制層を介して対向するように貼着層上の一部に積層されていれば、貼着層が積層された面どうしが接触するように重ね合わされた状態において、貼着抑制層によるコストアップを最小限に抑えながら、その面どうしが貼着されてしまうことが回避される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、使用前においては、貼着抑制層によって貼着層の少なくとも一部が覆われた状態となっており、それにより、貼着層が積層された面に他の物品等が接触していたとしても、その物品等と貼着層との間の少なくとも一部に貼着抑制層が介在することで、その物品等と貼着されにくくすることができる。
【0018】
また、貼着抑制層が、微細孔を具備する防水膜が貼着層上の少なくとも一部に積層されることで、貼着層による貼着力を抑制するものであることにより、使用時に、貼着抑制層が積層された面側から水分が付与された場合に、付与された水分が、防水膜の微細孔や、防水膜が積層されていない領域を介して貼着層に付着し、貼着層を構成する再湿糊をその全面にて活性化させることができる。
【0020】
また、ベースシートの貼着層とは反対側の面に表面シートが剥離可能に貼着されているものにおいては、貼着層によって被着体に貼着された後に、表面シートのみを被着体から分離する使用方法を採用できる。
【0021】
また、上述したラベルが1つの辺を連接辺として複数連接してなるラベルシートであって、貼着抑制層が、ベースシートの貼着層が積層された面が内側となるように連接辺を中心としてラベルシートが折り畳まれた場合に、連接辺を介して連接するラベルの貼着層が貼着抑制層を介して対向するように貼着層上の一部に積層されているものにおいては、貼着層が積層された面どうしが接触するように重ね合わされた状態において、貼着抑制層によるコストアップを最小限に抑えながら、その面どうしが貼着されてしまうことを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明のラベルの第1の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は裏面図である。
【
図2】
図1に示した配送ラベルの保管形態を説明するための図である。
【
図3】
図1に示した配送ラベルの使用時における作用を説明するための図である。
【
図4】本発明のラベルの第2の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は裏面図である。
【
図5】
図4に示した配送ラベルの保管形態を説明するための図である。
【
図6】本発明のラベルの第3の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は裏面図である。
【
図7】
図6に示した配送ラベルの保管形態を説明するための図である。
【
図8】
図6に示した配送ラベルの使用時における作用を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0024】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明のラベルの第1の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は裏面図である。
【0025】
本形態は
図1に示すように、表面シート10と中間シート20とが擬似接着層30によって剥離可能に貼着されるとともに、中間シート20の表面シート10との貼着面とは反対側の面に再湿糊層40と非接着層50とがこの順で積層されてなる配送ラベル1である。
【0026】
表面シート10は、上質紙等からなり、表裏貫通したハーフスリット15が、対向する端辺間に延びて形成されており、それにより、配達票11と貼付票12とが分離可能に区画形成された構成となっている。配達票11と貼付票12のそれぞれには、この配送ラベル1が貼着されて配送される配送物の配送先や配送元の住所や氏名等の配送情報が表示される配送情報表示領域11a,11bが設けられており、配達票11には、配送物の配送先にて受領印が押下される押印領域11bが設けられている。表面シート10の中間シート20との貼着面には、その全面に貼着後の剥離が可能な擬似接着剤が塗布されることで擬似接着層30が積層されており、それにより、表面シート10と中間シート20とは、剥離可能に擬似接着されている。
【0027】
中間シート20は、本願発明におけるベースシートとなるものであり、例えば、上質紙から構成されている。中間シート20の表面シート10との貼着面とは反対側の面には、その全面に、例えばでんぷん-ポリアクリル酸混合物等からなり、水分が付与された場合に活性化する再湿糊が塗布されることで貼着層となる再湿糊層40が積層されている。さらに再湿糊層40上には、再湿糊層40がボーダー状に露出するように、例えばシリコンを含有するニスが20μm以下の厚さでパターン塗布されることでその一部にニスによる防水膜が積層され、この防水膜によって貼着抑制層となる非接着層50が構成されている。このようにニスがパターン塗布されることで非接着層50が積層されていることにより、非接着層50を構成する防水膜は、再湿糊層40上の非接着層50が積層された領域において再湿糊層40を完全な皮膜として覆っているのではなく、微細孔を有した状態となっている。なお、非接着層50の防水膜を構成するための材料は、防水性を具備するものであればニスに限らない。
【0028】
上記のように構成された配送ラベル1においては、裏面に水分が付与されると、再湿糊層40のうち非接着層50で覆われていない領域が、付与された水分が直接付着することによって活性化するとともに、再湿糊層40のうち非接着層50で覆われた領域においても、付与された水分が、非接着層50を構成する防水膜の微細孔を介して再湿糊層40に付着することで活性化し、中間シート20の再湿糊層40が積層された面が貼着面として配送物に貼着されて使用される。
【0029】
配送ラベル1が貼着された配送物が配送先に配送されると、まず、表面シート10のうち配達票11が中間シート20から剥離される。その際、配達票11は、その1つの角部が剥離開始端部11cとなって中間シート20から剥離されていく。このように、中間シート20の再湿糊層40が積層された面、すなわち配送物への貼着面とは反対側の面に、表面シート10が剥離可能に貼着された構成とすることで、配送物に貼着された配送ラベル1の一部を配送物から分離する使用方法を採用することができる。
【0030】
そして、押印領域11bに受領印が押下され、配達票11が配送業者によって持ち帰られ、配送物が配送先に配送されたことが管理されることになる。
【0031】
以下に、上述した配送ラベル1の作用効果について説明する。
【0032】
図2は、
図1に示した配送ラベル1の保管形態を説明するための図である。
【0033】
図1に示した配送ラベル1は、使用前の状態においては、例えば
図2(a)に示すように、
図1に示した構成を有する配送ラベル1が1つの辺を連接辺3として複数連接したラベルシート2となっており、連接辺3を中心としてジグザグ折りに折り畳まれて保管される。そのため、
図2(a)に示すように、配送ラベル1は、その裏面が、連接辺3を介して連接する配送ラベル1の裏面に重ね合わされた状態で保管されることになる。なお、ラベルシート2の配送ラベル1の連接辺3には、表裏貫通した貫通ミシン3aが形成されていることで、ラベルシート2は、連接辺3を中心として折り畳みやすくなっている。
【0034】
ここで、配送ラベル1の裏面には、上述したように再湿糊が塗布されることで再湿糊層40が積層されているものの、再湿糊層40上には、再湿糊層40がボーダー状に露出するようにニスがパターン塗布されることでその一部に非接着層50が積層されている。そして、非接着層50が、
図2(b)に示すように、配送ラベル1の裏面が内側となるように連接辺3を中心としてラベルシート2が折り畳まれた場合に連接辺3を介して連接する配送ラベル1の非接着層50が互い違いとなるように積層されることで、ラベルシート2が折り畳まれた状態では、連接辺3を介して連接する配送ラベル1の再湿糊層40が非接着層50を介して対向した状態となる。
【0035】
これにより、上記のようにラベルシート2が折り畳まれて保管された状態において、周囲の湿度が高い場合等、再湿糊が塗布された面が貼着しやすい状況になったとしても、互いに重ね合わされた配送ラベル1の裏面どうしが貼着されてしまうことが回避されることになる。なお、ラベルシート2の再湿糊層40が積層された面に水分が付与されていない状態においては、周囲の湿度等による微少な水分が、非接着層50を構成する防水膜の微細孔を介して再湿糊層40に付着することはなく、それにより、互いに重ね合わされた配送ラベル1の裏面どうしが貼着されてしまうことが回避される。
【0036】
また、配送ラベル1が上述したように複数連接したラベルシート2となり、ジグザグ折りに折り畳まれることで、連接辺3を介して連接する配送ラベル1の裏面どうしが重ね合わされた状態で保管されない場合でも、使用前においては、非接着層50によって再湿糊層40の一部が覆われた状態となっており、それにより、再湿糊層40が積層された面に他の物品等が接触していたとしても、その物品等と再湿糊層40との間の一部に非接着層50が介在することで、その物品等と貼着されにくくすることができる。
【0037】
図3は、
図1に示した配送ラベル1の使用時における作用を説明するための図である。
【0038】
図1に示した配送ラベル1を上述したように配送物に貼着する場合は、その裏面、すなわち再湿糊層40が積層された面に水分を付与することで再湿糊層40を構成する再湿糊を活性化させる。
【0039】
ここで、上述したように、再湿糊層40上には、再湿糊層40がボーダー状に露出するようにニスがパターン塗布されることでその一部に防水膜からなる非接着層50が積層されている。そのため、再湿糊が露出した領域においては、
図3中黒塗り矢印で示すように、付与された水分が再湿糊層40に直接付着し、再湿糊が活性化する。一方、再湿糊層40上に非接着層50が積層された領域においては、非接着層50が、微細孔を具備する防水膜から構成されていることで、
図3中白抜き矢印で示すように、付与された水分が、非接着層50を構成する防水膜の微細孔を介して再湿糊層40に付着し、それにより、再湿糊が活性化する。また、非接着層50が、20μm以下の厚さのニスから構成されていることによって、付与された水分が非接着層50を浸透して再湿糊層40に達することも考えられ、それによっても再湿糊が活性化する。その場合、非接着層50の厚さを5μm以下とすれば、付与された水分が非接着層50を浸透しやすくなる。
【0040】
このように再湿糊層40を構成する再湿糊を水分によって活性化した後、活性化した再湿糊によって配送ラベル1を配送物に貼着することができる。
【0041】
なお、本形態においては、非接着層50として、再湿糊層40上にニスが塗布されることで、再湿糊層40を完全な皮膜として覆っているのではなく微細孔を具備した状態となった防水膜からなるものを例に挙げて説明したが、本形態の配送ラベル1は、再湿糊層40上に非接着層50が積層されていない領域も存在するため、非接着層50として、再湿糊層40を完全な皮膜として覆ったものを用いた場合でも、再湿糊層40が積層された面に水分を付与することで再湿糊層40を構成する再湿糊を活性化させることができる。
【0042】
(第2の実施の形態)
図4は、本発明のラベルの第2の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は裏面図である。
【0043】
本形態は
図4に示すように、
図1に示したものに対して、表面シート110が中間シート120よりも一回り小さな形状となっている点が異なる配送ラベル101である。
【0044】
図5は、
図4に示した配送ラベル101の保管形態を説明するための図である。
【0045】
上述したように本形態の配送ラベル101は、表面シート110が中間シート120よりも一回り小さな形状となっている。そのため、
図5(a)に示すように、配送ラベル101が1つの辺を連接辺103として複数連接したラベルシート102とし、例えば連接辺103を中心としてジグザグ折りに折り畳んで保管する場合、
図5(b)に示すように、折り部には表面シート110及び擬似接着層130が存在しないものとなり、連接辺103を中心として折り畳みやすくなる。
【0046】
本形態の配送ラベル101においても、非接着層150が、
図5(b)に示すように、配送ラベル101の裏面が内側となるように連接辺103を中心としてラベルシート102が折り畳まれた場合に連接辺103を介して連接する配送ラベル101の非接着層150が互い違いとなるように積層されることで、ラベルシート102が折り畳まれた状態では、連接辺103を介して連接する配送ラベル101の再湿糊層140が非接着層150を介して対向した状態となる。
【0047】
これにより、上記のようにラベルシート102が折り畳まれて保管された状態において、周囲の湿度が高い場合等、再湿糊が塗布された面が貼着しやすい状況になったとしても、互いに重ね合わされた配送ラベル101の裏面どうしが貼着されてしまうことが回避されることになる。
【0048】
(第3の実施の形態)
図6は、本発明のラベルの第3の実施の形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)は裏面図である。
【0049】
本形態は
図6に示すように、
図1に示したものに対して、再湿糊層240上の全面に非接着層250が積層されている点が異なる配送ラベル201である。
【0050】
図7は、
図6に示した配送ラベル201の保管形態を説明するための図である。
【0051】
図6に示した配送ラベル201は、使用前の状態においては、例えば
図7(a)に示すように、
図6に示した構成を有する配送ラベル201が1つの辺を連接辺203として複数連接したラベルシート202となっており、非接着層250が積層された面が内側となるようにロール状に巻き取られて保管される。そのため、
図7(b)に示すように、配送ラベル201は、その裏面が、他の配送ラベル201に表面に重ね合わされた状態で保管されることになる。
【0052】
ここで、配送ラベル201の裏面には、上述したように再湿糊が塗布されることで再湿糊層240が積層されているものの、再湿糊層240上には、その全面に非接着層250が積層されている。それにより、ラベルシート202がロール状に巻き取られた状態では、配送ラベル201の再湿糊層240は非接着層250を介して他の配送ラベル201の表面シート210に対向した状態となる。
【0053】
これにより、上記のようにラベルシート202がロール状に巻き取られて保管された状態において、周囲の湿度が高い場合等、再湿糊が塗布された面が貼着しやすい状況になったとしても、ラベルシート202となってロール状に巻き取られた配送ラベル201どうしが貼着されてしまうことが回避されることになる。なお、ラベルシート202の再湿糊層240が積層された面に水分が付与されていない状態においては、周囲の湿度等による微少な水分が、非接着層250を構成する防水膜の微細孔を介して再湿糊層240に付着することはなく、それにより、ラベルシート202となってロール状に巻き取られた配送ラベル201どうしが貼着されてしまうことが回避される。
【0054】
また、使用前においては、非接着層250によって再湿糊層240の全面が覆われた状態となっており、それにより、配送ラベル202の裏面に他の物品等が接触していたとしても、その物品等と再湿糊層240との間に非接着層250が介在することで、その物品等と貼着されなくすることができる。
【0055】
図8は、
図6に示した配送ラベル201の使用時における作用を説明するための図である。
【0056】
図6に示した配送ラベル201を配送物に貼着する場合は、その裏面に水分を付与することで再湿糊層240を構成する再湿糊を活性化させる。
【0057】
ここで、上述したように、再湿糊層240上にはその全面に非接着層250が積層されている。しかしながら、非接着層250が、微細孔を具備する防水膜から構成されていることで、
図7中白抜き矢印で示すように、付与された水分が、非接着層250を構成する防水膜の微細孔を介して再湿糊層240に付着し、それにより、再湿糊が活性化する。
【0058】
このように再湿糊層240を構成する再湿糊を水分によって活性化した後、活性化した再湿糊によって配送ラベル201を配送物に貼着することができる。
【0059】
なお、本形態においては、再湿糊層240上の全面に非接着層250が積層されているが、非接着層250が、
図1や
図4に示したもののように再湿糊層240上の一部に積層された構成としても、本願発明の効果を得ることができる。その場合、再湿糊層上の全面に非接着層が積層されたものに対して、非接着層を構成するニスの量を削減することにより、非接着層によるコストアップを抑えることができる。非接着層が再湿糊層上の一部に積層された構成とする場合は、
図1や
図4に示したもののように、再湿糊層上に再湿糊層がボーダー状に露出するように非接着層が積層されたものに限らず、再湿糊層上に網点印刷によって非接着層が積層された構成とすることも考えられる。ただし、
図1や
図4に示したもののように、配送ラベルが1つの辺を連接辺として複数連接したラベルシートとし、非接着層が、配送ラベルの裏面が内側となるように連接辺を中心としてラベルシートが折り畳まれた場合に連接辺を介して連接する配送ラベルの非接着層が互い違いとなるように積層された構成とすることで、ラベルシートが折り畳まれた状態では、連接辺を介して連接する配送ラベルの再湿糊層が非接着層を介して対向した状態となり、非接着層によるコストアップを最小限に抑えながら、配送ラベルの裏面どうしが貼着されてしまうことが回避されることになる。なお、非接着層が再湿糊層上の一部に積層された構成とする場合は、中間シートの角部に非接着層を設けることで、例え、配送ラベルが使用前に再湿糊層によって他の物品等にその一部が貼着された場合でも、角部が貼着されていない状態となり、剥離しやすくなる。
【0060】
また、上述した実施の形態においては、中間シート20,120,220の再湿糊層40,140,240が積層された面とは反対側の面に表面シート10,110,210が擬似接着層30,130,230によって擬似接着されてなる配送ラベル1,101,201を例に挙げて説明したが、本願発明のラベルは、ベースシートの一方の面の全面に再湿糊層が積層され、その再湿糊層上の少なくとも一部に非接着層が積層されていれば、上述した効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0061】
1,101,201 配送ラベル
2,102,202 ラベルシート
3,103,203 連接辺
10,110,210 表面シート
11,111,211 配達票
11a,12a,111a,112a,211a,212a 配送情報表示領域
11b,111b,211b 押印領域
11c,111c,211c 剥離開始端部
12,112,212 貼付票
15,115,215 ハーフスリット
20,120,220 中間シート
30,130,230 擬似接着層
40,140,240 再湿糊層
50,150,250 非接着層