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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-22
(45)【発行日】2022-05-06
(54)【発明の名称】端面処理装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 63/02 20060101AFI20220425BHJP
【FI】
B01D63/02
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018136775
(22)【出願日】2018-07-20
(65)【公開番号】P2020012218
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】500198210
【氏名又は名称】セイコータイムクリエーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】中垣 祐二
(72)【発明者】
【氏名】阿須賀 拓
【審査官】斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】特公平03-068726(JP,B2)
【文献】特開平05-161829(JP,A)
【文献】特開平05-184881(JP,A)
【文献】特開平08-178853(JP,A)
【文献】特開2008-032601(JP,A)
【文献】特開2013-158689(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
B01D 61/00 - 71/82
B05C 7/00 - 21/00
C02F 1/44
D06B 1/00 - 23/30
D06C 3/00 - 29/00
D06G 1/00 - 5/00
D06H 1/00 - 7/24
D06J 1/00 - 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状のワークが複数束ねられたワーク束を、第1方向に前記ワークの端面を向けた状態で保持する保持部と、
前記第1方向に対して交差する仮想平面内において、互いに直交する第2方向及び第3方向に沿って移動可能とされた可動体と、
前記可動体を前記第2方向及び前記第3方向に移動させる駆動部と、
前記可動体に組み合わされ、前記保持部に保持された前記ワーク束を、前記第1方向に平行な回転軸線回りに回転させる回転部と、
前記ワーク束を前記第1方向から撮像すると共に、複数の前記ワークの前記端面が写り込んだ撮像画像を取得する撮像部と、
前記ワーク束に対して前記第1方向に接近離間可能に配置されると共に、複数の前記ワークの前記端面に対して所定の端面処理を各別に行う処理部と、
前記処理部に前記端面処理を行わせる前記ワークの処理順番を、前記撮像画像に基づいて決定すると共に、決定した処理順番で前記端面処理を行うように少なくとも前記駆動部、前記回転部、前記処理部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記撮像画像に基づいて、複数の前記ワークの中から一方向に沿って並んでいる前記ワークの集まりをワーク群として抽出すると共に、前記ワーク群に対する前記端面処理を行うときに前記回転部を作動させて、前記一方向が前記第2方向又は前記第3方向に一致するように前記ワーク束を前記回転軸線回りに回転させる、端面処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の端面処理装置において、
前記制御部は、前記撮像画像から、前記仮想平面内において全ての前記ワークに対して前記端面の位置をそれぞれ抽出すると共に、各端面の位置関係に基づいて前記ワーク群を抽出する、端面処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の端面処理装置において、
前記保持部は、前記ワーク束を間にして、前記第1方向に交差する径方向に向かい合うように配置されると共に、前記径方向に相対的に接近離間可能とされた第1クランプ部及び第2クランプ部を備え、
前記第1クランプ部及び前記第2クランプ部は、前記ワーク束を前記径方向の外側から挟み込むことで前記ワーク束を保持する、端面処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の端面処理装置において、
前記第1クランプ部及び前記第2クランプ部は、前記第1方向に沿って延びるように形成されている、端面処理装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の端面処理装置において、
前記回転部は、前記回転軸線と同軸に配置された環状の回転テーブルを備え、
前記第1クランプ部及び前記第2クランプ部は、前記回転テーブルの内側に配置されている、端面処理装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の端面処理装置において、
前記ワークは筒状に形成され、
前記処理部は、前記端面処理として、前記端面に開口した開口部を通じて前記ワークの内側に充填材を供給して、前記ワークの端部側を封止する端面封止処理を行う、端面処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端面処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の棒状のワークの端面に対して、端面検査或いは端面加工等、何等かの端面処理を施すことが行われている。この種の端面処理を行う場合、各ワークのそれぞれに対して個別に端面処理を施すのではなく、例えば複数のワークを結束し、結束した複数のワークに対して端面処理を行う場合がある。
【0003】
例えば下記特許文献1には、中空糸膜(棒状のワーク)の端面に開口した開口部を通じて、中空糸膜の端部側の内部に充填材を充填することで、端面封止処理(端面処理)を行う方法が開示されている。
具体的には、複数の中空糸膜を横一列に配置した状態で結束した後、結束した複数の中空糸膜の端面を接着剤等の充填材中にまとめて浸漬させることで、複数の中空糸膜のそれぞれの内部に充填材を充填している。これにより、複数の中空糸膜への端面封止作業を効率良く行うことが可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-319505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の方法において、複数の中空糸膜を横一列ではなく、例えば丸束状に結束した場合には、充填材が中空糸膜の内部に充填されるよりも、互いに隣接する中空糸膜同士の間(隙間)に入り込んでしまう場合があり、端面封止を適切に行うことができないおそれがあった。そのためこの場合には、例えば追加で端面封止を行う等の対策が必要となり、端面封止作業を効率良く行うことが難しいものであった。
上述したように、従来の方法では、複数の中空糸膜の並び具合によって端面封止そのものを適切に行うことが難しい場合があり、結果的に作業効率の低下を招き易かった。
【0006】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、複数のワークがどのような並びで束ねられていたとしても、複数のワークのそれぞれに対して精度良く且つ効率良く端面処理を行うことができる端面処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る端面処理装置は、棒状のワークが複数束ねられたワーク束を、第1方向に前記ワークの端面を向けた状態で保持する保持部と、前記第1方向に対して交差する仮想平面内において、互いに直交する第2方向及び第3方向に沿って移動可能とされた可動体と、前記可動体を前記第2方向及び前記第3方向に移動させる駆動部と、前記可動体に組み合わされ、前記保持部に保持された前記ワーク束を、前記第1方向に平行な回転軸線回りに回転させる回転部と、前記ワーク束を前記第1方向から撮像すると共に、複数の前記ワークの前記端面が写り込んだ撮像画像を取得する撮像部と、前記ワーク束に対して前記第1方向に接近離間可能に配置されると共に、複数の前記ワークの前記端面に対して所定の端面処理を各別に行う処理部と、前記処理部に前記端面処理を行わせる前記ワークの処理順番を、前記撮像画像に基づいて決定すると共に、決定した処理順番で前記端面処理を行うように少なくとも前記駆動部、前記回転部、前記処理部の動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記撮像画像に基づいて、複数の前記ワークの中から一方向に沿って並んでいる前記ワークの集まりをワーク群として抽出すると共に、前記ワーク群に対する前記端面処理を行うときに前記回転部を作動させて、前記一方向が前記第2方向又は前記第3方向に一致するように前記ワーク束を前記回転軸線回りに回転させる。
【0008】
本発明に係る端面処置装置によれば、保持部によって保持されたワーク束を撮像部によって撮像することで、各ワークの端面が写り込んだ撮像画像を取得することができる。そのため、撮像画像から、各ワークが仮想平面内においてどのような並びで束ねられているかを把握することができる。そして制御部は、撮像画像に基づいて、複数のワークの中から一方向に沿って並んでいるワークの集まりをワーク群として抽出する。例えば、全てのワークの中から同じ一方向に並んでいる複数個のワークの集まりを第1のワーク群として抽出し、第1のワーク群とは異なる方向であって、且つ同じ一方向に並んでいる別の複数個のワークの集まりを第2のワーク群として抽出するといったように、制御部は複数のワーク群を抽出する。
【0009】
さらに制御部は、ワーク群の抽出を行った後、端面処理を行わせるワークの処理順番を決定する。例えば制御部は、どのワーク群から端面処理を行わせるかワーク群の処理順番を決定すると共に、ワーク群内においてどのワークから端面処理を行わせるかワークの処理順番を決定する。そして制御部は、決定した処理順番で端面処理を行うように、少なくとも駆動部、回転部、処理部の動作を制御する。
特に制御部は、ワーク群の端面処理を行わせる際、複数個のワークが並んでいる方向が可動体の移動方向である第2方向又は第3方向に一致するように回転部を作動させる。これにより、保持部によって保持されたワーク束を回転軸線回りに回転させることができ、端面処理を行う前段階で、ワーク群のワークが並んでいる方向を可動体の移動方向に一致させることができる。
【0010】
これにより、駆動部が可動体を第2方向又は第3方向に沿って直線移動させることで、処理部を利用して、ワーク群における各ワークに対して所定の端面処理を連続的に行うことができる。なお、次のワーク群への端面処理を行う場合には、そのワーク群のワークが並んでいる方向が可動体の移動方向に一致するように、上述と同様に回転部を作動させる。これにより、次のワーク群における各ワークに対しても、可動体を直線移動させることで所定の端面処理を連続的に行うことができる。
【0011】
上述したように、複数のワークがどのような並びで束ねられてワーク束になっていたとしても、可動体の移動方向に沿って直線移動させながら処理部を利用して端面処理を連続的に行うことができる。これにより、結果的にスループットを向上することができ、端面処理を効率良く行うことができる。さらに、例えば第2方向及び第3方向に可動体を繰り返し微小移動させるような、いわゆるジグザグ移動を行わせる場合に比べて、可動体を直線移動させれば良いので機械的なバックラッシュ誤差が累積することを抑制することができる。そのため、各ワークに対して処理部をアプローチさせる際に、各ワークに対する処理部の位置精度を向上させることができる。従って、各ワークに対する端面処理を精度良く行うことができる。
【0012】
(2)前記制御部は、前記撮像画像から、前記仮想平面内において全ての前記ワークに対して前記端面の位置をそれぞれ抽出すると共に、各端面の位置関係に基づいて前記ワーク群を抽出しても良い。
【0013】
この場合には、撮像画像から仮想平面内において各ワークの端面の位置を抽出するので、ワークがどのような並びで束ねられているか把握し易い。例えば、各端面の位置として各端面の面積中心を抽出する場合、ワークの外形がどのような形状であったとしても、面積中心同士の位置関係に基づいてワークがどのような並びで束ねられているかを正確に把握し易い。従って、各面積中心同士の位置関係に基づいてワーク群をより正確に抽出することが可能である。
【0014】
(3)前記保持部は、前記ワーク束を間にして、前記第1方向に交差する径方向に向かい合うように配置されると共に、前記径方向に相対的に接近離間可能とされた第1クランプ部及び第2クランプ部を備え、前記第1クランプ部及び前記第2クランプ部は、前記ワーク束を前記径方向の外側から挟み込むことで前記ワーク束を保持しても良い。
【0015】
この場合には、径方向に相対的に接近離間可能とされた第1クランプ部及び第2クランプ部を利用して、ワーク束を径方向の外側から挟み込むので、ワーク束を安定に保持できると共に、ワーク束のセット或いは取り外し等をスムーズに行うことができる。
【0016】
(4)前記第1クランプ部及び前記第2クランプ部は、前記第1方向に沿って延びるように形成されても良い。
【0017】
この場合には、例えば長尺なワークであったとしても、第1クランプ部及び第2クランプ部を利用してワーク束を長手方向の広範囲に亘って安定的に保持することができる。従って、がたつき或いは傾き等を生じさせることなくワーク束を保持することができ、ワークへの端面処理をさらに精度良く行い易い。
【0018】
(5)前記回転部は、前記回転軸線と同軸に配置された環状の回転テーブルを備え、前記第1クランプ部及び前記第2クランプ部は、前記回転テーブルの内側に配置されても良い。
【0019】
この場合には、環状の回転テーブルの内側に、第1クランプ部及び第2クランプ部で保持されたワーク束を配置できるので、ワーク束における中心軸線を回転テーブルの回転軸線に一致させ易い。従って、回転軸線回りに回転テーブルを回転させることで、ワーク群のワークが並んでいる方向を、可動体の移動方向に一致させる作業を、効率良く且つスムーズに行うことができる。
【0020】
(6)前記ワークは筒状に形成され、前記処理部は、前記端面処理として、前記端面に開口した開口部を通じて前記ワークの内側に充填材を供給して、前記ワークの端部側を封止する端面封止処理を行っても良い。
【0021】
この場合には、複数のワークがどのような並びで結束されていたとしても、筒状に形成された中空のワークの内側に充填材を精度良く供給することができ、端面封止処理を効率良く行うことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る端面処理装置によれば、複数のワークがどのような並びで束ねられていたとしても、複数のワークのそれぞれに対して精度良く且つ効率良く端面処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る端面処理装置の実施形態を示す斜視図である。
図2図1に示す端面処理装置を、図1とは異なる方向から見た斜視図である。
図3図1に示す端面処理装置を矢印Aから見た正面図である。
図4図1に示す端面処理装置を矢印Bから見た側面図である。
図5図1に示すワーク束の拡大斜視図である。
図6図1に示すクランプ部、ワーク束及び回転部周辺の拡大斜視図である。
図7図6に示すクランプ部及びワーク束の上面図である。
図8】ワーク束を撮像した撮像画像の一例を示す図である。
図9図7に示す状態からワーク束を回転軸線回りに回転させて、ワーク群のワークが並ぶ方向を左右テーブルの移動方向に一致させた状態を示す図である。
図10図9に示す状態からワーク群の各ワークの内側に充填材を充填した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。
図1図4に示すように、本実施形態の端面処理装置1は、棒状のワーク(図5参照)Wが複数束ねられたワーク束W1における、各ワークWの端面に対して所定の端面処理を行う装置である。
端面処理装置1は、ワーク束W1を保持するクランプ部(本発明に係る保持部)2と、移動テーブル(本発明に係る可動体)3と、移動テーブル3を移動させる駆動部4と、ワーク束W1を回転させる回転部5と、ワーク束W1を撮像する撮像部6と、ワーク束W1の各ワークWに対して端面処理を行うディスペンサ(本発明に係る処理部)7と、上記各構成部品が設置される支持台8と、上記各構成部品を総合的に制御する制御部9と、を備えている。
【0025】
はじめにワークW及びワーク束W1について簡単に説明する。
図5に示すように、本実施形態のワークWは、筒状に形成された中空且つ長尺なワークとされている。より具体的には、ワークWは、全長に亘って外径及び内径が変化しない円筒状に形成されている。そのため、ワークWの両端部に位置する端面には、開口部が開口している。
【0026】
ワーク束W1は、上述のように形成されたワークWが複数本束ねられることで構成されている。なお、複数のワークWは、結束紐、結束バンド等の図示しない結束部材によって安定的に束ねられている。
【0027】
上述のように構成されたワーク束W1は、図1図4に示すように、上下方向(本発明に係る第1方向)L1に各ワークWの端面(上端面、下端面)を向けた状態でクランプ部2によって保持されている。
なお、図1図4では、図面を見易くするために、各ワークWの図示を省略し、ワーク束W1のみを図示している。また実際には、ワーク束W1の輪郭は束ねられた各ワークWの輪郭に倣って変化するが、図示の例では図面を見易くするためにワーク束W1の輪郭を円柱状としている。
【0028】
上記支持台8は、図示しない床面上に設置され、上下方向L1に対して交差する水平面(本発明に係る仮想平面)に平行な下部テーブル10及び上部テーブル11を有している。なお、水平面において互いに直交する方向を前後方向(本発明に係る第2方向)L2及び左右方向(本発明に係る第3方向)L3という。
下部テーブル10及び上部テーブル11は、前後方向L2よりも左右方向L3に長い平面視矩形状に形成されている。ただし、下部テーブル10及び上部テーブル11の形状は、平面視矩形状に限定されるものではなく、適宜変更して構わない。
【0029】
上部テーブル11は、下部テーブル10と同サイズに形成され、下部テーブル10に対して一体の距離をあけた状態で上下方向L1に重なるように、下部テーブル10の上方に配置されている。上部テーブル11における左右方向L3の両端部と、下部テーブル10における左右方向L3の両端部とは、左右方向L3に間隔をあけて向かい合う一対の側壁部12を介して一体に接続されている。
これにより、下部テーブル10と上部テーブル11との間には、前後方向L2に開放された空間部13が形成されている。
【0030】
上部テーブル11には、該上部テーブル11を上下に貫通する第1貫通孔14が形成されている。第1貫通孔14は、上部テーブル11における前後方向L2の中央部分に配置されていると共に、前後方向L2よりも左右方向L3に長い平面視楕円状に形成されている。
【0031】
上部テーブル11上には、支持フレーム20が立設されていると共に、移動テーブル3が組付けられている。
支持フレーム20は、左右方向L3に間隔をあけて配置され、上部テーブル11から上方に向けて延びた一対の支柱部21と、一対の支柱部21同士を左右方向L3に繋ぐ連結壁部22と、を備えている。
【0032】
一対の支柱部21は、横断面視四角形状に形成され、上部テーブル11における前後方向L2の一方側に配置されている。ただし、一対の支柱部21の形状は特に限定されるものではなく、例えば円柱状等、適宜変更して構わない。連結壁部22は、左右方向L3に沿って延びる板状に形成され、一対の支柱部21における上端部同士を左右方向L3に接続している。
なお、前後方向L2のうち一対の支柱部21側を後方といい、その反対方向を前方という。
【0033】
移動テーブル3は、前後方向L2に移動可能とされた前後テーブル30と、前後テーブル30の上方に配置され、左右方向L3に移動可能とされた左右テーブル40と、を備えた2段テーブルとされている。
【0034】
前後テーブル30は、前後方向L2よりも左右方向L3に長い平面視矩形状に形成され、上部テーブル11上に固定された一対の前後ガイドレール31を介して上部テーブル11に対して組み合わされている。
一対の前後ガイドレール31は、上部テーブル11のうち一対の支柱部21よりも前方側に配置されていると共に、第1貫通孔14を間に挟んで左右方向L3に向かい合った状態で互いに平行に配置されている。従って、一対の前後ガイドレール31の間に第1貫通孔14が配置されている。
【0035】
前後テーブル30は、左右方向L3の両端部から下方に向けて突出すると共に、前後ガイドレール31に対して前後方向L2に相対移動可能に組み合わされる一対のガイド突起30aを備えている。ガイド突起30aは、前後ガイドレール31に対して上方から組み合わされていると共に、前後ガイドレール31を左右方向L3から挟み込むように組み合されている。
これにより、前後テーブル30は、左右方向L3にがたつくことなく一対の前後ガイドレール31で安定的にガイドされながら、前後方向L2にスムーズに移動可能とされている。
【0036】
さらに前後テーブル30には、該前後テーブル30を上下に貫通する第2貫通孔32が形成されている。第2貫通孔32は、前後テーブル30における前後方向L2の中央部分に配置されていると共に、前後方向L2よりも左右方向L3に長い平面視楕円状に形成されている。
なお、第2貫通孔32は、前後テーブル30の移動範囲内において、上部テーブル11に形成された第1貫通孔14の上方に位置するように形成されている。
【0037】
左右テーブル40は、平面視正方形状に形成され、前後テーブル30上に固定された一対の左右ガイドレール41を介して前後テーブル30に対して組み合わされている。
一対の左右ガイドレール41は、第2貫通孔32を間に挟んで前後方向L2に向かい合った状態で互いに平行に配置されている。従って、一対の左右ガイドレール41の間に第2貫通孔32が配置されている。
【0038】
左右テーブル40は、左右方向L3の両端部から下方に向けて突出すると共に、左右ガイドレール41に対して左右方向L3に相対移動可能に組み合わされる一対のガイド突起40aを備えている。ガイド突起40aは、左右ガイドレール41に対して上方から組み合わされていると共に、左右ガイドレール41を前後方向L2から挟み込むように組み合されている。
これにより、左右テーブル40は、前後方向L2にがたつくことなく一対の左右ガイドレール41で安定的にガイドされながら、左右方向L3にスムーズに移動可能とされている。
【0039】
さらに左右テーブル40には、該左右テーブル40を上下に貫通する図示しない第3貫通孔が形成されている。第3貫通孔は、左右テーブル40における中央部分に配置されていると共に、平面視円形状に形成されている。
なお、第3貫通孔は、左右テーブル40の移動範囲内において、前後テーブル30に形成された第2貫通孔32の上方に位置するように形成されている。
【0040】
なお、前後方向L2よりも左右方向L3に長い前後テーブル30に対して、平面視正方形状の左右テーブル40とされているので、前後テーブル30の移動量よりも左右テーブル40の移動量を大きく確保することができる。
【0041】
駆動部4は、上述のように構成された前後テーブル30及び左右テーブル40を具備する移動テーブル3を、制御部9からの指示に基づいて移動させる。
駆動部4は、前後テーブル30を前後方向L2に移動させる前後駆動部50と、左右テーブル40を左右方向L3に移動させる左右駆動部60と、を備えている。
【0042】
前後駆動部50は、上部テーブル11上に固定された駆動モータ51と、駆動モータ51における図示しない回転軸と同軸に設けられたねじ軸53を有する前後ボールねじ52と、を備えている。前後ボールねじ52は、ねじ軸53に螺合された図示しないナット部と、上部テーブル11上に固定され、ねじ軸53の先端部を回転可能に支持する軸受54と、を備えている。
【0043】
ねじ軸53は、一方の前後ガイドレール31と第1貫通孔14との間に配置され、前後ガイドレール31に対して平行に配置されている。なお、ねじ軸53は、上部テーブル11と前後テーブル30との間に、両テーブル11、30に対して非接触状態で配置されている。
ナット部は、前後テーブル30の下面に組み合わされた状態でねじ軸53に螺合されている。これにより、ねじ軸53と前後テーブル30とは、ナット部を介して一体的に組み合されていると共に、ねじ軸53の回転に伴うナット部の共回りが規制されている。
駆動モータ51は、制御部9からの指示に基づいて作動する例えばサーボモータとされている。ただし、駆動モータ51の種類は特に限定されるものではなく、適宜変更して構わない。
【0044】
上述のように構成された前後駆動部50は、駆動モータ51の作動によってねじ軸53を回転させることで、ねじ軸53の回転運動を直線運動に変換して、ナット部及び前後テーブル30をねじ軸53の軸方向、すなわち前後方向L2に移動させることが可能とされている。
なお、駆動モータ51としてサーボモータを採用しているので、ナット部及び前後テーブル30の移動位置を高精度で制御することが可能とされ、例えば前後テーブル30を微動させることができる。
【0045】
左右駆動部60は、前後テーブル30に対して一体的に固定された駆動モータ61と、駆動モータ61における図示しない回転軸と同軸に設けられたねじ軸63を有する左右ボールねじ62と、を備えている。左右ボールねじ62は、ねじ軸63に螺合された図示しないナット部と、前後テーブル30上に固定され、ねじ軸63の先端部を回転可能に支持する軸受64と、を備えている。
【0046】
ねじ軸63は、一方の左右ガイドレール41と第2貫通孔32との間に配置され、左右ガイドレール41に対して平行に配置されている。なお、ねじ軸63は、前後テーブル30と左右テーブル40との間に、両テーブル30、40に対して非接触状態で配置されている。
ナット部は、左右テーブル40の下面に組み合わされた状態でねじ軸63に螺合されている。これにより、ねじ軸63と左右テーブル40とは、ナット部を介して一体的に組み合されていると共に、ねじ軸63の回転に伴うナット部の共回りが規制されている。
駆動モータ61は、制御部9からの指示に基づいて作動する例えばサーボモータとされている。ただし、駆動モータ61の種類は特に限定されるものではなく、適宜変更して構わない。
【0047】
上述のように構成された左右駆動部60は、駆動モータ61の作動によってねじ軸63を回転させることで、ねじ軸63の回転運動を直線運動に変換して、ナット部及び左右テーブル40をねじ軸63の軸方向、すなわち左右方向L3に移動させることが可能とされている。
なお、駆動モータ61としてサーボモータを採用しているので、ナット部及び左右テーブル40の移動位置を高精度で制御することが可能とされ、例えば左右テーブル40を微動させることができる。
【0048】
回転部5は、上述のように構成された左右テーブル40に対して一体に組み合わされ、上下方向L1に平行な回転軸線O回りに回転可能とされている。
回転部5は、回転軸線Oと同軸に配置された環状の回転テーブル70と、制御部9からの指示に基づいて回転テーブル70を所定の回転量及び回転方向で回転させる図示しない回転モータを内蔵した回転駆動プレート71と、を備えている。
【0049】
なお、回転軸線O方向から見た平面視で、回転軸線Oに交差する方向(すなわち上下方向L1に交差する方向)を径方向といい、回転軸線O回りに周回する方向を周方向という。
【0050】
回転駆動プレート71は、左右テーブル40の上面に組み合わされ、回転テーブル70を径方向の外側から回転可能にガイドするガイド壁部72を有している。ガイド壁部72は、環状に形成され、回転軸線Oと同軸に配置されている。
回転テーブル70は、ガイド壁部72の内周面でガイドされながら、回転モータによって回転軸線O回りを回転可能とされている。
なお、回転テーブル70の内側は、左右テーブル40に形成された第3貫通孔、前後テーブル30に形成された第2貫通孔32、及び上部テーブル11に形成された第1貫通孔14を通じて下方に開放されており、支持台8における空間部13に連通している。従って、回転テーブル70の内側は上下に開放されている。
【0051】
上述のように構成された回転部5は、回転テーブル70を回転させることで、クランプ部2ごとワーク束W1を回転軸線O回りに回転させることが可能とされている。
図6及び図7に示すように、クランプ部2は、ワーク束W1を間にして径方向に向かい合うように配置されると共に、径方向に相対的に接近離間可能とされた第1クランプ部2a及び第2クランプ部2bを備えている。
【0052】
第1クランプ部2a及び第2クランプ部2bは、回転テーブル70の内側にそれぞれ配置され、図示しない接続部材を介して回転テーブル70に一体的に組み合されている。これにより、第1クランプ部2a及び第2クランプ部2bは、回転テーブル70と共に回転軸線O回りに共回り可能とされている。
【0053】
第1クランプ部2a及び第2クランプ部2bは、平面視L字状に形成されていると共に、上下方向L1に沿って延びるように形成されている。つまり、第1クランプ部2a及び第2クランプ部2bは、縦長の平面視L字状に形成されている。
具体的には、第1クランプ部2a及び第2クランプ部2bは、回転テーブル70よりも上方に向けて延びると共に、第3貫通孔、第2貫通孔32及び第1貫通孔14を通じて支持台8の空間部13に達する程度、下方に向けて延びるように形成されている(図3参照)。これにより、第1クランプ部2a及び第2クランプ部2bは、ワーク束W1のほぼ全長に亘って該ワーク束W1を保持している。
【0054】
第1クランプ部2a及び第2クランプ部2bは、回転テーブル70の内側において、それぞれ径方向に移動可能とされている。そのため、第1クランプ部2a及び第2クランプ部2bが径方向の内側に移動することで、ワーク束W1を径方向の外側から挟み込むように保持することが可能とされ、径方向の外側に移動する(図6に示す二点鎖線状態)ことで、ワーク束W1の保持を解除することが可能とされている。これにより、クランプ部2へのワーク束W1のセット或いは取り外しを容易に行うことが可能とされている。
【0055】
なお、第1クランプ部2a及び第2クランプ部2bは、径方向に相対的に移動可能とされていれば良く、例えば第1クランプ部2a及び第2クランプ部2bのうちの一方のクランプ部を固定クランプ部、他方のクランプ部を可動クランプ部とし、固定クランプ部に対して可動クランプ部を径方向に接近離間させても構わない。
ただし、本実施形態のように、第1クランプ部2a及び第2クランプ部2bをそれぞれ径方向に移動させる場合には、クランプ部2の挟み込みに伴ってワーク束W1の位置が径方向に変位し難くなるので、ワーク束W1の中心線を回転軸線Oに一致させた状態を維持したままクランプを行えるので、好ましい。
【0056】
上述のように構成されたクランプ部2によって保持されたワーク束W1は、該ワーク束W1全体の中心線が回転軸線Oにほぼ一致した状態で保持されると共に、各ワークWの上端面を上方に向けた状態で保持される。
【0057】
図1図4に示すように、撮像部6は、ワーク束W1に対して上方から撮像用の光(照明光)を照射する発光部80と、発光部80によって照明されたワーク束W1を、撮像レンズ81を介して上方から撮像する撮像カメラ82と、を備え、昇降プレート83を介して上下方向L1に移動可能に支持フレーム20に固定されている。
【0058】
支持フレーム20における連結壁部22の前面側には、昇降プレート83を上下方向L1に移動可能にガイドするガイドプレート84が固定されている。昇降プレート83は、ガイドプレート84の前面側に上下方向L1に移動可能に取り付けられていると共に、支持フレーム20の上端部に固定された昇降モータ85の駆動によって上下方向L1に移動可能とされている。
昇降モータ85は、制御部9からの指示に基づいて作動し、ガイドプレート84内に設けられた図示しない昇降機構を介して昇降プレート83を移動させることが可能とされている。
【0059】
発光部80、撮像レンズ81及び撮像カメラ82は、昇降プレート83に対して一体的に組み合されている。これにより、昇降プレート83を上下方向L1に移動させることで、発光部80、撮像レンズ81及び撮像カメラ82をワーク束W1に対して上下方向L1に接近離間させることが可能とされている。
【0060】
発光部80は、回転軸線Oと同軸に配置された環状のリング枠80aと、リング枠80aの内側に取り付けられ、下方に向けて光を照射する図示しないLEDと、を備えている。リング枠80aは、例えば内径が回転テーブル70の外径とほぼ同径の環状に形成されている。LEDは、例えばリング枠80aの内側に周方向に間隔をあけて複数配置され、所定の周波数帯域に調整された光を、ワーク束W1に対してむらなく照射することが可能とされている。
【0061】
撮像レンズ81は、発光部80よりも上方に配置されていると共に、回転軸線Oと同軸に配置されている。撮像レンズ81は、リング枠80aの内側を通じてワーク束W1を撮像することが可能とされている。撮像カメラ82は、撮像レンズ81の上端部に固定されている。
【0062】
上述のように構成された撮像部6は、昇降プレート83の移動によって適切な焦点距離でワーク束W1を撮像し、複数のワークWの端面が写り込んだ図8に示す撮像画像90を取得する。
【0063】
図1図4に示すように、ディスペンサ7は、撮像部6に対して左右方向L3に並んで配置されていると共に、昇降プレート83に対して一体的に固定されている。これにより、ディスペンサ7は、昇降プレート83の上下方向L1への移動に伴って、ワーク束W1に対して上下方向L1に接近離間可能とされている。
ディスペンサ7は、端面処理として、上端面に開口した開口部を通じてワークWの内側に、充填材M(図10参照)を供給して、各ワークWの上端部側を封止する端面封止処理を行うユニットとされている。
なお、充填材Mとしては、特に限定されるものではないが、例えば接着剤等が挙げられる。
【0064】
ディスペンサ7は、充填材Mが内部に収容されたディスペンサ本体7aと、ディスペンサ本体7aの下面から下方に向けて突出すると共に、充填材Mを液滴状に下方に向けて吐出するノズル部7bと、を備えている。
ノズル部7bは、制御部9からの指示に基づいて所定のタイミングで充填材Mを液滴状に吐出する。このときノズル部7bは、ワークWの内径より僅かに大きく、且つワークWの外径以下の外径を有する液滴状で充填材Mを下方に向けて吐出する。これにより、吐出した液滴状の充填材MをワークWの内側に充填させることが可能とされている。
【0065】
なお、ノズル部7bの先端部をワークWの上端面よりも上方に所定距離離間した位置から液滴状の充填材Mを吐出して、充填材MをワークWの内側に吹き付けるように充填しても構わないし、ノズル部7bの先端部をワークWの上端面に近接させた状態で液滴状の充填材Mを吐出して、充填材MをワークWの内側に直接的に流し込むように充填させても構わない。
【0066】
図1に示すように、制御部9は例えば図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、各種インターフェース等を備え、上述した各種構成品を総合的に制御している。
特に制御部9は、ディスペンサ7に端面封止処理を行わせるワークWの処理順番を、撮像部6で取得された撮像画像90に基づいて決定すると共に、決定した処理順番で端面封止処理を行うように各構成部品の動作を制御する。
【0067】
制御部9は、撮像画像90に基づいて、複数のワークWの中から一方向に沿って並んでいるワークWの集まりをワーク群Fとして抽出する抽出部9aを備えている。そして制御部9は、抽出したワーク群Fの端面封止処理を行わせるときに回転部5を作動させて、上記一方向が移動テーブル3の移動方向に一致するようにワーク束W1を回転軸線O回りに回転させるように制御する。
【0068】
本実施形態では、ワーク群FのワークWが並んでいる方向が、撮像部6とディスペンサ7とが並んでいる方向である左右方向L3に一致するように回転部5を制御する。なお、図1以外の各図面では、制御部9の図示を省略している。
【0069】
(端面処理装置の作用)
次に上述のように構成された端面処理装置1を利用して、ワーク束W1における各ワークWに対して端面封止処理を行う場合について説明する。
なお、初期状態として、図1図4に示すように、ワーク束W1がクランプ部2によって安定的に保持された状態で、ワーク束W1の中心線が回転軸線Oとほぼ一致するように移動テーブル3が位置しているものとする。
【0070】
このような状況のもと端面封止処理を行う場合には、まず、クランプ部2によって保持されたワーク束W1を撮像部6によって上方から撮像する。
具体的には、昇降プレート83を上下方向L1に移動させることで、撮像レンズ81を適切な焦点距離分だけ離間させた状態でワーク束W1の上方に配置する。そして、発光部80によって照明されたワーク束W1を、撮像レンズ81を通じて撮像カメラ82が撮像する。これにより、各ワークWの上端面が写り込んだ図8に示す撮像画像90を取得することができる。
【0071】
そのため、制御部9は撮像画像90から各ワークWが上下方向L1に対して交差する水平面内においてどのような並びで束ねられているかを把握することができる。換言すれば、制御部9は、撮像画像90から、上下方向L1に対して交差する水平面内において全てのワークWに対して端面の位置をそれぞれ抽出することができる。ここで、端面の位置とは、公知の画像処理方法で抽出可能な、端面の面積中心、端面の重心、端面の外形状及び内形状位置、端面の外形状及び内形状の一部分位置等を含む。
また、制御部9における抽出部9aは、各端面の位置関係に基づいて、複数のワークWの中から一方向に沿って並んでいるワークWの集まりをワーク群Fとして抽出する。例えば、全てのワークWの中から同じ一方向に並んでいる複数個のワークWの集まりを第1のワーク群Fとして抽出し、第1のワーク群Fとは異なる方向であって、且つ同じ一方向に並んでいる別の複数個のワークWの集まりを第2のワーク群Fとして抽出するといったように、制御部9は複数のワーク群Fを抽出する。
【0072】
具体的には、抽出部9aは、図8に示すように、撮像画像90から全てのワークWに対して上端面における面積中心Cをそれぞれ抽出すると共に、各面積中心C同士の位置関係に基づいてワーク群Fを抽出する。
なお、各面積中心C同士の位置関係に基づきワーク群Fを抽出することに限定されるものではなく、抽出された各端面の位置関係に基づいてワーク群Fを抽出することが可能である。
【0073】
以下、各面積中心C同士の位置関係に基づく、より詳細なワーク群Fの抽出方法の一例について説明する。
全てのワークWの面積中心Cを抽出した後、回転軸線Oに最も近いワークWの面積中心Cを基準位置C1として決定する。次いで基準位置C1を通過し、且つワーク束W1の径方向に延びる仮想線VLを、基準位置C1を基点として所定の回転角度毎に360度の範囲内で複数本形成する。
つまり、基準位置C1を基点として、複数の仮想線VLが放射状に配置されるように形成する。なお、図8では4本の仮想線VLを一例として示している。
【0074】
次いで、これら複数の仮想線VLのうち、仮想線VL上にワークWの面積中心Cが最も多く重なる、或いは近似して配置されている状態の仮想線VLを抽出する。そして、この抽出した仮想線VLに対応したワークWの集まりを第1のワーク群Fとして決定する。
【0075】
上述のように第1のワーク群Fを決定(抽出)した後、全てのワークWから第1のワーク群Fを構成するワークWを除いた、残りのワークWについて、上述した抽出作業を繰り返し行うことで、第2のワーク群F、第3のワーク群Fといったようにワーク群Fを抽出する。なお、図8では、一例として第1のワーク群Fを点線で囲んで示している。
【0076】
なお、ワーク群Fを抽出する際の上記近似とは、例えば仮想線VLから面積中心Cが許容範囲内で僅かにずれて位置している場合である。この場合の許容範囲とは、例えばディスペンサ7のノズル部7bから吐出される液滴状の充填材Mが、ワークWの内側に充填可能とされる程度のずれ量に相当する。
【0077】
制御部9は、上述のようにワーク群Fの抽出を行った後、端面封止処理を行わせるワークWの処理順番を決定する。具体的には制御部9は、どのワーク群Fから端面封止処理を行わせるかワーク群Fの処理順番を決定すると共に、ワーク群F内においてどのワークWから端面封止処理を行わせるかワークWの処理順番を決定する。
そして制御部9は、決定した処理順番で端面封止処理を行うように、各構成部品の動作を制御する。
【0078】
特に制御部9は、各ワーク群Fの端面封止処理を行わせる際、該ワーク群Fの方向、すなわち複数個のワークWが並んでいる方向が、移動テーブル3の移動方向に一致するように回転部5を作動させる。本実施形態では、撮像部6とディスペンサ7とが並んでいる方向である左右方向L3に一致するように回転部5を制御する。
【0079】
これにより、図7に示す状態から図9に示す状態のように、クランプ部2によって保持されたワーク束W1を、図9に示す矢印の如く回転軸線O回りに回転させることで、端面封止処理を行う前段階で、第1のワーク群FのワークWが並んでいる方向を移動テーブル3の移動方向である左右方向L3に一致させることができる。
【0080】
これにより、前後ボールねじ52を利用して、ディスペンサ7のノズル部7bと第1のワーク群Fとの前後方向L2位置が一致するように前後テーブル30を前後方向L2に移動させた後、左右ボールねじ62を利用して、左右テーブル40をノズル部7b側に向けて左右方向L3に直線移動させることで、第1のワーク群Fにおける各ワークWがノズル部7bの真下を連続的に通過するように移動させることができる。従って、ノズル部7bを利用して、各ワークWに対して液滴状の充填材Mを順次吐出することができ、図10に示すように各ワークWの内側に充填材Mを充填して端面封止処理を連続的に行うことができる。
【0081】
なお、ワーク束W1、第1クランプ部2a及び第2クランプ部2bは、第3貫通孔、第2貫通孔32及び第1貫通孔14を挿通するように配置されているので、前後方向L2及び左右方向L3に移動したとしても、上部テーブル11及び前後テーブル30に対して接触することはない。
【0082】
なお、次のワーク群Fへの端面封止処理を行う場合には、そのワーク群FのワークWが並んでいる方向が左右方向L3に一致するように、上述と同様に回転部5を作動させる。これにより、次のワーク群Fにおける各ワークWに対しても、同様に端面封止処理を連続的に行うことができる。
【0083】
以上説明したように、本実施形態の端面処理装置1によれば、複数のワークWがどのような並びで束ねられてワーク束W1になっていたとしても、移動テーブル3の移動方向に沿って直線移動させながらディスペンサ7を利用して端面封止処理を連続的に行うことができる。これにより、結果的にスループットを向上することができ、端面封止処理を効率良く行うことができる。
【0084】
さらに、例えば第2方向及び第3方向に移動テーブル3を繰り返し微小移動させるような、いわゆるジグザグ移動を行わせる場合に比べて、左右テーブル40を左右方向L3に直線移動させれば良いので、機械的なバックラッシュ誤差が累積することを抑制することができる。そのため、各ワークWに対してディスペンサ7のノズル部7bをアプローチさせる際に、各ワークWに対するノズル部7bの位置精度を向上させることができる。従って、各ワークWに対する端面封止処理を精度良く行うことができる。
【0085】
さらに、本実施形態の端面処理装置1によれば、以下の作用効果を奏功することができる。
すなわち、制御部9の抽出部9aが、撮像画像90から上下方向L1に対して交差する水平面内において各ワークWの上端面の位置を抽出するのでワークWがどのような並びで束ねられているか把握し易い。例えば、各端面の位置として各端面の面積中心Cを抽出する場合は、ワークWの外形がどのような形状であったとしても、面積中心C同士の位置関係に基づいてワークWがどのような並びで束ねられているかを正確に把握し易い。従って、各面積中心C同士の位置関係に基づいてワーク群Fをより正確に抽出することができる。
【0086】
また、径方向に相対的に接近離間可能とされた第1クランプ部2a及び第2クランプ部2bを利用して、ワーク束W1を径方向の外側から挟み込むので、ワーク束W1を安定に保持できると共に、ワーク束W1のセット或いは取り外し等をスムーズに行うことができる。しかも、第1クランプ部2a及び第2クランプ部2bを利用してワーク束W1をほぼ全長に亘って広範囲に安定的に保持することができるので、がたつき或いは傾き等を生じさせることなくワーク束W1を保持することができる。従って、端面封止処理を精度良く行い易い。
【0087】
さらに、回転テーブル70の内側に第1クランプ部2a及び第2クランプ部2bで保持されたワーク束W1を配置できるので、ワーク束W1における中心軸を回転テーブル70の回転軸線Oに一致させ易い。従って、回転軸線O回りに回転テーブル70を回転させることで、ワーク群FのワークWが並んでいる方向を、移動テーブル3の移動方向に一致させる作業を効率良く且つスムーズに行うことができる。
【0088】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0089】
例えば上記実施形態では、円筒状に形成された中空のワークを例に挙げて説明すると共に、端面処理として、ワークの内側に充填材を充填することで端面封止処理を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではない。
例えば、ワークの形状としては、外形が楕円や、三角形等の多角形状とされた中空に形成されていても構わないし、中空ではなく例えば円柱状等の中実に形成されていても構わない。具体的には、ワークとしては例えば中空糸或いは光ファイバー等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
さらに、端面処理としては、端面封止処理以外の処理、例えば端面加工、端面検査等でも良く、特に限定されるものではない。
【0090】
また、主にボールねじを利用して、移動テーブル(前後テーブル及び左右テーブル)を移動させたが、ボールねじに限定されるものではなく、その他の公知の駆動機構を利用して移動テーブルを移動させても構わない。
【符号の説明】
【0091】
F…ワーク群
O…回転軸線
W…ワーク
W1…ワーク束
L1…上下方向(第1方向)
L2…前後方向(第2方向)
L3…左右方向(第3方向)
1…端面処理装置
2…クランプ部(保持部)
2a…第1クランプ部
2b…第2クランプ部
3…移動テーブル(可動体)
4…駆動部
5…回転部
6…撮像部
7…ディスペンサ(処理部)
9…制御部
70…回転テーブル
90…撮像画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10