IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヴァルレック オイル アンド ガス フランスの特許一覧 ▶ 新日鐵住金株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-中間肩部を含むねじ接続 図1
  • 特許-中間肩部を含むねじ接続 図2
  • 特許-中間肩部を含むねじ接続 図3
  • 特許-中間肩部を含むねじ接続 図4
  • 特許-中間肩部を含むねじ接続 図5
  • 特許-中間肩部を含むねじ接続 図6
  • 特許-中間肩部を含むねじ接続 図7
  • 特許-中間肩部を含むねじ接続 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-22
(45)【発行日】2022-05-06
(54)【発明の名称】中間肩部を含むねじ接続
(51)【国際特許分類】
   F16L 15/04 20060101AFI20220425BHJP
【FI】
F16L15/04 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018530008
(86)(22)【出願日】2016-12-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-12-13
(86)【国際出願番号】 EP2016079743
(87)【国際公開番号】W WO2017097700
(87)【国際公開日】2017-06-15
【審査請求日】2019-10-04
(31)【優先権主張番号】14/967,111
(32)【優先日】2015-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504255249
【氏名又は名称】ヴァルレック オイル アンド ガス フランス
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デイリー,デイリー
(72)【発明者】
【氏名】フォザーギル,アラン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルレ,セバスチャン
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-536339(JP,A)
【文献】特表2004-504563(JP,A)
【文献】特表2015-534614(JP,A)
【文献】特開平10-096486(JP,A)
【文献】特表2014-519583(JP,A)
【文献】特表2011-501075(JP,A)
【文献】特表2008-516155(JP,A)
【文献】特開2007-205361(JP,A)
【文献】特開2005-214423(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の管状コンポーネントと第2の管状コンポーネントを備え、
前記第1の管状コンポーネントは、内表面に画定された雌型部を含み、前記雌型部は、第1の肩部により前記第1の管状コンポーネントの長手方向軸に対して径方向にオフセットされた内側ねじ部および外側ねじ部を含み、
前記第2の管状コンポーネントは、外表面に画定された雄型部を含み、前記雄型部は、第2の肩部により前記第2の管状コンポーネントの長手方向軸に対して径方向にオフセットされた内側ねじ部と外側ねじ部を含み、前記第2の肩部は、前記雄型部が前記雌型部に接続されると、前記第1の肩部に当接し、
前記雌型部の前記内側ねじ部および前記外側ねじ部と前記雄型部の前記内側ねじ部および前記外側ねじ部は、6%以下でテーパ軸に沿ってテーパ状になっており、
前記第1の管状コンポーネントは、第1の壁によって画定され、前記第2の管状コンポーネントは、第2の壁によって画定され、前記第1の肩部における対になる肩部の接触面積と前記第1の管状コンポーネントの公称断面の面積比は、15%以上および25%以下であり、
前記第2の肩部における対になる肩部の接触面積と前記第2の管状コンポーネントの公称断面の面積比は、15%以上および25%以下である、ねじ管状接続。
【請求項2】
前記雌型部の前記内側ねじ部および前記外側ねじ部と前記雄型部の前記内側ねじ部および前記外側ねじ部は、頂部面および谷底面を有する歯を含み、前記頂部面および前記谷底面は、円筒形であり、平坦であり、前記長手方向軸に沿って形成された断面に沿って各管状コンポーネントの前記長手方向軸に平行である、請求項1に記載のねじ管状接続。
【請求項3】
前記雌型部の前記内側ねじ部および前記外側ねじ部と前記雄型部の前記内側ねじ部および前記外側ねじ部は、台形状の歯を含む、請求項1に記載のねじ管状接続。
【請求項4】
前記雌型部の前記内側ねじ部および前記外側ねじ部と前記雄型部の前記内側ねじ部および前記外側ねじ部は、各長手方向の端部に複数のより短い歯を含む、請求項に記載のねじ管状接続。
【請求項5】
前記歯は、頂部面および谷底面を含み、前記頂部面および前記谷底面はともに、各管状コンポーネントの前記長手方向軸に平行である、請求項に記載のねじ管状接続。
【請求項6】
前記台形状の歯の各々は、スタビングフランクおよびロードフランクを含む、請求項に記載のねじ管状接続。
【請求項7】
前記雄型部の前記台形状の歯の少なくとも一つは、ポケットを形成するように、前記ロードフランクと前記頂部面との間の角部が面取りされている、請求項に記載のねじ管状接続。
【請求項8】
前記雌型部の内側端部と前記雄型部の外側端部は、前記雄型部が前記雌型部に接続されると、流体封止を形成するように接触する、請求項1に記載のねじ管状接続。
【請求項9】
前記雌型部の前記内側端部と前記雄型部の前記外側端部の一方は、ドーム状の部分を含み、前記雌型部の前記内側端部と前記雄型部の前記外側端部の他方は、円錐状部分を含む、請求項に記載のねじ管状接続。
【請求項10】
前記雄型部の前記外側端部は、先端を含み、前記雌型部の前記内側端部は、前記先端を収容するための端部肩部を含み、前記先端と前記端部肩部は、前記流体封止の下流で離間されている、請求項に記載のねじ管状接続。
【請求項11】
前記雄型部と前記雌型部は、前記雄型部が前記雌型部に接続されると、前記雄型部の先端の近傍に、少なくとも一つのポケットを形成するように形作られる、請求項1に記載のねじ管状接続。
【請求項12】
前記雄型部の前記外側ねじ部および前記雌型部の前記内側ねじ部は、前記雄型部が前記雌型部に接続されると、らせん状経路として形作られるポケットを形成するように形作られる、請求項1に記載のねじ管状接続。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管状コンポーネント、より具体的には、長手方向の端部に形成された雄型ねじ部と雌型ねじ部によって接続される金属管状コンポーネントを接続する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ある種のねじ管状接続(threaded tubular connection)は、主に、ケーシングストリング、チュービングストリングまたはドリルパイプストリングを形成する管状コンポーネントを接続し、油井の一部として炭化水素を探し、または炭化水素を輸送するために用いられている。ねじ管状接続は、ボアホールの安定性を提供するケーシングストリングに用いられ、および/または、より小さなケーシングストリング、チュービングまたはツールの通過を可能にする円滑なボアホールを設けるために用いられる。このようなねじ管状接続は、強さが変動する応力の様々な組合せに曝されている。例えば、該応力は、軸方向張力,軸方向圧縮,内部圧力,外部流体圧力,曲げ力,捩れ力等のうちの一つまたは組合せである可能性がある。管状接続は、破断に耐えられるように、かつ応力と困難な稼働条件の組合せにもかかわらず、液密または気密の封止をもたらすように設計されている。該応力は、パイプが油井中に下ろされる際に、または稼働中に本質的に変化する可能性がある。例えば、引張応力が、圧縮応力に対して一時的に変化する可能性がある。
【0003】
機械的特性および緊張に関して満足な結果を生み出す様々な炭化水素運搬チューブが存在している。その幾つかは細いアセンブリに役立ち、各々が一つの雄型ねじ端部と一つの雌型ねじ端部を有する管状要素の利用を伴っている。それらのアセンブリは、一般的に一体アセンブリまたは接続と呼ばれ、カップリングまたはスリーブを使用するアセンブリまたはT&C接続とは対照的である。
【0004】
このような一体アセンブリは、一般的には、雌型ねじ切り部に対応する端部の直径が拡張され、および雄型ねじ切り部に対応する端部の直径が縮小された管に形成されている。これは、管を接合するアセンブリの幾何学的および機械的強度を確実にするように、該管の厚みに十分な材料を有するために行われている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一態様では、ねじ管状接続は、第1の管状コンポーネントと第2の管状コンポーネントを備え、前記第1の管状コンポーネントは、内表面(interior surface)に画定された雌型部を含み、前記雌型部は、第1の肩部により前記第1の管状コンポーネントの長手方向軸に対して径方向にオフセットされた内側ねじ部および外側ねじ部を含み、前記第2の管状コンポーネントは、外表面(exterior surface)に画定された雄型部を含み、前記雄型部は、第2の肩部により前記第2の管状コンポーネントの長手方向軸に対して径方向にオフセットされた内側ねじ部と外側ねじ部を含み、前記第2の肩部は、前記雄型部が前記雌型部に接続されると、前記第1の肩部に当接し、前記雌型部の前記内側ねじ部および前記外側ねじ部と前記雄型部の前記内側ねじ部および前記外側ねじ部は、約6%以下でテーパ軸に沿ってテーパ状になっている。前記雌型部の前記内側ねじ部および前記外側ねじ部と前記雄型部の前記内側ねじ部および前記外側ねじ部は、頂部面および谷底面を有する歯を含み、前記頂部面および前記谷底面は、円筒形であり、平坦であり、前記長手方向軸に沿って形成された断面に沿って前記管状コンポーネントの前記長手方向軸に平行である。
【0006】
本発明の他の態様では、ねじ管状接続は、第1の管状コンポーネントと第2の管状コンポーネントを備え、前記第1の管状コンポーネントは、内表面に画定された雌型部を含み、前記雌型部は、第1の肩部により前記第1の管状コンポーネントの長手方向軸に対して径方向にオフセットされた内側ねじ部および外側ねじ部を含み、前記第2の管状コンポーネントは、外表面に画定された雄型部を含み、前記雄型部は、前記雌型部に挿入され、前記雄型部は、第2の肩部により前記第2の管状コンポーネントの長手方向軸に対して径方向にオフセットされた内側ねじ部および外側ねじ部を含み、前記第2の肩部は、前記雄型部が前記雌型部に接続されると、前記第1の肩部に当接し、前記第1の肩部における対になる肩部の接触面積(mated shoulder contact area)と前記第1の管状コンポーネントの公称断面の面積比は、15%以上および25%以下であり、前記第2の肩部における対になる肩部の接触面積と前記第2の管状コンポーネントの公称断面の面積比は、15%以上および25%以下である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明および本発明の多くの付随する効果のより完全な理解は、添付図面とともに熟考されるとき、以下の詳細な説明の参照によって容易に得られる。
図1】非接続状態における、第1の管状コンポーネントの実施例の第1の端部の半分と、第2の管状コンポーネントの実施例の第2の端部の半分の部分断面図である。
図2】接続状態における、第1の管状コンポーネントの第1の端部の半分と、第2の管状コンポーネントの第2の端部の半分の部分断面図である。
図3】接続状態における、第1の管状コンポーネントの第1の肩部と、第2の管状コンポーネントの第2の肩部の詳細な部分断面図である。
図4】非接続状態における、第1の管状コンポーネントのねじ部の歯のセットおよび第2の管状コンポーネントのねじ部の歯のセットの実施例の詳細な部分断面図である。
図5】所定のねじ部における長手方向の端部の領域および中間の領域の実施例の概略図である。
図6】接続状態における、雄型部の先端と、雌型部の端部肩部(terminal shoulder)の実施例の詳細な部分断面図である。
図7】第1の端部と第2の端部を含む管状コンポーネントの実施例の側面図である。
図8】管状コンポーネントの長手方向軸に沿って切断した図8の管状コンポーネントの側面,断面図(side, cross-sectional view)である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面に関して説明すると、幾つかの図を通して同様の参照数字は、同一または類似の部材を指すものとする。
【0009】
本願明細書に開示したねじ接続は、長々と延ばすことが可能な管状構造を形成するように接続される管状コンポーネントに関する。該管状コンポーネントを用いて組立てた管状構造は、オイル、ガス、水等の流体がそこを通って移動することを可能にする内部流路を形成する。
【0010】
図1を参照すると、第1の管状コンポーネント12と第2の管状コンポーネント14の間のねじ管状接続10の実施例が非接続状態で図示されている。第1の管状コンポーネント12と第2の管状コンポーネント14は、第1の管状コンポーネント12および第2の管状コンポーネント14が、第1の端部10aに雌型部16を有し、第2の端部10bに雄型部18を有するように、同じように形成することができる。図7は、実施例の管状コンポーネントの全体を示している。図7の管状コンポーネントは、第1の管状コンポーネント12または第2の管状コンポーネント14のどちらであってもよい。また、第1の端部10aおよび第2の端部10bは、管状コンポーネント12,14が組立後に想定する方向を考慮すると、上流端部および下流端部と呼んでもよい。第1の管状コンポーネント12は、第1の壁22によって画定することができ、一方、第2の管状コンポーネント14は、第2の壁24によって画定することができる。具体的には、図1は、第1の管状コンポーネント12の第1の端部10aの上半分の断面と、第2の管状コンポーネント14の第2の端部10bの上半分の断面を示す断面図である。第1の管状コンポーネント12の第1の端部10aおよび第2の管状コンポーネント14の第2の端部10bの断面の全体は、説明を簡単にするために図示されていない。
【0011】
図8は、管状コンポーネントが、該管状コンポーネントの長手方向軸に沿って切断された管状コンポーネントの断面図である。第1の管状コンポーネント12の第1の端部10aは、ボックスとも呼ばれるねじ管状接続10の雌型部16によって構成されている。雌型部16は、図1の左方向の雌型部16に沿って公称壁厚を形成するように第1の壁22の厚さが徐々に減るように、第1の壁22の内部または内面に形成されている。第1の管状コンポーネント12の第1の端部10aの外径は、第1の管状コンポーネント12の他方の長手方向に位置する部分に対して雌型部16に沿って広げてもよい。第2の管状コンポーネント14の第2の端部10bは、ピンとも呼ばれるねじ管状接続10の雄型部18とともに構成されている。雄型部18は、第2の壁24の厚さが、図1の右方向の雄型部18に沿って公称壁厚から徐々に減るように、第2の壁24の外側または外側面に形成されている。第1の壁22と第2の壁24は、同じ公称壁厚および同じ外径を有している。雄型部18に沿った内径は、第2の管状コンポーネント14の他方の長手方向に位置する部分と同じであってもよい。雄型部18bに沿った内径は、図1および図2に示すような端部サイジングプロセスにより減らしてもよい。雄型部18は、図2に示すように、雌型部16に挿入されて、該雌型部と連結されるように構成されている。したがって、雄型部18の長さと、雌型部16の長さは、実質的に同じであってもよい。
【0012】
雌型部16は、外側端部16aと、外側ねじ部16bと、第1の肩部16cと、内側ねじ部16dと、内側端部16eと、を含むことができる。外側端部16aは、雄型部18の進入のため、実質的に円錐台状の開口を含んでもよい。雌型部16の外側ねじ部16bおよび内側ねじ部16dは、ねじ係合により、雄型部18の対応する形状構成と連結するように構成されている。外側ねじ部16bおよび内側ねじ部16dは、第1の壁22が、図1の右方向に雌型部16に沿って徐々に厚くなるように、先細りに形成されている。該ねじ部の歯については、より詳細に後述する。雌型部16の外側ねじ部16bおよび内側ねじ部16dは、管状コンポーネント12の長手方向軸Xに対して径方向にオフセットされ、かつ第1の横断面26を含んでもよい第1の肩部16cによって第1の壁22に対して横方向にオフセットさせてもよい。図1図2における第1の横断面26は、管状コンポーネント12の長手方向軸Xの周りで径方向に向けられるように図示されているが、第1の横断面26は、異なる方向に設けてもよい。
【0013】
雄型部18は、内側端部18aと、内側ねじ部18bと、第2の肩部18cと、外側ねじ部18dと、外側端部18eとを含むことができる。内側端部18aは、雌型部16の外側端部16aの円錐台状開口内に実質的にフィットするように円錐台状に形成することができる。雄型部18の内側ねじ部18bおよび外側ねじ部18dは、ねじ係合により収容されて、雌型部16の外側ねじ部16bおよび内側ねじ部16dと夫々連結するように構成されている。雄型部18の内側ねじ部18bおよび外側ねじ部18dは、第2の壁24が、図4でより詳細に説明するように、図1の右方向に雄型部18に沿って徐々に薄くなるように先細りにすることができる。雄型部18の外側ねじ部18dおよび内側ねじ部18bは、管状コンポーネント14の長手方向軸に対して径方向に、および第2の肩部18cにより、第2の壁24に対して横方向にオフセットさせることができる。第2の肩部18cは、雄型部18が、図2に示すように、雌型部16と螺合接続または該雌型部と嵌合されると第1の横断面26に接触する第2の横断面28を含むことができる。第2の横断面28は、第2の横断面28が、第1の横断面26と同様に向けられている限り、管状コンポーネント14の長手方向軸周りに垂直に向けられる必要はない。雌型部16の内側端部16eは、雄型部18の外側端部18eを収容するように形成することができる。具体的には、雌型部16の内側端部16eと雄型部18の外側端部18eは、より詳細に後述するように、端部肩部30と先端20を夫々含んでもよい。さらに、各管状コンポーネント12,14の外径は、第1の端部10aおよび第2の端部10bの外径を除いて一定であってもよい。各管状コンポーネント12,14の外径は、第1の端部10aに沿ったその最大部にあってもよく、また、第2の端部10bに沿ったその最小部にあってもよい。さらに、管状コンポーネント12,14の各々の内径は、図2の接続状態に示すように、第1の端部10aおよび第2の端部10bに沿った箇所を除いて一定であってもよい。管状コンポーネント12,14の内径は、第1の端部10aに沿ったその最大部にあってもよく、また、第2の端部10bに沿ったその最小部にあってもよい。
【0014】
図2は、雄型部18が雌型部16に挿入され螺入されて接続状態に達すると、第1の端部10aの雌型部16と第2の端部10bの雄型部18がどのように連結されるかを示している。雌型部16の第1の横断面26と雄型部18の第2の横断面28は、接続状態で互いに当接するように構成されている。したがって、第1および第2の横断面26,28の形状は、該ねじ接続の圧縮荷重能力に影響を与える。横断面26,28は、環状に形成することができる。一実施の形態において、対になる肩部と第1の肩部16cの環状の第1の横断面26の接触面積は、第1の管状コンポーネント12の公称断面の面積の15%以上および25%以下にすることができ、一方、対になる肩部と第2の肩部18cの環状の第2の横断面28の接触面積は、第2の管状コンポーネント14の公称断面の面積の15%以上および25%以下にすることができる。管状コンポーネントの公称断面は、該管状コンポーネントが公称外径および公称内径を有した第1の端部10aまたは第2の端部10b以外の部分において、該管状コンポーネントを横断する断面として定義することができる。別の実施の形態では、対になる肩部と第1の肩部16cの環状の第1の横断面26の接触面積は、第1の管状コンポーネント12の公称断面の面積の17%以上および23%以下にすることができ、一方、対になる肩部と第2の肩部18cの環状の第2の横断面28の接触面積は、第2の管状コンポーネント14の公称断面の面積の17%以上および23%以下とすることができる。第1の肩部16cおよび第2の肩部18cは、管状コンポーネント12,14の軸方向に作用する圧縮荷重に抗して支持するのに役に立つ可能性がある。
【0015】
さらに、雌型部16および雄型部18の形状として、管状コンポーネント12,14の長手方向軸に沿った所定の領域において、雌型部16の内表面と雄型部18の外表面の間にギャップが形成されている。該ギャップは、雌型部16と雄型部18の間の組立を容易にして、該組立を容易にするように機能することができる。例えば、図3に示すように、管状コンポーネント12,14の組立を容易にするために、第1および第2の肩部16c、18cに隣接してギャップ29を設けてもよい。
【0016】
ねじ部は、それが内側ねじ部16dまたは内側ねじ部18bであろうが、それが外側ねじ部16bまたは18dであろうが、それが雄型部18または雌型部16の一部であろうが、異なる形状の歯を含んでもよい。図1図2図5に示すように、所定のねじ部は、2つの長手方向の端部領域36a,36bと、2つの長手方向の端部領域36a,36bの間に位置する中間の領域38と、に分けてもよい。所定のねじ部内において、歯32は、同じ長さを有していてもよいが、中間の領域38が、完全に形成された高い歯32で全体が形成されるとともに、長手方向の端部領域36a,36bが、より短い歯34で形成されるように、高さを変えてもよい。より短い歯34は、同じ長さを有してもよいが、互いに高さを変えてもよく、形状を変えてもよい。より短い歯34は、台形であってもよい。より短い歯34および完全に形成された歯32はどちらも台形であってもよいが、より短い歯34は、異なる形状の台形であってもよい。さらに、ねじ部の長手方向の端部領域36a,36bの各々は、複数のより短い歯34を含むことができる。さらに、より短い歯34は、中間の領域38に近づくにつれて、徐々に高さを増加させてもよく、また、中間の領域38から離れるにつれて、徐々に高さを減らしてもよい。
【0017】
図4は、雌型部16の外側ねじ部16bおよび内側ねじ部16dの部分、または雄型部18の内側ねじ部18bおよび外側ねじ部18dの部分を形成することができる歯32の詳細図である。図4において、雌型部16および雄型部18の歯は、非接続状態で図示されている。
【0018】
図4に示すように、台形の形状構成を有する歯は、スタビングフランク32aと、ロードフランク32bと、頂部面32cと、谷底面32dと、を含むことができる。完全に形成された台形状の歯32の一実施の形態において、頂部面32cおよび谷底面32dは、図4に示すように、長手方向の断面に沿って、頂部面32cおよび谷底面32dが平坦かつ互いに平行であるように、円筒形にすることができる。頂部面32cと谷底面32dは、グリースが留まることができるポケット31を形成するように互いに離間され、このようなポケット31は、グリースのためのらせん状経路を形成している(図3)。さらに、頂部面32cと谷底面32dは、管状コンポーネント12,14の長手方向軸Xに対して平行にすることができる。しかしながら、中間の領域38における完全に形成された歯32は、図4に示すように、テーパ軸Yが、管状コンポーネントの長手方向軸Xに対して傾斜するように、中間の領域38に沿って先細りになるように形成することができる。
【0019】
雌型部16の一実施の形態において、テーパ軸Yは、外側ねじ部16bおよび内側ねじ部16dに沿った雌型部16の内径が、図4の右方向において、長さが16インチ間隔毎に1インチから、長さが19インチ間隔毎に1インチまでの範囲の略値だけ減るようにすることができる。同様に、雄型部18の一実施の形態において、テーパ軸Yは、内側ねじ部18bおよび外側ねじ部18dに沿った雄型部18の外径が、図4の右方向において、長さが16インチ間隔毎に1インチから、長さが19インチ間隔毎に1インチまでの範囲の略値だけ減るようにすることができる。さらに、図4は、テーパ軸Yと平行であり、頂部面32cおよび谷底面32dに正接する軸Y’を示している。
【0020】
図5に概略的に示すねじ部の実施の形態において、中間の領域38の完全に形成された歯32ならびに長手方向の端部領域36aおよび36bのより短い高さの歯34は、長手方向軸Xと平行である頂部面32cおよび谷底面32dを含むことができる。図5に示すように、長手方向の端部領域36a,36bは、一方の長手方向の端部領域が、他方の長手方向の端部領域よりも多くのより短い歯を含むように、長さの異なるねじ部の部分を占めることができる。接続状態において、頂部面32cは、潤滑剤のためのらせん状経路(図3)として形成されたポケット31を可能にするために、谷底面32dから離間されている。
【0021】
さらに、雄型部18の歯32と雌型部16の歯32は、互いにぴったりフィットするように同様に形成することができ、一方、雄型部18の歯の形状と雌型部16の歯の形状は、一つ以上のポケットを形成することができる。例えば、図4の実施の形態において、雄型部18のロードフランク32bと頂部面32cの間の角部は、この第1の領域内において、雄型部18の歯32と雌型部16の歯32の間にある程度の空間を形成する面取り領域42を含んでもよい。また、スタビングフランク32aと谷底面32dの間の角部は、図4に示すように、この第2の領域において、雄型部18の歯32と雌型部16の歯32の間にポケットを形成する面取り領域44を含んでもよい。このようなポケットは、雌型部16および雄型部18に塗布された潤滑剤が該ポケット内に集められることを可能にし、または、管状コンポーネント12,14のねじ接続を容易にするために設けることができる。また、このようなポケットは、雄型部18の雌型部16へのスライドおよび組立の両方のパフォーマンスを改善する。
【0022】
さらに、上述したように、図6に示すように、雄型部18は、その外側端部18eに先端20を含んでもよく、また、雌型部16の内側端部16eは、雄型部18の先端20を収容するように形成されている端部肩部30を含んでもよい。内側端部16eは、外側端部18eを収容するように構成されているが、内側端部16eと外側端部18eは、限定された領域のみで、各他方に接触してもよい。一実施の形態において、内側端部16eの面52は、外側端部18eの面50に接触するように適合させることができる。面50と面52の一方は、比較的大きな曲率半径を有するドーム状の形状構成で形成することができ、一方、面50と面52の他方は、流体封止をこれらの面50,52に沿って形成できるように、円錐形の形状構成で形成してもよい。また、ドーム状の形状構成を有する面50または面52は、一つ以上の曲率半径を有することも可能である。面50,52は、テーパ状部分を含んでもよい。端部肩部30の端部肩部の面48は、管状コンポーネント12,14の径方向に対してある角度をなすように向けることができる。しかしながら、先端20および端部30は、外側端部18eと内側端部16eが、面50,52でのみ接触するように、離間関係になるように構成してもよい。それにもかかわらず、端部肩部30の一部は、図6に示すようなかなり大きなポケット40,46が形成されるように、先端20の形状から逸脱してもよい。ポケット46は、潤滑剤を集めるのに、または組立を容易にする空間を設けるのに利用することができる。
【0023】
さらに、雌型部16の外側端部16aおよび雄型部18の内側端部18aは、図1および図2に示すような流体封止を形成するように接触する面56および面54を夫々含んでもよい。面56,54の一方は、ドーム状に形成することができ、一方、面56,54の他方は、封止効果を実現するために、円錐状に形成することができる。
【0024】
また、雌型部16の面と雄型部18の面は、管状コンポーネント12,14の間に改善された封止を設けるように処理してもよい。例えば、互いに接触するように構成された雄型部18の外側端部18eと雌型部の内側端部16eに金属コーティングを施してもよい。雄型部18の外側端部18eのコーティング領域と、雌型部の内側端部16eは、シールを形成するように、および管状コンポーネント12,14の内側流路を通って移動する流体が、雌型部16と雄型部18の間の接合部を通って漏れるのが防止されるように、雄型部18が雌型部16に挿入されると、互いに接触することができる。同じコーティングを接続全体に施してもよい。
【0025】
本願明細書に記載の管状接続は、軸方向荷重抵抗に関して改良されたパフォーマンスをもたらす寸法で構成されている。具体的には、ねじ部のテーパリングは、肩部16c,18cが、管状コンポーネント12,14の壁22,24の厚さのより大きな部分を占めることを可能にする。管状コンポーネント12,14の内径が次第に小さくなっている場合、すべての穿孔、または他のケーシング、またはチュービング、またはツーリングアクセサリに対して定義されるドリフト径が悪くなる。また、管状コンポーネント12,14の外径が増加した場合、該管状構造は、これまで使用されていた管状構造を収容するという目的のために穿孔されたボアホールに対しては、もはや適していない可能性があり、または、該管状構造は、ボアホールでの他の用途を妨げる可能性がある。しかしながら、壁22,24の厚さが増加せず、および管状コンポーネント12,14の内径および外径が著しく影響を受けない場合は、ボアホールおよびそこで使われる他の用途との互換性を維持しながら、管状構造の流体運搬能力を低下させることなく、軸方向圧縮荷重の抵抗の向上が可能になる。
【0026】
本開示では、7インチ(177.8mm)~16インチ(406.4mm)、さらに20インチ(508mm)までの範囲の外径の幾つかのサイズに適用され、他の実施例では、9インチ7/8(250.8mm)~14インチ(355.6mm)の範囲のサイズに適用されている。パイプは、80ksi~140ksiの範囲の降伏強度の場合、鋼で形成し、一実施例では、炭素マルテンサイトステンレス鋼で形成することができる。壁22,24の公称壁厚は、0.453インチ(11.5mm)~0.820(20.82mm)の範囲にすることができる。ドリフト径は、6インチ(152.4mm)~14.750インチ(374.65mm)、他の実施例では、8.5インチ(215.9mm)~12.250インチ(311.15mm)にすることができる。
【0027】
上記教示を考慮すれば、本発明の多くの変更例および変形例が可能であることは明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲内で、本願明細書に具体的に記載されている方法および別の方法で、本発明を実施することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8