(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-22
(45)【発行日】2022-05-06
(54)【発明の名称】チェーン状態検出装置及びシート・フィルム延伸装置
(51)【国際特許分類】
B29C 55/12 20060101AFI20220425BHJP
B29C 55/08 20060101ALI20220425BHJP
B29C 55/14 20060101ALI20220425BHJP
B29C 55/16 20060101ALI20220425BHJP
【FI】
B29C55/12
B29C55/08
B29C55/14
B29C55/16
(21)【出願番号】P 2019007643
(22)【出願日】2019-01-21
【審査請求日】2021-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003458
【氏名又は名称】芝浦機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 佳久
(72)【発明者】
【氏名】萩原 拓也
(72)【発明者】
【氏名】板垣 裕太郎
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-052553(JP,A)
【文献】特許第5305963(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 55/02,55/08,55/12,55/14,55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部と、
前記発光部で発光した光が通る光経路と、
前記光経路を通った光を受光する受光部と、
前記受光部での光の受光状態に基づいてチェーンの状態を判定する判定部と、
を備え、
前記光経路は、
前記発光部で発光した第1検出光を受光する中継経路受光部と、
前記中継経路受光部で受光した光を第2検出光として発光する中継経路発光部と、
を有する中継経路を有し、
前記光経路は、空間に光を通す経路である離間経路を2箇所有し、
2箇所の前記離間経路は、前記チェーンの延在方向において前記チェーンの状態を判定する際の基準となる間隔で配置され
、
2箇所の前記離間経路のうち一方は、前記第1検出光が通る経路であり、他方は前記第2検出光が通る経路であることを特徴とするチェーン状態検出装置。
【請求項2】
前記判定部は、
前記受光部で光を受光する状態と光を受光しない状態とが繰り返される場合は、前記チェーンの状態は正常であると判定し、
前記受光部で光を受光しない状態が継続する場合は、前記チェーンの状態は異常であると判定する請求項1に記載のチェーン状態検出装置。
【請求項3】
請求項1
または2に記載のチェーン状態検出装置と、
シートまたはフィルムである延伸対象物の幅方向両端に配置され、前記延伸対象物を把持して延伸するクリップチェーンと、
を備え、
前記判定部で状態を判定する前記チェーンは前記クリップチェーンであり、
前記離間経路は、前記クリップチェーンの移動経路に対して交差し、
2箇所の前記離間経路は、前記クリップチェーンの延在方向において前記クリップチェーンの状態を判定する際の基準となる間隔で配置されることを特徴とするシート・フィルム延伸装置。
【請求項4】
前記クリップチェーンは、前記クリップチェーンに対して駆動力を伝達する駆動側スプロケットと、前記クリップチェーンの走行に伴って回転する従動側スプロケットとに巻き掛けられており、
2箇所の前記離間経路は、前記クリップチェーンにおける前記駆動側スプロケット側から前記従動側スプロケット側に向かう経路である復路に配置され、
前記判定部は、前記復路を移動する前記クリップチェーンの状態を判定する請求項
3に記載のシート・フィルム延伸装置。
【請求項5】
前記クリップチェーンは、前記クリップチェーンに対して駆動力を伝達する駆動側スプロケットと、前記クリップチェーンの走行に伴って回転する従動側スプロケットとに巻き掛けられており、
2箇所の前記離間経路は、前記クリップチェーンにおける前記従動側スプロケット側から前記駆動側スプロケット側に向かう経路である往路に配置され、
前記判定部は、前記往路を移動する前記クリップチェーンの状態を判定する請求項
3に記載のシート・フィルム延伸装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートやフィルム等の薄膜状の延伸対象物を搬送するクリップチェーンの状態を検出するチェーン状態検出装置及びシート・フィルム延伸装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シートやフィルム等の薄膜状の延伸対象物の両縁部をクリップチェーンで把持した状態でクリップチェーンを走行させることにより、延伸対象物を搬送しつつ、延伸対象物を延伸させるシート・フィルム延伸装置が知られている。シート・フィルム延伸装置に備えられるクリップチェーンは、スプロケットとの噛み合い性を確保したり、チェーンの走行時の安定性を確保したりするため、ある程度の張力が発生するように配置する必要がある。
【0003】
このため、延伸装置の運転時におけるチェーンの状態を検出できるようにするのが好ましいが、チェーンの状態を検出する手法としては、複数の位置に配置されたセンサによってチェーンを検出し、各センサでの検出結果を比較することにより、チェーンの状態を検出する手法が挙げられる。例えば、特許文献1に記載されたリンクチェーンの伸びの測定装置では、チェーンのリンクを検知可能な2つのセンサを、任意のリンク分離間させて配置し、それぞれのセンサでリンクを検知した時間の差に基づいて、チェーンの伸びを判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、2つのセンサのそれぞれでリンクを検知し、検知した時間の差に基づいてチェーンの伸びを判定する場合、チェーンの伸びがあったとしても、その際における時間差は非常に僅かなものとなる。このため、チェーンの移動速度が低速である場合は、時間差に基づいてチェーンの伸びを検出できたとしても、チェーンの移動速度が高速である場合、チェーンの伸びによる時間差の絶対値が小さくなると共に、時間の検出の間隔も短くなるため、処理装置での判定が追い付かなくなる虞がある。2つのセンサでリンクを検知する際の時間差に基づいてチェーンの伸び等のチェーンの状態を判定する場合、このように、チェーンの移動速度が高速である場合に、判定処理が追い付かなくなる虞があり、誤検知が発生する虞があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、より確実にチェーンの状態を検出することのできるチェーン状態検出装置及びシート・フィルム延伸装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るチェーン状態検出装置は、発光部と、前記発光部で発光した光が通る光経路と、前記光経路を通った光を受光する受光部と、前記受光部での光の受光状態に基づいてチェーンの状態を判定する判定部と、を備え、前記光経路は、空間に光を通す経路である離間経路を2箇所有し、2箇所の前記離間経路は、前記チェーンの延在方向において前記チェーンの状態を判定する際の基準となる間隔で配置される。
【0008】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るシート・フィルム延伸装置は、前記チェーン状態検出装置と、延伸対象物の幅方向両端に配置され、前記延伸対象物を把持して延伸するクリップチェーンと、を備え、前記判定部で状態を判定する前記チェーンは前記クリップチェーンであり、前記離間経路は、前記クリップチェーンの移動経路に対して交差し、2箇所の前記離間経路は、前記クリップチェーンの延在方向において前記クリップチェーンの状態を判定する際の基準となる間隔で配置される。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るチェーン状態検出装置及びシート・フィルム延伸装置は、より確実にチェーンの状態を検出することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係るシート・フィルム延伸装置が適用される2軸延伸フィルム製造装置の全体概要図。
【
図2】
図2は、実施形態に係るシート・フィルム延伸装置の平面模式図。
【
図3】
図3は、
図2に示すクリップチェーンの構成を示す平面図。
【
図4】
図4は、
図2のf3線に沿う断面図であり、固定ブロックが配置された位置での断面図。
【
図5】
図5は、
図2のf4線に沿う断面図であり、固定ブロックによって往路ブロックと復路ブロックとの間隔が一定の間隔となる位置での断面図。
【
図6】
図6は、
図2のf5線に沿う断面図であり、間隔調整機構が配置された位置での断面図。
【
図7】
図7は、
図2のf6線に沿う断面図であり、間隔調整機構によって往路ブロックと復路ブロックとの間隔が一定の間隔となる位置での断面図。
【
図9】
図9は、
図6に示すクリップチェーンの平面図であり、調整ベアリングに調整レールが接触している状態を示す説明図。
【
図10】
図10は、チェーン状態検出装置の動作の説明図であり、クリップチェーンの弛みが発生していない場合の模式図。
【
図11】
図11は、クリップチェーンに弛みが発生していない状態における受光状態とアンプの出力との関係を示す説明図。
【
図12】
図12は、クリップチェーンに弛みが発生していない状態における受光状態とアンプの出力との関係を示す説明図。
【
図13】
図13は、チェーン状態検出装置の動作の説明図であり、クリップチェーンに弛みが発生している場合の模式図。
【
図14】
図14は、クリップチェーンに弛みが発生している状態における受光状態とアンプの出力との関係を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示に係るチェーン状態検出装置及びシート・フィルム延伸装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易に想到できるもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0012】
[実施形態]
図1は、実施形態に係るシート・フィルム延伸装置1が適用される2軸延伸フィルム製造装置の全体概要を示している。2軸延伸フィルム製造装置は、押出機101と、メルト管102によって押出機101に接続されたTダイ103と、冷却ロール104等を含むキャスティング部105と、多数のロール106による縦延伸部107と、横延伸部108と、引取・巻取部109とを一列に有している。
【0013】
Tダイ103より流出する溶融樹脂は、キャスティング部105にてシート或いはフィルム等の延伸対象物5に成形される。その後、延伸対象物5は、縦延伸部107にて縦延伸され、横延伸部108にて横延伸され、引取・巻取部109によって引き取り、巻き取とりされる。本実施形態に係るシート・フィルム延伸装置1は、横延伸部108に適用される。
【0014】
図2は、実施形態に係るシート・フィルム延伸装置1の平面模式図である。シート・フィルム延伸装置1は、延伸対象物5を搬送しつつ、延伸対象物5の搬送方向及び搬送方向に直交する方向に延伸する。なお、ここでいう「延伸」は、引き延ばす方向の動作・状態のみでなく、縮める方向の動作・状態も含む。即ち、引き延ばす方向の延伸をプラス延伸とし、縮める方向の延伸をマイナス延伸とする場合、本実施形態でいう延伸は、いずれの方向の延伸も含む。また、以下の説明では、第1方向X及び第2方向Yは、水平面上において互いに直交する方向であり、第1方向X及び第2方向Yと直交する方向を第3方向Zと定義する。第1方向Xは、シート・フィルム延伸装置1によってシートやフィルム等の延伸対象物5を搬送する際における、搬送方向に直交する方向であり、第2方向Yは、シート・フィルム延伸装置1によって延伸対象物5を搬送する際における搬送方向に沿った方向である。これらの第1方向Xと第2方向Yは、シート・フィルム延伸装置1を任意の設置場所に設置して通常の使用形態で使用する際における水平方向である。第3方向Zは、シート・フィルム延伸装置1を任意の設置場所に設置して通常の使用形態で使用する際における上下方向、或いは重力方向である。また、以下の説明では、シート・フィルム延伸装置1を通常の使用形態で使用する際における重力方向における上側をシート・フィルム延伸装置1の上側として説明し、重力方向における下側をシート・フィルム延伸装置1の下側として説明する。
【0015】
<シート・フィルム延伸装置1の概要>
本実施形態に係るシート・フィルム延伸装置1は、第1方向Xに離間した一対の移動経路である、左移動経路1Lと、右移動経路1Rとを有する。左移動経路1Lは、往路2と復路3とを交差させることなく無端状に接続させた、一連の左レール構造体4Lを有する。右移動経路1Rは、往路2と復路3とを交差させることなく無端状に接続させた、一連の右レール構造体4Rを有する。
【0016】
左移動経路1Lは、往路2と復路3とが概ね第2方向Yに延在する向きで配設されている。右移動経路1Rは、左移動経路1Lと同様に往路2と復路3とが概ね第2方向Yに延在する向きで配設されている。また、右移動経路1Rは、往路2が左移動経路1Lの往路2と対向し、復路3が、左移動経路1Lの復路3と対向する。左移動経路1Lの往路2と右移動経路1Rの往路2との間の範囲は、シート・フィルム延伸装置1によって延伸対象物5を搬送する際における搬送エリア1Aになっている。
【0017】
第1方向Xにおいて搬送エリア1Aの中心が位置する側を内側とし、第1方向Xにおける搬送エリア1Aの中心が位置する側の反対側を外側とする場合、左移動経路1Lの往路2と右移動経路1Rの往路2とは、搬送エリア1Aの両外側に配置され、第2方向Yにおいて搬送エリア1Aに沿っている。また、左移動経路1Lの復路3は、第1方向Xにおける左移動経路1Lの往路2の外側に沿って構成されており、右移動経路1Rの復路3は、第1方向Xにおける右移動経路1Rの往路2の外側に沿って構成されている。
【0018】
シート・フィルム延伸装置1によって搬送する延伸対象物5としては、例えば、熱可塑性樹脂を一定の方向に沿って帯状に連続させた長尺物を想定することができる。シート・フィルム延伸装置1は、長尺物である延伸対象物5の長手方向が第2方向Yに沿った向きで搬送する。つまり、左移動経路1Lを構成する左レール構造体4Lと、右移動経路1Rを構成する右レール構造体4Rとは、第1方向Xにおける延伸対象物5の両側に、互いに対向させて配置されている。左レール構造体4Lと右レール構造体4Rとが対向する領域では、左レール構造体4Lと右レール構造体4Rとは、双方の往路2が互いに対向するように配置されている。
【0019】
左移動経路1Lと右移動経路1Rとは、第1方向Xにおいて対称な構造を有している。つまり、左レール構造体4Lと右レール構造体4Rとは、第1方向Xにおいて対称な構造を有している。以下の説明では、左移動経路1L、左レール構造体4Lを中心として説明するが、右移動経路1R、右レール構造体4Rについても同様の構造を有しており、左移動経路1L、左レール構造体4Lを用いて説明する構造は、右移動経路1R、右レール構造体4Rについても適用される。
【0020】
左移動経路1Lの往路2と復路3は、延伸対象物5を搬送する際における延伸対象物5の入口側に位置する入口側スプロケット6と、延伸対象物5の出口側に位置する出口側スプロケット7を経由して、互いに無端状に連続されている。なお、入口側スプロケット6と出口側スプロケット7とは、左移動経路1L側と右移動経路1R側とにそれぞれ配設されている。左移動経路1Lの往路2と復路3、及び右移動経路1Rの往路2と復路3は、それぞれの移動経路1L,1R側に配設される入口側スプロケット6と出口側スプロケット7とを経由して、それぞれ無端状に連続されている。例えば、左移動経路1Lにおいて往路2は、入口側スプロケット6から出口側スプロケット7に至るまでの領域に構成されており、復路3は、出口側スプロケット7から入口側スプロケット6に至るまでの領域に構成されている。
【0021】
入口側スプロケット6と出口側スプロケット7とのうち、出口側スプロケット7は、駆動部として用いられるモータ(図示省略)によって回転駆動される駆動側スプロケットになっており、入口側スプロケット6は、回転フリーに構成される従動側スプロケットになっている。即ち、モータは、出口側スプロケット7に対して駆動力を付与する。なお、左移動経路1L側と右移動経路1R側とにそれぞれ配設される一対の出口側スプロケット7は、1つのモータで回転駆動のシャフトを介して回転させてもよく、それぞれ個別にモータを備えて、それぞれのモータによって回転させてもよい。また、入口側スプロケット6も、出口側スプロケット7と同様に、駆動部として用いられるモータ(図示省略)によって回転駆動させてもよい。
【0022】
左移動経路1Lには、左移動経路1Lに沿って無端状に連続して形成され、左レール構造体4Lに沿って移動可能なクリップチェーン8が設けられている。クリップチェーン8は、延伸対象物5の縁部を把持可能に構成されている。左移動経路1Lに設けられるクリップチェーン8は、左移動経路1L側に配設される入口側スプロケット6及び出口側スプロケット7と噛み合っている。これにより、左移動経路1Lに設けられるクリップチェーン8は、モータによって出口側スプロケット7を回転させることにより、左移動経路1Lを循環させることができる。
【0023】
右移動経路1Rにも同様に、右移動経路1Rに沿って無端状に連続して形成され、右レール構造体4Rに沿って移動可能なクリップチェーン9が設けられており、クリップチェーン9は、延伸対象物5の縁部を把持可能に構成されている。左レール構造体4Lと、クリップチェーン8と、モータ(図示省略)によって回転駆動されてクリップチェーン8を移動させる出口側スプロケット7は、左把持装置40Lを構成している。右レール構造体4Rと、クリップチェーン9と、モータ(図示省略)によって回転駆動されてクリップチェーン9を移動させる出口側スプロケット7は、右把持装置40Rを構成している。このため、シート・フィルム延伸装置1は、一対の把持装置40L,40Rを備えている。
【0024】
また、左移動経路1Lの往路2と右移動経路1Rの往路2とが対向する領域には、延伸対象物5の搬送時に延伸対象物5が通るエリアである一連の搬送エリア1Aが構成されている。搬送エリア1Aは、シート・フィルム延伸装置1によって延伸対象物5を搬送する際における搬送方向Yの上流側から下流側に亘って搬送方向Yに沿って連続して構成されている。
【0025】
モータから付与される駆動力によって回転する出口側スプロケット7は、クリップチェーン8,9が往路2に沿って、入口側スプロケット6側から出口側スプロケット7側に向かって移動し、復路3に沿って出口側スプロケット7側から入口側スプロケット6側に向かって移動する方向に回転する。
【0026】
本実施形態では、出口側スプロケット7から復路3に移行する部分には、出口側傾斜部7pが設けられている。出口側スプロケット7の直径は、出口側スプロケット7が配設されている部分以外の部分の往路2と復路3との間隔よりも大きくなっているため、出口側傾斜部7pは、往路2と復路3との間隔を、出口側スプロケット7から離れるに従って漸減させることができるように、復路3を往路2に対して傾斜させている。
【0027】
クリップチェーン8,9の移動に伴って回転する入口側スプロケット6は、復路3に沿って出口側スプロケット7側から入口側スプロケット6側に向かって移動したクリップチェーン8,9を、往路2に向かわせることができる。本実施形態では、復路3から入口側スプロケット6に移行する部分には、入口側傾斜部6pが設けられている。入口側スプロケット6の直径は、入口側スプロケット6が配設されている部分以外の部分の往路2と復路3との間隔よりも大きくなっているため、入口側傾斜部6pは、往路2と復路3との間隔を、入口側スプロケット6から離れるに従って漸減させることができるように、復路3を往路2に対して傾斜させている。
【0028】
さらに、搬送エリア1Aには、加熱装置が設けられている。加熱装置は、オーブン30と、オーブン30の温度を制御する温度制御部(図示省略)と、を備えている。左移動経路1L及び右移動経路1Rの搬送方向Yにおける、延伸対象物5に対して加熱または保温を行う領域は、往路2と復路3との双方が、延伸対象物5に対して加熱または保温を行うオーブン30によって覆われている。
【0029】
オーブン30は、複数の加熱保温室T1~T10を有している。なお、
図2では、加熱保温室T1~T10は、第2方向Yの大きさがほぼ同じ大きさになっているが、加熱保温室T1~T10は、延伸対象物5の種類や延伸仕様等に応じて、第2方向Yの大きさが互いに異なっていてもよい。
【0030】
温度制御部は、加熱保温室T1~T10毎に温度制御を行い、加熱保温室T1~T10の内部を、予め設定された温度まで加熱したり、或いは、一定の温度に保持したりする。
【0031】
<左レール構造体4L、右レール構造体4R>
左レール構造体4Lと右レール構造体4Rとは、それぞれ往路レールユニット10と復路レールユニット11と、を有している。左レール構造体4Lと右レール構造体4Rとの双方の往路レールユニット10は、第1方向Xにおける搬送エリア1Aの両外側に沿って配置されている。左レール構造体4Lと右レール構造体4Rとの双方の復路レールユニット11は、第1方向Xにおける往路レールユニット10の両外側に沿って配置されている。これらの往路レールユニット10と復路レールユニット11とは、搬送方向Yにおける入口側傾斜部6pから上流側の範囲と、搬送方向Yにおける出口側傾斜部7pから下流側の範囲とを除いた領域に設けられている。
【0032】
さらに、往路レールユニット10と復路レールユニット11とは、それぞれ複数のブロック構造を連結することにより構成されている。
図3は、
図2に示すクリップチェーン8,9の構成を示す平面図である。
図4は、
図2のf3線に沿う断面図であり、固定ブロック16が配置された位置での断面図である。具体的には、往路レールユニット10は、一方のブロック構造である往路ブロック13(
図4)を連結することにより構成されている。復路レールユニット11は、他方のブロック構造である復路ブロック14(
図4)を連結することにより構成されている。これらの往路ブロック13と復路ブロック14とは、入口側スプロケット6が配設される位置と出口側スプロケット7が配設される位置との間に亘って、それぞれ複数が搬送方向Yに沿って並べて配置される。
【0033】
また、本実施形態に係るシート・フィルム延伸装置1では、搬送する延伸対象物5が収縮する範囲である間隔調整範囲27b-Zに、間隔調整機構27が適用されている。間隔調整機構27は、一方のブロック構造である往路ブロック13に対する、他方のブロック構造である復路ブロック14の位置関係を調整することが可能になっている。
【0034】
<往路レールユニット10>
往路レールユニット10は、左移動経路1L及び右移動経路1Rごとに設けられており、左移動経路1L及び右移動経路1Rの往路2に沿って、連続的に構成されている。往路レールユニット10は、第3方向Z、即ち、重力方向Zにおいて、対称な構造を有している。詳しくは、往路レールユニット10は、上側基準レール10aと、下側基準レール10bと、を備えており(
図4参照)、上側基準レール10aは、重力方向Zにおいて下側基準レール10bの上側に位置している。上側基準レール10aと下側基準レール10bとは、重力方向Zに沿って上下に一定の距離だけ離間させた状態において、互いに平行に対向させて配置されている。
【0035】
上側基準レール10aは、往路2に沿って連続的に敷設されている。上側基準レール10aは、複数の上側レールエレメント10Eaから構成されている。複数の上側レールエレメント10Eaは、搬送方向Yに沿って並べられる複数の往路ブロック13に1つずつ固定されており、往路2に沿って一列に並べられる。
【0036】
下側基準レール10bも同様に、往路2に沿って連続的に敷設されている。下側基準レール10bは、複数の下側レールエレメント10Ebから構成されている。複数の下側レールエレメント10Ebは、搬送方向Yに沿って並べられる複数の往路ブロック13に1つずつ固定されており、往路2に沿って一列に並べられる。
【0037】
往路レールユニット10は、クリップチェーン8,9が有する移動機構20(
図3参照)が移動可能に構成されている。移動機構20は、走行ユニット25と転動ユニット26とを有している。走行ユニット25は、上側走行ベアリング25aと下側走行ベアリング25bとを有し、転動ユニット26は、上側転動ベアリング26aと下側転動ベアリング26bとを有している。これらの移動機構20の詳細については、後述する。
【0038】
上側基準レール10aと下側基準レール10bとは、幅方向Xにおける位置が同じ位置となって、重力方向Zに並んで配置されている。上側走行ベアリング25aは、重力方向Zにおける上側基準レール10aの下方側から上側基準レール10aに接触し、下側走行ベアリング25bは、重力方向Zにおける下側基準レール10bの上方側から下側基準レール10bに接触する。
【0039】
<復路レールユニット11>
復路レールユニット11は、左移動経路1L及び右移動経路1Rごとに設けられており、左移動経路1L及び右移動経路1Rの復路3に沿って、連続的に構成されている。復路レールユニット11は、第3方向Z、即ち、重力方向Zにおいて、対称な構造を有している。詳しくは、復路レールユニット11は、上側基準レール11aと、下側基準レール11bと、を備えており(
図4参照)、上側基準レール11aは、重力方向Zにおいて下側基準レール11bの上側に位置している。上側基準レール11aと下側基準レール11bとは、重力方向Zに沿って上下に一定の距離だけ離間させた状態において、互いに平行に対向させて配置されている。
【0040】
上側基準レール11aは、復路3に沿って、連続的に敷設されている。上側基準レール11aは、複数の上側レールエレメント11Eaから構成されている。複数の上側レールエレメント11Eaは、搬送方向Yに沿って並べられる複数の復路ブロック14に1つずつ固定されており、復路3に沿って一列に並べられる。
【0041】
下側基準レール11bも同様に、復路3に沿って連続的に敷設されている。下側基準レール11bは、複数の下側レールエレメント11Ebから構成されている。複数の下側レールエレメント11Ebは、搬送方向Yに沿って並べられる複数の復路ブロック14に1つずつ固定されており、復路3に沿って一列に並べられる。
【0042】
復路レールユニット11は、クリップチェーン8,9が有する移動機構20(
図3参照)が移動可能に構成されている。上側基準レール11aと下側基準レール11bとは、幅方向Xにおける位置が同じ位置となって、重力方向Zに並んで配置されている。上側走行ベアリング25aは、重力方向Zにおける上側基準レール11aの下方側から上側基準レール11aに接触し、下側走行ベアリング25bは、重力方向Zにおける下側基準レール11bの上方側から下側基準レール11bに接触する。
【0043】
<レールブロック12、往路ブロック13、復路ブロック14>
本実施形態に係るシート・フィルム延伸装置1は、複数のレールブロック12を有している。1つのレールブロック12には、往路ブロック13と復路ブロック14とからなる1組のブロック構造が設けられている(
図4参照)。左レール構造体4Lと右レール構造体4Rとは、複数のレールブロック12を左移動経路1Lや右移動経路1Rに沿って並べることで、往路2と復路3を無端状に接続させた一連の左レール構造体4L及び右レール構造体4Rが構成されている。
【0044】
なお、レールブロック12は、延伸対象物5の種類や、その延伸仕様等に基づき、往路レールユニット10が有する上側基準レール10aと下側基準レール10bの配置が調整されるように、レール台(図示省略)やフレーム(図示省略)の上で移動可能に取り付けられる。
【0045】
また、左移動経路1Lや右移動経路1Rに沿って並べられる複数のレールブロック12は、用途や使用目的に応じて、互いに同一の大きさに設定してもよいし、或いは、互いに異なる大きさに設定してもよい。
【0046】
レールブロック12には、往路ブロック13と復路ブロック14とが、幅方向Xにおいて互いに対向して配置されている(
図4参照)。レールブロック12は、左移動経路1Lや右移動経路1Rの延在方向に見た場合における断面形状が、往路ブロック13及び復路ブロック14を囲むように構成されて往路ブロック13が位置する側が開口側となるコ字状、或いは、U字状となる枠体構造を有している。
【0047】
なお、本実施形態においては、1組の往路ブロック13と復路ブロック14とを、左移動経路1Lや右移動経路1Rの延在方向における長さがこれらの往路ブロック13や復路ブロック14と同じ長さのレールブロック12で囲むようにしているが、レールブロック12は、これ以外の構成であってもよい。レールブロック12は、例えば、長さが往路ブロック13や復路ブロック14の長さよりも短いレールブロック12を複数用いて、複数のレールブロック12の間隔を開けて、複数箇所で1組の往路ブロック13と復路ブロック14とを囲むようにしてもよい。
【0048】
往路ブロック13及び復路ブロック14は、レールブロック12における、断面形状がコ字状に形成されるレールブロック12の内側に配置される往路ブロック13と復路ブロック14とのうち、往路ブロック13は、幅方向Xにおける、コ字状の開口側に配置されている。往路ブロック13は、例えば、レールブロック12に対してネジ止めすることにより、レールブロック12に固定されている。
【0049】
復路ブロック14は、レールブロック12の断面形状であるコ字状の閉塞部分である側壁部12c側に配置されている。また、復路ブロック14は、位置調整構造によって、往路ブロック13に対する位置関係を調整可能に構成されている。位置調整構造は、レールブロック12に対して幅方向Xに移動可能にレールブロック12の内側に配置されるスライダ15を有しており、復路ブロック14は、スライダ15に固定されている。このため、レールブロック12の内側において、レールブロック12と復路ブロック14との間にはスライダ15が介在している。復路ブロック14は、例えば、スライダ15に対してネジ止めすることにより、スライダ15に固定されている。位置調整構造は、このようにスライダ15に復路ブロック14を取り付けた状態で、レールブロック12に対して移動可能に構成されている。
【0050】
復路ブロック14は、スライダ15が幅方向Xに移動することにより、スライダ15と共に幅方向Xに移動可能になっている。これにより、往路ブロック13と復路ブロック14とは、双方の間の幅方向Xにおける位置関係を調整することが可能になっており、即ち、往路ブロック13と復路ブロック14との幅方向Xにおける間隔を調整することが可能になっている。
【0051】
往路ブロック13と復路ブロック14とは、左移動経路1Lや右移動経路1Rの延在方向に見た場合における断面形状が、いずれもコ字状に形成されている。このうち、往路ブロック13は、コ字状の開口側がレールブロック12のコ字状の開口側を向き、復路ブロック14は、コ字状の開口側がレールブロック12の側壁部12c側を向く向きで配置されている。このため、往路ブロック13と復路ブロック14とは、それぞれのコ字状の閉塞側が、互いに対向して配置されている。
【0052】
往路ブロック13に固定される上側レールエレメント10Eaと下側レールエレメント10Ebとは、往路ブロック13の形状であるコ字状の内側部分に突出するように配置されている。即ち、上側レールエレメント10Eaは、往路ブロック13の断面形状であるコ字状の重力方向Zにおける上側部分に配置され、下側に向かって突出している。また、下側レールエレメント10Ebは、往路ブロック13の断面形状であるコ字状の重力方向Zにおける下側部分に配置され、上側に向かって突出している。
【0053】
同様に、復路ブロック14に固定される上側レールエレメント11Eaと下側レールエレメント11Ebとは、復路ブロック14の形状であるコ字状の内側部分に突出するように配置されている。即ち、上側レールエレメント11Eaは、復路ブロック14の断面形状であるコ字状の重力方向Zにおける上側部分に配置され、下側に向かって突出している。また、下側レールエレメント11Ebは、復路ブロック14の断面形状であるコ字状の重力方向Zにおける下側部分に配置され、上側に向かって突出している。
【0054】
図5は、
図2のf4線に沿う断面図であり、固定ブロック16によって往路ブロック13と復路ブロック14との間隔が一定の間隔となる位置での断面図である。なお、
図4及び
図5は、
図2において符号12-P1で示された1つのレールブロック12の断面図になっている。
【0055】
レールブロック12-P1のように、往路ブロック13と復路ブロック14とが固定ブロック16によって予め設定された間隔で配設されたレールブロック12では、往路ブロック13と復路ブロック14との間に、固定ブロック16(
図4参照)が配置されて固定されている。レールブロック12-P1には、1つのレールブロック12-P1に、予め設定された個数の固定ブロック16が配置されている。固定ブロック16は、例えば、左移動経路1Lや右移動経路1Rに沿った方向におけるレールブロック12-P1の両端付近の2箇所(
図2のf3線の位置)に配置されている。固定ブロック16は、複数のボルト17によって、往路ブロック13及び復路ブロック14に固定されている。
【0056】
なお、固定ブロック16の大きさや形状は、例えば、往路ブロック13と復路ブロック14との間の間隔、或いは、往路ブロック13及び復路ブロック14の大きさや形状等に応じて、適宜設定される。また、固定ブロック16の材質としては、例えば、弾性変形し難い高剛性の金属材料を適用することが好ましい。
【0057】
図6は、
図2のf5線に沿う断面図であり、間隔調整機構27が配置された位置での断面図である。
図7は、
図2のf6線に沿う断面図であり、間隔調整機構27によって往路ブロック13と復路ブロック14との間隔が一定の間隔となる位置での断面図である。なお、
図6及び
図7は、
図2において符号12-P2で示された1つのレールブロック12の断面図になっている。間隔調整範囲27b-Z(
図2参照)では、往路ブロック13と復路ブロック14とは、双方の間の間隔を、間隔調整機構27によって調整可能になっている。
【0058】
レールブロック12-P2のように、往路ブロック13と復路ブロック14とが、間隔調整機構27によって予め設定された間隔で配置されたレールブロック12では、往路ブロック13と復路ブロック14との間に、間隔調整機構27を構成する調整ブロック27a(
図6参照)が配置されている。調整ブロック27aが配置されるレールブロック12-P2には、1つのレールブロック12-P2に、予め設定された個数の調整ブロック27aが配置されている。調整ブロック27aは、例えば、左移動経路1Lや右移動経路1Rに沿った方向におけるレールブロック12-P2の両端付近の2箇所(
図2のf5線の位置)に配置されている。調整ブロック27aは、複数のボルト28によって、復路ブロック14に固定されている。
【0059】
また、往路ブロック13における、復路ブロック14に固定される調整ブロック27aに対向する位置には、間隔調整機構27を構成する調整通路27dが形成されている。調整通路27dは、往路ブロック13を幅方向Xに貫通する孔として形成されており、調整ブロック27aを挿通可能になっている。復路ブロック14に固定される調整ブロック27aは、往路ブロック13に形成される調整通路27dに入り込んでいる。
【0060】
レールブロック12-P2における、幅方向Xにおいて側壁部12cが位置する側には、間隔調整機構27を構成する調整ネジ27eが配設されている。側壁部12cには、調整ネジ27eに形成されたネジ部と螺合するネジ孔が形成されており、調整ネジ27eは、側壁部12cに形成されたネジ孔にネジ部が螺合することにより、側壁部12cを幅方向Xに貫通して側壁部12cに支持されている。また、スライダ15には軸受29が取り付けられており、調整ネジ27eの先端側は、当該軸受29を介してスライダ15に連結されている。これにより、調整ネジ27eは、スライダ15に対して回動自在に連結されている。一方、調整ネジ27eにおける反対側の端部、即ち、調整ネジ27eの基端側は、オーブン30の外側に位置している(
図2参照)。調整ネジ27eは、このように一部がオーブン30の外側に位置しており、オーブン30の外側から操作可能になっている。
【0061】
<クリップチェーン8,9>
シート・フィルム延伸装置1は、左移動経路1Lや右移動経路1Rに沿って移動可能な無端状のチェーンであるクリップチェーン8,9を有している。クリップチェーン8,9は、互いに同一の構成を有している。左移動経路1L側のクリップチェーン8と、右移動経路1R側のクリップチェーン9とは、互いに同一の構成を有している。クリップチェーン8,9は、延伸対象物5の幅方向X両端に配置され、延伸対象物5を把持して延伸することが可能になっており、それぞれ入口側スプロケット6と出口側スプロケット7とに巻き掛けられている。
【0062】
クリップチェーン8,9は、延伸対象物5を把持する複数の把持機構18と、複数のジョイント機構19と、複数の移動機構20と、を備えている(
図3参照)。クリップチェーン8,9は、把持機構18とジョイント機構19とを1つずつ交互に無端状に連結させて構成されている。さらに、複数の移動機構20は、把持機構18に1つずつ搭載されている。移動機構20は、把持機構18を往路レールユニット10及び復路レールユニット11に沿って移動させることが可能に構成されている。
【0063】
左移動経路1Lの往路2及び右移動経路1Rの往路2(
図2参照)は、把持機構18で把持する延伸対象物5を搬送する際の搬送方向Yにおける上流側から下流側に、把持機構18を移動させる経路になっている。即ち、往路2は、クリップチェーン8,9における入口側スプロケット6側から出口側スプロケット7側に向かう経路になっている。左移動経路1Lの復路3及び右移動経路1Rの復路3は、搬送方向Yにおける下流側から上流側に、把持機構18を移動させる経路になっている(
図2参照)。即ち、復路3は、クリップチェーン8,9における出口側スプロケット7側から入口側スプロケット6側に向かう経路になっている。
【0064】
<把持機構18>
把持機構18は、把持本体18aと、クリップ18pと、を備えている(
図3参照)。把持本体18aは、延伸対象物5の幅方向Xにおける両縁部を支持可能な部分である支持面18Sa(
図4参照)を備えている。支持面18Saは、凹凸の無い平坦面状に構成されている。支持面18Saは、クリップチェーン8,9が、左移動経路1Lや右移動経路1Rに沿って移動する状態において、全ての把持本体18aの支持面18Saが、第1方向X及び第2方向Yに沿った同一の水平面上に位置している。
【0065】
また、クリップ18pは、把持本体18aに対して回動可能に把持本体18aに支持されている(
図4参照)。把持本体18aにおけるクリップ18pを支持している部分は、重力方向における支持面18Saの上方に位置しており、把持本体18aは、回動軸の方向が左移動経路1Lや右移動経路1Rに沿った方向になる形態で、クリップ18pを回動可能に支持している。把持本体18aに支持されるクリップ18pは、支持面18Sa側に位置する回動先端に、把持面18Spを有している。把持面18Spは、幅方向Xにおいて把持本体18aから離れた位置よりも、把持本体18a寄りの位置の方が、回動軸からの距離が大きくなって形成されている。クリップ18pは、把持面18Spと支持面18Saとの間に延伸対象物5を挟持することにより、延伸対象物5の両縁部を把持することが可能になっている。
【0066】
また、把持本体18aは、把持機構18の移動方向に把持本体18aを見た場合における断面形状が、幅方向Xにおいて支持面18Saが位置する側が閉塞側になり、支持面18Saが位置する側の反対側が開口側となるコ字状の形状で形成されている。把持本体18aの重力方向Zにおける幅は、往路レールユニット10の上側基準レール10aと下側基準レール10bとの距離や、復路レールユニット11の上側基準レール11aと下側基準レール11bとの距離よりも、僅かに小さくなっている。
【0067】
<ジョイント機構19>
ジョイント機構19は、搬送方向Y、或いは、クリップチェーン8,9の移動方向に沿って隣り合う2つの把持機構18同士の間に配置されている(
図3参照)。即ち、複数の把持機構18と複数のジョイント機構19とは、1つずつ交互に無端状に連結されており、隣り合う2つの把持機構18同士は、ジョイント機構19を介して連結されている。ジョイント機構19は、隣り合う把持機構18同士の間隔を調整する機能を有している。ここで、説明の都合上、搬送方向Yに沿って隣り合う2つの把持機構18のうち、一方の把持機構18を第1把持機構18-1とし、他方の把持機構18を第2把持機構18-2として説明する。
【0068】
ジョイント機構19は、第1継手部材19-1と、第2継手部材19-2と、を備えている。第1継手部材19-1は、所定の長さを有する部材になっており、長さ方向における一端が、重力方向Zに延びる第1枢軸部21を介して、第1把持機構18-1の把持本体18aに回動自在に連結されている。詳しくは、第1継手部材19-1は、把持機構18の移動方向に把持本体18aを見た場合における断面形状がコ字状の形状で形成される把持本体18aの内側部分に配置され、把持本体18aに回動自在に連結されている。即ち、第1継手部材19-1は、重力方向Zにおける把持本体18aの中央付近に位置しており、把持本体18aに連結される部分の重力方向Zにおける両側が、把持本体18aによって囲われた状態で配置されている。また、第1継手部材19-1の長さ方向における他端は、重力方向Zに延びる中継軸部22を介して、第2継手部材19-2に回動自在に連結されている。
【0069】
第2継手部材19-2は、所定の長さを有する第2継手本体部19-3と、突出部23と、を有している。第2継手部材19-2が有する第2継手本体部19-3の一端は、重力方向Zに延びる第2枢軸部24を介して、第2把持機構18-2の把持本体18aに回動自在に連結されている。詳しくは、第2継手部材19-2は、把持機構18の移動方向に把持本体18aを見た場合における断面形状がコ字状の形状で形成される把持本体18aの内側部分に配置され、把持本体18aに回動自在に連結されている。即ち、第2継手部材19-2は、重力方向Zにおける把持本体18aの中央付近に位置しており、把持本体18aに連結される部分の重力方向Zにおける両側が、把持本体18aによって囲われた状態で配置されている。また、第2継手部材19-2が有する第2継手本体部19-3の他端は、中継軸部22を介して、第1継手部材19-1に回動自在に連結されている。
【0070】
また、突出部23は、第2継手本体部19-3における、第2枢軸部24を介して第2把持機構18-2に連結される側の端部から、幅方向Xにおいてクリップ18pが位置する側の反対側に突出しており、第2継手本体部19-3と一体となって構成されている。詳しくは、突出部23は、第2継手本体部19-3における第2把持機構18-2に連結される側の端部から、幅方向Xにおいてクリップ18pが位置する側の反対側に突出し、さらに、第1把持機構18-1が位置する方向に湾曲して形成されている。突出部23における、第2継手本体部19-3が位置する側の端部の反対側の端部には、間隔調整機構27を構成する調整ベアリング27cが回転自在に取り付けられている。調整ベアリング27cは、回転軸が重力方向Zに沿った方向になる向きで突出部23に取り付けられており、外周面である回転面が、突出部23からはみ出した状態で回転可能に構成されている。
【0071】
ジョイント機構19は、第1枢軸部21を介して第1継手部材19-1が第1把持機構18-1に回動自在に連結され、第2枢軸部24を介して第2継手部材19-2が第2把持機構18-2に回動自在に連結され、第1継手部材19-1と第2継手部材19-2とが、中継軸部22を介して相対的に回動自在に連結されている。このため、第1把持機構18-1と第2把持機構18-2とは、ジョイント機構19の第1継手部材19-1と第2継手部材19-2とが第1把持機構18-1や第2把持機構18-2に対して回動し、第1継手部材19-1と第2継手部材19-2とが相対的に回動することにより、第1把持機構18-1と第2把持機構18-2の間隔が変化することができるようになっている。つまり、ジョイント機構19は、搬送方向Yに隣り合う2つの把持機構18同士の間隔を変化させることができるように、隣り合う2つの把持機構18を連結している。
【0072】
<移動機構20>
移動機構20は、重力方向Zにおける把持機構18の上側と下側との双方に配置される走行ユニット25及び転動ユニット26を有している(
図4参照)。移動機構20は、把持機構18に1つずつ搭載されている。移動機構20は、重力方向Zにおいて上下両側に対称な構造を有して構成されており、把持機構18を、左移動経路1Lや右移動経路1Rに沿って移動させることが可能になっている。移動機構20は、往路レールユニット10や復路レールユニット11に沿って移動する際に、重力方向Zに拘束されつつ、幅方向Xにも拘束される。これにより、移動機構20は、移動機構20を搭載する把持機構18の移動姿勢を、一定に維持することができる。
【0073】
具体的には、移動機構20が有する走行ユニット25と転動ユニット26とは、往路レールユニット10の上側基準レール10a及び下側基準レール10bや、復路レールユニット11の上側基準レール11a及び下側基準レール11bに沿って転がりながら移動可能になっている。このうち、走行ユニット25が有する上側走行ベアリング25aは、把持機構18の移動方向に把持本体18aを見た場合(
図4参照)における断面形状がコ字状の形状で形成される把持本体18aの、重力方向Zにおける上側の壁部に配置されている。また、走行ユニット25が有する下側走行ベアリング25bは、把持本体18aの、重力方向Zにおける下側の壁部に配置されている。これらの上側走行ベアリング25aと下側走行ベアリング25bとは、いずれも回転軸が、把持機構18の移動方向と重力方向Zとの双方に直交する方向に延びる向きで配置されている。
【0074】
上側走行ベアリング25aは、往路レールユニット10の上側基準レール10aや復路レールユニット11の上側基準レール11aに対して下側から接触し、転がりながら移動可能に構成されている。下側走行ベアリング25bは、往路レールユニット10の下側基準レール10bや復路レールユニット11の下側基準レール11bに対して上側から接触し、転がりながら移動可能に構成されている。これにより、走行ユニット25は、重力方向Zに拘束されつつ、往路レールユニット10及び復路レールユニット11に沿って移動することが可能になっている。
【0075】
転動ユニット26が有する上側転動ベアリング26aは、重力方向Zにおける把持本体18aの上面側に配置され、下側転動ベアリング26bは、重力方向Zにおける把持本体18aの下面側に配置されている。これらの上側転動ベアリング26aと下側転動ベアリング26bとは、いずれも回転軸が重力方向Zに延びる向きで配置されている。上側転動ベアリング26aは、往路レールユニット10の上側基準レール10aや復路レールユニット11の上側基準レール11aに対して、水平方向における側方から接触し、上側基準レール10a,11aに沿って転がりながら移動可能に構成されている。下側転動ベアリング26bは、往路レールユニット10の下側基準レール10bや復路レールユニット11の下側基準レール11bに対して、水平方向における側方から接触し、下側基準レール10b,11bに沿って転がりながら移動可能に構成されている。
【0076】
具体的には、上側転動ベアリング26aは、1つの把持本体18aに4つが配置されており、4つの上側転動ベアリング26aは、上側基準レール10a,11aの厚さ方向における両側に配置されている。4つの上側転動ベアリング26aは、上側基準レール10a,11aの厚さ方向における両側に、2つずつが配置されており、二対の上側転動ベアリング26aで、上側基準レール10a,11aを厚さ方向に挟み込む位置関係で配置されている。
【0077】
把持本体18aの下面に配置される下側転動ベアリング26bも同様に、1つの把持本体18aに4つが配置されており、4つの下側転動ベアリング26bは。下側基準レール10b,11bの厚さ方向における両側に配置されている。4つの下側転動ベアリング26bは、下側基準レール10b,11bの厚さ方向における両側に、2つずつが配置されており、二対の下側転動ベアリング26bで、下側基準レール10b,11bを厚さ方向に挟み込む位置関係で配置されている。
【0078】
4つの上側転動ベアリング26aは、上側基準レール10a,11aを、上側基準レール10a,11aの厚さ方向における両側から挟んだ状態で転がりながら移動可能になっている。4つの下側転動ベアリング26bは、下側基準レール10b,11bを、下側基準レール10b,11bの厚さ方向における両側から挟んだ状態で転がりながら移動可能になっている。これにより、転動ユニット26は、上側基準レール10a,11aや下側基準レール10b,11bの厚さ方向、即ち、幅方向Xに拘束されつつ、往路レールユニット10及び復路レールユニット11に沿って移動することが可能になっている。
【0079】
<間隔調整機構27>
間隔調整機構27は、調整レール27bの幅方向Xにおける位置を調整することが可能になっており、間隔調整範囲27b-Z(
図2参照)に亘って設けられている。この間隔調整範囲27b-Zは、延伸対象物5の搬送方向Yにおいて、延伸対象物5の収縮が開始する位置から、少なくとも把持解除点18p-OFFまでの範囲に設定される。把持解除点18p-OFFは、把持機構18によって延伸対象物5を把持しながら搬送方向Yに搬送する際における把持機構18での把持を解除する位置になっている。シート・フィルム延伸装置1での延伸対象物5の搬送時には、間隔調整範囲27b-Zでは、幅方向Xに沿った延伸対象物5の収縮に追従させる横方向弛緩処理と、搬送方向Yに沿った延伸対象物5の収縮に追従させる縦方向弛緩処理とが行われる。間隔調整機構27は、これらの処理のうちの縦方向弛緩処理に供される。間隔調整機構27は、調整レール27bの幅方向Xにおける位置を調整することにより、隣り合う把持機構18同士の間隔を調整することができ、往路2において搬送方向Yに隣り合う把持機構18同士の間隔を調整することにより、縦方向弛緩処理を行う。
【0080】
間隔調整機構27は、調整ブロック27aと、調整レール27bと、調整ベアリング27cと、調整通路27dと、調整ネジ27eと、を有している(
図6参照)。調整ブロック27aは、上述したように、予め設定された個数の調整ブロック27aが、複数のボルト28によって復路ブロック14に固定されている。
【0081】
調整レール27bは、位置決めブロック31に設けられている。位置決めブロック31は、調整ブロック27aにおける、幅方向Xにおいて復路ブロック14に固定される側の反対側に支持されている。調整レール27bは、調整ブロック27aに支持される位置決めブロック31に対して、ジョイント機構19の第2継手部材19-2に取り付けられる調整ベアリング27cに対向させるように配置されている。即ち、調整レール27bは、位置決めブロック31における、幅方向Xにおいて調整ブロック27aに支持される側の反対側に配置されており、調整ベアリング27cに接触することができるように配置されている。これにより、調整レール27bは、ジョイント機構19の第2継手部材19-2に取り付けられる調整ベアリング27cに対して、幅方向Xにおいて把持機構18の支持面18Saやクリップ18pが位置する方向への押圧力を作用させることが可能になっている。
【0082】
調整通路27dは、往路ブロック13における、復路ブロック14に固定される調整ブロック27aや位置決めブロック31に対向する位置に、往路ブロック13を幅方向Xに貫通する孔として形成されている。調整通路27dは、調整ブロック27aのみでなく、位置決めブロック31も挿通可能に構成されており、調整ブロック27aや位置決めブロック31は、往路ブロック13に形成される調整通路27dに入り込んでいる。
【0083】
調整ネジ27eは、上述したように、レールブロック12の側壁部12cに形成されたネジ孔にネジ部が螺合することにより側壁部12cに支持されており、先端側が、スライダ15に取り付けられた軸受29を介してスライダ15に連結されている。また、調整ネジ27eにおけるスライダ15に連結されている側の端部の反対側の端部は、オーブン30の外側に位置している。このように構成される調整ネジ27eは、隣り合う把持機構18同士の間隔を間隔調整機構27によって調整する際に操作をする間隔調整部材として設けられている。
【0084】
<チェーン状態検出装置50>
本実施形態に係るシート・フィルム延伸装置1は、クリップチェーン8,9の状態を検出することのできるチェーン状態検出装置50を有している。
図8は、
図2のA部詳細図である。本実施形態では、チェーン状態検出装置50は、復路3を移動するクリップチェーン8,9の状態を検出することが可能になっており、具体的には、復路3における、出口側スプロケット7の近傍を移動するクリップチェーン8,9の状態を検出することが可能になっている。
【0085】
チェーン状態検出装置50は、発光部52と、受光部53と、光経路60と、制御部55とを有している。このうち、発光部52は、LED(Light Emitting Diode)が用いられており、電力を用いて発光することが可能になっている。また、受光部53は、光を受光して検出することのできるセンサになっており、少なくとも、発光部52で発光した波長の光を検出することが可能になっている。これらの発光部52と受光部53とは、発光部52に対する通電や、受光部53での検出結果の信号を受けることができるアンプ51と一体となって設けられている。
【0086】
光経路60は、発光部52で発光した光が通る経路になっており、発光部52で発光した光を受光部53まで導くことができるように構成されている。このため、受光部53は、発光部52で発光し、光経路60を通った光を受光することが可能になっている。光経路60は、光ファイバ等の導光部材からなる経路と、空間に光を通す経路である離間経路75とを有している。このうち、離間経路75は2箇所に設けられており、一方の離間経路75は第1離間経路76になっており、他方の離間経路75は第2離間経路77になっている。
【0087】
また、光経路60における導光部材からなる経路としては、発光経路61と、受光経路63と、中継経路70とを有している。このうち、発光経路61は、一端が発光部52に対向しており、他端に発光部52から発光経路61に入射した光を第1離間経路76に向けて発光する発光経路発光部62を有している。このため、発光経路61は、発光部52で発光した光を、第1離間経路76に導くことが可能になっている。
【0088】
また、受光経路63は、一端が受光部53に対向しており、他端に第2離間経路77を通る光を受光する受光経路受光部64を有している。このため、受光経路63は、第2離間経路77を通って受光経路受光部64から受光経路63に入射した光を、受光部53に導くことが可能になっている。
【0089】
また、中継経路70は、一端に中継経路受光部71が設けられ、他端に中継経路発光部72が設けられている。中継経路受光部71は、発光経路発光部62で発光して第1離間経路76を通る光を受光することが可能になっており、中継経路発光部72は、中継経路受光部71で受光して中継経路70を通る光を第2離間経路77に向けて発光することが可能になっている。換言すると、中継経路70の中継経路受光部71は、発光経路61の発光経路発光部62で発光した光を、第1離間経路76を介して受光することが可能になっており、受光経路63の受光経路受光部64は、中継経路70の中継経路発光部72で発光した光を、第2離間経路77を介して受光することが可能になっている。
【0090】
これらのため、光経路60は、発光部52で発光した光を、発光経路61、第1離間経路76、中継経路70、第2離間経路77、受光経路63の順で、受光部53に導くことが可能になっている。ここで、発光経路61と受光部53とは、復路3を移動するクリップチェーン8,9から見てクリップチェーン8,9に対して同じ側に位置するのに対し、中継経路70は、クリップチェーン8,9に対して、発光経路61及び受光部53とは反対側に位置している。
【0091】
つまり、発光経路61及び受光部53と、中継経路70とは、クリップチェーン8,9に対して互いに反対側に配置されている。このため、離間経路75は、クリップチェーン8,9の移動経路に対して交差する経路になっており、離間経路75は、クリップチェーン8,9の移動方向に対してほぼ直交している。即ち、離間経路75は、クリップチェーン8,9における復路3に配置され、復路3を移動するクリップチェーン8,9の移動方向に対してほぼ直交している。一方で、離間経路75の重力方向Zにおける位置は、ジョイント機構19の重力方向Zにおける位置とは異なる位置になっている。
【0092】
また、制御部55は、アンプ51と電気的に接続されており、受光部53での光の受光状態に基づいて、クリップチェーン8,9の状態を判定する判定部になっている。制御部55は、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)と、各種情報を記憶するメモリとして機能するRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などを有している。制御部55の各機能の全部または一部は、ROMに保持されるアプリケーションプログラムをRAMにロードしてCPUで実行することによって、RAMやROMにおけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。このように構成され、クリップチェーン8,9の状態を判定する制御部55は、離間経路75が交差する復路3を移動するクリップチェーン8,9の状態を判定する。
【0093】
光経路60が有し、クリップチェーン8,9の移動経路に対して交差する2箇所の離間経路75は、クリップチェーン8,9の延在方向においてクリップチェーン8,9の状態を判定する際の基準となる間隔で配置されている。本実施形態では、制御部55で判定するクリップチェーン8,9の状態は、クリップチェーン8,9の弛みになっている。このため、2箇所の離間経路75の間隔は、クリップチェーン8,9の延在方向においてクリップチェーン8,9の弛みを判定する際の基準となる間隔になっている。クリップチェーン8,9の弛みを判定する際の基準となる間隔は、例えば、クリップチェーン8,9に弛みが発生していない状態における、隣り合う把持機構18同士のピッチの整数倍になっている。
【0094】
なお、2箇所の離間経路75の間隔は、隣り合う2つの把持機構18からなる1リンクの延在方向の全長を1ピッチとした場合における、隣り合う把持機構18同士の間隔が最大のときの1ピッチ以上であるのが好ましい。つまり、1リンクの全長である1ピッチの長さは、ジョイント機構19の動作によって把持機構18同士の間隔が変化することに伴って変化するが、2箇所の離間経路75の間隔は、このように変化する1ピッチの長さが、隣り合う把持機構18同士の間隔が最大のときの長さ以上であるのが好ましい。また、2箇所の離間経路75の間隔は、複数の把持機構18の延在方向における全長の最大値と最小値との差が、1ピッチの長さ以下になる数の複数の把持機構18の全長より小さいのが好ましい。即ち、2箇所の離間経路75の間隔は、クリップチェーン8,9の弛みの発生時に2箇所の離間経路75同士の間に位置する把持機構18が1ピッチ以上弛むことにより、弛みが発生しているにも関わらず、弛みが発生していない状態と同じ検出結果になることを回避できる間隔であるのが好ましい。
【0095】
また、制御部55には、制御部55で判定するクリップチェーン8,9の状態、即ち、クリップチェーン8,9の弛みの判定結果等の各種情報を表示する表示部56が接続されている。
【0096】
<シート・フィルム延伸装置1の動作>
本実施形態に係るシート・フィルム延伸装置1は、以上のような構成を含み、以下、その動作について説明する。シートやフィルム等の薄膜状の延伸対象物5を、シート・フィルム延伸装置1で延伸させる際には、縦延伸部107(
図1参照)側から搬送される延伸対象物5を、入口側スプロケット6が位置する側から搬送エリア1Aに位置させる(
図2参照)。その際に、延伸対象物5は、延伸対象物5の長手方向がシート・フィルム延伸装置1の第2方向Yになり、延伸対象物5の長手方向と厚さ方向との双方に直交する幅方向がシート・フィルム延伸装置1の第1方向Xになる向きで、搬送エリア1Aに位置させる。
【0097】
シート・フィルム延伸装置1の前工程で用いる縦延伸部107等の装置から、搬送エリア1Aにおける入口側スプロケット6側から搬送エリア1Aに送り込まれた延伸対象物5は、往路2における把持開始点18p-ONで、幅方向Xにおける両縁部が順次、把持機構18で把持される。ここでいう把持開始点18p-ONは、クリップチェーン8,9を構成する把持機構18によって延伸対象物5を把持しながら、延伸対象物5を入口側スプロケット6側から出口側スプロケット7側に向けて搬送する際に、把持機構18による延伸対象物5の把持を開始する位置になっている。
【0098】
把持機構18によって延伸対象物5の両縁部を把持する際には、把持本体18aに回動可能に支持されているクリップ18pを回動させる(
図4参照)。即ち、クリップ18pを回動させることにより、延伸対象物5の幅方向Xにおける両縁部付近を、クリップ18pの把持面18Spと把持本体18aの支持面18Saとで挟持し、延伸対象物5の両縁部付近を把持機構18によって把持する。
【0099】
延伸対象物5の搬送は、クリップチェーン8,9を構成する把持機構18によって延伸対象物5を把持している状態で、左移動経路1L側に配置される出口側スプロケット7に対して駆動力を付与するモータと、右移動経路1R側に配置される出口側スプロケット7に対して駆動力を付与するモータとを駆動させる(
図2参照)。これにより、左移動経路1Lに設けられるクリップチェーン8は、出口側スプロケット7から伝達される駆動力によって左移動経路1Lを循環し、右移動経路1Rに設けられるクリップチェーン9は、出口側スプロケット7から伝達される駆動力によって右移動経路1Rを循環する。
【0100】
クリップチェーン8,9の循環方向は、左移動経路1Lや右移動経路1Rの往路2では、クリップチェーン8,9が入口側スプロケット6側から出口側スプロケット7側に向かって移動し、左移動経路1Lや右移動経路1Rの復路3では、クリップチェーン8,9が出口側スプロケット7側から入口側スプロケット6側に向かって移動する方向になっている。延伸対象物5は、左移動経路1Lや右移動経路1Rの往路2の位置で、幅方向Xにおける両縁部が把持機構18に把持されるため、クリップチェーン8,9が循環することにより、延伸対象物5は、往路2に位置するクリップチェーン8,9によって、往路2におけるクリップチェーン8,9の移動方向に移動する。このため、延伸対象物5は、搬送エリア1Aを搬送方向Yにおける入口側スプロケット6側から出口側スプロケット7側に向かって移動する。即ち、延伸対象物5は、幅方向Xにおける両縁部を把持する把持機構18を有するクリップチェーン8,9によって、搬送方向Yにおける入口側スプロケット6側から出口側スプロケット7側に搬送される。
【0101】
搬送エリア1Aで搬送される延伸対象物5は、搬送される間に、加熱されながら幅方向Xに延伸される。これにより、延伸対象物5は、出口側スプロケット7が位置する側から送り出される際には、延伸済みの延伸対象物5が送り出される。
【0102】
具体的には、搬送エリア1Aには、それぞれで温度制御が可能な複数の加熱保温室T1~T10が設けられており、加熱保温室T1~T10は、搬送方向Yにおける位置ごとに、その位置に応じた温度で延伸対象物5を加熱することが可能になっている。つまり、加熱保温室T1~T10では、それぞれの加熱保温室T1~T10で、搬送方向Yにおける位置に適したオーブン30の温度制御を行う。
【0103】
また、左移動経路1Lと右移動経路1Rとの往路2同士の幅方向Xにおける間隔は、搬送方向Yにおける位置ごとに異なっている。即ち、左移動経路1Lの往路2と右移動経路1Rの往路2とは、搬送方向Yにおける所定の範囲で、入口側スプロケット6側から出口側スプロケット7側に向かうに従って双方の往路2の間隔が大きくなっている。これにより、シート・フィルム延伸装置1は、搬送エリア1Aで延伸対象物5を搬送する際に、オーブン30によって延伸対象物5を加熱しつつ、延伸対象物5に対して幅方向Xの張力を付与し、幅方向に延伸させる。
【0104】
また、シート・フィルム延伸装置1は、オーブン30で加熱することにより温度を上昇させた延伸対象物5の温度を、搬送しながら徐々に低下させる。搬送方向Yにおける延伸対象物5の温度を低下させる範囲では、延伸対象物5の温度を徐々に低下させることができるようにオーブン30の温度制御が行われる。また、延伸対象物5の温度を低下させると、延伸対象物5は収縮するため、延伸対象物5の温度を低下させる範囲では、幅方向Xにおける延伸対象物5の両側に位置する往路2同士の間隔が、入口側スプロケット6側から出口側スプロケット7側に向かうに従って小さくなっている。このため、搬送方向Yにおける延伸対象物5の温度を低下させる範囲では、延伸対象物5は入口側スプロケット6側から出口側スプロケット7側に搬送されるに従って、幅方向Xに収縮する。
【0105】
ここで、延伸対象物5が収縮する際には、搬送方向Yにおいても収縮するため、搬送方向Yにおける延伸対象物5が収縮する範囲では、隣り合う把持機構18同士の間隔を、間隔調整範囲27b-Zに配設される間隔調整機構27によって小さくする。換言すると、間隔調整範囲27b-Zは、往路2において延伸対象物5が収縮する範囲を含む範囲になっている。隣り合う把持機構18同士の間隔を間隔調整機構27(
図6参照)によって調節する際には、間隔調整機構27を構成する調整ネジ27eを回転させることにより行う。
【0106】
調整ネジ27eは、レールブロック12の側壁部12cに螺合しているため、調整ネジ27eを回転させると、調整ネジ27eは幅方向Xに移動する。調整ネジ27eの先端側は、軸受29を介して回動自在にスライダ15に連結されているため、調整ネジ27eが幅方向Xに移動すると、調整ネジ27eと共にスライダ15が幅方向Xに移動し、スライダ15と共に復路ブロック14も幅方向Xに移動する。復路ブロック14には、調整ブロック27aが固定されているため、復路ブロック14が移動する際には、調整ブロック27aも一体となって復路ブロック14と共に移動する。調整ネジ27eを回転させることにより、復路ブロック14と共に調整ブロック27aを予め設定された距離だけ移動させたら、調整ネジ27eの回転を停止させる。
【0107】
調整ブロック27aが幅方向Xに移動すると、調整ブロック27aに支持される位置決めブロック31、及び位置決めブロック31に設けられる調整レール27bも調整ブロック27aと共に移動する。例えば、調整ネジ27eを回転させることにより、幅方向Xにおいて往路ブロック13が位置する側に向かって復路ブロック14が移動した場合、位置決めブロック31と共に同じ方向に移動する調整レール27bは、調整ベアリング27cに接触する。
【0108】
図9は、
図6に示すクリップチェーン8,9の平面図であり、調整ベアリング27cに調整レール27bが接触している状態を示す説明図である。調整レール27bが調整ベアリング27cに接触すると、調整レール27bから調整ベアリング27cに押圧力が作用する。調整レール27bから調整ベアリング27cに作用する押圧力は、調整ベアリング27cに対して、幅方向Xにおいて、当該調整ベアリング27cが取り付けられるジョイント機構19が連結される把持機構18が有するクリップ18pが位置する側に調整ベアリング27cを移動させる力として作用する。調整ベアリング27cに対して、幅方向Xにおいてクリップ18pが位置する側への力が作用した場合、調整ベアリング27cが取り付けられるジョイント機構19の第2継手部材19-2は、第2枢軸部24を中心として回動する。これにより、第2継手部材19-2は、第2継手本体部19-3における中継軸部22が位置する側の端部が幅方向Xにおいてクリップ18pが位置する側に移動する方向に、第2継手部材19-2全体が回動する。
【0109】
第2継手部材19-2の回動により、中継軸部22が幅方向Xにおけるクリップ18pが位置する側に移動すると、中継軸部22を介して第2継手部材19-2に連結される第1継手部材19-1も、第1枢軸部21を中心として第1継手部材19-1全体が回動する。このため、ジョイント機構19は、第1継手部材19-1と、第2継手部材19-2の第2継手本体部19-3とが、中継軸部22が幅方向Xにおいてクリップ18pが位置する側に移動する方向に、中継軸部22を中心として折れ曲がる。
【0110】
中継軸部22を中心として第1継手部材19-1と第2継手部材19-2とが折れ曲がると、第1継手部材19-1を第1把持機構18-1に連結する第1枢軸部21と、第2継手部材19-2を第2把持機構18-2に連結する第2枢軸部24とが互いに接近し、第1枢軸部21と第2枢軸部24との距離が小さくなる。これにより、第1枢軸部21と第2枢軸部24とを介してジョイント機構19に連結される第1把持機構18-1と第2把持機構18-2との距離も小さくなる。即ち、隣り合う2つの把持機構18同士の間隔が小さくなる。
【0111】
これとは反対に、調整ネジ27eを回転させることにより、幅方向Xにおいて往路ブロック13が位置する側から離れる方向に復路ブロック14が移動した場合、位置決めブロック31と共に同じ方向に移動する調整レール27bも、往路ブロック13が位置する側から離れる方向に移動する。調整レール27bが、幅方向Xにおいて往路ブロック13から離れる方向に移動すると、調整レール27bは、調整ベアリング27cに対して、接触しない非接触状態、または接触圧が弱まった弱接触状態になる。調整レール27bが、調整ベアリング27cに対して非接触状態になると、調整ベアリング27cには、調整レール27bからの押圧力が作用しなくなる。
【0112】
クリップチェーン8,9における往路2に位置する部分には、出口側スプロケット7に付与される駆動力により、入口側スプロケット6側から出口側スプロケット7側に引っ張られる方向の張力が作用する。このため、調整ベアリング27cに対して押圧力が作用しない場合は、ジョイント機構19の第1継手部材19-1と第2継手部材19-2は、この張力により、第1枢軸部21と第2枢軸部24とが搬送方向Yに離間し、第1枢軸部21と第2枢軸部24と中継軸部22とが直線上に位置する状態になる(
図3参照)。換言すると、第1継手部材19-1と、第2継手部材19-2の第2継手本体部19-3とが、展開した状態になる。これにより、第1枢軸部21と第2枢軸部24とを介してジョイント機構19に連結される第1把持機構18-1と第2把持機構18-2との距離も大きくなる。このように、出口側スプロケット7に付与される駆動力によって、隣り合う把持機構18同士の間隔が大きくなる方向への張力が付与され、調整ベアリング27cに対して調整レール27bからの押圧力が作用しない状態では、隣り合う把持機構18同士の間隔が最大となる。
【0113】
一方、調整ベアリング27cに対する調整レール27bの接触状態が、弱接触状態である場合は、調整レール27bから調整ベアリング27cに作用する押圧力が小さくなる。この状態では、ジョイント機構19の第1継手部材19-1と、第2継手部材19-2の第2継手本体部19-3との折れ曲がり量は、調整レール27bから調整ベアリング27cに作用する押圧力が大きい状態における折れ曲がり量よりも小さくなる。これにより、隣り合う把持機構18同士の間隔も、調整レール27bから調整ベアリング27cに作用する押圧力が大きい状態における間隔と、調整レール27bが調整ベアリング27cに接触しない状態における間隔との間の大きさになる。
【0114】
間隔調整機構27による、隣り合う把持機構18同士の間隔の調節は、このように、調整ネジ27eを回転させることにより行う。これにより、間隔調整機構27は、搬送方向Yに沿って隣り合う2つの把持機構18同士の間隔を、大きくしたり小さくしたりすることができる。つまり、間隔調整機構27は、調整レール27bを幅方向Xに移動させ、調整レール27bと第2継手部材19-2との位置関係を相対的に変化させることにより、隣り合う2つの把持機構18同士の間隔を変化させることができる。即ち、調整レール27bと、第2継手部材19-2の回動中心である第2枢軸部24との幅方向Xにおける距離を小さくした場合は、把持機構18同士の間隔を小さくすることができ、調整レール27bと第2枢軸部24との幅方向Xにおける距離を大きくした場合は、把持機構18同士の間隔を大きくすることができる。また、往路2における、間隔調整範囲27b-Z以外の部分では、間隔調整機構27による、隣り合う把持機構18同士の間隔を調節が行われないため、隣り合う把持機構18同士は、間隔が最大の状態が維持される。
【0115】
なお、調整ネジ27eを回転させることによる、隣り合う把持機構18同士の間隔の調整は、手動調整によって行ってもよく、自動調整によって行ってもよい。手動調整では、作業者が目視確認できるような目盛を調整ネジ27eに設けることが好ましい。一方、自動調整では、調整ネジ27eに連結可能なモータと、モータの回転角度等の回転状態を検出可能な検出装置と、を設けることが好ましい。
【0116】
搬送方向Yにおける、延伸対象物5が収縮する範囲では、このように間隔調整機構27によって把持機構18同士の間隔を小さくすることにより、延伸対象物5を幅方向Xのみでなく、搬送方向Yにも収縮させる。つまり、延伸対象物5が収縮する範囲では、往路2同士の間隔を小さくすることにより、延伸対象物5の幅方向Xにおける拘束を低減し、把持機構18同士の間隔を小さくすることにより、延伸対象物5の搬送方向Yにおける拘束を低減する。これにより、幅方向Xにおける把持機構18同士の間隔と、搬送方向Yにおける把持機構18同士の間隔とを、延伸対象物5の収縮に追従させ、温度の低下に伴って収縮する延伸対象物5を、適切に収縮させる。
【0117】
温度を上昇させながら大幅に延伸し、温度を低下させながら適度に収縮した延伸対象物5は、出口側スプロケット7側に搬送され、把持解除点18p-OFFで、両縁部が把持機構18から解放される。即ち、延伸対象物5を把持しながら移動する各把持機構18は、把持解除点18p-OFFに到達した際に、延伸対象物5の把持を解除する。これにより、シート・フィルム延伸装置1によって延伸された延伸対象物5は、延伸の後工程で用いる、引取・巻取部109(
図1参照)等の装置に送り出される。
【0118】
一方、把持解除点18p-OFFで延伸対象物5の把持を解除したクリップチェーン8,9の把持機構18は、出口側スプロケット7の回転によって出口側スプロケット7まで到達した後、出口側スプロケット7から復路3側に送り出される。復路3に送り出された把持機構18は、復路3を通って出口側スプロケット7側から入口側スプロケット6側に移動し、入口側スプロケット6を経由して再び往路2に移動し、把持開始点18p-ONで延伸対象物5を把持する。把持機構18は、延伸対象物5を把持した状態で往路2を入口側スプロケット6側から出口側スプロケット7側に向かって移動することにより、延伸対象物5の搬送を行う。
【0119】
ここで、クリップチェーン8,9は、移動経路1L、1Rの全長に対して、把持機構18が適切な数で連結されるのが好ましいが、移動経路1L、1Rの全長に対して把持機構18の数が多い場合、弛みが発生することがある。特に、本実施形態に係るシート・フィルム延伸装置1に使用されるチェーンであるクリップチェーン8,9は、隣り合う把持機構18同士がジョイント機構19により連結されているため、把持機構18の数が多い場合は、把持機構18同士の間隔が小さくなって大きく弛み易くなる。
【0120】
クリップチェーン8,9の弛みは、復路3における出口側スプロケット7の近傍で発生し易くなっている。つまり、把持機構18が出口側スプロケット7から復路3側に送り出された場合、把持機構18は、出口側スプロケット7側から入口側スプロケット6側に把持機構18を押し出す方向の力によって、復路3を移動する。このため、各把持機構18には、隣り合う把持機構18同士を近付かせる方向の力が作用し、特に、復路3における出口側スプロケット7の近傍の位置では、隣り合う把持機構18同士を近付かせる方向の大きな力が作用する。従って、移動経路1L、1Rの全長に対して把持機構18の数が多い場合は、復路3における出口側スプロケット7の近傍で、隣り合う把持機構18同士の間隔が小さくなり易くなり、弛みが発生し易くなる。
【0121】
本実施形態に係るチェーン状態検出装置50は、このようなクリップチェーン8,9の弛みを検出することが可能になっている。
図10は、チェーン状態検出装置50の動作の説明図であり、クリップチェーン8,9の弛みが発生していない場合の模式図である。チェーン状態検出装置50によってクリップチェーン8,9の弛みを検出する際には、発光部52を発光させた際における受光部53での受光状態に基づいて、クリップチェーン8,9に弛みが発生しているか否かを制御部55で判定する。
【0122】
詳しくは、発光部52で発光した光は、光経路60の発光経路61を通り、発光経路発光部62から出射する。発光経路発光部62から出射する光は、第1検出光L1として第1離間経路76を通って中継経路70の中継経路受光部71に向かう。その際に、クリップチェーン8,9の移動方向に対して交差する第1離間経路76上に、クリップチェーン8,9の把持機構18が位置しない場合は、第1検出光L1は、把持機構18に遮られることなく、第1離間経路76を通って中継経路受光部71に向かう。
【0123】
なお、隣り合う把持機構18同士を連結するジョイント機構19は、重力方向Zにおける位置が、離間経路75の重力方向Zにおける位置とは異なっているため、第1離間経路76上に把持機構18が位置しなければ、第1検出光L1は、ジョイント機構19の位置に関わらず第1離間経路76を通って中継経路受光部71に向かうことができる。
【0124】
第1離間経路76を通る第1検出光L1を中継経路受光部71で受光すると、この光は、中継経路70を通って中継経路発光部72が位置する側に向かう。中継経路発光部72に到達した光は、中継経路発光部72から出射して、第2検出光L2として第2離間経路77を通って受光経路63の受光経路受光部64に向かう。この場合も同様に、クリップチェーン8,9の移動方向に対して交差する第2離間経路77上に、クリップチェーン8,9の把持機構18が位置しない場合は、第2検出光L2は、把持機構18に遮られることなく、第2離間経路77を通って受光経路受光部64に向かう。
【0125】
受光経路受光部64で受光した光は、受光経路63を通って受光部53に向かい、受光部53は、受光経路63を通って受光部53に到達した光を受光する。アンプ51は、受光部53が光を受光したことを検出したら、受光部53が受光したことを示す信号を制御部55に伝達する。
【0126】
一方で、第1離間経路76上や第2離間経路77上に把持機構18が存在する場合は、第1離間経路76を通る第1検出光L1や、第2離間経路77を通る第2検出光L2は、把持機構18によって遮られる。この場合、受光経路63の受光経路受光部64は、光を受光することができず、受光経路63を通って受光部53に向かう光が受光経路受光部64から入射しないため、受光部53は受光しない。この場合、アンプ51は、受光部53が受光したことを示す信号を制御部55に伝達しない、或いは、受光部53が受光しないことを示す信号を制御部55に伝達する。
【0127】
制御部55は、受光部53が受光したか否かを示すアンプ51からの信号に基づいて、クリップチェーン8,9の状態を判定する。具体的には、制御部55は、受光部53で光を受光する状態と光を受光しない状態とが繰り返される場合は、クリップチェーン8,9の状態は正常であると判定し、受光部53で光を受光しない状態が継続する場合は、クリップチェーン8,9の状態は異常であると判定する。
【0128】
つまり、クリップチェーン8,9の状態は正常であり、クリップチェーン8,9に弛みは発生していない場合は、移動するクリップチェーン8,9の把持機構18は、異なる把持機構18が、第1離間経路76上と第2離間経路77上とをほぼ同時に通過したり、第1離間経路76上と第2離間経路77上とに位置しない状態になったりする。この場合、受光部53は、光を受光する状態と光を受光しない状態とが繰り返されるため、アンプ51から制御部55に伝達する、受光部53の受光状態を示す信号は、ONとOFFとが繰り返される。
【0129】
図11、
図12は、クリップチェーン8,9に弛みが発生していない状態における受光状態とアンプ51の出力との関係を示す説明図である。受光部53が光を受光するか否かは、中継経路受光部71の受光状態と、受光経路受光部64の受光状態とに応じて変化する。つまり、受光部53は、
図11に示すように、中継経路受光部71と受光経路受光部64とのいずれもが受光できる場合は、受光部53は光を受光できるため、アンプ51から制御部55に伝達する、受光部53の受光状態を示す信号はONになる。一方、中継経路受光部71と受光経路受光部64とのいずれもが受光できない場合は、受光部53は光を受光できないため、アンプ51から制御部55に伝達する信号はOFFになる。
【0130】
また、クリップチェーン8,9が僅かに弛んだ場合、移動するクリップチェーン8,9の把持機構18は、第1離間経路76上を把持機構18が通過するタイミングと、第2離間経路77上を把持機構18が通過するタイミングとが、僅かにずれる。この場合、
図12に示すように、中継経路受光部71が受光できるタイミングと、受光経路受光部64が受光できるタイミングとが僅かにずれるが、中継経路受光部71と受光経路受光部64とのいずれもが受光できるタイミングがある場合は、受光部53は、このタイミングで光を受光することができる。このように、短いタイミングにおいても、受光部53で光を受光したら、アンプ51から制御部55に伝達する信号はONになる。一方、中継経路受光部71と受光経路受光部64とのいずれもが受光できない場合は、受光部53は光を受光できないため、アンプ51から制御部55に伝達する信号はOFFになる。
【0131】
これらのように、受光部53で光を受光できる状態と、光を受光できない状態とが繰り返されることにより、アンプ51から制御部55に伝達する信号は、ONとOFFとが繰り返される。この場合、制御部55は、クリップチェーン8,9の弛みが許容範囲内であり、クリップチェーン8,9に弛みは発生していない、と判定する。即ち、制御部55は、クリップチェーン8,9の状態は正常であると判定する。
【0132】
これらに対し、クリップチェーン8,9に弛みが発生している場合は、受光部53で光を受光できなくなる。
図13は、チェーン状態検出装置50の動作の説明図であり、クリップチェーン8,9に弛みが発生している場合の模式図である。クリップチェーン8,9に弛みが発生している場合、2箇所の離間経路75の間隔がクリップチェーン8,9に弛みが発生していない状態における把持機構18のピッチの整数倍になっているのに対し、隣り合う把持機構18同士の間隔が、弛みが発生していない状態での1ピッチよりも小さくなっている。このため、移動するクリップチェーン8,9は、第1離間経路76に対する1つの把持機構18の通過開始から通過終了までのタイミングと、第2離間経路77に対する1つの把持機構18の通過開始から通過終了までのタイミングとが、異なったタイミングになる。これにより、移動するクリップチェーン8,9の把持機構18は、常に第1離間経路76と第2離間経路77とのいずれかを通過する状態になる。従って、光経路60を通って発光部52から受光部53に導かれる光は、常に、第1離間経路76または第2離間経路77で遮断される。
【0133】
例えば、第2離間経路77上に把持機構18が位置する場合は、発光部52で発光し、発光経路61の発光経路発光部62から出射した第1検出光L1は、第1離間経路76を通って中継経路受光部71で受光することができる。しかし、中継経路受光部71で受光し、中継経路70を通って中継経路発光部72から出射した第2検出光L2は、第2離間経路77上に位置する把持機構18によって遮られる。この場合、受光経路受光部64では第2検出光L2を受光することができず、受光経路63を光が通らないため、受光部53は光を受光できない。従って、アンプ51は、受光部53が受光したことを示す信号を制御部55に伝達しない、或いは、受光部53が受光しないことを示す信号を制御部55に伝達する。
【0134】
第1離間経路76上に把持機構18が位置する場合も同様で、第1離間経路76上に把持機構18が位置する場合は、発光経路61の発光経路発光部62から出射した第1検出光L1が、第1離間経路76上に位置する把持機構18によって遮られるため、中継経路受光部71では第1検出光L1を受光することができない。このため、中継経路70及び受光経路63を光が通らないため、受光部53は光を受光できない。従って、アンプ51は、受光部53が受光したことを示す信号を制御部55に伝達しない、或いは、受光部53が受光しないことを示す信号を制御部55に伝達する。
【0135】
クリップチェーン8,9の状態は異常であり、クリップチェーン8,9に弛みが発生している場合は、移動するクリップチェーン8,9の把持機構18は、第1離間経路76上と第2離間経路77上とのいずれかに、常に位置する状態になる。この場合、受光部53は、光を受光しない状態が継続するため、アンプ51から制御部55に伝達する、受光部53の受光状態を示す信号は、OFFが継続される。
【0136】
図14は、クリップチェーン8,9に弛みが発生している状態における受光状態とアンプ51の出力との関係を示す説明図である。クリップチェーン8,9に弛みが発生している場合、移動するクリップチェーン8,9の把持機構18は、第1離間経路76上を把持機構18が通過するタイミングと、第2離間経路77上を把持機構18が通過するタイミングとが異なったものになる。この場合、
図14に示すように、中継経路受光部71が受光できるタイミングと、受光経路受光部64が受光できるタイミングとは完全にずれ、中継経路受光部71と受光経路受光部64とのいずれもが受光できるタイミングが無くなる。この場合、受光経路受光部64から受光経路63に光が入射しなくなるため、受光部53は、光を受光することができない状態が継続する。これにより、アンプ51から制御部55に伝達する信号は、OFFが継続する。この場合、制御部55は、クリップチェーン8,9の弛みが許容範囲外であり、クリップチェーン8,9に弛みが発生している、と判定する。即ち、制御部55は、クリップチェーン8,9の状態は異常であると判定する。
【0137】
クリップチェーン8,9に弛みが発生していると判定した場合、制御部55は、クリップチェーン8,9に弛みが発生していることを報知する信号を表示部56に伝達する。表示部56は、この信号により、クリップチェーン8,9に弛みが発生していることを作業者に報知する表示を行う。クリップチェーン8,9に弛みが発生していることを示す表示を視認した作業者は、弛みに応じて把持機構18の数を調整することにより、クリップチェーン8,9に弛みを取り除く。または、シート・フィルム延伸装置1に、クリップチェーン8,9の張力を調整する機構を備えている場合は、作業者は、当該機構によって張力を調整することにより、クリップチェーン8,9に弛みを取り除く。
【0138】
<実施形態の効果>
上述したように、本実施形態に係るチェーン状態検出装置50では、発光部52で発光した光を受光部53に導く光経路60が、2箇所の離間経路75を2箇所有しており、2箇所の離間経路75は、クリップチェーン8,9の状態を判定する際の基準となる間隔で配置されるため、クリップチェーン8,9の所定の位置の間隔が、判定する際の基準となる間隔になっているか否かを、より確実に判定することができる。つまり、クリップチェーン8,9の所定の位置の間隔が、所望の間隔になっているか否かを判定する際に、その間隔で配置された2つのセンサを使用し、それぞれのセンサが把持機構18を検出する時間差に基づいてクリップチェーン8,9の状態を判定する場合、クリップチェーン8,9の移動速度が高速である際に、判定処理が追い付かなくなる虞がある。
【0139】
これに対し、本実施形態では、光経路60が有する2箇所の離間経路75で把持機構18を検出する構成になっており、2箇所の離間経路75のいずれもが光を通す状態である場合にのみ、受光部53で光を受光することが可能になっている。このため、クリップチェーン8,9の所定の位置の間隔が、所望の間隔になっている場合は、2箇所の離間経路75のいずれもが光を通すことによって受光部53が光を受光することと、2箇所の離間経路75の少なくとも一方が光を通さないことにより、受光部53が光を受光しないこととが繰り返される。一方、クリップチェーン8,9の所定の位置の間隔が、所望の間隔になっていない場合は、2箇所の離間経路75のいずれもが光を通す瞬間が存在しなくなるため、受光部53が光を受光しない状態が継続される。
【0140】
これにより、受光部53が光を受光しない状態が継続される場合は、クリップチェーン8,9の所定の位置の間隔が、所望の間隔になっていないと判定することができるため、クリップチェーン8,9の移動速度が高速である場合でも、クリップチェーン8,9の状態を容易に判定することができる。この結果、より確実にクリップチェーン8,9の状態を検出することができる。
【0141】
また、制御部55は、受光部53で光を受光する状態と光を受光しない状態とが繰り返される場合は、クリップチェーン8,9の状態は正常であると判定し、受光部53で光を受光しない状態が継続する場合は、クリップチェーン8,9の状態は異常であると判定するため、クリップチェーン8,9の状態が正常であるか異常であるかを、2箇所の離間経路75の双方を光が通る瞬間があるか否かに基づいて判定することができる。これにより、クリップチェーン8,9の状態が正常であるか異常であるかを、より確実に判定することができ、クリップチェーン8,9の移動速度が高速である場合でも、容易に判定することができる。この結果、より確実にクリップチェーン8,9の状態を検出することができる。
【0142】
また、光経路60は、第1離間経路76を通る第1検出光L1を受光する中継経路受光部71と、中継経路受光部71で受光した光を、第2離間経路77を通る第2検出光L2として発光する中継経路発光部72と、有する中継経路70を有するため、空間に光を通す2箇所の離間経路75を、より確実に光経路60に設けることができる。これにより、2箇所の離間経路75の双方を光が通る状態でのみ、受光部53で光を受光することのできる光経路60を、より確実に構成することができる。この結果、より確実にクリップチェーン8,9の状態を検出することができる。
【0143】
また、本実施形態では、シート・フィルム延伸装置1にチェーン状態検出装置50を備え、離間経路75は、クリップチェーン8,9の移動経路に対して交差すると共に、2箇所の離間経路75を、クリップチェーン8,9の延在方向においてクリップチェーン8,9の状態を判定する際の基準となる間隔で配置している。これにより、延伸対象物5を把持するクリップチェーン8,9が高速で移動する場合でも、クリップチェーン8,9の状態を容易に判定することができる。この結果、より確実にクリップチェーン8,9の状態を検出することができる。
【0144】
また、2箇所の離間経路75は、クリップチェーン8,9の復路3に配置され、制御部55は、復路3を移動するクリップチェーン8,9の状態を判定するため、制御部55は、クリップチェーン8,9の状態として、クリップチェーン8,9に弛みが発生しているか否かを判定することができる。この結果、より確実にクリップチェーン8,9に弛みが発生しているか否かを検出することができる。
【0145】
[変形例]
なお、上述した実施形態に係るシート・フィルム延伸装置1では、チェーン状態検出装置50の離間経路75は復路3に配置されているが、離間経路75は往路2に配置されていてもよい。チェーン状態検出装置50は、離間経路75が復路3を移動するクリップチェーン8,9の移動経路に対して交差することにより、往路2を移動するクリップチェーン8,9の異常を検出することができる。往路2を移動するクリップチェーン8,9の異常としては、例えば、クリップチェーン8,9の伸びが挙げられる。
【0146】
つまり、駆動側スプロケットである出口側スプロケット7からクリップチェーン8,9に対して伝達される駆動力は、往路2を移動するクリップチェーン8,9に対しては、隣り合う把持機構18同士の間隔を大きくする張力として作用する。このため、クリップチェーン8,9に伸びが発生した場合には、往路2を移動するクリップチェーン8,9は、当該クリップチェーン8,9に作用する張力によって隣り合う把持機構18同士の間隔が大きくなる。従って、クリップチェーン8,9の伸びを検出する場合は、2箇所の離間経路75は、クリップチェーン8,9の延在方向においてクリップチェーン8,9の伸びの発生の有無を判定する際の基準となる間隔で、往路2に配置する。これにより、制御部55は、受光部53で光を受光する状態と光を受光しない状態とが繰り返される場合は、クリップチェーン8,9に伸びは発生していないと判定することができ、受光部53で光を受光しない状態が継続する場合は、クリップチェーン8,9に伸びが発生していると判定することができる。従って、制御部55は、クリップチェーン8,9が高速で移動している状態でも、クリップチェーン8,9の伸びの発生の有無を容易に判定することができる。この結果、より確実にクリップチェーン8,9に伸びが発生しているか否かを検出することができる。
【0147】
また、上述した実施形態に係るシート・フィルム延伸装置1では、移動機構20が有する転動ユニット26の上側転動ベアリング26aと下側転動ベアリング26bとは、1つの把持本体18aにそれぞれ合計4つが設けられているものとして説明したが、1つの把持本体18aに設けられる上側転動ベアリング26aと下側転動ベアリング26bとは、4つ以外であってもよい。上側転動ベアリング26aは、例えば、上側基準レール10a,11aの厚さ方向における一方側に2つが配置され、他方側に1つが配置されることにより、1つの把持本体18aに3つが設けられていてもよい。同様に、下側転動ベアリング26bは、例えば、下側基準レール10b,11bの厚さ方向における一方側に2つが配置され、他方側に1つが配置されることにより、1つの把持本体18aに3つが設けられていてもよい。上側転動ベアリング26aと下側転動ベアリング26bとは、上側基準レール10a,11aや下側基準レール10b,11bの厚さ方向における両側に配置され、これらのレールを厚さ方向に挟むことができるように構成されていれば、その数は問わない。
【0148】
また、上述した実施形態に係るシート・フィルム延伸装置1では、復路3における出口側スプロケット7の近傍を移動するクリップチェーン8,9の弛みをチェーン状態検出装置50によって検出しているが、クリップチェーン8,9の弛みを検出する位置は、出口側スプロケット7の近傍以外の位置でもよい。クリップチェーン8,9の復路3は、クリップチェーン8,9が出口側スプロケット7によって押し出されることによってクリップチェーン8,9は移動するので、全体的に比較的弛み易くなっている。このため、装置の配置のし易さと弛みの検知のし易さとを考慮して、チェーン状態検出装置50を適切に配置することができ、且つ、弛みを検出することができる位置であれば、チェーン状態検出装置50を配置する位置は、出口側スプロケット7の近傍以外の位置でもよい。
【0149】
また、上述した実施形態に係るシート・フィルム延伸装置1では、調整レール27bが取り付けられる位置決めブロック31は、復路ブロック14に固定される調整ブロック27aと一体構造になっているが、位置決めブロック31は調整ブロック27aとは別体とし、調整ブロック27aに固定するようにしてもよい。
【0150】
また、上述した実施形態に係るシート・フィルム延伸装置1では、ジョイント機構19は、重力方向Zにおける位置が、把持機構18の上側に位置する移動機構20と把持機構18の下側に位置する移動機構20との間に位置するが、ジョイント機構19は、これ以外の位置に配置してもよい。ジョイント機構19は、例えば、重力方向Zにおいて、把持機構18の上側に位置する移動機構20の上側に配置してもよく、把持機構18の下側に位置する移動機構20の下側に配置してもよい。または、ジョイント機構19は、重力方向Zにおいて、把持機構18の上側に位置する移動機構20の上側の位置と、把持機構18の下側に位置する移動機構20の下側の位置との双方に配置してもよい。ジョイント機構19の位置に関わらず、間隔調整機構27は、第2継手部材19-2の突出部23に対して押圧力を作用させることにより、隣り合う把持機構18同士の間隔を調整することができれば、ジョイント機構19の位置は問わない。
【0151】
また、上述した実施形態に係るシート・フィルム延伸装置1では、左移動経路1L及び右移動経路1Rにおける往路2と復路3との双方がオーブン30によって覆われているが、オーブン30は、往路2のみを覆うように構成されていてもよい。オーブン30は、往路2を移動する把持機構18で把持する延伸対象物5の加熱を行ったり、保温を行ったりするものであるため、少なくとも往路2と、往路2同士の間に位置する搬送エリア1Aとを覆っていればよい。
【0152】
また、上述した実施形態に係るシート・フィルム延伸装置1では、加熱保温室としてT1~T10が設定されているが、加熱保温室は、延伸する延伸対象物5の種類や延伸仕様等に応じて、適宜設定するのが好ましい。
【符号の説明】
【0153】
1…シート・フィルム延伸装置、1L…左移動経路、1R…右移動経路、1A…搬送エリア、2…往路、3…復路、4L…左レール構造体、4R…右レール構造体、5…延伸対象物、6…入口側スプロケット(従動側スプロケット)、7…出口側スプロケット(駆動側スプロケット)、8,9…クリップチェーン、10…往路レールユニット、11…復路レールユニット、12…レールブロック、13…往路ブロック、14…復路ブロック、15…スライダ、16…固定ブロック、17…ボルト、18…把持機構、19…ジョイント機構、20…移動機構、27…間隔調整機構、30…オーブン、40L…左把持装置、40R…右把持装置、50…チェーン状態検出装置、51…アンプ、52…発光部、53…受光部、55…制御部(判定部)、56…表示部、60…光経路、61…発光経路、62…発光経路発光部、63…受光経路、64…受光経路受光部、70…中継経路、71…中継経路受光部、72…中継経路発光部、75…離間経路、76…第1離間経路、77…第2離間経路、L1…第1検出光、L2…第2検出光