(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-22
(45)【発行日】2022-05-06
(54)【発明の名称】取引装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/40 20120101AFI20220425BHJP
G06Q 30/06 20120101ALI20220425BHJP
【FI】
G06Q20/40
G06Q30/06
(21)【出願番号】P 2019106239
(22)【出願日】2019-06-06
【審査請求日】2021-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】507417422
【氏名又は名称】株式会社 ゆうちょ銀行
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 智矩
【審査官】岡北 有平
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-200717(JP,A)
【文献】特開2018-109837(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1023313(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
決済の利用明細の照会を受け付ける受付部と、
前記受付部が、所定の利用者の利用明細の照会を利用者から受け付けると、該所定の利用者の利用明細を出力する出力部と、を備え、
前記出力部は、前記受付部が前記照会を前記所定の利用者に紐付けされた他の利用者から受け付けた場合には、前記所定の利用者の利用明細のうち所定の条件に該当しない利用明細の出力を制限
し、
前記出力部は、前記受付部が前記照会を前記他の利用者から受け付けた場合には、前記所定の利用者の利用明細の中から前記所定の条件に該当する利用明細の詳細を出力すると共に、前記所定の条件に該当しない利用明細の概要を出力する、
取引装置。
【請求項2】
前記出力部は、前記受付部が前記照会を前記所定の利用者から受け付けた場合には、前記所定の条件に該当しない利用明細の出力を制限しない、
請求項1に記載の取引装置。
【請求項3】
前記利用明細の詳細とは、前記所定の利用者の利用明細の中から前記所定の条件に該当する利用明細を支払い毎に表したものであり、
前記利用明細の概要とは、前記所定の利用者の利用明細の中から前記所定の条件に該当しない利用明細の総額を表したものである、
請求項
1又は2に記載の取引装置。
【請求項4】
前記利用明細には、購入した商品の情報が含まれており、
前記所定の条件には、商品購入の基準回数が少なくとも特定の商品について設定されており、
前記出力部は、前記受付部が前記照会を前記他の利用者から受け付けた場合には、前記所定の利用者の利用明細の中から、商品の購入回数が前記基準回数を超えない商品に関する利用明細の出力を制限する、
請求項1から
3の何れか一項に記載の取引装置。
【請求項5】
決済の利用明細の照会を受け付ける受付工程と、
前記受付工程において、所定の利用者の利用明細の照会を利用者から受け付けると、該所定の利用者の利用明細を出力する出力工程と、を有し、
前記出力工程では、前記受付工程において前記照会を前記所定の利用者に紐付けされた他の利用者から受け付けた場合には、前記所定の利用者の利用明細のうち所定の条件に該当しない利用明細の出力を制限
し、
前記出力工程では、前記受付工程において前記照会を前記他の利用者から受け付けた場合には、前記所定の利用者の利用明細の中から前記所定の条件に該当する利用明細の詳細を出力すると共に、前記所定の条件に該当しない利用明細の概要を出力する、
取引方法。
【請求項6】
決済の利用明細の照会を受け付ける受付工程と、
前記受付工程において、所定の利用者の利用明細の照会を利用者から受け付けると、該所定の利用者の利用明細を出力する出力工程と、をコンピュータに実行させ、
前記出力工程では、前記受付工程において前記照会を前記所定の利用者に紐付けされた他の利用者から受け付けた場合には、前記所定の利用者の利用明細のうち所定の条件に該当しない利用明細の出力を制限
し、
前記出力工程では、前記受付工程において前記照会を前記他の利用者から受け付けた場合には、前記所定の利用者の利用明細の中から前記所定の条件に該当する利用明細の詳細を出力すると共に、前記所定の条件に該当しない利用明細の概要を出力させる、
取引プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取引装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信技術の発展に伴い、デビットカードやクレジットカード、スマートフォン等の電子的手段を使った各種決済の利用明細を、インターネット経由で電子的に提供するサービスが普及している(例えば、特許文献1-5を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-351027号公報
【文献】特表2010-526371号公報
【文献】特開2003-132207号公報
【文献】特開2010-055320号公報
【文献】特開2016-218835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高齢者や未成年者は、判断能力の不足により、不要な日用品や有料サービス等の各種商品を誤って購入してしまう可能性がある。そこで、このような人を保護するためのサービスの一つとして、決済の利用明細を本人以外の人に提供することが考えられる。支出状況を家族や親族といった本人以外の人が把握できれば、当該本人の判断能力の不足を本人以外の人が把握し、当該本人の取引の安全性を高めることができる。しかし、支出状況を本人以外の人が把握できるようになると、当該本人のプライバシーが損なわれる。
【0005】
そこで、本願は、所定の利用者のプライバシーを損なわずに当該所定の利用者の支出を他の利用者が把握可能な技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明では、所定の利用者の利用明細の照会を他の利用者から受け付けた場合には、当該所定の利用者の利用明細のうち所定の条件に該当しない利用明細の出力を制限することにした。
【0007】
詳細には、本発明は、取引装置であって、決済の利用明細の照会を受け付ける受付部と、受付部が、所定の利用者の利用明細の照会を利用者から受け付けると、該所定の利用者の利用明細を出力する出力部と、を備え、出力部は、受付部が照会を所定の利用者に紐付けされた他の利用者から受け付けた場合には、所定の利用者の利用明細のうち所定の条件に該当しない利用明細の出力を制限する。
【0008】
ここで、所定の利用者とは、決済を行った利用者であり、例えば、高齢者や未成年者も含まれる。また、他の利用者とは、所定の利用者が行った決済の利用明細を参照可能な利用者である。また、所定の条件とは、プライバシー保護のために他の利用者への出力が制限される利用明細の詳細の出力の制限を解除する条件であり、例えば、所定の利用者に許容される商品の購入数量の上限等が挙げられる。
【0009】
このような取引装置であれば、当該他の利用者を所定の利用者と紐付けておくことにより、当該所定の利用者が決済した利用明細を当該他の利用者が把握できる。よって、当該
所定の利用者の判断能力の不足を当該他の利用者が把握し、当該所定の利用者の取引の安全性を高めることができる。また、当該他の利用者が当該所定の利用者の利用明細を閲覧する場合、所定の条件に該当しない利用明細については出力が制限されるので、当該所定の利用者のプライバシーも守られる。
【0010】
なお、出力部は、受付部が照会を所定の利用者から受け付けた場合には、所定の条件に該当しない利用明細の出力を制限しないものであってもよい。このような取引装置であれば、所定の利用者は自身の利用明細の詳細を確認することが可能となる。
【0011】
また、出力部は、受付部が照会を他の利用者から受け付けた場合には、所定の利用者の利用明細の中から所定の条件に該当する利用明細の詳細を出力すると共に、所定の条件に該当しない利用明細の概要を出力するものであってもよい。ここで、利用明細の詳細とは、所定の利用者の利用明細の中から所定の条件に該当する利用明細を支払い毎に表したものであり、利用明細の概要とは、所定の利用者の利用明細の中から所定の条件に該当しない利用明細の総額を表したものであってもよい。このような取引装置であれば、当該他の利用者は、所定の条件に該当しない利用明細についても概要を確認することが可能となる。
【0012】
また、利用明細には、購入した商品の情報が含まれており、所定の条件には、商品購入の基準回数が少なくとも特定の商品について設定されており、出力部は、受付部が照会を他の利用者から受け付けた場合には、所定の利用者の利用明細の中から、商品の購入回数が基準回数を超えない商品に関する利用明細の出力を制限するものであってもよい。このような取引装置であれば、基準回数を超えた商品の購入を当該他の利用者が把握できると共に、購入回数の上限を超えない商品の購入に関する事項の情報に関するプライバシーが保護可能である。
【0013】
また、本発明は、方法またはプログラムの側面から捉えることもできる。例えば、本発明は、取引方法であって、決済の利用明細の照会を受け付ける受付工程と、受付工程において、所定の利用者の利用明細の照会を利用者から受け付けると、該所定の利用者の利用明細を出力する出力工程と、を有し、出力工程では、受付工程において照会を所定の利用者に紐付けされた他の利用者から受け付けた場合には、所定の利用者の利用明細のうち所定の条件に該当しない利用明細の出力を制限するものであってもよい。
【発明の効果】
【0014】
上記の取引装置、方法及びプログラムであれば、所定の利用者のプライバシーを損なわずに当該所定の利用者の支出を他の利用者が把握可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、実施形態に係る決済システムの構成図である。
【
図2】
図2は、決済サーバにおいてコンピュータプログラムが実行されると実現される機能ブロックの一例を示した図である。
【
図3】
図3は、データベースに格納されている利用者情報の一例を示した図である。
【
図4】
図4は、データベースに格納されている設定情報の一例を示した図である。
【
図5】
図5は、決済システムにおいて決済が行われた際に実行される処理フローについて示している。
【
図6】
図6は、利用者端末に表示される画面の第1例を示した図である。
【
図7】
図7は、利用者端末に表示される画面の第2例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、単なる例示であり、本開示の技術的範囲を以下の態様に限定するものではない。
【0017】
<システム構成>
図1は、実施形態に係る決済システムの構成図である。決済システム1は、通信網2を介して相互に通信可能な決済サーバ3(本願でいう「取引装置」の一例である)、店舗端末4及び利用者端末5を備えるシステムである。決済サーバ3は、電子的手段を使った決済サービスを提供する機関が管理するサーバであり、当該機関の利用者が商品を購入した際の決済に係る処理を司る。店舗端末4は、飲食店や雑貨店、コンビニエンスストア、インターネット上で営業する仮想店舗、その他各種の店舗で営業を行う事業者が使用する端末であり、当該事業者の店舗で行われた支払いに係る決済データを決済サーバ3へ送信する。店舗端末4は、店舗に設置された精算機自体であってもよいし、仮想店舗の場合であれば仮想商店街を運営する運営者が管理するデータセンタのサーバであってもよい。利用者端末5は、決済サーバ3にアクセスするユーザが操作する情報処理装置であり、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)やタブレットPC、スマートフォン等の各種装置が挙げられる。
【0018】
決済システム1では、各事業者の店舗において、店舗端末4を通じて行われるデビットカードやクレジットカード等による支払い、スマートフォン6の支払い用アプリケーションを用いた支払い、利用者が店員に提示した会員カードの情報を店員が端末に入力することによって行われる支払等、各種の電子的手段を用いた利用者の支払いが行われると、当該支払いに係る決済データが店舗端末4から通信網2を介して決済サーバ3へ送信される。そして、決済サーバ3では、店舗端末4から送られた決済データを基に、各事業者の口座への入金処理や利用者の口座からの出金処理が行われる。なお、決済データは、店舗端末4の代わりに利用者が携帯するスマートフォン等の携帯端末から無線通信回線経由で決済サーバ3へ送られてもよい。
【0019】
通信網2は、主に公衆通信回線で形成されている。通信網2は、有線と無線の何れの通信回線であってもよい。通信網2を使って店舗端末4と決済サーバ3との間で取り交わされるデータは、通信内容が傍受されるのを防ぐために暗号化される。
【0020】
決済サーバ3は、CPUやメモリ、通信インタフェース、HDD(Hard Disk Drive)
やSSD(Solid State Drive)等のストレージを有する情報処理装置である。決済サー
バ3では、電磁的手段を使って行われる決済に係るコンピュータプログラムや、銀行の顧客の口座を管理するコンピュータプログラムが実行される。
【0021】
店舗端末4は、CPUやメモリ、通信インタフェース等を有する情報処理装置である。店舗端末4では、電子的手段を使って行われる決済に係るコンピュータプログラムが実行されることにより、利用者が所持する決済サービス用の媒体6(カードやスマートフォンなど)から情報を取得する処理や、当該利用者が購入した商品の情報を媒体6の情報と共に決済サーバ3へ通知する処理が実現される。なお、
図1では、店舗端末4が媒体6から無線信号で情報を取得するイメージの図が示されているが、店舗端末4は、電気的な接点が接触する接触式のICカードを読み取る端末であってもよいし、磁気カードの情報を読み取る端末であってもよいし、或いは、QRコード(登録商標)等の情報面を読み取る光学的な端末であってもよい。
【0022】
図2は、決済サーバ3においてコンピュータプログラムが実行されると実現される機能ブロックの一例を示した図である。決済サーバ3は、コンピュータプログラムを実行すると、受付部31、出力部32、決済部33、設定部34を実現する。また、決済サーバ3には、データベース35が設けられている。
【0023】
受付部31は、決済システム1を使って行われた決済の利用明細の照会や、利用者が購入する商品等に関する各種設定を受け付ける処理を司る。出力部32は、利用明細の出力等を受け付ける処理を司る。決済部33は、利用者が電子的手段による支払いを選択すると、店舗端末4等を通じて媒体6の情報を取得し、当該支払いに係る電子的な決済の処理を司る。設定部34は、データベース35に登録されている設定情報等に基づき、出力部32が出力する利用明細の出力内容の処理を司る。データベース35には、店舗における売上等の情報を管理するファイルや、利用者が購入する商品等に関する各種設定情報が格納される。
【0024】
図3は、データベース35に格納される利用者情報の一例を示した図である。データベース35には、例えば、
図3に示されるような利用者管理テーブルが格納されている。利用者管理テーブルには、決済システム1を利用する利用者の情報が設定されている。より詳細には、利用者管理テーブルには、決済システム1の利用者に関する情報のうち、管理者が設定されている被管理者と、当該被管理者を管理する管理者との対応関係が紐付けされている。管理者が設定される被管理者としては、例えば、判断能力の不足により、不要な日用品や有料サービス等の各種商品を誤って購入してしまう可能性のある高齢者や未成年者が挙げられる。また、このような被管理者を管理する管理者としては、家族や親族といった当該被管理者の身内など、当該被管理者本人以外の者が挙げられる。
【0025】
図4は、データベース35に格納されている設定情報の一例を示した図である。データベース35には、例えば、
図4に示されるような表示階層テーブルが格納されている。表示階層テーブルは、所定の利用者に関する利用明細を出力部32が出力する際に設定部34に参照されるテーブルである。表示階層テーブルには、当該所定の利用者が購入する商品の種類や購入回数、基準回数が示されている。商品の購入回数は、利用者が商品の購入を行う度に、購入した商品数に応じて加算される。また、表示階層テーブルでは、商品の種類が2種類設定されている。すなわち、表示階層テーブルでは、商品の種類を具体的な普通名称で表したものと、商品の種類を抽象的なカテゴリー名で表したものが設定されている。そして、表示階層テーブルでは、商品の種類を具体的な普通名称で表したものを第1階層の列で定義し、商品の種類を抽象的なカテゴリー名で表したものを第2階層の列で定義している。また、表示階層テーブルには、表示階層が設定されている。表示階層とは、利用明細の照会が行われた際に出力部32から利用明細として出力させる内容を制御するための情報である。出力部32が出力する利用明細に購入品として掲載される商品名は、表示階層テーブルの「表示階層」で指定される表示階層のものが選択される。
【0026】
図5は、決済システム1において決済が行われた際に実行される処理フローについて示している。以下、決済サーバ3において実現される処理内容の一例について、
図5に示す処理フローに沿って説明する。
【0027】
決済サーバ3は、利用者が店舗端末4等の端末を通じて決済を行うと、データベース35に格納されている表示階層テーブルにアクセスする。そして、決済サーバ3は、利用者が店舗端末4等の端末を通じて決済を行った商品の購入回数を加算すると共に、判定基準を参照する(S101)。そして、決済サーバ3は、当該加算後の購入回数が基準回数の条件に合致しているか否かの判定を行う(S102)。決済サーバ3は、当該加算後の購入回数が基準回数を超えていれば、当該商品の表示階層の設定を第1階層とする(S103)。また、決済サーバ3は、当該加算後の購入回数と基準回数との比較を行い、当該加算後の購入回数が基準回数以下であれば、当該商品の表示階層の設定を第2階層とする(S104)。
【0028】
なお、
図5を用いて説明した上記フローは、利用者による利用明細の参照があった際に
実行されてもよい。
【0029】
図6は、利用者端末5に表示される画面の第1例を示した図である。決済サーバ3は、利用者が利用する利用者端末5等の端末において、特定の利用者の利用明細の照会が他の利用者によって行われると、データベース35に格納されている利用者管理テーブルを参照し、当該他の利用者が当該特定の利用者に紐付けされているか否かの確認を行う。利用者の特定は、利用者端末5等を通じて決済サーバ3へアクセスする際に入力を求める識別情報(利用者ID)を使って行う。そして、決済サーバ3は、当該特定の利用者が被管理者であり、当該他の利用者が当該被管理者に紐付けられた管理者であることを利用者管理テーブルで確認すると、データベース35に格納されている表示階層テーブルにアクセスし、表示階層を参照する。そして、決済サーバ3は、当該被管理者の利用明細を、表示階層テーブルに設定されている表示階層に従って利用者端末5へ出力する。その結果、利用者端末5では、例えば、
図6に示す画面D101のような画面が表示される。すなわち、管理者が閲覧する画面D101には、当該管理者と紐づけられている被管理者が支払った代金の利用明細のうち、基準回数に達している利用明細については詳細表示、すなわち、商品の種類を具体的な普通名称で表した第1階層の情報が表示される。また、基準回数に達していない利用明細については制限表示、すなわち、商品の種類を抽象的なカテゴリー名で表した第2階層の情報が表示される。
【0030】
画面D101の表示内容について更に詳述する。
図4の表示階層テーブルに例示したように、「洗剤」については、基準回数が「2」に設定されているのに対し、購入回数が「5」となっており、購入回数が基準回数を超えているため、表示階層が「第1階層」となっている。よって、画面D101においても、洗剤の購入に5000円使ったことが表示されている。また、「トイレットペーパー」については、基準回数が「2」に設定されているのに対し、購入回数が「1」となっており、購入回数が基準回数未満となっているため、表示階層が「第2階層」となっている。よって、画面D101においても、トイレットペーパーが属する商品のカテゴリー名である「日用品」のみが表示され、具体的な商品の普通名称については非表示となっている。また、「肉類」については、基準回数が「20」に設定されているのに対し、購入回数が「10」となっており、購入回数が基準回数未満となっているため、表示階層が「第2階層」となっている。また、「魚介類」については、基準回数が「20」に設定されているのに対し、購入回数が「15」となっており、購入回数が基準回数未満となっているため、表示階層が「第2階層」となっている。よって、画面D101においても、肉類と魚介類が属する商品のカテゴリー名である「食料品」のみが表示され、具体的な商品の普通名称については非表示となっている。なお、画面D101に表示される購入商品のボックスの大きさは、購入商品の金額の多寡に連動してもよい。画面D101に表示される購入商品のボックスの大きさが、購入商品の金額の多寡に連動していれば、支出の大きさを視覚的に把握することが可能となる。
【0031】
図7は、利用者端末5に表示される画面の第2例を示した図である。決済サーバ3は、利用者が利用する利用者端末5等の端末において、特定の利用者の利用明細の照会が当該特定の利用者によって行われると、当該特定の利用者の利用明細を利用者端末5へ出力する。この場合、上述したような表示の制限は行われない。よって、
図7に例示されるように、利用者の利用者端末5に表示される利用者自身の利用明細の画面D102には、当該特定の利用者が決済システム1で決済した全ての利用明細が詳細表示される。すなわち、利用明細の内訳が
図4の表示階層テーブルに例示される場合であれば、画面D102においては、購入回数が基準回数を超えていると否とに関わり無く、全ての利用明細において第1階層の情報である具体的な商品の普通名称が表示される。
【0032】
上記実施形態の決済システム1であれば、管理者を被管理者と紐付けておくことにより、当該被管理者が決済システム1で決済した利用明細を管理者が把握できる。よって、被
管理者の判断能力の不足を管理者が把握し、当該被管理者の取引の安全性を高めることができる。また、管理者が被管理者の利用明細を閲覧する場合、表示階層テーブルに設定された条件に該当しない利用明細については出力が制限されるので、被管理者のプライバシーも守られる。
【0033】
なお、利用明細の出力の制限は、決済サーバ3が担うものに限定されない。利用明細の出力の制限は、決済を司る決済サーバ3とは別体のサーバが実行してもよい。決済を司る決済サーバ3とは別体のサーバとは、例えば、決済サーバ3から決済の情報を取得して蓄積し、利用明細の生成と出力を専用で担うサーバや、決済後に利用者が決済情報を入力(カメラ画像の文字認識入力を含む)する家計簿アプリのサーバ等が挙げられる。
【0034】
また、上記実施形態では、利用者の決済を制限する機能について触れられていなかったが、決済サーバ3は、例えば、購入回数が既に上限に達した商品の決済を検知すると、決済部33が当該決済を中止するか、又は、利用者管理テーブルで紐付けられた管理者に承認を求める通知を行うようにしてもよい。
【0035】
また、上記実施形態では、表示階層テーブルに基準回数が予め設定されていたが、表示階層テーブルの基準回数は、例えば、管理者が利用者端末5等を通じて個別に設定可能であってもよいし、利用者毎の個別設定ではなく全利用者に対して一律に設定されていてもよいし、各利用者の過去の決済履歴における購入頻度に基づいて設定されてもよいし、或いは、利用者の年齢や性別、居住地域等に応じて設定されていてもよい。
【0036】
さらに、表示階層テーブルの基準回数の設定を管理者が行う場合に、利用者の年齢や性別、居住地域等に応じて設定された基準回数に対して管理者が設定する基準回数が低くなる場合等には、利用者の承認を必要とするとしてもよい。
【0037】
また、表示階層テーブルの基準回数は、利用者の状態に応じて動的に変化するものであってもよい。例えば、表示階層テーブルの基準回数は、被管理者の判断能力の低下が疑われる事象、具体的には、被管理者が暗証番号の誤入力や通帳の紛失等の事象に連動して変動してもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、表示階層テーブルに記録される購入回数の初期化について触れられていなかったが、表示階層テーブルに記録される購入回数は、例えば、1週間毎、1ヶ月毎、或いは1年毎といった具合に定期的に初期化されてもよい。
【0039】
また、上記実施形態では、所定の条件には、商品の購入の基準回数が少なくとも特定の商品について設定されており、購入回数が基準回数を超えたか否かを判定して利用明細の出力の制限又は非制限を行うものとしているが、特定の購入パターンに合致しているか否かにより制限又は非制限を行うものとしてもよい。例えば、特定の地域において特定商品の高齢者に対する押し売りが発生しているという情報を入手した場合、当該情報に基づき特定商品、購入期間、購入場所を所定の条件に設定することで、所定の条件に合致する取引が利用明細に表示されるようになることから、被害発生の迅速な検知と被害拡大を防ぐための行動を管理者において行うことができる。
【0040】
また、上記実施形態では、表示階層テーブルにおいて2つの階層のみが設定されていたが、3つ以上の階層が設定されていてもよい。
【0041】
1・・決済システム
2・・通信網
3・・決済サーバ
4・・店舗端末
5・・利用者端末
6・・媒体
31・・受付部
32・・出力部
33・・決済部
34・・設定部
35・・データベース