(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-22
(45)【発行日】2022-05-06
(54)【発明の名称】トンネルのライニングを形成するためのセグメントの自動化されたピックアップ及び敷設のための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
E21D 11/40 20060101AFI20220425BHJP
E21D 9/06 20060101ALI20220425BHJP
【FI】
E21D11/40 C
E21D9/06 302Z
(21)【出願番号】P 2019538736
(86)(22)【出願日】2017-10-03
(86)【国際出願番号】 FR2017052719
(87)【国際公開番号】W WO2018065726
(87)【国際公開日】2018-04-12
【審査請求日】2020-09-15
(32)【優先日】2016-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】501227638
【氏名又は名称】ブイーグ・トラボ・ピュブリクス
【氏名又は名称原語表記】BOUYGUES TRAVAUX PUBLICS
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】ルカ、ムートン
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ、ドゥミュインク
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-060495(JP,A)
【文献】特開平08-296400(JP,A)
【文献】特開平08-199995(JP,A)
【文献】特開2014-134439(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0308268(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 11/40
E21D 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セグメントエレクタ
ーが設けられるトンネルボーリングマシ
ンに接続されることが意図された、トンネルのライニングを形成するセグメントの自動化されたピックアップ及び敷設のための装置であって、前記
セグメントエレクターは、位置センサが設けられているアクチュエータを備え、
前記装置は:
- 前記
セグメントエレクターの作動を制御するように且つ前記
セグメントエレクター
の前記位置センサから測定データを受信するように適応されている前記トンネルボーリングマシンの自動化されたシステムと通信するように構成されるコントローラと、
- 少なくとも4つのレーザープロフィロメータを備え、(i)前記
セグメントエレクターと把持されるべきセグメントとの間の位置及び傾斜の偏差を検出して(ii)少なくとも1つのセグメント及び/又は既に敷設されたセグメントの1つのリングに対しての、前記
セグメントエレクターによって保持される敷設されるべきセグメントの位置及び傾斜の偏差を解析するデータのセットを取得するように、前記
セグメントエレクターに取り付けられることが意図されている3次元視覚システムであって、前記コントローラに接続されて前記データ
のセットをそれに送信する3次元視覚システムと、を備え、
前記コントローラは、セグメント敷設計画を受信するように構成され、前記3次元視覚システムの前記解析のデータ、前記
セグメントエレクター
の前記位置センサの前記測定データ、及び前記
セグメント敷設計画を処理するように適応されるコンピュータプランナーのおかげで、前記セグメント及び/又は既に敷設されたセグメントのリン
グとは反対側に敷設されるべき前記セグメン
トを配置するために前記
セグメントエレクターの経路を検出するように構成され、前記
セグメントエレクターを作動させて前記敷設されるべきセグメントをピックアップし且つそれを前記経路に従って移動させるために、前記トンネルボーリングマシンの前記自動化されたシステムに対して移動命令を通信するように構成されることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記コントローラに接続されるマンマシンインターフェースを更に備える請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記トンネルボーリングマシン
の少なくとも1つのスラストシリンダーを動かすための、前記敷設されるべきセグメントを敷設するためのエリアを解放するための、及び前記セグメン
トが適所に配置されたら
前記セグメントを固定するための命令を、前記トンネルボーリングマシンの前記自動化されたシステムに送るように構成される請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記セグメントエレクターの前記位置センサからの前記測定データから、敷設されるべきセグメントを認識するように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
セグメントエレクターと、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置とを備えるトンネルボーリングマシン。
【請求項6】
セグメントエレクターが設けられ且つ前記
セグメントエレクターの作動を制御するように適応される自動化されたシステムが設けられるトンネルボーリングマシンによって、トンネルのライニングを形成するためのセグメントの自動化されたピックアップ及び敷設のための方法であって:
- 請求項1~4のいずれか一項に記載の装置を設けて、
- 3次元視覚システムを前記
セグメントエレクターに設置し、
- 前記装置のコントローラと前記トンネルボーリングマシンの前記自動化されたシステムとの間の通信を確立し、
- 前記コントローラによって
、前記
セグメントエレクターの
前記位置センサから
の測定データ
と、セグメント敷設計画と、を受信し、
- 前記コントローラによって、前記トンネルボーリングマシンの前記自動化されたシステムに、前記
セグメントエレクターによって敷設されるべきセグメントを把持するための命令を通信し、
- 前記
セグメントエレクターによって敷設されるべきセグメントを把持し、
- 前記コントローラによって定められる敷設エリアに前記セグメントを移動させ、
- 前記3次元視覚システムにより、少なくとも1つのセグメント及び/又は既に敷設されたセグメントの1つのリングに対しての前記敷設されるべきセグメントの位置及び傾きの偏差を解析するデータ
のセットを取得し、
- 前記3次元視覚システムの前記
データのセットから、前記
セグメントエレクター
の前記位置セン
サの前記測定データ
から、及び前記セグメント敷設計画から、前記セグメント及び/又は既に敷設されたセグメントのリングとは反対側に敷設されるべき前記セグメントを配置するために、前記
セグメントエレクターの経路
を前記コントローラによって
決定し、
- 前記コントローラによって、前記トンネルボーリングマシンの前記自動化されたシステムに、前記
セグメントエレクターを動かすための命令を通信し、
- セグメントを配置するために、前記移動命令に従って、前記自動化されたシステムによって前記
セグメントエレクターを作動させ、
- 前記コントローラによって、前記トンネルボーリングマシンの少なくとも1つのスラストシリンダーを動かすための命令を、前記自動化されたシステムに通信し、
- 前記スラストシリンダーによって前記セグメントを既に設けられたリングに対して固定する、
ことを含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
敷設されるべきセグメントの把持に先立って、前記コントローラにより、前記3次元視覚システムによって提供されるデータから、前記セグメントを認識することを更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記セグメントの固定作業の後、前記コントローラは、前記トンネルボーリングマシンの前記自動化されたシステムに、前記セグメントの把持を解除するための命令を送信する、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
セグメントの完全なリングの自動化された敷設のための方法であって、請求項6~8のいずれか一項に記載の方法が、前記リングを構成するセグメントのセットに関して実施されることを特徴とする方法。
【請求項10】
セグメントの完全なリングの配置の後、ロール角、前面の平坦度、前記トンネルボーリングマシンのスカートにおけるリングのセンタリング及び/又は前記リングの楕円化を含む前記リングの少なくとも1つの幾何学的特性の、前記3次元視覚システムによる測定を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記リングの前記幾何学的特性の前記測定に基づいて、前記コントローラが、次のリングのセグメントを敷設するための前記
セグメント敷設計画を調整する請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セグメントエレクターが設けられるトンネルボーリングマシンに接続されることを意図されたセグメントの自動化されたピックアップ及び敷設のための装置、並びにそのような装置を実施するセグメントの自動化されたピックアップ及び敷設のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネルのライニングは、一般に、複数の連続したリングの形で配置されたプレハブセグメント(迫石)からなる。
【0003】
トンネルボーリングマシンが進歩するにつれて、新しいリングは前に置かれたリングに対して複数のセグメントを連続的に組み立てることによって構築される。
【0004】
それぞれの新しいリングの前面(つまり、トンネルボーリングマシンの切削ヘッドの方に向けられている面)は、トンネルボーリングマシンシールドの後部(つまり、切削ヘッドとは反対側)にあるスラストシリンダーのためのベアリング面として機能し、掘削される地面を掘るのに必要な推力を発揮することが意図されている。
【0005】
セグメントの敷設は、エレクター、つまりトンネルボーリングマシンシールドの後ろに配置されたマガジンからのセグメントの把持、そしてリングの形成のためのその意図された位置に向けての移動を可能にするマシン、によって実行される。エレクターはトンネルボーリングマシンシールドの構成要素であり、その後方に位置する。
【0006】
現在、エレクターは一般に、セグメントが配置されている領域においてその直近のオペレータによって制御されている。
【0007】
しかしながら、このオペレータによる運転にはいくつかの欠点がある。
【0008】
一方で、セグメント敷設エリアに1人又は数人のオペレータがいることは、彼らの安全に関してリスクが存在する。
【0009】
他方で、各セグメントの敷設時間は、特に1人又は数人のオペレータが既に配置されたセグメントに対して配置されるセグメントの位置を制御するため、及び可能な位置調整が前記オペレータによって経験的に実行されるために、長い。この作業もまた、オペレータに多数の移動を強いるので、とりわけ難しい。
【0010】
したがって、一方では敷設エリアにおけるオペレータの存在を避けるために、他方ではセグメント敷設の品質及び時間を改善するために、セグメントの敷設を順序正しく自動化できることが望ましい。
【0011】
エレクターは大きな容量と広い範囲の油圧機械であるため、操作上重要な矢印のために、その位置決めは正確ではなく再現性がない。これらの不具合は、トンネルボーリングマシンの耐用年数にわたる高い摩耗度と操作クリアランスの大幅な増加によって強調される。
【0012】
文献FR 2 745 327は、トンネルにおけるセグメントの敷設の間にオペレータを補助するための装置を記載している。この装置は、予め配置されたセグメントの側面上の基準点と配置されるべきセグメントの側面上の基準点との位置を測定するように設計された測定センサを実装しており、これらの2つの基準点はお互いに向かい合って配置される。この装置は更に、これら2つの基準点における偏差の解析から、配置されるべきセグメントを先に配置されたセグメントに対する所望の位置に持ち込むためのエレクターの経路を決定するように構成された計算機を含む。
【0013】
第1のステップとして、オペレータは、それを前に置かれたセグメントの位置に近い位置にほぼ持ってくるようにエレクターを制御する。測定センサは、配置されるべきセグメント及び既に配置されたセグメントがその視野内にあるように、配置される。そして基準点における偏差の解析が行われ、計算機に送信される。
【0014】
そして計算機は、敷設されるべきセグメントをその最終位置に持ってくるのに必要なエレクターの変位を計算する。この段階では、オペレータの介入なしに、計算機により定められる移動量に基づいてエレクターが自動的に駆動される。
【0015】
しかしながら、この装置はセグメントの敷設を完全に自動化することを可能にしておらず、おおよその配置はオペレータによって実行されたままである。更に、この装置は、セグメントの敷設の質を制御することを可能にしない(前記質は様々な自由度に基づいて考慮されるべきである)。更に、測定センサはそれに追従することができるようにエレクターに特有のものである。
【0016】
文献CN104747213は、セグメントの自動化された配置のための装置を記載している。この装置は、配置されるべきセグメントの面の画像と、セグメントの敷設中にお互いに接触して配置されることが意図されている既に配置されたセグメントの面の画像とを、取得することが意図されている2つの3次元カメラを備える。この装置は更に、前記セグメント間のオフセットを検出するために前記画像を解析するための計算機を含む。
【0017】
第1のステップとして、敷設されるべきセグメントは、既に敷設されたセグメントと比較しておおよその位置にもたらされる。
【0018】
第2のステップとして、カメラは、互いに対して配置されることが意図されているセグメントの面の画像を取得する。
【0019】
これらの画像は計算機に送信され、当該計算機はそれらを処理して、そこから、一方では2つのセグメントに対する面間の距離によって及び2つのセグメントの前面間の距離によって定められる2つのセグメント間のオフセットを推定する。このオフセットが決定された閾値より小さければ、そのセグメントは正しく位置決めされていると考えられ、前記セグメントを配置する方法は完結される。このオフセットが前記閾値を超える場合、計算機はセグメント位置決め精度を改善するために必要なエレクターの動きを検出し、そしてエレクターは前記移動を実行するように自動的に制御される。この手順は、2つのセグメント間のオフセットが決定された閾値を下回るまで、繰り返されることができる。
【0020】
しかしながら、そのような画像を処理するための時間は比較的長く、それは各セグメントを置くための時間を不利にする。更に、この装置は、既に配置されたセグメントに対して配置されるべきセグメントのいかなる可能な角度オフセット、考慮に入れていない。
【0021】
文献JPH08-296400は、一方が他方よりも広い視野を有する2つのカメラからなる視覚センサを含むセグメントの自動化された敷設を可能にするエレクターを記載している。
【0022】
第1のステップとして、敷設されるべきセグメントは、既に敷設されたセグメントに対しておおよその位置にもたらされる。
【0023】
レーザプロジェクタは、前に配置されたセグメントと配置されるセグメントとに接触することが意図された面に光線を投射する。カメラは前記光線の画像を取得する。これらの画像は計算機に送信され、当該計算機はそこから2つのセグメント間のオフセットを推定するようにそれらを処理し、このオフセットは位置(3方向の距離)及び傾斜(3方向の角度)で定められる。計算機は2つのセグメントを整列させるのに必要なエレクターの動きを検出し、エレクターは前記動きを実行するように自動的に制御される。
【0024】
しかしながら、この文献で説明されているエレクターは具体的に設計されており、したがってそれが与える自動化は、市場のトンネルボーリングマシンの既存のエレクターに対しては適応可能ではない。
【0025】
最後に、前述の文献のいずれも、第1のセグメントの配置又は配置のより重要な複雑さを有するキー(ユニバーサルリングの場合にはリングを閉じることを可能にする最後のセグメント)の配置について言及していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【文献】FR 2 745 327
【文献】CN104747213
【文献】JPH08-296400
【発明の概要】
【0027】
発明の1つの目的は、オペレータの介入を最小にすることにより、各セグメントを敷設するための時間を最小にし、そして敷設の正確さを改善することにより、オペレータの安全性と生産性を高めることを可能にする自動化されたセグメントの敷設のための装置を設計することである。この装置は、リングを構成する第1の及び最後のセグメントを含む完全なリングの敷設を、それがユニバーサルリングであるかどうかにかかわらず、可能にしなければならない。更に、前記装置は、市場のトンネルボーリングマシンのエレクターと互換性がなければならない。最後に、前記装置はコンパクトで設置が容易でなければならない。
【0028】
発明によれば、セグメントエレクターが設けられたトンネルボーリングマシンに接続されることが意図されたトンネルのライニングを形成するセグメントの自動化されたピックアップ及び敷設のための装置が提案され、前記エレクターは、位置センサが設けられているアクチュエータを備え、その装置は:
- エレクターの作動を制御するように且つエレクターセンサから測定データを受信するように適応されている、トンネルボーリングマシンの自動化されたシステムと通信するように構成されるコントローラと、
- (i)把持されるべきセグメントとエレクターとの間の位置及び傾斜のずれを検出するように且つ(ii)少なくとも1つのセグメント及び/又は既に配置されたセグメントの1つのリングに対してエレクターによって保持される配置されるべきセグメントの位置及び傾斜のずれを解析するデータのセットを取得するように、エレクターに取り付けられることが意図されている、少なくとも4つのレーザープロフィロメータ(laser profilometers)を含む3次元視覚システムであって、前記3次元視覚システムは、コントローラに接続されてそれに前記測定データを送信する3次元視覚システムと、
を備え、
コントローラは、3次元視覚システムの前記解析データ、エレクターセンサの測定データ及び前記敷設計画を処理するように、前記セグメント及び/又は既に敷設されたセグメントのリングとは反対に敷設されるべき前記セグメントを配置するためにエレクターの経路を検出するように、及びエレクターを作動させて敷設されるべきセグメントをピックップしてそれを前記経路に応じて動かすためにトンネルボーリングマシンの自動化されたシステムに移動命令を通信するように、適応されたコンピュータプランナーのおかげで、セグメント敷設計画を受け取るように構成される、
ことを特徴とする。
【0029】
有利には、装置は、コントローラに接続されるマンマシンインターフェースを更に含む。
【0030】
一実施形態によれば、コントローラは、トンネルボーリングマシンの少なくとも1つのスラストシリンダーを動かすための命令、敷設されるべきセグメントを敷設するためのエリアを解放するための命令、及び前記セグメントをいったんそれが適所に位置した後に固定するための命令を、トンネルボーリングマシンの自動化されたシステムに送るように、構成されている。
【0031】
有利な実施形態によれば、コントローラは、測定データから、配置されるべきセグメントを認識するように構成される。
【0032】
発明の他の目的は、上述のようなセグメントエレクター及び装置を組み込んだトンネルボーリングマシンである。
【0033】
別の目的は、セグメントエレクターとエレクターの作動を制御するように適応された自動化されたシステムとが設けられているトンネルボーリングマシンによって、トンネルのライニングを形成するためのセグメントの自動化されたピックアップ及び敷設の方法に関し、それは:
- 上記のような装置を提供すること、
- 3次元視覚システムをエレクターに設置すること、
- 前記装置のコントローラとトンネルボーリングマシンの自動化されたシステムとの間の通信を確立すること、
- コントローラによって、エレクターのセンサからセグメント敷設計画及び測定データを受け取ること、
- エレクターによって敷設されるべきセグメントを把持するための命令を、コントローラによってトンネルボーリングマシンの自動化されたシステムに通信すること、
- エレクターによって敷設されるべきセグメントを把持すること、
- コントローラによって定められる敷設エリア内に前記セグメントを移動すること、
- 3次元視覚システムによって、少なくとも1つのセグメント及び/又は既に敷設されたセグメントの1つのリングに対しての、敷設されるべきセグメントの位置及び傾きの偏差を解析するデータを取得すること、
- 3次元視覚システムの前記測定データ、エレクターセンサの測定データ及び前記敷設計画の測定データから、前述のセグメント及び/又は既に敷設されたセグメントのリングとは反対側に敷設されるべき前記セグメントを配置するためにエレクターの経路を検出するように、コントローラによって前記測定データを処理すること、
- コントローラによって、トンネルボーリングマシンの自動化されたシステムにエレクターを移動させるための命令を通信すること、
- セグメントを配置するように、前記移動命令に基づいて、自動化されたシステムによってエレクターを作動させること、
- コントローラによって、トンネルボーリングマシンの少なく1つのスラストシリンダーを動かすための命令を、自動化されたシステムに通信すること、
- 前記スラストシリンダーによって前記セグメントを既に敷設されたリングに対して固定すること、
を含むことを特徴とする。
【0034】
一実施形態によれば、前記方法は、敷設されるべきセグメントの把持に先立って、3次元視覚システムによって提供されるデータからのコントローラによる前記セグメントの認識を更に含む。
【0035】
一実施形態によれば、セグメントの固定作業の後、コントローラは、トンネルボーリングマシンの自動化されたシステムに、セグメントの把持を解除するための命令を送信する。
【0036】
特に有利な方法では、前記方法はセグメントの完全なリングの自動化された敷設を可能にし、前記方法は前記リングを構成するセグメントのセットに関して実施される。
【0037】
一実施形態によれば、方法は、セグメントの完全なリングの配置の後、ロール角、前面の平坦度、トンネルボーリングマシンのスカートにおけるリングのセンタリング、及び/又はリングの楕円化を含む前記リングの少なくとも1つの幾何学的特性の、3次元視覚システムによる測定を更に含む。
【0038】
好ましい実施形態によれば、リングの前記幾何学的特性の前記測定に基づき、コントローラは、次のリングのセグメントを敷設するための計画を調整する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
発明の他の特徴及び利点は、添付の図面を参照して、以下の詳細な説明から明らかになり、当該図面において:
【
図1】
図1は、トンネルボーリングマシンシールドの後部の全体図である。
【
図2】
図2は、既に敷設されたセグメントのリングに面しているセグメントを担持するエレクターを示す。
【
図3】
図3は、発明による自動化された敷設装置及びトンネルボーリングマシンとのそのインターフェースの作動チャートである。
【
図4】
図4は、3次元視覚システムのブロック図です。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、発明が実施される可能性が高いトンネルボーリングマシンシールドの後部の部分断面全体図であり、発明がトンネルボーリングマシンのタイプ(土圧トンネルボーリングマシン、泥圧トンネルボーリングマシン、等)に関して限定されないことが明記されている。
【0041】
それ自体既知の方法において、トンネルボーリングマシン1は、地面の掘削が意図されて、その前部において回転切削ヘッド10を備え、切削工具が設けられている。
【0042】
切削ヘッド10は、掘削作業の保護及びシールを提供するシールド11の前部に固定されている。
【0043】
切削ヘッド10の後方には、切削前部からの切削屑が移送される掘削チャンバ12がある。
【0044】
切削屑は排出スクリュー13によって掘削チャンバから排出されることができ、当該排出スクリュー13の出口においてそれらは排出されるためにコンベヤーに載せられる。トンネルボーリングマシンのタイプに応じて、排出手段は変わりうるものであり、表されたスクリューには限定されない。
【0045】
その後部において、シールド11はスカート14を有し、当該スカート14の下にトンネルのライニングを形成するセグメントVが配置される。
【0046】
トンネルボーリングマシン1にはスラストシリンダー15が設けられており、スラストシリンダー15は、敷設されたセグメントの最後のリングAの前面Fに当接し、前記シリンダー15が、掘削段階中に前方への推力を切削ヘッド10に及ぼすことが意図されている。
【0047】
セグメントVを配置するために、セグメントエレクター2が、スカート14から保護されたシールドに配置されている。
【0048】
エレクター2には、コンベヤシステム(図示せず)によってトンネルボーリングマシンの外側からセグメントが供給される。
【0049】
図2により明確に見られるように、セグメントエレクター2は、セグメントVの内部と実質的に相補的な形状を有する把持装置20を備える。好ましくは、把持は負圧(吸引によって生み出される吸引効果)で行われ、その結果、エレクター上でセグメントを保持するために道具や特別な取り扱いは必要とされない。代替の方法(図示せず)において、エレクターには、セグメントに配置されたオリフィスを通過することができる把持部材が設けられてもよい。
【0050】
エレクターには、把持装置への並進運動において及び回転において少なくとも6自由度を与え且つ多数の動きを可能にするいくつかのアクチュエータ(シリンダー及びモータを含む)が設けられている。より具体的には、エレクターは、ロータと、ロータと把持装置との間に配置されたシリンダーとを備える。
【0051】
エレクターは、意図された敷設エリアに対するセグメントの接近段階(粗い位置決め)では比較的高速で動作可能であり、正確な位置決め段階では比較的低速で動作可能である。
【0052】
発明の実施のために、各自由度に基づいて、基準位置に対する把持装置の位置をいつでも知ることが可能であるように、エレクターのアクチュエータは、任意のタイプのセンサ(例えば、シリンダー延長センサ、モータの回転のエンコーダなど)による機器を備える。上に示したように、これらのセンサによって提供される位置情報は、重要であり得るエレクターの様々な構成要素の矢印、動作クリアランスなどを考慮に入れない限りにおいて、理論的なものにすぎない。したがって、セグメントを正確に配置するためにこの情報だけに頼ることは可能ではない。発明は、セグメントの把持そして正確な配置を助ける3次元視覚システムをエレクターに設けることによって、この不利な点を克服する。
【0053】
トンネルボーリングマシンの自動化されたシステムは、決められた経路に沿って把持装置を動かすように様々なアクチュエータを駆動することにより、エレクターの作動を制御することを可能にする。従来のトンネルボーリングマシンにおいて、この経路はオペレータによって定められる。発明のおかげで、前記経路は、以下に詳細に説明されるコントローラ及びプランナーによって決められる。しかしながら、オペレータが自動化されたシステムを制御する動作モードは、必要に応じて利用可能なままである。
【0054】
エレクターのアクチュエータが予め装備されているという事実、エレクターにおける3次元視覚システムの配置、及び上述のコントローラとのインターフェースを受け入れるような自動化されたシステムの適応とは別に、発明はトンネルボーリングマシンのエレクターや他の要素を変更することが必要とされないことに留意されるべきである。言い換えれば、発明は、あらゆるトンネルボーリングマシンに対して及びあらゆる既存のセグメントエレクターに対して適用される。
【0055】
3次元視覚システムは、少なくとも4つのレーザープロフィロメータを含む。各プロフィロメータは、物体(このケースでは、既に敷設されたセグメント及び/又は既に敷設されたセグメントのリングを含む敷設エリアの少なくとも一部及び敷設されるべきセグメント)に向けてレーザラインを発射することができるレーザと、物体のプロファイルを取得するための装置と、を含む。様々なプロフィロメータのラインは、そこからスペースにおけるセグメントの位置を推定するために、お互いから分離されるその環境の及びセグメントのセクションを検出するように発射される。
【0056】
より正確には、4つのプロフィロメータは、敷設されるべき新しいセグメントの把持の間に並びにリングの最後のセグメントの敷設中に、同時的に使用される。既に敷設されたリングAに向けられた2つのプロフィロメータは、以前のリングに対する敷設されるべきセグメントの位置及び配向における偏差を検出することを可能にする。それが敷設されているときにリングに向けて方向付けられている2つのプロフィロメータのうちの1つは、リングを形成するように敷設されるべきセグメントの位置及び配向の微調整を可能にする。
【0057】
この目的のために、
図4に示されるように、2つのプロフィロメータ(そのレーザライン210が図式化されている)は、既に敷設されているセグメントVからなるリングAに向けられて方向づけられており、他の2つのプロフィロメータ(そのレーザライン210が図式化されている)は、2つの最初のものに対して実質的に垂直に向けられている。
【0058】
プロフィロメータは、接近段階の間のその環境に対するセグメントの相対的な可能な変位に適応される動作の範囲で選択される。一方、プロフィロメータの分解能は、収集される情報に関して望まれる精度に応じて選択され、典型的には1mm未満の分解能が選択される。最後に、プロフィルメータは、可能な限りもっとも少ない処理時間を可能にするために非常に高い取得頻度を有するものが選択される。
【0059】
各プロフィロメータはローカルの情報を提供するが、プロフィロメータのセットはソフトウェアインテリジェンスのレイヤーを通じてグローバルな情報を提供し、コントローラにより操作されてプロフィロメータの組み合わされた測定結果を解釈することを可能にする。
【0060】
一実施形態によれば、プロフィロメータはロータに固定される。
【0061】
図2は、例として、把持装置20から距離を置いてエレクター2に配置された2つのプロフィロメータ21(1つのみが見える)を示す。各プロフィロメータによって放射されるレーザラインは、座標系210に基づいて図式化される。正規直交座標系X、Y、Zが表されている。慣例的に、X軸はトンネルの縦軸、Y軸はトンネルの幅の方向に延在し、Z軸はトンネルの高さの方向に延びる。ロール角はX軸に関して定められ、ピッチ角はY軸について定められ、ヨー角はZ軸について定められる。
【0062】
3次元視覚カメラと比較して、レーザープロフィロメータは、物体の位置及び傾きを検出するためにより短い処理を必要とすることの利点を有する。
【0063】
装置は、3次元視覚システムから測定データ(典型的にはX、Z平面におけるその環境及びセグメントのプロファイル)を受信し、これらのデータを処理して少なくとも1つのセグメント及び/又は既に配置されたセグメントの1つのリングに対する敷設されるべきセグメントの位置の及び傾斜のずれを検出するように構成されるプロセッサを、更に含む。
【0064】
装置はまた、前記プロセッサと通信するように且つセグメント敷設計画を受信するように構成されるコントローラを備える。そのような敷設計画は、敷設されるべきセグメントの種類についての、各セグメントに関して意図された位置についての、及び前記セグメントを敷設する順序についての情報を含む。
【0065】
有利には、装置はまたコンピュータプランナーを備え、当該コンピュータプランナーは、コントローラと通信するように適応され(そのプランナーは場合によってはコントローラに統合されうる)且つエレクターセンサの測定データから、そして必要に応じて、3次元視覚システムの解析データから、セグメント敷設計画によって定められる最終位置に向けてのエレクターの経路を検出するように構成される。
【0066】
セグメントの把持及び敷設は、3次元視覚システムを使用する又は使用しない4つの連続した段階を含み:
- 第1段階(敷設されるべき新しいセグメントの把持)において、3次元視覚システムが作動されて、ピックアップされるべきセグメントに対するエレクターの位置の及び向きの偏差を検出し;
- ブラインド段階と呼ばれる(すなわち3次元視覚システムを伴わない)第2段階において、プランナーは、既に敷設されたリングの近くで、敷設計画から検出される中間位置に向けてのエレクターの経路を定め;
- 3次元視覚システムを実行する第3段階において、セグメントは、敷設計画によって検出される位置に配置され;
- 第4のブラインドの段階において、プランナーは、ピックアップされるべき新しいセグメントに向けてのエレクターの戻り経路を定める。
【0067】
概して、敷設計画は、トンネルボーリングマシンの自動化されたシステムに送信され、マンマシンインターフェースを介してオペレータにより認証される。あるいは、敷設計画は、発明による装置のマンマシンインターフェースを介し、コントローラに送信されることができる。前記マンマシンインターフェースについては、以下で詳細に説明する。
【0068】
コントローラは更に、直接的に又はトンネルボーリングマシンの自動化されたシステムを介し、様々なエレクター位置センサによって提供される位置情報を受信するように構成される。
【0069】
敷設計画、位置及び傾斜の偏差を解析するデータ、及びエレクター位置情報から、コントローラは、敷設されるべきセグメントを、最適な位置及び方向付けの精度で、必要とされる位置に運ぶための空間でのエレクター把持装置の一連の変位を検出することを可能にする計算アルゴリズム(移動発生器又はプランナー)を実行し、トンネルボーリングマシンの自動化されたシステムにエレクターを動かすための命令を送信する。
【0070】
任意選択で、セグメントの配置は、例えば様々な自由度に従ってセグメントの位置を連続的に調整することによって繰り返し実行されることができる。繰り返しの各ステップにおいて、3次元視覚システムは、その環境に対して敷設されるべきセグメントの新しい位置及び新しい傾斜を検出することを可能にし、コントローラは、その位置付けを調整するように変位の新しいセットを検出する。
【0071】
例として、発明で得られる精度は1mmのオーダーであるのに対して、オペレータによって作動される遠隔制御によるエレクターの駆動は、せいぜい2~3mmのオーダーでの精度を提供する。しかしながら、発明によって提供される利点は、そのような精度の向上に限定されず、敷設速度-精度の妥協点を最適化し、オペレータによるエレクターの駆動と比較して敷設の再現性及び信頼性を高めることを可能にする。
【0072】
マンマシンインターフェースは、概して、オペレータが自動化された敷設装置の動作を監視及び制御することを可能にするように、設計される。これにより、マンマシンインターフェースは、セグメント敷設シーケンスを開始し、装置の動作モード(例えば:全自動動作、半自動動作など)を定めて、動作情報を収集し、及びアラームの際の装置のトラブルシューティングを行うことを可能にする。
【0073】
またマンマシンインターフェースは、必要に応じて(例えば事件の場合に)自動化された敷設装置を無効にし、オペレータが既存のトンネルボーリングマシンで従来使用されているリモートコントロールによってエレクターを直接運転できるように、構成されている。このために、マンマシンインターフェースは非常停止ボタンを備える。
【0074】
図3は、装置の及びトンネルボーリングマシンとのそのインターフェースの動作チャートである。
【0075】
トンネルボーリングマシンはブロック100によって図式化されている。
【0076】
ブロック101は、セグメントエレクターのアクチュエータを表す。
【0077】
ブロック102は、エレクター位置センサを表す。
【0078】
トンネルボーリングマシンは、特に、エレクターを作動させるための自動化されたシステム103を備える。この目的のために、自動化されたシステム103は、エレクター位置センサ102から測定データを受信する。自動化されたシステム103は、把持装置の所与の位置に到達するために、エレクターのアクチュエータ101を制御する。
【0079】
発明による装置はブロック200により図式化されている。
【0080】
ブロック201はコントローラを表し、ブロック202は3次元視覚システムを表し、ブロック203はマンマシンインターフェースを表す。
【0081】
更に、コントローラ201は、その編集及び/又は記憶を目的とした敷設レポートを、マンマシンインターフェース203に送信することができる。
【0082】
コントローラ201は、エレクターに取り付けられた3次元視覚システム202から測定データを受信する。トンネルボーリングマシンの自動化されたシステム103を介して、コントローラ201は更に、エレクターのセンサ102から測定データを受け取り、そこからエレクターの理論位置を推定する。あるいは、自動化されたシステムの問い合わせによる待ち時間を回避するために、コントローラはセンサ102と直接的に通信することができる。
【0083】
敷設計画、エレクターセンサの測定データ、及び3次元視覚システムの偏差を解析するデータから、コントローラ201は、セグメント及び/又は既に敷設されたセグメントのリングの反対側に敷設されるべきセグメントを配置するためのエレクターの経路を検出し、敷設されるべきセグメントをピックアップしてそれを前記経路に沿って移動させるために、エレクターを作動させるようにトンネルボーリングマシンの自動化されたシステム103に移動命令を伝達する。
【0084】
特に有利には、装置は、安全装置(図示せず)、例えば、オペレータがエレクターの作業エリア内に突然入る場合に、装置を無効にする非物理的バリアを更に備える。
【0085】
装置の動作は以下の通りである。
【0086】
敷設計画がコントローラに送信される。
【0087】
それ自体知られている方法で、敷設されるべきセグメントはエレクターの近くに配置される。
【0088】
特に有利な方法では、前記セグメントの認識は装置によって実行可能である。実際、リングを形成することが意図されたセットのセグメントは、特にユニバーサルリング上では、そして一般的に他のセグメントよりも重要なレリーフを有する最後のセグメント(キー)と隣接するセグメント(カウンターキー)上では、必ずしも同一ではない。
【0089】
この目的のために、セグメントの3次元プロファイルを取得するように3次元視覚システムが作動される。このプロファイルは、コントローラによって、敷設計画に含まれる基準プロファイルと比較される。
【0090】
あるいは、敷設されるべきセグメントの認識は、各セグメントに付けられているバーコード又はマトリックスコードを読み取るように適合されたリーダーなどの、当業者に利用可能な他の任意の手段によって行われることができる。読み取られたコードは、コントローラによって、敷設計画に含まれる参照コードと比較される。
【0091】
提示されたセグメントが敷設計画に従って敷設されるべきセグメントではないことをコントローラが検出した場合、それは警告を発する。そしてセグメントの変更が行われることができ、認識手順が置換セグメントによって再び開始されることができる。
【0092】
提示されたセグメントが敷設されるべきセグメントであることをコントローラが検出した場合、それは、敷設されるべきセグメントをピックアップするために、エレクターを動かすための命令を、トンネルボーリングマシンの自動化されたシステムに送る。そして自動化されたシステムは、把持装置をセグメントの反対側に配置するようにエレクターのアクチュエータを作動させ、把持することを作動させて(例えば吸引効果をもたらす負圧を発生させることによって)敷設されるべきセグメントを把持装置に対して固定する。把持段階では、3次元視覚システムはセグメントに対する把持装置の正しい位置決めを可能にし、コントローラは敷設されるべきセグメントの把持装置に対する位置及び傾斜を検出することができる。
【0093】
有利ではあるが、敷設されるべきセグメントのこの認識は任意選択的なものにすぎないことに留意される。あるいは、コントローラが、前記セグメントの適合性を事前に検証することなく提示されたセグメントを把持するようにエレクターを動かすための命令をトンネルボーリングマシンの自動化されたシステムに送ることを提供することができ、この検証は、セグメントからエレクターへのサプライチェーンの上流でオペレータによって行われる。
【0094】
セグメントの敷設のために意図されたエリアを解放するために、コントローラは、最後のリングに対してこのエリアにある1以上のスラストシリンダーを動かすための命令を、トンネルボーリングマシンの自動化されたシステムに送る。
【0095】
セグメントがエレクターによって把持されると、コントローラは、セグメントをほぼ意図した場所に移動させるようにエレクターを動かすための命令を、トンネルボーリングマシンの自動化されたシステムに送る。この目的のために、コントローラは、エレクター位置情報及び敷設計画を使用する。この粗いアプローチ段階では、衝突の危険がないように、セグメントの最終位置の環境に対してのエレクターの及びセグメントの安全距離が監視される。上述のように、この移動段階はプランナーを実行し、3次元視覚システムは使用されていない。
【0096】
このおおよその位置に達すると、3次元視覚システムが作動されて、その最終的な環境に対する敷設されるべきセグメントの位置及び傾斜を、すなわち既に敷設されたリング及び/又は既に敷設されたセグメントを測定するデータを取得する。この測定データは、この最終的な環境によって構成される基準フレームとセグメントとの間の偏差を正確に検出することを可能にする。この偏差は、(例えば正規直交座標系の3つの軸X、Y、Zに沿った)並進運動の距離によって及び(例えばロール、ピッチ及びヨーの)回転角度によって、特徴付けられる。
【0097】
この偏差から、コントローラは、敷設されるべきセグメントを必要とされる位置に配置することを可能にする空間におけるエレクター把持装置のセットの変位を検出する。この検出は、エレクター位置情報と3次元視覚システムの偏差を解析するデータとを組み合わせる。
【0098】
そのためコントローラは、トンネルボーリングマシンの自動化されたシステムに、エレクターを移動させるための命令を送信する。
【0099】
セグメントが配置されると、コントローラは、セグメントを固定するためにスラストシリンダーを動かすための命令を、トンネルボーリングマシンの自動化されたシステムに送る。
【0100】
そしてコントローラは、トンネルボーリングマシンの自動化されたシステムに、エレクター把持装置に対してセグメントを分離するための命令、例えば吸引効果によってセグメントが把持装置上で維持されている場合にかかる負圧を解放するための命令を送信する。把持システムの安全性は発明による装置によって影響されず、それは安全条件が満たされた場合にのみ固定作業を実行するトンネルボーリングマシンの自動化されたシステムによって保証されたままであることに留意されるべきである。
【0101】
そして今説明した手順に従って、新しいセグメントの配置の前に、エレクターを休止位置に戻す。上記のように、この移動段階は、3次元視覚システムの助けを借りずに、プランナーによって駆動される。コントローラは、各セグメントの敷設に関するデータを記録することができ、場合によっては敷設レポートを編集することができ、それによってトンネルの製造のトレーサビリティを保証することが可能になる。
【0102】
有利には、セグメントの完全なリングの配置の後に、自動化された敷設装置は、3次元視覚システムのおかげで、前記リングの少なくとも1つの幾何学的特性を測定することができる。この幾何学的特性は特に以下のものでありうる:
- (スラストシリンダーのセグメントに形成されたベアリングエリアがトンネルボーリングマシンのシリンダーの反対側にあることを確認するための)ロール角、
- リングの前面の平坦度(リングの前面の平坦度の欠如は、シリンダーの推力の変動を伴う可能性が高い)、
- トンネルボーリングマシンスカートのリングのセンタリング(この情報は、一方で、トンネルボーリングマシンを案内するのに必要なスペースにおけるリングの位置を知るのに役立ち:ガイドシステムの基準フレームにおいてシールドの位置が知られ、シールドのスカートに対するリングの位置がガイドシステムの基準フレームにおけるリングの位置を検出することを可能にし、他方では、リング上のスカートのあらゆる摩擦を回避するのに役立つ)、
- 及び/又はリングの楕円化。
【0103】
これらの特性の制御は、それが次のリングの配置及び/又はトンネルボーリングマシンの動作に影響を与える可能性がある限りにおいて、有用である。したがって、例えば、リングのエッジの位置が合わされている場合、楕円化の可能性は次のリングに広がる可能性がある。同様に、リングの前面の平坦度の欠如は、次のリングの前面に影響を与える可能性がある。
【0104】
したがって、有利には、測定された特性は、次のリングの敷設計画を調整するように、そしてそれにより敷設されたばかりのリングの可能性のあるあらゆる敷設不良を補償するように、コントローラによって考慮に入れられる。
【0105】
更に、トンネル構造のトレーサビリティを保証するために、前記特性が敷設レポートとともに記録されることができる。
【0106】
今説明した装置の利点は、それが、その敷設がより複雑な2つのセグメントを含む、リングを構成するセグメントのセットを正確に配置することを可能にすることであり、すなわち:
- いかなる隣接セグメントもまだないことを考慮した、リングの第1のセグメント、及び
- 既に敷設された2つのセグメントの間に挿入される必要がある最後のセグメント(又はキー)。
【0107】
リングの第1のセグメントの場合、上述のように、プロフィロメータが装備されたエレクターによる敷設エリアの走査は、注目に値するポイント及び/又はエリアを介し、敷設された最後のリングに対する第1のセグメントのロール角を検出することを可能にし、コントローラはセグメント敷設経路を検出するためにこの測定結果を考慮に入れることができる。
【0108】
最後のセグメントの場合、3次元視覚システムは、コントローラが最後のセグメントを取り付けるのに利用可能なスペースを検出することを可能にし、それは、それが大きすぎるか小さすぎる場合、オペレータの介入を引き起こす可能性がある。
【0109】
したがって発明は、エレクター作業エリアにおける人の介入なしに、いくつかのセグメントを、更にはいくつかの連続したリングを、連続的に敷設することを可能にし、それによってオペレータが直面するリスク及びそれらの作業の困難性を最小限に抑える。
【0110】
更に、前述のように、自動化された装置はリングの敷設を確実にすることを可能にし、実際に作られた敷設計画及び敷設されたリングに関して制御された特性を記録することによってトンネルの製造のトレーサビリティに寄与する。