(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-22
(45)【発行日】2022-05-06
(54)【発明の名称】機械部品の寸法および/または幾何学的検査のための二方向測定ヘッド
(51)【国際特許分類】
G01B 5/016 20060101AFI20220425BHJP
G01B 5/02 20060101ALI20220425BHJP
【FI】
G01B5/016
G01B5/02
(21)【出願番号】P 2019545308
(86)(22)【出願日】2018-02-21
(86)【国際出願番号】 EP2018054286
(87)【国際公開番号】W WO2018153921
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2021-02-09
(31)【優先権主張番号】102017000021025
(32)【優先日】2017-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(31)【優先権主張番号】102017000021061
(32)【優先日】2017-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】500200708
【氏名又は名称】マーポス、ソチエタ、ペル、アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】MARPOSS S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】サムエレ、マルテッリ
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】特表昭59-501679(JP,A)
【文献】特開昭62-277501(JP,A)
【文献】米国特許第04138822(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 5/00-5/30
21/00-21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械部
品の寸法および/または幾何学的検査のための二方向測定ヘッド(1)であって、前記測定ヘッド(1)が、
-固定フレーム(12)と、
-前記機械部
品と接触するように構成されたフィーラ(2)と、
-前記固定フレーム(12)によって支持され、互いに垂直な2つの測定方向(D1、D2)に沿って前記フィーラ(2)が移動できるように前記フィーラ(2)を支持する、キネマティックモーションアセンブリ(13)と、
-前記キネマティックモーションアセンブリ(13)に取り付けられ、少なくとも1つの測定方向(D1;D2)に沿って前記フィーラ(2)の位置を検出する、少なくとも1つのセンサ(3a、3b)と、
を備える、測定ヘッド(1)において、
前記測定ヘッド(1)は、前記キネマティックモーションアセンブリ(13)が、
-前記固定フレーム(12)に剛体的に接続された第1の支柱(14)、前記第1の支柱(14)の対角にあり、前記フィーラ(2)を支持し且つ前記フィーラ(2)と共に両方の前記測定方向(D1、D2)に沿って移動する第2の支柱(15)、及び第3の支柱(16)および第4の支柱(17)であって、第3の支柱(16)および第4の支柱(17)のそれぞれが、前記第1の測定方向(D1)および第2の測定方向(D2)のうちの一方
に沿って変位する、第3の支柱(16)および第4の支柱(17)と、
-前記支柱(14~17)をそれらの変位を案内することによって連結する連結要素(18~25)と、
を備えることを特徴とする、測定ヘッド(1)。
【請求項2】
-前記支柱(14~17)が、前記2つの測定方向(D1、D2)に対して垂直に延び、
-前記第3の支柱(16)は、前記第2の支柱(15)が前記第1の測定方向(D1)
に沿って変位することによって前記第1の測定方向(D1)に沿って移動する場合にのみ移動し、
-前記第4の支柱(17)は、前記第2の支柱(15)が前記第2の測定方向(D2)
に沿って変位することによって第2の測定方向(D2)に沿って移動する場合にのみ移動する、請求項1に記載の測定ヘッド(1)。
【請求項3】
前記キネマティックモーションアセンブリ(13)が、変形可能な機構である、請求項1又は2に記載の測定ヘッド(1)。
【請求項4】
前記連結要素(18~25)が、前記支柱(14~17)に剛体的に拘束されている弾性的に変形可能な横材を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の測定ヘッド(1)。
【請求項5】
前記支柱(14~17)の各々が、少なくとも1つの外面を含み、前記弾性的に変形可能な横材が、2つずつ平行かつ対向する4つの外側横材(18~21)であって、4つの外側横材(18~21)の各々が、対応する測定方向(D1;D2)に平行に延び、2つの対応する支柱(14~17)の前記少なくとも1つの外面に剛体的に拘束され、前記2つの対応する支柱(14~17)を互いに連結する、4つの外側横材(18~21)を含む、請求項4に記載の測定ヘッド(1)。
【請求項6】
前記支柱(14~17)の各々が、少なくとも1つの内面を含み、前記弾性的に変形可能な横材が、2つずつ平行かつ対向する4つの内側横材(22~25)であって、4つの内側横材(22~25)の各々が、対応する測定方向(D1;D2)に平行に延び、2つの対応する支柱(14~17)の前記少なくとも1つの内面に剛体的に拘束され、前記2つの対応する支柱(14~17)を互いに連結する、4つの内側横材(22~25)を含む、請求項5に記載の測定ヘッド(1)。
【請求項7】
前記支柱(14~17)の各々の前記少なくとも1つの内面が、前記支柱(14~17)の前記少なくとも1つの外面に平行かつ対向する、請求項6に記載の測定ヘッド(1)。
【請求項8】
前記弾性的に変形可能な横材(18~25)の各横材が、前記横材が剛体的に拘束されている各支柱の近くで、前記横材(18~25)の可撓性を局所的に高めるための薄肉領域(30)を備える、請求項4~7のいずれか一項に記載の測定ヘッド(1)。
【請求項9】
前記固定フレーム(12)が支持プレート(34)を備え、当該支持プレート(34)は、前記第1の支柱(14)と一体的であり且つ前記両方の測定方向(D1、D2)に対して平行に配置されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の測定ヘッド(1)。
【請求項10】
前記4つの支柱(14~17)が、矩形の頂点に配置される、請求項1~9のいずれか一項に記載の測定ヘッド(1)。
【請求項11】
2つのバランス調整要素(60)をさらに備え、前記バランス調整要素(60)の各々が、前記測定方向(D1、D2)に垂直な回転軸(33)を中心に回転するように、それぞれのヒンジ機構によって前記固定フレーム(12)にヒンジ結合され、前記第3の支柱(16)または前記第4の支柱(17)に機械的に拘束された第1の端部を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の測定ヘッド(1)。
【請求項12】
前記2つのバランス調整要素(60)が、互いに垂直に配置される、請求項11に記載の測定ヘッド(1)。
【請求項13】
前記2つのバランス調整要素(60)が、前記測定方向(D1、D2)に対して垂直に取られた高さを異にして配置される、請求項11または12に記載の測定ヘッド(1)。
【請求項14】
前記固定フレーム(12)は支持プレート(34)を備え、当該支持プレート(34)は、前記第1の支柱(14)と一体的であり、両方の前記測定方向(D1、D2)に対して平行に配置され、前記2つのバランス調整要素(60)のための前記ヒンジ機構を支持し、前記2つのバランス調整要素(60)の間に配置される、請求項11~13のいずれか一項に記載の測定ヘッド(1)。
【請求項15】
各バランス調整要素(60)が、前記第1の端部とは反対側にある第2の端部に、較正された質量を有するカウンタウェイト(36)を備える、請求項11~14のいずれか一項に記載の測定ヘッド(1)。
【請求項16】
各バランス調整要素(60)が、アーム(32)を備え、各カウンタウェイト(36)が、調整可能な機械的接続によって対応するアーム(32)に固定される、請求項15に記載の測定ヘッド(1)。
【請求項17】
各バランス調整要素(60)の前記第1の端部が、接続ロッド(35)によって、対応する支柱(16、17)に機械的に拘束され、前記接続ロッド(35)は、前記バランス調整要素(60)の前記第1の端部にヒンジ結合される一方の端部と、対応する支柱(16、17)にヒンジ連結される他方の端部とを有する、請求項11~16のいずれか一項に記載の測定ヘッド(1)。
【請求項18】
各バランス調整要素(60)が、前記バランス調整要素(60)を中間の平衡位置に保つのに役立つ少なくとも1つの弾性要素(37、38)に機械的に接続されている、請求項11~17のいずれか一項に記載の測定ヘッド(1)。
【請求項19】
各バランス調整要素(60)が一方向予荷重レバー(41)に結合され、当該一方向予荷重レバー(41)は、対応するバランス調整要素(60)の前記回転軸(33)を中心に回転するように、前記固定フレーム(12)にヒンジ結合され、
各一方向予荷重レバー(41)が、第1の向きで前記固定フレーム(12)に対して回転するのを防止され、前記第1の向きとは反対の第2の向きで前記バランス調整要素(60)と共に前記固定フレーム(12)に対して回転するように構成される、請求項11~18のいずれか一項に記載の測定ヘッド(1)。
【請求項20】
各一方向予荷重レバー(41)が、前記回転軸(33)に平行に延びる、2つの可動突出部(46;47)を有し、当該2つの可動突出部(46;47)が、前記一方向予荷重レバー(41)から突出し、それぞれのバランス調整要素(60)に設けられた2つの対応する座部(48、49)に係合する、請求項19に記載の測定ヘッド(1)。
【請求項21】
前記固定フレーム(12)が、前記回転軸(33)と平行に延びる2つの固定突出部(50、51)を備え、前記固定突出部(50、51)が、前記固定フレーム(12)から突出し、前記一方向予荷重レバー(41)に設けられた2つの対応する座部(52、53)と係合する、請求項19または20に記載の測定ヘッド(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械部品の寸法および/または幾何学的検査のための二方向測定ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
機械部品の寸法および/または幾何学的検査を行うための二方向(すなわち、自由度2の)測定ステーションは、固定位置で機械部品を受け止めるように構成された座部と、フィーラを有する測定ヘッドであって、フィーラが、互いに垂直な2つの測定方向に沿って移動可能に取り付けられ(すなわち、プローブが、自由度2で、平面上を自由に動くことができる)、機械部品の表面に対して弾性的に押し付けられ、それぞれの測定方向に沿ったフィーラの位置を検出する2つの位置センサに結合される、測定ヘッドと、を備える。
【0003】
既知の自由度2の測定ヘッドは、固定フレームに取り付けられ、自由度が1のみであり(すなわち、第1の機構を中間の平衡位置に保つ働きをする弾性要素を変形することによって第1の測定方向に沿った直線変位を可能にする)、第1の位置センサを設けられた、第1の機構と、第1の機構(特に第1の機構の可動部分)に取り付けられ、自由度が1のみであり(すなわち、第2の機構を中間の平衡位置に保つ働きをする弾性要素を変形することによって第1の測定方向に垂直な第2の測定方向に沿った直線変位を可能にする)、第2の位置センサを設けられた、第2の機構と、を備える。プローブは、(第1の機構の自由度による)第1の測定方向および(第2の機構の自由度による)第2の測定方向の両方に沿って移動することができるように、第2の機構の可動部分と一体である。
【0004】
一般に、各機構は、変形可能な機構であり(すなわち、各機構は、それ自体の形状を変形させて直線変位を生じさせる)、多関節型平行四辺形から構成される(すなわち、両端が2つずつヒンジ止めされている4本のロッドであって、対向する2本のロッドの長さが同じである、4本のロッドから構成される)。
【0005】
位置センサは、2つの異なる方法で使用され、すなわち、機械部品の寸法および/または幾何学的検査の際には、位置センサは、必要な測定を行うために使用され、二方向測定ヘッドの移動の際には(すなわち、二方向測定ヘッドが前の作業位置から次の作業位置まで変位する際には)、位置センサは、予期しない衝突や望ましくない衝突を検出するために使用される。換言すれば、二方向測定ヘッドの移動中、プローブは、いかなる種類の障害物にも接触するべきではない(すなわち、移動経路は、すべての予期される障害物や予測可能な障害物を回避するように設定される)。その結果、二方向測定ヘッドの位置センサが、移動中に、フィーラの(予期しない)変位を検出した場合、そのような(予期されない)フィーラの変位は、予期しない障害物に対する衝突に起因すると考えられ、二方向測定ヘッドを変位させることが直ちに中断され、人間のオペレータの介入を要求する衝突警報が生成される。
【0006】
二方向測定ヘッドの移動の際には、二方向測定ヘッドが受ける加速度(正または負)は、大きすぎてはならず、それは、加速度が大きすぎると、衝突として解釈されることになる(従って、誤った衝突警報を生成させることになる)、フィーラの慣性による変位(つまり、慣性力のみに起因する変位)が大きくなる可能性があるためである。
【0007】
上述の既知の測定ヘッドの欠点は、慣性の観点から対称的ではないことであり、つまり、2つの機構が直列に配置されている(つまり、第1の機構を動かすためには第2の機構全体も動かす必要がある)ために、測定方向の一方に沿って測定ヘッドを変位させる際には、その測定方向に沿って変位される質量が、他方の測定方向に沿って変位される質量の約2倍となる。結果として、ある測定方向に沿った変位は、他の測定方向の変位とは異なる動的挙動を有する。2つの測定方向における動的挙動のこの違い(不均一性)は、機械部品の寸法および/または幾何学的検査の際と移動の際との両方で動作を複雑にし、それは、2つの測定方向で異なる測定ヘッドの動きの制御を行う必要があるためである。
【0008】
さらに、ある測定方向では、フィーラの慣性は大きく(すなわち、第2の機構全体を「搬送」しなければならないので第1の機構の慣性が大きい)、従って、移動の際には、この測定方向に沿った最大許容加速度は、中程度である。結果として、移動は、検査プロセスの全体的な効率を犠牲にして、比較的遅くなる(従って、二方向測定ヘッドが測定を行わない休止時間が長くなる)。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、機械部品の寸法および/または幾何学的検査を行うための二方向測定ヘッドであって、測定ヘッドが、慣性の観点からは均質であり、つまり、異なる測定方向において同一の挙動を有すると同時に、実施が容易かつ安価である、二方向測定ヘッドを提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、高い加速度を受けることができると同時に、実施が容易かつ安価である、適切にバランス調整された測定ヘッドを提供することである。
【0011】
本発明は、添付の特許請求の範囲によって請求されるように、機械部品の寸法および/または幾何学的検査を行うための二方向測定ヘッドを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
ここで、非限定的な例として与えられている添付の図面を参照して、本発明を説明する。
【
図1】本発明による、機械部品の寸法および/または幾何学的検査のための二方向測定ヘッドの斜視図である。
【
図2】カバーおよびフィーラを取り除いた、
図1の測定ヘッドの斜視図である。
【
図3】
図1の測定ヘッドの変形可能な機構の上面斜視図である。
【
図4】
図1の測定ヘッドの変形可能な機構の底面斜視図である。
【
図7】
図3および
図4の変形可能な機構の横材の平面図である。
【
図8】2つの対向する端部位置にある、
図3および
図4の変形可能な機構のカウンタウェイトおよび予荷重システムの平面図である。
【
図9】2つの対向する端部位置にある、
図3および
図4の変形可能な機構のカウンタウェイトおよび予荷重システムの平面図である。
【
図10】カウンタウェイト質量を取り除いた、
図8および
図9のカウンタウェイトおよび予荷重システムの斜視分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1では、参照番号1は、全体として、機械部品(図示せず)の寸法および/または幾何学的検査を行うための測定ヘッドを示す。
【0014】
測定ヘッド1は、典型的には、機械部品の寸法および/または幾何学的検査を行うための測定ステーション(図示せず)の一部である。測定ステーションは、機械部品を固定位置で受け止めるための座部(図示せず)を備える。さらに、測定ステーションが測定ヘッド1を備え、測定ヘッド1がフィーラ2を設けられ、フィーラ2が、互いに垂直な2つの測定方向D1およびD2に沿って移動可能に取り付けられ(すなわち、フィーラ2が、平面内で自由に動き、自由度2である)、機械部品の表面に対して弾性的に押し付けられ、対応する測定方向D1およびD2に沿ったフィーラ2の位置を検出する(
図5および
図6に示す)2つの位置センサ3aおよび3bに結合されている。
【0015】
図1によれば、測定ヘッド1は、金属材料(通常は鋼)で作られ、ロッド6が通過する貫通開口部5を有する、平行六面体のケーシング4を備える。ロッド6の一端は外部にあり(すなわち、ケーシング4の外部に配置され)、座部7(
図2によりよく示されている)を支持し、座部7に、フィーラ2が接続される(connected)、例えば接続される(hooked)。
図2に示すように、フィーラ2は、位置決め「三脚」を有する安全継手、限定するものではないが、例えば、座部7の締結面から部分的に突出する3つのボール対8と、フィーラ2の基部と一体であり、ボール対8の間に収容される、対応する3つのシリンダ(図示せず)と、によって座部7に締結される。さらに、座部7には、フィーラ2の基部を座部7に磁気的に結合する2つの磁石9が設けられている。フィーラ2は、
図2に示すものとは異なる仕方でロッド6の端部に接続され得る。
【0016】
図1に示すように、ケーシング4は、それぞれのねじによってケーシング4に固定され、ケーシング4の内部にアクセスするために取り外すことができる、2つのカバー10および11を備える(
図2は、カバー11なしのケーシング4を示している)。
図2に示すように、測定ヘッド1は、ケーシング4の内側に配置され、ねじ(図示せず)によってケーシング4と一体にされている(または剛体的に拘束されている)固定フレーム12を備える。さらに、測定ヘッド1は、ケーシング4の内側に配置され、固定フレーム12によって支持され、かつ互いに垂直な2つの測定方向D1およびD2(
図1に示す)に沿ってフィーラ2を移動させることができるようにフィーラ2を支持する(すなわち、フィーラ2が固定されるロッド6を支持する)、キネマティックモーションアセンブリ13を備える。図示の実施形態では、キネマティックモーションアセンブリ13は変形可能な機構である。
【0017】
図3~
図6に示すように、変形可能な機構13は、平行四辺形(例えば、図に示すように正方形の形状)の頂点に配置された、4つの支柱14~17を備える。各支柱14~17は、2つの測定方向D1およびD2に対して垂直に延び、少なくとも1つの外面を有する。好ましい実施形態では、各支柱14~17は、おおまかに4つの表面、すなわち実質的に平坦な表面を有する。より具体的には、2つの内面(すなわち、4つの支柱14~17によって区切られる正方形の内側に面する2つの内面)および2つの外面(すなわち、4つの支柱14~17によって区切られる正方形の外側に面する2つの外面)であって、これらは、2つずつ、互いに平行であり、かつ対向している(換言すれば、各支柱14~17は、互いに垂直である2つの外面と、互いに垂直である2つの内面とを有し、各内面は、対応する外面に平行である)。支柱14は、固定フレーム12に剛体的に接続されており(すなわち、固定フレーム12と一体である)、従って、フィーラ2が移動する場合に固定フレーム12に対して変位しない。支柱15は、支柱14とは反対側にあり(すなわち、支柱14に対して、4つの支柱14~17によって区切られた正方形の対頂点に配置され)、フィーラ2を支持し(すなわち、フィーラ2が剛体的に取り付けられているロッド6を支持し)、(自身が剛体的に接続されているフィーラ2と共に)両方の測定方向D1およびD2に沿って並進するように構成される。支柱16は、支柱14と支柱15との間に配置され、支柱15(すなわち、支柱15に支持されたフィーラ2)が測定方向D1に沿って移動する場合にのみ並進する。特に、支柱16の変位は、ほぼ専ら測定方向D1に沿って、または実質的に測定方向D1のみに沿って生じる。実際、支柱16の変位の主成分は、測定方向D1の変位の成分であり、一方、測定方向D2の変位の成分は、無視できるものであり、場合によっては補償することができる。換言すれば、フィーラ2が測定方向D1に沿って移動すると、支柱16は、測定方向D1に沿った対応する実質的な変位と、測定方向D2に沿った無視できる程度の変位と、を行う。支柱17は、支柱14と15との間で、支柱16の反対側に配置され、支柱15(すなわち支柱15によって支持されたフィーラ2)が測定方向D2に沿って移動する場合にのみ並進する。特に、支柱17の変位は、ほぼ専ら測定方向D2に沿って、または実質的に測定方向D2のみに沿って生じる。実際、支柱17の変位の主成分は、測定方向D2に沿った変位の成分であり、一方、測定方向D1の変位の成分は、無視できるものであり、場合によっては補償することができる。換言すれば、フィーラ2が測定方向D2に沿って移動すると、支柱17は、測定方向D2に沿った対応する実質的な変位と、測定方向D1に沿った無視できる変位と、を行う。
【0018】
2つの位置センサ3aおよび3b(
図5および
図6に部分的に見ることができる)は、対応する測定方向D1またはD2に沿ってフィーラ2の各位置を検出するために、変形可能な機構13に取り付けられている。特に、位置センサ3aは、固定フレーム12に剛体的に接続された固定部分と、測定方向D1に沿った支柱16の変位を検出するために支柱16に剛体的に接続された可動部分と、を備える。同様に、位置センサ3bは、固定フレーム12に剛体的に接続された固定部分と、測定方向D2に沿った支柱17の変位を検出するために支柱17に剛体的に接続された可動部分と、を備える。好ましい(しかし限定するものではない)実施形態によれば、位置センサ3aおよび3bは、トランスデューサ、例えばLVDT(「線形可変変位トランスデューサ」)を含み、そのそれぞれが、固定フレーム12に固定された巻線と、巻線内に収容され、支柱16または支柱17に固定されたステムと一体である可動コアと、を備える。
【0019】
ここでは図示されていない代替的かつ完全に等価な実施形態によれば、2つの一方向位置センサ3aおよび3bは、支柱15に機械的に直接結合される単一の二方向位置センサによって置き換えられ、つまり、これは、位置センサ3bは、固定フレーム12に剛体的に拘束された固定部分と、測定方向D1およびD2の両方に沿った支柱15の変位を検出するために支柱15に剛体的に接続された可動部分と、を備える。
【0020】
代替として、上述のトランスデューサは、異なるタイプ、例えば光学タイプのトランスデューサとすることができる。
【0021】
変形可能な機構13は、それらの変位を案内することによって支柱14~17を互いに連結する、変形可能な連結要素18~25を備える。
【0022】
より詳細には、本明細書で説明および図示された変形可能な機構13は、4つの弾性的に変形可能な外側横材18~21であって、外側横材18~21のそれぞれが、測定方向D1またはD2に平行に延び、2つの対応する支柱14~17の外面に(支柱14~17のねじ孔に螺合したそれぞれのねじによって)剛体的に拘束され、2つの対応する支柱14~17を互いに接続する、外側横材18~21を備える。特に、外側横材18は、支柱14と16とを互いに接続し、測定方向D2に平行に延び、外側横材19は、支柱14と17とを互いに接続し、測定方向D1に平行に延び、外側横材20は、支柱15と16とを互いに接続し、測定方向D1に平行に延び(従って、外側横材19に平行であり、かつ対向している)、外側横材21は、支柱17と15とを互いに接続し、測定方向D2に平行に延びる(従って、外側横材18に平行であり、かつ対向している)。外側横材18~21は、2つずつ互いに平行であり、かつ対向している。加えて、測定方向D1およびD2に対して垂直に測定された、4つすべての外側横材18~21の高さは、必須ではないとしても、支柱14~17の高さと実質的に同じであり得る。添付の図面に示す好ましい(しかし限定するものではない)実施形態によれば、各外側横材18~21は、とりわけ、外側横材18~21を軽くし、かつ内部構成要素のいくつかに達するのに役立つ貫通孔を有する。
【0023】
変形可能な機構13は、4つの弾性的に変形可能な内側横材22~25であって、内側横材22~25のそれぞれが、測定方向D1またはD2に平行に延び、2つの対応する支柱14~17の内面に(支柱14~17のねじ孔に螺合したそれぞれのねじによって)剛体的に拘束され、2つの対応する支柱14~17を互いに連結する、内側横材22~25を備える。特に、内側横材22は、支柱14と17とを互いに連結し、測定方向D1に平行に延び、内側横材23は、支柱15と16とを互いに連結し、測定方向D1に平行に延び(従って、内側横材22に平行であり、かつ対向している)、内側横材24は、支柱14と16とを互いに連結し、測定方向D2に平行に延び、内側横材25は、支柱17と15とを互いに接続し、測定方向D2に平行に延びる(従って、内側横材24に平行であり、かつ対向している)。内側横材22~25は、2つずつ平行であり、かつ対向している。加えて、測定方向D1およびD2に対して垂直に測定された、4つすべての内側横材22~25の高さは、異なっていてもよく、例えば、支柱14~17の高さよりはるかに低くてもよい(この設計上の選択は、変形可能な機構13の内側の寸法全体を制限することのみを目的とする)。
【0024】
上述のように、4つの支柱14~17は、正方形の頂点に配置されており、その結果、4つの外側横材18~21はすべて、測定方向D1およびD2のうちの一方に平行に取られた長さを同じくする。同様に、4つの内側横材22~25はすべて、測定方向D1およびD2のうちの一方に平行に取られた長さを同じくする。換言すれば、4つのすべての外側横材18~21は同じ寸法を有し(そして互いに交換可能であるように互いに同一である)、そして4つのすべての内側横材22~25は同じサイズを有する(そして互いに交換可能であるように互いに同一である)。
【0025】
図示されていない、異なるが実質的には等価である実施形態によれば、4つの支柱14~17は、2つの測定方向D1およびD2のうちの一方に沿った寸法が大きい(正方形ではなく)長方形の頂点に配置される。
【0026】
図7によりよく示されているように、(外側または内側のいずれかの)各横材18~25は、2つの対応する支柱14~17の間に配置された中央部分26と、2つの側方部分27とを有し、2つの側方部分27は、中央部分26の両側に配置され、対応する支柱14~17に拘束され、中央部分26よりも薄い厚さを有する。添付の図面に示す好ましい(しかし限定するものではない)実施形態によれば、各横材18~25は、横材18~25の一方の端部から他方の端部まで延び、側方部分27と中央部分26の一部とを画定する、主要素28と、中央に配置され、中央部分26の別の部分を画定し、主要素28に剛体的に拘束される(例えば、溶接される)、補強要素29と、を備える。添付の図面に示す(限定するものではない)実施形態によれば、補強要素29は、主要素28と同じ厚さを有し、従って、中央部分26の厚さは、側方部分27の厚さの2倍である。
【0027】
対応する支柱14~17に拘束される点の近く(すなわち、側方部分27のうちの1つ)において、各横材18~25は、横材18~25自体の可撓性を局所的に高めるように弱化領域30、すなわち薄肉領域を有する。弱化領域30は、横材18~25の断面積を局所的に減少させ、かつ横材18~25が剛体的に拘束されている各支柱付近における横材18~25の可撓性を高める、凹部から構成される(例えば、弱化領域30では、横材18~25の厚さは、側方部分27の残りの部分の厚さの20%~35%に含まれる)。添付の図面に示される好ましい(しかし限定するものではない)実施形態によれば、各弱化領域30は、完全に側方部分27に配置され、側方部分27と中央部分26との間の境界ゾーンで始まる。さらに、各弱化領域30は、中央部分26と貫通孔31との間の側方部分27内に完全に配置され、そこに、横材を対応する支柱14~17に締結するための締結ねじが挿入される。
【0028】
上述したことから、各横材18~25は、支柱14~17付近(すなわち、弱化領域30)に集中した弾性的な可撓性を有することは明らかである。この弾性的な柔軟性のおかげで、変形可能な機構13は、両方の測定方向D1およびD2に弾性的に変形することができ、これにより、(支柱15に剛体的に拘束された)フィーラ2が両方の測定方向D1およびD2に動くことができる。
【0029】
好ましい実施形態によれば、変形可能な機構13は、2つのバランス調整要素60を備え、2つのバランス調整要素60のそれぞれが、測定方向D1およびD2に対して垂直な回転軸33を中心に回転するように、適切なヒンジ機構によって固定フレーム12に対して中央でヒンジ結合される。2つのバランス調整要素60は、互いに垂直に配置され、より具体的には、それらは互いに垂直な方向に沿って延び、2つの回転軸33は、互いに平行である。説明および図示された実施形態では、2つの回転軸33は一致していない、すなわちそれらは互いにゼロとは異なる一定の距離で配置されている。さらに、2つのバランス調整要素60は、互いに重なり合いかつ互いに離間するように、測定方向D1およびD2に対して垂直に取られた高さを異にして配置されている。特に、固定フレーム12は、支持プレート34を備え、支持プレート34は、支柱14と一体であり、両方の測定方向D1およびD2に平行に配置され、2つのバランス調整要素60のヒンジ機構を支持し、2つのバランス調整要素60の間に配置される。図示の実施形態では、内側横材22~25は、2つの測定方向D1またはD2のうちの一方に両方とも平行な2つの内側横材が、支持プレート34の一方の側に配置され、かつ2つの測定方向D1またはD2のうちの他方に両方とも平行な他の2つの内側横材が、支持プレート34の反対側にあるように配置される。特に、
図3および
図4を参照すると、支柱14と17および15と16をそれぞれ接続し、測定方向D1に平行である内側横材22および23は、支持プレート34の一方の側(
図3に示す向きによれば、上記プレートの上方)に配置され、支柱14と16および15と17をそれぞれ連結し、測定方向D2に平行である他の2つの内側横材24および25は、支持プレート34の反対側(
図4に示す向きによれば、プレートの上方)に配置される。各バランス調整要素60は、支柱16または支柱17に機械的に拘束されている第1の端部を有する(すなわち、バランス調整要素60は、支柱16に機械的に拘束され、他のバランス調整要素60は、支柱17に機械的に拘束されている)。添付の図面に示す好ましい(しかし限定するものではない)実施形態によれば、各バランス調整要素60の第1の端部は、一方の側でバランス調整要素60の第1の端部にヒンジ結合され、他方の側で対応する支柱16または17にヒンジ結合される接続ロッド35によって、対応する支柱16または17に機械的に拘束される。代替的な実施形態によれば、各バランス調整要素60は、一端がそれぞれのバランス調整要素60の端部に接続され、他端がそれぞれの支柱16または17と一体の剛体支持要素に固定されている(例えばねじ止めされている)弾性的な金属薄板によって対応する支柱16または17に拘束され得る。これにより、接続ロッドを用いてなされる接続に不可避的に存在する隙間を排除することができる。
【0030】
各バランス調整要素60は、それが拘束されている支柱16または17がそれぞれの測定方向D1またはD2に沿って移動すると、その回転軸33を中心に回転する。本明細書で説明および図示されている実施形態に関連して、
図3に示されているバランス調整要素60は、それが拘束されている支柱17が変位する場合に回転軸33を中心に回転する。上述のように、支柱17はほぼ専ら測定方向D2に沿って変位するので、
図3に示されているバランス調整要素60は、フィーラ2が測定方向D2に沿って移動すると回転する。一方、
図4に示されているバランス調整要素60は、それが拘束されている支柱16が変位する場合にのみ回転する。支柱16はほぼ専ら測定方向D1に沿って変位するので、
図4に示されているバランス調整要素60は、フィーラ2が測定方向D1に沿って移動すると回転する。バランス調整要素60の同時回転は、フィーラ2の変位が測定方向D1の成分と測定方向D2の成分との両方を含む場合に生じる。
【0031】
各バランス調整要素60は、アーム32と、(対応する支柱16または17に機械的に拘束される)バランス調整要素60の第1の端部とは反対側の第2の端部においてアーム32に剛体的に結合されている、較正された質量を有する慣性補償カウンタウェイト36と、を備える。カウンタウェイト36は、カウンタウェイト36の位置を、フィーラ2およびフィーラ2が固定されているロッド6の関数として、より具体的には、それらの総重量の関数として調整することを可能にする、調整可能な機械的接続によって、アーム32に固定される。カウンタウェイト36はまた、スペース上の理由から一定の範囲内で、ロッドおよびフィーラの重量に応じて異なる質量および寸法を有するカウンタウェイトと交換することもできる。
【0032】
支柱16または17が対応する測定方向D1またはD2に沿って移動すると、(接続ロッド35によって支柱16または17に拘束されている)関係するバランス調整要素60は、回転軸33を中心に回転する。
【0033】
カウンタウェイト36の存在により、測定方向D1およびD2の両方において、(変形可能な機構13、フィーラ2、およびフィーラが接続されるロッド6を備える)システム全体のバランス調整が確保される。システムのバランス調整は、各バランス調整要素60が回転する回転軸33に関して、システムに加えられる力のモーメントが同じであるという事実のおかげで得られる。換言すれば、フィーラ2、ロッド6、および支柱16または17に接続された変形可能な機構13の部分によって全体として及ぼされる力と、支柱16または17に拘束されたバランス調整要素60の第1の端部と回転軸33との間の距離と、の積は、カウンタウェイト36によって加えられる力と、回転軸33とカウンタウェイト36の重心との間の距離と、の積に等しい。システムのバランス調整は、測定ヘッド1が並進加速度を受けるときはいつでも有効になる。例えば、各バランス調整要素60のカウンタウェイト36は、測定ヘッド1が垂直に取り付けられているとき、すなわち測定方向D1およびD2を含む平面が地面に対して垂直である場合にその機能を果たす。この場合、カウンタウェイト36の機能は、測定ヘッド1が作業位置にあるときと静止位置にあるときの両方で重力と釣り合いを取って、システムのバランスを保つことである。カウンタウェイト36はまた、測定ヘッド1の位置に関係なく、移動中にその機能を果たし、高い加速度が加えられてもシステムのバランスを確保する。
【0034】
本明細書で説明および図示された好ましい実施形態によれば、カウンタウェイト36は、図に示された特定の形状を有し、質量は、変形可能な機構13によって課される寸法に応じて(カウンタウェイト36は、回転中に横材22~25に衝突してはならない)、できるだけ小さな体積を得るように分散され、また回転軸33からできるだけ離れて重心を維持する必要がある。
【0035】
(簡単にするために、固定フレーム12の支持プレート34にヒンジ結合された単一のバランス調整要素60を表す)
図8および
図9によれば、各バランス調整要素60は、バランス調整要素60を中間の平衡位置に保つ働きをする2つの対向する弾性要素37および38に機械的に接続される。好ましい実施形態によれば、各弾性要素37または38は、ねじ39または40の軸部を部分的に収容する、つる巻きばねを含む。各ねじ39または40は、当接部として作用する頭部を有し、頭部に対して弾性要素37または38が圧縮される。換言すれば、各弾性要素37または38の一端は、弾性要素37または38が対応するねじ39または40の頭部に対して圧縮され得るように、対応するねじ39または40の頭部に対してもたれかかる。
【0036】
図10により明確に示されているように、各バランス調整要素60は、対応するバランス調整要素60の回転軸33を中心に回転するように、固定フレーム12、より具体的には支持プレート34にヒンジ結合される一方向予荷重レバー41に結合される(すなわち、バランス調整要素60と一方向予荷重レバー41とは同じ回転軸33を中心に回転するように構成される)。各一方向予荷重レバー41は、第1の向きで、バランス調整要素60に対して回転するように構成され、第1の向きとは反対の第2の向きで、バランス調整要素60に対して回転するのを防止される(後述のように)。加えて、各一方向予荷重レバー41は、第2の向きで、固定フレーム12に対して(すなわち、固定フレーム12の支持プレート34に対して)回転するようになっており、第2の向きとは反対の第1の向きで、固定フレーム12に対して(すなわち、固定フレーム12の支持プレート34に対して)回転することが防止されている(後述のように)。より具体的には、第2の向きで、一方向予荷重レバー41は、バランス調整要素60と共に固定フレーム12に対して回転する。
【0037】
ねじ40の頭部と一方向予荷重レバー41との間で圧縮された弾性要素38を支持するねじ40は、固定フレーム12に収容されたねじ孔43に螺合し、ねじ頭部39とバランス調整要素60との間で圧縮される弾性要素37を支持するねじ39は、一方向予荷重レバー41に設けられたねじ孔42に螺合する。
【0038】
ねじ39は、バランス調整要素60、より具体的にはバランス調整要素60のアーム32の貫通孔44を横切り、バランス調整要素60には接触しない。同様に、ねじ40は、一方向予荷重レバー41の貫通孔45を横切り、一方向予荷重レバー41には接触しない。添付の図面に示される好ましい実施形態によれば、各一方向予荷重レバー41は、対応するバランス調整要素60の下、すなわちバランス調整要素60と固定支持体12の支持プレート34との間に配置され、回転軸33に平行に延びる2つの第1の突出部46および47、すなわち可動突出部を備え、突出部は、一方向予荷重レバー41から突出し、U字形であり、上にあるバランス調整要素60、より詳細にはバランス調整要素60のアーム32に設けられた2つの対応する座部48および49と係合する。可動突出部47には、ねじ39が螺合するねじ孔42が設けられている。固定フレーム12(特に固定フレーム12の支持プレート34)は、各一方向予荷重レバー41の下に配置され、回転軸33に平行に延びる2つの第2の突出部50および51、すなわち固定突出部を有し、突出部は、固定フレーム12から突出し、L字形であり、上にある一方向予荷重レバー41に設けられた2つの対応する座部52および53と係合し、固定突出部51には、ねじ40が螺合するねじ孔43が設けられている。
【0039】
各バランス調整要素60の対応する座部48および49に係合する各一方向予荷重レバー41の2つの可動突出部46および47の存在により、バランス調整要素60は、両方の座部48および49が対応する可動突出部46および47から離れるように移動する(
図8に示すように、バランス調整要素60と一方向予荷重レバー41との間に相対回転が生じる)第1の向きで、回転軸33を中心にして一方向予荷重レバー41に対して回転することができる。バランス調整要素60はまた、一方向予荷重レバー41を回転運動中に「引っ張る」ことによって、一方向予荷重レバー41の可動突出部46および47の両方が、バランス調整要素60の対応する座部48および49の壁と係合する(
図9に示すように、バランス調整要素60と一方向予荷重レバーとが一緒に回転する60)(第1の向きとは反対の)第2の向きで、一方向予荷重レバー41と一体的に回転軸33を中心に回転することができる。
【0040】
各一方向予荷重レバー41の対応する座部52および53と係合する2つの固定突出部50および51が存在することにより、一方向予荷重レバー41は、両方の座部52および53が対応する固定突出部50および51に対して「衝突」する第1の向きで、回転軸33を中心に、固定フレーム12に対して回転するのが防止される。一方向予荷重レバー41は、両方の座部52および53が対応する固定突出部50および51から離れるように移動する第2の向きで、回転軸33を中心に、固定フレーム12に対して回転することができる。
【0041】
一対のピン54が設けられ、各ピンは、それぞれのバランス調整要素60、より具体的にはそのようなバランス調整要素32のアーム32、およびそれぞれの一方向予荷重レバー41に設けられた対応する貫通孔に入って、バランス調整要素60および一方向予荷重レバー41を、回転軸33を中心に回転可能にする。60A第2のピン55は、各接続ロッド35の貫通孔を通過し、対応するバランス調整要素60の一端に設けられたキャビティ56に入って、接続ロッド35とバランス調整要素60との間に回転結合を提供する。
【0042】
図8に示すように、接続ロッド35が第1の方向(
図8の上方向)に移動すると、バランス調整要素60は、回転軸33を中心に第1の方向(
図8の反時計回り)に回転して、接続ロッド35を付随的に移動させ、その際、一方向予荷重レバー41は、固定突出部50および51によって課される機械的制約によって停止されるので(
図8では部分的にしか見えない)、一方向予荷重レバー41は動かない(または回転軸33を中心に回転しない)。この状況では、弾性要素38は(固定フレーム12と一体のねじ40の頭部と、移動しない一方向予荷重レバー41と、の間にあるため)、いかなる応力による影響も受けず、その際、弾性要素37は(移動しない一方向予荷重レバー41と一体のねじ39の頭部と、こちらは移動するバランス調整要素60と、の間に配置されるため)、圧縮される。
【0043】
図9に示すように、接続ロッド35が第2の向き、例えば上述した向きとは反対の向き(
図9の下向き)に動くと、バランス調整要素60は、第2の向き(
図8の時計回り)に回転軸33を中心に回転して、接続ロッド35を付随的に回転させ、一方向予荷重レバー41もまた、バランス調整要素60と共に回転軸33を中心に回転する。結果として、バランス調整要素60および一方向予荷重レバー41は、固定フレーム12に対して第2の向き(
図9では時計回り)に一緒に回転する。この状況では、弾性要素38は(固定フレーム12と一体のねじ40の頭部と、移動する一方向予荷重レバー41と、の間に配置されるため)、圧縮され、その際、弾性要素37は(同じ運動の法則で移動する、一方向予荷重レバー41と一体のねじ39の頭部と、バランス調整要素60と、の間にあるため)、いかなる応力による影響も受けない。
【0044】
図示されていない可能な実施形態によれば、第1の当接要素は、測定方向D1に沿ったエンドストップを構成し、測定方向D1自体に沿った支柱16のストロークを制限する(特に第1の当接要素は、両方の方向の支柱16のストロークを制限するように形作られる、すなわち、それは右エンドストップと左エンドストップとの両方を構成する)。同様に、第2の当接要素は、測定方向D2に沿ったエンドストップを構成し、測定方向D2自体に沿った支柱17のストロークを制限する(特に第2の当接要素は、両方の方向の支柱17のストロークを制限するように形作られる、すなわち、それは右エンドストップと左エンドストップとの両方を構成する)。可能な実施形態によれば、2つの当接要素は、両方とも支柱15に直接結合され(すなわち、両方とも支柱15に直接作用する)、これにより、フィーラ2またはロッド6が受ける衝撃が変形可能な機構13の他の構成要素に伝達されることと、変形可能な機構13自体を付勢することと、が防止される。支柱15に結合された単一の当接要素、例えば適切なサイズのピンを設けることも可能であり、これは例えばピンが一定のクリアランスで動くことを可能にする孔を用いて、固定フレーム12と適切に係合することによって、両方の測定方向D1およびD2に沿った両方の向きにおける支柱15のストロークを制限する。
【0045】
図示されていない可能な実施形態によれば、(例えば粘性流体を備えた)単一の減衰要素を支柱15に機械的に結合して、測定方向D1およびD2の両方に沿った支柱15の並進運動を減衰させることができる。あるいは、第1の減衰要素を支柱16に機械的に結合して、測定方向D1に沿った支柱16の並進運動を減衰させることができ、第2の減衰要素を支柱17に機械的に結合して、測定方向D2に沿った支柱17の並進運動を減衰させることができる。減衰要素の機能は、測定方向D1およびD2に沿ってフィーラ2で大きな振動が発生するのを、検査段階中に防止して、より大きな安定性を保証し、また測定ヘッド1が検査サイクルの最後に静止位置に戻る場合に防止することである。
【0046】
ここまで説明および図示された測定ヘッド1において、それぞれのカウンタウェイト36を有するバランス調整要素60、一方向予荷重レバー41、および内側横材22~25は、支持プレート34の両側に配置され、よって、一般的に、異なる幾何学的平面上にある。代替的な実施形態によれば、変形可能な機構13は、そのすべての構成要素が、一般に、単一平面上、例えば支持プレート34の同じ側にあるように設計することが可能である。特に、異なる構成要素、すなわち外側横材18~21および内側横材22~25ならびにバランス調整要素60を適切にサイズ設定することによって、例えば適切な較正のなされた質量およびサイズを有するカウンタウェイト36を使用することによって、測定方向(D1、D2)に対して垂直に測定された高さを同じくして配置されるように、支持プレート34の同じ面に対して90°の相互配置を維持しながら、両方のバランス調整要素60を固定することが可能である。さらなる代替的な実施形態(図示せず)によれば、支柱(14~17)ならびに外側横材(18~21)および内側横材(22~25)は、例えば固体物質から機械加工された、単一部品で実現することができる。
【0047】
異なる実施形態(図示せず)によれば、これまでに説明した変形可能な機構の代替として、キネマティックモーションアセンブリ13は、スライド式要素、例えば4つのキャリッジを備え、それぞれが、2つの支柱に連結されて、フィーラの変位の関数として、測定方向D1およびD2の一方に沿った専ら直線の往復運動を行うことができるようになっている。
【0048】
上述の測定ヘッド1は、いくつかの利点を提供する。
【0049】
第一に、上述の測定ヘッド1の挙動は、慣性の観点からは完全に均一である。換言すれば、両方の測定方向D1およびD2に沿って、上述の測定ヘッド1の慣性は同じである。測定ヘッド1はまた、等方性、すなわち測定方向D1およびD2によって画定される平面内で同じ(均一な)挙動を有すると考えることもできる。これにより、測定ヘッド1に対してすべての方向に同じ加速度を加えることができるため、機械部品の寸法および/または幾何学的検査の段階の際と移動の際との両方における測定ヘッド1の移動の制御を簡単にすることができる。加えて、変形可能な機構13の特定の構成、および特に慣性補償のカウンタウェイト36の存在により、両方の測定方向D1およびD2における測定ヘッド1のバランスが確保され、その結果、移動中の極めて高い加速度までも測定ヘッド1に負荷をかける可能性が確保され、従って1つの検査サイクルと他の検査サイクルとの間の測定ヘッド1の休止時間を最小にし、一般に、測定プロセスの効率を高める。
【0050】
最後に、上述の測定ヘッド1は、その構造で使うことが必要とされるのは(市場で容易に見つけられることができる)従来の製造技術および材料であるため、製造が容易かつ安価である。