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特許7062678改善されたレジメンコンプライアンスのためのモジュール式医薬品ケース
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-22
(45)【発行日】2022-05-06
(54)【発明の名称】改善されたレジメンコンプライアンスのためのモジュール式医薬品ケース
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/03 20060101AFI20220425BHJP
   A61J 7/04 20060101ALI20220425BHJP
   B65D 83/04 20060101ALI20220425BHJP
【FI】
A61J1/03 370
A61J7/04 Z
B65D83/04 D
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019545769
(86)(22)【出願日】2018-02-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-21
(86)【国際出願番号】 US2018019289
(87)【国際公開番号】W WO2018156810
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2021-01-27
(31)【優先権主張番号】62/462,204
(32)【優先日】2017-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518122744
【氏名又は名称】クアンテッド・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ドナルド・マレー・リアマンス
(72)【発明者】
【氏名】シ-ゼ・リウ
(72)【発明者】
【氏名】メーラン・メーレガニー
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァー・ラン・イェイツ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・アルバート・ウォーカー
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-520702(JP,A)
【文献】特表2016-518882(JP,A)
【文献】国際公開第2016/118605(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/03
A61J 7/04
B65D 83/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のブリスターカードの状態を監視するためのモジュール式ケースであって、前記第1のブリスターカードが、第1の成形フィルムと、第1の蓋フィルムと、前記第1の成形フィルム及び前記第1の蓋フィルムによって形成された第1のリザーバに収容されている第1の錠剤とを含む前記モジュール式ケースにおいて、
前記モジュール式ケースが、
(1)第1の検出モジュールと、
(2)第1の電子モジュールと、
(3)第1の電気インターフェースと、
を備えており、
前記第1の検出モジュールが、
(i)前記第1のブリスターカードを保持するための第1のハウジングと、
(ii)シートと前記シートに対して相対的に移動可能とされるフレームとを含んでいる第1の受容部と、
(iii)(a)前記第1のリザーバの内部に前記第1の錠剤が存在するか否か、及び、(b)前記第1の蓋フィルムの第1の吐出領域の物理的状態のうち少なくとも1つに基づく第1の電気信号を提供するように動作する、第1のセンサであって、前記シート及び前記フレームが、前記第1のブリスターカード及び前記第1のセンサが機能的に結合される第1の位置に前記第1のブリスターカードを可逆的に配置させるように集合的に構成されている、前記第1のセンサと、
を備えており、
前記第1の電子モジュールが、
(i)前記第1の電気信号を計測するように動作する第1のセンサ回路と、
(ii)外部デバイスと通信するように構成されている第1の通信回路と、
(iii)前記第1のセンサ回路及び前記第1の通信回路を包囲するための第2のハウジングと、
を備えており、
前記第1の電気インターフェースが、前記第1のセンサと前記第1のセンサ回路とを可逆的に且つ電気的に結合するように構成されており、前記第1の電気インターフェースが、第1のソケットと第1のプラグとを含んでおり、前記第1の電子モジュールが、前記第1のプラグ及び前記第1のソケットのうち一方を備えており、前記第1の検出モジュールが、前記第1のプラグ及び前記第1のソケットのうち他方を備えている、モジュール式ケース。
【請求項2】
前記モジュール式ケースが、(4)第1の機械インターフェースを備えており、
前記第1の機械インターフェースが、前記第1の電子モジュールと前記第1の検出モジュールとを物理的に位置合わせするように、且つ、前記第1のソケットと第1のプラグとを物理的に位置合わせするように構成されている、請求項1に記載のモジュール式ケース。
【請求項3】
前記モジュール式ケースが、(4)第1のラッチを備えており、
前記第1のラッチが、前記第1の電子モジュールと第1の検出モジュールとを共に可逆的にロックするように構成されている、請求項1に記載のモジュール式ケース。
【請求項4】
前記第1の電子モジュールが、(iv)スリープモード回路を備えており、
前記スリープモード回路が、前記第1の電子モジュールを低電力消費モードに移行させるように動作し、環境刺激に応答して、前記第1の電子モジュールが前記低電力消費モードから復帰するように前記第1の電子モジュールを作動させる、請求項1に記載のモジュール式ケース。
【請求項5】
前記第1のセンサが、
前記第1の吐出領域の状態に基づく第1の静電容量に基づいて前記第1の電気信号を提供するように構成されている静電容量センサであって、前記第1の静電容量の大きさが、前記第1の吐出領域の状態に基づく前記静電容量センサ、
前記第1のリザーバに収容されている前記第1の錠剤の存否に基づく第1の磁束密度に基づいて、第1の信号を提供するように構成されている磁気センサ、及び
電気インピーダンストモグラフィ(EIT)を介して、前記第1のブリスターカードの状態を監視するように構成されている複数の接触電極、
から選択される、請求項1に記載のモジュール式ケース。
【請求項6】
前記モジュール式ケースが、(5)第2の検出モジュールと(6)第2の電気インターフェースとを備えており、
前記第2の検出モジュールが、
(i)第2のブリスターカードを保持するための第3のハウジングと、
(ii)前記第2のブリスターカードを前記第2のハウジングの内部の第2の位置に配置するように構成されている第2の受容部と、
(iii)前記第2のブリスターカードが前記第2の位置に位置している場合に、前記第2のブリスターカードと動作可能に結合するように構成されている第2のセンサであって、これにより、前記第2のセンサが、(a)第2のリザーバの内部に第2の錠剤が存在するか否か、及び、(b)第2の蓋フィルムの第2の吐出領域の物理的状態のうち少なくとも1つに基づく第2の電気信号を提供するように動作する、前記第2のセンサと、
前記第2の電気インターフェースが、前記第2のセンサと前記第1のセンサ回路とを可逆的に且つ電気的に結合するように構成されており、前記第2の電気インターフェースが、第2のソケットと第2のプラグとを含んでおり、前記第1の電子モジュールが、前記第2のプラグ及び前記第2のソケットのうち一方を備えており、前記第2の検出モジュールが、前記第2のプラグ及び前記第2のソケットのうち他方を備えており、
前記第1のセンサ回路が、前記第2の電気信号を計測するように動作する、請求項1に記載のモジュール式ケース。
【請求項7】
前記モジュール式ケースが、(5)第2の検出モジュールと(6)第2の電子モジュールと(7)第2の電気インターフェースとを備えており、
前記第2の検出モジュールが、
(i)第2のブリスターカードを保持するための第3のハウジングと、
(ii)前記第2のブリスターカードを前記第2のハウジングの内部の第2の位置に配置するように構成されている第2の受容部と、
(iii)前記第2のブリスターカードが前記第2の位置に位置している場合に、前記第2のブリスターカードと動作可能に結合するように構成されている第2のセンサであって、これにより、前記第2のセンサが、(a)第2のリザーバの内部に第2の錠剤が存在するか否か、及び、(b)第2の蓋フィルムの第2の吐出領域の物理的状態のうち少なくとも1つに基づく第2の電気信号を提供するように動作する、前記第2のセンサと、
を備えており、
前記第2の電子モジュールが、
(i)前記第2の電気信号を計測するように動作する第2のセンサ回路と、
(ii)前記外部デバイスと通信するように構成されている第2の通信回路と、
(iii)前記第2のセンサ回路と前記第2の通信回路とを包囲するための第4のハウジングと、
を備えており、
前記第2の電気インターフェースが、前記第2のセンサと前記第2のセンサ回路とを可逆的に且つ電気的に結合するように構成されており、前記第2の電気インターフェースが、第2のソケットと第2のプラグとを含んでおり、前記第2の電子モジュールが、前記第2のプラグ及び前記第2のソケットのうち一方を備えており、前記第2の検出モジュールが、前記第2のプラグ及び前記第2のソケットのうち他方を備えており、
前記第1の電気インターフェースと前記第2の電気インターフェースとが、物理的に結合されている、請求項1に記載のモジュール式ケース。
【請求項8】
前記モジュール式ケースが、(5)スタイラスを備えており、
前記スタイラスが、力センサ、前記スタイラスと前記第1のリザーバとの間に作用する力によって作動する電気スイッチ、フォトダイオード、磁気センサ、又はモーションセンサとされる第2のセンサを含んでいる、請求項1に記載のモジュール式ケース。
【請求項9】
少なくとも1つのブリスターカードの状態を監視するための方法であって、
前記方法が、
(1)第1の検出モジュールを準備するステップであって、前記第1の検出モジュールが、
(i)第1のブリスターカードを保持するための第1のハウジングであって、前記第1のブリスターカードが、第1の成形フィルムと、第1の蓋フィルムと、複数の第1の錠剤とを含んでおり、複数の前記第1の錠剤それぞれが、複数の第1のリザーバのうち異なる第1のリザーバの内部に保持されており、複数の前記第1のリザーバが、第1の配置に配置されており、複数の前記第1のリザーバそれぞれが、第1の吐出領域を含んでいる、前記第1のハウジングと、
(ii)シートと前記シートに対して相対的に移動可能とされるフレームとを含んでいる第1の受容部と、
(iii)前記第1の配置に配置されている複数の第1のセンサであって、複数の前記第1のセンサが、複数の第1の電気信号を提供するように動作し、複数の前記第1の電気信号それぞれが、(a)複数の前記第1の錠剤のうち異なる錠剤の存在及び(b)複数の前記第1の吐出領域のうち異なる第1の吐出領域の状態の少なくとも1つに基づき、前記シート及び前記フレームが、前記第1のブリスターカード及び前記第1のセンサが機能的に結合される第1の位置に前記第1のブリスターカードを可逆的に配置させるように集合的に構成されている、複数の前記第1のセンサと、
を含む、前記第1の検出モジュールを準備するステップと、
(2)第1のソケット及び第1のプラグを具備する第1の電気インターフェースにおいて、前記第1の検出モジュールと第1の電子モジュールとを可逆的に且つ電気的に結合するステップであって、前記第1の電子モジュールが、
(i)複数の前記第1の電気信号の電気信号それぞれを計測するように動作する第1のセンサ回路と、
(ii)外部デバイスと通信するように構成されている第1の通信回路と、
(iii)前記第1のセンサ回路及び前記第1の通信回路を包囲するための第2のハウジングと、
を含んでいる、ステップと、
を備えており、
前記第1の電子モジュールが、前記第1のプラグ及び前記第1のソケットのうち一方を備えており、前記第1の検出モジュールが、前記第1のプラグ及び前記第1のソケットのうち他方を備えている、方法。
【請求項10】
前記方法が、
(3)前記第1のブリスターカードを前記第1の検出モジュールの内部に配置するステップと、
(4)複数の前記第1の電気信号に基づいて前記第1のブリスターカードの物理的状態を決定するステップと、
(5)前記第1のブリスターカードの前記物理的状態を前記第1のブリスターカードの予測された状態と比較するステップであって、前記予測された状態が、複数の前記第1の錠剤の所定の処方レジメンに基づく、前記ステップと、
(6)前記予測された状態に対する前記第1のブリスターカードの前記物理的状態に基づいて、第1の出力信号を提供するステップと、
を備えている、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記方法が、
(3)前記第1の検出モジュールのセンサの数量を決定する工程と、
(4)前記第1のブリスターカードの内部の錠剤の数量を示す、前記第1のブリスターカードの識別情報を前記外部デバイスに提供する工程と、
(5)前記第1の検出モジュールの内部のセンサの数量と前記第1のブリスターカードの内部の錠剤の数量との間で第1の比較を実施する工程と、
(6)前記第1の比較に基づいて第1の状態信号を発する工程と、
を具備する動作によって、前記第1のブリスターカードと前記第1の検出モジュールとの互換性を検証するステップを備えている、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記複数のセンサそれぞれが、前記第1の吐出領域それぞれの状態に基づいた大きさを有する第1の静電容量に基づいて、複数の前記第1の電気信号のうち異なる電気信号を提供するように構成されている静電容量センサ、前記第1のリザーバそれぞれに収容されている複数の前記第1の錠剤それぞれの存否に基づく第1の磁束密度に基づいて、第1の信号を提供するように構成されている磁気センサ、及び電気インピーダンストモグラフィ(EIT)を介して、前記第1の吐出領域それぞれの状態を監視するように構成されている複数の接触電極、から選択されるように、前記第1の検出モジュールが設けられている、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記方法が、
(3)第2の検出モジュールを準備するステップであって、前記第2の検出モジュールが、
(i)第2のブリスターカードを保持するための第3のハウジングであって、前記第2のブリスターカードが、第2の成形フィルムと、第2の蓋フィルムと、複数の第2の錠剤とを含んでおり、複数の前記第2の錠剤それぞれが、複数の第2のリザーバのうち異なる第2のリザーバの内部に保持されており、複数の前記第2のリザーバが、第2の配置に配置されており、複数の前記第2のリザーバそれぞれが、第2の吐出領域を含んでいる、前記第3のハウジングと、
(ii)前記第2のブリスターカードを前記第3のハウジングの内部の第2の位置に配置するように構成されている第2の受容部と、
(iii)前記第2の配置に配置されている複数の第2のセンサであって、複数の前記第2のセンサが、複数の第2の電気信号を提供するように動作し、複数の前記第2の電気信号それぞれが、(a)前記複数の第2の錠剤のうち異なる錠剤の存在及び(b)複数の前記第2の吐出領域のうち異なる第2の吐出領域の状態の少なくとも1つに基づく、前記複数の第2のセンサと、
を含む、前記第2の検出モジュールを準備するステップと、
(4)第2のソケット及び第2のプラグを具備する第2の電気インターフェースにおいて、前記第2の検出モジュールと前記第1の電子モジュールとを可逆的に且つ電気的に結合するステップであって、前記第1の電子モジュールが、前記第2のプラグ及び前記第2のソケットのうち一方を備えており、前記第2の検出モジュールが、前記第2のプラグ及び前記第2のソケットのうち他方を備えている、前記ステップと、
を備えており、
前記第1のセンサ回路が、前記第2の電気信号を計測するように動作する、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記方法が、
(3)第2の検出モジュールを準備するステップであって、前記第2の検出モジュールが、
(i)第2のブリスターカードを保持するための第3のハウジングであって、前記第2のブリスターカードが、第2の成形フィルムと、第2の蓋フィルムと、複数の第2の錠剤とを含んでおり、複数の前記第2の錠剤それぞれが、複数の第2のリザーバのうち異なる第2のリザーバの内部に保持されており、複数の前記第2のリザーバが、第2の配置に配置されており、複数の前記第2のリザーバそれぞれが、第2の吐出領域を含んでいる、前記第3のハウジングと、
(ii)前記第2のブリスターカードを前記第3のハウジングの内部の第2の位置に配置するように構成されている第2の受容部と、
(iii)前記第2の配置に配置されている複数の第2のセンサであって、複数の前記第2のセンサが、複数の第2の電気信号を提供するように動作し、複数の前記第2の電気信号それぞれが、(a)複数の前記第2の錠剤のうち異なる錠剤の存在及び(b)複数の前記第2の吐出領域のうち異なる第2の吐出領域の状態の少なくとも1つに基づく、複数の前記第2のセンサと、
を含む、前記第2の検出モジュールを準備するステップと、
(4)第2のソケット及び第2のプラグを具備する第2の電気インターフェースにおいて、前記第2の検出モジュールと前記第1の電子モジュールとを可逆的に且つ電気的に結合するステップであって、前記第1の電子モジュールが、前記第2のプラグ及び前記第2のソケットのうち一方を備えており、前記第2の検出モジュールが、前記第2のプラグ及び前記第2のソケットのうち他方を備えており、第2の電子モジュールが、
(i)複数の前記第2の電気信号の電気信号それぞれを計測するように動作する第2のセンサ回路と、
(ii)前記外部デバイスと通信するように構成されている第2の通信回路と、
(iii)前記第2のセンサ回路及び前記第2の通信回路を包囲するための第4のハウジングと、
を備えている、前記ステップと、
(5)前記第2のセンサと前記第2のセンサ回路とを可逆的に且つ電気的に結合するように構成されている第2の電気インターフェースであって、前記第2の電気インターフェースが、第2のソケットと第2のプラグとを含んでおり、前記第2の電子モジュールが、前記第2のプラグ及び前記第2のソケットのうち一方を備えており、前記第2の検出モジュールが、前記第2のプラグ及び前記第2のソケットのうち他方を備えている、前記第2の電気インターフェースと、
を備えている、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2017年2月22日に出願された「改善されたレジメンコンプライアンスのためのモジュール式医薬品ケース」という名称の米国特許仮出願第62/462,204号(代理人整理番号:3005-006PR1)の利益を主張するものであり、この特許出願を、参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本願と、本件中の請求項の解釈に影響する可能性のある参照により組み込まれた事件との間に、何らかの文言における矛盾又は不一致があれば、本件中の請求項は本件中の文言と一致すると解釈されるべきである。
【0003】
本開示は、一般にパッケージングに関し、より詳細には、スマートパッケージングに関する。
【背景技術】
【0004】
「パッケージング」という用語は、製品の製造時からその使用まで製品を取り囲む様々な構成要素の集まりを指す。それは通常、輸送及び取り扱い中の物理的損傷からの保護を提供すること、盗難抑止、汚染を抑制すること、静電気放電などによる電気的損傷からの保護を提供すること、改ざんを防止すること、製品の劣化を抑制することなどのような多くの目的に、しばしば同時に役立つ。
【0005】
近年、ブリスターカードは、玩具、ハードウェア、電子機器、及び医薬品のような多くの製品について主要なパッケージング形態になっている。ブリスターカードの主要な構成要素は、成形可能層内に作られた空洞であり、これは通常は熱成形されたプラスチックの一種からなる。いくつかの場合において、成形可能層はそれ自体の上に折り返され、これによって空洞を密閉して「クラムシェル」パッケージを形成する。より典型的には、金属箔の蓋シールが裏打ち層として成形可能層に接合されて空洞を密閉し、これによって1つ又は複数の密閉されたリザーバを形成する。
【0006】
ブリスターカードがかなり普遍的になるにつれて、知能を追加することによってその有用性を向上させることに関心が高まっている。「スマート」、「アクティブ」、又は「コネクテッド」パッケージングと呼ばれ、このようなパッケージは、製品状態の提供、鮮度の監視、温度暴露の追跡、パッケージに与えられた衝撃の記録、1つ又は複数の製品ユニットがパッケージから除去されたときのアラートの送信などに用いることができるセンサ及び監視回路を含む。さらに、コピーが非常に困難な複雑な製品コードを含めることができ、これによって偽造の試みを挫折させる。結果として、このような追加された知能は、盗難抑止を強化し、製品の偽造を抑制し、製品のエンドツーエンド(すなわち、製造から消費者まで)の追跡を可能にすることなどができる。
【0007】
残念ながら、インテリジェントパッケージングを提供するための従来のアプローチは通常、複雑、高価で、しばしば容易に破損する。加えて、ブリスターカードには多くの形態及びサイズがあり、製品場所の数は広範囲にわたって変動する。結果として、従来のスマートパッケージングのアプローチは、追跡されている特定の製品にカスタマイズする必要があった。このようなカスタマイズされたパッケージは高価であり、新しい製品の導入ごとに改造を必要とし、各カスタムパッケージが独自のSKU(在庫管理単位)を有することが必要になるため、在庫管理の問題につながる。カスタマイズされた電子部品、パッケージングの開発、及び在庫管理、SKUの追跡などに関連するコストのため、これまで、多くの用途においてスマートパッケージングをうまく導入することが制限されてきた。
【0008】
パッケージされた製品のエンドツーエンドの追跡を可能にする、簡単で低コストのスマートパッケージングのアプローチの必要性はまだ満たされていないままである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許出願公開第2016-0103085号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017-0294105号明細書
【文献】米国特許出願第14/879874号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本開示は、先行技術のコスト及び不利益のいくつかのないスマート薬ケースの実施形態を説明する。本開示に従うケースは、比較的安価な構成要素を含む検出モジュールと可逆的に取り付け可能な電子モジュール内に比較的高価な構成要素が配置されるようなモジュール式である。結果として、電子モジュールは、1つの検出モジュールから取り外して異なる検出モジュールに再取り付けすることによって再利用することができる。本開示に従う実施形態は、経口避妊薬(OCP)用途、長期投薬監視などでの使用に特によく適している。
【課題を解決するための手段】
【0011】
例示的な一実施形態は、電子モジュール及び検出モジュールを含むモジュール式薬ケースであり、これらのモジュールは標準の電気インターフェース及び機械的インターフェースを介してそれぞれ電気的及び機械的に結合されている。機械的インターフェースを介して2つのモジュールが位置合わせされると、可逆ラッチが自動的に係合して2つのモジュールを接合する。
【0012】
電子モジュールは、検出モジュール内に保持されたブリスターカードの状態を監視するためのセンサアレイとのインターフェースに必要な電気部品、及び基地局と無線通信するための通信回路を含む。例示的な実施形態において、電子モジュールは、処理ロジック、メモリ、通信回路、電力調整電子部品、及びセンサ読み出し電子部品を含む。いくつかの実施形態において、追加の電子部品が電子モジュールに含まれ、たとえば、偽造ブリスターカードの検出の促進、ユーザへの警告の発行、複数の検出モジュールの収容、スマートスタイラスとの相互作用などを行う。
【0013】
検出モジュールは、静電容量センサのアレイを含むプリント回路基板と、静電容量センサに対してブリスターカードを装着するための受容部と、受容部及びブリスターカードを包囲するためのハウジングと、を含む。いくつかの実施形態において、検出モジュールは、容量性センサ以外の1つ又は複数のセンサを含む。いくつかの実施形態において、検出モジュールは、たとえば、ブリスターカードの認証、スマートスタイラスとの相互作用などを行うように構成された電子回路を含む。
【0014】
電子モジュールと検出モジュールとは電気インターフェースを介して電気的に結合され、この電気インターフェースは複数の検出モジュールのいずれをも電子モジュールと電気的に結合することができるように標準化されている。
【0015】
同様の方法で、これらのモジュールは、複数の検出モジュールのいずれをも電子モジュールと機械的に結合することができるように標準化された機械的インターフェースを介して結合されている。機械的インターフェースは、これらのモジュールと各モジュール上に配置された電気インターフェースの構成要素とを物理的に位置合わせする。いくつかの実施形態において、機械的インターフェースは、2つのモジュールが接合されるときにこの2つのモジュールの適切な向きを保証するために固定される。
【0016】
例示的な実施形態において、ラッチは、モジュールの嵌合部分に配置されてこれらのモジュールがそれらの結合関係になったときにこれらのモジュールを共に堅く保持する一対の弾性キャッチを含む。いくつかの実施形態において、ラッチは異なるラッチ機構を含む。
【0017】
本開示に従う実施形態のモジュール性は、
i.モジュール間の標準的な電気インターフェース及び機械的インターフェース、又は
ii.堅牢な機械的インターフェース及び信頼できる電気的接続性、又は
iii.一貫した産業設計及び品質、又は
iv.検出器モジュールの互換性の容易さ(すなわち、複雑な組み立て及び分解なし)、又は
v.複数の検出モジュールに対する高価な電子部品のコストの償却、又は
vi.i、ii、iii、iv、及びvの任意の組み合わせ
を含む、従来技術を超えるいくつかの利点を提供する。
【0018】
いくつかの実施形態において、モジュール式薬ケースは、他のモジュール式薬ケースと積み重ねてマルチブリスターカードユニットを集合的に定義することを可能にする拡張コンポーネントを含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、モジュール式ケースは、単一の電子モジュールが複数の検出モジュールと電気的及び機械的に結合することを可能にするヒンジを含み、複数の検出モジュールはそれぞれが異なるブリスターカードを含む。これらの実施形態のいくつかにおいて、ヒンジ構造は、他の検出モジュールを所望の検出モジュールから離れるように回転させることによって各検出モジュールへのアクセスを可能にするトラックシステムを含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、ブリスターカードからの錠剤の吐出を容易にするスタイラスがモジュール式ケースに含まれている。これらの実施形態のいくつかにおいて、スタイラスは、1つ又は複数のセンサ(たとえば、力センサ、接触スイッチなど)、1つ又は複数のフォトダイオード、磁石、モーションセンサなどを含むスマートスタイラスである。
【0021】
本開示に従う一実施形態は、成形フィルムと、蓋フィルムと、成形フィルム及び蓋フィルムによって形成される第1のリザーバに含まれる第1の錠剤と、を含むブリスターカードの状態を監視するためのモジュール式ケースであり、このシステムは、(i)ブリスターカードを保持するための第1のハウジングと、(ii)ブリスターカードを第1のハウジング内で第1の位置に配置するように構成された受容部と、(iii)ブリスターカードが第1の位置にあるときにブリスターカードと動作可能に結合するように構成された第1のセンサであって、第1のセンサは、(a)第1のリザーバ内の第1の錠剤の存在、及び(b)蓋フィルムの第1の吐出領域の物理的状態、の少なくとも1つに基づく第1の電気信号を提供するために動作する、第1のセンサと、を含む(1)第1の検出モジュールと、(i)第1の電気信号を計測するために動作するセンサ回路と、(ii)外部デバイスと通信するように構成された通信回路と、(iii)センサ回路及び通信回路を包囲するための第2のハウジングと、を含む(2)第1の電子モジュールと、(3)第1のセンサとセンサ回路とを可逆的に電気的に結合するように構成された第1の電気インターフェースであって、第1の電気インターフェースは第1のソケット及び第1のプラグを含み、第1の電子モジュールは第1のプラグ及び第1のソケットのうちの一方を含み、第1の検出モジュールは第1のプラグ及び第1のソケットのうちの他方を含む、第1の電気インターフェースと、を含む。
【0022】
本開示に従う他の一実施形態は、少なくとも1つのブリスターカードの状態を監視するための方法であって、この方法は、(i)第1のブリスターカードを保持するための第1のハウジングであって、第1のブリスターカードは、第1の成形フィルムと、第1の蓋フィルムと、複数の第1の錠剤であって、この複数の第1の錠剤のそれぞれは、複数の第1のリザーバのうちの異なる第1のリザーバ内に保持され、複数の第1のリザーバは第1の配置に配置され、複数の第1のリザーバのそれぞれは第1の吐出領域を含む、第1のハウジングと、(ii)第1のブリスターカードを第1のハウジング内で第1の位置に配置するように構成された第1の受容部と、(iii)第1の配置に配置された複数の第1のセンサであって、複数の第1のセンサは、複数の第1の電気信号を提供するために動作し、複数の第1の電気信号のそれぞれは、(a)複数の第1の錠剤のうちの異なる錠剤の存在、及び(b)複数の第1の吐出領域のうちの異なる第1の吐出領域の状態、の少なくとも1つに基づく、複数の第1のセンサと、を含む、(1)第1の検出モジュールを提供するステップと、(2)第1のソケット及び第1のプラグを含む第1の電気インターフェースで、第1の検出モジュールと第1の電子モジュールとを可逆的に電気的に結合するステップであって、第1の電子モジュールは、(i)複数の第1の電気信号のそれぞれを計測するために動作する第1のセンサ回路と、(ii)外部デバイスと通信するように構成された第1の通信回路と、(iii)第1のセンサ回路及び第1の通信回路を包囲するための第2のハウジングと、を含む、ステップと、を含み、第1の電子モジュールは第1のプラグ及び第1のソケットのうちの一方を含み、第1の検出モジュールは第1のプラグ及び第1のソケットのうちの他方を含む。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1A】本開示に従う例示的な一実施形態に従うモジュール式薬ケースの機能的ブロック図を示す。
図1B】例示的な実施形態に従うブリスターカードの斜視図の概略図を示す。
図2】例示的な実施形態に従う電子モジュールの概略図を示す。
図3A】例示的な実施形態に従う検出モジュールの上面からの斜視図の概略図を示す。
図3B】例示的な実施形態に従う検出モジュールの底面からの斜視図の概略図を示す。
図4】例示的な実施形態に従うセンサアレイの上面の概略図を示す。
図5A】ブリスターカード126の錠剤領域と動作可能に結合された配置におけるセンサアレイ118のセンサの断面図の概略図を示す。
図5B】本開示に従う代替の静電容量センサの断面図の概略図を示す。
図5C】EITを介してブリスターカードの状態を監視するように構成された検出モジュールの一領域の断面の概略図を示す。
図5D】接触電極510での使用に適した電極形状及び配置の例を示す。
図6A】例示的な実施形態に従う非係合状態の電子モジュール102及び検出モジュール104を示す画像を示す。
図6B】本開示に従うモジュール式薬ケースの代替構成を示す画像を示す。
図7】検出モジュールが電子モジュールと係合しているときに検出モジュールを識別するのに適した方法の動作を示す。
図8A】本開示に従う複数処方スマート薬ケースの1つのケースを開く前の斜視図の概略図を示す。
図8B】本開示に従う複数処方スマート薬ケースの1つのケースを開いた後の斜視図の概略図を示す。
図9】本開示に従う複数処方スマート薬ケースの代替例の斜視図の概略図を示す。
図10A】本開示に従う複数処方スマート薬ケースの他の代替例の上部の斜視図の概略図を示す。
図10B】本開示に従う複数処方スマート薬ケースの他の代替例の底部の斜視図の概略図を示す。
図10C】回転コネクタ1006と、電子モジュール1002に含まれるPCB1012との間のフレックス回路接続の簡略図を示す。
図10D】検出モジュール1004-1が回転位置にあり、そのブリスターカードへのアクセスを可能にするために開かれているケース1000を示す。
図11A】本開示に従う、静止状態にある複数処方スマート薬ケースの他の代替例の斜視図の概略図を示す。
図11B】本開示に従う、1つの検出モジュールが外側に回転した複数処方スマート薬ケースの他の代替例の斜視図の概略図を示す。
図12】本開示に従うモジュール式ピルケースの他の代替実施形態を示す。
図13】本開示に従うモジュール式ピルケースのさらに他の代替実施形態を示す。
図14】本開示に従う例示的な擬似ブリスターカードの分解斜視図を示す。
図15】検出モジュール104での使用に適した代替の検出システムの一部の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1Aは、本開示に従う例示的な実施形態に従うモジュール式薬ケースの機能的ブロック図を示す。ケース100は、電子モジュール102、検出モジュール104、電気インターフェース106、機械的インターフェース108、及びラッチ110を含む。ケース100は、ブリスターカード126の状態を追跡するためのモジュール式スマートケースであり、図示の例においては、OCPブリスターカードである。しかしながら、当業者は、本明細書を読んだ後、本開示の教示が、家庭用電気製品、玩具、ヘルスケア及び美容ケア製品(たとえば、カミソリ刃など)、食料品、トナーカートリッジなどのような無数の製品追跡用途に適用可能であることを認識するであろう。ケース100及びその動作は、米国特許出願公開第2016-0103085-A1号及び第2017-0294105-A1号に記載されたスマート薬ケースに類似しており、これらのそれぞれを参照により本明細書に組み込む。
【0025】
図1Bは、例示的な実施形態に従うブリスターカードの斜視図の概略図を示す。ブリスターカードの1つの錠剤領域の断面が挿入図1に示されており、その断面は図1Bの線a-aを通るものである。
【0026】
ブリスターカード126は複数の錠剤128を含み、これらのそれぞれがリザーバ136内に含まれている。リザーバ136は、成形フィルム130及び吐出領域138によって形成され、吐出領域138は、リザーバ136の底部を形成する蓋フィルム132の領域であるとともに、錠剤128が吐出されるときにそれを通して押し出される蓋フィルムの部分である。
【0027】
成形フィルム130は、錠剤128を保持するための空洞が形成される熱成形プラスチックの層である。
【0028】
蓋フィルム132はアルミニウム箔の薄いシートである。いくつかの実施形態において、蓋フィルム132は他の導電性材料のシートである。いくつかの実施形態において、蓋フィルム132は、導電性材料のシートと、紙シート(印刷されたカレンダー又は説明書付き)、ポリマーなどの電気的絶縁材料のシートと、を含む。錠剤128が成形フィルム130の空洞内に吐出された後、蓋フィルム132は成形フィルムと接合されて空洞を密閉し、これによってリザーバ136を形成し、これが錠剤128を包囲する。通常、薬物レジメンを説明するカレンダーがカード上に印刷され、及び/又は他の方法でブリスターカードの一部として提供される。
【0029】
各空洞を密閉してリザーバを形成する蓋フィルム132の領域は吐出領域138を形成し、これを通して錠剤を押すことによってそのそれぞれの錠剤128が蓋の箔を通して吐出される。
【0030】
当業者は、ピル、カプセル、ロゼンジなどのような、ブリスターカード内でのパッケージングに適した形態で多くの種類の医薬品が提供されることを認識するであろう。添付の特許請求の範囲を含む本明細書のために、「錠剤」という用語を、そのようなすべての薬用形態を包含する一般的な用語として用いる。
【0031】
図2は、例示的な実施形態に従う電子モジュールの概略図を示す。電子モジュール102は、ハウジング202、電子回路112、通信回路114、ソケット204、受容部206、及びキャッチ208を含む。
【0032】
ハウジング202は、実質的に環境的に密封された環境において電子部品回路112及び通信回路114を包囲するように構成された従来の成形プラスチックハウジングである。
【0033】
電子回路112は、コントローラ210、メモリ212、センサ回路214、電力回路216、表示回路218、及びスリープモード回路220を含む。電子部品回路112に含まれる回路により、電子部品回路112は、検出モジュール104に含まれるセンサアレイとインターフェースするとともに、各センサの出力信号を受信及び調整(たとえば、前置増幅、デジタル化などを提供)し、電力調整及び管理を提供し、ユーザへ情報を表示することなどが可能になる。
【0034】
コントローラ210は、信号処理及び計算能力を有する従来のプロセッサである。
【0035】
メモリ212は、情報及びデータを格納するための従来のメモリモジュールである。
【0036】
センサ回路214は、検出モジュール104のセンサアレイから電気インターフェース106を介してセンサ信号を受信し、センサ信号を計測して、検出モジュールに保持されたブリスターカードの状態における変化を検出することなどを行うように構成される。
【0037】
電力回路216は、エネルギー貯蔵ユニット及び電力管理回路を含む。図示の例において、エネルギー貯蔵ユニットは充電式バッテリであるが、本開示の範囲から逸脱することなく、異なるエネルギー貯蔵ユニットを電力回路216で用いることができる。本開示に従う実施形態での使用に適したエネルギー貯蔵ユニットは、非充電式バッテリ、スーパーキャパシタなどを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、電力回路216は、エネルギー貯蔵ユニットを受動的に再充電するための1つ又は複数のエネルギースキャベンジングデバイス(たとえば、太陽電池、振動ハーベスタなど)を含む。
【0038】
表示回路218は、状態インジケータ及び状態インジケータ用の駆動回路を含む。図示の例において、状態インジケータは簡単な発光ダイオード(LED)であるが、本開示の範囲から逸脱することなく、液晶ディスプレイ、LEDベースのディスプレイ、スピーカ、ブザーなどのような他の状態インジケータを表示回路218で用いることができる。
【0039】
スリープモード回路220は、低電力消費回路、起動回路、及び低電力消費加速度計を含む。スリープモード回路220は、ケースの非活動期間中に極めて低電力の消費モードを可能にすることによって充電間の長いバッテリ寿命を促進する。加速度計による活動の検出(たとえば、ケースの揺れなどに関連する衝撃及び/又は振動)、外部デバイス120から受信された起動信号などの環境刺激に応答して、起動回路は、検出モジュール104に配置されたブリスターカードの状態を判断し、その状態をユーザに出力することができる従来の電力消費モードで動作するように電子部品回路112を起動する。
【0040】
通信回路114は、状態信号122を外部デバイス120に送信するとともに、外部デバイス120から動作通信124を受信するための無線ブルートゥース(登録商標)低エネルギー(BLE)トランシーバを含む。いくつかの実施形態において、通信回路は、FireWire、USB、ライトニングコネクタ、ドックコネクタ、セルラー、WiFi、近距離通信(NFC)無線、光リンクなどの異なる有線及び/又は無線通信電子部品を含む。
【0041】
図示の例において、外部デバイス120は、処方された薬物レジメンに対する良好なアドヒアランスを達成及び維持するために患者及び/又は介護者に支援を提供するソフトウェアアプリケーション(すなわち、モバイルアプリ)を実行するスマートフォンである。いくつかの実施形態において、外部デバイス120は、異なるモバイルデバイス、コンピュータ及び/又は基地局のような異なるデバイスと通信する。
【0042】
ケース及びスマートフォンアプリは、ブリスターカードの状態を集合的に判断し、視覚的及び/又は可聴のアドヒアランスの表示を提供する。レジメンに従っていないことが検出されれば、スマートフォンは、ユーザが定義したサポートグループ(たとえば、介護者、配偶者、子供、医師など)内の1人又は複数人に連絡して、ユーザに支援が必要かもしれないことを知らせる。
【0043】
ソケット204は、電気インターフェース106の第1の部分である従来の電気ソケットである。ソケット204は、検出モジュール104上に配置されたプラグを受け入れるように構成されている。ソケットとプラグとが係合すると、電子部品回路112と検出モジュール上のセンサアレイ118との間の電気通信が可能になる。
【0044】
受容部206は、機械的インターフェース108の第1の部分を集合的に形成する一対の従来の雌型機械的コネクタである。受容部206は、検出モジュール104に含まれる一対の従来の雄型機械的コネクタと係合するように構成される。図示の例において、受容部及び雄型機械的コネクタは、電子モジュールと検出モジュールとの間で1つの向きのみを可能にして(すなわち、それらは「固定」されている(keyed))両モジュールが確実に適切に係合するように構成されている。
【0045】
キャッチ208は、ラッチ110の第1の部分を形成する機械的構造である。キャッチ208のそれぞれは、検出モジュール104の嵌合面から延びる嵌合スプリングボルトと係合するように構成される。キャッチ208は、2つのモジュールを可逆的に共にロックして、完全に組み立てられたスマート薬ケースを形成する。
【0046】
上述の電子モジュール102の構成及び能力は単なる例示であり、本開示の範囲から逸脱することなく、電子モジュールにより多い又はより少ない電子部品機能を有する無数の代替構成を用いることができることに留意すべきである。たとえば、いくつかの実施形態において、電子モジュール102は、
i.追加の処理能力、又は
ii.オンボードクロック回路、又は
iii.エネルギースキャベンジングシステム、又は
iv.代替又は追加のセンサインターフェース回路、又は
v.代替又は追加のオンケースアラート(たとえば、LCDディスプレイ、スピーカ、ブザーなど)、又は
vi.環境(たとえば、タッチ、温度、加速度、湿度、衝撃、ジオロケーションなど)センサ、又は
vii.i、ii、iii、iv、v、及びviの任意の組み合わせ
を含むが、これらに限定されない。
【0047】
当業者は、本明細書を読んだ後、ハウジング100の設計特徴がブリスターカード126の特定の配置、及びその状態を監視するために用いられる感知技術に基づいており、本明細書で提供されるように、単に例示的であることを認識するであろう。本開示の範囲から逸脱することなく、無数の代替の設計特徴が可能である。
【0048】
図3A図3Bは、例示的な実施形態に従う検出モジュールの上面及び底面からの斜視図の概略図を示す。検出モジュール104は、ハウジング302、受容部116、センサアレイ118、プラグ308、コネクタ310、及びスプリングボルト312を含む。
【0049】
ハウジング302は、本体316及び蓋318を含む従来の成形プラスチックハウジングである。
【0050】
本体316は、穴320の配列、留め金322、及び任意のビューポート324を含む実質的に剛性の圧板である。
【0051】
各穴320は、センサアレイ118の異なるセンサと位置を合わせている。穴320の配列は、ブリスターカード126内の錠剤の配列と一致し、穴は、錠剤が吐出されるときに本体316を通過することを可能にするように構成されている。
【0052】
ビューポート324は、視認用にブリスターカード126の一部を露出させるために本体316に形成された開口である。ビューポート324は、ハウジング302を通してブリスターカード上に印刷された情報を読めるようにするために任意選択で含まれる。
【0053】
蓋318は、キャッチ326を含む実質的に剛性の「クラムシェル」構造であり、キャッチ326は、蓋318を閉じて本体と蓋とを共に保持するときに留め金322と係合する。
【0054】
受容部116はフレーム304及びシート306を含み、これらはブリスターカードの各錠剤位置がセンサアレイ118の異なるセンサ及び穴320の異なる1つと動作可能に結合されるようにブリスターカード126を配置するように、集合的に構成される。
【0055】
フレーム304は、開口部328を含む実質的に剛性の板であり、開口部328のそれぞれは、フレームが所定の位置にロックされるとブリスターカードの異なる錠剤を露出させる。フレーム304は、従来のヒンジ330を介して本体316に接続され、これにより、フレームが、検出モジュール内にブリスターカードを取り付けることが可能になるよう外側へ離れて回転するとともに、フレーム及びブリスターカードを本体316に固定するキャッチ(図示せず)と係合するようにブリスターカード上へ逆回転することができる。
【0056】
シート306は、ブリスターカード126を受け入れ、それを横方向に配置してその錠剤をセンサアレイ118及び穴320と位置を合わせるように構成された本体316の凹領域である。いくつかの実施形態において、シート306は含まれない。いくつかの実施形態において、シート306はフレーム304の一部として形成される。
【0057】
センサアレイ118は、ブリスターカード126に含まれる錠剤の配置と一致する配置に配置されたセンサの配列である。センサアレイ118(図3A図3Bには見られない)は、ブリスターカードがハウジング302内に固定されているとき、そのセンサのそれぞれが異なる錠剤箇所に動作可能に結合されるように本体316とブリスターカード126との間にある。
【0058】
図4は、例示的な実施形態に従うセンサアレイの上面の概略図を示す。センサアレイ118は静電容量センサ402-1から402-28を含み、これらは錠剤128と同じ配置を有するように基板404に形成される。
【0059】
センサ402-1から402-28(集合的に、センサ402と呼ぶ)のそれぞれは電極406A及び406Bを含み、これらは基板404内に形成される。図示の例において、センサ402は、4×7のアレイに配置された静電容量センサである。センサアレイ118は容量性感知技術を使用してブリスターカード126の状態を監視しているが、本開示の範囲から逸脱することなく、多くの代替の感知技術を検出モジュール104に使用することができる。本開示に従う実施形態での使用に適した感知技術は、とりわけ、ひずみ感知、光学感知、音響感知、及び触覚感知を含むが、これらに限定されない。
【0060】
基板404は、貫通穴408が形成される従来のプリント回路基板(PCB)である。貫通穴408は、ブリスターカード126の錠剤のそれぞれがブリスターカードから吐出されるとき、検出モジュール104を通過することができるように、基板404を貫通して延びている。いくつかの実施形態において、基板404は、可撓性材料を含み、又はたとえば、ハウジング302の材料に構成要素を埋め込み、ケース100の異なる表面(たとえば、その蓋、背面など)に電子要素を印刷することなどによって、その表面自体に組み込まれる。
【0061】
電極406A及び406Bは、それらが集合的に貫通穴408を実質的に取り囲むように、基板404内に配置される。動作中、電極406A及び406Bは、それぞれの錠剤128の下に位置する蓋フィルム132の部分に近接して配置される。
【0062】
図5Aは、ブリスターカード126の錠剤領域と動作可能に結合された配置のセンサアレイ118のセンサの断面図の概略図を示す。図5Aに示す図は、図4の線b-bを通るものである。
【0063】
センサ402-iは電極406A及び406Bを含み、これらは、ブリスターカード126がセンサアレイ118と接触すると、各センサ402-iの電極間の静電容量が、リザーバ136-iの底部を形成する蓋フィルム132の領域である吐出領域138-iの状態によって顕著に影響を受けるように基板404の本体内に形成される。
【0064】
各センサ402-iにおいて、その吐出領域138-iの導電性材料(すなわち、蓋フィルム132)は、その電極406A及び406Bとともに漏れ磁場を形成する。これらの漏れ磁場は、容量性センサの静電容量に影響を与え、吐出領域が無傷のときに第1の値を与える。しかしながら、錠剤128-iが吐出されると、吐出領域138-iの破損により、蓋フィルム材料と電極406A及び406Bとの間の物理的構成が変化し、これにより漏れ磁場、したがってセンサ402-iの静電容量が影響を受ける。センサ402-iの静電容量は、吐出領域138-iの材料が完全に破壊して外れるか、又はその後、その一部が穴408内にぶら下がったままであるかどうかによって変化することに留意すべきである。また、そのような容量変化は、材料の多層(すなわち、金属、紙及び/又はプラスチックの組み合わせ)を含む蓋フィルム132に対して、個々の層が導電性であろうとなかろうと有効であり、その後者は(電気的にバイアスされていなくても)感知電極406Aと406Bとの間のギャップにおける有効誘電定数に影響を与えることに留意すべきである。
【0065】
各センサ402-iの静電容量を感知するために、蓋フィルム132は通常、電気的に接地される一方、各電極406A及び406Bは高インピーダンス感知回路に接続される。いくつかの実施形態において、蓋フィルム132は電気的に「浮遊」したままであるが、感知信号の安定性及びノイズ耐性を改善するため、蓋フィルムを接地することが好ましい。残念ながら、センサ402は、浮遊又は寄生容量、電磁干渉(EMI)などのような外部ノイズ及び干渉に敏感であることがある。
【0066】
いくつかの実施形態において、ノイズ及び干渉の影響を軽減するために、電極406A及び406Bは、2より多くの円周セクションにセグメント化される。このような電極構成を用いると、容量性感知が、電極セグメント間の静電容量における変化を監視することによって実行され、この変化は依然として、電極セグメントと穴を覆うアルミニウム箔との間の漏れ磁場によって影響を受ける。残念ながら、電極406A及び406Bをセグメント化するとある程度のノイズ耐性は得られるが、ノイズ及び干渉は依然として問題となり得る。
【0067】
図5Bは、本開示に従う代替の静電容量センサの断面図の概略図を示す。センサ502-iは、検出モジュール104での使用に適しており、基板404、電極504、506及び508を含む。センサ502-iは、センサ402と比較してノイズ耐性が顕著に向上している。
【0068】
電極504、506及び508のそれぞれは、基板404内に互いに平行に形成されたリング電極である。電極504及び506は、蓋フィルム132と電極508との間に配置されている。電極504及び506は集合的に、基板404内の第1の平行板コンデンサを定義する。追加の静電容量は、蓋フィルム132と電極504、506及び508とのペアワイズの組み合わせから利用可能である。
【0069】
たとえば、電極504及び506は、蓋フィルム132と電極508との間に挟まれた感知容量として動作することができ、蓋フィルム132と電極508とは、ブリスターカード126の上及び本体316の下から生じるノイズ及び干渉からこの感知容量を遮蔽する。
【0070】
電極506及び508から生じる感知容量の初期値は、これらの電極間の相互容量によって決定される。
【0071】
電極504及び506から生じる感知容量は、吐出領域138-iの物理的構成によって影響を受ける。
【0072】
錠剤を吐出すると、吐出領域138-iが破損する。錠剤が押し出されると、蓋フィルムのこの壊れた部分が穴408内に偏り、電極504及び506を含む感知容量に影響を及ぼす。
【0073】
電極504及び506から生じる感知容量は、基板404内のそれらの平行な重なりから生じる実質的に固定された静電容量によっても特徴付けられる。
【0074】
センサ502-iの動作はセンサ402-iの動作に類似しているが、センサ502-iの漏れ磁場の静電容量は、たとえば人間の接触からの静電容量による、浮遊静電容量から遮蔽されている。
【0075】
いくつかの実施形態において、各感知電極を囲む遮蔽線を基板404内のその平面内に追加することによって、感知電極504及び506に対して追加のシールディングが提供される。
【0076】
センサ402のそれぞれは、電気的トレース(明確にするため図示せず)及び電気インターフェース106を介して電子モジュール102内の感知回路に電気的に接続されている。結果として、各センサは個別に監視することができ、ブリスターカード126内の各錠剤128の吐出の特定を可能にしている。いくつかの実施形態において、センサ402は、行/列のアドレッシングスキームを用いて電気的に接続され問い合わせを受ける。
【0077】
OCPは、吐出事象中にどの錠剤が吐出されたかを特定することができることが重要な多くの用途の1つを表す。各錠剤のホルモン含有量は、ブリスターカードの使用サイクル中の日による。しかしながら、当業者は、本明細書を読んだ後、すべての薬物治療が吐出された錠剤の独自性を一意に識別する能力を必要とするわけではなく、結果として、錠剤の吐出を検出するために用いられる感知アプローチは大幅に簡素化することができることを認識するであろう。たとえば、いくつかの場合において、ブリスターカードの錠剤はすべて実質的に同一である。したがって、本開示に従ういくつかの実施形態において、センサ402のすべてが並列又は直列に電気的に接続され、錠剤128が吐出されたことの特定は可能にならない。いくつかのこのような実施形態において、ブリスターカードと動作可能に結合された加速度計、各吐出事象が孤立したコンデンサの静電容量における変化によって示されるようにすべての錠剤箇所にまたがる単一の容量性センサのような単一のセンサを用いて吐出事象を検出する。
【0078】
あるいは、いくつかの実施形態において、行/列の感知が行又は列の感知に簡略化され、たとえば、容量性センサの一方の電極は錠剤位置の行又は列全体に共通でありながら、他方の電極は場所固有の個々の電極に分割される。
【0079】
このような実施形態において、ブリスターカードの消耗(補充が予定されていることを示す)は、単純に吐出事象を追跡し、その数を提供されたようなブリスターカード上の錠剤の総数と比較する、又は吐出事象に伴うセンサ出力信号の変化の総量を監視し、その結果を、たとえば以前の較正動作によって決定された基準の大きさの変化と比較するなど、多くの方法で検出することができる。
【0080】
多くの容量性感知の実施形態において、寄生効果を除去しないにしても、低減するために、電気的シールディングの実装を提供することがしばしば望ましい。この延長で、ピルカードが受け入れられる領域の下のケースの底面に導電性シールド(基板404から電気的に絶縁されている)を組み込むことによって、寄生容量(たとえば、ユーザがこれらのケースに触れることから生じる容量)をさらに遮蔽することが時には有利なことがある。このようなシールディングは、ケースの背面及び/又は基板404が配置される下面の内面に導電性塗料を用いるなど、多くの方法で達成することができる。他の適切なアプローチでは、これらの場所に薄い金属フィルム(たとえば、アルミニウム箔)を使用する。動作中であれば、このようなシールドは通常、ケース100に含まれる回路の電気的グランドに接続されることになる。
【0081】
本開示に従う実施形態において、各錠剤位置用に専用のセンサを用いる以外の感知アプローチを用いることができることに留意すべきである。
【0082】
たとえば、電気インピーダンストモグラフィ(EIT)の使用に基づくブリスターパック監視のためのいくつかのアプローチが、2015年10月9日に出願された米国特許出願第14/879874号(代理人整理番号:3005-002US1)に記載されており、この特許出願を、参照により本明細書に組み込む。このようなアプローチは、吐出領域138の破裂及びブリスターカード126内のその位置を感知する際の使用に適している。EITを用いて、吐出領域138の抵抗(又はインピーダンス)は、ブリスターカードの周辺に位置する電気的接点を介してそのインピーダンス分布を監視することによって検出することができる。
【0083】
図5Cは、EITを介してブリスターカードの状態を監視するように構成された検出モジュールの一領域の断面の概略図を示す。
【0084】
接触電極510は、基板404の上部PCB金属層を用いて実現することができる。ブリスターカードの蓋フィルムへの接触をさらに促進するために、電極はそれらの上面に配置されたはんだを含むことができる。あるいは、電極は、PCB上に組み立てられた外部コンポーネントを組み込んで接触を容易にすることができる。
【0085】
図5Dは、接触電極510での使用に適した電極形状及び配置の例を示す。電極配置512及び516により、電極間の単純な抵抗又はインピーダンス計測が可能になり、電極間の蓋フィルム132内の破損を感知することが可能になる。電極配置514及び518により、吐出領域138にわたる4点プローブ計測が可能になる。図5Dに示す形状及び配置は本開示に従うほんの数例を表すに過ぎないことに留意すべきである。接触電極の形状、サイズ、数及び配置は、所望の感知感度及び信頼性、ならびに感知消費電力を考慮して最適化することができる。
【0086】
いくつかの実施形態において、代替の感知技術が採用され、1つ又は複数の電気スイッチが各穴の周囲又はその近くに配置される。ピルが穴を通って押し出されると、スイッチはピルが吐出されたことを示す信号を提供する。いくつかの実施形態において、スイッチは永続的にラッチして、どのピルが吐出されたかの永続的な表示を提供する。
【0087】
ここで図3A図3Bに戻ると、プラグ308は、ソケット204と嵌合して電子モジュール102と検出モジュール104とを電気的に結合する雄型電気的コネクタである。プラグ308及びソケット204は集合的に電気インターフェース106を定義する。図示の例において、プラグ308は検出モジュール104に含まれ、ソケット204は電子モジュール102に含まれているが、いくつかの実施形態において、これらの構成要素の位置は逆になっている。換言すれば、いくつかの実施形態において、プラグ308は電子モジュール102に含まれ、ソケット204は検出モジュール104に含まれる。さらに、本開示に従ってその範囲から逸脱することなく、ソケット204及びプラグ308のための無数の設計を用いることができる。
【0088】
コネクタ310は、受容部206と結合して電子モジュール102と検出モジュール104との位置を合わせる雄型機械的コネクタである。通常、コネクタ310及び受容部206は、電子モジュール及び検出モジュールの1つの向きのみを可能にし、それらの適切な位置合わせを保証する。コネクタ310及び受容部206は機械的インターフェース108を集合的に定義する。図示の例において、コネクタ310は検出モジュール104に含まれ、受容部206は電子モジュール102に含まれているが、いくつかの実施形態において、これらの構成要素の位置は逆になっている。換言すれば、いくつかの実施形態において、コネクタ310は電子モジュール102に含まれ、受容部206は検出モジュール104に含まれる。さらに、本開示に従ってその範囲から逸脱することなく、コネクタ310及び受容部206のための無数の設計を用いることができる。
【0089】
スプリングボルト312のそれぞれは、キャッチ208と可逆的に係合して電子モジュール102と検出モジュール104とを共にロックするように構成された弾性要素である。スプリングボルト312及びキャッチ208はラッチ110を集合的に定義する。図示の例において、モジュールを取り外すため、スプリングボルト312を押下してそれらをキャッチ208から外し、これによって電子モジュール102と検出モジュール104との分離が可能になる。図示の例において、スプリングボルト312は検出モジュール104に含まれ、キャッチ208は電子モジュール102に含まれているが、いくつかの実施形態において、これらの構成要素の位置は逆になっている。換言すれば、いくつかの実施形態において、スプリングボルト312は電子モジュール102に含まれ、キャッチ208は検出モジュール104に含まれる。さらに、本開示に従ってその範囲から逸脱することなく、キャッチ208及びスプリングボルト312のための無数の設計を用いることができる。
【0090】
上述のように、電気インターフェース106、機械的インターフェース108、及びラッチ110は、電子モジュール102を複数の検出モジュール設計のいずれとも可逆的な方法で動作可能に結合させることを可能にするユニバーサルインターフェース(すなわち、ユニバーサルインターフェース134)を集合的に定義する。
【0091】
図6Aは、例示的な実施形態に従う、非係合状態の電子モジュール102及び検出モジュール104を示す画像を示す。
【0092】
図6Bは、本開示に従うモジュール式薬ケースの代替構成を示す画像を示す。ケース600は電子モジュール102及び検出モジュール602を含み、これらは非係合であるが位置合わせされた構成で示されている。図示の例において、検出モジュール602は、円形フォーマットを有する28日間のOCPブリスターカードの状態を監視するために構成された検出モジュールである。
【0093】
図7は、検出モジュールが電子モジュールと係合しているときに検出モジュールを識別するのに適した方法の動作を示す。
【0094】
方法700は動作701で始まり、ここで電子モジュール102は、検出モジュール104内に配置されたブリスターカードについての第1の特性を検出する。図示の例において、第1の特性はブリスターカードに含まれる錠剤の数であり、これは検出モジュール104に存在するセンサ402の数を検出することによって特定される。センサはピルが吐出される穴と同じ場所にあるため、意図されたブリスター/ピルの数は検出モジュール内のセンサの数に対応しているはずである。いくつかの実施形態において、第1の特性は、ブリスターカード126内の錠剤128の配置である。
【0095】
動作702で、ユーザは、検出モジュール104に含まれると予想されるブリスターカードのタイプを入力する。通常、これは、外部デバイス120を通じて、ケース100に含まれる入力デバイスを介して、又はこれらの何らかの組み合わせを介して行われる。
【0096】
動作703で、電子モジュール102は、外部デバイス120から検出モジュール内にあると予想されるブリスターカードの物理的特性を受け取る。
【0097】
動作704で、電子モジュール102は、ブリスターカード126について特定された第1の特性を外部デバイス120に送信する。
【0098】
動作705で、ブリスターカード126について特定された第1の特性は、予想されるブリスターカードについての第1の特性と比較され、適切なブリスターカードが検出モジュール104に配置されているかどうかを検証する。いくつかの実施形態において、この検証は外部デバイス上のアプリケーションによって実行される。いくつかの実施形態において、検証は電子モジュール102によって実行される。いくつかの実施形態において、検証は、外部デバイス及び電子モジュールによって協力して実行される。
【0099】
検出モジュールが正しいブリスターカードを含むことが検証により確認されれば、方法700は動作706Aに進み、ここでブリスターカード126は監視される。
【0100】
一方、誤ったブリスターカードが検出モジュール104にあると判断されれば、方法700は動作706Bに進み、ここで電子モジュール102及び/又は外部デバイス120によって不一致を示すアラートが生成される。いくつかの実施形態において、アラートはユーザに提供される。いくつかの実施形態において、アラートは、ユーザ及び/又はユーザの介護サークルのメンバーに提供される。
【0101】
いくつかの実施形態において、検出モジュール104は、電子モジュール102が意図されているブリスターカードの実際のブランドを識別することを可能にするインジケータを組み込む。1つの例示的なアプローチにおいて、インジケータは、抵抗器及びコンデンサのようなPCB金属層から実現される受動的な電気的コンポーネントを含む。いくつかの実施形態において、識別は、
i.そのようなインジケータの値、又は
ii.そのようなインジケータが配置される1つ又は複数の金属層、又は
iii.そのようなインジケータがどのように相互接続されるかという回路特性、又は
iv.i、ii、及びiiiの任意の組み合わせ
の1つ又は複数をチェックすることによって達成される。
【0102】
このようなインジケータは、たとえば、第三者によって作製された偽造検出モジュールの識別を容易にする。いくつかの実施形態において、電子モジュールは、埋め込まれたインジケータを認証することができないとき、検出モジュールの認識を拒否する。いくつかの実施形態において、電子モジュール102は、付随するモバイルアプリケーションによって認証されるべき1つ又は複数のインジケータを組み込む。これらのインジケータは、電子モジュールのハードウェア、ファームウェア、又は両方の組み合わせから実現することができる。いくつかの実施形態において、電子モジュール102は、外部デバイス120によって実行されている付随するモバイルアプリケーションを、このアプリケーションに組み込まれたソフトウェアインジケータを介して認証する。
【0103】
いくつかの実施形態において、検出モジュール104は、識別データ、意図されたブランド情報(たとえば、ブリスターカードの物理的特性データなど)を格納するメモリ電子部品、センサ402からのより良い信号品質を促進するプリアンプ、検出モジュール上の信号をそれらが電子モジュールに渡される前にデジタル化することによってセンサからのデータを改善するアナログからデジタルへの変換器などの組み込みを介して追加の電子機能を含む。このような追加により、検出モジュールに増加コストが追加されるが、電子モジュールの構成要素と比較すると、追加コストは依然として低い。
【0104】
多くの状況において、患者は、厳格なレジメンに従って服用しなければならない2つ以上の医薬品を必要とする。本開示に従って、複数のスマートピルケースを単一のユニットに組み合わせることができる。
【0105】
図8A図8Bはそれぞれ、本開示に従う、ケースのうちの1つを開く前及び開いた後の複数処方スマート薬ケースの斜視図の概略図を示す。ケース800は、ケース100-1、100-2、及び100-3と、ヒンジ802-1、802-2、及び802-3と、を含む。
【0106】
ケース100-1、100-2、及び100-3のそれぞれは、上述のケース100と実質的に同一である。
【0107】
ヒンジ802-1、802-2、及び802-3のそれぞれは、ケース800が任意の実用的な数のケース100を収容できるように拡張可能な従来の回転ヒンジである。個々のケースを開くには、そのケースは他のケースと整列した状態から回転させられ、その蓋を開ける十分な空間を確保する。いくつかの実施形態において、回転させたケースの最終位置を確立するために戻り止めがヒンジ設計に含まれる。いくつかの実施形態において、ヒンジはバネ式であり、自己動力スイング動作を提供する。
【0108】
図示の例において、ヒンジ802-1、802-2、及び802-3は電子モジュールの角に配置されているので、それは任意の個々のケースの開閉を妨げない。
【0109】
当業者は、本明細書を読んだ後、複数のケースの組み込みを可能にする一方で、個々のケースへのアクセスを可能にする無数の設計が本開示の範囲内にあることを認識するであろう。
【0110】
図9は、本開示に従う複数処方スマート薬ケースの代替例の斜視図の概略図を示す。ケース900は、ケースが「ラップトップスタイル」で動作することを可能にするヒンジ(図示せず)を含む。図示の例において、ヒンジは電子モジュールの側面に配置され、個々のケースを開けるときの干渉を避けている。ヒンジの回転位置を維持するために通常、摩擦が用いられる。
【0111】
いくつかの実施形態において、単一の電子モジュールを用いて複数の検出モジュールとインターフェースする。このような実施形態は、すべての検出モジュール用に電子モジュールを含むマルチケースの実施形態よりもコスト面で有利である。
【0112】
図10A図10Bはそれぞれ、本開示に従う複数処方スマート薬ケースの他の代替例の上部及び底部の斜視図の概略図を示す。ケース1000は、電子モジュール1002と、検出モジュール1004-1から1004-3と、回転コネクタ1006-1及び1006-2と、固定コネクタ1008と、を含む。
【0113】
電子モジュール1002は電子モジュール102に類似しているが、電子モジュール1002は、回転コネクタ1006-1及び1006-2と、固定コネクタ1008と、を含み、これにより電子モジュール1002が3つまでの検出モジュールと電気的に結合することが可能になる。
【0114】
検出モジュール1004-1から1004-3は検出モジュール104に類似しているが、検出モジュール1004-1から1004-3はそれぞれ、コネクタ1006-1、1008、及び1006-2と嵌合するように設計され、これにより3つの検出モジュールと電気的に結合することが可能になる。
【0115】
回転コネクタ1006-1及び1006-2は、検出モジュール1004-1及び1004-3のそれぞれについての機械的インターフェースと電気インターフェースとの両方として機能するように構成される。各回転コネクタは、それぞれの検出モジュールが検出モジュール1004-2から離れるように回転することを可能にするように設計され、これによって検出モジュールのいずれに含まれるブリスターパックへのアクセスも可能になる。
【0116】
同様の方法で、固定コネクタ1008は、検出モジュール1004-2についての機械的インターフェースと電気インターフェースとの両方として機能するように構成され、検出モジュール1004-2はその静止位置から回転する必要がない。
【0117】
図示の例において、回転コネクタ1006-1及び1006-2は、柔軟な電気リボンケーブルを介して電子モジュール1002に接続され、電気リボンケーブルは必要に応じてコネクタの節を提供している。
【0118】
図10Cは、回転コネクタ1006と、電子モジュール1002に含まれるPCB1012との間のフレックス回路接続の簡略図を示す。
【0119】
フレックスケーブル1010-1及び1010-2が、その遠位端で回転コネクタ1006-1及び1006-2に接続される一方、その近位端はPCB1012に接続されている。PCB1012からのケーブルの数は、ケース1000に収容することができる検出モジュールの最大数によることに留意すべきである。フレックスケーブル1010-1及び1010-2の長さは、それぞれの検出モジュールの必要な節の範囲に従って選択される。
【0120】
図10Dは、検出モジュール1004-1が回転位置にあり、ブリスターカードへのアクセスを可能にするために開かれたケース1000を示す。検出モジュール1004-1を離れるように回転させると、検出モジュール1004-2へのアクセスが可能になる。図示の例において、検出モジュール1004-3は、検出器モジュール1004-1とは反対方向に回転してその中身へのアクセスを可能にする。
【0121】
図11A図11Bはそれぞれ、本開示に従う、静止状態と、1つの検出モジュールが外側に回転した状態との、複数処方スマート薬ケースの他の代替例の斜視図の概略図を示す。ケース1100は、電子モジュール1102、検出モジュール1004-1から1004-3、及びスライドコネクタ1102-1から1102-3を含む。
【0122】
電子モジュール1102は電子モジュール102に類似しているが、電子モジュール1102は並進トラック1104を含み、これにより、検出モジュール1004-1から1004-3のそれぞれがその下の検出モジュールから外れてスライドすることが可能になる。
【0123】
スライドコネクタ1102-1から1102-3は回転コネクタ1006に類似しているが、スライドコネクタ1102-1から1102-3のそれぞれは、並進トラック1104と係合するためのピンを含む。
【0124】
並進トラック1104は、スライドコネクタ1102-1から1102-3のそれぞれと係合する導電性トラックである。
【0125】
並進トラック1104及びスライドコネクタ1102-1から1102-3は、各スライドコネクタが並進トラックに沿って移動して、下にある検出モジュールへのアクセスを可能にするように構成される。この例において、検出モジュールにアクセスすることは、本のページをめくることに似ている。電子モジュールは、たとえば、モジュールの下部及び/又は並進トラックの両側の未使用スペースにその内部コンポーネントを配置することによって、それらが並進トラックに干渉しないように設計されている。
【0126】
図12は、本開示に従う他の代替のモジュール式ピルケースを示す。ケース1200はケース1100に類似しているが、ケース1200において、電子モジュールは拡張可能である。
【0127】
具体的には、電子モジュール1202は、ベース電子モジュール1204、中間延長モジュール1206、及び端部延長モジュール1208を含む。
【0128】
ベース電子モジュール1204は、任意の実用的な数の中間延長モジュール1206及び端部延長モジュール1208のためのベースを形成する。
【0129】
各延長モジュール1206は、その対応する検出モジュールと電子モジュールとの間の電気接続を提供する電気ルーティング及びコネクタ、ならびにその上に配置された延長モジュールが電子モジュールと電気的に接続することを可能にするパススルー電気接続を含む。
【0130】
端部延長モジュール1208は中間延長モジュール1206に類似しているが、延長モジュールスタックを終結するように設計されているため、その底面のみに電気コネクタを有する。加えて、端部延長モジュール1208は、両側にu型並進移動トラックを含み、この複合並進移動トラックを終結し、検出モジュールが拡張モジュールスタックの上部で反転することを可能にしている。
【0131】
いくつかの実施形態において、延長モジュールと電子モジュールとを電気的に接続するために電気バスが用いられ、これによってモジュールごとのケーブル配線の量とコネクタの数が削減される。このような実施形態において、各延長モジュールは、識別及び多重化動作に必要な電子部品を含む。
【0132】
多くのユーザ、特に関節炎及び/又は筋力低下に苦しむ人たちにとって、ブリスターカードの蓋フィルムを通して錠剤を押すのは難しいことがある。加えて、子供に安全なパッケージングなど、安全性の考慮により、ブリスターカードから錠剤を押し出すことが難しくなっていることがある。
【0133】
図13は、本開示に従うモジュール式ピルケースの他の代替実施形態を示す。ケース1300は、スタイラス1302及びスタイラスシート1304を含む。
【0134】
ケース1300はケース100と類似しているが、ケース1300において、検出モジュールは、スタイラス1302を固定するためのスタイラスシート1304を含む。
【0135】
スタイラス1302は、ブリスターパックの蓋フィルムを通して錠剤を押すのに十分な圧力を錠剤に加えることができるように、十分に硬い単純な機械的ツールである。スタイラス1302の先端の形状は、錠剤を吐出する動作中に先端がブリスターにとどまることができるように構成されている。通常、先端形状は、錠剤とそのブリスターのサイズ及び形状に基づいている。たとえば、いくつかの用途において、スタイラスの先端は、錠剤の形状に一致する輪郭で凹状に丸くなっている。
【0136】
いくつかの実施形態において、スタイラス1302は感知能力の追加によって増強される。本開示に従うスマートスタイラスのアプローチの例は、ピルが蓋フィルムを通して押されるときを感知するためのセンサの包含を含むが、これに限定されない。本開示に従うスマートスタイラスは、
i.スタイラスの先端に対して加えられた力を検出する力センサ、又は
ii.スタイラスの先端に加えられた力に応じて閉じる(又は開く)ように配置された電気スイッチ(たとえば、オーミック、容量性など)、又は
iii.スタイラスの先端がピルブリスター上にあるときには減少するであろう、先端に入射する光強度を計測するフォトダイオード(又はカメラ)、又は
iv.ブリスターカードの下にあるPCB上にパターニングされた平面コイル内に電流を誘導するようにスタイラスの先端に配置され、コイルは、ピルのPCBのプッシュ貫通穴の周囲に配置される永久磁石、又は
v.スタイラスの先端のピルブリスター上への着地を示す突然の減速衝撃を検出する、先端又は先端付近のモーションセンサ(3軸加速度計)、又は
vi.i、ii、iii、iv、及びvの任意の組み合わせ
を含むが、これらに限定されない。
【0137】
スタイラス1302上に配置されたセンサの出力は、時間の関数として計測され、加えられた力の時間的プロファイルを取得することもできることに留意すべきである。このプロファイルを次いで、ピルが押し出される(されている)ことを示す参照プロファイルと比較することができる。加えて、プロファイルを利用して追加のユーザ及びピルの吐出の洞察を得ることができる。スマートスタイラスにおいてセンシングを精緻化することにより、より多くのより豊富なデータの収集が可能になる。
【0138】
たとえば、スタイラス1302内のモーションセンサを追跡することによって、ユーザは、スタイラスをピルブリスター上に着地させる前に基準位置をタップするように指示され得る。この基準位置は、たとえば、下にブリスターカードが置かれている受容部上のマークのポイントのことがある。基準位置に対するカード上のスタイラスの着地位置は次いで、加速度計の出力を時間について2回積分することによって推定することができる。このデータを用いて、ピルが吐出されるブリスターカード上の場所を特定することができる。積分時間は非常に短いため、消費者グレードの加速度計で必要な精度に対して通常は十分である。
【0139】
他の一例として、先端にカメラチップを含むスマートスタイラスが、スタイラスの先端に入射する光強度の計測値を提供することができる。加えて、カメラチップを用いて錠剤及びその直近の周辺領域の画像を提供し、これによってブリスターカード上の錠剤及びその位置を特定することを容易にする追加データを提供することができる。たとえば、OCPカードのケース内に印刷されたピル番号のような、カード自体のマーキングを観察することによって、ピルの場所を特定することができる。
【0140】
いくつかの実施形態において、スタイラスはバッテリで電力供給される。いくつかの実施形態において、それは無線で電力供給される。いくつかの実施形態において、それは起動回路のような省電力機能を組み込む。いくつかの実施形態において、それはロジック、メモリ、及び無線通信の規定を組み込む。いくつかの実施形態において、それはユーザ認証のための指紋検知を組み込む。
【0141】
本明細書に記載の概念は、服薬アドヒアランス機器に統合することができる。そのような機器は、たとえば、アルバムの曲を含む8トラックのテープがプレーヤに挿入されると、トラック上の音楽がリスナーにアクセス可能になる8トラックの音楽プレーヤに類似している。この例において、本開示に従う検出モジュールはテープに類似し、カード上のブリスターはトラックに類似し、ピルは音楽に類似し、電子モジュールはプレーヤに類似している。
【0142】
8トラックプレーヤと同様に、いくつかの実施形態において、検出モジュールの挿入及び排出は、機器に組み込まれた電子的に制御される機構と関連している。いくつかの実施形態において、ピルを排出するために用いられるスタイラスは、ピルを押し通すために、意図されたブリスター箇所に行くようにプログラムされた電子制御機構(検出可能な場所マーカーを用いる開ループ又は閉ループのいずれか)と関連している。検出モジュールは、機器に挿入されるため、蓋を有さないことがあり、自律スタイラスによるアクセスがさらに簡素化される。
【0143】
このような機器は、テープ及びコンパクトディスクプレーヤがそれぞれ複数のテープ及びコンパクトディスクを扱うように開発されたのとほぼ同じ方法で、複数の検出モジュールを許可するように拡張することができる。同様の方法で、このような機器は、より大きな機器(たとえば、車、コンピュータ、テレビなど)、家具及びビルトイン(たとえば、ナイトスタンド、キッチンキャビネットなど)に組み合わされるか、又はスタンドアロンユニットとしてカウンタートップ上に置かれることがある。
【0144】
本開示に従う服薬アドヒアランス機器は、追加の機能及び利点のための広範な追加の電子的及び自動化機能を含むことができる。たとえば、電子部品の機能は、視覚化用の1つ又は複数のディスプレイ、イメージング用のカメラ、録音用のマイク、音声用のスピーカ、ユーザ認証用の指紋センサ、及びラジオ、温度センサ、湿度センサなどを含む。このような機能は、単一のスマートピルケース又は複数ユニットのピルケースにも適用可能であろう。
【0145】
多くの状況において、医薬品は薬瓶で患者に提供される。これらの場合において、本開示に従うスマート薬ケースを使用するために、瓶の内容物を適切なブリスターカード同等物へ移動することが必要となるであろう。ブリスターカードパッケージング用の追加の工具及び消耗品なしで、このような移動を実現することができれば、有利であろう。
【0146】
図14は、本開示に従う例示的な擬似ブリスターカードの分解斜視図を示す。カード1400は、蓋フィルムトレイ1402及び成形フィルムキャップ1404を含む。
【0147】
蓋フィルムトレイ1402は複数のブリスター箇所1406を含み、これらは、実質的に剛性のフレーム1408の開口領域内に位置する蓋フィルム1414の領域を含む。通常、フレーム1408は硬質プラスチックからなり、蓋フィルム1414はアルミニウムのような金属の薄いシートであるが、他の材料を用いることもできる。内容物が吐出されると各ブリスター箇所で破られるので、蓋フィルムトレイ1402は通常使い捨てであり、擬似ブリスターカードが使い果たされると新たな蓋フィルムトレイが必要になるであろう。いくつかの実施形態において、蓋フィルム1414を単に交換することによって、蓋フィルムトレイを再利用することができる。
【0148】
成形フィルムキャップ1404は成形フィルム膜1410を含み、これは実質的に剛性のフレーム1412から掛けられている。
【0149】
カード1400を満たすために、ユーザは意図された錠剤を各ブリスター箇所1406に入れる。意図されたブリスター箇所のすべてが適切な錠剤で満たされると、ユーザは成形フィルムキャップ1404を蓋フィルムトレイ上に置く。通常、フレーム1412は、フレーム1408の周囲に合うように設計されている。市販のブリスターカードに関して上述したように、満たされた擬似ブリスターカードを互換性のある検出モジュール又はスマート錠剤ケースで次いで用いることができる。
【0150】
カード1400は、ブリスター箇所の任意の実用的な望ましい数、形状、及びサイズに合うように構成されている。図示の例において、カード1400は9つの直線で囲まれたブリスター箇所1406を含み、それぞれが単一の錠剤を保持することが意図されているが、任意の実用的な形状及び/又は数のブリスター箇所を用いることができる。適切なブリスター箇所の形状の例は、円形、楕円形、六角形などを含むが、これらに限定されない。ブリスター箇所の数及びそれらの配置は通常、医薬品補充サイクル、介護者による補充の頻度などを含む様々な考慮事項に基づいて決定される。たとえば、OCPブリスターカードは、とりわけ、1×7配列のブリスター箇所形式を有する週刊処方、4×7配列形式を有する28日OCPカードにおいて利用可能である。
【0151】
さらに、いくつかの実施形態において、1つの医薬品のより高い用量が要求され、及び/又は異なる医薬品の組み合わせ用量を容易にするときなど、少なくとも1つのブリスター箇所1406は複数の錠剤を含む。いくつかの実施形態において、単一の擬似ブリスターカード上のブリスター箇所1406は、異なる錠剤サイズ及び形状の混合物を含むことを可能にするように不均一である。
【0152】
好ましくは、各ブリスター箇所の底部として機能する蓋フィルム1414の部分は、錠剤がそれぞれの場所の中心に向かってスライドするように、製造中に輪郭が形成される。たとえば、いくつかの実施形態において、蓋フィルムは、その場所の周囲の周りに凸(すなわち、隆起)面、及びその場所の中心近くの凹(沈下)面を備えている。いくつかの実施形態において、ブリスター箇所の1つ又は複数は輪郭が形成されていない。
【0153】
いくつかの実施形態において、蓋フィルムトレイ1402は、「裏返し」構成で用いられ、ここで蓋フィルムに輪郭が形成され、その場所の周囲からちょうど凹面を有する。
【0154】
いくつかの実施形態において、成形フィルムキャップ1404は、膜1410用に弾性材料を使用することによって再利用可能になされる。結果として、ブリスター箇所の内容物が吐出された後、膜はその元の形状に戻ることができる。再利用可能な膜1410での使用に適した材料は、ゴム状ポリマー、エラストマーなどを含むが、これらに限定されない。
【0155】
いくつかの実施形態において、マーキング(たとえば、テキスト、標識、色など)が成形フィルムキャップ1404上に印刷されて、ユーザのアドヒアランスを支援し、及び/又は医薬品情報を示す。このようなマーキングの例は、日数、医薬品名、投与情報などを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、このような情報は、成形フィルムキャップに接着することができるステッカーの形で提供される。
【0156】
図15は、検出モジュール104での使用に適した代替の検出システムの一部の断面図を示す。検出モジュール1500は平面コイル1502を含み、これらはブリスターカード126の錠剤の配置と一致する配置で基板(図示せず)上に配置されている。
【0157】
平面コイル1502は、基板上に配置された導電性材料のコイルである。通常、基板は蓋318の下側に配置される。蓋318が閉じられると、各コイル対は、リザーバ136の異なる1つに近接するように移動する。空のリザーバの透磁率は、錠剤128を含むリザーバの透磁率とは異なるため、コイルを結合する磁束密度における違いは、それぞれの場合において容易に検出することができる。検出された差はリザーバの内容状態を示している。一方のコイルに電流を流し、他方において誘導電流を計測することにより、コイル対の相互インダクタンスの計測が可能になる。
【0158】
本開示は単なる例示的な実施形態を教示するものであり、本開示を読んだ後、当業者は多くの変形を容易に考案することができ、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲によって決定されるべきであることを理解すべきである。
【符号の説明】
【0159】
100 ケース
102 電子モジュール
104 検出モジュール
106 電気インターフェース
108 機械的インターフェース
110 ラッチ
112 電子回路
114 通信回路
116 受容部
118 センサアレイ
120 外部デバイス
122 状態信号
124 動作通信
126 ブリスターカード
128 錠剤
130 成形フィルム
132 蓋フィルム
134 ユニバーサルインターフェース
136 リザーバ
138 吐出領域
202 ハウジング
204 ソケット
206 受容部
208 キャッチ
210 コントローラ
212 メモリ
214 センサ回路
216 電力回路
218 表示回路
220 スリープモード回路
302 ハウジング
304 フレーム
306 シート
308 プラグ
310 コネクタ
312 スプリングボルト
316 本体
318 蓋
320 穴
322 留め金
324 ビューポート
328 開口部
330 ヒンジ
402 センサ
404 基板
406A 電極
406B 電極
408 貫通穴
502-i センサ
504 電極
506 電極
508 電極
510 接触電極
512 電極配置
514 電極配置
516 電極配置
518 電極配置
600 ケース
602 検出モジュール
800 ケース
100-1 ケース
100-2 ケース
100-3 ケース
802-1 ヒンジ
802-2 ヒンジ
802-3 ヒンジ
1000 ケース
1002 電子モジュール
1004-1~1004-3 検出モジュール
1006-1 回転コネクタ
1006-2 回転コネクタ
1008 固定コネクタ
1010-1 フレックスケーブル
1010-2 フレックスケーブル
1012 PCB
1100 ケース
1102 電子モジュール
1102-1~1102-3 スライドコネクタ
1104 並進トラック
1200 ケース
1202 電子モジュール
1204 ベース電子モジュール
1206 中間延長モジュール
1208 端部延長モジュール
1300 ケース
1302 スタイラス
1304 スタイラスシート
1400 カード
1402 蓋フィルムトレイ
1404 成形フィルムキャップ
1406 ブリスター箇所
1408 フレーム
1410 成形フィルム膜
1412 フレーム
1414 蓋フィルム
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15