IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イルミナ インコーポレイテッドの特許一覧

特許7062681核酸ライブラリを調製するための方法および組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-22
(45)【発行日】2022-05-06
(54)【発明の名称】核酸ライブラリを調製するための方法および組成物
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20220425BHJP
   C12Q 1/68 20180101ALI20220425BHJP
   C40B 40/06 20060101ALI20220425BHJP
【FI】
C12N15/09 Z
C12Q1/68 ZNA
C40B40/06
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019551461
(86)(22)【出願日】2018-03-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-02
(86)【国際出願番号】 US2018022978
(87)【国際公開番号】W WO2018175258
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】62/473,595
(32)【優先日】2017-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500358711
【氏名又は名称】イルミナ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】チェン, シー-ジュン
(72)【発明者】
【氏名】クラナ, タルン
【審査官】宮岡 真衣
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-521252(JP,A)
【文献】国際公開第2013/022504(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0031865(US,A1)
【文献】VIVANCOS A. P. et al.,Genome Research,2010年,Vol.20,p.989-999
【文献】GANSAUGE M. et al.,Nature Protocols,2013年,Vol.8 No.4,p.737-748
【文献】NEIMAN M. et al.,PLOS ONE,2012年,Vol.7 Issue 11,e48616
【文献】SCHWARTZ J. et al.,Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.,2012年,Vol.109 No.46,p.18749-18754
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/09ー15/90
C12Q 1/68ー1/6897
C40B 40/06
C12M 1/00ー3/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸ライブラリーを調製する方法であって、
(a)複数の核酸を得ることであって、ここで、前記複数の核酸は一本鎖核酸であること;
(b)前記一本鎖核酸の5’末端を脱リン酸化すること;
(c)リガーゼの存在下で、第1アダプターを前記一本鎖核酸の3’末端にライゲーションすることであって、ここで、前記第1アダプターの3’末端は保護基を含むこと;
(d)非ライゲーション一本鎖第1アダプターをキャプチャープローブとハイブリダイズさせることであって前記キャプチャープローブの3’末端および前記キャプチャープローブの5’末端のそれぞれが保護基を含み、前記キャプチャープローブが、溶液中の遊離キャプチャープローブである、ハイブリダイズさせること;
(e)前記ライゲーション一本鎖核酸の5’末端をリン酸化すること;および
(f)前記リガーゼの存在下で、第2アダプターを前記リン酸化ライゲーション一本鎖核酸の5’末端にライゲーションし、それにより、核酸のライブラリーを得ること
を含む、方法。
【請求項2】
前記第2アダプターの5’末端がリン酸化されていない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2アダプターが基体に付着されている、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記基体がビーズまたはフローセルを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記キャプチャープローブが、前記第1アダプターの少なくとも一部に相補的な配列を含、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ライゲーション一本鎖核酸の5’末端をリン酸化することが、前記ライゲーション一本鎖核酸をキナーゼと接触させることを含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程(b)~(f)を単一反応体積で実施する、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程(b)~(f)を単一反応容器で実施する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1アダプターおよび/または第2アダプターがシーケンシングプライマー結合部位を含み、必要に応じて、前記シーケンシングプライマー結合部位がP7配列、P5配列またはその相補体もしくは逆相補体、あるいはアダプターインデックスを含み、必要に応じて、前記第1アダプターインデックスが前記第2アダプターインデックスと異なり、必要に応じて、前記アダプターインデックスが、前記複数の核酸の供給源を示す、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記保護基が3’スペーサーC3またはジデオキシヌクレオチドを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記リガーゼが、一本鎖核酸を互いにライゲーションすることができる一本鎖核酸リガーゼを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
体積排除剤の存在下で、前記第1アダプターのライゲーションおよび/または前記第2アダプターのライゲーションを実施し、前記体積排除剤が、ポリエチレングリコール(PEG)、デキストラン、ヘタスターチ、フィコールおよびポリビニルピロリドンからなる群より選択され、必要に応じて、少なくとも約37%(wt/vol)PEGを含む反応体積で、前記第1ライゲーション工程および/または第2ライゲーション工程を実施する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の核酸の平均核酸サイズが約200ヌクレオチド未満であり、必要に応じて、前記複数の核酸が低品質核酸供給源から得られ、前記複数の核酸が固定サンプルから得られる、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
核酸の前記ライブラリーを増幅することをさらに含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
核酸の前記ライブラリーからシーケンスデータを得ることをさらに含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2017年3月20日に出願された“METHODS AND COMPOSITIONS FOR PREPARING NUCLEIC ACID LIBRARIES”と題する米国仮出願番号第62/473595号に基づく優先権を主張しており、その開示は、その全体が参考として本明細書中に援用される。
【0002】
配列表
本出願は、電子形式の配列表を含む。配列表は、2018年3月15日に作成されたILLINC362WOSEQLISTという名称のファイルとして提供され、約4kbのサイズである。配列表の電子形式の情報は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
発明の分野
本明細書で提供されるシステム、方法および組成物は、核酸ライブラリーの調製に関する。いくつかの実施形態は、一本鎖核酸のライゲーションによる核酸ライブラリーの調製を含む。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
いくつかの次世代シーケンシング技術は、ゲノム全配列の高速かつ経済的な決定に利用可能である。典型的には、シーケンシングの前に、二本鎖標的ゲノムDNAサンプルからテンプレート核酸のライブラリーを調製する。サンプル調製は、通常、より大きなDNA鎖を、次世代シーケンシング技術により適したより小さなDNA断片に切断するDNA断片化工程を含む。多くの場合、アダプターをDNA断片の末端に付加するが、これは、DNA末端修復とそれに続くアダプターライゲーションにより、またはより最近ではトランスポソーム系を使用することにより達成され得る。トランスポザーゼとトランスポゾン配列との複合体であるトランスポソームの使用は、同時のゲノム断片化および断片のアダプターライゲーションを可能にし、それにより、ライブラリー調製を単純化する。ライブラリーの調製方法は、典型的には労働集約的であり、異なる段階でいくつかの実践的な工程を必要とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の要旨
いくつかの実施形態は、核酸ライブラリーを調製する方法であって、(a)複数の核酸を得ること(ここで、前記複数の核酸は一本鎖核酸である);(b)前記一本鎖核酸の5’末端を脱リン酸化すること;(c)リガーゼの存在下で、第1アダプターを前記一本鎖核酸の3’末端にライゲーションすること(ここで、前記第1アダプターの3’末端は保護基を含む);(d)前記ライゲーション一本鎖核酸の5’末端をリン酸化すること;および(e)前記リガーゼの存在下で、第2アダプターを前記リン酸化ライゲーション一本鎖核酸の5’末端にライゲーションし、それにより、核酸のライブラリーを得ることを含む方法を含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、第2アダプターの5’末端はリン酸化されていない。
【0007】
いくつかの実施形態では、第2アダプターは基体に付着されている。いくつかの実施形態では、基体はビーズまたはフローセルを含む。
【0008】
いくつかの実施形態はまた、工程(e)の前に、非ライゲーション一本鎖第1アダプターを除去することを含む。
【0009】
いくつかの実施形態はまた、非ライゲーション一本鎖第1アダプターをキャプチャープローブとハイブリダイズさせることを含む。いくつかの実施形態では、キャプチャープローブは、第1アダプターの少なくとも一部に相補的な配列を含む。いくつかの実施形態では、キャプチャープローブの3’末端は保護基を含む。いくつかの実施形態では、キャプチャープローブの5’末端は保護基を含む。
【0010】
いくつかの実施形態はまた、非ライゲーション一本鎖第1アダプターを消化することを含む。いくつかの実施形態では、非ライゲーション一本鎖第1アダプターの消化は、非ライゲーション一本鎖第1アダプターを5’リン酸依存性エキソヌクレアーゼと接触させることを含む。いくつかの実施形態では、非ライゲーション一本鎖第1アダプターの消化は、非ライゲーション一本鎖第1アダプターを5’リン酸依存性エキソヌクレアーゼおよび5’デアデニラーゼと接触させることを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、ライゲーション一本鎖核酸の5’末端のリン酸化は、ライゲーション一本鎖核酸をキナーゼと接触させることを含む。
【0012】
いくつかの実施形態は、核酸ライブラリーを調製する方法であって、(a)複数の核酸を得ること(ここで、前記複数の核酸は二本鎖核酸である);(b)前記二本鎖核酸を5’エキソヌクレアーゼと接触させて、一本鎖3’オーバーハングを有する複数の改変二本鎖核酸を得ること;(c)リガーゼの存在下で、第1アダプターを前記改変二本鎖核酸の3’末端にライゲーションすること(ここで、前記第1アダプターの3’末端は保護基を含む);(d)前記第1アダプターにライゲーションされた前記改変二本鎖核酸を脱ハイブリダイズさせて、複数の一本鎖核酸を得ること;および(e)前記リガーゼの存在下で、第2アダプターを前記一本鎖核酸の5’末端にライゲーションし、それにより、核酸のライブラリーを得ることを含む方法を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、第2アダプターの5’末端はリン酸化されていない。
【0014】
いくつかの実施形態は、核酸ライブラリーを調製する方法であって、(a)複数の核酸を得ること(ここで、前記複数の核酸は一本鎖核酸である);(b)前記一本鎖核酸の5’末端を脱リン酸化すること;(c)リガーゼの存在下で、第1アダプターを前記一本鎖核酸の3’末端にライゲーションすること(ここで、前記第1アダプターの3’末端は保護基を含む);(d)前記ライゲーション第1アダプターをキャプチャープローブとハイブリダイズさせること;および(e)前記キャプチャープローブを伸長させ、前記リガーゼの存在下で、第2アダプターを前記伸長キャプチャープローブの3’末端にライゲーションし(ここで、前記第2アダプターの3’末端は保護基を含む)、それにより、核酸のライブラリーを得ることを含む方法を含む。
【0015】
いくつかの実施形態はまた、伸長キャプチャープローブからハイブリダイズライゲーション第1アダプターを除去することを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、キャプチャープローブは基体に付着されている。いくつかの実施形態では、基体はビーズまたはフローセルを含む。いくつかの実施形態では、キャプチャープローブはキャプチャープローブインデックスを含む。いくつかの実施形態では、キャプチャープローブは切断可能リンカーを含む。いくつかの実施形態はまた、切断可能リンカーを切断することを含む。
【0017】
いくつかの実施形態は、核酸ライブラリーを調製する方法であって、(a)複数の核酸を得ること(ここで、前記複数の核酸は一本鎖核酸である);(b)前記一本鎖核酸の5’末端を脱リン酸化すること;(c)リンカーを前記一本鎖核酸の3’末端にライゲーションすること(ここで、前記リンカーは第1アダプターおよび第2アダプターを含み、前記リンカーの3’末端は保護基を含む);(d)前記ライゲーション一本鎖核酸の5’末端をリン酸化すること;および(e)前記リン酸化核酸の3’末端を脱保護し、ライゲーションにより前記脱保護核酸を環状化し、それにより、環状核酸のライブラリーを得ることを含む方法を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、リンカーは、第1アダプターと第2アダプターとの間に切断可能部位を含む。
【0019】
いくつかの実施形態はまた、切断可能リンカーにおける切断により、環状核酸を線状化することを含む。いくつかの実施形態では、切断可能部位はウラシル残基を含む。いくつかの実施形態はまた、環状核酸をウラシル特異的切除試薬と接触させることを含む。いくつかの実施形態では、ウラシル特異的切除試薬は、ウラシルDNAグリコシラーゼ(UDG)およびDNAグリコシラーゼ-リアーゼエンドヌクレアーゼVIIIから選択される酵素を含む。
【0020】
いくつかの実施形態はまた、少なくともプライマーを第1アダプターまたは第2アダプターにハイブリダイズさせることを含む方法により、環状核酸を増幅することを含む。いくつかの実施形態では、増幅は、PCRおよびローリングサークル増幅(RCA)から選択される。いくつかの実施形態では、増幅は、環状核酸を、テンプレート中のウラシル残基との接触により線状生成物を形成するポリメラーゼと接触させることを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、一本鎖核酸の5’末端の脱リン酸化は、一本鎖核酸をホスファターゼと接触させることを含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、工程(b)~(e)を単一反応体積で実施する。
【0023】
いくつかの実施形態では、工程(b)~(e)を単一反応容器で実施する。
【0024】
いくつかの実施形態では、第1アダプターおよび/または第2アダプターは、シーケンシングプライマー結合部位を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、第1アダプターは、P7配列、P5配列またはその相補体もしくは逆相補体を含む。いくつかの実施形態では、第2アダプターは、P7配列、P5配列またはその相補体もしくは逆相補体を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、第1アダプターおよび/または第2アダプターは、アダプターインデックスを含む。いくつかの実施形態では、第1アダプターインデックスは、第2アダプターインデックスと異なるものである。いくつかの実施形態では、アダプターインデックスは、複数の核酸の供給源を示すものである。
【0027】
いくつかの実施形態では、保護基は、3’スペーサーC3またはジデオキシヌクレオチドを含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、リガーゼは一本鎖核酸リガーゼを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、体積排除剤の存在下で、第1アダプターのライゲーションおよび/または第2アダプターのライゲーションを実施する。いくつかの実施形態では、体積排除剤は、ポリエチレングリコール(PEG)、デキストラン、ヘタスターチ、フィコールおよびポリビニルピロリドンからなる群より選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも約37%(wt/vol)PEGを含む反応体積で、第1ライゲーション工程および/または第2ライゲーション工程を実施する。いくつかの実施形態では、少なくとも約60%(wt/vol)PEGを含む反応体積で、第1ライゲーション工程および/または第2ライゲーション工程を実施する。
【0030】
いくつかの実施形態では、複数の核酸はRNAを含む。いくつかの実施形態では、複数の核酸はcDNAまたはゲノムDNAを含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、複数の核酸の平均核酸サイズは約200ヌクレオチド未満である。
【0032】
いくつかの実施形態では、複数の核酸は低品質核酸供給源から得られる。いくつかの実施形態では、複数の核酸は固定サンプルから得られる。
【0033】
いくつかの実施形態はまた、核酸のライブラリーを増幅することを含む。
【0034】
いくつかの実施形態はまた、核酸のライブラリーからシーケンスデータを得ることを含む。
【0035】
いくつかの実施形態は、前述の実施形態のいずれか1つの方法により調製される核酸ライブラリーを含む。
【0036】
いくつかの実施形態は、第1アダプター(ここで、前記第1アダプターの3’末端は保護基を含み、前記第1アダプターは、P7配列、P5配列またはその相補体もしくは逆相補体を含む);リガーゼ;ならびに体積排除剤、キナーゼ、ホスファターゼ、5’リン酸依存性エキソヌクレアーゼ、5’デアデニラーゼ、テンプレート中のウラシル残基との接触により線状生成物を形成するポリメラーゼ、ウラシル特異的切除試薬および第2アダプター(ここで、前記第2アダプターは、P7配列、P5配列またはその相補体もしくは逆相補体を含む)からなる群より選択される構成要素を含むキットを含む。いくつかの実施形態では、リンカーは第1および第2アダプターを含む。
【0037】
いくつかの実施形態は、複数の核酸;第1アダプター(ここで、前記第1アダプターの3’末端は保護基を含む);リガーゼ;および体積排除剤を含む反応体積を含む反応容器を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、複数の核酸は一本鎖核酸である。
【0039】
いくつかの実施形態では、第1アダプターは、複数の一本鎖核酸の3’末端にライゲーションされており、それにより、複数の改変一本鎖核酸を形成する。
【0040】
いくつかの実施形態では、非ライゲーション第1アダプターは、キャプチャープローブにハイブリダイズされている。いくつかの実施形態では、キャプチャープローブは、第1アダプターの少なくとも一部に相補的な配列を含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、複数の核酸は、3’オーバーハングを有する二本鎖核酸である。いくつかの実施形態では、第1アダプターは、3’オーバーハングを有する複数の二本鎖核酸の3’末端にライゲーションされており、それにより、複数の改変二本鎖核酸を形成する。
【0042】
いくつかの実施形態はまた、第2アダプターを含む。いくつかの実施形態では、第2アダプターの5’末端はリン酸化されていない。
【0043】
いくつかの実施形態はまた、脱リン酸化剤を含む。いくつかの実施形態では、脱リン酸化剤はホスファターゼを含む。いくつかの実施形態では、ホスファターゼは不活性化されている。
【0044】
いくつかの実施形態では、体積排除剤は、ポリエチレングリコール(PEG)、デキストラン、ヘタスターチ、フィコールおよびポリビニルピロリドンからなる群より選択される。いくつかの実施形態では、反応体積は、少なくとも約37%(wt/vol)PEGを含む。いくつかの実施形態では、反応体積は、少なくとも約60%(wt/vol)PEGを含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、第1アダプターおよび/または第2アダプターは、シーケンシングプライマー結合部位を含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、第1アダプターおよび/または第2アダプターは、アダプターインデックスを含む。いくつかの実施形態では、第1アダプターインデックスは、第2アダプターインデックスと異なるものである。いくつかの実施形態では、アダプターインデックスは、複数の一本鎖核酸の供給源を示すものである。
【0047】
いくつかの実施形態では、保護基は、3’スペーサーC3またはジデオキシヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、保護基は3’スペーサーC3を含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、リガーゼは一本鎖核酸リガーゼを含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、複数の核酸はRNAを含む。いくつかの実施形態では、複数の核酸はcDNAまたはゲノムDNAを含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、複数の一本鎖核酸は低品質核酸供給源から得られる。いくつかの実施形態では、複数の核酸は固定サンプルから得られる。
【0051】
いくつかの実施形態は、前述の実施形態のいずれか1つの反応容器を含むフローセルを含む。
【0052】
いくつかの実施形態は、前述の実施形態のいずれか1つの反応容器と、シーケンシングデータを得るための検出器とを含むシステムを含む。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
核酸ライブラリーを調製する方法であって、
(a)複数の核酸を得ることであって、ここで、前記複数の核酸は一本鎖核酸であること;
(b)前記一本鎖核酸の5’末端を脱リン酸化すること;
(c)リガーゼの存在下で、第1アダプターを前記一本鎖核酸の3’末端にライゲーションすることであって、ここで、前記第1アダプターの3’末端は保護基を含むこと;
(d)前記ライゲーション一本鎖核酸の5’末端をリン酸化すること;および
(e)前記リガーゼの存在下で、第2アダプターを前記リン酸化ライゲーション一本鎖核酸の5’末端にライゲーションし、それにより、核酸のライブラリーを得ること
を含む、方法。
(項目2)
前記第2アダプターの5’末端がリン酸化されていない、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記第2アダプターが基体に付着されている、項目1または2に記載の方法。
(項目4)
前記基体がビーズまたはフローセルを含む、項目3に記載の方法。
(項目5)
工程(e)の前に、非ライゲーション一本鎖第1アダプターを除去することを含む、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記非ライゲーション一本鎖第1アダプターをキャプチャープローブとハイブリダイズさせることを含む、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記キャプチャープローブが、前記第1アダプターの少なくとも一部に相補的な配列を含む、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記キャプチャープローブの3’末端が保護基を含む、項目6または7に記載の方法。
(項目9)
前記キャプチャープローブの5’末端が保護基を含む、項目6~8のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
前記非ライゲーション一本鎖第1アダプターを消化することを含む、項目5に記載の方法。
(項目11)
前記非ライゲーション一本鎖第1アダプターを消化することが、前記非ライゲーション一本鎖第1アダプターを5’リン酸依存性エキソヌクレアーゼと接触させることを含む、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記非ライゲーション一本鎖第1アダプターを消化することが、前記非ライゲーション一本鎖第1アダプターを5’リン酸依存性エキソヌクレアーゼおよび5’デアデニラーゼと接触させることを含む、項目10または11に記載の方法。
(項目13)
前記ライゲーション一本鎖核酸の5’末端をリン酸化することが、前記ライゲーション一本鎖核酸をキナーゼと接触させることを含む、項目1~12のいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
核酸ライブラリーを調製する方法であって、
(a)複数の核酸を得ることであって、ここで、前記複数の核酸は二本鎖核酸であること;
(b)前記二本鎖核酸を5’エキソヌクレアーゼと接触させて、一本鎖3’オーバーハングを有する複数の改変二本鎖核酸を得ること;
(c)リガーゼの存在下で、第1アダプターを前記改変二本鎖核酸の3’末端にライゲーションすることであって、ここで、前記第1アダプターの3’末端は保護基を含むこと;(d)前記第1アダプターにライゲーションされた前記改変二本鎖核酸を脱ハイブリダイズさせて、複数の一本鎖核酸を得ること;および
(e)前記リガーゼの存在下で、第2アダプターを前記一本鎖核酸の5’末端にライゲーションし、それにより、核酸のライブラリーを得ること
を含む、方法。
(項目15)
前記第2アダプターの5’末端がリン酸化されていない、項目14に記載の方法。
(項目16)
核酸ライブラリーを調製する方法であって、
(a)複数の核酸を得ることであって、ここで、前記複数の核酸は一本鎖核酸であること;
(b)前記一本鎖核酸の5’末端を脱リン酸化すること;
(c)リガーゼの存在下で、第1アダプターを前記一本鎖核酸の3’末端にライゲーションすることであって、ここで、前記第1アダプターの3’末端は保護基を含むこと;
(d)前記ライゲーション第1アダプターをキャプチャープローブとハイブリダイズさせること;
(e)前記キャプチャープローブを伸長させ、前記リガーゼの存在下で、第2アダプターを前記伸長キャプチャープローブの3’末端にライゲーションすることであって、ここで、前記第2アダプターの3’末端は保護基を含み、それにより、核酸のライブラリーを得ること
を含む、方法。
(項目17)
前記伸長キャプチャープローブから前記ハイブリダイズライゲーション第1アダプターを除去することを含む、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記キャプチャープローブが基体に付着されている、項目16または17に記載の方法。
(項目19)
前記基体がビーズまたはフローセルを含む、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記キャプチャープローブがキャプチャープローブインデックスを含む、項目16~19のいずれか一項に記載の方法。
(項目21)
前記キャプチャープローブが切断可能リンカーを含む、項目16~20のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
前記切断可能リンカーを切断することを含む、項目21に記載の方法。
(項目23)
核酸ライブラリーを調製する方法であって、
(a)複数の核酸を得ることであって、ここで、前記複数の核酸は一本鎖核酸であること;
(b)前記一本鎖核酸の5’末端を脱リン酸化すること;
(c)リンカーを前記一本鎖核酸の3’末端にライゲーションすることであって、ここで、前記リンカーは第1アダプターおよび第2アダプターを含み、前記リンカーの3’末端は保護基を含むこと;
(d)前記ライゲーション一本鎖核酸の5’末端をリン酸化すること;
(e)前記リン酸化核酸の3’末端を脱保護し、ライゲーションにより前記脱保護核酸を環状化することであって、それにより、環状核酸のライブラリーを得ること
を含む、方法。
(項目24)
前記リンカーが、前記第1アダプターと前記第2アダプターとの間に切断可能部位を含む、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記切断可能リンカーにおける切断により、前記環状核酸を線状化することをさらに含む、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記切断可能部位がウラシル残基を含む、項目24または25に記載の方法。
(項目27)
前記環状核酸をウラシル特異的切除試薬と接触させることを含む、項目26に記載の方法。
(項目28)
前記ウラシル特異的切除試薬が、ウラシルDNAグリコシラーゼ(UDG)およびDNAグリコシラーゼ-リアーゼエンドヌクレアーゼVIIIから選択される酵素を含む、項目27に記載の方法。
(項目29)
少なくともプライマーを前記第1アダプターまたは前記第2アダプターにハイブリダイズさせることを含む方法により、前記環状核酸を増幅することをさらに含む、項目23~28のいずれか一項に記載の方法。
(項目30)
前記増幅することが、PCRおよびローリングサークル増幅(RCA)から選択される、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記増幅することが、前記環状核酸を、テンプレート中のウラシル残基との接触により線状生成物を形成するポリメラーゼと接触させることを含む、項目29に記載の方法。
(項目32)
前記一本鎖核酸の5’末端の脱リン酸化が、前記一本鎖核酸をホスファターゼと接触させることを含む、項目23~31のいずれか一項に記載の方法。
(項目33)
工程(b)~(e)を単一反応体積で実施する、項目1~32のいずれか一項に記載の方法。
(項目34)
工程(b)~(e)を単一反応容器で実施する、項目1~33のいずれか一項に記載の方法。
(項目35)
前記第1アダプターおよび/または第2アダプターがシーケンシングプライマー結合部位を含む、項目1~34のいずれか一項に記載の方法。
(項目36)
前記第1アダプターがP7配列、P5配列またはその相補体もしくは逆相補体を含む、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記第2アダプターがP7配列、P5配列またはその相補体もしくは逆相補体を含む、項目35に記載の方法。
(項目38)
前記第1アダプターおよび/または第2アダプターがアダプターインデックスを含む、項目1~37のいずれか一項に記載の方法。
(項目39)
前記第1アダプターインデックスが前記第2アダプターインデックスと異なる、項目38に記載の方法。
(項目40)
前記アダプターインデックスが、前記複数の核酸の供給源を示す、項目38または39に記載の方法。
(項目41)
前記保護基が3’スペーサーC3またはジデオキシヌクレオチドを含む、項目1~40のいずれか一項に記載の方法。
(項目42)
前記リガーゼが一本鎖核酸リガーゼを含む、項目1~41のいずれか一項に記載の方法。
(項目43)
体積排除剤の存在下で、前記第1アダプターのライゲーションおよび/または前記第2アダプターのライゲーションを実施する、項目1~42のいずれか一項に記載の方法。
(項目44)
前記体積排除剤が、ポリエチレングリコール(PEG)、デキストラン、ヘタスターチ、フィコールおよびポリビニルピロリドンからなる群より選択される、項目43に記載の方法。
(項目45)
少なくとも約37%(wt/vol)PEGを含む反応体積で、前記第1ライゲーション工程および/または第2ライゲーション工程を実施する、項目43に記載の方法。
(項目46)
少なくとも約60%(wt/vol)PEGを含む反応体積で、前記第1ライゲーション工程および/または第2ライゲーション工程を実施する、項目43に記載の方法。
(項目47)
前記複数の核酸がRNAを含む、項目1~46のいずれか一項に記載の方法。
(項目48)
前記複数の核酸がcDNAまたはゲノムDNAを含む、項目1~46のいずれか一項に記載の方法。
(項目49)
前記複数の核酸の平均核酸サイズが約200ヌクレオチド未満である、項目1~48のいずれか一項に記載の方法。
(項目50)
前記複数の核酸が低品質核酸供給源から得られる、項目1~49のいずれか一項に記載の方法。
(項目51)
前記複数の核酸が固定サンプルから得られる、項目50に記載の方法。
(項目52)
核酸の前記ライブラリーを増幅することをさらに含む、項目1~51のいずれか一項に記載の方法。
(項目53)
核酸の前記ライブラリーからシーケンスデータを得ることをさらに含む、項目1~52のいずれか一項に記載の方法。
(項目54)
項目1~53のいずれか一項に記載の方法により調製される、核酸ライブラリー。
(項目55)
第1アダプターであって、ここで、前記第1アダプターの3’末端は保護基を含み、P7配列、P5配列またはその相補体もしくは逆相補体を含む第1アダプター;
リガーゼ;ならびに
構成要素であって、体積排除剤、キナーゼ、ホスファターゼ、5’リン酸依存性エキソヌクレアーゼ、5’デアデニラーゼ、テンプレート中のウラシル残基との接触により線状生成物を形成するポリメラーゼ、ウラシル特異的切除試薬、および第2アダプターであって、P7配列、P5配列またはその相補体もしくは逆相補体を含む第2アダプターからなる群より選択される構成要素
を含む、キット。
(項目56)
リンカーが前記第1および前記第2アダプターを含む、項目55に記載のキット。
(項目57)
複数の核酸;
第1アダプターであって、ここで、前記第1アダプターの3’末端は保護基を含む
第1アダプター;
リガーゼ;および
体積排除剤
を含む反応体積を含む、反応容器。
(項目58)
前記複数の核酸が一本鎖核酸である、項目57に記載の反応容器。
(項目59)
前記第1アダプターが前記複数の一本鎖核酸の3’末端にライゲーションされており、それにより、複数の改変一本鎖核酸を形成する、項目58に記載の反応容器。
(項目60)
非ライゲーション第1アダプターがキャプチャープローブにハイブリダイズされている、項目59に記載の反応容器。
(項目61)
前記キャプチャープローブが、前記第1アダプターの少なくとも一部に相補的な配列を含む、項目60に記載の反応容器。
(項目62)
前記複数の核酸が、3’オーバーハングを有する二本鎖核酸である、項目57に記載の反応容器。
(項目63)
前記第1アダプターが、3’オーバーハングを有する前記複数の二本鎖核酸の3’末端にライゲーションされており、それにより、複数の改変二本鎖核酸を形成する、項目62に記載の反応容器。
(項目64)
第2アダプターをさらに含む、項目57~63のいずれか一項に記載の反応容器。
(項目65)
前記第2アダプターの5’末端がリン酸化されていない、項目64に記載の反応容器。
(項目66)
脱リン酸化剤を含む、項目57~65のいずれか一項に記載の反応容器。
(項目67)
前記脱リン酸化剤がホスファターゼを含む、項目66に記載の反応容器。
(項目68)
前記ホスファターゼが不活性化されている、項目67に記載の反応容器。
(項目69)
前記体積排除剤が、ポリエチレングリコール(PEG)、デキストラン、ヘタスターチ、フィコールおよびポリビニルピロリドンからなる群より選択される、項目57~68のいずれか一項に記載の反応容器。
(項目70)
前記反応体積が少なくとも約37%(wt/vol)PEGを含む、項目69に記載の反応容器。
(項目71)
前記反応体積が少なくとも約60%(wt/vol)PEGを含む、項目69に記載の反応容器。
(項目72)
前記第1アダプターおよび/または第2アダプターがシーケンシングプライマー結合部位を含む、項目64~71のいずれか一項に記載の反応容器。
(項目73)
前記第1アダプターおよび/または第2アダプターがアダプターインデックスを含む、項目64~72のいずれか一項に記載の反応容器。
(項目74)
前記第1アダプターインデックスが前記第2アダプターインデックスとは異なる、項目73に記載の反応容器。
(項目75)
前記アダプターインデックスが、前記複数の一本鎖核酸の供給源を示す、項目73に記載の反応容器。
(項目76)
前記保護基が3’スペーサーC3またはジデオキシヌクレオチドを含む、項目57~75のいずれか一項に記載の反応容器。
(項目77)
前記保護基が3’スペーサーC3を含む、項目57~76のいずれか一項に記載の反応容器。
(項目78)
前記リガーゼが一本鎖核酸リガーゼを含む、項目57~77のいずれか一項に記載の反応容器。
(項目79)
前記複数の核酸がRNAを含む、項目57~78のいずれか一項に記載の反応容器。
(項目80)
前記複数の核酸がcDNAまたはゲノムDNAを含む、項目57~78のいずれか一項に記載の反応容器。
(項目81)
前記複数の一本鎖核酸が低品質核酸供給源から得られる、項目57~80のいずれか一項に記載の反応容器。
(項目82)
前記複数の核酸が固定サンプルから得られる、項目81に記載の反応容器。
(項目83)
項目57~82のいずれか一項に記載の反応容器を含む、フローセル。
(項目84)
項目57~82のいずれか一項に記載の反応容器と、シーケンシングデータを得るための検出器とを含む、システム。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1図1は、一実施形態による、一本鎖核酸のライブラリーを調製する方法の概略図である。二本鎖核酸を脱ハイブリダイズさせて一本鎖核酸を形成し、一本鎖核酸の5’末端を脱リン酸化し、3’保護基を含有するP7’アダプターを一本鎖核酸の3’末端にライゲーションし、ライゲーション一本鎖核酸の5’末端を再リン酸化し、非リン酸化5’末端を含有するP5アダプターをライゲーション一本鎖核酸の5’末端にライゲーションすることにより、ライブラリーを調製し得る。
【0054】
図2図2は、一実施形態による、一本鎖核酸のライブラリーを調製する方法の概略図である。5’エキソヌクレアーゼを用いて二本鎖核酸を部分的に消化して3’オーバーハングを有する二本鎖核酸を形成し、脱ハイブリダイズさせて一本鎖核酸を形成し、3’保護基を含有するP7’アダプターを、3’オーバーハングを有する二本鎖核酸の3’末端にライゲーションし得、3’オーバーハングを有するライゲーション二本鎖核酸を脱ハイブリダイズさせて一本鎖核酸を形成し得、非リン酸化5’末端を含有するP5アダプターをライゲーション一本鎖核酸の5’末端にライゲーションし得る。
【0055】
図3図3は、一実施形態による、ビーズを使用して一本鎖核酸(single-stranded nucleic)のライブラリーを調製する方法の概略図を示す。一本鎖核酸の5’末端を脱リン酸化し、3’保護基を含有するP5’アダプターを一本鎖核酸の3’末端にライゲーションし、第1ライゲーション産物を、ビーズに付着されたP5キャプチャープローブにハイブリダイズさせ、キャプチャープローブを伸長させ、伸長キャプチャープローブからハイブリダイズ第1ライゲーション産物を除去し、3’保護基を含有するP7’アダプターを伸長キャプチャープローブの3’末端にライゲーションすることにより、ライブラリーを調製し得る。
【0056】
図4A図4Aは、一実施形態による、環状一本鎖核酸のライブラリーを調製する方法の概略図である。二本鎖核酸を脱ハイブリダイズさせて一本鎖核酸を形成し、一本鎖核酸の5’末端を脱リン酸化し;P7’アダプターと、切断可能部位(「U」)と、3’保護基(「R」)を有するP5アダプターとを含むリンカーを一本鎖核酸の3’末端にライゲーションし;ライゲーション一本鎖核酸の5’末端を再リン酸化し;ライゲーション一本鎖核酸の3’末端を脱保護し、脱保護核酸を環状化して、環状一本鎖核酸を含むライブラリーのメンバーを形成することにより、ライブラリーを調製し得る。
【0057】
図4B図4Bは、図4Bの環状核酸を、切断可能部位(「U」)を切断することにより線状化し得るか、またはPCRによりもしくはローリングサークル増幅(RCA)により増幅し得る概略図である。
【0058】
図5図5は、図1に示されている実施形態を含む一本鎖核酸のライブラリーを調製する方法の概略図である。図5に示されているように、P7配列を有するキャプチャープローブは、標的核酸にライゲーションされたP7’アダプターに、および過剰な非ライゲーションP7’アダプターにハイブリダイズする。非ライゲーションP7’アダプターへのキャプチャープローブのハイブリダイゼーションは、他の核酸への非ライゲーションP7’アダプターのライゲーションを阻害する。
【0059】
図6図6は、一実施形態による、一本鎖核酸のライブラリーを調製する方法の概略図である。二本鎖核酸を脱ハイブリダイズさせて一本鎖核酸を形成し、一本鎖核酸の5’末端を脱リン酸化し、3’保護基を含有するP7’アダプターを一本鎖核酸の3’末端にライゲーションし、5’リン酸依存性エキソヌクレアーゼおよび5’デアデニラーゼを用いて消化することにより過剰な非ライゲーション一本鎖P7’アダプターを除去し、ライゲーション一本鎖核酸の5’末端を再リン酸化し、非リン酸化5’末端を含有するP5アダプターをライゲーション一本鎖核酸の5’末端にライゲーションすることにより、ライブラリーを調製し得る。
【0060】
図7図7は、60mer一本鎖核酸(3’OH-60-Phos5’)の5’末端を脱リン酸化し、生成物(3’OH-60-OH5’)がコンカテマーを形成し得ないことを確認する実験の結果を示す。上のパネルは、脱リン酸化を示す概略図である。表は、下のパネルに示されているゲルで実施およびランした反応の条件を概説する。
【0061】
図8図8は、3’保護基を含有する64merP7’アダプター(3’C3-P7-phos5’)を脱リン酸化60mer一本鎖核酸(3’OH-60-OH5’)の3’末端にライゲーションする実験の結果を示す。上のパネルは、ライゲーションを示す概略図である。表は、下のパネルに示されているゲルで実施およびランした反応の条件を概説する。
【0062】
図9図9は、3’保護基を有するライゲーション64merアダプター(3’C3-P7-60-OH)を含有する124mer脱リン酸化一本鎖核酸の5’末端を再リン酸化する実験の結果を示す。上のパネルは、キナーゼ反応を示す概略図である。表は、下のパネルに示されているゲルで実施およびランした反応の条件を概説する。
【0063】
図10図10は、非リン酸化5’末端(5’-P5-OH)を有する60merP5アダプターを124mer一本鎖核酸(3’C3-60-B2-Phos)の5’末端にライゲーションする実験の結果を示す。124mer一本鎖核酸は、3’保護基を有するライゲーション64merアダプター(3’C3-P7-phos5’)を含む。上のパネルは、ライゲーションを示す概略図である。表は、下のパネルに示されているゲルで実施およびランした反応の条件を概説する。
【0064】
図11図11は、3’保護基を含有する64merP7’アダプター(3’C3-P7-phos5’)を一本鎖脱リン酸化無細胞DNA(cfDNA)の3’末端にライゲーションする実験の結果を示す。表は、下のパネルに示されているゲルで実施およびランした反応の条件を概説する。
【0065】
図12図12は、キナーゼ(PNK)を用いて脱リン酸化cfDNA(cfDNA[Apex])を処理し、3’保護基を含有する64merP7’アダプター(3’C3-P7-phos5’)を再リン酸化cfDNAの3’末端にライゲーションした実験の結果を示す。表は、下のパネルに示されているゲルで実施およびランした反応の条件を概説する。
【0066】
図13図13は、3’保護基を含有する64merP7’アダプター(3’C3-P7-phos5’)を脱リン酸化cfDNAの3’末端にライゲーションし、キナーゼ(PNK)を用いて、得られた第1ライゲーション産物(3’C3-P7-cfDNA-phos5’)を処理し、非リン酸化5’末端を有する60merP5アダプター(5’-P5-OH)を第1ライゲーション産物の5’末端にライゲーションして第2ライゲーション産物(P7’-cfDNA-P5)を形成した実験の結果を示す。表は、下のパネルに示されているゲルで実施およびランした反応の条件を概説する。
【0067】
図14図14は、実施例2のライゲーション産物、ならびにライゲーション産物抽出物B1および抽出物B2からの増幅産物を示すゲルを示す。「参照」レーンでは、抽出物B1は2つの黒枠によりマークされ、抽出物B2は1つの白枠によりマークされている。
【0068】
図15図15は、増幅ライゲーション産物、抽出物B1および抽出物B2の電気泳動図を示す。ピークは、126bpプライマーダイマー(P7’-P5)、292bp(P7’-cfDNA-P5)および480bp(P7’-cfDNA-P5)種を示す。
【0069】
図16図16は、様々な比でSPRIビーズを使用して増幅産物を抽出した結果を示すゲルを示す。
【0070】
図17図17は、3’保護基を含有する63merP7’アダプター(3’C3-P7’-Phos5’)を一本鎖脱リン酸化cfDNAの3’末端にライゲーションする実験の結果を示す。表は、下のパネルに示されているゲルで実施およびランした反応の条件を概説する。
【0071】
図18図18は、5’および3’保護基を含有する63merP7キャプチャープローブ(3’C3-P7-C35’)の存在下で、非リン酸化5’末端を有する60merP5アダプター(5’-P5-OH)を第1ライゲーション産物(3’C3-P7’-cfDNA-phos5’)の5’末端にライゲーションする実験の結果を示す。上のパネルは、ライゲーションを示す概略図である。表は、下のパネルに示されているゲルで実施およびランした反応の条件を概説する。
【0072】
図19図19は、増幅ライゲーション産物、抽出物B1および抽出物B2の電気泳動図分析を示す。ピークは、126bpプライマーダイマー(P7’-P5)、292bp(P7’-cfDNA-P5)および480bp(P7’-cfDNA-P5)種を示す。
【0073】
図20図20は、増幅前、増幅後、およびSPRIビーズによる抽出後のライゲーション産物のゲルを示す。
【0074】
図21図21は、様々な濃度のポリエチレングリコール(PEG)の存在下で、脱リン酸化5’末端を有する39merオリゴ1(5’OH-オリゴ1-OH3’)を、リン酸化3’保護基を有する37merオリゴ2(5’phos-オリゴ2-phos3’)にライゲーションする実験の結果を示す。表は、下のパネルに示されているゲルで実施およびランした反応の条件を概説する。
【0075】
図22図22は、様々なオリゴ1:オリゴ2比を用いて、脱リン酸化5’末端を有する39bpオリゴ1(5’OH-オリゴ1-OH3’)を、リン酸化3’保護基を有する37bpオリゴ2(5’phos-オリゴ2-phos3’)にライゲーションする実験の結果を示す。表は、下のパネルに示されているゲルで実施およびランした反応の条件を概説する。
【0076】
図23図23は、様々な量のリガーゼ(CIRCLIGASE)を用いて、脱リン酸化5’末端を有する39bpオリゴ1(5’OH-オリゴ1-OH3’)を、リン酸化3’保護基を有する37bpオリゴ2(5’phos-オリゴ2-phos3’)にライゲーションする実験の結果を示す。表は、下のパネルに示されているゲルで実施およびランした反応の条件を概説する。
【0077】
図24図24は、リン酸化3’保護基を有する37merオリゴ2(5’phos-オリゴ2-phos3’)を、ビーズにコンジュゲートされた脱リン酸化5’末端を有する39merオリゴ1(5’OH-オリゴ1-OH3’)にライゲーションする実験の結果を示す。オリゴ1のウラシル部位をカットするウラシル-DNAグリコシラーゼ(UDG)を使用したビーズからの切断により、ライゲーション産物をアッセイした。表は、下のパネルに示されているゲルで実施およびランした反応の条件を概説する。
【0078】
図25図25は、45%PEGを有する最終反応体積で、リン酸化3’保護基を有する37merオリゴ2(5’phos-オリゴ2-phos3’)を、ビーズにコンジュゲートされた脱リン酸化5’末端を有する39merオリゴ1(5’OH-オリゴ1-OH3’)にライゲーションする実験の結果を示す。表は、下のパネルに示されているゲルで実施およびランした反応の条件を概説する。
【0079】
図26図26は、一実施形態による、ビーズを使用して一本鎖核酸(single-stranded nucleic)のライブラリーを調製する方法の概略図を示す。一本鎖核酸の5’末端を脱リン酸化し、3’保護基を含有するP5’アダプターを一本鎖核酸の3’末端にライゲーションし、第1ライゲーション産物を、フローセルに付着されたP5キャプチャープローブにハイブリダイズさせ、キャプチャープローブを伸長させ、伸長キャプチャープローブからハイブリダイズ第1ライゲーション産物を除去し、相補的プライマーをハイブリダイズさせ、3’保護基を含有するP7’アダプターを伸長キャプチャープローブの3’末端にライゲーションし、相補的プライマーを脱ハイブリダイズさせることにより、ライブラリーを調製し得る。
【発明を実施するための形態】
【0080】
詳細な説明
本明細書で提供されるシステム、方法および組成物の実施形態は、核酸ライブラリーの調製に関する。いくつかの実施形態は、一本鎖核酸をアダプターにライゲーションして、少量の供給源核酸から核酸のライブラリーを調製することを含む。いくつかの実施形態は、3’オーバーハングを有する二本鎖核酸をアダプターにライゲーションして、少量の供給源核酸から核酸のライブラリーを調製することを含む。いくつかの実施形態は、一本鎖核酸を、アダプターを含むリンカーにライゲーションして、少量の供給源核酸から環状核酸のライブラリーを調製することを含む。
【0081】
一実施形態では、反応種の自己コンカテマー化の可能性を減少させることにより、一本鎖核酸を調製する。例えば、3’アダプターを一本鎖核酸の3’末端にライゲーションするために、3’アダプターは、自己コンカテマー化を阻害する保護基を有し得る。同様に、一本鎖核酸の5’末端を脱リン酸化して、自己コンカテマー化を阻害し得る。この反応からのライゲーション産物は、3’保護基を有するライゲーション一本鎖核酸を含むであろう。いくつかの実施形態では、一本鎖核酸の3’末端への3’アダプターのライゲーションは、非常に効率的であることが見出され、体積排除剤の存在下で実施された。5’アダプターがその5’末端にライゲーションされ得るように、3’保護基を有するライゲーション一本鎖核酸の5’末端を脱リン酸化し得る。5’アダプターを、3’保護基を有する再リン酸化ライゲーション一本鎖核酸の5’末端にライゲーションするために、5’アダプターは、自己コンカテマー化を阻害するための脱リン酸化5’末端を有し得る。この反応からのライゲーション産物は、5’アダプターおよび3’アダプターを有する一本鎖核酸を含むであろう。アダプターは、シーケンシングプライマー部位、増幅プライマー部位およびインデックスを含み得る。本明細書で使用される場合、「インデックス」は、核酸にタグ付加するために、および/または核酸の供給源を同定するために分子識別子および/またはバーコードとして使用され得るヌクレオチドの配列を含み得る。いくつかの実施形態では、インデックスは、単一の核酸または核酸のサブ集団を同定するために使用され得る。いくつかの実施形態では、単一反応容器、単一体積で、一本鎖核酸ライブラリーを調製し得る。加えて、本明細書で提供される実施形態は、その後の増幅反応で形成するプライマーダイマー産物の可能性を減少させ得る。
【0082】
一実施形態による例示的な方法は、図1に概説されている。示されているように、標的一本鎖核酸の5’末端を脱リン酸化して、その後のライゲーション工程におけるコンカテマーの形成を防止する。一本鎖リガーゼを使用して、第1アダプターを脱リン酸化標的の3’末端にライゲーションする。第1アダプターによるコンカテマーの形成を防止するために、第1アダプターの3’末端を保護し得る。キナーゼを用いてライゲーション標的の5’末端を再リン酸化し、一本鎖リガーゼを使用して第2アダプターを脱リン酸化標的の5’末端にライゲーションし、それにより、核酸のライブラリーを形成する。第2アダプターによるコンカテマーの形成を防止するために、第2アダプターの5’末端はリン酸化されていなくてもよい。
【0083】
一実施形態による別の例示的な方法は図2に概説されており、アダプターを、3’オーバーハングを有する二本鎖核酸にライゲーションする。いくつかの実施形態では、第1アダプターを、3’オーバーハングを有する二本鎖核酸の3’末端にライゲーションし得る。第1アダプターによるコンカテマーの形成を防止するために、第1アダプターの3’末端を保護し得る。第1アダプターにライゲーションされた二本鎖核酸を脱ハイブリダイズさせて、複数の一本鎖核酸を得ることができる。第2アダプターを一本鎖核酸の5’末端にライゲーションし得る。
【0084】
一実施形態による別の例示的な方法は図3に概説されており、ビーズに付着されたアダプターを使用して、核酸のライブラリーを調製し得る。いくつかのこのような実施形態では、一本鎖リガーゼを使用して、第1アダプターを脱リン酸化標的の3’末端にライゲーションする。ライゲーション第1アダプターを、ビーズに付着されたキャプチャープローブにハイブリダイズさせ得る。キャプチャープローブを伸長させ得、第2アダプターを伸長キャプチャープローブにライゲーションし得る。ビーズから洗浄することにより、非ライゲーション一本鎖アダプターを除去し得る。核酸のライブラリーを調製するためのいくつかの実施形態であって、ビーズに付着されたアダプターの使用を含むいくつかの実施形態は、インデックスを核酸ライブラリーに付加するために有用である。例えば、第1インデックスを含む第1アダプターをビーズに付着させ得、第2インデックスおよびキャプチャープローブを含む第2アダプターを第1アダプターにライゲーションし得る。キャプチャープローブにハイブリダイズさせた標的核酸を伸長させて、第1および第2インデックスを組み込み得る。
【0085】
一実施形態による別の例示的な方法は図4Aに概説されており、第1および第2アダプターを含むリンカーを使用して、一本鎖環状核酸のライブラリーを調製し得る。いくつかのこのような実施形態では、環状核酸の切断可能部位の切断が、一方の末端に第1アダプターと、線状核酸の他方の末端に第2アダプターとを有する線状核酸をもたらし得るように、リンカーは、第1アダプターと第2アダプターとの間に切断可能部位を含み得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、アダプター配列中のプライマー部位を使用して、核酸のライブラリーを増幅し得る。いくつかの実施形態では、その後の増幅工程の効率は、プライマーダイマーの形成により減少され得る。その後の増幅工程の効率を増加させるために、ライゲーション産物から非ライゲーション一本鎖アダプターを除去し得る。図5に概説されており、本明細書にさらに記載される例は、キャプチャープローブとのハイブリダイゼーションによる非ライゲーション一本鎖第1アダプターの除去を含む。図6に概説されており、本明細書にさらに記載される別の例は、5’リン酸依存性エキソヌクレアーゼおよび5’デアデニラーゼを使用した消化による非ライゲーション一本鎖第1アダプターの除去を含む。
一本鎖ライブラリーの調製
【0087】
本明細書で提供されるシステム、方法および組成物のいくつかの実施形態は、アダプターを標的核酸にライゲーションする方法を含む。本明細書で提供される核酸ライブラリーを調製するための本明細書で提供されるいくつかの実施形態は、有利には、単一反応体積で実施され得る。
【0088】
アダプターは、一本鎖核酸などの核酸を含む。アダプターは、約5ヌクレオチド、10ヌクレオチド、20ヌクレオチド、30ヌクレオチド、40ヌクレオチド、50ヌクレオチド、60ヌクレオチド、70ヌクレオチド、80ヌクレオチド、90ヌクレオチド、100ヌクレオチド未満であるか、それらを超えるか、もしくはそれらに等しいか、または前述のサイズのいずれか2つの間の範囲である長さを有する短い核酸を含み得る。アダプターは、シーケンシングプライマー結合部位、増幅プライマー結合部位および/またはインデックスを含み得る。例えば、アダプターは、P5配列、P7配列またはそれらの相補体を含み得る。インデックスは、核酸分子の供給源を同定するために有用であり得る。本明細書で提供される実施形態で有用なインデックスの使用および調製の例は、国際公開第2012/061832号および国際公開第2014/142850号;ならびに米国特許第9074251号、米国特許8829171号(これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に見られ得る。いくつかの実施形態では、例えば一方または両方の末端におけるアダプターの伸長を防止する保護基の付加により、コンカテマーの形成を防止するようにアダプターを改変し得る。保護基は、ワークフローのその後の工程中にそれが付着される化合物の反応を阻止する任意の化学部分、例えば、リガーゼによるアダプターの活性化、リン酸との反応および自己反応を阻止する部分である。3’保護基の例としては、3’スペーサーC3、ジデオキシヌクレオチド、および基体への付着が挙げられる。3’保護基のさらなる例としては、1つまたはそれを超えるヒドロキシル基、チオール、アジドまたはアルキンで必要に応じて置換されたアルキルが挙げられる。いくつかの態様では、保護基は、その後の操作、例えば濃縮、精製、さらなる官能化などに有用な官能性を提供し得る。5’保護基の例としては、脱リン酸化5’ヌクレオチド、および基体への付着(例えば、保護基が、リンカーを介して必要に応じて付着された基体である場合)が挙げられる。
【0089】
標的核酸は、一本鎖核酸および二本鎖核酸を含む。二本鎖核酸を脱ハイブリダイズさせて一本鎖核酸を形成する方法は当技術分野で周知であり、熱的または化学的方法が挙げられる。標的核酸の例としては、DNA、例えばゲノムDNAもしくはcDNA;RNA、例えばmRNA、sRNAもしくはrRNA;またはDNAとRNAとのハイブリッドが挙げられる。核酸は、ホスホジエステル結合を含有し得、例えば、ホスホルアミド、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、O-メチルホスホロアミダイトおよびペプチド核酸骨格および結合を含む他の種類の骨格を含み得る。核酸は、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドの任意の組み合わせ、ならびに、ウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、イソシトシン、イソグアニンならびに塩基アナログ、例えば(3-ニトロピロールを含む)ニトロピロールおよび(5-ニトロインドールを含む)ニトロインドールなどを含む塩基の任意の組み合わせを含有し得る。いくつかの実施形態では、核酸は、少なくとも1つの非特異的塩基を含み得る。非特異的塩基は、1つを超える異なる種類の塩基と塩基対形成し得、例えば、ゲノムDNAサンプルなどの複合体核酸サンプルにおけるランダムハイブリダイゼーションに使用されるオリゴヌクレオチドプライマーまたはインサートに含める場合に有用であり得る。非特異的塩基の例としては、アデニン、チミンまたはシトシンと塩基対形成し得るイノシンが挙げられる。他の例としては、ヒポキサンチン、5-ニトロインドール、アシル化5-ニトロインドール、4-ニトロピラゾール、4-ニトロイミダゾールおよび3-ニトロピロールが挙げられる。少なくとも2つ、3つ、4つまたはそれを超える種類の塩基と塩基対形成し得る非特異的塩基が使用され得る。
【0090】
標的核酸は、サンプル中の二本鎖核酸の平均サイズが約2kb、1kb、500bp、400bp、200bp、100bp、50bp未満であるか、それらを超えるか、もしくはそれらに等しいか、または前述のサイズのいずれか2つの間の範囲であるサンプルを含み得る。いくつかの実施形態では、サンプル中の一本鎖核酸の平均サイズは、約2000ヌクレオチド、1000ヌクレオチド、500ヌクレオチド、400ヌクレオチド、200ヌクレオチド、100ヌクレオチド、50ヌクレオチド未満であるか、それらを超えるか、もしくはそれらに等しいか、または前述のサイズのいずれか2つの間の範囲である。サンプルは、約50μg、10μg、5μg、1μg、500ng、400ng、200ng、100ng、50ng、10ng未満であるか、それらを超えるか、もしくはそれらに等しいか、または前述の量のいずれか2つの間の範囲である量の標的核酸を含み得る。標的核酸は、低品質核酸供給源、例えば分解サンプル、例えば固定サンプルおよび古代サンプルから得られ得る。固定サンプルの例としては、化合物、例えばホルマリン、グルタルアルデヒド、アルコール、オスミン酸およびパラホルムアルデヒドで固定されたものが挙げられる。固定サンプルは、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)サンプルを含み得る。古代サンプルは、約5年、10年、20年、50年、100年、500年、1000年を超えるか、または前述の年のいずれか2つの間の範囲である年を有するものを含み得る。
【0091】
核酸、例えば核酸の5’ヌクレオチドを脱リン酸化する方法は、核酸をホスファターゼと接触させることを含む。ホスファターゼの例としては、子ウシ腸ホスファターゼ、エビアルカリホスファターゼ、南極ホスファターゼおよびAPEXアルカリホスファターゼ(Epicentre,Madison,WI)が挙げられる。
【0092】
一本鎖核酸をライゲーションする方法は、一本鎖核酸をリガーゼと接触させることを含む。一本鎖リガーゼの例としては、T4 RNAリガーゼ1、T4 RNAリガーゼ2、RtcBリガーゼ、メタノバクテリウムRNAリガーゼおよびTS2126 RNAリガーゼ(CIRCLIGASE;Epicentre,Madison WI)が挙げられる。2つの核酸を一緒にライゲーションする方法は、体積排除剤の存在下で反応体積によるものであり得る。本明細書で使用される場合、「体積排除剤」は、反応、例えばライゲーション反応が起こり得る有効体積を減少させる薬剤を含み得る。体積排除剤の例としては、ポリマー、例えば不活性ポリマー、例えばポリエチレングリコール(PEG)、フィコール、デキストラン、ヘタスターチおよびポリビニルピロリドンが挙げられる。本明細書で提供される実施形態で有用なPEGの例としては、PEG600、PEG800、PEG1000、PEG6000およびPEG8000が挙げられる。反応体積は、約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%未満であるか、それらを超えるか、もしくはそれらに等しいか、または前述の割合のいずれか2つの間の範囲である濃度、例えば(重量/体積)の体積排除剤を含み得る。
【0093】
核酸、例えば核酸の5’ヌクレオチドをリン酸化する方法は、核酸をキナーゼと接触させることを含む。キナーゼの例としては、T4ポリヌクレオチドキナーゼが挙げられる。
【0094】
本明細書で提供されるいくつかの実施形態は、単一反応体積で実施され得る。いくつかの実施形態では、核酸を調製する方法は、短縮期間内、例えば約12時間未満の期間、約6時間未満の期間または約3時間未満の期間内に実施され得る。
【0095】
一実施形態は図1に示されており、標的二本鎖DNA断片を脱リン酸化および変性して標的一本鎖DNAを形成する。リガーゼ、例えばCIRCLIGASE(商標)(Lucigen Corporation,Middleton,WI)を用いて、リン酸化5’末端、P7’配列および保護3’末端を含む第1の64bpアダプターを標的一本鎖DNAの3’末端にライゲーションして、ライゲーションDNAを形成する。キナーゼ、例えばT4ポリヌクレオチドキナーゼを用いて、ライゲーションDNAの5’末端をリン酸化する。P5配列を含む第2の60bpアダプターをリン酸化ライゲーションDNAの5’にライゲーションして、DNAライブラリーのメンバー(5’-P5-ssDNAインサート-P7-3’)を形成する。例示的なプライマー配列は、P5プライマー配列(配列番号01:aatgatacggcgaccaccga);P5’プライマー配列(配列番号02:tcggtggtcgccgtatcatt);P7プライマー配列(配列番号03:caagcagaagacggcatacga);およびP7’プライマー配列(配列番号04:tcgtatgccgtcttctgcttg)を含み得る。
【0096】
いくつかの実施形態では、核酸のライブラリーを調製する方法は、標的一本鎖核酸の5’末端を脱リン酸化して、その後のライゲーション工程におけるコンカテマーの形成を防止すること;一本鎖リガーゼを使用して、第1アダプターを脱リン酸化標的の3’末端にライゲーションすること(ここで、第1アダプターの3’末端は保護されている);ライゲーション標的の5’末端の再リン酸化すること;一本鎖リガーゼを使用して、第2アダプターを脱リン酸化標的の5’末端にライゲーションし(ここで、第2アダプターの5’末端はリン酸化されていない)、それにより、核酸のライブラリーを得ることを含み得る。いくつかの実施形態では、第2アダプターは基体に付着されている。いくつかの実施形態では、基体はビーズを含む。
【0097】
いくつかの実施形態は、第2アダプターを脱リン酸化標的の5’末端にライゲーションする前に、非ライゲーション一本鎖第1アダプターを除去することを含む。いくつかの実施形態では、非ライゲーション一本鎖第1アダプターをキャプチャープローブにハイブリダイズさせ得る。いくつかの実施形態では、キャプチャープローブは、第1アダプターの少なくとも一部に相補的な配列を含む。いくつかのこのような実施形態では、キャプチャープローブへのハイブリダイゼーションは、一本鎖第2アダプターへの非ライゲーション第1アダプターのライゲーションを阻害する。いくつかの実施形態では、キャプチャープローブの3’末端は保護基を含む。いくつかの実施形態では、キャプチャープローブの5’末端は保護基を含む。いくつかの実施形態では、消化により、非ライゲーション一本鎖第1アダプターを除去し得る。いくつかの実施形態では、非ライゲーション一本鎖第1アダプターの消化は、非ライゲーション一本鎖第1アダプターを5’リン酸依存性エキソヌクレアーゼと接触させ、5’デアデニラーゼとも必要に応じて接触させることを含む。
【0098】
別の実施形態は図2に示されており、5’エキソヌクレアーゼを用いて二本鎖標的核酸を部分的に消化して、一本鎖3’オーバーハングを有する二本鎖核酸を形成する。リガーゼ、例えばCIRCLIGASE(商標)を用いて、リン酸化5’末端、P7’配列および保護3’末端を含む第1の64bpアダプターを標的二本鎖DNAの3’末端にライゲーションして、ライゲーションDNAを形成する。ライゲーションDNAを脱ハイブリダイズさせて、一本鎖核酸を形成する。P5配列を含む第2の60bpアダプターをリン酸化ライゲーションDNAの5’にライゲーションして、DNAライブラリーのメンバー(5’-P5-ssDNAインサート-P7-3’)を形成する。
【0099】
いくつかの実施形態では、核酸のライブラリーを調製する方法は、標的二本鎖核酸を5’エキソヌクレアーゼと接触させて、一本鎖3’オーバーハングを有する複数の改変二本鎖核酸を得ること;リガーゼおよび体積排除剤の存在下で、第1アダプターを改変二本鎖核酸の3’末端にライゲーションすること(ここで、第1アダプターの3’末端は保護基を含む);第1アダプターにライゲーションされた改変二本鎖核酸を脱ハイブリダイズさせて、複数の一本鎖核酸を得ること;リガーゼの存在下で、第2アダプターを一本鎖核酸の5’末端にライゲーションし、それにより、核酸のライブラリーを得ることを含み得る。
【0100】
一実施形態は図3に示されており、アルカリホスファターゼを用いて標的一本鎖DNAを脱リン酸化する。リガーゼ、例えばCIRCLIGASE(商標)を用いて、リン酸化5’末端、P5’配列および保護3’末端を含む第1アダプターを標的一本鎖DNAの3’末端にライゲーションして、ライゲーションDNAを形成する。第1アダプターを介してライゲーションDNAを、P5配列を含有するキャプチャープローブにハイブリダイズさせ、ビーズに付着させる。キャプチャープローブを伸長させて伸長DNAを形成し、伸長DNAからライゲーションDNAを除去する。リガーゼ、例えばCIRCLIGASE(商標)を用いて、リン酸化5’末端、P7’配列および保護3’末端を含む第2アダプターを伸長DNAの3’末端にライゲーションして、ビーズに付着されたDNAライブラリーのメンバー(P5-インサート’-P7’)を形成する。
【0101】
いくつかの実施形態では、核酸のライブラリーを調製する方法は、標的一本鎖核酸の5’末端を脱リン酸化すること;リガーゼおよび体積排除剤の存在下で、第1アダプターを一本鎖核酸の3’末端にライゲーションすること(ここで、第1アダプターの3’末端は保護基を含む);ライゲーション第1アダプターをキャプチャープローブとハイブリダイズさせること;キャプチャープローブを伸長させること、およびリガーゼの存在下で、第2アダプターを伸長キャプチャープローブの3’末端にライゲーションし(ここで、第2アダプターの3’末端は保護基を含む)、それにより、核酸のライブラリーを得ることを含み得る。いくつかの実施形態はまた、伸長キャプチャープローブからハイブリダイズライゲーション第1アダプターを除去することを含む。いくつかの実施形態では、キャプチャープローブは基体に付着されている。いくつかの実施形態では、キャプチャープローブを有する基体は、フローセル、ビーズ、ガラス、制御細孔ガラス、プラスチック、シリコン、溶融シリカ、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、シリコン誘導体、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、アルミニウム、セラミック、ポリイミド、石英、樹脂またはポリマーもしくはコポリマー(例えば、ポリスチレン)である。基体は、複数の材料の層または材料の混合物から構成され得る。基体は、剛性または半剛性のものであり得る。基体は、板状、丸状またはテクスチャード加工のものであり得る。いくつかの実施形態では、基体は、その上にコーティングされた1つまたはそれを超えるポリマー材料を有する剛性材料、例えばガラスおよび/またはシリカ誘導体であり得る。いくつかの実施形態では、基体はビーズを含む。いくつかの実施形態では、キャプチャープローブはキャプチャープローブインデックスを含む。いくつかの実施形態では、キャプチャープローブインデックスは、キャプチャープローブの供給源を示すものである。いくつかの実施形態では、キャプチャープローブは切断可能リンカーを含む。いくつかの実施形態はまた、切断可能リンカーを切断することを含む。いくつかの実施形態では、キャプチャープローブを基体、例えばフローセルに付着させ(図26を参照のこと)、次いで、基体上で伸長を行う。基体がフローセルである場合、得られたライブラリーを直接配列決定し得る。いくつかの実施形態では、前記方法は、例えば図26に示されているように、相補的プライマーを伸長キャプチャープローブにハイブリダイズさせること、3’保護基を含有するP7’アダプターを伸長キャプチャープローブの3’末端にライゲーションすること、および相補的プライマーを脱ハイブリダイズさせることをさらに含む。
【0102】
一実施形態は図4Aに示されており、標的二本鎖DNA断片を脱リン酸化し、変性させて標的一本鎖DNAを形成する。5’から3’にリン酸化5’末端、P7’配列、切断可能部位(「U」)、P5配列および保護3’末端(「R」)を含むアダプターを提供する。リガーゼを用いて、アダプターを標的一本鎖DNAの3’末端にライゲーションして、ライゲーションDNAを形成する。キナーゼを用いて、ライゲーションDNAの5’末端をリン酸化する。ライゲーションDNAの保護3’末端を脱保護し、リガーゼによるライゲーションによりライゲーションDNAを環状化して、環状一本鎖DNAを含むライブラリーのメンバーを形成する。いくつかの実施形態では、様々な技術のいずれか1つにより、環状核酸を使用して、一本鎖核酸を生成し得る。いくつかの例示的な実施形態は図4Bに示されており、ウラシル残基を含み得る切断可能部位を切断することにより、環状核酸を線状化し得る。また、アダプター内のプライマー部位を使用した増幅、例えばPCRにより、環状核酸を使用して、一本鎖核酸を生成し得る。また、ローリングサークル増幅(RCA)により、環状核酸を増幅し得る。
【0103】
いくつかの実施形態では、核酸のライブラリーを調製する方法は、標的一本鎖核酸の5’末端を脱リン酸化すること;リンカーを一本鎖核酸の3’末端にライゲーションすること(ここで、リンカーは第1アダプターおよび第2アダプターを含み、リンカーの3’末端は保護基を含む);ライゲーション一本鎖核酸の5’末端をリン酸化すること;リン酸化核酸の3’末端を脱保護すること、およびライゲーションにより脱保護核酸を環状化し、それにより、環状核酸のライブラリーを得ることを含み得る。
【0104】
いくつかの実施形態では、リンカーは、第1アダプターと第2アダプターとの間に切断可能部位を含む。いくつかのこのような実施形態では、環状核酸の切断可能部位の切断は、一方の末端に第1アダプターと、線状核酸の他方の末端に第2アダプターとを有する線状核酸をもたらし得る。いくつかの実施形態では、切断可能部位としては、制限部位、少なくとも1つのウラシル残基を含む部位、ならびに非定型塩基、例えば8-オキソグアニンおよびジチオール基を含有する部位が挙げられる。いくつかの実施形態は、切断可能部位における切断により、環状核酸を線状化することを含む。切断可能部位の切断の例は、部位をウラシル特異的切除試薬、例えばウラシルDNAグリコシラーゼ(UDG)およびDNAグリコシラーゼ-リアーゼエンドヌクレアーゼVIIIもしくはそれらの混合物から選択される酵素と接触させること、または部位を制限エンドヌクレアーゼと接触させることを含む。
【0105】
いくつかの実施形態はまた、プライマーを第1および第2アダプターにハイブリダイズさせることを含むことにより、環状核酸を増幅することを含む。増幅方法の例としては、PCR、ローリングサークル増幅(RCA)およびクラスタ増幅が挙げられる。いくつかのこのような実施形態では、RCAによる増幅を溶液中で実施し得るか、または環状一本鎖核酸を表面、例えばフローセルの表面上に捕捉させ、増幅し得る。いくつかの実施形態では、増幅は、環状核酸を、テンプレート中のウラシル残基との接触により線状生成物を形成するポリメラーゼと接触させることを含む。例示的なポリメラーゼとしては、パイロコッカス様プルーフリーディングポリメラーゼ、例えばPHUSION DNAポリメラーゼが挙げられる。
【0106】
いくつかの実施形態は、一本鎖核酸ライブラリーを調製する方法であって、(a)複数の一本鎖核酸を得ること;(b)一本鎖核酸をAPEXアルカリホスファターゼと接触させ、それにより、一本鎖核酸の5’末端を脱リン酸化すること;(c)TS2126 RNAリガーゼ(Lucigen Corporation,Middleton,WI)および少なくとも45%(w/v)のポリエチレングリコール(PEG)を含む反応体積で、第1アダプターを一本鎖核酸の3’末端にライゲーションすること(ここで、第1アダプターの3’末端は3’スペーサーC3保護基を含む);(d)ライゲーション一本鎖核酸をT4ポリヌクレオチドキナーゼと接触させ、それにより、ライゲーション一本鎖核酸の5’末端をリン酸化すること;ならびに(e)リガーゼおよびPEGの存在下で、第2アダプターをリン酸化ライゲーション一本鎖核酸の5’末端にライゲーションし(ここで、第2アダプターの5’末端はリン酸化されていない)、それにより、核酸のライブラリーを得ることを含む方法を含む。
【0107】
いくつかの実施形態は、一本鎖核酸ライブラリーを調製する方法であって、(a)複数の二本鎖核酸を得ること;(b)二本鎖核酸を5’エキソヌクレアーゼと接触させて、一本鎖3’オーバーハングを有する複数の改変二本鎖核酸を得ること;(c)TS2126 RNAリガーゼおよび少なくとも45%(w/v)のポリエチレングリコール(PEG)を含む反応体積で、第1アダプターを改変二本鎖核酸の3’末端にライゲーションすること(ここで、第1アダプターの3’末端は3’スペーサーC3保護基を含む);(d)第1アダプターにライゲーションされた改変二本鎖核酸を脱ハイブリダイズさせて、複数の一本鎖核酸を得ること;および(e)リガーゼおよびPEGの存在下で、第2アダプターを一本鎖核酸の5’末端にライゲーションし(ここで、第2アダプターの5’末端はリン酸化されていない)、それにより、核酸のライブラリーを得ることを含む方法を含む。
【0108】
いくつかの実施形態は、一本鎖核酸ライブラリーを調製する方法であって、(a)複数の一本鎖核酸を得ること;(b)一本鎖核酸をAPEXアルカリホスファターゼと接触させ、それにより、一本鎖核酸の5’末端を脱リン酸化すること;(c)TS2126 RNAリガーゼおよび少なくとも45%(w/v)のポリエチレングリコール(PEG)を含む反応体積で、第1アダプターを一本鎖核酸の3’末端にライゲーションすること(ここで、第1アダプターの3’末端は3’スペーサーC3保護基を含む);(d)ライゲーション一本鎖核酸をT4ポリヌクレオチドキナーゼと接触させ、それにより、ライゲーション一本鎖核酸の5’末端をリン酸化すること;(e)一本鎖第1アダプターをキャプチャープローブとハイブリダイズさせることにより、ライゲーション一本鎖核酸から非ライゲーション一本鎖第1アダプターを除去すること(ここで、キャプチャープローブは、3’スペーサーC3保護基を含む3’末端、非リン酸化5’末端、および第1アダプターの少なくとも一部に相補的な配列を含む);ならびに(f)リガーゼおよびPEGの存在下で、第2アダプターをリン酸化ライゲーション一本鎖核酸の5’末端にライゲーションし(ここで、第2アダプターの5’末端はリン酸化されていない)、それにより、核酸のライブラリーを得ることを含む方法を含む。
【0109】
いくつかの実施形態は、ビーズに付着された核酸ライブラリーを調製する方法であって、(a)複数の一本鎖核酸を得ること;(b)一本鎖核酸をAPEXアルカリホスファターゼと接触させ、それにより、一本鎖核酸の5’末端を脱リン酸化すること;(c)TS2126 RNAリガーゼおよび少なくとも45%(w/v)のポリエチレングリコール(PEG)を含む反応体積で、第1アダプターを一本鎖核酸の3’末端にライゲーションすること(ここで、第1アダプターの3’末端は3’スペーサーC3保護基を含む);(d)ライゲーション第1アダプターをキャプチャープローブとハイブリダイズさせること(ここで、キャプチャープローブはビーズに付着されている);(e)キャプチャープローブを伸長させること;ならびに(f)リガーゼおよびPEGの存在下で、第2アダプターを伸長キャプチャープローブの3’末端にライゲーションし(ここで、第2アダプターの5’末端はリン酸化されていない)、それにより、核酸のライブラリーを得ることを含む。
【0110】
いくつかの実施形態は、インデックス付き核酸ライブラリーを調製する方法であって、(a)第1インデックスを含む複数の第1一本鎖核酸(ここで、第1一本鎖核酸の5’末端は複数のビーズに付着されている)と、第2インデックスおよびキャプチャープローブを含む複数の第2一本鎖核酸(ここで、第2一本鎖核酸の3’末端は3’スペーサーC3保護基を含む)とを得ること;(b)TS2126 RNAリガーゼおよび少なくとも45%(w/v)のポリエチレングリコール(PEG)を含む反応体積で、第1一本鎖核酸の3’末端を第2一本鎖核酸の5’末端にライゲーションすること;(c)標的核酸をキャプチャープローブにハイブリダイズさせること;ならびに(d)標的核酸を伸長させ、それにより、インデックス付き核酸のライブラリーを得ることを含む。
非ライゲーション一本鎖アダプターの除去
【0111】
本明細書で提供されるシステム、方法および組成物のいくつかの実施形態は、ライゲーションアダプター、例えば一本鎖核酸にライゲーションされたアダプターから一本鎖非ライゲーションアダプターを除去することを含む。いくつかの実施形態では、ライゲーションアダプターからの一本鎖非ライゲーションアダプターの除去は、調製される核酸ライブラリーを増幅する(例えば、その後の増幅工程におけるプライマーダイマー形成の可能性または量を減少させる)効率を増加させ得る。
【0112】
いくつかの実施形態は、一本鎖非ライゲーションアダプターを除去するシステムまたは方法を含み、一本鎖非ライゲーションアダプターをキャプチャープローブとハイブリダイズさせることを含み得る。一実施形態は図5に示されており、標的二本鎖DNA断片を脱リン酸化し、変性させて標的一本鎖DNAを形成する。リガーゼを用いて、リン酸化5’末端、P7’配列および保護3’末端を含む第1の64bpアダプターを標的一本鎖DNAの3’末端にライゲーションして、ライゲーションDNAを形成する。キナーゼ、例えばT4ポリヌクレオチドキナーゼを用いて、ライゲーションDNAの5’末端をリン酸化する。P7配列を含有するキャプチャープローブへのハイブリダイゼーションにより、ライゲーションDNAから非ライゲーション第1アダプターを除去する。P5配列を含む第2の60bpアダプターをリン酸化ライゲーションDNAの5’にライゲーションして、DNAライブラリーのメンバー(5’-P5-ssDNAインサート-P7-3’)を形成する。いくつかのこのような実施形態では、キャプチャープローブへのハイブリダイゼーションは、一本鎖第2アダプターへの非ライゲーション第1アダプターのライゲーションを阻害し得る。いくつかの実施形態では、キャプチャープローブは、一本鎖非ライゲーションアダプターの少なくとも一部の相補体を含み得る。いくつかの実施形態では、キャプチャープローブは、コンカテマーの形成を防止するために3’および/または5’保護基を含み得る。いくつかの実施形態では、キャプチャープローブは、基体、例えばビーズに付着され得る。
【0113】
一本鎖非ライゲーションアダプターを除去するいくつかの実施形態は、一本鎖非ライゲーションアダプターを消化することを含み得る。いくつかのこのような実施形態は、一本鎖非ライゲーションアダプターをヌクレアーゼ、例えば5’リン酸依存性エキソヌクレアーゼ、例えばTERMINATOR(Epicentre,Madison,WI)と接触させることを含み得る。一実施形態は図6に示されており、標的二本鎖DNA断片を脱リン酸化し、変性させて標的一本鎖DNAを形成する。リガーゼを用いて、リン酸化5’末端、P7’配列および保護3’末端を含む第1の64bpアダプターを標的一本鎖DNAの3’末端にライゲーションして、ライゲーションDNAを形成する。5’リン酸依存性エキソヌクレアーゼおよび5’デアデニラーゼによる消化により、非ライゲーション第1アダプターを除去する。キナーゼ、例えばT4ポリヌクレオチドキナーゼを用いて、ライゲーションDNAの5’末端をリン酸化する。P5配列を含む第2の60bpアダプターをリン酸化ライゲーションDNAの5’にライゲーションして、DNAライブラリーのメンバー(5’-P5-ssDNAインサート-P7-3’)を形成する。
【0114】
一本鎖非ライゲーションアダプターを除去するいくつかの実施形態は、ビーズの使用を含み得る。有利には、ビーズの使用は、ビーズからの反応物の成分と、ビーズに付着された成分とを洗浄することを含み得る。いくつかの実施形態では、第1アダプターを脱リン酸化一本鎖核酸の3’末端にライゲーションし得る。第1アダプターは3’保護基を含み得、標的配列を含み得る。標的配列を、基体に付着されたキャプチャープローブにハイブリダイズさせ得る。いくつかの実施形態では、基体はビーズを含み得る。キャプチャープローブは、シーケンシングプライマー部位、インデックスおよび増幅プライマー部位を含み得る。基体およびハイブリダイズライゲーション一本鎖核酸から一本鎖非ライゲーションアダプターを洗浄し得る。キャプチャープローブを伸長させ得る。いくつかの実施形態では、伸長キャプチャープローブからハイブリダイズライゲーション一本鎖核酸を除去し得る。第2アダプターを伸長キャプチャープローブの5’末端にライゲーションし得る。いくつかの実施形態では、第2アダプターは、3’末端に保護基を含む。第2アダプターは、シーケンシングプライマー部位、インデックスおよび増幅プライマー部位を含み得る。
インデックス付きライブラリーの調製
【0115】
本明細書で提供されるシステム、方法および組成物のいくつかの実施形態は、インデックス付き核酸ライブラリーを調製する方法を含む。アダプターおよび/またはキャプチャープローブは、インデックスを含み得る。本明細書で提供される実施形態で有用なインデックスの使用および調製の例は、国際公開第2012/061832号および国際公開第2014/142850号;ならびに米国特許第9074251号、米国特許第8829171号(これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に見られ得る。いくつかの実施形態では、ライゲーションにより、インデックスを標的核酸に組み込み得る。いくつかの実施形態では、キャプチャープローブ、アダプターまたは標的核酸の伸長により、インデックスを核酸に組み込み得る。したがって、本明細書で提供される方法により、インデックス付きライブラリーを容易に調製し得る。
【0116】
いくつかの実施形態では、キャプチャープローブの集団を調製し得る。いくつかの実施形態では、第1アダプターを第2アダプターにライゲーションすることにより、キャプチャープローブを調製し得る。アダプターはそれぞれ、インデックスを含み得る。第1アダプターは、基体、例えばビーズに付着させ得る。第2アダプターは、ハイブリダイゼーションプローブを含み得る。ハイブリダイゼーションプローブは、標的一本鎖核酸にハイブリダイズし得る。標的一本鎖核酸をハイブリダイゼーションプローブにハイブリダイズさせ、伸長させ、それにより、アダプターの1つまたはそれよりも多くのインデックスに相補的な配列を組み込み得る。
【0117】
いくつかの実施形態は、第1インデックスを含む複数の第1アダプター(ここで、第1アダプターの5’末端は5’保護基を含む)と、第2インデックスおよびキャプチャープローブを含む複数の第2アダプター(ここで、第2アダプターの3’末端は3’保護基を含む)とを得ることを含み得る。いくつかの実施形態はまた、リガーゼの存在下で、第1一本鎖核酸の3’末端を第2一本鎖核酸の5’末端にライゲーションすることを含む。いくつかの実施形態はまた、標的核酸をキャプチャープローブにハイブリダイズさせることを含む。いくつかの実施形態はまた、標的核酸を伸長させ、それにより、インデックス付き核酸のライブラリーを得ることを含む。いくつかの実施形態はまた、伸長標的核酸を増幅することを含む。いくつかの実施形態では、5’保護基は、脱リン酸化ヌクレオチド、または基体への付着を含む。いくつかの実施形態では、基体は複数のビーズを含む。
キット、反応容器、フローセル
【0118】
本明細書で提供されるシステムおよび方法の実施形態は、核酸、例えば一本鎖核酸および/または二本鎖核酸へのアダプターのライゲーションにより、核酸ライブラリーを調製するために有用な構成要素のいずれか1つまたはそれよりも多くを含有するキット、反応容器およびフローセルを含む。例示的な構成要素としては、第1アダプター(ここで、第1アダプターの3’末端は保護基を含む)、リガーゼ、体積排除剤、脱リン酸化剤、第2アダプター(ここで、第2アダプターの5’末端は保護基を含む)、シーケンシングプライマー、増幅プライマー、インデックスを含む核酸、および5’エキソヌクレアーゼが挙げられる。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書で提供される任意の方法のための試薬を含み得る。いくつかの実施形態では、キットは反応容器を含み得る。いくつかの実施形態では、キットは、反応容器を含むフローセルを含み得る。
【0119】
いくつかの実施形態は、本明細書で提供される方法を実施し得る反応体積を含む反応容器を含む。いくつかのこのような実施形態では、反応容器は、本明細書で提供される方法の任意の段階または工程の構成要素を含み得る。いくつかの実施形態では、反応容器は、複数の核酸、例えば一本鎖核酸および/または二本鎖核酸;第1アダプター(ここで、第1アダプターの3’末端は保護基を含む);リガーゼ;ならびに体積排除剤を含み得る。いくつかの実施形態では、反応容器はまた、第2アダプターを含み得る。いくつかの実施形態では、反応容器はまた、脱リン酸化剤を含み得る。
【0120】
いくつかの実施形態では、反応容器は反応体積を含み得る。いくつかの実施形態では、反応体積は、複数の核酸、例えば一本鎖核酸および/または二本鎖核酸;第1アダプター(ここで、第1アダプターの3’末端は保護基を含む);第2アダプター;脱リン酸化剤;リガーゼ;ならびに体積排除剤を含み得る。いくつかの実施形態では、反応体積は、第1インデックスを含む複数の第1一本鎖核酸(ここで、第1一本鎖核酸の5’末端は5’保護基を含む);第2インデックスおよびキャプチャープローブを含む複数の第2一本鎖核酸(ここで、第2一本鎖核酸の3’末端は3’保護基を含む);ならびにリガーゼを含み得る。
【0121】
いくつかの実施形態では、第1アダプターを複数の一本鎖核酸の3’末端にライゲーションし、それにより、複数の改変一本鎖核酸を形成する。いくつかの実施形態では、非ライゲーション第1アダプターをキャプチャープローブにハイブリダイズさせる。いくつかの実施形態では、キャプチャープローブは、第1アダプターの少なくとも一部に相補的な配列を含む。
【0122】
いくつかの実施形態では、第2アダプターの5’末端はリン酸化されていない。いくつかの実施形態では、第2アダプターを複数の改変一本鎖核酸の5’末端にライゲーションする。いくつかの実施形態では、脱リン酸化剤はホスファターゼを含む。いくつかの実施形態では、ホスファターゼは不活性化されている。ホスファターゼの例としては、子ウシ腸ホスファターゼ、エビアルカリホスファターゼ、南極ホスファターゼおよびAPEXアルカリホスファターゼが挙げられる。
【0123】
いくつかの実施形態では、第1アダプターおよび/または第2アダプターは、シーケンシングプライマー結合部位を含み得る。シーケンシング結合部位の例としては、P7配列、その相補体またはその逆相補体;およびP5配列、その相補体またはその逆相補体が挙げられる。
【0124】
いくつかの実施形態では、第1アダプターおよび/または第2アダプターは、アダプターインデックスを含み得る。いくつかの実施形態では、第1アダプターインデックスは、第2アダプターインデックスと異なるものである。いくつかの実施形態では、アダプターインデックスは、複数の一本鎖核酸の供給源を示すものである。
【0125】
本明細書で提供されるいくつかの実施形態は、第1インデックスを含む複数の第1一本鎖核酸(ここで、第1一本鎖核酸の5’末端は5’保護基を含む);第2インデックスおよびキャプチャープローブを含む複数の第2一本鎖核酸(ここで、第2一本鎖核酸の3’末端は3’保護基を含む);ならびにリガーゼを含む反応体積を含む反応容器を含む。
【0126】
いくつかの実施形態では、保護基は、3’スペーサーC3、ジデオキシヌクレオチドまたはリン酸基を含む。いくつかの実施形態では、保護基は、基体への付着を含み得る。基体の例としては、ビーズが挙げられる。
【0127】
いくつかの実施形態では、体積排除剤は、ポリエチレングリコール(PEG)、デキストラン、ヘタスターチ、フィコールおよびポリビニルピロリドンからなる群より選択される。本明細書で提供される実施形態で有用なPEGの例としては、PEG600、PEG800、PEG1000、PEG6000およびPEG8000が挙げられる。反応体積は、約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%未満であるか、それらを超えるか、もしくはそれらに等しいか、または前述の割合のいずれか2つの間の範囲である濃度、例えば(重量/体積)の体積排除剤を含み得る。
【0128】
いくつかの実施形態では、リガーゼは一本鎖核酸リガーゼを含む。一本鎖核酸リガーゼの例としては、T4 RNAリガーゼ1、T4 RNAリガーゼ2、RtcBリガーゼ、メタノバクテリウムRNAリガーゼおよびTS2126 RNAリガーゼ(CIRCLIGASE)が挙げられる。
【0129】
本明細書で提供されるいくつかの実施形態は、本明細書で提供される反応容器を含むフローセルを含む。いくつかの実施形態は、本明細書で提供される反応容器と、シーケンシングデータを得るための検出器とを含むシステムを含む。
【0130】
フローセルは、1つまたはそれを超える流体試薬が流れ得る表面を有するチャンバーを含み得る。一般に、フローセルは、流体の流れを促進するための入口開口部および出口開口部を有するであろう。本開示の方法において容易に使用され得るフローセルおよび関連流体システムおよび検出プラットフォームの例は、例えば、Bentleyら、Nature 456:53-59(2008)、国際公開第04/018497号;米国特許第7,057,026号;国際公開第91/06678号;国際公開第071123744号;米国特許第7,329,492号;米国特許第7,211,414号;米国特許第7,315,019号;米国特許第7,405,281号および米国特許出願公開第2008/0108082号(これらはそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【実施例
【0131】
実施例1-一本鎖標的核酸へのアダプターのライゲーション
標的核酸として一本鎖DNAを使用して、4段階一本鎖DNA(ssDNA)ライブラリー調製方法を実施した。図1は、標的核酸の5’脱リン酸化;標的核酸の3’末端への3’アダプターのライゲーション(ここで、3’アダプターの3’末端は、自己コンカテマー化を阻害するために保護されている);ライゲーション標的核酸の5’脱リン酸化の再リン酸化;およびライゲーション標的核酸の5’末端への5’アダプターのライゲーション(ここで、5’アダプターの5’末端は、自己コンカテマー化を阻害するために保護されている)を含む4つの工程の概要を提供する。
【0132】
脱リン酸化工程を調べるために、25%ポリエチレングリコール(PEG)を含む反応体積で、アルカリホスファターゼのAPEXホスファターゼ(Epicentre,Madison,WI)を使用して、60mer一本鎖核酸(3’OH-60-Phos5’)の5’末端を脱リン酸化した。一本鎖リガーゼのCIRCLIGASE(商標)リガーゼ(Lucigen Corporation,Middleton,WI)を使用して5’脱リン酸化の程度をアッセイして、脱リン酸化産物がコンカテマーを形成しなかったことを確認した。図7に示されているように、アルカリホスファターゼの脱リン酸化効率は約100%であった。
【0133】
第1ライゲーション工程を調べるために、25%PEGを含有する反応体積でCIRCLIGASEを使用して、3’保護基を含有する64merP7’アダプター(3’C3-P7-phos5’)を脱リン酸化60mer一本鎖核酸(3’OH-60-OH5’)の3’末端にライゲーションした。P7’アダプターの3’末端を保護して、自己コンカテマー化を阻害した。図8に示されているように、このライゲーション工程(レーン2)の収率は97.5%であると決定された。
【0134】
キナーゼ工程を調べるために、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(PNK)を使用して、3’保護基を有するライゲーション64merアダプター(3’C3-P7-60-OH)を含有する124mer脱リン酸化一本鎖核酸の5’末端を再脱リン酸化した。図9に示されているように、再リン酸化は約99%の収率を有すると決定された。
【0135】
第2ライゲーション工程を調べるために、1.6%PEGを含有する反応体積でCIRCLIGASEを使用して、非リン酸化5’末端(5’P5-OH)を有する60merP5アダプターを124mer一本鎖核酸(3’C3-60-B2-Phos)の5’末端にライゲーションした。124mer一本鎖核酸は、3’保護基を有するライゲーション64merアダプター(3’C3-P7-phos5’)を含んでいた。図10に示されているように、このライゲーション工程(レーン2)の収率は>85%であると決定された。したがって、4段階ssDNAライブラリー調製アプローチの全体的な収率は>80%であった。
実施例2-無細胞標的核酸へのアダプターのライゲーション
【0136】
無細胞DNA(cfDNA)を使用して、図1に概説されているスキームを実施した。APEXアルカリホスファターゼを使用して二本鎖標的核酸を脱リン酸化し、脱ハイブリダイズさせて、一本鎖標的核酸を形成した。第1ライゲーション工程を調べるために、22.5%PEGを含有する反応体積でCIRCLIGASEを3時間使用して、3’保護基を含有する64merP7’アダプター(3’C3-P7-phos5’)を一本鎖脱リン酸化無細胞DNA(cfDNA)の3’末端にライゲーションした。図11に示されているように、このライゲーション工程(レーン2)の収率は95%超であると決定された。
【0137】
キナーゼ工程を調べるために、T4ポリヌクレオチドキナーゼ(PNK)を用いて脱リン酸化cfDNA(cfDNA[Apex])を処理し、3’保護基を含有する64merP7’アダプター(3’C3-P7-phos5’)を再リン酸化cfDNAの3’末端にライゲーションした。11.25%PEGを含有する体積で、反応を1時間実施した(図12)。
【0138】
第2ライゲーション工程を調べるために、3’保護基を含有する64merP7’アダプター(3’C3-P7-phos5’)を脱リン酸化cfDNAの3’末端にライゲーションし、キナーゼ(PNK)を用いて、得られた第1ライゲーション産物(3’C3-P7-cfDNA-phos5’)を処理し、非リン酸化5’末端(5’P5-OH)を有する60merP5アダプターを第1ライゲーション産物の5’末端にライゲーションして、第2ライゲーション産物(P7’-cfDNA-P5)を形成した。3.8%PEGを含有する反応体積でCIRCLIGASEを使用して、反応を実施した。図13は、ライゲーション産物(P7’-cfDNA-P5)および(P7’-P5)を示す。
実施例3-ライゲーション産物の分析
【0139】
実施例2のライゲーション産物をゲル上で分離し、ライゲーション産物のバンドをゲルから抽出し、抽出したライゲーション産物を増幅し、キャピラリー電気泳動(BioAnalyzer,Agilent)を使用して増幅産物を分離した。
【0140】
ライゲーション産物をゲル上で分離し、バンドBの抽出物B1および抽出物B2をゲルから切り取った。図14に示されているように、レーン「参照」では、抽出物B1は2つの黒枠によりマークされており、抽出物B2は1つの白枠によりマークされている。PCR P7プライマーに対して1:40~1:20の比で非PCR(増幅不能)P7プライマーを含むPCRにより、24サイクルで抽出物を増幅した。サンプルに対して2:1の比で固相可逆固定化(SPRI)ビーズを使用して、PCR産物を抽出した。結果は、図14に示されている。
【0141】
キャピラリー電気泳動(BioAnalyser,Agilent)により、抽出物B1およびB2の増幅産物をさらに分析した。図15に示されているように、抽出物B2は主に127bp(P7’-P5)種を含有しており、抽出物B1は、292bp(P7’-cfDNA-P5)種および480bp(P7’-cfDNA-P5)種を含んでいた。
【0142】
ゲル抽出物を精製するために使用したSPRIビーズの量を変化させて、プライマーダイマーを除去するために有効な比を決定した(図16)。1.2:1のSPRIビーズ:サンプル(v:v)がプライマーダイマーの除去に最も有効であり、cfDNAライブラリーの大部分が喪失しなかった。
実施例4-非ライゲーションP7’プライマーの捕捉
【0143】
図5に概説されているスキームを使用して、過剰な非ライゲーションP7’プライマーを除去した。簡潔に言えば、標的核酸の3’末端へのP7’アダプタープライマーのライゲーション後、P7’アダプタープライマーに相補的なP7プライマーを反応体積に追加した。P7プライマーは、その5’および3’末端に保護基を含んでいた。P7プライマーの追加後、P5アダプターを再リン酸化ライゲーション標的核酸の5’末端にライゲーションした。
【0144】
25%PEGを含有する反応体積で、63merP7’プライマー(3’C3-P7’phos5’)をcfDNAの3’末端にライゲーションした。図17に示されているように、ライゲーション産物の収率は>95%であった。キャプチャープローブの存在下におけるライゲーションを調べるために、5’保護基および3’保護基を含有する63merP7キャプチャープローブ(3’C3-P7-C35’)の存在下で、非リン酸化5’末端(5’P5-OH)を有する60merP5アダプターを第1ライゲーション産物(3’C3-P7’cfDNA-phos5’)の5’末端にライゲーションした。6.5%PEGを含有する反応体積で、反応を実施した。図18は、ライゲーション産物(P7’-cfDNA-P5)および(P7’-P5)を示す。
【0145】
ライゲーション産物をさらに分析した。図19に示されているように、ライゲーション産物をゲル上でサイズごとに分離し、特定のバンドをゲルから抽出し、抽出物B1および抽出物B2を増幅した。キャピラリー電気泳動により増幅産物を分析したところ、127bp(P7’-P5)種、292bp(P7’-cfDNA-P5)種および480bp(P7’-cfDNA-P5)種を含んでいた。図20は、増幅前、増幅後、およびSPRIビーズによる抽出後のライゲーション産物のゲルを示す。
【0146】
非PCR P7を組み込んで過剰なP7’を捕捉することにより、プライマーダイマーの形成を有意に減少させた。加えて、1.2×SPRIを使用した除去により、cfDNAライブラリーの有意な喪失を伴わずに、プライマーダイマーを有意に減少させた。
実施例5-ビーズにコンジュゲートされた一本鎖核酸のライゲーション
【0147】
様々なPEG濃度における2つのオリゴマー(オリゴ1およびオリゴ2)間のライゲーションの効率を調べた。オリゴ1は保護3’末端(OH)を含んでおり、オリゴ2は保護5’末端(phos)を含んでいたので、ライゲーションは、単一のライゲーションオリゴ1-オリゴ2産物をもたらした。反応条件は、それぞれ0、19、38および45%PEGを含む20μLの最終反応体積で、10pmolの各オリゴ+2μLの10×バッファー+1μLの1mM ATP、1μLの50mM MnCl、1μLのCIRCLIGASE(100U/μL)+15μLの0、25、50または60%PEGを含んでいた。結果は、図21に示されている。45%PEGを含有する反応体積は、ライゲーションされたオリゴ1およびオリゴ2の55.9%の収率を提供した。
【0148】
様々なオリゴ2濃度におけるオリゴ1とオリゴ2との間のライゲーションの効率を調べた。反応条件は、10pmolのオリゴ1+10×pmolのオリゴ2+2μLの10×バッファー+1μLの1mM ATP、1μLの50mM MnCl、2μLのCIRCLIGASE(100U/μL)+15μLの60%PEGを含んでおり、45%PEGを含む20μLの最終反応体積を提供した。結果は、図22に示されている。4倍過剰なオリゴ2および+2×CIRCLIGASEを含有する反応体積は、ライゲーションされたオリゴ1およびオリゴ2の79.6%の収率を提供した。
【0149】
様々なCIRCLIGASE濃度におけるオリゴ1とオリゴ2との間のライゲーションの効率を調べた。反応条件は、10pmolの各オリゴ+2μLの10×バッファー+1μLの1mM ATP、1μLの50mM MnCl、XμLのCIRCLIGASE(100U/μL)+15μLの60%PEGを含んでおり、45%PEGを含む20μLの最終反応体積を提供した。結果は、図23に示されている。8倍濃度のCIRCLIGASEを含有する反応体積は、ライゲーションされたオリゴ1およびオリゴ2の75.3%の収率を提供した。
【0150】
ヒドラジン-アルデヒドカップリングを介して、オリゴ1をビーズにコンジュゲートした。39merオリゴ1は2つのウラシル塩基を含んでおり、ウラシルDNAグリコシラーゼ(UDG)を使用してこれを切断して、より短い27merオリゴ(オリゴ1*)を生産し得る。
【0151】
ライゲーション反応において、ビーズにコンジュゲートされた様々な濃度のオリゴ1を調べた。UDGによるその後の処理により、コンジュゲートオリゴ1へのオリゴ2のライゲーションを分析した。ライゲーション反応条件では、ビーズ付着に使用されるオリゴ1の量がビーズ上のオリゴ1の量に等しいと想定した。4つの濃度の全オリゴ1インプットを試験した:0.5nmol、1nmol、2nmolおよび4nmol。全ビーズ溶液の10%を使用したので、各反応物中のオリゴ1量は、0.1nmol、0.2nmol、0.3nmolおよび0.4nmolに等しいと想定された。反応混合物:10μLのビーズ溶液(2倍濃縮)、オリゴ2(0.4nmol)、2μLの10×バッファー、1μLの1mM ATP、1μLの50mM MnCl、1μLのCIRCLIGASE(100U/μL)+5μLの90%PEGは、22.5%PEGを含む20μLの最終反応体積を提供する。反応物を60℃で3時間インキュベートし、80℃で10分間不活性化した。反応物中のオリゴ1:オリゴ2比:0.05nmol(1:8);0.1nmol(1:4)、0.2nmol(1:2)、0.4nmol(1:1)。最終反応体積10μLで10μLのLMX1を用いてウラシル切断を実施し、37℃で1時間インキュベートした。結果は、図24に示されている。1:1のオリゴ1:オリゴ2比を含有する反応体積は、ライゲーションされたオリゴ1およびオリゴ2の85.2%の収率を提供した。45%PEGを有する最終反応体積について、アッセイを繰り返した。結果は、図25に示されている。1:1のオリゴ1:オリゴ2比を含有する反応体積は、ライゲーションされたオリゴ1およびオリゴ2の84.5%の収率を提供した。
【0152】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」という用語は、「含む(including)」、「含有する(containing)」または「特徴とする」と同義であり、包括的または非限定的であり、記載されていないさらなるエレメントまたは方法工程を除外しない。
【0153】
上記説明は、いくつかの本発明の方法および材料を開示する。本発明は、方法および材料の改変、ならびに製作方法および装置の変更を許容する。本明細書に開示される本発明の本開示または実践の考察から、このような改変は当業者には明白であろう。その結果として、本発明は本明細書に開示される特定の実施形態に限定されることを意図するものではなく、本発明の真の範囲および趣旨内にあるすべての改変および代替を包含することを意図する。
【0154】
限定されないが、公開および非公開出願、特許ならびに参考文献を含む本明細書で引用されるすべての参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれ、それにより本明細書の一部とされる。参照により組み込まれる刊行物および特許または特許出願が本明細書に含まれる開示と矛盾する範囲内では、本明細書は、任意のこのような矛盾事項に取って代わり、および/または優先することを意図する。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
【配列表】
0007062681000001.app