IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 名世電子企業股▲ふん▼有限公司の特許一覧

特許7062731残留ノイズを低減可能な真空管増幅システム及びその接地方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-22
(45)【発行日】2022-05-06
(54)【発明の名称】残留ノイズを低減可能な真空管増幅システム及びその接地方法
(51)【国際特許分類】
   H03F 1/28 20060101AFI20220425BHJP
   H03F 3/181 20060101ALI20220425BHJP
【FI】
H03F1/28
H03F3/181
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020142693
(22)【出願日】2020-08-26
(65)【公開番号】P2021190979
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2020-09-30
(31)【優先権主張番号】16/892,403
(32)【優先日】2020-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518310477
【氏名又は名称】名世電子企業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】陳錫賢
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-047498(JP,A)
【文献】特開2019-193239(JP,A)
【文献】特開2001-177360(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0207754(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第00772290(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 1/28
H03F 3/181
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用交流電圧に電気的に接続され、第1直流電圧に変換して出力させる第1電源回路と、
第1入力信号端子と第1接地端子とを有し、第1真空管増幅回路を含み、前記第1直流電圧を作動電圧とする第1真空管増幅負荷回路と、
前記商用交流電圧に電気的に接続され、第2直流電圧に変換して出力させる第2電源回路と、
第2入力信号端子と第2接地端子とを有し、第2真空管増幅回路を含み、前記第2直流電圧を作動電圧とする第2真空管増幅負荷回路と、を含む真空管増幅システムであって、
前記第1真空管増幅負荷回路の前記第1接地端子は、前記第2真空管増幅負荷回路の前記第2接地端子に直接に電気的に接続されておらず、且つ前記第1接地端子と前記第2接地端子は、それぞれ、ジャンパー線ゼロオーム抵抗器を介して前記商用交流電圧のセーフティアースに電気的に接続されている、真空管増幅システム。
【請求項2】
前記第1入力信号端子は、第1オーディオ入力信号を電気的に受信し、
前記第2入力信号端子は、第2オーディオ入力信号を電気的に受信する、請求項1に記載の真空管増幅システム。
【請求項3】
前記第1オーディオ入力信号は、左チャンネルオーディオ信号であり、
前記第2オーディオ入力信号は、右チャンネルオーディオ信号である、請求項2に記載の真空管増幅システム。
【請求項4】
前記第1電源回路は、励磁コイルと高電圧誘起コイルと低電圧誘起コイルとを有する第1電源変圧器と、前記高電圧誘起コイルに電気的に接続され、直流高電圧を整流出力する高電圧直流電源回路と、前記低電圧誘起コイルに電気的に接続され、直流低電圧を整流出力する低電圧直流電源回路と、を含み、
前記第1電源変圧器の励磁コイルは、前記商用交流電圧に電気的に接続され、前記高電圧直流電源回路と前記低電圧直流電源回路は、前記第1真空管増幅負荷回路前記第1接地端子を共有し、前記第1直流電圧は、前記直流低電圧と前記直流高電圧を含む、請求項1に記載の真空管増幅システム。
【請求項5】
前記第2電源回路は、励磁コイルと高電圧誘起コイルと低電圧誘起コイルとを有する第2電源変圧器と、前記高電圧誘起コイルに電気的に接続され、直流高電圧を整流出力する高電圧直流電源回路と、前記低電圧誘起コイルに電気的に接続され、直流低電圧を整流出力する低電圧直流電源回路と、を含み、
前記第2電源変圧器の励磁コイルは、前記商用交流電圧に電気的に接続され、前記高電圧直流電源回路と前記低電圧直流電源回路は、前記第2真空管増幅負荷回路前記第2接地端子を共有し、前記第2直流電圧は、前記直流低電圧と前記直流高電圧を含む、請求項1に記載の真空管増幅システム。
【請求項6】
第1電源回路と第1真空管増幅負荷回路と第2電源回路と第2真空管増幅負荷回路とを含み、前記第1電源回路が前記第1真空管増幅負荷回路に給電して動作させ、前記第2電源回路が前記第2真空管増幅負荷回路に給電して動作させる真空管増幅システムの接地方法であって、
前記第1電源回路と前記第2電源回路をそれぞれ商用交流電圧に電気的に接続することと、
前記第1電源回路と前記第1真空管増幅負荷回路を共に前記真空管増幅システムの第1接地端子に電気的に接続することと、
前記第2電源回路と前記第2真空管増幅負荷回路を共に前記真空管増幅システムの第2接地端子に電気的に接続することと、
前記第1接地端子と前記第2接地端子をそれぞれジャンパー線ゼロオーム抵抗器を介して前記商用交流電圧のセーフティアースに電気的に接続させ、前記第1接地端子が前記第2接地端子に直接に電気的に接続されていないことと、を含む、真空管増幅システムの接地方法。
【請求項7】
前記第1電源回路は、励磁コイルと高電圧誘起コイルと低電圧誘起コイルとを有する第1電源変圧器と、前記高電圧誘起コイルに電気的に接続され、直流高電圧を整流出力する高電圧直流電源回路と、前記低電圧誘起コイルに電気的に接続され、直流低電圧を整流出力する低電圧直流電源回路と、を含み、
前記第1電源変圧器の励磁コイルは、前記商用交流電圧に電気的に接続され、
前記高電圧直流電源回路と前記低電圧直流電源回路は、前記第1接地端子に電気的に接続され、
前記直流低電圧と前記直流高電圧は、前記第1真空管増幅負荷回路に給電される、請求項6に記載の接地方法。
【請求項8】
前記第2電源回路は、励磁コイルと高電圧誘起コイルと低電圧誘起コイルとを有する第2電源変圧器と、前記高電圧誘起コイルに電気的に接続され、直流高電圧を整流出力する高電圧直流電源回路と、前記低電圧誘起コイルに電気的に接続され、直流低電圧を整流出力する低電圧直流電源回路と、を含み、
前記第2電源変圧器の励磁コイルは、前記商用交流電圧に電気的に接続され、
前記高電圧直流電源回路と前記低電圧直流電源回路は、前記第2接地端子に電気的に接続され、
前記直流低電圧と前記直流高電圧は、前記第2真空管増幅負荷回路に給電される、請求項6に記載の接地方法。
【請求項9】
第1入力信号端子と第1出力信号端子と第1接地端子とを有し、前記第1入力信号端子が第1オーディオ入力信号を電気的に受信する第1真空管増幅負荷回路と、
第1直流電圧を出力して前記第1真空管増幅負荷回路に給電して作動させる第1直流電源回路と、
第2入力信号端子、第2出力信号端子及び第2接地端子を有し、前記第2入力信号端子が第2オーディオ入力信号を電気的に受信する第2真空管増幅負荷回路と、
第2直流電圧を出力し、前記第2真空管増幅負荷回路に給電して作動させる第2直流電源回路と、
励磁コイルと第1誘起コイルと第2誘起コイルとを有し、前記励磁コイルが商用交流電圧を受信し、前記第1誘起コイルが第1商用交流電力を前記第1直流電源回路に供給し、前記第2誘起コイルが第2商用交流電力を前記第2直流電源回路に供給する電源変圧器と、を含む、真空管増幅システムであって、
前記第1接地端子は、前記第2接地端子に直接に電気的に接続されておらず、且つ前記第1接地端子と前記第2接地端子は、それぞれジャンパー線ゼロオーム抵抗器を介して前記商用交流電圧のセーフティアースに電気的に接続されている、真空管増幅システム。
【請求項10】
前記第1直流電源回路は、前記第1真空管増幅負荷回路と前記第1接地端子を共有し、前記第2直流電源回路は、前記第2真空管増幅負荷回路と前記第2接地端子を共有する、請求項9に記載の真空管増幅システム。
【請求項11】
第1直流電圧は、直流高電圧と直流低電圧を含み、前記第1真空管増幅負荷回路は、複数の真空管を含み、
前記複数の真空管は、前記直流高電圧と前記直流低電圧が給電されて作動する、請求項9に記載の真空管増幅システム。
【請求項12】
第2直流電圧は、直流高電圧と直流低電圧を含み、前記第2真空管増幅負荷回路は、複数の真空管を含み、
前記複数の真空管は、前記直流高電圧と前記直流低電圧が給電されて作動する、請求項9に記載の真空管増幅システム。
【請求項13】
前記第1誘起コイルと前記第2誘起コイルは、同じ巻き配置形態を有している、請求項9に記載の真空管増幅システム。
【請求項14】
前記第1誘起コイルは、第1高電圧巻線と第1低電圧巻線を有し、
前記第2誘起コイルは、第2高電圧巻線と第2低電圧巻線を有し、
前記第1高電圧巻線と前記第2高電圧巻線は、同じ巻き配置形態を有しており、
前記第1低電圧巻線と前記第2低電圧巻線は、同じ巻き配置形態を有している、請求項9に記載の真空管増幅システム。
【請求項15】
第1直流電源回路と、第1真空管増幅負荷回路と、第2直流電源回路と、第2真空管増幅負荷回路と、を含み、前記第1直流電源回路が前記第1真空管増幅負荷回路に給電して動作させ、前記第2直流電源回路が前記第2真空管増幅負荷回路に給電して動作させる、真空管増幅システムの接地方法であって、
電源変圧器の第1励磁コイルに商用交流電圧を受け取らせることと、
前記電源変圧器の第1誘起コイルと第2誘起コイルをそれぞれ前記第1直流電源回路と前記第2直流電源回路に電気的に接続させることと、
前記第1直流電源回路と前記第1真空管増幅負荷回路を共に前記真空管増幅システムの第1接地端子に電気的に接続させることと、
前記第2直流電源回路と前記第2真空管増幅負荷回路を共に前記真空管増幅システムの第2接地端子に電気的に接続させることと、
前記第1接地端子と前記第2接地端子とを、それぞれジャンパー線ゼロオーム抵抗器を介して前記商用交流電圧のセーフティアースに電気的に接続させ、前記第1接地端子が前記第2接地端子に直接に電気的に接続されていないことと、
を含む、真空管増幅システムの接地方法。
【請求項16】
前記第1誘起コイルと前記第2誘起コイルは、同じ巻き配置形態を有している、請求項15に記載の接地方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空管増幅システム及びその接地方法に関し、特に、残留ノイズを低減可能な真空管増幅システム及びその接地方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トランジスタに比べて、真空管は、中高周波数の音声において優れた音色を有している。しかしながら、伝統の接地方法による残留ノイズが大き過ぎるため、真空管は、通常、ハイエンド(High-End)オーディオシステムにのみ用いられており、例えば卓上型のラジオや卓上型の小型スピーカーに適用すれば、近距離で聞くという現代の要求に適合することができなくなる。これに対し、多量のトランジスタにより電圧を安定させて残留ノイズを低減させることができるが、このような手法は、コストを大幅に増加させることだけでなく、真空管に固有の美しい音色を失うようになる。これによって、真空管の美しい音色を維持ことができるとともに、低い残留ノイズを有する真空管増幅システム及びその接地方法を必要とする。
【発明の概要】
【0003】
上記課題を解決するために、本発明の一構想は、真空管の美しい音色を維持できるとともに、低い残留ノイズを有する真空管増幅システム及びその接地方法を提供することにある。
【0004】
前記構想に基づき、本発明は、真空管増幅システムを提供し、商用交流電圧に電気的に接続され、第1直流電圧に変換して出力させる第1電源回路と、第1入力信号端子と第1接地端子を有し、第1真空管増幅回路を含み、前記第1直流電圧を作動電圧とする第1真空管増幅負荷回路と、前記商用交流電圧に電気的に接続され、第2直流電圧に変換して出力させる第2電源回路と、第2入力信号端子と第2接地端子を有し、第2真空管増幅回路を含み、前記第2直流電圧を作動電圧とする第2真空管増幅負荷回路と、を含む真空管増幅システムであって、前記第1真空管増幅負荷回路の前記第1接地端子は、前記第2真空管増幅負荷回路の前記第2接地端子に直接に電気的に接続されておらず、且つ前記第1接地端子と前記第2接地端子は、それぞれ、ジャンパー線ゼロオーム抵抗器を介して前記商用交流電圧のセーフティアースに電気的に接続されている。
【0005】
本発明の好ましい一実施例では、前記第1入力信号端子は、第1オーディオ入力信号を電気的に受信し、前記第2入力信号端子は、第2オーディオ入力信号を電気的に受信する。
【0006】
本発明の好ましい一実施例では、前記第1オーディオ入力信号は、左チャンネルオーディオ信号であり、前記第2オーディオ入力信号は、右チャンネルオーディオ信号である。
本発明の好ましい一実施例では、前記第1電源回路は、励磁コイルと高電圧誘起コイルと低電圧誘起コイルとを有する第1電源変圧器と、前記高電圧誘起コイルに電気的に接続され、直流高電圧を整流出力する高電圧直流電源回路と、前記低電圧誘起コイルに電気的に接続され、直流低電圧を整流出力する低電圧直流電源回路と、を含み、前記第1電源変圧器の励磁コイルは、前記商用交流電圧に電気的に接続され、前記高電圧直流電源回路と前記低電圧直流電源回路は、前記第1真空管増幅負荷回路の前記第1接地端子に電気的に接続され、前記第1直流電圧は、前記直流低電圧(具体的な一実施例では、真空管フィラメント電圧)と前記直流高電圧を含む。
【0007】
本発明の好ましい一実施例では、前記第2電源回路は、励磁コイルと高電圧誘起コイルと低電圧誘起コイルとを有する第2電源変圧器と、前記高電圧誘起コイルに電気的に接続され、直流高電圧を整流出力する高電圧直流電源回路と、前記低電圧誘起コイルに電気的に接続され、直流低電圧を整流出力する低電圧直流電源回路と、を含み、前記第2電源変圧器の励磁コイルは、前記商用交流電圧に電気的に接続され、前記高電圧直流電源回路と前記低電圧直流電源回路は、前記第2真空管増幅負荷回路の前記第2接地端子に電気的に接続され、前記第2直流電圧は、前記直流低電圧(具体的な一実施例では真空管フィラメント電圧)と前記直流高電圧を含む。
【0008】
本発明の目的によれば、さらに、真空管増幅システムの接地方法を提供し、第1電源回路と第1真空管増幅負荷回路と第2電源回路と第2真空管増幅負荷回路とを含み、前記第1電源回路が前記第1真空管増幅負荷回路に給電して動作させ、前記第2電源回路が前記第2真空管増幅負荷回路に給電して動作させる、真空管増幅システムの接地方法であって、前記第1電源回路と前記第2電源回路をそれぞれ商用交流電圧に電気的に接続することと、前記第1電源回路と前記第1真空管増幅負荷回路を共に第1接地端子に電気的に接続することと、前記第2電源回路と前記第2真空管増幅負荷回路を共に第2接地端子に電気的に接続することと、前記第1接地端子と前記第2接地端子をそれぞれジャンパー線ゼロオーム抵抗器を介して前記商用交流電圧のセーフティアースに電気的に接続させ、前記第1接地端子が前記第2接地端子に直接に電気的に接続されていないことと、を含む。
【0009】
本発明の好ましい一実施例では、前記第1電源回路は、励磁コイルと高電圧誘起コイルと低電圧誘起コイルとを有する第1電源変圧器と、前記高電圧誘起コイルに電気的に接続され、直流高電圧を整流出力する高電圧直流電源回路と、前記低電圧誘起コイルに電気的に接続され、直流低電圧を整流出力する低電圧直流電源回路と、を含み、前記第1電源変圧器の励磁コイルは、前記商用交流電圧に電気的に接続され、前記高電圧直流電源回路と前記低電圧直流電源回路は、前記第1接地端子に電気的に接続され、前記直流低電圧と前記直流高電圧は、前記第1真空管増幅負荷回路に給電される。
【0010】
本発明の好ましい一実施例では、前記第2電源回路は、励磁コイルと高電圧誘起コイルと低電圧誘起コイルとを有する第2電源変圧器と、前記高電圧誘起コイルに電気的に接続され、直流高電圧を整流出力する高電圧直流電源回路と、前記低電圧誘起コイルに電気的に接続され、直流低電圧を整流出力する低電圧直流電源回路と、を含み、前記第2電源変圧器の励磁コイルは、前記商用交流電圧に電気的に接続され、前記高電圧直流電源回路と前記低電圧直流電源回路は、前記第2接地端子に電気的に接続され、前記直流低電圧と前記直流高電圧は、前記第2真空管増幅負荷回路に給電される。
【0011】
本発明の目的によれば、更に、真空管増幅システムを提供し、当該真空管増幅システムは、第1入力信号端子と第1出力信号端子と第1接地端子とを有し、前記第1入力信号端子が第1オーディオ入力信号を電気的に受信する第1真空管増幅負荷回路と、第1直流電圧を出力して前記第1真空管増幅負荷回路に給電して作動させる第1直流電源回路と、第2入力信号端子、第2出力信号端子及び第2接地端子とを有し、前記第2入力信号端子が第2オーディオ入力信号を電気的に受信する第2真空管増幅負荷回路と、第2直流電圧を出力し、前記第2真空管増幅負荷回路に給電して作動させる第2直流電源回路と、励磁コイルと第1誘起コイルと第2誘起コイルとを有し、前記励磁コイルが商用交流電圧を受信し、前記第1誘起コイルが第1商用交流電力を前記第1直流電源回路に提供し、前記第2誘起コイルが第2商用交流電力を前記第2直流電源回路に提供する電源変圧器と、を含む、真空管増幅システムであって、前記第1接地端子は、前記第2接地端子に直接に電気的に接続されておらず、且つ前記第1接地端子と前記第2接地端子は、それぞれ、ジャンパー線ゼロオーム抵抗器を介して前記商用交流電圧のセーフティアースに電気的に接続されている。
【0012】
本発明の好ましい一実施例では、前記第1直流電源回路と第2直流電源回路は、それぞれ、前記第1接地端子と前記第2接地端子に電気的に接続されている。
本発明の好ましい一実施例では、第1直流電圧は、直流高電圧と直流低電圧を含み、且つ前記第1真空管増幅負荷回路は、複数の真空管を含み、前記複数の真空管は、前記直流高電圧と前記直流低電圧が給電されて作動する。
【0013】
本発明の好ましい一実施例では、第2直流電圧は、直流高電圧と直流低電圧を含み、且つ前記第2真空管増幅負荷回路は、複数の真空管を含み、前記複数の真空管は、前記直流高電圧と前記直流低電圧が給電されて作動する。
【0014】
本発明の好ましい一実施例では、前記第1誘起コイルと前記第2誘起コイルは、同じ巻き配置形態を有している。
本発明の好ましい一実施例では、前記第1誘起コイルは、第1高電圧巻線と第1低電圧巻線を有し、前記第2誘起コイルは、第2高電圧巻線と第2低電圧巻線を有し、前記第1高電圧巻線と前記第2高電圧巻線は、同じ巻き配置形態を有しており、前記第1低電圧巻線と前記第2低電圧巻線は、同じ巻き配置形態を有している。
【0015】
本発明の目的によれば、更に、真空管増幅システムの接地方法を提供し、該真空管増幅システムの接地方法は、第1直流電源回路と、第1真空管増幅負荷回路と、第2直流電源回路と、第2真空管増幅負荷回路と、を含み、前記第1直流電源回路が前記第1真空管増幅負荷回路に給電して動作させ、前記第2直流電源回路が前記第2真空管増幅負荷回路に給電して動作させる、真空管増幅システムの接地方法であって、電源変圧器の第1励磁コイルに商用交流電圧を受信させることと、前記電源変圧器の第1誘起コイルと第2誘起コイルをそれぞれ前記第1直流電源回路と前記二直流電源回路に電気的に接続させることと、前記第1直流電源回路と前記第1真空管増幅負荷回路の内外を第1接地端子に段階的に電気的に接続させる(具体的な一実施例では、ここで言う、内外において段階的に電気的に接続させることは、第1真空管増幅負荷回路の内部及び外部において段階的に電気的に接続することを指し、例えば、第1真空管一次増幅回路、第1真空管二次増幅回路、第1真空管電力増幅回路及び第1直流電源回路に段階的に電気的に接続される)ことと、前記第2直流電源回路と前記第2真空管増幅負荷回路の内外を第2接地端子に段階的に電気的に接続させる(具体的な一実施例では、ここで言う、内外において段階的に電気的に接続させることは、第2真空管増幅負荷回路の内部及び外部において電気的に接続することを指し、例えば、第2真空管一次増幅回路、第2真空管二次増幅回路、第2真空管電力増幅回路及び第2直流電源回路に段階的に電気的に接続される)ことと、前記第1接地端子と前記第2接地端子をそれぞれジャンパー線ゼロオーム抵抗器を介して前記商用交流電圧のセーフティアースに電気的に接続させ、前記第1接地端子が前記第2接地端子に直接に電気的に接続されていないことと、を含む。
【0016】
本発明の好ましい一実施例では、前記第1誘起コイルと前記第2誘起コイルは、同じ巻き配置形態を有している。
本発明による以下の非限定的かつ具体的な実施例の詳細な説明及び添付の図面により、本発明による上述の各態様及びその他の態様は、より明瞭になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の真空管増幅システムの具体的な一実施例に係るシステム構成の模式図。
図2】本発明の真空管増幅システムの内部の詳しい構成の具体的な一実施例に係るシステム構成の模式図。
図3A図2における本発明の真空管増幅システムの一種回路の実施例に係る片チャンネルの原理図(回路図)である。
図3B図3Aにおける回路を本発明真空管電力増幅システムの実施態様として残留ノイズのテストを行なったテスト結果である。
図4A】従来の真空管増幅システムの具体的な一実施例に係るシステム構成の模式図である。
図4B図4Aにおける従来の真空管増幅システムにより残留ノイズのテストを行なったテスト結果である。
図5A】従来の真空管増幅システムの具体的な一実施例に係るシステム構成の模式図である。
図5B図5Aにおける従来の真空管増幅システムにより残留ノイズのテストを行なったテスト結果である。
図6A】本発明の真空管増幅システムの具体的な一実施例に係るシステム構成の模式図である。
図6B図6Aにおける本発明の真空管増幅システムにより残留ノイズのテストを行なったテスト結果である。
図7A】本発明の真空管増幅システムの具体的な一実施例に係るシステム構成の模式図である。
図7B図7Aにおける本発明の真空管増幅システムにより残留ノイズのテストを行なったテスト結果である。
図8】本発明の真空管増幅システムの接地方法の具体的な一実施例のフローチャートである。
図9】本発明の真空管増幅システムの接地方法の具体的な一実施例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1を参照して、本発明の真空管増幅システムの具体的な一実施例に係るシステム構成の模式図を例示して説明する。図1に示す実施例では、真空管増幅システム100は、電源回路110及び真空管増幅負荷回路120を含む。電源回路110は、商用交流電圧150に電気的に接続され、直流電圧に変換して出力させる。真空管増幅負荷回路120は、オーディオ入力信号を電気的に受信する入力信号端子122と、接地端子124と、を有している。具体的な一実施例では、真空管増幅負荷回路120は、真空管前置増幅回路と電力増幅回路を含み、電源回路110から出力された直流電圧を作動電圧とする。具体的な一実施例では、接地端子124は、真空管増幅負荷回路の内外において段階的に接続されること(具体的な一実施例では、ここで言う、内外において段階的に接続されることは、真空管増幅負荷回路の内部及び外部において段階的に接続されることを指す)を経由して、最後にセーフティアース130に至る。具体的な一実施例では、セーフティアース130は、商用交流電圧150の商用交流電力のセーフティアース160に電気的に接続されている。図1に示す実施例では、信号アース線走行方向192、194、196を示している。そのうち、信号アース線は閉回路を構成していないため、残留ノイズが極めて低くなる。
【0019】
具体的な一実施例では、電源回路110は、電源変圧器112及び高低電圧直流電源回路114含む。高低電圧直流電源回路114は、高電圧直流電源回路と低電圧直流電源回路を含む。高電圧直流電源回路と低電圧直流電源回路は、真空管増幅負荷回路120の接地端子124に電気的に接続されている。電源変圧器112は、励磁コイルと、高電圧誘起コイルと、低電圧誘起コイルと、を有する。電源変圧器112における励磁コイルは、商用交流電圧150に電気的に接続されている。そのうち、高電圧直流電源回路は、電源変圧器112における高電圧誘起コイルに電気的に接続され、直流高電圧を真空管の作動電圧として整流出力する。低電圧直流電源回路は、電源変圧器112における低電圧誘起コイルに電気的に接続され、直流低電圧を整流出力して真空管のフィラメント電圧用に提供する。電源回路110により変換出力された直流電圧は、該直流低電圧と該直流高電圧を含む。
【0020】
図2を参照して、本発明の真空管増幅システムの内部の詳しい構成の具体的な一実施例に係るシステム構成の模式図を例示して説明する。図2に示す実施例では、真空管増幅システム200は、電源回路210と、真空管増幅負荷回路220と、オーディオ出力変圧器230と、スピーカー240と、を含む。電源回路210は、電源変圧器212及び高低電圧直流電源回路214を含む。高低電圧直流電源回路214は、高電圧直流電源回路214Aと低電圧直流電源回路214Bを含む。電源変圧器212は、励磁コイルと、高電圧誘起コイルと、低電圧誘起コイルと、を有している。電源変圧器212における励磁コイルは、商用交流電圧250に電気的に接続されている。高電圧直流電源回路214Aは、電源変圧器212の高電圧誘起コイルに電気的に接続され、直流高電圧を整流出力する。低電圧直流電源回路214Bは、電源変圧器212の低電圧誘起コイルに電気的に接続され、直流低電圧を整流出力する。真空管増幅負荷回路220は、真空管一次増幅回路225、真空管二次増幅回路227及び真空管電力増幅回路229を含み、真空管一次増幅回路225、真空管二次増幅回路227及び真空管電力増幅回路229は、高電圧直流電源回路214Aから出力された直流高電圧、及び低電圧直流電源回路214Bから出力された直流低電圧を作動電圧とする。真空管電力増幅回路229は、電力増幅した後の信号をオーディオ出力変圧器230に供給することが可能であり、オーディオ出力変圧器230から処理後の信号をスピーカー240に供給し、スピーカーから処理後のオーディオ信号を再生する。
【0021】
図2に示す実施例では、信号アース線走行方向291、292、293、294、295、296、297を示している。そのうち、信号アース線は閉回路を構成していないため、残留ノイズが極めて低くなる。具体的な一実施例では、接地端子224は、ジャンパー線ゼロオーム抵抗器を介してセーフティアース270に電気的に接続されている。具体的な一実施例では、セーフティアース270は、商用交流電圧250のセーフティアース260に電気的に接続されている。具体的な一実施例では、高電圧直流電源回路214Aと低電圧直流電源回路214Bは、真空管増幅負荷回路220の接地端子224に電気的に接続されている。
【0022】
図3Aを参照して、図2における本発明の真空管増幅システム構成の一種の具体的な回路の実施例に係る模式図を例示して説明する。図3Aに示す実施例では、真空管増幅システム300は、電源変圧器312と、高低電圧直流電源回路314と、真空管一次増幅回路325と、真空管二次増幅回路327と、真空管電力増幅回路329と、オーディオ出力変圧器330と、スピーカー340と、を含む。電源変圧器312は、励磁コイル312Aと、低電圧誘起コイル312Bと、高電圧誘起コイル312Cと、を有する。真空管一次増幅回路325と真空管二次増幅回路327は三極真空管を、真空管電力増幅回路329は五極真空管を用いる。接地端子324は、信号アース339に電気的に接続され、且つ接地端子324は、ジャンパー線ゼロオーム抵抗器337を介してセーフティアース338に電気的に接続されている。高低電圧直流電源回路314の接地端子は、信号アース319電気的に接続され、且つ高低電圧直流電源回路314の接地端子は、ジャンパー線ゼロオーム抵抗器317を介してセーフティアース318に電気的に接続されている。具体的な一実施例では、セーフティアース318は、セーフティアース338に電気的に接続されている。
【0023】
図3Bを参照して、図3Aにおける回路を一実施態様として残留ノイズのテストを行なったテスト結果である。図3Bにおける信号392に示すように、真空管の残留ノイズ最大値394は、2.8mv/1.414=1.98mv RMSであり、このノイズレベルは、トランジスタの性能に近く、且つ何らのハム(hum)音波型またはパルスノイズの干渉がない。
【0024】
図4A(それは、R-CH/L-CHステレオの状況)を参照して、従来の真空管増幅システムの具体的な一実施例に係るシステム構成の模式図を例示して説明する。図4Aに示すように、従来の真空管増幅システム400は、高低電圧直流電源回路410、第1真空管増幅負荷回路420、第2真空管増幅負荷回路430及び電源変圧器440を含む。第1真空管増幅負荷回路420の信号アース線と第2真空管増幅負荷回路430の信号アース線は、共通アースである(つまり、第1真空管増幅負荷回路420と第2真空管増幅負荷回路430は共に音源信号共通アース端子460に電気的に接続される)。図4Aにおけるアース472、474は、セーフティアースである。図4Aにおける信号アース線走行方向421、423、425、427、431、433、435、437によれば、信号アース線が閉回路480を構成することを示し、このことは、従来の真空管増幅システム400で極めて大きい残留ノイズを発生することを招くようになる。
【0025】
図4Bを参照して、図4Aにおける、従来の真空管増幅システムにより残留ノイズのテストを行なったテスト結果である。図4Bにおける信号492に示すように、第1真空管増幅負荷回路420の残留ノイズ最大値494は、16mv/1.414=11.3mv RMSである。信号496に示すように、第2真空管増幅負荷回路430の残留ノイズ最大値498は、12mv/1.414=8.5mv RMSである。明らかに、従来の真空管増幅システム400の第1真空管増幅負荷回路420と第2真空管増幅負荷回路430のノイズレベルは、かなり大きく且つ使用者に20センチメートルの近距離内で聞かれやすい。
【0026】
図5Aを参照して、従来の真空管増幅システムの具体的な一実施例に係るシステム構成の模式図を例示して説明する。図5Aに示すように、従来の真空管増幅システム500は、第1高低電圧直流電源回路510、第2高低電圧直流電源回路520、第1真空管増幅負荷回路530、第2真空管増幅負荷回路540及び電源変圧器550を含む。第1真空管増幅負荷回路530の信号アース線と第2真空管増幅負荷回路540の信号アース線は、共通アースである(つまり、第1真空管増幅負荷回路530と第2真空管増幅負荷回路540は共に音源信号共通アース端子560に電気的に接続される)。図5Aにおけるアース572、574は、セーフティアースである。図5Aにおける信号アース線走行方向531、533、535、537、541、543、545、547によれば、信号アース線が閉回路580を構成することを示し、このことは、従来の真空管増幅システム500で極めて大きい残留ノイズを発生することを招くようになる。
【0027】
図5Bを参照して、図5Aにおける従来の真空管増幅システムにより残留ノイズのテストを行なったテスト結果である。図5Bにおける信号592に示すように、第1真空管増幅負荷回路530の残留ノイズ最大値594は、12mv/1.414=8.5mv RMSである。信号596に示すように、第2真空管増幅負荷回路540の残留ノイズ最大値598は、6.4mv/1.414=4.5mv RMSである。明らかに、従来の真空管増幅システム500の第1真空管増幅負荷回路530と第2真空管増幅負荷回路540のノイズレベルは、かなり大きく且つ使用者に20センチメートルの近距離内で聞かれやすい。
【0028】
図6Aを参照して、本発明の真空管増幅システムの具体的な一実施例に係るシステム構成の模式図を例示して説明する。図6Aに示す実施例のように、真空管増幅システム600は、第1高低電圧直流電源回路610、第2高低電圧直流電源回路620、第1真空管増幅負荷回路630、第2真空管増幅負荷回路640及び電源変圧器650を含む。具体的な一実施例では、電源変圧器650は、2つの同一高低電圧巻線の電源変圧器であって、そのうち、電源変圧器650は、両組の同一高低電圧巻線(即ち後述の第1誘起コイルと第2誘起コイル)を有することにより、それぞれ第1交流電力と第2交流電力を第1高低電圧直流電源回路610と第2高低電圧直流電源回路620に提供する。第1真空管増幅負荷回路630は、第1入力信号端子632、第1出力信号端子636及び第1接地端子634を有する。第1入力信号端子632は、第1オーディオ入力信号を電気的に受信する。第2真空管増幅負荷回路640は、第2入力信号端子642、第2出力信号端子646及び第2接地端子644を有する。第2入力信号端子642は、第2オーディオ入力信号を電気的に受信する。そのうち、第1接地端子634は、第2接地端子644に直接に電気的に接続されていない。
【0029】
具体的な一実施例では、図3Aにおける回路接続法(例えば、図3Aにおけるジャンパー線ゼロオーム抵抗器337、セーフティアース338を参照する。他の具体的な一実施例では、図6Aを参考する)を採用し、第1接地端子634が第1真空管増幅負荷回路630を介してジャンパー線ゼロオーム抵抗器を介してセーフティアース674に至る(例えば電気的に接続される)ようにすると共に、第2接地端子644が第2真空管増幅負荷回路640を介してジャンパー線ゼロオーム抵抗器を介してセーフティアース676に至る(例えば電気的に接続される)ようにし、そのうち、商用交流電圧660のセーフティアース672とセーフティアース674とセーフティアース676は、同じセーフティアースであり、即ち第1接地端子634と第2接地端子644は、それぞれジャンパー線ゼロオーム抵抗器を介して商用交流電圧660のセーフティアース672に電気的に接続されている。図6Aに信号アース線走行方向631、633、635、637、641、643、645、647を示している。そのうち、左チャンネル(Left Channel、L-CH)の信号アース線と右チャンネル(Right Channel、R-CH)の信号アース線は、互いに離間して閉回路を構成してないため、残留ノイズが極めて低くなる。
【0030】
具体的な一実施例では、第1オーディオ入力信号は、左チャンネルオーディオ信号であり、第2オーディオ入力信号は、右チャンネルオーディオ信号である。具体的な一実施例では、第1高低電圧直流電源回路610は、第1直流電圧を出力し、第1真空管増幅負荷回路630に給電して動作させ、第2高低電圧直流電源回路620は、第2直流電圧を出力し、第2真空管増幅負荷回路640に給電して動作させる。具体的な一実施例では、第1直流電圧は、第1直流高電圧と第1直流低電圧を含み、且つ第1真空管増幅負荷回路630は、複数の第1真空管を含み、これらの第1真空管は、第1直流高電圧と第1直流低電圧が給電して作動する。第2直流電圧は、第2直流高電圧と第2直流低電圧を含み、且つ第2真空管増幅負荷回路640は、複数の第2真空管を含み、これらの第2真空管は、第2直流高電圧と第2直流低電圧が給電されて作動する。
【0031】
具体的な一実施例では、電源変圧器650(以上のように、具体的な一実施例では、電源変圧器650は、2つの同一高低電圧巻線の電源変圧器であってもよい)は、励磁コイルと第1誘起コイルと第2誘起コイルを有する。励磁コイルは、商用交流電圧660を受信し、第1誘起コイルは、第1商用交流電力を第1高低電圧直流電源回路610に供給し、第2誘起コイルは、第2商用交流電力を第2高低電圧直流電源回路620に供給する。具体的な一実施例では、第1高低電圧直流電源回路610と第2高低電圧直流電源回路620は、第1接地端子634と第2接地端子644にそれぞれ電気的に接続されている。具体的な一実施例では、第1高低電圧直流電源回路610は、第1高電圧直流電源回路と第1低電圧直流電源回路を含み、第2高低電圧直流電源回路620は、第2高電圧直流電源回路と第2低電圧直流電源回路を含む。第1高電圧直流電源回路と第1低電圧直流電源回路は、第1真空管増幅負荷回路630の第1接地端子634に電気的に接続され、第2高電圧直流電源回路と第2低電圧直流電源回路は、第2真空管増幅負荷回路640の第2接地端子644に電気的に接続されている。電源変圧器650における第1誘起コイルは、第1高電圧誘起コイルと第1低電圧誘起コイルを有し、電源変圧器650における第2誘起コイルは、第2高電圧誘起コイルと第2低電圧誘起コイルを有する。電源変圧器650における励磁コイルは、商用交流電圧660に電気的に接続されている。そのうち、第1高電圧直流電源回路は、電源変圧器650の第1高電圧誘起コイルに電気的に接続され、第1直流高電圧を整流出力する。第1低電圧直流電源回路は、電源変圧器650における第1低電圧誘起コイルに電気的に接続され、第1直流低電圧を整流出力する。第2高電圧直流電源回路は、電源変圧器650における第2高電圧誘起コイルに電気的に接続され、第2直流高電圧を整流出力する。第2低電圧直流電源回路は、電源変圧器650における第2低電圧誘起コイルに電気的に接続され、第2直流低電圧を整流出力する。これにより、第1高低電圧直流電源回路610は、出力された第1直流高電圧と第1直流低電圧を、第1真空管増幅負荷回路630に給電して動作させることができる。一方、第2高低電圧直流電源回路620は、出力された第2直流高電圧と第2直流低電圧を、第2真空管増幅負荷回路640に給電して動作させることができる。具体的な一実施例では、第1誘起コイルと第2誘起コイルは、同じ巻き配置形態を有している(即ち第1誘起コイルの第1高低電圧巻線と第2誘起コイルの第2高低電圧巻線は、同じ巻き配置形態を有している)。即ち、第1高電圧誘起コイルと第2高電圧誘起コイルは、同じ巻き配置形態を有している一方、第1低電圧誘起コイルと第2低電圧誘起コイルは、同じ巻き配置形態を有している。下記の図7Aにおける配置形態に比べて、真空管増幅システム600におけるこのような配置形態(第1高低電圧直流電源回路610と第2高低電圧直流電源回路620は、同一電源変圧器650を用いる)は、コストを節約でき、製品の重量と体積を低減できると理解すべきである。
【0032】
具体的な一実施例では、第1真空管増幅負荷回路630の複数の第1真空管は、第1真空管一次増幅回路、第1真空管二次増幅回路及び第1真空管電力増幅回路を含む。ここで、具体的な実施例では、第1真空管増幅負荷回路630と図2における真空管増幅負荷回路220は、同じモジュールを採用する。第1真空管電力増幅回路は、電力増幅した後の信号を第1出力信号端子636から第1オーディオ出力変圧器に供給することが可能であり、第1オーディオ出力変圧器から処理後の信号を第1スピーカーに供給し、第1スピーカーから処理後のオーディオ信号を再生する。具体的な一実施例では、第1真空管一次増幅回路と第1真空管二次増幅回路は、共に三極真空管を使用し、第1真空管電力増幅回路は、五極真空管を使用する。
【0033】
具体的な一実施例では、第2真空管増幅負荷回路640の複数の第2真空管は、第2真空管一次増幅回路、第2真空管二次増幅回路及び第2真空管電力増幅回路を含む。ここで、具体的な実施例では、第2真空管増幅負荷回路640と図2における真空管増幅負荷回路220は、同じモジュールを採用する。第2真空管電力増幅回路は、電力増幅した後の信号を第2出力信号端子646から第2オーディオ出力変圧器に供給することが可能であり、第2オーディオ出力変圧器から処理後の信号を第2スピーカーに供給し、第2スピーカーから処理後のオーディオ信号を再生する。具体的な一実施例では、第2真空管一次増幅回路と第2真空管二次増幅回路は、共に三極真空管を使用し、第2真空管電力増幅回路は、五極真空管を使用する。
【0034】
図6Bを参照して、図6Aにおける本発明の真空管増幅システムにより残留ノイズのテストを行なったテスト結果である。図6Bにおける信号692に示すように、第1真空管増幅負荷回路630の残留ノイズ最大値694は、3.4mv/1.414=2.4mv RMSである。信号696に示すように、第2真空管増幅負荷回路640の残留ノイズ最大値698は、3.6mv/1.414=2.5mv RMSである。明らかに、真空管増幅システム600の第1真空管増幅負荷回路630と第2真空管増幅負荷回路640のノイズレベルは、従来の真空管増幅システムの残留ノイズ値よりもはるかに低くなり、且つハム音(hum)音波型やパルスノイズの干渉が極めて低くなる。
【0035】
図7Aを参照して、本発明の真空管増幅システムの具体的な一実施例に係るシステム構成の模式図を例示して説明する。図7Aに示す実施例では、真空管増幅システム700は、第1高低電圧直流電源回路710、第2高低電圧直流電源回路720、第1真空管増幅負荷回路730、第2真空管増幅負荷回路740、第1電源変圧器752及び第2電源変圧器754を含む。第1高低電圧直流電源回路710と第1電源変圧器752は、第1電源回路であると見なされ、第2高低電圧直流電源回路720と第2電源変圧器754は、第2電源回路であると見なされる。
【0036】
具体的な一実施例では、第1電源変圧器752は、第1励磁コイル、第1高電圧誘起コイル及び第1低電圧誘起コイルを有する。第1高低電圧直流電源回路710は、第1高電圧直流電源回路と第1低電圧直流電源回路を含み、第1高電圧直流電源回路は、第1高電圧誘起コイルに電気的に接続され、第1直流高電圧を整流出力し、第1低電圧直流電源回路は、第1低電圧誘起コイルに電気的に接続され、第1直流低電圧を整流出力する。第1電源変圧器752における第1励磁コイルは、商用交流電圧760に電気的に接続され、第1高電圧直流電源回路と第1低電圧直流電源回路は、第1真空管増幅負荷回路730の第1接地端子734に電気的に接続されている。
【0037】
具体的な一実施例では、第2電源変圧器754は、第2励磁コイルと、第2高電圧誘起コイルと、第2低電圧誘起コイルと、を有する。第2高低電圧直流電源回路720は、第2高電圧直流電源回路と第2低電圧直流電源回路を含み、第2高電圧直流電源回路は、第2高電圧誘起コイルに電気的に接続され、第2直流高電圧を整流出力し、第2低電圧直流電源回路は、第2低電圧誘起コイルに電気的に接続され、第2直流低電圧を整流出力する。第2電源変圧器754における第2励磁コイルは、商用交流電圧760に電気的に接続され、第2高電圧直流電源回路と第2低電圧直流電源回路は、第2真空管増幅負荷回路740の第2接地端子744に電気的に接続されている。
【0038】
具体的な一実施例では、第1真空管増幅負荷回路730は、第1入力信号端子732と第1接地端子734を有し、第1入力信号端子732は、第1オーディオ入力信号を電気的に受信する。第2真空管増幅負荷回路740は、第2入力信号端子742と第2接地端子744を有し、第2入力信号端子742は、第2オーディオ入力信号を電気的に受信する。そのうち、第1接地端子734は、第2接地端子744に直接に接続されていない。具体的な一実施例では、第1オーディオ入力信号は、左チャンネルオーディオ信号であり、第2オーディオ入力信号は、右チャンネルオーディオ信号である。具体的な一実施例では、第1真空管増幅負荷回路730は、第1真空管増幅回路を含み、第1電源回路から出力された第1直流電圧を作動電圧とし、そのうち、第1直流電圧は、第1直流低電圧と第1直流高電圧を含む。第2真空管増幅負荷回路740は、第2真空管増幅回路を含み、第2電源回路から出力された第2直流電圧を作動電圧とし、そのうち、第2直流電圧は、第2直流低電圧と第2直流高電圧を含む。
【0039】
具体的な一実施例では、図3Aにおける回路接続法を(例えば、図3Aにおけるジャンパー線ゼロオーム抵抗器337、セーフティアース338を参照する。別の具体的な一実施例では、図7Aを参照する)を採用する可能とされ、第1接地端子734は、ジャンパー線ゼロオーム抵抗器を介してセーフティアース774に電気的に接続され、第2接地端子744は、ジャンパー線ゼロオーム抵抗器を介してセーフティアース776に電気的に接続され、そのうち、商用交流電圧760のセーフティアース772と、セーフティアース774と、セーフティアース776とは、同じセーフティアースであり、つまり第1接地端子734と第2接地端子744は、それぞれ、ジャンパー線ゼロオーム抵抗器を介して商用交流電圧760のセーフティアース772に電気的に接続されている。図7Aに信号アース線走行方向731、733、735、737、741、743、745、747を示している。そのうち、左チャンネル(Left Channel,L-CH)の信号アース線と右チャンネル(Right Channel,R-CH)の信号アース線は、互いに離間して閉回路を構成しないため、残留ノイズが極めて低くなる。
【0040】
図7Bを参照して、図7Aにおける真空管増幅システムにより残留ノイズのテストを行なったテスト結果である。図7Bにおける信号792に示すように、第1真空管増幅負荷回路730の残留ノイズ最大値794は、2.4mv/1.414=1.845mv RMSである。信号796に示すように、第2真空管増幅負荷回路740の残留ノイズ最大値798は、2.4mv/1.414=1.845mv RMSである。明らかに、真空管増幅システム700の第1真空管増幅負荷回路730と第2真空管増幅負荷回路740のノイズレベルは、従来の真空管増幅システムの残留ノイズ値よりもはるかに低くなり、トランジスタの性能に近く、且つハム(hum)音波型やパルスノイズの干渉が極めて低くなる。即ち、第1真空管増幅負荷回路730と第2真空管増幅負荷回路740のノイズレベルは、卓上型の製品に適用され且つ近距離で聞くことが可能な水晶体機械の残留ノイズレベルに近い。
【0041】
図8を参照して、本発明の真空管増幅システムの接地方法の具体的な一実施例のフローチャートを例示して説明する。図8に示す実施例では、真空管増幅システムの接地方法800は、真空管増幅システムに適用され、真空管増幅システムは、第1電源回路と、第1真空管増幅負荷回路と、第2電源回路と、第2真空管増幅負荷回路と、を含み、第1電源回路が、第1真空管増幅負荷回路に給電して動作させ、第2電源回路が第2真空管増幅負荷回路運転に給電して動作させる。接地方法800は、ステップ810から開始し、第1電源回路と第2電源回路をそれぞれ商用交流電圧に電気的に接続する。次に、ステップ820を行い、第1電源回路と第1真空管増幅負荷回路を共に第1接地端子に電気的に接続する。次に、ステップ830を行い、第2電源回路と第2真空管増幅負荷回路を共に第2接地端子に電気的に接続する。次に、ステップ840を行い、第1接地端子と第2接地端子をそれぞれジャンパー線ゼロオーム抵抗器を介して商用交流電圧のセーフティアースに電気的に接続させ、第1接地端子を第2接地端子に直接に電気的に接続しない。
【0042】
具体的な一実施例では、第1電源回路は、第1電源変圧器、第1高電圧直流電源回路及び第1低電圧直流電源回路を含む。第1電源変圧器は、第1励磁コイルと、第1高電圧誘起コイルと、第1低電圧誘起コイルとを有する。第1高電圧直流電源回路は、第1高電圧誘起コイルに電気的に接続され、第1直流高電圧を整流出力する。第1低電圧直流電源回路は、第1低電圧誘起コイルに電気的に接続され、第1直流低電圧を整流出力し、そのうち、第1電源変圧器における第1励磁コイルは、商用交流電圧に電気的に接続され、第1高電圧直流電源回路と第1低電圧直流電源回路は、第1接地端子に電気的に接続され、第1直流低電圧と第1直流高電圧は、第1真空管増幅負荷回路に給電される。
【0043】
具体的な一実施例では、第2電源回路は、第2電源変圧器、第2高電圧直流電源回路及び第2低電圧直流電源回路を含み、第2電源変圧器は、第2励磁コイルと、第2高電圧誘起コイルと、第2低電圧誘起コイルとを有する。第2高電圧直流電源回路は、第2高電圧誘起コイルに電気的に接続され、第2直流高電圧を整流出力する。第2低電圧直流電源回路は、第2低電圧誘起コイルに電気的に接続され、第2直流低電圧を整流出力し、そのうち、第2電源変圧器における第2励磁コイルは、商用交流電圧に電気的に接続され、第2高電圧直流電源回路と第2低電圧直流電源回路は、第2接地端子に電気的に接続され、第2直流低電圧と第2直流高電圧は、第2真空管増幅負荷回路に給電される。
【0044】
図9を参照して、本発明の真空管増幅システムの接地方法の具体的な一実施例のフローチャートを例示して説明する。図9に示す実施例では、真空管増幅システムの接地方法900は、真空管増幅システムに適用され、真空管増幅システムは、第1直流電源回路と、第1真空管増幅負荷回路と、第2直流電源回路と、第2真空管増幅負荷回路と、を含み、第1直流電源回路が第1真空管増幅負荷回路に給電して動作させ、第2直流電源回路が第2真空管増幅負荷回路に給電して動作させる。接地方法900は、ステップ910から開始し、電源変圧器における第1励磁コイルに商用交流電圧を受け取らせる。次に、ステップ920を行い、電源変圧器の第1誘起コイルと第2誘起コイルをそれぞれ第1直流電源回路と第2直流電源回路に電気的に接続する。次に、ステップ930を行い、第1直流電源回路と第1真空管増幅負荷回路を共に第1接地端子に電気的に接続する。次に、ステップ940を行い、第2直流電源回路と第2真空管増幅負荷回路を共に第2接地端子に電気的に接続する。次に、ステップ950を行い、第1接地端子と第2接地端子をそれぞれジャンパー線ゼロオーム抵抗器を介して商用交流電圧のセーフティアースに電気的に接続させ、第1接地端子を第2接地端子に直接に電気的に接続しない。具体的な一実施例では、真空管増幅システムは、該電源変圧器を含む。
【0045】
これまで、本発明に係る、残留ノイズを低減可能な真空管増幅システム及びその接地方法を、上記説明及び図示により説明した。しかし、本発明の各具体的な実施例は、説明するためのだけで、本発明の特許請求の範囲と趣旨から逸脱しない範囲で種々の改変が可能で、且つ共に本発明の特許請求の範囲に含むことを理解し得る。従って、本説明書に記述の各具体的な実施例は、本発明を制限するためのものではなく、本発明の真の範囲と趣旨は、添付の特許請求の範囲に開示される。
【符号の説明】
【0046】
100 真空管増幅システム
110 電源回路
112 電源変圧器
114 高低電圧直流電源回路
120 真空管増幅負荷回路
122 入力信号端子
124 接地端子
130 セーフティアース
150 商用交流電圧
160 セーフティアース
192 信号アース線走行方向
194 信号アース線走行方向
196 信号アース線走行方向
200 真空管増幅システム
210 電源回路
212 電源変圧器
214 高低電圧直流電源回路
214A 高電圧直流電源回路
214B 低電圧直流電源回路
220 真空管増幅負荷回路
224 接地端子
225 真空管一次増幅回路
227 真空管二次増幅回路
229 真空管電力増幅回路
230 オーディオ出力変圧器
240 スピーカー
250 商用交流電圧
260 セーフティアース
270 セーフティアース
291~297 信号アース線走行方向
300 真空管増幅システム
312 電源変圧器
312A 励磁コイル
312B 低電圧誘起コイル
312C 高電圧誘起コイル
314 高低電圧直流電源回路
317 ジャンパー線ゼロオーム抵抗器
318 セーフティアース
319 信号アース
324 接地端子
325 真空管一次増幅回路
327 真空管二次増幅回路
329 真空管電力増幅回路
330 オーディオ出力変圧器
337 ジャンパー線ゼロオーム抵抗器
338 セーフティアース
339 信号アース
340 スピーカー
392 信号
394 残留ノイズ最大値
400 従来の真空管増幅システム
410 高低電圧直流電源回路
420 第1真空管増幅負荷回路
421 信号アース線走行方向
423 信号アース線走行方向
425 信号アース線走行方向
427 信号アース線走行方向
430 第2真空管増幅負荷回路
431 信号アース線走行方向
433 信号アース線走行方向
435 信号アース線走行方向
437 信号アース線走行方向
440 電源変圧器
460 音源信号共通アース端子
472 アース
474 アース
480 閉回路
492 信号
494 残留ノイズ最大値
496 信号
498 残留ノイズ最大値
500 従来の真空管増幅システム
510 第1高低電圧直流電源回路
520 第2高低電圧直流電源回路
530 第1真空管増幅負荷回路
531 信号アース線走行方向
533 信号アース線走行方向
535 信号アース線走行方向
537 信号アース線走行方向
540 第2真空管増幅負荷回路
541 信号アース線走行方向
543 信号アース線走行方向
545 信号アース線走行方向
547 信号アース線走行方向
550 電源変圧器
560 音源信号共通アース端子
572 アース
574 アース
580 閉回路
592 信号
594 残留ノイズ最大値
596 信号
598 残留ノイズ最大値
600 真空管増幅システム
610 第1高低電圧直流電源回路
620 第2高低電圧直流電源回路
630 第1真空管増幅負荷回路
631 信号アース線走行方向
632 第1入力信号端子
633 信号アース線走行方向
634 第1接地端子
635 信号アース線走行方向
636 第1出力信号端子
637 信号アース線走行方向
640 第2真空管増幅負荷回路
641 信号アース線走行方向
642 第2入力信号端子
643 信号アース線走行方向
644 第2接地端子
645 信号アース線走行方向
646 第2出力信号端子
647 信号アース線走行方向
650 電源変圧器
660 商用交流電圧
672 セーフティアース
674 セーフティアース
676 セーフティアース
692 信号
694 残留ノイズ最大値
696 信号
698 残留ノイズ最大値
700 真空管増幅システム
710 第1高低電圧直流電源回路
720 第2高低電圧直流電源回路
730 第1真空管増幅負荷回路
731 信号アース線走行方向
732 第1入力信号端子
733 信号アース線走行方向
734 第1接地端子
735 信号アース線走行方向
737 信号アース線走行方向
740 第2真空管増幅負荷回路
741 信号アース線走行方向
742 第2入力信号端子
743 信号アース線走行方向
744 第2接地端子
745 信号アース線走行方向
747 信号アース線走行方向
752 第1電源変圧器
754 第2電源変圧器
760 商用交流電圧
772 セーフティアース
774 セーフティアース
776 セーフティアース
792 信号
794 残留ノイズ最大値
796 信号
798 残留ノイズ最大値
800 接地方法
810~840 ステップ
900 接地方法
910~9 ステップ
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9