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特許7062738カプセル、そのようなカプセルから飲用可能な飲料を調製するためのシステム、およびそのようなカプセルの飲料調製装置における使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-22
(45)【発行日】2022-05-06
(54)【発明の名称】カプセル、そのようなカプセルから飲用可能な飲料を調製するためのシステム、およびそのようなカプセルの飲料調製装置における使用方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/06 20060101AFI20220425BHJP
   A47J 31/44 20060101ALI20220425BHJP
   A47J 31/36 20060101ALI20220425BHJP
【FI】
A47J31/06 320
A47J31/44 180
A47J31/36 120
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2020172552
(22)【出願日】2020-10-13
(62)【分割の表示】P 2017559080の分割
【原出願日】2016-05-13
(65)【公開番号】P2021007785
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2020-11-11
(31)【優先権主張番号】PCT/NL2015/050351
(32)【優先日】2015-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】512164779
【氏名又は名称】コーニンクラケ ダウ エグバート ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】ヒエルケ ディストラ
(72)【発明者】
【氏名】アレンド ヘンドリック グロースオルンテ
(72)【発明者】
【氏名】エリック ピータ― ファン ガースベーク
(72)【発明者】
【氏名】マーク ヘンリクス ヨセフ オッテンスコット
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ カメルベーク
(72)【発明者】
【氏名】アルミン ヨード エイヤサッカース
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ヘンリ フラマンド
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/184653(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/184652(WO,A1)
【文献】特表2008-517639(JP,A)
【文献】国際公開第2014/012779(WO,A2)
【文献】国際公開第2014/118812(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/184651(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/06
A47J 31/44
A47J 31/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセル内に加圧下で流体を供給する手段により物質を抽出及び/又は溶解することによって飲用可能な飲料を調製するための該物質を容れるカプセルであって、
カプセル本体中心軸を有するアルミニウムカプセル本体と、ここで前記アルミニウムカプセル本体は、底、側壁、外向きに延在するフランジ、および前記フランジに封止構造を備えている、および
前記フランジに取り付けられ且つ密封的に該カプセルを閉じている蓋と、
を備え、ここで
該カプセルが飲料調製装置の囲み部材内に置かれかつ前記囲み部材が該飲料調製装置の閉じ部材によって閉じられ、前記フランジの少なくとも部分および封止構造が前記囲み部材の環状端面と前記閉じ部材との間にクランプされている場合に、前記封止構造は、飲料調製装置の前記囲み部材の環状端面との流体封止接触を提供するように変形可能である、上記カプセルにおいて、
前記封止構造は、前記フランジの変形可能な封止リング部分を含み、前記封止リング部分は、前記蓋の反対側のフランジのベース部分の側で、前記蓋が取り付けられているところの、前記フランジの前記ベース部分から軸方向に突出しており、前記変形可能な封止リング部分は、
前記フランジの内側ベース部分から延在しかつそこと隣接する内側壁部分と、
前記フランジの外側ベース部分から延在しかつそこと隣接する外側壁部分と、ここで前記外側壁は前記内側壁部分の半径方向外側に置かれかつ前記内側壁部分と半径方向に間隔を空けて配置されている、
前記内側壁部分と前記外側壁部分との間の支持部材、および
前記内側壁部分と前記外側壁部分とを相互接続しているブリッジ部分と、ここで前記ブリッジ部分は前記フランジの前記ベース部分から軸方向に間隔を空けて配置されている、
を備えており、
半径方向の断面図において、該フランジの前記ベース部分から軸方向に最も離れた前記ブリッジ部分の頂部が、平坦であるか、または前記ブリッジ部分の前記頂部の壁厚の2倍よりも大きい曲率半径で湾曲した中心面を有する、
上記カプセルにおいて、前記ブリッジ部分の該頂部の少なくとも一部は、前記内側壁部分および外側壁部分の壁厚よりも薄い低減された壁厚を有することを特徴とする、上記カプセル。
【請求項2】
前記ブリッジ部分の前記頂部は、前記封止リング部分が互換性飲料調製装置の前記環状端面と前記閉じ部材との間にクランプされるときに、前記環状端面によって最初に接触されるように位置決めされる、請求項1に記載のカプセル。
【請求項3】
前記ブリッジ部分の前記頂部は、該カプセルの中心線の周りに円周方向に延在する山を形成し、前記山は29~33mmの直径を有する、請求項2に記載のカプセル。
【請求項4】
該カプセルの該外向きに延在するフランジの外径が、該カプセルの該底の直径よりも大きい、請求項1~3の何れか1項に記載のカプセル。
【請求項5】
該アルミニウムカプセル本体の厚さは、20~200μmである、請求項1~4の何れか1項に記載のカプセル。
【請求項6】
該アルミニウムカプセル本体は、該蓋の該壁厚よりも大きい壁厚を有する、請求項1~5の何れか1項に記載のカプセル。
【請求項7】
該アルミニウムカプセル本体の該側壁は、該底に対向する自由端を有し、該外向きに延在するフランジは、該側壁の前記自由端から、該カプセル本体中心軸を少なくとも実質的に横断する方向に延在している、請求項1~6の何れか1項に記載のカプセル。
【請求項8】
該外向きに延在するフランジは、前記封止部分の半径方向外側に湾曲外縁部を含む、請求項6に記載のカプセル。
【請求項9】
該アルミニウムカプセル本体は切頭され、該アルミニウムカプセル本体の該側壁は、該カプセル本体中心軸に対して直角の線と約97.5°の角度を有する、請求項1~8の何れか1項に記載のカプセル。
【請求項10】
該封止構造は、少なくとも約0.1mm、最大で3mmの軸方向の高さを有している、請求項1~9の何れか1項に記載のカプセル。
【請求項11】
調製中、前記フランジと前記環状端面との間の封止接触を与えるように前記環状端面が該カプセルの該封止構造に力Fを及ぼす場合に、該封止リング部分は、該封止リング部分が該環状表面に対して効果的に封止するように変形可能である、ここで該カプセルの外側での該囲み部材内の流体圧が6~20バールの範囲内である場合に、Fは500~1500Nの範囲内にある、請求項1~10のいずれか1項に記載のカプセル。
【請求項12】
使用において、調製の前または調製の開始時に、前記フランジと前記環状端面との間の封止接触を与えるように前記環状端面が該カプセルの該封止構造に力F1を及ぼす場合に、該封止リング部分は、該封止リング部分が該環状表面に対して効果的に封止するように変形可能である、ここで該カプセルの外側での該飲料調製装置の該囲み部材内の流体圧P1が0.1~4バールの範囲内である場合に、力F1は30~150Nの範囲内にあ、請求項1~11の何れか1項に記載のカプセル。
【請求項13】
該封止リング部分に対して押し付けられた該環状端面が、半径方向に延在する複数の開放溝であって、前記環状端面の円周方向に互いに対して均一に間隔を取られたものを有する場合に、該封止リング部分は、該封止リング部分が該環状面に対して効果的に封止するように変形可能である、請求項1~12の何れか1項に記載のカプセル。
【請求項14】
前記溝のそれぞれの最大幅が0.9~1.1mmである場合に、該封止リング部分は、該封止リング部分が該環状面に対して効果的に封止するように変形可能である、ここで該飲料調製装置の該囲み部材の軸方向における前記溝のそれぞれの最大高さは0.01~0.09mmであり、そして前記溝の数は90~110でありそして該溝の位置での該環状端面の半径方向の幅は0.05~0.9mmである、請求項13に記載のカプセル。
【請求項15】
該封止リング部分および該カプセル本体の残り部分が、同一板材で作られている、請求項1~14の何れか1項に記載のカプセル。
【請求項16】
カプセル内に加圧下で供給された流体を使用して該カプセルから飲用可能な飲料を調製するためのシステムであって、
該カプセルを受け取るための囲み部材を備えた飲料調製装置と、ここで該囲み部材は該カプセル内に加圧流体を供給する流体注入手段を備え、該飲料調製装置はさらに、該飲料調製装置の該囲み部材を閉じる閉じ部材を備え、前記囲み部材は環状端面を有する環状端部を有する、および
請求項1~15のいずれか1項に記載のカプセルと
を有するところの、上記システム。
【請求項17】
前記封止リング部分が前記環状端面と前記閉じ部材との間でクランプされるときに、前記環状端面は、最初に前記ブリッジ部分の前記頂部と接触するように位置決めされている、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
断面図において、前記封止リング部分が前記環状端面と前記閉じ部材との間でクランプされるときに、前記ブリッジ部分の前記頂部が、最初に前記環状端面の中央部分に接触するように、前記環状端面に対して中央に置かれている、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
使用中、該飲料調製装置の該囲み部材内の最大流体圧は6~20バールの範囲内である、請求項16~18の何れか1項に記載のシステム。
【請求項20】
該システムは、使用において調製中に、前記フランジと前記環状端面との間に封止接触を与えるように、前記環状端面が力F2を該カプセルの該封止構造に及ぼすように配設されている、ここで該カプセルの外側での前記囲み部材内の流体圧P2が6~20バールの範囲内にあるときに、力F2は500~1500Nの範囲内である、請求項16~19の何れか1項に記載のシステム。
【請求項21】
該システムは、使用において調製の前または開始時に、前記フランジと前記環状端面との間に封止接触を与えるように、前記環状端面が力Fを該カプセルの該封止構造に及ぼすように配設されている、ここで該カプセルの外側での前記囲み部材内の流体圧P1が0.1~4バールの範囲内にあるときに、力F1は30~150Nの範囲内である、請求項16~20の何れか1項に記載のシステム。
【請求項22】
該環状端面が半径方向に延在する複数の開放溝を有し、該複数の径方向に延在する開放溝は、前記環状端面の円周方向に相互に対して均一に間隔を取られている、請求項16~21の何れか1項に記載のシステム。
【請求項23】
各溝の最大幅は0.9~1.1mmであり、該飲料調製装置の該囲み部材の軸方向における各溝の最大高さは0.01~0.09mmであり、そして溝の数は90~110であり、該溝の位置での該環状端面の径方向幅は、0.05~0.9mmである、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
使用中、該飲料調製装置の該閉じ部材が該飲料調製装置の該囲み部材を閉じるとき、該飲料調製装置の該囲み部材内の該流体の前記閉じ部材の方への圧力の影響下で、該環状端面を含む該囲み部材の少なくとも部分は、該飲料調製装置の該閉じ部材に相対的に動きえて、前記環状端面に該カプセルの該フランジへ最大のクランプ力を加えさせる、請求項16~23の何れか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の導入部分に従うカプセルに関する。
【0002】
本発明はまた、請求項37の導入部分に従う飲用可能な飲料を調製するためのシステム、およびそのようなカプセルの使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
そのようなカプセル、システム、および使用方法は、欧州特許(EP-B-1 700 548)で公知である。公知のシステムにおいて、カプセルは、段差の形状、すなわちカプセルの側壁の直径の急な増加を有する封止構造を備え、そしてこの公知のシステムの囲み部材は、封止構造にたわみを与えるように封止構造に作用する封止表面を有し、該封止構造は、該封止構造のたわみが内側かつ下側への段差の変形であるように傾けられている。さらに公知のシステムにおいて、該囲み部材は、カプセルホルダと、該囲み部材と該カプセルホルダとの相対変位のための手動操作式または自動機構を備える。手動操作式または自動機構は、該囲み部材が該カプセルホルダ上で閉じるときに、該カプセルの該封止構造に力を加える。この力は、該囲み部材と該カプセルとの間の流体密封を保証するはずである。手動操作または自動機構が、ベースに相対的に移動するように配設されているので、システムの封止能力は、該流体注入手段によって注入される該流体の圧力に依存しうる。流体の圧力が増加すると、該カプセルの封止構造と該囲み部材の自由端との間の力も増大し、それにより該カプセルの封止構造と該囲み部材の自由端との間の力もまた増大する。このようなシステムは後で説明される。該カプセルの封止構造は、該囲み部材内において最大流体圧に到達すると、該封止構造は該囲み部材と該カプセルとの間の流体封止接触をやはり提供すべきであるように、配設されていなければならない。しかし、該封止構造はまた、調製の前または開始時で、該カプセルの外側かつ該囲み部材内の流体の圧力が比較的低いときに、封止構造はまた該囲み部材と該カプセルとの間の流体封止接触を与えるように、配設されていなければならない。調製の開始時に、該カプセルと該囲み部材との間に流体封止接触が存在しない場合、漏れが生じるだろう。しかし、もし漏れが生じると、手動操作式または自動機構が該囲み部材を該カプセルホルダの方へ移動させる場合に、囲み部材の自由端による封止構造への力を増加させるための、該囲み部材内のかつ該カプセルの外側の圧力が、十分に上昇しないことが現実に生じうる。十分な初期封止が存在する場合にのみ、該囲み部材内の圧力は増加し、それによりまた該囲み部材の自由端の該カプセルの封止構造へ作用する力は、増加し、増加した流体圧で十分な流体封止接触を与える。さらに、該カプセルの外側でのこの増加した流体圧はまた、該カプセルの内側での増加した圧力を与え、該圧力は、該カプセルが飲料調製装置のカプセルホルダ(また抽出プレートと呼ばれる)の浮彫部材上で、カプセル内の流体圧の影響下で裂開するように配設されている蓋を備えている場合には、必須である。
【0004】
上記のことから、封止構造が設計上極めて重要な部材であるということになる。囲み部材の環状端面によって比較的小さな力しか封止構造に加えられない場合には、比較的低い流体圧で囲み部材とカプセルとの間の流体封止接触を提供できるべきである。しかし、該囲み部材の自由端によって該カプセルの封止構造により強い力が加えられる場合、該カプセルの外側での該囲み部材内の遥かに高い流体圧で流体封止接触が与えられるべきである。特に、該囲み部材の自由端が半径方向に延在する開放溝(それは空気入口通路として働く)を備えるとき、使用者にとってカプセルを取り出すのが容易であるように、一度、該囲み部材と該カプセルホルダとの間の力は、解放され、該封止構造はまた、効果的な封止を提供するために該半径方向に延在する開放溝を「閉じる」ことができなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
国際公開第2012/120459号から、該カプセル本体の該外向きに突出するフランジの変形可能な部分を該封止構造が含むカプセルが公知である。しかし、該封止リング部分が、それがその環状の表面と該閉じ部材との間で変形されるときに、該囲み部材の該環状端面に対して接触する封止を提供するということを保証するために、該囲み部材の該環状端面は、該環状の表面の円周方向に延在する丸みを帯びた浅い溝部の形態の変形手段を有する。動作時に、丸みを帯びた浅い溝部は、該変形可能な部分の直立したリブが内向きに折り重なることを保証する。したがって、そのようなカプセルの確実な機能が、特に飲料調整装置を使用するときだけ保証されることとなる。
【0006】
カプセルが飲料調製装置の囲み部材内に置かれかつ該囲み部材が該飲料調製装置の閉じ部材、例えば該飲料調製装置の抽出プレートによって閉じられ、該カプセルの外向きに延在するフランジの1部分と該カプセルの封止構造とが該囲み部材の環状端面と該飲料調製装置の閉じ部材との間でクランプされる場合に、該環状端面が半径方向に延在する複数の開放溝を備え且つそれらが依然として低コストで製造されえ且つカプセルが使用後に廃棄された後に環境に優しくかつ容易にリサイクル可能である囲み部材の場合でさえも、飲料調製装置の囲み部材の環状端面に対して確実な封止をするところのカプセルを提供することが本発明の目的である。公知のカプセルの多くでは、該封止部材は、弾性材料、例えばゴム弾性材料など、より具体的には、例えばシリコン材料などから作製されており、それは、使用後に、リサイクル目的のために該アルミニウムベースおよび蓋から分離されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1に従うカプセルを提供することによって達成される。
【0008】
該封止構造が該フランジの変形可能な封止リング部分を含み、該封止リング部分が該フランジのベース部分から蓋の反対側の該ベース部分の側上で軸方向に突出し、該封止構造が該カプセルの該フランジに一体化されているので、該カプセルは速く低コストで製造されえ、該アルミニウムカプセル本体は容易にリサイクルされうる。本文脈では、「アルミニウム」の意味は、アルミニウム合金も含むと理解される。
【0009】
該フランジの該ベース部分から軸方向に最も離れた該ブリッジ部分の頂部が、平坦であるか、または該ブリッジ部分の該頂部の壁厚の2倍よりも大きい曲率半径で湾曲した中心面を有するので、該ブリッジ部分は、低いクランプ圧力でも局所的に容易に変形可能であり、該囲み部材の該環状端面と該閉じ部材との間でクランプされたときに、該囲み部材の該環状端面の形状に適合する。該環状端面が半径方向に延在する開放溝を備えるところの囲み部材の場合でさえも、該封止構造は、該囲み部材の該環状端面によって形成された円周方向における連続した突出部および窪み部に適合することができ、該囲み部材と該閉じ部材が互いに押し付けられるクランプ圧力が比較的低いところの該囲み部材の閉鎖の初期段階の間に、該封止構造は、該環状端面の該窪み面部分に対しても効果的に封止する。
【0010】
該囲み部材の該環状端面と該フランジの該封止リング部分との間の封止が、該カプセル内の物質にわたる圧力降下が所望の飲料調製プロセスにとって十分であることを保証するのに有効であるためには、すべての状況下で密封的に液密である必要はないことが注目される。該カプセルを通ってポンプ注入された液体容積の4%まで、好ましくは2.5%を越えない液体漏れで、封止は、該飲料調製装置が該物質にわたり所望の圧力低下を生じさせるのに依然として有効である。したがって、このような漏れを許容する封止は、効果的な封止を構成する。
【0011】
本発明はまた、請求項37に記載のシステムおよび請求項47に記載の使用方法において実施されうる。このようなシステムの動作およびそのような使用方法において、該囲み部材の該環状端面と閉じ部材との間にクランプされたときに、該ブリッジ部分は局所的に容易に変形し、それにより該囲み部材の該環状端面の形状に適合する。より詳細には、該囲み部材と該閉じ部材が互いに押し付けられるクランプ圧力が比較的低い場合に、該封止構造は、該囲み部材の該環状端面によって形成された円周方向の一連の突起部および窪み部に収容され、そして該環状端面の窪み面部分に対しても既に効果的に封止する。
【0012】
該ブリッジ部分の頂部の少なくとも一部が内側壁部分および外側壁部分の壁厚よりも薄い低減された壁厚を有する場合に、該環状端面の形状への良好な適合性、従って低い封止圧力で既に特に効果的で確実な封止が達成されうる。
【0013】
該カプセル本体が少なくとも1つの面に被覆を有する場合に、低減された壁厚を持つ該ブリッジ部分の頂部の少なくとも一部における被覆の削除は、壁厚が製造時に減少される場合に起きる比較的大きな変形が生じている間に被覆が損傷を受けまたは剥がれるリスクを減少させる。例えば、壁厚を減少させることが壁材料を除去することを含む場合、製造中に壁厚を減少させながら被覆を除去することもできる。
【0014】
該ブリッジ部分の被覆されていない部分が該蓋の反対側の該フランジの側にあり且つテクスチャ加工された表面を有する場合に、さらに高められた封止効果が達成されうる。封止圧力が依然として低い場合に、該表面のテクスチャは、さらにクランプの初期段階における適合性を改善しうる。なぜなら、クランプ力がテクスチャの隆起部のみを介して伝達されるので、完全な滑らかな接触面に及ぼされるよりも隆起部においてより高い接触圧力が加えられるからである。
【0015】
テクスチャ加工された表面が該フランジの円周方向に延在する隆起部および谷部を含む場合に、特に改良された封止効果が達せされうる。なぜなら該環状端面の形状への初期の適合は、一般的に、円周方向に主として延在する環状領域またはリング区画において達成されるからである。
【0016】
本発明はまた、そのようなカプセルを製造するために請求項52に記載の方法において実施することもできる。被覆は、壁厚を減少させる前または減少中に、壁厚が減少されるべき該フランジの部分から効率的に除去される。
【0017】
壁厚を減少させるために壁材を除去するための材料除去工程の間に、壁厚が減少されるべき該フランジの部分から該被覆が除去される場合に、減少された壁厚の特に効率的な製造が達成されうる。
【0018】
しかし、該ブリッジ部分の頂部部分の上の被覆は、該カプセル本体の該外側表面の残りの部分の上のものと同じ被覆であるか、または、該カプセル本体の該外側表面の残りの部分の上の被覆とは異なる被覆であるかのいずれかであり、それは、例えば該囲み部材の該環状端面と該環状端面に接触している該封止リング部分の表面部分との間の摩擦を低減させることによって、封止を改善することもでき、それは、該環状端面に接触している該封止リング部分が該環状端面の形状に適合することを容易にする。
【0019】
該内側および外側壁部分のうちの一方が、該内側および外側壁部分のうちの他方とは異なる角度で、該フランジの該ベース部分に対して配向されている場合には、封止の間の所定の形状への該封止構造の正確かつ確実な変形が達成されうる。特に、漏れのリスクの増加を伴う、異なる端部形状に変形する円周方向の部分同士の間の移行部の発生が、それによって妨げられる。
【0020】
該内側および外側壁部分のうちの一方が、該フランジの関連の隣接する該ベース部分の平面に対して、斜めの角度で、好ましくは20~60°の角度で、より好ましくは30~50°の角度で延在しており、該内側および外側壁部分のうちの他方が、該フランジの関連の隣接する該ベース部分から、該フランジの関連の隣接する該ベース部分の平面に対して、より急勾配のまたは反対側の角度で、好ましくは60~160°で、より好ましくは70~150°で延在している場合に、この効果が特に効果的に達成されうる。
【0021】
所定の形状に対する滑らかで正確かつ確実な変形のために、断面図において、該内側および外側壁部分のうちの少なくとも1つの少なくとも1部分が、湾曲した中心面を有している場合に、特に、該内側および外側壁部分のうちの該少なくとも1つの該湾曲した部分が、前記ブリッジ部分の頂部の該湾曲に隣接している場合に、および、断面図において、該変形可能な部分がΩ字形状をしている場合に、それは有利である。Ω字形状の別の利点は、小さいギャップだけが該フランジの内側ベース部分と外側ベース部分との間に残されており、該蓋と該フランジの接着のために大きい表面積が残されるようになっているということである。
【0022】
該封止構造の変形の最終段階の間に高い対抗圧力を得るために、支持部材が、内側壁部分と外側壁部分との間に設けられうる。
【0023】
封止リング部分が該環状端面と互換性飲料調製装置の閉じ部材との間でクランプされるときに、該ブリッジ部分の頂部が、該環状端部分によって最初に接触させられるように配置される場合に、該環状端面の形状への特に容易な適合は、達成されうる。
【0024】
該ブリッジ部分の頂部は、該カプセルの中心線の周りに円周方向に延在する丸みを帯びたまたは平坦な陵部を形成する。該ブリッジ部の頂部によって形成された該陵部は29~33mm、より好ましくは30.0~31.4mm、最も好ましくは30.3~31.0mmの直径を有するようにすれば、該環状端面と、広く使用され市販されている飲料調製装置、例えばCitiz、Lattisima、U,Maestria、Pixie、InissiaおよびEssenzaの前記閉じ部材との間で該封止リング部分がクランプされるときに、該ブリッジ部の頂部は、前記環状端面の中心部分に最初に接触するように該環状端面に対して中心に置かれる。
【0025】
カプセルの1実施態様において、該カプセルが、抽出可能な製品、例えば焙煎し挽かれたコーヒーの5~20グラム、好ましくは5~10グラム、より好ましくは5~7グラムを充填される場合に、本発明は特に有利である。
【0026】
特に製造するのが容易である、本発明に従うカプセルの1実施態様において、該カプセルの該外向きに延在するフランジの外径は、該カプセルの該底の直径よりも大きい。好ましくは、該外向きに延在するフランジの外径は約37.1mmであり、該カプセルの該底の直径は約23.3mmである。
【0027】
該カプセルの1実施態様において、該アルミニウムカプセル本体の厚さは20~200μm、好ましくは100μmである場合に、本発明は特に有利である。
【0028】
該カプセルの1実施態様において、該アルミニウム蓋の厚さは15~65μm、好ましくは30~45μm、より好ましくは39μmである場合に、本発明は特に有利である。
【0029】
本発明に従うカプセルの1実施態様において、該アルミニウム蓋の壁厚は、該アルミニウムカプセル本体の壁厚よりも薄い。
【0030】
本発明に従うカプセルの別の実施態様において、該アルミニウム蓋は、該カプセル内の流体圧の影響下で、飲料調製装置の閉じ部材、例えば該飲料調製装置の抽出プレート上で裂開されるように配設されている。
【0031】
特に製造が容易な本発明に従うカプセルの1実施態様において、該アルミニウムカプセル本体の側壁は、該底に対向する自由端を有し、該外向きに延在しているフランジは、該側壁の前記自由端から、少なくとも実質的に該カプセル本体中心軸を横切る方向に延在する。好ましくは、該外向きに延在しているフランジは、半径方向に延在する開放溝が設けられた該環状端面で満足のいく封止を得るのに有効な湾曲外縁部を含む。該外向きに延在しているフランジの湾曲外縁部の内縁の、カプセル本体中心軸の周りの半径は、好ましくは、少なくとも32mmであるので、該囲み部材の該環状端面からのクリアランスが確保される。すると、封止構造が、該アルミ二ニウムカプセル本体の側壁の自由端に外向きに延在しているフランジの湾曲外縁部の間に位置されることが、さらに満足な封止を得るために好ましい。
【0032】
湾曲外縁部が、広範囲の、市販のおよび将来の飲料調製装置の動作を妨げないことを保証するために、該外向きに延在するフランジは、約1.2mmの径方向断面最大寸法を有する。
【0033】
本発明は、該アルミニウムカプセル本体の側壁の自由端の内径が、約29.5mmであるカプセルに特に有益である。該アルミニウムカプセル本体の側壁の自由端と該外向きに延在するフランジの最外縁との間の距離は、約3.8mmでありうる。該アルミニウムカプセル本体の好ましい高さは約28.4mmである。
【0034】
使用後に使用者が飲料調製装置から取り出すことがより容易な本発明に従うカプセルの1実施態様において、該アルミニウムカプセル本体は切頭されており、好ましくは該アルミニウムカプセル本体の側壁は、該カプセル本体中心軸に対して直角の線と約97.5°の角度を有する。
【0035】
本発明に従うカプセルの有利な実施態様において、該アルミニウムカプセル本体の該底は、約23.3mmの最大内径を有する。該アルミニウムカプセル本体の該底は切頭されており、好ましくは約4.0mmの底高さを有し、該底は該蓋とは反対側の略平坦な約8.3mmの直径を有する中央部分を有することが好ましい。
【0036】
事実上すべての場合に、満足な封止は、該封止構造の高さが少なくとも約0.1mm、より好ましくは少なくとも0.2mm、最も好ましくは少なくとも0.8mm、そして最大で3mm、より好ましくは最大で2mm、最も好ましくは最大で1.2mmである、本発明に従うカプセルの実施態様において得られうる。
【0037】
カプセルに関する従属請求項の特徴と同じ特徴に関する、従属請求項に記載されたようなシステムの好ましい実施態様に関しては、上記が参照される。
【0038】
本発明は、使用時に該飲料調製装置の該囲み部材内の最大流体圧が6~20バール、好ましくは12~18バールの範囲内にある、本発明に従うシステムに特に適している。そのような高圧でさえ、カプセルと飲料調製装置との間の満足のいく封止が得られうる。
【0039】
好ましくは、該システムは、使用において、調製中に、該飲料調製装置の該囲み部材の自由端が、該カプセルの外向きに延在しているフランジと該飲料調製装置の該囲み部材との間に流体封止接触を提供するように該カプセルの該封止構造に力F2を及ぼすように配設されている、ここで、Fは、該カプセルの外側での該飲料調製装置の該囲み部材内での流体圧P2が、6~20バール、好ましくは12~18バールの範囲内にあるとき、500~1500Nの範囲、好ましくは750~1250Nの範囲にある。特に該システムは、使用において、調製の前または開始時に、該飲料調製装置の該囲み部材の自由端が、該カプセルの外向きに延在しているフランジと該飲料調製装置の該囲み部材との間に流体封止接触を提供するように該カプセルの該封止構造に力F1を及ぼすように構成されている。ここで、該カプセルの外側での該飲料調製装置の該囲み部材内での流体圧P1が0.1~4バール、好ましくは0.1~1バールの範囲内にあるときに、F1は30~150N、好ましくは40~150N、より好ましくは50~100Nである。
【0040】
本発明に従うシステムの1実施態様において、該複数の半径方向に延在する開放溝は、該飲料調製装置の該環状要素の該環状端面の接線方向に互いに均一に間隔を空けられ、従って、使用者にとってカプセルを取り出すことがより容易であり、一方でカプセルと飲料調製装置との間の満足のいく封止が依然として与えられる。
【0041】
本発明に従うシステムの有利な1実施態様において、各溝の最長の接線方向の幅(頂部と頂部、即ち溝と溝とのピッチに等しい)は0.9~1.1mm、好ましくは0.95~1.05mm、より好ましくは0.98~1.02mmであり、該飲料調製装置の該囲み部材の軸方向における各溝の最大高さは0.01~0.09mm、好ましくは0.03~0.07mm、より好ましくは0.045~0.055mm、最も好ましくは0.05mmであり、溝の数は90~110、好ましくは96である。該溝の位置での該環状端面の半径方向の幅は、例えば0.05~0.9mm、好ましくは0.2~0.7mm、より好ましくは0.3~0.55mmである。
【0042】
使用中、該飲料調製装置の該閉じ部材が該飲料調製装置の該囲み部材を閉じるときに、該カプセルの該フランジと該飲料調製装置の該囲み部材の該自由端との間に最大の力を加えるために、該飲料調製装置の該囲み部材は、該飲料調製装置の囲み部材内の流体の圧力の影響下で、該飲料調製装置の該閉じ部材の方へ該飲料調製装置の該閉じ部材に相対的に動くことができる、本発明に従うシステムの1実施態様に適用される場合に、本発明は特に適している。
【0043】
本発明の別の有利な局面、効果、および詳細はさらに、図面に示された非限定的な実施例を参照して記載されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明に従うシステムの1実施態様の概略図である。
図2】本発明に従うシステムの飲料調製装置の1実施態様の斜視図であり、半径方向に延在する複数の開放溝を有する飲料調製装置の囲み部材の環状端面を示す。
図3A】使用前の本発明に従うカプセルの1実施態様の断面図である。
図3B図3Aのカプセルの拡大詳細図であり、外向きに延在するフランジおよび封止構造を示している。
図3C】使用後の図3Aおよび3Bにおけるカプセルの外向きに延在するフランジの拡大詳細図である。
図4A】本発明に従うカプセルの外向きに延在するフランジでの封止構造の1実施態様を示す図である。
図4B】本発明に従うカプセルの外向きに延在するフランジでの封止構造の1実施態様を示す図である。
図4C】本発明に従うカプセルの外向きに延在するフランジでの封止構造の1実施態様を示す図である。
図4D】本発明に従うカプセルの外向きに延在するフランジでの封止構造の1実施態様を示す図である。
図4E】本発明に従うカプセルの外向きに延在するフランジでの封止構造の1実施態様を示す図である。
図4F】本発明に従うカプセルの外向きに延在するフランジでの封止構造の1実施態様を示す図である。
図4G】本発明に従うカプセルの外向きに延在するフランジでの封止構造の1実施態様を示す図である。
図4H】本発明に従うカプセルの外向きに延在するフランジでの封止構造の1実施態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1は、カプセル内に加圧下で供給される流体を用いて該カプセルから飲用可能な飲料を調製するためのシステム1の実施態様の概略の断面図である。システム1は、封止されるように封止されているカプセル2および飲料調製装置4を含んでいる。該装置4は、カプセル2を保持するための囲み部材6を含む。該装置4はさらに、カプセル2を保持するための閉じ部材、例えば抽出プレート8を含んでいる。
【0046】
図1において、明瞭のために、カプセル2と囲み部材6と抽出プレート8との間に隙間が描かれている。使用中、カプセル2が、囲み部材6および抽出プレート部材8と接触していることが理解されよう。一般的に囲み部材6は、カプセル2の形状に相補的な形状を有している。該装置4はさらに、6~20バール、好ましくは12~18バールの範囲の圧力下で或る量の流体、例えば水、を交換可能なカプセル2へ供給するための流体注入手段10を備えている。
【0047】
図1に示された実施例において、交換可能なカプセル2は、カプセル本体中心軸12Aを有するアルミニウムカプセル本体12と、アルミニウム蓋14とを含む。本実施例においては、アルミニウムカプセル本体12は、側壁16、第1の端部で側壁16を閉じる底18、および底18に対向する第2の端部で周囲壁16の外側に延在する外向きに延在するフランジ20を含む。側壁16、底18、および蓋14は、内部空間22を取り囲み、該内部空間22は物質を抽出および/または溶解することによって飲用可能な飲料を調製するための物質を含んでいる。好ましくは、物質は、5~20グラム、好ましくは5~10グラム、より好ましくは5~7グラムの抽出可能な製品、例えば一杯の飲料の調製のための焙煎し挽かれたコーヒーである。カプセルは当初は、封止され、即ち使用前は封止されている。
【0048】
図1のシステム1は、入口開口部25を介して流体を抽出可能な製品に供給するために、底18に少なくとも1つの入口開口部25を創り出すためのカプセル2の底18を刺通するための底刺通手段24を含む。
【0049】
図1のシステム1はさらに、カプセル2の蓋14を刺通するために、蓋刺通手段26(ここでは閉じ部材8の突出部として形成されている)を備えている。蓋刺通手段26は、一度、内部空間22内の(流体)圧力が、閾値圧を超えて、蓋14を蓋刺通手段26に対して十分な力で押圧すると、蓋14が裂開するように配設されうる。こうして、アルミニウム蓋14は、カプセル内の流体圧の影響下で、飲料調製装置の閉じ部材8上で裂開するように配設されている。
【0050】
カプセル2はさらに、封止構造28を備えており、図1、3A、3Bにおいては一般的なボックスとして示されているが、図4A~4Hを参照してより詳細に記載される。カプセル2が囲み部材6内に置かれ、かつ囲み部材6と抽出プレート8との間で封止的に係合されるように囲み部材6が抽出プレート8によって閉じられる場合に、この封止構造28は、カプセル2の外向きに延在するフランジ20と封止構造28の少なくとも一部分とが、囲み部材6と流体封止接触を提供するように、外向きに延在するフランジ20で配設される。
【0051】
図2に示されたように、飲料調製装置の囲み部材6は、環状要素中心軸41Aと自由環状端面30とを有する環状要素41を備える。環状要素41の環状端面30は、半径方向に延在する複数の開放溝40を備えている。複数の、半径方向に延在する開放溝40は、環状要素の環状端面30の接線方向に相互に均一に間隔を取られている。各溝40の最大の接線幅は0.9~1.1mm、好ましくは0.95~1.05mm、より好ましくは0.98~1.02mmであり、各溝40の囲み部材6の軸方向における最大高さは0.01~0.09mmであり、好ましくは0.03~0.07mm、より好ましくは0.045~0.055mm、最も好ましくは0.05mmである。溝40の数は90~110、好ましくは96の範囲内にある。溝の位置での環状端面の半径方向の幅は例えば0.05~0.9mm、好ましくは0.2~0.7mm、より好ましくは0.3~0.55mmでありうる。
【0052】
本発明に従うカプセルの1実施態様が、図3Aおよび3Bにより詳細に示されている。図示された実施態様において、外向きに延在するフランジ20の外径ODFは、カプセル2の底18の直径DBよりも大きい。図示された実施態様において、外向きに延在するフランジ20の外径ODFは約37.1mmであり、底18のDBは約23.3mmである。本実施例において、アルミニウムカプセル本体12の壁厚は100μmである。一般に、様々な考慮に応じて壁厚は20~200μmが好ましい。
【0053】
図示の実施態様において、アルミニウム蓋14の厚さは39μmであり、好ましい厚さは15~65μm、より特には30~45μmの範囲である。好ましくは、アルミニウム蓋14の厚さは、アルミニウムカプセル本体12の厚さよりも小さい。
【0054】
アルミニウムカプセル本体12の側壁16は、底18に対向する自由端42を有している。アルミニウムカプセル本体12の側壁16の自由端42の内径IDFは、約29.5mmである。外向きに延在するフランジ20は、その自由端42から、カプセル本体中心軸12Aを少なくとも実質的に横切る方向に延在している。外向きに延在するフランジ20は、カプセルと囲み部材との間の封止を得るのに有益な、湾曲外縁部43を備える。図示された実施態様において、外向きに延在するフランジ20の湾曲外縁部43は、約1.2mmの最大寸法を有する。アルミニウムカプセル本体12の側壁16の自由端42と湾曲外縁部43の内縁43Aとの間の距離DIFは、約2.7mmであるが、一方、アルミニウムカプセル本体12の側壁16の自由端42と外向きに延在するフランジ20の最外縁部43Bとの間の距離は、約3.8mmである。
【0055】
図3Aおよび3Bに示されたように、封止構造28は、アルミニウムカプセル本体12の側壁16の自由端と外向きに延在するフランジの湾曲外縁部42の内縁43Aとの間に配置されている。封止構造28は、一般的なボックスとして示されているが、以下でより詳細に説明する。封止構造28の実施態様とは関係なく、封止構造の高さは、適確な封止を与えるために、好ましくは少なくとも約0.1mm、より好ましくは少なくとも0.2mm、最も好ましくは少なくとも0.8mm、最大で3mm、より好ましくは最大で2mmであり、好ましくは最大で1.2mmである。
【0056】
図3Aから分かるように、アルミニウムカプセル本体12は切頭されている。図示された実施態様において、アルミニウムカプセル本体12の側壁16は、カプセル本体中心軸12Aに対して直角の線と約97.5°の角度Aを有する。アルミニウムカプセル本体12の底18は、約23.3mmの最大内径DBを有する。アルミニウムカプセル本体12の底18も切頭されており、図示された実施態様においては、約4.0mmの底の高さBHを有する。底18はさらに、蓋14に対向するほぼ平坦な中央部分18Aを有し、その中央部分18Aは、約8.3mmの直径DEEを有し、その中央部分18Aにおいて、入口開口部25を形成されうる。入口開口部はまた、中央部分18Aと側壁16との間の切頭部分において形成されてもよい。カプセルのアルミニウムカプセル本体12の総高さTHは、約28.4mmである。
【0057】
図1に示されたシステム1は、1杯の飲用可能な飲料(本実施例においてはコーヒーであり、カプセル内の物質は焙煎され挽かれたコーヒーである)を調製するために、以下のように操作される。
【0058】
カプセル2は囲み部材6内に置かれる。抽出プレート8はカプセル2と接触する。底刺通手段24は、入口開口部25を形成するために、カプセル2の底18を突き通す。流体(ここでは加圧下の熱湯)が、入口開口部25を介して内部空間22内の抽出可能な製品に供給される。湯は挽かれたコーヒーを湿らせ、所望の物質を抽出してコーヒー飲料を形成する。
【0059】
内部空間22に加圧下で水を供給する間に、カプセル2内の圧力は上昇する。圧力の上昇により、蓋14は変形され、抽出プレートの蓋刺通手段26に押し付けられる。一度、圧力が或るレベルに達すると、蓋14の引裂き強度を上回り、蓋14は、蓋刺通手段26に捕獲され、出口開口部を創り出す。調製されたコーヒーは、抽出プレート8の出口開口部および出口32(図1を参照)を通してカプセル2から排出され、容器、例えばカップ(図示せず)に供給されうる。
【0060】
システム1は、調製の前または開始時に、カプセル2の外向きに延在するフランジ20と飲料調製装置の囲み部材6との間の封止接触を提供するように、囲み部材6の自由端30がカプセル2の封止構造28に力F1を及ぼすように配設されている。ここで、力F1は、飲料調製装置の囲み部材内の流体圧力P1が0.1~4バール、好ましくは0.1~1バールの範囲内であるときに、30~150N、好ましくは40~150N、より好ましくは50~100Nの範囲内にある。調製中、囲み部材6の自由端30は、カプセル2の外向きに延在するフランジ20と囲み部材6との間に封止接触を提供するように、カプセル2の封止構造28に力F2を及ぼす。ここでF2は、カプセル2の外側での飲料調製装置の囲み部材6内の流体圧力P2が6~20バール、好ましくは12~18バールの範囲内にあるとき、500~1500Nの範囲内にあり、好ましくは750~1250Nの範囲内にある。図示された実施態様において、囲み部材6の1部分6Bは、外向きに延在するフランジ20と囲み部材6の自由端30との間に最大の力を加えるために、抽出プレート8に向かう囲み部材6装置内の流体圧の影響下で、抽出プレート8に相対的に移動することができる。この移動は、使用中、即ち調製の開始時および調製中に行われうる。囲み部材6は、第1の部分6Aと第2の部分6Bとを有し、第2の部分は環状端面30を含む。第2の部分6Bは、第1の部分6Aに相対的に第1の位置と第2の位置との間を移動しうる。第2の部分6Bは、囲み部材6内の流体圧の影響下で閉じ部材8の方向に第1の位置から第2の位置の方へ移動しうる。上で議論された力F1は、第2の部分6Bが流体圧P1で第1の位置にある場合に到達されうる。上で議論された力F2は、第2の部分6Bが囲み部材6内の流体圧P2の影響下で第2の位置の方へ動かされる場合に到達されうる。
【0061】
加えられた力の結果として、本発明に従うカプセルの封止構造28は、塑性変形を受け、環状端面30の溝40に密接に適合し、ひいては調製開始時には比較的低い流体圧で囲み部材6とカプセル3との間に封止接触を提供するだけでなく、調製中はカプセルの外側での囲み部材内でのはるかに高い流体圧で封止接触を提供する。囲み部材の溝40に対する閉じた形態が、使用後の本発明のカプセル2を示す図3Cに示されており、そして本図は外向きに延在するフランジ20が、囲み部材の溝40に適合する変形部40’を含むことを明瞭に示している。
【0062】
次に、本発明に従うカプセル2の外向きに延在するフランジ20での封止構造28の例示的な実施態様が、図4A図4Hに関してより詳細に説明されるであろう。
【0063】
図4Aでは、封止構造28の変形の前に封止構造28が囲み部材6の環状端面と接触している状態のフランジ20の第1の例が示されている。封止構造は、フランジ20の変形可能な封止リング部分28の形態をしている。蓋14が、フランジ20のベース部分44、45に取り付けられており、それは、カプセル本体軸線に対して垂直なフランジ20の平坦なベースレベル平面を画定している。封止リング部分28は、蓋14の反対側のベース部分44、45の側(すなわち、環状端面30と向き合う側)に、フランジ20のベース部分44、45から軸方向に突出している。
【0064】
変形可能な封止リング部分28は、フランジ20の内側ベース部分44から延在し且つこれに隣接する内側壁部分46と、フランジ20の外側ベース部分45から延在し且つこれに隣接する外側壁部分47とを有している。外側壁部分47は、内側壁部分46の外向きに置かれており、内側壁部分46から間隔を空けて配置されている。変形可能な封止リング部分28は、内側壁部分46と外側壁部分47とを相互接続するブリッジ部分48とをさらに含んでいる。該ブリッジ部分48は、フランジ20のベース部分44、45から軸方向に間隔を空けて置かれている。示されているような断面図において、フランジ44、45のベース部分から軸方向に最も離れたブリッジ部分の頂部49は、ブリッジ部分48の頂部49の壁厚の2倍よりも大きい曲率半径で湾曲した中心面を有している。該曲率半径は比較的大きいので、環状端面30が変形可能な封止リング部分28に押し付けられ、それを変形させるときに、それは、環状端面30の形状に適合するように比較的容易に変形されうる。変形可能な封止リング部分28はカプセル本体の一体部分であるので、それは、効率的に製造されえ、かつカプセル本体の残りの部分と同じ材料から作製されており、それは、カプセルの使用および廃棄の後、カプセル本体の残りの部分と一緒にリサイクルされうる。
【0065】
内側壁部分46は、フランジ44、45のベース部分に対して、外側壁部分47とは異なる角度で配向されている。これは、封止の間に所定の形状への封止構造28の正確かつ確実な変形を生じさせる。特に、異なる端部形状に変形する円周方向のセクション同士の間の移行部が、変形の間に形成されることが回避される。そのような移行部は、漏れのリスクの増加を伴う。
【0066】
本実施例において、外側壁部分が、フランジの関連の隣接するベース部分の平面に対して斜めの角度で延在しており、内側壁部分が、フランジの関連の隣接するベース部分から反対側の角度で延在しており、それが外側壁部分47に平行になるようになっているので、この効果が特に効果的に達成される。フランジのそれぞれの関連の隣接するベース部分44、45の平面に対して、斜めの角度は、好ましくは20~60°、より好ましくは30~50°であり、反対側の角度は、好ましくは120~160°、より好ましくは110~150°である。
【0067】
図4Bに示されている例では、外側壁部分147は、外側壁部分147に隣接するフランジのベース部分に対してほぼ垂直になっている。頂部部分149を含む湾曲した部分に加えて、ブリッジ部分148も斜めの略平坦な部分150を有している。所定の形状への滑らかで正確かつ確実な変形のために、内側壁部分146は、前記ブリッジ部分の頂部の湾曲に隣接する湾曲した中心面を有している。湾曲した内側壁部分146の比較的容易な圧縮性は、外側壁部分147へのその接続の周りのブリッジ部分の平坦な部分150の略ヒンジ式のたわみによって適合される。したがって、内側壁部分146およびブリッジ部分148の隣接する部分が、一方の側に平坦に折り畳まれることが回避され、また、これらの部分によって形成される湾曲したセクションが変形の間に自分自身の上に折り畳まれることが保証される、それによって、変形の間に比較的一定の対抗力が及ぼされることを保証する。
【0068】
図4Cでは、ブリッジ部分248の頂部249が平坦になっている(すなわち、無限に大きい曲率半径を有する)例が示されている。また、そのような平坦な壁部分は、環状端面30の形状への滑らかな適合のために比較的容易に変形可能である。内側および外側壁部分246、247は、フランジ244、245の隣接するベース部分に対して垂直方向に配向されており、ブリッジ部分248の特に硬い支持が得られるようになっており、それは、環状端面30によって及ぼされる圧力の結果として、ブリッジ部分が全体として変位されることを防止し、したがって、変形は、少なくとも当初は、ブリッジ部分248自身に集中される。そして、これは、環状端面30の形状への封止リング部分228の形状の適合に関して有利である。ブリッジ部分248の頂部249の少なくとも1部分が、内側および外側壁部分247、246の壁厚よりも小さく薄くされた壁厚を有する場合に(薄くされた壁厚は、図4Cに示されていない)、低い封止圧力で既に特に効果的かつ確実な封止が達成されうる。この実施態様および他の実施態様では、ブリッジ部分の少なくとも低減された厚さは、例えば、10~95μm、より好ましくは30~70μm、最も好ましくは40~50μmでありうる。
【0069】
図4Dに示されている例では、変形可能な封止リング部分は、Ω字形状をしており、内側壁部分346、頂部349を備えたブリッジ部分348、および外側壁部分347は、本質的に一定の曲率半径を有している。そのような形状は、所定の形状への滑らかで正確かつ確実な変形のために、特に有利である。そのような形状の別の利点は、小さいギャップだけがフランジの内側ベース部分344と外側ベース部分345との間に残されており、蓋14とフランジの接着のために大きい表面積が残されるようになっているということである。
【0070】
図4Dに示されている例でも、変形可能な封止リング部分428は、Ω字形状になっているが、より大きい曲率半径を有しており、Ω字形状の部分の幅が、環状端面30の幅と少なくとも同じ幅になるようになっている。これは、環状端面が(もともと)Ω字形状の部分の中へ押し込まれることを可能にし、Ω字形状の部分の幅は、変形の間に増加し、環状端面30の外側および内側境界領域において、特に効果的な二重の封止が達成されるようになっている。
【0071】
図4Fに示されている例では、封止構造の変形の最終段階の間に高い対抗圧力を得るために、比較的弾性の材料の支持部材551が、内側壁部分546と外側壁部分547との間、かつブリッジ部分548の下に設けられている。そのような支持部材は、本実施例と同様に、変形可能な封止リング部分528が比較的平坦な構成のものである場合に、特に有利である。
【0072】
図4Gに示されている例と同様に、ブリッジ部分648の頂部649の少なくとも1部分が、内側および外側壁部分647、646の壁厚よりも小さい薄くされた壁厚を有する場合に、環状端面30の形状に対する特に良好な適合性、従って低い封止圧力で既に特に効果的かつ確実な封止が達成されうる。
【0073】
ブリッジ部分649は、環状端面30と向き合う被覆されていない表面を有してもよく、一方、カプセル本体材料の残りの部分は、同じ側または両方の側で被覆されえ、壁厚の低減の間に、または、壁厚を薄くしながら被覆を取り除くことによって、被覆に対する損傷を回避する。被覆が取り除かれているが、被覆が取り除かれている表面にテクスチャが適用されうる。好ましくは、フランジの円周方向の隆起部および谷部を含む、そのようなテクスチャは、封止圧力が依然として低い場合に、クランプの初期段階における適合性をさらに改善しうる。なぜなら、クランプ力がテクスチャの隆起部のみを介して伝達されるので、完全な滑らかな接触面に及ぼされるよりも隆起部においてより高い接触圧力が加えられるからである。
【0074】
図4Hでは、壁部分746、747のうちの一方(このケースでは、外側壁部分747)が、フランジのベース部分744、745に対して、壁部分746、747のうちの他方(このケースでは、内側壁部分747)よりも急勾配に配向されており、それは、フランジのベース部分744、745に対して斜めに配向されている、例が示されている。また、この例では、斜めの壁部分746は、それがブリッジ部分748の変形および急勾配の壁部分747の変形に従うときに枢動し、斜めの壁部分746は、最も変形される急勾配の壁部分747が折り重なることを防止する。急勾配の外側壁部分747は、囲み部材がブリッジ部分の頂部部分749に押し付けられるときに、それが環状端面30の外側にたわまされるように位置決めされている。次いで、急勾配の外側壁部分747の上端部の壁材料は、ローリングオフ(rolling off)方式で変形される。なぜなら、それは、ブリッジ部分748に従うからであり、ブリッジ部分748は、図4Hに示されている変形可能な封止部分728の変形された条件728’および728”によって図示されているように、内側壁部分746を枢動することによって、押し下げられかつ半径方向に保持されるからである。したがって、当初は、環状端面30がブリッジ部分748の頂部部分749に押し付けられるときに、環状端面30の形状に適合する局所的な変形が達成される。その後に、ローリングオフ方式での変形は、大きい軌道にわたる滑らかな軸方向の変形を可能にする。
【0075】
図4A図4Hに示されている例のそれぞれにおいて、ブリッジ部分の頂部は、封止リング部分が環状端面と互換性飲料調整装置の閉じ部材との間にクランプされるときに、環状の端部部分30によって最初に接触されるように位置決めされている。そのうえ、ブリッジ部分の頂部の直径は、封止リング部分が環状端面と互換性飲料調整装置の前記閉じ部材との間にクランプされるときに、ブリッジ部分の頂部がその環状端面の中心部分に最初に接触するように環状端面30に対して中心に置かれるようになっている。
【0076】
ここまでの明細書においては、本発明の実施態様の特定の実施例を参照して記載されてきた。しかし、請求項で記載された本発明に従う発明のより広い精神および範囲から逸脱することなく、様々な修飾および変更がなされうることは明白である。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H