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特許7062791荷電溶液制御構造が改善された極細繊維製造用電界紡糸装置及びそのための溶液移送ポンプ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-22
(45)【発行日】2022-05-06
(54)【発明の名称】荷電溶液制御構造が改善された極細繊維製造用電界紡糸装置及びそのための溶液移送ポンプ
(51)【国際特許分類】
   D01D 5/04 20060101AFI20220425BHJP
   D04H 1/728 20120101ALI20220425BHJP
【FI】
D01D5/04
D04H1/728
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020556880
(86)(22)【出願日】2019-04-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-05
(86)【国際出願番号】 KR2019004024
(87)【国際公開番号】W WO2019203483
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】10-2018-0045660
(32)【優先日】2018-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0036242
(32)【優先日】2018-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520208524
【氏名又は名称】パク, ジョン-ス
【氏名又は名称原語表記】PARK, Jong-Su
【住所又は居所原語表記】113-1202, 19, Sinbanpo-ro 15-gil, Seocho-gu, Seoul 06503(KR)
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】パク, ジョン-ス
(72)【発明者】
【氏名】フ, ウン
(72)【発明者】
【氏名】リ, ヨン-チャン
(72)【発明者】
【氏名】ファン, ウン-ジュン
【審査官】伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-207351(JP,A)
【文献】特開2005-264401(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2002-0078706(KR,A)
【文献】特開2002-201559(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0026803(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01D 1/00-13/02
D04H 1/00-18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンジに貯蔵された溶液を紡糸ノズル部に移送する溶液移送ポンプと、
前記紡糸ノズルに高電圧を加えて高分子物質が溶解された溶液を荷電させる高電圧提供部と、
前記紡糸ノズルの下方に配置されて荷電フィラメントを収集する集積部と、
を含み、
前記溶液移送ポンプは、
モータの駆動によって前記シリンジの溶液を紡糸ノズル部に移送させるプランジャーと、
前記高電圧によって荷電された荷電溶液をフィラメント形態で吐出する少なくとも一つの中空管ニードルを備えた紡糸ノズル部と、
前記紡糸ノズル部の下端で前記中空管ニードルを囲むように配置され、荷電溶液の液滴安定性を制御するように高電圧が加えられる円筒型金属ガイドと
前記円筒型金属ガイドの周辺に、ノズル配列方向に対して垂直な方向に延長されるストリップ状の金属プレートを複数個放射状に配列したストリップ型金属ガイドと、
を含む極細繊維製造用電界紡糸装置。
【請求項2】
前記円筒型金属ガイドは、その下端が前記中空管ニードルの先端よりも1mm以上5mm未満だけ高く配置される請求項1に記載の極細繊維製造用電界紡糸装置。
【請求項3】
前記複数の金属プレートは、互いに同一平面上に配置されている請求項に記載の極細繊維製造用電界紡糸装置。
【請求項4】
前記複数の金属プレートは、相異なる高さを有するように配置されている請求項に記載の極細繊維製造用電界紡糸装置。
【請求項5】
前記ストリップ型金属ガイドは、前記円筒型金属ガイドを中心にして回転自在に設けられる請求項またはに記載の極細繊維製造用電界紡糸装置。
【請求項6】
前記紡糸ノズル部は、モータの軸と連結されたスクリューに締結されたプッシャブロックに複数個が所定の間隔で配列されるように取り付けられてカートリッジ型の多重チャネルを構成し、
前記モータの駆動によってプッシャブロックが前進することによって、シリンジのプランジャーが前進移動してシリンジの溶液を前記紡糸ノズル部に移送させ、
前記円筒型金属ガイドと前記ストリップ型金属ガイドとはそれぞれの中空管ニードルに対応して個別的に配置され、
前記多重チャネルを成すすべての紡糸ノズル部の中空管ニードルの周辺にはノズル配列方向に対して垂直な方向に延長されたストリップ型金属ガイドが備えられ、
前記多重チャネルのうち両端に位置したチャネルの中空管ニードルの周辺にはノズル配列方向に対して平行に延長された部分を含むストリップ型金属ガイドがさらに備えられた請求項に記載の極細繊維製造用電界紡糸装置。
【請求項7】
前記多重チャネルのうち両端に位置したチャネルの中空管ニードルの周辺でノズル配列方向に対して平行に延長されたストリップ型金属ガイドの一部が垂直に折り曲げられて下方に延長される請求項に記載の極細繊維製造用電界紡糸装置。
【請求項8】
前記高電圧提供部で印加する高電圧の強度は、前記中空管ニードルの先端と前記集積部との間の距離(cm)で0.01kV/cm~10kV/cmであり、印加電圧は(+)1kV~(+)50kVである請求項に記載の極細繊維製造用電界紡糸装置。
【請求項9】
極細繊維製造用電界紡糸装置の溶液移送ポンプであって、
原料高分子溶液を貯蔵するシリンジと、
モータの駆動によって前記シリンジの溶液を紡糸ノズル部に移送させるプランジャーと、 高電圧によって荷電された荷電溶液をフィラメント形態で吐出する少なくとも一つの中空管ニードルを備えた紡糸ノズル部と、
前記紡糸ノズル部の下端で前記中空管ニードルを囲むように配置され、荷電溶液の液滴安定性を制御するように高電圧が加えられる円筒型金属ガイドと、
前記円筒型金属ガイドの周辺に、ノズル配列方向に対して垂直な方向に延長されるストリップ状の金属プレートを複数個放射状に配列したストリップ型金属ガイドと
を含む極細繊維製造用電界紡糸装置の溶液移送ポンプ。
【請求項10】
前記円筒型金属ガイドは、その下端が前記中空管ニードルの先端よりも1mm以上5mm未満だけ高く配置される請求項に記載の極細繊維製造用電界紡糸装置の溶液移送ポンプ。
【請求項11】
前記複数の金属プレートは、互いに同一平面上に配置されている請求項10に記載の極細繊維製造用電界紡糸装置の溶液移送ポンプ。
【請求項12】
前記複数の金属プレートは、相異なる高さを有するように配置されている請求項10に記載の極細繊維製造用電界紡糸装置の溶液移送ポンプ。
【請求項13】
前記ストリップ型金属ガイドは、前記円筒型金属ガイドを中心にして回転自在に設けられる請求項11または12に記載の極細繊維製造用電界紡糸装置の溶液移送ポンプ。
【請求項14】
前記紡糸ノズル部は、モータの軸と連結されたスクリューに締結されたプッシャブロックに複数個が所定の間隔で配列されるように取り付けられてカートリッジ型の多重チャネルを構成し、
前記モータの駆動によってプッシャブロックが前進することによって、シリンジのプランジャーが前進移動してシリンジの溶液を前記紡糸ノズル部に移送させ、
前記円筒型金属ガイドと前記ストリップ型金属ガイドとはそれぞれの中空管ニードルに対応して個別的に配置され、
前記多重チャネルを成すすべての紡糸ノズル部の中空管ニードルの周辺にはノズル配列方向に対して垂直な方向に延長されたストリップ型金属ガイドが備えられ、
前記多重チャネルのうち両端に位置したチャネルの中空管ニードルの周辺にはノズル配列方向に対して平行に延長された部分を含むストリップ型金属ガイドがさらに備えられた請求項に記載の極細繊維製造用電界紡糸装置の溶液移送ポンプ。
【請求項15】
前記多重チャネルのうち両端に位置したチャネルの中空管ニードルの周辺でノズル配列方向に対して平行に延長されたストリップ型金属ガイドの一部が垂直に折り曲げられて下方に延長される請求項14に記載の極細繊維製造用電界紡糸装置の溶液移送ポンプ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極細繊維製造用電界紡糸装置及びそのための溶液移送ポンプに関し、より詳しくは、荷電フィラメントの方向性を制御して極細繊維を均一なパターンで製作することができる構造を有する極細繊維製造用電界紡糸装置及びそのための溶液移送ポンプに関する。
【0002】
本出願は、2018年4月19日出願の韓国特許出願第10-2018-0045660号及び2019年3月28日出願の韓国特許出願第10-2019-0036242号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
一般に、電界紡糸(electrospinning)法は、高分子溶液に数千~数万ボルトの(+)直流高電圧を印加し、荷電フィラメントを受ける集積板(collector)に接地または(-)電圧を連結して電場を形成させた装置を用いてナノ繊維を製造する工程である。このとき、ノズルから微量吐出された荷電液滴は、電気力によって長手方向に長く延伸しながらナノメートル(nm)~マイクロメートル(μm)直径の極細繊維として製造される。
【0004】
電界紡糸工程において、溶液に印加する高電圧の強度は高分子溶液の種類またはナノ繊維を製作する条件によって多様に設定される。印加される高電圧の強度は、ノズルと集積板と間の距離(TCD、単位はcm)で、ポリフッ化ビニリデン(PVdF(poly(vinylidene fluoride))、ポリアクリロニトリル(PAN(poly(acrylonitrile))またはポリビニルピロリドン(PVP(poly(vinylpyrrolidone))高分子溶液の場合は0.5~1.5kV/cmであり、ポリビニルアルコール(PVA(poly(vinylalcohol))高分子水溶液の場合は1.5~2kV/cmであり、キトサン(chitosan)高分子溶液の場合は3~5kV/cmである。
【0005】
電界紡糸工程で製造される極細繊維は、集積板に集まって積層されながら微細多孔性のメンブレインとして製作されるか又は所定の基材に薄膜でコーティングされる。また、極細繊維を形成する工程は、線型回路の製作に適用できる。
【0006】
電界紡糸工程でナノ繊維を形成する荷電フィラメントは、高電圧が印加された状態で中空ニードル(ノズル)から吐出された荷電溶液から製造されるか、または、高電圧が印加されたロールやワイヤに薄膜でコーティングされた溶液から製造される。
【0007】
ノズルを使用する電界紡糸工程の場合、ノズルから吐出された液滴から荷電フィラメントが形成される過程を見れば、溶液の表面張力よりも大きい電気力が加えられれば、ノズルから吐出される荷電溶液の液滴はノズル先端から円錐状に形成され、円錐状の突起部分は集積板に向かって長手方向に延伸しながら荷電フィラメントを形成する。このとき、ノズル先端で形成された円錐状をテイラーコーン(taylor cone)とし、長手方向に延伸したフィラメントをジェット(jet)とする。テイラーコーンの突起で作られるジェットは、より高い電気力で任意の地点から激しい揺れ(ウィッピングモード(whipping mode))と溶媒揮発過程を経てナノ繊維で製造される。
【0008】
前記円錐状のテイラーコーンは、高電圧が強いほど、また溶媒揮発性が高いほど、ノズル先端で不安定な状態を見せる。テイラーコーンが不安定であると、それから形成された荷電フィラメントジェットも方向性を維持できず、不安定な状態になる。このようにノズル先端でテイラーコーンが不安定であれば、下部集積板の同じ位置に均一に集積されない問題が生じる。また、基材上に極細繊維を繰り返して一定に製作し難く、同じ形態または大きさを有するウェブを製造し難い。
【0009】
また、同軸二重ノズルを使用してコアシェル構造の構造体を製造するとき、ノズル先端で形成されたテイラーコーンが不安定であれば、円錐状の形成が十分ではなくて均一な形状を有する構造体を製作し難い。
【0010】
電界紡糸過程において、周囲の紡糸環境が非対称であれば、ノズルの位置によって荷電フィラメントが影響を受けるため、基材に一定のパターンを製作することができない。
【0011】
一方、電界紡糸工程において、溶液貯蔵槽としては、棒型プランジャー(plunger)を有するシリンジ(注射器)または内部プランジャーを有するバレル(barrel)が主に使用される。シリンジまたはバレルに満たされた溶液は、ステッピングモータとプッシャから構成された溶液移送装置の駆動によってノズルに移送されるか、あるいは、空気または気体が注入されて定量的に移送される。このとき、溶液に対する高電圧の印加はノズルを通じて行われる。しかし、ノズルに高電圧を印加する従来の方法は、ノズル先端での電場非対称によって吐出液滴の方向が片方に偏向する問題がある。
【0012】
また、ノズル先端と集積板との間の距離が長い場合、高電圧の強度を増加させると、ノズル先端で形成された円錐状テイラーコーンの液滴は、ノズル先端での揺れが激しいかまたは片方に偏向するなどの不安定な状態になる。紡糸液滴が不安定であると、それから形成された荷電フィラメントのジェットが一定の方向性なく集積板に集積されるため、均一な厚さを有するナノ繊維膜を製造し難い。また、溶液の粘性が高いか又は界面張力が高い高分子溶液の場合、高電圧の強度を高めてナノ繊維を製造しなければならないが、このような場合も高電圧の強度を高めれば、ノズルから吐出される溶液が片方に偏向しながら紡糸されてナノ繊維を一定の領域に集積し難い。また、多重の紡糸ノズルを使用する場合、ノズルから吐出されたそれぞれの荷電フィラメントは荷電反発によって互いに押し退けられながら両終端に位置したノズル部分で不安定な紡糸状態を見せる。また、2種の溶液を使用して紡糸する場合、例えば、コアとシェル構造の二重層構造体を製作するとき、最適な高電圧の強度が異なるため、ノズル先端に形成されたテイラーコーンが偏向して紡糸され得る。このような場合、コア部とシェル部との不均一性によって均質なコアシェル構造の二重層ナノ繊維を製作し難い。
【0013】
高電圧強度を増加させると、溶液移送装置に取り付けられたシリンジが絶縁破壊され、ポンプ周囲に高電圧電場が形成されながら瞬間的な漏電による電気的ショックによって、溶液移送装置の制御回路が制御不能状態になる問題がある。このような問題は高電圧強度を増加させるほど頻繁に発生する。特に、20kV以上の高い高電圧環境で、シリンジの外部又はシリンジに取り付けられた金属ノズルからシリンジポンプの金属ケースに漏電される現象が発生する。高い高電圧環境下で、溶液移送装置に取り付けられたシリンジが絶縁破壊されながらポンプ周囲に高電圧電場が形成され、瞬間的な漏電による電気的ショックによって溶液移送装置の制御回路部が制御不能状態になる。
【0014】
特許文献1は、多重の紡糸ノズル構成とともに安定的なフィラメントの吐出が行われ、集積板との電気的相互作用なしに安定的に荷電溶液を吐出する紡糸ノズルパックを提供するため、紡糸ノズルパックPを介在して両側又は前後両側に、導体板または導体棒の形状で構成されたジェットストリーム制御部を設けて、荷電フィラメントが同一極性によって互いに反発して紡糸ノズルパックPの外側に広がることを制御する技術を開示している。
【0015】
また、特許文献2は、ノズルの大きさよりも少し大きい穴が複数形成されている金属板である電荷分配板を開示している。この電荷分配板のそれぞれの穴に個別ノズルが挿入されることで、各ノズルの電荷環境を同一または均等にすることができる。これにより、各ノズルから吐出される繊維状の高分子が相互に干渉し互いに反発して押し退けることで集積板の領域から外れるか、または、毛細管ノズルの環境が相異なることから各ノズルからの吐出が不均一になって不均一な厚さの膜を形成する現象を防止する。
【0016】
しかし、特許文献1のジェットストリーム制御部や特許文献2の電荷分配板は、個別ノズルのノズル先端に形成される円錐状液滴(テイラーコーン)またはこの液滴から延長される荷電フィラメントを個別的に制御することや、または、テイラーコーンから生成される荷電フィラメント(ジェット)の方向を制御することはできない。これにより、10kV以上の高い高電圧環境でもノズル先端でテイラーコーンとジェットが片方に偏ることなく安定した状態を維持し、集積板の制限された面積に均一にナノ繊維を集積して所望の形態のパターン(例えば、格子状のパターンなど)を自由に形成することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】韓国特許公開第2004-0016320号
【文献】韓国特許公開第2002-0051066号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、数万ボルトの高電圧環境下でノズル先端に形成された荷電溶液の液滴安定性を制御し、それから生成される荷電フィラメントの方向を制御することで、集積板の制限された面積に均一にナノ繊維を集積して所望の形態のパターン(例えば、格子状のパターンや回路など)を自由に形成できる極細繊維製造用電界紡糸装置及びそのための溶液移送ポンプを提供することを目的とする。
【0019】
また、本発明は、高い高電圧環境下で、漏電による制御回路部の電気的短絡なく電気的に安全に保護される極細繊維製造用電界紡糸装置及びそのための溶液移送ポンプを提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の課題を達成するため、本発明の第1態様による極細繊維製造用電界紡糸装置は、紡糸ノズルに高電圧を加えて高分子物質が溶解された溶液を荷電させる高電圧提供部と、荷電溶液の供給を受けてフィラメント形態で吐出する少なくとも一つの中空管ニードルを備えた紡糸ノズル部と、前記紡糸ノズル部の下端で前記中空管ニードルを囲むように配置され、荷電溶液の液滴安定性を制御するように高電圧が加えられる円筒型金属ガイドと、前記紡糸ノズル部の下方に配置されて荷電フィラメントを収集する集積部とを含むことを特徴とする。
【0021】
このとき、前記円筒型金属ガイドは、その下端が前記中空管ニードルの先端よりも1mm以上5mm未満だけ高く配置されることを特徴とする。
【0022】
また、本発明の第2態様は、前記円筒型金属ガイドの周辺にノズル配列方向に対して垂直な方向に延長されるストリップ状の金属プレートを複数個放射状に配列したストリップ型金属ガイドをさらに含む極細繊維製造用電界紡糸装置である。
【0023】
このとき、前記複数の金属プレートは、互いに同一平面上に配置されているかまたは相異なる高さを有するように配置され得る。
【0024】
また、前記ストリップ型金属ガイドは、前記円筒型金属ガイドを中心にして回転自在に設けられ得る。
【0025】
また、前記円筒型金属ガイドは、高さ調節及び着脱が容易であるように高電圧が印加される金属リングに結合される。
【0026】
本発明の第3態様によれば、極細繊維製造用電界紡糸装置の紡糸ノズル部は、モータの軸と連結されたスクリューに締結されたプッシャブロックに複数個が所定の間隔で配列されるように取り付けられてカートリッジ型の多重チャネルを構成し、前記円筒型金属ガイドと前記ストリップ型金属ガイドとはそれぞれの中空管ニードルに対応して個別的に配置され、前記多重チャネルを成すすべての紡糸ノズル部の中空管ニードルの周辺にはノズル配列方向に対して垂直な方向に延長されたストリップ型金属ガイドが備えられ、前記多重チャネルのうち両端に位置したチャネルの中空管ニードルの周辺にはノズル配列方向に対して平行に延長された部分を含むストリップ型金属ガイドがさらに備えられたことを特徴とする。
【0027】
前記多重チャネルのうち両端に位置したチャネルの中空管ニードルの周辺でノズル配列方向に対して平行に延長されたストリップ型金属ガイドの一部は、垂直に折り曲げられて下方に延長され得る。
【0028】
前記高電圧提供部で印加する高電圧の強度は、前記中空管ニードルの先端と前記集積部との間の距離(cm)で0.01kV/cm~10kV/cmであり、印加電圧は(+)1kV~(+)50kVである。
【0029】
本発明の第4態様は、極細繊維製造用電界紡糸装置の溶液移送ポンプに関し、荷電溶液の供給を受けてフィラメント形態で吐出する少なくとも一つの中空管ニードルを備えた紡糸ノズル部と、前記紡糸ノズル部の下端で前記中空管ニードルを囲むように配置され、荷電溶液の液滴安定性を制御するように高電圧が加えられる円筒型金属ガイドとを含むことを特徴とする。
【0030】
このとき、前記円筒型金属ガイドは、その下端が前記中空管ニードルの先端よりも1mm以上5mm未満だけ高く配置されることを特徴とする。
【0031】
本発明の第5態様は、円筒型金属ガイドの周辺にノズル配列方向に対して垂直な方向に延長されるストリップ状の金属プレートを複数個放射状に配列したストリップ型金属ガイドをさらに含む極細繊維製造用電界紡糸装置の溶液移送ポンプに関する。
【0032】
このとき、前記複数の金属プレートは、互いに同一平面上に配置されているかまたは相異なる高さを有するように配置され得る。また、前記ストリップ型金属ガイドは、前記円筒型金属ガイドを中心にして回転自在に設けられ得る。
【0033】
本発明の第6態様によれば、極細繊維製造用電界紡糸装置の溶液移送ポンプの紡糸ノズル部は、モータの軸と連結されたスクリューに締結されたプッシャブロックに複数個が所定の間隔で配列されるように取り付けられてカートリッジ型の多重チャネルを構成し、前記円筒型金属ガイドと前記ストリップ型金属ガイドとはそれぞれの中空管ニードルに対応して個別的に配置され、前記多重チャネルを成すすべての紡糸ノズル部の中空管ニードルの周辺にはノズル配列方向に対して垂直な方向に延長されたストリップ型金属ガイドが備えられ、前記多重チャネルのうち両端に位置したチャネルの中空管ニードルの周辺にはノズル配列方向に対して平行に延長された部分を含むストリップ型金属ガイドがさらに備えられたことを特徴とする。
【0034】
前記多重チャネルのうち両端に位置したチャネルの中空管ニードルの周辺でノズル配列方向に対して平行に延長されたストリップ型金属ガイドの一部は、垂直に折り曲げられて下方に延長され得る。
【発明の効果】
【0035】
本発明による荷電溶液制御構造が改善された極細繊維製造用電界紡糸装置及びそのための溶液移送ポンプは、以下のような効果を奏する。
【0036】
第一、電界紡糸の際、数万ボルトの高電圧環境でノズル先端に形成された荷電溶液の揺れを制御して紡糸不安定性を解消することができる。
【0037】
第二、紡糸ノズル部の中空管ニードルの周囲に円筒型金属ガイドとストリップ型金属ガイドを配置することで荷電溶液の吐出液滴を安定的に維持させ、それから形成された荷電フィラメントは基材に対して一定の方向性が維持されて集積部上に極細繊維から構成された均一なパターン(例えば、格子状のパターンや回路など)を製作することができる。
【0038】
第三、シリンジから支持板またはケースに漏洩する高電圧を遮断して制御部の電気的短絡を防止することで、電界紡糸工程中に溶液移送ポンプを電気的に安全に保護することができる。
【0039】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1図1は、本発明の望ましい実施例による極細繊維製造用電界紡糸装置の構成を示した正面図である。
図2図2は、図1において、溶液移送ポンプの構成を示した斜視図である。
図3図3は、図2において、紡糸ノズル部及び荷電溶液制御手段の構成を示した分解斜視図である。
図4図4は、図3の結合断面図である。
図5図5は、本発明の他の実施例によって提供されるカートリッジ型多重チャネルの溶液移送ポンプを示した斜視図である。
図6図6は、図5の変形例によって提供される2チャネルタイプの溶液移送ポンプを示した斜視図である。
図7図7は、本発明の実施例によるノズル構成品の概略構成図である。
図8図8は、比較例1によるノズル構成品の概略構成図である。
図9図9は、比較例2によるノズル構成品の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施例を添付された図面を参照して詳しく説明する。本発明の実施例は様々な形態に変形でき、本発明の範囲が下記の実施例に限定されると解釈されてはならない。本実施例は当業界で平均的な知識を持つ者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。また、本発明の図面と明細書に使用された特定の用語は、単に本発明を説明するための目的で使われたものであって、意味限定や特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を制限するものではない。したがって、当技術分野の通常の知識を持つ者であれば、これらから多様な変形及び均等な他の実施例が可能であるという点を理解できるである。したがって、本発明の真正な技術的保護範囲は添付された特許請求の範囲の技術的思想によって決定されるべきである。
【0042】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。添付された図面は縮尺によって図示されておらず、各図面において同じ参照番号は同じ構成要素を示す。
【0043】
図1は本発明の望ましい実施例による極細繊維製造用電界紡糸装置の構成を示した正面図であり、図2図1における溶液移送ポンプの構成を示した斜視図であり、図3図2における紡糸ノズル部及び荷電溶液制御手段の構成を示した分解斜視図であり、図4図3の結合断面図である。
【0044】
図1図4を参照すると、本発明の望ましい実施例による極細繊維製造用電界紡糸装置は、紡糸ノズル部120に高電圧を印加することで供給された原料高分子溶液に高電圧を加える高電圧提供部110、シリンジ108に貯蔵された溶液を紡糸ノズル部120側に移送する溶液移送ポンプ100、及び荷電フィラメントを収集する集積部140を含む。また、溶液移送ポンプ100は、荷電フィラメントを吐出する紡糸ノズル部120、並びに荷電溶液制御手段として紡糸ノズル部120の下部に配置された円筒型金属ガイド116及びストリップ型金属ガイド114を含む。
【0045】
シリンジ108は、内部容量が100μl~1,000mlである容器バレル部を備えることが望ましい。シリンジ108の容器バレル部には、押し子に該当するプランジャー107が挿入される。プランジャー107のない内部型の貯蔵タンクの場合、空圧で溶液を移送させてもよい。シリンジ108は、耐電圧性に優れたポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ナイロン(Nylon)、アセタール、ガラスなどの絶縁性材質から構成されることが望ましい。バレルの厚さが薄い絶縁体である場合、電界紡糸工程で高電圧によって絶縁破壊されるか、または、連結部品で荷電溶液の電気がシリンジ108の外部に放電され得るため、バレルの外部に絶縁性材質のカバーを一緒に使用することが望ましい。
【0046】
シリンジ108に投入される高分子溶液としては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリ乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA(poly(lactic-co-glycolic acid))、ポリ乳酸(PLA(polylactic acid))、ポリ-L-乳酸 (PLLA(poly-L-lactic acid))、ポリグリコール酸(PGA(polyglycolic acid))、ポリカプロラクトン(PCL(polycarprolactone))、キトサンのような溶媒に溶解される高分子を含む溶液、または、伝導性粒子を含む高分子溶液などを適用することができる。
【0047】
コアシェル(core-shell)構造の二重層構造体を製造する場合、シェル部溶液として前記高分子溶液を採用し、コア部溶液としてオイルのような機能性物質を採用できる。このとき、機能性物質としては、薬物、銀(Ag)またはカーボン系粒子を含む伝導性物質、抗菌消臭物質、香マイクロカプセル、電磁波遮蔽物質、紫外線硬化物質、オイルなどを適用することができる。
【0048】
シリンジ108に貯蔵された溶液は紡糸ノズル部120に移送される。そのため、溶液移送ポンプ100は、溶液の移送量を一定に維持できるように、ステッピングモータまたはサーボモータからなるモータ部103を備える。
【0049】
モータ部103は、モータ装着用ブロック104に取り付けられ、所定のカップリングを通じてスクリュー105に動力を伝達する。このとき、前記カップリングとしては、スクリュー105を通じた高電圧漏電が遮断されるように、絶縁カップリングがモータ軸とスクリュー105との間に配置される。モータ部103としては、ステッピングモータまたはサーボモータが使用でき、微細な移動のためにステッピングモータが採用されることがより望ましい。エンコーダ102は、モータ部103の後面に取り付けられてモータの回転を感知する。スクリュー105の回転が、例えば、1~2秒間停止されると、エンコーダ102がモータ部103の回転を感知してモータ部103の作動を停止させながら過負荷によるモータ部103の過熱を防止する。
【0050】
溶液移送ポンプ100のモータ部103を駆動させれば、スクリュー105に取り付けられたプッシャブロック106がシリンジ108のプランジャー107を押してシリンジ108のバレル内の溶液を紡糸ノズル部120に移送させる。
【0051】
溶液移送のためのプッシャブロック106は、スクリュー105に締結され、モータ部103の駆動によってスクリュー105が回転すれば、ガイド棒に沿って前進または後進する。前記ガイド棒は、スクリュー105の周辺に単独でまたは両方全てに配置される。プッシャブロック106は、スクリュー105の回転によって移動できるように、中央にナット(図示せず)を含んでいる。前記ナットは、スクリュー105に対して結合または分離できるように、ナットの一側にバネが構成され、他側にカム(cam)回転体が組み立てられる。前記カム回転体が回転してナットがスクリュー105に結合され、プッシャブロック106が前進する。前記ナットがスクリュー105から分離されれば、スクリュー105が回転してもプッシャブロック106は空回りする。プッシャブロック106が前進すれば、シリンジ108のプランジャー107は前方に移動する。スクリュー105のリードは0.5~2mmであり、望ましくは1mmである。スクリュー105の回転によるプッシャブロック106の移動速度は、最低速度が1μm/時間~100μm/時間であり、最高速度が1cm/分~20cm/分であることが望ましい。プッシャブロック106は、ガイド棒の代わりにリニアブロックに取り付けられて移動してもよい。
【0052】
シリンジ108を固定するシリンジホルダー109は、シリンジ108の外側に流れる電流を遮断できるように、アセタールまたはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)の絶縁性材質から構成されることが望ましい。
【0053】
高電圧提供部110は、紡糸ノズル部120に高電圧を印加することで溶液に高電圧を加えて溶液を荷電させる。高電圧提供部110は直流電源を提供する装置であり、直流電源は紡糸ノズル部120との接触を通じて溶液に供給される。紡糸ノズル部120に加えられる直流電圧は、ノズルと集積部140との間で0.01kV/cm~10kV/cmである。望ましい電圧の強度は、ノズル(中空管ニードル122の先端)と集積部140との間の距離1cm~30cmで1kV~50kVである。近接場電界紡糸の場合、距離は0.1cm~2cmが望ましく、印加電圧は0.1kV/cm~1.5kV/cmが望ましい。高電圧の強度は、ノズルから吐出される荷電溶液から極細繊維またはナノ繊維を製造するための高分子の種類、高分子の粘度、ノズルの特性、ノズルに構成された円板の形態によって適切に設定できる。
【0054】
高電圧提供部110で発生した高電圧は、紡糸ノズル部120に連結された高電圧ケーブル190の金属管を介してノズルに印加される。
【0055】
紡糸ノズル部120は、溶液移送ポンプ100から溶液の供給を受けてフィラメント形態で吐出する少なくとも一つの中空管ニードル122、及び中空管ニードル122が載置可能なノズルホルダー101を含む。中空管ニードル122は、内径が0.01mm~2mm、外径が0.02mm~3mm、長さが2mm~100mmであることが望ましい。
【0056】
高電圧ケーブル190は、紡糸ノズル部120に連結され、ノズル本体と接触して高電圧を印加する金属管からなる先端部を有する。前記金属管は、ノズルに対する接触を通じて溶液に高電圧を印加する。金属管の材質は、ステンレス鋼(SUS)、銅または黄銅であることが望ましい。腐食性溶液である場合、SUS材質の金属管がより適する。
【0057】
溶液移送ポンプ100の後面に位置する支持板または支持用ケースは、金属またはPEEK材質の絶縁性素材から構成されることが望ましい。また、シリンジ108を把持するシリンジホルダー109が設けられる部分は、絶縁材から構成されるか、絶縁材の蓋から構成されるか、または絶縁材でコーティングされなければならない。絶縁材の蓋またはコーティング材は、テプロン、PEEKまたはシリコーンゴム材質の絶縁材であることが望ましい。
【0058】
シリンジホルダー109は、貯蔵槽の外部に流れる電流を遮断できるように、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)またはアセタールの絶縁性材質から構成されることが望ましい。
【0059】
荷電溶液制御手段として紡糸ノズル部120の下部に配置される円筒型金属ガイド116及びストリップ型金属ガイド114は、荷電溶液の液滴を安定化させ、前記液滴から生成される荷電フィラメントの方向を制御する役割をする。荷電溶液制御手段に加えられる高電圧は、紡糸ノズル部120に溶液荷電のために供給される高電圧と同じ電圧源から供給され得、代案としては個別的に供給されてもよい。また、荷電溶液の制御のため円筒型金属ガイド116とストリップ型金属ガイド114とに供給される高電圧は、同じボルト(V)値を有し得、個別的に電圧が供給されて異なるボルト(V)値を有してもよい。
【0060】
円筒型金属ガイド116は、荷電溶液の液滴が揺れることを防止して安定化する作用をする。荷電溶液の液滴の揺れをより効果的に防止するため、円筒型金属ガイド116の下端は中空管ニードル122の先端よりも1mm以上5mm未満だけ高く配置されることが望ましい。円筒型金属ガイド116は、シリンジ108に結合された中空管ニードル122が中心に位置するように配置され、中空管ニードル122に比べて高く位置して中空管ニードル122が実質的に下方に突出するように配置される。
【0061】
図4に示されたように、円筒型金属ガイド116は、ノズルホルダー101に嵌められてノズルホルダー101の上部に位置した金属リング113と締結される。金属リング113は、シリンジ先端部ホルダー112の下部に結合され、先端部が金属管からなる高電圧ケーブル190と電気的に接触、連結される。円筒型金属ガイド116は内径が3~10mmであり、外径が4~15mmである。より望ましい内径は4~8mmであり、外径は6~12mmである。
【0062】
円筒型金属ガイド116の外部には、高電圧の外部露出を防止するため、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)のような絶縁性材質のガイドキャップ117を配置することが望ましい。
【0063】
ストリップ型金属ガイド114は、円筒型金属ガイド116から外側に延長されるように複数個が配置される。ストリップ型金属ガイド114は、望ましくは、1~4個のストリップ状、すなわち相対的に細長い形状の金属プレートから構成される。ストリップ型金属ガイド114は、円筒型金属ガイド116と結合され、円筒型金属ガイド116の外側に延長されるように配置される。ストリップ型金属ガイド114は、円盤形態の支持板115に取り付けられて固定され得る。ストリップ型金属ガイド114が複数個設けられる場合、複数個のストリップ型金属ガイド114は支持板115の下部で同一平面上に配置され得、代案としては支持板115から下方に相異なる高さを有するように配置されることで、より多角的に紡糸フィラメントに対する方向制御を行うこともできる。
【0064】
ストリップ型金属ガイド114は、円筒型金属ガイド116を中心にして回転自在に取り付けられて紡糸フィラメントに対する方向制御機能を調節することができる。このとき、複数のストリップ型金属ガイド114は、それぞれ独立的に回転するか又は一体的に回転して設置位置が調整される。ストリップ型金属ガイド114は、円筒型金属ガイド116を中心に回転して設置位置が調整され、1個~4個の組合せで中空管ニードル122から吐出された紡糸フィラメントの方向を制御する。ストリップ型金属ガイド114は、円筒型金属ガイド116に結合されて一体的に回転可能である。ストリップ型金属ガイド114は、幅が2~5mmであり、長さが10~50mmであり、厚さが0.1~2mmであることが望ましい。材質はSUS、アルミニウムであることが望ましい。
【0065】
ストリップ型金属ガイド114が複数個で構成される場合は、所定の間隔で放射状に配列されて全体が一体化され得る。この場合、中心には内壁にねじ山が形成された締結孔114aが設けられて円筒型金属ガイド116がねじ結合されることが望ましい。円筒型金属ガイド116は、締結孔114aに嵌められて支持板115の中央に設けられた中心穴115aを貫通してノズルホルダー101に取り付けられる。円筒型金属ガイド116の上部は、ノズルホルダー101を貫通してノズルホルダー101の上部に位置した金属リング113と締結される。
【0066】
本発明によって提供される溶液移送ポンプ100は、モータ部103’の軸と連結されたスクリューに締結されたプッシャブロック106’に複数個が所定の間隔で配列されるように取り付けられてカートリッジ型の多重チャネルを構成することができる。この場合は、図5に示されたように、多重チャネルを成すそれぞれの中空管ニードル122の周辺には個別的に円筒型金属ガイド116とストリップ型金属ガイド214、215が配置されている。
【0067】
ストリップ型金属ガイド214、215は、ノズル配列方向に対して垂直な方向(X軸方向)に延長された第1ストリップ型金属ガイド214、及び多重チャネルのうち両端に位置してノズル配列方向に対して平行な方向(Y軸方向)に延長された部分を含む第2ストリップ型金属ガイド215を含む。ここで、多重チャネルの両端に位置した第2ストリップ型金属ガイド215は、中空管ニードル122から吐出された紡糸フィラメントが外側に広がることを抑制する方向制御の作用を果たす。より望ましくは、第2ストリップ型金属ガイド215は、一部が垂直に折り曲げられて下方(Z軸方向)に延長されることで、紡糸フィラメントが外側に広がることをより効果的に抑制することができる。
【0068】
多重チャネルのノズルに対する高電圧印加手段としては、シリンジホルダー118の内部に設けられた所定のノズルハブに高電圧ケーブル190の金属管または金属棒が接触して高電圧の印加が行われる。多重に取り付けられたノズルのシリンジ108に対する充填量がそれぞれ異なる場合、プランジャー107がプッシャブロック106’に当接せず同時に押し出すことができないため、プッシャブロック106’に距離調節用ネジ板119を取り付けてプランジャー107まで距離を調節し、溶液を移送させることが望ましい。
【0069】
多重チャネルをなすすべてのノズルは、単一部材のノズルホルダー118によって一括的に保持されて並列配列状態を維持する。
【0070】
本発明によって提供される溶液移送ポンプ100は、モータ部103’の軸と連結されたスクリューに締結されたプッシャブロック106’にデュアルタイプで取り付けられ、カートリッジ型の2チャネルタイプに変形されてもよい。図6に示されたように、2チャネルを構成するそれぞれの中空管ニードル122の周辺には円筒型金属ガイド116が配置されている。円筒型金属ガイド116の周辺には、ノズル配列方向に対して垂直な方向(X軸方向)に延長されてノズル先端から吐出された荷電フィラメントの方向を制御する第1ストリップ型金属ガイド214が配置されている。また、ノズル配列方向に対して平行な方向(Y軸方向)に延長された部分を含む第2ストリップ型金属ガイド215が配置される。ここで、第2ストリップ型金属ガイド215は、中空管ニードル122から吐出された紡糸フィラメントが外側に広がることを抑制する方向制御の作用を果たすものであって、一部が垂直に折り曲げられて下方(Z軸方向)に延長される場合、紡糸フィラメントが外側に広がることをより効果的に抑制することができる。
【0071】
2チャネルタイプにおけるノズルホルダー101の取り付けは、シリンジ108を把持するシリンジホルダー118の下端に溝118aを形成し、ノズルホルダー101を側方からシリンジホルダー118の溝118aに摺動方式で押し込む方法が採用できる。
【0072】
集積部140は、紡糸ノズル部120の下方に配置されて荷電フィラメントを収集する。集積部140は、平板で構成されるか、コンベアで構成されるか、直径が5mm~50mmであるロールまたは外径が1mm~5mmである棒が複数で構成されたコンベアで構成されるか、若しくは、これらの組合せで構成することができる。また、荷電フィラメントの収集のために、ドラム型回転体160が付け加えられてもよい。
【0073】
連続工程のためにはローラー集積部または複数個で構成された棒集積部が望ましい。集積部140は接地に連結されるか、または、(-)直流電圧に連結される。集積部140に接地が連結されれば、ノズル部と集積部140との間に電場が形成されながら電界紡糸環境が作られる。
【0074】
ロボット駆動部130、131は、一定大きさの集積部140に紡糸された極細繊維が均一に集積されるように、集積部140の水平または垂直方向で往復駆動を繰り返す。ロボット駆動部130、131の前端には、垂直紡糸または水平紡糸を具現するための紡糸角度調節のための角度調節部180が備えられることが望ましい。
【0075】
制御部111は、表示用画面111aと数字及び機能入力用ボタン111bを含む。前記表示用画面111aは、ロボット駆動部130、131に対するX軸とY軸の始点と終点、ロボットの駆動速度、回転体の速度、溶液供給部の駆動中吐出進行量、総吐出量、流量速度、注射器直径、注射器容量などを表示する。数字及び機能入力用ボタン111bは、ロボット駆動部130、131のX軸ライン回数、Y軸ステップ間移動距離を入力でき、溶液供給部のモータ電源オンオフボタン、流量制御用ボタン、流量制御リスタートボタン、設定した速度でモータを高速駆動するジョグボトン、前段階移動ボタンを備える。流量制御用ボタンを押せば、溶液の総吐出量、流量制御単位の選択、流量制御量、メーカー別注射器選定、及び選択されたメーカーの注射器容量を選択するか又は注射器の内部直径を直接入力でき、流量制御単位はナノリットル(nl)/分、マイクロリットル(μl)/分、ミリリットル(ml)/時(hr)のうちいずれか一つを選択できるように構成され、エンコーダ102機能の使用有無を選択できるように構成されてエンコーダ102機能作動に問題が生じれば機能使用を中止させてモータのみを引き続いて駆動できるように構成される。
【0076】
本発明による電界紡糸装置は、集積部140に、接地の代りに、(-)極性を印加可能な高電圧発生装置を含むことができる。また、ノズル先端で荷電溶液から形成されたテイラーコーンの紡糸状態をリアルタイムでモニタリングし、動画またはイメージで保存可能な映像システムを含むことができる。
【0077】
本発明を適用してナノ繊維を製作するため、溶液の吐出量はノズル孔当り0.05μl/分~500μl/分に設定することが望ましい。より望ましい溶液の吐出量は0.2μl/分~50μl/分である。
【0078】
本発明による電界紡糸装置によれば、ノズル先端に形成されたテイラーコーンが長手方向にジェットを形成しながら安定的な状態を維持する。テイラーコーンとジェットは、10kV以上の高電圧環境でもノズル先端で片方に偏ることなく安定的な状態を維持する。前記荷電フィラメントのジェットは、金属板を含めてフィルム、生地、織物、不織布、紙、金属板、ガラス板、セラミック板などの基材上に極細繊維を製作することができる。また、前記ジェットはより高い高電圧で長く延びたジェットが特定の地点から激しい揺れと溶媒揮発過程を経てマイクロ~ナノレベルの極細繊維で製造される。製造された極細繊維は接地された集積板に集積されてメンブレインとして製作される。
【0079】
本発明の極細繊維製作用電界紡糸装置は、ナノ繊維ウェブを含めて微細多孔性メンブレイン、中空ナノ繊維、細胞培養用スキャフォールド、極細繊維構成回路の製作に活用される。
【0080】
実験例1
本発明による実施例のノズル構成品と比較例によるノズル構成品をもって、高電圧強度と吐出量に応じたノズル先端における液滴の安定性を比較検討した。
【0081】
(1)実施例
図7のように、シリンジに取り付けられた紡糸ノズル部はノズルホルダーに構成された高電圧印加用金属管と接触して高電圧が印加され、ノズルE1は円筒型金属ガイドE2の中心に位置され、ノズル先端は円筒型金属ガイドE2の下端より1.6mmだけ長く位置させた。集積部は平板SUS金属板を使用し、ノズル先端とSUS金属板との間の距離は110mmであった。紡糸溶液は、PVdF[アルケマ社製、Kynar2801]高分子をアセトンとジメチルアセトアミド(DMAc)との混合溶媒(7:3)に溶液濃度17重量%で製造して使用した。紡糸溶液を容量10mlのシリンジに充填し、シリンジの出口に中空型ニードル(23G(内径0.33mm))を連結して溶液移送ポンプに取り付けた。
【0082】
(2)比較例1
図8のように、シリンジに取り付けられた紡糸ノズル部はノズルホルダーに構成された高電圧印加用金属管と接触して高電圧が印加され、ノズルB1は電荷分配板(導電板)B2の中心に位置され、ノズル先端は電荷分配板(導電板)B2の下端より5mmだけ長く位置させた。電荷分配板B2の材質はステンレス鋼SUS304金属板(45mm×45mm)を使用した。そして、集積部は平板SUS金属板を使用し、ノズル先端とSUS金属板との間の距離は110mmであった。紡糸溶液は、PVdF[アルケマ社製、Kynar2801]高分子をアセトンとジメチルアセトアミド(DMAc)との混合溶媒(7:3)に溶液濃度17重量%で製造して使用した。紡糸溶液は容量10mlのシリンジに充填し、シリンジの出口に中空型ニードル(23G(内径0.33mm))を連結させて溶液移送ポンプに取り付けた。
【0083】
(3)比較例2
図9のように、シリンジに取り付けられた紡糸ノズル部はノズルホルダーに構成された高電圧印加用金属管と接触して高電圧が印加され、ノズルB1は電荷分配板(導電板)B2の中心に位置され、ノズル先端は電荷分配板(導電板)B2の下端より10mmだけ長く位置させた。電荷分配板B2の材質はステンレス鋼SUS304金属板(45mm×45mm)を使用した。そして、集積部は平板SUS金属板を使用し、ノズル先端とSUS金属板との間の距離は110mmであった。紡糸溶液は、PVdF[アルケマ社製、Kynar2801]高分子をアセトンとジメチルアセトアミド(DMAc)との混合溶媒(7:3)に溶液濃度17重量%で製造して使用した。紡糸溶液は容量10mlのシリンジに充填し、シリンジの出口に中空型ニードル(23G(内径0.33mm))を連結させて溶液移送ポンプに取り付けた。
【0084】
表1には、実施例及び比較例1、比較例2によるノズル構成品のノズル先端から紡糸される液滴の状態を撮影した動画からの静止画が示されている。
【0085】
【表1】
【0086】
表1から確認できるように、実施例によるノズル構成品は、円筒型金属ガイドが個別ノズルの周囲を囲むため、個別ノズル毎にノズル先端における液滴の安定性効果をもたらす。これにより、本発明による電界紡糸装置は、荷電フィラメントに安定性と方向性が与えられたラインの生成が可能であるため、格子状膜のようなパターン形成が容易である。一方、比較例1及び比較例2によるノズル構成品は、ノズル先端における液滴が不安定であるため、規則的なラインを生成できず、格子状膜のようなパターンを製作できない。
【0087】
実験例2
実験例2では、図1に示された電界紡糸装置を用いた。
紡糸溶液は、PVdF[アルケマ社製、Kynar2801]高分子をアセトンとジメチルアセトアミド(DMAc)との混合溶媒(7:3)に溶液濃度17重量%で製造した透明な溶液である。該紡糸溶液を、押し子型のプランジャー107が取り付けられ、溶液出口部分がルアーロック(luer lock)構造である容量10mlのシリンジ108に充填し、シリンジ108の出口に中空型ニードル122を直接連結して溶液移送ポンプ100に取り付けた。
【0088】
このとき、シリンジ108に取り付けられた紡糸ノズル部120は、ノズルホルダー101に構成された高電圧印加用金属管と接触して高電圧が印加される。ノズルは円筒型金属ガイド116の中心に位置し、ノズル先端は円筒型金属ガイド116の下端よりも2mmだけ長く位置する。円筒型金属ガイド116の周辺にはストリップ型金属ガイド114を設けた。電界紡糸は高電圧が印加された状態でモータ部103を駆動させて行った。高電圧の強度12.8kVでそれぞれ実験した。溶液の吐出量は25μl/分であり、集積部は平板SUS金属板を使った。ノズル先端とSUS板との間の距離は125mmである。ナノ繊維はSUS集積板に集積した。
【0089】
その結果、円筒型金属ガイド116とストリップ型金属ガイド114を使用した場合、ノズル先端で安定的な紡糸状態を見せ、制限された面積に均一にナノ繊維を集積できた。しかし、円筒型金属ガイド116とストリップ型金属ガイド114を使用しない場合は、ノズル先端で片方に紡糸方向が偏向して集積板の所望の部分に適切に集積できなかった。
したがって、高電圧が印加された円筒型金属ガイド116とストリップ型金属ガイド114を設ける場合、ノズル先端に形成された液滴を安定化可能であることを確認することができる。
【0090】
以上、本発明による電界紡糸装置及びそのための溶液移送ポンプを詳細な説明及び図面に示したが、これは例示に過ぎず本発明の思想を限定するものではなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で多様な変化及び変更が可能である。
また、本発明が属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で様々な置換、変形及び変更が可能であるため、上述した実施例及び添付された図面によって限定されるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9