(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】予歪を受けた非空気圧式タイヤ及びその作製方法
(51)【国際特許分類】
B29D 30/02 20060101AFI20220426BHJP
B60C 7/00 20060101ALI20220426BHJP
【FI】
B29D30/02
B60C7/00 H
(21)【出願番号】P 2020568211
(86)(22)【出願日】2019-05-22
(86)【国際出願番号】 US2019033484
(87)【国際公開番号】W WO2019240920
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2020-12-07
(32)【優先日】2018-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515168916
【氏名又は名称】ブリヂストン アメリカズ タイヤ オペレーションズ、 エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ノスプ、ベンジャミン ディー.
【審査官】松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/117587(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/117606(WO,A1)
【文献】特表2010-522666(JP,A)
【文献】特開2016-074249(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102555674(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0048174(US,A1)
【文献】特開2008-055928(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1852305(KR,B1)
【文献】英国特許出願公告第00010998(GB,A)
【文献】中国特許出願公開第111114204(CN,A)
【文献】国際公開第2012/171055(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/00-30/02
B60C 7/00
B60B 3/02
B60B 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非空気圧式タイヤを作製する方法であって、前記方法が、
内径を有するインナーリングと、
第1の外径を有するアウターリングと、
前記インナーリングから前記アウターリングまで延在
し、半結晶性及び非晶性構造を有するポリマー材料を含む複数の連結要素と、を有する初期タイヤを形成することと、
前記アウターリングが前記第1の外径よりも大きい第2の外径を有するまで、
前記ポリマー材料の弾性領域及び塑性領域を超えて前記アウターリングを半径方向に伸張させることと、を含み、
前記複数の連結要素が、前記アウターリングの前記伸張中に前記インナーリング及び前記アウターリングに連結されたままであり、前記アウターリングの半径方向への前記伸張が、前記複数の連結要素を半径方向に伸張させるようになっており、
前記複数の連結要素が、前記アウターリングの前記伸張後に、前記インナーリング及び前記アウターリングに連結されたままである、方法。
【請求項2】
前記アウターリングを弛緩させて、それにより、前記アウターリングが、前記第1の外径よりも大きく前記第2の外径よりも小さい第3の外径まで収縮することを可能にすることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アウターリングの前記伸張が、前記インナーリング
の前記内径を
、第1の内径から前記第1の内径よりも大きい第2の内径まで伸張させる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記インナーリングの前記内径が、前記アウターリングの前記伸張中に一定のままである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アウターリングの前記伸張が、少なくとも50%の歪を前記複数の連結要素のうちの少なくとも1つに適用することを含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、非空気圧式タイヤに関する。より具体的には、本開示は、予歪を受けた構成要素を有する非空気圧式タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤが非膨張状態又は膨張不足状態で走行することを可能にする様々なタイヤの構造が開発されている。非空気圧式タイヤは膨張を必要としないが、「ランフラットタイヤ」は、パンクし、加圧空気の完全又は部分的な喪失を経験した後で、長期間、比較的高速で動作し続けることができる。非空気圧式タイヤは、複数のスポーク、ウェビング、又はインナーリングをアウターリングに連結する他の連結要素を含むことができる。
【0003】
非空気圧式タイヤが車両に装着されると、引張力がタイヤの軸の上に位置する連結要素に加えられる一方で、圧縮力が軸の下の連結要素に加えられる。圧縮力は、連結要素を座屈させることができる。スポーク又はウェビングは、引張時に低レベルの歪を経験し得るが、圧縮下での座屈時にはるかに高い歪を経験し得る。例えば、連結要素は、引張時に1~2%歪、及び圧縮下で座屈する際に10~15%歪を経験し得る。他の例では、連結要素は、圧縮下で座屈する際に、最大30%、又は更にはより高いレベルの歪を経験し得る。
【0004】
スポーク又はウェビングのためのより硬い材料を使用することによって、圧縮下での連結要素上の歪を低減することが可能であるが、これはタイヤ性能に悪影響を及ぼし得る。あるいは、より厚いスポーク又はウェビングを使用することによって歪を低減することができるが、これはタイヤに重量を加える。より厚い又はより硬い材料を使用せずに、スポーク又はウェビングの歪を低減することが有益であろう。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態では、非空気圧式タイヤを作製する方法は、内径を有するインナーリングと、第1の外径を有するアウターリングと、インナーリングからアウターリングまで延在する複数の連結要素と、を有する初期タイヤを形成することを含む。本方法は、アウターリングが第1の外径よりも大きい第2の外径を有するまで、アウターリングを半径方向に伸張させることを更に含む。複数の連結要素は、アウターリングの伸張中にインナーリング及びアウターリングに連結されたままであり、アウターリングの半径方向への伸張が、複数の連結要素を半径方向に伸張させるようになっている。複数の連結要素は、アウターリングの伸張後に、インナーリング及びアウターリングに連結されたままである。
【0006】
別の実施形態では、予歪を受けた非空気圧式タイヤは、インナーリングと、アウターリングと、インナーリングからアウターリングに延在する複数のポリマー連結要素と、を有する。予歪を受けた非空気圧式タイヤは、初期非空気圧式タイヤを形成することと、複数のポリマー連結要素のうちの1つの少なくとも一部分を歪ませることと、を含むプロセスによって作製される。
【0007】
更に別の実施形態では、非空気圧式タイヤを作製する方法は、複数のタイヤ構成要素を提供することを含み、タイヤ構成要素の各々は、インナーリング部分、アウターリング部分、及びインナーリング部分をアウターリング部分に連結するように構成された連結要素のうちの少なくとも1つを含んでいる。本方法は、連結要素が第1の長さから第2の長さまで伸張されるまで、タイヤ構成要素の少なくとも1つを伸張させることを更に含む。本方法は、複数のタイヤ構成要素を組み立てて非空気式タイヤを形成することを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
添付の図面では、以下の詳細な説明と共に、特許請求される本発明の例示的実施形態を説明する構造が図示される。同様の要素は、同一の参照番号で特定される。単一の構成要素として示される要素は、多数の構成要素に置き換えられてもよく、多数の構成要素として示されている要素は、単一の構成要素に置き換えられてもよいことが理解されるべきである。図面は正確な縮尺ではなく、特定の要素の比率が説明のために誇張されている場合がある。
【0009】
【
図1】変形していない非空気圧式タイヤの正面図である。
【0010】
【
図2】荷重を受けたときに変形されている
図1の非空気圧式タイヤの正面図である。
【0011】
【
図3】
図1の線3-3に沿って切り取られた変形していない非空気圧式タイヤの断面斜視図である。
【0012】
【
図4】変形していない非空気圧式タイヤの別の実施形態の正面図である。
【0013】
【0014】
【
図6】200%の予歪を受けた同じ材料の試料と比較した試料材料の応力/歪曲線である。
【0015】
【
図7】400%の予歪を受けた同じ材料の試料と比較した試料材料の応力/歪曲線である。
【0016】
【
図8】600%の予歪を受けた同じ材料の試料と比較した試料材料の応力/歪曲線である。
【0017】
【
図9A】初期非空気圧式タイヤの一部分の斜視図である。
【0018】
【
図9B】予歪プロセス後の非空気式初期タイヤの一部分の斜視図である。
【0019】
【
図10A】タイヤの予歪のためのテーパ状ダイを示す概略図である。
【
図10B】タイヤの予歪のためのテーパ状ダイを示す概略図である。
【0020】
【
図11】複数のヒンジ連結されたウェブセクタによって形成された非空気圧式タイヤの一実施形態の斜視図である。
【0021】
【
図12A】アウターリングにヒンジ連結されたウェブを有する非空気圧式タイヤの一実施形態の一部分の正面図である。
【0022】
【0023】
【
図12C】
図12Aのウェブとアウターリングとの間のヒンジ連結部の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1~
図3は、非空気圧式タイヤ10の一実施形態を図示する。図示される実施形態では、非空気圧式タイヤ10は、タイヤ10が装着されるホイール60と係合する、概ね環状のインナーリング20を含む。ホイール60は回転軸12を有しており、その周りをタイヤ10が回転する。概ね環状のインナーリング20は、内側表面23及び外側表面24を有し、架橋ポリマー又は非架橋ポリマーから形成され得る。本開示において、「ポリマー」という用語は、架橋ポリマー又は非架橋ポリマーを意味している。
【0025】
より小さな負荷荷重に対して、概ね環状のインナーリング20は、ホイール60と粘着的に係合することができるか、又は概ね環状のインナーリング20をホイール60に接合可能にするいくつかの化学構造変化を経ることができる。より大きな負荷荷重に対して、概ね環状のインナーリング20は、例えば嵌合など、いくつかの機械的連結形態を通じてホイール60に係合することができるが、機械的連結はより小さな荷重を支持するためにも用いることができる。機械的な係合は、ホイール60及び概ね環状のインナーリング20の両方に、より大きな負荷荷重を支持するための割り増し強度を提供することができる。更に、機械的連結は、容易な互換性という付加的な利点を有している。例えば、非空気圧式タイヤ10を交換する必要がある場合、概ね環状のインナーリング20はホイール60から取り外され、次いで交換され得る。次いで、ホイール60が再利用可能なので、ホイール60は車軸に再度取り付けられ得る。別の実施形態では、インナーリング20は、機械的及び粘着的連結の組み合わせによって、ホイール60に連結され得る。
【0026】
引き続き
図1~
図3を参照すると、非空気圧式タイヤ10は、概ね環状のインナーリング20に連結された相互連結されたウェブ40を取り囲む、概ね環状のアウターリング30を更に含む。代替的な実施形態では、複数のスポーク又は他の連結デバイスが、インナーリングをアウターリングに連結する。
【0027】
アウターリング30は、接地面領域32(
図2参照)の周りの範囲、及び接地面領域を含んでいる範囲において変形するように構成することができ、この構成が、振動を低減し、乗り心地の良さを高めている。しかしながら、いくつかの実施形態では、非空気圧式タイヤ10はサイドウォールを備えていないので、相互連結されたウェブ40と組み合わされた概ね環状のアウターリング30は、タイヤ10における横剛性をもまた高め、それによって、タイヤ10は、接地面領域32から離れた部分において容認できない変形をすることはない。
【0028】
一実施形態では、概ね環状のインナーリング20及び概ね環状のアウターリング30は、相互連結されたウェブ40と同じ材料から形成されている。概ね環状のインナーリング20、概ね環状のアウターリング30、及び相互連結されたウェブ40は、射出成形若しくは圧縮成形、鋳造可能なポリマー、付加製造、又は従来技術において一般的に既知である任意の他の方法によって形成することができると共に、同時に形成することが可能であって、それらの取り付けは、インナーリング20、アウターリング30、及び相互連結されたウェブ40を含む材料の冷却及び凝固によって形成される。
【0029】
図1に示されたように、概ね環状のアウターリング30は、トレッド担持層70が取り付けられる、半径方向外側表面34を有し得る。取り付けは、接着又は従来技術において通常利用可能な他の方法を用いて実施され得る。
【0030】
図1~
図3に示されるように、非空気圧式タイヤ10の相互連結されたウェブ40は、概ね環状のインナーリング20を、概ね環状のアウターリング30に連結している。図示された実施形態では、相互連結されたウェブ40は、複数の概ね多角形状の開口部50を画定しているウェブ要素42の、少なくとも2つの半径方向に隣接する層56、58を有している。すなわち、回転軸12から概ね環状のアウターリング30に延在している、非空気圧式タイヤ10の任意半径方向部分を通る一部は、少なくとも2つの隣接する層56、58と共に、少なくとも2つの概ね多角形状の開口部50を通過するあるいは横断している。多角形状の開口部50は、様々な形状を形成することができる。多くの実施形態では、概ね多角形状の開口部50の大部分は、6つの側面を有する概ね六角形状であり得る。しかしながら、複数の概ね多角形状の開口部50のそれぞれは、少なくとも3つの側面を備えることが可能である。
【0031】
相互連結されたウェブ40は、ウェブ要素42間における交点44を更に含むことができ、負荷荷重を相互連結されたウェブ40全体に分配することができる。図示された実施形態では、各々の交点44は、少なくとも3つのウェブ要素42を結合している。しかしながら、他の実施形態では、交点44は4つ以上のウェブ要素42を結合することができ、ウェブ要素42によって受けられた応力及び歪を更に分配するのを補助し得る。
【0032】
図2に戻って参照すると、相互連結されたウェブ40の幾何学的形状と相互連結されたウェブ40に選定された材料との組み合わせは、負荷荷重がウェブ要素42全体に分配されることを可能にする。ウェブ要素42は比較的薄く、圧縮に比較的弱い材料から形成され得るので、圧縮力を受けるそれらの要素42は座屈する傾向を有し得る。これらの要素は、概ね回転軸12を通る負荷荷重と接地面領域32との概ね間にあり、
図2において座屈した領域48として表されている。
【0033】
一実施形態では、ウェブ要素42のいくつか若しくは全ては、弱い(例えば予め曲げられた)、又は薄い領域を備えることができ、それによって、ウェブ要素42は好ましくは湾曲するか、又は特定の方向に湾曲するように付勢されている。例えば、一実施形態では、ウェブ要素は、それらが概ね外側方向に湾曲するように付勢されている。このように、ウェブ要素が座屈するとき、それらは互いに接触せず、又は擦れない。更に、弱い又は薄い部分の位置は、湾曲又は座屈する場所を制御するために用いることができ、それによって、そのような接触を避けることができる。
【0034】
座屈が生じると、残りのウェブ要素42は引張り力を受けてもよい。これらの張力付与されたウェブ要素42は、負荷荷重を支持する。比較的薄いが、ウェブ要素42は高い引張り係数を有し得るので、ウェブ要素42は変形する傾向はより小さいが、代わりにトレッド担持層70の形状の維持に役立ち得る。このようにして、負荷荷重がウェブ要素42を通じて張力によって伝達されるとき、トレッド担持層70は、タイヤ10にて負荷荷重を支持することができる。次いで、トレッド担持層70は、円弧として作用し、支持を提供する。したがって、トレッド担持層70は、緊張状態にあり荷重を支持しているウェブ要素42を支持するのに十分に硬い。負荷荷重の相当量は、張力に基づいて機能している複数のウェブ要素によって支持されてもよい。例えば、一実施形態では、荷重の少なくとも75%が張力で支持されており、別の実施形態では、荷重の少なくとも85%が張力で支持されており、別の実施形態では、荷重の少なくとも95%が張力で支持されている。他の実施形態では、荷重の75%未満が張力で支持され得る。
【0035】
概ね環状のインナーリング20、概ね環状のアウターリング30、及び相互連結されたウェブ40を同じ材料から構築することができるが、それらは全て異なる厚さを有し得る。すなわち、概ね環状のインナーリングが第1の厚さt
iを有し得て、概ね環状のアウターリングが第2の厚さt
oを有し得て、相互連結されたウェブが第3の厚さt
eを有し得る。
図1に示す実施形態では、第1の厚さt
iは、第2の厚さt
oよりも小さくあり得る。しかしながら、第3の厚さt
eは、第1の厚さt
i又は第2の厚さt
oのどちらか一方よりも小さくあり得る。圧縮力を受けたとき、より薄いウェブ要素42がより容易に座屈するが、一方、比較的厚い概ね環状のインナーリング20及び概ね環状のアウターリング30は、変形に良好に抵抗することによって、座屈していない領域において非空気圧式タイヤ10の横剛性を維持するのに有利に役立ち得る。
【0036】
図4は、概ね環状のインナーリング110と、概ね環状のアウターリング120と、インナーリング110とアウターリング120との間に延在する可撓性の相互連結されたウェブを有する、タイヤ100の別の実施形態の正面図を示す。可撓性の相互連結されたウェブは、多角形状の開口部を画定する複数のウェブ要素130によって形成されている。この特定の実施形態では、ウェブ要素130は、複数の六角形及び実質的に台形の形状を形成し、これは、外側の一連の交互の六角形及び台形の開口部と、内側の一連の交互の六角形及び台形の開口部とを含む。
図1~
図4に示される幾何学的形状は単なる例示であり、任意の幾何学的形状が使用されてもよいことを理解されたい。
【0037】
一実施形態では、連結要素は、半結晶性(すなわち、剛性)及び非晶性(すなわち、可撓性)構造の両方を有するポリマー材料で構成される。更に、インナーリング及びアウターリングの一方又は両方はまた、半結晶性及び非晶性構造の両方を有するポリマー材料で構成されてもよい。ポリマー鎖が可撓性区分及び剛性区分の両方を含有する場合、それらの区分は、外部歪又は応力の適用によって再配列することができる。歪又は応力は、張力又は圧縮によって適用されてもよい。このような鎖配列は、単一分子の変化ではなく、ポリマーの網状組織の変化から生じる材料特性変化を引き起こし得る。より具体的には、材料特性変化は、材料中の結晶鎖又は剛性鎖の整列から生じ得る。このような材料特性変化は、不可逆的であってもよく、又は熱の印加でのみ可逆的であってもよい。
【0038】
連結要素、インナーリング、又はアウターリングのための材料は、半剛性、半結晶性、半可撓性、又は半非晶性として記載される場合がある。材料は、ガラス状ドメイン及び可撓性区分を有するものとして記載される場合がある。このような構造を有する材料としては、ブロックコポリマー(例えば、スチレンブロックコポリマー)及びランダムポリマーなどのコポリマーが挙げられ、コポリエステル(例えば、熱可塑性コポリエステル)及びコポリアミドが挙げられ得る。より具体的には、半結晶性及び半非晶性構造を有する材料としては、限定するものではないが、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate、PBT)、ポリヘキシレンテレフタレート(polyhexylene terephthalate、PHT)、ポリオクチレンテレフタレート(polyoctylene terephthalate、POT)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(acrylonitrile butadiene styrene、ABS)、スチレンブタジエンスチレン(styrene butadiene styrene、SBS)、スチレン-イソプレン-スチレン(styrene-isoprene-styrene、SIS)、スチレンエチレンブチレンスチレン(styrene ethylene butylene styrene、SEBS)、及びこのようなポリマーの混合物が挙げられる。
【0039】
1つの特定の実施形態では、連結要素は、可撓性である脂肪族鎖及び剛性である芳香族鎖を有する材料で構成される。上述の特性を有する市販材料の例としては、限定するものではないが、HYTREL(DUPONT社製)、ARNITEL(DSM社製)、KRATON((Kraton POLYMERS社製)、及びRITEFLEX(TICONA-CELANESE CORP社製)が挙げられる。
【0040】
図5は、半結晶性及び半非晶性構造の両方を有する試料材料の応力/歪曲線である。曲線は、試料材料がどのように増加した歪に反応するかを示す。この曲線で見ることができるように、試料材料は、低レベルの歪下にあるときに弾性領域内にある。すなわち、試料材料は、荷重又は歪が除去された場合に元の形状に戻る。
図5の特定の実施例では、試料材料は、0~約0.3in/inで歪を受けたときに弾性領域内にある。試料材料が弾性領域内にあるとき、歪の増加は、工学応力の対応する急激な増加を引き起こす。
【0041】
図5の応力/歪曲線に更に見ることができるように、試料材料は、弾性領域を越えて歪ませられた場合に塑性変形を経験する。すなわち、試料材料は、その形状を変化させ、荷重又は歪が除去された後に元の形状に戻らない。軟質熱可塑性物質は、かなり大きい塑性変形範囲を有し、一方、硬質熱可塑性物質は、最小の塑性変形範囲を有する。
図5の特定の実施例では、試料材料は、約0.3in/in歪~約3in/in歪の塑性変形範囲を有する。この材料が塑性変形範囲内にあるときの歪の増加は、工学応力のわずかな増加又は更には低下を引き起こす。
【0042】
図5が更に示すように、試料材料は、塑性変形範囲を超えて歪んだ場合に、鎖整列を経験する。すなわち、ポリマー鎖は、分子レベル及び機械的特性及びポリマー相及び材料変化のドメイン上で整列し始める。より具体的には、試料材料は、はるかに高い弾性率でより大きな弾性挙動を呈し始め得る。
図5の特定の実施例では、材料は、3in/inを超える歪で鎖整列を経験する。鎖整列された材料上の歪の増加は、工学応力の増加を引き起こす。
【0043】
一般に、非空気圧式タイヤは、弾性領域での性能のために設計されており、非空気式タイヤの任意の構成要素を塑性変形させることが望ましくないと考えられる。しかしながら、タイヤの構成要素が半結晶性及び半非晶性構造の両方を有するポリマー材料で作製される場合、これらのポリマー材料は、所望の鎖整列が生じるまで弾性領域及び塑性変形を超えて予歪を受け得、所望の材料特性を有する構成要素が得られる。材料は、30~60のショアD硬度を有してもよく、50~1200%で予歪を受けてもよい。
【0044】
図6~
図8は、1つのこのような試料材料の応力歪曲線を示す。各図は、予歪を受けた試料と比較した、歪んでいない対照試料間の比較を示す。各比較において、対照及び予歪を受けた試料を、0~0.1in/inの歪、次いで0~0.2in/inの歪、次いで0~0.3in/inの歪で複数回サイクルさせた。
【0045】
図6は、歪んでいない対照試料を、予歪200%を受けた試料と比較し、次いで再測定し、試験機内で再設定する、応力歪曲線を示す。この予歪のレベルでは、材料は軟化する。予歪を受けた試料は、対照試料について約1300psiと比較して、約800psi応力を受けたときに、0.1in/inの歪を経験する。予歪を受けた試料は、対照試料について約1700psiと比較して、約1300psi応力を受けたときに、0.2in/inの歪を経験する。予歪を受けた試料は、対照試料について約1800psiと比較して、約1600psi応力を受けたときに、0.3in/inの歪を経験する。換言すれば、この材料試料の弾性率は、200%予歪を受けて10~40%低減される。そのような結果は、試料材料が、鎖の再整列に到達することなく、その塑性変形範囲内の点まで予歪を受けていることを示し得る。しかしながら、他の材料試料は、200%歪で弾性領域内にあってもよく、又は200%歪で鎖の再整列を経験してもよいことを理解されたい。
【0046】
図7は、歪んでいない対照試料を、400%予歪を受けた試料と比較し、次いで、再測定し、試験機内で再設定する、応力歪曲線を示す。この予歪のレベルでは、この材料の弾性率が増加する。予歪を受けた試料は、対照試料について約1300psiと比較して、約1300psi応力を受けたときに、0.1in/inの歪を経験する。予歪を受けた試料は、対照試料について約1700psiと比較して、約2000psi応力を受けたときに、0.2in/inの歪を経験する。予歪を受けた試料は、対照試料について約1800psiと比較して、約3000psi応力を受けたときに、0.3in/inの歪を経験する。換言すれば、この材料試料の弾性率は、400%予歪を受けて0~65%増加する。そのような結果は、予歪を受けた試料材料が鎖の再整列を経験していることを示し得る。しかしながら、他の材料試料は、400%歪で弾性領域内にあってもよく、又は400%歪で塑性変形を受けてもよいことを理解されたい。
【0047】
図8は、歪んでいない対照試料を、600%予歪を受けた試料と比較し、次いで再測定し、試験機内で再設定する、応力歪曲線を示す。この予歪のレベルでは、材料の弾性率は著しく増加している。予歪を受けた試料は、対照試料について約1300psiと比較して、約2000psi応力を受けたときに、0.1in/in歪を経験する。予歪を受けた試料は、対照試料について約1700psiと比較して、約3500psi応力を受けたときに、0.2in/in歪を経験する。予歪を受けた試料は、対照試料について約1800psiと比較して、約6500psi応力を受けたときに、0.3in/in歪を経験する。換言すれば、この材料試料の弾性率は、600%予歪を受けて50~260%増加する。そのような結果は、予歪を受けた試料材料が鎖の再整列を経験していることを示し得る。しかしながら、他の材料試料は、600%歪で弾性領域内にあってもよく、又は600%歪で塑性変形を受けてもよいことを理解されたい。
【0048】
いくつかの例では、タイヤ構成要素の区分を選択的に硬化させることが望ましい場合がある。他の例では、タイヤ構成要素の区分を選択的に軟化させることが望ましい場合がある。例えば、最小弾性率と最大弾性率との間に、弾性率の範囲を有するタイヤ構成要素を有することが望ましい場合がある。異なる弾性率は、最小弾性率を有する材料を選択し、次いで特定の場所で材料を硬化することによって達成され得る。あるいは、最大弾性率を有する材料が選択されてもよく、材料は特定の場所で軟化されてもよい。別の代替として、最小弾性率と最大弾性率との間の弾性率を有する材料が選択されてもよい。そのような材料は、特定の場所で軟化され、他の場所で硬化されてもよい。
【0049】
図6~
図8によって示されるように、所望の軟化又は硬化は、材料を塑性変形領域に、又は鎖の整列に歪ませることによって達成され得る。これらの図は、材料を200~600%歪ませた結果を示すが、他の実施形態では、50~1200%の構成要素の部分を歪ませることが望ましい場合がある。所与の材料の予歪の結果は、材料の化学組成に基づいて変化し得る。
【0050】
非空気圧式タイヤは、一部の場所で歪んでおらず、他の場所で予歪を受けた材料で構築されてもよい。予歪のレベルは、タイヤに沿った異なる場所で変化してもよい。したがって、非空気圧式タイヤの材料は、歪んでいない状態及び様々な予歪を受けた状態の両方の材料特性に従って選択されてもよい。材料が選択された後、初期タイヤが形成され得る。初期タイヤは、成形プロセス、付加製造プロセス、又は減法製造プロセスによって形成されてもよい。
【0051】
図9Aは、初期タイヤ200aの一実施形態の一部分の斜視図を示す。初期タイヤ200aは、内径を有するインナーリング210aと、第1の外径を有するアウターリング220aと、インナーリング210aからアウターリング220aまで延在する複数の連結要素とを有する。複数の連結要素は、第1の初期厚さt
1aを有するインナー連結要素230aと、第1の初期厚さt
1aよりも大きい第2の初期厚さt
2aを有するアウター連結要素240aとを含む。連結要素のそれぞれの厚さは、変化し得ることを理解されたい。
【0052】
次いで、アウターリングが第1の外径よりも大きい第2の外径を有するまで、アウターリング200aを半径方向に伸張させることによって、初期タイヤ200aの一部分は予歪を受ける。次いで、タイヤを弛緩させてもよく、アウターリングは、第1の外径よりも大きく第2の外径よりも小さい第3の外径まで収縮することができる。
【0053】
複数の連結要素230a、240aは、アウターリング220aの伸張中にインナーリング210a及びアウターリング220aに連結されたままであり、アウターリング220aを半径方向に伸張させることにより、複数の連結要素230a、240aの少なくとも一部分が半径方向に伸張するようにする。複数の連結要素230a、240aは、同様に、アウターリング220aの伸張後に、インナーリング210a及びアウターリング220aに連結されたままである。
【0054】
一実施形態では、インナーリング210a及びインナー連結要素230aは、アウター連結要素240a及びアウターリング220aのみが伸張されるように、拘束されて伸張することを防止される。代替的な実施形態では、インナー連結要素も伸張される。別の代替的な実施形態では、インナーリングもまた伸張される。そのような実施形態では、インナーリングは、初期内径よりも大きい最終内径を有する。
【0055】
得られたタイヤ200bの一部分の例を、
図9Bに斜視図で示す。この実施形態では、インナーリング210b及びインナー連結要素230bの結果として生じる寸法は、初期インナーリング210a及びインナー連結要素230aと実質的に同じである。結果として生じるインナーリング210bの内径は、初期インナーリング210aの内径と同じである。結果として生じるインナー連結要素230bは、初期インナー連結要素230aの第1の厚さt
1aと同じである第1の厚さt
1bを有する。
【0056】
対照的に、結果として生じるアウターリング220b及びアウター連結要素240bは、伸張されており、したがって、初期アウターリング220a及びアウター連結要素240aよりも実質的に薄く、より長い。結果として生じるアウター連結要素240bは、初期インナー連結要素240aの第2の厚さt2aよりも小さい第2の厚さt2bを有する。
【0057】
タイヤ構成要素は、多数の異なる方法で伸張されてもよい。一実施形態では、タイヤの異なる部分が保持され、その後引き離される。別の実施形態では、ローラーが、タイヤ構成要素を細長い形状に巻くために、それらの構成要素に適用されてもよい。別の実施形態では、
図10A及び
図10Bに概略的に示されるように、初期タイヤ300aは、テーパ状ダイ310の小さな端部に配置される。次いで、力を加えて、所望の最終タイヤ300bの寸法が達成されるまで、初期タイヤ300aをテーパ状ダイ310の大きな端部に向かって移動させる。ダイ310は、これらの図において円錐形状であるものとして示されているが、ダイは円錐形状である必要はなく、任意のテーパ形状を有してもよい。
【0058】
別の実施形態では、完全な初期タイヤを形成し、次いで完全に形成されたタイヤの構成要素を伸張させるのではなく、複数の初期タイヤ構成要素が形成される。次いで、初期構成要素は、所望に応じて伸張され、次いで組み立てられて、完全なタイヤを形成する。初期タイヤ構成要素は、円周方向に組み立てられるタイヤセクタであってもよい。初期タイヤ構成要素はまた、半径方向に一緒に組み立てられるディスクであってもよい。あるいは、初期タイヤ構成要素は、円周方向の両方に組み立てられるタイヤセクタであってもよい。
【0059】
例えば、
図11は、予歪を受けた構成要素を有する複数の連結ウェブセクタ410によって形成された非空気圧式タイヤ400の斜視図を示す。この実施形態では、タイヤ400の幅は、隣接する4つのウェブセクタ410によって画定される。したがって、タイヤ400のインナーリング420は、ウェブセクタ410の軸方向に隣接する4つのインナーリング部分によって形成され、アウターリング430は、ウェブセクタ410の軸方向に隣接する4つのアウターリング部分によって形成される。同様に、タイヤ400の可撓性の相互連結されたウェブ440は、ウェブセクタ410の軸方向に隣接する4つのウェブ部分によって形成される。代替的な実施形態では、任意の数の軸方向に隣接するウェブセクタが使用されてもよい。このようにして非空気圧式タイヤを組み立てることにより、任意のタイヤ構成要素の任意の部分に適用される予歪の量を変化させることによってタイヤを調整することが可能になる。
【0060】
加えて、
図11は、概ね環状、可撓性、及び相互連結されたウェブ410を形成するために、タイヤ400の周囲に円周方向に配設されたウェブセクタを更に示す。図示された実施形態では、タイヤ400のインナーリング420は、円周方向に隣接する複数のインナーリングセクタによって形成され、アウターリング430は、円周方向に隣接する複数のアウターリングセクタによって形成される。
【0061】
別の実施形態では、連結要素は、インナーリング及びアウターリングとは別個に形成されてもよい。このような実施形態により、連結要素は、インナーリング及びアウターリングの両方を歪んでいない状態のままにしておく間に、予歪を受けることができる。
図12A~
図12Cは、そのような一実施形態の一例を示す。
図12Aは、インナーリング510と、アウターリング520と、ウェブ530と、を有する非空気圧式タイヤ500の一実施形態の一部分の正面図を示す。ここで、ウェブ530は、インナーリング510にヒンジ連結され、アウターリング520にヒンジ連結される。代替的な実施形態(図示せず)では、ウェブは、アウターリング及びインナーリングのうちの少なくとも1つに固定的に連結される。
【0062】
図示された実施形態では、アウターリング520は、中実リングである。代替的な実施形態では、アウターリングは、複数のリング部分から構成されている。リング部分は、タイヤの周りに円周方向に延在するリングセクタであってもよい。あるいは、リング部分は、軸方向に隣接するフープによって形成されてもよい。別の代替的な実施形態では、リング部分は、リングを形成するために、円周方向及び軸方向の両方に位置合わせされる一連のリング部分であってもよい。
【0063】
図12Bは、アウターリング520の一部分の斜視図を示し、
図12Cは、ウェブ530とアウターリング520との間のヒンジ連結部の詳細図を示す。これらの図で分かるように、アウターリング520は、いくつかの円周方向の位置に複数の軸方向に離間した胴部5540を含む。各々の軸方向に離間した胴部540は、軸方向に延在する貫通孔550を含む。図示された実施形態では、軸方向に離間した胴部540は、平坦部分560によって分離されている。代替的な実施形態では、軸方向に離間した胴部は、溝付き部分又は孔によって分離されてもよい。
【0064】
ウェブ530は、対応する貫通孔(図示せず)を有する対応する胴部570を含む。対応する胴部570は、それらが軸方向に離間した胴部540と整列されるように、平坦部分560内に配設される。ピン580が、胴部540、570の貫通孔に挿入されて、ヒンジ連結部を形成する。
【0065】
「含む(includes)」又は「含むこと(including)」という用語が、本明細書又は特許請求の範囲において使用される範囲まで、「含む(comprising)」という用語が特許請求項で移行句として用いられる際の解釈と同様に包括的であることが意図される。更に、「又は(or)」という用語が用いられる範囲において(例えば、A又はBなど)、「A又はB、又はAとBの両方とも」を意味することが意図されている。本出願人らが「A又はBの両方ではなく一方のみ」を示すことを意図する場合、「A又はBの両方ではなく一方のみ」という用語が用いられるであろう。したがって、本明細書における「又は」という用語の使用は、排他的ではなく、包含的である。Bryan A.Garner,A Dictionary of Modern Legal Usage 624(2d.Ed.1995)参照。また、「中(in)」又は「中へ(into)」という用語が、本明細書又は特許請求の範囲において使用される範囲において、「上(on)」又は「上へ(onto)」を更に意味することが意図される。更に、「接続する(connect)」という用語が本明細書又は特許請求の範囲において使用される限りにおいて、「と直接接続する(directly connected to)」ことだけではなく、別の構成要素を介して接続することなどのように「と間接的に接続する(indirectly connected to)」ことも意味することが意図される。
【0066】
本出願をその実施形態の記述によって説明し、またその実施形態をかなり詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲をこのような詳細に制限するか、又はいかなる形でも限定することは、出願人の本意ではない。更なる利点及び改良が、当業者には容易に明らかとなるであろう。したがって、そのより広い態様における本出願は、示され説明される、特定の詳細、例示的な装置及び方法、並びに例示の実施例に限定されない。このため、出願人の一般的な発明概念の趣旨又は範囲から逸脱することなく、このような詳細からの逸脱がなされ得る。