(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】警報装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20220426BHJP
B60W 40/08 20120101ALI20220426BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20220426BHJP
【FI】
G08G1/16 F
G08G1/16 C
B60W40/08
B60W50/14
(21)【出願番号】P 2017195476
(22)【出願日】2017-10-05
【審査請求日】2020-10-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】草刈 由歌
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-128226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
B60W 40/08
B60W 50/14
B60R 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される警報装置であって、
前記車両の運転者の運転状態を検出する監視部と、
前記車両が備える機器が操作されているか否かを検知する操作検知部と、
前記監視部によって前記運転者の運転状態が不適と判定された場合に警報を通知する通知部と、
前記機器の操作が検知されている場合には、前記運転者の運転状態が不適であっても、前記通知部による警報を抑制する警報制御部と、
前記運転者の運転状態が不適であり、前記機器の操作が検知され、かつ前記運転者の移動方向が操作されている機器の存在位置とは異なる方向の場合に、前記監視部を構成するセンサの異常の有無を判定するセンサ判定部と、
を備える警報装置。
【請求項2】
前記警報制御部は、前記センサ判定部によって前記センサの異常が判定された場合、前記センサが正常となるまで前記通知部の動作を中断させる、
請求項
1に記載の警報装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は警報装置に関し、特に車両に搭載して用いられる車両用の警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の運転中に運転者を監視し、急病等により運転者が運転不能状態に陥ったことを検出するための技術が種々提案されている。例えば、特許文献1には、頭部検出手段により検出された運転者の頭部が、画像の所定の範囲から外れている場合に、運転者が運転不能状態であることを検出することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような装置をはじめとする各種警報装置は、警報すべき状態を適切に検知できた場合には非常に有用である。しかしながら、誤検知に基づいて警報装置が動作すると、運転者によっては警報を煩わしく感じる場合もあり得る。
【0005】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、運転者の運転状態の誤検知に基づく警報を低減する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、車両に搭載される警報装置である。この警報装置は、前記車両の運転者の運転状態を検出する監視部と、前記車両が備える機器が操作されているか否かを検知する操作検知部と、前記監視部によって前記運転者の運転状態が不適と判定された場合に警報を通知する通知部と、前記機器の操作が検知されている場合には、前記運転者の運転状態が不適であっても、前記通知部による警報を抑制する警報制御部と、を備える。
【0007】
前記警報装置は、前記運転者の運転状態が不適であり、前記機器の操作が検知され、かつ前記運転者の移動方向が操作されている機器の存在位置とは異なる方向の場合に、前記監視部を構成するセンサの異常の有無を判定するセンサ判定部をさらに備えてもよい。
【0008】
前記警報制御部は、前記センサ判定部によって前記センサの異常が判定された場合、前記センサが正常となるまで前記通知部の動作を中断させてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、運転者の運転状態の誤検知に基づく警報を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態に係る警報装置の概要を説明するための模式図である。
【
図2】実施の形態に係る警報装置の機能構成を模式的に示す図である。
【
図3】実施の形態に係る機器の位置情報を格納する位置情報データベースのデータ構造を模式的に示す図である。
【
図4】実施の形態に係る警報装置が実行する警報抑制処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施の形態の概要>
図1を参照して、実施の形態に係る警報装置1の概要を述べる。
図1は、実施の形態に係る警報装置1の概要を説明するための模式図である。
図1に示す例では、警報装置1は運転者Dが運転する車両Vに搭載されている。車両Vは、警報装置1の一部として監視部2も備えている。また、車両Vは、カーナビゲーション、エアーコンディショナ、及びETC(Electronic Toll Collection)装置等をはじめとする、運転者Dの運転を補助するための種々の機器3を備えている。
【0012】
監視部2は車両Vの室内に設置され、車両Vの運転者Dを監視して運転状態を検出する。ここで「運転状態」とは、運転者Dが車両Vの運転に適しているか否かを示す状態である。例えば、運転者Dが車両Vの進行方向正面を向き、かつ運転者Dの目が開いている場合には、運転者Dの運転状態は適切な状態といえる。反対に、運転者Dが車両Vの側方を向いていたり、運転者Dの目が閉じていたたり、あるいは運転者Dが監視部2の検出範囲の外に存在したりする場合には、運転者Dの運転状態は不適な状態といえる。
【0013】
既知の技術であるため詳細な説明は省略するが、監視部2は、例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサと画像処理を実行する計算部とで実現されている。監視部2は、車両Vの運転者Dを撮像することで得られた映像を既知の画像処理技術を用いて解析することにより、運転者Dの運転状態を検出する。
【0014】
なお、監視部2は、イメージセンサの他にも、運転席に設けた重量センサ、ステアリングホイールに設けた接触センサ、シートベルトの伸縮量を計測するセンサ等の各種センサの出力も運転者Dの運転状態を検出に利用してもよい。
【0015】
一般に、運転者Dが機器3の操作をするときは、通常の運転姿勢から崩れて運転不適な状態となりうる。運転者Dが意図的に機器3の操作をするときは、運転者Dも短い間運転不適な状態になることは意識しており、警報を通知することはかえって運転者Dの集中を乱しかねない。つまり、監視部2の操作をする運転者Dの運転状態を「不適」と判定することは、監視部2の誤検出の一種と考えることもできる。
【0016】
実施の形態に係る警報装置1は、監視部2によって運転者Dの運転状態が不適であることが検出されたとき、警報によってそのことを運転者Dに通知することを基本とする。一方で、実施の形態に係る警報装置1は、監視部2によって運転者Dの運転状態が不適であることが検出されたとしても、車両Vに搭載されている機器3の操作がなされているときは、運転状態に関する警報を抑制する。これにより、実施の形態に係る警報装置1は、運転者Dの運転状態の誤検知に基づく警報を低減することができる。
【0017】
<警報装置1の機能構成>
以下、実施の形態に係る警報装置1の機能構成についてより詳細に説明する。
図2は、実施の形態に係る警報装置1の機能構成を模式的に示す図である。実施の形態に係る警報装置1は、監視部2、記憶部4、及び制御部5を備える。
【0018】
記憶部4は、HDD(Hard Disc Drive)やSSD(Solid State Drive)等の不揮発性記憶装置、及びDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の一時記憶部を含む。不揮発性記憶装置は、実施の形態に係る警報装置1を実現するための各種プログラム及びデータベースの格納部として機能する。一時記憶部は、制御部5の作業メモリとして機能する。
【0019】
制御部5は、車両VのECU(Electronic Control Unit)等のプロセッサである。制御部5は、記憶部4に格納されているプログラムを実行することにより、操作検知部50、通知部51、警報制御部52及びセンサ判定部53として機能する。
【0020】
操作検知部50は、車両Vが備える機器3が操作されているか否かを検知する。図示はしないが、操作検知部50はCAN(Controller Area Network)を介して機器3と接続しており、機器3に対して操作が行われたときに機器3が出力する信号を検知する。これにより、操作検知部50は、車両Vが備える機器3が操作されているか否かを検知することができる。
【0021】
通知部51は、監視部2によって運転者Dの運転状態が不適と判定された場合に警報を通知する。通知部51は、運転状態が不適であることを、例えば図示しないスピーカから警報音を出力することで音声によって運転者Dに通知したり、ダッシュボード内に設置された図示しない表示部に警報メッセージを表示して画像によって運転者Dに通知したりする。あるいは、通知部51は、運転者Dが触れているステアリングホイールに内蔵されたバイブレータ(不図示)を振動させることにより、運転状態が不適であることを触覚によって運転者Dに通知してもよい。
【0022】
警報制御部52は、機器3の操作が検知されている場合には、運転者Dの運転状態が不適であっても、通知部51による警報を抑制する。監視部2の操作は運転者Dが意図的に行うことであるから、この操作に伴って運転姿勢が崩れたとしても「不適」と判定することは一種の誤検出と考えられるからである。これにより、実施の形態に係る警報装置1は、運転者Dの運転状態の誤検知に基づく警報を低減することができる。
【0023】
ここで、監視部2は、車両Vを運転中の運転者Dを監視することにより、運転者Dの移動方向を追跡することができる。運転者Dの運転状態が不適であり、機器3の操作が検知され、かつ運転者Dの移動方向が操作されている機器3の存在位置と一致すれば、それは運転者Dが機器3を操作するために移動したという蓋然性が高い。警報制御部52は、運転者Dの移動方向が操作されている機器3の存在位置と一致する場合、通知部51による警報の通知を抑制する。これにより、運転者Dの運転状態の誤検知に基づく警報抑制の精度をより高めることができる。
【0024】
一方、運転者Dの運転状態が不適であり、機器3の操作が検知され、かつ運転者Dの移動方向が操作されている機器3の存在位置とは異なる方向の場合、監視部2による運転者Dの追跡が誤った可能性がある。そこで、センサ判定部53は、運転者Dの運転状態が不適であり、機器3の操作が検知され、かつ運転者Dの移動方向が操作されている機器3の存在位置とは異なる方向の場合に、監視部2を構成するセンサの異常の有無を判定する。
【0025】
図3は、実施の形態に係る機器3の位置情報を格納する位置情報データベースのデータ構造を模式的に示す図である。位置情報データベースは記憶部4に格納されており、センサ判定部53によって管理されている。
【0026】
図3に示すように、位置情報データベースは、車両Vに搭載されている機器3の種類毎に、機器3の位置座標を関連付けて格納している。機器3の位置座標は、例えば、車両Vに設定された右手系の3次元直交座標系における位置座標として定義されている。3次元直交座標系の原点は任意の場所に設定すればよいが、一例として、車両Vに外接する仮想の直方体のいずれかの頂点を原点とすればよい。
【0027】
図3に示す位置情報データベースの例では、運転者Dが車両Vの運転席に着座して正面を向いたときに、運転者Dの顔の中心の推定座標も格納している。3次元直交座標系において、縦方向(車両Vの前進方向)をX軸、横方向(車両Vの幅方向)をY軸、高さ方向をZ軸とすると、運転者Dの顔の中心Cの推定座標Cは、C(xxx,yyy,zzz)である。同様に、カーナビゲーションの位置座標Nは、N(aaa,bbb,ccc)である。
【0028】
このため、車両Vを運転中の運転者Dが、例えばカーナビゲーションを操作するために動いたとすると、その移動方向を示すベクトルの成分は(aaa-xxx,bbb-yyy,ccc-zzz)と略平行となると考えられる。他の機器3についても同様である。センサ判定部53は、記憶部4から読み出した位置情報データベースを参照することにより、運転者Dの移動方向が操作されている機器3の存在位置と異なるか否かを判定することができる。
【0029】
より具体的には、センサ判定部53は、運転者Dの移動方向を示すベクトルpと、操作が検知された機器3の方向を示すベクトルqとがなす角度を余弦定理を用いて算出する。センサ判定部53は、算出した角度が所定の角度未満の場合、ベクトルpの方向とベクトルqの方向とが一致すると判定する。
【0030】
ここで、「所定の角度」とは、センサ判定部53が運転者Dの移動方向と、操作が検知された機器3が存在する方向との一致不一致を判定するために参照する「方向判定基準角度」である。方向判定基準角度の具体的な値は、監視部2を構成するセンサの精度等を勘案して実験により定めればよいが、例えば10度である。
【0031】
上述したように、監視部2は撮像した画像を解析することにより、運転者Dの運転状態や移動方向を検出している。このため、例えば運転者Dに直射日光が当たることによって監視部2を構成するイメージセンサがサチュレーションを起こし、解析対象となる画像に欠陥が生じることも起こり得る。解析対象となる画像に欠陥が生じると、監視部2の解析結果も誤った結果となる蓋然性が高まる。運転者Dの移動方向が操作されている機器3の存在位置とは異なる方向の場合、センサの異常は考慮すべき要素の一つといえる。
【0032】
実施の形態に係るセンサ判定部53は、運転者Dの移動方向が操作されている機器3の存在位置とは異なる方向の場合に監視部2を構成するセンサの異常の有無を判定することにより、センサ異常をいち早く検出することができる。
【0033】
警報制御部52は、センサ判定部53によってセンサの異常が判定された場合、センサが正常となるまで通知部51の動作を中断させる。これにより、欠陥を有する画像に基づいて監視部2が運転者Dの運転状態を誤検出したとしても、通知部51が警報を通知することはない。結果として、実施の形態に係る警報装置1は、運転者Dの運転状態の誤検知に基づく警報を低減することができる。
【0034】
<実施の形態に係る警報装置1が実行する警報抑制処理の処理フロー>
図4は、実施の形態に係る警報装置1が実行する警報抑制処理の流れを説明するためのフローチャートである。本フローチャートにおける処理は、例えば車両Vのエンジンが始動したときに開始する。
【0035】
車両Vのエンジンが始動すると、センサ判定部53は、監視部2を構成するセンサに異常があるか否かを判定する(S2)。監視部2を構成するセンサに異常がある場合(S4のYes)、センサ判定部53は、所定時間待機する(S6)。「所定時間」は、センサ異常が解消されるまでセンサ判定部53が通知部51の動作を中断するために定められた警報待機基準時間である。所定の時間は監視部2を構成するセンサの性能等を考慮して実験により定めればよいが、例えば5秒間である。
【0036】
センサ判定部53が所定時間待機すると、センサ判定部53は、監視部2を構成するセンサに異常があるか否かを再判定する(S2)。監視部2を構成するセンサに異常がなくなるまで(S4のNo)、上記処理が繰り返される。この意味で、ステップS2、ステップS4、及びステップS6によって構成されるループ処理(
図4中、破線の矩形で囲む処理)は、監視部2を構成するセンサを確認する「センサ確認フロー」といえる。特に、車両Vのエンジンが始動した後に行われるセンサ確認フローは、監視部2の初期化フローともいえる。
【0037】
監視部2を構成するセンサに異常がない場合(S4のNo)、監視部2は、運転者Dの運転状態を検出する。運転者Dの運転状態が不適の場合であり(S8のYes)、かつ機器3の操作が検知されていない場合(S10のNo)、通知部51は、運転者Dの運転状態が不適であることを警報によって運転者Dに通知する(S12)。運転者Dの運転状態が適切である場合(S8のNo)、警報装置1はステップS12の処理を実行せず、通知部51は警報を通知しない。
【0038】
車両Vのエンジンが動作している間、すなわち、運転者Dの運転状態の検出を終了しない間(S14のNo)、警報装置1はステップS8に戻ってステップS8、ステップS10、及びステップS12の処理を繰り返す。運転者Dの運転状態が不適である場合に通知部51が警報を通知するという意味において、ステップS8、ステップS10、ステップS12、及びステップS14で構成されるループ処理(
図4中、1点鎖線の矩形で囲む処理)は、警報装置1における「定常警報フロー」といえる。
【0039】
運転者Dの運転状態が不適の場合であり(S8のYes)、かつ機器3の操作が検知された場合(S10のYes)、センサ判定部53は、運転者Dの移動方向が操作されている機器3の存在位置と一致するか否かを判定する。運転者Dの移動方向が操作されている機器3の存在位置と一致する場合(S16のYes)、警報制御部52は、運転者Dの運転状態が不適であっても、通知部51による警報を抑制し、警報装置1はステップS14の処理に進み、定常警報フローに復帰する。
【0040】
運転者Dの移動方向が操作されている機器3の存在位置と一致しない場合(S16のNo)、センサ判定部53は、監視部2を構成するセンサの異常の有無を判定する(S18)。センサに異常がない場合(S20のNo)、警報装置1はステップS14の処理に進み、定常警報フローに復帰する。
【0041】
センサに異常がある場合(S20のYes)、警報装置1はステップS6の処理に進み、センサ判定部53は、所定時間待機する。この結果、警報装置1の処理フローはセンサ確認フローに移行する。
【0042】
このように、機器3の操作が検知された場合、通知部51は警報を通知することなく、警報装置1の処理フローは定常警報フロー又はセンサ確認フローのいずれかの処理フローに移行する。この意味で、ステップS16、ステップS18、及びステップS20で構成される分岐処理(
図4中、2点鎖線の矩形で囲む処理)は、警報装置1における「警報抑制フロー」といえる。
【0043】
警報抑制フローは監視部2を構成するセンサの異常判定処理(ステップS18)を含むので、実施の形態に係る警報装置1は、初期化処理以外でもセンサの確認を実行することになる。これにより、警報装置1は、センサ異常を早期に検出することができる。
【0044】
なお、車両Vのエンジンが停止する等、運転者Dの運転状態の検出を終了する場合(S14のYes)、本フローチャートにおける処理は終了する。
【0045】
<実施の形態に係る警報装置1が奏する効果>
以上説明したように、実施の形態に係る警報装置1によれば、運転者Dの運転状態の誤検知に基づく警報を低減することができる。
【0046】
特に、車両Vが備える機器3の操作が検知されている場合には、運転者Dの運転状態が不適と判定されている場合であっても、通知部51の警報が抑制される。これにより、運転者Dが意図的に機器3を操作したことによる一時的な運転姿勢の崩れ等に対して警報が通知されることが抑制されるので、警報装置1は、警報によって運転者Dに煩雑感を与えることを抑制できる。
【0047】
また、実施の形態に係る警報装置1は、運転者Dの運転状態が不適であり、機器3の操作が検知され、かつ運転者Dの移動方向が操作されている機器3の存在位置とは異なる方向の場合に、監視部2を構成するセンサの異常の有無を判定する。これにより、車両Vの始動時等、センサの初期化のタイミング以外であっても実施の形態に係る警報装置1はセンサの異常判定を実施することになるので、センサの異常をいち早く検知することができる。結果として、センサ異常に起因する運転者Dの運転状態の誤検知に基づく警報を低減することができる。
【0048】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
【0049】
上記では、運転者Dの運転状態が不適と判定され、機器3の操作が検知され、運転者Dの移動方向が操作されている機器3の存在位置とは異なり、かつ監視部2を構成するセンサに異常がない場合、通知部51は警報を通知せずに定常警報フローに復帰する場合について説明した。
【0050】
このような場合において、助手席に人がいる場合には、機器3は助手席の人によって操作された可能性がある。一方、助手席に人がいない場合には、センサ判定部53によってセンサに異常がないと判定されても、念のためセンサ確認フローに移行することでより誤検知に基づく警報を低減につながる。
【0051】
そこで、
図4中のステップS20においてセンサ判定部53によってセンサに異常がないと判定された場合、助手席に人がいるか否かを判定してもよい。これは例えば車両Vの助手席に重量センサを設け、図示しない助手席判定部が重量センサの出力に基づいて人の有無を判定することによって実現できる。
【0052】
助手席判定部によって助手席に人がいると判定された場合、定常警報フロー中のステップS14の処理に移行する。助手席に人がいないと判定された場合、センサ確認フロー中のステップS6の処理に移行する。これにより、警報装置1は、誤検知に基づく警報を低減しつつ、かつ監視部2を構成するセンサの異常判定をより綿密に実施することができる。
【符号の説明】
【0053】
1・・・警報装置
2・・・監視部
3・・・機器
4・・・記憶部
5・・・制御部
50・・・操作検知部
51・・・通知部
52・・・警報制御部
53・・・センサ判定部
V・・・車両