(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】ポータブルトイレ装置
(51)【国際特許分類】
E03D 9/10 20060101AFI20220426BHJP
C02F 11/00 20060101ALI20220426BHJP
【FI】
E03D9/10 ZAB
C02F11/00 A
(21)【出願番号】P 2018013380
(22)【出願日】2018-01-30
【審査請求日】2020-11-02
(31)【優先権主張番号】P 2017186322
(32)【優先日】2017-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100159846
【氏名又は名称】藤木 尚
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 元太
(72)【発明者】
【氏名】戸崎 正道
(72)【発明者】
【氏名】藤野 翔太
【審査官】広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-009434(JP,A)
【文献】特開2001-275885(JP,A)
【文献】特開2005-282240(JP,A)
【文献】特開2001-207509(JP,A)
【文献】特開2017-057580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/00-9/16
C02F 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚物を粉砕して排出でき且つ移動可能なポータブルトイレ装置であって、
ボウル形状の汚物受け面を備えると共に溜水を貯留するボウル部と、
上記ボウル部に洗浄水を供給する給水装置と、
汚物を粉砕する粉砕装置と、
上記ボウル部と連通する排出路と、
上記排出路の下流側に接続され且つ可撓性の管路部分を有する排水管路と、
上記排出路に配置され上記ボウル部内の洗浄水を下流側に排出する排出ポンプと
上記排出路に上記排出路の外部から空気を取り入れる通気弁とを備え、
上記通気弁は、上記排出ポンプが洗浄水を下流側に排出することにより、上記排出路又は上記排水管路においてサイホン現象が発生した場合には、このサイホン現象による負圧により開弁する弁機構を有
し、
上記排出路は、排水トラップを形成するように立ち上がる上昇部と、上記排水トラップの上記上昇部と接続する頂部と、上記頂部から下降する下降部と、を備え、
上記通気弁が、上記上昇部に配置されることを特徴とする、ポータブルトイレ装置。
【請求項2】
上記通気弁は、上記排出ポンプより下流側に配置される、請求項1に記載のポータブルトイレ装置。
【請求項3】
上記排出路は、排水トラップを形成するように立ち上がる上昇部と、上記排水トラップの上記上昇部と接続する頂部と、上記頂部から下降する下降部と、を備え、
上記通気弁が、上記頂部に配置される、請求項1又は2に記載のポータブルトイレ装置。
【請求項4】
上記排出ポンプから上記通気弁までの上記排出路の容積が、上記ボウル部の初期水位以下の部分の容積及び上記ボウル部から上記排出ポンプまでの上記排出路の容積の合計以下である、請求項1乃至
3の何れか1項に記載のポータブルトイレ装置。
【請求項5】
上記通気弁は、
上記排出路側が大気圧以上の圧力である場合に閉弁状態となり、
上記排出路側が上記大気圧より低く開弁圧力より高い第1負圧領域圧力である場合に閉弁状態となり、且つ
上記排出路側が上記開弁圧力以下の第2負圧領域圧力である場合に開弁状態となるように形成され、
上記ボウル部と上記排出路とを備える上記ポータブルトイレ装置を設置する床面からの上記通気弁の高さが、上記通気弁の開弁圧力ヘッドより高い、請求項1乃至
4の何れか一項に記載のポータブルトイレ装置。
【請求項6】
汚物を粉砕して排出でき且つ移動可能なポータブルトイレ装置であって、
ボウル形状の汚物受け面を備えると共に溜水を貯留するボウル部と、
上記ボウル部に洗浄水を供給する給水装置と、
汚物を粉砕する粉砕装置と、
上記ボウル部と連通する排出路と、
上記排出路の下流側に接続され且つ可撓性の管路部分を有する排水管路と、
上記排出路に配置され上記ボウル部内の洗浄水を下流側に排出する排出ポンプと
上記排出路に上記排出路の外部から空気を取り入れる通気弁とを備え、
上記通気弁は、上記排出ポンプが洗浄水を下流側に排出することにより、上記排出路又は上記排水管路においてサイホン現象が発生した場合には、このサイホン現象による負圧により開弁する弁機構を有し、
上記通気弁は、上記排出ポンプより下流側に配置され、
上記通気弁は、上記排出路とバッファ部を介して接続される、ポータブルトイレ装置。
【請求項7】
上記バッファ部の内径は、上記排出路における上記バッファ部より上流側の流路の内径より大きく且つ上記バッファ部の接続される部分の上記排出路の内径以下である、請求項
6に記載のポータブルトイレ装置。
【請求項8】
上記排出路は、
排水トラップを形成するように立ち上がる上昇部と、
排水トラップの頂部と、
下降する下降部と、
上記上昇部から頂部に曲がる第1コーナー部と、
上記頂部から下降部に曲がる第2コーナー部とを備え、
上記バッファ部は、上記第1コーナー部と、上記第2コーナー部との間において上記排出路に接続される、請求項
6又は
7に記載のポータブルトイレ装置。
【請求項9】
上記通気弁は、ケーシングと、上記ケーシング内に収容される弁部材と、を備え、上記ケーシング内部には上記弁部材により区切られる上記排出路側の第1室と、外気側の第2室とが形成され、上記第2室は上記ボウル部に連通される、請求項
6乃至
8の何れか1項に記載のポータブルトイレ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポータブルトイレ装置に係り、特に、汚物を粉砕して排出でき且つ移動可能なポータブルトイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示すように、排泄物の処理と便容器の洗浄とを可能とするポータブルトイレが提案されている。このようなポータブルトイレは、撹拌槽内で、撹拌翼により排泄物及び洗浄水を撹拌し、排水ポンプにより撹拌された汚水を排水ホースを介して排出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のようなポータブルトイレ装置は、寝室や介護室等の室内に配置され且つ移動可能に構成されるため、排水ホースの内径を十分に大きくできない事情がある。さらに、排水ホースは、室内で勾配が付かないように配置される可能性がある。そのため、排出ポンプが汚水を下流側に排出する際に、排水ホース又は排水ホースの下流側の排水管路においてサイホン現象が発生する恐れがある。特許文献1のようなポータブルトイレ装置は、排泄物や洗浄水が投入される撹拌槽と、排出ポンプと、排水ホースとが連通している。よって、排水ホース又は排水管路においてサイホン現象が発生した場合に、撹拌槽内の水をサイホン現象が終了するまで下流側に引き続けてしまい、撹拌槽に洗浄水を新たに給水してもサイホン現象により排出されてしまうという問題がある。従って、このようなポータブルトイレ装置において、溜水をボウル部内に貯留して封水を形成するためには、サイホン現象が完全に終了した後まで待って、洗浄水を給水する必要があり、封水形成に時間がかかるという問題がある。また、サイホン現象が完全に終了するまで待つ場合には、終了のタイミングがばらつく可能性があり、ポータブルトイレ装置の設置環境や給水タイミングによっては封水が切れた(無くなった)状態となり、臭気が排水管路から室内に逆流する状態が発生する可能性が懸念される。
【0005】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、排出路に排出路の外部から空気を取り入れてサイホン現象を早期に終了させることができ、溜水をボウル部内に早期に貯留して封水を形成することができるポータブルトイレ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するために、本発明は、汚物を粉砕して排出でき且つ移動可能なポータブルトイレ装置であって、ボウル形状の汚物受け面を備えると共に溜水を貯留するボウル部と、上記ボウル部に洗浄水を供給する給水装置と、汚物を粉砕する粉砕装置と、上記ボウル部と連通する排出路と、上記排出路の下流側に接続され且つ可撓性の管路部分を有する排水管路と、上記排出路に配置され上記ボウル部内の洗浄水を下流側に排出する排出ポンプと、上記排出路に上記排出路の外部から空気を取り入れる通気弁とを備え、上記通気弁は、上記排出ポンプが洗浄水を下流側に排出することにより、上記排出路又は上記排水管路においてサイホン現象が発生した場合には、このサイホン現象による負圧により開弁する弁機構を有し、上記排出路は、排水トラップを形成するように立ち上がる上昇部と、上記排水トラップの上記上昇部と接続する頂部と、上記頂部から下降する下降部と、を備え、上記通気弁が、上記上昇部に配置される。
このように構成された本発明においては、移動可能なポータブルトイレ装置が、汚物を粉砕する粉砕機構と、勾配が付けられないような形で配置される可能性がある可撓性の管路部分を有する排水管路とを備え、ボウル部が排出路と排水管路と連通している。このようなポータブルトイレ装置において、排出路又は排水管路においてサイホン現象が発生した場合に、通気弁がサイホン現象による負圧により開弁する。よって、本発明によれば、排出路に排出路の外部から空気を取り入れてサイホン現象を早期に終了させることができ、溜水をボウル部内に早期に貯留して封水を形成することができる。
また、このように構成された本発明においては、通気弁が、排水トラップの上昇部に配置されることにより、排出路における通気弁の配置部分において、サイホン現象による洗浄水の流れの圧力及び排出路内の洗浄水のヘッド圧が作用しにくくなる。よって、本発明によれば、通気弁が排出路に排出路の外部から空気を容易に取り入れることができ、サイホン現象をより早期に終了させることができる。仮に、排水トラップの下降部に通気弁を配置した場合には、排出路における通気弁の配置部分において、サイホン現象による洗浄水の流れの圧力に加え、排出路内の洗浄水のヘッド圧が作用する。よって、通気弁が排出路に排出路の外部から空気を取り入れにくくなり、洗浄水の圧力に打ち勝つように空気を導入できず、サイホン現象を終了できない恐れがある。
【0007】
本発明において、好ましくは、上記通気弁は、上記排出ポンプより下流側に配置される。
このように構成された本発明においては、通気弁が排出ポンプより下流側に配置され、通気弁から供給された空気が排出ポンプに供給されないため、排出ポンプにエアロックが発生せず、排出ポンプの排出性能の低下を防ぐことができ、サイホン現象をより早期に終了させ、溜水をボウル部内により早期に貯留して封水を形成することができる。仮に通気弁が排出ポンプより上流側に配置される場合、排出ポンプの作動により通気弁に負圧が生じるので、この負圧により通気弁が開弁し、空気が排出路に供給される。このように、排出ポンプよりも上流側の通気弁から供給された空気が排出ポンプ内に侵入すると、排出ポンプにエアロックが発生してしまい、排出ポンプの排出性能が低下することとなる。
【0008】
本発明において、好ましくは、上記排出路は、排水トラップを形成するように立ち上がる上昇部と、上記排水トラップの上記上昇部と接続する頂部と、上記頂部から下降する下降部と、を備え、上記通気弁が、上記頂部に配置される。
このように構成された本発明においては、通気弁が、排水トラップの頂部に配置されることにより、排出路における通気弁の配置部分において、サイホン現象による洗浄水の流れの圧力及び排出路内の洗浄水のヘッド圧が作用しにくくなる。よって、本発明によれば、通気弁が排出路に排出路の外部から空気を容易に取り入れることができ、サイホン現象をより早期に終了させることができる。仮に、排水トラップの下降部に通気弁を配置した場合には、排出路における通気弁の配置部分において、サイホン現象による洗浄水の流れの圧力に加え、排出路内の洗浄水のヘッド圧が作用する。よって、通気弁が排出路に排出路の外部から空気を取り入れにくくなり、洗浄水の圧力に打ち勝つように空気を導入できず、サイホン現象を終了できない恐れがある。
【0010】
本発明において、好ましくは、上記排出ポンプから上記通気弁までの上記排出路の容積が、上記ボウル部の初期水位以下の部分の容積及び上記ボウル部から上記排出ポンプまでの上記排出路の容積の合計以下である。
このように構成された本発明においては、排出ポンプから通気弁までの排出路の容積が、上記ボウル部の初期水位以下の部分の容積及び上記ボウル部から上記排出ポンプまでの上記排出路の容積の合計以下である。これにより、通気弁の開弁後に、排出ポンプから通気弁までの排出路中の洗浄水がボウル部に戻ったとしても、ボウル部の水位を初期水位以下とすることができ、使用者が次回に使用する時に、ボウル部の溜水の初期水位が高くなることを抑制し、溜水水面からの尿はねのリスクを抑制することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、上記通気弁は、上記排出路側が大気圧以上の圧力である場合に閉弁状態となり、上記排出路側が上記大気圧より低く上記開弁圧力より高い第1負圧領域圧力である場合に閉弁状態となり、且つ上記排出路側が上記開弁圧力以下の第2負圧領域圧力である場合に開弁状態となるように形成され、上記ボウル部と上記排出路とを備える上記ポータブルトイレ装置を設置する床面からの上記通気弁の高さが、上記通気弁の開弁圧力ヘッドより高い。
このように構成された本発明においては、通気弁は、排出ポンプがボウル部内の洗浄水を排出する際には、排出ポンプによる洗浄水の排出圧力により閉弁される。また、通気弁は、大気圧より低く開弁圧力より高い第1負圧領域圧力で閉弁し、且つ開弁圧力以下の第2負圧領域圧力で開弁するように形成される。本発明によれば、開弁圧力が大気圧より低い通気弁を用いた場合に、ポータブルトイレ装置を設置する床面からの通気弁の高さが、通気弁の開弁圧力ヘッドより高くされる。これにより、本発明によれば、排出路又は排水管路においてサイホン現象が発生した場合に、サイホン現象による負圧により開弁し、サイホン現象を終了させることができる。
【0012】
上述した目的を達成するために、本発明は、汚物を粉砕して排出でき且つ移動可能なポータブルトイレ装置であって、ボウル形状の汚物受け面を備えると共に溜水を貯留するボウル部と、上記ボウル部に洗浄水を供給する給水装置と、汚物を粉砕する粉砕装置と、上記ボウル部と連通する排出路と、上記排出路の下流側に接続され且つ可撓性の管路部分を有する排水管路と、上記排出路に配置され上記ボウル部内の洗浄水を下流側に排出する排出ポンプと、上記排出路に上記排出路の外部から空気を取り入れる通気弁とを備え、上記通気弁は、上記排出ポンプが洗浄水を下流側に排出することにより、上記排出路又は上記排水管路においてサイホン現象が発生した場合には、このサイホン現象による負圧により開弁する弁機構を有し、上記通気弁は、上記排出ポンプより下流側に配置され、上記通気弁は、上記排出路とバッファ部を介して接続される。
このように構成された本発明においては、移動可能なポータブルトイレ装置が、汚物を粉砕する粉砕機構と、勾配が付けられないような形で配置される可能性がある可撓性の管路部分を有する排水管路とを備え、ボウル部が排出路と排水管路と連通している。このようなポータブルトイレ装置において、排出路又は排水管路においてサイホン現象が発生した場合に、通気弁がサイホン現象による負圧により開弁する。よって、本発明によれば、排出路に排出路の外部から空気を取り入れてサイホン現象を早期に終了させることができ、溜水をボウル部内に早期に貯留して封水を形成することができる。
また、このように構成された本発明においては、通気弁が排出ポンプより下流側に配置され、通気弁から供給された空気が排出ポンプに供給されないため、排出ポンプにエアロックが発生せず、排出ポンプの排出性能の低下を防ぐことができ、サイホン現象をより早期に終了させ、溜水をボウル部内により早期に貯留して封水を形成することができる。仮に通気弁が排出ポンプより上流側に配置される場合、排出ポンプの作動により通気弁に負圧が生じるので、この負圧により通気弁が開弁し、空気が排出路に供給される。このように、排出ポンプよりも上流側の通気弁から供給された空気が排出ポンプ内に侵入すると、排出ポンプにエアロックが発生してしまい、排出ポンプの排出性能が低下することとなる。
また、このように構成された本発明においては、通気弁は、排出路とバッファ部を介して接続されるので、排出路内の洗浄水が通気弁に侵入することを抑制することができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、上記バッファ部の内径は、上記排出路における上記バッファ部より上流側の流路の内径より大きく且つ上記バッファ部の接続される部分の上記排出路の内径以下である。
このように構成された本発明においては、バッファ部の内径は、排出路におけるバッファ部より上流側の流路の内径より大きいので、排出路におけるバッファ部より上流側の流路を通過した汚物がバッファ部に流入することを抑制すると共に、バッファ部につまることを抑制することができる。さらに、バッファ部の内径は、バッファ部の接続される部分の排出路の内径以下であるので、排出路内の洗浄水がバッファ部に侵入することを抑制することができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、上記排出路は、排水トラップを形成するように立ち上がる上昇部と、排水トラップの頂部と、下降する下降部と、上記上昇部から頂部に曲がる第1コーナー部と、上記頂部から下降部に曲がる第2コーナー部と、を備え、上記バッファ部は、上記第1コーナー部と、上記第2コーナー部との間において上記排出路に接続される。
仮にバッファ部が第1コーナー部又は第2コーナー部において排出路に接続される場合、コーナー部において乱れた洗浄水がバッファ部に侵入し、バッファ部内の空気と洗浄水とが置換されることにより、バッファ部内で洗浄水の水位が上昇する懸念がある。これに対し、このように構成された本発明においては、バッファ部は、第1コーナー部と、第2コーナー部との間において排出路に接続されるので、バッファ部は、洗浄水の流れが乱れやすいコーナー部には接続されない。よって、本発明によれば、排出路内の洗浄水がバッファ部に侵入することを抑制することができる。
【0015】
本発明において、好ましくは、上記通気弁は、ケーシングと、上記ケーシング内に収容される弁部材と、を備え、上記ケーシング内部には上記弁部材により区切られる上記排出路側の第1室と、外気側の第2室とが形成され、上記第2室は上記ボウル部に連通される。
このように構成された本発明においては、仮に洗浄水が排出路から通気弁に侵入した場合でも、洗浄水を通気弁からボウル部に排水させることができ、通気弁からボウル部外に漏水を生じることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のポータブルトイレ装置によれば、排出路に排出路の外部から空気を取り入れてサイホン現象を早期に終了させることができ、溜水をボウル部内に早期に貯留して封水を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態によるポータブルトイレ装置を後方斜め上方から見た全体斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態によるポータブルトイレ装置を示す断面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態によるポータブルトイレ装置の通気弁の閉弁状態を示す断面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態によるポータブルトイレ装置の通気弁の開弁状態を示す断面図である。
【
図5】本発明の第1実施形態によるポータブルトイレ装置の通気弁につき、排水トラップ管路側の第1室の圧力と、通気弁の閉弁状態又は開弁状態の対応を示す図である。
【
図6】
図2に示すポータブルトイレ装置において、通気弁の位置関係を説明する図である。
【
図7】
図2に示すポータブルトイレ装置において、ボウル部の洗浄動作が実行される状態を示す図である。
【
図8】
図2に示すポータブルトイレ装置において、溜水面の水位を所定水位まで下げるように洗浄水を排水させる水位下げ動作が実行される状態を示す図である。
【
図9】
図2に示すポータブルトイレ装置において、汚物の粉砕動作が実行される状態を示す図である。
【
図10】
図2に示すポータブルトイレ装置において、排出ポンプが洗浄水等を排出する状態を示す図である。
【
図11】
図2に示すポータブルトイレ装置において、排出ポンプが停止した直後の状態を示す図である。
【
図12】
図2に示すポータブルトイレ装置において、洗浄水等がサイホン現象による負圧を生じさせ、通気弁が空気を排水トラップ管路内に導入させる状態を示す図である。
【
図13】
図2に示すポータブルトイレ装置において、通気弁が空気を排水トラップ管路内にさらに導入させた状態を示す図である。
【
図14】
図2に示すポータブルトイレ装置において、通気弁が閉弁される状態を示す図である。
【
図15】
図2に示すポータブルトイレ装置において、通気弁が閉弁された状態で溜水部の溜水面が上昇する様子を示す図である。
【
図16】
図2に示すポータブルトイレ装置において、通気弁が閉弁された状態であり且つ溜水部の溜水面が初期水位まで上昇した状態を示す図である。
【
図17】本発明の第2実施形態によるポータブルトイレ装置を示す断面図である。
【
図18】本発明の第3実施形態によるポータブルトイレ装置を示す断面図である。
【
図19】本発明の第4実施形態によるポータブルトイレ装置を示す断面図である。
【
図20】本発明の第4実施形態によるポータブルトイレ装置の通気弁の閉弁状態を示す断面図である。
【
図21】本発明の第4実施形態によるポータブルトイレ装置の通気弁の開弁状態を示す断面図である。
【
図22】本発明の第4実施形態によるポータブルトイレ装置の通気弁につき、排水トラップ管路側の第1内気室の圧力と、弁部材の閉弁状態又は開弁状態の対応を示す図である。
【
図23】本発明の第5実施形態によるポータブルトイレ装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、添付図面を参照して、本発明の第1実施形態によるポータブルトイレ装置について説明する。最初に、
図1及び
図2により、本発明の第1実施形態によるポータブルトイレ装置の全体構造を説明する。
【0019】
図1に示すように、本発明の第1実施形態によるポータブルトイレ装置1は、便所以外の場所にも配置できる水洗式の便器装置であり、戸建て住宅、高齢者施設又は病院等(以下「建物」と称する)において、通常のトイレ空間以外の場所、例えば、介護用に使用者の居室、寝室内のベッドサイド等に配置されるトイレ装置として使用される。高齢者や病気の人などで、トイレまで歩いていくことが困難又は比較的負担に感じる人にも、自分で居室において使用することができる水洗式の便器装置となっている。
【0020】
ポータブルトイレ装置1は、便器本体2と、便器本体2に洗浄水を供給する給水装置である給水部4と、便器本体2を支持するフレーム6と、を備えている。
【0021】
また、ポータブルトイレ装置1は、移動可能な非据え付け型の装置である。ポータブルトイレ装置1は、フレーム6のフレーム基部6aが便器本体2等が設置される床面Fに固定されておらず、使用者又は事業者等によって車輪1a等を利用して移動可能に形成されている。
【0022】
図2に示すように、給水部4は、建物Q側の給水設備と可撓性の給水管8を介して接続されている。給水部4は、便器本体2の後方上部に設けられ、ボウル部10に形成された吐水口10cからボウル部10に洗浄水を供給する。なお、給水部4は、貯水タンクから洗浄水を供給するタンク方式のものであってもよい。給水管8は給水ホース等により形成される。
【0023】
便器本体2は、便器本体2の前方側に設けられた汚物を受けるボウル部10と、ボウル部10の底部と連通するように設けられて汚物を洗浄水と共に排出する排出路である排水トラップ管路12と、ボウル部10下方に形成された溜水部14と、を備えている。
【0024】
ボウル部10は、上方に向けて開口したボウル形状の汚物受け面10dを備えている。汚物受け面10dはすり鉢状に形成され、水平断面の汚物受け面10dの内側の面積が下降するにつれ減少している。ボウル部10には、汚物受け面10dの下部から縦方向に延びる筒状部分10aが形成されている。筒状部分10aは上面視における流路径(断面積径)がほぼ変わらず一定になるように形成されている。筒状部分10aは鉛直方向に延びる比較的短い流路を形成する。ボウル部10には、洗浄開始前において、ボウル部10下方に溜水面W0(待機状態の溜水面)を形成するように、溜水を貯留する溜水部14が形成されている。貯留された溜水の溜水面W0は汚物受け面10d上に形成される。溜水部14は、ボウル部10の下部から後方側に延びるL字形状の貯溜部を形成している。溜水部14は、汚物を粉砕する時点において、溜水面W0より下方側且つ後方側に延びる部分において洗浄水を貯溜している状態となっている。
【0025】
排水トラップ管路12は、ボウル部の底面に接続する接続部12aと、排水トラップを形成するように立ち上がる上昇部12bと、排水トラップの上昇部12bと接続する頂部12cと、頂部12cから下降する下降部12dと、床面Fのわずかに上方且つ床面Fとほぼ平行に延びる横向部12eとを備えている。このように、排水トラップ管路12は、少なくとも上昇部12bと、頂部12cとにより凸形状の排水トラップ構造を形成する。頂部12cは、頂部12cの底面が平坦面として形成されるような凸形状の折り返し部分を形成している。頂部12cの底面の頂点の高さがボウル部10の初期水位の溜水面W0の高さとなっている。
【0026】
排水トラップ管路12の下流側の横向部12eには、排水管路16が接続される。排水トラップ管路12及び排水管路16は、ポータブルトイレ装置1を移動可能にするため比較的細い配管により形成される。排水トラップ管路12の横向部12eの内径(配管口径)は好ましくは10mm~50mmの範囲であり、より好ましくは20mmである。排水管路16は、可撓性の管路部分16aを有する。可撓性管路である可撓性の管路部分16aは、排水トラップ管路12の下流側の横向部12eに接続される。可撓性の管路部分16aは、排水ホース等の可撓性部材により形成される。排水管路16は、建物側に設けられた排水用の配管16bも含む。可撓性の管路部分16aの内径は、好ましくは10mm~50mmの範囲であり、より好ましくは20mmである。排水管路16の建物Q側の排水用の配管16bには、横向部12e又は可撓性の管路部分16aから連続して延び且つ可撓性の管路部分16aとほぼ同様の配管の内径が続く部分の配管が含まれる。建物Q側の排水用の配管16bには、配管の内径が10mm~50mmの範囲である配管が含まれる。建物Q側の排水用の配管16bの下流端は、配管16bより内径の広い建物Q側の設備配管Sに接続される。
【0027】
ポータブルトイレ装置1は、さらに、ボウル部10内で汚物を粉砕する粉砕装置18と、ボウル部10内の洗浄水を下流側に排出する排出装置である排出ポンプ20と、粉砕装置18と排出ポンプ20との間に設けられるフィルタ22と、使用者が操作する操作部(図示せず)と、ポータブルトイレ装置1の洗浄動作及び粉砕圧送動作等を制御する制御部24と、を備えている。
【0028】
粉砕装置18は、自身の一部の回転によりボウル部10内に旋回流(回転流)を形成させることにより汚物を粉砕する。粉砕装置18は、ボウル部10後方の下部側且つ溜水部14の上部側に設けられる。この粉砕装置18は、溜水部14に貯留された溜水内に配置されると共に汚物を粉砕するように溜水部14内に回転流を発生させる回転体26と、回転体26の回転軸28と、回転体26及び回転軸28を駆動させる電動モーター30とを備えている。なお、変形例として、ポータブルトイレ装置1は、ボウル部10外において汚物粉砕を行うタイプのポータブルトイレ装置1であってもよい。このとき、粉砕装置18は、ボウル部10から供給される汚物をボウル部10外に形成される粉砕室又は流路内等で粉砕するように設けられる。このようなポータブルトイレ装置1は、ボウル部10の外側且つ下流側にボウル部10と区切られた粉砕室等を備え、粉砕室等の下流側に、フィルタ22、排出ポンプ20及び排水トラップ管路12が設けられる。排出ポンプ20は、粉砕室内で粉砕装置18が粉砕した汚物、及び排出ポンプ20のインペラ34及びポンプ室32等により結果的に粉砕された汚物を、洗浄水とともに圧送して排水トラップ管路12及び排水管路16を介し設備配管S側に排出させる。
【0029】
排出ポンプ20は、排水トラップ管路12の排水トラップ構造の上流側に配置される。排出ポンプ20は、高揚程が実現可能な遠心式ポンプを形成している。排出ポンプ20は、溜水部14内で粉砕した汚物を洗浄水とともに圧送して排水トラップ管路12及び排水管路16を介し設備配管S側に排出させる。排出ポンプ20は、ポンプ室32と、ポンプ室32の内側で回転されるインペラ34と、インペラ34の回転軸36と、インペラ34及び回転軸36を駆動させる電動モーター38とを備えている。
【0030】
ポンプ室32の中央部の入口には、溜水部14のフィルタ22の下部から延びる接続部12aが接続され、ポンプ室32の上部の外周部には、上昇部12bが接続される。インペラ34の回転によって発生する遠心力により、汚物及び洗浄水がポンプ室32から排水トラップ管路12に向かって比較的強力に押し出され、且つ圧送される。
【0031】
フィルタ22は、溜水部14の底面に配置され、所定以下の大きさに粉砕された汚物のみを通過させる。
【0032】
制御部24は、使用者による操作部の操作又は自己の設定により、給水部4、粉砕装置18及び排出ポンプ20を制御する。制御部24は、これらの制御を行うためのCPU、メモリ等を内蔵している。制御部24は、給水部4、粉砕装置18及び排出ポンプ20等と電気的に接続され、これらの装置等に作動信号を送り、各装置等を作動させるようになっている。
【0033】
次に、
図2により、ポータブルトイレ装置1の通気弁40について説明する。
ポータブルトイレ装置1は、さらに、排水トラップ管路12に排水トラップ管路12の外部から空気を取り入れる通気弁40を備えている。通気弁40は、排水トラップ管路12の排出ポンプ20より下流側の頂部12cに配置される。排水トラップ管路12に排水トラップ管路12の外部から空気を取り入れることには、排水トラップ管路12に排水トラップ管路12側から外部空気を取り入れることのみならず、排水トラップ管路12に排水管路16側から外部空気を取り入れることも含む。すなわち、通気弁40は、排水管路16に取付けられていてもよい。
【0034】
図3乃至
図5に示すように、通気弁40の弁機構についてより詳細に説明する。
図3は本発明の第1実施形態によるポータブルトイレ装置の通気弁の閉弁状態を示す断面図であり、
図4は本発明の第1実施形態によるポータブルトイレ装置の通気弁の開弁状態を示す断面図であり、
図5は本発明の第1実施形態によるポータブルトイレ装置の通気弁につき、排水トラップ管路側の第1室の圧力と、通気弁の閉弁状態又は開弁状態の対応を示す図であり、
図6は
図2に示すポータブルトイレ装置において、通気弁の位置関係を説明する図である。
【0035】
通気弁40は、所定圧力以下の負圧により開弁する。通気弁40は、排出ポンプ20が洗浄水を下流側に排出することにより、排水トラップ管路12又は排水管路16においてサイホン現象が発生した場合には、このサイホン現象による負圧により開弁する弁機構を有する。このような通気弁40の弁機構は、第1室46a側が大気圧P0以上の圧力P1では閉弁状態となり、大気圧P0より低く開弁圧力P4より高い第1負圧領域圧力P2では閉弁状態となり、且つ開弁圧力P4以下の第2負圧領域圧力P3で開弁状態となるように形成されている。
【0036】
通気弁40は、弁座42と、弁座42に着座可能である弁部材44と、弁座42及び弁部材44を内部に収容するケーシング46とを備える。弁部材44は、傘状に形成されている。通気弁40は、例えばアンブレラバルブが適用可能である。
【0037】
ケーシング46内は、弁座42及び弁部材44により区切られるような、排水トラップ管路12側の第1室46aと、外気側の第2室46bとを備えている。第1室46aは、排水トラップ管路12の頂部12cの連結部12fと連通する。よって、第1室46aの内部圧力は、排水トラップ管路12の連結部12fの内部圧力と連動する。第2室46bは、大気開放され、外気と連通する。
【0038】
図3に示すように、弁部材44は、排水トラップ管路側の第1室46a内の空気圧が大気圧P0以上の圧力P1である場合に、弁座42に着座して閉弁状態となる。圧力の上限は構造等の条件により設定される。また、弁部材44は、排水トラップ管路側の第1室46a内の空気圧が大気圧P0より低く開弁圧力P4より高い第1負圧領域圧力P2である場合にも、弁座42に着座して閉弁状態となる。弁部材44は、開弁圧力P4に至る前の第1負圧領域圧力P2までは、開弁方向に変形しないようになっている。
【0039】
図4に示すように、弁部材44は、排水トラップ管路側の第1室46a内の空気圧が開弁圧力P4以下の第2負圧領域圧力P3である場合には、開弁状態となるように変形する。第2負圧領域圧力P3の下限は構造等の条件により設定される。第2負圧領域圧力P3は、第1負圧領域圧力P2よりも低い圧力範囲である。弁部材44が開弁状態となる場合、外部空気が、第2室46bから第1室46aに流入し、第1室46aから排水トラップ管路12の連結部12fを介して頂部12cに流入する。
【0040】
なお、変形例として、通気弁40は、大気圧P0以上の圧力P1では閉弁状態となり、大気圧P0より低く開弁圧力P4より高い第1負圧領域圧力P2では閉弁状態となり、且つ開弁圧力P4以下の第2負圧領域圧力P3で開弁状態となるように形成されている弁機構を実現するダイヤフラム弁であってもよい。このようなダイヤフラム弁はゴムの弾性力でシールするようになっている。また、通気弁40は、同様の弁機構を実現するものとして、Oリング状の弁体をばねにより弁座に付勢することによりシールする弁、又は球体状の弁体をばねにより弁座に付勢することによりシールする弁であってもよい。
【0041】
なお、
図6に示すように、排出ポンプ20から通気弁40までの排水トラップ管路12の容積V1が、ボウル部10の初期水位の溜水面W0以下の部分の容積及びボウル部10から排出ポンプ20までの排水トラップ管路12の接続部12aの容積の合計容積V2以下である。なお、
図6においては、容積V1及び合計容積V2の領域を分かりやすく示すため、それぞれ図示している。これにより、通気弁40の開弁後に、排出ポンプ20から通気弁40までの排水トラップ管路12中に存在する洗浄水がボウル部10に戻ったとしても、ボウル部10の水位を初期水位の溜水面W0以下とすることができ、使用者が次回に使用する時に、ボウル部10の溜水の初期水位の溜水面W0が高くなることを抑制し、溜水水面からの尿跳ねのリスクを抑制することができる。
【0042】
さらに、
図6に示すように、ポータブルトイレ装置1を設置する床面Fからの通気弁40の高さが、通気弁40の開弁圧力ヘッドより高くなっている。よって、サイホン現象の発生時に、通気弁40の開弁圧力P4以下の負圧が通気弁40にかかり、通気弁40が開弁される。よって、開弁圧力P4が大気圧P0より低い通気弁を用いた場合であっても、排水トラップ管路12又は排水管路16においてサイホン現象が発生した場合に、サイホン現象による負圧により開弁し、サイホン現象を終了させることができる。
仮に、開弁圧力P4が大気圧P0より低い通気弁を用いているにも関わらず、通気弁40が通気弁40の開弁圧力ヘッドより低い高さに配置された場合には、サイホン現象の発生時に、通気弁40に生じる負圧が小さくなるため、負圧が開弁圧力P4に到達せず、通気弁40が開かないこととなる。この場合にはサイホン現象を終了させることができなくなる。このような場合を防ぐため、通気弁40を開弁圧力ヘッドより高い高さに配置することにより、サイホン現象を確実に終了させることができる。
【0043】
図2に示すように、通気弁40は、排水トラップ管路12の頂部12cと排水トラップ管路12の連結部12fを介して接続される。通気弁40と排水トラップ管路12とは、連結部12fにより連通されている。連結部12fは、頂部12cの上流側の第1コーナー部と、頂部12cの下流側の第2コーナー部との間において排水トラップ管路12に接続される。
【0044】
連結部12fは、円管状の流路を形成し、頂部12cから垂直上方に所定高さ(所定長さ)まで延びている。連結部12fの所定高さは、排出ポンプ20が最大圧力となる場合に排水トラップ管路12から連結部12f側に上昇する洗浄水の水位の高さよりも高い高さに設定されている。連結部12fは、内径にその高さ(長さ)を乗じてもとめられる空気量を貯留している。連結部12fは、洗浄水が流入しようとする場合に、内部の空気が圧縮され、流入に抗する力を生じさせる。このように、連結部12fは、排出ポンプ20により排水トラップ管路12内の洗浄水に圧力がかかった場合に洗浄水が排水トラップ管路12から通気弁40まで流入しにくいように形成されている。
【0045】
図2に示すように、連結部12fの内径は、排水トラップ管路12における連結部12fより上流側の流路の内径、例えばフィルタ22の各孔の内径より大きく且つ連結部12fの接続される部分の排水トラップ管路12の内径以下である。連結部12fの内径は、例えば15mmであり、各孔23の内径は、例えば10mmであり、排水トラップ管路12の内径は、例えば20mmである。フィルタ22の各孔が、排水トラップ管路12の連結部12fより上流側の流路の最小内部断面積を形成している。
【0046】
次に、
図2、
図7乃至
図16により、上述した本発明の実施形態によるポータブルトイレ装置の動作(作用)を説明する。
図2、
図7乃至
図16において、洗浄水等が存在している部分を点線により図示している。
【0047】
図2は、使用者が便器本体2を使用する前の待機状態の溜水面W0を示している。この状態においては、給水部4は停止された状態であり、粉砕装置18及び排出ポンプ20も停止された状態である。
【0048】
図7に示すように、使用者が便器本体2を使用し、汚物(大便、小便、トイレットペーパー等)Aがボウル部10内に入った状態となる。使用者が操作部の操作スイッチ等を操作すると、洗浄動作が開始される。操作部の操作スイッチ等が操作されると、その操作指令が制御部24に送信され、制御部24が、その指令に基づいて給水部4に給水指令を送り、給水部4からボウル部10に所定時間給水が行われ、ボウル部10が洗浄水Bによって洗浄される。汚物Aは、洗浄水Bにより溜水部14中に移動された状態となる。依然として、粉砕装置18及び排出ポンプ20は停止された状態である。
【0049】
次に、
図8に示すように、制御部24が、排出ポンプ20を駆動させ、洗浄水Cを、溜水面W2の水位を溜水面W1の位置まで下げるような所定流量だけ排水させる。溜水部14内に存在する洗浄水量が減少され、溜水部14の溜水面が溜水面W1の位置となる。制御部24が、排出ポンプ20を所定時間駆動させた後、再び停止させる。このとき、給水部4は停止された状態のままであり、粉砕装置18も停止された状態のままである。汚物Aのうち所定の大きさ以上の汚物は、フィルタ22を通過せず、溜水部14内に留まっている。
【0050】
次に、
図9に示すように、制御部24が、粉砕装置18を駆動させ、汚物の粉砕動作を行う。このとき、排出ポンプ20は、停止された状態のままである。従って、溜水部14内で汚物が回転流により粉砕される。給水部4は停止された状態のままである。汚物Aは粉砕され、所定の大きさ以下の汚物aとなる。
【0051】
図10に示すように、汚物の粉砕が終了すると、制御部24は、粉砕装置18を停止させ、排出ポンプ20を駆動させる。汚物aは、フィルタ22を通過することができる。排出ポンプ20は、矢印A1により示すように、洗浄水及び汚物a(以下、洗浄水等と称する)を排水トラップ管路12を介して排水管路16に圧送(排出)する。このようにして、溜水部14内から汚物aが排出される。排出ポンプ20が洗浄水等を排水トラップ管路12及び排水管路16に排出するとき、これらの配管径が比較的細く且つ管路の勾配がなくほぼ水平に配置されている部分があるため、洗浄水等が排水トラップ管路12又は排水管路16において満水になる部分が生じる。排水トラップ管路12又は排水管路16において洗浄水等が満水になると、排水トラップ管路12又は排水管路16においてサイホン現象が発生する。サイホン現象が一度発生すれば、排水トラップ管路12及び排水管路16においてサイホン現象が発生することとなる。排出ポンプ20の作動中においては、排出ポンプ20による圧送の流れとサイホン現象による流れとが排水トラップ管路12及び排水管路16中に形成される。このとき、排水トラップ管路12に設けられた通気弁40には大気圧以上の正圧がかかっており、通気弁40は閉弁状態となっている。
【0052】
図11に示すように、制御部24が溜水部14内からの洗浄水等の排出がほぼ終了したと判断する場合に、制御部24は排出ポンプ20の駆動を停止させる。このとき、洗浄水等は、排出ポンプ20の近傍から下流側の排水トラップ管路12及び排水管路16内に存在している。排水トラップ管路12及び排水管路16においてサイホン現象が引き続き発生しているので、矢印A2により示すように、洗浄水等は排水トラップ管路12及び排水管路16の下流側に向かって緩やかに移動する。後述するようにサイホン現象を早期に強制的に終了させることができるため、制御部24は排出ポンプ20の停止後、給水部4をすぐに作動させ、矢印D1により示すように、給水部4からボウル部10に給水を開始できる。
【0053】
図12に示すように、洗浄水等がサイホン現象による流動により排水トラップ管路12及び排水管路16内に負圧を発生させる場合、矢印C1により示すように、通気弁40が開弁し空気が排水トラップ管路12内に導入される。よって、排水トラップ管路12に排水トラップ管路12の外部から空気を取り入れてサイホン現象を早期に強制的に終了させることができる。矢印A3により示すように、通気弁40より下流側の排水トラップ管路12内の洗浄水等はサイホン現象により引き続き下流側に流れる。また、矢印D2により示すように、洗浄水が給水部4からボウル部10に給水され、溜水部14の水位が徐々に上昇する。
【0054】
図13に示すように、通気弁40において負圧が生じる状態において、通気弁40が開弁し、矢印C2により示すように、空気が排水トラップ管路12内に導入される。矢印A4により示すように、通気弁40より下流側の排水トラップ管路12内の洗浄水等はサイホン現象により引き続き下流側に流れ、また、通気弁40より上流側の洗浄水は上流側に向けて下降する。また、矢印D3により示すように、洗浄水が給水部4からボウル部10に給水され、溜水部14の水位が徐々に上昇する。
【0055】
図14に示すように、空気が通気弁40から排水トラップ管路12内に導入され、排水トラップ管路12の上昇部12bの水位面W3が溜水部14の溜水面W2よりもクラッキンング圧力水頭Hだけ高い高さとなり、且つ排水トラップ管路12の下降部12dの水位面W4が横向部12e又は排水管路16よりもクラッキンング圧力水頭Hだけ高い高さとなる場合に、通気弁40に所定の負圧が作用しなくなり、通気弁40が閉弁される。また、矢印D4により示すように、洗浄水がボウル部10に給水され、溜水部14の水位が徐々に上昇する。
【0056】
図15に示すように、矢印D5により示すように、洗浄水が給水部4からボウル部10に給水され、矢印A5により示すように、溜水部14の水位面W5がさらに上昇する。上昇部12bの水面も、水位面W5と連動して同じ高さで上昇する。このとき、排水トラップ管路12の水位面W3と水位面W4との間の空気の容積は、上昇部12bの水面の上昇に関わらず一定である。すなわち、矢印A6により示すように、下降部12dの水位面が下降し、水位面W6となる。
【0057】
図16に示すように、溜水部14内の洗浄水が貯留され、溜水面W0に到達すると、制御部24は、給水部4を停止させ、一連の洗浄動作を終了させる。上昇部12bの水面も、水位面W0と連動して同じ高さとなる。このときも、排水トラップ管路12内の水位面W0と水位面W7との間の空気の容積は、水位面W3と水位面W4との間の空気の容積と同じであり、一定である。下降部12dの水位面W7はさらに下降し、例えば、排水管路16の高さとなる。このときも、粉砕装置18及び排出ポンプ20は停止された状態のままである。
【0058】
次に、上述した第1実施形態によるポータブルトイレ装置1による作用効果を説明する。
第1実施形態によるポータブルトイレ装置1によれば、移動可能なポータブルトイレ装置1が、汚物を粉砕する粉砕装置18と、勾配が付けられないような形で配置される可能性がある可撓性の管路部分を有する排水管路16とを備え、ボウル部10が排水トラップ管路12と排水管路16と連通している。このようなポータブルトイレ装置1において、排水トラップ管路12又は排水管路16においてサイホン現象が発生した場合に、通気弁40がサイホン現象による負圧により開弁する。よって、本実施形態によれば、排水トラップ管路12に排水トラップ管路12の外部から空気を取り入れてサイホン現象を早期に終了させることができ、溜水をボウル部10内に早期に貯留して封水を形成することができる。
【0059】
また、第1実施形態によるポータブルトイレ装置1によれば、通気弁40が排出ポンプ20より下流側に配置され、通気弁40から供給された空気が排出ポンプ20に供給されないため、排出ポンプ20にエアロックが発生せず、排出ポンプ20の排出性能の低下を防ぐことができ、サイホン現象をより早期に終了させ、溜水をボウル部10内により早期に貯留して封水を形成することができる。仮に通気弁40が排出ポンプ20より上流側に配置される場合、排出ポンプ20の作動により通気弁40に負圧が生じるので、この負圧により通気弁40が開弁し、空気が排水トラップ管路12に供給される。このように、排出ポンプ20よりも上流側の通気弁40から供給された空気が排出ポンプ20内に侵入すると、排出ポンプ20にエアロックが発生してしまい、排出ポンプ20の排出性能が低下することとなる。
【0060】
さらに、第1実施形態によるポータブルトイレ装置1によれば、通気弁40が、排水トラップ管路12の頂部12cに配置されることにより、排水トラップ管路12における通気弁40の配置部分において、サイホン現象による洗浄水の流れの圧力及び排水トラップ管路12内の洗浄水のヘッド圧が作用しにくくなる。よって、本実施形態によれば、通気弁40が排水トラップ管路12に排水トラップ管路12の外部から空気を容易に取り入れることができ、サイホン現象をより早期に終了させることができる。仮に、排水トラップ管路12の下降部12dに通気弁40を配置した場合には、排水トラップ管路12における通気弁40の配置部分において、サイホン現象による洗浄水の流れの圧力に加え、排水トラップ管路12内の洗浄水のヘッド圧が作用する。よって、通気弁40が排水トラップ管路12に排水トラップ管路12の外部から空気を取り入れにくくなり、洗浄水の圧力に打ち勝つように空気を導入できず、サイホン現象を終了できない恐れがある。
【0061】
さらに、第1実施形態によるポータブルトイレ装置1によれば、排出ポンプ20から通気弁40までの排水トラップ管路12の容積が、ボウル部10の初期水位以下の部分の容積及びボウル部10から排出ポンプ20までの排水トラップ管路12の容積の合計以下である。これにより、通気弁40の開弁後に、排出ポンプ20から通気弁40までの排水トラップ管路12中の洗浄水がボウル部10に戻ったとしても、ボウル部10の水位を初期水位以下とすることができ、使用者が次回に使用する時に、ボウル部10の溜水の初期水位が高くなることを抑制し、溜水水面からの尿はねのリスクを抑制することができる。
【0062】
さらに、第1実施形態によるポータブルトイレ装置1によれば、通気弁40は、排出ポンプ20がボウル部10内の洗浄水を排出する際には、排出ポンプ20による洗浄水の排出圧力により閉弁される。また、通気弁40は、大気圧より低く開弁圧力より高い第1負圧領域圧力で閉弁し、且つ開弁圧力以下の第2負圧領域圧力で開弁するように形成される。このように、本実施形態によれば、開弁圧力が大気圧より低い通気弁40を用いた場合に、ポータブルトイレ装置1を設置する床面からの通気弁40の高さが、通気弁40の開弁圧力ヘッドより高くされる。これにより、本実施形態によれば、排水トラップ管路12又は排水管路16においてサイホン現象が発生した場合に、サイホン現象による負圧により開弁し、サイホン現象を終了させることができる。
【0063】
第1実施形態によるポータブルトイレ装置1によれば、通気弁40は、排水トラップ管路12と連結部12fを介して接続されるので、排水トラップ管路12内の洗浄水が通気弁40に侵入することを抑制することができる。
【0064】
第1実施形態によるポータブルトイレ装置1によれば、連結部12fの内径は、排水トラップ管路12における連結部12fより上流側の流路の内径より大きいので、排水トラップ管路12における連結部12fより上流側の流路を通過した汚物が連結部12fに流入することを抑制すると共に、連結部12fにつまることを抑制することができる。さらに、連結部12fの内径は、連結部12fの接続される部分の排水トラップ管路12の内径以下であるので、排水トラップ管路12内の洗浄水が連結部12fに侵入することを抑制することができる。
【0065】
仮に連結部12fが第1コーナー部又は第2コーナー部において排水トラップ管路12に接続される場合、コーナー部において乱れた洗浄水が連結部12fに侵入し、連結部12f内の空気と洗浄水とが置換されることにより、連結部12f内で洗浄水の水位が上昇する懸念がある。これに対し、第1実施形態によるポータブルトイレ装置1によれば、連結部12fは、第1コーナー部と、第2コーナー部との間において排水トラップ管路12に接続されるので、連結部12fは、洗浄水の流れが乱れやすいコーナー部には接続されないようになっている。よって、本発明によれば、排水トラップ管路12内の洗浄水が連結部12fに侵入することを抑制することができる。
【0066】
次に、
図17により、本発明の第2実施形態によるポータブルトイレ装置を説明する。第2実施形態は、本発明によるポータブルトイレ装置の通気弁を異なる位置に配置した例である。
図17は本発明の第2実施形態によるポータブルトイレ装置を示す断面図である。
第2実施形態によるポータブルトイレ装置101は、上述した第1実施形態によるポータブルトイレ装置と構造がほぼ同じであるため、本発明の第2実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様な部分については図面に同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0067】
図17に示すように、通気弁40は、排出ポンプ20より下流側の上昇部112bに配置されている。より詳細には、排水トラップ管路112の上昇部112bには、連結部112fが接続され、この連結部112fが通気弁40と接続している。通気弁40が上昇部112bに配置されている場合においても、排水トラップ管路112又は排水管路16においてサイホン現象が発生した場合に、通気弁40がサイホン現象による負圧により開弁する。使用者が便器本体2を使用する前の待機状態の溜水面W10は、連結部112fの下端に位置する。通気弁40が、排水トラップ管路112の上昇部112bに配置されることにより、排水トラップ管路112における通気弁40の配置部分において、サイホン現象による洗浄水の流れの圧力及び排水トラップ管路112内の洗浄水のヘッド圧が作用しにくくなる。よって、本実施形態によれば、通気弁40が排水トラップ管路112に排水トラップ管路112の外部から空気を容易に取り入れることができ、サイホン現象をより早期に終了させることができる。
【0068】
図17に示すように、通気弁40は、排水トラップ管路112と排水トラップ管路112の連結部112fを介して接続される。通気弁40と排水トラップ管路112とは、連結部112fにより連通されている。
【0069】
連結部112fは、円管状の流路を形成し、上昇部112bから垂直上方に所定高さ(所定長さ)まで延びている。連結部112fの所定高さは、排出ポンプ20が最大圧力となる場合に排水トラップ管路112から連結部112f側に上昇する洗浄水の水位の高さよりも高い高さに設定されている。連結部112fは、内径にその高さ(長さ)を乗じてもとめられる空気量を貯留している。連結部112fは、洗浄水が流入しようとする場合に、内部の空気が圧縮され、流入に抗する力を生じさせる。このように、連結部112fは、排出ポンプ20により排水トラップ管路112内の洗浄水に圧力がかかった場合に洗浄水が排水トラップ管路112から通気弁40まで流入しにくいように形成されている。
【0070】
図17に示すように、連結部112fの内径は、排水トラップ管路112における連結部112fより上流側の流路の内径、例えばフィルタ22の各孔の内径より大きく且つ連結部112fの接続される部分の排水トラップ管路112の内径以下である。フィルタ22の各孔が、排水トラップ管路112の連結部112fより上流側の流路の最小内部断面積を形成している。
【0071】
第2実施形態によるポータブルトイレ装置101によれば、移動可能なポータブルトイレ装置101が、汚物を粉砕する粉砕装置18と、勾配が付けられないような形で配置される可能性がある可撓性の管路部分を有する排水管路16とを備え、ボウル部10が排水トラップ管路112と排水管路16と連通している。このようなポータブルトイレ装置101において、排水トラップ管路112又は排水管路16においてサイホン現象が発生した場合に、通気弁40がサイホン現象による負圧により開弁する。よって、本実施形態によれば、排水トラップ管路112に排水トラップ管路112の外部から空気を取り入れてサイホン現象を早期に終了させることができ、溜水をボウル部10内に早期に貯留して封水を形成することができる。
【0072】
また、第2実施形態によるポータブルトイレ装置101によれば、通気弁40が排出ポンプ20より下流側に配置され、通気弁40から供給された空気が排出ポンプ20に供給されないため、排出ポンプ20にエアロックが発生せず、排出ポンプ20の排出性能の低下を防ぐことができ、サイホン現象をより早期に終了させ、溜水をボウル部10内により早期に貯留して封水を形成することができる。仮に通気弁40が排出ポンプ20より上流側に配置される場合、排出ポンプ20の作動により通気弁40に負圧が生じるので、この負圧により通気弁40が開弁し、空気が排水トラップ管路112に供給される。このように、排出ポンプ20よりも上流側の通気弁40から供給された空気が排出ポンプ20内に侵入すると、排出ポンプ20にエアロックが発生してしまい、排出ポンプ20の排出性能が低下することとなる。
【0073】
また、第2実施形態によるポータブルトイレ装置101によれば、通気弁40が、排水トラップ管路112の上昇部112bに配置されることにより、排水トラップ管路112における通気弁40の配置部分において、サイホン現象による洗浄水の流れの圧力及び排出路内の洗浄水のヘッド圧が作用しにくくなる。よって、本実施形態によれば、通気弁40が排水トラップ管路112に排水トラップ管路112の外部から空気を容易に取り入れることができ、サイホン現象をより早期に終了させることができる。仮に、排水トラップ管路112の下降部12dに通気弁を配置した場合には、排水トラップ管路112における通気弁40の配置部分において、サイホン現象による洗浄水の流れの圧力に加え、排水トラップ管路112内の洗浄水のヘッド圧が作用する。よって、通気弁40が排水トラップ管路112に排水トラップ管路112の外部から空気を取り入れにくくなり、洗浄水の圧力に打ち勝つように空気を導入できず、サイホン現象を終了できない恐れがある。
【0074】
また、第2実施形態によるポータブルトイレ装置101によれば、通気弁40は、排出ポンプ20がボウル部10内の洗浄水を排出する際には、排出ポンプ20による洗浄水の排出圧力により閉弁される。また、通気弁40は、大気圧より低く開弁圧力より高い第1負圧領域圧力で閉弁し、且つ開弁圧力以下の第2負圧領域圧力で開弁するように形成される。このように、本実施形態によれば、開弁圧力が大気圧より低い通気弁40を用いた場合に、ポータブルトイレ装置101を設置する床面からの通気弁40の高さが、通気弁40の開弁圧力ヘッドより高くされる。これにより、本実施形態によれば、排水トラップ管路112又は排水管路16においてサイホン現象が発生した場合に、サイホン現象による負圧により開弁し、サイホン現象を終了させることができる。
【0075】
次に、
図18により、本発明の第3実施形態によるポータブルトイレ装置を説明する。第3実施形態は、本発明によるポータブルトイレ装置の排水トラップ管路を異なる形状に形成した例である。
図18は本発明の第3実施形態によるポータブルトイレ装置を示す断面図である。
第3実施形態によるポータブルトイレ装置201は、上述した第1実施形態によるポータブルトイレ装置と構造がほぼ同じであるため、本発明の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様な部分については図面に同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0076】
排水トラップ管路212は、排水トラップの上昇部12bと接続する頂部212cを備えている。頂部212cは、頂部212cの底面が上方へ向けて凸となる円弧を形成するような逆U字形状の折り返し部分を形成している。頂部212cを逆U字形状に形成することにより、洗浄水等を頂部212cを通してスムーズに排出しやすくなり、圧送しやすくすることができる。このように、排水トラップ管路12は、上昇部12bと、頂部212cと、下降部12dとにより逆U字形状の排水トラップ構造を形成する。通気弁40は、排水トラップ管路12の排出ポンプ20より下流側の頂部212cに配置される。通気弁40は、頂部212cの頂点と連結部212fにより接続される。頂部212cの底面の頂点の高さがボウル部10の初期水位の溜水面W20の高さとなっている。
【0077】
図18に示すように、通気弁40は、排水トラップ管路212の頂部212cと排水トラップ管路212の連結部212fを介して接続される。通気弁40と排水トラップ管路212とは、連結部212fにより連通されている。連結部212fは、頂部212cの上流側の第1コーナー部と、頂部212cの下流側の第2コーナー部との間において排水トラップ管路212に接続される。
【0078】
連結部212fは、円管状の流路を形成し、頂部212cから垂直上方に所定高さ(所定長さ)まで延びている。連結部212fの所定高さは、排出ポンプ20が最大圧力となる場合に排水トラップ管路212から連結部212f側に上昇する洗浄水の水位の高さよりも高い高さに設定されている。連結部212fは、内径にその高さ(長さ)を乗じてもとめられる空気量を貯留している。連結部212fは、洗浄水が流入しようとする場合に、内部の空気が圧縮され、流入に抗する力を生じさせる。このように、連結部212fは、排出ポンプ20により排水トラップ管路212内の洗浄水に圧力がかかった場合に洗浄水が排水トラップ管路212から通気弁40まで流入しにくいように形成されている。
【0079】
図18に示すように、連結部212fの内径は、排水トラップ管路212における連結部212fより上流側の流路の内径、例えばフィルタ22の各孔の内径より大きく且つ連結部212fの接続される部分の排水トラップ管路212の内径以下である。フィルタ22の各孔が、排水トラップ管路212の頂部212cより上流側の流路の最小内部断面積を形成している。
【0080】
第3実施形態によるポータブルトイレ装置201によれば、移動可能なポータブルトイレ装置201が、汚物を粉砕する粉砕装置18と、勾配が付けられないような形で配置される可能性がある可撓性の管路部分を有する排水管路16とを備え、ボウル部10が排水トラップ管路212と排水管路16と連通している。このようなポータブルトイレ装置201において、排水トラップ管路212又は排水管路16においてサイホン現象が発生した場合に、通気弁40がサイホン現象による負圧により開弁する。よって、本実施形態によれば、排水トラップ管路212に排水トラップ管路212の外部から空気を取り入れてサイホン現象を早期に終了させることができ、溜水をボウル部10内に早期に貯留して封水を形成することができる。
【0081】
次に、
図19乃至
図22により、本発明の第4実施形態によるポータブルトイレ装置を説明する。第4実施形態は、第1実施形態によるポータブルトイレ装置に異なるタイプの通気弁を適用した例である。
図19は本発明の第4実施形態によるポータブルトイレ装置を示す断面図であり、
図20は本発明の第4実施形態によるポータブルトイレ装置の通気弁の閉弁状態を示す断面図であり、
図21は本発明の第4実施形態によるポータブルトイレ装置の通気弁の開弁状態を示す断面図であり、
図22は本発明の第4実施形態によるポータブルトイレ装置の通気弁につき、排水トラップ管路側の第1内気室の圧力と、通気弁の閉弁状態又は開弁状態の対応を示す図である。
【0082】
第4実施形態によるポータブルトイレ装置301は、上述した第1実施形態によるポータブルトイレ装置と構造がほぼ同じであるため、本発明の第4実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様な部分については図面に同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0083】
図19に示すように、ポータブルトイレ装置301は、さらに、排水トラップ管路12に排水トラップ管路12の外部から空気を取り入れる通気弁340を備えている。通気弁340は、排水トラップ管路12の排出ポンプ20より下流側の頂部12cに配置される。通気弁340は、排水管路16に設けられていてもよい。
【0084】
通気弁340は、所定圧力、例えば設定場所の大気圧P0より小さい負圧により開弁する。通気弁340は、排出ポンプ20が洗浄水を下流側に排出することにより、排水トラップ管路12又は排水管路16においてサイホン現象が発生した場合には、このサイホン現象による負圧により開弁する弁機構を有する。このような通気弁340の弁機構は、第2内気室346bが大気圧P0以上の圧力P1では閉弁状態となり、大気圧P0より低い負圧領域圧力P5では開弁状態となるように形成されている。
【0085】
通気弁340には、いわゆるドルゴ通気弁が適用される。ドルゴ通気弁を適用した通気弁340は、弁座342と、弁座342に着座可能である弁部材344と、弁座342及び弁部材344を内部に収容するケーシング346とを備える。弁部材344は、リング状に形成されている。
【0086】
ケーシング346内は、弁座342及び弁部材344により区切られるような、排水トラップ管路12側の第1内気室346aと、弁部材344の背面側の第2内気室346bとを備えている。第1内気室346aは、排水トラップ管路12の頂部12cの連結部12fと連通する。よって、第1内気室346aの内部圧力は、排水トラップ管路12の連結部12fの内部圧力と連動する。第2内気室346bは、弁部材344の内側部分の連通孔345を介して第1内気室346aと連通している。よって、第2内気室346bの内部圧力は、第1内気室346aの内部圧力と連動する。通気弁340は、開弁圧力が大気圧P0となっている。
【0087】
図20及び
図22に示すように、排水トラップ管路側の第1内気室346a内の空気圧が大気圧P0以上の圧力P1である場合に、第2内気室346bの空気圧も圧力P1となり、弁部材344が、弁座342に着座して閉弁状態となる。圧力の上限は構造等の条件により設定される。
【0088】
図21及び
図22に示すように、排水トラップ管路側の第1内気室346a内の空気圧が開弁圧力(大気圧P0)より小さい負圧領域圧力P5である場合には、第2内気室346bの空気圧も負圧領域圧力P5となり、弁部材344が、弁座342から離間して開弁状態となる。負圧領域圧力P5の下限は構造等の条件により設定される。負圧領域圧力P5は、大気圧P0より小さい負圧側の圧力範囲である。弁部材344が開弁状態となる場合、外部空気が、通気弁340の外部から主に第1内気室346aに流入し、第1内気室346aから排水トラップ管路12の連結部12fを介して頂部12cに流入する。
【0089】
ポータブルトイレ装置301を設置する床面Fからの通気弁340の高さが、通気弁340の開弁圧力ヘッドより高くなっている。具体的には、通気弁340はこの床面Fより高く配置される。サイホン現象の発生時に、通気弁340の開弁圧力(大気圧)P0より小さい負圧が通気弁340にかかり、通気弁340が開弁される。よって、開弁圧力が大気圧P0とほぼ等しい通気弁340を用いているので、通気弁340を比較的低い場所に配置することができ、設計の自由度を増加させることができると共に、排水トラップ管路12又は排水管路16においてサイホン現象が発生した場合に、サイホン現象による負圧により開弁し、サイホン現象を終了させることができる。
【0090】
図19に示すように、通気弁340は、排水トラップ管路12の頂部12cと排水トラップ管路12の連結部12fを介して接続される。通気弁340と排水トラップ管路12とは、連結部12fにより連通されている。連結部12fは、頂部12cの上流側の第1コーナー部と、頂部12cの下流側の第2コーナー部との間において排水トラップ管路12に接続される。
【0091】
連結部12fは、円管状の流路を形成し、頂部12cから垂直上方に所定高さ(所定長さ)まで延びている。連結部12fの所定高さは、排出ポンプ20が最大圧力となる場合に排水トラップ管路12から連結部12f側に上昇する洗浄水の水位の高さよりも高い高さに設定されている。連結部12fは、内径にその高さ(長さ)を乗じてもとめられる空気量を貯留している。連結部12fは、洗浄水が流入しようとする場合に、内部の空気が圧縮され、流入に抗する力を生じさせる。このように、連結部12fは、排出ポンプ20により排水トラップ管路12内の洗浄水に圧力がかかった場合に洗浄水が排水トラップ管路12から通気弁340まで流入しにくいように形成されている。
【0092】
図19に示すように、連結部12fの内径は、排水トラップ管路12における連結部12fより上流側の流路の内径、例えばフィルタ22の各孔の内径より大きく且つ連結部12fの接続される部分の排水トラップ管路12の内径以下である。フィルタ22の各孔が、排水トラップ管路12の頂部12cより上流側の流路の最小内部断面積を形成している。
【0093】
なお、変形例として、通気弁340は、大気圧P0以上の圧力P1では閉弁状態となり、大気圧P0より低い負圧領域圧力P5では開弁状態となるように形成されている弁機構を実現するダックビルバルブであってもよい。このようなダックビルバルブはゴムの弾性力でシールするようになっている。また、通気弁40は、同様の弁機構を実現するものとして、開弁圧力が比較的小さくなるようなばねにより付勢することによりシールするばね式の弁であってもよい。
【0094】
また、変形例として、第4実施形態によるポータブルトイレ装置301の通気弁340を、第2実施形態によるポータブルトイレ装置101の通気弁40に代えて、排出ポンプ20より下流側の上昇部112bに配置してもよい。これにより、排水トラップ管路12の上昇部112bには、連結部112fが接続され、この連結部112fが通気弁340と接続している。通気弁340が上昇部112bに配置されている場合においても、排水トラップ管路12又は排水管路16においてサイホン現象が発生した場合に、通気弁340がサイホン現象による負圧により開弁する。使用者が便器本体2を使用する前の待機状態の溜水面W10は、連結部12fの下端に位置する。通気弁340が、排水トラップ管路12の上昇部112bに配置されることにより、排水トラップ管路112における通気弁340の配置部分において、サイホン現象による洗浄水の流れの圧力及び排水トラップ管路112内の洗浄水のヘッド圧が作用しにくくなる。よって、本実施形態によれば、通気弁340が排水トラップ管路112に排水トラップ管路112の外部から空気を容易に取り入れることができ、サイホン現象をより早期に終了させることができる。
【0095】
第4実施形態によるポータブルトイレ装置301によれば、移動可能なポータブルトイレ装置301が、汚物を粉砕する粉砕装置18と、勾配が付けられないような形で配置される可能性がある可撓性の管路部分を有する排水管路16とを備え、ボウル部10が排水トラップ管路12と排水管路16と連通している。このようなポータブルトイレ装置301において、排水トラップ管路12又は排水管路16においてサイホン現象が発生した場合に、通気弁340がサイホン現象による負圧により開弁する。よって、本実施形態によれば、排水トラップ管路12に排水トラップ管路12の外部から空気を取り入れてサイホン現象を早期に終了させることができ、溜水をボウル部10内に早期に貯留して封水を形成することができる。
【0096】
次に、
図23により、本発明の第5実施形態によるポータブルトイレ装置を説明する。第5実施形態は、本発明によるポータブルトイレ装置の排水トラップ管路を異なる形状に形成すると共に通気弁をボウル部と排水トラップ管路とを接続する流路上に設けた例である。
図23は本発明の第5実施形態によるポータブルトイレ装置を示す断面図である。
第5実施形態によるポータブルトイレ装置401は、上述した第1実施形態によるポータブルトイレ装置と構造がほぼ同じであるため、本発明の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様な部分については図面に同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0097】
排水トラップ管路412は、ボウル部10の底面に接続する接続部12aと、排水トラップを形成するように立ち上がる上昇部12bと、排水トラップの最高部を形成する頂部412cと、上記頂部から下降する下降部12dと、床面Fのわずかに上方且つ床面Fとほぼ平行に延びる横向部12eと、上昇部12bから頂部412cに曲がる第1コーナー部412fと、頂部412cから下降部に曲がる第2コーナー部412gと、を備えている。
【0098】
排水トラップ管路412は、少なくとも上昇部12bと、第1コーナー部412f、頂部412c、第2コーナー部412g及び下降部12dとにより凸形状の排水トラップ構造を形成する。排水トラップ管路412は、逆U字形状の折り返し部分を形成している。排水トラップ管路412の頂部412cは、短い距離ながらも頂部412cの底面の接線が水平方向に延びるような横向部分を形成している。頂部412cは、変曲部分を構成している。頂部412cは、頂部412cの底面は平坦面として形成される。頂部412cの底面の高さがボウル部10の初期水位の溜水面W0の高さとなっている。
【0099】
ポータブルトイレ装置1は、さらに、排水トラップ管路412に排水トラップ管路412の外部から空気を取り入れる通気弁40を備えている。通気弁40は、排水トラップ管路412とバッファ部441を介して接続される。より具体的には、通気弁40と排水トラップ管路412とは、空気が連通するのに十分な内径の排出路側空気流路443aと、バッファ部441により連通されている。バッファ部441は、通気弁40から排水トラップ管路412に延びる流路の排水トラップ管路412との接続部分に形成されている。バッファ部441は、第1コーナー部412fと、第2コーナー部412gとの間の頂部412cにおいて排水トラップ管路412に接続される。
【0100】
バッファ部441は、円管状の流路を形成し、頂部412cから垂直上方に所定高さ(所定長さ)Gまで延びている。排出路側空気流路443aがバッファ部441の頂部から横向きに延びている。バッファ部441の所定高さGは、排出ポンプ20が最大圧力となる場合に排水トラップ管路412からバッファ部441側に上昇する洗浄水の水位の高さよりも高い高さに設定されている。バッファ部441は、内径にその高さ(長さ)を乗じてもとめられる空気量を貯留する。バッファ部441は、洗浄水が流入しようとする場合に、内部の空気が圧縮され、流入に抗する力を生じさせる。このように、バッファ部441は、排出ポンプ20により排水トラップ管路412内の洗浄水に圧力がかかった場合に洗浄水が排水トラップ管路412から通気弁40まで流入しにくいように形成されている。
【0101】
バッファ部441の内径I1は、排水トラップ管路412の上流側の流路を形成するフィルタ22の各孔23の内径I2より大きく且つバッファ部441の接続される部分の排水トラップ管路412の内径I3以下である。バッファ部441の内径I1は、例えば15mmであり、各孔23の内径I2は、例えば10mmであり、排水トラップ管路412の内径I3は、例えば20mmである。フィルタ22の各孔23が、排水トラップ管路412における頂部412cより上流側の流路の最小内部断面積を形成している。
【0102】
通気弁40は、排水トラップ管路412の排出ポンプ20より下流側の頂部412cにバッファ部441を介して取付けられる。排水トラップ管路412に排水トラップ管路412の外部から空気を取り入れることには、排水トラップ管路412に排水トラップ管路412側から外部空気を取り入れることのみならず、排水トラップ管路412に排水管路16側から外部空気を取り入れることも含む。すなわち、通気弁40は、バッファ部441を介して排水管路16に取付けられていてもよい。
【0103】
通気弁40は、弁座42と、弁座42に着座可能である弁部材44と、弁座42及び弁部材44を内部に収容するケーシング46とを備える。ケーシング46内には、弁座42及び弁部材44により区切られるような、排水トラップ管路12側の第1室46aと、第1室46aとは逆の外気側の第2室46bとが形成されている。第1室46aは、バッファ部441と連通する。よって、第1室46aの内部圧力は、排水トラップ管路412の内部圧力と連動する。一方、第2室46bは、空気が連通するのに十分な内径のボウル部側空気流路443bを介してボウル部10と連通する。よって、第2室46bは、大気開放され、外気と連通する。なお、排出路側空気流路443bとボウル部10との接続口は、吐水口10cよりも上方に形成されている。このような構成によれば、仮に洗浄水が排水トラップ管路12から通気弁40に侵入した場合でも、洗浄水を通気弁40からボウル部10に排水させることができ、通気弁40からボウル部10外に漏水を生じることを抑制することができる。
【0104】
通気弁40は、バッファ部441の頂部の高さ以上の高さに配置されているが、バッファ部441の頂部が頂部412cより上方に延びていれば、通気弁40は、バッファ部441の頂部の高さよりも低い位置に配置されていてもよい。
【0105】
第5実施形態によるポータブルトイレ装置401によれば、移動可能なポータブルトイレ装置401が、汚物を粉砕する粉砕装置18と、勾配が付けられないような形で配置される可能性がある可撓性の管路部分を有する排水管路16とを備え、ボウル部10が排水トラップ管路412と排水管路16と連通している。このようなポータブルトイレ装置401において、排水トラップ管路412又は排水管路16においてサイホン現象が発生した場合に、通気弁40がサイホン現象による負圧により開弁する。よって、本実施形態によれば、排水トラップ管路412に排水トラップ管路412の外部から空気を取り入れてサイホン現象を早期に終了させることができ、溜水をボウル部10内に早期に貯留して封水を形成することができる。
【0106】
第5実施形態によるポータブルトイレ装置401によれば、通気弁40は、排水トラップ管路412とバッファ部441を介して接続されるので、排水トラップ管路412内の洗浄水が通気弁40に侵入することを抑制することができる。
【0107】
第5実施形態によるポータブルトイレ装置401によれば、バッファ部441の内径I1は、排水トラップ管路412におけるバッファ部441より上流側の流路の内径I2より大きいので、排水トラップ管路412におけるバッファ部441より上流側の流路を通過した汚物がバッファ部441に流入することを抑制すると共に、バッファ部441につまることを抑制することができる。さらに、バッファ部441の内径I1は、バッファ部441の接続される部分の排水トラップ管路412の内径I3以下であるので、排水トラップ管路412内の洗浄水がバッファ部441に侵入することを抑制することができる。
【0108】
仮にバッファ部441が第1コーナー部412f又は第2コーナー部412gにおいて排水トラップ管路412に接続される場合、コーナー部において乱れた洗浄水がバッファ部441に侵入し、バッファ部441内の空気と洗浄水とが置換されることにより、バッファ部441内で洗浄水の水位が上昇する懸念がある。これに対し、第5実施形態によるポータブルトイレ装置401によれば、バッファ部441は、第1コーナー部412fと、第2コーナー部412gとの間の中央部分において排水トラップ管路412に接続されるので、バッファ部441は、洗浄水の流れが乱れやすいコーナー部には接続されないようになっている。よって、本発明によれば、排水トラップ管路412内の洗浄水がバッファ部441に侵入することを抑制することができる。
【0109】
第5実施形態によるポータブルトイレ装置401によれば、仮に洗浄水が排水トラップ管路412から通気弁40に侵入した場合でも、洗浄水を通気弁40からボウル部10に排水させることができ、通気弁40からボウル部10外に漏水を生じることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0110】
1 ポータブルトイレ装置
1a 車輪
2 便器本体
4 給水部
6 フレーム
6a フレーム基部
8 給水管
10 ボウル部
10c 吐水口
10d 汚物受け面
12 排水トラップ管路
12a 接続部
12b 上昇部
12c 頂部
12d 下降部
12e 横向部
12f 連結部
14 溜水部
16 排水管路
16a 管路部分
16b 配管
18 粉砕装置
20 排出ポンプ
22 フィルタ
24 制御部
26 回転体
28 回転軸
30 電動モーター
32 ポンプ室
34 インペラ
36 回転軸
38 電動モーター
40 通気弁
42 弁座
44 弁部材
46 ケーシング
46a 第1室
46b 第2室
101 ポータブルトイレ装置
112 排水トラップ管路
112b 上昇部
112f 連結部
201 ポータブルトイレ装置
212 排水トラップ管路
212c 頂部
301 ポータブルトイレ装置
340 通気弁
342 弁座
344 弁部材
346 ケーシング
346a 第1内気室
346b 第2内気室
401 ポータブルトイレ装置
412 排水トラップ管路
412c 頂部
412f 第1コーナー部
412g 第2コーナー部
441 バッファ部
443a 排出路側空気流路
443b ボウル部側空気流路
A 汚物
a 汚物
A1 矢印
A2 矢印
A3 矢印
A4 矢印
A5 矢印
B 洗浄水
C 洗浄水
C1 矢印
C2 矢印
D1 矢印
D2 矢印
D3 矢印
D4 矢印
D5 矢印
F 床面
H クラッキンング圧力水頭
P0 大気圧
P1 圧力
P2 第1負圧領域圧力
P3 第2負圧領域圧力
P4 開弁圧力
P5 負圧領域圧力
Q 建物
S 設備配管
V1 容積
V2 合計容積
W0 溜水面
W1 溜水面
W2 溜水面
W3 水位面
W4 水位面
W5 水位面
W6 水位面
W7 水位面
W10 溜水面