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特許7063099固液分離装置および固液分離装置の組立方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】固液分離装置および固液分離装置の組立方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 33/00 20060101AFI20220426BHJP
【FI】
B01D33/00 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018091335
(22)【出願日】2018-05-10
(65)【公開番号】P2019195777
(43)【公開日】2019-11-14
【審査請求日】2020-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000150844
【氏名又は名称】株式会社鶴見製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】厳 奎▲徳▼
(72)【発明者】
【氏名】千賀 達也
【審査官】宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-144324(JP,A)
【文献】特開昭48-094947(JP,A)
【文献】特開2014-140804(JP,A)
【文献】実開昭52-150879(JP,U)
【文献】特開2005-270808(JP,A)
【文献】特開2014-057928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 29/00-29/96
B01D 33/00-33/82
B01D 35/00-35/04
B01D 35/08-35/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物から液体成分を分離する固液分離装置であって、
回転軸と、
前記回転軸に沿って積層された複数のろ片を含み、前記ろ片間にろ過溝が形成された積層状回転ろ体と、
前記回転軸を回転駆動させるモータと、
前記回転軸を支持するとともに、前記積層状回転ろ体を覆う筐体と、を備え、
前記回転軸は、複数の前記ろ片に当接する外周を有する中空の第1部分と、前記第1部分の内側に配置され、前記第1部分に対して抜き差し可能な第2部分とを含み、
前記回転軸の軸線方向において、前記第1部分の長さが前記筐体の内面間の長さ以下であり、
前記第2部分は、前記第1部分の内周部と同一形状であるとともに、前記第1部分の内周部に係合するように構成されている、固液分離装置。
【請求項2】
前記第1部分に沿って複数の前記ろ片が積層された前記積層状回転ろ体は、間隔を隔てて複数設けられており、
被処理物の固体成分を送る方向に隣接する前記積層状回転ろ体は、回転軸方向にみて、互いに重なるように配置されている、請求項1に記載の固液分離装置。
【請求項3】
前記ろ片は、前記回転軸の前記第1部分の外周と係合するように構成されている、請求項1または2に記載の固液分離装置。
【請求項4】
前記回転軸は、前記第2部分に前記モータからの駆動力が伝達されて回転するように構成されている、請求項1~のいずれか1項に記載の固液分離装置。
【請求項5】
前記回転軸の前記第1部分は、樹脂材料により形成されている、請求項1~のいずれか1項に記載の固液分離装置。
【請求項6】
記筐体は、樹脂材料により形成されている、請求項1~のいずれか1項に記載の固液分離装置。
【請求項7】
前記ろ片は、大径円板ろ片と、小径円板ろ片と、中径円板ろ片とを含み、
隣接する前記中径円板ろ片間には、前記大径円板ろ片または前記小径円板ろ片が配置されており、
前記中径円板ろ片は、隣接する前記中径円板ろ片間に前記ろ過溝を形成するために、隣接する前記中径円板ろ片に当接する凸部を有し、
前記大径円板ろ片は、固体成分を送る方向に隣接する前記積層状回転ろ体の前記ろ過溝内に入り込むように配置されており、
前記中径円板ろ片は、樹脂により形成されている、請求項1~のいずれか1項に記載の固液分離装置。
【請求項8】
被処理物から液体成分を分離する固液分離装置の組立方法であって、
ろ片間にろ過溝が形成されるように、回転軸の中空の第1部分に沿って複数のろ片を積層して、積層状回転ろ体を組み立て、
前記第1部分に複数のろ片が積層された状態の前記積層状回転ろ体を筐体内に配置し、
前記筐体内に配置された中空の前記第1部分の内側に、回転軸の第2部分を挿入して、前記積層状回転ろ体を回転可能に支持する、固液分離装置の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、固液分離装置および固液分離装置の組立方法に関し、特に、積層状回転ろ体を備える固液分離装置およびその固液分離装置の組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、積層状回転ろ体を備える固液分離装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、回転軸に沿って積層された複数の円板および複数のスペーサを含む回転ろ過素子(積層状回転ろ体)と、回転軸を回転駆動させる駆動部と、を備えるろ体回転式脱水装置(固液分離装置)が開示されている。この特許文献1のろ体回転式脱水装置では、被処理物を送る方向に隣接する回転ろ過素子は、円板の周縁を相手の回転ろ過素子の円板間に互いに入り込ませるように配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-137795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、特許文献1のろ体回転式脱水装置(固液分離装置)では、被処理物を送る方向に隣接する回転ろ過素子は、円板の周縁を相手の回転ろ過素子の円板間に互いに入り込ませるように配置されている。このため、所定の間隔を隔てて位置が固定的に設置された複数の回転軸に対して複数の円板およびスペーサを積層する際には、複数の回転軸に対して順番に1枚ずつ、回転軸の一方端側から円板およびスペーサを、並行して積層させる必要がある。具体的に説明すると、ある回転軸に円板を配置すると、その隣の回転軸にスペーサを配置し、さらにその隣の回転軸には円板を配置していく作業を行う。このように、隣り合う回転軸同士で回転ろ過素子同士が干渉し合う事が無い様、交互に積層させていく作業が必要となる。特許文献1では、上段に6個の回転軸に対して各々回転ろ過素子が配置され、下段に10個の回転軸に対して各々回転ろ過素子が配置されているため、上段においては、6個の回転軸に対して複数の円板およびスペーサを並行して積層させる必要がある。また、下段においては、10個の回転軸に対して複数の円板およびスペーサを並行して積層させる必要がある。このため、各々の回転軸に対して個別に回転ろ過素子を組み立て、または、分解を行うことが不可能である。その結果、ろ体回転脱水装置(固液分離装置)の組立時およびメンテナンスのための分解時の作業負担が増大するという問題点がある。例えば、ある回転軸に対する積層順序を一部誤っただけで全ての組立作業を最初からやり直す必要がある。また、回転ろ過素子の一部(例えば円板の一枚)が損傷した場合等は、損傷した部分がメンテナンスできるよう、損傷の生じていない他の回転ろ過素子の部分も含めて全てを分解する必要がある。このため、多大な分解作業が必要である。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、固液分離装置の組立時およびメンテナンスのための分解時の作業負担が増大するのを抑制することが可能な固液分離装置および固液分離装置の組立方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面における固液分離装置は、 被処理物から液体成分を分離する固液分離装置であって、回転軸と、回転軸に沿って積層された複数のろ片を含み、ろ片間にろ過溝が形成された積層状回転ろ体と、回転軸を回転駆動させるモータと、回転軸を支持するとともに、積層状回転ろ体を覆う筐体と、を備え、回転軸は、複数のろ片に当接する外周を有する中空の第1部分と、第1部分の内側に配置され、第1部分に対して抜き差し可能な第2部分とを含み、回転軸の軸線方向において、第1部分の長さが筐体の内面間の長さ以下であり、第2部分は、第1部分の内周部と同一形状であるとともに、第1部分の内周部に係合するように構成されている
【0008】
この発明の第1の局面による固液分離装置では、上記のように構成することによって、固液分離装置に複数の積層状回転ろ体を設ける場合に、回転軸の第1部分に対して複数のろ片を積層させて積層状回転ろ体を組み立てた後、積層状回転ろ体を設置位置に配置した状態で、第1部分に第2部分を挿入することにより、積層状回転ろ体を回転可能に組み付けることができる。これにより、各々の回転軸の第1部分に対して個別に積層状回転ろ体を組み立てることができるので、積層作業が完了した積層状回転ろ体を回転軸単位で固液分離装置の筐体へ取り付けることが可能となり、複数の積層状回転ろ体を並行して組み立てる場合と異なり、固液分離装置の組立時の作業負担が増大するのを抑制することができる。また、組み付けられた積層状回転ろ体の第1部分から第2部分を抜き出すことにより、複数のろ片が積層された状態の積層状回転ろ体を第1部分とともに取り外すことができるので、各々の積層状回転ろ体を個別に分解することができる。その結果、複数の積層状回転ろ体を並行して分解する場合と異なり、分解時の作業負担が増大するのを抑制することができる。これらの結果、固液分離装置の組立時およびメンテナンスのための分解時の作業負担が増大するのを抑制することができる。また、1つの積層状回転ろ体について考慮した場合でも、回転軸の第1部分にろ片を積層して積層状回転ろ体を組み立てた状態で、第2部分を第1部分に挿入することにより、積層状回転ろ体を組み付けることができるので、固定的に設置された回転軸に対してろ片を積層させる場合に比べて、組立作業の自由度を向上させることができる。また、第2部分が第1部分の内周部に係合するように構成されているため、第2部分を回転駆動させることにより、第1部分を回転させることができる。
【0009】
上記第1の局面による固液分離装置において、好ましくは、第1部分に沿って複数のろ片が積層された積層状回転ろ体は、間隔を隔てて複数設けられており、被処理物の固体成分を送る方向に隣接する積層状回転ろ体は、回転軸方向にみて、互いに重なるように配置されている。このように構成すれば、回転軸の第1部分に対して複数のろ片が積層された状態の積層状回転ろ体を、回転軸方向と直交する方向に移動させることができるので、隣接する回転軸に対して並行してろ片を積層させなくても、隣接する積層状回転ろ体を、回転軸方向にみて互いに重なるように配置することができる。これにより、複数の積層状回転ろ体を並行して組立および分解する場合に比べて、容易に組立および分解を行うことができる。
【0010】
上記第1の局面による固液分離装置において、好ましくは、ろ片は、回転軸の第1部分の外周と係合するように構成されている。このように構成すれば、回転軸の第1部分の回転に伴って、ろ片を回転させることができる。
【0012】
上記第1の局面による固液分離装置において、好ましくは、回転軸は、第2部分にモータからの駆動力が伝達されて回転するように構成されている。このように構成すれば、第1部分に挿入された状態の第2部分の回転軸方向の外側に駆動力が伝達される部分を設けることにより、回転軸を容易に回転駆動させることができる。
【0013】
上記第1の局面による固液分離装置において、好ましくは、回転軸の第1部分は、樹脂材料により形成されている。このように構成すれば、第1部分の軽量化を図ることができるので、第1部分に対して複数のろ片が積層された状態の積層状回転ろ体を容易に移動させることができる。これにより、積層状回転ろ体の組み付け作業および取り外し作業を容易に行うことができる。また、回転軸の外周部となる第1部分を樹脂材料により形成することにより、回転軸の表面が樹脂で覆われるので、回転軸の腐食を抑制することができる。
【0014】
上記第1の局面による固液分離装置において、好ましくは、筐体は、樹脂材料により形成されている。このように構成すれば、金属により筐体を形成する場合に比べて、固液分離装置の軽量化を図ることができる。また、第1部分に対して第2部分を差し込むことにより積層状回転ろ体を組み付けることができるので、複数のろ片を筐体に取り付けられた回転軸に対して積層する場合と異なり、一方の側面を開放した状態でろ片を積層させる必要がない。これにより、回転軸方向の一方側面を取り外し可能とする必要がないので、樹脂により、回転軸方向における両方の側面を一体的に形成することができる。また、筐体を樹脂により形成することにより、金属により形成する場合に比べて、設計の自由度を向上させることができるので、固液分離装置の内部空間を必要な分だけの大きさに形成することができる。その結果、デットスペースが生じるのを抑制することができるので、固液分離装置の小型化を図ることができる。
【0015】
上記第1の局面による固液分離装置において、好ましくは、ろ片は、大径円板ろ片と、小径円板ろ片と、中径円板ろ片とを含み、隣接する中径円板ろ片間には、大径円板ろ片または小径円板ろ片が配置されており、中径円板ろ片は、隣接する中径円板ろ片間にろ過溝を形成するために、隣接する中径円板ろ片に当接する凸部を有し、大径円板ろ片は、固体成分を送る方向に隣接する積層状回転ろ体のろ過溝内に入り込むように配置されており、中径円板ろ片は、樹脂により形成されている。このように構成すれば、大径円板ろ片および小径円板ろ片の揺動により、ろ過溝が目詰まりするのを抑制することができる。また、中径円板ろ片を金属により形成する場合に比べて、積層状回転ろ体の重量を軽くすることができる。その結果、第1部分に対して複数のろ片が積層された状態の積層状回転ろ体をより容易に移動させることができるので、積層状回転ろ体の組み付け作業および取り外し作業をより容易に行うことができる。
【0016】
この発明の第2の局面における固液分離装置の組立方法は、被処理物から液体成分を分離する固液分離装置の組立方法であって、ろ片間にろ過溝が形成されるように、回転軸の中空の第1部分に沿って複数のろ片を積層して、積層状回転ろ体を組み立て、第1部分に複数のろ片が積層された状態の積層状回転ろ体を筐体内に配置し、筐体内に配置された中空の第1部分の内側に、回転軸の第2部分を挿入して、積層状回転ろ体を回転可能に支持する。
【0017】
この発明の第2の局面による固液分離装置の組立方法では、上記のように構成することによって、固液分離装置に複数の積層状回転ろ体を設ける場合に、回転軸の第1部分に対して複数のろ片を積層させて積層状回転ろ体を組み立てた後、積層状回転ろ体を設置位置に配置した状態で、第1部分に第2部分を挿入することにより、積層状回転ろ体を回転可能に組み付けることができる。これにより、各々の回転軸の第1部分に対して個別に積層状回転ろ体を組み立て、ろ片の積層作業が完了した積層状回転ろ体を回転軸単位で固液分離装置の筐体へ取り付けることができるので、複数の積層状回転ろ体を並行して組み立てる場合と異なり、固液分離装置の組立時の作業負担が増大するのを抑制することができる。また、組み付けられた積層状回転ろ体の第1部分から第2部分を抜き出すことにより、複数のろ片が積層された状態の積層状回転ろ体を第1部分とともに取り外すことができるので、各々の積層状回転ろ体を個別に分解することができる。その結果、複数の積層状回転ろ体を並行して分解する場合と異なり、分解時の作業負担が増大するのを抑制することができる。これらの結果、固液分離装置の組立時およびメンテナンスのための分解時の作業負担が増大するのを抑制することが可能な固液分離装置の組立方法を提供することができる。また、1つの積層状回転ろ体について考慮した場合でも、回転軸の第1部分にろ片を積層して積層状回転ろ体を組み立てた状態で、第2部分を第1部分に挿入することにより、積層状回転ろ体を組み付けることができるので、固定的に設置された回転軸に対してろ片を積層させる場合に比べて、組立作業の自由度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、上記のように、固液分離装置の組立時およびメンテナンスのための分解時の作業負担が増大するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態による固液分離装置の側面断面図である。
図2】本発明の第1実施形態による固液分離装置の側面図である。
図3】本発明の第1実施形態による固液分離装置の駆動を伝達する機構を示した図である。
図4】本発明の第1実施形態による固液分離装置の積層状回転ろ体および回転軸の分解斜視図である。
図5】本発明の第1実施形態による固液分離装置の積層状回転ろ体の隣接状態を示した拡大平面図である。
図6】本発明の第1実施形態による固液分離装置の積層状回転ろ体の中径円板ろ片、小径円板ろ片および大径円板ろ片を示した分解斜視図である。
図7】本発明の第1実施形態による固液分離装置の積層状回転ろ体の中径円板ろ片を示した側面図である。
図8】本発明の第1実施形態による固液分離装置の積層状回転ろ体の部分拡大図である。
図9】本発明の第1実施形態による固液分離装置の組立方法を説明するための図である。
図10】本発明の第2実施形態による固液分離装置の側面断面図である。
図11】本発明の第2実施形態による固液分離装置の筐体を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
[第1実施形態]
(固液分離装置の構成)
図1図8を参照して、本発明の第1実施形態による固液分離装置100について説明する。本発明の第1実施形態による固液分離装置100は、図1および図2に示すように、筐体1と、複数のモータ2と、複数の積層状回転ろ体3と、原液供給口4と、固体排出口5と、液体排出口6と、水位センサ7とを備えている。また、固液分離装置100は、図1に示すように、筐体1に設けられた原液供給口4から原液(被処理物)が供給されるように構成されている。また、固液分離装置100は、供給された原液を、固体成分と液体成分(水分)とに分離するように構成されている。つまり、固液分離装置100は、被処理物から液体成分を分離するように構成されている。また、固液分離装置100は、分離した液体成分を筐体1の下部に設けられた液体排出口6から排出するように構成されている。また、固液分離装置100は、分離した固体成分を筐体1の側面上部に設けられた固体排出口5から排出するように構成されている。
【0022】
積層状回転ろ体3は、供給される原液の固体成分を固体排出口5に送るように、固体排出口5に向かって上下2列に複数配置されている。具体的には、積層状回転ろ体3は、下列に8個、上列に6個設けられ、合計14個設けられている。脱水処理において、下流に設けられた4個(上列2個および下列2個)の積層状回転ろ体3は、低速で回転される。たとえば、下流の積層状回転ろ体3は、0.25rpm~1rpm程度の回転数で回転される。また、脱水処理において、上流に設けられた10個(上列4個および下列6個)の積層状回転ろ体3は、高速で回転される。たとえば、上流の積層状回転ろ体3は、0.75rpm~1.5rpm程度の回転数で回転される。
【0023】
上列の積層状回転ろ体3と、下列の積層状回転ろ体3との間の上下(Z方向)の間隔は、原液供給口4側から固体排出口5側に向かうにしたがって狭くなるように構成されている。これにより、原液供給口4側から固体排出口5側に向かうにしたがって脱水処理が加えられる被処理物の容積が徐々に小さくなるように構成されている。このように、高速で回転される上流の積層状回転ろ体3および低速で回転される下流の積層状回転ろ体3と、原液供給口4側から固体排出口5側に向かうにしたがって狭くなるように構成された上列の積層状回転ろ体3および下列の積層状回転ろ体3と、後述する固体排出口5に設けられたフラッパー51および圧力調整部52とにより、固体排出口5側に向かって被処理物の固形成分を滞留させて、低含水率の被処理物の固形成分を排出可能に構成されている。つまり、上流側の積層状回転ろ体3と下流側の積層状回転ろ体3との回転速度の違いと、下流側に向けて上下の積層状回転ろ体3の間隔が徐々に狭められることと、フラッパー51とにより、被処理物に加えられる圧搾力を上流側から下流側に向かって、徐々に増加させている。
【0024】
また、下列の積層状回転ろ体3は、所定の間隔を隔てて配置されており、互いに同じ方向(図1において時計回り)に回転することにより、固体成分を搬送するように構成されている。また、上列の積層状回転ろ体3は、所定の間隔を隔てて配置されており、互いに同じ方向(図1において反時計回り)に回転することにより、固体成分を搬送するように構成されている。また、被処理物の固体成分を送る方向に隣接する積層状回転ろ体3は、回転軸方向(Y方向)にみて、互いに重なるように配置されている。つまり、隣接する積層状回転ろ体3のろ片は、互いに入り込むようにして配置されている。
【0025】
また、原液供給口4側(上流側)の下列に配置された積層状回転ろ体3より、被処理物の液体成分がろ過される。具体的には、上流側の下列の積層状回転ろ体3のろ過溝Sから液体成分が重力によりろ過される。これにより被処理物の含水率が下げられる。また、固体排出口5側(下流側)に配置された積層状回転ろ体3により、被処理物が上下方向からプレスされて脱水される。これにより、被処理物の含水率がさらに下げられる。
【0026】
筐体1は、回転軸31を支持するように構成されている。具体的には、筐体1は、回転軸31の軸線方向(Y方向)の両端部を軸受34(図4参照)により支持するように構成されている。また、筐体1は、積層状回転ろ体3を覆うように構成されている。つまり、筐体1は、内部に処理槽が設けられるように構成されている。筐体1は、金属材料により形成されている。
【0027】
図2に示すように、モータ2は、回転軸31を回転駆動させるように構成されている。具体的には、モータ2は、減速機21を介して、積層状回転ろ体3の回転軸31を回転させるように構成されている。減速機21は、たとえば、1/1200程度の減速比において、モータ2の出力を減速して回転軸31に伝達する。
【0028】
また、モータ2は、複数の積層状回転ろ体3に対して共通に設けられている。具体的には、固体排出口5側(下流側)に配置された積層状回転ろ体3には、2つの積層状回転ろ体3に対して、1つのモータ2が設けられている。また、原液供給口4側(上流側)に配置された積層状回転ろ体3には、上列では4つの積層状回転ろ体3に対して1つのモータ2が設けられ、下列では6つの積層状回転ろ体3に対して1つのモータ2が設けられている。そして、共通のモータ2が設けられた複数の積層状回転ろ体3は、連動して回転駆動されるように構成されている。具体的には、被処理物の固体成分を送る方向(X方向)に隣接する積層状回転ろ体3の回転軸31は、チェーン23により接続され、連動して回転駆動される。
【0029】
図3に示すように、モータ2が接続される回転軸31は、減速機21と、キー333を介して、第2部分33の端部332に接続される。これにより、モータ2により、第2部分33(回転軸31)が回転駆動される。また、モータ2が接続される回転軸31は、第2部分33の端部332が、キー333を介してスプロケット24に接続される。これにより、スプロケット24が回転駆動される。スプロケット24は、隣接する積層状回転ろ体3の回転軸31(第2部分33の端部332)に、キー333を介して接続されるスプロケット24と、チェーン23により接続される。これにより、隣接する積層状回転ろ体3の第2部分33(回転軸31)が回転される。同様にして、順次、隣接する積層状回転ろ体3の回転軸31(第2部分33の端部332)がチェーン23により接続されている。
【0030】
積層状回転ろ体3は、図4に示すように、回転軸31に沿って積層された複数のろ片(中径円板ろ片301、小径円板ろ片302および大径円板ろ片303)を含む。また、積層状回転ろ体3は、ろ片間にろ過溝S(図8参照)が形成されている。ここで、第1実施形態では、回転軸31は、複数のろ片に当接する外周を有する中空の第1部分32と、第1部分32の内側に配置され、第1部分32に対して抜き差し可能な第2部分33とを含んでいる。
【0031】
第1部分32は、中空孔321と、係合部322とを含んでいる。第2部分33は、本体部331と、端部332とを含んでいる。また、端部332には、図3に示すように、減速機21またはスプロケット24に係合するキー333が設けられている。
【0032】
図4に示すように、複数のろ片(中径円板ろ片301、小径円板ろ片302および大径円板ろ片303)は、第1部分32に沿って積層されるように構成されている。また、複数のろ片は、回転軸31の第1部分32の外周と係合するように構成されている。具体的には、ろ片に設けられた貫通穴304の係合部304aと、第1部分32の外周に設けられてた係合部322とが係合するように構成されている。また、第1部分32の端部には、スナップリングが取り付けられている。これにより、ろ片が軸方向に(Y方向)に抜けないように構成されている。
【0033】
また、回転軸31は、第1部分32の内周と第2部分33の外周とが係合するように構成されている。具体的には、第1部分32の中空孔321は、軸線方向と垂直な断面が正六角形形状を有している。また、第2部分33の本体部331は、軸線方向と垂直な断面が正六角形形状を有している。そして、第1部分32の中空孔321と、第2部分33の本体部331とは、嵌り合って係合するように構成されている。
【0034】
また、回転軸31は、第2部分33にモータ2からの駆動力が伝達されて回転するように構成されている。具体的には、第2部分33の端部332が、減速機21またはスプロケット24に係合して、モータ2からの駆動力が伝達されるように構成されている。つまり、モータ2が設けられている回転軸31は、減速機21を介してモータ2からの駆動力が伝達される。また、モータ2が設けられていない回転軸31は、モータ2が設けられた回転軸31から、チェーン23およびスプロケット24を介して、モータ2からの駆動力が伝達される。
【0035】
第1部分32は、樹脂材料により形成されている。第1部分32は、たとえば、押出成形により形成される。また、第2部分33は、金属材料により形成されている。第2部分33は、たとえば、ステンレス材料により形成されている。第2部分33は、中実形状に形成されている。
【0036】
図5および図6に示すように、積層状回転ろ体3は、複数の中径円板ろ片301と、複数の小径円板ろ片302と、複数の大径円板ろ片303との3種のろ片を含んでいる。中径円板ろ片301は、たとえば、樹脂材料により形成されている。小径円板ろ片302および大径円板ろ片303は、たとえば、金属材料により形成されている。
【0037】
中径円板ろ片301、小径円板ろ片302および大径円板ろ片303は、ともに、円環形状を有している。すなわち、中径円板ろ片301、小径円板ろ片302および大径円板ろ片303は、ともに、回転軸31を挿通する貫通穴304を中心に有している。また、中径円板ろ片301、小径円板ろ片302および大径円板ろ片303は、ともに、貫通穴304を介して回転軸31(第1部分32)に嵌合している。このため、中径円板ろ片301、小径円板ろ片302および大径円板ろ片303は、回転軸31の軸方向(Y方向)に交差する方向に略移動することがないように構成されている。
【0038】
積層状回転ろ体3は、回転軸31を取り囲むように回転軸31が貫通穴304に挿通された状態で、中径円板ろ片301、小径円板ろ片302および大径円板ろ片303がY方向に交互に積層された多重板構造を有している。中径円板ろ片301、小径円板ろ片302および大径円板ろ片303は、1つの積層状回転ろ体3に、それぞれ、複数設けられている。
【0039】
複数の中径円板ろ片301は、Y方向に所定間隔で並ぶように設けられている。積層状回転ろ体3は、Y方向に並ぶ複数の中径円板ろ片301間に、大径円板ろ片303および小径円板ろ片302を交互に配置(積層)することにより構成されている。要するに、積層状回転ろ体3は、Y方向に、中径円板ろ片301、大径円板ろ片303、中径円板ろ片301、小径円板ろ片302の順に、各ろ片を繰り返し配置(積層)することにより構成されている。あるいは、中径円板ろ片301、小径円板ろ片302、中径円板ろ片301、大径円板ろ片303の順に、各ろ片を繰り返し配置(積層)してもよい。
【0040】
中径円板ろ片301は、円板形状の板状部301aと、板状部301aの一方表面に設けられる複数(4個)の凸部301bと、板状部301aの他方表面に設けられる複数(4個)の凸部301cとを有している。
【0041】
複数の凸部301bは、中径円板ろ片301の中心から所定距離だけ離間した位置に配置されるとともに、中径円板ろ片301の周方向において等ピッチ間隔で配置されている。複数の凸部301cは、Y方向に見て、凸部301bと重なる位置にそれぞれ設けられている。また、凸部301bの一方表面からの突出量d1は、小径円板ろ片302の厚みd3および大径円板ろ片303の厚みd4よりも大きい(d1>d3、d1>d4)。
【0042】
図7に示すように、凸部301cは、板状部301aの他方表面から僅かに突出しているだけであり、実際には、板状部301aの他方表面と略同一面上に位置している(略面一である)。また、凸部301cの他方表面からの突出量d2は、凸部301bの一方表面からの突出量d1よりも極めて小さい(d1>>d2)。なお、各図では、説明の便宜上、凸部301cの突出量d2を、実際の突出量よりも大きく図示している。
【0043】
中径円板ろ片301は、凸部301bを、Y方向の一方向側に隣接する他の中径円板ろ片301の凸部301cに接触させるとともに、凸部301cを、Y方向の他方側に隣接する他の中径円板ろ片301の凸部301bに接触させた状態で積層されている。このため、中径円板ろ片301の板状部301aは、隣接する他の中径円板ろ片301の板状部301aから、隙間(d1+d2)だけ離間している。すなわち、中径円板ろ片301の板状部301aは、隣接する他の中径円板ろ片301の板状部301aから、凸部301bと凸部301cとの突出量の合計だけ離間している。
【0044】
また、隣接する2つの中径円板ろ片301(板状部301a)間には、凸部301bおよび凸部301cにより、隙間(d1+d2)のろ過溝S(図8参照)が形成されている。
【0045】
図6に示すように、小径円板ろ片302は、概して、円板形状を有している。また、小径円板ろ片302は、周方向において等ピッチ間隔で配置され、外縁部から小径円板ろ片302の中心に向けて切り欠かれた複数(4個)の切欠部302aを有している。複数の切欠部302aは、Y方向に見て、中径円板ろ片301の凸部301bおよび凸部301cと重なる位置に設けられている。また、切欠部302aは、凸部301bに係合するように構成されている。小径円板ろ片302は、切欠部302aを、中径円板ろ片301の凸部301bに係合させた状態で、隣接する2つの中径円板ろ片301(板状部301a)間に配置されている。
【0046】
図8に示すように、小径円板ろ片302の厚みd3は、隣接する2つの中径円板ろ片301(板状部301a)の隙間(d1+d2)よりも小さい。したがって、隣接する2つの中径円板ろ片301(板状部301a)と、小径円板ろ片302との間には、隙間(d1+d2-d3)のろ水流出溝G1が形成されている。
【0047】
すなわち、隣接する2つの中径円板ろ片301間のろ過溝Sの小径円板ろ片302を除く部分には、隙間(d1+d2-d3)のろ水流出溝G1が形成されている。このため、小径円板ろ片302は、ろ過溝Sが形成されるY方向の揺動範囲αにおいて、揺動可能に構成されている。固液分離装置100は、回転軸31の回転に伴い小径円板ろ片302が揺動し、中径円板ろ片301の側面を擦りながら回転するので、ろ水流出溝G1(ろ過溝S)の目詰まりを抑制することができる。すなわち、固液分離装置100は、ろ水流出溝G1(ろ過溝S)をセルフクリーニングすることができる。また、ろ水流出溝G1は、被処理物に含まれる液体成分を通過させることにより、被処理物をろ過するように構成されている。
【0048】
図6に示すように、大径円板ろ片303は、円板形状を有している。また、大径円板ろ片303は、大径円板ろ片303の中心から所定距離だけ離間した位置に配置されるとともに、周方向において等ピッチ間隔で配置される複数(4個)の貫通穴303aを有している。複数の貫通穴303aは、Y方向に見て、中径円板ろ片301の凸部301bおよび凸部301cと重なる位置に設けられている。また、貫通穴303aは、中径円板ろ片301の凸部301bおよび凸部301cに嵌合するように構成されている。また、大径円板ろ片303は、貫通穴303aに、中径円板ろ片301の凸部301bを嵌合させた状態で、隣接する2つの中径円板ろ片301(板状部301a)間に配置されている。
【0049】
図8に示すように、大径円板ろ片303の厚みd4は、隣接する中径円板ろ片301(板状部301a)の隙間(d1+d2)よりも小さい。したがって、隣接する2つの中径円板ろ片301(板状部301a)と、大径円板ろ片303との間には、隙間(d1+d2-d4)のろ水流出溝G2が形成されている。
【0050】
すなわち、隣接する2つの中径円板ろ片301間のろ過溝Sの大径円板ろ片303を除く部分には、隙間(d1+d2-d4)のろ水流出溝G2が形成されている。このため、大径円板ろ片303は、ろ過溝Sが形成されるY方向の揺動範囲βにおいて、揺動可能に構成されている。固液分離装置100は、回転軸31の回転に伴い大径円板ろ片303が揺動し、中径円板ろ片301の側面を擦りながら回転するので、ろ水流出溝G2(ろ過溝S)の目詰まりを抑制することができる。すなわち、固液分離装置100は、ろ水流出溝G2(ろ過溝S)をセルフクリーニングすることができる。また、ろ水流出溝G2は、被処理物に含まれる液体成分を通過させることにより、被処理物をろ過するように構成されている。
【0051】
図5に示すように、上列(下列)の積層状回転ろ体3の大径円板ろ片303と、隣接する他の上列(下列)の積層状回転ろ体3の大径円板ろ片303とは、Y方向において互いに重なるように交互に配置されている。すなわち、上列(下列)の積層状回転ろ体3の大径円板ろ片303は、隣接する他の上列(下列)の積層状回転ろ体3の小径円板ろ片302を挟み込む2つの中径円板ろ片301の間に食い込むように配置されている。また、上列(下列)の積層状回転ろ体3の中径円板ろ片301と、隣接する他の上列(下列)の積層状回転ろ体3の中径円板ろ片301とは、Y方向において、略同じ範囲(位置)に設けられている。
【0052】
図1に示すように、固体排出口5には、フラッパー51と、圧力調整部52とが設けられている。フラッパー51は、固液分離装置100により処理される被処理物の固体成分に対して圧力を作用させるように構成されている。圧力調整部52は、フラッパー51により作用させる圧力を調整するように構成されている。
【0053】
水位センサ7は、固液分離装置100の内部の上部に設けられている。また、水位センサ7は、上列の最上流に配置される積層状回転ろ体3よりも上方(Z1方向)に設けられている。水位センサ7は、センサ71と、センサ72とを含んでいる。センサ71は、低い水位を検知し、センサ72は、センサ71よりも高い水位を検知する。
【0054】
(固液分離装置の組立方法)
図9を参照して、固液分離装置100の組立方法について説明する。
【0055】
まず、ろ片間にろ過溝Sが形成されるように、回転軸31の中空の第1部分32に沿って複数のろ片(中径円板ろ片301、小径円板ろ片302および大径円板ろ片303)を積層して、積層状回転ろ体3を組み立てる。ろ片の積層後、第1部分32の端部にスナップリングを取り付ける。
【0056】
そして、第1部分32に対して複数のろ片が積層された状態の積層状回転ろ体3を筐体1内に配置する。この際、筐体1の下部は、液体排出口6として開放されているため、積層状回転ろ体3を、筐体1の下部から搬入する。また、すでに積層状回転ろ体3が組み付けられている場合において、隣接した位置に積層状回転ろ体3を配置する場合、ろ片同士が噛み合うように積層状回転ろ体3を配置する。
【0057】
その後、筐体1内に配置された中空の第1部分32の内側に、回転軸31の第2部分33を挿入して、積層状回転ろ体3を回転可能に支持する。具体的には、筐体1の外側から第2部分33を第1部分32の中空孔321に挿入する。そして、第2部分33の端部332を、筐体1に設けられた軸受34に当接させて、支持させる。
【0058】
上記のようにして、順次、複数の積層状回転ろ体3を筐体1に組み付けていく。なお、筐体1の下側から積層状回転ろ体3を搬入するため、上列の積層状回転ろ体3を先に組み付け、その後、下列の積層状回転ろ体3を組み付ける。複数の積層状回転ろ体3を組み付けた後、駆動機構(モータ2、減速機21、チェーン23、スプロケット24)を各回転軸31に取り付ける。この際、チェーン23およびスプロケット24の外側に、チェーンカバーを取り付ける。
【0059】
メンテナンスの際に、積層状回転ろ体3を取り外す場合は、積層状回転ろ体3を支持した状態で、第2部分33を、第1部分32から抜き取り、積層状回転ろ体3を、筐体1から取り出す。そして、取り外した積層状回転ろ体3を適宜分解してメンテナンスを行う。
【0060】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0061】
第1実施形態では、上記のように、回転軸31に、複数のろ片に当接する外周を有する中空の第1部分32と、第1部分32の内側に配置され、第1部分32に対して抜き差し可能な第2部分33とを設ける。これにより、回転軸31の第1部分32に対して複数のろ片を積層させて積層状回転ろ体3を組み立てた後、積層状回転ろ体3を設置位置に配置した状態で、第1部分32に第2部分33を挿入することにより、積層状回転ろ体3を回転可能に組み付けることができる。これにより、各々の回転軸31の第1部分32に対して個別に積層状回転ろ体3を組み立てることができるので、積層作業が完了した積層状回転ろ体3を回転軸31単位で固液分離装置100の筐体1へ取り付けることが可能となり、複数の積層状回転ろ体3を並行して組み立てる場合と異なり、固液分離装置100の組立時の作業負担が増大するのを抑制することができる。また、組み付けられた積層状回転ろ体3の第1部分32から第2部分33を抜き出すことにより、複数のろ片が積層された状態の積層状回転ろ体3を第1部分32とともに取り外すことができるので、各々の積層状回転ろ体3を個別に分解することができる。その結果、複数の積層状回転ろ体3を並行して分解する場合と異なり、分解時の作業負担が増大するのを抑制することができる。これらの結果、固液分離装置100の組立時およびメンテナンスのための分解時の作業負担が増大するのを抑制することができる。
【0062】
また、第1実施形態では、上記のように、第1部分32に沿って複数のろ片が積層された積層状回転ろ体3を、間隔を隔てて複数設ける。また、被処理物の固体成分を送る方向(X方向)に隣接する積層状回転ろ体3を、回転軸方向(Y方向)にみて、互いに重なるように配置する。これにより、回転軸31の第1部分32に対して複数のろ片が積層された状態の積層状回転ろ体3を、回転軸方向と直交する方向に移動させてることができるので、隣接する回転軸31に対して並行してろ片を積層させなくても、隣接する積層状回転ろ体3を、回転軸方向にみて互いに重なるように配置することができる。その結果、複数の積層状回転ろ体3を並行して組立および分解する場合に比べて、容易に組立および分解を行うことができる。
【0063】
また、第1実施形態では、上記のように、ろ片と、回転軸31の第1部分32の外周とが、係合するように構成する。これにより、回転軸31の第1部分32の回転に伴って、ろ片を回転させることができる。
【0064】
また、第1実施形態では、上記のように、回転軸31を、第1部分32の内周と第2部分33の外周とが係合するように構成する。これにより、第2部分33を回転駆動させることにより、第1部分32を回転させることができる。
【0065】
また、第1実施形態では、上記のように、回転軸31を、第2部分33にモータ2からの駆動力が伝達されて回転するように構成する。これにより、第1部分32に挿入された状態の第2部分33の回転軸方向の外側に駆動力が伝達される部分を設けることにより、回転軸31を容易に回転駆動させることができる。
【0066】
また、第1実施形態では、上記のように、回転軸31の第1部分32を、樹脂材料により形成する。これにより、第1部分32の軽量化を図ることができるので、第1部分32に対して複数のろ片が積層された状態の積層状回転ろ体3を容易に移動させることができる。その結果、積層状回転ろ体3の組み付け作業および取り外し作業を容易に行うことができる。また、回転軸31の外周部となる第1部分32を樹脂材料により形成することにより、回転軸31の表面が樹脂で覆われるので、回転軸31の腐食を抑制することができる。
【0067】
また、第1実施形態では、上記のように、中径円板ろ片301を、樹脂により形成する。これにより、大径円板ろ片303および小径円板ろ片302の揺動により、ろ過溝Sが目詰まりするのを抑制することができる。また、中径円板ろ片301を金属により形成する場合に比べて、積層状回転ろ体3の重量を軽くすることができる。その結果、第1部分32に対して複数のろ片が積層された状態の積層状回転ろ体3をより容易に移動させることができるので、積層状回転ろ体3の組み付け作業および取り外し作業をより容易に行うことができる。
【0068】
[第2実施形態]
次に、図10および図11を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、筐体1が金属材料により形成されていた上記第1実施形態とは異なり、筐体201が樹脂材料により形成されている構成の例について説明する。
【0069】
本発明の第2実施形態による固液分離装置200は、図10に示すように、筐体201と、複数のモータ2(図2参照)と、複数の積層状回転ろ体3と、原液供給口4と、固体排出口5と、液体排出口6と、水位センサ7とを備えている。また、固液分離装置100は、被処理物から液体成分を分離するように構成されている。
【0070】
ここで、第2実施形態では、図4に示すように、回転軸31は、複数のろ片に当接する外周を有する中空の第1部分32と、第1部分32の内側に配置され、第1部分32に対して抜き差し可能な第2部分33とを含んでいる。
【0071】
また、第2実施形態では、図10および図11に示すように、回転軸31を支持するとともに、積層状回転ろ体3を覆う筐体201を、樹脂材料により形成する。具体的には、筐体201は、上面と、Y方向における両側面と、X方向における上流側の面および下流側の面と、が樹脂により一体的に形成されている。
【0072】
また、筐体201のX1側の面は、原液供給口4側(最上流側)に配置された積層状回転ろ体3を取り囲むように形成されている。これにより、板状の部材を設けなくても、原液供給口4から供給される被処理物を下列の積層状回転ろ体3上に供給することが可能である。また、筐体201のX2側の面は、固体排出口5側(最下流側)に配置された積層状回転ろ体3を取り囲むように形成されている。
【0073】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0074】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0075】
上記第2実施形態では、第1実施形態と同様に、回転軸31に、複数のろ片に当接する外周を有する中空の第1部分32と、第1部分32の内側に配置され、第1部分32に対して抜き差し可能な第2部分33とを設ける。これにより、固液分離装置200の組立時およびメンテナンスのための分解時の作業負担が増大するのを抑制することができる。
【0076】
また、上記第2実施形態では、上記のように、回転軸31を支持するとともに、積層状回転ろ体3を覆う筐体201を、樹脂材料により形成する。これにより、金属により筐体を形成する場合に比べて、固液分離装置200の軽量化を図ることができる。また、第1部分32に対して第2部分33を差し込むことにより積層状回転ろ体3を組み付けることができるので、複数のろ片を筐体201に取り付けられた回転軸31に対して積層する場合と異なり、一方の側面を開放した状態でろ片を積層させる必要がない。これにより、回転軸方向の一方側面を取り外し可能とする必要がないので、樹脂により、回転軸方向における両方の側面を一体的に形成することができる。また、筐体201を樹脂により形成することにより、金属により形成する場合に比べて、設計の自由度を向上させることができるので、固液分離装置200の内部空間を必要な分だけの大きさに形成することができる。その結果、デットスペースが生じるのを抑制することができるので、固液分離装置200の小型化を図ることができる。また、筐体201の腐食も抑制することができる。
【0077】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0078】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0079】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、回転軸の第1部分を樹脂により形成する構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、回転軸の第1部分を金属材料により形成してもよい。また、負荷が低い上流側の積層状回転ろ体の回転軸の第1部分を樹脂により形成し、負荷が高い下流側の積層状回転ろ体の回転軸の第1部分を金属材料により形成してもよい。
【0080】
また、上記第1および第2実施形態では、第1部分の中空部分の断面を正六角形とする構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、第1部分の中空部分の断面を六角形以外の多角形形状としてもよいし、楕円形状や円形状としてもよい。また、第1部分の内周と第2部分の外周とを、キーなどの係合部により係合するようにしてもよい。
【0081】
また、上記第1および第2実施形態では、回転軸の第2部分が中実形状を有する構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、回転軸の第2部分が中空形状を有していてもよい。
【0082】
また、上記第1および第2実施形態では、中径円板ろ片の一方表面の凸部の突出量と、他方表面の凸部の突出量とが互いに異なるように、中径円板ろ片を形成した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、中径円板ろ片の一方表面の凸部の突出量と、他方表面の凸部の突出量とが互いに同じになるように、中径円板ろ片を形成してもよい。
【0083】
また、上記第1および第2実施形態では、中径円板ろ片の一方表面および他方表面に、それぞれ、凸部を形成した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、中径円板ろ片の一方表面および他方表面の一方のみに、凸部を形成してもよい。
【0084】
また、上記第1および第2実施形態では、複数の積層状回転ろ体を共通のモータにより回転駆動させる構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、積層状回転ろ体に対して、各々にモータを設けて回転駆動させてもよい。
【0085】
また、上記第1および第2実施形態では、1つの第1部分に設けられた積層状回転ろ体に対して、1つの第2部分を挿入する構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、第1部分に設けられた積層状回転ろ体を、複数直列に配置した状態で、1つの第2部分を挿入してもよい。この場合、第1部分に設けられた積層状回転ろ体をユニット化して、幅方向に合わせて、ユニットの数を調整して、固液分離装置を組み立ててもよい。
【符号の説明】
【0086】
1、201 筐体
2 モータ
3 積層状回転ろ体
31 回転軸
32 第1部分
33 第2部分
100、200 固液分離装置
301 中径円板ろ片(ろ片)
301b、301c 凸部
302 小径円板ろ片(ろ片)
303 大径円板ろ片(ろ片)
S ろ過溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11