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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   F16H 25/20 20060101AFI20220426BHJP
   F16H 25/22 20060101ALI20220426BHJP
   H02K 7/10 20060101ALI20220426BHJP
   H02K 7/06 20060101ALI20220426BHJP
【FI】
F16H25/20 Z
F16H25/22 Z
H02K7/10 D
H02K7/06 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018106390
(22)【出願日】2018-06-01
(65)【公開番号】P2019210985
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下村 裕哉
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-008971(JP,A)
【文献】特開2000-291787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 25/00
H02K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじ軸、及び前記ねじ軸を支持するハウジングを備えるボールねじユニットと、
モータ、及び前記モータの端面に配置されるモータフランジを備えるモータユニットと、
前記ハウジングから前記モータフランジに架け渡されるブラケットと、
前記ブラケットに対して前記ハウジングとは反対側に配置される中間プレートと、
前記ブラケット及び中間プレートを前記ハウジングに接続する締結ねじと、
を備え、
前記ハウジングは、前記ブラケットに面する複数の雌ねじを備え、
前記ブラケットは、前記ねじ軸の軸方向から見た場合に前記雌ねじよりも大きい複数の通し穴を備え、
前記中間プレートは、複数の前記雌ねじに一対一で対応する複数のねじ穴を備え、
前記締結ねじは、前記ねじ穴及び前記通し穴を貫通し、前記雌ねじと噛み合う
アクチュエータ。
【請求項2】
前記ブラケットは、前記中間プレートが嵌まる凹部を備え、
前記軸方向に対して直交する第1方向における前記中間プレートの長さは、前記軸方向及び前記第1方向の両方に対して直交する第2方向における前記中間プレートの長さと等しい
請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記ブラケットは、前記中間プレートに面する表面に配置される複数のピン穴を備え、
前記ねじ軸の回転軸からそれぞれの前記ピン穴までの距離は、互いに等しく、
前記中間プレートは、複数の前記ピン穴のいずれか1つに嵌まるピンを備える
請求項1又は2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記ブラケットは、少なくとも3つの前記ピン穴を備える
請求項3に記載のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
ボールねじのねじ軸の回転軸とモータの回転軸とをずらして配置したアクチュエータが知られている。このようなアクチュエータにおいては、ボールねじとモータとがブラケットを介して接続される。例えば特許文献1には、このようなアクチュエータの一例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-8971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ボールねじユニットとモータユニットとの位置関係については、モータユニットがボールねじユニットに対して水平方向の一方側又は他方側に配置される場合と、モータユニットがボールねじユニットに対して下側に配置される場合とがある。一方、ボールねじユニットにおいてはスライダがねじ軸に対して上側に配置されるので、モータユニットとボールねじユニットとの位置関係に関わらずボールねじユニットの向きは一定である。このため、ブラケットをボールねじユニットに締結するためにボールねじユニットに設けられる複数の雌ねじが同一円周上に配置されない場合、ボールねじユニットとモータユニットとの位置関係に応じて異なるブラケットを用いる必要がある。このため、ボールねじユニットとモータユニットとの位置関係を容易に変更できない。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、ボールねじユニットとモータユニットとの位置関係の変更が容易であるアクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本開示の一態様に係るアクチュエータは、ねじ軸、及び前記ねじ軸を支持するハウジングを備えるボールねじユニットと、モータ、及び前記モータの端面に配置されるモータフランジを備えるモータユニットと、前記ハウジングから前記モータフランジに架け渡されるブラケットと、前記ブラケットに対して前記ハウジングとは反対側に配置される中間プレートと、前記ブラケット及び中間プレートを前記ハウジングに接続する締結ねじと、を備え、前記ハウジングは、前記ブラケットに面する複数の雌ねじを備え、前記ブラケットは、前記ねじ軸の軸方向から見た場合に前記雌ねじよりも大きい複数の通し穴を備え、前記中間プレートは、複数の前記雌ねじに一対一で対応する複数のねじ穴を備え、前記締結ねじは、前記ねじ穴及び前記通し穴を貫通し、前記雌ねじと噛み合う。
【0007】
これにより、ブラケットに対する中間プレートの向きを変更することが可能である。ブラケットに対する中間プレートの向きを変更することによって、ねじ穴を雌ねじに重ねることができる。このため、ボールねじユニットとモータユニットとの位置関係が変わる場合でも、ブラケットの形状を変更せずに、ボールねじユニットとブラケットとを接続できる。したがって、本開示のアクチュエータによれば、ボールねじユニットとモータユニットとの位置関係の変更が容易である。
【0008】
上記のアクチュエータの望ましい態様として、前記ブラケットは、前記中間プレートが嵌まる凹部を備え、前記軸方向に対して直交する第1方向における前記中間プレートの長さは、前記軸方向及び前記第1方向の両方に対して直交する第2方向における前記中間プレートの長さと等しい。
【0009】
これにより、中間プレートが凹部に嵌まることによって、中間プレートの回転が規制される。このため、中間プレートの位置決めが容易である。また、中間プレートの第1方向の長さと第2方向の長さとが等しいので、ブラケットに対する中間プレートの向きが変更された場合でも中間プレートは凹部に嵌まることができる。
【0010】
上記のアクチュエータの望ましい態様として、前記ブラケットは、前記中間プレートに面する表面に配置される複数のピン穴を備え、前記ねじ軸の回転軸からそれぞれの前記ピン穴までの距離は、互いに等しく、前記中間プレートは、複数の前記ピン穴のいずれか1つに嵌まるピンを備える。
【0011】
これにより、ピンがピン穴に嵌まることによって、中間プレートの回転が規制される。このため、中間プレートの位置決めが容易である。アクチュエータは、ボールねじユニットとモータユニットとの位置関係に関する少なくとも2つのパターンに対応できる。
【0012】
上記のアクチュエータの望ましい態様として、前記ブラケットは、少なくとも3つの前記ピン穴を備える。
【0013】
これにより、ボールねじユニット及びモータユニットの配置に関する3つのパターンに対応することが可能である。すなわち、モータユニットがボールねじユニットに対して水平方向の一方側又は他方側に配置される場合、及びモータユニットがボールねじユニットに対して下側に配置される場合に対応することが可能である。
【発明の効果】
【0014】
本開示のアクチュエータによれば、ボールねじユニットとモータユニットとの位置関係の変更が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本実施形態のアクチュエータの平面図である。
図2図2は、本実施形態のアクチュエータの正面図である。
図3図3は、本実施形態のアクチュエータの右側面図である。
図4図4は、本実施形態のボールねじユニットの右側面図である。
図5図5は、本実施形態のブラケットの正面図である。
図6図6は、本実施形態のブラケットの平面図である。
図7図7は、本実施形態のブラケットの左側面図である。
図8図8は、本実施形態の中間プレートの正面図である。
図9図9は、本実施形態の中間プレートの左側面図である。
図10図10は、本実施形態のブラケット及び中間プレートの正面図である。
図11図11は、モータユニットがボールねじユニットに対して下側に配置された場合における本実施形態のアクチュエータの平面図である。
図12図12は、モータユニットがボールねじユニットに対して下側に配置された場合における本実施形態のアクチュエータの正面図である。
図13図13は、モータユニットがボールねじユニットに対して下側に配置された場合における本実施形態のアクチュエータの右側面図である。
図14図14は、モータユニットがボールねじユニットに対して下側に配置された場合における本実施形態のブラケット及び中間プレートの正面図である。
図15図15は、変形例のブラケットの正面図である。
図16図16は、変形例の中間プレートの正面図である。
図17図17は、変形例の中間プレートの左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0017】
(実施形態)
図1は、本実施形態のアクチュエータの平面図である。図2は、本実施形態のアクチュエータの正面図である。図3は、本実施形態のアクチュエータの右側面図である。図4は、本実施形態のボールねじユニットの右側面図である。図1に示すように、アクチュエータ1は、ボールねじユニット2と、モータユニット3と、伝達機構4と、ケース13と、張力調整機構15と、ブラケット6と、中間プレート7と、締結ねじ17と、締結ねじ19と、を備える。
【0018】
ボールねじユニット2は、回転運動を直動運動に変換する装置である。図1に示すように、ボールねじユニット2は、ハウジング20と、ねじ軸21と、入力シャフト23と、スライダ25と、を備える。
【0019】
ハウジング20は、ねじ軸21を支持する。ハウジング20は、本体201と、軸受ユニット203と、軸受ユニット205と、を備える。本体201は、ねじ軸21を囲み、ねじ軸21に沿って延びる。本体201は、スライダ25を案内する案内機構を備える。軸受ユニット203は、本体201の一端に配置される。軸受ユニット203は、ボルト等によって本体201に接続される直方体状の筐体と、当該筐体の内部に配置される軸受と、を備える。軸受ユニット205は、本体201の他端に配置される。軸受ユニット205は、ボルト等によって本体201に接続される直方体状の筐体と、当該筐体の内部に配置される軸受と、を備える。
【0020】
図4に示すように、軸受ユニット205は、複数の雌ねじ16を備える。複数の雌ねじ16は、第1雌ねじ161と、第2雌ねじ162と、第3雌ねじ163と、第4雌ねじ164と、を含む。雌ねじ16は、軸受ユニット205の端面に配置される。4つの雌ねじ16は、第1回転軸R1を中心とした同一円周上に配置されない。1つの雌ねじ16から第1回転軸R1までの距離は、他の雌ねじ16から第1回転軸R1までの距離のうちの少なくとも1つとは異なる。例えば、第1回転軸R1から第1雌ねじ161までの距離は、第1回転軸R1から第2雌ねじ162までの距離と等しく、且つ第1回転軸R1から第3雌ねじ163までの距離とは異なる。第1回転軸R1から第3雌ねじ163までの距離は、第1回転軸R1から第4雌ねじ164までの距離と等しい。
【0021】
図1に示すように、ねじ軸21は、軸受ユニット203から軸受ユニット205まで架け渡される。ねじ軸21の一端は、軸受ユニット203によって回転可能に支持される。ねじ軸21の他端は、軸受ユニット205によって回転可能に支持される。ねじ軸21は、第1回転軸R1を中心に回転できる。
【0022】
以下の説明において、XYZ直交座標系が用いられる。X軸は、第1回転軸R1と平行な軸である。Z軸は、鉛直方向と平行な軸である。Y軸は、X軸及びZ軸の両方に対して直交する軸である。X軸に沿う方向はX方向と記載され、Y軸に沿う方向はY方向と記載され、Z軸に沿う方向はZ方向と記載される。X方向は、ねじ軸21の軸方向と等しい。X方向のうち軸受ユニット203から軸受ユニット205に向かう方向を+X方向とし、+X方向とは反対方向を-X方向とする。Z方向のうち上に向かう方向を+Z方向とし、+Z方向とは反対方向を-Z方向とする。+Z方向を上とし+X方向を向いた場合の左方向を+Y方向とし、+Y方向とは反対方向を-Y方向とする。
【0023】
図1に示すように、入力シャフト23は、軸受ユニット205から+X方向に突出するように配置される。入力シャフト23は、ねじ軸21と接続されており、ねじ軸21と共に回転する。
【0024】
図1に示すように、スライダ25は、ねじ軸21に取り付けられる。スライダ25は、ねじ軸21に噛み合うナットを備える。スライダ25は、本体201に設けられた案内機構に案内される。具体的には、スライダ25は、X方向に延びるレールに嵌まる。スライダ25は、ねじ軸21が回転すると、X方向に移動する。なお、アクチュエータ1は、スライダ25と本体201との間の隙間を覆うカバーを備えるが、図1から図3において当該カバーの図示は省略されている。
【0025】
図1に示すように、モータユニット3は、モータ31と、出力シャフト33と、モータフランジ35と、を備える。モータ31は、第2回転軸R2を中心に回転するロータを備える。第2回転軸R2は、第1回転軸R1と平行であり、第1回転軸R1に対してY方向にずらして配置される。すなわち、モータ31は、ねじ軸21に対して水平方向に異なる位置に配置される。出力シャフト33は、モータ31のロータに接続され、ロータと共に回転する。モータフランジ35は、モータ31の+X方向側の端面に配置される。モータフランジ35は、X方向に対して直交する円板状である。
【0026】
伝達機構4は、モータ31の動力をボールねじユニット2に伝達するための装置である。図1に示すように、伝達機構4は、駆動プーリ41と、従動プーリ43と、伝達部材45と、を備える。駆動プーリ41は、出力シャフト33と接続され、出力シャフト33と共に回転する。従動プーリ43は、入力シャフト23と接続され、入力シャフト23と共に回転する。伝達部材45は、例えばタイミングベルトである。伝達部材45は、駆動プーリ41と従動プーリ43とに架け渡される。
【0027】
ケース13は、伝達機構4を覆う部材である。ケース13によって、伝達機構4の配置される空間が密封される。ケース13は、略直方体状である。ケース13は、ボルト等によってブラケット6に接続される。
【0028】
張力調整機構15は、伝達部材45の張力を調整するための装置である。張力調整機構15の一端は、軸受ユニット205に接続される。張力調整機構15の他端は、モータフランジ35に接続される。モータユニット3がボールねじユニット2に対してY方向に移動できる状態で張力調整機構15が操作される。これにより、モータユニット3とボールねじユニット2との間のY方向の距離が変化する。このため、張力調整機構15が操作されることによって、伝達部材45の張力が調整される。
【0029】
図5は、本実施形態のブラケットの正面図である。図6は、本実施形態のブラケットの平面図である。図7は、本実施形態のブラケットの左側面図である。図8は、本実施形態の中間プレートの正面図である。図9は、本実施形態の中間プレートの左側面図である。図10は、本実施形態のブラケット及び中間プレートの正面図である。
【0030】
ブラケット6は、ボールねじユニット2とモータユニット3とを接続するための部材である。図1に示すように、ブラケット6は、ハウジング20の軸受ユニット205からモータフランジ35に架け渡される。図5に示すように、ブラケット6は、凹部61と、第1入力シャフト穴63と、複数の通し穴65と、出力シャフト穴67と、複数の長穴69と、を備える。
【0031】
図5に示すように、凹部61は、X方向から見て正方形である。凹部61は、内壁として側面611と、側面612と、底面613と、を含む。側面611は、Y方向に対して直交する。側面612は、側面611と平行である。底面613は、側面611及び側面612に対して直交する。図5に示すように、長さL1は、長さL2と等しい。長さL1は、第1方向における凹部61の長さである。第1方向は、第1回転軸R1に対して直交し且つ第2回転軸R2を通る直線に平行な方向である。図5において、第1方向は、Y方向である。すなわち、長さL1は、側面611から側面612までの距離である。長さL2は、第2方向における凹部61の長さである。第2方向は、X方向及び第1方向の両方に対して直交する方向である。図5において、第2方向は、Z方向である。
【0032】
図5に示すように、第1入力シャフト穴63は、第1回転軸R1を中心とした円形の穴である。第1入力シャフト穴63は、底面613に配置される貫通穴である。図1に示す入力シャフト23は、第1入力シャフト穴63を貫通する。
【0033】
図5に示すように、通し穴65は、底面613に配置される貫通穴である。通し穴65は、図4に示す雌ねじ16に重なる。X方向から見た場合の通し穴65は、雌ねじ16よりも大きい。1つの通し穴65は、1つの雌ねじ16の全体と重なる。複数の通し穴65は、第1通し穴651と、第2通し穴652と、第3通し穴653と、第4通し穴654と、を含む。第1通し穴651は、図4に示す第1雌ねじ161と重なる。第2通し穴652は、第2雌ねじ162と重なる。第3通し穴653は、第3雌ねじ163と重なる。第4通し穴654は、第4雌ねじ164と重なる。通し穴65の少なくとも一部は、Y方向及びZ方向の両方に対して交差する方向に延びる長穴である。X方向から見た場合、通し穴65の一部である長穴の一辺は、第1回転軸R1を中心とした円の接線方向に沿う。
【0034】
例えば、4つの通し穴65の大きさは、互いに同じである。4つの通し穴65の形状は、第1回転軸R1を中心とした点対称である。軸受ユニット205に対するブラケット6の角度に応じて、1つの雌ねじ16(例えば第1雌ねじ161)に重なる通し穴65が変化する。1つの通し穴65が4つの雌ねじ16のうち任意の1つの全体に重なる場合に、他の3つの通し穴は、それぞれ雌ねじ16の全体に重なる。
【0035】
例えば、第1通し穴651が第1雌ねじ161の全体に重なる場合に、第2通し穴652が第2雌ねじ162の全体に重なり、第3通し穴653が第3雌ねじ163の全体に重なり、第4通し穴654が第4雌ねじ164の全体に重なる。
【0036】
例えば、第1通し穴651が第2雌ねじ162の全体に重なる場合に、第2通し穴652が第3雌ねじ163の全体に重なり、第3通し穴653が第4雌ねじ164の全体に重なり、第4通し穴654が第1雌ねじ161の全体に重なる。
【0037】
例えば、第1通し穴651が第3雌ねじ163の全体に重なる場合に、第2通し穴652が第4雌ねじ164の全体に重なり、第3通し穴653が第1雌ねじ161の全体に重なり、第4通し穴654が第2雌ねじ162の全体に重なる。
【0038】
図5に示すように、出力シャフト穴67は、貫通穴であって、第1方向に延びる長穴である。図1に示す出力シャフト33は、出力シャフト穴67を貫通する。
【0039】
図5に示すように、長穴69は、貫通穴であって、第1方向に延びる長穴である。図3に示す締結ねじ19は、長穴69を貫通し、モータフランジ35に設けられる雌ねじに噛み合う。これにより、ブラケット6がモータフランジ35に固定される。張力調整機構15による伝達部材45の張力の調整は、締結ねじ19が仮締めされた状態で行われる。締結ねじ19が長穴69の中を第1方向に移動でき且つ出力シャフト33が出力シャフト穴67の中を第1方向に移動できるので、張力調整機構15の操作に応じてボールねじユニット2とモータユニット3との間の距離が変化する。ボールねじユニット2とモータユニット3との間の距離が決められた後、締結ねじ19が増し締めされる。
【0040】
中間プレート7は、板状であって、ブラケット6の凹部61に配置される。中間プレート7は、ブラケット6に対してハウジング20とは反対側に配置される。図8に示すように、中間プレート7は、第2入力シャフト穴73と、複数の凹部74と、複数のねじ穴75と、を備える。
【0041】
第2入力シャフト穴73は、第1回転軸R1を中心とした円形の穴である。第2入力シャフト穴73は、ブラケット6の第1入力シャフト穴63に重なる貫通穴である。図1に示す入力シャフト23は、第2入力シャフト穴73を貫通する。中間プレート7は、入力シャフト23と接続された従動プーリ43を、軸受を介して支持する。凹部74は、ブラケット6の底面613とは反対側の表面に設けられる。凹部74は、第1凹部741と、第2凹部742と、第3凹部743と、第4凹部744と、を含む。凹部74の底面には、締結ねじ17の頭部が接する。
【0042】
ねじ穴75は、凹部74の底面に配置される貫通穴である。ねじ穴75の内周面には、ねじ山があってもよいし、なくてもよい。複数のねじ穴75は、第1ねじ穴751と、第2ねじ穴752と、第3ねじ穴753と、第4ねじ穴754と、を含む。複数のねじ穴75は、複数の雌ねじ16に一対一で対応する。第1ねじ穴751、第2ねじ穴752、第3ねじ穴753及び第4ねじ穴754の相対的な位置関係は、第1雌ねじ161、第2雌ねじ162、第3雌ねじ163及び第4雌ねじ164の相対的な位置関係と同じである。中間プレート7は、軸受ユニット205に対するブラケット6の角度に関わらず、第1ねじ穴751が第1雌ねじ161に重なり、第2ねじ穴752が第2雌ねじ162も重なり、第3ねじ穴753が第3雌ねじ163に重なり、第4ねじ穴754が第4雌ねじ164に重なるように、配置される。
【0043】
ブラケット6の第1通し穴651が図4に示す第1雌ねじ161に重なる場合、第1ねじ穴751は、ブラケット6の第1通し穴651を介して、第1雌ねじ161と重なる。第2ねじ穴752は、ブラケット6の第2通し穴652を介して、図4に示す第2雌ねじ162と重なる。第3ねじ穴753は、ブラケット6の第3通し穴653を介して、図4に示す第3雌ねじ163と重なる。第4ねじ穴754は、ブラケット6の第4通し穴654を介して、図4に示す第4雌ねじ164と重なる。
【0044】
図8に示すように、長さL3は、長さL4と等しい。長さL3は、第1方向における中間プレート7の長さである。長さL4は、第2方向における中間プレート7の長さである。中間プレート7は、X方向から見た場合に略正方形状である。また、長さL3及び長さL4は、図5に示す凹部61の長さL1及び長さL2と等しい。図10に示すように、中間プレート7は、凹部61に嵌まる。中間プレート7が凹部61の側面611又は側面612に接することによって、中間プレート7の回転が規制される。
【0045】
締結ねじ17は、中間プレート7のねじ穴75及びブラケット6の通し穴65を貫通し、図4に示す雌ねじ16と噛み合う。これにより、中間プレート7及びブラケット6は、ハウジング20(軸受ユニット205)に接続される。
【0046】
なお、中間プレート7は、必ずしもブラケット6の凹部61に嵌められなくてもよい。例えば、ブラケット6が凹部61に備えず、中間プレート7が、出力シャフト穴67及び長穴69が配置されるブラケット6の表面に載せられてもよい。
【0047】
雌ねじ16の数、通し穴65の数、及びねじ穴75の数は、必ずしも4つに限定されず、3つ以下であってもよいし、5つ以上であってもよい。通し穴65は、必ずしも図5に示すような形状を有していなくてもよい。通し穴65の一部は、ブラケット6の側面に開口していなくてもよく、閉じていてもよい。複数の通し穴65の大きさ及び形状は、同じでなくてもよい。
【0048】
図11は、モータユニットがボールねじユニットに対して下側に配置された場合における本実施形態のアクチュエータの平面図である。図12は、モータユニットがボールねじユニットに対して下側に配置された場合における本実施形態のアクチュエータの正面図である。図13は、モータユニットがボールねじユニットに対して下側に配置された場合における本実施形態のアクチュエータの右側面図である。図14は、モータユニットがボールねじユニットに対して下側に配置された場合における本実施形態のブラケット及び中間プレートの正面図である。
【0049】
図4に示すように、雌ねじ16は、第1回転軸R1を中心とした同一円周上に配置されない。仮に特許文献1のように雌ねじに対応するねじ穴がブラケットに設けられる場合、モータユニット3に対するボールねじユニット2の位置を変更するためには、ブラケットのねじ穴の位置を変更する必要が生じる。すなわち、ボールねじユニット2とモータユニット3との位置関係に応じて、ブラケットの設計変更が必要となる。ボールねじユニット2の向きが、スライダ25がねじ軸21に対して上側になるように決められるためである。具体的には、図1から図3のように配置された状態であるか、図11から図13のように配置された状態であるか、に関わらず、軸受ユニット205は、図4に示す向きで配置される。すなわち、ボールねじユニット2とモータユニット3との位置関係に関わらず、図4に示すように第1雌ねじ161及び第2雌ねじ162が、第3雌ねじ163及び第4雌ねじ164に対して上側に配置される。
【0050】
これに対して、本実施形態のアクチュエータ1は、上述したように、ブラケット6と、ブラケット6とは別部材であり且つねじ穴75を有する中間プレート7と、を備える。これにより、ボールねじユニット2とモータユニット3との位置関係に応じた、ブラケット6の設計変更が不要となる。具体的には、図11から図13に示すようにモータユニット3がボールねじユニット2に対して下側に配置される場合、中間プレート7は、図14に示すようにブラケット6に嵌められる。図10に示す状態と比較して、中間プレート7が、90°回転させられる。図8に示すように長さL3が長さL4と等しいので、中間プレート7は、90°回転した場合でもブラケット6に嵌まる。
【0051】
図11から図14に示す状態において、第1ねじ穴751は、ブラケット6の第4通し穴654を介して、図4に示す第1雌ねじ161と重なる。第2ねじ穴752は、ブラケット6の第1通し穴651を介して、図4に示す第2雌ねじ162と重なる。第3ねじ穴753は、ブラケット6の第2通し穴652を介して、図4に示す第3雌ねじ163と重なる。第4ねじ穴754は、ブラケット6の第3通し穴653を介して、図4に示す第4雌ねじ164と重なる。
【0052】
また、モータユニット3がボールねじユニット2に対して-Y方向に配置される場合(図1から図3に対して逆の配置の場合)、図10に示す状態と比較して、中間プレート7が、180°回転させられる。この場合、第1ねじ穴751は、ブラケット6の第3通し穴653を介して、図4に示す第1雌ねじ161と重なる。第2ねじ穴752は、ブラケット6の第4通し穴654を介して、図4に示す第2雌ねじ162と重なる。第3ねじ穴753は、ブラケット6の第1通し穴651を介して、図4に示す第3雌ねじ163と重なる。第4ねじ穴754は、ブラケット6の第2通し穴652を介して、図4に示す第4雌ねじ164と重なる。
【0053】
以上で説明したように、アクチュエータ1は、ボールねじユニット2と、モータユニット3と、ブラケット6と、中間プレート7と、締結ねじ17と、を備える。ボールねじユニット2は、ねじ軸21、及びねじ軸21を支持するハウジング20を備える。モータユニット3は、モータ31、及びモータ31の端面に配置されるモータフランジ35を備える。ブラケット6は、ハウジング20からモータフランジ35に架け渡される。中間プレート7は、ブラケット6に対してハウジング20とは反対側に配置される。締結ねじ17は、ブラケット6及び中間プレート7をハウジング20に接続する。ハウジング20は、ブラケット6に面する複数の雌ねじ16を備える。ブラケット6は、ねじ軸21の軸方向から見た場合に雌ねじ16よりも大きい複数の通し穴65を備える。中間プレート7は、複数の雌ねじ16に一対一で対応する複数のねじ穴75を備える。締結ねじ17は、ねじ穴75及び通し穴65を貫通し、雌ねじ16と噛み合う。
【0054】
これにより、ブラケット6に対する中間プレート7の向きを変更することが可能である。ブラケット6に対する中間プレート7の向きを変更することによって、ねじ穴75を雌ねじ16に重ねることができる。このため、ボールねじユニット2とモータユニット3との位置関係が変わる場合でも、ブラケット6の形状を変更せずに、ボールねじユニット2とブラケット6とを接続できる。したがって、本実施形態のアクチュエータ1によれば、ボールねじユニット2とモータユニット3との位置関係の変更が容易である。
【0055】
アクチュエータ1において、ブラケット6は、中間プレート7が嵌まる凹部61を備える。軸方向に対して直交する第1方向における中間プレート7の長さL3(図8参照)は、軸方向及び第1方向の両方に対して直交する第2方向における中間プレート7の長さL4(図8参照)と等しい。
【0056】
これにより、中間プレート7が凹部61に嵌まることによって、中間プレート7の回転が規制される。このため、中間プレート7の位置決めが容易である。また、中間プレート7の第1方向の長さL3と第2方向の長さL4とが等しいので、ブラケット6に対する中間プレート7の向きが変更された場合でも中間プレート7は凹部61に嵌まることができる。
【0057】
(変形例)
図15は、変形例のブラケットの正面図である。図16は、変形例の中間プレートの正面図である。図17は、変形例の中間プレートの左側面図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0058】
図15に示すように、変形例のブラケット6Aは、複数のピン穴66を備える。複数のピン穴66は、第1ピン穴661と、第2ピン穴662と、第3ピン穴664と、を備える。ピン穴66は、中間プレート7Aに面する表面に配置される。すなわち、ピン穴66は、凹部61の底面613に配置される。ピン穴66は、窪みであってもよいし、貫通していてもよい。
【0059】
図15に示すように、第1回転軸R1からそれぞれのピン穴66までの距離は、互いに等しい。すなわち、複数のピン穴66は、第1回転軸R1を中心とした同一円周上に配置される。第1回転軸R1から第1ピン穴661までの距離D661と、第1回転軸R1から第2ピン穴662までの距離D662と、第1回転軸R1から第3ピン穴664までの距離D664とは、互いに等しい。
【0060】
図15に示すように、X方向から見た場合に第1回転軸R1と第1ピン穴661の中心とを通る直線を直線S661とする。X方向から見た場合に第1回転軸R1と第2ピン穴662の中心とを通る直線を直線S662とする。X方向から見た場合に第1回転軸R1と第3ピン穴664の中心とを通る直線を直線S664とする。直線S661は、直線S662に対して直交する。すなわち、第1ピン穴661は、第2ピン穴662に対して90°ずれて配置される。直線S662は、直線S664と平行である。すなわち、第2ピン穴662は、第3ピン穴664に対して180°ずれて配置される。第2ピン穴662及び第3ピン穴664は、第1回転軸R1に対して点対称である。なお、ピン穴66の数は、必ずしも3つでなくてもよい。ピン穴66の数は、2つ以上であればよい。
【0061】
図16及び図17に示すように、中間プレート7Aは、ピン76を備える。ピン76は、複数のピン穴66のいずれか1つに嵌まる。第1回転軸R1からピン76までの距離D76は、図15に示す距離D661、距離D662及び距離D664と等しい。なお、ピン76の数は、必ずしも1つでなくてもよい。例えば、ピン穴66の数が図15に示すように3つである場合、ピン76の数は2つであってもよい。例えば、第1回転軸R1に対して第1ピン穴661と点対称である位置にピン穴66が設けられる場合、ピン76の数はピン穴66の4つ以下であればよい。
【0062】
ボールねじユニット2及びモータユニット3が図1から図3に示すように配置される場合、ピン76は、第2ピン穴662に嵌まる。ボールねじユニット2及びモータユニット3が図11から図13に示すように配置される場合、ピン76は、第1ピン穴661に嵌まる。モータユニット3がボールねじユニット2に対して-Y方向に配置される場合(図1から図3に対して逆の配置の場合)、ピン76は、第3ピン穴664に嵌まる。
【0063】
上述したように、ブラケット6Aは、中間プレート7Aに面する表面に配置される複数のピン穴66を備える。ねじ軸21の第1回転軸R1からそれぞれのピン穴66までの距離は、互いに等しい。中間プレート7Aは、複数のピン穴66のいずれか1つに嵌まるピン76を備える。
【0064】
これにより、ピン76がピン穴66に嵌まることによって、中間プレート7Aの回転が規制される。このため、中間プレート7の位置決めが容易である。アクチュエータ1は、ボールねじユニット2とモータユニット3との位置関係に関する少なくとも2つのパターンに対応できる。
【0065】
また、ブラケット6Aは、少なくとも3つのピン穴66を備える。
【0066】
これにより、アクチュエータ1は、ボールねじユニット2とモータユニット3との位置関係に関する3つのパターンに対応できる。すなわち、アクチュエータ1は、モータユニット3がボールねじユニット2に対して水平方向の一方側又は他方側に配置される場合、及びモータユニット3がボールねじユニット2に対して下側に配置される場合に対応できる。
【符号の説明】
【0067】
1 アクチュエータ
13 ケース
15 張力調整機構
16 雌ねじ
161 第1雌ねじ
162 第2雌ねじ
163 第3雌ねじ
164 第4雌ねじ
2 ボールねじユニット
20 ハウジング
201 本体
203、205 軸受ユニット
21 ねじ軸
23 入力シャフト
25 スライダ
3 モータユニット
31 モータ
33 出力シャフト
35 モータフランジ
4 伝達機構
41 駆動プーリ
43 従動プーリ
45 伝達部材
6、6A ブラケット
61 凹部
611、612 側面
613 底面
63 第1入力シャフト穴
65 通し穴
651 第1通し穴
652 第2通し穴
653 第3通し穴
654 第4通し穴
66 ピン穴
661 第1ピン穴
662 第2ピン穴
664 第3ピン穴
67 出力シャフト穴
69 長穴
7、7A 中間プレート
73 第2入力シャフト穴
74 凹部
741 第1凹部
742 第2凹部
743 第3凹部
744 第4凹部
75 ねじ穴
751 第1ねじ穴
752 第2ねじ穴
753 第3ねじ穴
754 第4ねじ穴
76 ピン
R1 第1回転軸
R2 第2回転軸
S661、S662、S664 直線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17