(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】フロート式水位計用補助具
(51)【国際特許分類】
G01F 23/40 20060101AFI20220426BHJP
【FI】
G01F23/40 Z
(21)【出願番号】P 2018122014
(22)【出願日】2018-06-27
【審査請求日】2021-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】田川 善大
(72)【発明者】
【氏名】麻生 茂男
(72)【発明者】
【氏名】持田 圭
(72)【発明者】
【氏名】小数賀 寛
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-078561(JP,A)
【文献】特開2005-348898(JP,A)
【文献】米国特許第06142450(US,A)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0058985(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 23/40-23/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
滑車に掛けられたワイヤーの一端にウエイトが配設され、前記ワイヤーの他端にフロートが配設されたフロート式水位計の、前記ウエイトまたは前記フロートを引き上げるためのフロート式水位計用補助具であって、
前記フロート式水位計の周囲の外部部材に仮固定される仮固定部材と、
前記仮固定部材に配設された補助滑車と、を備え、
前記仮固定部材を前記外部部材に仮固定し、前記ワイヤーを前記補助滑車に掛けて横方向に引き出すことで、前記ウエイトまたは前記フロートが引き上げられる、
ことを特徴とするフロート式水位計用補助具。
【請求項2】
前記仮固定部材に連結された棒状の支持部材を備え、
床体を前記外部部材として、前記仮固定部材を前記床体に配置して前記支持部材を保持することで、前記仮固定部材が前記床体に仮固定される、
ことを特徴とする請求項1に記載のフロート式水位計用補助具。
【請求項3】
前記支持部材は、前記仮固定部材からの突出角度が調整可能となっている、
ことを特徴とする請求項
2に記載のフロート式水位計用補助具。
【請求項4】
前記仮固定部材は、前記フロート式水位計を覆う収容庫を前記外部部材として、仮固定可能となっている、
ことを特徴とする請求項1に記載のフロート式水位計用補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フロート式水位計を点検や清掃する際に使用するフロート式水位計用補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
河川やダムなどの水位を正確に計測する装置の1つとして、フロート式水位計が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このフロート式水位計は、プーリー(滑車)に掛けられたワイヤーの一端にウエイト(錘)が配設され、ワイヤーの他端にフロート(浮遊体)が配設されている。そして、フロートが水に浮き、ウエイトによってワイヤーが張られた状態で水位が変化すると、その変化に伴ってフロートが上下動し、このフロートの位置に基づいて水位を計測するものである。
【0003】
また、水面から水中に防波管が配置され、この防波管内にワイヤーおよびウエイトとフロートとが配設されている。さらに、防波管の上方とプーリーを覆う小屋状の収容庫(架台)が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のようなフロート式水位計を点検したり清掃したりする際には、従来、作業者が収容庫に入ってウエイトやフロートを引き上げる必要がある。つまり、狭い収容庫のなかで、ワイヤーを手繰り寄せてウエイトやフロートを引き上げて点検等したり、ワイヤーを手繰り下ろしてウエイトやフロートを下げたりしなければならず、作業者に多大な負担を与えていた。
【0006】
また、狭い収容庫のなかで姿勢が悪い状態で作業を行わなければならないことから、次のような問題が生じるおそれがあった。第1に、水位測定範囲が広い(ワイヤーが長い)場合、長くワイヤーを引き上げたり引き下げたりしなければならず、疲労によって途中でワイヤーを落下させてしまうおそれがあった。第2に、ワイヤーの引き上げや引き下げを急激に行うことで、ワイヤーがプーリーから外れるおそれがあった。第3に、防波管の上部端縁(ハンチ部)にワイヤーが接触した状態でワイヤーを引き上げたり引き下げたりすると、ワイヤーが摩耗、損傷してしまうおそれがあった。
【0007】
そこでこの発明は、作業者への負担を軽減して適正にワイヤーの引き上げ等を行えるようにする、フロート式水位計用補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、滑車に掛けられたワイヤーの一端にウエイトが配設され、前記ワイヤーの他端にフロートが配設されたフロート式水位計の、前記ウエイトまたは前記フロートを引き上げるためのフロート式水位計用補助具であって、前記フロート式水位計の周囲の外部部材に仮固定される仮固定部材と、前記仮固定部材に配設された補助滑車と、を備え、前記仮固定部材を前記外部部材に仮固定し、前記ワイヤーを前記補助滑車に掛けて横方向に引き出すことで、前記ウエイトまたは前記フロートが引き上げられる、ことを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、仮固定部材を外部部材に仮固定し、ワイヤーの一端側を補助滑車に掛けて横方向に外側に引き出すことで、ウエイトが引き上げられ、ワイヤーの他端側を補助滑車に掛けて横方向に外側に引き出すことで、フロートが引き上げられる。その後、仮固定部材を外部部材に仮固定し、ワイヤーの一端側を補助滑車に掛けて横方向に内側(滑車側)に押し出すことで、ウエイトが引き下げられ、ワイヤーの他端側を補助滑車に掛けて横方向に内側に押し出すことで、フロートが引き下げられる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載のフロート式水位計用補助具において、前記仮固定部材に連結された棒状の支持部材を備え、床体を前記外部部材として、前記仮固定部材を前記床体に配置して前記支持部材を保持することで、前記仮固定部材が前記床体に仮固定される、ことを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項2に記載のフロート式水位計用補助具において、前記支持部材は、前記仮固定部材からの突出角度が調整可能となっている、ことを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1に記載のフロート式水位計用補助具において、前記仮固定部材は、前記フロート式水位計を覆う収容庫を前記外部部材として、仮固定可能となっている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、ワイヤーを補助滑車に掛けて横方向に引き出したりすることで、ウエイトやフロートを引き上げたりすることができる。つまり、作業者が収容庫のなかに入ることなく、収容庫の外からワイヤーを引き出したりすればよいため、作業者に大きな負担を与えることなく、容易にワイヤーの引き上げ等を行うことが可能となる。
【0014】
そして、収容庫の外という広い空間で作業を行えることから、楽な姿勢で全身を使って適正にワイヤーの引き上げ等を行うことが可能となる。この結果、例えば、長くワイヤーを引き上げたり引き下げたりしなければならない場合でも、疲労が軽減され、途中でワイヤーを落下させてしまうのを防止、抑制することが可能となる。また、ワイヤーの引き上げや引き下げを急激に行うことによってワイヤーが滑車から外れるのを防止、抑制することが可能となる。さらに、引き上げや引き下げの途中でワイヤーが補助滑車で支持されるため、防波管の上部端縁にワイヤーが接触して摩耗、損傷するのを防止、抑制することが可能となる。
【0015】
請求項2の発明によれば、仮固定部材を床体に配置して棒状の支持部材を手などで保持するだけで、仮固定部材が床体(外部部材)に仮固定されるため、周囲環境によらず(収容庫などの外部部材に仮固定できない場合でも)、確実かつ容易に仮固定部材を外部部材に仮固定させることが可能となる。この結果、周囲環境によらず、作業者への負担を軽減して、適正にワイヤーの引き上げ等を行うことが可能となる。また、仮固定部材に棒状の支持部材が連結されただけの簡易な構成のため、容易かつ低コストで製作することが可能となるとともに、保守や取り扱いが容易となる。
【0016】
請求項3の発明によれば、仮固定部材に対する支持部材の突出角度が調整可能なため、周囲環境や作業者の背丈などに応じて突出角度を調整することで、より適正かつ容易に支持部材を保持することが可能となる。この結果、作業者への負担をより軽減して、適正にワイヤーの引き上げ等を行うことが可能となる。
【0017】
請求項4の発明によれば、フロート式水位計の収容庫に仮固定部材を仮固定可能なため、仮固定部材を収容庫に仮固定することで、作業者が仮固定部材つまり本補助具を保持する必要がない。このため、作業者への負担をより軽減して、適正にワイヤーの引き上げ等を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】この発明の実施の形態1に係るフロート式水位計用補助具の使用状態を示す正面図である。
【
図2】
図1のフロート式水位計用補助具の正面図である。
【
図3】
図2のフロート式水位計用補助具の平面図である。
【
図4】この発明の実施の形態に係る収容庫を示す正面図である。
【
図5】この発明の実施の形態2に係るフロート式水位計用補助具を示す正面図(a)と平面図(b)である。
【
図6】
図4の収容庫のドアを開けた状態を示す斜視図である。
【
図7】
図4の収容庫の下端縁部を示す断面図(
図6のA-A断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0020】
(実施の形態1)
図1~
図4は、この実施の形態を示し、
図2および
図3は、この実施の形態に係るフロート式水位計用補助具1を示す正面図と平面図である。このフロート式水位計用補助具1は、フロート式水位計100のウエイト101またはフロート102を引き上げたり引き下げたりするための補助具である。
【0021】
ここで、フロート式水位計100は、
図1に示すように、側面に多くの通水孔が設けられた防波管103の上方(後述する収容庫110の上部)に、プーリー(滑車)104が配設されている。このプーリー104に掛けられたワイヤー105の一端にウエイト(錘)101が配設され、ワイヤー105の他端にフロート(浮遊体)102が配設されている。そして、フロート102が水に浮き、ウエイト101によってワイヤー105が張られた状態で水位が変化すると、その変化に伴ってフロート102が上下動し、このフロート102の位置に基づいて水位を計測するものである。
【0022】
また、水面から水中に配置された防波管103内に、ワイヤー105およびウエイト101とフロート102とが配設されている。さらに、このようなフロート式水位計100が小屋状の収容庫110で覆われている。この収容庫110は、
図4に示すように、略直方体で床体120上に配設され、ドア111を開けると表面側110aが開放されるようになっている。また、収容庫110が配置されている床体120の部位(収容庫110の真下)には、開口120aが設けられ、この開口120aを介して防波管103が配設されている。
【0023】
フロート式水位計用補助具1は、主として、仮固定部材2と、補助滑車3と、支持部材4と、を備える。
【0024】
仮固定部材2は、フロート式水位計100の周囲の外部部材に仮固定される部材であり、この実施の形態では、床体120を外部部材として仮固定されるようになっている。すなわち、
図2、
図3に示すように、棒状体で、水平に延びる水平部21と、この水平部21の一端から斜め下方に延びる傾斜部22と、を備える。
【0025】
また、水平部21の下面には、断面がL字状で棒状のストッパー23が、水平部21と直交し、かつ、一辺が水平部21に対して垂直に延びるように、配設されている。そして、
図1に示すように、床体120の開口120aの縁にストッパー23を当てて、水平部21を床体120に配置した状態で、傾斜部22つまり後述する補助滑車3がワイヤー105側に突出するように、仮固定部材2の形状が設定されている。
【0026】
補助滑車3は、仮固定部材2に配設され、ワイヤー105を掛けられる滑車である。すなわち、仮固定部材2の傾斜部22の上面に、その回転軸が仮固定部材2の軸線と直交し、上記のように、仮固定部材2を床体120に配置した状態でワイヤー105を掛けられるように配設されている。具体的に、この実施の形態では、仮固定部材2を床体120に配置することで、補助滑車3がワイヤー105に接触して、ワイヤー105を補助滑車3に掛けられるようになっている。
【0027】
そして、後述するようにして仮固定部材2を床体120に仮固定した状態で、
図1に示すように、ワイヤー105を補助滑車3に掛けて横方向に外側(収容庫110の外側)に引き出すことで、ウエイト101またはフロート102が引き上げられる。同様に、引き出したワイヤー105を補助滑車3に掛けて横方向に内側(収容庫110の内側)に押し出すことで、ウエイト101またはフロート102が引き下げられる。
【0028】
支持部材4は、仮固定部材2に連結された棒状の部材で、仮固定部材2からの突出角度が調整可能となっており、この実施の形態では、連結板5を介して仮固定部材2に連結されている。すなわち、連結板5は、
図2に示すように、略90°の扇状の平板で、その板面が仮固定部材2の軸線と平行し、かつ、水平な辺が水平部21の下面と面一になるように、水平部21の他端に配設されている。また、連結板5の板面には、直角部を中心とする円弧状のスリット(長孔)51が形成されている。
【0029】
そして、支持部材4の長尺状の主体41の一端部が、連結板5の直角部に回転軸42を介して回転自在に連結されている。これにより、主体41が仮固定部材2の水平部21の軸線と平行に延び、かつ、水平部21の軸線と直交する回転軸42を中心に主体41が回転し、水平部21からの突出角度(水平に対する角度)が調整可能となっている。
【0030】
また、主体41の回転軸42側にはネジ孔が形成され、止めネジ43をスリット51に挿入してネジ孔に締め付けることで、主体41が連結板5に固定される(回転止めされる)ようになっている。一方、主体41の他端部には、主体41に対して垂直に延びるハンドル44が配設されている。そして、
図1に示すように、仮固定部材2の水平部21を床体120に配置して、支持部材4のハンドル44を保持することで、仮固定部材2が床体120に仮固定される。
【0031】
次に、このような構成のフロート式水位計用補助具1の使用方法、作用などについて説明する。ここで、作業に先立って、周囲環境や副作業者M2の背丈などに応じて、仮固定部材2に対する支持部材4の突出角度を調整する。つまり、止めネジ43を緩めて主体41を所望の角度に回転させ、止めネジ43を締め付けて主体41を回転止めする。
【0032】
点検や清掃などを行うために、ウエイト101とフロート102を引き上げるには、まず、収容庫110のドア111を開け、
図1に示すように、床体120の開口120aの縁に仮固定部材2のストッパー23を当てて、水平部21を床体120に配置し、副作業者M2が支持部材4のハンドル44を保持して仮固定部材2を床体120に仮固定させる。これにより、補助滑車3がワイヤー105側に突出し、主作業者M1がワイヤー105の一端側(プーリー104で二分された一方のワイヤー105)を補助滑車3に掛けて横方向に外側(反防波管103側)に引き出すことで、ウエイト101を引き上げる。この際、主作業者M1は、収容庫110のなかに入ることなく、収容庫110の外からワイヤー105を収容庫110の外側に引き出せばよい。同様に、収容庫110の外からワイヤー105の他端側(プーリー104で二分された他方のワイヤー105)を補助滑車3に掛けて横方向に外側に引き出すことで、フロート102を引き上げる。
【0033】
次に、ウエイト101とフロート102に対する点検や清掃などが完了した後に、ウエイト101とフロート102を引き下げるには、まず、上記と同様にして、仮固定部材2を床体120に仮固定させる。続いて、主作業者M1がワイヤー105の一端側を補助滑車3に掛けて横方向に内側(防波管103側)に押し出すことで、ウエイト101を引き下げる。この際、主作業者M1は、収容庫110のなかに入ることなく、収容庫110の外からワイヤー105を収容庫110の内側に押し出せばよい。同様に、収容庫110の外からワイヤー105の他端側を補助滑車3に掛けて横方向に内側に押し出すことで、フロート102を引き下げる。
【0034】
このように、このフロート式水位計用補助具1によれば、ワイヤー105を補助滑車3に掛けて横方向に引き出したりすることで、ウエイト101やフロート102を引き上げたりすることができる。つまり、主作業者M1が収容庫110のなかに入ることなく、収容庫110の外からワイヤー105を引き出したりすればよいため、主作業者M1に大きな負担を与えることなく、容易にワイヤー105の引き上げ等を行うことが可能となる。
【0035】
そして、収容庫110の外という広い空間で作業を行えることから、楽な姿勢で全身を使って適正にワイヤー105の引き上げ等を行うことが可能となる。この結果、例えば、長くワイヤー105を引き上げたり引き下げたりしなければならない場合でも、疲労が軽減され、途中でワイヤー105を落下させてしまうのを防止、抑制することが可能となる。また、疲労しないようにワイヤー105の引き上げや引き下げを急激に行うことによって、ワイヤー105がプーリー104から外れるのを防止、抑制することが可能となる。さらに、引き上げや引き下げの途中でワイヤー105が補助滑車3で支持されるため(補助滑車3が開口120aや防波管103の端縁よりも内側に位置するため)、防波管103の上部端縁にワイヤー105が接触して摩耗、損傷するのを防止、抑制することが可能となる。
【0036】
また、仮固定部材2を床体120に配置して棒状の支持部材4を手などで保持するだけで、仮固定部材2が床体(外部部材)120に仮固定されるため、周囲環境によらず(収容庫110などの外部部材に仮固定できない場合でも、床は必ず存在するため)、確実かつ容易に仮固定部材2を外部部材に仮固定させることが可能となる。この結果、周囲環境によらず、作業者への負担を軽減して、適正にワイヤー105の引き上げ等を行うことが可能となる。また、仮固定部材2に棒状の支持部材4が連結されただけの簡易な構成のため、容易かつ低コストで製作することが可能となるとともに、保守や取り扱いが容易となる。
【0037】
しかも、仮固定部材2に対する支持部材4の突出角度が調整可能なため、周囲環境や作業者の背丈などに応じて突出角度を調整することで、より適正かつ容易に支持部材4を保持することが可能となる。この結果、作業者への負担をより軽減して、適正にワイヤー105の引き上げ等を行うことが可能となる。
【0038】
(実施の形態2)
図5~
図7は、この実施の形態を示し、この実施の形態では、フロート式水位計100を覆う収容庫110を外部部材として仮固定部材2が仮固定可能となっている点で実施の形態1と構成が異なり、実施の形態1と同等の構成については、同一符号を付することでその説明を省略する。
【0039】
この実施の形態におけるフロート式水位計用補助具10は、
図5に示すように、仮固定部材2の水平部21の他端側に、2つの挟持板61、62からなる挟持体6が配設されている。すなわち、挟持板61、62は、帯板状で、水平部21と直交し、かつ、板面が水平部21に対して垂直に延びるように、配設されている。また、補助滑車3から遠い第2の挟持板62には、2つの仮固定ネジ63が螺合されている。
【0040】
一方、収容庫110は、
図6に示すように、ドア111を開けて表面側110aを開放した状態で、下部に、
図7に示すような断面がL字状の下端縁部112が露出する。この下端縁部112は、収容庫110の下部の四角い枠を構成する一辺であり、垂直部112aが略垂直に立ち上がり、水平部112bが略水平に延びている。
【0041】
また、第1の挟持板61と第2の挟持板62との隙間は、下端縁部112の垂直部112aの厚みよりもやや大きく設定されている。そして、第1の挟持板61と第2の挟持板62との間に垂直部112aを挿入して仮固定ネジ63を締め付けることで、仮固定部材2つまりフロート式水位計用補助具10が収容庫110の下端縁部112に仮固定されるものである。また、このような仮固定状態では、実施の形態1と同様に、補助滑車3がワイヤー105に接触して、ワイヤー105を補助滑車3に掛けられるようになっている。
【0042】
このような実施の形態によれば、フロート式水位計100の収容庫110に仮固定部材2を仮固定可能なため、仮固定部材2を収容庫110に仮固定することで、作業者が仮固定部材2つまり本フロート式水位計用補助具10を保持する必要がない。このため、作業者への負担をより軽減して、適正にワイヤー105の引き上げ等を行うことが可能となる。また、長い支持部材4を有さないため、全体がコンパクトになり、取り扱いや運搬、保管などがし易くなる。
【0043】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態1では、床体120の開口120aの縁に仮固定部材2のストッパー23を当てているが、その他の部材にストッパー23を当ててもよいし、ストッパー23を設けずに仮固定部材2を床体120に配置、仮固定してもよい。また、床体120や収容庫110を外部部材として仮固定部材2を仮固定しているが、その他の部材を外部部材として仮固定してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1、10 フロート式水位計用補助具
2 仮固定部材
3 補助滑車
4 支持部材
5 連結板
6 挟持体
61、62 挟持板
63 仮固定ネジ
100 フロート式水位計
101 ウエイト
102 フロート
103 防波管
104 プーリー(滑車)
105 ワイヤー
110 収容庫(外部部材)
120 床体(外部部材)
M1、M2 作業者