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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】供給装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20220426BHJP
   H01M 50/184 20210101ALI20220426BHJP
   H01M 50/609 20210101ALI20220426BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M50/184 A
H01M50/609
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018161740
(22)【出願日】2018-08-30
(65)【公開番号】P2020035665
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-02-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100190470
【弁理士】
【氏名又は名称】谷澤 恵美
(72)【発明者】
【氏名】神谷 友規
【審査官】藤原 敬士
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-106850(JP,A)
【文献】特開2018-088312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
H01M 50/184
H01M 50/609
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数のバイポーラ電極を有する電極積層体と、前記電極積層体を取り囲むように配置され、隣り合う前記バイポーラ電極間に形成された内部空間を封止する封止体と、を有する電池構造体の前記内部空間に、前記封止体に設けられ、前記内部空間と連通する連通孔を通じて流体を供給するための供給装置であって、
前記流体を供給する流路が設けられたノズルと、
前記ノズルの先端面に配置されたパッキンと、を備え、
前記パッキンには、前記流路と連通する貫通孔が設けられ、
前記流路は、前記先端面に開口しており、
前記ノズルは、前記流路を囲むように前記先端面に設けられた第1突条部を有する、供給装置。
【請求項2】
前記第1突条部は、前記連通孔を囲むように前記封止体の外側面に設けられた第2突条部と前記パッキンを介して互いに対向している、請求項1に記載の供給装置。
【請求項3】
前記先端面には、前記パッキンを位置決めする位置決め部が設けられている、請求項1又は2に記載の供給装置。
【請求項4】
単体の前記ノズルに対して、前記流路が複数設けられ、
前記第1突条部は、前記複数の流路をそれぞれ囲むように前記先端面に複数設けられている、請求項1~3のいずれか一項に記載の供給装置。
【請求項5】
前記複数の第1突条部は、互いに一体化されている、請求項4に記載の供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の蓄電モジュールとして、電極板の一方面に正極が形成され、他方面に負極が形成されたバイポーラ電極を備えるバイポーラ電池が知られている(特許文献1参照)。バイポーラ電池は、セパレータを介して複数のバイポーラ電極を積層してなる積層体を備えている。積層体の側面には、積層方向に隣り合うバイポーラ電極間を封止する封止体が設けられており、バイポーラ電極間に形成された内部空間に電解液が収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-204386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような蓄電モジュールの製造工程においては、電解液を内部空間に供給するための供給装置が用いられる場合がある。封止体には、内部空間と連通する連通孔が設けられている。供給装置は、封止体に設けられた連通孔を通じて内部空間に電解液を供給する。供給装置は、先端面にパッキンが配置されたノズルを備え、連通孔が開口する封止体の側面に、パッキンを介してノズルの先端面を押し当てた状態で電解液を供給する。パッキンによれば、供給する流体の漏れが抑制される。
【0005】
本発明の一側面は、供給する流体の漏れを更に抑制することが可能な供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る供給装置は、積層された複数のバイポーラ電極を有する電極積層体と、電極積層体を取り囲むように配置され、隣り合うバイポーラ電極間に形成された内部空間を封止する封止体と、を有する電池構造体の内部空間に、封止体に設けられ、内部空間と連通する連通孔を通じて流体を供給するための供給装置であって、流体を供給する流路が設けられたノズルと、ノズルの先端面に配置されたパッキンと、を備え、パッキンには、流路と連通する貫通孔が設けられ、流路は、先端面に開口しており、ノズルは、流路を囲むように先端面に設けられた第1突条部を有する。
【0007】
この供給装置では、ノズルは、流路を囲むように先端面に設けられた第1突条部を有している。このため、第1突条部がパッキンに食い込み、パッキンを強く圧縮する。したがって、供給する流体の漏れを更に抑制することができる。
【0008】
第1突条部は、連通孔を囲むように封止体の外側面に設けられた第2突条部とパッキンを介して互いに対向していてもよい。この場合、第1突条部及び第2突条部がパッキンを厚さ方向に挟み込むようにパッキンに食い込み、パッキンを一層強く圧縮する。したがって、供給する流体の漏れを一層抑制することができる。
【0009】
先端面には、パッキンを位置決めする位置決め部が設けられていてもよい。この場合、貫通孔が流路と連通する位置にパッキンを容易に配置することができる。
【0010】
単体のノズルに対して、流路が複数設けられ、第1突条部は、複数の流路をそれぞれ囲むように先端面に複数設けられていてもよい。この場合、複数の流路により同時に流体を供給することができる。
【0011】
複数の第1突条部は、互いに一体化されていてもよい。この場合、例えば複数の第1突条部が樹脂の射出成型によって形成される場合でも、複数の第1突条部の形成が容易となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一側面によれば、供給する流体の漏れを更に抑制することが可能な供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】蓄電モジュールを備えた蓄電装置を示す断面図である。
図2図1に示される蓄電モジュールの断面図である。
図3図1に示される蓄電モジュールの斜視図である。
図4】実施形態に係る供給装置を示す平面図である。
図5図4に示されるノズル及びパッキンの分解斜視図である。
図6図4に示される供給装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して一実施形態について説明する。なお、図面の説明においては、同一の要素同士、或いは、相当する要素同士には、互いに同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
【0015】
まず、図1図3を参照して、本実施形態に係る供給装置40(図4参照)を用いて製造される蓄電装置1及び蓄電モジュール2について説明する。図1は、蓄電モジュールを備えた蓄電装置を示す断面図である。図1において、蓄電装置1は、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の車両のバッテリとして使用される。蓄電装置1は、複数(ここでは3つ)の蓄電モジュール2(バイポーラ電池)を備えている。蓄電モジュール2は、例えばニッケル水素二次電池である。
【0016】
複数の蓄電モジュール2は、金属製の導電板3を介して積層されている。導電板3は、積層方向(Z軸方向)の両端に位置する蓄電モジュール2の外側にも配置されている。蓄電モジュール2及び導電板3は、例えば積層方向から見て矩形状(平面視矩形状)を呈している。導電板3は、隣り合う蓄電モジュール2と電気的に接続されている。これにより、複数の蓄電モジュール2が積層方向に直列接続されている。
【0017】
積層方向の一端(ここでは下端)に位置する導電板3には、正極端子4が接続されている。積層方向の他端(ここでは上端)に位置する導電板3には、負極端子5が接続されている。正極端子4及び負極端子5は、積層方向に垂直な方向(X軸方向)に延在している。このような正極端子4及び負極端子5を設けることにより、蓄電装置1の充放電を実施することができる。
【0018】
導電板3は、蓄電モジュール2において発生した熱を放出するための放熱板としても機能し得る。導電板3には、積層方向と正極端子4及び負極端子5の延在方向とに垂直な方向(Y軸方向)に延在した複数の空隙3aが設けられている。これらの空隙3aを空気等の冷媒が通過することにより、蓄電モジュール2からの熱を効率的に外部に放出することができる。
【0019】
また、蓄電装置1は、蓄電モジュール2及び導電板3を積層方向に拘束する拘束ユニット6を備えている。拘束ユニット6は、蓄電モジュール2及び導電板3を積層方向に挟む1対の拘束プレート7と、これらの拘束プレート7同士を締結する複数組のボルト8及びナット9とを有している。
【0020】
拘束プレート7は、鉄等の金属で形成されている。各拘束プレート7と導電板3との間には、樹脂フィルム等の絶縁フィルム10がそれぞれ配置されている。拘束プレート7及び絶縁フィルム10は、例えば平面視矩形状を呈している。ボルト8の軸部8aが各拘束プレート7に設けられた挿通孔7aを挿通した状態で、軸部8aの先端部にナット9が螺合することで、蓄電モジュール2、導電板3及び絶縁フィルム10に積層方向の拘束荷重が付与される。
【0021】
図2は、図1に示される蓄電モジュールの断面図である。図3は、図1に示される蓄電モジュールの斜視図である。図2及び図3において、蓄電モジュール2は、複数のセル(例えば24セル)が積層された構造(複数セル構造)を有している。蓄電モジュール2は、電極積層体15と、封止体16と、を有している。電極積層体15は、セパレータ14を介して積層された複数のバイポーラ電極13を有している。封止体16は、電極積層体15を取り囲むように配置され、隣り合うバイポーラ電極13間に形成された内部空間Vを封止している。
【0022】
バイポーラ電極13及びセパレータ14は、例えば平面視矩形状を呈している。セパレータ14は、積層方向に隣り合うバイポーラ電極13の間に配置されている。バイポーラ電極13は、集電体である電極板17と、この電極板17の上面17aに形成された正極18と、電極板17の下面17bに形成された負極19とを有している。
【0023】
バイポーラ電極13の正極18は、セパレータ14を挟んで積層方向に隣り合う一方のバイポーラ電極13の負極19と対向している。バイポーラ電極13の負極19は、セパレータ14を挟んで積層方向に隣り合う他方のバイポーラ電極13の正極18と対向している。
【0024】
電極積層体15の最下層には、正極終端電極20が配置されている。正極終端電極20は、電極板17と、この電極板17の上面17aに形成された正極18と、を有している。電極積層体15の最上層には、負極終端電極21が配置されている。負極終端電極21は、電極板17と、この電極板17の下面17bに形成された負極19と、を有している。正極終端電極20の正極18は、セパレータ14を挟んで最下層のバイポーラ電極13の負極19と対向している。負極終端電極21の負極19は、セパレータ14を挟んで最上層のバイポーラ電極13の正極18と対向している。正極終端電極20及び負極終端電極21の電極板17は、積層方向に隣り合う導電板3(図1参照)に接続されている。
【0025】
電極板17は、例えば、ニッケル又はニッケルメッキ鋼板といった金属からなる。一例として、電極板17は、ニッケルからなる矩形の金属箔である。正極18は、電極板17の上面17aに正極活物質を塗工することにより形成されている。正極活物質としては、例えばコバルト(Co)酸化物コートが施された水酸化ニッケルが用いられる。負極19は、電極板17の下面17bに負極活物質を塗工することにより形成されている。負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が用いられる。電極板17の周縁部17cは、正極活物質及び負極活物質が塗工されない未塗工領域となっている。
【0026】
セパレータ14は、正極18と負極19との間に配置され、正極18と負極19とを隔離する。セパレータ14は、積層方向から見て電極板17よりも小さく且つ正極18及び負極19よりも大きい。セパレータ14は、例えばシート状に形成されている。セパレータ14は、ポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、もしくはPE、PP、またはメチルセルロース等からなる不織布または織布等で形成されている。また、セパレータ14は、フッ化ビニリデン樹脂化合物等で補強されていてもよい。なお、セパレータ14の形状としては、特にシート状に限られず、袋状であってもよい。
【0027】
封止体16は、矩形枠状をなし、複数の第1樹脂部22と、第2樹脂部23と、を有している。複数の第1樹脂部22は、電極積層体15を取り囲むように配置され、複数のバイポーラ電極13の電極板17の周縁部17cをそれぞれ保持している。複数の第1樹脂部22は、複数のバイポーラ電極13の電極板17の周縁部17cにそれぞれ設けられている。
【0028】
第1樹脂部22は、積層方向から見て、矩形環状をなし、電極板17の周縁部17cの全周にわたって連続的に設けられている。第1樹脂部22は、電極板17の上面17aに溶着されて気密に接合されている。第1樹脂部22は、例えば超音波又は熱によって溶着されている。第1樹脂部22は、所定の厚さ(積層方向における長さ)を有するフィルムである。第1樹脂部22の内側の一部は、積層方向に互いに隣り合う電極板17の周縁部17c同士の間に位置しており、外側の一部は、電極板17の端部よりも外側に張り出している。互いに隣り合う第1樹脂部22において、当該外側の一部同士は、互いに溶着されている。第1樹脂部22は、正極終端電極20の電極板17の下面17bの周縁部17cにも設けられている。
【0029】
積層方向に隣り合う電極板17間には、電極板17、正極18、負極19及び第1樹脂部22によって画成された内部空間Vが設けられている。つまり、内部空間Vは、複数のバイポーラ電極13のうち積層方向に隣り合う2つのバイポーラ電極13間に形成される。電極積層体15には、複数(ここでは24)の内部空間Vが設けられている。内部空間Vは、封止され、気密及び液密に形成されている。セパレータ14内を含む内部空間Vには、アルカリ性の電解液が注入されている。アルカリ性の電解液としては、例えば水酸化カリウム水溶液等を含むアルカリ溶液が用いられている。電解液は、セパレータ14、正極18及び負極19内に含浸されている。蓄電モジュール2の各セルは、2つの電極板17、正極18、負極19、セパレータ14及び第1樹脂部22により構成され、内部空間Vを有している。
【0030】
第1樹脂部22は、内部空間Vを封止している。第2樹脂部23は、複数の第1樹脂部22を取り囲んでおり、内部空間Vを更に封止している。第2樹脂部23は、電極積層体15及び複数の第1樹脂部22の外側に設けられ、電極積層体15及び複数の第1樹脂部22を外側から包囲している。第2樹脂部23は、蓄電モジュール2の外壁(筐体)を構成している。第2樹脂部23の外側面は、封止体16の外側面16aを構成している。
【0031】
第2樹脂部23は、例えば樹脂の射出成型によって形成されている。第2樹脂部23は、積層方向に沿って電極積層体15の全長にわたって延在している。すなわち、第2樹脂部23は、積層方向を軸方向として延在する筒状、枠状、又は環状を呈している。第2樹脂部23の内側面は、例えば、射出成型時の熱によって第1樹脂部22の外側面に溶着(接合)されている。
【0032】
第1樹脂部22及び第2樹脂部23は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)または変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)等の絶縁性の樹脂材料によって形成されている。電解液は強アルカリ性なので、シール部材12は、耐強アルカリ性を有する樹脂材料によって形成されている。
【0033】
封止体16には、互いに異なる内部空間Vと連通している複数の連通孔16bが設けられている。複数の連通孔16bは、封止体16を構成する4つの壁部のうちの一つの壁部26に設けられ、外側面16aに開口している。壁部26は、複数の連通孔16bが同数ずつ設けられた複数の連通孔領域27を有している。本実施形態では、24の連通孔16bが6つずつ4つの連通孔領域27に設けられている。4つの連通孔領域27は、Y軸方向に沿って並んでいる。各連通孔領域27において、6つの連通孔16bは、3列2段(Y軸方向に3列、Z軸方向に2段)で配列されている。
【0034】
封止体16は、複数の連通孔16bをそれぞれ囲むように外側面16aに設けられた複数の突条部16cを有している。突条部16cは、外側面16aから外方(X軸方向)に突出している。突条部16cの突出高さは、例えば1mmである。各連通孔領域27において、複数の連通孔16bをそれぞれ囲む複数の突条部16cは、互いに一体化され、格子状を呈している。
【0035】
連通孔16bは、蓄電モジュール2の製造工程において、内部空間Vに電解液を供給するために用いられる。連通孔16bは、内部空間Vに電解液を供給する前に行われる内部空間Vの気密検査又は耐圧検査において、内部空間Vにヘリウム等のガスを供給するためにも用いられる。連通孔16bは、電解液が供給された後は、内部空間Vで発生したガスが流れる流路として機能する。
【0036】
次に、図4図6を参照して、本実施形態に係る供給装置40について説明する。図4は、実施形態に係る供給装置を示す平面図である。図5は、図4に示されるノズル及びパッキンの分解斜視図である。図6は、図4に示される供給装置を示す断面図である。図4及び図5に示される供給装置40は、電池構造体30の内部空間V(図2参照)に、連通孔16bを通じて電解液又はガス等の流体を供給するための装置である。電池構造体30は、蓄電モジュール2(図2参照)の内部空間Vに電解液が注入される前の状態である。電池構造体30は、内部空間Vに電解液が注入されていない点で蓄電モジュール2(図2参照)と相違している。
【0037】
供給装置40は、複数(ここでは4つ)のノズル41と、各ノズル41の先端面41aに配置された複数(ここでは4つ)のパッキン42と、を有している。ノズル41の数は、連通孔領域27の数と同じである。供給装置40は、各ノズル41の先端面41aを、パッキン42を介して蓄電モジュール2の各連通孔領域27に押し当てた状態で内部空間Vに流体を供給する。
【0038】
先端面41aは矩形状を呈している。パッキン42は、矩形板状を呈している。パッキン42の一方面42aは、先端面41aと対向している。パッキン42は、例えば、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等の樹脂材料によって形成されている。電解液は強アルカリ性なので、パッキン42は、例えば、耐強アルカリ性を有する樹脂材料によって形成されている。パッキン42の厚さ(一方面42aと先端面41aとの対向方向における長さ)は、例えば、5mmである。
【0039】
先端面41aには、パッキン42の位置決め部として機能する凹部43が設けられている。つまり、ノズル41は、パッキン42の位置決め部を有している。凹部43は、パッキン42の一方面42aと同形状である底面43aを有している。凹部43の深さは、パッキン42の厚さよりも浅く、例えば2mmである。パッキン42は、一方面42a側の部分が凹部43内に嵌め込まれることにより、先端面41aにおいて位置決めされる。パッキン42の残りの部分(他方面42b側の部分)は、凹部43外に飛び出している。
【0040】
ノズル41には、それぞれ流体を供給する複数(ここでは6つ)の流路44が設けられている。一つのノズル41に設けられた流路44の数は、一つの連通孔領域27に設けられた連通孔16bの数と同じである。複数の流路44は、それぞれ先端面41aに開口している。流路44は、例えば断面円形を呈している。ノズル41は、複数の流路44をそれぞれ囲むように先端面41aに設けられた複数(ここでは6つ)の突条部45を有している。先端面41aにおいて、突条部45により囲まれた面積は、流路44の開口面積よりも広い。
【0041】
複数の突条部45は、具体的には底面43aに設けられ、底面43aから外方に向かって(パッキン42に向かって)突出している。突条部45の突出高さは、凹部43の深さよりも低く、例えば0.5mmである。複数の突条部45は、互いに一体化され、格子状を呈している。ノズル41の先端部分は、例えば樹脂の射出成型によって形成されている。
【0042】
パッキン42には、流路44と連通する複数(ここでは6つ)の貫通孔46が設けられている。貫通孔46は、例えば断面円形を呈している。貫通孔46は、一方面42a及び他方面42bに開口している。
【0043】
ノズル41の先端面41aが蓄電モジュール2の連通孔領域27に押し付けられた状態において、ノズル41の流路44は、パッキン42の貫通孔46及び蓄電モジュール2の連通孔16bを通じて、内部空間Vと連通する。この状態において、突条部16c及び突条部45は、パッキン42を介して互いに対向している。突条部16c及び突条部45の対向方向から見て、突条部16c及び突条部45は互いに重なっている。これにより、突条部16c及び突条部45の間では、パッキン42が強く圧縮される。
【0044】
突条部16c及び突条部45の対向方向から見て、一方面42aの外縁は、複数の突条部45の外縁のそれぞれよりも外側に位置しており、一方面42aの外縁部は、底面43aと接している。一方面42aの外縁と複数の突条部45の外縁との離間距離は、突条部45の突出高さよりも長い。
【0045】
供給装置40を用いて電池構造体30の内部空間Vに電解液を供給し、蓄電モジュール2を製造する場合、図4に示されるように、複数のノズル41の先端面41aを、それぞれパッキン42を介して複数の連通孔領域27に押し付ける。パッキン42の一方面42aが先端面41aと接すると共に、パッキン42の他方面42bが連通孔領域27と接する。複数の流路44は、それぞれ対応する貫通孔46及び複数の連通孔16bを通じて、対応する内部空間Vと連通する。供給装置40は、この状態で電解液の供給を行う。これにより、蓄電モジュール2が製造される。
【0046】
以上説明したように、供給装置40では、ノズル41は、流路44を囲むように先端面41aに設けられた突条部45を有している。これにより、先端面41aと蓄電モジュール2の連通孔領域27との間に配置されたパッキン42に突条部45が食い込み、パッキン42を強く圧縮する。したがって、供給装置40によれば、供給する流体の漏れを更に抑制することができる。よって、例えば、電解液を内部空間Vに加圧供給することができるので、蓄電モジュール2の生産性を向上させることができる。また、内部空間Vの気密検査又は耐圧試験における圧力を引き上げることができる。
【0047】
ノズル41の突条部45は、パッキン42を介して蓄電モジュール2の突条部16cと対向している。このため、突条部45及び突条部16cは、パッキン42を厚さ方向に挟み込むようにパッキン42に食い込み、パッキン42を一層強く圧縮する。したがって、供給する流体の漏れを一層抑制することができる。よって、内部空間Vに対する電解液の加圧供給が更に容易となり、蓄電モジュール2の生産性を更に向上させることができる。また、内部空間Vの気密検査又は耐圧試験における圧力を更に引き上げることができる。
【0048】
供給装置40では、パッキン42の位置決め部として機能する凹部43がノズル41の先端面41aに設けられている。これにより、貫通孔46が流路44と連通する位置にパッキン42を容易に配置することができる。
【0049】
供給装置40は、複数のノズル41を備え、単体のノズル41に対して、流路44が複数設けられている。このため、複数の内部空間Vに対し、複数の流路44により同時に流体を供給することができる。突条部45は、複数の流路44を囲むように先端面41aに複数設けられているので、複数の流路44のそれぞれに対し、供給する流体の漏れを更に抑制することができる。
【0050】
供給装置40では、複数の突条部45が互いに一体化されている。このため、例えば、複数の突条部45を含むノズル41の先端部分が樹脂の射出成型により形成される場合でも、複数の突条部45の形成が容易となる。
【0051】
本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0052】
例えば、供給装置40は、少なくとも1つ以上のノズル41を有していればよい。また、ノズル41には、少なくとも1つ以上の流路44が設けられていればよい。1つの突条部45が、複数の流路44をまとめて囲むように先端面41aに設けられていてもよい。
【0053】
パッキン42は、位置決めされた状態で、例えば接着等により先端面41aに固定されていてもよい。この場合、先端面41aに凹部43が設けられていなくても、貫通孔46及び流路44を互いに連通した状態に保つことができる。
【符号の説明】
【0054】
13…バイポーラ電極、15…電極積層体、16…封止体、16b…連通孔、16c…突条部(第2突条部)、30…電池構造体、40…供給装置、41…ノズル、41a…先端面、42…パッキン、43…凹部(位置決め部)、44…流路、45…突条部(第1突条部)、46…貫通孔、V…内部空間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6