(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】モータおよび電動パワーステアリング装置
(51)【国際特許分類】
H02K 11/02 20160101AFI20220426BHJP
【FI】
H02K11/02
(21)【出願番号】P 2019509150
(86)(22)【出願日】2018-03-09
(86)【国際出願番号】 JP2018009175
(87)【国際公開番号】W WO2018180360
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-02-22
(31)【優先権主張番号】P 2017070710
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山下 佳明
(72)【発明者】
【氏名】大橋 弘光
【審査官】島倉 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-055488(JP,A)
【文献】特開2016-201922(JP,A)
【文献】国際公開第2017/043193(WO,A1)
【文献】特開2006-149145(JP,A)
【文献】特開2008-219956(JP,A)
【文献】特開2013-179830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H02P 25/16
H02K 11/02
H02K 11/215
H02K 11/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
n相(nは3以上の整数)の巻線と、
前記各相の巻線の一端に接続される第1インバータと、
前記各相の巻線の他端に接続される第2インバータと、
を備えたモータであって、
前記n相の巻線は第1相の巻線を含み、
前記第1インバータは、前記第1相の巻線の一端に接続される第1端子を備え、
前記第2インバータは、前記第1相の巻線の他端に接続される第2端子を備え、
前記第1インバータの前記第1端子から出力されて前記第1相の巻線を通った電流は、前記第2インバータの前記第2端子へ流れ、
前記第2インバータの前記第2端子から出力されて前記第1相の巻線を通った電流は、前記第1インバータの前記第1端子へ流れ、
前記第1インバータの前記第1端子と前記第2インバータの前記第2端子とは互いに
、前記第1相とは異なる他の相の端子同士よりも近くに配置されている、モータ。
【請求項2】
前記第1インバータの前記第1端子および前記第2インバータの前記第2端子のそれぞれを流れる電流は、大きさは同じで向きは逆である、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
ロータと、前記ロータの回転角度の検出に用いる磁気センサとをさらに備え、
前記第1端子と前記磁気センサの間の距離と、前記第2端子と前記磁気センサの間の距離とは等しい、請求項1または2に記載のモータ。
【請求項4】
前記n相の巻線は第2相の巻線を含み、
前記第1インバータは、前記第2相の巻線の一端に接続される第3端子を備え、
前記第2インバータは、前記第2相の巻線の他端に接続される第4端子を備え、
前記第1インバータの前記第3端子から出力されて前記第2相の巻線を通った電流は、前記第2インバータの前記第4端子へ流れ、
前記第2インバータの前記第4端子から出力されて前記第2相の巻線を通った電流は、前記第1インバータの前記第3端子へ流れ、
前記第1インバータの前記第3端子と前記第2インバータの前記第4端子とは互いに近接して配置されている、請求項1から3のいずれかに記載のモータ。
【請求項5】
前記第1インバータの前記第3端子および前記第2インバータの前記第4端子のそれぞれを流れる電流は、大きさは同じで向きは逆である、請求項4に記載のモータ。
【請求項6】
ロータと、前記ロータの回転角度の検出に用いる磁気センサとをさらに備え、
前記第1端子と前記磁気センサの間の距離と、前記第2端子と前記磁気センサの間の距離とは等しく、
前記第3端子と前記磁気センサの間の距離と、前記第4端子と前記磁気センサの間の距離とは等しい、請求項4または5に記載のモータ。
【請求項7】
ロータと、前記ロータの回転角度の検出に用いる磁気センサとをさらに備え、
前記第1端子と前記磁気センサの間の距離と、前記第3端子と前記磁気センサの間の距離とは互いに異なっており、
前記第2端子と前記磁気センサの間の距離と、前記第4端子と前記磁気センサの間の距離とは互いに異なっている、請求項6に記載のモータ。
【請求項8】
前記n相の巻線は第3相の巻線を含み、
前記第1インバータは、前記第3相の巻線の一端に接続される第5端子を備え、
前記第2インバータは、前記第3相の巻線の他端に接続される第6端子を備え、
前記第1インバータの前記第5端子から出力されて前記第3相の巻線を通った電流は、前記第2インバータの前記第6端子へ流れ、
前記第2インバータの前記第6端子から出力されて前記第3相の巻線を通った電流は、前記第1インバータの前記第5端子へ流れ、
前記第1インバータの前記第5端子と前記第2インバータの前記第6端子とは互いに近接して配置されている、請求項1から7のいずれかに記載のモータ。
【請求項9】
前記第1インバータの前記第5端子および前記第2インバータの前記第6端子のそれぞれを流れる電流は、大きさは同じで向きは逆である、請求項8に記載のモータ。
【請求項10】
ロータと、前記ロータの回転角度の検出に用いる磁気センサとをさらに備え、
前記第5端子と前記磁気センサの間の距離と、前記第6端子と前記磁気センサの間の距離とは等しい、請求項8または9に記載のモータ。
【請求項11】
ロータと、ステータと、前記ロータの回転角度の検出に用いる磁気センサとをさらに備え、
前記各相の巻線は、渡り線を用いて前記ステータに巻かれており、
前記磁気センサと前記渡り線とは、前記ステータから見て互いに反対の側に配置されている、請求項1から10のいずれかに記載のモータ。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載のモータを備える電動パワーステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モータおよび電動パワーステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ブラシレスDCモータおよび交流同期モータなどの電動モータ(以下、単に「モータ」と表記する。)は、一般的に三相電流によって駆動される。三相電流の波形を正確に制御するため、ベクトル制御などの複雑な制御技術が用いられる。このような制御技術では、高度な数学的演算が必要であり、マイクロコントローラ(マイコン)などのデジタル演算回路が用いられる。ベクトル制御技術は、モータの負荷変動が大きな用途、例えば、洗濯機、電動アシスト自転車、電動スクータ、電動パワーステアリング装置、電気自動車、産業機器などの分野で活用されている。一方、出力が相対的に小さなモータでは、パルス幅変調(PWM)方式などの他のモータ制御方式が採用されている。
【0003】
車載分野においては、自動車用電子制御ユニット(ECU:Electrical Contorl Unit)が車両に用いられる。ECUは、マイクロコントローラ、電源、入出力回路、ADコンバータ、負荷駆動回路およびROM(Read Only Memory)などを備える。ECUを核として電子制御システムが構築される。例えば、ECUはセンサからの信号を処理してモータなどのアクチュエータを制御する。具体的に説明すると、ECUはモータの回転速度やトルクを監視しながら、電力変換装置におけるインバータを制御する。ECUの制御の下で、電力変換装置はモータに供給する駆動電力を変換する。
【0004】
近年、モータ、電力変換装置およびECUが一体化された機電一体型モータが開発されている。特に車載分野においては、安全性の観点から高い品質保証が要求される。そのため、部品の一部が故障した場合でも安全動作を継続できる冗長設計が取り入れられている。冗長設計の一例として、1つのモータに対して2つの電力変換装置を設けることが検討されている。他の一例として、メインのマイクロコントローラにバックアップ用マイクロコントローラを設けることが検討されている。
【0005】
例えば特許文献1は、制御部と、2つのインバータとを備え、三相モータに供給する電力を変換する電力変換装置を開示している。2つのインバータの各々は電源およびグランド(以下、「GND」と表記する。)に接続される。一方のインバータは、モータの三相の巻線の一端に接続され、他方のインバータは、三相の巻線の他端に接続される。各インバータは、各々がハイサイドスイッチング素子およびローサイドスイッチング素子を含む3つのレグから構成されるブリッジ回路を備える。制御部は、2つのインバータにおけるスイッチング素子の故障を検出した場合、モータ制御を正常時の制御から異常時の制御に切替える。本願明細書において、「異常」とは、主としてスイッチング素子の故障を意味する。また、「正常時の制御」は、全てのスイッチング素子が正常な状態における制御を意味し、「異常時の制御」は、あるスイッチング素子に故障が生じた状態における制御を意味する。
【0006】
異常時の制御において、2つのインバータのうちの故障したスイッチング素子を含むインバータ(以下、「故障インバータ」と表記する。)には、スイッチング素子を所定の規則でオンおよびオフすることにより巻線の中性点が構成される。その規則によれば、例えば、ハイサイドスイッチング素子が常時オフとなるオープン故障が発生した場合、インバータのブリッジ回路において、3つのハイサイドスイッチング素子のうちの故障したスイッチング素子以外のものはオフし、かつ、3つのローサイドスイッチング素子はオンする。その場合、中性点はローサイド側に構成される。または、ハイサイドスイッチング素子が常時オンとなるショート故障が発生した場合、インバータのブリッジ回路において、3つのハイサイドスイッチング素子のうちの故障したスイッチング素子以外のものはオンし、かつ、3つのローサイドスイッチング素子はオフする。その場合、中性点はハイサイド側に構成される。特許文献1の電力変換装置によれば、異常時において、三相の巻線の中性点は、故障インバータの中に構成される。スイッチング素子に故障が生じても、正常な方のインバータを用いてモータ駆動を継続させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
2つのインバータと各相の巻線との間には、モータを駆動させるための駆動電流が流れる。この駆動電流が流れる導線の周囲には磁場が発生する。モータが備える電子部品は、そのような磁場の影響を受けながら動作する。
【0009】
本開示の実施形態は、駆動電流により発生する磁場が周囲の電子部品へ及ぼす影響を低減するモータ、およびそのようなモータを備えた電動パワーステアリング装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の例示的なモータは、n相(nは3以上の整数)の巻線と、前記各相の巻線の一端に接続される第1インバータと、前記各相の巻線の他端に接続される第2インバータとを備えたモータであって、前記n相の巻線は第1相の巻線を含み、前記第1インバータは、前記第1相の巻線の一端に接続される第1端子を備え、前記第2インバータは、前記第1相の巻線の他端に接続される第2端子を備え、前記第1インバータの前記第1端子から出力されて前記第1相の巻線を通った電流は、前記第2インバータの前記第2端子へ流れ、前記第2インバータの前記第2端子から出力されて前記第1相の巻線を通った電流は、前記第1インバータの前記第1端子へ流れ、前記第1インバータの前記第1端子と前記第2インバータの前記第2端子とは互いに近接して配置されている。
【発明の効果】
【0011】
本開示の実施形態によれば、駆動電流により発生する磁場が周囲の電子部品へ及ぼす影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、例示的な実施形態によるモータの構造を示す模式図である。
【
図2】
図2は、例示的な実施形態による電力変換装置の回路構成を示す模式図である。
【
図3】
図3は、例示的な実施形態による電力変換装置が有するHブリッジを示す図である。
【
図4】
図4は、例示的な実施形態による電力変換装置が有するHブリッジを示す図である。
【
図5】
図5は、例示的な実施形態による電力変換装置が有するHブリッジを示す図である。
【
図6】
図6は、例示的な実施形態による電力変換装置を備えるモータを示すブロック図である。
【
図7】
図7は、例示的な実施形態による正常時の三相通電制御に従って電力変換装置を制御したときに、モータのU相、V相およびW相の各巻線に流れる電流値をプロットして得られる電流波形を示す図である。
【
図8】
図8は、例示的な実施形態による基板の下面を示す図である。
【
図9】
図9は、例示的な実施形態による基板の上面を示す図である。
【
図10】
図10は、例示的な実施形態による基板に配置された各端子と回路図上における各端子との対応関係を示す図である。
【
図11】
図11は、例示的な実施形態による基板を示す図である。
【
図12】
図12は、例示的な実施形態による端子と磁気センサの間の距離を示す図である。
【
図13】
図13は、例示的な実施形態による端子と磁気センサの間の距離を示す図である。
【
図14】
図14は、例示的な実施形態による端子と磁気センサの間の距離を示す図である。
【
図15】
図15は、例示的な実施形態によるステータが備える渡り線の配置位置を示す図である。
【
図16】
図16は、例示的な実施形態による基板における端子の配置位置の別の例を示す図である。
【
図17】
図17は、例示的な実施形態による基板における端子の配置位置のさらに別の例を示す図である。
【
図18】
図18は、例示的な実施形態による基板における端子の配置位置のさらに別の例を示す図である。
【
図19】
図19は、例示的な実施形態による電動パワーステアリング装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の実施形態を説明する前に、本開示の基礎となった本願発明者の知見を説明する。
【0014】
機電一体型モータでは、例えばホールセンサおよび磁気抵抗効果素子等の磁気センサを用いてロータの回転角を検出する。磁気センサは、ロータの回転に伴って変化する磁場を検出して、モータの回転角を検出している。
【0015】
モータの各相の巻線の端部は、2個のインバータのそれぞれが備える端子に接続されている。駆動電流がこれらの端子に流れたときは、端子の周囲に磁場が発生する。つまり、磁気センサは、インバータの端子の周囲に発生する磁場の影響を受けながらロータの回転角を検出しており、回転角の検出精度が低くなってしまう場合がある。機電一体型モータにおいて回転角の検出の精度が低い場合、トルクリップルが増加したり出力低下が起こったりしてしまうことになる。
【0016】
モータの駆動電流により発生する磁場が周囲の電子部品へ及ぼす影響を低減するモータが求められる。
【0017】
以下、添付の図面を参照しながら、本開示のモータおよび電動パワーステアリング装置の実施形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0018】
本明細書においては、三相(U相、V相、W相)の巻線を有する三相モータを例にして、本開示の実施形態を説明する。但し、例えば四相および五相などのn相(nは3以上の整数)の巻線を有するn相モータも本開示の範疇である。
【0019】
(実施形態1)
図1は、本実施形態によるモータ10の構造を示す図である。
図1は、中心軸11に沿って切断したときのモータ10の内部を示している。
【0020】
モータ10は、機電一体型モータである。モータ10は、例えば自動車に搭載され、電動パワーステアリング装置用モータとして利用される。その場合、モータ10は、電動パワーステアリング装置の駆動力を発生する。
【0021】
モータ10は、ステータ20と、ロータ30と、ハウジング12と、隔壁14と、軸受15と、軸受16とを備える。ステータ20は電機子とも称される。中心軸11はロータ30の回転軸である。
【0022】
ハウジング12は、底を有する略円筒状の筐体であり、ステータ20、軸受15およびロータ30を内部に収納する。軸受15を保持する凹部13がハウジング12の底の中央にある。隔壁14は、ハウジング12の上部の開口を閉じる板状の部材である。隔壁14は、その中央部で軸受16を保持している。
【0023】
ステータ20は環状であり、積層体22および巻線21を有する。積層体22は積層環状コアとも称される。巻線はコイルとも称される。ステータ20は、駆動電流に応じて磁束を発生させる。積層体22は、複数の鋼板を中心軸11に沿う方向(
図1のZ方向)に積層した積層鋼板から構成される。積層体22は、環状の積層コアバック24および複数の積層歯(ティース)23を含む。積層コアバック24は、ハウジング12の内壁に固定される。
【0024】
巻線21は、銅等の導電性材料によって構成され、典型的には積層体22の複数の積層歯23にそれぞれ取り付けられている。
【0025】
ロータ30は、ロータコア31、ロータコア31の外周に沿って設けられた複数の永久磁石32、シャフト33を備える。ロータコア31は、例えば鉄などの磁性材料で構成されており、筒状の形状を有する。複数の永久磁石32は、N極とS極とがロータコア31の周方向に交互に現れるように設けられている。シャフト33は、ロータコア31の中心に固定されており、中心軸11に沿って上下方向(Z方向)に延びている。なお、本明細書中における上下左右方向とは、
図1に示されたモータ10を見たときの上下左右方向であり、実施形態を分かりやすく説明するためにそれらの方向を用いて説明している。本明細書中における上下左右方向と、モータ10が実際の製品(自動車等)に搭載された状態における上下左右方向とは必ずしも一致しないことは言うまでもない。
【0026】
軸受15および16は、ロータ30のシャフト33を回転可能に支持する。軸受15および16は、例えば、球体を介して外輪と内輪とを相対回転させるボールベアリングである。
図1はボールベアリングを例示している。
【0027】
モータ10において、ステータ20の巻線21に駆動電流を流すと、積層体22の複数の積層歯23に径方向の磁束が発生する。複数の積層歯23と永久磁石32との間の磁束の作用によって周方向にトルクが発生し、ロータ30はステータ20に対して回転する。ロータ30が回転すると、例えば電動パワーステアリング装置に駆動力が発生する。
【0028】
シャフト33における隔壁14側の端部には、永久磁石41が固定されている。永久磁石41は、ロータ30とともに回転可能である。隔壁14の上部には、基板50が配置されている。基板50には電力変換装置100が搭載されている。隔壁14は、モータ10内部のステータ20およびロータ30が収納される空間と基板50が収納される空間とを隔てている。
【0029】
電力変換装置100は、電源からの電力をステータ20の巻線21に供給する電力に変換する。基板50には、電力変換装置100が備えるインバータの端子52が設けられている。端子52には電線51が接続されている。電線51は例えば巻線21の端部である。電線51と巻線21とは別々の部材であってもよい。電力変換装置100から出力された電力は、電線51を介して巻線21に供給される。電力変換装置100の詳細は後述する。
【0030】
基板50には磁気センサ40が設けられている。磁気センサ40は、シャフト33に固定された永久磁石41に対向する位置に配置されている。磁気センサ40は、シャフト33の中心軸11上に配置されている。磁気センサ40は、例えば磁気抵抗効果素子またはホール素子である。磁気センサ40は、シャフト33とともに回転する永久磁石41から発生する磁場を検出し、これによりロータ30の回転角を検出することができる。
【0031】
モータ10は、複数の端子17を介して、モータ10外部の各種制御装置およびバッテリ等と接続される。複数の端子17は、外部の電源から電力が供給される電源端子および外部機器とデータの送受信を行うための信号端子等を含む。
【0032】
次に、電力変換装置100の詳細を説明する。
【0033】
図2は、本実施形態による電力変換装置100の回路構成を模式的に示している。
【0034】
電力変換装置100は、第1インバータ110と、第2インバータ140とを備える。また、電力変換装置100は、
図6に示す制御回路300を備える。
【0035】
巻線21(
図1)として、ステータ20にはU相の巻線M1、V相の巻線M2およびW相の巻線M3が巻かれている。各相の巻線は第1インバータ110と第2インバータ140とに接続される。具体的に説明すると、第1インバータ110は各相の巻線の一端に接続され、第2インバータ140は各相の巻線の他端に接続される。本願明細書において、部品(構成要素)同士の間の「接続」とは、主に電気的な接続を意味する。
【0036】
第1インバータ110は、端子52(
図1)として、各相に対応した端子U_L、V_LおよびW_Lを有する。第2インバータ140は、端子52として、各相に対応した端子U_R、V_RおよびW_Rを有する。第1インバータ110の端子U_Lは、U相の巻線M1の一端に接続され、端子V_Lは、V相の巻線M2の一端に接続され、端子W_Lは、W相の巻線M3の一端に接続される。第1インバータ110と同様に、第2インバータ140の端子U_Rは、U相の巻線M1の他端に接続され、端子V_Rは、V相の巻線M2の他端に接続され、端子W_Rは、W相の巻線M3の他端に接続される。このような結線は、いわゆるスター結線およびデルタ結線とは異なる。
【0037】
電力変換装置100では、第1インバータ110および第2インバータ140は、電源101およびGNDに接続されている。電力変換装置100を備えるモータ10は、例えば端子17(
図1)を介して、外部の電源に接続され得る。
【0038】
本明細書中において、第1インバータ110を「ブリッジ回路L」と表記する場合がある。また、第2インバータ140を「ブリッジ回路R」と表記する場合がある。第1インバータ110および第2インバータ140のそれぞれは、ローサイドスイッチング素子およびハイサイドスイッチング素子を含むレグを3個備える。それらレグを構成する複数のスイッチング素子は、巻線を介して第1インバータ110と第2インバータ140との間で複数のHブリッジを構成する。
【0039】
第1インバータ110は、3個のレグから構成されるブリッジ回路を含む。
図2に示されるスイッチング素子111L、112Lおよび113Lがローサイドスイッチング素子であり、スイッチング素子111H、112Hおよび113Hはハイサイドスイッチング素子である。スイッチング素子として、例えば電界効果トランジスタ(典型的にはMOSFET)または絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を用いることができる。本願明細書において、インバータのスイッチング素子としてFETを用いる例を説明し、以下の説明ではスイッチング素子をFETと表記する場合がある。例えば、スイッチング素子111LはFET111Lと表記される。
【0040】
第1インバータ110は、U相、V相およびW相の各相の巻線に流れる電流を検出するための電流センサ(
図6を参照)として、3個のシャント抵抗111R、112Rおよび113Rを備える。電流センサ170は、各シャント抵抗に流れる電流を検出する電流検出回路(不図示)を含む。例えば、シャント抵抗111R、112Rおよび113Rは、第1インバータ110の3個のレグに含まれる3個のローサイドスイッチング素子とGNDとの間にそれぞれ接続される。シャント抵抗の抵抗値は、例えば0.5mΩから1.0mΩ程度である。
【0041】
第1インバータ110と同様に、第2インバータ140は、3個のレグから構成されるブリッジ回路を含む。
図2に示されるFET141L、142Lおよび143Lがローサイドスイッチング素子であり、FET141H、142Hおよび143Hはハイサイドスイッチング素子である。また、第2インバータ140は、3個のシャント抵抗141R、142Rおよび143Rを備える。それらのシャント抵抗は、3個のレグに含まれる3個のローサイドスイッチング素子とGNDとの間に接続される。第1および第2インバータ110、140の各FETは、例えばマイクロコントローラまたは専用ドライバによって制御され得る。
【0042】
図3、
図4および
図5は、電力変換装置100が有する3個のHブリッジ131、132および133を示す図である。
【0043】
第1インバータ110は、レグ121、123および125を有する。レグ121は、FET111HとFET111Lを有する。レグ123は、FET112HとFET112Lを有する。レグ125は、FET113HとFET113Lを有する。
【0044】
第2インバータ140は、レグ122、124および126を有する。レグ122は、FET141HとFET141Lを有する。レグ124は、FET142HとFET142Lを有する。レグ126は、FET143HとFET143Lを有する。
【0045】
図3に示すHブリッジ131は、レグ121と巻線M1とレグ122とを有する。
図4に示すHブリッジ132は、レグ123と巻線M2とレグ124とを有する。
図5に示すHブリッジ133は、レグ125と巻線M3とレグ126とを有する。
【0046】
電源101(
図2)は、所定の電源電圧を生成する。電源101から第1および第2インバータ110、140に電力が供給される。電源101として、例えば直流電源が用いられる。ただし、電源101は、AC-DCコンバータまたはDC―DCコンバータであってもよいし、バッテリー(蓄電池)であってもよい。電源101は、第1および第2インバータ110、140に共通の単一電源であってもよいし、第1インバータ110用の第1電源および第2インバータ140用の第2電源を備えていてもよい。
【0047】
電源101と電力変換装置100との間にコイル102が設けられている。コイル102は、ノイズフィルタとして機能し、各インバータに供給する電圧波形に含まれる高周波ノイズ、または各インバータで発生する高周波ノイズを電源101側に流出させないように平滑化する。また、電源101と電力変換装置100との間には、コンデンサ103の一端が接続されている。コンデンサ103の他端はGNDに接続されている。コンデンサ103は、いわゆるバイパスコンデンサであり、電圧リプルを抑制する。コンデンサ103は、例えば電解コンデンサであり、容量および使用する個数は設計仕様などによって適宜決定される。
【0048】
図2には、インバータ毎の各レグに1個のシャント抵抗を配置する構成を例示している。第1および第2インバータ110、140は、6個以下のシャント抵抗を備え得る。6個以下のシャント抵抗は、第1および第2インバータ110、140が備える6個のレグのうちの6個以下のローサイドスイッチング素子とGNDとの間に接続され得る。さらにこれをn相モータに拡張すると、第1および第2インバータ110、140は、2n個以下のシャント抵抗を備え得る。2n個以下のシャント抵抗は、第1および第2インバータ110、140が備える2n個のレグのうちの2n個以下のローサイドスイッチング素子とGNDとの間に接続され得る。
【0049】
図6は、電力変換装置100を備えるモータ10のブロック構成を模式的に示している。電力変換装置100は制御回路300を備える。
【0050】
制御回路300は、例えば、電源回路310と、角度センサ320と、入力回路330と、マイクロコントローラ340と、駆動回路350と、ROM360とを備える。この例では、角度センサ320は、磁気センサ40(
図1)である。制御回路300は、電力変換装置100の全体の動作を制御することによりモータ10の回転を制御する。具体的には、制御回路300は、目的とするロータの位置、回転速度、および電流などを制御してクローズドループ制御を実現することができる。制御回路300はトルクセンサを備えてもよい。この場合、制御回路300は、目的とするモータトルクを制御することができる。
【0051】
電源回路310は、回路内の各ブロックに必要なDC電圧(例えば3V、5V)を生成する。角度センサ320は、例えば磁気抵抗効果素子、レゾルバまたはホールICである。角度センサ320は、ロータ30の回転角(以下、「回転信号」と表記する。)を検出し、回転信号をマイクロコントローラ340に出力する。入力回路330は、電流センサ170によって検出されたモータ電流値(以下、「実電流値」と表記する。)を受け取り、必要に応じて、実電流値のレベルをマイクロコントローラ340の入力レベルに変換し、実電流値をマイクロコントローラ340に出力する。
【0052】
マイクロコントローラ340は、第1インバータ110と第2インバータ140の各FETのスイッチング動作(ターンオンまたはターンオフ)を制御する。マイクロコントローラ340は、実電流値およびロータの回転信号などに従って目標電流値を設定してPWM信号を生成し、それを駆動回路350に出力する。
【0053】
駆動回路350は、典型的にはゲートドライバである。駆動回路350は、第1および第2インバータ110、140における各FETのスイッチング動作を制御する制御信号(ゲート制御信号)をPWM信号に従って生成し、各FETのゲートに制御信号を与える。なお、マイクロコントローラ340が駆動回路350の機能を備えていてもよい。その場合、制御回路300は駆動回路350を備えていなくてもよい。
【0054】
ROM360は、例えば書き込み可能なメモリ、書き換え可能なメモリまたは読み出し専用のメモリである。ROM360は、マイクロコントローラ340に電力変換装置100を制御させるための命令群を含む制御プログラムを格納している。例えば、制御プログラムはブート時にRAM(不図示)に一旦展開される。
【0055】
制御回路300は、第1および第2インバータ110、140の両方を用いて三相通電制御することによってモータ10を駆動する。具体的に、制御回路300は、第1インバータ110のFETと第2インバータ140のFETとを互いに逆位相(位相差=180°)でスイッチング制御することにより三相通電制御を行う。例えば、FET111L、111H、141Lおよび141Hを含むHブリッジに着目すると、FET111Lがオンすると、FET141Lはオフし、FET111Lがオフすると、FET141Lはオンする。これと同様に、FET111Hがオンすると、FET141Hはオフし、FET111Hがオフすると、FET141Hはオンする。電源101から出力された電流は、ハイサイドスイッチング素子、巻線、ローサイドスイッチング素子を通ってGNDに流れる。電力変換装置100の結線は、オープン結線と称される場合がある。
【0056】
ここで、U相の巻線M1を流れる電流の経路を説明する。FET111HおよびFET141Lがオンであり、FET141HおよびFET111Lがオフのとき、電流は、電源101、FET111H、巻線M1、FET141L、GNDの順に流れる。FET141HおよびFET111Lがオンであり、FET111HおよびFET141Lがオフのとき、電流は、電源101、FET141H、巻線M1、FET111L、GNDの順に流れる。
【0057】
なお、FET111Hから巻線M1へ流れた電流の一部が、FET141Hへ流れる場合がある。すなわち、FET111Hから巻線M1へ流れた電流が、FET141LとFET141Hとに分岐して流れる場合がある。例えば、モータ10の低速回転時は、高速回転時と比較して、FET111Hから巻線M1へ流れた電流が、FET141Hへ流れる割合が大きくなる場合がある。
【0058】
同様に、FET141Hから巻線M1へ流れた電流の一部が、FET111Hへ流れる場合がある。例えば、モータ10の低速回転時は、高速回転時と比較して、FET141Hから巻線M1へ流れた電流が、FET111Hへ流れる割合が大きくなる場合がある。
【0059】
次に、V相の巻線M2を流れる電流の経路を説明する。FET112HおよびFET142Lがオンであり、FET142HおよびFET112Lがオフのとき、電流は、電源101、FET112H、巻線M2、FET142L、GNDの順に流れる。FET142HおよびFET112Lがオンであり、FET112HおよびFET142Lがオフのとき、電流は、電源101、FET142H、巻線M2、FET112L、GNDの順に流れる。
【0060】
なお、FET112Hから巻線M2へ流れた電流の一部が、FET142Hへ流れる場合がある。例えば、モータ10の低速回転時は、高速回転時と比較して、FET112Hから巻線M2へ流れた電流が、FET142Hへ流れる割合が大きくなる場合がある。
【0061】
同様に、FET142Hから巻線M2へ流れた電流の一部が、FET112Hへ流れる場合がある。例えば、モータ10の低速回転時は、高速回転時と比較して、FET142Hから巻線M2へ流れた電流が、FET112Hへ流れる割合が大きくなる場合がある。
【0062】
次に、W相の巻線M3を流れる電流の経路を説明する。FET113HおよびFET143Lがオンであり、FET143HおよびFET113Lがオフのとき、電流は、電源101、FET113H、巻線M3、FET143L、GNDの順に流れる。FET143HおよびFET113Lがオンであり、FET113HおよびFET143Lがオフのとき、電流は、電源101、FET143H、巻線M3、FET113L、GNDの順に流れる。
【0063】
なお、FET113Hから巻線M3へ流れた電流の一部が、FET143Hへ流れる場合がある。例えば、モータ10の低速回転時は、高速回転時と比較して、FET113Hから巻線M3へ流れた電流が、FET143Hへ流れる割合が大きくなる場合がある。
【0064】
同様に、FET143Hから巻線M3へ流れた電流の一部が、FET113Hへ流れる場合がある。例えば、モータ10の低速回転時は、高速回転時と比較して、FET143Hから巻線M3へ流れた電流が、FET113Hへ流れる割合が大きくなる場合がある。
【0065】
図7は、正常時の三相通電制御に従って電力変換装置100を制御したときにU相、V相およびW相の各巻線に流れる電流値をプロットして得られる電流波形(正弦波)を例示している。横軸は、モータ電気角(deg)を示し、縦軸は電流値(A)を示している。
図7の電流波形において、電気角30°毎に電流値をプロットしている。I
pkは各相の最大電流値(ピーク電流値)を表している。
【0066】
表1は、
図7の正弦波において電気角毎に、各インバータの端子に流れる電流値を示している。表1は、具体的に、第1インバータ110(ブリッジ回路L)の端子U_L、V_LおよびW_Lに流れる、電気角30°毎の電流値、および、第2インバータ140(ブリッジ回路R)の端子U_R、V_RおよびW_Rに流れる、電気角30°毎の電流値を示している。ここで、ブリッジ回路Lに対しては、ブリッジ回路Lの端子からブリッジ回路Rの端子に流れる電流方向を正の方向と定義する。
図7に示される電流の向きはこの定義に従う。また、ブリッジ回路Rに対しては、ブリッジ回路Rの端子からブリッジ回路Lの端子に流れる電流方向を正の方向と定義する。従って、ブリッジ回路Lの電流とブリッジ回路Rの電流との位相差は180°となる。表1において、電流値I
1の大きさは〔(3)
1/2/2〕*I
pkであり、電流値I
2の大きさはI
pk/2である。
【0067】
【0068】
電気角0°において、U相の巻線M1には電流は流れない。V相の巻線M2にはブリッジ回路Rからブリッジ回路Lに大きさI1の電流が流れ、W相の巻線M3にはブリッジ回路Lからブリッジ回路Rに大きさI1の電流が流れる。
【0069】
電気角30°において、U相の巻線M1にはブリッジ回路Lからブリッジ回路Rに大きさI2の電流が流れ、V相の巻線M2にはブリッジ回路Rからブリッジ回路Lに大きさIpkの電流が流れ、W相の巻線M3にはブリッジ回路Lからブリッジ回路Rに大きさI2の電流が流れる。
【0070】
電気角60°において、U相の巻線M1にはブリッジ回路Lからブリッジ回路Rに大きさI1の電流が流れ、V相の巻線M2にはブリッジ回路Rからブリッジ回路Lに大きさI1の電流が流れる。W相の巻線M3には電流は流れない。
【0071】
電気角90°において、U相の巻線M1にはブリッジ回路Lからブリッジ回路Rに大きさIpkの電流が流れ、V相の巻線M2にはブリッジ回路Rからブリッジ回路Lに大きさI2の電流が流れ、W相の巻線M3にはブリッジ回路Rからブリッジ回路Lに大きさI2の電流が流れる。
【0072】
電気角120°において、U相の巻線M1にはブリッジ回路Lからブリッジ回路Rに大きさI1の電流が流れ、W相の巻線M3にはブリッジ回路Rからブリッジ回路Lに大きさI1の電流が流れる。V相の巻線M2には電流は流れない。
【0073】
電気角150°において、U相の巻線M1にはブリッジ回路Lからブリッジ回路Rに大きさI2の電流が流れ、V相の巻線M2にはブリッジ回路Lからブリッジ回路Rに大きさI2の電流が流れ、W相の巻線M3にはブリッジ回路Rからブリッジ回路Lに大きさIpkの電流が流れる。
【0074】
電気角180°において、U相の巻線M1には電流は流れない。V相の巻線M2にはブリッジ回路Lからブリッジ回路Rに大きさI1の電流が流れ、W相の巻線M3にはブリッジ回路Rからブリッジ回路Lに大きさI1の電流が流れる。
【0075】
電気角210°において、U相の巻線M1にはブリッジ回路Rからブリッジ回路Lに大きさI2の電流が流れ、V相の巻線M2にはブリッジ回路Lからブリッジ回路Rに大きさIpkの電流が流れ、W相の巻線M3にはブリッジ回路Rからブリッジ回路Lに大きさI2の電流が流れる。
【0076】
電気角240°において、U相の巻線M1にはブリッジ回路Rからブリッジ回路Lに大きさI1の電流が流れ、V相の巻線M2にはブリッジ回路Lからブリッジ回路Rに大きさI1の電流が流れる。W相の巻線M3には電流は流れない。
【0077】
電気角270°において、U相の巻線M1にはブリッジ回路Rからブリッジ回路Lに大きさIpkの電流が流れ、V相の巻線M2にはブリッジ回路Lからブリッジ回路Rに大きさI2の電流が流れ、W相の巻線M3にはブリッジ回路Lからブリッジ回路Rに大きさI2の電流が流れる。
【0078】
電気角300°において、U相の巻線M1にはブリッジ回路Rからブリッジ回路Lに大きさI1の電流が流れ、W相の巻線M3にはブリッジ回路Lからブリッジ回路Rに大きさI1の電流が流れる。V相の巻線M2には電流は流れない。
【0079】
電気角330°において、U相の巻線M1にはブリッジ回路Rからブリッジ回路Lに大きさI2の電流が流れ、V相の巻線M2にはブリッジ回路Rからブリッジ回路Lに大きさI2の電流が流れ、W相の巻線M3にはブリッジ回路Lからブリッジ回路Rに大きさIpkの電流が流れる。
【0080】
本実施形態による三相通電制御によれば、電流の向きを考慮した三相の巻線に流れる電流の総和は電気角毎に常に「0」になる。例えば、制御回路300は、
図7に示される電流波形が得られるようなPWM制御によってブリッジ回路LおよびRの各FETのスイッチング動作を制御する。
【0081】
次に、第1および第2インバータ110および140の端子U_L、U_R、V_L、V_R、W_L、W_Rの基板50(
図1)における配置位置を説明する。
【0082】
図8は基板50の下面を示す図であり、
図9は基板50の上面を示す図である。
図8は、
図1における下方向から基板50を見上げたときの基板50を示している。
図9は、
図1における上方向から基板50を見下ろしたときの基板50を示している。基板50には、電力変換装置100および他の種々の電子回路が搭載され得る。本実施形態の特徴を分かりやすく説明するために、
図8および
図9では、基板50に実装される構成要素のうちの一部のみを図示している。以降の図面においても、本実施形態の特徴を分かりやすく説明するために、基板50に実装される構成要素のうちの一部のみを図示している。
【0083】
基板50の下面には、第1インバータ110のFET111H、111L、112H、112L、113H、113Lが配置されている。基板50の上面には、第2インバータ140のFET143H、143L、142H、142L、141H、141Lが配置されている。基板50には、第1および第2インバータ110および140の端子U_L、U_R、V_L、V_R、W_L、W_Rが配置されている。各端子は、上面と下面とのうちの接続されるFETが配置される側の面に配置されていてもよいし、基板50をZ方向に貫通して基板50の上面の下面の両方に亘って配置されていてもよい。
【0084】
FET111H、111Lと端子U_Lとは、導電線111Cを介して接続されている。FET112H、112Lと端子V_Lとは、導電線112Cを介して接続されている。FET113H、113Lと端子W_Lとは、導電線113Cを介して接続されている。
【0085】
FET141H、141Lと端子U_Rとは、導電線141Cを介して接続されている。FET142H、142Lと端子V_Rとは、導電線142Cを介して接続されている。FET143H、143Lと端子W_Rとは、導電線143Cを介して接続されている。
【0086】
図10は、基板50に配置された各端子と、
図2に示すような回路構成における各端子との対応関係を示す図である。端子の対応関係をボールドの矢印で示している。
【0087】
図11は、Y方向から見た基板50を示す図である。モータ10は、電線51(
図1)として、電線51U_L、51U_R、51V_L、51V_R、51W_L、51W_Rを備える。この例では、電線51U_L、51U_RはU相の巻線M1の端部である。電線51V_L、51V_Rは、V相の巻線M2の端部である。電線51W_L、51W_Rは、W相の巻線M3の端部である。なお、各電線と巻線とは別々の部材であってもよい。電線51U_Lは端子U_Lに接続されている。電線51U_Rは端子U_Rに接続されている。電線51V_Lは端子V_Lに接続されている。電線51V_Rは端子V_Rに接続されている。電線51W_Lは端子W_Lに接続されている。電線51W_Rは端子W_Rに接続されている。なお、電線51(
図1)は端子52(
図1)の一部分と解釈することもできる。すなわち、本明細書中における端子は、ステータ20から基板50へ延びる電線の意味を含む場合がある。この場合は、電線51U_Lは端子U_Lに含まれる。電線51U_Rは端子U_Rに含まれる。電線51V_Lは端子V_Lに含まれる。電線51V_Rは端子V_Rに含まれる。電線51W_Lは端子W_Lに含まれる。電線51W_Rは端子W_Rに含まれる。
【0088】
【0089】
まず、U相の巻線M1を流れる電流を説明する。FET111HおよびFET141Lがオンであり、FET141HおよびFET111Lがオフのとき、第1インバータ110の端子U_Lから出力されてU相の巻線M1を通った電流は、第2インバータ140の端子U_Rへ流れる。FET141HおよびFET111Lがオンであり、FET111HおよびFET141Lがオフのとき、第2インバータ140の端子U_Rから出力されてU相の巻線M1を通った電流は、第1インバータ110の端子U_Lへ流れる。
【0090】
このように、第1インバータ110の端子U_Lを流れる電流と、第2インバータ140の端子U_Rを流れる電流とは、大きさは同じで向きは逆となる。すなわち、端子U_Lを流れる電流により発生する磁場と、端子U_Rを流れる電流により発生する磁場とは、大きさは同じで向きは逆となる。本実施形態では、端子U_Lと端子U_Rとは互いに近接して基板50に配置されている。このため、大きさは同じで向きが逆の磁場同士は相殺される。これにより、端子U_Lと端子U_Rを流れる電流により発生する磁場が周囲の電子部品へ及ぼす影響を低減することができる。例えば、端子U_Lと端子U_Rを流れる電流により発生する磁場が磁気センサ40に及ぼす影響を低減することができる。これにより、磁気センサの検出精度を高くすることができ、トルクリップルが増加したり出力低下が起こったりすることを防止することができる。
【0091】
なお、端子同士が互いに近接しているとは、例えば、他の相の端子よりもそれらの端子同士が近い位置関係にあることを指している。また、近接の意味は、その近い位置関係にある端子の間に別の構成要素が配置されていることは排除しない。配置の一例として、磁場同士を効果的に相殺するために、同相の端子同士はできるだけ近い位置関係になるように配置する。
【0092】
また、端子U_Lと端子U_Rとが互いに近接して配置されていることに伴い、電線51U_Lと電線51U_Rとは互いに近接して配置される。このため、電線51U_Lおよび電線51U_Rを流れる電流から発生した磁場同士も相殺される。これにより、発生した磁場が周囲の電子部品へ及ぼす影響を低減することができる。例えば、発生した磁場が磁気センサ40に及ぼす影響を低減することができる。
【0093】
次に、V相の巻線M2を流れる電流を説明する。FET112HおよびFET142Lがオンであり、FET142HおよびFET112Lがオフのとき、第1インバータ110の端子V_Lから出力されてV相の巻線M2を通った電流は、第2インバータ140の端子V_Rへ流れる。FET142HおよびFET112Lがオンであり、FET112HおよびFET142Lがオフのとき、第2インバータ140の端子V_Rから出力されてV相の巻線M2を通った電流は、第1インバータ110の端子V_Lへ流れる。
【0094】
第1インバータ110の端子V_Lを流れる電流と、第2インバータ140の端子V_Rを流れる電流とは、大きさは同じで向きは逆となる。本実施形態では、端子V_Lと端子V_Rとは互いに近接して基板50に配置されている。上記と同様に、大きさは同じで向きが逆の磁場同士は相殺される。これにより、端子V_Lと端子V_Rを流れる電流により発生する磁場が周囲の電子部品へ及ぼす影響を低減することができる。例えば、端子U_Lと端子U_Rを流れる電流により発生する磁場が磁気センサ40に及ぼす影響を低減することができる。
【0095】
また、端子V_Lと端子V_Rとが互いに近接して配置されていることに伴い、電線51V_Lと電線51V_Rとは互いに近接して配置される。このため、電線51V_Lおよび電線51V_Rを流れる電流から発生した磁場同士も相殺される。これにより、発生した磁場が周囲の電子部品へ及ぼす影響を低減することができる。例えば、発生した磁場が磁気センサ40に及ぼす影響を低減することができる。
【0096】
次に、W相の巻線M3を流れる電流を説明する。FET113HおよびFET143Lがオンであり、FET143HおよびFET113Lがオフのとき、第1インバータ110の端子W_Lから出力されてW相の巻線M3を通った電流は、第2インバータ140の端子W_Rへ流れる。FET143HおよびFET113Lがオンであり、FET113HおよびFET143Lがオフのとき、第2インバータ140の端子W_Rから出力されてW相の巻線M3を通った電流は、第1インバータ110の端子W_Lへ流れる。
【0097】
第1インバータ110の端子W_Lを流れる電流と、第2インバータ140の端子W_Rを流れる電流とは、大きさは同じで向きは逆となる。本実施形態では、端子W_Lと端子W_Rとは互いに近接して基板50に配置されている。上記と同様に、大きさは同じで向きが逆の磁場同士は相殺される。これにより、端子W_Lと端子W_Rを流れる電流により発生する磁場が周囲の電子部品へ及ぼす影響を低減することができる。例えば、端子U_Lと端子U_Rを流れる電流により発生する磁場が磁気センサ40に及ぼす影響を低減することができる。
【0098】
また、端子W_Lと端子W_Rとが互いに近接して配置されていることに伴い、電線51W_Lと電線51W_Rとは互いに近接して配置される。このため、電線51W_Lおよび電線51W_Rを流れる電流から発生した磁場同士も相殺される。これにより、発生した磁場が周囲の電子部品へ及ぼす影響を低減することができる。例えば、発生した磁場が磁気センサ40に及ぼす影響を低減することができる。
【0099】
【0100】
図12に示すように、本実施形態では、端子U_Lと磁気センサ40の間の距離L1と、端子U_Rと磁気センサ40の間の距離L2とは等しくなるように、端子U_Lおよび端子U_Rを基板50に配置している。これにより、端子U_Lと端子U_Rを流れる電流により発生する磁場が磁気センサ40に及ぼす影響をより低減することができる。
【0101】
同様に、
図13に示すように、本実施形態では、端子V_Lと磁気センサ40の間の距離L3と、端子V_Rと磁気センサ40の間の距離L4とは等しくなるように、端子V_Lおよび端子V_Rを基板50に配置している。これにより、端子V_Lと端子V_Rを流れる電流により発生する磁場が磁気センサ40に及ぼす影響をより低減することができる。また、
図14に示すように、端子W_Lと磁気センサ40の間の距離L5と、端子W_Rと磁気センサ40の間の距離L6とは等しくなるように、端子W_Lおよび端子W_Rを基板50に配置している。これにより、端子W_Lと端子W_Rを流れる電流により発生する磁場が磁気センサ40に及ぼす影響をより低減することができる。
【0102】
図15は、ステータ20が備える渡り線26の配置位置の例を示す図である。各相の巻線は、渡り線26を用いてステータ20に巻かれている。ステータ20が備える複数の積層歯23(
図1)のうちの同相の積層歯23には、同相の巻線が巻かれる。渡り線26は、同相の複数の積層歯23に巻かれた巻線同士を接続する。
【0103】
本実施形態では、磁気センサ40と渡り線26とは、ステータ20から見て互いに反対の側に配置されている。
図15においては、磁気センサ40はステータ20の上方に配置されており、渡り線26はステータ20の下側に配置されている。仮に、渡り線26をステータ20の上側に配置した場合、渡り線26を流れる電流により発生する磁場が、磁気センサ40に影響を及ぼす場合がある。本実施形態では、渡り線26はステータ20の下側に配置されている。すなわち、磁気センサ40と渡り線26とは、互いに離れて配置されている。このため、渡り線26を流れる電流により発生する磁場が磁気センサ40に及ぼす影響を低減することができる。
【0104】
図16は、端子U_L、U_R、V_L、V_R、W_L、W_Rの基板50における配置位置の別の例を示す図である。
図16に示す例では、端子U_L、U_Rと磁気センサ40の間の距離と、端子V_L、V_Rと磁気センサ40の間の距離と、端子W_L、W_Rと磁気センサ40の間の距離とは互いに異なっている。本実施形態では、同相の端子同士を近接させて磁場を相殺する。同相の端子同士を近接させる関係が保たれていれば、互いに異なる相の端子同士の位置は任意とすることができる。このため、基板50に実装される各種電子部品の配置の自由度を向上させることができる。
【0105】
図17および
図18は、端子U_L、U_R、V_L、V_R、W_L、W_Rの基板50における配置位置のさらに別の例を示す図である。
図17に示す例では、端子U_L、U_Rと、端子V_L、V_Rと、端子W_L、W_Rとは、磁気センサ40を中心とした同心円上に120°の間隔をあけて配置されている。
図18に示す例では、互いに異なる相の端子同士では、磁気センサ40からの距離が互いに異なっている。本実施形態では、基板50に実装される各種電子部品の配置の自由度を向上させることができる。
【0106】
また、特許文献1と同様に、2つのインバータにおけるスイッチング素子の故障を検出した場合、モータ制御を正常時の制御から異常時の制御に切替えてもよい。異常時の制御では、スイッチング素子を所定の規則でオンおよびオフすることにより、故障インバータには巻線の中性点が構成される。この中性点と正常な方のインバータを用いてモータ駆動を継続させることができる。このような中性点を用いる制御においても、本実施形態では、互いに近接する同相の端子には、互いに大きさは同じで向きは逆の電流が流れる。同相の端子が互いに近接していることにより、発生する磁場同士は相殺される。本実施形態では、異常時の制御においても、端子を流れる電流により発生する磁場が周囲の電子部品へ及ぼす影響を低減することができる。
【0107】
(実施形態2)
自動車等の車両は一般的に、電動パワーステアリング装置を備えている。電動パワーステアリング装置は、運転者がステアリングハンドルを操作することによって発生するステアリング系の操舵トルクを補助するための補助トルクを生成する。補助トルクは、補助トルク機構によって生成され、運転者の操作の負担を軽減することができる。例えば、補助トルク機構は、操舵トルクセンサ、ECU、モータおよび減速機構などを備える。操舵トルクセンサは、ステアリング系における操舵トルクを検出する。ECUは、操舵トルクセンサの検出信号に基づいて駆動信号を生成する。モータは、駆動信号に基づいて操舵トルクに応じた補助トルクを生成し、減速機構を介してステアリング系に補助トルクを伝達する。
【0108】
本開示のモータ10は、電動パワーステアリング装置に好適に利用される。
図19は、本実施形態による電動パワーステアリング装置500を模式的に示している。電動パワーステアリング装置500は、ステアリング系520および補助トルク機構540を備える。
【0109】
ステアリング系520は、例えば、ステアリングハンドル521、ステアリングシャフト522(「ステアリングコラム」とも称される。)、自在軸継手523A、523B、回転軸524(「ピニオン軸」または「入力軸」とも称される。)、ラックアンドピニオン機構525、ラック軸526、左右のボールジョイント552A、552B、タイロッド527A、527B、ナックル528A、528B、および左右の操舵車輪(例えば左右の前輪)529A、529Bを備える。ステアリングハンドル521は、ステアリングシャフト522と自在軸継手523A、523Bとを介して回転軸524に連結される。回転軸524にはラックアンドピニオン機構525を介してラック軸526が連結される。ラックアンドピニオン機構525は、回転軸524に設けられたピニオン531と、ラック軸526に設けられたラック532とを有する。ラック軸526の右端には、ボールジョイント552A、タイロッド527Aおよびナックル528Aをこの順番で介して右の操舵車輪529Aが連結される。右側と同様に、ラック軸526の左端には、ボールジョイント552B、タイロッド527Bおよびナックル528Bをこの順番で介して左の操舵車輪529Bが連結される。
図19において、右側および左側は、座席に座った運転者から見た右側および左側にそれぞれ一致する。
【0110】
ステアリング系520によれば、運転者がステアリングハンドル521を操作することによって操舵トルクが発生し、ラックアンドピニオン機構525を介して左右の操舵車輪529A、529Bに伝わる。これにより、運転者は左右の操舵車輪529A、529Bを操作することができる。
【0111】
補助トルク機構540は、例えば、操舵トルクセンサ541、機電一体型モータ543、減速機構544を備える。補助トルク機構540は、ステアリングハンドル521から左右の操舵車輪529A、529Bに至るステアリング系520に補助トルクを与える。なお、補助トルクは「付加トルク」と称されることがある。
【0112】
機電一体型モータ543として、実施形態によるモータ10を好適に用いることができる。機電一体型モータ543は電力変換装置545を備える。電力変換装置545として、実施形態による電力変換装置100を用いることができる。また、実施形態による制御回路300をECUとして用いることができる。
【0113】
操舵トルクセンサ541は、ステアリングハンドル521によって付与されたステアリング系520の操舵トルクを検出する。制御回路300は、操舵トルクセンサ541からの検出信号(以下、「トルク信号」と表記する。)に基づいてモータ543を駆動するための駆動信号を生成する。モータ543は、操舵トルクに応じた補助トルクを駆動信号に基づいて発生する。補助トルクは、減速機構544を介してステアリング系520の回転軸524に伝達される。減速機構544は、例えばウォームギヤ機構である。補助トルクはさらに、回転軸524からラックアンドピニオン機構525に伝達される。
【0114】
電動パワーステアリング装置500は、補助トルクがステアリング系520に付与される箇所によって、ピニオンアシスト型、ラックアシスト型、およびコラムアシスト型等に分類することができる。
図19には、ピニオンアシスト型の電動パワーステアリング装置500を例示している。ただし、電動パワーステアリング装置500は、ラックアシスト型、コラムアシスト型等であってもよい。
【0115】
制御回路300には、トルク信号だけでなく、例えば車速信号も入力され得る。外部機器560は例えば車速センサである。または、外部機器560は、例えばCAN(Controller Area Network)等の車内ネットワークで通信可能な他のECUであってもよい。制御回路300のマイクロコントローラは、トルク信号や車速信号などに基づいてモータ543をベクトル制御またはPWM制御することができる。
【0116】
制御回路300は、少なくともトルク信号に基づいて目標電流値を設定する。制御回路300は、車速センサによって検出された車速信号を考慮し、さらに角度センサ320によって検出されたロータの回転信号を考慮して、目標電流値を設定することが好ましい。制御回路300は、電流センサ170によって検出された実電流値が目標電流値に一致するように、モータ543の駆動信号、つまり、駆動電流を制御することができる。
【0117】
電動パワーステアリング装置500によれば、運転者の操舵トルクにモータ543の補助トルクを加えた複合トルクを利用してラック軸526によって左右の操舵車輪529A、529Bを操作することができる。
【0118】
以上、本開示にかかる実施形態を説明した。上述の実施形態の説明は例示であり、本開示の技術を限定するものではない。また、上述の実施形態で説明した各構成要素を適宜組み合わせた実施形態も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本開示の実施形態は、掃除機、ドライヤ、シーリングファン、洗濯機、冷蔵庫および電動パワーステアリング装置などの、各種モータを備える多様な機器に幅広く利用され得る。
【符号の説明】
【0120】
10:モータ、 11:中心軸、 12:ハウジング、 13:凹部、 14:隔壁、 15:軸受、 16:軸受、 17:端子、 20:ステータ、 21:巻線、 22:積層体、 23:積層歯、 24:コアバック、 26:渡り線、 30:ロータ、 31:ロータコア、 32:永久磁石、 33:シャフト、 40:磁気センサ、 41:永久磁石、 50:基板、 51:電線、 52:端子、 100:電力変換装置、 101:電源、 102:コイル、 103:コンデンサ、 110:第1インバータ、 111C、112C、113C、141C、142C、143C:導電線、 111H、112H、113H、141H、142H、143H:ハイサイドスイッチング素子(FET)、 111L、112L、113L、141L、142L、143L:ローサイドスイッチング素子(FET)、 111R、112R、113R、141R、142R、143R:シャント抵抗、 121、122、123、124、125、126:レグ、 131、132、133:Hブリッジ、 140:第2インバータ、 300:制御回路、 310:電源回路、 320:角度センサ、 330:入力回路、 340:マイクロコントローラ、 350:駆動回路、 351:検出回路、 360:ROM、 500:電動パワーステアリング装置、 U_L、U_R、V_L、V_R、W_L、W_R:端子