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特許7063458対象物の入替え支援方法、対象物の入替え支援装置、コンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】対象物の入替え支援方法、対象物の入替え支援装置、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20220426BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20220426BHJP
【FI】
A63F7/02 330
G06Q50/10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018158511
(22)【出願日】2018-08-27
(65)【公開番号】P2020031709
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】396008576
【氏名又は名称】株式会社スリーストン
(74)【代理人】
【識別番号】100108604
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 義人
(72)【発明者】
【氏名】白石 光男
(72)【発明者】
【氏名】白石 志乃武
【審査官】橘 皇徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-24947(JP,A)
【文献】特許第3901416(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
G06Q 10/00
50/00-50/20
50/26-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
定められた位置である多数の定位置のそれぞれに予め対象物が配置されている初期状態から、予め配置されていた前記対象物のうちの複数を撤去する作業と、予め配置されていた前記対象物のうちの複数を他の前記定位置に移動させ、また、予め配置されていた前記対象物のうちの撤去されたものと同数の新たに搬入される前記対象物を、空いている前記定位置に配置する作業と、を行うことで、前記定位置のそれぞれに初期状態とは異なる組合せで前記対象物が配置された終了状態とする、対象物の入替え作業、を支援するための、対象物の入替え支援装置であり、コンピュータを含むもの、
の前記コンピュータによって実行される対象物の入替え支援方法であって、
前記コンピュータが実行する、
前記初期状態において前記定位置のそれぞれに配置されている前記対象物を、前記対象物のそれぞれに割振られた互いにユニークな識別子によって特定するデータである初期状態データを生成するためのデータを受付けるとともに、前記初期状態データを生成する初期状態データ生成過程と、
前記終了状態において前記定位置のそれぞれに配置されている前記対象物を、前記識別子によって特定するためのデータである終了状態データを生成するためのデータを受付けるとともに、前記終了状態データを生成する終了状態データ生成過程と、
前記初期状態データ生成過程によって生成された前記初期状態データと、前記終了状態データ生成過程によって生成された前記終了状態データとに基づいて、前記初期状態において存在する前記対象物に割振られたすべての前記識別子のうち、前記終了状態において存在しない、撤去の対象となる前記対象物のそれぞれが前記初期状態において配置されていた前記定位置のそれぞれに前記終了状態において配置される前記対象物に割振られた前記識別子を抽出するとともに、抽出された前記識別子のそれぞれを、抽出された前記識別子が割振られた前記対象物が前記終了状態において配置される前記定位置に前記初期状態において配置されていた前記対象物に割振られた前記識別子のそれぞれと紐付ける1次割当過程と、
前記初期状態データ生成過程によって生成された前記初期状態データと、前記終了状態データ生成過程によって生成された前記終了状態データと、前記1次割当過程によって抽出された前記識別子のデータとに基づいて、前記1次割当過程によって抽出された前記識別子が割振られていた前記対象物のうち新たに搬入された前記対象物以外の前記対象物のそれぞれが前記初期状態において配置されていた前記定位置のそれぞれに前記終了状態において配置される前記対象物に割振られた前記識別子を新たに抽出するとともに、新たに抽出された前記識別子のそれぞれを、新たに抽出された前記識別子が割振られた前記対象物が前記終了状態において配置される前記定位置に前記初期状態において配置されていた前記対象物に割振られた前記識別子のそれぞれと紐付ける2次割当過程と、
前記2次割当過程の後に、前記初期状態データ生成過程によって生成された前記初期状態データと、前記終了状態データ生成過程によって生成された前記終了状態データと、直前の過程によって更に抽出された前記識別子のデータとに基づいて、前記直前の過程によって更に抽出された前記識別子が割振られていた前記対象物のうち新たに搬入された前記対象物以外の前記対象物のそれぞれが前記初期状態において配置されていた前記定位置のそれぞれに前記終了状態において配置される前記対象物に割振られた前記識別子を更に抽出するとともに、更に抽出された前記識別子のそれぞれを、更に抽出された前記識別子が割振られた前記対象物が前記終了状態において配置される前記定位置に前記初期状態において配置されていた前記対象物に割振られた前記識別子のそれぞれと紐付けるという、前記2次割当過程と同じ処理を、更に抽出された前記識別子が割振られた前記対象物のすべてが、前記対象物のうち新たに搬入された前記対象物となるまで繰り返す繰り返し過程と、
を含んでいる、対象物の入替え支援方法。
【請求項2】
前記コンピュータが、
前記繰り返し過程を実行することによって生成された、2つ以上が紐付けられた一連の識別子の列のデータのすべてを、識別子の列の長さを基準として昇順又は降順でソートする過程を含む、
請求項1記載の対象物の入替え支援方法。
【請求項3】
前記コンピュータが、
前記繰り返し過程を実行することによって生成された、2つ以上が紐付けられた一連の識別子の列のデータのそれぞれから、当該データによって特定される一連の識別子のうちの連続する2つの識別子を対として抜き出したデータを生成する過程を含む、
請求項1記載の対象物の入替え支援方法。
【請求項4】
前記コンピュータが、
前記繰り返し過程を実行することによって生成された、2つ以上が紐付けられた一連の識別子の列のデータを出力する過程を含む、
請求項1記載の対象物の入替え支援方法。
【請求項5】
前記コンピュータが、
前記繰り返し過程を実行することによって生成された、2つ以上が紐付けられた一連の識別子の列のデータのすべてを、識別子の列の長さを基準として昇順又は降順でソートすることによって生成されたデータを出力する過程を含む、
請求項2記載の対象物の入替え支援方法。
【請求項6】
前記コンピュータが、
前記繰り返し過程を実行することによって生成された、2つ以上が紐付けられた一連の識別子の列のデータのそれぞれから、当該データによって特定される一連の識別子のうちの連続する2つの識別子を対として抜き出したデータを出力する過程を含む、
請求項3記載の対象物の入替え支援方法。
【請求項7】
前記対象物が遊技場に設置される遊技機であり、前記定位置が前記遊技機の設置場所である、
請求項1記載の対象物の入替え支援方法。
【請求項8】
定められた位置である多数の定位置のそれぞれに予め対象物が配置されている初期状態から、予め配置されていた前記対象物のうちの複数を撤去する作業と、予め配置されていた前記対象物のうちの複数を他の前記定位置に移動させ、また、予め配置されていた前記対象物のうちの撤去されたものと同数の新たに搬入される前記対象物を、空いている前記定位置に配置する作業と、を行うことで、前記定位置のそれぞれに初期状態とは異なる組合せで前記対象物が配置された終了状態とする、対象物の入替え作業、を支援するための、対象物の入替え支援装置であって、
前記初期状態において前記定位置のそれぞれに配置されている前記対象物を、前記対象物のそれぞれに割振られた互いにユニークな識別子によって特定するデータである初期状態データを生成するためのデータを受付けるとともに、前記終了状態において前記定位置のそれぞれに配置されている前記対象物を、前記識別子によって特定するためのデータである終了状態データを生成するためのデータを受付ける受付手段と、
前記初期状態データを生成するためのデータに基づいて前記初期状態データを生成する初期状態データ生成手段と、
前記終了状態データを生成するためのデータに基づいて前記終了状態データを生成する終了状態データ生成手段と、
前記初期状態データ生成手段によって生成された前記初期状態データと、前記終了状態データ生成手段によって生成された前記終了状態データとに基づいて、前記初期状態において存在する前記対象物に割振られたすべての前記識別子のうち、前記終了状態において存在しない、撤去の対象となる前記対象物のそれぞれが前記初期状態において配置されていた前記定位置のそれぞれに前記終了状態において配置される前記対象物に割振られた前記識別子を抽出するとともに、抽出された前記識別子のそれぞれを、抽出された前記識別子が割振られた前記対象物が前記終了状態において配置される前記定位置に前記初期状態において配置されていた前記対象物に割振られた前記識別子のそれぞれと紐付ける1次割当手段と、
前記初期状態データ生成手段によって生成された前記初期状態データと、前記終了状態データ生成手段によって生成された前記終了状態データと、前記1次割当手段によって抽出された前記識別子のデータとに基づいて、前記1次割当手段によって抽出された前記識別子が割振られていた前記対象物のうち新たに搬入された前記対象物以外の前記対象物のそれぞれが前記初期状態において配置されていた前記定位置のそれぞれに前記終了状態において配置される前記対象物に割振られた前記識別子を新たに抽出するとともに、新たに抽出された前記識別子のそれぞれを、新たに抽出された前記識別子が割振られた前記対象物が前記終了状態において配置される前記定位置に前記初期状態において配置されていた前記対象物に割振られた前記識別子のそれぞれと紐付ける2次割当手段と、
前記初期状態データ生成手段によって生成された前記初期状態データと、前記終了状態データ生成手段によって生成された前記終了状態データと、直前に更に抽出された前記識別子のデータとに基づいて、直前に更に抽出された前記識別子が割振られていた前記対象物のうち新たに搬入された前記対象物以外の前記対象物のそれぞれが前記初期状態において配置されていた前記定位置のそれぞれに前記終了状態において配置される前記対象物に割振られた前記識別子を更に抽出するとともに、更に抽出された前記識別子のそれぞれを、更に抽出された前記識別子が割振られた前記対象物が前記終了状態において配置される前記定位置に前記初期状態において配置されていた前記対象物に割振られた前記識別子のそれぞれと紐付けるという、前記2次割当手段で実行されたのと同じ処理を、更に抽出された前記識別子が割振られた前記対象物のすべてが、前記対象物のうち新たに搬入された前記対象物となるまで繰り返す繰り返し手段と、
を含んでいる、対象物の入替え支援装置。
【請求項9】
定められた位置である多数の定位置のそれぞれに予め対象物が配置されている初期状態から、予め配置されていた前記対象物のうちの複数を撤去する作業と、予め配置されていた前記対象物のうちの複数を他の前記定位置に移動させ、また、予め配置されていた前記対象物のうちの撤去されたものと同数の新たに搬入される前記対象物を、空いている前記定位置に配置する作業と、を行うことで、前記定位置のそれぞれに初期状態とは異なる組合せで前記対象物が配置された終了状態とする、対象物の入替え作業、を支援するための、対象物の入替え支援装置として、コンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記初期状態において前記定位置のそれぞれに配置されている前記対象物を、前記対象物のそれぞれに割振られた互いにユニークな識別子によって特定するデータである初期状態データを生成するためのデータを受付けるとともに、前記初期状態データを生成する初期状態データ生成過程と、
前記終了状態において前記定位置のそれぞれに配置されている前記対象物を、前記識別子によって特定するためのデータである終了状態データを生成するためのデータを受付けるとともに、前記終了状態データを生成する終了状態データ生成過程と、
前記初期状態データ生成過程によって生成された前記初期状態データと、前記終了状態データ生成過程によって生成された前記終了状態データとに基づいて、前記初期状態において存在する前記対象物に割振られたすべての前記識別子のうち、前記終了状態において存在しない、撤去の対象となる前記対象物のそれぞれが前記初期状態において配置されていた前記定位置のそれぞれに前記終了状態において配置される前記対象物に割振られた前記識別子を抽出するとともに、抽出された前記識別子のそれぞれを、抽出された前記識別子が割振られた前記対象物が前記終了状態において配置される前記定位置に前記初期状態において配置されていた前記対象物に割振られた前記識別子のそれぞれと紐付ける1次割当過程と、
前記初期状態データ生成過程によって生成された前記初期状態データと、前記終了状態データ生成過程によって生成された前記終了状態データと、前記1次割当過程によって抽出された前記識別子のデータとに基づいて、前記1次割当過程によって抽出された前記識別子が割振られていた前記対象物のうち新たに搬入された前記対象物以外の前記対象物のそれぞれが前記初期状態において配置されていた前記定位置のそれぞれに前記終了状態において配置される前記対象物に割振られた前記識別子を新たに抽出するとともに、新たに抽出された前記識別子のそれぞれを、新たに抽出された前記識別子が割振られた前記対象物が前記終了状態において配置される前記定位置に前記初期状態において配置されていた前記対象物に割振られた前記識別子のそれぞれと紐付ける2次割当過程と、
前記2次割当過程の後に、前記初期状態データ生成過程によって生成された前記初期状態データと、前記終了状態データ生成過程によって生成された前記終了状態データと、直前の過程によって抽出された前記識別子のデータとに基づいて、前記直前の過程によって更に抽出された前記識別子が割振られていた前記対象物のうち新たに搬入された前記対象物以外の前記対象物のそれぞれが前記初期状態において配置されていた前記定位置のそれぞれに前記終了状態において配置される前記対象物に割振られた前記識別子を更に抽出するとともに、更に抽出された前記識別子のそれぞれを、更に抽出された前記識別子が割振られた前記対象物が前記終了状態において配置される前記定位置に前記初期状態において配置されていた前記対象物に割振られた前記識別子のそれぞれと紐付けるという、前記2次割当過程と同じ処理を、更に抽出された前記識別子が割振られた前記対象物のすべてが、前記対象物のうち新たに搬入された前記対象物となるまで繰り返す繰り返し過程と、
を実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物の入替えを支援する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多数存在する対象物の入替えが必要な場合が存在する。
例えば、多数の遊技機が存在する遊技場(遊技ホール)において、そのような需要が生じうる。遊技場には多数の遊技機が配置されている。遊技機は通常、遊技機が配置されることが予定された多数の定位置のそれぞれに設置されている。
遊技場に多数配置された遊技機は、所定の期間毎に入替えられる。遊技機メーカーは、次々と新しい遊技機を発売するので、遊技場の管理者は新しい遊技機を遊技場に設置し、また遊技場に設置されていた遊技機を撤去する。加えて、遊技場の管理者は、新たな遊技機の設置と既存の遊技機の撤去の作業を行う際に、遊技場に設置されていた既存の遊技機の場所の移動の作業をも行うのが通例となっている。遊技機の場所を移動して、同種の遊技機を遊技場内で固めることでユーザの便宜を図るとか、また模様替えを行うことでユーザの飽きを防止するためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
かかる作業を行うための場所、かかる作業を行うための時間、かかる作業を行うためのコスト等を度外視するのであれば、理論上、すべての定位置から既存のすべての遊技機を取外し、取外されたすべての遊技機のうち撤去すべきものを撤去し、そして、既存の遊技機のうちの残ったものと、新たに設置される遊技機とを、すべての定位置に設置していけば、上述の作業を終了させることができる。
しかしながら、遊技場の中には定位置から取外されたすべての遊技機を一旦置いておくような場所は存在しないし、かかる作業を行う時間は遊技場が閉鎖されている時間内に限られるし、また、近年の遊技場の厳しい生存競争のさなかでは使えるコストも限られる。
その結果、上述した作業は効率的に進められるべきなのであるが、それは簡単ではない。
例えば、既存の遊技機の撤去、新たな遊技機の設置、及び既存の遊技機の移動を含んだ上述の作業を行う場合、新たな遊技機と移動される既存の遊技機は、既存の遊技機が撤去された後の定位置か、若しくは移動のために一旦取り外された既存の遊技機が元々設置されていた定位置に新たに設置される。この作業を如何に効率よく行うかが問題となる。
例えば、既存のA~Cの遊技機が定位置に設置されており、Aの遊技機が撤去され、またDの遊技機が新たに設置される場合に、Aの遊技機を外して空いた定位置にBの遊技機を設置し、Bの遊技機を外して空いた定位置にCの遊技機を設置し、Cの遊技機を外して空いた定位置に新たに搬入したDの遊技機を設置するのが最も効率が良い、ということがありうる。このようないわば玉突きの作業が存在する場合には、上述の順番で作業を行えば効率は上がるが、上述の順番以外で作業を行った場合には、一旦定位置から外された遊技機が、作業の最後の方まで放置されるといった事態が生じうる。周知のように遊技場の中は、例えば島と島の間の通路は狭い。したがって、放置された遊技機の数が増えれば、それが邪魔になり作業効率は益々落ちることになる。
【0004】
以上のような理由から、既存の遊技機の撤去、新たな遊技機の搬入、及び設置された遊技機の移動が含まれる作業を効率よく行うのは極めて難しい。一般的には、作業開始前において各定位置に存在する既存の遊技機を示す初期状態図、作業終了後において各定位置に存在する遊技機を示す終了状態図を作成するとともに、両図から、最も効率のよい作業の順番を割り出すという作業が手作業で行われている。そして、実際に作業を行う場合には、次は、「○番の遊技機を外して、そこに○番の遊技機を設置せよ」といった指示を、作業の管理者が各作業員に対して現場で都度伝えることにより、それが実行される。
しかしながら、初期状態図、及び終了状態図から、最も効率のよい作業の順番を割り出すという作業は極めて煩雑である。遊技場が巨大化している昨今では、遊技場に設置された遊技機の数が500を超えることはざらであるし、場合によっては遊技機の数は2000を超える。そのような中で、例えば、100台を超える遊技機を撤去し、それと同数の遊技機を新たに設置し、また、遊技機の撤去及び新たな遊技機の設置に加えて、100台を超える遊技機を移動させるような場合には、その作業をもっとも効率よく行うための順番を割り出すのは、少なくとも手作業では殆ど不可能である。また、その順番を、管理者が各作業員に対して口頭で指示するのも極めて効率が悪い。
【0005】
このような課題は、遊技場でのみ存在するわけではない。例えば、小売店において陳列されている商品の入替えを行う場合等においても同様の課題が発生しうる。
【0006】
本願発明は、多数の定位置のそれぞれに設置された対象物が存在する場合に、既存の対象物の撤去、既存の対象物の他の定位置への移動、新たな対象物の定位置への設置を効率良く行えるようにするための技術、つまり、対象物の入替え支援のための技術を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、本願発明者は以下の発明を提案する。
本願発明は、定められた位置である多数の定位置のそれぞれに予め対象物が配置されている初期状態から、予め配置されていた前記対象物のうちの複数を撤去する作業と、予め配置されていた前記対象物のうちの複数を他の前記定位置に移動させ、また、予め配置されていた前記対象物のうちの撤去されたものと同数の新たに搬入される前記対象物を、空いている前記定位置に配置する作業と、を行うことで、前記定位置のそれぞれに初期状態とは異なる組合せで前記対象物が配置された終了状態とする、対象物の入替え作業、を支援するための、対象物の入替え支援装置であり、コンピュータを含むもの、の前記コンピュータによって実行される対象物の入替え支援方法である。コンピュータのハードウェア構成は、従来のままで良い。コンピュータは、市販のもので十分であり、デスクトップ型、ノートブック型等、その種類を問わず、場合によってはタブレットやスマートフォンでも良い。
そして、この対象物の入替え支援方法(以下、単に「方法」という場合がある。)は、前記コンピュータが実行する、前記初期状態において前記定位置のそれぞれに配置されている前記対象物を、前記対象物のそれぞれに割振られた互いにユニークな識別子によって特定するデータである初期状態データを生成するためのデータを受付けるとともに、前記初期状態データを生成する初期状態データ生成過程と、前記終了状態において前記定位置のそれぞれに配置されている前記対象物を、前記識別子によって特定するためのデータである終了状態データを生成するためのデータを受付けるとともに、前記終了状態データを生成する終了状態データ生成過程と、前記初期状態データ生成過程によって生成された前記初期状態データと、前記終了状態データ生成過程によって生成された前記終了状態データとに基づいて、前記初期状態において存在する前記対象物に割振られたすべての前記識別子のうち、前記終了状態において存在しない、撤去の対象となる前記対象物のそれぞれが前記初期状態において配置されていた前記定位置のそれぞれに前記終了状態において配置される前記対象物に割振られた前記識別子を抽出するとともに、抽出された前記識別子のそれぞれを、抽出された前記識別子が割振られた前記対象物が前記終了状態において配置される前記定位置に前記初期状態において配置されていた前記対象物に割振られた前記識別子のそれぞれと紐付ける1次割当過程と、前記初期状態データ生成過程によって生成された前記初期状態データと、前記終了状態データ生成過程によって生成された前記終了状態データと、前記1次割当過程によって抽出された前記識別子のデータとに基づいて、前記1次割当過程によって抽出された前記識別子が割振られていた前記対象物のうち新たに搬入された前記対象物以外の前記対象物のそれぞれが前記初期状態において配置されていた前記定位置のそれぞれに前記終了状態において配置される前記対象物に割振られた前記識別子を新たに抽出するとともに、新たに抽出された前記識別子のそれぞれを、新たに抽出された前記識別子が割振られた前記対象物が前記終了状態において配置される前記定位置に前記初期状態において配置されていた前記対象物に割振られた前記識別子のそれぞれと紐付ける2次割当過程と、前記2次割当過程の後に、前記初期状態データ生成過程によって生成された前記初期状態データと、前記終了状態データ生成過程によって生成された前記終了状態データと、直前の過程によって更に抽出された前記識別子のデータとに基づいて、前記直前の過程によって更に抽出された前記識別子が割振られていた前記対象物のうち新たに搬入された前記対象物以外の前記対象物のそれぞれが前記初期状態において配置されていた前記定位置のそれぞれに前記終了状態において配置される前記対象物に割振られた前記識別子を更に抽出するとともに、更に抽出された前記識別子のそれぞれを、更に抽出された前記識別子が割振られた前記対象物が前記終了状態において配置される前記定位置に前記初期状態において配置されていた前記対象物に割振られた前記識別子のそれぞれと紐付けるという、前記2次割当過程と同じ処理を、更に抽出された前記識別子が割振られた前記対象物のすべてが、前記対象物のうち新たに搬入された前記対象物となるまで繰り返す繰り返し過程と、を含んでいる。
【0008】
この方法は、定められた位置である多数の定位置のそれぞれに予め対象物が配置されている初期状態において定位置のそれぞれに配置されている対象物を、対象物のそれぞれに割振られた互いにユニークな識別子によって特定するデータである初期状態データを生成するためのデータを受付けるとともに、初期状態データを生成する初期状態データ生成過程を含んでいる。これにより生成される初期状態データは、背景技術で説明した初期状態図に概ね相当するものである。つまり、本願発明の方法では、初期状態図に相当するデータである初期状態データを生成する。「初期状態データを生成するためのデータ」は、初期状態データそのものを含む。また、互いにユニークな識別子は、以後においても同じであるが、例えば、連続する自然数とすることができる。
また、この方法では、定位置のそれぞれに初期状態とは異なる組合せで対象物が配置された終了状態において定位置のそれぞれに配置されている対象物を、識別子によって特定するためのデータである終了状態データを生成するためのデータを受付けるとともに、終了状態データを生成する終了状態データ生成過程を含んでいる。これにより生成される終了状態データは、背景技術で説明した終了状態図に概ね相当するものである。つまり、本願発明の方法では、終了状態図に相当するデータである終了状態データを生成する。「終了状態データを生成するためのデータ」は、終了状態データそのものを含む。初期状態データの生成と、終了状態データの生成とは、どちらが先に行われてもよく、同時に行われてもよい。
本願発明の対象物の入替え支援方法では、基本的に、これら初期状態データと終了状態データとに基づいて、対象物の入替え作業を支援するのに有益なデータを生成する。
この方法では、コンピュータは、初期状態データと、終了状態データとに基づいて、初期状態において存在する前記対象物に割振られたすべての識別子のうち、終了状態において存在しない、撤去の対象となる前記対象物のそれぞれが初期状態において配置されていた定位置のそれぞれに前記終了状態において配置される対象物に割振られた前記識別子を抽出するとともに、抽出された識別子のそれぞれを、抽出された識別子が割振られた対象物が終了状態において配置される定位置に初期状態において配置されていた対象物に割振られた前記識別子のそれぞれと紐付ける1次割当過程を実行する。
1次割当過程では、簡単に言うと、初期状態データと、終了状態データとの例えば差分から、撤去される対象物を特定するとともに、撤去された複数の対象物が初期状態においてそれぞれ設置されていた定位置に終了状態において設置されることになる対象物を特定するとともに、同一の定位置において撤去された対象物と新たに設置される対象物の識別子を連ねたデータを生成する。例えば、識別子が自然数であると仮定した場合において、ある定位置に着目した際に、その定位置に初期状態において「2」という識別子が振られた対象物が設置されており、その対象物が撤去された後に、その定位置に終了状態において「100」という識別子が振られた対象物が設置されるのであれば、例えば、「2、100」という識別子の列が生成されるということである。1次割当過程では、このような識別子の列が、撤去された対象物が設置されていたすべての定位置の数だけ生成されることになる。2次割当過程の処理と関係することになるが、撤去された対象物が初期状態において設置されていた定位置に終了状態において設置されることになる対象物は、新たに搬入された対象物である場合もあるし、初期状態において他の定位置に設置されていた対象物である場合もある。
次に、コンピュータは、初期状態データと、終了状態データと、1次割当過程によって抽出された識別子のデータとに基づいて、1次割当過程によって抽出された識別子が割振られていた対象物のうち新たに搬入された対象物以外の対象物のそれぞれが初期状態において配置されていた定位置のそれぞれに終了状態において配置される対象物に割振られた識別子を新たに抽出するとともに、新たに抽出された識別子のそれぞれを、新たに抽出された識別子が割振られた対象物が終了状態において配置される定位置に初期状態において配置されていた対象物に割振られた識別子のそれぞれと紐付ける2次割当過程を実行する。
2次割当過程では、まず、初期状態データと、終了状態データと、1次割当過程によって抽出された識別子(撤去された対象物が設置されていた定位置に終了状態において設置されることになる対象物の識別子)とから、1次割当過程で識別子の列が作られることになった識別子(撤去された対象物が初期状態で設置されていた定位置に終了状態において設置されることになる対象物の識別子)のうち、新たに搬入された対象物ではない対象物(つまり、初期状態において他の定位置に設置されており、そこからその定位置に移動して設置された対象物)の識別子を新たに抽出する。上述したように、撤去された対象物が初期状態において設置されていた定位置に終了状態において設置されることになる対象物は、新たに搬入された対象物である場合もあるし、初期状態において他の定位置に設置されていた対象物である場合もある。これらの場合のすべてについて、1次割当過程では、識別子の列が作られるが、撤去された対象物が初期状態において設置されていた定位置に終了状態において設置されることになる対象物が新たに搬入された対象物である場合には、他の定位置に空きが生じることがないので、背景技術で述べたような「玉突き」の如き対象物の移動が生じることがない。他方、撤去された対象物が初期状態において設置されていた定位置に終了状態において設置されることになる対象物が、初期状態において他の定位置に設置されていた対象物である場合には、初期状態から定位置に存在した対象物が移動することにより、上述の「他の定位置」に空きが生じることになる。その定位置には、新たに搬入された対象物か、他の定位置からの対象物が設置されることになるから、この場合には、対象物の「玉突き」の如き移動が生じることになる。2次割当過程における上述の処理は、1次割当過程で抽出された識別子が割当られた対象物の中から、そのような「玉突き」を生じるものを見つけ出す、という意味を持つ。次いで、2次割当過程では、2次割当過程で新たに抽出された識別子のそれぞれを、新たに抽出された識別子が割振られた対象物が終了状態において配置される定位置に初期状態において配置されていた対象物に割振られた識別子のそれぞれと紐付ける。これは、第1割当過程で行われた識別子の紐づけと同様の意味を持つ。1次割当過程で用いた例に倣って例示すると、ある定位置に初期状態において「2」という識別子が振られた対象物が設置されており、その対象物が撤去された後に、その定位置に終了状態において「100」という識別子が振られた対象物が設置されるのであれば、上述のように1次割当過程において、「2、100」という識別子の列が生成されたが、ここで100という識別子が割振られた対象物が初期状態において設置されていた定位置であって、100という識別子が振られた対象物が2という識別子が割振られた対象物があった定位置に移動したことによって空いた定位置に、終了状態において200という識別子が割振られた対象物が設置されることになるのであれば、200という識別子が100という識別子に紐付けられて、「2、100、200」という識別子の列が生成される。1次割当過程では、撤去される対象物の数と同数の「識別子の列」が作られることになるが、2次割当過程では、それら識別子の列のうち、上述のごとき玉突きを生じる対象物の数に相当する「識別子の列」に対して、識別子の付加が行われることになる。
2次割当過程の後に、繰り返し過程が実行される。繰り返し過程は、初期状態データと、終了状態データと、直前の過程によって更に抽出された識別子のデータとに基づいて、直前の過程によって更に抽出された識別子が割振られていた対象物のうち新たに搬入された対象物以外の対象物のそれぞれが初期状態において配置されていた定位置のそれぞれに終了状態において配置される対象物に割振られた識別子を更に抽出するとともに、更に抽出された識別子のそれぞれを、更に抽出された識別子が割振られた対象物が終了状態において配置される定位置に初期状態において配置されていた対象物に割振られた識別子のそれぞれと紐付けるという、2次割当過程と同じ処理を、更に抽出された識別子が割振られた対象物のすべてが、対象物のうち新たに搬入された対象物となるまで繰り返すというものである。簡単にいうと、繰り返し過程は、2次割当過程を繰り返し実行する、というものである。繰り返し過程における「直前の過程」は、2次割当過程或いは、それに続く過程(3次割当過程、4次割当過程…、というべきもの)である。2次割当過程は、1次割当過程で作られた識別子の列のうち、上述の「玉突き」が生じるもの(上述の例でいえば、「2、100」等の2つの識別子のうち、2番目の識別子が、新たに搬入された対象物ではなく他の定位置から移動してきた識別子である場合)において、その2番目の識別子に対して、3番目の識別子を付加するというものであった。繰り返し過程では、それと同等の処理を、繰り返し行うことによって、例えば、3次割当過程に相当する処理であれば、識別子の列に、4番目の識別子を付加し、4次割当過程に相当する処理であれば、識別子の列に、5番目の識別子を付加し、以後も同様の処理を繰り返す。そうすると、何回目の処理かはわからないが、結果として、付加された識別子のすべてが新たに搬入される対象物の識別子になるという状態がやがて現れる。そのような状態が現れたときには、すべての識別子の列において、それ以上の「玉突き」は生じないということになる。
以上のようにして求められる撤去される対象物の数と等しい数の「識別子の列」は、対象物の入替えを行う際における効率の良い対象物の移動方法を反映させたものとなる。
識別子の列のデータは、例えば、上述のコンピュータ内外の記録装置に記録して適宜に利用することもできるし、コンピュータの外部に出力することもできる。例えば、本願の対象物の入替え支援方法は、前記コンピュータが、前記繰り返し過程を実行することによって生成された、2つ以上が紐付けられた一連の識別子の列のデータを出力する過程を含んでもよい。なお、本願発明においてコンピュータから出力される「コンピュータが、繰り返し過程を実行することによって生成された、2つ以上が紐付けられた一連の識別子の列のデータ」は、当該データそのものでも良いが、当該データの内容を作業員等が視覚的に認識できるようにするための、例えば画像データやテキストデータでも良い。出力の先は、例えば、一般的な印刷装置であるプリンタである。プリンタに出力されプリンタにより紙に印刷された識別子の列を例えば多数の作業員に配布することで、管理者が作業員に口頭で指示を行わなくとも、各作業員は、その紙を工程表として参照することにより、効率よく対象物の入替え作業を行うことが可能となる。各作業員に配布される紙に記載される内容は、同一であってもよいし、そうでなくても良い。例えば、識別子の列のうち、各作業員の担当する作業に相当する部分のみを各作業員用の工程表に反映させることができる。そのような工程表によれば、各作業員は、余計な情報に惑わされることなく、自分が担当すべき作業の内容のみを知ることができるようになる。各作業員に識別子の列を配布する場合、その配布の方法は、紙を媒体とする必要はない。識別子の列のデータ、或いは識別子の列についての画像のデータ等を各ユーザに公知或いは周知の方法で配布するとともに、各作業員は、例えば自らが所有する携帯機器(スマートフォン、タブレット等)により、識別子の列を参照することができるようにしてもよい。この場合においても、各作業員に配布する識別子の列のデータは同じである必要はない。
また、前記対象物は遊技場に設置される遊技機であってもよく、前記定位置は前記遊技機の設置場所であってもよい。もちろん、対象物と定位置とは他のものであっても良い。
【0009】
本願の対象物の入替え支援方法は、前記コンピュータが、前記繰り返し過程を実行することによって生成された、2つ以上が紐付けられた一連の識別子の列のデータのすべてを、識別子の列の長さを基準として昇順又は降順でソートする過程を含んでもよい。
上述したように、本願の対象物の入替え支援方法を実行することによりコンピュータが生成する識別子の列は、撤去される対象物の数と同数だけ生成される。そして、各識別子の列に含まれる識別子の数は、少なくとも2つであり、長い場合には、対象物の入替えの複雑さにもよるが、例えば、10或いはそれ以上となる。識別子の列を、識別子の列の長さ(識別子の列に含まれる識別子の数)に応じてソートすることにより、どのような長さの識別子の列がどの程度の数存在しているかを直感的に理解しやすくなる。識別子の列の長さは、作業量の多さに対応している。例えば、長い識別子の列と、短い識別子の列とを組合せたものに対応した作業を各作業員に割振ることとすれば、各作業員に作業量を公平に割振ることができるようになる可能性がある。
本願発明による方法はもちろん、前記コンピュータが、前記繰り返し過程を実行することによって生成された、2つ以上が紐付けられた一連の識別子の列のデータのすべてを、識別子の列の長さを基準として昇順又は降順でソートすることによって生成されたデータを出力する過程を含んでいてもよい。なお、本願発明においてコンピュータから出力される「コンピュータが、繰り返し過程を実行することによって生成された、2つ以上が紐付けられた一連の識別子の列のデータのすべてを、識別子の列の長さを基準として昇順又は降順でソートすることによって生成されたデータ」は、当該データそのものでも良いが、当該データの内容を作業員等が視覚的に認識できるようにするための、例えば画像データやテキストデータでも良い。
本願の対象物の入替え支援方法は、前記コンピュータが、前記繰り返し過程を実行することによって生成された、2つ以上が紐付けられた一連の識別子の列のデータのそれぞれから、当該データによって特定される一連の識別子のうちの連続する2つの識別子を対として抜き出したデータを生成する過程を含んでいてもよい。
上述のように、一連の識別子の列は、最低2つが連なる。例えば、上述の例で挙げた、「2、100」という識別子の列を参照すれば、作業員は、初期状態で2という識別子が付されていた対象物が存在していた定位置に、初期状態で100という識別子が付されていた対象物を設置すれば良い、ということを直感的に理解できるであろう。他方、「2、100、200」という識別子であれば、「初期状態で2という識別子が付されていた対象物が存在していた定位置に、初期状態で100という識別子が付されていた対象物を設置する」という作業と、「初期状態で100という識別子が付されていた対象物が存在していた定位置に、初期状態で200という識別子が付されていた対象物を設置」するという2つの作業が必要となるのであるが、特に識別子の列が長くなったときには、作業員に識別子の列の解釈を任せると誤りが生じるおそれがある。したがって、例えば、「2、100、200」という識別子の列が存在するのであれば、「2、100」、「100、200」という一連の識別子のうちの連続する2つの識別子を対として抜き出したデータを生成することで、作業員が、一連の識別子を解釈する必要がなくなるから、作業員が作業の順序について誤解を生じるおそれを低減させることが可能となる。なお、上述の2つの例のいずれの場合においても、2という識別子が割当てられた対象物を撤去する、という作業が必要となる。そのように、識別子の列の先頭の識別子が割当てられた対象物を撤去するというデータをも、コンピュータが生成するようになっていても良い。
本願の方法はもちろん、前記コンピュータが、前記繰り返し過程を実行することによって生成された、2つ以上が紐付けられた一連の識別子の列のデータのそれぞれから、当該データによって特定される一連の識別子のうちの連続する2つの識別子を対として抜き出したデータを出力する過程を含んでいてもよい。なお、本願発明においてコンピュータから出力される「コンピュータが、繰り返し過程を実行することによって生成された、2つ以上が紐付けられた一連の識別子の列のデータのそれぞれから、当該データによって特定される一連の識別子のうちの連続する2つの識別子を対として抜き出したデータ」は、当該データそのものでも良いが、当該データの内容を作業員等が視覚的に認識できるようにするための、例えば画像データやテキストデータでも良い。
【0010】
本願発明者は、上述のごとき対象物の入替え支援方法を実行する対象物の入替え支援装置をも本願発明の一態様として提案する。かかる装置による効果は、本願発明による対象物の入替え支援方法の効果に等しい。
一例となるその装置は、定められた位置である多数の定位置のそれぞれに予め対象物が配置されている初期状態から、予め配置されていた前記対象物のうちの複数を撤去する作業と、予め配置されていた前記対象物のうちの複数を他の前記定位置に移動させ、また、予め配置されていた前記対象物のうちの撤去されたものと同数の新たに搬入される前記対象物を、空いている前記定位置に配置する作業と、を行うことで、前記定位置のそれぞれに初期状態とは異なる組合せで前記対象物が配置された終了状態とする、対象物の入替え作業、を支援するための、対象物の入替え支援装置である。
そして、この対象物の入替え支援装置は、前記初期状態において前記定位置のそれぞれに配置されている前記対象物を、前記対象物のそれぞれに割振られた互いにユニークな識別子によって特定するデータである初期状態データを生成するためのデータを受付けるとともに、前記終了状態において前記定位置のそれぞれに配置されている前記対象物を、前記識別子によって特定するためのデータである終了状態データを生成するためのデータを受付ける受付手段と、前記初期状態データを生成するためのデータに基づいて前記初期状態データを生成する初期状態データ生成手段と、前記終了状態データを生成するためのデータに基づいて前記終了状態データを生成する終了状態データ生成手段と、前記初期状態データ生成手段によって生成された前記初期状態データと、前記終了状態データ生成手段によって生成された前記終了状態データとに基づいて、前記初期状態において存在する前記対象物に割振られたすべての前記識別子のうち、前記終了状態において存在しない、撤去の対象となる前記対象物のそれぞれが前記初期状態において配置されていた前記定位置のそれぞれに前記終了状態において配置される前記対象物に割振られた前記識別子を抽出するとともに、抽出された前記識別子のそれぞれを、抽出された前記識別子が割振られた前記対象物が前記終了状態において配置される前記定位置に前記初期状態において配置されていた前記対象物に割振られた前記識別子のそれぞれと紐付ける1次割当手段と、前記初期状態データ生成手段によって生成された前記初期状態データと、前記終了状態データ生成手段によって生成された前記終了状態データと、前記1次割当手段によって抽出された前記識別子のデータとに基づいて、前記1次割当手段によって抽出された前記識別子が割振られていた前記対象物のうち新たに搬入された前記対象物以外の前記対象物のそれぞれが前記初期状態において配置されていた前記定位置のそれぞれに前記終了状態において配置される前記対象物に割振られた前記識別子を新たに抽出するとともに、新たに抽出された前記識別子のそれぞれを、新たに抽出された前記識別子が割振られた前記対象物が前記終了状態において配置される前記定位置に前記初期状態において配置されていた前記対象物に割振られた前記識別子のそれぞれと紐付ける2次割当手段と、前記初期状態データ生成手段によって生成された前記初期状態データと、前記終了状態データ生成手段によって生成された前記終了状態データと、直前に更に抽出された前記識別子のデータとに基づいて、直前に更に抽出された前記識別子が割振られていた前記対象物のうち新たに搬入された前記対象物以外の前記対象物のそれぞれが前記初期状態において配置されていた前記定位置のそれぞれに前記終了状態において配置される前記対象物に割振られた前記識別子を更に抽出するとともに、更に抽出された前記識別子のそれぞれを、更に抽出された前記識別子が割振られた前記対象物が前記終了状態において配置される前記定位置に前記初期状態において配置されていた前記対象物に割振られた前記識別子のそれぞれと紐付けるという、前記2次割当手段で実行されたのと同じ処理を、更に抽出された前記識別子が割振られた前記対象物のすべてが、前記対象物のうち新たに搬入された前記対象物となるまで繰り返す繰り返し手段と、を含んでいる。
なお、対象物の入替え支援方法についての説明ですべて述べたように、2次割当手段と、繰り返し手段とは事実上同種の処理を繰り返し行うものである。したがって、対象物の入替え支援装置においてこれらの処理を事実上行う2次割当手段と、繰り返し手段とはその一方が他方を兼ねるように構成されていても構わない。
【0011】
本願発明者は、対象物の入替え支援方法を実行する装置として所定の例えば汎用のコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムをも本願発明の一態様として提案する。かかるコンピュータプログラムによる効果は、本願発明による対象物の入替え支援方法の効果に等しく、また、本願による対象物の入替え支援方法を実行する装置として所定のコンピュータを機能させることが可能となることもその効果である。
一例となるそのコンピュータプログラムは、定められた位置である多数の定位置のそれぞれに予め対象物が配置されている初期状態から、予め配置されていた前記対象物のうちの複数を撤去する作業と、予め配置されていた前記対象物のうちの複数を他の前記定位置に移動させ、また、予め配置されていた前記対象物のうちの撤去されたものと同数の新たに搬入される前記対象物を、空いている前記定位置に配置する作業と、を行うことで、前記定位置のそれぞれに初期状態とは異なる組合せで前記対象物が配置された終了状態とする、対象物の入替え作業、を支援するための、対象物の入替え支援装置として、コンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムである。
そして、そのコンピュータプログラムは、前記コンピュータに、前記初期状態において前記定位置のそれぞれに配置されている前記対象物を、前記対象物のそれぞれに割振られた互いにユニークな識別子によって特定するデータである初期状態データを生成するためのデータを受付けるとともに、前記初期状態データを生成する初期状態データ生成過程と、前記終了状態において前記定位置のそれぞれに配置されている前記対象物を、前記識別子によって特定するためのデータである終了状態データを生成するためのデータを受付けるとともに、前記終了状態データを生成する終了状態データ生成過程と、前記初期状態データ生成過程によって生成された前記初期状態データと、前記終了状態データ生成過程によって生成された前記終了状態データとに基づいて、前記初期状態において存在する前記対象物に割振られたすべての前記識別子のうち、前記終了状態において存在しない、撤去の対象となる前記対象物のそれぞれが前記初期状態において配置されていた前記定位置のそれぞれに前記終了状態において配置される前記対象物に割振られた前記識別子を抽出するとともに、抽出された前記識別子のそれぞれを、抽出された前記識別子が割振られた前記対象物が前記終了状態において配置される前記定位置に前記初期状態において配置されていた前記対象物に割振られた前記識別子のそれぞれと紐付ける1次割当過程と、前記初期状態データ生成過程によって生成された前記初期状態データと、前記終了状態データ生成過程によって生成された前記終了状態データと、前記1次割当過程によって抽出された前記識別子のデータとに基づいて、前記1次割当過程によって抽出された前記識別子が割振られていた前記対象物のうち新たに搬入された前記対象物以外の前記対象物のそれぞれが前記初期状態において配置されていた前記定位置のそれぞれに前記終了状態において配置される前記対象物に割振られた前記識別子を新たに抽出するとともに、新たに抽出された前記識別子のそれぞれを、新たに抽出された前記識別子が割振られた前記対象物が前記終了状態において配置される前記定位置に前記初期状態において配置されていた前記対象物に割振られた前記識別子のそれぞれと紐付ける2次割当過程と、前記2次割当過程の後に、前記初期状態データ生成過程によって生成された前記初期状態データと、前記終了状態データ生成過程によって生成された前記終了状態データと、直前の過程によって抽出された前記識別子のデータとに基づいて、前記直前の過程によって更に抽出された前記識別子が割振られていた前記対象物のうち新たに搬入された前記対象物以外の前記対象物のそれぞれが前記初期状態において配置されていた前記定位置のそれぞれに前記終了状態において配置される前記対象物に割振られた前記識別子を更に抽出するとともに、更に抽出された前記識別子のそれぞれを、更に抽出された前記識別子が割振られた前記対象物が前記終了状態において配置される前記定位置に前記初期状態において配置されていた前記対象物に割振られた前記識別子のそれぞれと紐付けるという、前記2次割当過程と同じ処理を、更に抽出された前記識別子が割振られた前記対象物のすべてが、前記対象物のうち新たに搬入された前記対象物となるまで繰り返す繰り返し過程と、を実行させるためのコンピュータプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態による対象物の入替え支援装置の外観を示す図。
図2図1に示した支援装置のハードウェア構成を示す図。
図3図1に示した支援装置の内部に生成される機能ブロックを示すブロック図。
図4図1に示した支援装置で生成される初期状態データ及び終了状態データの内容を概念的に示す図。
図5図1に示した支援装置で生成される最適データの内容を概念的に示す図。
図6図1に示した支援装置で生成される最適データであって変更されたものの内容を概念的に示す図。
図7図1に示した支援装置からプリンタを介して出力される工程表の一例の内容を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明の好ましい一実施形態について説明する。
【0014】
図1に、本願発明の対象物の入替え支援装置(以下、単に「支援装置」と称する。)の外観を示す。
この実施形態における支援装置は、定められた位置である多数の定位置のそれぞれに予め対象物が配置されている初期状態から、予め配置されていた対象物のうちの複数を撤去する作業と、予め配置されていた対象物のうちの複数を他の定位置に移動させ、また、予め配置されていた対象物のうちの撤去されたものと同数の新たに搬入される対象物を、空いている定位置に配置する作業と、を行うことで、定位置のそれぞれに初期状態とは異なる組合せで対象物が配置された終了状態とする、対象物の入替え作業、を支援するためのものである。ここで、この実施形態における対象物は、遊技場に多数設置されている、或いは新たに搬入されて設置される遊技機である。また、この実施形態における定位置は、遊技場において遊技機が設置されることが予定された多数の位置であって、一般的には、遊技場に構築された島と呼ばれる複数の構造物における所定の位置である。もっとも、これら対象物と定位置とはあくまでも例示であり、対象物と定位置とが他のものであっても構わない。
支援装置100は、コンピュータを含んでいるというより、この実施形態における支援装置100は、汎用のコンピュータにより構成されている。
【0015】
次に、支援装置100の構成を説明する。
支援装置100は、上述のように汎用のコンピュータであり、スマートフォン、タブレット、ノート型パソコン、デスクトップ型パソコン等により構成可能である。
支援装置100は、また、後述するコンピュータプログラムをインストールすることによって後述する機能ブロックをその内部に生成し、そして後述する処理を実行できるものであることが求められるが、それが可能であるのであればそれ以外の仕様は特に問わない。支援装置100を構成するコンピュータは市販のコンピュータで十分である。
例えば、支援装置100がスマートフォンかタブレットなのであれば、スマートフォンとしての支援装置100は例えば、Apple Japan合同会社が製造、販売を行うiPhoneで良いし、タブレットとしての支援装置100は例えば、Apple Japan合同会社が製造、販売を行うiPadでよい。ノート型パソコン、デスクトップ型パソコン等により支援装置100が構成されているのであれば、それらはいずれも市販のもので良い。以下、これには限られないが、支援装置100がタブレットであることとして話を進める。
【0016】
図1に示したように、支援装置100は、筐体に取り付けられたディスプレイ101を備えている。ディスプレイ101は、静止画又は動画を表示するためのものであり、公知、或いは周知のものを用いることができる。ディスプレイ101は例えば、液晶ディスプレイである。ディスプレイ101は、支援装置100に対して外付けされるものであっても良い。例えば、支援装置100がデスクトップ型パソコンなのであれば、ディスプレイ101は外付けタイプとなるであろう。
支援装置100は、また入力装置102を備えている。入力装置102は、ユーザが所望の入力を支援装置100に対して行うためのものである。入力装置102は、公知或いは周知のものを用いることができる。この実施形態における支援装置100の入力装置102はボタン式のものとなっているが、これには限られず、テンキー、キーボード、トラックボール、マウス、マイクロフォン端子を利用した周知の音声入力などを用いることも可能である。特に、支援装置100がノート型パソコン、デスクトップ型パソコンである場合には、入力装置102はキーボードや、マウス等になるであろう。また、ディスプレイ101がタッチパネルである場合、ディスプレイ101は入力装置102の機能を兼ねることになり、この実施形態ではそうされている。
【0017】
支援装置100のハードウェア構成を、図2に示す。
ハードウェアには、CPU(central processing unit)111、ROM(read only memory)112、RAM(random access memory)113、インターフェイス114が含まれており、これらはバス116によって相互に接続されている。
CPU111は、演算を行う演算装置である。CPU111は、例えば、ROM112、或いはRAM113に記録されたコンピュータプログラムを実行することにより、後述する処理を実行する。図示をしていないが、ハードウェアはHDD(hard disk drive)その他の大容量記録装置を備えていてもよく、コンピュータプログラムは大容量記録装置に記録されていても構わない。
ここでいうコンピュータプログラムには、後述する処理(例えば、後述する画像をディスプレイ101に表示させる処理、或いは後述する1次割当処理、2次割当処理等の処理)を支援装置100に実行させるためのコンピュータプログラムが少なくとも含まれる。このコンピュータプログラムは、支援装置100にプリインストールされていたものであっても良いし、事後的にインストールされたものであっても良い。このコンピュータプログラムの支援装置100へのインストールは、メモリカード等の所定の記録媒体を介して行なわれても良いし、LAN或いはインターネットなどのネットワークを介して行なわれても構わない。
ROM112は、CPU111が後述する処理を実行するために必要なコンピュータプログラムやデータを記録している。ROM112に記録されたコンピュータプログラムとしては、これに限られない。例えば、OSその他のコンピュータプログラムがROM112に記録されていても良い。
RAM113は、CPU111が処理を行うために必要なワーク領域を提供する。場合によっては、上述のコンピュータプログラムやデータ(の一部)が記録されていてもよい。
インターフェイス114は、バス116で接続されたCPU111やRAM113等と外部との間でデータのやり取りを行うものである。インターフェイス114には、上述のディスプレイ101と、入力装置102とが接続されている。入力装置102から入力された操作内容は、インターフェイス114からバス116に入力されるようになっている。また、周知のようにディスプレイ101に画像を表示するための画像データは、バス116からインターフェイス114に送られ、インターフェイス114からディスプレイ101に出力されるようになっている。インターフェイス114は、また、例えばUSBポートである出力端子(図示を省略)に接続されている。出力端子は、所定の外部機器に接続可能となっており、例えば、印刷装置である公知或いは周知のプリンタと接続可能となっている。これには限られないがこの実施形態では、出力端子はプリンタと公知或いは周知のケーブルを介して接続されている。バス116からインターフェイス114には後述する最適データが送られてくることがあり、それを受け取ったインターフェイス114は、出力端子へと最適データ(最適データの内容を視覚的に把握することができるようなデータでもよく、これには限られないがこの実施形態ではそうされている。)を送るようになっている。そうすると、最適データは、出力端子からプリンタへと送られる。なお、支援装置100とプリンタとの接続は有線で行われる必要はなく、無線で接続されていても良い。その場合、出力端子は、無線通信を行うたとえばBluetooth(商標)の規格による通信装置として構成されることになる。
【0018】
CPU111がコンピュータプログラムを実行することにより、支援装置100内部には、図3で示されたような機能ブロックが生成される。なお、以下の機能ブロックは、支援装置100に以下に述べるような処理を実行させるための上述のコンピュータプログラム単体の機能により生成されていても良いが、上述のコンピュータプログラムと、支援装置100にインストールされたOSその他のコンピュータプログラムとの協働により生成されても良い。
支援装置100内には、本願発明の機能との関係で、入力部121、主制御部122、状態データ生成部123、1次割当処理部124、2次割当処理部125、出力部126が生成される。
【0019】
入力部121は、インターフェイス114からの入力を受取るものである。
インターフェイス114から入力部121へ入力されるのは、入力装置102からの入力である。入力装置102からの入力には、いずれについても詳細は追って説明するが、例えば、後述する初期状態データを生成するためのデータである初期データと、後述する終了状態データを生成するためのデータである終了データとがある。また、後述する人数データと、作業員データとが、必要に応じて、入力装置102から入力部121へと入力される。入力装置102から、インターフェイス114を介して、初期データ、終了データ、人数データ、作業員データを受け取った場合、入力部121はそれらを主制御部122へと送るようになっている。
【0020】
主制御部122は、支援装置100内に生成された各機能ブロック全体の制御を行うとともに、後述するような処理を実行する機能を有している。
主制御部122は、上述したように、入力部121から、初期データと、終了データとを受け取る場合がある。主制御部122は、これらを受け取った場合、それらを状態データ生成部123へと送るようになっている。
主制御部122は、また、上述したように、入力部121から、人数データと、作業員データとを受け取る場合がある。主制御部122は、これらを受け取った場合、それを保持するようになっている。
主制御部122はまた、後述するように、2次割当処理部125から、後述する最適データを受け取る場合がある。主制御部122は、最適データを2次割当処理部125から受け取った場合には、その最適データを出力部126に送るようになっている。なお、主制御部122は、最適データをそのまま出力部126へ送るようになっていても良いが、この実施形態では、最適データに対して、後述するソート処理、或いは分断処理を行ってから、出力部126へと送るようになっている。ソート処理、分断処理を行う場合、主制御部122は、保持していた人数データ、作業員データを用いる場合がある。また、主制御部122が出力部126へ送る最適データは、最適データの一部であることもあり得る。この点についても後述する。
【0021】
状態データ生成部123は、上述したように、初期データを受け取る場合がある。初期データを受け取った場合、状態データ生成部123は、初期状態データを生成するようになっている。初期状態データの内容、及びその生成方法の詳細については後述する。
状態データ生成部123は、また、上述したように、終了データを受け取る場合がある。終了データを受け取った場合、状態データ生成部123は、終了状態データを生成するようになっている。終了状態データの内容、及びその生成方法の詳細については後述する。
状態データ生成部123は、生成した初期状態データ及び終了状態データを、1次割当処理部124へ送るようになっている。
【0022】
1次割当処理部124は、上述したように、初期状態データ、及び終了状態データを状態データ生成部123から受け取る場合がある。これらの双方を受け取った場合、1次割当処理部124は、それらに基づいて、最適データの一部を生成する。1次割当処理部124が生成する最適データの一部の内容、及びその生成方法の詳細については後述する。
1次割当処理部124は、生成した最適データの一部と、初期状態データ、及び終了状態データとを、2次割当処理部125へ送るようになっている。
【0023】
2次割当処理部125は、上述したように、最適データの一部と、初期状態データ、及び終了状態データとを1次割当処理部124から受け取る場合がある。これら3つのデータを受け取った場合、2次割当処理部125は、それらに基づいて、最適データを生成する。2次割当処理部125が生成する最適データの内容、及びその生成方法の詳細については後述する。
2次割当処理部125は、生成した最適データを、主制御部122へ送るようになっている。
【0024】
出力部126は、上述したように、主制御部122から最適データを受け取るようになっている。出力部126は、最適データを、インターフェイス114へと出力するようになっている。この実施形態では、出力部126は、最適データの内容を視覚的に理解できるようなデータである画像データを生成してインターフェイス114に送るようになっている。かかる画像データは、インターフェイス114からディスプレイ101へと送られ、ディスプレイ101には画像データに基づく後述の画像が表示される。なお、ディスプレイ101には、後述するようなその他のデータも表示される場合がある。
また、出力部126からインターフェイス114へ送られた画像データは、出力端子を経てプリンタへと送られる場合がある。かかる画像データを受け取ったら、プリンタはその画像データに基づく画像を紙へ印刷するようになっている。
【0025】
以上で説明した支援装置100の使用方法と動作を以下に説明する。
支援装置100を用いる場合には、まず、支援装置100にて初期状態データと終了状態データとを生成する。
初期状態データは、定められた位置である多数の定位置のそれぞれに予め対象物(遊技機)が設置されている初期状態を特定するデータである。これは、要するに、対象物の入替え作業が行われる前において、多数の定位置にどの対象物が設置されているのかということを特定するデータである。
他方、終了状態データは、対象物の入替え作業が終了した場合において、定められた位置である多数の定位置のそれぞれにどの対象物が設置されているのかということを特定するデータである。
初期状態データと終了状態データとはどちらが先に生成されてもよく、そのようにする必然性は特に無いが同時に生成されても構わない。支援装置100に初期状態データを生成させるためにユーザ(例えば、遊技機の入替え作業の管理者等)は初期データを入力し、支援装置100に終了状態データを生成させるためにユーザは終了データを入力する。それらデータの入力は、ユーザが入力装置102を操作することにより行う。
初期状態データを生成するためには、定位置の位置と、各定位置にどの対象物が存在するかを特定する必要がある。定位置の位置を示すデータと、各定位置にどの対象物が存在するかを特定するデータの集合が、初期データである。ユーザは、入力装置102を操作して、すべての定位置の位置を入力する。また、ユーザは、各定位置にどの対象物があるかを特定するための入力を行う。その場合、各定位置に設置された対象物のそれぞれを区別しなければならない。各対象物には、そのために、ユニークな識別子が割振られているので、ユーザは、各定位置に設置された対象物に割振られている識別子を、各定位置に入力する。
初期データが入力されると初期データの入力中においても、初期データは、入力装置102からインターフェイス114を経て、入力部121へと送られる。初期データは、入力部121から主制御部122へと送られる。主制御部122は、入力装置102から入力されている初期データに応じた画像を生成せよとの指示を出力部126に送る。出力部126はその指示に応じた画像についての画像データを生成する。出力部126は、その画像データをインターフェイス114を介してディスプレイ101へと送る。ディスプレイ101にはその画像データに応じた画像が表示される。その画像を見ながら、ユーザは、初期データの入力を行うことができる。
初期データに基づいて生成される初期状態データの例を、図4に概念的に示す。初期状態データは、図4に示されたように、多数の定位置(「初期状態欄」という文字の図中の横方向に位置する、網掛けがなされた四角い枠のそれぞれ)とその中に記載の識別子から構成される。この実施形態では、図4に示された多数の定位置の相互の位置関係は、実際の遊技場において遊技機が配置される多数の定位置の平面視した場合における相互の位置関係に倣ったものとされている。各定位置のうち例えば、横並びになった一連の定位置は、遊技場における1つの「島」に含まれる定位置である。これには限られないが、この実施形態では、初期状態においても終了状態においても、定位置は640個である。識別子は、必ずしもこの限りではないが、この実施形態では、連番の自然数である。必ずしもこの限りではないが、この実施形態では640個の定位置のそれぞれに640個の対象物が設置されているものとし、各対象物には1から640の識別子が割振られている。他方、初期状態の定位置には存在しないが、新たに搬入される対象物には、701から720の識別子がそれぞれ割振られている。新たに搬入される対象物に割振られる識別子のそれぞれは、初期状態において定位置に存在する各対象物に割振られた識別子のそれぞれと異なるものとされる。
生成された初期状態データは、状態データ生成部123から1次割当処理部124へと送られる。
終了状態データの生成の方法も同様である。終了状態データを生成する場合においても、定位置の位置と、各定位置にどの対象物が存在するかの特定が必要である。定位置は、初期状態と終了状態で変わらないので、一度定位置についてのデータを生成したら、それは以後使い回すことができる。終了状態における定位置の位置を示すデータと、各定位置にどの対象物が存在するかを特定するデータの集合が、終了データである。ユーザは、入力装置102を操作して、定位置の位置と、終了状態において各定位置に設置されるべき対象物を特定するデータの入力を行う。対象物の特定は、初期状態データの場合と同様に識別子により行われる。
終了データが入力されると、初期データが入力される場合と同様に、入力中から入力終了までの間中、終了データの内容がディスプレイ101に表示される。その画像を見ながら、ユーザは、終了データの入力を行うことができる。
終了データに基づいて生成される終了状態データの例も、図4に概念的に示されている。終了データにおける定位置は、「初期状態欄」という文字の横方向に位置する上述の定位置の上又は下に隣接して配された、「終了状態欄」という文字の横方向に位置する四角い枠のそれぞれである。終了状態における定位置と、それらの上下いずれかに隣接する定位置とは同じ定位置を示しており、もっといえば同じ位置を示している。終了データにおいても、各定位置に初期状態と同じ規則にしたがって識別子が記載されている。ただし、終了状態と初期状態との双方で同じ識別子が割振られた対象物が設置される定位置に関しては、終了状態の識別子は省略されている。この実施形態では、初期状態で存在する対象物のうち20個が撤去され、初期状態では存在しなかった対象物が新規に20個搬入され、また初期状態で存在した対象物のうちの多数がある定位置から他の定位置へ移動させられる。初期状態において640個の定位置に記載された識別子は1から640までであったが、終了状態における640個の定位置のそれぞれにはそれらの識別子のうちの620個の記載がある。つまり、640個の対象物のうち20個は撤去される。他方、撤去される対象物と同数の対象物が新規に搬入されることになるが、新規に搬入される対象物には、初期状態に存在した対象物に割振られたものとは異なる、701から720の識別子が付されている。
生成された終了状態データは、状態データ生成部123から1次割当処理部124へと送られる。
なお、この実施形態で用いた図4では、初期状態と終了状態における同一の定位置を、初期状態データと終了状態データ上では上下に隣接させた状態で記載することにより、各定位置において、対象物の変更があったか否かを一目で理解できるようにしている。つまり、図4に示した例では、初期状態データと終了状態データとがあたかも1つにまとまったデータであるかのように説明した。しかしながら、初期状態データと終了状態データとは別個の2つのデータであってももちろん構わない。その場合、終了状態データは、初期状態データと同一に配置された定位置を示す各枠に、終了状態において設置される対象物の識別子がそれぞれ記載されることになるであろう。そのようにして生成される終了状態データでは、上述したような識別子の省略を行わないとするのが通常であろう。
なお、この実施形態では、初期状態データを生成する機能ブロックと終了状態データを生成する機能ブロックとは、状態データ生成部123という1つの機能ブロックであったが、初期状態データを生成する機能ブロックと終了状態データを生成する機能ブロックとが分けられていても構わない。
【0026】
1次割当処理部124は、1次割当処理を実行する。
1次割当処理部124は、上述したように初期状態データと終了状態データとを状態データ生成部123から受取る。それら両データを用いて、1次割当処理部124は1次割当処理を実行する。初期状態データと終了状態データとは双方とも、1次割当処理が実行されるより前に状態データ生成部123から1次割当処理部124に送られている必要があるが、それらのいずれが先に状態データ生成部123に送られているか、或いは同時に送られているかは不問である。
図5に、後述する2次割当処理、及び繰り返し処理の内容も含めて、1次割当処理の内容を概念的に示す。図5を用いて、1次割当処理の内容を説明する。
1次割当処理では、まず、撤去される対象物を特定する。撤去される対象物とは、即ち、初期状態において存在するが終了状態では存在しない対象物である。したがって撤去される対象物は、初期状態データに存在する識別子のうち、終了状態において存在しなくなっている識別子が割振られた対象物である。それら対象物は、初期状態データと終了状態データとを比較することによって特定することが可能である。この実施形態では、初期状態データに含まれる識別子のうち、151、193、220、254、255、257、258、259、260、491、492、494、495、496、497、498、500、562、563、590という識別子が終了状態データでは存在しなくなっているため、これら識別子が付された対象物が撤去される対象物であるということを、初期状態データと終了状態データとから特定可能である。ちなみにこれら撤去される対象物の識別子のすべては、図5においては、「撤去台」という欄の下方に記載されている。なお、「撤去台」という文字の下に並んだ撤去される対象物に割振られた識別子が記載された欄の左側の欄には、「B.Y」という文字が記載されている。このデータは、「撤去台」という文字の下に並んだ識別子が割振られた対象物が撤去される(バックヤードに運ばれる)ということを示している。もっとも、「撤去台」という文字の下に並んだ識別子が割振られた対象物が撤去される対象物に相当することは、このデータが無くとも把握可能なので、このデータは、必ずしも必要なものではない。なお、図5においては、理解の容易のため、撤去される対象物に割振られた符号と、新規に搬入される対象物に割振られた符号に網掛けを付している。
1次割当処理では更に、撤去される対象物のそれぞれが初期状態において配置されていた定位置のそれぞれに終了状態において配置される対象物に割振られた識別子を抽出する。そして、抽出されたそれら識別子のそれぞれを、抽出された識別子が割振られた対象物が終了状態において配置される定位置に初期状態において配置されていた対象物に割振られた識別子のそれぞれと紐付ける。例えば、図4に示された初期状態データと終了状態データとを比較すると、撤去される対象物のうちの1つの151という識別子が割振られた対象物が初期状態において設置されていた定位置には、終了状態では、706という識別子が割振られた対象物が設置されることがわかる。したがって、151という識別子に、706という識別子が紐付けられる。同様に、撤去される対象物である220という識別子が割振られた対象物が初期状態において設置されていた定位置には、終了状態では、188という識別子が割振られた対象物が設置されることがわかる。したがって、220という識別子に、188という識別子が紐付けられる。このように、ある定位置において初期状態において設置されていた撤去の対象となる対象物に割振られていた識別子に、当該定位置に新たに設置されることになる対象物の識別子が紐付けられていく。1次割当処理では、紐付けられていく新たな識別子が、「1次」と記載された欄の下方に当て嵌められていく。「1次」と記載された欄の下方に記載の各識別子は、「撤去台」と記載された欄の下方の各欄に記載された左隣の識別子のそれぞれに紐付けられる。
1次割当処理が終わったら、1次割当処理部124は、1次割当処理によって抽出された識別子のデータ(「1次」と記載された欄の下方に記載された各データ)と、初期状態データと、終了状態データとを2次割当処理部125に送る。この実施形態ではこれには限られないが、1次割当処理部124は、1次割当処理によって抽出された識別子のデータ(「1次」と記載された欄の下方に記載された各データ)を、それとそれらと紐付けられた「撤去台」と記載された欄の下方に記載された各データ、及びそれらデータとそれぞれ紐付けられた「B.Y」という各データとともに、2次割当処理部125へと送るようになっている。つまり、この実施形態では、1次割当処理部124は2次割当処理部125へと、図5に記載された「1次」という欄よりも左側(『「1次」という欄』も含む、以下同じ。)の欄のデータのすべてを、各データの紐づけの状態を維持したまま送る。これは、1次割当処理部124が、「B.Y」というデータから始まって2つ繋げられた識別子の列20組のデータを、2次割当処理部125へ送る、ということを意味する。
【0027】
2次割当処理部125は、それらデータを受け取ったら2次割当処理を実行する。2次割当処理部125は、2次割当処理を実行する場合に、初期状態データと、終了状態データと、図5に記載された「1次」という欄よりも左側の欄のデータ(最小の場合には「1次」と記載された欄の下方に記載された各識別子)とを用いる。
2次割当処理では、まず、1次割当処理によって抽出された識別子(図5において、「1次」と記載された欄の下方に記載された各識別子)が割振られていた対象物のうち新たに搬入された対象物以外の対象物を特定する。つまり、2次割当処理では、まず、1次割当処理によって抽出された識別子が割振られていた対象物のうち、初期状態においてどこかの定位置に設置されていてその定位置から移動してきた対象物を特定する。それは、1次割当処理部124から送られてきたデータのうち、図5に記載された「1次」という欄よりも左側の欄のデータと、初期状態データと、終了状態データとから特定することができる。終了状態データには含まれ、初期状態データに含まれない識別子(上述のように、この実施形態では、それは700番台の識別子である。)が、新たに搬入された対象物に割振られた識別子である。したがって、1次割当処理によって抽出された図5において「1次」と記載された欄の下方に記載された各識別子の中から、新たに搬入された対象物に割振られた識別子を除いた識別子が割振られていた対象物が、「1次割当処理によって抽出された識別子が割振られていた対象物のうち新たに搬入された対象物以外の対象物」、ということになる。2次割当処理で、このような対象物を特定するのは、1次割当処理によって抽出された識別子が割振られていた対象物が設置されていた定位置のうち、そこに新たに搬入された対象物が設置されることになった定位置では、背景技術の欄で述べたような玉突き(他の対象物の連続的な移動)が生じないためである。つまり、新たに搬入された対象物の識別子は、上述したような識別子の連続した紐づけを行っていく場合における、識別子の列を終了させることについての合図になるのである。この実施形態では、706という識別子が、新たに搬入された対象物に割振られていた識別子なので、当該識別子は2次割当処理以降の処理から除外され、当該識別子を最後に含む識別子の列には、更に識別子が紐付けられることはない。
それに対して、「1次割当処理によって抽出された識別子が割振られていた対象物のうち新たに搬入された対象物以外の対象物」つまり、図5で言えば、「1次」と記載された欄の下における上から2番目以下の識別子に対しては、2次割当処理が続行される。続行される2次割当処理は、「1次割当処理によって抽出された識別子が割振られていた対象物のうち新たに搬入された対象物以外の対象物」のそれぞれが初期状態において配置されていた定位置のそれぞれに終了状態において配置される対象物に割振られた識別子を新たに抽出するというものである。例えば、1次割当処理によって抽出された220という識別子に紐付けられた188という識別子に着目すると、188という識別子の割振られた対象物が初期状態において配置されていた定位置に終了状態において483という識別子が割振られた対象物が設置されることが、初期状態データと終了状態データとから特定できる。同様に、1次割当処理によって抽出された491という識別子に紐付けられた371という識別子に着目すると、371という識別子の割振られた対象物が初期状態において配置されていた定位置に終了状態において291という識別子が割振られた対象物が設置されることがわかる。
そのようにして新たに抽出された識別子のそれぞれを、新たに抽出された識別子が割振られた対象物が終了状態において配置される定位置に初期状態において配置されていた対象物に割振られた識別子のそれぞれと紐付ける。上述の例でいえば、188という識別子の後に、483という識別子が紐づけられ、371という識別子に291という識別子が紐付けられるのである。2次割当処理では、紐付けられていく新たな識別子が、図5における「2次」と記載された欄の下方に当て嵌められていく。「2次」と記載された欄の下方に記載の各識別子は、「1次」と記載された欄の下方の各欄に記載された左隣の識別子のそれぞれに紐付けられる。
【0028】
2次割当処理が終わったら、2次割当処理部125は、繰り返し処理を開始する。繰り返し処理は、2次割当過処理後に実行される処理である。繰り返し処理は、初期状態データと、終了状態データと、直前の処理(直前に行われた2次割当、3次割当、4次割当…、の処理)によって更に抽出された識別子のデータとに基づいて行われる。繰り返し処理の最初に行われるのが3次割当処理であって、3次割当処理は、直前の処理である2次割当処理によって更に抽出された識別子が割振られていた対象物のうち新たに搬入された対象物以外の対象物のそれぞれが初期状態において配置されていた定位置のそれぞれに終了状態において配置される対象物に割振られた識別子を更に抽出するとともに、更に抽出された識別子のそれぞれを、更に抽出された識別子が割振られた対象物が終了状態において配置される定位置に初期状態において配置されていた対象物に割振られた識別子のそれぞれと紐付けるという処理を繰り返し行うというものである。この処理は、更に抽出された識別子が割振られた対象物のすべてが、対象物のうち新たに搬入された対象物となるまで繰り返される。簡単にいうのであれば、繰り返し処理とは、更に抽出される識別子のすべてが新たに搬入される対象物に割振られた識別子となるまで、2次割当処理と同じ処理を繰り返し実行する、というものである。
3次割当処理では、まず、2次割当処理によって抽出された識別子(図5において、「2次」と記載された欄の下方に記載された各識別子)が割振られていた対象物のうち新たに搬入された対象物以外の対象物を特定する。この処理は、2次割当処理の冒頭で説明した処理と事実上同じである。かかる処理により、2次割当処理によって新たに抽出された識別子が割振られていた対象物のうち、初期状態においてどこかの定位置に設置されていてその定位置から移動してきた対象物を特定する。2次割当処理の場合と同様に、かかる対象物の特定は、図5に記載された「2次」という欄よりも左側の欄のデータと、初期状態データと、終了状態データとによって行える。終了状態データには含まれ、初期状態データに含まれない識別子(700番台の識別子)が、新たに搬入された対象物に割振られた識別子である。したがって、2次割当処理によって新たに抽出された図5において「2次」と記載された欄の下方に記載された各識別子の中から、新たに搬入された対象物に割振られた識別子を除いた識別子が割振られていた対象物が、「2次割当処理によって抽出された識別子が割振られていた対象物のうち新たに搬入された対象物以外の対象物」、ということになる。この実施形態では、「2次」という欄の下方には、新たに搬入された対象物に割振られていた700番台の識別子が1つも存在しない。したがって、「2次」という欄の下方に記された識別子が割振られた対象物はすべて、新規に搬入された対象物の識別子ではなく、初期状態においてどこかの定位置に設置されていてその定位置から移動してきた対象物であるということがわかる。したがって、「2次」という欄の下方に記載のすべての識別子に対して、以後の処理が続行される。
続行される3次割当処理は、「2次割当処理によって抽出された識別子が割振られていた対象物のうち新たに搬入された対象物以外の対象物」に相当する、「「2次」という欄の下方に記載された識別子が割振られた対象物」のそれぞれが初期状態において配置されていた定位置のそれぞれに終了状態において配置される対象物に割振られた識別子を更に抽出するというものである。例えば、2次割当処理によって新たに抽出された483という識別子に着目すると、483という識別子の割振られた対象物が初期状態において配置されていた定位置に終了状態において363という識別子が割振られた対象物が設置されることが、初期状態データと終了状態データとから特定できる。同様に、2次割当処理によって新たに抽出された291という識別子に着目すると、291という識別子の割振られた対象物が初期状態において配置されていた定位置に終了状態において715という識別子が割振られた対象物が設置されることがわかる。
そのようにして更に抽出された識別子のそれぞれを、更に抽出された識別子が割振られた対象物が終了状態において配置される定位置に初期状態において配置されていた対象物に割振られた識別子のそれぞれと紐付ける。上述の例でいえば、483という識別子に更に363という識別子が紐づけられ、291という識別子に715という識別子が紐付けられるのである。3次割当処理では、紐付けられていく新たな識別子が、図5における「3次」と記載された欄の下方に当て嵌められていく。「3次」と記載された欄の下方に記載の各識別子は、「2次」と記載された欄の下方の各欄に記載された左隣の識別子のそれぞれに紐付けられる。
【0029】
繰り返し処理では、次いで、4次割当処理が実行される。4次割当処理は上述した3次割当処理と基本的に同じである。
4次割当処理では、まず、3次割当処理によって更に抽出された識別子(図5において、「3次」と記載された欄の下方に記載された各識別子)が割振られていた対象物のうち新たに搬入された対象物以外の対象物を特定する。かかる処理により、3次割当処理によって新たに抽出された識別子が割振られていた対象物のうち、初期状態においてどこかの定位置に設置されていてその定位置から移動してきた対象物を特定する。かかる対象物の特定は、図5に記載された「3次」という欄よりも左側の欄のデータと、初期状態データと、終了状態データとによって行える。終了状態データには含まれ、初期状態データに含まれない識別子(700番台の識別子)が、新たに搬入された対象物に割振られた識別子である。したがって、3次割当処理によって更に抽出された図5において「3次」と記載された欄の下方に記載された各識別子の中から、新たに搬入された対象物に割振られた識別子を除いた識別子が割振られていた対象物が、「3次割当処理によって抽出された識別子が割振られていた対象物のうち新たに搬入された対象物以外の対象物」、ということになる。この実施形態では、「3次」という欄の下方にある識別子のうち、715、716、717、718、720という700番台の各識別子は、新たに搬入された対象物に割振られていた識別子である。したがって、これら以外の「3次」という欄の下方に記載のすべての識別子に対して、以後の処理が続行される。
続行される4次割当処理は、「3次割当処理によって抽出された識別子が割振られていた対象物のうち新たに搬入された対象物以外の対象物」に相当する、「「3次」という欄の下方に記載された識別子が割振られた対象物」のそれぞれが初期状態において配置されていた定位置のそれぞれに終了状態において配置される対象物に割振られた識別子を更に抽出するというものである。例えば、3次割当処理によって新たに抽出された363という識別子に着目すると、363という識別子の割振られた対象物が初期状態において配置されていた定位置に終了状態において283という識別子が割振られた対象物が設置されることが、初期状態データと終了状態データとから特定できる。
そのようにして更に抽出された識別子のそれぞれを、更に抽出された識別子が割振られた対象物が終了状態において配置される定位置に初期状態において配置されていた対象物に割振られた識別子のそれぞれと紐付ける。上述の例でいえば、363という識別子に更に283という識別子が紐づけられるのである。4次割当処理では、紐付けられていく新たな識別子が、「4次」と記載された欄の下方に当て嵌められていく。「4次」と記載された欄の下方に記載の各識別子は、「3次」と記載された欄の下方の各欄に記載された左隣の識別子のそれぞれに紐付けられる。
【0030】
この実施形態では、このようにして、5次割当処理、6次割当処理、7次割当処理が実行される。6次割当処理までは、「更に抽出された識別子」の中に、新たに搬入された対象物でない対象物に割振られた識別子(即ち、700番台以外の識別子)が含まれている。他方、7次割当処理では、「更に抽出された識別子」は704、707、713であって、それらはすべて、新たに搬入された対象物に割振られた識別子に該当する。
上述したように、繰り返し処理は、更に抽出された識別子が割振られた対象物のすべてが、対象物のうち新たに搬入された対象物となるまで繰り返される。逆に言うと、繰り返し処理は、更に抽出された識別子が割振られた対象物のすべてが、対象物のうち新たに搬入された対象物となったところで終了する。
その結果、図5に示したようなデータが完成する。これが最適データである。
図5に示したように、繰り返し処理が終了すると、撤去される対象物の数と同じ20個の識別子の列のデータが完成する。それら識別子の列のそれぞれは、「B.Y」という記号を無視すれば、撤去される対象物の識別子を先頭とし、また、新たに搬入される対象物の識別子を最後としている。左右に連続する2つの識別子は、前の識別子が割振られた対象物が初期状態において存在した定位置に、後ろの識別子が割振られた対象物を終了状態において設置すれば良い、ということを意味するものとなる。そのような理解に基づけば、図5に示された識別子の列は、もっとも効率の良い、対象物の入替え作業の方法を示したものとなる。
なお、図5では理解の容易のため、矢印の記載をしているが、そのようなデータは必ずしも必要ない。識別子の列のデータは、例えば、上から2段目であれば、「193 217 561 391 351 719」といったもので良い。
これら識別子の列のデータはすべて、2次割当処理部125から主制御部122へと送られる。この実施形態では、図5に示された表に含まれるデータがそっくりそのまま、最適データとして主制御部122へと送られるものとする。
【0031】
主制御部122は、識別子の列のデータである最適データを受取る。
主制御部122は、識別子の列のデータである最適データを、出力部126へと送る。主制御部122が出力部126に送るデータは、例えば、図5に示されたデータそのものであってもよい。出力部126は、最適データを、例えば、支援装置100が備える記録媒体(RAM113等)に出力して記録させても良い。また、出力部126は、最適データを、例えば、インターフェイス114を介して、図外のプリンタに出力するようになっていてもよい。その場合、出力部126は例えば、図5に示された表そのものに相当する画像データを生成し、そのデータをプリンタに出力する。そのような画像データを受け取ったプリンタは、図5に示された表そのものを紙に印刷する。その紙は、遊技場において遊技機の入替え作業を行う作業員にとっては工程表として利用可能なものである。そのような工程表としての紙を各作業員に配布することにより、遊技機の入替え作業の管理者は、各作業員に対して遊技機の移動等の作業についての口頭の指示を逐次行う必要がなくなる。なお、各紙に印刷される識別子は、図5に示された表の一部に該当するものであってもよい。その場合、各紙に印刷される識別子の内容は、図5に示された表のそれぞれ異なる部分に対応したものであってもよい。そうすることで、各作業員に与える工程表としての紙の内容を、各作業員に割振られた作業の内容に応じた異なるものとすることができるようになる。
どのような工程表をプリンタに印刷させるかは、例えば、支援装置100のユーザが入力装置102で入力した人数データと、作業員データとによって、主制御部122が決定するようにすることができる。例えば、人数データに基づいて特定される作業員の人数に応じて、図5に示された表で示される識別子の列の集合を、複数に分割することが可能である。また、作業員データによって特定される例えば各作業員の氏名を、各作業員用の工程表となる紙の一部に印刷することも可能である。
【0032】
主制御部122は、識別子の列の集合のデータである最適データをそのまま出力部126に送るとは限らない。例えば、主制御部122は最適データに対して以下のような処理を実行することができる。
例えば、主制御部122は、図5に示されたような内容の最適データを、最適データに含まれる2つ以上が紐付けられた一連の識別子の列のデータのすべてを、識別子の列の長さを基準として昇順又は降順でソートするようになっていてもよい。その結果作られたデータは、例えば、図6に示したようなものとなる。その場合、主制御部122は、このデータを出力部126に送る。出力部126は、上述の如き修正のなされた最適データを、支援装置100が備える記録媒体に記録させても良いし、インターフェイス114を介して、図外のプリンタに出力してもよい。プリンタに修正された最適データが出力される場合には、プリンタは、例えば、図6に示された表そのものを紙に印刷する。もっとも、プリンタにより印刷がなされた工程表として使用可能な紙は、上述の場合と同様に、図6に示された表の一部に該当するものであってもよく、また、各紙に印刷される識別子の内容は、図6に示された表のそれぞれ異なる部分に対応したものであってもよい。
主制御部122は、また、図5に示されたような内容の最適データを、最適データに含まれる2つ以上が紐付けられた一連の識別子の列のうちの連続する2つの識別子を対として抜き出したデータに変更するようになっていてもよい。例えば、図5に示した識別子のうち上から2段目のものは、「B.Y←193←217←561←391←351←719」というものであったが、主制御部122はこのデータを、「B.Y←193(又は、「B.Y 193」、以下同じ。)」、「193←217」、「217←561」、「561←391」、「391←351」、「351←719」と変更されるのである。もちろん、主制御部122は、識別子の列のすべてについて、このようなデータの変更を行うことができる。「B.Y←193」、「193←217」、「217←561」、「561←391」、「391←351」、「351←719」というデータのそれぞれは、作業員が行う「対象物の撤去」、「対象物の定位置間での移動」、「対象物の搬入と設置」のいずれかを特定するものとなっている。このように変更された最適データは、作業員が行うべき対象物の入替え作業中の各作業と対とされた2つの識別子とを、一対一対応させたものであるから、作業員が作業の内容を理解することを容易にする。出力部126は、上述の如き修正のなされた最適データを、支援装置100が備える記録媒体に記録させても良いし、インターフェイス114を介して、図外のプリンタに出力してもよい。プリンタに修正された最適データが出力される場合には、プリンタは、例えば、図7に示されたような表を紙に印刷する。図7に示された表は特定の作業員用の工程表となるものであり、最適データに含まれる識別子の列から作られうるすべての2つの識別子の対のうちの一部のみを含んでいる。もちろん、印刷される工程表としての紙には、2つの識別子の対のすべてが含まれていても良い。
【0033】
作業員は、上述した工程表としての紙を参照しながら作業を行う。かかる作業を行う場合には、作業員には、初期状態と、終了状態のうちの少なくとも初期状態における定位置と各定位置に設置された対象物に割振られた識別子との関係を示した、例えば図4に示したような遊技場の「地図」を配布すべきであろう。加えて、各対象物には、その対象物に割振られた識別子を把握可能なもの、例えば識別子が印刷されたステッカーを、貼付等により付属させておくのが好ましい。ステッカーは、これから搬入される対象物にも貼付すべきである。
そのような状況下で作業員が作業を行うのであれば、作業員は、どの定位置にある、どの識別子の付された対象物を、どの定位置或いはバックヤードに移動させる作業を行えば良いかを、ステッカー、地図、及び上述の工程表によって確認しながら作業を行うことができる。そのようにして行われる作業は無駄がなく効率的であり、また誤りが生じにくい。
【0034】
なお、この実施形態における支援装置100は、インターネットを含むネットワーク環境から外れた、いわゆるスタンドアローンのコンピュータによって実現されていた。他方、支援装置100を、インターネットに接続された例えばクラウドサーバにより実現することも可能である。
その場合における支援装置100の構成、及びそこで実行される処理は、基本的には上述の実施形態による支援装置100におけるそれらを踏襲することができる。もっとも、クラウドサーバにより実現される支援装置100においては、上述の実施形態においては支援装置100が備えることになっていた入力装置102は、ユーザが所有等する端末が備える入力装置を流用することになり、端末の入力装置から入力された操作内容が、インターネット等のネットワークを介してクラウドサーバである支援装置100に送られることになるであろう。その場合においては、例えば、初期データ、終了データは、端末からネットワークを介して支援装置100に送られることになる。
【符号の説明】
【0035】
100 支援装置
101 ディスプレイ
102 入力装置
121 入力部
122 主制御部
123 状態データ生成部
124 1次割当処理部
125 2次割当処理部
126 出力部
図1
図2
図3
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図5
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図7