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特許7063499眼圧の調節のための眼疾患用インプラント装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】眼圧の調節のための眼疾患用インプラント装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20220426BHJP
【FI】
A61F9/007 160
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020554998
(86)(22)【出願日】2018-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-25
(86)【国際出願番号】 KR2018016301
(87)【国際公開番号】W WO2019124998
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-06-19
(31)【優先権主張番号】10-2017-0176208
(32)【優先日】2017-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520224557
【氏名又は名称】マイクロト インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】MICROT INC.
【住所又は居所原語表記】#157 Cancer Center,81,Irwon-ro Gangnam-gu,Seoul 06351,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ハン、ジョン チョル
(72)【発明者】
【氏名】キ、チャン ウォン
【審査官】寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-125606(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0343476(US,A1)
【文献】国際公開第2017/156530(WO,A1)
【文献】特表2012-516211(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0236066(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼球の前房から生成される眼房水の排出量を調節することによって眼圧を調節するための眼疾患用インプラント装置において、
一方端が眼球の前房に挿入され前記眼圧の調節のために眼房水が流入され、
他方端が眼球の結膜組織またはテノン組織に挿入され眼房水を排出するための第1チューブ;及び
前記第1チューブの内部に形成される第2チューブを含み、
前記第2チューブは目(eye)の内部に挿入された後、所定の時間の経過に応じて目の中で分解される生分解性物質で形成され、
前記第1チューブ及び第2チューブは眼球の前房(anterior chamber)からの距離に応じて第1領域及び第2領域に区分可能であり、前記第1チューブ及び第2チューブの第2領域は前記第1チューブ及び第2チューブの第1領域に比べて直径が広く、前記眼房水が流入されることによって膨張可能な構造であって、
前記第1チューブ及び前記第2チューブの一面は眼球に相応する曲面で形成され、
前記第1チューブの第1領域と第2領域は互いに異なる物質からなり、前記第1チューブの前記第2領域は生分解性物質で形成されることを特徴とする眼疾患用インプラント装置。
【請求項2】
前記第1チューブ及び第2チューブの第1領域の断面は円形に形成され、前記第1チューブ及び第2チューブの第2領域の断面は楕円形に形成されることを特徴とする請求項1に記載の眼疾患用インプラント装置。
【請求項3】
前記第1チューブの第1領域の直径は100μm以上に形成され、前記第2チューブの第1領域の直径は30μm以上100μm未満の範囲の値を有するように形成されることを特徴とする請求項1に記載の眼疾患用インプラント装置。
【請求項4】
前記第1チューブ及び第2チューブの第1領域の長さは7mm以上10mm以下の範囲の値を有することを特徴とする請求項1に記載の眼疾患用インプラント装置。
【請求項5】
前記第2チューブは前記第2チューブの第2領域に連結され、前記第2チューブの第1領域と同一であるか、より狭い直径に形成される後方チューブをさらに含み、
前記第1チューブは前記第1チューブの第2領域に連結され、前記後方チューブを保護するために前記後方チューブを外部から包み込む形態に形成される後方保護チューブをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の眼疾患用インプラント装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は眼圧の調節のための眼疾患用インプラント装置に関するもので、より詳細には緑内障などの眼疾患を患っている患者の眼房水を効果的に流出させるための二重構造に形成され、時間の経過に応じて目の中で分解されることができる物質で構成されたインプラント装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
緑内障は眼圧の上昇により視神経が押されたり、血液供給に障害が生じて、視神経の機能に異常をきたす疾患である。視神経は目で受け取った光を脳に伝達して見るようにする神経であるため、ここで障害が発生した場合、視野欠損が現れ、末期には視力を喪失するようになる。緑内障の主な発症原因は眼圧上昇による視神経の損傷である。眼圧は主に眼房水(目の中で作られる水をいい、目の形態を維持して目の内部に栄養分を供給する役割を果たす)によって決定される。
【0003】
このような緑内障の治療方法としては眼圧降下剤を点眼または服用したり、レーザーを用いて虹彩に小さな穴を開けて眼房水の循環及び排出を助ける緑内障濾過術などがある。これらの薬物治療及び濾過術が失敗したり、薬物治療及び濾過術の後眼圧の上昇を防止するために、目の中に眼房水の量を調節して眼圧を一定レベルに維持するためのインプラント装置を挿入する手術を進行する。
【0004】
前述した手術を通じて眼球に挿入される従来のインプラント装置はほとんど一定の大きさの直径を有し、シリコンで形成されるチューブ状の装置であって、一定の大きさの直径を有している。そのため、一度挿入されると、眼圧がどの程度の数値であるかに関係なく一定量の眼房水が継続的に排出され、効果的な眼圧の調節が難しい問題点があった。
【0005】
また、目の中で安定的にインプラント装置を固定するために特許文献1においては、インプラント装置の外面に突起を形成し、インプラント装置をL字状で構成した。しかし、このように装置を形成する場合は、挿入過程で眼球組織に傷が生じる恐れがあり、L字状の構成により、眼房水の排出を効果的に行うことができない問題が発生する恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】韓国特許公開第10-2017-0058811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前述のような問題点を解決するためのものであり、効果的な眼疾患の治療のため、時間の経過に応じて眼球の前房から生成される眼房水の排出量を調節できるようにする眼疾患用インプラント装置を提供することにその目的がある。
【0008】
また、装置の離脱による問題などを防止し、効率的に眼房水を排出するために安定的に目の中で固定することができる構成を含む眼疾患用インプラント装置を提供することに他の目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態に係る眼圧の調節のための眼疾患用インプラント装置において、眼圧の調節のために眼房水が流入される第1チューブ、及び第1チューブの内部に形成される第2チューブを含み、第2チューブは目(eye)の内部に挿入された後、所定の時間の経過に応じて目の中で分解される生分解性物質で形成され、第1チューブ及び第2チューブは眼球の前房(anterior chamber)からの距離に応じて第1領域及び第2領域に区分可能であり、第1チューブ及び第2チューブの第2領域は第1チューブ及び第2チューブの第1領域に比べて直径が広く、眼房水が流入されることによって膨張可能な構造であり得る。
【0010】
本発明の一実施形態に係る第1チューブ及び第2チューブの第1領域の断面は円形に形成され、第1チューブ及び第2チューブの第2領域の断面は楕円形に形成することができる。
【0011】
本発明の一実施形態に係る第1チューブの第1領域の直径は100μm(マイクロメートル)以上に形成され、第2チューブの第1領域の直径は30μm以上100μm未満の範囲の値を有するように形成することができる。
本発明の一実施形態に係る第1チューブ及び第2チューブの第1領域の長さは7mm(ミリメートル)以上10mm以下の範囲の値を有することができる。
【0012】
本発明の一実施形態に係る第2チューブは第2チューブの第2領域に連結され、第2チューブの第1領域と同一であるか、より狭い直径に形成される後方チューブをさらに含み、第1チューブは第1チューブの第2領域に連結され、後方チューブを保護するために後方チューブを外部から包み込む形態に形成される後方保護チューブをさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一実施形態として提供される眼疾患用インプラント装置によると、装置の内部チューブが時間の経過に応じて分解されることによって、眼球の前房から生成される眼房水の排出量を調節して効果的な眼疾患の治療が行われるようにすることができる。
【0014】
また、眼房水の流入によってチューブの一部分が膨張することができるように構成することによって、眼房水の流入によるチューブの内部圧力を調節することができ、効率的に眼房水を排出することができ、目の中で動かずに固定することができるので、装置の安定性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る眼疾患用インプラント装置が目の中に挿入されて眼房水を排出する形態の例を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る眼圧の調節のための眼疾患用インプラント装置の一例を示す透視図である。
図3A】本発明の一実施形態に係る眼圧の調節のための眼疾患用インプラント装置の一例を示す断面図である。
図3B】本発明の一実施形態に係る眼圧の調節のための眼疾患用インプラント装置の一例を示す断面図である。
図3C】本発明の一実施形態に係る眼圧の調節のための眼疾患用インプラント装置の一例を示す断面図である。
図3D】本発明の一実施形態に係る眼圧の調節のための眼疾患用インプラント装置の一例を示す断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る眼圧の調節のための眼疾患用インプラント装置の他の一例を示す透視図である。
図5A】本発明の一実施形態に係る眼圧の調節のための眼疾患用インプラント装置のまた他の一例を示す断面図である。
図5B】本発明の一実施形態に係る眼圧の調節のための眼疾患用インプラント装置のまた他の一例を示す断面図である。
図5C】本発明の一実施形態に係る眼圧の調節のための眼疾患用インプラント装置のまた他の一例を示す断面図である。
図6A】本発明の一実施形態に係るフォア(pore)が形成された眼圧の調節のための眼疾患用インプラント装置を示す斜視図である。
図6B】本発明の一実施形態に係るフォア(pore)が形成された眼圧の調節のための眼疾患用インプラント装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態に係る眼圧の調節のための眼疾患用インプラント装置において、眼圧の調節のために眼房水が流入される第1チューブ、及び第1チューブの内部に形成される第2チューブを含み、第2チューブは目(eye)の内部に挿入された後、所定の時間の経過に応じて目の中で分解される生分解性物質で形成され、第1チューブ及び第2チューブは眼球の前房(anterior chamber)からの距離に応じて第1領域及び第2領域に区分可能であり、第1チューブ及び第2チューブの第2領域は第1チューブ及び第2チューブの第1領域に比べて直径が広く、眼房水が流入されることによって膨張可能な構造であり得る。
【0017】
本発明の一実施形態に係る第1チューブ及び第2チューブの第1領域の断面は円形に形成され、第1チューブ及び第2チューブの第2領域の断面は楕円形に形成することができる。
【0018】
本発明の一実施形態に係る第1チューブの第1領域の直径は100μm(マイクロメートル)以上に形成され、第2チューブの第1領域の直径は30μm以上100μm未満の範囲の値を有するように形成することができる。
本発明の一実施形態に係る第1チューブ及び第2チューブの第1領域の長さは7mm(ミリメートル)以上10mm以下の範囲の値を有することができる。
【0019】
本発明の一実施形態に係る第2チューブは第2チューブの第2領域に連結され、第2チューブの第1領域と同一であるか、より狭い直径に形成される後方チューブをさらに含み、第1チューブは第1チューブの第2領域に連結され、後方チューブを保護するために後方チューブを外部から包み込む形態に形成される後方保護チューブをさらに含むことができる。
本明細書で使用される用語について簡単に説明し、本発明について具体的に説明することにする。
【0020】
本発明の実施形態で使用される用語は、本発明における機能を考慮しつつ可能な限り現在広く使われる一般的な用語を選択しているが、それは当分野に従事する技術者の意図または判例、新たな技術の実現などによって変わってよい。なお、特定の場合は、出願人が任意に選定した用語もあり、この場合、当該発明の説明で詳細にその意味を記載することとする。よって、本発明で使用される用語は、単なる用語の名称ではなく、その用語の有する意味と本発明の全般にわたる内容に基づいて定義されるべきである。
【0021】
明細書全体でどの部分がどのような構成要素を「含む」とするとき、これは特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。また、明細書に記載された「...部」、「モジュール」などの用語は、少なくとも一つの機能や動作を処理する単位を意味し、これは、ハードウェアまたはソフトウェアとして具現されたり、ハードウェアとソフトウェアの結合で具現され得る。
【0022】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本発明は様々な異なる形態で具現されることもあり、ここで説明する実施形態に限定されるものではない。そして図面で本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、明細書全体を通じて類似した部分については類似した符号をつけた。
以下、添付した図面を参照して本発明を詳細に説明することにする。
図1は本発明の一実施形態に係る眼疾患用インプラント装置が目の中に挿入されて眼房水を排出する形態の例を示す図である。
【0023】
本発明の一実施形態に係る眼疾患用インプラント装置100は眼疾患によって眼圧が上昇して視神経が損傷されることを防止するために、眼球の前房(anterior chamber)から生成された眼房水(aqueous humor)の排出量を調節して眼圧を調節するチューブ形態のインプラント装置をいう。眼疾患用インプラント装置100は、眼球の結膜組織またはテノン組織4を剥離させて挿入することができ、挿入した後には再び結膜組織またはテノン組織4を覆う方式で目の中に配置することができる。図1を参照すると、眼疾患用インプラント装置100が挿入される時に、装置の一側が眼球の前房(即ち、眼球内、intraocuLar)に挿入され、反対側の一側は結膜組織またはテノン組織4(即ち、眼球外の強膜上側、 extraocular)に挿入されることができる。これを通じて、前房から生成された眼房水が眼疾患用インプラント装置100を通じて結膜組織またはテノン組織4に排出されるようにすることができる。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、眼疾患は眼圧の上昇によって発生する緑内障などを含むことができる。これらの緑内障は先天性緑内障、外傷性緑内障、緑内障疑症、高眼圧症、原発性開放隅角緑内障、正常眼圧緑内障、水晶体の偽剥離性を伴う水晶体嚢性緑内障、慢性単純緑内障、低眼圧緑内障、色素性緑内障、原発性閉鎖隅角緑内障、急性閉鎖隅角緑内障、慢性閉塞隅角緑内障、間欠性閉鎖隅角緑内障、目の外傷に続発する緑内障、目の炎症に続発する緑内障、薬物に続発する緑内障、新生血管緑内障またはブドウ膜炎による二次緑内障などを含むことができる。
【0025】
図2は本発明の一実施形態に係る眼圧の調節のための眼疾患用インプラント装置100の一例を示す透視図であり、図3A図3Dは本発明の一実施形態に係る眼圧の調節のための眼疾患用インプラント装置100の一例を示す断面図である。
【0026】
図2及び図3A図3Dを参照すると、本発明の一実施形態に係る眼圧の調節のための眼疾患用インプラント装置100は、眼圧の調節のために眼房水が流入される第1チューブ10及び、第1チューブ10の内部に形成される第2チューブ20を含み、第2チューブ20は目(eye)の内部に挿入された後、所定の時間の経過に応じて目の中で分解される生分解性物質で形成されることができる。また、第1チューブ10及び第2チューブ20は眼球の前房(anterior chamber)からの距離に応じて第1領域11、21、及び第2領域12、22に区分可能であり、第1チューブ10及び第2チューブ20の第2領域12、22は第1チューブ10及び第2チューブ20の第1領域に比べて直径が広く、眼房水が流入されることによって膨張可能な構造であり得る。
【0027】
緑内障などの眼疾患によって眼圧を調節しなければならない場合は、所定の時間の経過に応じて眼房水の排出量を調節することによって効率的に眼圧を調節することができ、効果的な緑内障などの眼疾患の治療を行うことができる。このような目的及び効果を達成するために、本発明の一実施形態に係る眼疾患用インプラント装置100は所定の時間の経過に応じて目の中で分解される生分解性物質で形成され、装置の外部を形成する第1チューブ10の内部に形成される第2チューブ20を含むことができる。この時、生分解性物質はコラーゲン(collagen)、キチン(chitin)などであり得る。また、これに限定されず、生体内で分解されることができ、分解された後にも様々な疾病を起こさずに副作用がない全ての生分解性高分子物質などを含むことができる。また、第2チューブ20は好ましくは、一ヶ月間完全に分解が行われるように形成することができ、眼疾患の程度、眼球の状態などに応じて第2チューブ20が完全に分解されるまでの時間が変わるように第2チューブ20を形成することができる。
【0028】
また、第1チューブ10の第2領域12は前述した第2チューブ20と同様に、所定の時間の経過に応じて目の中で分解される生分解性物質で形成されることができる。即ち、第1チューブ10の第1領域11はシリコンなどのように分解されない物質で形成され、第2領域12は全体または上側の一部がコラーゲン、キチンなどの生分解性物質で形成されることによって、第1領域11と第2領域12は異なる物質で形成されることができる。これは眼房水の排出量を調節して眼圧を効果的に調節するための目的に応じたもので、第1チューブ10の第1領域11は分解されない物質で形成されて継続的に眼房水が排出されるように支持する通路の役割をすることができる。また、第1チューブ10の第2領域12が第2チューブ20と同様に生分解性物質で形成されると、別の操作がなくても、所定の時間の経過に応じて第2領域12、22が分解されることによって、眼房水をさらに容易に調節することができる。
【0029】
図3B及び図3Cを参照すると、眼球の前房からの距離が相対的に近い領域を第1領域11、21、これらの第1領域11、21に連結され、眼球の前房からの距離が相対相対的に遠い領域を第2領域12、22に区分することができる。この時、第2領域12、22は流入される眼房水の圧力を調節して眼房水が適切な流速と流量で排出されるようにすることに、その目的がある。第1チューブ10の第2領域12は前述したような目的が達成され、これ以上の必要性がなくなった時点である第2チューブ20が完全に分解された時点で、臨床医などが注射針などで開いてくれるような方式で除去することができ、第2領域22を除去した後には、目の中で第1チューブ10の第1領域11だけが残って一定量の眼房水を排出するようにして眼圧を調節することができる。
【0030】
図3Aは眼疾患用インプラントチューブ100のX軸及びY軸に基づいた断面図を示す。即ち、図2及び図3Aを参照すると、第1チューブ10及び第2チューブ20の第2領域12、22は、そのY軸方向に直径が第1領域11、21に比べて広い形態に形成することができ、眼房水が流入されることによって、Y軸及びZ軸方向に膨張することができる構造を有することができる。
【0031】
図3Dは眼疾患用インプラントチューブ100のX軸及びZ軸に基づいた断面図を示す。図3Dを参照すると、本発明の一実施形態に係る眼疾患用インプラントチューブ100の一面は眼球の曲面と類似した形態で湾曲して形成することができる。この時、眼疾患用インプラントチューブ100の一面とは、眼疾患用インプラントチューブ100が目の中に挿入された際、眼球の硝子体方向に配置された部分をいい、図3Dに示すように、第2領域12、22の下端面などであり得る。これらの一面が眼球の曲面と類似した形態で形成される場合には、インプラントチューブ100がより安定的に目の中で固定されることができる。
【0032】
図2及び図3を参照すると、本発明の一実施形態に係る第1チューブ10及び第2チューブ20の第1領域11、21の断面は円形に形成することができる。また、第1チューブ10及び第2チューブ20の第2領域12、22の断面はチューブ100の上側(即ち、Z軸)方向に曲がった楕円形に形成することができる。つまり、チューブ100の第1領域11、21は一定値の直径を有するように形成されるので、断面は円形に形成することができる。また、第2領域12、21の長径はY軸方向に形成され、短径はX軸方向に形成されと共に、Z軸方向に曲がった楕円形に形成することができる。このように、第2領域12、21をZ軸方向に曲がった楕円形に形成する理由は、チューブ100の一面(即ち、第2領域12、22の下端面)が眼球の曲面と類似した形態で湾曲された形状を有するからである。
【0033】
また、第2領域12、22がZ軸方向に容易に膨張できるようにするために、第1チューブ10及び第2チューブ20の第2領域12、22の厚さは第1領域11、21に比べて相対的に薄く形成することができる。第2領域12、22が膨張可能な構造を有することは眼房水が流入されて管の内部で形成する圧力を調節するためである。従って、このような目的に合わせて第2領域12、22が膨張するために、眼房水が固定されて流れることができように所定の厚さに形成される第1領域11、21に比べて、第2領域12、22の厚さは相対的に薄く形成することができる。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、第1チューブ10の第1領域11と第2領域12が出会う接点に穴が形成されることができ、穴を通じて医療用糸などが連結されて眼疾患用インプラントチューブ100が目の中で容易に固定されることができる。つまり、眼疾患用インプラントチューブ100が目の中に挿入された後、第1チューブ10は、臨床医などにより第1領域11と第2領域12が出会う接点に形成された穴が医療用糸などを通じて目の中の組織に連結されることによって、眼疾患用インプラントチューブ100が眼房水の圧力または目の中の繊維組織などによって挿入された領域から他の領域に移動したり、または揺れるなどの問題を防止することができる。
【0035】
図3B及び図3Cを参照すると、眼房水は第1領域11、21に流入された後、第2領域12、22を通過して排出され、流入される眼房水の圧力を用いて眼房水が効果的に排出されるようにするために、第1領域11、21に比べて第2領域12、22の直径をより広く形成することができる。この時、第1チューブ10の第1領域11の直径r2は100μm以上に形成することができ、第2チューブ20の第1領域21の直径r1は30μm以上100μm未満の範囲の値を有するように形成することができる。好ましくは分解される前の第2チューブ20の第1領域21の直径r1は45μmの値を有するように形成することができる。前述したように、第2領域12、22の直径を第1領域11、21に比べて広く形成することができるので、第2チューブ20の第2領域22の直径r3は第1チューブ10の第1領域11の直径r1より広く形成することができる。
【0036】
また、眼房水が排出される第1チューブ10及び第2チューブ20の第2領域12、22の排出口は眼房水が流入される第1チューブ10及び第2チューブ20の第1領域11、21の流入口と同一であるか、またはより広い直径に形成することができる。言い換えれば、排出口の直径は最終的に眼疾患用インプラント装置100を通じて排出される眼房水の流速を決定するので、眼疾患の程度、眼球の状態などに応じて眼房水の排出速度及び排出量を調節するために、第1チューブ10及び第2チューブ20の第2領域12、22は、その排出口の直径が第1領域11、21の流入口の直径と同一であるか、またはより広くように選択的に形成することができる。
【0037】
本発明の一実施形態に係る第1チューブ10及び第2チューブ20の第1領域11、21の長さは7mm以上10mm以下の範囲の値を有することができる。つまり、前述したように、第2領域12を臨床医などが除去した後、第1領域11だけを通じて眼房水を眼球の前房から結膜組織またはテノン組織に排出しなければならない。従って、安定的に眼房水を排出するためには、その長さが7mm以上10mm以下の範囲の値を有するように第1領域11、21を形成することができる。
【0038】
前述した数値範囲内で、臨床的に効果(例えば、適正眼房水の維持または眼房水の流出など)が目立つように現れることができるが、これらの数値に必ず制限されるものではない。患者の眼球サイズ、治療時期、期間(period)などにより予め決定された直径または長さの値を有するように製作することもできる。
【0039】
図4は本発明の一実施形態に係る眼圧の調節のための眼疾患用インプラント装置100の他の一例を示す透視図であり、図5A図5Cは本発明の一実施形態に係る眼圧の調節のための眼疾患用インプラント装置100のまた他の一例を示す断面図である。
【0040】
図4図5A及び図5Bを参照すると、本発明の一実施形態に係る第2チューブ20は第2チューブ20の第2領域22に連結され、第2チューブ20の第1領域21と同一であるか、またはより狭い直径に形成される後方チューブ23をさらに含むことができる。また、第1チューブ10は第1チューブ10の第2領域12に連結され、後方チューブ23を保護するために、後方チューブ23を外部から包み込む形態に形成される後方保護チューブ13をさらに含むことができる。
【0041】
つまり、図5Bを参照すると、第2チューブ20の後方チューブ23は効果的な眼房水の圧力調節のために、第2チューブ20の第2領域22に連結されてさらに形成されるもので、眼疾患の程度、眼球の状態などにより眼房水の排出量、排出速度などを決定して後方チューブ23の直径r4を第2チューブ20の第1領域21の直径r1と同一であるか、より狭い直径に形成することができる。
【0042】
また、図5Aを参照すると、第1チューブ10の後方保護チューブ13は繊維組織によって第2チューブ20の後方チューブ23が線維組織によって詰まったり破損されることを防止するために、後方チューブ23を外部から包み込む形態で形成することができる。後方保護チューブ13は第1チューブ10の第2領域12に連結されるように形成され、後方チューブ23を繊維組織から保護するためのものであるので、第1チューブ10の第2領域12よりも厚い厚さで形成することができる。また、後方保護チューブ13及び後方チューブ23は第1チューブ10及び第2チューブ20の第2領域12、22と同様に、第2チューブ20が完全に分解された時点で、臨床医などが注射針などで開いてくれるような方式で除去することができる。前述したように除去する方式でなくても、後方保護チューブ13及び後方チューブ23が前述したような生分解性物質で形成される場合、所定の時間の経過に応じて自然に分解されて眼房水の油圧及び排出量を容易に調節することができる。
【0043】
図5Cは眼疾患用インプラントチューブ100のX軸及びZ軸に基づいた断面図の他の例を示す。図5Cを参照すると、本発明の一実施形態に係る眼疾患用インプラントチューブ100の一面は眼球の曲面と類似した形態で湾曲して形成することができる。この時、眼疾患用インプラントチューブ100の一面とは、眼疾患用インプラントチューブ100が目の中に挿入された時、眼球の硝子体方向に配置された部分をいい、図5Cに示すように、第2領域11、22及び後方チューブ23の下端面などであり得る。これらの一面が眼球の曲面と類似した形態で形成される場合、インプラント装置100がより安定的に目の中で固定されることができる。
図6A図6Bは本発明の一実施形態に係るフォア30が形成された眼圧の調節のための眼疾患用インプラント装置100を示す斜視図である。
【0044】
図6Aを参照すると、第1チューブ10の第2領域12に眼疾患用インプラント装置100を固定するためのフォア30を形成することができる。即ち、第1チューブ10の第2領域12にポア30が形成される場合、眼疾患用インプラント装置100が目の中に挿入された後に、時間の経過に応じて育っていく眼球の線維組織がフォア30に流入されて眼疾患用インプラント装置100を固定させることができる。第2チューブ20のフォア30が形成されると、繊維組織がチューブの内部に流入されて眼房水の移動を妨げる恐れがあるので、フォア30は第1チューブ10に形成されることが好ましい。しかし、目的に応じて第2チューブ20に形成することもできる。
【0045】
また、図6Bに示すように、後方チューブ23及び後方保護チューブ13がさらに形成された場合でも、第1チューブ10の第2領域12または後方保護チューブ13のうち少なくとも一つに眼疾患用インプラント装置100を固定するためのフォア30を形成することができる。前述したように、後方保護チューブ13の場合、第1チューブ10の第2領域12よりも後方チューブ23の保護のために相対的に厚い厚さで形成されるので、後方保護チューブ13にフォア30を形成することが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0046】
前述した本発明の説明は例示のためのものであり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更せず、他の具体的な形態で実施できることを理解することができるであろう。従って、 前述した実施形態は全ての面で例示的なものであって、限定的なものではないと理解すべきである。例えば、単一型として説明されている各構成要素は分散されて実施されてもよく、同じく分散されていると説明されている構成要素も結合された形態で実施されてもよい。
【0047】
本発明の範囲は前述した詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその均等概念から導き出される全ての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれると解釈すべきである。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B