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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】移動用コンテナ構造
(51)【国際特許分類】
   B60P 7/13 20060101AFI20220426BHJP
   B60P 1/02 20060101ALI20220426BHJP
【FI】
B60P7/13
B60P1/02 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021065033
(22)【出願日】2021-04-06
(65)【公開番号】P2021187430
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2021-09-07
(31)【優先権主張番号】P 2020095106
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512172464
【氏名又は名称】株式会社日新
(74)【代理人】
【識別番号】100080090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 邦男
(72)【発明者】
【氏名】横路 美亀雄
【審査官】米澤 篤
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第6135525(US,A)
【文献】特開2002-87150(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0315776(US,A1)
【文献】特表2008-536779(JP,A)
【文献】特開平11-278143(JP,A)
【文献】実開昭53-160111(JP,U)
【文献】特開平1-240333(JP,A)
【文献】実開昭56-49648(JP,U)
【文献】特開平6-263255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 7/13
B60P 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナ本体と該コンテナ本体の幅方向両側箇所に設けられ且つ幅方向に不動とした2個の後方側ジャッキと、前記コンテナ本体の幅方向の両側から外方に向かって出没する2個の前方側ジャッキとを具備したコンテナと、該コンテナが載置されるフラット状の荷台を有するトラックとを備え、両前記後方側ジャッキ及び没時の両前記前方側ジャッキは前記荷台の幅方向の両端を超えない範囲に設定され、両前記後方側ジャッキのピストン部の上下方向出没動作時における該ピストン部と前記荷台とが接触しない非接触領域部が前記コンテナ本体と前記荷台の後方側に設けられ、前記非接触領域部は、前記荷台の後端で且つ幅方向両側角部に両前記後方側ジャッキの前記ピストン部が挿入され且つ前記荷台の後端側で出入自在に開放された凹み部が形成され、前記コンテナ本体又は前記荷台の何れか一方に前後方向前方寄りの位置に前方脚部が設けられ、前後方向後方寄りの位置に後方脚部が設けられ、前記コンテナ本体又は前記荷台の他方に前記前方脚部及び前記後方脚部に対応する位置に前方挿入孔と後方挿入孔が設けられてなることを特徴とする移動用コンテナ構造。
【請求項2】
請求項1に記載の移動用コンテナ構造において、2個の前記後方側ジャッキは前記コンテナ本体の内部に設置され、前記ピストン部は前記コンテナ本体の床を貫通して上下に出没する構成としてなることを特徴とする移動用コンテナ構造。
【請求項3】
請求項1に記載の移動用コンテナ構造において、2個の前記後方側ジャッキは前記コンテナ本体の外側で且つ後方角部箇所に設置されてなることを特徴とする移動用コンテナ構造。
【請求項4】
請求項3に記載の移動用コンテナ構造において、前記コンテナ本体に設けられた場合における前記前方脚部は前記後方脚部より高さ寸法が大きく設定されてなることを特徴とする移動用コンテナ構造。
【請求項5】
請求項1,2,3又は4の何れか1項に記載の移動用コンテナ構造において、両前記前方側ジャッキと、両前記後方側ジャッキのそれぞれの没状態のピストン部の下端は前記コンテナにおける最下端よりも上方に位置してなることを特徴とする移動用コンテナ構造。
【請求項6】
請求項1,2,3,4又は5の何れか1項に記載の移動用コンテナ構造において、両前記前方側ジャッキの前記コンテナ本体の幅方向における出没の最大突出量は、該コンテナ本体の幅方向端部の直近としてなることを特徴とする移動用コンテナ構造。
【請求項7】
請求項1,2,3,4,5又は6の何れか1項に記載の移動用コンテナ構造において、両前記前方側ジャッキの前記コンテナ本体の幅方向における出没の最大突出状態の間隔は、該コンテナ本体の幅方向寸法の1.5倍以上としてなることを特徴とする移動用コンテナ構造。
【請求項8】
請求項1,2,3,4,5,6又は7の何れか1項に記載の移動用コンテナ構造において、前記前方側ジャッキ及び前記後方側ジャッキにはローラが設けられてなることを特徴とする移動用コンテナ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナにジャッキを備え、コンテナを上下動させてトラック荷台に載置及び分離を効率よく行い、さらに運送作業効率を向上させることができる移動用コンテナ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
物流において、コンテナと、該コンテナを搬送するトラックが存在する。通常、種々のコンテナがストックされたトラックターミナルから、トラックの荷台にコンテナが載置され、目的地まで搬送される。そして、目的地のトラックターミナルには、別のコンテナが存在し、そのコンテナをさらに別の目的地に搬送する。このような搬送作業おいて、コンテナをトラックの荷台から分離(切り離しとも言う)し、また、別の新たなコンテナをトラックに載置することに、かなりの労力と時間を必要とし、これらの搬送とは別の仕事に運転手以外の人員を必要とするものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3109004号公報
【文献】特開2002-200989号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなことを解消しようとするために、種々の開発が行われ、その代表的なものとして、ここでは特許文献1及び特許文献2を挙げてみた。なお、これに類するその他のものは幾つか存在するがここでは省略する。特許文献1及び特許文献2ではトラックの荷台に載置可能なコンテナに昇降ジャッキ又はアウトリガーが装着され、これらによって、コンテナが上昇し、トラックの荷台から離れたときにそのまま、トラックを前進させて、コンテナと、トラックの荷台とを分離させる。
【0005】
そして、同様にジャッキ又はアウトリガーを備えたコンテナを上昇した状態にしておき、トラックの荷台を後方側からコンテナの底面下に滑り込ませ、荷台がコンテナの直下に適正に到達したならば、そのままコンテナを降下させて、荷台に載置させ、トラックで新たな目的地に運送する。このような構成で、コンテナの搬送作業は、省力・時間短縮となり、作業効率を格段に向上させている。
【0006】
このようなコンテナの運送システムとしてスワップボディコンテナの普及が進められており、この運送システムに大きな期待を寄せられている。しかし、スワップボディコンテナは、トラックとコンテナが専用のものとなってしまい、トラック一つに対して、コンテナを複数備えなければならない。
【0007】
したがって、スワップボディコンテナ車両においては、コンテナとトラック荷台の双方に専用の構造が採用されており、車種として極めて高価なものとなる。また、これらのトラックと複数のコンテナを用意しても、そのコンテナ管理が極めて困難である。そのために、スワップボディコンテナによる運送システムを採用できるのは大手の運送会社に限定され、中小規模の運送会社ではとても採用することはできない。
【0008】
特に、通常のトラックの荷台とコンテナの分離(切り離しとも言う)については、コンテナ自体に油圧或いは機械式のジャッキが備わっており、これらのジャッキを介してコンテナを上下に昇降させ、コンテナを荷台から浮かせて離間させ、そのままトラックを前進させてコンテナとトラックの荷台を分離することが一般的である。
【0009】
しかしながら、道路交通法等により、コンテナ及びジャッキは、荷台の幅方向からはみ出さないようにしなければならない。この場合、ジャッキは、油圧シリンダからピストン部が上下方向に伸縮するだけでなく、油圧シリンダが荷台の幅方向において水平方向に出没する構成とし、荷台の幅方向内に油圧シリンダが収められるような構成にする必要がある。ところが、このような動作ができるジャッキは、高価なものとなる問題点がある。
【0010】
また、スワップボディコンテナ車両は、トラックターミナルで使用することが前提である。つまり、トラックターミナルは、地面から一段高い作業ステージが設けられている。この作業ステージは、トラックの荷台に載置されたコンテナの出し入れ口の高さに合わせて、物品の出し入れが行い易いようになっている。
【0011】
したがって、トラックの荷台から分離(切り離しとも言う)されたコンテナは、備え付けの折り畳みタイプの脚によって高い位置のまま、保管されることになる。しかし、運送先によっては、このような作業ステージが存在せず、コンテナをトラックの荷台から分離したときには、コンテナの出し入れ口から物品の出し入れ作業が行い易くするためには、コンテナを降下させてその底面を地面に近い位置としなければならない。
【0012】
この場合、突出したジャッキは、場合によっては邪魔となり、コンテナの幅方向内に、引っ込める必要も生じる。このとき、ジャッキの下端が地面に接触していると、コンテナの重量が直接かかり、ジャッキをコンテナの幅方向内に収納できなくなる。この場合、構造を複雑にすれば、ジャッキの幅方向内の収納は可能となるが、装置自体が高価なものとなってしまう。
【0013】
そこで、本発明の目的(解決しようとする技術的課題)は、昇降用ジャッキを備えたコンテナを極めて簡単な構成にてトラックの荷台に載置できると共に、コンテナと荷台を分離するときにも、操作を簡単にでき、コンテナを地面に設置するときには、ジャッキをコンテナの幅方向内に簡単に収めることができるようにすることである。
【0014】
そこで、発明者は前記課題を解決すべく、鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、コンテナ本体と該コンテナ本体の幅方向両側箇所に設けられ且つ幅方向に不動とした2個の後方側ジャッキと、前記コンテナ本体の幅方向の両側から外方に向かって出没する2個の前方側ジャッキとを具備したコンテナと、該コンテナが載置されるフラット状の荷台を有するトラックとを備え、両前記後方側ジャッキ及び没時の両前記前方側ジャッキは前記荷台の幅方向の両端を超えない範囲に設定され、両前記後方側ジャッキのピストン部の上下方向出没動作時における該ピストン部と前記荷台とが接触しない非接触領域部が前記コンテナ本体と前記荷台の後方側に設けられ、前記非接触領域部は、前記荷台の後端で且つ幅方向両側角部に両前記後方側ジャッキの前記ピストン部が挿入され且つ前記荷台の後端側で出入自在に開放された凹み部が形成され、前記コンテナ本体又は前記荷台の何れか一方に前後方向前方寄りの位置に前方脚部が設けられ、前後方向後方寄りの位置に後方脚部が設けられ、前記コンテナ本体又は前記荷台の他方に前記前方脚部及び前記後方脚部に対応する位置に前方挿入孔と後方挿入孔が設けられてなる移動用コンテナ構造としたことにより、上記課題を解決した。
【0015】
請求項2の発明を、請求項1に記載の移動用コンテナ構造において、2個の前記後方側ジャッキは前記コンテナ本体の内部に設置され、前記ピストン部は前記コンテナ本体の床を貫通して上下に出没する構成としてなる移動用コンテナ構造としたことにより、上記課題を解決した。
【0016】
請求項3の発明を、請求項1に記載の移動用コンテナ構造において、2個の前記後方側ジャッキは前記コンテナ本体の外側で且つ後方角部箇所に設置されてなる移動用コンテナ構造としたことにより、上記課題を解決した。
【0017】
請求項4の発明を、請求項3に記載の移動用コンテナ構造において、前記コンテナ本体に設けられた場合における前記前方脚部は前記後方脚部より高さ寸法が大きく設定されてなる移動用コンテナ構造としたことにより、上記課題を解決した。請求項5の発明を、請求項1,2,3又は4の何れか1項に記載の移動用コンテナ構造において、両前記前方側ジャッキと、両前記後方側ジャッキのそれぞれの没状態のピストン部の下端は前記コンテナにおける最下端よりも上方に位置してなる移動用コンテナ構造としたことにより、上記課題を解決した。
【0018】
請求項6の発明を、請求項1,2,3,4又は5の何れか1項に記載の移動用コンテナ構造において、両前記前方側ジャッキの前記コンテナ本体の幅方向における出没の最大突出量は、該コンテナ本体の幅方向端部の直近としてなる移動用コンテナ構造としたことにより、上記課題を解決した。
【0019】
請求項7の発明を、請求項1,2,3,4,5又は6の何れか1項に記載の移動用コンテナ構造において、両前記前方側ジャッキの前記コンテナ本体の幅方向における出没の最大突出状態の間隔は、該コンテナ本体の幅方向寸法の1.5倍以上としてなる移動用コンテナ構造としたことにより、上記課題を解決した。請求項8の発明を、請求項1,2,3,4,5,6又は7の何れか1項に記載の移動用コンテナ構造において、前記前方側ジャッキ及び前記後方側ジャッキにはローラが設けられてなる移動用コンテナ構造としたことにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明では、両前記後方側ジャッキ及び没時の両前記前方側ジャッキは前記荷台の幅方向の両端を超えない設定とされ、両前記後方側ジャッキのピストン部の上下方向出没動作時における該ピストン部と前記荷台とが接触しない非接触領域部が前記コンテナ本体と前記荷台の後方側に設けられたことにより、コンテナの後方側ジャッキは、幅方向に出没させる構造ではなくとも、後方側ジャッキは荷台と干渉することなく、トラックを前進させるのみで、コンテナと荷台を分離させることができる。
【0021】
また、両前方側ジャッキは、コンテナの幅方向両側から出没する構成であり、トラックとコンテナを分離するときに(又は切り離すときに)、両前方側ジャッキ間をトラックの荷台が出入りできるようになっている。両後方側ジャッキは幅方向に固定であり、そのために、荷台に対して幅方向に水平に出没する伸縮構造を不要とし後方側ジャッキを昇降動作のみを有する簡単なものにできる。
【0022】
後方側ジャッキの出し入れ時に荷台と干渉しない非接触領域部が備わっており、コンテナとトラックとの分離作業(切り離し作業とも言う)で、上昇状態にあるコンテナからトラックを簡易且つ迅速に出し入れできるようになっている。このようなことから本発明は、極めて高価なスワップボディコンテナによる運送システムに近似するシステムを低価格にて構築できるという利点を備えたものといえる。
【0023】
さらに、前記コンテナ本体の前後方向前方寄りの位置に前方脚部が設けられ、前後方向後方寄りの位置に後方脚部が設けられ、前記荷台には前記前方脚部及び前記後方脚部に対応する位置に前方挿入孔と後方挿入孔が設けられたことにより、コンテナを荷台に載置できると共に、極めて簡単に固定することができる。
【0024】
さらに、請求項1の発明では、非接触領域部は、前記トラックの前記荷台の後方端部の角部には前記後方側油圧ジャッキが出入する凹み部が設けられてなる移動用コンテナ構造としたことにより、コンテナ本体が荷台から前後方向にはみ出すことなく、コンテナの全体を荷台に載置できコンテナの安定した載置ができる。さらに、前記コンテナ本体の前後方向前方寄りの位置に前方脚部が設けられ、前後方向後方寄りの位置に後方脚部が設けられ、前記荷台には前記前方脚部及び前記後方脚部に対応する位置に前方挿入孔と後方挿入孔が設けられたことにより、コンテナを荷台に載置できると共に、極めて簡単に固定することができる。請求項2の発明では、2個の後方側ジャッキのシリンダ部はコンテナ本体の内部に設置され、ピストン部はコンテナ本体の床を貫通する構成によって、後方側ジャッキは、外部に露出することなくコンテナの外観を整然としたものにできる。請求項3の発明では、2個の前記後方側ジャッキのシリンダ部は前記コンテナ本体の後方角部に設置されたことにより後方側ジャッキのコンテナ本体への装着を比較的簡単で、且つ安価にできる。
【0025】
請求項4の発明では、前記前方脚部は前記後方脚部より高さ寸法が大きく設定されたことにより、前方側ジャッキと後方側ジャッキとを最大限収縮したときには、前方脚部と後方側ジャッキとが接地状態となって、前方側ジャッキは上方に浮いた状態となり、ここで両前方側ジャッキを幅方向内方に向かって収納することができる。
【0026】
そして、再度、後方側ジャッキ,前方側ジャッキを伸ばすと、前方側ジャッキ,後方側ジャッキ及び前方脚部によって6点支持状態にすることができ、最も安定したコンテナの設置状態にできる。さらに、荷台に設けられた枕部材は、その高さが前方脚部の高さと略同一としているので、荷台に載置されている状態で前方脚部と枕部材とでコンテナを荷台に対して水平状に維持できる。
【0027】
さらに、請求項4においては、通常では、前方側ジャッキと後方側ジャッキによって、コンテナが降下して地面に設置された状態のときに、両前方側ジャッキは幅方向に突出した状態のままでは作業の邪魔になるが、本発明では、上記のような極めて簡単な手段で、荷台の幅方向に対して突出状態にある両前方脚部を、地面と干渉することなく荷台の幅方向内に収納でき、前方側ジャッキが邪魔にならなくなる。
【0028】
請求項5の発明では、両前記前方側ジャッキと、両前記後方側ジャッキのそれぞれの没状態のピストン部の下端は、前記コンテナ全体における最下端よりも上方に位置してなる構成により、コンテナに何ら加工することなく、極めて簡単な構成にて両前方側ジャッキの荷台における幅方向内への収納が簡単にできる。請求項6の発明では、両前記前方側ジャッキの前記コンテナ本体の幅方向における出没の最大突出量は、前記コンテナ本体の幅方向端部の直近としてなることにより、コンテナを前方側ジャッキ及び後方側ジャッキにて高い位置に設置したときに、前方側ジャッキに係る重量的負担を小さくすることができる。
【0029】
請求項7の発明では、両前記前方側ジャッキのシリンダ部の出没における出時における最大間隔は、前記コンテナ本体の幅方向の1.5倍以上としたことで、トラックの荷台にコンテナを載置する作業で、トラックの荷台を直進ではなく斜め側からカーブしながら、両前方側ジャッキ間に荷台を通過させることができる。
【0030】
通常では、大型トラックの場合、トラックの荷台にコンテナを載置したり、或いは荷台とコンテナとを分離(切り離しとも言う)するために、コンテナの前方に大きなスペース、具体的には約25メートル程度のスペースが必要となり、このような条件は大きなターミナル施設でなければならない。本発明では、前述したようにコンテナの前方に通常必要とされる約25メートル程度のスペースは不必要となり、比較的狭いスペースで、コンテナをトラックの荷台に載置したり、或いはコンテナを荷台から分離する作業が可能となる。
【0031】
更に、請求項7においては、トラック及びコンテナが小型或いは中型のものであれば、ホィールベースが短いので、カーブの半径も小さくなり、小回りが効き、コンテナ前方のスペースはさらに狭くでき、トラックターミナルの省スペース化を実現できる。請求項8の発明では、前記後方側ジャッキ及び前記後方側ジャッキにはローラが設けられる構成により、コンテナを荷台に設置したり、或いは分離する作業で、コンテナの前方側ジャッキ或いは後方側ジャッキに荷台が当たってもコンテナにかかる衝撃を低減且つ緩和できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】(A)は本発明における非接触領域部の第1実施形態をとしてはみ出し部位を有し且つコンテナ及びトラックの前方側ジャッキを幅方向且つ水平に突出させた直後の状態の一部切除した側面図、(B)は(A)のコンテナ及びトラックの平面図、(C)は本発明におけるコンテナ及びトラックの正面図、(D)は本発明におけるコンテナ及びトラックの背面図である。
図2】(A)は本発明におけるコンテナ及びトラックの前方側ジャッキ及び後方側ジャッキのピストン部を伸ばしてコンテナを高位置にした状態の一部切除した側面図、(B)はコンテナからトラックを分離した状態の側面図、(C)はコンテナをジャッキによって降下させ地面に接地させた状態の側面図である。
図3】(A)は本発明におけるコンテナ及びトラックの構成を示す斜視図、(B)前方側ジャッキと後方側ジャッキによって高所位置にあるコンテナの斜視図である。
図4】(A)は本発明における非接触領域部の第2実施形態としてトラックの荷台に凹み部を設けた実施形態の斜視図、(B)は非接触領域部の第2実施形態としてトラックの荷台に凹み部が設けられた部分の要部斜視図、(C)は後方側ジャッキをコンテナの後方側の外部に設けた実施形態の要部斜視図である。
図5】(A)はトラックの荷台から分離したコンテナを降下させる途中の側面図、(B)はコンテナが前方脚部を中心にして後方側が接地し、前方側が上昇している状態の側面図、(C)は(B)の正面図、(D)はコンテナの前方側ジャッキ,後方側ジャッキ及び前方脚部によってコンテナが水平状となった側面図である。
図6】(A)はコンテナの前方側ジャッキ及び後方側ジャッキのピストン部下端にローラを設けた実施形態の側面図、(B)は(A)の(α)部拡大図、(C)は(B)のY1-Y1矢視拡大断面図である。
図7】(A)はコンテナから前方脚部及び後方脚部を備えない実施形態の側面図、(B)は(A)の(β)部拡大断面図、(C)は(A)の(γ)部拡大図、(D)はコンテナを地面に接地させた状態の側面図である。
図8】(A)はコンテナの両前方側ジャッキのシリンダを最大限に拡開した状態の正面図、(B)はコンテナの前方側からトラックをバック走行にて荷台をコンテナ位置に移動させる本発明と従来との走行状態を比較する平面略示図である。
図9】(A)は非接触領域部の第2実施形態における凹み部の第2タイプの要部斜視図、(B)は非接触領域部の第2実施形態における凹み部の第3タイプの要部斜視図、(C)は非接触領域部の第2実施形態における凹み部の第4タイプの要部斜視図、(D)は非接触領域部の第2実施形態における凹み部の第5タイプの要部斜視図である。
図10】(A)は本発明における別の実施形態のコンテナ及びトラックの前方側ジャッキ及び後方側ジャッキのピストン部を伸ばしてコンテナを高位置にした状態の側面図、(B)はコンテナからトラックを分離した状態の側面図、(C)は前方側ジャッキ及び後方側ジャッキのピストン部を没状態としてコンテナを地面に接地させた状態の側面図である。
図11】(A)は前方脚部,後方脚部及び前方挿入孔と後方挿入孔とを示す拡大縦断側面図、(B)は前方脚部,後方脚部及び前方挿入孔と後方挿入孔とを示す要部拡大斜視図、(C)は別の実施形態における前方脚部,後方脚部及び前方挿入孔と後方挿入孔とを示す拡大縦断側面図、(D)は別の実施形態における前方脚部,後方脚部及び前方挿入孔と後方挿入孔とを示す要部拡大斜視図、(E)はさらに別の実施形態における嵌合突起と嵌合孔とを示す要部拡大斜視図である。
図12】(A)はコンテナを家屋用とし、教室、集会所とした実施形態の縦断側面図、(B)はコンテナを家屋用とし、医療所とした実施形態の縦断側面図、(C)はコンテナを家屋用とし、食堂とした実施形態の縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明は、コンテナAとトラックBを備えて構成されたものである(図1図2参照)。コンテナAは、コンテナ本体1,前方側ジャッキ3及び後方側ジャッキ4を備えている。トラックBは、運転室部5と荷台6とを備えている。
【0034】
ここで、本発明の説明において、方向を示す文言として前後方向,幅方向及び上下方向を使用する。前後方向とは本発明の移動用コンテナ構造において、コンテナA及びトラックBの前方側と後方側とを結ぶ方向のことを言う。幅方向とはコンテナA及びトラックBの幅を示す方向のことを言う。
【0035】
上下方向とはコンテナA及びトラックBの高さ方向のことを言う。前後方向,幅方向及び上下方向は収容な図に記載している。コンテナAのコンテナ本体1は、略直方体状をなしている(図3図4参照)。なお、コンテナAのコンテナ本体1は、店舗,教室,集会所,医療所,食堂,ライブハウス,キャンプ施設,展示場,理容室,美容室,事務所等の施設として使用することも可能である。これらの施設又は家屋は、モバイル施設又はモバイル家屋として使用するものである。
【0036】
コンテナ本体1の出入口11は、種類によって、種々の位置に設けられるが、通常では前後方向後部に設けられており、通常の水平方向に両開きとなるタイプであり、いわゆる観音開きタイプの扉構造としたものである〔図1(D),図3図4参照〕。また、特に図示しないが、出入口11は、コンテナAの幅方向側面に設けられることもある。さらに、コンテナ本体1には、その床となる部分で、その一部がコンテナ本体1の前後方向前方側から前方に突出するベース12が設けられている。該ベース12は、板状に形成されたものであり、後述するように、ベース上に前方側ジャッキ3の駆動機構部34が設置されている。
【0037】
コンテナ本体1の前後方向前方側で且つその幅方向両側に前方側ジャッキ3,3が設けられ、コンテナ本体1の前後方向後方側で且つその幅方向両側に後方側ジャッキ4,4が設けられている(図1乃至図4等参照)。さらに、コンテナAの前後方向前方寄りの位置で幅方向両側に前方脚部71,71が設けられ、前後方向後方寄りの位置で幅方向両側に後方脚部72,72が設けられる(図1乃至図4等参照)。また、荷台6には、コンテナAが適正に載置された状態で、両前方脚部71,71に対応する位置には前方挿入孔81,81が形成され、両後方脚部72,72に対応する位置には後方挿入孔82,82が形成される(図1乃至図4等参照)。
【0038】
前方脚部71及び後方脚部72は、それぞれに対応する前方挿入孔81と後方挿入孔82と共に荷台6に載置されるコンテナAを固定する手段としての役目を果たす。具体的には、コンテナAが、荷台6に載置され、コンテナAに設けられた両前方脚部71,71が荷台6に設けられた両前方挿入孔81,81に挿入され、コンテナAに設けられた両後方脚部72,72が荷台6に設けられた両後方挿入孔82,82に挿入され、荷台6に載置されたコンテナAが固定且つロックされる。
【0039】
前方脚部71の高さ(寸法)Hfと、後方脚部72の高さ(寸法)Hrとの高さを同一又は略同一とした場合、つまりHf=Hrとした場合では、前方脚部71及び後方脚部72は、コンテナAを地面に対して水平に設置するときに、コンテナAを支持するスタンドとしての役目をなす〔図2(C)参照〕。また、前方脚部71の高さ(寸法)Hfを後方脚部72の高さ(寸法)Hrよりも大きくした場合についての構成は、後述する。
【0040】
前方脚部71及び後方枕部材72は、コンテナ本体1の底下面、具体的にはコンテナ本体1の庫内床の下面側に設けられ、金属又は硬質の樹脂,木材等にて立方体状のブロック状に形成されたものである。前方脚部71は、後方脚部72と同一高さで同一形状であり、これによって、コンテナAを地面に水平状に設置できる〔図2(C)参照〕。また前方脚部71が後方脚部72よりも高さ寸法を大きくすることもある。
【0041】
前方側ジャッキ3は、具体的には油圧ジャッキであり、シリンダ31と出没腕状部32を有している。前方側ジャッキ3を駆動するための駆動機構部34が具備されている。両前方側ジャッキ3,3は、コンテナ本体1の前方側外部に油圧システムとして設置される〔図1(A),(B),図2(A)参照〕。この油圧システムとした前方側ジャッキ3,3を幅方向に出没させる駆動機構部34は、コンテナ本体1における床板の一部がコンテナ本体1の前後方向前方側から前方に突出するベース12上に設置され、コンテナ本体1と略一体化された状態となっている(図1図2参照)。
【0042】
そして、両前方側ジャッキ3,3は、駆動機構部34によって、コンテナ本体1の幅方向両側より外方に水平状に出没するものであり、それぞれの前方側ジャッキ3は、シリンダ31と、出没腕状部32とを備えている(図1乃至図4等参照)。該出没腕状部32は、シリンダ31をコンテナ本体1の幅方向の両側より水平状に出没案内させる役目をなしている〔図1(C),図5(C)参照〕。
【0043】
出没腕状部32の長手方向端部で上面側にシリンダ31が垂直状に装着され、シリンダ31に収納されたピストン部311は、出没腕状部32の下面側から下方に向かって出入する。ピストン部311の下端には座板部311aが設けられ、該座板部311aはコンテナAの地面に対する設置状態を安定させる役目をなす〔図2(A),図3等参照〕。つまり、座板部311aがピストン部311の下端となる。
【0044】
油圧システムとした両前方側ジャッキ3,3における両出没腕状部32,32をコンテナ本体1の幅方向に出没させる駆動機構部34は、図示されない公知の技術による電動機構部又は油圧機構部が備わっており、これらによってコンテナ本体1の幅方向両側から両シリンダ31,31における両出没腕状部32,32の出没動作が行われるものである〔図1(B),(C)参照〕。また、出没腕状部32の出没動作は、手動によって行う構成であってもよい。
【0045】
両前方側ジャッキ3,3は、前述したように、コンテナ本体1の幅方向両側から水平状に出没するものであり、さらに収納時における両シリンダ31,31の間隔は、トラックBの荷台6の幅方向における寸法よりも小さくなるものとしている。荷台6は略長方形状で且つフラット状である〔図1(B),図3図4参照〕。
【0046】
両前方側ジャッキ3,3の収納時は、シリンダ31及び出没腕状部32は、荷台6の幅
方向両端を超えないものとし、必ず幅方向内方に収まるように設定される。つまり、収納時における前方側ジャッキ3は、荷台6の幅方向両端を、はみ出さない状態にされる〔図3図5(C)参照〕。そして、両前方側ジャッキ3,3がコンテナ本体1の幅方向から外部に突出するときの突出量は、両シリンダ31,31の間隔寸法が荷台6の幅方向寸法よりも大きくなる程度である。つまり、両前方側ジャッキ3,3がコンテナ本体1の幅方向から外方に突出するときは、両シリンダ31,31の両ピストン部311,311によって、荷台6を幅方向に沿って跨ぐことができるようにしている。
【0047】
コンテナAと荷台6において、コンテナAの後方側ジャッキ4のピストン部411の上下方向出入動作で干渉することなく、荷台6の前方移動が可能となる後方側ジャッキ4と、荷台6とが接触しない非接触領域部が設けられる。非接触領域部は、コンテナAを荷台6に載置したり、或いは分離(切り離しとも言う)するときに、荷台6と後方側ジャッキ4,4が接触することないようにするために設けられた空隙である〔図1(A),(B)参照〕。
【0048】
非接触領域部は、複数の実施形態が存在する。まず、非接触領域部の第1実施形態としてはみ出し部位Sについて述べる。コンテナAのコンテナ本体1の前後方向の後方側には、荷台6の後端からはみ出す部位が設けられている〔図1(A),(B),図2(A)参照〕。この部位をはみ出し部位Sと称する。該はみ出し部位Sは、コンテナAのコンテナ本体1の一部の体積となる。該はみ出し部位Sは、主要な図に鎖線のハッチングの範囲にて示されている。
【0049】
コンテナAのはみ出し部位Sにおいて、コンテナAのトラックBの前後方向における荷台6からのはみ出し量Sxは、道路交通法施行令の「自動車の乗車又は積載の制限」の〔第二十二条三項のイ〕に記載された事項に基づくものとされる。すなわち、積載物の長さについて記載されている。(イ)長さについて自動車の長さにその長さの10分の1の長さを加えたものである。つまり、コンテナAにおけるトラックBの荷台6からのはみ出し量Sxは、トラックBの全長の10分の1以下に設定されている。
【0050】
両後方側ジャッキ4,4は、コンテナAのコンテナ本体1のはみ出し部位S内に垂直状に設置される〔図1(A),図2(A),(B),図3(A)等参照〕。つまり、トラックBの前後方向においては、コンテナAのコンテナ本体1の荷台6後端からのはみ出し部位Sのはみ出し量Sx内に後方側ジャッキ4が設けられている〔図1(A),(B),図2(A),図3図4等参照〕。
【0051】
また、両シリンダ41,41の間隔寸法Wr1は、荷台6の幅方向寸法Wr2よりも小さく設定される〔図1(C),図2(B)参照〕。すなわち、Wr1<Wr2となる。ここで、両シリンダ41,41の間隔寸法Wr1とは、両シリンダ41,41の外形部分における最大幅のことをいう。両シリンダ41,41は、コンテナ本体1の幅方向において固定であり、その間隔は不変である。また、後方側ジャッキ4のシリンダ41内のピストン部411は、シリンダ41から下方に向かって出入するものである。
【0052】
そして、このようにはみ出し部位Sを設け、このはみ出し部位Sで、且つコンテナ本体1の幅方向両側部の直近の位置に2個の後方側ジャッキ4,4が設けられ、両後方側ジャッキ4,4のシリンダ41,41の間隔寸法Wr1をトラックBの荷台6の幅方向間隔寸法Wr2よりも小さく又は狭く設定することにより両後方側ジャッキ4,4は、特にコンテナ本体1の幅方向に出没するタイプとする必要がなく、定位置でシリンダ41からピストン部411が上下方向に出没する構成としたタイプでよい。
【0053】
つまり、コンテナAをトラックBの荷台6に積載するときに、コンテナAの荷台6からのはみ出し部位Sに後方側ジャッキ4,4が設置されているので、後方側ジャッキ4のピストン部411の上下方向における出入動作時に荷台6と干渉することなくコンテナAを前方側ジャッキ3及び後方側ジャッキ4にて昇降させることができ、コンテナAと、トラックBの荷台6とを引き離すことができ、トラックBの荷台6と、コンテナAとを極めて簡単に分離(切り離しとも言う)することができ、コンテナAを、地面に簡易且つ迅速に設置できる(図2参照)。
【0054】
そして、後方側ジャッキ4については、コンテナ本体1の幅方向からの出没動作を行う機構は不必要となり、後方側ジャッキ4の構造を極めて簡単にできる。さらに、このような構成とすることにより、後方側ジャッキ4はコンテナ本体1内に収納することも可能となり、コンテナAの幅方向両側面から外部に突出する部位が無く、よって該コンテナAの外形を整然としたものにできる(図3参照)。
【0055】
両後方側ジャッキ4,4においては、コンテナ本体1への装着状態に複数の実施形態が存在する。その第1実施形態では、両シリンダ41,41は、コンテナ本体1内に収容される。具体的には、2個の後方側ジャッキ4,4のシリンダ41,41は、コンテナ本体1の後方側の幅方向両側の内部側に設置される。コンテナ本体1内室におけるシリンダ41の周囲直近箇所には仕切り壁部15が設けられることもある〔図1(B)参照〕。
【0056】
該仕切り壁部15は、コンテナ本体1内に出入りする人とシリンダ41とを共に保護する役目をなす。後方側ジャッキ4のピストン部411は、コンテナ本体1の床には、貫通孔1aが設けられ、該貫通孔1aをピストン部411の通路として貫通している〔図6(B),図7(B)参照〕。この状態でピストン部411は上下方向に出入する構成となっている。該ピストン部411の下端には座板部411aが設けられている。つまり、座板部411aがピストン部411の下端となる。
【0057】
また、ピストン部411の下端にはローラ43が設けられる実施形態が存在する。ローラ43には、複数の実施形態が存在し、その実施形態では、具体的には、ピストン部411に下端に軸受部43aが形成され、該軸受部43aを介してローラ43が回転自在に装着される(図6参照)。同様に、前方側ジャッキ3のピストン部311の下端にもローラ33が設けられる。
【0058】
2個の後方側ジャッキ4,4のシリンダ部41,41は、コンテナ本体4の外部に設置される実施形態が存在する〔図4(C)参照〕。この場合、コンテナ本体1の幅方向両側壁面に直接固着される。さらに、この実施形態では、シリンダ41がコンテナ本体1の幅方向端部における側壁に直接、固着されるものであり、シリンダ41はブラケット41cが形成され、該ブラケットを介してボルト等の固着具にて固着される構成としたものである。
【0059】
さらに、非接触領域部の第2の実施形態として、荷台6に凹み部61が設けられる実施形態を説明する。両後方側ジャッキ4,4の間隔は荷台6の幅方向間隔寸法よりも狭く設定され、且つ荷台6の後端で幅方向両側角部には後方側ジャッキ4のピストン部411が挿入される凹み部61が設けられる〔図4(A),(B)参照〕。該凹み部61は、略方形状又は略L字形状の切欠状の部位であり、荷台6の前方側後端に左右対称に形成される。両凹み部61,61によって、荷台6の後端は凸字形状に形成される。両後方側ジャッキ4,4の両ピストン部411,411は、それぞれ両凹み部61,61に挿入された状態で上下方向に昇降する構成となる。
【0060】
コンテナAには,前記前方脚部71及び前記後方脚部72が設けられない実施形態が存在する(図7参照)。この実施形態では、荷台6に挿入孔81及び挿入孔82も形成されない。但し、コンテナAと荷台6との間には、図示されない公知(従来技術)の固定具(ツ
イストロック等)が具備され、コンテナAは、その固定具にて荷台6に固定且つロックさ
れる。
【0061】
前方側ジャッキ3,3及び後方側ジャッキ4,4については、両前記前方側ジャッキ3,3と、両前記後方側ジャッキ4,4のそれぞれの没状態のピストン部311(座板部311aを含む)及びピストン部411(座板部411aを含む)の下端は、前記コンテナAにおける最下端となる最下位置よりも上方に位置している。つまり、コンテナAの最下端とは、前方側ジャッキ3及び後方脚部72を含み、その最も低くなる位置のことであり、これをコンテナ最下位置Pと称する。そして、前方側ジャッキ3のピストン部311及び後方側ジャッキ4のピストン部411の下端は、コンテナAのコンテナ最下位置Pよりも上方に位置することが好適である。
【0062】
つまり、コンテナAのベース12がコンテナ最下位置Pとした場合に、前方側ジャッキ3のピストン部311(座板部311aを含む)の下端が上下方向に没状態のときに、該ピストン部311の下端がコンテナ最下位置Pよりも上方に位置し、その上下方向の差を隙間tと称する。同様に後方側ジャッキ4のピストン部411(座板部411aを含む)の下端についても(座板部311aを含む)よりベース12下端(コンテナ最下位置P)よりも上方に位置し、上下方向の差である隙間tが設けられる。
【0063】
特に、後方側ジャッキ4が設けられているベース12の下面側には、ピストン部411の座板部411aが完全に収納される収納凹部12aが形成されている。これによって、前方側ジャッキ3,3は、地面から浮いた状態となり、荷台6の幅方向に沿って収納時に地面との干渉が生じないようになっており、幅方向に突出した状態の前方側ジャッキ3,3をコンテナAの幅方向内方に収めることができる。
【0064】
次に、前述した、前方脚部71の高さ(寸法)Hfを後方脚部72の高さ(寸法)Hrよりも大きくした場合、つまりHf>Hrとしたことによって、トラックBの荷台6から分離されたコンテナAが地面に安定した状態で設置されるまでの工程を図5に基づいて説明する。まず、トラックBの荷台6に載置されたコンテナAは、前方側ジャッキ3と後方側ジャッキ4の上昇動作により、コンテナAが荷台6から浮かび上がる。
【0065】
コンテナAの高さ位置は、上記の条件を有して設定され、トラックBは、前進して、荷台6がコンテナAの下方より抜け出し、コンテナAと荷台6とが分離される。次に、コンテナAの前方側ジャッキ3及び後方側ジャッキ4のピストン部収縮によって、コンテナAが降下を始める。コンテナAは、そのまま降下を続け、前方側ジャッキ3,後方側ジャッキ4及び前方脚部71の下端が揃って設置する〔図2(C)参照〕。
【0066】
このとき、コンテナAのコンテナ本体1は、地面に対して水平状である。通常はこのままでもよいが、両前方側ジャッキ3,3は、コンテナ本体1の幅方向両側から外方に突出したままの状態であり、この両前方側ジャッキ3,3が作業の妨げとなる場合には、コンテナAの幅方向に沿って前方側ジャッキ3は収納しなければならない。しかしこのままでは、前方側ジャッキ3は、地面に接地しているので、コンテナ本体1の幅方向内への収納は行い難い。
【0067】
両前方側ジャッキ3,3を地面に引きずらないで収納するために、前方側ジャッキ3及び後方側ジャッキ4を最終まで上下方向に収縮させる。ここで、前方脚部71の高さ(寸
法)Hfを後方脚部72の高さ(寸法)Hrよりも大きく設定されていることにより、前方
脚部71の高さが最も高くなる。そのために、前方脚部71がコンテナ本体1をシーソと見た場合に、前方脚部71がシーソの支点(中心)となる。
【0068】
そして、前方脚部71はコンテナ本体1の前後方向前方寄りの位置に設けられており、後方脚部72の高さHrは前方脚部71の高さHfよりも小さいので、コンテナ本体1の重量により、コンテナ本体1は前方脚部71を支点(回転中心)として、前後方向後方側が水平とした地面に対して角度θだけ後方が下となるように傾くことになり、コンテナAの前後方向後端が地面に接地することになる〔図5(B)参照〕。
【0069】
このコンテナAの地面に対する角度θの傾きにより、コンテナ本体1の前後方向前方側が浮かび上がり、前方側ジャッキ3の下端は、地面から離間する。つまり、前方側ジャッキ3は、地面から完全に浮かび、自由状態となり、コンテナ本体1の幅方向内方側に収納可能となる〔図5(C)参照〕。コンテナAの傾きの角度θの値は極めて小さいもので十分である。
【0070】
そこで、両前方側ジャッキ3,3をコンテナ本体1の内方側に収納してから、再び前方側ジャッキ3と後方側ジャッキ4とを伸ばし、コンテナ本体1を地面に対して水平とする。これによって、コンテナAは、両前方側ジャッキ3,3と、両後方側ジャッキ4,4と、前方脚部71とによって、6点支持となり、安定した設置にすることができる。なお、前方脚部71の高さ(寸法)Hfを後方脚部72の高さ(寸法)Hrよりも大きくした場合でも、荷台6側に前方挿入孔81及び後方挿入孔82を設けておくことで、コンテナAを荷台6に載置固定且つロックすることができる。
【0071】
次に、両前方側ジャッキ3,3のコンテナ本体1の幅方向における出没の最大突出量は、コンテナ本体1の幅方向両端側の直近とすることがある。この直近とは、シリンダ31のコンテナ本体1側又は荷台6の側部を超えた位置から距離が約20cm乃至30cm程度迄の位置のことを言う。両前方側ジャッキ3,3の間隔をWf1として図示されている
図1(C)参照〕。この間隔Wf1は、具体的には両前方側ジャッキ3,3の両ピストン
部311,311の内方側の寸法である。これによって、コンテナAを、前方側ジャッキ3及び後方側ジャッキ4にて高い位置に設置したときに、両前方側ジャッキ3,3の出没腕状部32,32に係る重量的負担を小さくすることができる。
【0072】
また、両前方側ジャッキ3,3の両シリンダ部31,31のコンテナAにおける幅方向且つ水平方向に出没する構成において両シリンダ31,31の幅方向における突出時の間隔を、コンテナ本体1又は荷台6の幅方向寸法の約1.5倍程度以上とすることもある〔図1(C),図8参照〕。このときの両前方側ジャッキ3,3の間隔をWf2として図示されている〔図1(C)参照〕。両シリンダ部31,31の間隔をWf2は、最大限に拡開した状態が間隔Wmaxとなる〔図8(A)参照〕。
【0073】
この間隔Wmaxについては、具体的には両前方側ジャッキ3,3の両ピストン部311
,311の内方側、つまりコンテナ本体1又は荷台6側に面した部位同士の間隔寸法である。さらに、具体的には、間隔Wmaxは、前記コンテナ本体1又は荷台6の幅方向の約1
.3倍程度乃至約2倍程度とし、実際には約1.5倍程度以上とすることが好ましい。これによって、トラックの荷台6にコンテナAを載置する作業で、トラックBの荷台6を直進ではなく斜め側からカーブしながら、両前方側ジャッキ3,3間に荷台6を通過させることができる〔図8(B)参照〕。
【0074】
通常では、大型トラックの場合、トラックの荷台にコンテナを載置したり、或いは荷台とコンテナとを分離するために、コンテナの前方に大きなスペース、具体的には約25メートル程度のスペースが必要となり、このような条件は大きなターミナル施設でなければならない。本発明では、トラックB及びコンテナAが大型の場合であっても、コンテナAの前方に通常必要とされる約25メートル程度のスペースは不必要となり、比較的狭いスペースで、コンテナAをトラックBの荷台6に載置したり、或いはコンテナAを荷台6から分離する作業が可能となる。
【0075】
また、トラックB及びコンテナAが小型或いは中型のものであれば、ホィールベースが短いので、カーブの半径も小さくなり、小回りが効き、コンテナAの前方のスペースをさらに狭くでき、トラックターミナルの省スペース化を実現できる。このように、比較的狭いスペースで、コンテナAをトラックBの荷台6に載置したり、或いはコンテナAを荷台6から分離する作業が可能となる。
【0076】
また、荷台6に載置されたコンテナAを荷台6から脱落しないようにするために、前述したように、コンテナAには前方脚部71,後方脚部72を設け、これらに対応する前方挿入孔81及び後方挿入孔82を荷台6に設けたが、これらと共に、コンテナAを荷台6に載置且つ固定する手段として、公知のツイストロックを別に設けても構わない。ツイストロックは、あらゆる公知のものが使用可能である。ツイストロックは、手動で回転させるものや、油圧や電動で自動的に回転するものがある。
【0077】
次に、前述した非接触領域部の第2実施形態の凹み部61において、先に説明した略方形状又は略L字形状の切欠状の部位とした凹み部61〔図4(B)参照〕以外に、以下に述べる凹み部61の第2タイプ乃至第5タイプが存在する〔図9(A)乃至(D)参照〕。なお、先に説明した略方形状又は略L字形状の切欠状の部位とした凹み部61は第1タイプとする。
【0078】
上記の凹み部61の第1タイプは、概略すると前記荷台6の後端で且つ幅方向両側角部に両前記後方側ジャッキ4の前記ピストン部411が挿入され且つ前記荷台6の後端側で出入自在に開放された略方形状又は略L字形状の切欠状としたものであり、両該凹み部61によって、前記荷台6の後端は凸字形状に形成されたものである。
【0079】
まず、凹み部61の第2タイプは、荷台6の後端で且つ該荷台6の幅方向両側角部又は両角部付近に凹形円弧状とした切欠状の部位としたものであり、換言するならば、両凹み部61,61は、荷台6の前後方向後端の外周部分に幅方向両側において左右対称となる略1/4円形状の切欠状の部位として形成され、これらの凹み部61によって荷台6の前
後方向後端部分を略「八」字形状に形成されるようにしたものである〔図9(A)参照〕。この第2タイプでは、前述した第1タイプと同様に、荷台6の後端且つ幅方向両側が開放された構造である。
【0080】
つまり、凹み部61の第2タイプを概略すると、荷台6の後端で且つ幅方向両側角部に両前記後方側ジャッキ4の前記ピストン部411が挿入され且つ前記荷台6の後端側で出入自在に開放された略略1/4円形状の切欠状とした凹み部が設けられ、両該凹み部によ
って、前記荷台の後端は八字形状に形成されたものである。
【0081】
次に、凹み部61の第3タイプでは、荷台6の後端で且つ該荷台6の幅方向両側角部又は両角部付近に幅方向において左右対称となる傾斜直線状の端辺としたものであり、これら傾斜直線状の端辺とした凹み部61によって、荷台6の前後方向後端部分を略台形状に形成されるようにしたものである〔図9(B)参照〕。
【0082】
この第2タイプでは、前述した第1タイプと同様に、荷台6の後端且つ幅方向両側が開放された構造である。つまり、凹み部61の第3タイプを概略すると、荷台6の後端で且つ該荷台6の幅方向両側角部又は両角部付近に幅方向において左右対称となる傾斜直線状の端辺とし、両該端辺とした凹み部61によって、荷台6の前後方向後端部分が略台形状に形成されたものである。
【0083】
次に、凹み部61の第4タイプでは、荷台6の後端で且つ該荷台6の幅方向両側角部付近に、荷台6の前後方向後端のみが開放された2つのスリット状の切欠き状の部位としたものである。2つのスリット状の切欠き状の部位とした凹み部61によって、荷台6の前後方向後端部分を略「E」字形状に形成されるようにしたものである〔図9(C)参照〕。この第4タイプは、長方形,正方形等の方形状、或いは略U字形状とした切欠き状の部位である照〕。
【0084】
つまり、凹み部61の第4タイプを概略すると、荷台6の後端で且つ該荷台6の幅方向両側角部付近に、荷台6の前後方向後端のみが開放された2つのスリット状の切欠き状の部位とし、両スリット状の切欠き状の部位とした凹み部61によって、荷台6の前後方向後端部分がE字形状に形成されたものである。
【0085】
次に、凹み部61の第5タイプでは、荷台6の後端で且つ該荷台6の幅方向両側角部付近に、荷台6の前後方向後端のみが開放された1つの略長方形状又は略台形状の切欠き状の部位としたものである。この略長方形状又は略台形状の切欠き状の凹み部61は、荷台6の幅方向において幅広の切欠き状の部位であり、コンテナAの2本の後方側ジャッキ4,4のピストン部411,411が挿通及び通過することができる構成である。
【0086】
この長方形状又は略台形状の切欠き状の部位とした凹み部61によって荷台6の前後方向後端部分を略「角C」字形状、又は「門」形状に形成されるようにしたものである〔図9(D)参照〕。つまり、凹み部61の第5タイプを概略すると、荷台6の後端で且つ該荷台6の幅方向両側角部付近に、荷台6の前後方向後端のみが開放された1つの切欠き状の部位とし、荷台6の前後方向後端部分が角C字形状に形成されるようにしたものである。
【0087】
また、トラックBの荷台6の4箇所に前方脚部71,後方脚部72が設けられ、コンテナAの下面には、前記荷台6に前記コンテナAが適正に載置された状態で、前方脚部71,後方脚部72が挿入する前方挿入孔81及び後方挿入孔82が設けられる実施形態も存在する。そして、その荷台6の上面の4隅とは、該荷台6の前後方向の両端及びその周辺で且つ幅方向の両端及びその周辺のことを言う。そして、荷台6における4隅の範囲は、荷台6の上面の前後方向及び幅方向における中心を基準としてその周辺付近も含まれる。荷台6に前方脚部71,後方脚部72が設けられた場合の条件は、コンテナA側に前方脚部71,後方脚部72を設けた条件と略同等である(図10参照)。
【0088】
前方脚部71,後方脚部72は、コンテナAに対して極めて小さい突起状の個体である。前方脚部71,後方脚部72の形状は逆裁頭円錐状,立方体,直方体状である。また、荷台6には、コンテナAが適正に載置された状態で、複数の前方脚部71,後方脚部72に対応する位置には前方挿入孔81及び後方挿入孔82が形成されている〔図1図2図9(A)乃至(D)参照〕。つまり、コンテナAがトラックBの荷台6の適正な位置に載置するときに、コンテナA側の4隅の前方脚部71,後方脚部721は、荷台6側の4隅の前方脚部71,後方脚部72に略同時且つ確実に挿入嵌合することができる構成となっている。
【0089】
前方挿入孔81及び後方挿入孔82は、その形状が略前方脚部71,後方脚部721と略同形状である。前方挿入孔81及び後方挿入孔82の開口は、嵌合突起51の最も断面積の大きい部分よりも広く形成され、前方脚部71,後方脚部721が前方挿入孔81及び後方挿入孔82に挿入し易いようになっている。また、前方脚部71,後方脚部721の下端と前方挿入孔81及び後方挿入孔82の下端は、その形状及び大きさは略同一としており、前方脚部71,後方脚部721が前方挿入孔81及び後方挿入孔82に挿入を完了したときにはガタツキは生じないようになっている。
【0090】
ここで、前方脚部71,後方脚部721を逆裁頭円錐形状とし、前方挿入孔81及び後方挿入孔82を前方脚部71,後方脚部721と略同等形状の窪みとする。ここで、前方脚部71,後方脚部721の円錐面のなす角度をθaとする。また、前方挿入孔81及び後方挿入孔82の円錐状内周面のなす角度をθbとする。さらに、前方脚部71,後方脚部721の下端面の直径寸法をDaとし、前方挿入孔81及び後方挿入孔82の際底面の内径寸法をDbとする。
【0091】
そして、角度θa,角度θb,直径寸法Da,内径寸法Dbについて、以下のように設定することにより、コンテナAを、トラックBの荷台6に載置するときに、前方脚部71,後方脚部721が前方挿入孔81及び後方挿入孔82に入り込み易い構造にすることができると共に、コンテナAをトラックBの荷台6に強固な状態で設置できる〔図9(A)参照〕。
とする。
【0092】
前方脚部71,後方脚部72の高さ寸法と、前方挿入孔81及び後方挿入孔82の深さ寸法については、前方挿入孔81及び後方挿入孔82の深さ寸法が前方脚部71,後方脚部721の高さ寸法よりも僅かに大きい程度が好ましく、この時には、コンテナAが荷台6に載置された状態は、コンテナAの下面であるコンテナ最下位置Pが、荷台6上面に均一に当接させることができる。また、前方挿入孔81及び後方挿入孔82の深さ寸法と前方脚部71,後方脚部721の高さ寸法とを略同一としてもよい。
【0093】
前方脚部71,後方脚部721と前方挿入孔81及び後方挿入孔82とは、前方脚部71,後方脚部72が前方挿入孔81及び後方挿入孔82に挿入嵌合することで、コンテナAが荷台6に載置されることにより、位置ずれが生じないように固定できる。そして、前方脚部71,後方脚部72が前方挿入孔81及び後方挿入孔82に挿入された状態で、より強固に固定するための固定手段は、種々存在する。具体的には、前方脚部71,後方脚部721と前方挿入孔81及び後方挿入孔82にそれぞれ固着用の貫通孔が設けられ且つシャフト状ピンが具備される。そして、前方脚部71,後方脚部721が前方挿入孔81及び後方挿入孔82に挿入嵌合された状態で、前記シャフト状ピンを両者のそれぞれの貫通孔に挿通させ、前方脚部71,後方脚部721と前方挿入孔81及び後方挿入孔82とを略串刺し状態にして両者を固着するものである。また、前方脚部71,後方脚部721と前方挿入孔81及び後方挿入孔82にツイストロック機構を備える構造としてもよい。
【0094】
前方脚部71,後方脚部721と、対応する前方挿入孔81及び後方挿入孔82とは、共に荷台6に載置されるコンテナAを固定し、該コンテナAが荷台6に対して位置ずれ及び脱落を防止する役目をなす。具体的には、コンテナAが、荷台6に載置され、コンテナAに設けられた前方脚部71,後方脚部721,5,…が荷台6に設けられた前方挿入孔81及び後方挿入孔82,62,…に挿入嵌合され、荷台6に載置されたコンテナAが固定される。
【0095】
本発明において、具体的な使用例を説明する。また、図12は、家屋用コンテナAを店舗家屋として使用した場合の内部を示す。まず、過疎地或いは小人口地域で、一定のスペースが確保可能な土地であれば、店舗を設置及び運用するシステムを構築できる。その実施形態を述べると、まず、システムを運用するためのオペレーションセンター及び流通センターを設置する。
【0096】
そして、流通センターでトラックBの荷台6に家屋用コンテナAを積載し、目的地まで行く。そこで、トラックBの荷台6から家屋用コンテナAを前方側ジャッキ3,後方側ジャッキ4を使用して降ろし、家屋用コンテナAのみを残して、トラックBは流通センターに戻る。一方、家屋用コンテナAはその土地で店舗として使用する。家屋用コンテナAは、家屋本体部1から拡幅室部2を引き出すことで、家屋用コンテナAの室内は広くして利用できる。
【0097】
ここで、家屋用コンテナAは、その土地で複数台を設置し、複数の店舗とする(図5参照)。例えば、それぞれの家屋用コンテナAは、食品店舗(食品棟),医薬品店舗(医薬品
棟),日用品店舗(日用品棟),衣類品店舗(衣類品棟)等とする。そして、オペレーション
センターによって、商品が減って品薄状態となった店舗の家屋用コンテナAが指定され、この家屋用コンテナAの回収及び交換の命令が流通センターに指示される。
【0098】
そして、新たな家屋用コンテナAを荷台6に積載したトラックBが現地に向かい、回収されるべき家屋用コンテナAと交換して新たな店舗とした家屋用コンテナAを設置する。家屋用コンテナAは、有人又は無人の何れの店舗でも構わない。このシステムは、人口の小さい地域,過疎地に好適である。また、被災地で生活必需品の販売供給が困難な状況となった地域においても適用できる。
【0099】
上記使用における実施形態は、店舗としたものであるが、本発明は、その他の使用例として、以下に示すものが存在する。まず、過疎地及び人口の小さい地域で、家屋用コンテナAを集会所の家屋にすることができ、公共施設として使用することができる〔図12(A)参照〕。集会所には、椅子,テーブル等が設置される。また集会所とした家屋は、教室として使用することができ、教壇及び椅子が設置される。
【0100】
本発明における家屋用コンテナAに医療器具を備えることで医療所家屋として使用することもできる〔図12(B)参照〕。これによって過疎地及び人口の小さい地域で、医療施設の存在しない場所でも、簡易且つ迅速に医療所を設置できる。そして、地震,台風等の被災地で医療所が被災してしまった所でも迅速に対応でき、医療を即座に開始できる。
【0101】
また、家屋用コンテナAを厨房器具を備えることで食堂家屋として使用することができる〔図12(C)参照〕。その他として、休息所,仮眠所として使用することもできる。仮眠所として使用するときには、ベッドが設置され、簡易ホテルとしての使用が可能となる。その他、画廊,図書館,音楽ライブハウス,移動トイレ等、その使用法は多岐にわたるものである。このような使用によって、過疎地或いは小人口地域で、本発明を使用することで、簡易且つ迅速に小規模の共同集合体を構築することができる。
【符号の説明】
【0102】
A…コンテナ本体、B…トラック、1…コンテナ本体、3…前方側ジャッキ、
311…ピストン部、33…ローラ、4…後方側ジャッキ、411…ピストン部、
43…ローラ、6…荷台、61…凹み部、71…前方脚部、72…後方脚部、
81…前方挿入孔、82…後方挿入孔、S…はみ出し部位。
図1
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図12