(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】双方向慣性速度型制振器
(51)【国際特許分類】
F16F 15/02 20060101AFI20220426BHJP
F16D 63/00 20060101ALN20220426BHJP
【FI】
F16F15/02 E
F16F15/02 C
F16D63/00 R
(21)【出願番号】P 2021153334
(22)【出願日】2021-09-21
【審査請求日】2021-09-21
(31)【優先権主張番号】202011464031.4
(32)【優先日】2020-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519295166
【氏名又は名称】▲広▼州大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】呉 迪
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-053137(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第109253210(CN,A)
【文献】特開2011-220430(JP,A)
【文献】実開昭56-138240(JP,U)
【文献】特開2010-265987(JP,A)
【文献】実開昭60-084846(JP,U)
【文献】特開昭48-065376(JP,A)
【文献】特開昭49-068171(JP,A)
【文献】特開2020-153423(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106958617(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 7/00- 7/14
F16F 15/02-15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スリーブ部材と、スクリュー部材と、2組の摩擦減衰部材と、順方向慣性ブレーキディスク部材と、逆方向慣性ブレーキディスク部材と、2組の一方向伝動部材とを備え、
そのうち、前記スクリュー部材は、前記スリーブ部材内に配置され、前記スクリュー部材と前記スリーブ部材は、相対的直線運動が発生することができ、
2組の前記一方向伝動部材は、前記スクリュー部材
のスクリュー部の外周に間隔
を開けて隣り合わせで配置され、前記順方向慣性ブレーキディスク部材と前記逆方向慣性ブレーキディスク部材は、それぞれ、各前記一方向伝動部材に嵌着され、2組の前記一方向伝動部材の伝動方向が互いに逆方向となり、前記スクリュー部材が一つの前記一方向伝動部材を駆動して同時回転すると、他方の前記一方向伝動部材がロックされ、
そのうち、2組の前記摩擦減衰部材は、それぞれ、前記スリーブ部材と前記順方向慣性ブレーキディスク部材との間、前記スリーブ部材と前記逆方向慣性ブレーキディスク部材との間に配置されている、ことを特徴とする双方向慣性速度型制振器。
【請求項2】
2組の前記摩擦減衰部材は、いずれも外摩擦層と、
複数の内摩擦板とを含み、2組の前記外摩擦層は、前記スリーブ部材の内側壁に嵌着され、2組の各前記内摩擦板は、それぞれ、前記順方向慣性ブレーキディスク部材の側壁と前記逆方向慣性ブレーキディスク部材の側壁に配置され、2組の前記外摩擦層と2組の前記内摩擦板は、それぞれ摩擦対を構成する、ことを特徴とする請求項1に記載の双方向慣性速度型制振器。
【請求項3】
2組の前記摩擦減衰部材は、いずれも
複数の質量ブロックと、
複数の弾力組立体とをさらに含み、2組の各前記内摩擦板は、それぞれ、2組の各前記質量ブロックの外側に配置され、2組の各前記弾力組立体の一端は、それぞれ、2組の各前記質量ブロックの内側に配置され、2組の各前記弾力組立体の他端は、それぞれ、前記順方向慣性ブレーキディスク部材の側壁と前記逆方向慣性ブレーキディスク部材の側壁に配置されている、ことを特徴とする請求項2に記載の双方向慣性速度型制振器。
【請求項4】
前記順方向慣性ブレーキディスク部材の側壁及び前記逆方向慣性ブレーキディスク部材の側壁には、いずれも凸縁が設けられ、2組の各前記弾力組立体の他端は、それぞれ、前記順方向慣性ブレーキディスク部材の凸縁の側壁と前記逆方向慣性ブレーキディスク部材の凸縁の側壁に配置されている、ことを特徴とする請求項3に記載の双方向慣性速度型制振器。
【請求項5】
前記一方向伝動部材は、ラチェット組立体と、伝動組立体とを含み、前記スクリュー部材、前記ラチェット組立体及び前記伝動組立体は、順次接続されている、ことを特徴とする請求項1に記載の双方向慣性速度型制振器。
【請求項6】
前記ラチェット組立体は、ラチェットとラチェット爪とを含み、前記ラチェット爪は、前記ラチェット内に内噛合接続されている、ことを特徴とする請求項5に記載の双方向慣性速度型制振器。
【請求項7】
前記伝動組立体は、歯車であり、前記ラチェットは、前記歯車内に内噛合接続され、前記順方向慣性ブレーキディスク部材と前記逆方向慣性ブレーキディスク部材は、それぞれ、各前記歯車に外噛合接続されている、ことを特徴とする請求項6に記載の双方向慣性速度型制振器。
【請求項8】
前記スクリュー部材は、ボールねじナットと、スクリューとを含み、前記ボールねじナットは、前記スクリューに嵌着され、前記ボールねじナットは、2組の前記一方向伝動部材に固定接続されている、ことを特徴とする請求項5に記載の双方向慣性速度型制振器。
【請求項9】
前記スクリューの一端は、前記スリーブ部材内に嵌着され、前記スクリューの他端には、第一のイヤリングが設けられ、前記スリーブ部材の一端には、前記スクリューを収容可能な孔が設けられ、前記スリーブ部材の他端には、第二のイヤリングが設けられている、ことを特徴とする請求項8に記載の双方向慣性速度型制振器。
【請求項10】
前記スクリューの一端には、ストッパーブロックが設けられ、前記スリーブ部材内には、前記ストッパーブロックに係合するストッパー板が設けられている、ことを特徴とする請求項9に記載の双方向慣性速度型制振器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造的減衰技術分野に関し、特に双方向慣性速度型制振器に関する。
【背景技術】
【0002】
制振器は、構造の振動反応を効果的に軽減することができ、構造の耐震性能を大幅に向上させることができる。しかし、従来の制振器のエネルギー消耗は、高効率ではなく、エネルギー転化率が低く、強震入力の状況に対応できず、厳重の場合、制振器故障を招く可能性があり、従来の制振器は、すでに現代構造振動制御の性能要求を満たすことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、従来技術に存在する技術的課題の一つを少なくとも解決し、より良い耐震性能を発揮できる双方向慣性速度型制振器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第一の方面によれば、本発明の実施例は、双方向慣性速度型制振器を提供する。この双方向慣性速度型制振器は、スリーブ部材と、スクリュー部材と、2組の摩擦減衰部材と、順方向慣性ブレーキディスク部材と、逆方向慣性ブレーキディスク部材と、2組の一方向伝動部材とを備え、そのうち、スクリュー部材は、スリーブ部材内に配置され、スクリュー部材とスリーブ部材は、相対的直線運動が発生することができ、2組の一方向伝動部材は、スクリュー部材に間隔で配置され、順方向慣性ブレーキディスク部材と逆方向慣性ブレーキディスク部材は、それぞれ、各一方向伝動部材に嵌着され、2組の一方向伝動部材の伝動方向が互いに逆方向となり、スクリュー部材が一つの一方向伝動部材を駆動して同時回転すると、他方の一方向伝動部材がロックされ、そのうち、2組の摩擦減衰部材は、それぞれ、スリーブ部材と順方向慣性ブレーキディスク部材との間、スリーブ部材と逆方向慣性ブレーキディスク部材との間に配置されている。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、以下の有益な効果を有する。
この双方向慣性速度型制振器は、スクリュー部材を介して振動力の作用を感応し、スクリュー部材が順方向回転する時、一方向伝動部材を介して順方向慣性ブレーキディスク部材を駆動して順方向回転させるとともに、逆方向慣性ブレーキディスク部材をロックし、スクリュー部材が逆方向回転する時、一方向伝動部材を介して逆方向慣性ブレーキディスク部材を駆動して逆方向回転させるとともに、順方向慣性ブレーキディスク部材をロックする。直線の往復運動エネルギーを順方向慣性ブレーキディスク部材及び逆方向慣性ブレーキディスク部材の回転運動エネルギーに変換し、摩擦減衰部材を介して熱エネルギーに変換する。この発明は、外力作用下で、制振器が往復運動する時、スクリュー部材の回転方向の変化による応力集中と断裂問題を解決した。
【0006】
本発明の第一の方面実施例の双方向慣性速度型制振器によれば、2組の摩擦減衰部材は、いずれも外摩擦層と、若干の内摩擦板とを含み、2組の外摩擦層は、スリーブ部材の内側壁に嵌着され、2組の各内摩擦板は、それぞれ、順方向慣性ブレーキディスク部材の側壁と逆方向慣性ブレーキディスク部材の側壁に配置され、2組の外摩擦層と2組の内摩擦板は、それぞれ摩擦対を構成する。
【0007】
本発明の第一の方面実施例の双方向慣性速度型制振器によれば、2組の摩擦減衰部材は、いずれも若干の質量ブロックと、若干の弾力組立体とをさらに含み、2組の各内摩擦板は、それぞれ、2組の各質量ブロックの外側に配置され、2組の各弾力組立体の一端は、それぞれ、2組の各質量ブロックの内側に配置され、2組の各弾力組立体の他端は、それぞれ、順方向慣性ブレーキディスク部材の側壁と逆方向慣性ブレーキディスク部材の側壁に配置されている。
【0008】
本発明の第一の方面実施例の双方向慣性速度型制振器によれば、順方向慣性ブレーキディスク部材の側壁及び逆方向慣性ブレーキディスク部材の側壁には、いずれも凸縁が設けられ、2組の各弾力組立体の他端は、それぞれ、順方向慣性ブレーキディスク部材の凸縁の側壁と逆方向慣性ブレーキディスク部材の凸縁の側壁に配置されている。
【0009】
本発明の第一の方面実施例の双方向慣性速度型制振器によれば、一方向伝動部材は、ラチェット組立体と、伝動組立体とを含み、スクリュー部材、ラチェット組立体及び伝動組立体は、順次接続されている。
【0010】
本発明の第一の方面実施例の双方向慣性速度型制振器によれば、ラチェット組立体は、ラチェットとラチェット爪とを含み、ラチェット爪は、ラチェット内に内噛合接続されている。
【0011】
本発明の第一の方面実施例の双方向慣性速度型制振器によれば、伝動組立体は、歯車であり、ラチェットは、歯車内に内噛合接続され、順方向慣性ブレーキディスク部材と逆方向慣性ブレーキディスク部材は、それぞれ、各歯車に外噛合接続されている。
【0012】
本発明の第一の方面実施例の双方向慣性速度型制振器によれば、スクリュー部材は、ボールねじナットと、スクリューとを含み、ボールねじナットは、スクリューに嵌着され、ボールねじナットは、2組の一方向伝動部材に固定接続されている。
【0013】
本発明の第一の方面実施例の双方向慣性速度型制振器によれば、スクリューの一端は、スリーブ部材内に嵌着され、スクリューの他端には、第一のイヤリングが設けられ、スリーブ部材の一端には、スクリューを収容可能な孔が設けられ、スリーブ部材の他端には、第二のイヤリングが設けられている。
【0014】
本発明の第一の方面実施例の双方向慣性速度型制振器によれば、スクリューの一端には、ストッパーブロックが設けられ、スリーブ部材内には、ストッパーブロックに係合するストッパー板が設けられている。
【0015】
本発明の実施例における技術案をより明瞭に説明するために、以下は、実施例の記述において使用される必要がある添付図面を簡単に紹介する。明らかなように、以下の記述における添付図面は、ただ本発明の一部の実施例に過ぎず、全部の実施例ではなく、当業者にとって、創造的な労力を払わない前提で、それらの添付図面に基づき、他の技術案及び添付図面も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【発明を実施するための形態】
【0017】
本部分は、本発明の具体的な実施例を詳細に説明する。本発明の好適な実施例が図面に示され、図面の作用は、本発明の各技術的特徴及び全体的な技術案を直感的かつ具体的に理解できるように、明細書の文字記述部分の説明を図形で補充することであるが、本発明の保護範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0018】
本発明の説明において、理解すべきことは、方位説明に関する用語、例えば、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」などのような用語により示される方位又は位置関係は、図面に示される方位又は位置関係に基づくものであり、本発明の説明の便利化及び説明の簡単化のためのものに過ぎず、示される装置又は要素が特定の方位を有したり、特定の方位で構成又は操作されたりすることを指示又は示唆するものではなく、このため、本発明を限定するものものとして解釈されるべきではない。
【0019】
本発明の説明において、理解すべきことは、若干の意味は一つ又は複数であり、複数の意味は、二つ以上であり、「よりも大きい」、「よりも小さい」、「超える」などはその数を含まなく、以上、以下、以内などはその数を含む。「第一の」、「第二の」という用語は、技術的な特徴を区別するためのものであり、相対的な重要性を指示する又は示唆するか、又は、指示された技術的な特徴の数を特定するか、又は指示された技術的な特徴の前後関係を特定するものとして解釈されるべきではない。
【0020】
本発明の説明において、明確に限定しない限り、「配置」、「取付」、「接続」などの用語は、広義で理解すべきであり、当業者であれば、技術案の具体的な内容に応じて上記用語の本発明における具体的な意味を理解し得る。
【0021】
図1~
図2を参照して、双方向慣性速度型制振器であって、スリーブ部材10と、スクリュー部材と、2組の摩擦減衰部材と、順方向慣性ブレーキディスク部材401と、逆方向慣性ブレーキディスク部材402と、2組の一方向伝動部材とを備え、そのうち、スクリュー部材は、スリーブ部材10内に配置され、スクリュー部材とスリーブ部材10は、相対的直線運動が発生することができ、2組の一方向伝動部材は、スクリュー部材に間隔で配置され、順方向慣性ブレーキディスク部材401と逆方向慣性ブレーキディスク部材402は、それぞれ、各一方向伝動部材に嵌着され、2組の一方向伝動部材の伝動方向が互いに逆方向となり、スクリュー部材が一つの一方向伝動部材を駆動して同時回転すると、他方の一方向伝動部材がロックされ、そのうち、2組の摩擦減衰部材は、それぞれ、スリーブ部材10と順方向慣性ブレーキディスク部材401との間、スリーブ部材10と逆方向慣性ブレーキディスク部材402との間に配置されている。この双方向慣性速度型制振器は、スクリュー部材を介して振動力の作用を感応し、スクリュー部材が順方向回転する時、一方向伝動部材を介して順方向慣性ブレーキディスク部材401を駆動して順方向回転させるとともに、逆方向慣性ブレーキディスク部材402をロックし、スクリュー部材が逆方向回転する時、一方向伝動部材を介して逆方向慣性ブレーキディスク部材402を駆動して逆方向回転させるとともに、順方向慣性ブレーキディスク部材401をロックする。直線の往復運動エネルギーを順方向慣性ブレーキディスク部材401及び逆方向慣性ブレーキディスク部材402の回転運動エネルギーに変換し、摩擦減衰部材を介して熱エネルギーに変換する。この発明は、外力作用下で、制振器が往復運動する時、スクリュー部材の回転方向の変化による応力集中と断裂問題を解決した。
【0022】
本実施例では、スリーブ部材10は、回転体構造であり、具体的には、「T」字形のスリーブ構造であり、スクリュー部材、順方向慣性ブレーキディスク部材401及び逆方向慣性ブレーキディスク部材402の同時収容を容易にし、順方向慣性ブレーキディスク部材401及び逆方向慣性ブレーキディスク部材402は、円盤状構造であり、スクリュー部材の中心線は、スリーブ部材10の中心線と重なっており、スクリュー部材とスリーブ部材10は、相対的直線運動が発生する。
【0023】
本実施例では、2組の摩擦減衰部材は、いずれも外摩擦層301と、若干の内摩擦板302とを含み、2組の外摩擦層301は、スリーブ部材10の内側壁に嵌着され、2組の各内摩擦板302は、それぞれ、順方向慣性ブレーキディスク部材401の側壁と逆方向慣性ブレーキディスク部材402の側壁に配置され、具体的には、2組の各内摩擦板302は、それぞれ、順方向慣性ブレーキディスク部材401の円心と逆方向慣性ブレーキディスク部材402の円心とを中心として円周アレイ状に配置され、2組の外摩擦層301及び2組の内摩擦板302は、それぞれ摩擦対を構成する。二つの種類の実施例に分けることができ、第一の実施例では、スクリュー部材が順方向回転し、この時、順方向慣性ブレーキディスク部材401に接続された一方向伝動部材は同時回転し、順方向慣性ブレーキディスク部材401を回転させ、順方向慣性ブレーキディスク部材401上の内摩擦板302と外摩擦層301は、摩擦エネルギー消耗が発生し、逆方向慣性ブレーキディスク部材402に接続された一方向伝動部材はロックし、この時、逆方向慣性ブレーキディスク部材402が回転しなくなり、逆方向慣性ブレーキディスク部材402上の内摩擦板302と外摩擦層301は、摩擦エネルギー消耗が発生しない。第二の実施例では、スクリュー部材が逆方向回転し、この時、逆方向慣性ブレーキディスク部材402に接続された一方向伝動部材は同時回転し、逆方向慣性ブレーキディスク部材402を回転させ、逆方向慣性ブレーキディスク部材402上の内摩擦板302と外摩擦層301は、摩擦エネルギー消耗が発生し、順方向慣性ブレーキディスク部材401に接続された一方向伝動部材はロックし、この時、順方向慣性ブレーキディスク部材401が回転しなくなり、順方向慣性ブレーキディスク部材401上の内摩擦板302と外摩擦層301は、摩擦エネルギー消耗が発生しない。順方向慣性ブレーキディスク部材401と逆方向慣性ブレーキディスク部材402とを間隔で配置することにより、応力集中と断裂問題を回避することができ、摩擦エネルギー消耗を安定かつ確実に発生させることができる。
【0024】
本実施例では、2組の摩擦減衰部材は、いずれも若干の質量ブロック303と、若干の弾力組立体304とをさらに含み、一つの質量ブロック303は、一つの内摩擦板302と一つの弾力組立体304とに対応し、2組の各内摩擦板302は、それぞれ、2組の各質量ブロック303の外側に配置され、2組の各弾力組立体304の一端は、それぞれ、2組の各質量ブロック303の内側に配置され、2組の各弾力組立体304の他端は、それぞれ、順方向慣性ブレーキディスク部材401の側壁と逆方向慣性ブレーキディスク部材402の側壁に配置され、弾力組立体304は質量ブロック303に接続されると、遠心力の作用下で、弾力組立体304は伸長の傾向があり、質量ブロック303上の内摩擦板302と外摩擦層301との間の圧力が大きくなり、それに伴って摩擦力が大きくなり、より良いエネルギー消耗効果を実現することができる。好ましくは、弾力組立体304はバネであり、弾力組立体304はスクリュー部材の半径方向に沿って延在して配置され、質量ブロック303は一定の質量を有するブロックである。
【0025】
好ましくは、順方向慣性ブレーキディスク部材401の側壁及び逆方向慣性ブレーキディスク部材402の側壁には、いずれも凸縁が設けられ、2組の各弾力組立体304の他端は、それぞれ、順方向慣性ブレーキディスク部材401の凸縁の側壁と逆方向慣性ブレーキディスク部材402の凸縁の側壁に配置され、凸縁が設けられることにより、順方向慣性ブレーキディスク部材401の側壁面積及び逆方向慣性ブレーキディスク部材402の側壁面積を増大させ、弾力組立体304の取付を容易にする。
【0026】
本実施例では、一方向伝動部材は、ラチェット組立体と、伝動組立体405とを含み、スクリュー部材、ラチェット組立体及び伝動組立体405は、順次接続されている。ラチェット組立体は、ラチェット403とラチェット爪404とを含み、ラチェット爪404は、ラチェット403内に内噛合接続され、内部構造を最適化することができる。伝動組立体405は、歯車であり、ラチェット403は、歯車内に内噛合接続され、順方向慣性ブレーキディスク部材401と逆方向慣性ブレーキディスク部材402は、それぞれ、各歯車に外噛合接続され、伝動構造の配置が合理的で、科学的であることを保証する。
【0027】
本実施例では、スクリュー部材は、ボールねじナット22と、スクリュー21とを含み、ボールねじナット22は、スクリュー21に嵌着され、ボールねじナット22は、2組の一方向伝動部材に固定接続され、ボールねじナット22とスリーブ部材10との間には、軸受24が設けられている。スクリュー21の一端は、スリーブ部材10内に嵌着され、スクリュー21の他端には、第一のイヤリング23が設けられ、スリーブ部材10の一端には、スクリュー21を収容可能な孔が設けられ、スリーブ部材10の他端には、構造に接続され、取付及び位置決めを保証するための第二のイヤリング12が設けられている。スクリュー21の一端には、ストッパーブロック211が設けられ、スリーブ部材10内には、ストッパーブロックに係合するストッパー板11が設けられ、スクリュー21の移動ストロークを制限し、この双方向慣性速度型制振器の故障を回避する。
【0028】
この双方向慣性速度型制振器は、ボールねじナット22に2組の一方向伝動部材を間隔で配置することにより、2組の一方向伝動部材は、それぞれ、順方向慣性ブレーキディスク部材401と逆方向慣性ブレーキディスク部材402に接続され、順方向慣性ブレーキディスク部材401は順方向回転又はロックしかできなく、逆方向慣性ブレーキディスク部材402は逆方向回転又はロックしかできなく、スクリュー21を用いて外部の振動力の作用を感応して、スリーブ部材10と相対的直線運動が発生し、この時、スクリュー21は、順方向回転の第一の動作状態と逆方向回転の第二の動作状態があり、スクリュー21が順方向回転する時、順方向慣性ブレーキディスク部材401は一方向伝動部材の駆動を受けて同時回転し、摩擦減衰部材と摩擦対を構成することによって摩擦エネルギー消耗を実現し、この時、逆方向慣性ブレーキディスク部材402は一方向伝動部材の作用を受けてロックされ、スクリュー21が逆方向回転する時、逆方向慣性ブレーキディスク部材402は一方向伝動部材の駆動を受けて同時回転し、摩擦減衰部材と摩擦対を構成することによって摩擦エネルギー消耗を実現し、この時、順方向慣性ブレーキディスク部材401は一方向伝動部材の作用を受けてロックされる。それにより、外力作用下で、ボールねじナット22の回転方向が変化する時、応力集中が生じないことを保証し、断裂問題を回避した。
【0029】
以上は、図面を結び付けながら、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明は、上記実施例に限定されるものではない。本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者は、本発明の趣旨を逸脱することなく、本発明に対する様々な変形例を作り出すことができる。
【要約】 (修正有)
【課題】より良い耐震性能を発揮できる双方向慣性速度型制振器を提供する。
【解決手段】双方向慣性速度型制振器は、スクリュー部材には、2組の一方向伝動部材が間隔で設けられ、一方向伝動部材は、順方向慣性ブレーキディスク部材401と逆方向慣性ブレーキディスク部材402に接続され、スクリュー部材を介して振動力の作用を感応し、スクリュー部材が順方向回転する時、一方向伝動部材を介して順方向慣性ブレーキディスク部材を駆動して順方向回転させ、逆は、逆方向慣性ブレーキディスク部材を駆動して逆方向回転させる。制振器の直線往復運動を順方向慣性ブレーキディスク部材と逆方向慣性ブレーキディスク部材の双方向加速運動に変換し、慣性ブレーキディスク部材端部の摩擦減衰部材を介して熱エネルギーに変換する。
【選択図】
図1