(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理装置、方法、およびシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/38 20120101AFI20220426BHJP
【FI】
G06Q20/38 310
(21)【出願番号】P 2021211769
(22)【出願日】2021-12-27
【審査請求日】2022-02-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521567871
【氏名又は名称】株式会社PLUSIDEA
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】小池 隆太
【審査官】宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2021/0035246(US,A1)
【文献】中国特許第113193965(CN,B)
【文献】中国特許出願公開第113535826(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104915605(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶装置を備えるコンピュータを、
第1視覚的コンテンツを作成する手段、
前記第1視覚的コンテンツを外部装置へ送信する手段、
前記第1視覚的コンテンツの送信後に、当該第1視覚的コンテンツと同一の視覚情報を表現するデータが前記記憶装置に残ることを阻止する手段、
前記第1視覚的コンテンツの持ち主であることを証明する第1トークンの発行、またはトークンの売買が可能なプラットフォームへの当該第1トークンの出品を前記外部装置に要求する手段、
として機能させるプログラム。
【請求項2】
前記阻止する手段は、前記第1視覚的コンテンツを前記記憶装置から削除する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記コンピュータを、前記プラットフォームの指定を受け付ける手段としてさらに機能させ、
前記第1トークンの発行または出品を要求する手段は、指定されたプラットフォームを特定可能な情報を含む、当該第1トークンの出品要求を前記外部装置へ送信する、
請求項1または請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記第1視覚的コンテンツは、特定の被写体を撮影した画像または動画であって、
前記第1トークンの発行または出品を要求する手段は、前記特定の被写体に関する権限を示す情報を含む要求を前記外部装置へ送信する、
請求項1~請求項3のいずれかに記載のプログラム。
【請求項5】
ユーザによって作成された第1視覚的コンテンツを取得する手段と、
前記第1視覚的コンテンツを記憶装置に保存する手段と、
前記第1視覚的コンテンツの持ち主であることを証明する第1トークンの発行、またはトークンの売買が可能なプラットフォームへの当該第1トークンの出品の要求を取得する手段と、
前記第1トークンの発行、または前記第1トークンの出品の要求の取得に応じて、当該第1トークンを発行または出品する手段と、
前記第1トークンの発行または出品後に、前記第1視覚的コンテンツと同一の視覚情報を表現するデータが前記記憶装置に残ることを阻止する手段と
を具備する情報処理装置。
【請求項6】
前記阻止する手段は、前記第1トークンの発行または出品後に、前記第1視覚的コンテンツを前記記憶装置から削除する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
ユーザ端末から前記第1視覚的コンテンツの閲覧の要求を取得する手段と、
前記第1視覚的コンテンツを加工することで生成された第2視覚的コンテンツを、前記閲覧の要求に応じて前記ユーザ端末へ送信する手段と
をさらに具備する、請求項5または請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記第2視覚的コンテンツは、前記第1視覚的コンテンツに付加的画像を合成することで生成される、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記付加的画像を合成する位置を、前記第1視覚的コンテンツの被写体に応じて決定する手段をさらに具備する、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記第1トークンの出品の要求は、前記ユーザによって指定されたプラットフォームを示す情報を含み、
前記第1トークンを発行または出品する手段は、前記第1トークンの出品の要求に応じて、前記ユーザによって指定されたプラットフォームに前記第1トークンを出品する、
請求項5~請求項9のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記第1視覚的コンテンツは、特定の被写体を撮影した画像または動画であって、
前記第1トークンの発行または出品の要求は、前記特定の被写体に関する権限を示す情報を含み、
前記第1トークンを発行または出品する手段は、前記特定の被写体に関する権限を示す情報が適正であることが確認されない限り前記第1トークンを発行または出品しない、
請求項5~請求項10のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記第1視覚的コンテンツは、特定の被写体を撮影した画像または動画であって、
前記第1トークンの発行または出品の要求は、前記特定の被写体に関する権限を示す情報を含み、
前記第1トークンを発行または出品する手段は、前記特定の被写体に関する権限を示す情報によって特定される認証元が前記第1視覚的コンテンツを認証しない限り前記第1トークンを発行または出品しない、
請求項5~請求項10のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項13】
コンピュータが、
ユーザによって作成された第1視覚的コンテンツを取得するステップと、
前記第1視覚的コンテンツを記憶装置に保存するステップと、
前記第1視覚的コンテンツの持ち主であることを証明する第1トークンの発行、またはトークンの売買が可能なプラットフォームへの当該第1トークンの出品の要求を取得するステップと、
前記第1トークンの発行または出品の要求の取得に応じて、当該第1トークンを発行または出品するステップと、
前記第1トークンの発行または出品後に、前記第1視覚的コンテンツと同一の視覚情報を表現するデータが前記記憶装置に残ることを阻止するステップと
を具備する方法。
【請求項14】
コンピュータを、
ユーザによって作成された第1視覚的コンテンツを取得する手段、
前記第1視覚的コンテンツを記憶装置に保存する手段、
前記第1視覚的コンテンツの持ち主であることを証明する第1トークンの発行、またはトークンの売買が可能なプラットフォームへの当該第1トークンの出品の要求を取得する手段、
前記第1トークンの発行または出品の要求の取得に応じて、当該トークンを発行または出品する手段、
前記第1トークンの発行または出品後に、前記第1視覚的コンテンツと同一の視覚情報を表現するデータが前記記憶装置に残ることを阻止する手段
として機能させるプログラム。
【請求項15】
ユーザ端末と、サーバとを具備し、
前記ユーザ端末は、
第1記憶装置と、
第1視覚的コンテンツを作成する手段と、
前記第1視覚的コンテンツを前記サーバへ送信する手段と、
前記第1視覚的コンテンツの送信後に、当該第1視覚的コンテンツと同一の視覚情報を表現するデータが前記第1記憶装置に残ることを阻止する手段と、
前記第1視覚的コンテンツの持ち主であることを証明する第1トークンの発行、またはトークンの売買が可能なプラットフォームへの当該第1トークンの出品を前記サーバに要求する手段とを備え、
前記サーバは、
前記第1視覚的コンテンツを取得する手段と、
前記第1視覚的コンテンツを第2記憶装置に保存する手段と、
前記第1トークンの発行または出品の要求を取得する手段と、
前記第1トークンの発行または出品の要求の取得に応じて、当該第1トークンを発行または出品する手段と、
前記第1トークンの発行または出品後に、前記第1視覚的コンテンツと同一の視覚情報を表現するデータが前記第2記憶装置に残ることを阻止する手段とを備える、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プログラム、情報処理装置、方法、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルデータに紐付けられるトークンをブロックチェーン上に記録することで、当該デジタルデータを非代替的な有体物のように取り扱うことを可能にする技術(NFT(Non-Fungible Token))が知られている。
【0003】
特許文献1には、NFTに関する開示はないが、ブロックチェーンに仮想落書きおよび地理的位置情報を保存することで、訪問場所画像に仮想落書きを付加した落書付加画像を訪問の証として表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
デジタルデータは容易に複製可能であるため、単にデジタルデータに紐付けられるトークンをブロックチェーン上に記録するだけでは、当該デジタルデータの希少性を十分に保証することはできない。つまり、容易に複製可能であるという性質により、デジタルデータの資産価値が過小評価されるおそれがある。
【0006】
本開示の目的は、トークンに紐づくデジタルデータの希少性を確保することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様のプログラムは、記憶装置を備えるコンピュータを、第1視覚的コンテンツを作成する手段、第1視覚的コンテンツを外部装置へ送信する手段、第1視覚的コンテンツの送信後に、当該第1視覚的コンテンツと同一の視覚情報を表現するデータが記憶装置に残ることを阻止する手段、第1視覚的コンテンツの持ち主であることを証明する第1トークンの発行、またはトークンの売買が可能なプラットフォームへの当該第1トークンの出品を外部装置に要求する手段、として機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態の情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態のユーザ端末の構成を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態のサーバの構成を示すブロック図である。
【
図4】本実施形態の分散型台帳システムの構成を示す図である。
【
図9】本実施形態の作品データベースのデータ構造を示す図である。
【
図10】本実施形態のトークンのデータ構造を示す図である。
【
図11】本実施形態の画像作成処理のフローチャートである。
【
図12】本実施形態のトークン発行処理のフローチャートである。
【
図13】本実施形態の情報処理において表示される画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0010】
以降の説明において、複数の同種の要素について共通の説明を述べる場合に、例えば「99」のような共通の符号を用いることがある。他方、これらの要素について個別に説明を述べる場合に、「99-1」、または「99-2」のように共通の符号に添え字を付した符号を用いることがある。
【0011】
(1)情報処理システムの構成
情報処理システムの構成について説明する。
図1は、本実施形態の情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、情報処理システム1は、ユーザ端末10と、サーバ30と、分散型台帳システム50とを備える。
ユーザ端末10、サーバ30、および分散型台帳システム50は、ネットワーク(例えば、インターネット又はイントラネット)NWを介して接続される。
【0013】
ユーザ端末10は、サーバ30にリクエストを送信する情報処理装置の一例である。ユーザ端末10は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、又は、パーソナルコンピュータである。
【0014】
サーバ30は、ユーザ端末10から送信されたリクエストに応じたレスポンスをユーザ端末10に提供する情報処理装置の一例である。サーバ30は、例えば、ウェブサーバである。
【0015】
分散型台帳システム50は、ユーザ端末10またはサーバ30からの要求に応じて、分散型台帳を管理する。
【0016】
(1-1)ユーザ端末の構成
ユーザ端末の構成について説明する。
図2は、本実施形態のユーザ端末の構成を示すブロック図である。
【0017】
図2に示すように、ユーザ端末10は、記憶装置11と、プロセッサ12と、入出力インタフェース13と、通信インタフェース14とを備える。ユーザ端末10は、ディスプレイ21およびカメラ22に接続される。
【0018】
記憶装置11は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置11は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0019】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OS(Operating System)のプログラム
・情報処理を実行するアプリケーション(例えば、ウェブブラウザ、または後述する対象アプリ)のプログラム
【0020】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理を実行することによって得られるデータ(つまり、情報処理の実行結果)
【0021】
プロセッサ12は、記憶装置11に記憶されたプログラムを起動することによって、ユーザ端末10の機能を実現するコンピュータである。プロセッサ12は、例えば、以下の少なくとも1つである。
・CPU(Central Processing Unit)
・GPU(Graphic Processing Unit)
・ASIC(Application Specific Integrated Circuit)
・FPGA(Field Programmable Array)
【0022】
入出力インタフェース13は、ユーザ端末10に接続される入力デバイスから情報(例えば、ユーザの指示)を取得し、かつ、ユーザ端末10に接続される出力デバイスに情報(例えば、画像信号)を出力するように構成される。
入力デバイスは、例えば、カメラ22、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、又は、それらの組合せである。
出力デバイスは、例えば、ディスプレイ21、スピーカ、又は、それらの組合せである。
【0023】
通信インタフェース14は、ユーザ端末10と外部装置(例えば、サーバ30または分散型台帳システム50)との間の通信を制御するように構成される。
【0024】
ディスプレイ21は、画像(静止画、または動画)を表示するように構成される。ディスプレイ21は、例えば、液晶ディスプレイ、または有機ELディスプレイである。
【0025】
カメラ22は、被写体を撮影し、画像(静止画、または動画)を生成するように構成される。
【0026】
(1-2)サーバの構成
サーバの構成について説明する。
図3は、本実施形態のサーバの構成を示すブロック図である。
【0027】
図3に示すように、サーバ30は、記憶装置31と、プロセッサ32と、入出力インタフェース33と、通信インタフェース34とを備える。
【0028】
記憶装置31は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置31は、例えば、ROM、RAM、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0029】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OSのプログラム
・情報処理を実行するアプリケーションのプログラム
【0030】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理の実行結果
【0031】
プロセッサ32は、記憶装置31に記憶されたプログラムを起動することによって、サーバ30の機能を実現するコンピュータである。プロセッサ32は、例えば、以下の少なくとも1つである。
・CPU
・GPU
・ASIC
・FPGA
【0032】
入出力インタフェース33は、サーバ30に接続される入力デバイスからユーザの指示を取得し、かつ、サーバ30に接続される出力デバイスに情報を出力するように構成される。
入力デバイスは、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、又は、それらの組合せである。
出力デバイスは、例えば、ディスプレイである。
【0033】
通信インタフェース34は、サーバ30と外部装置(例えば、ユーザ端末10、または分散型台帳システム50)との間の通信を制御するように構成される。
【0034】
(1-3)分散型台帳システムの構成
分散型台帳システムの構成について説明する。
図4は、本実施形態の分散型台帳システムの構成を示す図である。
【0035】
図4に示すように、分散型台帳システム50は、複数のノードコンピュータ55-1~55-4を備える。
【0036】
ノードコンピュータ55は、ネットワーク(
図1のネットワークNWを含み得る)を介して互いに接続される。本実施形態では、ネットワークは、公衆網、プライベートネットワーク、専用線、VPN(Virtual Private Network)、またはそれらの組み合わせを含み得る。ノードコンピュータ55は、ネットワークと、例えば、有線または無線により接続されている。ノードコンピュータ55は、ピア・ツー・ピア方式で互いに通信する。
【0037】
ノードコンピュータ55は、例えばブロックチェーン技術を用いて分散型台帳を管理する。
具体的には、いずれかのノードコンピュータ55は、記録すべきトークンの取引に関するデータを取得する。ノードコンピュータ55は、取得したデータを含むブロックを作成し、ブロックチェーンに追加する。ノードコンピュータ55は、追加したブロックの情報を他のノードコンピュータ55へ送信する。他のノードコンピュータ55は、受信したブロックの正しさを検証し、検証に成功すると、ブロックチェーンに当該ブロックを追加する。ノードコンピュータ55は、例えば、連結されるブロックの数(承認数)に従ってブロックチェーンを確定する。これにより、分散型台帳システム50を構成する複数のノードコンピュータ55に亘って、同一の分散型台帳が保存されることになる。なお、保存されるデータは、適宜に暗号化される。
【0038】
分散型台帳システム50の構成は、
図4に示されるものに限定されない。例えば、分散型台帳システム50は、5台以上のノードコンピュータ55を備えていてもよいし、2台または3台のノードコンピュータ55を備えていてもよい。また、分散型台帳システム50を構成するノードコンピュータ55の数は、時間とともに変動してもよい。
【0039】
ノードコンピュータ55のハードウェア構成は、ユーザ端末10またはサーバ30と同一または類似であってよいので詳細な説明を省略する。一例として、ノードコンピュータ55は、プロセッサ、記憶装置、入出力インタフェース、通信インタフェース、入力デバイス、出力デバイス、またはそれらの組み合わせを備える。
【0040】
(2)実施形態の一態様
本実施形態の一態様について説明する。
図5は、本実施形態の一態様の説明図である。
図6は、本実施形態の一態様の説明図である。
図7は、本実施形態の一態様の説明図である。
図8は、本実施形態の一態様の説明図である。
【0041】
図5に示すように、ユーザUS1は、ユーザ端末10-1上で所定のアプリケーション(例えば、デジタル作品(画像)の作成、または管理用のアプリケーションであって、以下、「対象アプリ」という)が実行されている状態で、当該ユーザ端末10-1を操作して、カメラ22により被写体OBJ1を撮影する。これにより、ユーザ端末10-1は、被写体OBJ1の画像IM10(「視覚的コンテンツ」の一例)を生成し、当該画像IM10を一時的に記憶装置11に保存する。ここで、画像IM10は、静止画に限られず、動画であってもよい。ユーザ端末10-1は、生成した画像IM10をサーバ30へアップロードする。サーバ30は、アップロードされた画像IM10を記憶装置31に保存する。他方、ユーザ端末10-1は、画像IM10のアップロード後に、当該画像IM10を記憶装置11から削除する。つまり、画像IM10は、実質的にユーザUS1の手元には残らず、ユーザ端末10-1からサーバ30へ有体物のように移転される。これにより、画像IM10の作成者であるユーザUS1が、当該画像IM10を自由に複製することができないので、当該画像IM10の希少性が担保される。
【0042】
図6に示すように、ユーザUS1は、ユーザ端末10-1上で例えば対象アプリが実行されている状態で、当該ユーザ端末10-1を操作して、画像IM10の閲覧要求をサーバ30へ送信させる。サーバ30は、閲覧要求に応じて、画像IM10に対応する加工画像IM11をユーザ端末10-1へ送信する。ユーザ端末10-1は、加工画像IM11をディスプレイ21に表示する。加工画像IM11は、画像IM10に対して例えば透かし加工などの不可逆な加工を施した画像である。要するに、加工画像IM11は、画像IM10と類似の視覚情報を備える一方で、人間が相違を認識できる程度の視覚情報の差異も備える。故に、ユーザUS1は、加工画像IM11を閲覧することで画像IM10をトークン化(すなわち、画像IM10に紐付けられるトークンを発行)するか否かを判断できる。他方、例えばユーザ端末10-1のスクリーンショット機能を悪用したとしても、画像IM10の完全な複製データを得ることはできない。
【0043】
図7に示すように、ユーザUS1は、ユーザ端末10-1上で例えば対象アプリが実行されている状態で、当該ユーザ端末10-1を操作して、画像IM10に紐付けられるトークンの発行要求をサーバ30へ送信させる。サーバ30は、発行要求に応じて、画像IM10に紐付けられるトークンの発行を分散型台帳システム50に要求する。ここで、サーバ30は、ユーザUS1に対して手数料を徴収し、決済完了後にトークンの発行を行ってもよい。これにより、トークンの発行に伴うコストを確実に回収することができる。分散型台帳システム50が画像IM10に紐付けられたトークンの発行を完了すると、ユーザUS1はユーザ端末10-1を用いて当該トークンを獲得できる。他方、サーバ30は、トークンの発行後に、当該画像IM10を記憶装置31から削除する。これにより、画像IM10がトークンとは別にサーバ30上にも併存することによる当該画像IM10の価値の希薄化を防止することができる。画像IM10は、典型的には外部サーバ(例えば、NFT売買プラットフォームが提供するサーバ)に保存され、或いはトークンに埋め込まれる。いずれにせよ、画像IM10を閲覧するには、当該画像IM10に紐付けられたトークンに記載された情報が必要となる。これにより、画像IM10に紐付けられたトークンは、当該トークンの持ち主が、当該画像IM10の持ち主であることを証明する。
【0044】
トークン化された画像IM10の持ち主であるユーザUS1は、
図8に示すように当該画像IM10を流通させることができる。具体的には、ユーザUS1は、ユーザ端末10-1を操作して、自らの所望する画像IM10を他のユーザUS2に売却する。ユーザ端末10-1は、画像IM10の売却に応じて、当該画像IM10に紐付けられたトークンを当該画像IM10の買い手であるユーザUS2へ譲渡する。具体的には、ユーザ端末10-1は、ユーザUS1の所持するトークンのユーザUS2への譲渡を分散型台帳システム50に要求する。分散型台帳システム50がトークンの譲渡を完了すると、ユーザUS2はユーザ端末10-2を用いて当該トークンを獲得する。その後、ユーザUS2が、さらなる他のユーザに画像IM10を売却すること(つまり、二次流通)も可能である。
【0045】
また、トークンの流通に伴うロイヤリティの徴収条件が当該トークンに(例えば、後述する取引条件情報として)記載されている場合に、分散型台帳システム50は、トークンを譲渡するとともにロイヤリティを徴収し、徴収したロイヤリティを権利者RH1(例えば、被写体OBJ1のパブリシティ権を有する者、画像IM10の作成者であるユーザUS1、またはそれらの組み合わせ)に分配する。ロイヤリティは、画像IM10の買い手が支払う当該画像IM10の対価から徴収されてもよいし、かかる対価とは独立して当該画像IM10の売り手または買い手から徴収されてもよい。
【0046】
このように、情報処理システム1によれば、トークン化された画像IM10について、当該画像IM10の作成者であるユーザUS1が当該画像IM10の複製を制約されたことを担保できる。つまり、トークン化された画像IM10の希少性を確保し、当該画像IM10の価値が過小評価されるのを抑制することができる。
【0047】
(3)データ構造
データ構造について説明する。
【0048】
(3-1)作品データベース
本実施形態の作品データベースについて説明する。
図9は、本実施形態の作品データベースのデータ構造を示す図である。
【0049】
作品データベースは、記憶装置31に構築される。作品データベースには、画像基本情報が格納される。画像基本情報は、対象アプリのユーザによって作成された作品(つまり、画像)のメタ情報である。
図9に示すように、作品データベースは、「ユーザID」フィールドと、「画像ID」フィールドと、「保存先」フィールドと、「撮影日」フィールドと、「撮影場所」フィールドとを含む。各フィールドは、互いに関連付けられている。なお、作品データベースの各種フィールドは例示に過ぎない。例えば、「撮影場所」フィールドは設けられなくてもよい。
【0050】
「ユーザID」フィールドには、ユーザIDが格納される。ユーザIDは、画像基本情報に対応する画像の作成者に相当する、対象アプリのユーザを識別する情報である。
【0051】
「画像ID」フィールドには、画像IDが格納される。画像IDは、画像基本情報に対応する画像を識別する情報である。
【0052】
「保存先」フィールドには、保存先情報が格納される。保存先情報は、画像基本情報に対応する画像の保存先に関する情報である。保存先情報は、例えば、記憶装置31におけるアドレス情報、または画像を参照するためのURL(Uniform Resource Locator)であってもよい。
【0053】
「撮影日」フィールドには、撮影日情報が格納される。撮影日情報は、画像基本情報に対応する画像の撮影日に関する情報である。撮影日情報は、例えば、ユーザ端末10によって時刻情報に基づいて画像に付与される。
【0054】
「撮影場所」フィールドには、撮影場所情報が格納される。撮影場所情報は、画像基本情報に対応する画像の撮影場所に関する情報である。撮影場所情報は、例えば、ユーザ端末10によって位置情報(一例としてGPS(Global Positioning System)情報)に基づいて画像に付与される。
【0055】
(3-2)トークン
トークンのデータ構造について説明する。
図10は、本実施形態のトークンのデータ構造を示す図である。
【0056】
図10に示すように、トークンは、トークンIDと、所有者アドレス情報と、メタデータと、取引条件情報とを含む。
【0057】
トークンIDは、トークンを識別する情報である。トークンIDは、トークンの発行時に分散型台帳システム50によって記載される。
【0058】
所有者アドレス情報は、トークンの所有者のアドレスに関する情報である。一例として、所有者アドレス情報は、トークンの所有者のウォレットを示す情報である。所有者アドレス情報は、トークンの発行時、および譲渡時に、分散型台帳システム50によって更新される。
【0059】
メタデータは、トークンに紐づく画像(以下、「対象画像」という)の閲覧を可能にするための情報(例えば、対象画像を閲覧するためのURL、または対象画像に相当するデータ)を含む。メタデータは、トークンの発行時に分散型台帳システム50によって記載される。
【0060】
さらに、メタデータは、対象画像の詳細に関する情報を含むこともできる。対象画像の詳細に関する情報は、例えば、対象画像に対応する画像基本情報(
図9)の一部を含んでもよい。また、対象画像の詳細に関する情報の少なくとも一部は、例えば、対象画像の作成者であるユーザ、または対象画像の被写体に関する権利者(例えば被写体のパブリシティ権を有する者)の少なくとも1つによって決定されてもよい。一例として、対象画像の詳細に関する情報は、対象画像のタイトル、対象画像の撮影時のエピソード、被写体、撮影日、撮影場所、またはそれらの組み合わせに関する情報であってよい。
【0061】
取引条件情報は、対象画像の取引条件に関する情報である。一例として、取引条件情報は、対象画像の流通に伴うロイヤリティの徴収条件に関する情報(例えば、ロイヤリティの算定法、ロイヤリティの支払先、またはそれらの組み合わせに関する情報)を含むことができる。取引条件情報は、例えば対象画像の作成者、対象画像の被写体に関する権利者、何らかの規則(例えばトークンを売買するためのプラットフォームの規約)、またはそれらの組み合わせによって決定されてよい。取引条件情報は、トークンの発行時に分散型台帳システム50によって記載される。或いは、取引条件情報は、対象画像の転売先、転売時期、または転売価格の制約に関する情報であってもよい。
【0062】
(4)情報処理
本実施形態の情報処理について説明する。
【0063】
(4-1)画像作成処理
本実施形態の画像作成処理について説明する。
図11は、本実施形態の画像作成処理のフローチャートである。
【0064】
図11の画像作成処理は、例えばユーザ端末10上で対象アプリが実行されている時にユーザが所定の操作(例えば、撮影を開始する指示を受け付けるオブジェクトの選択)を行ったことに応じて開始する。
【0065】
図11に示すように、ユーザ端末10は、画像の作成(S110)を実行する。
具体的には、ユーザ端末10は、例えばカメラ22を起動して、被写体を撮影する。これにより、ユーザ端末10は、画像(静止画、または動画)を作成する。ユーザ端末10は、作成した画像を記憶装置11に一時的に保存する。
【0066】
ステップS110の後に、ユーザ端末10は、画像の送信(S111)を実行する。
具体的には、ユーザ端末10は、ステップS110において作成した画像をサーバ30へ送信(アップロード)する。
【0067】
ステップS111の後に、ユーザ端末10は、画像の削除(S112)を実行する。
具体的には、ユーザ端末10は、ステップS110において作成した画像を、記憶装置11から削除する。
【0068】
なお、対象アプリは、ステップS110からステップS112までの一連の処理の間、ユーザの操作を受け付けないように構成されてもよい。これにより、ユーザによる画像の複製をより確実に防止することができる。
【0069】
他方、ステップS111の後に、サーバ30は、画像の保存(S131)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS111において送信された画像を取得し、当該画像を記憶装置31に保存する。
【0070】
(4-1)トークン発行処理
本実施形態のトークン発行処理について説明する。
図12は、本実施形態のトークン発行処理のフローチャートである。
図13は、本実施形態の情報処理において表示される画面例を示す図である。
【0071】
図12のトークン発行処理は、例えばユーザ端末10上で対象アプリが実行されている時に、またはユーザ端末10が特定のSaaS(Software as a Service)の画面を表示している時に、ユーザが所定の操作を行ったことに応じて開始する。所定の操作は、例えば、ユーザが作成し、かつトークン未発行の画像(以下、「トークン未発行作品」という)を確認する指示を受け付けるオブジェクトの選択である。特定のSaaSは、例えば対象アプリを用いて作成されたトークン未発行作品を管理するためのサービスをユーザに提供する。
【0072】
図12に示すように、ユーザ端末10は、画像の閲覧要求(S210)を実行する。
具体的には、ユーザ端末10は、ユーザがトークン未発行作品のいずれかを対象とする閲覧要求を生成し、当該閲覧要求をサーバ30へ送信する。閲覧要求は、指定されたトークン未発行作品を特定可能な情報(例えば、画像ID)を含む。
【0073】
ステップS210の後に、サーバ30は、加工画像の取得(S230)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS210において送信された閲覧要求を取得し、閲覧の対象となるトークン未発行作品(画像)を特定する。サーバ30は、特定した画像に対応する加工画像を取得する。サーバ30は、特定した画像に基づいて加工画像を都度生成してもよいし、一度生成した加工画像を記憶装置31に保存して繰り返し再利用してもよい。ここで、加工画像は、加工前の画像(以下、「オリジナル画像」という)の一部または全体に対して以下の加工を施すことで生成され得る。
・付加的画像の合成
・モザイク化
・解像度の低下
・色の変更
・輝度の変更
・トリミング
・歪の付加
ここで、付加的画像は、例えば透かしのように透過性のある画像であってもよいし、スタンプのように透過性のない画像であってもよい。また、付加的画像の内容は、固定であってもよいし、可変であってもよい。可変の付加的画像の例として、撮影日、作成者、または閲覧日に関する情報を表す画像が採用可能である。
【0074】
ステップS230の後に、サーバ30は、加工画像の送信(S231)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS230において取得した加工画像をユーザ端末10へ送信する。
【0075】
ステップS231の後に、ユーザ端末10は、加工画像の表示(S211)を実行する。
具体的には、ユーザ端末10は、ステップS231において送信された加工画像をディスプレイ21に表示する。一例として、ユーザは、トークン未発行作品を管理するためのUI(User Interface)(以下、「作品管理UI」という)に当該作品に対応する加工画像を表示させることができる。作品管理UIは、ユーザ端末10のディスプレイ21に表示される。作品管理UIは、例えばユーザ端末10上で実行される対象アプリの画面であってもよいし、ユーザ端末10上で実行されるWebブラウザによって表示される特定のSaaSの画面であってもよい。
【0076】
図13の作品管理UIは、表示オブジェクトA10a~A10bと、操作オブジェクトB10a~B10dとを含む。
【0077】
表示オブジェクトA10aは、トークン未発行作品のうち選択中の1つ(以下、「選択作品」という)の加工画像IM12のプレビューを表示する。
図13の例では、加工画像IM12は、対応するオリジナル画像に、透かし画像IM12aを合成した画像に相当する。
【0078】
表示オブジェクトA10bは、選択作品の補足情報を表示する。補足情報は、作品データベースに登録されている選択作品の画像基本情報に基づいて生成されてよい。
【0079】
操作オブジェクトB10aは、選択作品に紐付けられるトークンを発行する指示を受け付ける。操作オブジェクトB10aが選択された場合に、ユーザ端末10は選択作品の発行条件または売却条件に関する情報の指定をさらに受け付けてもよい。
【0080】
発行条件に関する情報は、ユーザ自身にトークンを付与する場合、またはトークンの買い手に当該トークンを付与する場合のいずれにおいても指定され得る。発行条件に関する情報は、例えば、以下の少なくとも1つを含むことができる。
・トークンの発行先(例えば、作成者にトークンを発行するか、トークンの発行前に決定された作品の買い手にトークンを発行するか)
・トークンを発行するプラットフォーム
・トークンの取引条件(例えば、作成者向けのロイヤリティの徴収条件)
【0081】
売却条件に関する情報は、トークンの買い手に当該トークンを付与する場合に指定され得る。売却条件に関する情報は、例えば、以下の少なくとも1つを含むことができる。
・売却方法(例えば、トークンを売買するためのプラットフォーム)
・売却先(例えば、作品の買い手のウォレット情報)
・売却価格
【0082】
操作オブジェクトB10bは、トークン未発行作品の集合から選択作品を削除する指示を受け付ける。一例として、ユーザがサーバ30に登録可能なトークン未発行作品の数は有限に定められており、ユーザは不要なトークン未発行作品を削除することで、新たなトークン未発行作品をサーバ30に登録することが可能となる。
【0083】
操作オブジェクトB10cは、作品管理UIから所定の画面(例えば、ホーム画面)に戻る指示を受け付ける。操作オブジェクトB10cが選択された場合に、ユーザ端末10は所定の画面をディスプレイ21に表示させ、
図12のトークン発行処理を終了する。
【0084】
操作オブジェクトB10dは、選択作品を切り替える指示を受け付ける。操作オブジェクトB10dが選択された場合に、ユーザ端末10は、別のトークン未発行作品を新たな選択作品として扱う。これにより、ユーザ端末10は、例えばステップS210~ステップS211を再実行することで、表示オブジェクトA10a~A10bの内容を更新する。
【0085】
ステップS212の後に、ユーザ端末10は、トークンの発行要求(S212)を実行する。
具体的には、ユーザ端末10は、ディスプレイ21に
図13の作品管理UIを表示している状態で、ユーザがトークン未発行作品のいずれかに紐付けられるトークンの発行を指示する操作(例えば、
図13の操作オブジェクトB10aの選択)をユーザから受け付ける。ユーザ端末10は、トークンの発行要求を生成し、当該発行要求をサーバ30へ送信する。発行要求は、ユーザによって指定された作品(例えば前述の選択作品)を特定可能な情報(例えば画像ID)を含んでもよい。また、発行要求は、ユーザによって指定された発行条件、売却条件、またはそれらの組み合わせを特定可能な情報を含んでもよい。
【0086】
ステップS212の後に、サーバ30は、トークンの発行(S232)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS212において送信された発行要求を取得する。サーバ30は、ユーザによって指定された作品に紐付けられるトークンの発行を分散型台帳システム50に要求する。トークンを発行するプラットフォームがユーザによって指定されている場合に、サーバ30は、当該プラットフォームに対応する分散型台帳システム50にトークンの発行を要求する。
【0087】
サーバ30は、トークンに記載される所有者アドレス情報と、メタデータと、取引条件情報とを指定する。サーバ30は、ユーザによって指定されたトークンの発行条件、または所定の規則に従って、所有者アドレス情報を決定してもよい。サーバ30は、作品の被写体に関する権利者(作品の作成者であるユーザを含み得る)から取得した情報、画像基本情報、またはそれらの組み合わせに基づいて、メタデータを決定してもよい。サーバ30は、作品の被写体に関する権利者から取得した情報、所定の規則、またはそれらの組み合わせに基づいて、取引条件情報を決定してもよい。
【0088】
また、サーバ30は、ユーザによって指定された作品(画像)を外部サーバへ送信してもよい。外部サーバは、トークンに記載された情報(メタデータ)によって参照される画像の保存先に対応する。或いは、サーバ30は、画像をトークンに埋め込むために、当該画像を分散型台帳システム50へ送信してもよい。
【0089】
さらに、サーバ30は、トークンの発行(S232)を実行する前に、ユーザに対してトークンの発行手数料の徴収を行ってもよい。発行手数料の決済に失敗した場合に、サーバ30は、決済エラーをユーザ端末10に通知して、決済情報の再入力を促してもよい。
【0090】
ステップS232の後に、サーバ30は、画像の削除(S233)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS232において発行したトークンに紐づく画像を、記憶装置31から削除する。
【0091】
他方、ステップS232の後、ユーザ端末10は、トークンの獲得(S213)を実行する。
具体的には、ユーザ端末10は、ステップS232において発行されたトークンを獲得する。トークンは、対象アプリのユーザ向けに例えばイーサリアムのWeb3 APIまたは他の手段によって生成されたウォレットを用いて獲得されてもよいし、ユーザが所有する、対象アプリと関係のないウォレットを用いて獲得されてもよい。ただし、ユーザが指定した作品の買い手がトークン発行時に決まっている場合に、サーバ30は、ユーザの指示に従って当該買い手のウォレットにトークンを発行してもよい。この場合に、ステップS213は省略され得る。
【0092】
(5)小括
以上説明したように、本実施形態のユーザ端末10は、作成した画像をサーバ30へ送信し、当該画像の送信後に当該画像を記憶装置11から削除する。また、ユーザ端末10は、画像の持ち主であることを証明するトークンの発行をサーバ30に要求する。これにより、ユーザは、トークンに紐づく画像の複製を手元に残すことができないので、当該画像の希少性を確保することができる。
【0093】
本実施形態のサーバ30は、ユーザによって作成された画像を取得し、当該画像を記憶装置31に保存する。サーバ30は、画像の持ち主であることを証明するトークンの発行の要求の取得に応じて当該トークンを発行し、当該トークンの発行後に画像を記憶装置31から削除する。これにより、トークンの発行後に、当該トークンに紐付く画像の複製をサーバ30に残すことができないので、当該画像の希少性を確保することができる。
【0094】
サーバ30は、トークン未発行作品(画像)を加工することで生成された加工画像を、当該画像の閲覧の要求に応じてユーザ端末10へ送信してもよい。これにより、ユーザは、ユーザ端末10のスクリーンショット機能を用いたとしてもトークン未発行作品の完全な複製データを得ることはできないので、当該作品の希少性を確保することができる。サーバ30は、トークン未発行作品に付加的画像を合成することで加工画像を生成してもよい。これにより、トークン未発行作品と加工画像との差異、または加工画像がオリジナル画像でないことを観者に容易に認識させることができる。
【0095】
(6)変形例
記憶装置11は、ネットワークNWを介して、ユーザ端末10と接続されてもよい。ディスプレイ21またはカメラ22は、ユーザ端末10に予め備え付けられていてもよいし、外付けの周辺機器であってもよい。記憶装置31は、ネットワークNWを介して、サーバ30と接続されてもよい。
【0096】
上記説明では、各処理において各ステップを特定の順序で実行する例を示したが、各ステップの実行順序は、依存関係がない限りは説明した例に制限されない。また、上記の情報処理の各ステップは、ユーザ端末10及びサーバ30の何れでも実行可能である。
【0097】
上記説明では、作品の製作者(ユーザ)が、ユーザ端末10を用いてサーバ30にトークンの発行を要求する例を示した。しかしながら、ユーザは、トークンを売買可能なプラットフォームに、自らの作品に紐付けられるトークン(以下、「第1トークン」という)を出品することもできる。
この場合に、上記説明において、「発行」の用語は「出品」として適宜読み替え可能である。具体的には、ユーザ端末10は、第1トークンの発行をサーバ30に要求する代わりに、トークンの売買が可能なプラットフォームへの第1トークンの出品をサーバ30に要求してもよい。他方、サーバ30は、第1トークンの発行の要求の代わりに、第1トークンの出品の要求を取得し、当該要求の取得に応じて、第1トークンを出品してもよい。そして、サーバ30は、第1トークンの出品後に、当該第1トークンに紐づく作品(画像)を記憶装置31から削除する。
ユーザは、プラットフォームに第1トークンを出品する場合に、出品条件に関する情報を指定してもよい。出品条件に関する情報は、例えば、以下の少なくとも1つを含むことができる。
・トークンを出品するプラットフォーム
・トークンの売却希望価格
・トークンの出品期間
・トークンの取引条件(例えば、作成者向けのロイヤリティの徴収条件)
一例として、ユーザ端末10は、トークンを売買するためのプラットフォームの指定を受け付け、当該プラットフォームを特定可能な情報を含んだトークンの出品要求をサーバ30へ送信してもよい。これにより、ユーザは、所望のプラットフォームにトークンを出品することができる。他方、サーバ30は、ユーザによって指定されたプラットフォームを示す情報を含む、第1トークンの出品の要求に応じて、当該プラットフォームに当該第1トークンを出品してもよい。これにより、ユーザの所望のプラットフォームにトークンを出品することができる。
ここで、第1トークンを出品することとは、第1トークンに紐づく作品(画像)を、プラットフォームが提供するサーバへ送信することを意味し得る。この場合に、第1トークンは、買い手が決まった後に、プラットフォームによって発行され、当該買い手に付与されることになる。ただし、プラットフォームの仕様次第では、サーバ30は、第1トークンの買い手が決まる前に、当該プラットフォームによって指定されるウォレットに第1トークンを発行することもあり得る。
【0098】
特定の被写体に関する権利(例えばパブリシティ権)が存在する場合に、当該被写体(例えば著名人)の画像に紐付けられるトークンの発行または出品は権利者による許可を条件に行われてもよい。一例として、ユーザは、権利者から特定の被写体に関する権限(例えば、特定の被写体を撮影する権限、または特定の被写体の画像をトークン化する権限)を取得(例えば購入)する。そして、ユーザ端末10は、特定の被写体に関する権限を示す情報を含んだトークンの発行要求または出品要求をサーバ30へ送信してもよい。これにより、特定の被写体に関する権利を侵害することなく、当該被写体の画像に紐付けられるトークンを発行または出品することが可能となる。他方、サーバ30は、特定の被写体に関する権限を示す情報が適正であることが確認されない限り、当該被写体の画像に紐付けられるトークンを発行または出品しないように構成されてよい。これにより、特定の被写体に関する権利を侵害するようなトークンの発行または出品を未然に防止することができる。或いは、サーバ30は、特定の被写体に関する権限を示す情報によって特定される認証元(例えば、特定の被写体に関する権利を有する者、またはその委任を受けた者)が画像を認証しない限りトークンを発行または出品しないように構成されてよい。これにより、認証元が不適切と判断した画像(例えば、特定の被写体の名誉を損なう画像)に紐づくトークンの発行または出品を未然に防止することができる。ここで、認証元による画像の認証には、画像の希少性を確保する観点から、オリジナル画像ではなく加工画像を提供することが好ましい。
【0099】
上記説明では、サーバ30が、画像IM10に紐付けられたトークンの発行または出品後に、当該画像IM10を記憶装置31から削除する例を示した。しかしながら、トークンの発行または出品後にも、画像IM10がサーバ30の記憶装置31に保存されていてもよい。この場合に、サーバ30の記憶装置31に保存された画像IM10にアクセスするための情報(例えばURL)が、トークンのメタデータとして記載される。
【0100】
上記説明では、被写体を撮影することで画像(つまり、視覚的コンテンツ)を作成する例を示した。しかしながら、他の手段により画像を作成してもよい。一例として、ユーザ端末10は、ユーザの描画操作に応じて画像(例えば、デジタル絵画、またはデジタルコミック)を作成してもよい。
【0101】
上記説明では、画像をサーバ30へ送信した後に、当該画像を記憶装置11から削除する例を示した。しかしながら、ユーザ端末10は、他の方法により、送信した画像と同一の視覚情報を表現するデータが記憶装置11に残ることを阻止してもよい。一例として、ユーザ端末10は、画像をサーバ30へ送信した後に、当該画像に対応する加工画像によって当該画像を上書き保存してもよい。
【0102】
上記説明では、画像に紐付けられたトークンを発行または出品した後に、当該画像を記憶装置31から削除する例を示した。しかしながら、サーバ30は、他の方法により、トークンに紐づく画像と同一の視覚情報を表現するデータが記憶装置31に残ることを阻止してもよい。一例として、サーバ30は、画像に紐付けられたトークンを発行または出品した後に、当該画像に対応する加工画像によって当該画像を上書き保存してもよい。
【0103】
上記説明では、オリジナル画像に付加的画像を合成することで加工画像を生成する例を示した。ここで、サーバ30は、オリジナル画像の被写体に応じて、付加的画像を合成する位置を決定してもよい。一例として、サーバ30は、特定の被写体(例えば人物)を避けるように合成位置を決定してもよいし、特定の被写体の特定の領域(例えば顔領域)を避けるように合成位置を決定してもよい。これにより、付加的画像の合成がユーザによるトークンを発行または出品する画像の選別、または購入希望者によるトークンに紐づく画像の評価に及ぼす悪影響を抑制しつつ、当該画像の希少性を確保することができる。
【0104】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。また、上記の実施形態及び変形例は、組合せ可能である。
【符号の説明】
【0105】
1 :情報処理システム
10 :ユーザ端末
11 :記憶装置
12 :プロセッサ
13 :入出力インタフェース
14 :通信インタフェース
21 :ディスプレイ
22 :カメラ
30 :サーバ
31 :記憶装置
32 :プロセッサ
33 :入出力インタフェース
34 :通信インタフェース
50 :分散型台帳システム
55 :ノードコンピュータ
【要約】 (修正有)
【課題】トークンに紐づくデジタルデータの希少性を確保するプログラム、情報処理装置、方法及びシステムを提供する。
【解決手段】ユーザ端末、サーバ及び分散型台帳システムが、ネットワークを介して接続される情報処理システムにおいて、ユーザ端末は、記憶装置を備えるコンピュータを、第1視覚的コンテンツを作成する手段と、第1視覚的コンテンツを外部装置へ送信する手段、第1視覚的コンテンツの送信後に、当該第1視覚的コンテンツと同一の視覚情報を表現するデータが記憶装置に残ることを阻止する手段と、第1視覚的コンテンツの持ち主であることを証明する第1トークンの発行又はトークンの売買が可能なプラットフォームへの当該第1トークンの出品を外部装置(例えば、サーバ又は分散型台帳システム)に要求する手段と、を実行する。
【選択図】
図12