(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】イメージセンサー及びこれを備える電子装置
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20220426BHJP
H01L 27/14 20060101ALI20220426BHJP
H04N 5/369 20110101ALI20220426BHJP
【FI】
H01L27/14 E
H01L27/14 A
H01L27/14 D
H04N5/335 690
(21)【出願番号】P 2016124205
(22)【出願日】2016-06-23
【審査請求日】2019-03-19
【審判番号】
【審判請求日】2021-03-24
(31)【優先権主張番号】10-2015-0089544
(32)【優先日】2015-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】朴 敬 培
(72)【発明者】
【氏名】陳 勇 完
(72)【発明者】
【氏名】韓 文 奎
【合議体】
【審判長】恩田 春香
【審判官】河本 充雄
【審判官】▲吉▼澤 雅博
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-218787(JP,A)
【文献】特開2010-123779(JP,A)
【文献】特開2011-253861(JP,A)
【文献】特開2008-294218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H01L 27/14
H04N 5/369
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素からなる単位画素群が行及び列に沿って繰り返し配列され、
前記単位画素群は、可視光線波長領域の光を感知する少なくとも一つの第1の画素と、
赤外線波長領域の光を感知する第2の画素と、を備え、
前記第2の画素は、前記第1の画素と分離されており、
前記第2の画素は、前記第2の画素内に区画された第1の光電素子を備え、
前記第1の光電素子は、前記第2の画素内に区画されており開口部を有しない第1の電極及び前記第1の電極と対向する第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に配設されて赤外線領域の光を選択的に吸収する赤外光吸収層と、を備え、
前記第1の電極及び前記第2の電極は、それぞれ透光電極または半透光電極であり、
前記赤外光吸収層は、前記第2の画素における前記第1の電極と前記第2の電極との間に配設されて前記第1の光電素子を形成する光電変換領域と、
前記第1の電極と重畳せず、前記第1の画素と重畳するように配設される非光電変換領域と、を備え、
前記第1の光電素子の一方の面に配設された第2の光電素子を更に備え、
前記第2の光電素子は、対向する第3の電極及び第4の電極と、
前記第3の電極と前記第4の電極との間に配設され、500nm~580nmで最大の吸収波長(λmax)を有する第1の可視光を選択的に吸収する有機光電変換層と、を備え、
前記第1の光電素子は、前記第2の光電素子よりも光が入射する側の近くに配置されていることを特徴とするイメージセンサー。
【請求項2】
前記第1の画素は、可視光線波長領域のうちの互いに異なる波長領域の光を感知する第4の画素及び第5の画素を含み、
前記第4の画素は、400nm以上500nm未満で最大の吸収波長(λmax)を有する第2の可視光を選択的に感知する第2の光感知素子を備え、
前記第5の画素は、580nm超700nm以下で最大の吸収波長(λmax)を有する第3の可視光を選択的に感知する第3の光感知素子を備えることを特徴とする
請求項1に記載のイメージセンサー。
【請求項3】
前記第2の光電素子は、前記第2の光感知素子及び第3の光感知素子よりも光が入射する側の近くに配置されていることを特徴とする
請求項2に記載のイメージセンサー。
【請求項4】
前記第1の画素は、前記第2の光感知素子と重なり合って前記第2の可視光を選択的に透過させる第2のカラーフィルター、及び前記第3の光感知素子と重なり合って前記第3の可視光を選択的に透過させる第3のカラーフィルターを備え、
前記第2の画素は、カラーフィルターを備えないことを特徴とする
請求項2に記載のイメージセンサー。
【請求項5】
前記第2の光感知素子及び前記第3の光感知素子は、シリコン基板内に集積されていることを特徴とする
請求項2に記載のイメージセンサー。
【請求項6】
前記第2の光感知素子及び前記第3の光感知素子は、水平方向に離れて配置されていることを特徴とする
請求項5に記載のイメージセンサー。
【請求項7】
前記第2の光感知素子及び前記第3の光感知素子は、垂直方向に離れて配置されていることを特徴とする
請求項5に記載のイメージセンサー。
【請求項8】
前記第2の光電素子の一方の面に配設された第3の光電素子及び第4の光電素子を更に備え、
前記第3の光電素子は、対向する第5の電極及び第6の電極と、
前記第5の電極と前記第6の電極との間に配設され、400nm以上500nm未満で最大の吸収波長(λmax)を有する第2の可視光を選択的に吸収する有機光電変換層と、を備え、
前記第4の光電素子は、対向する第7電極及び第8電極と、
前記第7電極と前記第8電極との間に配設され、580nm超700nm以下で最大の吸収波長(λmax)を有する第3の可視光を選択的に吸収する有機光電変換層と、を備え、
前記第2~第4の光電素子は、垂直方向に積層されていることを特徴とする
請求項1に記載のイメージセンサー。
【請求項9】
前記第1の画素及び前記第2の画素は、カラーフィルターを備えないことを特徴とする
請求項8に記載のイメージセンサー。
【請求項10】
前記第2~第4の光電素子は、前記第1の光電素子の下部に配設されていることを特徴とする
請求項8に記載のイメージセンサー。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載のイメージセンサーを備えることを特徴とする電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージセンサー及びこれを備える電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ及びカムコーダー(一体型ビデオカメラ)などには、映像を撮影して電気的な信号として保存する撮像素子が用いられ、撮像素子は、入射する光を波長に応じて分解してそれぞれの成分を電気的な信号に変換するイメージセンサーを備える。
【0003】
イメージセンサーは、益々小型化及び高解像度化が求められており、最近では、室内環境や夜間のように低照度環境下でイメージの感度及び輝度を改善する要求が高まりつつある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、低照度環境においても高感度特性及び高輝度特性を発揮するイメージセンサーを提供することにある。
また、本発明の目的は、このイメージセンサーを備える電子装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
また、上記目的を達成するためになされた本発明の一態様によるイメージセンサーは、複数の画素からなる単位画素群が行及び列に沿って繰り返し配列され、前記単位画素群は、可視光線波長領域の光を感知する少なくとも一つの第1の画素と、赤外線波長領域の光を感知する第2の画素と、を備え、前記第2の画素は、前記第1の画素と分離されており、前記第2の画素は、前記第2の画素内に区画された第1の光電素子を備え、前記第1の光電素子は、前記第2の画素内に区画されており開口部を有しない第1の電極及び前記第1の電極と対向する第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配設されて赤外線領域の光を選択的に吸収する赤外光吸収層と、を備え、前記第1の電極及び前記第2の電極は、それぞれ透光電極または半透光電極であり、前記赤外光吸収層は、前記第2の画素における前記第1の電極と前記第2の電極との間に配設されて前記第1の光電素子を形成する光電変換領域と、前記第1の電極と重畳せず、前記第1の画素と重畳するように配設される非光電変換領域と、を備え、前記第1の光電素子の一方の面に配設された第2の光電素子を更に備え、前記第2の光電素子は、対向する第3の電極及び第4の電極と、前記第3の電極と前記第4の電極との間に配設され、500nm~580nmで最大の吸収波長(λmax)を有する第1の可視光を選択的に吸収する有機光電変換層と、を備え、前記第1の光電素子は、前記第2の光電素子よりも光が入射する側の近くに配置されていることを特徴とする。
前記第1の画素は、可視光線波長領域のうちの互いに異なる波長領域の光を感知する第4の画素及び第5の画素を含み、前記第4の画素は、400nm以上500nm未満で最大の吸収波長(λmax)を有する第2の可視光を選択的に感知する第2の光感知素子を備え、前記第5の画素は、580nm超700nm以下で最大の吸収波長(λmax)を有する第3の可視光を選択的に感知する第3の光感知素子を備え得る。
前記第2の光電素子は、前記第2の光感知素子及び第3の光感知素子よりも光が入射する側の近くに配置され得る。
前記第1の画素は、前記第2の光感知素子と重なり合って前記第2の可視光を選択的に透過させる第2のカラーフィルター、及び前記第3の光感知素子と重なり合って前記第3の可視光を選択的に透過させる第3のカラーフィルターを備え、前記第2の画素は、カラーフィルターを備えないことが好ましい。
前記第2の光感知素子及び第3の光感知素子は、シリコン基板内に集積され得る。
前記第2の光感知素子及び第3の光感知素子は、水平方向に離れて配置され得る。
前記第2の光感知素子及び前記第3の光感知素子は、垂直方向に離れて配置され得る。
【0008】
前記イメージセンサーは、前記第2の光電素子の一方の面に配設された第3の光電素子及び第4の光電素子を更に備え、前記第3の光電素子は、対向する第5の電極及び第6の電極と、前記第5の電極と前記第6の電極との間に配設され、約400nm以上500nm未満で最大の吸収波長(λmax)を有する第2の可視光を選択的に吸収する有機光電変換層と、を備え、前記第4の光電素子は、対向する第7電極及び第8電極と、前記第7電極と前記第8電極との間に配設され、約580nm超700nm以下で最大の吸収波長(λmax)を有する第3の可視光を選択的に吸収する有機光電変換層と、を備え、前記第2~第4の光電素子は、垂直方向に積層され得る。
前記第1の画素及び前記第2の画素は、カラーフィルターを備えないことが好ましい。
前記第2~第4の光電素子は、前記第1の光電素子の下部に配設され得る。
【0009】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による電子装置は、前記イメージセンサーを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、低照度環境においても高感度特性及び高輝度特性を発揮するイメージセンサーを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態によるイメージセンサーにおける単位画素群を例示する平面図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるイメージセンサーの単位画素群を概略的に示す平面図である。
【
図3】
図2のイメージセンサーを概略的に示す断面図である。
【
図4】本発明の他の実施形態によるイメージセンサーの単位画素群を例示する平面図である。
【
図5】本発明の他の実施形態によるイメージセンサーを概略的に示す断面図である。
【
図6】本発明の他の実施形態によるイメージセンサーの変形例を概略的に示す断面図である。
【
図7】本発明の更に他の実施形態によるイメージセンサーを概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。しかし、本発明は、ここで説明する実施形態に限定されるものではなく、他の形態に具現化可能である。
【0013】
図中、様々な層及び領域の厚さは、明確性を図るために誇張される。明細書全体に亘って同じ構成部分に対しては同じ図面符号を付する。なお、層、膜、領域、板などの構成部分が他の構成部分の「上」にあるとした場合、それは、他の構成部分の「真上」にある場合だけではなく、これらの間に更に他の構成部分がある場合も含む。逆に、ある構成部分が他の構成部分の「直上」にあるとした場合には、これらの間に他の構成部分がないことを意味する。
【0014】
以下、本発明の一実施形態によるイメージセンサーについて説明する。
【0015】
ここでは、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサーを例にとって説明する。
【0016】
本発明の一実施形態によるイメージセンサーは、複数の画素からなる単位画素群が行及び列に沿って繰り返し配列されたマトリックス状の画素配列を有する。
【0017】
単位画素群は、可視光線波長領域の光を感知する少なくとも一つの画素(以下、「可視光感知画素」と称する。)と、赤外線波長領域の光を感知する画素(以下、「赤外光感知画素」と称する。)と、を含む。単位画素群に含まれる画素の数は様々であり、例えば、二つ、四つ、又は9個などの画素を含むが、これらに何ら限定されない。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態によるイメージセンサーにおける単位画素群を例示する平面図である。
【0019】
図1を参照すると、本実施形態によるイメージセンサーの単位画素群10は、二つの行及び二つの列(2×2)に配列された画素1PX1、画素2PX2、画素3PX3、及び画素4PX4からなる。画素1PX1、画素2PX2、画素3PX3、及び画素4PX4のうちの三つはフルカラーを感知するための基本画素であり、残りの一つはイメージセンサーの感度及び輝度を補うための補助画素である。しかし、基本画素及び補助画素は、必要に応じて増減可能である。
【0020】
例えば、画素1PX1、画素2PX2、画素3PX3は可視光感知画素であり、画素4PX4は赤外光感知画素である。
【0021】
可視光感知画素の画素1PX1、画素2PX2、及び画素3PX3は、それぞれ可視光線波長領域のうちのそれぞれ異なる波長領域の光を感知する。例えば、可視光感知画素のうち、画素1PX1は約500nm~580nmで最大の吸収波長(λmax)を有する可視光を感知する画素であり、画素2PX2は約400nm以上500nm未満で最大の吸収波長(λmax)を有する可視光を感知する画素であり、画素3PX3は約580nm超700nm以下で最大の吸収波長(λmax)を有する可視光を感知する画素である。例えば、画素1PX1は緑色光を選択的に感知する緑色画素であり、画素2PX2は青色光を選択的に感知する青色画素であり、画素3PX3は赤色光を選択的に感知する赤色画素である。しかし、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、画素の配列及び順序は種々に変形可能である。
【0022】
赤外光感知画素の画素4PX4は約700nm超で最大の吸収波長(λmax)を有する赤外光を選択的に感知する画素である。例えば約700nm超~3μmで最大の吸収波長(λmax)を有し、好ましくは約800nm~1500nmで最大の吸収波長(λmax)を有する。
【0023】
図2は、本発明の一実施形態によるイメージセンサーの単位画素群を概略的に示す平面図であり、
図3は、
図2のイメージセンサーを概略的に示す断面図である。
【0024】
図2及び
図3では、説明の便宜のために、可視光感知画素が緑色画素G、青色画素B、及び赤色画素Rである場合を例示したが、これに限定されない。なお、
図2及び
図3で例示した緑色画素G、青色画素B、及び赤色画素Rの配列及び構成は、種々に変形可能である。
【0025】
図2及び
図3を参照すると、本実施形態によるイメージセンサー100は、半導体基板110、下部絶縁層60、カラーフィルター層70、上部絶縁層80、及び赤外光光電素子90を備える。
【0026】
半導体基板110は、シリコン基板であり、光感知素子50、伝送トランジスター(図示せず)、及び電荷保存所55が集積される。光感知素子50は、例えばフォトダイオードである。
【0027】
光感知素子50、伝送トランジスター(図示せず)、及び電荷保存所55は、画素毎に集積されており、例えば、緑色光感知素子50G及び伝送トランジスターは緑色画素G毎に集積され、青色光感知素子50B及び伝送トランジスターは青色画素B毎に集積され、赤色光感知素子50R及び伝送トランジスターは赤色画素R毎に集積され、電荷保存所55及び伝送トランジスターは赤外光感知画素I毎に集積される。電荷保存所55は後述する赤外光光電素子90に電気的に接続される。
【0028】
緑色光感知素子50G、青色光感知素子50B、及び赤色光感知素子50Rは、水平方向に離れて配置される。
【0029】
光感知素子50は光をセンシングし、センシングされた情報は伝送トランジスターにより転送され、電荷保存所55は後述する赤外光光電素子90に電気的に接続され、電荷保存所55の情報は伝送トランジスターにより転送される。
【0030】
半導体基板110の上には、金属配線(図示せず)及びパッド(図示せず)が形成される。金属配線及びパッドは、信号の遅延を減らすために、低い比抵抗を有する金属、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、及びこれらの合金により作成されるが、これらに限定されない。金属配線及びパッドは光感知素子50の下部に配設される。
【0031】
金属配線及びパッドの上には、下部絶縁層60が形成される。下部絶縁層60は、例えば酸化ケイ素及び/又は窒化ケイ素などの無機絶縁物質で形成され、SiC、SiCOH、SiCO、及びSiOFなどの低誘電率(low K)物質により作成される。下部絶縁層60は、電荷保存所55を露出させるトレンチを有する。トレンチは、充填材で充填される。下部絶縁層60は省略可能である。
【0032】
下部絶縁層60の上には、カラーフィルター層70が形成される。カラーフィルター層70は、可視光感知画素に対応して形成され、各可視光感知画素に応じて可視光線波長領域のうちのそれぞれ異なる波長領域の光を選択的に透過させるカラーフィルターが形成される。例えば、緑色画素Gには約500nm~580nmで最大の吸収波長(λmax)を有する緑色光を選択的に透過させる緑色フィルター70Gが形成され、青色画素Bには約400nm以上500nm未満で最大の吸収波長(λmax)を有する青色光を選択的に透過させる青色フィルター70Bが形成され、赤色画素Rには約580nm超700nm以下で最大の吸収波長(λmax)を有する赤色光を選択的に透過させる赤色フィルター70Rが形成される。
【0033】
緑色フィルター70Gは緑色波長領域の光を選択的に透過させて緑色光感知素子50Gに伝え、青色フィルター70Bは青色波長領域の光を選択的に透過させて青色光感知素子50Bに伝え、赤色フィルター70Rは赤色波長領域の光を選択的に透過させて赤色光感知素子50Rに伝える。カラーフィルター層70は、場合によって省略可能である。
【0034】
カラーフィルター層70の上には、上部絶縁層80が形成される。上部絶縁層80はカラーフィルター層70による段差を除去して平坦化させる。上部絶縁層80及び下部絶縁層60は、パッドを露出させるコンタクト孔(図示せず)、及び電荷保存所55を露出させるコンタクト孔85を有する。
【0035】
上部絶縁層80の上には、画素電極91が形成される。画素電極91は、赤外光感知画素I内に画成され、赤外光感知画素I以外の赤色画素R、緑色画素G、及び青色画素Bには形成されない。
【0036】
画素電極91の上には、赤外線領域の光を選択的に吸収する赤外光吸収層92が形成される。赤外線領域は、例えば、近赤外線領域、中間赤外線領域、及び遠赤外線領域をいずれも含む。
【0037】
赤外光吸収層92は約700nm超で最大の吸収波長(λmax)を有する光を選択的に吸収する。例えば約700nm超~3μmで最大の吸収波長(λmax)を有する光を選択的に吸収し、好ましくは約800nm~1500nmで最大の吸収波長(λmax)を有する光を選択的に吸収する。赤外線波長領域を除く他の波長領域の光は赤外光吸収層92をそのまま通過する。
【0038】
赤外光吸収層92は、例えばp型半導体及びn型半導体を備え、p型半導体及びn型半導体はpn接合を形成する。p型半導体及びn型半導体のうちの少なくとも一方は、赤外線領域の光を選択的に吸収し、赤外線波長領域の光を選択的に吸収して励起子を生成した後に、生成された励起子を正孔及び電子に分離して光電効果を生じさせる。
【0039】
p型半導体及びn型半導体のうちの少なくとも一方は一種以上の有機物質を含む。有機物質は、赤外線領域の光を選択的に吸収する物質であれば特に限定されるものではなく、例えば、p型半導体及びn型半導体のうちの少なくとも一方は、キノイド金属錯化合物(quinoid metal complex)、シアニン化合物(cyanone compound)、インモニウム化合物(immonium compound)、ジインモニウム化合物(diimmonium compound)、トリアリールメタン化合物(triarylmethane compound)、ジピロメテン化合物(dipyrromethene compound)、ジキノン化合物(diquinone compound)、ナフトキノン化合物(naphthoquinone compound)、アントラキノン化合物(anthraquinone compound)、スクアリリウム化合物(squarylium compound)、リレン化合物(rylene compound)、フタロシアニン化合物(phthalocyanine compound)、ナフタロシアニン化合物(naphthalocyanine compound)、ペリレン化合物(perylene compound)、スクアライン化合物(squaraine compound)、ボロンジピロメテン化合物(boron-dipyrromethene compound)、ニッケル-ジチオール錯化合物(nickel-dithiol complex)、メロシアニン化合物(merocyanine compound)、ジケトピロロピロール化合物(diketopyrrolopyrroles compound)、これらの誘導体、又はこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。例えば、p型半導体は、メロシアニン、ジケトピロロピロール、ボロンジピロメテン化合物、ナフタロシアニン化合物、スクアライン化合物、これらの誘導体、又はこれらの組み合わせであり、n型半導体は、C60、C70、チオフェン、これらの誘導体、又はこれらの組み合わせであるが、これらに限定されない。
【0040】
赤外光吸収層92は単一層であるか又は複数層である。赤外光吸収層92は、例えば、真性層(I層)、p型層/I層、I層/n型層、p型層/I層/n型層、p型層/n型層などの様々な組み合わせである。
【0041】
真性層(I層)はp型半導体及びn型半導体が約1:100~約100:1の体積比で混合されて含まれる。例えば約1:50~50:1の体積比で含まれ、好ましくは約1:10~10:1の体積比で含まれ、より好ましくは約1:1の体積比で含まれる。p型半導体及びn型半導体が上記範囲の組成比を有することにより、効果的な励起子の生成及びpn接合の形成において有利である。p型層はp型半導体を備え、n型層はn型半導体を備える。
【0042】
赤外光吸収層92は約1nm~500nmの厚さを有する。例えば約5nm~300nmの厚さを有する。上記範囲の厚さを有することにより赤外線領域の光が効果的に吸収され、正孔及び電子を効果的に分離及び転送することにより光電変換効率が効果的に改善される。
【0043】
赤外光吸収層92はイメージセンサー100の全面に形成される。これにより、イメージセンサーの全面で赤外光が吸収され、その結果、光面積が増えて高い吸光効率を有する。
【0044】
赤外光吸収層93の上には、共通電極93が形成される。共通電極93は、赤外光吸収層92の全面に形成されるか、又は画素電極91に重なり合う領域に選択的に形成される。
【0045】
画素電極91及び共通電極93のうちのいずれか一方はアノードであり、他方はカソードである。例えば、画素電極91がアノードであり、共通電極93がカソードである。
【0046】
画素電極91及び共通電極93は両方とも透光電極又は半透光電極である。透光電極又は半透光電極は、例えば、酸化インジウムスズ(indium tin oxide:ITO)又は酸化インジウム亜鉛(indium zinc oxide:IZO)などの透明導電体により作成され、数nm~数十nmの厚さの薄い厚さに形成された金属薄膜又は金属酸化物がドーピングされた数nm~数十nmの厚さの薄い厚さに形成された単一層又は複数層の金属薄膜である。
【0047】
画素電極91及び共通電極93のうちのいずれか一方は反射電極であり、例えば画素電極91が反射電極である。反射電極は、例えば、アルミニウム、銅、銀などの不透明金属により作成される。
【0048】
赤外光吸収層92は、赤外光感知画素Iにおける画素電極91と共通電極93との間に配設された光電変換領域92aと、赤色画素R、緑色画素G、及び青色画素Bに対応して配設された非光電変換領域92bと、を備える。
【0049】
画素電極91及び共通電極93と画素電極91及び共通電極93で仕切られた領域に配設された赤外線吸収層92の光電変換領域92aは赤外光光電素子90を形成する。即ち、共通電極93側から光が入射して赤外光吸収層92で赤外線波長領域の光を選択的に吸収すると、赤外光吸収層92の光電変換領域92aで励起子が生成される。励起子は正孔及び電子に分離され、分離された正孔は画素電極91及び共通電極93のうちの一方のアノード側に移動し、分離された電子は画素電極91及び共通電極93のうちの一方のカソード側に移動して電流が流れる。分離された電子又は正孔は画素電極91を介して電荷保存所55に集められる。
【0050】
赤外光吸収層92の非光電変換領域92bは、赤外線領域の光を選択的に吸収し、赤外線領域を除く他の残りの波長領域の光をそのまま通過させる。このため、赤外光吸収層92の非光電変換領域92bは、赤色画素R、緑色画素G、及び青色画素Bに対応して配設され、赤外線波長領域の光が緑色光感知素子50G、青色光感知素子50B、及び赤色光感知素子50Rに流入することを遮断する赤外光ろ過層(IR filter layer)としての役割を果たす。このため、イメージセンサーの外部に別途の赤外光ろ過フィルターを取り付ける必要がない。
【0051】
共通電極93の上には、集光レンズ(図示せず)が更に形成される。集光レンズは入射光の方向を制御して光を一つの個所に集める。集光レンズは、例えばシリンダー状又は半球状であるが、これに限定されない。
【0052】
本実施形態によるイメージセンサーは、可視光領域の光を感知する可視光感知画素、及び赤外線領域の光を感知する赤外光感知素子を備えることにより、例えば約11lux未満の低照度環境でイメージセンサーの感度及び輝度が急激に低下することを防ぎ、高感度特性及び高輝度特性を実現する。
【0053】
また、可視光感知画素の上に赤外線吸収層92を配置して可視光感知画素に流入する赤外線領域の光を予め遮断することにより、別途の赤外線ろ過フィルターを備える必要がない。
【0054】
また、赤外光感知画素が可視光感知画素と分離されて、赤外光光電素子90と電荷保存所55との間の赤外光の信号転送構造が可視光感知画素を貫通しないことから、構造及び工程が単純化される。従来のように、可視光感知画素内に赤外光の信号転送構造が配設された場合、信号転送構造のための領域を確保するためにカラーフィルターの面積が減って各画素の開口率が下がり、工程が複雑になるが、本実施形態では、赤外光感知画素を別設することにより、可視光感知画素の開口率が十分に確保されて工程が単純化される。
【0055】
更に、赤外光感知画素が可視光感知画素と分離されて、可視光感知画素に赤外光光電素子90のための画素電極91を形成しないことから、画素電極91によって可視光の一部が吸収及び/又は反射されて可視光の透過度が下がることを防ぎ、可視光感知画素に流入する可視光透過度の減少及びこれによる効率の低下を防ぐことができる。
【0056】
図4は、本発明の他の実施形態によるイメージセンサーの単位画素群を例示する平面図である。
【0057】
図4を参照すると、本実施形態によるイメージセンサーの単位画素群20は、上述した実施形態と同様に、二つの行及び二つの列(2×2)に配列された画素1PX1、画素2PX2、画素3PX3、及び画素4PX4からなる。しかし、本実施形態によるイメージセンサーの単位画素群20は上述した実施形態とは異なり、画素1PX1、画素2PX2、画素3PX3、及び画素4PX4のうちの少なくとも一つの画素は、残りの画素と異なる面積を有する。
【0058】
単位画素群20の各画素の面積は必要に応じて種々に変更可能である。例えば、画素1PX1は、画素2PX2、画素3PX3、及び画素4PX4よりも大きい面積を有する。例えば、画素2PX2及び画素3PX3は同じ面積を有する。例えば、画素1PX1の面積が最も大きく、画素2PX2、画素3PX3、及び画素4PX4の面積が同じである。例えば、画素1PX1の面積が最も大きく、画素2PX2及び画素3PX3の面積が同じであり、画素4PX4の面積が最も小さい。例えば、画素1PX1の面積が最も大きく、画素2PX2及び画素3PX3の面積が最も小さく、画素4PX4の面積が画素1PX1の面積よりも小さく、且つ画素2PX2又は画素3PX3の面積よりも大きい。
【0059】
例えば、画素1PX1は緑色画素Gであり、画素2PX2は青色画素Bであり、画素3PX3は赤色画素Rであり、画素4PX4は可視光感知画素Iである。例えば、緑色画素Gは、赤色画素R、青色画素B、及び赤外光感知画素Iよりも大きい面積を有する。例えば、赤色画素R及び青色画素Bは同じ面積を有する。例えば、緑色画素Gの面積が最も大きく、赤色画素R、青色画素B、及び赤外光感知画素Iの面積が同じである。例えば、緑色画素Gの面積が最も大きく、赤色画素R及び青色画素Bの面積が同じであり、赤外光感知画素Iの面積が最も小さい。例えば、緑色画素Gの面積が最も大きく、赤色画素R及び青色画素Bの面積が最も小さく、赤外光感知画素Iの面積が緑色画素Gの面積よりも小さく、且つ赤色画素R又は青色画素Bの面積よりも大きい。
【0060】
このように、単位画素群20の各画素の面積を異ならせることで、たとえ赤外光感知画素Iにより可視光感知画素の面積が減っても、可視光感知画素の比率を調節することによって可視光感知効率の減少を防ぐことができ、高解像度のイメージセンサーが実現される。
【0061】
以下、本発明の他の実施形態によるイメージセンサーについて説明する。
【0062】
本実施形態によるイメージセンサーは、上述した実施形態によるイメージセンサーと同様に、複数の画素からなる単位画素群が行及び列に沿って繰り返し配列されたマトリックス状の画素配列を有する。
【0063】
単位画素群は一つ又は二つ以上の画素を含む可視光感知画素及び赤外光感知画素を含む。
【0064】
可視光感知画素は、約500nm~580nmで最大の吸収波長(λmax)を有する可視光を感知する画素、約400nm以上500nm未満で最大の吸収波長(λmax)を有する可視光を感知する画素、及び約580nm超700nm以下で最大の吸収波長(λmax)を有する可視光を感知する画素のうちのいずれか一つ又は二つを含む。例えば、可視光感知画素は、緑色光感知素子を備える緑色画素G、青色光感知素子を備える青色画素B、及び赤色光感知素子を備える赤色画素Rのうちのいずれか一つ又は二つを含む。
【0065】
例えば、可視光感知画素は、青色光感知素子を備える青色画素B及び赤色光感知素子を備える赤色画素Rを含み、青色画素B、赤色画素R、及び赤外光感知画素Iを含む単位画素群が行及び列に沿って交互に配列される。単位画素群に含まれる画素の数は様々であり、例えば単位画素群は9個の画素を含むが、これに限定されない。例えば、単位画素群が9個の画素を含む場合、四つの青色画素B、四つの赤色画素R、及び一つの赤外光感知画素Iが三つの行及び三つの列(3×3)に配列されるが、これに限定されない。
【0066】
上述した実施形態とは異なり、本実施形態によるイメージセンサーは、可視光感知画素のうちの一つが省略され、省略された画素の光感知素子は垂直方向に積層される。従って、解像度及び感度を低下させずに、イメージセンサーの面積を減らすことができる。
【0067】
赤外光感知画素は約700nm超で最大の吸収波長(λmax)を有する赤外光を選択的に感知する画素である。例えば約700nm超~3μmで最大の吸収波長(λmax)を有し、好ましくは約800nm~1500nmで最大の吸収波長(λmax)を有する。
【0068】
図5は、本発明の他の実施形態によるイメージセンサーを概略的に示す断面図である。
【0069】
図5を参照すると、本実施形態によるイメージセンサー200は、半導体基板110、下部絶縁層60、カラーフィルター層70、上部絶縁層80、及び赤外光光電素子90を備える。
【0070】
半導体基板110は、シリコン基板であり、光感知素子50、伝送トランジスター(図示せず)、及び電荷保存所55、56Gが集積される。光感知素子50は、例えばフォトダイオードである。
【0071】
上述した実施形態とは異なり、光感知素子50は赤色光感知素子50R及び青色光感知素子50Bを備える。例えば、赤色光感知素子50R及び伝送トランジスターは赤色画素R毎に集積され、青色光感知素子50B及び伝送トランジスターは青色画素B毎に集積される。青色光感知素子50B及び赤色光感知素子50Rは水平方向に離れている。
【0072】
光感知素子50は光をセンシングし、センシングされた情報は伝送トランジスターにより転送される。電荷保存所55は後述する赤外光光電素子90に電気的に接続され、電荷保存所55の情報は伝送トランジスターにより転送される。電荷保存所56Gは後述する緑色光電素子30Gに電気的に接続され、電荷保存所56Gの情報は伝送トランジスターにより転送される。
【0073】
半導体基板110の上には、金属配線(図示せず)及びパッド(図示せず)が形成される。金属配線及びパッドは、信号の遅延を低減させるために、低い比抵抗を有する金属、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、及びこれらの合金により作成されるが、これらに限定されない。金属配線及びパッドは光感知素子50の下部に配設される。
【0074】
金属配線及びパッドの上には、下部絶縁層60が形成される。下部絶縁層60は、酸化ケイ素及び/又は窒化ケイ素などの無機絶縁物質で形成され、SiC、SiCOH、SiCO、及びSiOFなどの低誘電率(low K)物質により作成される。下部絶縁層60は電荷保存所55、56Gを露出させるトレンチ及び/又はコンタクト孔を有する。トレンチ及び/又はコンタクト孔は充填材により充填される。下部絶縁層60は省略可能である。
【0075】
下部絶縁層60の上には、カラーフィルター層70が形成される。カラーフィルター層70は、可視光感知画素に対応して形成され、各可視光感知画素に応じて可視光線波長領域のうちの互いに異なる波長領域の光を選択的に透過させるカラーフィルターが形成される。例えば、青色画素Bには約400nm以上500nm未満で最大の吸収波長(λmax)を有する青色光を選択的に透過させる青色フィルター70Bが形成され、赤色画素Rには約580nm超700nm以下で最大の吸収波長(λmax)を有する赤色光を選択的に透過させる赤色フィルター70Rが形成される。
【0076】
青色フィルター70Bは青色波長領域の光を選択的に透過させて青色光感知素子50Bに転送し、赤色フィルター70Rは赤色波長領域の光を選択的に透過させて赤色光感知素子50Rに転送する。カラーフィルター層70は、場合によって省略可能である。
【0077】
カラーフィルター層70の上には、中間絶縁層65が形成される。中間絶縁層65はカラーフィルター層70による段差を除去して平坦化させる。中間絶縁層65及び下部絶縁層60は、パッドを露出させるコンタクト孔(図示せず)、及び電荷保存所55、56Gを露出させるコンタクト孔を有する。
【0078】
中間絶縁層65の上には、緑色光電素子30Gが形成される。緑色光電素子30Gは緑色波長領域の光を選択的に感知する。
【0079】
緑色光電素子30Gは、対向する画素電極31及び共通電極33と、画素電極31と共通電極33との間に配設された緑色光吸収層32Gと、を備える。画素電極31及び共通電極33のうちのいずれか一方はアノードであり、他方はカソードである。
【0080】
画素電極31及び共通電極33は両方とも透光電極であり、透光電極は、例えば、酸化インジウムスズ(indium tin oxide:ITO)又は酸化インジウム亜鉛(indium zinc oxide:IZO)などの透明導電体により作成され、数nm~数十nmの厚さの薄い厚さに形成された金属薄膜又は金属酸化物がドーピングされた数nm~数十nmの厚さの薄い厚さに形成された単一層又は複数層の金属薄膜である。
【0081】
緑色光吸収層32Gは、緑色波長領域の光を選択的に吸収し、緑色波長領域ではない他の波長領域、即ち青色波長領域及び赤色波長領域の光をそのまま通過させる。緑色光吸収層32Gは、例えばp型半導体及びn型半導体を備え、p型半導体及びn型半導体はpn接合を形成する。p型半導体及びn型半導体のうちの少なくとも一方は、緑色波長領域の光を選択的に吸収し、緑色波長領域の光を選択的に吸収して励起子を生成した後に、生成された励起子を正孔及び電子に分離して光電効果を生じさせる。緑色光吸収層30Gは緑色フィルターに取って代わる。
【0082】
p型半導体及びn型半導体は、それぞれ、例えば約2.0~2.5eVのエネルギーバンドギャップを有し、p型半導体及びn型半導体は、例えば約0.2~0.7eVのLUMO差を有する。
【0083】
p型半導体は、例えば、キナクリドン又はその誘導体、サブフタロシアニン又はその誘導体であり、n型半導体は、例えば、チオフェン誘導体、シアノビニル基を有するチオフェン誘導体、フラーレン又はフラーレン誘導体であるが、これに限定されない。
【0084】
緑色光吸収層32Gは単一層であるか又は複数層である。緑色光吸収層32Gは、例えば、真性層(I層)、p型層/I層、I層/n型層、p型層/I層/n型層、p型層/n型層などの様々な組み合わせである。
【0085】
真性層(I層)はp型半導体及びn型半導体が約1:100~約100:1の体積比で混合されて含まれる。例えば約1:50~50:1の体積比で含まれ、好ましくは約1:10~10:1の体積比で含まれ、より好ましくは約1:1の体積比で含まれる。p型半導体及びn型半導体が上記範囲の組成比を有することにより、効果的な励起子の生成及びpn接合の形成において有利である。p型層はp型半導体を備え、n型層はn型半導体を備える。
【0086】
緑色光吸収層32Gは約1nm~500nmの厚さを有する。例えば約5nm~300nmの厚さを有する。上記範囲の厚さを有することにより光が効果的に吸収され、正孔及び電子を効果的に分離及び転送することにより光電変換効率が効果的に改善される。
【0087】
緑色光吸収層30Gはイメージセンサーの全面に形成される。これにより、イメージセンサーの全面で光が吸収され、その結果、光面積が増えて高い吸光効率を有する。
【0088】
緑色光電素子30Gは、共通電極33側から光が入射して緑色光吸収層32Gが緑色波長領域の光を吸収すると、内部で励起子が生成される。励起子は緑色光吸収層32Gで正孔及び電子に分離され、分離された正孔は画素電極31及び共通電極32のうちのいずれか一方のアノード側に移動し、分離された電子は画素電極31及び共通電極32のうちの他方のカソード側に移動して電流が流れる。分離された電子又は正孔は電荷保存所56Gに集められる。緑色波長領域を除く他の残りの波長領域の光は画素電極31及びカラーフィルター層70を通過して青色光感知素子50B又は赤色光感知素子50Rでセンシングされる。
【0089】
緑色光電素子30Gの上には、上部絶縁層80が形成される。上部絶縁層80は、例えば酸化ケイ素及び/又は窒化ケイ素などの無機絶縁物質で形成され、SiC、SiCOH、SiCO、及びSiOFなどの低誘電率(low K)物質により作成される。上部絶縁層80は省略可能である。
【0090】
上部絶縁層80の上には、画素電極91が形成される。画素電極91は、赤外光感知画素I内に区切られており、赤外光感知画素I以外の赤色画素R及び青色画素Bには形成されない。
【0091】
画素電極91の上には、赤外線領域の光を選択的に吸収する赤外光吸収層92が形成される。赤外線領域は、例えば、近赤外線領域、中間赤外線領域、及び遠赤外線領域をいずれも含む。
【0092】
赤外光吸収層92は約700nm超で最大の吸収波長(λmax)を有する光を選択的に吸収する。例えば約700nm超~3μmで最大の吸収波長(λmax)を有する光を選択的に吸収し、好ましくは約800nm~1500nmで最大の吸収波長(λmax)を有する光を選択的に吸収する。
【0093】
赤外光吸収層92は、例えばp型半導体及びn型半導体を備え、p型半導体及びn型半導体はpn接合を形成する。p型半導体及びn型半導体のうちの少なくとも一方は、赤外線領域の光を選択的に吸収し、赤外線波長領域の光を選択的に吸収して励起子を生成した後に、生成された励起子を正孔及び電子に分離して光電効果を生じさせる。
【0094】
p型半導体及びn型半導体のうちの少なくとも一方は一種以上の有機物質を含む。例えば、p型半導体及びn型半導体のうちの少なくとも一方は、キノイド金属錯化合物、シアニン化合物、インモニウム化合物、ジインモニウム化合物、トリアリールメタン化合物、ジピロメテン化合物、ジキノン化合物、ナフトキノン化合物、アントラキノン化合物、スクアリリウム化合物、リレン化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、ペリレン化合物、スクアライン化合物、ボロンジピロメテン化合物、ニッケル-ジチオール錯化合物、メロシアニン化合物、ジケトピロロピロール化合物、これらの誘導体、又はこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。例えば、p型半導体は、メロシアニン、ジケトピロロピロール、ボロンジピロメテン化合物、ナフタロシアニン化合物、スクアライン化合物、これらの誘導体、又はこれらの組み合わせであり、n型半導体は、C60、C70、チオフェン、これらの誘導体、又はこれらの組み合わせであるが、これらに限定されない。
【0095】
赤外光吸収層92は単一層であるか又は複数層である。赤外光吸収層92は、例えば、真性層(I層)、p型層/I層、I層/n型層、p型層/I層/n型層、p型層/n型層などの様々な組み合わせである。
【0096】
真性層(I層)はp型半導体及びn型半導体が約1:100~約100:1の体積比で混合されて含まれる。例えば約1:50~50:1の体積比で含まれ、好ましくは約1:10~10:1の体積比で含まれ、より好ましくは約1:1の体積比で含まれる。p型半導体及びn型半導体が上記範囲の組成比を有することにより、効果的な励起子の生成及びpn接合の形成において有利である。p型層はp型半導体を備え、n型層はn型半導体を備える。
【0097】
赤外光吸収層92は約1nm~500nmの厚さを有する。例えば約5nm~300nmの厚さを有する。上記範囲の厚さを有することにより、赤外線領域の光が効果的に吸収され、正孔及び電子を効果的に分離及び転送することにより光電変換効率が効果的に改善される。
【0098】
赤外光吸収層92はイメージセンサー100の全面に形成される。これにより、イメージセンサーの全面で赤外光が吸収され、その結果、光面積が増えて高い吸光効率を有する。
【0099】
赤外光吸収層92の上には、共通電極93が形成される。共通電極93は、赤外光吸収層92の全面に形成されるか、又は画素電極91に重なり合う領域に選択的に形成される。
【0100】
画素電極91及び共通電極93のうちのいずれか一方はアノードであり、他方はカソードである。例えば、画素電極91がアノードであり、共通電極93がカソードである。
【0101】
画素電極91及び共通電極93は両方とも透光電極又は半透光電極である。透光電極又は半透光電極は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)又は酸化インジウム亜鉛(IZO)などの透明導電体により作成され、数nm~数十nmの厚さの薄い厚さに形成された金属薄膜又は金属酸化物がドーピングされた数nm~数十nmの厚さの薄い厚さに形成された単一層又は複数層の金属薄膜である。
【0102】
画素電極91及び共通電極93のうちのいずれか一方は反射電極であり、例えば画素電極91が反射電極である。反射電極は、例えば、アルミニウム、銅、銀などの不透明金属により作成される。
【0103】
赤外光吸収層92は、赤外光感知画素Iにおける画素電極91と共通電極93との間に配設された光電変換領域92aと、緑色画素Gと赤色画素R及び青色画素Bに対応して配設された非光電変換領域92bと、を備える。
【0104】
画素電極91及び共通電極93と画素電極91及び共通電極93で仕切られた領域に配設された赤外線吸収層92の光電変換領域92aは赤外光光電素子90を形成する。即ち、共通電極93側から光が入射して赤外光吸収層92で赤外線波長領域の光を選択的に吸収すると、赤外光吸収層92の光電変換領域92aで励起子が生成される。励起子は正孔及び電子に分離され、分離された正孔は画素電極91及び共通電極92のうちの一方のアノード側に移動し、分離された電子は画素電極91及び共通電極92のうちの一方のカソード側に移動して電流が流れる。分離された電子又は正孔は画素電極91を介して電荷保存所55に集められる。
【0105】
赤外光吸収層92の非光電変換領域92bは、赤外線領域の光を選択的に吸収し、赤外線領域を除く他の残りの波長領域の光をそのまま通過させる。このため、赤外光吸収層92の非光電変換領域92bは、緑色画素Gと赤色画素R及び青色画素Bに対応して配設され、赤外線波長領域の光が緑色光電素子30Gと青色光感知素子50B及び赤色光感知素子50Rに流入することを遮断する赤外光ろ過層としての役割を果たす。
【0106】
共通電極93の上には、集光レンズ(図示せず)が更に形成される。集光レンズは入射光の方向を制御して光を一つの地点に集める。集光レンズは、例えばシリンダー状又は半球状であるが、これに限定されない。
【0107】
本実施形態では、半導体基板110内に集積された赤色光感知素子50R及び青色光感知素子50Bを例示し、イメージセンサーの全面に配設された緑色光電素子30Gを例にとって説明しているが、これに限定されるものではなく、半導体基板110内に赤色光感知素子50R及び緑色光感知素子が集積されてイメージセンサーの全面に青色光電素子が配置されるか、又は半導体基板110内に青色光感知素子50B及び緑色光感知素子が集積されてイメージセンサーの全面に赤色光電素子が配置され得る。
【0108】
本実施形態によるイメージセンサーは、上述した実施形態によるイメージセンサーの利点に加えて、可視光感知画素のうちの一つが省略され、省略された画素の光感知素子を垂直方向に積層する。従って、解像度及び感度を低下させずに、イメージセンサーの面積を減らすことができる。
【0109】
以下、本発明の他の実施形態によるイメージセンサーの変形例について説明する。
【0110】
図6は、本発明の他の実施形態によるイメージセンサーの変形例を概略的に示す断面図である。
【0111】
図6を参照すると、本実施形態によるイメージセンサー300は、半導体基板110、下部絶縁層60、緑色光電素子30G、上部絶縁層80、及び赤外光光電素子90を備える。
【0112】
半導体基板110は、シリコン基板であり、光感知素子50、伝送トランジスター(図示せず)、及び電荷保存所55、56Gが集積される。光感知素子50は、例えばフォトダイオードである。
【0113】
光感知素子50は、青色光感知素子50B及び赤色光感知素子50Rを備え、上述した実施形態とは異なり、青色光感知素子50B及び赤色光感知素子50Rが垂直方向に離れている。青色光感知素子50B及び赤色光感知素子50Rは積層深さに応じて各波長領域の光を選択的に吸収する。
【0114】
半導体基板110の上には、金属配線(図示せず)及びパッド(図示せず)が形成され、金属配線及びパッドの上には、下部絶縁層60が形成される。下部絶縁層60は電荷保存所55、56Gを露出させるコンタクト孔を有する。
【0115】
上述した実施形態とは異なり、下部絶縁層60の上には、カラーフィルター層が省略される。上述したように、青色光感知素子50B及び赤色光感知素子50Rは、積層深さに応じて各波長領域の光を選択的に吸収するため、可視光線波長領域の光を画素別に分離するためのカラーフィルターを別途に必要としない。
【0116】
下部絶縁層60の上には、緑色光電素子30Gが形成される。緑色光電素子30Gは緑色波長領域の光を選択的に感知する。
【0117】
緑色光電素子30Gは、対向する画素電極31及び共通電極33と、画素電極31と共通電極33との間に配設された緑色光吸収層32Gと、を備える。具体的な内容は上述した通りである。
【0118】
緑色光電素子30Gの上には、上部絶縁層80が形成される。上部絶縁層80の上には、赤外光感知画素I内に画成された画素電極91が形成される。画素電極91の上には、赤外線領域の光を選択的に吸収する赤外光吸収層92及び共通電極93がこの順に形成される。
【0119】
赤外光吸収層92は、赤外光感知画素Iにおける画素電極91と共通電極93との間に配設された光電変換領域92aと、緑色画素Gと赤色画素R及び青色画素Bに対応して配設された非光電変換領域92bと、を備える。赤外光吸収層92の光電変換領域92aは画素電極91及び共通電極93と共に赤外光光電素子90を形成し、赤外光吸収層92の非光電変換領域92bは赤外線波長領域の光が緑色光電素子30Gと青色光感知素子50B及び赤色光感知素子50Rに流入することを遮断する赤外光ろ過層としての役割を果たす。
【0120】
共通電極93の上には、集光レンズ(図示せず)が更に形成される。集光レンズは入射光の方向を制御して光を一つの地点に集める。集光レンズは、例えばシリンダー状又は半球状であるが、これに限定されない。
【0121】
本実施形態では、半導体基板110内に集積された赤色光感知素子50R及び青色光感知素子50Bを例示し、イメージセンサーの全面に配設された緑色光電素子30Gを例にとって説明しているが、これに限定されるものではなく、半導体基板110内に赤色光感知素子50R及び緑色光感知素子が集積されてイメージセンサーの全面に青色光電素子が配置されるか、又は半導体基板110内に青色光感知素子50B及び緑色光感知素子が集積されてイメージセンサーの全面に赤色光電素子が配置され得る。
【0122】
上述したように、緑色波長領域の光を選択的に吸収する緑色光電素子が積層された構造を有し、且つ赤色光感知素子及び青色光感知素子が積層された構造を有することにより、イメージセンサーが小型化されてコンパクトなイメージセンサーが実現される。なお、上述したように、別途の赤外光感知画素を設けることにより、低照度環境でイメージセンサーの感度及び輝度が急激に低下することを防ぎ、高感度特性及び高輝度特性が実現される。
【0123】
以下、本発明の更に他の実施形態によるイメージセンサーについて説明する。
【0124】
本実施形態によるイメージセンサーもまた、上述した実施形態と同様に、複数の画素からなる単位画素群が行及び列に沿って繰り返し配列されたマトリックス状の画素配列を有する。
【0125】
単位画素群は可視光感知画素RGB及び赤外光感知画素Iを含む。例えば、可視光感知画素RGBは、後述する緑色光電素子、青色光電素子、及び赤色光電素子にそれぞれ接続された電荷保存所を有する画素であり、後述するように、緑色光電素子、青色光電素子、及び赤色光電素子が積層される。
【0126】
可視光感知画素RGB及び赤外光感知画素Iを含む単位画素群は、行及び列に沿って交互に配列され、単位画素群に含まれる画素の数は様々である。例えば、単位画素群は二つの画素を含むが、これに限定されない。例えば、単位画素群が二つの画素を含む場合、一つの可視光感知画素RGB及び一つの赤外光感知画素Iが一つの行及び二つの列(1×2)又は二つの行及び一つの列(2×1)に配列されるが、これに限定されない。
【0127】
図7は、本発明の更に他の実施形態によるイメージセンサーを概略的に示す断面図である。
【0128】
図7を参照すると、本実施形態によるイメージセンサー400は、半導体基板110、下部絶縁層60、第1の中間絶縁層65、第2の中間絶縁層75、上部絶縁層80、緑色光電素子30G、青色光電素子30B、赤色光電素子30R、及び赤外光光電素子90を備える。
【0129】
半導体基板110は、シリコン基板であり、伝送トランジスター(図示せず)及び電荷保存所55、56G、56B、56Rが集積される。
【0130】
半導体基板110の上には、金属配線(図示せず)及びパッド(図示せず)が形成され、金属配線及びパッドの上には、下部絶縁層60が形成される。
【0131】
下部絶縁層60の上には、赤色光電素子30Rが形成される。赤色光電素子30Rは赤色波長領域の光を選択的に感知する。
【0132】
赤色光電素子30Rは、対向する画素電極37及び共通電極39と、画素電極37と共通電極39との間に配設された赤色光吸収層38Rと、を備える。画素電極37及び共通電極39のうちのいずれか一方はアノードであり、他方はカソードである。
【0133】
画素電極37及び共通電極39は両方とも透光電極であり、透光電極は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)などの透明導電体により作成され、数nm~数十nmの厚さの薄い厚さに形成された金属薄膜又は金属酸化物がドーピングされた数nm~数十nmの厚さの薄い厚さに形成された単一層又は複数層の金属薄膜である。
【0134】
赤色光吸収層38Rは赤色波長領域の光を選択的に吸収する。赤色光吸収層38Rは、例えばp型半導体及びn型半導体を備え、p型半導体及びn型半導体はpn接合を形成する。p型半導体及びn型半導体のうちの少なくとも一方は、赤色波長領域の光を選択的に吸収し、赤色波長領域の光を選択的に吸収して励起子を生成した後に、生成された励起子を正孔及び電子に分離して光電効果を生じさせる。赤色光吸収層38Rは赤色フィルターに取って代わる。
【0135】
赤色光吸収層38Rは単一層であるか又は複数層である。赤色光吸収層38Rは、例えば、真性層(I層)、p型層/I層、I層/n型層、p型層/I層/n型層、p型層/n型層などの様々な組み合わせである。真性層はp型半導体及びn型半導体を両方とも備え、p型層はp型半導体を備え、n型層はn型半導体を備える。
【0136】
赤色光吸収層38Rは約1nm~500nmの厚さを有する。例えば約5nm~300nmの厚さを有する。上記範囲の厚さを有することにより光が効果的に吸収され、正孔及び電子を効果的に分離及び転送することにより光電変換効率が効果的に改善される。
【0137】
赤色光吸収層38Rは、イメージセンサーの全面に形成される。これにより、イメージセンサーの全面で光が吸収され、その結果、光面積が増えて高い吸光効率を有する。
【0138】
赤色光電素子30Rは、共通電極39側から光が入射して赤色光吸収層38Rが赤色波長領域の光を吸収すると、内部で励起子が生成される。励起子は赤色光吸収層38Rで正孔及び電子に分離され、分離された正孔は画素電極37及び共通電極39のうちのいずれか一方のアノード側に移動し、分離された電子は画素電極37及び共通電極39のうちの他方のカソード側に移動して電流が流れる。分離された電子又は正孔は電荷保存所56Rに集められる。
【0139】
赤色光電素子30Rの上には、第1の中間絶縁層65が形成される。第1の中間絶縁層65は、例えば酸化ケイ素及び/又は窒化ケイ素などの無機絶縁物質で形成され、SiC、SiCOH、SiCO、及びSiOFなどの低誘電率(low K)物質により作成される。
【0140】
第1の中間絶縁層65の上には、青色光電素子30Bが形成される。
【0141】
青色光電素子30Bは青色波長領域の光を選択的に感知する。青色光電素子30Bは、対向する画素電極34及び共通電極36と、画素電極34と共通電極36との間に配設された青色光吸収層35Bと、を備える。画素電極34及び共通電極36のうちのいずれか一方はアノードであり、他方はカソードである。
【0142】
画素電極34及び共通電極36は両方とも透光電極であり、透光電極は、例えば、酸化インジウムスズ(indium tin oxide:ITO)又は酸化インジウム亜鉛(indium zinc oxide:IZO)などの透明導電体により作成され、数nm~数十nmの厚さの薄い厚さに形成された金属薄膜又は金属酸化物がドーピングされた数nm~数十nmの厚さの薄い厚さに形成された単一層又は複数層の金属薄膜である。
【0143】
青色光吸収層35Bは青色波長領域の光を選択的に吸収する。青色光吸収層35Bは、例えばp型半導体及びn型半導体を備え、p型半導体及びn型半導体はpn接合を形成する。p型半導体及びn型半導体のうちの少なくとも一方は青色波長領域の光を選択的に吸収し、青色波長領域の光を選択的に吸収して励起子を生成した後に、生成された励起子を正孔及び電子に分離して光電効果を生じさせる。青色光吸収層35Bは青色フィルターに取って代わる。
【0144】
青色光吸収層35Bは単一層であるか又は複数層である。青色光吸収層35Bは、例えば、真性層(I層)、p型層/I層、I層/n型層、p型層/I層/n型層、p型層/n型層などの様々な組み合わせである。真性層はp型半導体及びn型半導体を両方とも備え、p型層はp型半導体を備え、n型層はn型半導体を備える。
【0145】
青色光吸収層35Bは約1nm~500nmの厚さを有する。例えば約5nm~300nmの厚さを有する。上記範囲の厚さを有することにより光が効果的に吸収され、正孔及び電子を効果的に分離及び転送することにより光電変換効率が効果的に改善される。
【0146】
青色光吸収層35Bはイメージセンサーの全面に形成される。これにより、イメージセンサーの全面で光が吸収され、その結果、光面積が増えて高い吸光効率を有する。
【0147】
青色光電素子30Bは、共通電極36側から光が入射して青色光吸収層35Bが青色波長領域の光を吸収すると、内部で励起子が生成される。励起子は青色光吸収層35Bで正孔及び電子に分離され、分離された正孔は画素電極34及び共通電極36のうちのいずれか一方のアノード側に移動し、分離された電子は画素電極34及び共通電極36のうちの他方のカソード側に移動して電流が流れる。分離された電子又は正孔は電荷保存所56Bに集められる。
【0148】
青色光電素子30Bの上には、第2の中間絶縁層75が形成される。第2の中間絶縁層75は、例えば酸化ケイ素及び/又は窒化ケイ素などの無機絶縁物質で形成され、SiC、SiCOH、SiCO、及びSiOFなどの低誘電率(low K)物質により作成される。
【0149】
下部絶縁層60、第1の中間絶縁層65、及び第2の中間絶縁層75は、電荷保存所55、56G、56B、56Rを露出させるトレンチ及び/又はコンタクト孔を有する。
【0150】
第2の中間絶縁層75の上には、緑色光電素子30Gが形成される。緑色光電素子30Gは緑色波長領域の光を選択的に感知する。
【0151】
緑色光電素子30Gは、対向する画素電極31及び共通電極33と、画素電極31と共通電極33との間に配設された緑色光吸収層32Gと、を備える。具体的な内容は上述した通りである。
【0152】
緑色光電素子30Gの上には、上部絶縁層80が形成される。上部絶縁層80は、電荷保存所55を露出させるトレンチ及び/又はコンタクト孔〔図示せず〕を有する。
【0153】
上部絶縁層80の上には、赤外光感知画素I内に画成された画素電極91が形成される。画素電極91の上には、赤外線領域の光を選択的に吸収する赤外光吸収層92及び共通電極93がこの順に形成される。
【0154】
画素電極91は、赤外光感知画素I内に画成され、赤外光感知画素I以外の可視光感知画素RGBには形成されない。
【0155】
赤外光吸収層92は、赤外光感知画素Iにおける画素電極91と共通電極93との間に配設された光電変換領域92aと、可視光感知画素RGBに対応して配設された非光電変換領域92bと、を備える。赤外光吸収層92の光電変換領域92aは画素電極91及び共通電極93と共に赤外光光電素子90を形成し、赤外光吸収層92の非光電変換領域92bは、赤外線波長領域の光が緑色光電素子30G、青色光電素子30B、及び赤色光電素子30Rに流入することを遮断する赤外光ろ過層としての役割を果たす。
【0156】
共通電極93の上には、集光レンズ(図示せず)が更に形成される。集光レンズは入射光の方向を制御して光を一つの地点に集める。集光レンズは、例えばシリンダー状又は半球状であるが、これに限定されない。
【0157】
本実施形態では、赤色光電素子30R、青色光電素子30B、及び緑色光電素子30Gがこの順に積層された構造を例示しているが、これに限定されるものではなく、積層順序は種々に変更可能である。
【0158】
上述した実施形態とは異なり、本実施形態によるイメージセンサーは、半導体基板110に集積された光感知素子及びカラーフィルター層を省略し、赤色光電素子30R、青色光電素子30B、及び緑色光電素子30Gが垂直方向に積層される。このため、本実施形態によるイメージセンサーは、赤色画素、緑色画素、及び青色画素が一つの可視光感知画素に取って代わり、その結果、イメージセンサーの面積が大幅に減る。
【0159】
また、上述したように、別途の赤外光感知画素を設けることにより、低照度環境においてイメージセンサーの感度及び輝度が急激に低下することを防ぎ、高感度特性及び高輝度特性が実現される。
【0160】
上述したイメージセンサーは様々な電子装置に適用可能であり、例えば、モバイル電話、デジタルカメラ、生体認識センサーなどに適用可能であるが、これらに限定されない。
【0161】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の実施形態から逸脱しない範囲内で多様な変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0162】
10、20 単位画素群
30G 緑色光電素子
30B 青色光電素子
30R 赤色光電素子
31、34、37、91 画素電極
32G 緑色光吸収層
33、36、39、93 共通電極
35B 青色光吸収層
38R 赤色光吸収層
50 光感知素子
50B 青色光感知素子
50R 赤色光感知素子
50G 緑色光感知素子
55、56G、56B、56R 電荷保存所
60 下部絶縁層
65、75 中間絶縁層
70 カラーフィルター層
70R 赤色フィルター
70G 緑色フィルター
70B 青色フィルター
80 上部絶縁層
85 コンタクト孔
90 赤外光光電素子
92 赤外光吸収層
92a 光電変換領域
92b 非光電変換領域
100、200、300、400 イメージセンサー
110 半導体基板