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  • 特許-非接触型データ受送信体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】非接触型データ受送信体
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20220426BHJP
   H01Q 1/40 20060101ALI20220426BHJP
   H05K 9/00 20060101ALN20220426BHJP
【FI】
G06K19/077 296
G06K19/077 144
G06K19/077 148
G06K19/077 264
G06K19/077 280
H01Q1/40
H05K9/00 Q
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017096653
(22)【出願日】2017-05-15
(65)【公開番号】P2018194960
(43)【公開日】2018-12-06
【審査請求日】2020-02-12
【審判番号】
【審判請求日】2021-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】トッパン・フォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100206999
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 綾夏
(72)【発明者】
【氏名】加賀谷 仁
【合議体】
【審判長】田中 秀人
【審判官】山澤 宏
【審判官】須田 勝巳
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-516336(JP,A)
【文献】特開2017-069678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K19/077
H01Q1/40
H05K9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICチップおよび該ICチップに接続された第1アンテナを有するインレットと、
前記第1アンテナと非接触で電磁結合するブースター用の第2アンテナを有するアンテナ部と、
前記インレットおよび前記アンテナ部を支持する高誘電材と、
前記高誘電材における前記インレットおよび前記アンテナ部を支持する側とは反対側に積層された金属材と、
前記インレットおよび前記アンテナ部と前記高誘電材の間に設けられ、前記高誘電材よりも比誘電率が低い絶縁材と、
前記インレット、前記アンテナ部、前記高誘電材、前記金属材および前記絶縁材からなる積層体の外周全体を被覆する樹脂からなる被覆材と、
を備え、
前記インレットの前記第1アンテナと、前記アンテナ部の前記第2アンテナとは、同一平面上に配置されており、
前記被覆材は、前記積層体の外形に沿う形状をなしている、
ことを特徴とする非接触型データ受送信体。
【請求項2】
前記絶縁材は、前記インレットを構成する基材よりも比誘電率が低いことを特徴とする請求項1に記載の非接触型データ受送信体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触型データ受送信体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、流通管理、履歴管理、物品管理、その他の各種管理を効率的に行うべく、RFID(Radio Frequency IDentification)が様々な用途に用いられている。このRFIDは、RFIDタグと呼ばれる電子機器と情報読出/書込装置(リーダ/ライタ)との間で電磁界や電波等を用いた近距離の無線通信を行うことで、RFIDタグに対する情報の書き込みを非接触で行い、あるいはRFIDタグからの情報の読み出しを非接触で行うものである。
【0003】
RFIDタグは、金属体に近接すると通信性能が損なわれ、例えば、通信距離が短くなってしまう。このため、金属体に近接した状態で使用されるRFIDタグにおいて、通信距離をより長くするために、次のような構成のRFIDタグが知られている。
このようなRFIDタグとしては、例えば、金属体に接するように配置される誘電体シートと、その誘電体シート上に配置され、ICチップおよびそのICチップに接続された第1アンテナを有するインレットと、そのインレットを覆うようにモールドされた樹脂と、その樹脂上に配置され、第1アンテナと非接触で電磁結合するブースター用の第2アンテナとを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4878266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような構成のRFIDタグでは、インレットを射出成形等の成形法により被覆すると、インレットの共振周波数の極大値が、目的とする周波数よりも低周波数側にシフトしてしまい、目的とする周波数特性が得られないという課題があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、インレットを射出成形等の成形法により被覆しても目的とする周波数特性が得られる非接触型データ受送信体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の非接触型データ受送信体は、ICチップおよび該ICチップに接続された第1アンテナを有するインレットと、前記第1アンテナと非接触で電磁結合するブースター用の第2アンテナを有するアンテナ部と、前記インレットおよび前記アンテナ部を支持する高誘電材と、該高誘電材における前記インレットおよび前記アンテナ部を支持する側とは反対側に積層された金属材と、前記インレットおよび前記アンテナ部と前記高誘電材の間に設けられ、前記高誘電材よりも比誘電率が低い絶縁材と、前記インレット、前記アンテナ部、前記高誘電材、前記金属材および前記絶縁材からなる積層体の外周全体を被覆する樹脂からなる被覆材と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の非接触型データ受送信体において、前記絶縁材は、前記インレットを構成する基材よりも比誘電率が低いことが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、インレットを射出成形等の成形法により被覆しても目的とする周波数特性が得られる非接触型データ受送信体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態による非接触型データ受送信体の要部構成を示す図であって、(a)は平面透視図であり、(b)は(a)中のA-A線に沿う断面矢視図である。
図2】実験例における非接触型データ受送信体の特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態による非接触型データ受送信体について詳細に説明する。尚、以下で説明する実施形態は、本発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであって、本発明を限定するものではない。また、以下で参照する図面においては、理解を容易にするために、必要に応じて各部材の寸法を適宜変えて図示している。
【0012】
図1は、本発明の実施形態による非接触型データ受送信体の要部構成を示す図であって、(a)は平面透視図であり、(b)は(a)中のA-A線に沿う断面矢視図である。
図1に示す通り、本実施形態の非接触型データ受送信体10は、インレット20と、アンテナ部30と、インレット20およびアンテナ部30を支持する高誘電材40と、高誘電材40におけるインレット20およびアンテナ部30を支持する側とは反対側に積層された金属材50と、インレット20およびアンテナ部30と高誘電材40の間に設けられ、高誘電材40よりも比誘電率が低い絶縁材60と、インレット20、アンテナ部30、高誘電材40、金属材50および絶縁材60からなる積層体70の外周全体を被覆する樹脂からなる被覆材80とから概略構成されている。
【0013】
非接触型データ受送信体10は、非接触型データ受送信体10は、図1に示すように、インレット20、アンテナ部30、高誘電材40、絶縁材60および金属材50からなる積層体70を、この順に備えている。
なお、被覆材80は、積層体70を収容する収容部を有し、樹脂からなる筐体であってもよい。
【0014】
非接触型データ受送信体10では、インレット20およびアンテナ部30が、絶縁材60の一方の面(上面)60aに配置されている。
【0015】
インレット20は、基材21と、基材21の一方の面21aに設けられたICチップ22およびICチップ22に電気的に接続された第1アンテナ23とから概略構成されている。
【0016】
基材21としては、比誘電率が1~12である基材が好適に用いられ、4.8~12である基材がより好適に用いられる。また、基材21の比誘電率は、非接触型データ受送信体10に要求される通信特性(通信距離、周波数帯域)等に応じて適宜調整される。
また、基材21の一方の面21aには、後述するアンテナ部30を構成する第2アンテナ31が設けられる。そのため、基材21は、平面視形状の外形が第2アンテナ31とほぼ同一の形状をなしている。
【0017】
このような基材21としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる基材、ポリイミドからなる基材、ガラス繊維の布にエポキシ樹脂を染み込ませて熱硬化処理を施し板状にした基材(Flame Retardant Type 4、FR-4)等が挙げられる。FR-4としては、具体的には、パナソニック社製のR-1700(商品名)等が挙げられる。
基材21の厚みは、特に限定されず、非接触型データ受送信体10に要求される通信特性(通信距離)等に応じて適宜調整される。基材21の厚みは、例えば、50μm~2.2mmであることが好ましく、一般流通量が多い1mm、1.6mmがコスト的に最も好ましい。
【0018】
本実施形態における比誘電率の測定方法は、IEC60250に規定された法が用いられる。
【0019】
ICチップ22は、外部から非接触で第1アンテナ23およびアンテナ部30の第2アンテナ31を介して供給される電力によって動作し、外部との間で第1アンテナ23および第2アンテナ31を介した無線通信を行って非接触状態でデータの書き込み及び読み出しを行う半導体集積回路である。このICチップ22としては、特に限定されず、第1アンテナ23および第2アンテナ31を介して非接触状態でデータの書き込みおよび読み出しが可能なものであれば、任意のものを用いることができる。
【0020】
第1アンテナ23は、ICチップ22に対して電気的に接続されるアンテナである。
図1に示す第1アンテナ23は、平面視形状が四角環形状であるループ状のアンテナである。なお、図1においては、第1アンテナ23が四角環形状のものを図示しているが、第1アンテナ23の形状は、円環形状、楕円環形状、多角環形状、その他の任意の形状であってもよい。また、第1アンテナ23は、二重ループ状のアンテナであってもよい。
第1アンテナ23の厚みは、特に限定されないが、50μm~2.2mmであることが好ましく、一般流通量が多い1mm、1.6mmがコスト的に最も好ましい。
また、第1アンテナ23の長さは、特に限定されないが、周波数920MHzの1/2波長、1/3波長、1/4波長に相当する長さが好ましく、30mm~90mmであることが好ましい。また、第1アンテナ23の幅は、使用する部材の比誘電率に合せて調整することにより、非接触型データ受送信体10の周波数特性を調整することができる。
【0021】
第1アンテナ23を構成する材料としては、例えば、公知のポリマー型導電インク、銀インク組成物等の導電性のインク、金属箔、電気メッキや静電メッキにより形成された金属薄膜、金属蒸着等の各種薄膜形成法により形成された金属薄膜、金属板等が挙げられる。
【0022】
アンテナ部30は、基材21と、基材21の一方の面21aに設けられた第2アンテナ31とから概略構成されている。
アンテナ部30の第2アンテナ31は、第1アンテナ23と非接触で電磁結合するブースター用のアンテナである。第2アンテナ31は、第1アンテナ23のみによって無線通信を行う場合よりも、通信距離を長くする(長距離通信を可能にする)ために設けられる。この第2アンテナ31は、例えば、外形が板状または帯状をなす部材であり、インレット20に設けられた第1アンテナ23の近傍に配置され、第1アンテナ23の外縁の少なくとも一部に沿うように設けられる。
【0023】
なお、第2アンテナ31が、第1アンテナ23の外縁に沿うように設けられるとは、第1アンテナ23と第2アンテナ31との間で電気的な接続(電磁結合)が可能な位置に、両者が互いに配置されていることをいう。本実施形態において、第2アンテナ31は、平面視形状が四角環形状であるループ状の第1アンテナ23の3辺に沿うように設けられており、第1アンテナ23に沿う部分の平面視形状はコ字状にされている。
【0024】
より具体的に、第2アンテナ31は、インレット20(第1アンテナ23)の外側に沿うように形成された中央部(インレット20が配置される部分)31Aと、中央部31Aから高誘電材40の長手方向の両端部まで延在する線状または帯状の放射部31B,31Bとからなるアンテナである。第2アンテナ31の中央部31Aには切り欠きが形成されており、これにより、中央部31Aの平面視形状(中央部31Aの第1アンテナ23に沿う部分の平面視形状)がコ字状にされている。
【0025】
第2アンテナ31の中央部31Aは、その内側に配されるインレット20(第1アンテナ23)とほぼ同一の形状に形成されていることが好ましい。また、インレット20(第1アンテナ23)は、第2アンテナ31の中央部31Aと接触しないように設けられるが、両者の間の隙間ができる限り小さくなるように中央部31Aが形成され、かつ両者の間の隙間はできる限り小さくなるように中央部31A内にインレット20(第1アンテナ23)を配置することが好ましい。なお、第1アンテナ23と第2アンテナ31との間隔は、両者の間で電気的な接続(電磁結合)が可能な範囲であれば特に限定されない。
【0026】
第2アンテナ31は、RFIDで使用されるUHF帯やマイクロ波帯の電波帯の周波数(300MHz~30GHz)の1/2波長に相当する長さとなっている。つまり、ICチップ22を中心とする2つの領域に放射部31B,31Bを区分した場合、それぞれの長手方向における長さは、1/4波長に相当する長さとなっている。例えば、第2アンテナ31は、長手方向の長さが65mm程度に設定され、短手方向の長さが12mm程度に設定される。
【0027】
第2アンテナ31を構成する材料としては、第1アンテナ23を構成する材料と同様のものが用いられるが、導電性を有した異なる材質でもよい。
第2アンテナ31の厚みは、特に限定されないが、18μm~32μmであることが好ましい。
【0028】
このように構成されたインレット20とアンテナ部30は、絶縁材60を介して、高誘電材40に支持されて、インレット20の第1アンテナ23とアンテナ部30の第2アンテナ31が、高誘電材40の一方の面40a側(絶縁材60の一方の面60a上)において、同一面上に配置されている。
【0029】
高誘電材40は、誘電材からなり、絶縁材60を介して、インレット20とアンテナ部30を紙面の下側から支持する。図1に示す高誘電材40は、平面視形状が長方形状の板状の部材であり、平面視形状がアンテナ部30とほぼ同一の形状をなしている。
高誘電材40を構成する誘電材としては、比誘電率が基材21の比誘電率以上の4.8~12の材料であることが好ましく、8~12の材料であることがより好ましい。また、高誘電材40の比誘電率は、非接触型データ受送信体10に要求される通信特性(通信距離、共振周波数帯域)等に応じて適宜調整される。
このような誘電材としては、例えば、ポリフェニレンサルファイド系樹脂にチタン酸カリウム繊維を含んだポリプラスチックス社製のFREQTIS(登録商標) P1231A等が挙げられる。
【0030】
高誘電材40の厚みは、特に限定されず、非接触型データ受送信体10に要求される通信特性(通信距離)等に応じて適宜調整される。高誘電材40の厚みは、例えば、1mm~3mmであることが好ましい。
【0031】
金属材50は、金属からなり、高誘電材40におけるインレット20およびアンテナ部30を支持する一方の面40aとは反対側の面(以下、「他方の面」と言う。)40bに積層されている。図1に示す金属材50は、平面視形状が長方形状の部材であり、平面視形状が高誘電材40とほぼ同一の形状をなしている。すなわち、金属材50は、金属板であっても、金属箔であってもよい。
金属材50を構成する金属としては、特に限定されないが、アルミニウム、銅、金、銀、ステンレス、銀パラジウム、半田等が挙げられる。
【0032】
金属材50の厚みは、特に限定されないが、18μm~32mmであることが好ましい。
【0033】
絶縁材60は、比誘電率が低い樹脂からなり、基材21の一方の面21aとは反対側の面(以下、「他方の面」と言う。)21bに積層されている。図1に示す絶縁材60は、平面視形状が長方形状の部材であり、平面視形状が高誘電材40とほぼ同一の形状をなしている。
【0034】
絶縁材60は、高誘電材40よりも比誘電率が低い。また、絶縁材60は、インレット20を構成する基材21よりも比誘電率が低いことが好ましい。
絶縁材60の比誘電率は、1.0~4.8であることが好ましく、2.0~3.0であることがより好ましい。
絶縁材60の比誘電率は、特に限定されないが、特に限定されず、非接触型データ受送信体10に要求される通信特性(通信距離、共振周波数帯域)等に応じて適宜調整される。
【0035】
絶縁材60の厚みは、特に限定されず、非接触型データ受送信体10に要求される通信特性(通信距離、共振周波数帯域)等に応じて適宜調整される。絶縁材60の厚みは、例えば、50μm~1mmであることが好ましい。絶縁材60の厚みを調整することにより、後述するように、非接触型データ受送信体10の通信距離や共振周波数帯域を制御することができる。
【0036】
絶縁材60を構成する樹脂としては、比誘電率が上記の範囲内にあるものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET、比誘電率:2.4)、ポリカーボネート(比誘電率:3.1)等が挙げられる。
【0037】
被覆材80は、樹脂からなる。図1に示す被覆材80は、インレット20、アンテナ部30、高誘電材40、絶縁材60および金属材50からなる積層体70の外形に沿う形状をなしている。
被覆材80を構成する樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、ポリオレフィン樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。
【0038】
被覆材80の厚みは、特に限定されないが、50μm~5mmであることが好ましい。
【0039】
本実施形態の非接触型データ受送信体10は、被貼付体である金属体100に貼付されて用いられる。非接触型データ受送信体10は、ねじ止めや、粘着材を介した粘着等により、金属体100に貼付される。
【0040】
本実施形態の非接触型データ受送信体10によれば、インレット20およびアンテナ部30と高誘電材40の間に、高誘電材40よりも比誘電率が低い絶縁材60が設けられているため、インレット20、アンテナ部30、高誘電材40、金属材50および絶縁材60からなる積層体70の外周全体が、射出成形等の成形法により被覆材80で被覆されても目的とする周波数特性が得られる。また、本実施形態の非接触型データ受送信体10によれば、インレット20およびアンテナ部30と高誘電材40の間に設けられている絶縁材60の厚みを調整することにより、通信距離や共振周波数帯域を制御することができる。
【0041】
なお、本実施形態では、絶縁材60とは反対側に、インレット20および第2アンテナ31が設けられた場合を例示したが、本発明の非接触型データ受送信体はこれに限定されない。本発明の非接触型データ受送信体にあっては、絶縁材側に、インレットおよび第2アンテナが設けられていてもよい。
【実施例
【0042】
以下、実験例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実験例に限定されるものではない。
【0043】
[実験例1]
ICチップおよび第1アンテナを有するインレットと、基材(厚みが1.6mm)および第2アンテナ(長手方向の長さが65mm、短手方向の長さが12mm)を有するアンテナ部と、絶縁材(長手方向の長さが65mm、短手方向の長さが12mm、厚みが150μm)と、高誘電材(長手方向の長さが65mm、短手方向の長さが12mm、厚みが2mm)と、金属材(長手方向の長さが65mm、短手方向の長さが12mm、厚みが0.1mm)と、被覆材とを有する、図1に示すような実験例1の非接触型データ受送信体を作製した。
インレットの基材およびアンテナ部の基材としては、パナソニック社製のFR-4(商品名:R-1700)を用いた。
絶縁材としては、東レ社製のPETフィルム ルミラー(商品名、比誘電率ε=2.4)を用いた。
高誘電材としては、ポリプラスチックス社製のFREQTIS(登録商標) P1231A(商品名、比誘電率ε=12)を用いた。
金属材としては、ステンレス板を用いた。
被覆材を構成する樹脂としては、ポリカーボネートを用いた。
【0044】
非接触型データ受送信体を金属板上に配置し、情報読出/書込装置(商品名:Tag Formancelite、Voyantic社製)を用いて、電波暗箱内にて、それぞれの非接触型データ受送信体の通信特性(通信距離、共振周波数帯域)を評価した。なお、通信距離を測定するに当たり、情報読出/書込装置の出力を一定とした。結果を図2に示す。
【0045】
[実験例2]
絶縁材として、厚みが300μmのPETフィルムを用いたこと以外は実験例1と同様にして、実験例2の非接触型データ受送信体を作製した。
実験例2の非接触型データ受送信体について、実験例1と同様にして、通信特性(通信距離、共振周波数帯域)を評価した。結果を図2に示す。
【0046】
[実験例3]
絶縁材を設けなかったこと以外は実験例1と同様にして、実験例3の非接触型データ受送信体を作製した。
実験例3の非接触型データ受送信体について、実験例1と同様にして、通信特性(通信距離、共振周波数帯域)を評価した。結果を図2に示す。
【0047】
図2に示す結果から、インレットおよびアンテナ部と高誘電材の間に絶縁材を設けることにより、非接触型データ受送信体の共振周波数帯域が高周波数側にシフトすることが確認された。また、絶縁材の厚みを厚くすることにより、非接触型データ受送信体の共振周波数帯域が高周波数側にシフトするとともに、通信距離が長くなることが確認された。
【符号の説明】
【0048】
10・・・非接触型データ受送信体、20・・・インレット、21・・・基材、22・・・ICチップ、23・・・第1アンテナ、30・・・アンテナ部、31・・・第2アンテナ、40・・・高誘電材、50・・・金属材、60・・・絶縁材、70・・・積層体、80・・・被覆材、100・・・金属体。
図1
図2