(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-17
(54)【発明の名称】液晶表示装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13357 20060101AFI20220426BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20220426BHJP
【FI】
G02F1/13357
G02F1/1335
(21)【出願番号】P 2017107890
(22)【出願日】2017-05-31
【審査請求日】2020-05-29
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100096943
【氏名又は名称】臼井 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(72)【発明者】
【氏名】趙 動旭
【審査官】横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-058877(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0014076(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第1760740(CN,A)
【文献】特開2006-164808(JP,A)
【文献】特表2008-517328(JP,A)
【文献】国際公開第2012/105597(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13357
G02F 1/1335,1/13363
F21S 2/00
F21V 8/00
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックライトと、
前記バックライトの上に配置される光学シートと、
前記光学シートの上に配置される樹脂シートと、
前記樹脂シートの上に配置される液晶表示パネルと、
前記樹脂シートと前記液晶表示パネルとの間に配置される粘着層と、を有し、
前記粘着層は、粘着樹脂と、前記粘着樹脂中に分散された
複数の粒子とを含有し、
前記
複数の粒子
のそれぞれは、外殻と、前記外殻の中の
複数の空気層とを有し、
前記外殻の屈折率は、前記
複数の空気層の屈折率よりも大きく、
かつ、前記粘着樹脂の屈折率よりも小さ
く、
前記複数の粒子それぞれにおける前記複数の空気層の体積率が、10%以上50%以下であり、
前記粘着層に含まれる前記複数の粒子の体積率が10%以上50%以下である、液晶表示装置。
【請求項2】
前記光学シートが、
前記バックライトの上に配置される拡散シートと、前記拡散シートの上に配置される第1のプリズムシートと、前記第1のプリズムシートの上に配置される第2のプリズムシートと、を有する、もしくは
前記バックライトの上に配置される第1のプリズムシートと、前記第1のプリズムシートの上に配置される第2のプリズムシートと、を有する、
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記粘着樹脂は、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂、ポリオレフィン樹脂および液晶ポリマー樹脂のうち、少なくとも1つを含む、請求項1または2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記粒子が、無機化合物である請求項1~3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記粒子の形状が球形であり、前記粒子のメジアン径が10μm以下である請求項1~
4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記粘着層のHazeが、10%以上80%以下である、請求項1~
5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記粘着樹脂の屈折率が1.35以上であり、前記外殻の屈折率が1.2以上1.5以下である、請求項1~
6のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
バックライトの上に光学シートを配置し、
前記光学シートの上に樹脂シートを配置し、
前記樹脂シートの上に液晶表示パネルを配置し、
前記樹脂シートと前記液晶表示パネルとの間に粘着層を配置し、
前記粘着層は、粘着樹脂と、前記粘着樹脂中に分散された
複数の粒子とを含有し、
前記
複数の粒子
のそれぞれは、外殻と、前記外殻の中の
複数の空気層とを有し、
前記外殻の屈折率は、前記
複数の空気層の屈折率よりも大きく、
かつ、前記粘着樹脂の屈折率よりも小さ
く、
前記複数の粒子それぞれにおける前記複数の空気層の体積率が、10%以上50%以下であり、
前記粘着層に含まれる前記複数の粒子の体積率が10%以上50%以下である、液晶表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記光学シートが、
前記バックライトの上に拡散シートを配置し、前記拡散シートの上に第1のプリズムシートを配置し、前記第1のプリズムシートの上に第2のプリズムシートを配置する、もしくは
前記バックライトの上に第1のプリズムシートを配置し、前記第1のプリズムシートの上に第2のプリズムシートを配置する、
請求項
8に記載の液晶表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に液晶表示装置は、光源装置と光学シート、および液晶表示パネルを含んで構成される。光学シートには、プリズムシートや光拡散層となる光拡散シート、位相差フィルム、偏光フィルムなどが含まれる。光源装置から出た光は、光源装置入光面または出光面に配置される光拡散層で拡散されることで、光源装置を構成する光源として用いられる冷極陰管やLEDの形状等に起因する明るさのムラが抑制される。
【0003】
液晶表示装置に一般的に用いられる各種光学シートは、重ね合わせて設置されるものであるため、光源装置とシート、およびシートとシートの間にギャップが存在する。このギャップにバラツキが存在すると光学的干渉が起こる原因となり、輝度ムラ、ニュートンリング、干渉縞等が生じてしまう。この光学シートの構成に起因する明るさのムラにより、表示される画像や文字の美観が損なわれたり、特に輝度が低い部分では、視認性が低下する等の不都合が生じたりする場合がある。
【0004】
そのため、一般的には液晶表示装置は液晶表示パネルの下面と光学シートの上面の間に所定のギャップ空間を形成することで明るさのムラを抑制している。近年、液晶表示装置の薄型化が望まれているが、前述のギャップ空間を設けることで液晶表示装置の厚さが増加している。
【0005】
液晶表示装置に備えられる光拡散層としては、合成樹脂フィルムより形成される光拡散シートが用いられるが、液晶表示装置の薄型化に対応するため、光拡散シートの代わりに、光の拡散性を付与するための微粒子を添加した粘着剤を用いて装置を構成する層を一体化することが提案されている。
【0006】
特許文献1にはアクリル系粘着剤、合成樹脂粒子、および、分岐を有するアルキル基を含有する有機化合物を含む光拡散粘着剤溶液が記載されている。また、特許文献2には、珪素系粒子を含有させた光拡散粘着剤が記載されている。特許文献3には、アクリル系粘着剤と該アクリル系粘着剤中に分散した光拡散性微粒子とを含む光拡散層が記載されている。特許文献4には、中空粒子を含む粘着剤と、粘着剤を導光板の入光面に設けることが記載されている。
【0007】
近年、液晶表示装置は、薄型化が求められると共に、液晶表示装置に用いられる光源の輝度も高くなってきており、より効率よく光を拡散させて明るさのムラを抑制するような構造が求められているが、高輝度光源を用いた場合でも明るさのムラを抑制できるような光拡散性を有するためには、光拡散性の粘着剤で形成される層にある程度の厚みが求められる。また、粘着剤の粘着力は略粘着剤で形成される層の厚みに比例するため、十分な粘着力を維持する観点から薄層化に限界がある。さらに、粘着剤に光拡散性を有する微粒子を混合すると、粘着剤樹脂の体積率が減少するため、微粒子を含まない場合よりも粘着剤で形成される層を厚くする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2011-063745号公報
【文献】特開2015-140380号公報
【文献】特開2015-207377号公報
【文献】特開2013-157152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明においては、明るさのムラを抑制することができ、さらに薄型化を実現可能な液晶表示装置を提供することを目的とする。また該液晶表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
バックライトと、前記バックライトの上に配置される光学シートと、前記光学シートの上に配置される樹脂シートと、前記樹脂シートの上に配置される液晶表示パネルと、前記樹脂シートと前記液晶表示パネルとの間に配置される粘着層と、を有し、前記粘着層には、空気層を有する粒子が含まれることを特徴とする液晶表示装置に関する。また、前記液晶表示装置の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、光学シートの構成に起因する明るさのムラを抑制することができ、また、高輝度光源を用いた場合にも明るさのムラを抑制できるような高い光拡散性を有し、且つ、薄型化を達成可能な構造を有する液晶表示装置が提供される。
【0012】
また、本発明の別の態様によれば、前記液晶表示装置の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る液晶表示装置の概略平面図である。
【
図2】本発明の第1の実施例による液晶表示装置を説明するための概略断面図である。
【
図3】本発明の第2の実施例による液晶表示装置を説明するための概略断面図である。
【
図4】本発明の第3の実施例による液晶表示装置を説明するための概略断面図である。
【
図5】本発明の第1の実施例に用いられる粒子108bを説明するための概略断面図であり、(a)は粒子108bが中空粒子20である場合、(b)は粒子108bが多孔質粒子21である場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明による液晶表示装置の好ましい実施例を添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明に係る液晶表示装置の概略平面図である。
【0016】
また、
図2は本発明の第1の実施例による液晶表示装置を説明するための概略断面図である。
【0017】
図1に示した本発明に係る液晶表示装置は、画像表示部1と、画像表示部1の外縁に形成されるベゼル部4とを含む。ベゼル部4には、液晶表示装置の内側と外側を遮光するためのブラックマトリクス3と、ブラックマトリクス3とオーバーラップする接地ライン2とが備えられている。さらに、接地ライン2は、液晶表示パネル12を駆動する駆動回路5と接続されている。
【0018】
図2を参照すると、本発明の第1の実施例による液晶表示装置は、バックライト10と、バックライト10の上に光学シート11と、光学シート11の上に液晶表示パネル12と、光学シート11と液晶表示パネル12との間に、液晶表示パネル12の下に設けられた粘着層108と、粘着層108の下に樹脂シート107を有する。
【0019】
バックライト10は、導光板103と、導光板103の横に設けられた光源ユニット101と、導光板103の下に設けられた反射シート102を有する。光源ユニット101としては、液晶表示装置に用いられるものであればどのような光源ユニットを用いてもよく、例えば、発光ダイオード(LED)や冷陰極管などが挙げられる。反射シート102は導光板103の下面に配置され、導光板103の下面を通過して入射される光を液晶表示パネル12側に反射させる。この時、反射シート102の縁部部分は導光板103の入光部を除いた残りの導光板103の側面を取り囲むようにベンディングされることができる。第1の実施例では、導光板103と、その横に光源ユニット101を有するサイドライト方式のバックライトを示しているが、本発明はこれに限定するものではなく、光学シート11の下に光源ユニット101を設ける直下ライト方式のバックライトを用いてもよい。
【0020】
光学シート11は導光板103上に配置され、導光板103から液晶表示パネル12側に進行する光の輝度特性を向上させる。第1の実施例では、光学シート11が、導光板103の上に光拡散シート104と、光拡散シート104の上の第1のプリズムシート105と、第1のプリズムシート105の上の第2のプリズムシート106と、で構成される例を示しているが、これらの他に光拡散シート104、第1のプリズムシート105、第2のプリズムシート106各々を保護するための保護シートを含んでも良く、また、偏光シート、位相差フィルム、反射型偏光子または輝度向上フィルム、屈折率調整層(例えば、低屈折率層、高屈折率層)、導電性フィルムなどを含んでも良い。さらに、光拡散シートを複数含んでいても良いし、プリズムシートは1つ、または3つ以上含んでいても良い。
【0021】
光学シート11の上に設けられた樹脂シート107は液晶表示パネル12と接して粘着層108を設けるために、粘着層108と液晶表示パネルを挟むための部材であり、一般的な光学部材に用いられる透明な樹脂フィルムであればいずれも用いることができるが、ポリエチレンテレフタラートで形成されるフィルムを用いることが好ましい。
【0022】
粘着層108は、粘着樹脂108aと粒子108bを含む。後に詳述するが、粘着層108は粒子108bを含むことで明るさのムラを抑制するための光拡散性を有する。光拡散性を有する粘着層108の層を、光の進行方向から見たときに光学シート11の後段、液晶表示パネル12の直前に有することで、光学シート11の構成に起因する輝度ムラを効率よく抑制することができると考えられる。第1の実施例では粘着層108を液晶表示パネル12と樹脂シート107の間にのみ有する例を示しているが、他にもバックライト10と光学シート11の間に、または光学シート11を構成する光学機能層および/または光学フィルムの間にもさらに設けてもよい。
【0023】
液晶表示パネル12は、粘着層108側の面に第1の偏光板109と、第1の偏光板109の上に第1のガラス基盤110と、第1のガラス基盤110の上に薄膜トランジスタ(TFT)111と、薄膜トランジスタ(TFT)111の上に配向膜112と、配向膜112の上に液晶層113と、液晶層113の上に透明電極114と、透明電極114の上にカラーフィルタ115と、カラーフィルタ115の上に第2のガラス基盤116と、第2のガラス基盤116の上に第2の偏光板117を有する。第1の偏光板109は、粘着層108との接着面から入射した光の特定の振幅方向の光のみを通過させる。薄膜トランジスタ(TFT)111は、透明電極114とともに、液晶層113に含まれる液晶を駆動するために用いられる。配向膜112は液晶層113に含まれる液晶を特定の方向に配向させるための膜である。カラーフィルタ115は、透明電極114との接着面から入射した光を、R、G、Bの3つの基本色にして、加法混合方式で混色を作り出すことで中間色を含むカラー表示を実現するために用いる。カラーフィルタ115の上面から出た光は、第2のガラス基盤116を通過し、さらに第2の偏光板117を通ることで、液晶表示パネル12の上面に画像が表示される。第1の実施例による液晶表示パネル12の前記構成は、画像表示のための構成の1つの例であり、本発明は前記構成に限るものでは無い。
【0024】
本発明においては、光学シート11と液晶表示パネル12の間にギャップ空間を設けるのではなく、光拡散性を有する粘着層108を設けることで、液晶表示装置の薄型化を実現している。
【0025】
続いて、本発明に係る液晶表示装置に用いられる粘着層108について詳細に説明する。
【0026】
粘着層108に入射した光は、粘着層108に含まれる粘着樹脂108aと、粒子108bとの屈折率の差によって拡散する。粘着層108のHazeは10%以上80%以下であることが好ましい。
【0027】
図5は本発明の第1の実施例に用いられる粒子108bを説明するための概略断面図であり、(a)は粒子108bが中空粒子20である場合、(b)は粒子108bが多孔質粒子21である場合を示す。
【0028】
粒子108bは空気層201および外殻202を有し、
図5に示すように、中空粒子20であっても良いし、多孔質粒子21であってもよい。これまで提案されてきた光拡散性粘着層のように、光拡散性を付与するための粒子が中実である場合と比べ、本発明で用いられる粒子108bは空気層201を有するため、粘着樹脂108aと粒子108b内部の空気層201(屈折率1)との屈折率差が大きく、より光拡散効率が高いと考えられる。そのため、粘着層108中の粒子108bの体積率を低くしても高い光拡散性および高い粘着性を保つことができ、粒子108bに対する粘着樹脂108aの堆積率の割合を高くして粘着層108の薄層化を実現できる。
【0029】
粘着層108に含まれる粒子108bの体積率は、10%以上50%以下であることが好ましい。粒子108bの体積率が10%以上であることで、粘着層108が十分な光拡散性を具備することができ、堆積率を50%以下とすることで、十分な粘着力を有することができる。
【0030】
粘着層108の粘着力は、被着面と粘着層108の接着幅を1inchとして、粘着層108を被着面に対して90°の方向に300mm/minの引っ張り速度で引いて測定したときの値が、好ましくは5N/inch以上である。
【0031】
また、粘着層108についての、JIS Z0237「粘着テープ・粘着シート試験方法」に準拠した、180°方向に300mm/minの速度で剥離した時の剥離強度に対応する粘着力は次のように測定することができる。まず、粘着層108をソーダライムガラスのアセトンで洗浄した非錫面に圧着ロールで貼り合わせる。続いて張り合わせた粘着層108の剥離強度を引張試験機によって測定する。このとき、粘着層108の粘着力は、好ましくは5N/25mm以上である。
【0032】
粘着層108の厚さは10μm以上35μm以下であることが好ましく、15μm以上25μm以下であることがより好ましい。
【0033】
第1の実施例では、粒子108bが球形である場合を示したが、形状に特に限定はなく、楕円体、多面体、多角柱、円柱、楕円柱、錐体などであってもよい。本発明においては粘着層108を介して前後の層を貼り合わせる際の圧力により形状が変化しにくく、また粒子108bの配向によって光の拡散性能に偏りが生じないことから、球形であることが好ましい。
【0034】
粒子108bの形状が球形である場合、前記粒子108bのメジアン径は10μm以下であることが好ましい。メジアン径を10μm以下とすることで十分な機械的強度を有し、なお且つ、粘着層108中に均一に分散させることができる。
【0035】
粒子108bの有する空気層201の体積率は10%以上50%以下であることが好ましい。空孔部の体積率を10%以上とすることで十分な光拡散性を有することができ、また体積率を50%以下とすることで十分な機械的な強度を有することができる。
【0036】
粒子108bは例えば、コアが有機ポリマー、シェルがシリカであるコアシェル粒子からなる粉末を製造した後にコアを除去することによって製造することができる。
【0037】
粘着層108における光の拡散は、粘着層108を形成する粘着樹脂108aと粒子108bの空気層201との屈折率の差によってもたらされる。空気層201の屈折率は1であることから、粘着樹脂108a自体の屈折率はより高いほど、空気層201の屈折率との差が大きくなり、光の拡散効率が高いと思われる。
【0038】
粘着樹脂108aの屈折率は、好ましくは1.35以上であり、より好ましくは1.4以上である。
【0039】
また、粘着層108に入射した光は、粘着層108に含まれる外殻202において一部が反射し、残りが屈折して粒子108b内部に進む。また、粒子108b内部に進んだ光は外殻202と空気層201の界面で一部が反射し、残りが屈折して空孔内部に進む。
【0040】
光源からの光の反射の割合を低くし、効率よく拡散させつつ、粘着層108を透過させる観点から、前記粒子108bの有する外殻202は粘着樹脂108aと空気の中間の屈折率を有することが好ましい。具体的には、外殻202の有する屈折率は1.2以上1.5以下であることが好ましく、また1.3以上1.4以下であることがより好ましい。
【0041】
また、外殻202を形成する材料は、無機化合物から構成されることが好ましい。外殻202が無機化合物から構成されていると、有機化合物から構成されている場合に比べて概して機械的強度が高く、粘着層108を介して前後の層を貼り合わせる際の圧力により粒子108bの形状が変化しにくい。
【0042】
粘着層108の有する粘着樹脂108aとしては特に限定されないが、光の拡散効率を高くする観点から上述した屈折率を有する樹脂が好ましい。また、液晶表示装置の薄型化を実現するため、粘着層108で形成される層を薄くした場合でも十分な粘着力を有する樹脂が好ましい。
【0043】
これらの観点から、粘着層108に用いられる粘着樹脂は、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、エチレン‐ビニルアルコール共重合樹脂、ポリオレフィン樹脂および液晶ポリマー樹脂のうち、少なくとも一つを含むことが好ましい。
【0044】
粘着層108は粘着樹脂108aの100重量部に対して、0.1重量部~10重量部の架橋剤をさらに含んでいてもよい。このような架橋剤は粘着樹脂108aと架橋反応を通じて粘着層108に凝集力を付与することができる。
【0045】
この時、用いられる具体的な架橋剤の種類は特に限定されなく、例えば、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アジリジン系化合物および金属キレート系化合物と同じ一般的な架橋剤を使用できる。
【0046】
上記でイソシアネート系化合物の具体的な例は、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートおよび上記中のいずれかの化合物とポリオール(例えば、トリメチルロールプロパン)との反応物よりなる群から選択された一つ以上が挙げられ;エポキシ系化合物の具体的な例は、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、N、N、N‘、N’-テトラグリシジルエチレンジアミンおよびグリセリンジグリシジルエーテルよりなる群から選択された一つ以上が挙げられ;アジリジン系化合物の具体的な例は、N、N‘-トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカルボキサミド)、N、N’-ジフェニルメタン-4,4‘-ビス(1-アジリジンカルボキサミド)、トリエチレンメラミン、ビスイソプロタロイル(bisprothaloyl)-1-(2-メチルアジリジン)およびトリ-1-アジリジニルホスフィンオキシドよりなる群から選択された一つ以上が挙げられる。また、上記金属キレート系化合物の具体的な例は、アルミニウム、鉄、亜鉛、スズ、チタン、アンチモン、マグネシウムおよび/またはバナジウムなどの多価金属がアセチルアセトンまたはアセト酢酸エチルなどに配位している化合物を挙げてよいが、これらに制限されるものではない。
【0047】
上記架橋剤は粘着樹脂108aの100重量部に対して、0.1重量部~10重量部の量で含まれるのが好ましい。上記含量が0.1重量部未満のとき、粘着層108の凝集力が落ちる恐れがあり、10重量部を超えると、層間剥離や浮き現象が生ずる等耐久信頼性が低下する恐れがある。
【0048】
粘着層108は粘着樹脂108aの100重量部に対して、0.01重量部~10重量部のシラン系カップリング剤をさらに含んでいてもよい。シラン系カップリング剤は粘着層108が高温または多湿条件で長時間放置された時、接着信頼性向上に寄与することができ、特にガラス基材との接着時に接着安定性を改善し、耐熱性および耐湿性を向上させることができる。本発明で用いられるシラン系カップリング剤の例は、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシランおよびγ-アセトアセテートプロピルトリメトキシシランなどの1種または2種以上の混合物が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
【0049】
シラン系カップリング剤は粘着樹脂108aの100重量部に対して、0.01重量部~10重量部の量で含まれるのが好ましく、0.05重量部~1重量部の量で含まれるのがさらに好ましい。上記含量が0.01重量部未満のとき、粘着力増加効果が十分でない恐れがあり、10重量部を超えると、気泡または剥離現象が生ずるなど耐久信頼性が低下する恐れがある。
【0050】
粘着層108は、粘着性能の調節の観点から、粘着樹脂108aの100重量部に対して、1重量部~100重量部の粘着性付与樹脂をさらに含んでいてもよい。このような粘着性付与樹脂の種類は特に限定されなく、例えば、(水素化)ヒドロカーボン系樹脂、(水素化)ロジン樹脂、(水素化)ロジンエステル樹脂、(水素化)テルペン樹脂、(水素化)テルペンフェノール樹脂、重合ロジン樹脂または重合ロジンエステル樹脂などの1種または2種以上の混合物が挙げられる。上記粘着性付与樹脂の含量が1重量部未満のとき、添加効果が十分でない恐れがあり、100重量部を超えると、相溶性および/または凝集力向上効果が低下する恐れがある。
【0051】
また、粘着層108は発明の効果に影響を及ぼさない範囲で、熱開始剤または光開始剤のような開始剤;エポキシ樹脂;硬化剤;紫外線安定剤;酸化防止剤;調色剤;補強剤;充填剤;消泡剤;界面活性剤;多官能性アクリレートなどの光重合性化合物;および可塑剤よりなる群から選択された一つ以上の添加剤をさらに含んでいてもよい。
【0052】
図3は本発明の第2の実施例による液晶表示装置を説明するための概略断面図である。
【0053】
第2の実施例では、バックライト10と第1のプリズムシート105の間に第1の粘着層118と、樹脂シート107と液晶表示パネル12の間に第2の粘着層119を有する。また、第2の実施例では、光学シート11が、第1の粘着層118の上の第1のプリズムシート105と、第1のプリズムシート105の上の第2のプリズムシート106と、で構成される。
【0054】
第1の粘着層118と第2の粘着層119は、第1の実施例における粘着層108に対応するものであり、第1の粘着層118の有する第1の粘着樹脂118aと第1の粒子118b、および第2の粘着層119の有する第2の粘着樹脂119aと第2の粒子119bは、第1の実施例における粘着樹脂108aと粒子108bと同様の部材である。
【0055】
さらに、第1の粘着樹脂118aと第2の粘着樹脂119a、および第1の粒子118bと第2の粒子119bは、それぞれ互いに同じ材質の組み合わせでも良いし、異なる材質の組み合わせであっても良い。その他の構成は第1の実施例と同様であり、説明は省略する。
【0056】
第2の実施例ではバックライト10の上に設ける拡散シートを、本発明に係る液晶表示装置に用いられる粘着層とすることで、液晶表示装置をより薄型化できる。
【0057】
図4は本発明の第3の実施例による液晶表示装置を説明するための概略断面図である。
【0058】
第3の実施例では、液晶表示パネル12の有する第1の偏光板109と、薄膜トランジスタ(TFT)の間に位相差フィルム120を有する。その他の構成は第1の実施例と同様であり、説明は省略する。
【0059】
位相差フィルム120は光学的なひずみを補正して色変化などを少なくするために用い、目的に応じて任意の適切な光学特性(例えば、屈折率特性、面内位相差、厚み方向位相差、Nz係数、波長分散特性)を有し得る。
【符号の説明】
【0060】
108:粘着層
108a:粘着樹脂
108b:粒子
201:空気層
202:外殻