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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   F03G 7/06 20060101AFI20220426BHJP
【FI】
F03G7/06 E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017218702
(22)【出願日】2017-11-14
(65)【公開番号】P2019090354
(43)【公開日】2019-06-13
【審査請求日】2020-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000112565
【氏名又は名称】フォスター電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 直輝
(72)【発明者】
【氏名】相川 武憲
【審査官】津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-88818(JP,A)
【文献】特開2016-6309(JP,A)
【文献】特開2005-226456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03G 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子と、この固定子の上部に、固定子に対し近接、離反自在に設けられた移動子と、この移動子と前記固定子間に挟持された形状記憶合金からなり収縮可能であって移動子を移動可能とするワイヤと、これら組立体の両端部にそれぞれ設けられた固定子移動子一体化用バネとを備え、この固定子移動子一体化用バネを前記組立体に装着し、前記固定子背面および前記移動子上面を押圧し、前記固定子および前記移動子の両側面に当接することを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
請求項1記載のアクチュエータにおいて、前記移動子の上面両端部にそれぞれ移動子の幅方向に移動子側係合部が形成され、前記固定子背面両端部にも固定子側係合部が形成され、これら係合部に前記固定子移動子一体化用バネの第1、第2の係合部が係合されることを特徴としたアクチュエータ。
【請求項3】
請求項1または2記載のアクチュエータにおいて、前記固定子移動子一体化用バネは、前記移動子の上面に位置し全体としてほぼコ字状をなし、移動子側の係合部と係合する第1の係合部と、前記固定子の背面に位置しほぼコ字状をなし、固定子側の係合部と係合する第2の係合部と、これら第1、第2の係合部を連結し、前記移動子および固定子の各側面に当接する第1、第2の連結部とからなることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項4】
請求項1記載のアクチュエータにおいて、前記固定子の両端部にそれぞれワイヤ端子が設けられ、このワイヤ端子にワイヤカシメ部が形成され、前記ワイヤをカシメて固定することを特徴とするアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、形状記憶合金の熱による収縮性を利用して振動を発生させるアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、スマートフォン(商品名)のような携帯端末や、いわゆるVR(仮想現実)のゲーム機器等において使用者に振動を伝達するアクチュエータ(振動装置)が搭載されているものがある。皮膚の触感を利用したユーザーインターフェースとしてのこの種のアクチュエータは小型軽量であって、加速度が大きいとユーザに対し強い触感を与えることができるので、大きな加速度が得られることが望ましい。
【0003】
この種のアクチュエータとしては形状記憶合金を用い、移動部材を固定側から離反、近接させるものが存在する。
【0004】
図8は既に知られているアクチュエータの一例の基本構成を示す。図中20は固定子、21は固定子20の上部に設けられる形状記憶合金からなる波状のワイヤ、22はワイヤ21の両端にそれぞれ設けられ、ワイヤ21を支持する支持部材で、スリーブ22a、ワッシャ22b、ネジ22cからなる。23はワイヤ21の上部に設けられ、ワイヤ21の収縮に伴い上下動する移動子、24はほぼS字状をなすS字バネで、移動子23はこのS字バネ24によって移動自在となっている。
【0005】
図9(a)はS字バネ24を装着した側面図、(b)は平面図を示す。S字バネ24は、(a)図に示すように、固定子20の背面の一端部にS字バネ24の一端部24aを係止し、他端部24bは移動子23の上を回して固定子20の他端部24bに係止して取付けるようにしている。
【0006】
そして、ワイヤ21に接続された電源のオン、オフによりワイヤ21が加熱(オン時)、冷却(オフ時)され、それに伴いワイヤ21が収縮したり、元の長さに戻ったりする。これにより移動子23が固定子20に対し上下動するように構成されている。
【0007】
その他、このように形状記憶合金を用いたアクチュエータとしては、図10に示すような特許文献1のものが存在する。図において、30は固定子、31は移動子、32は形状記憶合金からなるワイヤ、33は移動子31と固定子30とを一体化する際に用いられる圧縮コイルスプリング、34は段付きネジである。
【0008】
また、図11に示す構成の特許文献2のものもある。図中、40は固定子、41は形状記憶合金からなるワイヤ、42はバネ本体、43は移動子、44はブラケットである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第6046981号
【文献】特許第5999381号
【発明の概要】
【0010】
図8図9に示した既に知られている非特許文献のアクチュエータでは、ワイヤ21の両端部はそれぞれスリーブ22a、ワッシャ22b、ネジ22c部分に取付けられるが、組立時にワイヤ21がズレて外れ易い。また、S字状のバネ24によって移動子23と固定子20とを押さえるようにしているが、機器への組み込み中に、移動子23にS字バネ24の開いた側の方向に力が加わることにより、移動子23がズレることで容易にS字バネ24が外れることがあり、組立性が悪いという課題がある。
【0011】
図10に示した特許文献1では、移動子31側から段付きネジ34を固定子30側に向って挿通するが、この場合、段付きねじ34を圧縮コイルバネ33に挿通し、かつ段付きネジ34の先端部を固定子30側に螺着し圧縮コイルバネ33を所定の圧力で圧縮しつつ固定子30に対し移動子31を取付けている。ワイヤ32は両端の圧縮コイルバネ33の弾性力により、移動子31によって固定子30に近接するように押圧される。
【0012】
この従来例では上記のように組立工数が多く、組立が煩雑であり、かつ部品点数が多いことから、その分、コスト高となるという課題がある。
【0013】
また、図11に示した特許文献2は、固定子40の両端部に端子金具45が設けられ、固定子40の上面にワイヤ41の両端を固定し、バネ体42のピン状に折曲された基部42aは移動可能に収容するガイド穴46に設けられ、バネ体42は移動子43が固定子40に対し離脱する方向に付勢されるように摺動可能にガイド穴46に取付けている。
【0014】
そして移動子43の上面を筐体(図示せず)に押し当てバネ体42の付勢力に抗して、バネ体42を弾性変形させつつ移動子43を固定子40側に押し下げた状態で、アクチュエータを筐体内に設けるようにしている。
【0015】
このように、特許文献2のものも、部品点数が多く、しかも各部材の形状が複雑で、全体構成もかなり複雑であり、組立が煩雑であり、コスト高をも招来するという課題があった。
【0016】
この発明は上記のことに鑑み提案されたもので、その目的とするところは、部品点数を削減し、組立を容易とし、経年使用においても固定子に対し移動子がズレることはなく、長期にわたり性能を維持でき安定的に使用し得るアクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成すべく請求項1に係る本発明は、固定子と、この固定子の上部に、固定子に対し近接、離反自在に設けられた移動子と、この移動子と前記固定子間に挟持された形状記憶合金からなり収縮可能であって移動子を移動可能とするワイヤと、これら組立体の両端部にそれぞれ設けられた固定子移動子一体化用バネとを備え、この固定子移動子一体化用バネを前記組立体に装着し、前記固定子背面および前記移動子上面を押圧し、前記固定子および前記移動子の両側面に当接することを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1記載のアクチュエータにおいて、前記移動子の上面両端部にそれぞれ移動子の幅方向に移動子側係合部が形成され、前記固定子背面両端部にも固定子側係合部が形成され、これら係合部に前記固定子移動子一体化用バネの第1、第2の係合部が係合されることを特徴とする。
請求項3に係る本発明は、請求項1または2記載のアクチュエータにおいて、前記固定子移動子一体化用バネは、前記移動子の上面に位置し全体としてほぼコ字状をなし、移動子側の係合部と係合する第1の係合部と、前記固定子の背面に位置しほぼコ字状をなし、固定子側の係合部と係合する第2の係合部と、これら第1、第2の係合部を連結し、前記移動子および固定子の各側面に当接する第1、第2の連結部とからなることを特徴とする。
請求項4に係る本発明は、請求項1記載のアクチュエータにおいて、前記固定子の両端部にそれぞれワイヤ端子が設けられ、このワイヤ端子にワイヤカシメ部が形成され、前記ワイヤをカシメて固定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、固定子1の上部にワイヤ2を挟み込んで移動子7を載せ、固定子1と移動子7を一体化する場合、その組立体の両端部にそれぞれ固定子移動子一体化用バネ8を装着するだけで、固定子1と移動子7とを容易に一体化できるため、組立性が良好であり、量産に適し、コストダウンを達成し得る。
また、固定子1と移動子7の組立体の上下面および両側面は固定子移動子一体化用バネ8で押さえるようにしており、バネが外れにくく、また駆動によって移動子7が固定子1に対し離反、近接動作を繰り返しても移動子7の位置がズレることがなく、異常音が発生したり動作不良を起こすことはなく、また、長期にわたって性能を損なうことなく安定して使用できる。
また、ワイヤ2は一定の張力をもたせてワイヤカシメ部3bでカシメるだけなので、この点においても組立性が良い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施例の分解斜視図を示す。
図2】(a)は本発明に用いられる固定子移動子一体化用バネの平面図、(b)は側面図、(c)は取付時状態を示す。
図3】本発明の一実施例の組立状態の斜視図。
図4】電源オフ時の本発明の動作状態を示す。
図5】電源オン時の本発明の動作状態を示す。
図6】電源オフ時の本発明の動作状態を示す。
図7】本発明の移動子の動作状態が安定していることを示す説明図である。
図8】一従来例の分解斜視図。
図9】(a)は同上の組立状態の側面図、(b)は平面図を示す。
図10】他の従来例の側断面図。
図11】更に他の従来例の分解斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に沿って本発明の一実施例について説明する。
【0021】
図1は本発明の一実施例に係るアクチュエータの分解斜視図である。
【0022】
このアクチュエータAは、固定子1と、この固定子1上に設けられる形状記憶合金からなる導電性のワイヤ2と、このワイヤ2の両端部がそれぞれ取付けられる一対のワイヤ端子3と、この導電性のワイヤ端子3と固定子1の端部に形成された取付部1aとを一体化する、ネジ4やワッシャ5などからなる連結具6と、固定子1の上部に、ワイヤ2を挟んで設けられる移動自在な移動子7と、固定子1に対し移動子7を移動自在に固定子1に一体化する一対の固定子移動子一体化用バネ8とを備えて構成されている。
【0023】
固定子1は絶縁性熱伝導体からなる。例えばアルミのような放熱性の良い材料に絶縁被膜されるなどして絶縁処理を施した絶縁性熱伝導体を用いる。この固定子1は図示の状態において、横方向に細長い直方体の形状をなし、かつ底部であって長さ方向には波状をなす複数個の固定子側突起部1bが間隔をあけて突設されている。
【0024】
固定子側突起部1bの形状は、頂部は丸味をなし弧状に形成されている。また、中央部は凹んでおり、溝1cが形成されている。この溝1cの頂部もまた弧状に形成されている。
【0025】
固定子側突起部1bの外側底部には固定子側窪み部1dが形成されている。窪み部1dの底面は下方に向って凹んで弧状に形成されている。また、固定子1の両端部の取付部1aの固定子側には、本アクチュエータAを機器に取付ける際に使用する螺着用のネジ孔1gが形成され、その外側にネジ挿通、螺着用の孔1fが形成されている。
【0026】
移動子7もまた絶縁性熱伝導体からなる。移動子7は、例えばアルミのような放熱性の良い材料に絶縁被膜されるなどして絶縁処理を施した絶縁性熱伝導体を用いる。この移動子7もまた図示の状態において、横方向に細長い直方体の形状をなし、かつ底部であって長さ方向には波状をなす複数個の移動子側突起部7aが間隔をあけて突設されている。
【0027】
移動子側突起部7aの形状は、頂部は丸味をなし弧状に形成されている。また、中央部は凹んでおり、溝7dが形成されている。この溝7dの頂部もまた弧状に形成されている。
移動子側突起部7aの外側上部には移動子側窪み部7bが形成されている。窪み部7bの底面は上方に向って凹んで弧状に形成されている。
【0028】
前記孔1fは連結具6を介しワイヤ端子3を取付部1aに取付けるためのもので取付部1aの背面にはワッシャ5が配され、ネジ4が挿通され、ネジ4はワイヤ端子3のネジ孔3aにも挿通され螺着され、ワイヤ端子3が取付部1a上に取付けられる。
【0029】
取付部1a上にネジ4を介し固定されるワイヤ端子3の内側には上方に向ってL字状に折曲されたワイヤカシメ部3bが形成されている。このワイヤカシメ部3bにはカシメ用スリット3cが形成されている。
【0030】
ワイヤ端子3の外端部には電線接続部3dが形成されている。この電線接続部3dは例えばネジ孔からなり、ネジに電線を巻き付け、そのネジをネジ孔に螺設するようになっている。
【0031】
ワイヤ2はニッケル-チタン合金のような形状記憶合金効果のある合金からなり、固定子1の固定子側突起部1bおよび固定子側窪み部1dの形状に対応して波状に形成されている。このワイヤ2はワイヤ端子3を介し電源に接続され、通電による発熱によって収縮し形状が変化し、これによって固定子1から移動子7を、図示の状態において、上方に押し上げ移動させるように構成されている。
【0032】
また、電源オフで放熱性の良好な固定子1と移動子7の冷却作用により冷されると元の形状に戻り、それに伴って移動子7が固定子1に近接する。
【0033】
なお、前述のように、固定子1と移動子7の固定子側突起部1bと移動子側突起部7aは互い違いの位置にそれぞれ突設され、各突起部1b、7aはそれぞれの窪み部1d、7bに配置されるようになっている。
【0034】
また、移動子7の上面の両端部には移動子7の幅方向に延びる溝状の移動子側バネ係合部7cがそれぞれ形成されている。
【0035】
固定子1の背面両側の外端部には切欠き状の固定子側バネ係合部1eがそれぞれ形成されている。固定子側バネ係合部1eは移動子側バネ係合部7cの位置より外側に位置している。
【0036】
この固定子側バネ係合部1eには固定子1に対し移動子7を移動自在に一体化する固定子移動子一体化用バネ8の一部が係合される。
【0037】
この固定子移動子一体化用バネ8は、固定子1の上部に設けられた移動子7とからなる組立体の両側にそれぞれ装着され、両者を一体化する。
【0038】
図2(a)は固定子移動子一体化用バネ8の平面図、(b)は自由時状態の側面図、(c)は取付時状態の側面図である。
【0039】
固定子移動子一体化用バネ8は断面略円形をなす一本のバネ鋼を折曲加工して形成される。
【0040】
固定子移動子一体化用バネ8の上部は、平面から見ると全体形状はほぼコ字状をなし、移動子側係合部7cに係合される移動子側第1の係合部8aと、下部は同じくほぼコ字状をなし、固定子側係合部1eに係合される固定子側第2の係合部8bと、これら第1、第2の係合部8a、8bを連結すべく折曲された第1、第2の連結部8c、8dとを備える。第1、第2の連結部8c、8dはほぼVの字状をなし、先端部は丸味を帯びた折曲部8eを有している。第1、第2の連結部8c、8dは固定子1および移動子7の左右の各側面にそれぞれの折曲部8eが対向した状態で当接される。
【0041】
すなわち、移動子7の上面に位置する移動子側第1の係合部7cに第1、第2の連結部8c、8dの一端部側の第1の係合部8aが係合され、第1、第2の連結部8c、8dの他端部の第2の係合部8bは固定子1の背面の外端部に位置する固定子側係合部1eに係合される。
【0042】
組み立てにあたっては、まずワイヤ2を一定の張力でワイヤ端子3のワイヤカシメ3bのスリット3cに挿入しカシメて固定する。
【0043】
なお、ワイヤ端子3は固定子1の取付部1a上に置かれ、取付部1aの孔1fの背面にワッシャ5を当て、かつネジ4を孔1f、ワイヤ端子3のネジ孔3aに下側から挿通、螺設し、ワイヤ端子3を固定子1の取付部1a上に固定する。
【0044】
図示の状態において、波状のワイヤ2の突部側は固定子側突部1bの溝1cを介し固定子側突部1bに位置され、ワイヤ2の凹部側は固定子側窪み部1d部分に位置される。
【0045】
ついで、ワイヤ2が設けられた固定子1の上に移動子7を近接させて載置し組立体を構成する。
【0046】
この場合、移動子側突起部7aにも固定子側突起部1bに形成された溝1cと同様の溝7dが形成され、そこにワイヤ2の突部側が収納される。移動子側突起部7aは固定子側窪み部1dに、また、固定子側突起部1bは移動子側窪み部7bに位置され、その間にワイヤ2が挟持された状態となる。
【0047】
この組立体の長さ方向の両側に、各固定子移動子一体化用バネ8を装着する。
【0048】
すなわち、図2(c)に示すように、図示の状態において下側に位置する第2の係合部8bに対し、移動子側係合部7cに係合される第1の係合部8aを押し広げ、組立体の両側から各固定子移動子一体化用バネ8の折曲部8e側を組立体の内側に向って押し込んでいき、第1の係合部8aを移動子側係合部7cに、第2の係合部8bを固定子側係合部1eに係合させ組立体の両側にそれぞれ固定子移動子一体化用バネ8を装着する。
【0049】
図3はその状態を示す。
【0050】
この固定子移動子一体化用バネ8によって固定子1と移動子7とが押圧される。また、固定子1および移動子7の両側面も固定子移動子一体化用バネ8の第1、第2の連結部8c、8dによって押圧され、動作時に移動子7が固定子1から離反、近接を繰り返しても移動子7は位置ズレをすることはない。
【0051】
なお、ワイヤ端子3の外端部に形成された電源取付部3dに電線が取付けられ、この電線はワイヤ2と電気的に接続される。
【0052】
図4図6は本発明に係るアクチュエータAの動作説明を示す。
【0053】
図4において、9は電源取付部3dに接続された電線、10は電源、11はオン、オフ用の電源スイッチであり、オンにすればワイヤ2は通電状態になる。図4では電源スイッチ11はオフになっており固定子移動子一体化用バネ8の押圧力により移動子7は固定子1に近接している。
【0054】
図5に示すように、電源スイッチ11をオンにすると形状記憶合金からなるワイヤ2に電源が流れてワイヤ2が発熱することでワイヤ2は縮み、移動子7を固定子1から離反させる方向の押上力が発生し、固定子移動子一体化用バネ8のバネ力に抗して移動子7が矢印で示すように移動する。この移動子7の加速度は固定子移動子一体化用バネ2のバネ定数を調整することにより任意に設定することができる。
【0055】
図6は電源スイッチ11をオフにした場合である。電源スイッチ11をオフにすると形状記憶合金からなるワイヤ2の熱が放熱性の良好な材質からなる固定子1と移動子7に吸収され、ワイヤ2は冷却されるため、ワイヤ2が伸び、固定子移動子一体化用バネ8のバネ力により移動子7は固定子1に近接する位置に戻る。
【0056】
このように電源スイッチ11のオン、オフにより移動子7が移動、振動し、このアクチュエータAを例えばタッチパネルの内側に設けておけばタッチパネルに触れているユーザに対し触感を与えることができる。
【0057】
本発明のアクチュエータAでは、固定子1の背面と移動子7の上面に形成された溝状の係合部1e、7cに固定子移動子一体化用バネ8の各係合部8b、8aがそれぞれ係合されているため、固定子1と移動子7は固定子移動子一体化用バネ8によって互いに近接する方向に押圧され、また、固定子1と移動子7の両側面は固定子移動子一体化用バネ8の第1、第2の連結部8c、8dによって押圧されている。
【0058】
したがって、図7に示すように移動子7はX方向、Y方向にほとんど移動しない。またZ方向に反力(ばね力)が発生しており、この反力を任意に設定できる。さらに、X、Y、Z軸に対し回転しないメリットがある。したがって、移動子7のズレを防止することができる。
【0059】
本発明は、図示の実施例に限定されるものではなく、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々の設定変更は可能である。
【符号の説明】
【0060】
A アクチュエータ
1 固定子
1a 取付部
1b 固定子側突起
1c 溝
1d 固定子側窪み部
1e 固定子側バネ係合部
1f 孔
1g ネジ孔
2 ワイヤ
3 ワイヤ端子
3a ネジ孔
3b ワイヤカシメ
3c スリット
3d 電線接続部
4 ネジ
5 ワッシャ
6 連結具
7 移動子
7a 移動子側突起部
7b 移動子側窪み部
7c 移動子側バネ係合部
7d 溝
8 固定子移動子一体化用バネ
8a 移動子側第の係合部
8b 固定子側の係合部
8c 第1の連結部
8d 第2の連結部
8e 折曲部
9 電線
10 電源
11 電源スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11