(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/54 20100101AFI20220426BHJP
H01L 33/50 20100101ALI20220426BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20220426BHJP
【FI】
H01L33/54
H01L33/50
F21S2/00 100
(21)【出願番号】P 2017225004
(22)【出願日】2017-11-22
【審査請求日】2020-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】栗城 新吾
(72)【発明者】
【氏名】岩井 貴愛
(72)【発明者】
【氏名】菊地 健一
(72)【発明者】
【氏名】大森 威
(72)【発明者】
【氏名】荻原 健
(72)【発明者】
【氏名】安藤 雄一郎
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-004519(JP,A)
【文献】特開2017-199757(JP,A)
【文献】特開2014-036063(JP,A)
【文献】特開2010-097890(JP,A)
【文献】特開2013-051375(JP,A)
【文献】特開2015-043469(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に第1ダム材を略円形に形成し、前記基板上において、前記第1ダム材の内側に
第2ダム材を十字状に形成することで、前記基板上に第1領域、第2領域、第3領域及び第4領域を形成し、
前記第1領域内において第1発光素子群を実装し、
前記第2領域内において第2発光素子群を実装し、
前記第3領域内において第3発光素子群を実装し、
前記第4領域内において第4発光素子群を実装し、
前記第1領域内に実装された前記第1発光素子群を第1封止樹脂により封止し、
前記第2領域内に実装された前記第2発光素子群を第2封止樹脂により封止し、
前記第3領域内に実装された前記第3発光素子群を第3封止樹脂により封止し、
前記第4領域内に実装された前記第4発光素子群を第4封止樹脂により封止する、
ことを含み、
前記第1ダム材及び前記第2ダム材を形成することは、
前記第1ダム材に対応する第1枠樹脂及び前記第2ダム材に対応する第2枠樹脂を前記基板上にそれぞれ塗布し、
前記第1枠樹脂及び前記第2枠樹脂の塗布後、
前記第1枠樹脂及び前記第2枠樹脂を均すことで、前記第1枠樹脂及び前記第2枠樹脂の基板上での高さを均一にし、
前記第1枠樹脂及び前記第2枠樹脂の基板上での高さを均一にした後、前記第1枠樹脂及び前記第2枠樹脂を硬化させる、
ことを含み、
前記第1発光素子群乃至前記第4発光素子群のそれぞれの発光素子群においては、全て同じ発光色の発光素子であり、
前記第1封止樹脂乃至前記第4封止樹脂の少なくとも1つの封止樹脂には、蛍光体が
含まれ、
前記第2ダム材を塗布するとき、塗布する樹脂が前記第1領域、前記第2領域、前記第3領域及び前記第4領域に流れ込まないように塗布する樹脂の量を調整する、
ことを特徴とする発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミック基板または金属基板などの汎用基板の上に発光素子として複数のLED(発光ダイオード)素子が実装されたCOB(Chip On Board)の発光装置が知られている。こうした発光装置では、蛍光体を含有する透光性の樹脂によりLED素子が封止されており、LED素子からの光と、LED素子からの光により蛍光体を励起させて得られる光とを混合させることにより、用途に応じて白色光などが得られる。
【0003】
例えば、特許文献1には、同心円状に2重の隔壁を設け、内側の隔壁の内側に複数の発光素子とそれらを封止する第1蛍光体含有層を設け、内側と外側の隔壁との間に複数の発光素子とそれらを封止する第2蛍光体含有層を設ける発光装置が記載されている。すなわち、特許文献1には、同心円状に形成された隔壁によって領域が分割された発光装置が記載されている。
【0004】
特許文献2には、円形に形成された第1樹脂の内側の領域を更に4つの領域に仕切るための仕切り部を有する第2樹脂を十字に配置した発光装置が記載されている。特許文献2に記載の発光装置では、第1樹脂の形成後に第2樹脂をその上から形成しているので、第1樹脂と第2樹脂との高さが均一の高さには形成されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-179653号公報
【文献】特開2014-36063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
基板上に複数の発光領域が形成された発光装置において、発光領域の周囲を規定する円環状の白枠樹脂及び発光領域内を仕切る十字状の白色樹脂の高さに高低があると、各発光領域からの光が均一に出射されなくなる。発光装置を室内照明用のシーリングライト、投光器、イルミネーション用の照明器具として利用する場合、各発光領域から出射される光が不均一であると、適切な照明を設計し難い。特に、発光領域の近傍にレンズ等の光学素子を配置すると、上記の不具合が顕著になる場合がある。
【0007】
そこで、本発明は、複数の発光領域を形成するための仕切り部材の高さが均一な発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る発光装置は、基板と、基板上に略円形に配置された第1ダム材と、基板上において第1ダム材の内側に十字状に配置された第2ダム材と、第1ダム材及び第2ダム材によって仕切られた第1領域、第2領域、第3領域及び第4領域と、第1領域内において基板上に実装された第1発光素子群と、第2領域内において基板上に実装された第2発光素子群と、第3領域内において基板上に実装された第3発光素子群と、第4領域内において基板上に実装された第4発光素子群と、第1発光素子群を封止する様に第1領域内に配置された第1封止樹脂と、第2発光素子群を封止する様に第2領域内に配置された第2封止樹脂と、第3発光素子群を封止する様に第3領域内に配置された第3封止樹脂と、第4発光素子群を封止する様に第4領域内に配置された第4封止樹脂を有し、第1ダム材の基板上での高さと第2ダム材の基板上での高さが等しいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記の発光装置によれば、本構成を有しない場合と比べて、複数の発光領域から出射する光の均一性を担保する事が可能となり、それによって、複数の発光領域からの出射光の混色性、装置全体の発光色の演色性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】(A)は発光装置1の平面図であり、(B)は
図1(A)のAA´断面図であり、(C)は
図1(A)のBB´断面図である。
【
図2】(A)は金属基板上に配置された回路基板及び配線パターンを示す平面図であり、(B)は
図2(A)のAA´断面図であり、(C)は
図2(A)のBB´断面図である。
【
図3】(A)は
図2(A)に発光素子が配置された状態を示す平面図であり、(B)は
図3(A)のAA´断面図であり、(C)は
図3(A)のBB´断面図である。
【
図4】(A)は
図3(A)にレジストが塗布された状態を示す平面図であり、(B)は
図4(A)のAA´断面図であり、(C)は
図4(A)のBB´断面図である。
【
図5】(A)は第1枠樹脂の形成方法を示す図であり、(B)は第2枠樹脂の形成方法を示す図であり、(C)は第3枠樹脂形成方法を示す図であり、(D)は枠樹脂の高さ調整方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、発光装置について詳細に説明する。ただし、本発明は図面または以下に記載される実施形態には限定されないことを理解されたい。
【0012】
図1(A)は発光装置1の平面図であり、
図1(B)は
図1(A)のAA´断面図であり、
図1(C)は
図1(A)のBB´断面図である。
【0013】
発光装置1は、金属基板10、回路基板11、レジスト12、第1ダム材20、第2ダム材21、第1LED素子31~第4LED素子34、第1封止樹脂41~第4封止樹脂44、回路基板10上に配置された配線パターン51~58、電極パッド61~68等を有する。また、後述する様に、LED素子間及びLED素子と電極はボンディングワイヤWによって電気的に接続されている。
【0014】
金属基板10は、耐熱性および放熱性に優れたアルミニウムで構成され、LED素子31~34の実装領域を有する平坦な基板である。金属基板10は略長方形の形状を有し、金属基板10の周囲には、発光装置1を照明器具などに取り付けるための4つの切り欠き13~16が設けられている。金属基板10は、第1LED素子31~第4LED素子34および後述する蛍光体の粒子により発生した熱を放熱させる放熱基板としても機能する。なお、金属基板10の材質は、耐熱性と放熱性に優れたものであれば、例えば銅などの別の金属でも良く、形状も長方形に限らず正方形、多角形等であって良い。切り欠きの形状及び個数も、
図1(A)に示すものに限定されるものでは無い。
【0015】
回路基板11は、ガラスエポキシ基板により構成された絶縁性の基板であり、金属基板10と同じ大きさの略長方形の形状を有する。回路基板11は、絶縁性であれば他の素材、例えばセラミック等であっても良く、形状も必ずしも金属基板10と同じでなくても良い。回路基板11の周囲にも、金属基板10と同様に4つの切り欠きが設けられている。
【0016】
レジスト12は、絶縁性の白色塗料であり、回路基板11の表面に塗布されている。レジスト12は、回路基板11上に配置された配線パターン間の短絡防止、又は、配線パターンとボンディングワイヤとの短絡防止等に為に設けられている。
【0017】
図2(A)は金属基板10上に配置された回路基板11及び配線パターンを示す平面図であり、
図2(B)は
図2(A)のAA´断面図であり、
図2(C)は
図2(A)のBB´断面図である。
【0018】
図2に示す様に、回路基板11は、4つの開口部11A~11Dを有し、それぞれの開口部から金属基板10の表面が露出している。4つの開口部11A~11Dによって露出された金属基板10の表面は、それぞれ、後述するLED素子の実装領域となる。
【0019】
図2に示す様に、導電性の配線パターン51~58が、回路基板11の上面で、4つの開口部11A~11Dの周囲に形成されている。配線パターン51~58は、金メッキによって形成されているが、他の金属薄膜で形成されていても良い。
【0020】
図3(A)は
図2(A)に発光素子が配置された状態を示す平面図であり、
図3(B)は
図3(A)のAA´断面図であり、(C)は
図3(A)のBB´断面図である。
【0021】
回路基板11の開口部11Aでは、金属回路10の表面上に、25個の第1LED素子31が実装されている。5個ずつ直列に接続された5組の第1LED素子31が並列に配線パターン53と54との間にボンディングワイヤWによって電気的に接続されている。回路基板11の開口部11Bでは、金属回路10の表面上に、25個の第2LED素子32が実装されている。5個ずつ直列に接続された5組の第2LED素子32が並列に配線パターン55と56との間にボンディングワイヤWによって電気的に接続されている。
【0022】
回路基板11の開口部11Cでは、金属回路10の表面上に、25個の第3LED素子33が実装されている。5個ずつ直列に接続された5組の第3LED素子33が並列に配線パターン57と58との間にワイヤWによって電気的に接続されている。回路基板11の開口部11Dでは、金属回路10の表面上に、25個の第4LED素子34が実装されている。5個ずつ直列に接続された5組の第4LED素子34が並列に配線パターン51と52との間にボンディングワイヤWによって電気的に接続されている。
【0023】
配線パターン53と54との間には、逆流防止用のツェナーダイオード71が接続されている。配線パターン55と56との間には、逆流防止用のツェナーダイオード72が接続されている。配線パターン57と58との間には、逆流防止用のツェナーダイオード73が接続されている。配線パターン51と52との間には、逆流防止用のツェナーダイオード74が接続されている。逆流防止用のツェナーダイオード71~74は、後述するアノード電極側からカソード電極側に直接電流が流れないようにする為に配置されている。
【0024】
発光装置1において、第1LED素子31~第4LED素子34の全ては、発光波長帯域が450~460nm程度の青色光を発する同一種類の青色LEDダイである。第1LED素子31~第4LED素子34は、青色LEDダイに限らず、例えば紫色LEDダイまたは近紫外LEDダイであってもよく、その発光波長帯域は、紫外域を含む200~460nm程度の範囲内であってもよい。第1LED素子31~第4LED素子34は、それぞれ、金属基板10側に、発光面を金属基板10とは反対側に向けて、絶縁性の接着剤(ダイボンド)により固定されている。
【0025】
図3に示した、回路基板11の各開口部11A~11Dにおいて、金属基板10に実装されるLED素子の総個数、直列接続されるLED素子の個数、並列接続されるLED素子の組の数は、いずれも一例であって、他の個数としても良い。
【0026】
図3において点線で示した8つの箇所は、レジスト12が塗布された後に、電極パッド61~68として表面に露出する部分を示している。
【0027】
図4(A)は
図3(A)にレジスト12が塗布された状態を示す平面図であり、
図4(B)は
図4(A)のAA´断面図であり、
図4(C)は
図4(A)のBB´断面図である。
【0028】
レジスト12は、4つの開口部11A~11Dの周辺と、配線パターン51~58上で電極パッド61~68として表面に露出する部分を残して、回路基板11上を覆う様に塗布される。
図4(A)では、説明の為に、特にレジスト12が塗布された部分を斜線で示している。なお、回路基板11における4つの開口部11A~11Dの内側に形成された十字形状の一部分に形成された配線パターン51、53、55及び57の先端部分を覆い隠す様に、更にレジスト12を塗布しても良い。
【0029】
電極パッド63及び64の一方がアノード電極、他方がカソード電極であり、これらが外部電源に接続されて所定の電圧が印加されることによって、配線パターン53及び54の一方からLED素子を介して他方へ電流が流れて、複数の第1LED素子31が同時に発光する。同様に、電極パッド65及び66間に所定の電圧が印加されて複数の第2LED素子32が同時に発光し、電極パッド67及び68間に所定の電圧が印加されて複数の第3LED素子33が同時に発光し、電極パッド61及び62間に所定の電圧が印加されて複数の第4LED素子34が同時に発光する。
【0030】
例えば、1つのLED素子31の順方向電圧をVf1(約3V)とすると、電極パッド53及び54の間に、5×Vf1(約15V)以上の電圧が印加されると、すべてのLED素子31が発光することになる。他のLED素子32~34についても同様である。
【0031】
図5(A)は第1枠樹脂の形成方法を示す図であり、
図5(B)は第2枠樹脂の形成方法を示す図であり、
図5(C)は第3枠樹脂形成方法を示す図であり、
図5(D)は枠樹脂の高さ調整方法を説明するための図である。
【0032】
図5(A)は、未硬化の第1枠樹脂81をホッパー(不図示)から、
図4(A)の状態の基板上に、第1LED素子31~第4LED素子34の周囲を囲う様に、矢印Cの方向に塗布する状態を示す平面図と、平面図におけるAA´断面図を示している。断面図における基板13は、金属基板10、回路基板11及びレジスト12で形成された集合体を総称している。未硬化の第1枠樹脂81の基板13からの高さをHとする。
【0033】
図5(B)は、未硬化の第2枠樹脂82をホッパー(不図示)から、略円形に塗布された第1枠樹脂81の図中上から下へ、矢印Dの方向に塗布する状態を示す平面図と、平面図におけるAA´断面図を示している。未硬化の第2枠樹脂82の中央部における基板13からの高さも、未硬化の第1枠樹脂81の高さと同じ高さ(H)となる様に、ホッパーから塗布量が規定される。
【0034】
図5(C)は、未硬化の第3枠樹脂83をホッパー(不図示)から、第2枠樹脂82と直交する方向に図中左から右へ、矢印Eの方向に塗布する状態を示す平面図と、平面図におけるAA´断面図を示している。第1枠樹脂81及び第2枠樹脂82の上から、第3枠樹脂83を塗布した箇所では、
図5(C)の断面図に示す様に、基板13から第3枠樹脂83の上部までに高さ(H)が変動することとなる。
【0035】
図5(D)は、第3枠樹脂83の塗布後、スクレイパー(不図示)によって、盛り上がった箇所の枠樹脂を除去又は上から均す等の平坦化処理を行い、基板13からの高さを一様(高さH)に整えた状態を示している。平坦化処理の終了後、枠樹脂を硬化させて、略円形の第1ダム20及び十字状の第2ダム材21が形成される。硬化による収縮によって、多少基板からの高さ(H)が縮まる事があるが、
図5(D)では、その点を考慮していない。
【0036】
平坦化処理に際して、一度塗布した樹脂を除去せずに均す場合、当初盛り上がっていた樹脂が左右に広がる事になるので、塗布された枠樹脂の幅が太る事になる。このような場合には、予め枠樹脂の塗布量を調節して、LED素子の実装領域内に樹脂が流れ込まない様に配慮する必要がある。
【0037】
上記のような平坦化処理によって、
図1(B)に示す様に、第1ダム材20の内縁部は、回路基板11の第1開口部11A~11Dの外側縁部から内側に入り込まない様に形成されている。同様に、第1ダム材20の外縁部がレジスト21の上部に形成され、レジスト12から外部に露出している配線パターンを覆い隠す様に形成されている。また、上記のような平坦化処理によって、
図1(B)に示す様に、第2枠樹脂21は、回路基板11における4つの開口部11A~11Dの内側に形成された十字形状の一部分の上から内側に入り込まない様に形成されている。これによって、第2枠樹脂21は、回路基板11における4つの開口部11A~11Dの内側に形成された十字形状の一部分に形成された配線パターン51、53、55及び57の先端部分を覆い隠している。
【0038】
第1枠樹脂81~第3枠樹脂83は、熱硬化性のシリコーン樹脂に白色塗料を混入させたものであり、硬化後は光反射性を有する。この為、第1ダム材20及び第2ダム材21によって4つに区切られた領域のそれぞれに配置されたLED素子からの出射光が、相互に混色しないように構成されている。これにより、第1LED素子31~第4LED素子34から側方に出射された光が発光装置1の正面(第1LED素子31~第4LED素子34から見て金属基板10とは反対側)に向けて反射するため、発光装置1の正面における発光強度が高くなる。なお、LED素子からの出射光を混色させたい場合には、第1枠樹脂81~第3枠樹脂83に白色塗料の代わりに散乱剤等を混入させて、透明性を維持したまま硬化させる事も可能である。
【0039】
第1枠樹脂81は、
図5(A)に示す例では、円形に塗布した。しかしながら、第1枠樹脂81を、楕円形に塗布しても良い。すなわち、第1ダム材20は、円形及び楕円形を含む略円形に形成される事が好ましい。第2枠樹脂82及び第3枠樹脂82は、第1枠樹脂81が楕円形に塗布された場合でも、第1枠樹脂の内側に十字状に形成される。
【0040】
【0041】
最初に、予め用意した金属基板10の上面に、配線パターン51~58及び開口部11A~11Dが予め形成された回路基板11を接着シート(不図示)によって固定する(S1)。この状態が、
図2に示す状態である。
【0042】
次に、LED素子31~34を回路基板11の開口部11A~11D内で金属基板10の表面に実装し、実装されたLED素子31~34及び配線パターン51~58をボンディングワイヤWで電気的に接続する(S2)。この状態が、
図3に示す状態である。
【0043】
次に、配線パターン51~58の所定部分を覆う様にレジスト12を塗布する(S3)。この状態が、
図4に示す状態である。
【0044】
次に、レジスト12の上から、第1枠樹脂81~第3枠樹脂82を塗布する(S4)。この状態が、
図5(C)に示す状態である。
【0045】
次に、塗布された第1枠樹脂81~第3枠樹脂83の高さが均一化する様に平坦化処理を行う(S5)。その後、枠樹脂が塗布された基板13を温度調整可能な箇所で所定時間保管し、更に加熱して枠樹脂を硬化して第1ダム材20及び第2ダム材21を形成する(S6)。この状態が、
図5(D)に示す状態である。
【0046】
次に、第1ダム材20及び第2ダム材21によって4つに仕切られた領域に、それぞれ未硬化の封止樹脂を塗布する(S7)。その後、封止樹脂が塗布された基板13を温度調整可能な箇所で所定時間保管し、更に加熱して硬化済の第1封止樹脂41~第4封止樹脂44として(S8)、発光装置1を完成させる。この状態が、
図1に示す状態である。
【0047】
発光装置1では、第1ダム材20及び第2ダム材21により区分けされ、第1封止樹脂41~第4封止樹脂44により封止された扇上の4つの領域が、それぞれ第1~第4の発光領域に相当する。第1発光領域(第1封止樹脂41が配置される部分)はアンバー色に、第2発光領域(第2封止樹脂42が配置される部分)は青色に、第3発光領域(第3封止樹脂43が配置される部分)は緑色に、第4発光領域(第4封止樹脂44が配置される部分)は赤色に発光する。
【0048】
第1封止樹脂41は、第1LED素子31からの青色光を吸収してアンバー色(580~640nm)に発光する(Y,Gd)3Al5O12:CeのYAG系蛍光体とホウ素を添加したCa2Si5N8:Euの窒素物系蛍光体の混合物などを含有する熱硬化性のシリコーン樹脂である。第1封止樹脂41には、散乱剤としてフィラーを混入させても良いし、無色透明なエポキシ樹脂等をシリコーン樹脂の代わりに利用しても良い。
【0049】
第2封止樹脂42は、第2LED素子32からの青色光をそのままは出力する、蛍光体を含まない、無色透明な熱硬化性のシリコーン樹脂である。第2封止樹脂42には、散乱剤としてフィラーを混入させても良いし、無色透明なエポキシ樹脂等をシリコーン樹脂の代わりに利用しても良い。なお、第2LED素子32が、紫外光を出射する素子である場合には、紫外光を吸収して青色に発光するBaMgAl10O17:Eu2+などの蛍光体を含有してもよい。
【0050】
第3封止樹脂43は、第3LED素子33からの青色光を吸収して緑色に発光する(BaSr)2SiO4:Eu2+などの蛍光体を含有する熱硬化性のシリコーン樹脂である。第3封止樹脂43には、散乱剤としてフィラーを混入させても良いし、無色透明なエポキシ樹脂等をシリコーン樹脂の代わりに利用しても良い。
【0051】
第4封止樹脂44は、第4LED素子34からの青色光を吸収して赤色に発光するCaAlSiN3:Eu2+などの蛍光体を含有する熱硬化性のシリコーン樹脂である。第4封止樹脂44には、散乱剤としてフィラーを混入させても良いし、無色透明なエポキシ樹脂等をシリコーン樹脂の代わりに利用しても良い。
【0052】
上述した様に、発光装置1には、第1~第4発光領域にそれぞれ対応する4系統の電極パッド61~68が設けられており、各発光領域は独立に発光可能である。このため、発光装置1では、1色ごとの発光も可能であり、4色すべてを発光させれば白色光が得られる。また、各発光領域の電流を調整することにより、全体の発光色の調整も可能である。すなわち、発光装置1は、4つのLED発光モジュールを1台に集約し、白色光の調色機能を実現させた、フルカラーのCOBの照明パッケージである。
【0053】
よって、発光装置1は、例えば、投光器、高天井照明、スタジアム照明、イルミネーションなどのLED光源装置として利用することができる。また、発光装置1からの出射光を制御するために、発光装置1の直上に集光用レンズ等の光学部材が配置しても良い。
【0054】
発光装置1では、前述した様に、第1ダム材20及び第2ダム材21は、それらの基板からの高さが均一になる様に形成されている。この為、発光装置1の直上に集光用レンズ等の光学部材を配置するのに適している。さらに、4つの発光領域を個別に発光させる等の場合、何れの領域も同じ形状で同じ高さのダム材で囲われているため、各領域の光量の制御が行い易い。
【0055】
また、発光装置1では、アンバー色、青色、緑色及び赤色に発光する4つの発光領域を有する様に構成したが、色の組み合わせは上記に限定するものではない。例えば、青色、緑色、赤色及びシアン色の4色、青色、緑色、赤色及び白色の4色、青色2か所と赤色2か所といった、他の色の組み合わせとしても良い。何れの色の組み合わせにしても、4つの発光領域の外形を同じ形状とし、同じ高さのダム材で周囲を囲事が重要である。
【0056】
また、発光装置1では、回路基板11の各開口部11A~11D内で露出している金属基板10の上面に直接第1LED素子31~第4LED素子34が実装されているため、放熱性が良く、製品寿命を長くすることが可能となる。
【0057】
また、発光装置1では、製造を容易にするために、第1LED素子31~第4LED素子34として全て同じ発光波長のLEDダイを使用し、各封止樹脂に異なる種類の蛍光体を分散混入(又は蛍光体を混入せず)させる事によって、発光領域ごとに異なる発光色を得ている。しかしながら、第1LED素子31~第4LED素子34として、発光波長が異なるLEDダイを利用しても良い。この場合、所望の発光色を得る為には必ずしも封止樹脂に蛍光体を混入させなくても良い。
【符号の説明】
【0058】
1 発光装置
10 金属基板
11 回路基板
11A、11B、11C、11D 開口部
12 レジスト
20 第1ダム材
21 第2ダム材
31、32、33、34 LED素子
41、42、43、44 封止樹脂
51、52、53、54、55、56、57、58 配線パターン
61、62、63、64、65、66、67、68 電極パッド
71、72、73、74 ツェナーダイオード
81、82、83 枠樹脂
W ボンディングワイヤ