(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】パイル織機におけるパイル高さ異常の検出方法、及びパイル高さ異常を検出するための装置を備えたパイル織機
(51)【国際特許分類】
D03D 39/22 20060101AFI20220426BHJP
D03D 49/12 20060101ALI20220426BHJP
D03D 49/06 20060101ALI20220426BHJP
【FI】
D03D39/22
D03D49/12
D03D49/06
(21)【出願番号】P 2017238054
(22)【出願日】2017-12-12
【審査請求日】2020-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000215109
【氏名又は名称】津田駒工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 直幸
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-005945(JP,A)
【文献】特開2004-169227(JP,A)
【文献】特開2000-220062(JP,A)
【文献】特開2005-054289(JP,A)
【文献】特開昭63-275751(JP,A)
【文献】特開2016-211106(JP,A)
【文献】特開昭63-145450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D 39/22
D03D 49/12
D03D 49/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイル経糸ビームから送り出されたパイル経糸が巻き掛けられると共に織機フレームに対し揺動変位可能に支持されるパイルテンションロールと、該パイルテンションロール又は前記パイルテンションロールと共に揺動変位する揺動部材の織機の前後方向における位置を検出する位置検出装置とを備え、パイル経糸の張力を所望の範囲に収めるべくパイル経糸の張力に応じて変位する前記パイルテンションロールの位置が予め設定された許容範囲であって前記パイルテンションロールの基準の位置に対する後方側の制限位置及び前方側の制限位置で画定される許容範囲内に収まるように前記位置検出装置による検出結果に基づいてパイル経糸ビームの送出速度を調整するパイル経糸に関する張力制御が織機運転中に実行されるパイル織機において、
製織中のパイル織物にパイル抜けが連続して生じている状態であるパイル高さ異常の発生の有無を判別するための異常判別位置であって前記後方側の制限位置又は該制限位置よりも後方の位置に設定される異常判別位置が予め定められ、
織機運転中に、前記パイルテンションロール又は前記揺動部材が前記異常判別位置へ達したことに基づいて前記パイル高さ異常が発生していることを検出して異常信号を発生することを特徴とするパイル織機におけるパイル高さ異常検出方法。
【請求項2】
前記位置検出装置は、前記パイルテンションロール又は前記揺動部材までの距離を検出値として出力する距離検出装置であり、
前記異常判別位置までの距離を異常判別値として予め設定しておき、
織機運転中に前記位置検出装置から出力される前記検出値と前記異常判別値とを比較し、前記検出値が前記異常判別値以上となったときに前記パイルテンションロール又は前記揺動部材が前記異常判別位置に達したと判断することを特徴とする請求項1に記載のパイル織機におけるパイル高さ異常検出方法。
【請求項3】
前記パイル高さ異常の発生の有無を判別するための監視期間を予め設定しておき、
前記検出値の前記異常判別値以上となっている期間が前記監視期間に達したことで前記パイル高さ異常が発生していることを検出することを特徴とする請求項2に記載のパイル高さ異常検出方法。
【請求項4】
前記異常信号の発生に伴って織機を停止することを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載のパイル高さ異常検出方法。
【請求項5】
パイル経糸ビームから送り出されたパイル経糸が巻き掛けられると共に織機フレームに対し揺動変位可能に支持されるパイルテンションロールと、該パイルテンションロール又は前記パイルテンションロールと共に揺動変位する揺動部材の織機の前後方向における位置を検出する位置検出装置とを備え、パイル経糸の張力を所望の範囲に収めるべくパイル経糸の張力に応じて変位する前記パイルテンションロールの位置が予め設定された許容範囲であって前記パイルテンションロールの基準の位置に対する後方側の制限位置及び前方側の制限位置で画定される許容範囲内に収まるように前記位置検出装置による検出結果に基づいてパイル経糸ビームの送出速度を調整するパイル経糸に関する張力制御が織機運転中に実行されるパイル織機において、
製織中のパイル織物にパイル抜けが連続して生じている状態であるパイル高さ異常の発生の有無を判別するための異常判別位置であって前記後方側の制限位置又は該制限位置よりも後方の位置に設定された異常判別位置へ前記パイルテンションロール又は前記揺動部材が達したことに基づいて異常信号を発生する異常検出装置を備えることを特徴とするパイル織機。
【請求項6】
前記位置検出装置が前記パイルテンションロール又は前記揺動部材までの距離を検出値として出力する距離検出装置であり、
前記異常検出装置は、前記異常判別位置までの距離として予め設定された異常判別値を記憶すると共に、前記位置検出装置から出力される前記検出値と前記異常判別値とを比較する比較器、及び該比較器による比較結果として前記検出値が前記異常判別値以上となったことに基づいて前記異常信号を発生する異常判別部を備えることを特徴とする請求項5に記載のパイル織機。
【請求項7】
前記異常検出装置には、前記パイル高さ異常の発生の有無を判別するための監視期間が記憶されており、
前記異常判別部は、前記検出値が前記異常判別値以上となっている期間である異常期間を把握する機能を有すると共に、前記異常期間が前記監視期間に達したときに前記異常信号を発生するように構成されていることを特徴とする請求項6に記載のパイル織機。
【請求項8】
前記異常信号は、織機を停止する信号であることを特徴とする請求項5乃至請求項7に記載のパイル織機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイル経糸ビームから送り出されたパイル経糸が巻き掛けられると共に織機フレームに対し揺動変位可能に支持されるパイルテンションロールと、該パイルテンションロール又は前記パイルテンションロールと共に揺動変位する揺動部材の織機の前後方向における位置を検出する位置検出装置とを備え、パイル経糸の張力を所望の範囲に収めるべくパイル経糸の張力に応じて変位する前記パイルテンションロールの位置が予め設定された許容範囲であって前記パイルテンションロールの基準の位置に対する後方側の制限位置及び前方側の制限位置で画定される許容範囲内に収まるように、前記位置検出装置による検出結果に基づいてパイル経糸ビームの送出速度を調整するパイル経糸に関する張力制御が織機運転中に実行されるパイル織機に関する。
【背景技術】
【0002】
前記のようなパイル織機として、例えば、特許文献1に開示されたパイル織機がある。より詳しくは、その特許文献1に開示されたパイル織機は、パイル経糸ビームから送り出されたパイル経糸が巻き掛けられるパイルテンションロールを備えている。なお、そのパイルテンションロールは、織機上の固定支点に軸承されたアームによって支持されており、織機の前後方向に揺動変位可能に設けられている。そして、そのパイル織機は、パイル経糸の張力が予め設定された所望の大きさとなっている状態では、パイル経糸が織機上の所定の位置(基準位置)に位置するように構成されている。したがって、そのパイル織機においては、製織中にパイル経糸の張力が変化すると、パイルテンションロールは、その張力の大きさに応じた前記前後方向における位置へ揺動変位する。
【0003】
その上で、その特許文献1のパイル織機は、前記のようなパイル経糸の張力の変化に伴う変位によってパイルテンションロールの前記位置が予め設定された許容範囲を越えたときに、パイル経糸の送出量(送出速度)を修正する送出制御(パイル経糸の張力制御)を行うように構成されている。すなわち、パイル経糸の張力が製織されるパイル織物のパイル高さに影響を及ぼす(例えば、パイル経糸の張力が高くなると、製織時にパイル抜けが生じてパイルの高さが低くなる状態が発生する)ため、パイル織機においては、パイル織物の品質を考慮し、そのようなパイル経糸の張力制御が行われる。ちなみに、製織中においては、パイル経糸の張力は、例えばパイル経糸ビームの巻径が変化(減少)することに伴って不可避的に変化する。そして、前記のようなパイル経糸の張力制御は、そのような不可避的なパイル経糸の張力の変化に対応すべく行われる。
【0004】
なお、前記した許容範囲は、前記の基準の位置に対する前方側及び後方側に設定された位置(制限位置)によって画定される。ちなみに、特許文献1のパイル織機では、近接スイッチにより前記のようなパイルテンションロールの変位が検出されており、その前方側の制限位置及び後方側の制限位置は、前記の基準の位置に対する前方側及び後方側のそれぞれに配置された近接スイッチの位置によって定められている。
【0005】
また、同様の張力制御を行うパイル織機として、特許文献2に開示されたパイル織機がある。その特許文献2のパイル織機では、パイルテンションロールの前記位置を検出するための位置検出装置としての位置検出器が備えられている。但し、特許文献2では、パイルテンションロールがテンションレバーによって揺動変位可能に支持されており、位置検出器は、パイルテンションロールと共に揺動変位するテンションレバーの位置を検出するように設けられている。その上で、特許文献2のパイル織機においては、前記した前方側の制限位置及び後方側の制限位置は、位置検出器による検出値と比較される設定値としてそれぞれ設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開昭57-005945号公報
【文献】特開昭63-275751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、パイル織機における実際の製織では、前記のように張力制御が行われているにもかかわらず、形成された直後のパイルにパイル抜けが発生してそのパイルの高さが目標の高さよりも低くなるといった現象が連続的に発生する場合がある。そして、製織中においてそのようにパイル抜けが連続的に発生してしまうと、製織されたパイル織物は品質が著しく損なわれたものとなる。
【0008】
なお、そのようにパイル抜けが連続的に発生する原因は、現状でははっきりとしていないが、種々の要因が影響することによるものと考えられている。例えば、織機自体における要因として、部品の故障が発生したことに伴う織機の異常振動が考えられる。詳しくは、そのように織機に異常振動が発生すると、製織中のパイル織物にパイル抜けが発生することがある。その上で、その異常振動が継続する結果として前記のようにパイル抜けが連続的に発生した状態となる、といったことが考えられる。なお、その織機自体に異常(故障)がなくても、同じ工場内に設置された2台の織機の運転中の振動による固有周波数が略同じとなって共振することによりそれらの織機に異常振動が発生する場合がある。
【0009】
さらに、パイル経糸自体の張力異常も前記の要因として考えられる。詳しくは、パイル経糸ビームの整経工程が適切に行われなかった結果、そのビームにおけるパイル経糸の巻き硬度にばらつきが生じることがある。そして、その巻き硬度のばらつきが原因で製織中におけるパイル経糸の張力が、前記した不可避的に発生する張力の変化とは異なる異常なかたちで変化する場合があり、それが前記のパイル抜けが連続的に発生する原因となる場合もある。
【0010】
そこで、本発明は、製織されるパイル織物の品質に関連する前記のようなパイル抜けが連続して生じている状態であるパイル高さ異常の発生を検出するための方法、及びそのパイル高さ異常を検出するための装置を備えたパイル織機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、パイル経糸ビームから送り出されたパイル経糸が巻き掛けられると共に織機フレームに対し揺動変位可能に支持されるパイルテンションロールと、そのパイルテンションロール又は前記パイルテンションロールと共に揺動変位する揺動部材の織機の前後方向における位置を検出する位置検出装置とを備え、パイル経糸の張力を所望の範囲に収めるべくパイル経糸の張力に応じて変位する前記パイルテンションロールの位置が予め設定された許容範囲であって前記パイルテンションロールの基準の位置に対する後方側の制限位置及び前方側の制限位置で画定される許容範囲内に収まるように前記位置検出装置による検出結果に基づいてパイル経糸ビームの送出速度を調整するパイル経糸に関する張力制御が織機運転中に実行されるパイル織機に適用される。
【0012】
そして、本発明によるパイル高さ異常検出方法は、そのパイル織機において、製織中のパイル織物にパイル抜けが連続して生じている状態であるパイル高さ異常の発生の有無を判別するための異常判別位置であって前記後方側の制限位置又はその制限位置よりも後方の位置に設定される異常判別位置が予め定められ、織機運転中に前記パイルテンションロール又は前記揺動部材が前記異常判別位置へ達したことに基づいて前記パイル高さ異常が発生していることを検出して異常信号を発生することを特徴とする。
【0013】
なお、その本発明のパイル高さ異常検出方法は、前記位置検出装置が前記パイルテンションロール又は前記揺動部材までの距離を検出値として出力する距離検出装置であり、前記異常判別位置まで距離を異常判別値として予め設定しておくと共に、織機運転中に前記位置検出装置から出力される前記検出値と前記異常判別値とを比較して前記検出値が前記異常判別値以上となったときに前記パイルテンションロール又は前記揺動部材が前記異常判別位置に達したと判断するようにしても良い。その上で、本発明のパイル高さ異常検出方法は、前記パイル高さ異常の発生の有無を判別するための監視期間を予め設定しておき、前記検出値の前記異常判別値以上となっている期間が前記監視期間に達したことで前記パイル高さ異常が発生していることを検出するようにしても良い。さらに、前記異常信号の発生に伴って織機を停止するようにしても良い。
【0014】
また、本発明による前記パイル高さ異常を検出するための装置を備えたパイル織機は、前述したパイル織機において、前記異常判別位置へ前記パイルテンションロール又は前記揺動部材が達したことに基づいて前記異常信号を発生する異常検出装置を備えることを特徴とする。
【0015】
なお、その本発明による前記パイル高さ異常を検出するための装置を備えたパイル織機は、前記位置検出装置が前記パイルテンションロール又は前記揺動部材までの距離を検出値として出力する距離検出装置であり、前記異常検出装置は、前記異常判別値を記憶すると共に、前記位置検出装置から出力された前記検出値と前記異常判別値とを比較する比較器、及びその比較器による比較結果として前記検出値が前記異常判別値以上となったことに基づいて前記異常信号を発生する異常判別部を備えるようにしても良い。その上で、前記異常検出装置には、前記監視期間が記憶されており、前記異常判別部は、前記検出値が前記異常判別値以上となっている期間である異常期間を把握する機能を有すると共に、前記異常期間が前記監視期間に達したときに前記異常信号を発生するように構成しても良い。さらに、前記異常信号が織機を停止するための信号であっても良い。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、パイル抜けが連続して生じている状態である前記パイル高さ異常の発生の有無を判別するための異常判別位置であってパイルテンションロール又は前記揺動部材の位置に関して設定された異常判別位置が予め定められており、織機運転中(製織中)においては、位置検出装置によって検出されたパイルテンションロール又は前記揺動部材の前記前後方向における位置がその異常判別位置へ達したことに基づいて前記パイル高さ異常の発生を検出している。すなわち、本発明の発明者らは、前記のような連続的なパイル抜けが、前述した張力制御下であってもパイルテンションロールを変位させるような影響を及ぼすということを考察し、それに基づき、検出されたパイルテンションロール又は前記揺動部材の位置に基づいて前記パイル高さ異常を検出することを考案した。
【0017】
より詳しくは、パイル抜けが発生すると、そのパイルから抜けた分のパイル経糸が織前側からパイル経糸ビーム側の方に戻るため、その分だけパイル経糸が緩む(張力が低下する)。しかも、前記のようにそのパイル抜けが連続的に発生する結果として、その発生分だけパイル経糸の張力が低下することとなる。そして、パイル経糸の張力が低下すると、前記したようにパイルテンションロールが前記揺動部材と共に揺動変位(より詳しくは、後方へ向けて変位)する。
【0018】
なお、張力制御下にあっては、パイルテンションロールが変位してその位置が前記許容範囲を越えた場合、前述のように、前記送出制御によってパイル経糸の張力を制御し、パイルテンションロールをその前記許容範囲内に収まる状態に戻そうとすることが行われる。しかし、その張力制御は、前記したパイル経糸ビームの巻径の変化によるパイル経糸の張力の変化等のような正常な状態で発生する不可避的なパイル経糸の張力の変化を想定したものである。すなわち、その張力制御は、前記のようなパイル抜けが連続して生じている状態である前記パイル高さ異常の発生による異常なパイル経糸の張力の変化を想定していない。したがって、そのような想定外の前記パイル高さ異常によるパイル経糸の張力の低下に対してはその張力制御では対応しきれず、前記送出制御によるパイル経糸の張力制御が行われているにもかかわらず、パイルテンションロールが前記許容範囲内に戻らない(更に後方へ向けて変位する)といった状態となる。
【0019】
そこで、本発明では、前記許容範囲における前記後方側の制限位置又はその制限位置よりも後方の位置に、前記パイル高さ異常の発生の有無を判別するための異常判別位置を定めることとした。その上で、織機運転中においてパイルテンションロール又は前記揺動部材がその異常判別位置に達したことを検出することで、従来のパイル織機において行われていなかった前記パイル高さ異常の発生の検出が行えるようになった。すなわち、パイルテンションロール又は前記揺動部材が異常判別位置に達したことが検出されることにより、本来達するべきでは無い位置にまでパイルテンションロールが変位したと判別されるため、それに基づき前記パイル高さ異常が発生したということが検出されることとなる。
【0020】
なお、従来のパイル織機においては、前記パイル高さ異常の発生がそもそも想定されていないため、従来においては、その前記パイル高さ異常の発生を何らかのかたちで検出しようとする発想すら存在していなかった。そのため、従来のパイル織機において、前記のようなパイル抜けが連続して生じている状態が発生しても、作業者がそれを発見しない限りは、そのままの状態で製織が継続されることとなる。しかも、それを発見するためには製織中のパイル織物を直接見て確認する必要があり、織機から離れた位置では確認することができないため、発見が遅くなることも考えられる。そして、その結果として、製織されたパイル織物の品質が著しく損なわれる。
【0021】
それに対し、本発明によれば、前記のように前記パイル高さ異常の発生が検出され、それに伴って異常信号が発生される。そこで、その異常信号の発生に基づき、例えば、織機の警報ランプを点滅させると共に前記パイル高さ異常(連続したパイル抜け)の発生を知らせるメッセージを織機の表示器に表示させるようにすれば、その織機の製織において前記パイル高さ異常が発生していることをその警報ランプ等によって把握することができる。それにより、前記パイル高さ異常の発生を早期に発見することができ、パイル抜けが連続的に発生した状態で製織が継続されることを防ぐことができる。また、その異常信号に基づき、織機が停止されるようにすれば、例えば作業者が織布工場内に常駐しておらず直ぐには前記パイル高さ異常の発生を把握することができない状況であっても、パイル抜けが連続的に発生した状態で製織が継続されることを防ぐことができる。
【0022】
このように、本発明によれば前記パイル高さ異常の検出がされるため、それにより、パイル抜けが連続的に発生した状態で製織が継続されることを可及的に防止することが可能となり、その結果として、前記のようなパイル織物の著しい品質低下を防ぐことが可能となる。
【0023】
なお、パイル経糸の張力制御のために備えられている位置検出装置が距離検出装置である場合において、本発明に関し、パイルテンションロール又は前記揺動部材の異常判別位置へ達したことの判断がその距離検出装置から出力される検出値と前記異常判別位置に対応する異常判別値との比較によって行われるようにすることによって、より簡単な構成で本発明を実現することができる。すなわち、前記判断を行うにあたってはパイルテンションロール又は前記揺動部材の位置を把握する必要があり、そのための検出手段が必要となるが、前提とするパイル織機に元から備えられているパイル経糸の張力制御のための位置検出装置をその検出手段として兼用することにより、織機に対し本発明のための専用の検出手段を設けることなく、本発明を実現することが可能となる。
【0024】
また、本発明において、前記のような監視期間を設けることにより、前記パイル高さ異常の発生の検出がより正確に且つより早期に行われるようにすることが可能となる。詳しくは、パイル織機においては、前記した不可避的な張力変動によってもパイルテンションロールが前記後方側の制限位置の近傍まで変位し、その状態で製織が継続される状態が存在する。その上で、その状態においてパイル形成に伴ってパイルテンションロールが変位されると、その変位に伴う慣性により、パイルテンションロールが一時的に前記後方側の制限位置を越えた位置まで変位することがある。そのため、そのようなことが想定される場合には、その一時的な変位によって前記パイル高さ異常が発生したと誤って検出されないように、異常判別位置を前記後方側の制限位置から十分に離れた位置に設定する必要がある。なお、その場合でも、従来とは異なり前記パイル高さ異常の検出は行われるが、その検出は、パイルテンションロール又は前記揺動部材がそのように離れた位置にまで揺動変位した時点となる。
【0025】
それに対し、前記のような監視期間を設ければ、前記のような一時的な変位が想定される場合であっても、異常判別位置を前記後方側の制限位置に可及的に近い位置(もしくは、その位置)に設定することができ、且つ、前記のような一時的な変位を前記パイル高さ異常の発生として誤って検出されてしまうことを防ぐことができる。そして、異常判別位置をそのような位置に設定することで、前記パイル高さ異常の発生をより早期に検出することが可能となる。
【0026】
さらに、前記のように前記異常信号の発生に伴って織機を停止することにすれば、それ以上は前記パイル高さ異常が継続されないため、前記パイル高さ異常が発生した状態で製織される部分(範囲)を最小限に抑えることができる。それにより、例えば前記パイル高さ異常の発生により生じたパイル抜けを作業者が修復する場合であっても、その修復を短時間で済ませることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明が適用されるパイル織機の送出装置の一例を示す説明図である。
【
図2】本発明による異常検出装置の構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、本発明によるパイル高さ異常を検出するための異常検出装置を備えたパイル織機の一実施例を図面に基づいて説明する。
【0029】
図1に示すのは、本発明による異常検出装置を備えたパイル織機におけるパイル経糸PTの送出し装置の一例である。その送出し装置1において、パイル経糸PTは、パイル経糸ビーム2から送り出され、パイル経糸ビーム2の下方に設けられたガイドロール3、テンションシャフト4、及びパイルテンションロール5に順次巻き掛けられて織前側に導かれている。
【0030】
また、その送出し装置1において、パイルテンションロール5は、織機の幅方向に離間して設けられた左右一対のテンションレバー6(
図1では片側のみを図示)によって支持されている。なお、そのテンションレバー6は、前記幅方向に亘って延在して設けられるテンションシャフト4によって織機フレーム(図示略)に対し揺動可能に支持されている。したがって、パイルテンションロール5は、テンションレバー6を介してテンションシャフト4を揺動中心とするかたちで織機フレームに対し揺動変位可能に支持されている。
【0031】
さらに、テンションレバー6は、トルクモータM2の出力軸に取り付けられる駆動レバー7及び駆動レバー7とテンションレバー6とを連結する連結ロッド8からなるリンク機構を介してトルクモータM2に連結されている。したがって、パイルテンションロール5は、テンションレバー6及び前記リンク機構を介してトルクモータM2の出力軸に連結された状態となっている。
【0032】
また、トルクモータM2は、そのトルクモータM2の駆動を制御するためのパイル経糸張力制御装置11に接続されている。そして、そのパイル経糸張力制御装置11は、パイル織機の主制御装置14に接続されており、さらに、その主制御装置14には、パイル経糸PTの設定張力値が記憶されている。その上で、パイル経糸張力制御装置11は、その設定張力値に応じた出力トルクを発生するようにトルクモータM2の駆動を制御する。そして、トルクモータM2の駆動がそのように制御されることで、パイルテンションロール5は、そのトルクモータM2の出力トルクに応じた付勢力をパイル経糸PTに対し作用させる。それにより、パイルテンションロール5は、織機の前後方向に関し、その付勢力とパイル経糸PTの張力とが釣り合った状態となる位置で、織機上に配置された状態となる。
【0033】
なお、パイル織機の初期設定においては、パイルテンションロール5は、織機の前後方向における予め定められた位置(基準の位置)に配置された状態とされる。そして、前記付勢力は予め定められた前記設定張力値に応じた一定の大きさの力であり、且つ、パイルテンションロール5の前記配置はその付勢力とパイル経糸PTの張力との釣り合いによって定まるものであるため、パイル経糸PTの張力が前記設定張力値に一致した状態であれば、パイルテンションロール5は、その基準の位置に配置された状態とされる。
【0034】
しかし、前述したように、パイル織機においては、その製織中に、不可避的なパイル経糸PTの張力の変化が発生する。そして、その結果として、パイルテンションロール5は、そのパイル経糸PTの張力の変化に応じて揺動変位し、そのパイル経糸PTの張力に応じた位置に配置された状態となる。
【0035】
具体的には、前記の釣り合った状態からパイル経糸PTの張力が低くなると、前記付勢力がパイル経糸PTの張力よりも大きくなるため、パイルテンションロール5は、トルクモータM2による駆動方向である後方へ向けて変位する。但し、そのパイルテンションロール5の変位の結果として、パイル経糸ビーム2から織前(図示略)に至るパイル経糸PTの経路長が長くなり、それに伴ってパイル経糸PTの張力が上昇する。そして、そのパイル経糸PTの張力が前記付勢力と釣り合う大きさまで上昇した時点で、パイルテンションロール5の揺動変位が停止する。
【0036】
同様に、前記釣り合い状態からパイル経糸PTの張力が高くなると、パイル経糸PTの張力が前記付勢力よりも大きくなるため、その張力により、パイルテンションロール5がトルクモータM2の駆動力に抗して前方へ向けて変位する。そして、その結果として、パイル経糸PTの前記経路長が短くなり、それに伴ってパイル経糸PTの張力が低下することから、そのパイルテンションロール5の揺動変位は、パイル経糸PTの張力が前記付勢力と釣り合う大きさまで低下した時点で停止する。
【0037】
そして、送出し装置1においては、パイル経糸PTの張力に変化が生じても、前記のようなパイルテンションロール5の変位に伴う前記経路長の変化によってその張力の変化が解消され、その上で、前記付勢力とパイル経糸PTの張力とが常に釣り合った状態となることで、パイル経糸PTの張力が前記の設定張力値に応じた張力に維持されている。
【0038】
なお、送出し装置1においては、パイル経糸ビーム2は、送出モータM1によって回転駆動される。さらに、その送出モータM1は、パイル経糸送出制御装置13によってその駆動が制御される。その上で、パイル織機においては、そのパイル経糸送出制御装置13は、前記の主制御装置14に接続されている。また、送出し装置1は、パイル経糸ビーム2の近傍に設けられた巻径センサ(図示略)を含んでいる。そして、その巻径センサは、主制御装置14に接続されており、その検出値を主制御装置14に対し出力する。
【0039】
その上で、主制御装置14は、製織中において、その巻径センサから出力された検出値に基づき、パイル経糸ビーム2上のパイル経糸PTの巻径を周期的に求めている。さらに、製織中においては、主制御装置14に予め記憶されている織機回転数及び緯糸密度の設定値、並びに前記のようにして求められたパイル経糸PTの巻径に基づき、送出モータM1の基本駆動速度が算出される。そして、パイル経糸送出制御装置13は、その算出された基本駆動速度に従って送出モータM1の駆動を制御する。それにより、パイル経糸ビーム2は、その送出モータM1の基本駆動速度に応じた送出量(送出速度)でパイル経糸PTを送り出すように回転駆動される。
【0040】
さらに、パイル経糸送出制御装置13は、前記のように製織中においてパイル経糸PTの張力に応じて変化するパイルテンションロール5の前記前後方向における位置(以下、「前後位置」と言う。)が予め設定された許容範囲内に収まるように、前記前後位置に基づいて送出モータM1の駆動を制御する(パイル経糸PTの送出速度を調整する)ように構成されている。但し、その許容範囲とは、前記の基準の位置に対し後方側に設定された制限位置(後方側の制限位置)と前方側に設定された制限位置(前方側の制限位置)とから画定される範囲である。また、その後方側及び前方側の制限位置は、パイル製織との兼ね合いでその制限位置を越えた位置にパイルテンションロール5が位置した場合に、その製織に悪影響が生じ得る位置である。
【0041】
前記のパイル経糸送出制御装置13によるパイル経糸PTの送出速度の調整について、詳しくは以下の通りである。なお、その調整は、前記のようにパイルテンションロール5の前後位置に基づいて行われるものであるが、本実施例では、パイルテンションロール5と共に揺動変位する揺動部材であるテンションレバー6の前後位置に基づいてその調整が行われることとする。また、前記許容範囲について、その範囲を画定する後方側の制限位置及び前方側の制限位置は、それぞれに対応する設定値が、後方側閾値及び前方側閾値として、パイル経糸送出制御装置13に予め記憶されていることとする。
【0042】
テンションレバー6の近傍には、テンションレバー6の前後位置を検出する位置検出器12が設けられている。なお、位置検出器12は、本実施例では距離センサであって、その位置検出器12からテンションレバー6までの距離を検出するセンサである。そして、その位置検出器12は、パイル経糸送出制御装置13に接続されており、その検出信号(検出された距離に応じた信号)をパイル経糸送出制御装置13に対し出力する。その上で、パイル経糸送出制御装置13は、その検出信号に基づき、テンションレバー6の前後位置(位置検出器12からの距離)を検出する。したがって、本実施例では、位置検出器12とパイル経糸送出制御装置13とで位置検出装置としての距離検出装置が構成されている。
【0043】
また、前記のようにテンションレバー6の前後位置が位置検出器12からの距離で検出されることから、前記の後方側閾値及び前方側閾値も、位置検出器12からの距離としてその設定値が設定されている。
【0044】
そして、パイル経糸送出制御装置13は、製織中において、位置検出器12で検出されたテンションレバー6の前後位置について、織機の1サイクル(織機主軸の回転角度0°から360°(0°)までの期間)毎にその前後位置の平均値を算出すると共に、その平均値(検出値)と後方側閾値及び前方側閾値とを比較する。その上で、パイル経糸送出制御装置13は、その比較の結果として前記検出値が後方側閾値より大きいと判断された場合、すなわち、テンションレバー6が後方側の制限位置を越えて後方に変位したと判断された場合には、パイル経糸PTの送出速度を低下させるように調整する。それにより、前記付勢力と釣り合っているパイル経糸PTの張力が高くなる方向に変化し、前述のようにパイルテンションロール5(テンションレバー6)が前方に向かって変位する。
【0045】
また、パイル経糸送出制御装置13は、テンションレバー6の前記検出値が前方側閾値よりも小さいと判断された場合、すなわち、テンションレバー6が前方側の制限位置を越えて前方に変位したと判断された場合には、パイル経糸PTの送出速度を上昇させるように調整する。それにより、パイル経糸PTの張力が低くなる方向に変化し、前述のようにパイルテンションロール5(テンションレバー6)が後方に向かって変位する。そして、パイル経糸送出制御装置13は、テンションレバー6の前後位置が前記許容範囲内に戻ると、その調整した送出速度が維持されるように送出モータM1の駆動を制御した状態となる。その結果として、テンションレバー6の前後位置が、後方側の制限位置よりも前方、且つ、前方側の制限位置よりも後方に位置した状態、すなわち、前記許容範囲内に収まった状態となる。
【0046】
このように、送出し装置1においては、パイルテンションロール5が設定張力値に応じた前記付勢力をパイル経糸PTに作用させ、そのパイルテンションロール5による前記付勢力とパイル経糸PTの張力とが釣り合うことで、パイル経糸PTの張力がその設定張力値に一致すると共にパイルテンションロール5がその釣り合いに応じた位置を取る状態となっている。その上で、その送出し装置1においては、その状態で、パイルテンションロール5(テンションレバー6)の位置が予め設定された前記許容範囲内に収まるようにパイル経糸PTの送出速度を調整するようなパイル経糸PTの張力制御が行われている。
【0047】
以上で説明した送出し装置1を備えたパイル織機において、本発明では、そのパイル織機は、パイル抜けが連続して生じている状態であるパイル高さ異常の発生を検出するための異常検出装置を備えている。また、その異常検出装置は、前記パイル高さ異常の発生の有無の判別(以下、「異常判別」とも言う。)に用いられる異常判別位置であって後方側の制限位置又は後方側の制限位置よりも後方の位置に設定された異常判別位置へ、前記のパイルテンションロール5又は前記揺動部材であるテンションレバー6が達したことに基づいて異常信号を発生するように構成されている。以下では、そのような本発明の異常検出装置について、その一具体例を本実施例のパイル高さ異常検出装置10として説明する。
【0048】
なお、前記異常判別のためには、パイルテンションロール5又はテンションレバー6が異常判別位置に達したことの判断が必要となる。そして、その判断のためには、パイルテンションロール5又はテンションレバー6の前後位置を把握するための検出手段が必要となる。一方で本実施例では、前述のように送出し装置1は、パイル経糸PTの張力制御のために前記距離検出装置でテンションレバー6の前後位置を検出している。そこで、本実施例では、前記距離検出装置が前記検出手段として兼用されるものとし、その上で、前記の判断が、その前記距離検出装置による前記検出値を用いて行われることとする。すなわち、本実施例では、送出し装置1の一部であるテンションレバー6の前後位置を検出するための前記距離検出装置が、前記検出手段としてパイル高さ異常検出装置10の一部をも兼ねている。
【0049】
また、本実施例では、前記判断は、前記距離検出装置による前記検出値と位置検出器12から異常判別位置までの距離として予め設定された異常判別値とを比較することによって行われることとする。その上で、前記異常判別は、前記検出値が異常判別値以上となったことに基づいて行われるが、本実施例では、前記異常判別のための監視期間が予め設定されており、前記検出値が異常判別値以上となっている期間である異常期間がその監視期間に達したことで行われることとする。但し、その監視期間は、本実施例では、織機のサイクル数で設定されているものとする。したがって、その監視期間と比較される異常期間も、織機のサイクル数で求められる。
【0050】
また、前記異常判別の結果としてパイル高さ異常検出装置10から異常信号が出力されるが、本実施例では、その異常信号は、織機を停止させるための信号(織機停止信号)とする。すなわち、本実施例では、その異常信号の発生に伴って織機が停止されるようにパイル織機が構成されているものとする。
【0051】
図2に示すように、パイル高さ異常検出装置10は、異常判別値及び監視期間が記憶される記憶器21と、製織中において異常判別値とテンションレバー6の前後位置(前記検出値)とを比較する比較器22と、その比較結果及び前記の異常期間に基づいて異常信号を発生する異常判別部23とを備えている。
【0052】
記憶器21は、入力側においてパイル織機における入力設定装置15に接続されると共に、出力側において比較器22及び異常判別部23に接続されている。因みに、入力設定装置15は、例えば、タッチパネル式の表示画面を有するものであって、その表示画面に表示される設定画面等によって各種の設定値が入力設定可能となっている。そして、前記の異常判別値及び監視期間は、その入力設定装置15において入力設定され、その入力設定に伴って記憶器21に送られると共に記憶器21において記憶される。
【0053】
なお、その記憶器21に記憶される異常判別値について、本実施例では、その異常判別値が対応する異常判別位置は、前記した後方側の制限位置よりも後方であってその制限位置の近傍の位置として定められている。したがって、異常判別値は、前記したように位置検出器12からその異常判別位置までの距離として設定される。
【0054】
また、記憶器21に記憶される監視期間について、その監視期間は、パイルテンションロール5の後方への一時的な変位をパイル高さ異常の発生として検出しないために設定されるものである。
【0055】
より詳しくは、送出し装置1においては、前述のようなパイル経糸PTの張力制御が行われており、パイルテンションロール5(テンションレバー6)の前後位置が前記許容範囲(制限位置)を越えた場合、送出速度が調整されてテンションレバー6の前後位置が制限位置の範囲内に戻される。したがって、その送出し装置1においては、制限位置を越えない範囲では、テンションレバー6が制限位置の近傍に存在する状態がある。なお、パイル織機では、パイルテンションロール5は、パイル形成時において一旦前方へ変位して再び元の位置に戻るといった動作を行う。そして、前記のようにテンションレバー6が制限位置の近傍に存在する状態でパイルテンションロール5がそのように動作すると、その慣性により、テンションレバー6の前後位置が一時的に制限位置を越えるように変位する場合がある。しかも、前記のように本実施例では異常判別位置が後方側の制限位置の近傍の位置として設定されているため、その変位により、前記検出値が異常判別値以上となる場合がある。
【0056】
しかし、それはパイル抜けが発生したことに伴うパイルテンションロール5の変位ではないため、その一時的な変位がパイル抜けが連続的に発生したことに起因するパイルテンションロール5の変位として検出されないようにする必要がある。
【0057】
さらに、テンションレバー6の前後位置が後方側の制限位置を越えるパイルテンションロール5の変位は、前述のようにパイル織機において形成されたパイルにパイル抜けが発生すると共に、そのパイル抜けが連続して発生することで起きるものである。但し、そのパイル抜けの発生原因は、製織の進行に比例して起きるものではなく、しかも、例えば2台の織機の共振に伴う織機の異常振動等のような、一時的な(短期間の)ものである場合がある。そして、そのように発生原因が一時的なものである場合には、その発生原因が収まることに伴ってパイル抜けも生じなくなり(連続的に発生していたパイル抜けが収まり)、パイル抜けに起因するパイルテンションロール5の変位が無くなる。その上で、送出し装置1においては前記のようなパイル経糸PTの張力制御が行われているため、その張力制御により、テンションレバー6の前後位置が制限位置の範囲内に戻ることとなる。
【0058】
このように、パイル抜けはその発生原因が起きている間に亘って生じるが、その発生原因が一時的なものであり、短期間で収まった場合には、テンションレバー6の前後位置が一時的に異常判別位置に達した又は異常判別位置を越えたとしても、再び異常判別位置に達しない位置に戻る。すなわち、テンションレバー6の前記検出値が、一時的に異常判別値以上となったとしても、再び異常判別値未満となる。
【0059】
なお、パイル織物について、その種類によっては、その柄によってパイル抜けが目立ち難い等の理由により、パイル抜けが連続的に発生した状態となっていても、その発生範囲の大きさによっては品質的に許容される場合がある。すなわち、パイル織物の種類によっては、その製織における連続的なパイル抜けが発生している状態は、必ず異常と見なされる訳では無く、その発生範囲の大きさによっては異常と見なされない場合がある。
【0060】
そこで、本実施例では、前記したパイル形成時の動作の慣性によりテンションレバー6の前記検出値が異常制限値以上となるようなパイルテンションロール5の変位だけでなく、そのパイル織物において許容される範囲内でのパイル抜けを異常として検出しないように、前記のような監視期間が設定されている。そして、本実施例では、前記のようにテンションレバー6の前記検出値が異常判別値以上となったとしても、その前記検出値が異常判別値以上となっている期間が監視期間に達しない限りは、異常として検出しないようにされている。すなわち、本実施例では、検出されるパイル高さ異常を、前記検出値の異常判別値以上となっている期間が監視期間に達したことで検出することとしている。
【0061】
このように、本実施例では、その監視期間は、そのときに製織されるパイル織物において品質的に許容されるパイル抜けの程度(発生範囲の大きさ)を踏まえた期間として設定される。なお、前記のように本実施例では、監視期間は織機のサイクル数で設定される。その上で、パイル織機においては、複数の織機のサイクルで1つのパイルが形成されることから、その監視期間は、1つのパイル形成に要する織機のサイクル数の整数倍(パイル形成サイクル×パイル数)のサイクル数が設定値として設定される。
【0062】
比較器22は、入力側において記憶器21及びパイル経糸送出制御装置13に接続されると共に、出力側において異常判別部23に接続されている。なお、パイル経糸送出制御装置13は、前記したように、位置検出器12で検出されたテンションレバー6の前後位置の平均値を織機の1サイクル毎に算出している。その上で、パイル経糸送出制御装置13は、その算出した平均値を算出毎に比較器22に対し出力するように構成されている。このように本実施例では、前記のように算出された平均値が、各織機サイクルにおけるテンションレバー6の前後位置の前記検出値として用いられる。
【0063】
そして、比較器22は、パイル経糸送出制御装置13から出力された前記検出値が入力されると、記憶器21に記憶された異常判別値と前記検出値とを比較すると共に異常判別値に対する前記検出値の偏差を求めるように構成されている。また、比較器22は、その求めた偏差の大きさに応じた偏差信号を異常判別部23へ出力するように構成されている。すなわち、比較器22は、織機の1サイクル毎に前記偏差信号を異常判別部23へ出力するように構成されている。但し、前記偏差について、本実施例では、前記偏差は0も含むものとする。そして、前記偏差が0の場合には、比較器22は、異常判別部23に対して前記偏差=0に応じた前記偏差信号を出力する。
【0064】
異常判別部23は、入力側において記憶器21及び比較器22に接続されると共に、出力側において主制御装置14に接続されている。また、異常判別部23は、前記のように織機のサイクル数で求められる異常期間を計数するカウンタとしての計数器24を備えている。そして、異常判別部23は、比較器22から出力された前記偏差信号に基づき、前記検出値が異常判別値以上であるか否かを判別すると共に、前記検出値が異常判別値以上であると判別した場合に計数器24のカウント値(異常期間)をカウントアップするように構成されている。また、異常判別部23は、前記検出値が異常判別値未満であると判別した場合には、そのカウント値をリセットするように構成されている。
【0065】
したがって、その構成によれば、前記検出値が最初に異常判別値以上となった時点(前記偏差が0以上となった時点)で異常判別部23における計数器24でのサイクル数のカウントが開始され、前記検出値が異常判別値を越えている間(前記偏差が0を越えている間)は計数器24におけるカウント値がカウントアップされ続ける。また、計数器24でのサイクル数のカウントが開始された後であっても、前記検出値が異常判別値未満となった場合(前記偏差が0未満となった場合)には、その計数器24におけるカウント値はリセットされ、その後再び前記検出値が最初に異常判別値以上となるまでは、そのカウント値は0に維持される。
【0066】
さらに、異常判別部23は、前記のカウント値が更新(カウントアップ)される毎に、その更新されたカウント値(異常期間)と監視期間の設定値とを比較することによって異常期間が監視期間に達したかどうかを監視する到達監視器25を備えている。その上で、異常判別部23は、その到達監視器25がその監視の結果として、異常期間に相当するカウント値が監視期間の設定値以上となったことを検出した(=異常期間が監視期間に達したパイル高さ異常が発生したと検出された)とき、主制御装置14に対し異常信号として織機停止信号を出力するように構成されている。
【0067】
以上のような本実施例におけるパイル高さ異常検出装置10について、その作用は以下の通りである。
【0068】
製織中、何らかの原因でパイル抜けが発生すると、その抜けた分のパイル経糸PTが織前側からパイル経糸PT側に戻るため、その分だけパイル経糸PTの張力が低下する。そして、そのパイル経糸PTの張力変化に伴い、パイルテンションロール5が後方へ向けて変位する。このとき、そのパイル抜けが連続して発生すると、そのパイル抜けに起因するパイルテンションロール5の後方へ向けた変位が継続的に発生する。
【0069】
その変位に伴ってテンションレバー6の前後位置が前記した後方側の制限位置を越えると、テンションレバー6の前後位置を前記許容範囲内に戻すべく、パイル経糸送出制御装置13によるパイル経糸PTの送出速度の調整が行われる。但し、そのパイル経糸PTの送出速度の調整は、パイル経糸ビーム2の巻径の変化(減少)に伴う不可避的なパイル経糸PTの張力変化を想定したものであって、パイル抜けによる異常なパイル経糸PTの張力変化を想定したものではない。すなわち、そのパイル経糸送出制御装置13による送出速度の調整では、前記のようなパイル抜けに起因するパイルテンションロール5の変位には対応できない。そのため、そのように送出速度が調整されてもパイルテンションロール5(テンションレバー6)の前後位置を戻すといった状態にはならず、パイル抜けの発生が続いている状態ではパイルテンションロール5の後方へ向けた変位が継続される。
【0070】
なお、製織中においては、パイル高さ異常検出装置10における比較器22に対するパイル経糸送出制御装置13による前記検出値の出力が織機の1サイクル毎に行われている。そして、比較器22は、その前記検出値の入力毎に、その前記検出値と異常判別値とを比較して前記偏差を求めると共に、その前記偏差の大きさを示す前記偏差信号を異常判別部23に対し出力している。
【0071】
前記のようにパイルテンションロール5の変位が継続された結果として、テンションレバー6の前後位置が異常判別値に対応する前後位置に達した状態、もしくは越えた状態となると、前記検出値が異常判別値以上となる。そのため、比較器22から出力される前記偏差信号は前記偏差≧0を示す信号となる。
【0072】
そして、そのように前記偏差≧0を示す前記偏差信号が異常判別部23に入力されると、異常判別部23は、計数器24のカウント値をカウントアップ(+1)する(最初はカウント値が0であるため1にカウントアップする)。すなわち、異常判別部23は、前記偏差≧0を示す前記偏差信号が連続的に入力されている間は、計数器24でその入力回数をカウントする。なお、前記偏差信号は織機の1サイクル毎に出力されるため、そのカウント値(合計値)が織機のサイクル数単位で求められる異常期間となる。
【0073】
その後、パイル抜けの連続的な発生が収まらず、パイル抜けに起因するパイルテンションロール5の変位が継続すると、前記検出値が異常判別値以上となっている状態が続く。そのため、織機の1サイクル毎に比較器22から出力される前記偏差信号は、その前記検出値が異常判別値以上となっている間に亘り、前記偏差≧0を示す信号となる。それに伴い、異常判別部23においては、その前記偏差信号の入力毎に計数器24のカウント値がカウントアップされる。
【0074】
但し、前述のように、その発生原因が一時的なものであったためにパイル抜けが短期間で収まる場合がある。そして、その場合には、そのパイル抜けに起因するパイルテンションロール5の後方へ向けた変位が停止する。なお、その変位が停止した時点では、前記検出値が前記の後方側閾値を越えた状態となっている。そのため、パイル経糸送出制御装置13によりパイル経糸PTの送出速度が調整されることによって、パイルテンションロール5が前方へ向けて変位する。その結果として、前記検出値が異常判別値未満の状態となる。そして、それに伴い、比較器22から出力される前記偏差信号は前記偏差<0を示す信号となるため、異常判別部23では、計数器24のカウント値(異常期間)がリセットされる(カウント値が0に戻される)。
【0075】
また、異常判別部23においては、計数器24のカウント値が更新(カウントアップ)される毎に、その更新されたカウント値(異常期間)が到達監視器25に出力される。なお、到達監視器25においては、そのカウント値と監視期間の設定値との比較が行われる。そして、その比較の結果として、そのカウント値が監視期間の設定値以上となった(すなわち、異常期間が監視期間に達した)と判断された場合には、到達監視器25が主制御装置14に対し異常信号を出力する。
【0076】
なお、本実施例においては、主制御装置14は、その異常信号が入力されるのに伴い、織機を停止させるための制御を実行する。それにより、そのパイル織機においては、製織が停止され、前記のようにパイル抜けが連続的に発生する状態のままで製織が継続されることが防止される。したがって、以上で説明したようなパイル高さ異常検出装置10によれば、パイル抜けが発生した状態で製織される部分(範囲)を最小限に抑えることができるため、製織されたパイル織物の品質が著しく損なわれることを防ぐことができる。
【0077】
また、主制御装置14は、異常信号が入力されるのに伴い、織機に設けられた警報ランプを点灯させると共に、前記の入力設定装置15に対し織機の停止原因(パイル抜けの連続的な発生)を示す信号を出力してその表示画面にその停止原因を示すメッセージを表示させる。それにより、作業者に対しパイル抜けの連続発生により織機を停止させたことを知らせることができる。
【0078】
さらに、本実施例のパイル高さ異常検出装置10においては、パイル抜けが連続的に発生した場合であっても、その発生範囲が許容される範囲内であれば前記の異常信号の出力が行われないように監視期間を設定しており、それによって織機が必要以上に停止することが防止される。
【0079】
詳しくは、前述のように、パイル抜けの連続的な発生が起きていなくても、パイルテンションロール5が一時的に後方側の制限位置を越えて変位する場合がある。また、パイル抜けが連続的に発生したとしても、その発生範囲の大きさによっては品質的に許容される場合がある。これらを考慮すると、異常判別位置を後方側の制限位置よりも離間した位置に設定し、その異常判別位置に対応する異常判別値と前記検出値との比較のみで異常信号を発生させるか否かの判別が行われるようにすることが考えられる。しかし、パイル毎のパイル抜け量は一定とは限らないため、製織されたパイル織物上での発生範囲とパイルテンションロール5の変位量(前後位置)とを厳密に関連付けて捉えるのは難しい。そのため、そのように異常判別位置のみで判別を行う場合には、各パイルのパイル抜け量が最小の場合を想定して異常判別位置を設定する必要があり、その場合には、前記発生範囲が許容される範囲内であっても異常信号が出力される場合がある。
【0080】
それに対し、本実施例のパイル高さ異常検出装置10によれば、異常判別位置を後方側の制限位置の近傍の位置に設定した上で、その許容される前記発生範囲に対応した監視期間を設定している。それにより、前記のような一時的なパイルテンションロール5の変位に伴って異常信号が出力されることを防止しつつも、前記発生範囲が許容される範囲内であるにもかかわらず異常信号が出力されるといった状態が生じるのを無くすことができる。その結果として、織機が必要以上に停止するのを防ぐことができる。
【0081】
さらに、本実施例では、その監視期間が織機のサイクル数によって設定されている。なお、前記発生範囲はその間に形成されたパイルの数に対応しており、1つのパイルを形成するための織機のサイクル数(パイル形成サイクル)は予め把握されている。したがって、そのように監視期間を織機のサイクル数によって設定するものとすれば、その監視期間の設定が容易に行えることとなる。
【0082】
なお、本発明については、以上で説明した実施例(前記実施例)に限定されるものではなく、以下のような変形した実施形態でも実施が可能である。
【0083】
(1)前記実施例では、前記異常検出が、パイルテンションロール5と共に揺動変位するテンションレバー6(前記揺動部材)の前後位置に基づいて行われている。しかし、本発明においては、前記異常検出は、パイルテンションロール5の前後位置に基づいて行うことも可能である。但し、その場合においては、異常判別位置は、パイルテンションロール5の前後位置に応じた位置として設定される。
【0084】
(2)前記実施例では、前記パイル高さ異常の検出(以下、「異常検出」とも言う。)は、テンションレバー6(前記揺動部材)の前後位置が異常判別位置を越えている期間が予め設定された監視期間に達したことに基づいて行われている。しかし、本発明においては、そのような監視期間を設定せず、前記揺動部材又はパイルテンションロール(以下、まとめて「被検出部材」と言う。)の前後位置が異常判別位置に達した時点(又は越えたことが判別された時点)で前記異常検出が行われるようにしても良い。なお、その場合には、前述したパイルテンションロール5の一時的な変位を考慮し、異常判別位置を後方側の制限位置から離間した位置に設定することが好ましい。
【0085】
(3)前述のように、前記被検出部材が異常判別位置へ達したことを判断するためには、その被検出部材の前後位置を把握するための検出手段が必要となる。その上で、前記実施例では、パイル織機の送出し装置に元から備えられているパイル経糸の張力制御のための位置検出装置(距離検出装置)がその検出手段として兼用されている。しかし、本発明は、そのような構成に限らず、前記検出手段が前記の位置検出装置とは別の専用の装置である(異常検出装置が専用の前記検出手段を備える)ように構成されていても良い。
【0086】
なお、前記実施例では、前記被検出部材の前後位置の検出値について、織機の1サイクル毎に算出された前記被検出部材(テンションレバー6)の前後位置の平均値がその検出値として用いられている。しかし、その検出値については、平均値とせず、織機主軸の所定の回転角度で検出された前記被検出部材の前後位置の検出値をそのまま用いるようにしても良い。さらに、前記被検出部材の前後位置の検出値は、織機の1サイクル毎に求められるものに限らず、織機の複数サイクル毎に求められるものとしても良い。
【0087】
(4)前記実施例では、前記検出手段として前述のような(送出し装置1の一部をも兼ねる)前記距離検出装置が用いられている。しかし、本発明においては、前記検出手段は、送出し装置1と兼用される場合及び異常検出装置専用として設けられるいずれの場合であっても、そのような装置に限らず、検出構成が異なる他の装置であっても良い。例えば、前記検出手段は、前記被検出部材の揺動変位に伴って変化する前記被検出部材の傾き(揺動角度)を検出する装置であっても良い。具体的には、前記検出手段は、ポテンショメータのような角度センサであっても良い。そして、その場合は、異常判別位置は、前記揺動角度として設定される。
【0088】
また、前記検出手段は、前記した前記距離検出装置や前記角度センサのように連続的に前記被検出部材の位置(状態)を検出可能な装置に限らず、前記被検出部材が特定の位置に達したことを検出する装置であっても良い。
【0089】
具体的には、前記検出手段を近接スイッチとすると共に、前記被検出部材を近接スイッチの検出対象となる近接体が取り付けられた構成とする。その上で、異常検出装置において、予め定められた異常検出位置に応じた位置に近接スイッチが設けられるものとする。その構成によれば、前記被検出部材が変位して前記近接体が異常判別位置にある近接スイッチの位置に達すると、前記近接体(前記被検出部材)が近接スイッチにより検出され、その検出信号が出力される。その上で、その検出信号を異常信号とするか、もしくは前記実施例と同様に前記被検出部材が異常検出位置に達した時点から予め設定された監視期間後に異常信号が発生するようにしても良い。
【0090】
なお、その装置の場合には、近接スイッチが前記近接体を検出している間しか近接スイッチから前記検出信号が出力されない。そこで、その装置において前記のように監視期間後に異常信号が発生するようにする場合には、前記被検出部材が異常判別位置を越えてさらに後方へ変位した状態でも近接スイッチが前記近接体を検出し続けるように、前記近接体を前方へ向けて延在するかたちとすれば良い。その上で、前記近接体が近接スイッチにより検出された時点(前記検出信号の出力が開始された時点)で前記実施例と同様に異常期間のカウントを開始し、前記検出信号の出力されている状態が監視期間に亘って継続した場合に異常信号が出力されるようにすれば良い。
【0091】
(5)前記実施例では、異常判別位置が後方側の制限位置よりも後方の位置に設定されている。しかし、本発明では、異常判別位置は、そのような位置に限らず、後方側の制限位置と同じ位置に設定されるようにしても良い。すなわち、前記実施例における後方側閾値が異常判別値を兼ねるようにしても良い。但し、前述のように後方側の制限位置は張力制御が行われる位置であり、パイル抜けが発生していない正常な製織状態でも前記被検出部材が達する位置である。したがって、そのように後方側の制限位置を異常判別位置とする場合には、パイル抜けが発生していないにもかかわらず前記異常検出が行われることを防ぐために。前記実施例と同様に監視期間を設定し、前記被検出部材が異常判別位置に達して方その監視期間の経過後に異常信号が発生するようにすることが必要である。
【0092】
(6)前記実施例は、異常信号が織機停止信号として用いられる例となっており、そのパイル織機は、その異常信号の発生に伴って停止される停止動作が実行されると共に、警報ランプを点灯させる警報動作及び入力設定装置の表示画面にメッセージを表示させる表示動作を行うように構成されている。しかし、本発明が前提とするパイル織機でのその異常信号の発生に伴って行われる動作は、そのような3つの動作の全てに限らず、そのうちの1つ又は2つであっても良い。すなわち、本発明による異常信号の発生に伴い、パイル織機においては、前記した停止動作、警報動作及び表示動作のうちの少なくとも1つが実行されれば良い。
【0093】
なお、本発明は、以上で説明した例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0094】
1 送出し装置 2 パイル経糸ビーム
3 ガイドロール 4 テンションシャフト
5 パイルテンションロール 6 テンションレバー
7 駆動レバー 8 連結ロッド
10 パイル高さ異常検出装置 11 パイル経糸張力制御装置
12 位置検出器 13 パイル経糸送出制御装置
14 主制御装置 15 入力設定装置
21 記憶器 22 比較器
23 異常判別部 24 計数器
25 到達監視器
M1 送出モータ M2 トルクモータ
PT パイル経糸