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特許7063597使用回数計数およびスマートフォン認証を備えるハンドスタンプ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】使用回数計数およびスマートフォン認証を備えるハンドスタンプ
(51)【国際特許分類】
   B41K 1/02 20060101AFI20220426BHJP
   B41K 1/36 20060101ALI20220426BHJP
   B41K 1/40 20060101ALI20220426BHJP
   H04L 9/32 20060101ALI20220426BHJP
【FI】
B41K1/02 T
B41K1/36 C
B41K1/36 D
B41K1/36 Z
B41K1/40
H04L9/32 100D
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2017240352
(22)【出願日】2017-12-15
(65)【公開番号】P2018187913
(43)【公開日】2018-11-29
【審査請求日】2020-12-15
(31)【優先権主張番号】15/731,220
(32)【優先日】2017-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510230344
【氏名又は名称】シリコン・バレイ・マイクロ・イー・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】シェンボ,シュ
(72)【発明者】
【氏名】ス・シオン,フアン
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104442043(CN,A)
【文献】特開2009-301274(JP,A)
【文献】特開2010-213326(JP,A)
【文献】実公昭37-010101(JP,Y1)
【文献】特開2007-190832(JP,A)
【文献】米国特許第08695500(US,B2)
【文献】米国特許第05727467(US,A)
【文献】米国特許第06892638(US,B2)
【文献】特開2014-156040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41K 1/02
B41K 1/36
B41K 1/40
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
権限のない使用を予防するセキュリティ対策を有するハンドスタンプであって、前記ハンドスタンプは、
中空の内部を有する外部シェルと、
前記外部シェルの前記中空の内部内に配置され、相対的に該内部を移動可能であり、中空の内部を有する内部シェルであって、前記内部シェルおよび前記外部シェルは共通の長手方向軸を有する内部シェルと、
前記内部シェル内の前記中空の内部内の前記外部シェルが保持するスタンプ画像と、
前記内部シェルと前記外部シェルとの間の付勢力を前記共通の長手方向軸に沿って第1の方向に提供する付勢装置と、
前記内部シェルと前記外部シェルとの間の前記共通の長手方向軸に沿った相対運動を制限する制限停止機構と、
前記内部シェルと前記外部シェルとの間の前記第1の方向への相対運動を、解除されるまで正常に予防するための解除可能なロック機構と、
前記外部シェルが保持し、ユーザの指紋が接触するときにユーザ識別信号を生
成するための少なくとも1つのユーザ指紋センサと、
前記ハンドスタンプが保持し、前記少なくとも1つの指紋センサに結合し、前記識別信号を受信し、前記識別信号を送信可能な同等の信号に変換するように構成されるマイクロコントローラユニットと、
通信ユニットであって、前記マイクロコントローラユニットに結合し、権限のあるユーザの指紋識別信号を含む前記同等の信号を関連する装置に無線送信し、前記同等の信号が前記権限のあるユーザの指紋識別信号と一致するとき、前記関連する装置によって前記通信ユニットに無線送信される解除信号を受信する、前記通信ユニットと、を備え、
前記マイクロコントローラユニットは、前記通信ユニットによる前記解除信号の受領に応じて、使用するために前記ハンドスタンプのロックを解除するためのロック機構解除信号を生成するように構成され、それによって権限のあるユーザの前記指紋識別信号と一致する指紋を持つユーザのみが前記ハンドスタンプを操作可能となる、ハンドスタンプ。
【請求項2】
請求項に記載のハンドスタンプにおいて、前記付勢装置は、前記内部シェルと前記外部シェルとの間に取り付けられるばねを備える、ハンドスタンプ
【請求項3】
請求項に記載のハンドスタンプにおいて、前記解除可能なロック機構は電気的に操作可能なソレノイドを備え、前記マイクロコントローラユニットは、前記通信ユニットによる前記解除信号の受領に応じて、ソレノイド起動信号を生成するように構成される、ハンドスタンプ
【請求項4】
請求項に記載のハンドスタンプにおいて、前記ソレノイドは、前記外部シェルおよびシャフトに取り付けられる本体部材を有し、非解除状態にあるとき、前記シャフトは前記本体部材に格納可能に取り付けられ、前記内部シェルと係合する、ハンドスタンプ
【請求項5】
請求項に記載のハンドスタンプにおいて、前記少なくとも1つの指紋センサは、前記外部シェル上の異なる位置に取り付けられる一対の指紋センサを備え、前記指紋センサの対のそれぞれは、前記マイクロコントローラユニットに結合する、ハンドスタンプ
【請求項6】
請求項に記載のハンドスタンプにおいて、前記制限停止機構は、前記内部シェルに接続し、その外側に延在する少なくとも1つのポストと、前記外部シェル内に形成される少なくとも1つのスロットとを備え、前記少なくとも1つのポストは前記少なくとも1つのスロット内に延在する、ハンドスタンプ
【請求項7】
請求項1に記載のハンドスタンプにおいて、
前記通信ユニットはブルートゥース通信ユニットを備える、ハンドスタンプ
【請求項8】
請求項1に記載のハンドスタンプにおいて、前記マイクロコントローラユニットは、ロック解除されたときの前記ハンドスタンプの使用回数を計数するための使用回数計数機構を提供するように構成され、前記ハンドスタンプは、所定の使用回数に達したら前記ハンドスタップを使用できなくするために、前記ロック機構解除信号を停止する終了手段をさらに含む、ハンドスタンプ。
【請求項9】
請求項8に記載のハンドスタンプにおいて、
前記終了手段は、前記使用回数計数機構内の現在の計数値を示す信号を前記関連する装置に無線送信する前記通信ユニットを含み、
前記関連する装置は、受信された前記現在の計数値を示す信号を前記所定の使用回数と比較するとともに、前記現在の計数値が前記所定の使用回数に等しいときは使用停止信号を生成し、この使用停止信号を前記通信ユニットに無線送信する手段を含み、
前記マイクロコントローラユニットは、前記所定の使用回数だけ許可するように、前記通信ユニットによる前記使用停止信号の受信に応じて前記ロック機構解除信号を停止して、さらなる使用ができないように前記ハンドスタンプをロックするように構成されている、ハンドスタンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書類およびその他の対象物に明確な画像で印をつけるために用いられるハンドスタンプに関する。より具体的には、本発明は、使用回数計数機能を有し、スマートフォンを介して認証されるユーザのみに使用が限定される、改良されたハンドスタンプに関する。
【0002】
ハンドスタンプは、書類およびその他の対象物(段ボール箱など)に明確な画像で印をつけ、書類または対象物の識別または内容を証明する機能を果たすために、長く使われてきた。典型的なハンドスタンプは、共通の長手方向軸に沿って相互に直進運動を行うように組み立てられる、保護的な内部シェルと外部シェルの組み合わせを備える。中央に位置する支持軸部は1つの端部で外部シェルに接続し、一緒に移動する。スタンプ画像を有するスタンププラテンは軸部の他の端部上に配置される。インクパッドは、外部シェルの取り付け部分に枢動可能に接続し、それによってハンドスタンプが休止位置にあり、スタンププラテンが保護的な内部シェルに格納されているとき、インクパッドはスタンププラテンに接触する。外部シェルが共通の長手方向軸に沿って操作され、スタンププラテンが保護的な内部シェルを超えて延在するとき、インクパッドはスタンププラテンから枢動して離れる。操作力が何も外部シェルに加えられないとき、付勢機構はスタンププラテンを格納位置に維持する。この種類の既知のハンドスタンプの例は1998年3月17日に登録された「ハンドスタンプ」という名称の特許文献1、2005年5月17日に登録された「ハンドスタンプおよびロッキングストレイジキャップ」という名称の特許文献2、および2014年8月21日公開の「浸透印」という名称の特許文献3において開示されており、これらの開示は参照により本明細書に援用される。
【0003】
前述のように、書類または対象物の識別または内容を証明するために、多くの既知のハンドスタンプが用いられる。たとえば、中国および日本では、銀行口座を開設するために、または他の銀行取引を行うために、個人に対して発行された独自の画像を有するハンドスタンプが必要である。同様に、法的に拘束力を持つ企業取引を行うために、企業またはその他の事業に対して発行された独自の画像を有するハンドスタンプが必要である。ハンドスタンプか貸し出された場合、またはハンドスタンプを盗まれた場合には、ハンドスタンプを用いる権限のない保有者が不正な取引をすることを予防する方法はない。既知のハンドスタンプには、このような権限のない使用に対する保護の対策は何もない。
【0004】
多くの企業では、社印を個人的に保有することによって、企業に財政的または他の事業上の法的な契約を結ぶ権限を有する個人が、限定目的のためにのみ使用するようにという指示を与えて、一時的に社印の保有を別の従業員に移転することによって、該限定目的のために別の従業員にその権限を委任することは慣習である。たとえば、権限のある個人は、別の個人に社印を用いて、支払いのために限定数の会社振り出し小切手を認証するように指示することもある。権限のある個人が別の個人の社印使用を密接に監視しない限り、別の個人の社印の使用を制御する方法はなく、別の個人は認められた限定数以上の支払い用会社振り出し小切手の認証を自由に行える。既知のハンドスタンプは、代理権限をこのように悪用することに対し、何の保護も提供していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第5,727,467号
【文献】米国特許第6,892,638号
【文献】米国特許出願第2014/0230671号
【発明の概要】
【0006】
本発明は、前述の既知のハンドスタンプの不利点を持たないハンドスタンプを備える。本ハンドスタンプは、使用回数計数機能を搭載し、スマートフォンを介して権限を持つユーザのみに使用を制限する。
【0007】
組み合わせの態様から、本発明は、使用回数計数機能と、権限のあるユーザ限定機能との両方を備えるハンドスタンプを備える。本態様によれば、本発明はハンドスタンプを備える。ハンドスタンプは、中空の内部を有する外部シェルと、外部シェルの中空の内部内に配置され、相対的に内部を移動可能であり、中空の内部を有する内部シェルであって、内部シェルおよび外部シェルは共通の長手方向軸を有する内部シェルと、内部シェル内の中空の内部内の外部シェルが保持するスタンプ画像と、内部シェルと外部シェルとの間の付勢力を共通の長手方向軸に沿って第1の方向に提供する付勢装置、好ましくはばねと、内部シェルと外部シェルとの間の共通の長手方向軸に沿った相対運動を制限する制限停止機構と、内部シェルと外部シェルとの間の第1の方向への相対運動を、解除されるまで正常に予防するための解除可能なロック機構と、外部シェルが保持し、ユーザの指紋が接触するときにユーザ識別信号を生成するための少なくとも1つのユーザ指紋センサ、好ましくは一対の指紋センサと、ハンドスタンプが保持し、少なくとも1つの指紋センサに結合し、識別信号を受信し、識別信号を送信可能な同等の信号に変換するように構成されるマイクロコントローラユニットと、マイクロコントローラユニットに結合し、権限のあるユーザの指紋信号を含む同等の信号を関連する装置に送信し、同等の信号が権限のあるユーザの指紋信号と一致するとき、通信ユニットに解除信号を送信する通信ユニットであって、マイクロコントローラユニットは、通信ユニットからの解除信号の受領に応じて、使用するためのハンドスタンプのロックを解除するためのロック機構解除信号を生成するように構成される通信ユニットと、ロック解除されるとき、ハンドスタンプの使用回数を計数するための使用回数計数機構とを備える。
【0008】
解除可能なロック機構は好ましくは、電気的に操作可能なソレノイドと、通信ユニットによる解除信号の受領に応じて、ソレノイド起動信号を生成するように構成されるマイクロコントローラユニットとを備える。ソレノイドは、外部シェルに取り付けられる本体部材と、非解除状態のとき、格納可能に本体部材に取り付けられ、内部シェルと係合するシャフトとを有する。
【0009】
制限停止機構は、好ましくは、内部シェルに接続し、その外側に延在する少なくとも1つのポストと、外部シェル内に形成される少なくとも1つのスロットとを備え、少なくとも1つのポストは少なくとも1つのスロット内に延在する。
【0010】
通信ユニットは、好ましくは、ブルートゥース(登録商標)通信ユニットを備える。
【0011】
使用回数計数機構は、好ましくは、内部シェルおよび外部シェルのうちの1つが保有する磁場を生成するための磁石と、内部シェルおよび外部シェルのうちの他方が有する磁場センサとを備える。磁場センサは、スタンプ画像が印字位置まで移動することによって、磁石が生成する磁場の値の変更を感知する。磁場センサはマイクロコントローラユニットに結合される。マイクロコントローラはカウンタを備えるように構成される。カウンタは、磁場センサが感知する、スタンプ画像が印字位置まで移動する回数を計数する。使用回数計数機構は、好ましくは、カウンタの内容を表示するためにマイクロコントローラユニットに結合する表示装置をさらに含む。
【0012】
権限のあるユーザ限定機能の観点から、本発明は、権限のない使用を予防するセキュリティ対策を有するハンドスタンプを備える。ハンドスタンプは、中空の内部を有する外部シェルと、外部シェルの中空の内部内に配置され、相対的に内部を移動可能であり、中空の内部を有する内部シェルであって、内部シェルおよび外部シェルは共通の長手方向軸を有する内部シェルと、内部シェル内の中空の内部内の外部シェルが保持するスタンプ画像と、内部シェルと外部シェルとの間の付勢力を共通の長手方向軸に沿って第1の方向に提供する付勢装置、好ましくはばねと、内部シェルと外部シェルとの間の共通の長手方向軸に沿った相対運動を制限する制限停止機構と、内部シェルと外部シェルとの間の第1の方向への相対運動を、解除されるまで正常に予防するための解除可能なロック機構と、外部シェルが保持し、ユーザの指紋が接触するときにユーザ識別信号を生成するための少なくとも1つのユーザ指紋センサ、好ましくは一対の指紋センサと、ハンドスタンプが保持し、少なくとも1つの指紋センサに結合し、識別信号を受信し、識別信号を送信可能な同等の信号に変換するように構成されるマイクロコントローラユニットと、マイクロコントローラユニットに結合し、権限のあるユーザの指紋信号を含む同等の信号を関連する装置に送信し、同等の信号が権限のあるユーザの指紋信号と一致するとき、通信ユニットに解除信号を送信する通信ユニットであって、マイクロコントローラユニットは、通信ユニットからの解除信号の受領に応じて、使用するためのハンドスタンプのロックを解除するためのロック機構解除信号を生成するように構成される通信ユニット、好ましくはブルートゥース装置とを含む。解除信号によって、権限のあるユーザの指紋信号と一致する指紋を持つユーザのみがハンドスタンプを操作することができる。
【0013】
解除可能なロック機構は好ましくは、電気的に操作可能なソレノイドと、通信ユニットによる解除信号の受領に応じて、ソレノイド起動信号を生成するように構成されるマイクロコントローラユニットとを備える。ソレノイドは、外部シェルに取り付けられる本体部材と、非解除状態のとき、格納可能に本体部材に取り付けられ、内部シェルと係合するシャフトとを有する。
【0014】
制限停止機構は、好ましくは、内部シェルに接続し、その外側に延在する少なくとも1つのポストと、外部シェル内に形成される少なくとも1つのスロットとを備え、少なくとも1つのポストは少なくとも1つのスロット内に延在する。
【0015】
使用回数計数機能の態様から、本発明はハンドスタンプの使用回数を計数するための使用回数計数機構を有する。ハンドスタンプは中空の内部を有する外部シェルと、外部シェルの中空の内部内に配置され、相対的に内部を移動可能であり、中空の内部を有する内部シェルであって、内部シェルおよび外部シェルは共通の長手方向軸を有する内部シェルと、内部シェル内の中空の内部内の外部シェルが保持するスタンプ画像と、内部シェルと外部シェルとの間の付勢力を共通の長手方向軸に沿って第1の方向に提供する付勢装置、好ましくはばねと、内部シェルと外部シェルとの間の共通の長手方向軸に沿った相対運動を制限する制限停止機構と、内部シェルおよび外部シェルのうちの1つが保有する磁場を生成するための磁石と、内部シェルおよび外部シェルのうちの他方が有する磁場センサであって、スタンプ画像が印字位置まで移動することによって、磁石が生成する磁場の値の変更を感知する磁場センサと、ハンドスタンプが保有し、磁場センサに結合するマイクロコントローラユニットであって、マイクロコントローラは、磁場センサが感知する印字位置まで、スタンプ画像が移動する回数を計数するカウンタを備えるように構成される、マイクロコントローラユニットとを含む。
【0016】
使用回数計数機構はさらに、好ましくはマイクロコントローラユニットに結合し、カウンタの内容を表示するための表示装置を含む。
【0017】
本発明により製造されるハンドスタンプは、現在既知のハンドスタンプにはない2つの重要な機能を提供する。第1に、MCUおよび通信ユニットによって実現するセキュリティによって、ハンドスタンプが権限のあるユーザ以外の人物に使用されることを防ぐ。第2に、磁石、磁場センサおよびマイクロコントローラユニットによって実現する使用計数機能によって、有用な使用追跡機能をユーザおよび管理職に提供する。また、カウンタ表示を提供することによって、権限のあるユーザはハンドスタンプを実際に使用した回数を監視することができる。
【0018】
本発明の性質および有利点を完全に理解するために、添付図と共に以下の詳細な説明を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明を組み込むハンドスタンプの好ましい実施形態の斜視図である。
図2】スタンプを例示する図1の実施形態の底面平面図である。
図3】ロック状態および休止状態にあるハンドスタンプの主要な機械部品を例示する図1の線3-3に沿った断面図である。
図4】解除状態および起動状態にある主要な機械部品を例示する図3に類似する断面図である。
図5】内部シェルポストおよび外部シェルスロットを例示する外部シェル12の一部の拡大斜視図である。
図6図1の実施形態の電子システムを例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ここで図を参照すると、図1は本発明によるハンドスタンプの斜視図である。図から分かるように、ハンドスタンプは一般に符号10で表し、外部シェル12と、内部シェル14とを有する。外部シェル12上には、直径的に反対の位置に一対の指紋センサ15、16が位置する。指紋センサ15、16は、市販の既知の装置であり、センサ15、16と表面接触する個人独自の模様を持つ個人の指および親指の部分で外部シェル12を握る個人の指紋および母印を示す信号を生成可能である。好ましい実施形態では、指紋センサは、それぞれ、セルビア共和国ベルグラード市のMicroElectronika社から入手可能なMIKROE-1722センサの種類である。その他の市販の指紋センサを当業者の好みに応じて用いてもよい。
【0021】
外部シェル12の凹型の上面部分17には、下記の用途を持つ表示装置18が配置される。表示装置は、市販の電子製品が共通して有する複数の既知の表示装置、たとえば液晶表示装置、LED表示装置、および有機LED表示装置のなどのいずれか1つを備えていてもよい。
【0022】
図2図1の実施形態の底面図であり、外部シェル12および内部シェル14に対して中央に位置するスタンプ画像面20を例示する。図から分かるように、表面20上に形成される画像は、画像を表面に押し付けると正画像「iMD」がいつでも印字されるように、正画像「iMD」の反転である。
【0023】
図3および図4は、図1の線3-3および4-4に沿った切断図であり、図1のハンドスタンプ10の主要な機械部品および電子部品を例示する。両図から分かるように、外部シェル12は、複数の部品を内包する中空の内部を有し、ハンドスタンプ10の共通の長手方向軸に沿って外部シェル12に対する直進運動を摺動可能に受容する内部シェル14を含む。中央軸部22は、スタンプ画像面20をその底部に有し、接続軸24およびプラットホーム25によって外部シェル12の上部内面23に固定される。付勢ばね27は、プラットホーム25の下部表面と内部シェル14の上端部29との間に配置され、内部シェル14を外部シェル12の外側方向に付勢する。内部シェル14と外部シェル12との間にその結果生じる直進相対運動は、図5に例示するように、内部シェル14に固定される外側に延在する一対のポスト31と、外部シェル12に形成される一対のスロット33の下端部32との間の相互作用によって制限される。ポスト31はスロット33を貫通して延在する。
【0024】
プラットホーム25上には、ブルートゥース通信ユニットおよびマイクロコントローラユニット(BCU)を含むモジュール41と、電力をモジュール41に提供するバッテリ42が取り付けられる。モジュール41は好ましくは、ブルートゥースユニットとMCUの両方を搭載する市販の単一の装置であり、MCUと個別のスマートフォンとの間のブルートゥース通信を以下の方法で提供する。好ましくは、モジュール41は、テキサス州オースチン市のSilicon Labs社から入手可能なBLE113-A-V1装置の型である。
【0025】
軸部22の上面には、小型の電気的に操作可能なソレノイド44が固定される。ソレノイド44が非起動状態のとき格納可能なシャフト45は内部シェル14の上面29を超えて外側に延在する。これによって、モジュール41のMCU部からの制御信号によってソレノイド44が起動されるまで、外部シェル12が内部シェル14に対して下方移動しないようにする。ソレノイド44は好ましくは、中華人民共和国広東省東莞市の東莞市博順実業有限公司から入手可能なBS-0319マイクロソレノイドの型である。
【0026】
永久磁石47は内部シェル14に取り付けられ、または内部シェル14内に取り付けられる。永久磁石47は磁場センサ48と以下の方法で協働する。磁場センサ48は、たとえば磁石47の通過を検出可能なホール効果センサなどの任意の既知の磁場センサであってもよい。センサ48はモジュール41のMCU部の専用入力に電気的に接続する。
【0027】
図3は、ロック状態および休止状態にある図1のハンドスタンプを例示する。この状態で、付勢ばね27は、ポスト31がスロット33の下端部に収納されるまで内部シェル14を外部シェル12に対して下部方向に付勢し、更なる上下部方向の移動を防ぐ。さらに、ソレノイドシャフト45は内部シェル14の上面29と係合し、それによって内部シェル14と外部シェル12との間の上部方向への移動を防ぐ。
【0028】
図4は、解除状態および起動状態にある図1のハンドスタンプを例示する。この状態で、ソレノイド44は起動され、それによってソレノイドシャフト45は格納されて、内部シェル14が外部シェル12に対して自由に上部方向に相対移動する。下部方向の力が外部シェル12に加わると、結果として内部シェル14と外部シェル12との間に相対運動が生じ、それによって磁場センサ48は磁石47によって生成される磁場に接触し、信号を生成する。この信号はモジュール41のMCU部に提供される。この信号はモジュール41のMCU部によって使用される。これによってMCU部に構成されるカウンタの値が増加し、このカウンタの出力を用いて表示装置18が駆動され、それによって表示装置18はリアルタイムで印字回数を表示する。相対運動が継続するにつれて、ポスト31がスロット33の上端部34と係合するまで軸部22は下部方向に移動する。この位置において、スタンプ画像面20は内部シェル14の下端部下部に延在し、それによってスタンプ画像面20と、画像が印字される書類または対象物表面とが接触可能となる。下部方向の力が除去されると、付勢ばね27によって、ポスト31がスロット33の下部表面32と係合するまで、内部シェル14と外部シェル12との間に相対運動が生じる。ソレノイド44は次に、モジュール41のMCU部によって動作が停止される。モジュール41のMCU部は、内部シェル14と外部シェル12とを上記の方法で共にロックする。
【0029】
図6は、図1の実施形態の電子システムを例示するブロック図である。図から分かるように、指紋センサ15、16および磁場センサ48の両方ともモジュール41のMCU部の専用入力に結合する。モジュール41のMCU部の異なる出力は、個別に表示装置18およびソレノイド44に結合する。表示装置18に供給される情報は、モジュール41のMCU部内に構成されるカウンタが有する、ハンドスタンプ10の現在の使用回数である。ソレノイド44に供給される情報は、後述するように、権限のあるユーザがハンドスタンプ10を操作しているときにのみ生成可能なソレノイド起動信号である。
【0030】
モジュール41のブルートゥース部は双方向通信モードでハンドスタンプ10とユーザのスマートフォン50に結合する。ユーザのスマートフォン50は、特別な専用APPを備えるように構成され、ユーザのスマートフォン50はモジュール41とスマートフォン50との間のデータ通信、およびスマートフォン50と1または複数の権限のある管理職のスマートフォンとの間のデータ通信を可能にする。管理職のスマートフォンは、所望のユーザスマートフォン50に、上司がハンドスタンプ10の使用を許可することを望むユーザの指紋情報を送信するように構成される。この指紋情報はユーザスマートフォン50に記憶される。
【0031】
ユーザがハンドスタンプ10を操作することを望むとき、ユーザは親指および1本の指を指紋センサ15、16上に配置する。指紋センサ15、16が生成する情報はモジュール41のMCU部に結合され、この情報はユーザスマートフォン50にモジュール41のブルートゥース部を通じて中継される。ユーザスマートフォン50は、モジュール41から受信した情報を内部に記憶していた指紋情報と比較する。適合するものがあれば、ユーザスマートフォンは許可信号をモジュール41に送信し、モジュール41のMCU部はソレノイド44を起動し、それによって、ハンドスタンプ10の操作が可能となる。適合するものがなければ、許可信号は送信されず、ハンドスタンプはロックされたままとなる。
【0032】
ハンドスタンプの使用が許可されると、モジュールのMCU部はハンドスタンプ10が操作される回数を計数し、表示装置18はこの情報を表示する。現在の計数値もモジュール41のブルートゥース部によってユーザのスマートフォン50にリアルタイムで、または定期的な間隔を置いて送信されてもよい。ユーザのスマートフォン50に含まれる計数情報も、自動的に管理職のスマートフォンにリアルタイムで、または定期的に送信されてもよい。またはこの情報を管理職のスマートフォンに依頼に応じて送信してもよい。このように、管理職は、ハンドスタンプ10の使用をリアルタイムで、または定期的に監視することができる。ハンドスタンプ10の使用回数が制限に達するときは、終了信号をユーザのスマートフォン50に送信することによって、ハンドスタンプ10の操作を終了することもできる。代替的に、許可された使用回数を最初に上司のスマートフォンからユーザのスマートフォン50に送信し、実際の使用回数がその制限に達したときに、ユーザのスマートフォンが終了信号をモジュール41に送信し、モジュール41のMCU部がソレノイド44の動作を終了してもよい。
【0033】
ユーザのスマートフォンAPPはまた、追加情報を蓄積し、上司のスマートフォンに中継してもよい。このような追加情報の例はユーザID、日付、およびユーザの位置(ユーザのスマートフォンのGPS機能を用いて)などである。図6のブロック55は概略的に本機能を示す。
【0034】
ここまでで明らかなように、本発明の教示により製造されるハンドスタンプは、既知のハンドスタンプでは今まで利用不能であった2つの顕著な有利点を組み込んでいる。第1に、モジュール41のMCUおよびブルートゥースユニットによって実現するセキュリティによって、権限のあるユーザ以外がハンドスタンプ10を使用することを防ぐ。第2に、モジュール41の磁石47、磁場センサ48およびMCUによって実現する使用回数計数機能によって、有用な使用追跡機能を管理職に提供する。また、表示装置18を提供することによって、権限のあるユーザはハンドスタンプ10を実際に使用した回数を監視することができる。
【0035】
前述の記載から、本発明の好ましい実施形態の完全な開示、様々な修正、代替構成および同等物が当業者には考案されるであろう。たとえば、指紋センサ15、16は外部シェル12の直径方向の反対の位置に配置されるように例示し、記載したが、これらの要素は外部シェル12の表面上の、ユーザにとって便利な別の位置に配置されてもよい。さらに、本発明の好ましい実施形態では、対向して配置されるポスト31およびスロット33を例示し、記載したが、設計者の好みにしたがって、ポスト31およびスロット33の構成および数は異なっていてもよい。また、ソレノイド44は軸部22の上面に取り付けられ、ソレノイドシャフト45は内部シェル14の上面29と係合可能であると例示し、記載したが、所望であれば、ソレノイド44を外部シェル12の内壁内に取り付け、ソレノイドシャフト45は、内部シェル14の外壁に形成されるクロスボアと係合可能であってもよい。最後に、本発明の好ましい実施形態は、前述の従来技術文献に示し、記載される従来のインク機構を持たないハンドスタンプとして例示し、記載したが、このような浸透印機構を本発明の教示により製造されるハンドスタンプに搭載してもよいことを理解されたい。したがって、上記の記載は本発明の限定と解釈されてはならず、本発明は添付請求項によって規定される。
【符号の説明】
【0036】
10 :ハンドスタンプ
12 :外部シェル
14 :内部シェル
15 :指紋センサ
16 :指紋センサ
17 :上面部分
18 :表示装置
20 :スタンプ画像面
22 :軸部
23 :上部内面
24 :接続軸
25 :プラットホーム
27 :付勢ばね
29 :上端部
31 :ポスト
32 :下端部
33 :スロット
34 :上端部
41 :モジュール
42 :バッテリ
44 :ソレノイド
45 :シャフト
47 :磁石
48 :磁場センサ
50 :スマートフォン
55 :ブロック
図1
図2
図3
図4
図5
図6