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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20220426BHJP
   A63F 5/04 20060101ALI20220426BHJP
【FI】
A63F7/02 304D
A63F5/04 603E
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2017245925
(22)【出願日】2017-12-22
(65)【公開番号】P2019111022
(43)【公開日】2019-07-11
【審査請求日】2020-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000144153
【氏名又は名称】株式会社三共
(72)【発明者】
【氏名】小倉 敏男
【審査官】森川 能匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-086962(JP,A)
【文献】特開2010-148830(JP,A)
【文献】特開2012-120727(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技を行う遊技機において、
音を出力するための音出力手段と、
前記遊技機の制御を行う制御手段と、
前記制御手段から送信された情報にもとづいて前記音出力手段から音を出力させる制御を実行する音制御手段と、を備え、
前記制御手段は、複数のチャンネルの各々において、前記音出力手段から出力される演出音を特定可能な音データと、前記音出力手段から出力される演出音の音量とを設定可能であり、
前記音制御手段は、前記複数のチャンネルの各々に設定された前記音データから特定される演出音を、当該複数のチャンネルの各々に設定された音量に従って前記音出力手段から出力させ、
前記制御手段は、前記音出力手段からエラー音が出力されるときに、前記複数のチャンネルのうち、前記音データが設定されているチャンネルにおいて、当該チャンネルに設定されている音量よりも小さい低下用音量を設定するとともに、前記音データが設定されていないチャンネルにおいても、当該低下用音量を設定し、
前記制御手段はさらに、
複数種類の音のうちいずれの音を前記音出力手段から出力するかを指定するとともに該指定した前記音出力手段から出力する音の音量を指定する第1情報と、前記音出力手段から出力する音の音量のみを指定する第2情報と、を前記音制御手段に送信可能であり、
前記音出力手段からの音の出力を開始するにあたって、前記複数種類の音のうち第1特定音を特定音量で出力させるときに、前記第1特定音を出力することと該第1特定音の音量として前記特定音量以上の音量とを指定する第1情報を前記音制御手段に送信するとともに、該第1情報を送信した後に前記特定音の音量として前記特定音量を指定する第2情報を前記音制御手段に送信し、
前記音出力手段からの音の出力を開始するにあたって、前記複数種類の音のうち第2特定音を前記特定音量で出力させるときに、前記第2特定音を出力することと該第2特定音の音量として前記特定音量以上の音量とを指定する第1情報を前記音制御手段に送信するとともに、該第1情報を送信した後に前記第1特定音を前記特定音量で出力させるときと共通する第2情報を前記音制御手段に送信し、
前記音出力手段から出力中の音の音量を変更するにあたって、変更後の音量を指定する第2情報を前記音制御手段に送信する、遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技を行うことが可能な遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機として、所定の賭数を設定し、スタート操作が行われたことに基づいて、複数種類の識別情報の可変表示が行われるスロットマシンや、遊技球などの遊技媒体を発射装置によって遊技領域に発射し、該遊技領域に設けられている入賞口などの始動領域に遊技媒体が入賞したときに複数種類の識別情報の可変表示が行われるパチンコ遊技機などがある。
【0003】
このような遊技機として、遊技機から出力される音の音量が大きすぎて隣接する遊技機の遊技者に迷惑をかけないように、隣接する遊技機で遊技者が遊技をしていることが検出された場合に本遊技機の音量を低下させるものがあった(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-083368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、特許文献1の遊技機に鑑み考え出された遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 遊技を行う遊技機において、
音を出力するための音出力手段と、
前記遊技機の制御を行う制御手段と、
前記音出力手段から音を出力させる制御を実行する音制御手段と、を備え、
前記制御手段は、複数のチャンネルの各々において、前記音出力手段から出力される演出音を特定可能な音データと、前記音出力手段から出力される演出音の音量とを設定可能であり、
前記音制御手段は、前記複数のチャンネルの各々に設定された前記音データから特定される演出音を、当該複数のチャンネルの各々に設定された音量に従って前記音出力手段から出力させ、
前記制御手段は、前記音出力手段からエラー音が出力されるときに、前記複数のチャンネルのうち、前記音データが設定されているチャンネルにおいて、当該チャンネルに設定されている音量よりも小さい低下用音量を設定するとともに、前記音データが設定されていないチャンネルにおいても、当該低下用音量を設定し、
前記制御手段はさらに、
複数種類の音のうちいずれの音を前記音出力手段から出力するかを指定するとともに該指定した前記音出力手段から出力する音の音量を指定する第1情報と、前記音出力手段から出力する音の音量のみを指定する第2情報と、を前記音制御手段に送信可能であり、
前記音出力手段からの音の出力を開始するにあたって、前記複数種類の音のうち第1特定音を特定音量で出力させるときに、前記第1特定音を出力することと該第1特定音の音量として前記特定音量以上の音量とを指定する第1情報を前記音制御手段に送信するとともに、該第1情報を送信した後に前記特定音の音量として前記特定音量を指定する第2情報を前記音制御手段に送信し、
前記音出力手段からの音の出力を開始するにあたって、前記複数種類の音のうち第2特定音を前記特定音量で出力させるときに、前記第2特定音を出力することと該第2特定音の音量として前記特定音量以上の音量とを指定する第1情報を前記音制御手段に送信するとともに、該第1情報を送信した後に前記第1特定音を前記特定音量で出力させるときと共通する第2情報を前記音制御手段に送信し、
前記音出力手段から出力中の音の音量を変更するにあたって、変更後の音量を指定する第2情報を前記音制御手段に送信する。
遊技機は以下のように構成されてもよい。
遊技を行うことが可能な遊技機(たとえば、スロットマシンやパチンコ遊技機で例示される遊技機1)であって、
音を出力する音出力手段(たとえば、スピーカ53)と、
前記音出力手段における音を調整するために操作される調整操作手段(たとえば、設定スイッチ56、十字キー57)とを備え、
前記音出力手段は、
遊技履歴に基づいて特定条件(たとえば、有利状態への移行が決定されないゲームが500ゲーム以上継続)が成立していないときには、前記調整操作手段によって調整された音(たとえば、遊技者によって設定された設定音量)で遊技者に有利となるか否かを報知する演出に関連する特定音(たとえば、ファンファーレ)を出力し(たとえば、図2(a)のt1に示すように、有利状態への移行が決定されないゲームが500ゲーム以上継続していないときには、遊技者によって設定された設定音量でファンファーレを出力する)、
前記特定条件が成立しているときには、前記調整操作手段によって調整された音に関わらず、周囲で聞こえにくくなるように前記特定音を出力する(たとえば、図2(a)のt4に示すように、有利状態への移行が決定されないゲームが500ゲーム以上継続しているときには、遊技者によって設定された設定音量に関わらず、周囲で聞こえにくくなるように予め定められた所定音量でファンファーレを出力する)。
【0008】
(2) 上記(1)の遊技機において、
前記特定条件は、遊技者にとって不利な事象(たとえば、図2(a)のt3に示すように、有利状態への移行が決定されないゲームが500ゲーム以上継続したこと)が発生することである。
【0009】
(3) 上記(1)または(2)の遊技機において、
前記特定条件は、遊技者にとって有利な事象(たとえば、図2(b)のt7に示すように、短期間(直近の500ゲーム内)で有利状態への制御が4回以上発生したこと)が発生することである。
【0010】
(4) 上記(1)~(3)のいずれかの遊技機において、
遊技履歴を記憶する記憶手段(たとえば、サブ制御部91の記憶領域)と、
遊技の終了に基づく所定条件(たとえば、パスワード入力、2次元コード出力、デモ状態が所定期間継続、日跨ぎの電断)が成立したときに、前記記憶手段に記憶された遊技履歴を初期化する初期化手段(たとえば、図3のt2,t3,t4,t5に示すように、パスワードが入力されるなどの条件が成立したときに、遊技履歴を初期化する)とをさらに備える。
【0011】
(5) 上記(1)~(4)のいずれかの遊技機において、
前記音出力手段は、
遊技の進行に応じて所定音(たとえば、BGMなどの通常音)を出力し、
前記特定条件が成立しているか否かに関わらず、前記調整操作手段によって調整された音で前記所定音を出力する(たとえば、図2に示すように、特定条件が成立しているか否かに関わらず、設定スイッチ56および十字キー57によって設定された設定音量で通常音を出力する)。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1(A)は、本実施形態に係る遊技機の主な内部構成の一例を示す図であり、図1(B)は、本実施形態に係る遊技機の正面図である。
図2】特定条件と音量との関係を説明するためのタイミングチャートである。
図3】遊技履歴の初期化を説明するためのタイミングチャートである。
図4】チャンネルごとの出力音と音量との関係を説明するための図である。
図5】サブ制御部が音声出力回路に送信するコマンドを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る遊技機1を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【0014】
[遊技機1の主な内部構成]
図1(A)は、本実施形態に係る遊技機の主な内部構成の一例を示す図である。遊技機1は、たとえば、スロットマシンやパチンコ遊技機である。遊技機1には、図示しない遊技制御基板と、演出制御基板90とが設けられている。遊技制御基板には、遊技の進行を制御するメイン制御部41が搭載されている。演出制御基板90には、演出を制御するサブ制御部91および音声出力回路94が搭載されている。
【0015】
メイン制御部41には、操作部7が接続されている。遊技機1は、遊技者による操作部7の操作により、遊技を行うことが可能となる。遊技機1がスロットマシンである場合には、操作部7は、賭数を設定可能な賭数設定ボタン、リールを回転開始するためのスタートスイッチ、リールを停止させるためのストップスイッチなどである。また、遊技機1が
パチンコ遊技機の場合には、遊技玉を発射するための打球操作ハンドルである。
【0016】
メイン制御部41は、遊技の進行に応じて、各種コマンドを出力する。サブ制御部91は、メイン制御部41から出力されたコマンドの制御情報に基づいて演出の制御を行うとともに、演出制御基板90に搭載された音声出力回路94を制御する。演出は、たとえば、液晶表示器51、スピーカ53などを用いて行われる。また、サブ制御部91には、音量設定などを行うための設定スイッチ56、十字キー57が接続されている。
【0017】
図1(B)は、遊技機の正面図である。遊技者の操作部7の操作によって遊技が開始した後、遊技の結果に応じて遊技者にとって有利な有利状態に移行可能である。遊技機1がスロットマシンである場合には、リールの停止により導出された図柄に応じて有利状態へ移行する。また、遊技機1がパチンコ遊技機の場合には、遊技球が始動入賞口へ入賞することにより図柄の変動表示を開始し、変動表示が終了して導出された図柄に応じて有利状態へ移行する。
【0018】
有利状態は、たとえば、スロットマシンにおいては、小役の当選確率が向上するボーナス、あるいは、遊技者にとって有利な操作手順を報知してナビが行われるATなどである。また、パチンコ遊技機においては、遊技者にとって有利なラウンド遊技を所定回数実行可能となる大当り遊技状態である。
【0019】
本実施の形態では、サブ制御部91は、図示しないRAM(Random access memory)などの所定の記憶領域に遊技履歴を記憶する。遊技履歴は、遊技の進行に応じて蓄積される遊技に関するデータである。たとえば、遊技履歴には、実行された総ゲーム数、有利状態へ制御された回数、有利状態への移行が決定されなかったゲームの継続数(所謂はまりゲーム数)などである。なお、後述するように、遊技履歴は初期化され得る。
【0020】
本実施の形態では、遊技を行っていないときに設定スイッチ56が操作された場合に、液晶表示器51にメニュー画面(図示なし)が表示される。メニュー画面からは、たとえば、音量設定画面、携帯連動遊技モード用の画面などが選択可能である。携帯連動遊技モード用の画面としては、パスワード発行画面、パスワード入力画面、2次元コード出力画面などがある。
【0021】
遊技者は、音量設定画面において、設定スイッチ56および十字キー57を操作することで、音量を設定することができる。ここで、音量設定時に操作される設定スイッチ56および十字キー57は、音を調整するために操作される調整操作手段の一例である。調整操作手段によって調整される「音」としては、「音量」と「音質」との両方またはいずれか一方が含まれる。本実施の形態では、遊技者は、十字キー57で音量5(最大音量)~音量0(消音)の6段階の音量のいずれかを選択可能であり、設定スイッチ56で、選択した音量を設定音量として設定することができる。
【0022】
[特定条件と音量との関係]
本実施の形態において、サブ制御部91は、遊技履歴に基づいて特定条件が成立したか否かを判定する。特定条件には、遊技者にとって不利な事象が発生する特定条件と、遊技者にとって有利な事象が発生する特定条件とがある。
【0023】
たとえば、遊技者にとって不利な事象が発生する特定条件は、有利状態への移行が決定されないゲーム数(はまりゲーム数)が500ゲーム以上継続していることである。また、たとえば、遊技者にとって有利な事象が発生する特定条件は、短期間(本実施の形態では、直近の500ゲーム内)で有利状態への制御が4回以上発生していることである。
【0024】
サブ制御部91は、特定条件が成立していないときには、スピーカ53から遊技者によって設定された設定音量で特定音を出力させる一方で、特定条件が成立しているときには、周囲で聞こえにくくなるように特定音を出力する。具体的には、特定条件が成立しているときには、遊技者によって設定された設定音量に関わらず、スピーカ53から所定音量で特定音が出力される。
【0025】
特定音とは、遊技者に有利となるか否かを報知する演出に関連する音である。たとえば、特定音として、有利状態に制御されたことを報知するファンファーレがある。
【0026】
所定音量とは、特定音を出力する際に、周囲で聞こえにくくなるように予め定められた音量である。周囲で聞こえにくくなるように予め定められた音量とは、隣接する遊技機で遊技する遊技者が聞こえにくいと感じる程度の音量(周囲に聞こえにくい音量)である。
【0027】
具体的には、設定音量として音量5~音量2が設定されている場合は、所定音量として音量2が設定される。また、設定音量として音量1が設定されている場合は、所定音量として音量1が設定され、設定音量として音量0が設定されている場合は、所定音量として音量0が設定される。このように、本実施の形態において、所定音量とは、遊技者によって設定されている設定音量以下の音量である。
【0028】
また、通常音に関しては、特定条件が成立しているか否かに関わらず設定音量で出力される。通常音は、特定音とは異なる音である。たとえば、操作部7を操作したときに出力される操作音、変動音、演出において出力されるBGM(Back Ground Music)などのファンファーレ以外の音である。なお、変動音とは、遊技機においては図柄の変動表示中に出力される音であり、スロットマシンにおいてはリールが回転しているときに出力される音である。
【0029】
以下、特定条件と音量との関係について、図2を用いて具体的に説明する。図2は、特定条件と音量との関係を説明するためのタイミングチャートである。図2のタイミングチャートにおいて、横軸はタイミングtを示す。縦軸は、上から、発生事象、特定条件の成立有無、有利状態制御時音量(たとえば、ファンファーレの音量)、通常音の音量(たとえば、操作音や変動音、BGM)を示す。
【0030】
図2(a)は、遊技者にとって不利な事象が発生することで特定条件が成立した場面について説明するものである。
【0031】
t1において、有利状態への制御が決定し、有利状態へ制御されたとする。この場合、未だはまりゲーム数が500ゲームに到達する前に有利状態へ制御されたため、特定条件は成立していない。有利状態に制御されたとき、有利状態に制御されたことを報知するファンファーレが出力されるが、特定条件が成立していないため、ファンファーレは遊技者によって設定された設定音量(たとえば、音量4)で出力される。また、操作音や変動音などの通常音も、設定音量で出力される。
【0032】
t2において、有利状態が終了する。その後、500ゲームに亘って有利状態への制御が決定されなかったとする(はまりゲーム数が500ゲームに到達)。これにより、t3において、特定条件が成立する。
【0033】
特定条件成立後のt4において、有利状態へ制御されると、ファンファーレが出力されるが、特定条件が成立しているため、ファンファーレは周囲で聞こえにくくなるように予め定められた所定音量(たとえば、音量2)で出力される。その一方で、通常音は、遊技者によって設定された設定音量で出力される。
【0034】
有利状態が終了したt5において、はまりゲーム数が0にリセットされるため、特定条件は不成立状態となる。
【0035】
図2(b)は、遊技者にとって有利な事象が発生することで特定条件が成立した場面について説明するものである。
【0036】
t1において、有利状態への制御が決定し、有利状態へ制御されたとする。このとき、短期間(直近の500ゲーム内)で4回以上有利状態に制御されていないため、特定条件は成立していない。有利状態に制御されたとき、ファンファーレは遊技者によって設定された設定音量(たとえば、音量4)で出力される。また、通常音も設定音量で出力される。
【0037】
その後、t3およびt5で連続して有利状態に制御され、さらに、t7において4回目の有利状態への制御が決定されたとする。このとき、短期間(直近の500ゲーム内)で4回以上の有利状態への決定が発生したため、特定条件が成立する。
【0038】
そして、特定条件成立後のt8において、有利状態へ制御されると、ファンファーレが出力される。このとき、特定条件が成立しているため、ファンファーレは周囲で聞こえにくくなるように予め定められた所定音量(たとえば、音量2)で出力される。その一方で、通常音は、設定音量で出力される。
【0039】
なお、有利状態が終了したt9以降においても、特定条件が成立(直近の500ゲーム内で4回以上の有利状態へ制御)しているため、特定条件は成立状態となっている。特定条件が不成立状態になるのは、その後、有利状態への制御が決定されないゲームが続き、直近の500ゲーム内で有利状態へ制御された回数が3回となったときである。
【0040】
以上のように、遊技者にとって不利または有利な事象が発生する特定条件が成立しているときには、有利状態に制御されたことを報知するファンファーレが、周囲で聞こえにくくなるように予め定められた所定音量で出力されるようにすることで、音量によって周囲に注目させないようにできる。その一方で、特定条件が成立していないときには、遊技者によって設定された設定音量でファンファーレが出力されるようにすることで、遊技の興趣を損なわないようにすることができる。
【0041】
[遊技履歴の初期化]
サブ制御部91は、初期化条件が成立すると、RAMの所定領域に記憶されている遊技履歴を初期化する。初期化条件は、遊技を行っていた遊技者が遊技を終了したり、新たな遊技者が遊技を開始したと想定されるときに成立する。
【0042】
たとえば、初期化条件は、携帯連動遊技モードにおけるパスワード入力画面においてパスワードを入力したこと、携帯連動遊技モードにおける2次元コード出力画面において2次元コードを出力したこと、デモ状態が所定期間継続したこと、日跨ぎの電断が発生したことである。
【0043】
日跨ぎの電断とは、遊技機1の電断が発生した後、翌日に電断から復旧した場合の電断を言う。たとえば、翌日の営業開始のために遊技機1の電源を投入した場合の電断である。このような場合においては、新たな遊技者が遊技を開始することが想定されるため、遊技履歴は初期化される。
【0044】
また、携帯連動モードとは、遊技者の携帯端末を用いて、遊技者の選択によって自身の
過去の遊技履歴を反映させた遊技モードのことを言う。携帯連動モードにおいては、パスワード発行画面において遊技者のパスワードが発行される。発行されたパスワードおよびパスワードに対応する遊技者の遊技履歴は、遊技機1とネットワーク接続されている管理サーバにおいて管理される。
【0045】
遊技者は、パスワード入力画面において、十字キーを用いて予め発行されたパスワードを入力し、設定スイッチ56を操作することにより、以前の遊技履歴を引き継いで遊技を行うことができる。パスワード入力画面においてパスワードを入力した場合は、新たな遊技者が遊技を開始したと想定されるため、遊技履歴は初期化される。
【0046】
遊技を終える場合には、2次元コード出力画面において、設定スイッチ56を操作して、当該遊技者の遊技履歴が含まれる2次元コードを遊技機1から出力させることができる。2次元コード出力画面において2次元コード出力した場合は、遊技者が遊技を終了したことが想定されるため、遊技履歴は初期化される。
【0047】
また、遊技を行っていない状態が一定期間継続すると、遊技機1はデモ画面を表示する。さらに、デモ画面が表示された状態が所定期間継続すると、遊技者が遊技を終了したことが想定されるため、遊技履歴は初期化される。
【0048】
以下、遊技履歴の初期化について、図3を用いて具体的に説明する。図3は、遊技履歴の初期化を説明するためのタイミングチャートである。図3のタイミングチャートにおいて、横軸はタイミングtを示す。縦軸は、上から、遊技履歴の更新状態、電源の投入有無、遊技履歴の初期化有無を示す。
【0049】
t1以前において、遊技が行われ、遊技履歴が更新されているとする。ここで、t1において、遊技店の営業終了に伴う遊技機1の電源遮断により、電断が発生したとする。
【0050】
翌日の営業開始に伴い、t2において、遊技機1の電源が投入されたとする。日跨ぎの電断であるため、初期化条件が成立し、遊技履歴が初期化される。t2以降は、遊技者が遊技を行うことで遊技履歴が更新される。
【0051】
ここで、遊技者が離席したとする。遊技を行っていない状態が一定期間継続することでデモ画面が表示される。さらにデモ画面が表示された状態が所定期間継続したt3において、初期化条件が成立し、遊技履歴が初期化される。
【0052】
その後、新たな遊技者が遊技を開始したとする。当該遊技者は、携帯連動遊技モードで遊技を行うために、t4において、パスワード入力画面にてパスワードを入力したとする。これにより、初期化条件が成立し、遊技履歴が初期化される。t4以降は、新たに遊技履歴が更新される。
【0053】
その後、当該遊技者は、携帯連動遊技モードを終了させるため、t5において、2次元コード出力画面において2次元コード出力をしたとする。これにより、初期化条件が成立し、遊技履歴が初期化される。
【0054】
以上のように、遊技を行っていた遊技者が遊技を終了したり、新たな遊技者が遊技を開始したと想定されるときに初期化条件が成立し、遊技履歴は初期化される。
【0055】
[チャンネルごとの出力音の種類と音量]
また、本実施の形態では、音声出力回路94は、複数の出力チャンネルを備え、出力チャンネルごとに設定された音量の音を、スピーカ53から出力させることが可能である。
このような構成を採用した上で、以下のような構成を採用してもよい。
【0056】
遊技を行う遊技機(たとえば、遊技機1)において、
音を出力するための音出力手段(たとえば、スピーカ53)と、
遊技機の制御を行う制御手段(たとえば、サブ制御部91)と、
前記音出力手段から音を出力する制御を実行する音制御手段(たとえば、音声出力回路94)とをさらに備え、
前記制御手段は、複数のチャンネル(たとえば、図4に示すチャンネル0~15)の各々において、前記音出力手段から出力する音を特定可能な音データと、前記音出力手段から出力する音の音量を設定可能であり(たとえば、図4に示すチャンネル0~5の出力音の音データと、チャンネル0~15の音量を設定可能な部分)、
前記音制御手段は、複数のチャンネルに設定された音データから特定される音を設定された音量に従って前記音出力手段から出力させ(たとえば、音声出力回路94は、図4に示すチャンネル0~5の出力音の音データから特定される音をスピーカ53に出力させる)、
前記制御手段は、所定条件が成立(たとえば、ブラックアウト演出の実行、エラーの発生)したときに前記音出力手段から出力する音の音量を低下させる音量低下制御を実行する音量低下制御手段(たとえば、図4に示す部分)を含み、
前記音量低下制御手段は、音データが設定されているチャンネルに低下後の音量を設定するとともに音データが設定されていないチャンネルにも低下後の音量を設定して前記音量低下制御を実行する(たとえば、図4に示す部分)。
【0057】
この構成によれば、意図しない音量で音が出力されてしまい、演出効果を損ねてしまうことを防止することができる。
【0058】
音量低下制御手段は、音出力手段から出力する音の音量を0にする音量低下制御を実行する(たとえば、図4に示す部分)。この構成によれば、音量が0になるので遊技者が音を認識することをできなくすることができる。
【0059】
演出画像を表示する表示手段(たとえば、液晶表示器51)を備え、
所定条件は前記表示手段から特定画像(たとえば、ブラックアウト演出を実行するときに表示する画像)を表示するときに成立する(たとえば、図4に示す部分)。この構成によれば、特定画像の表示と連動して音量を低下させることができるので演出効果を高めることができる。
【0060】
所定条件は音出力手段から特定音(たとえば、エラー音)を出力するときに成立する(たとえば、図4に示す部分)。この構成によれば、遊技者が特定音を聞こえやすくなるように音量低下制御を実行することができる。
【0061】
音制御手段は、停止条件が成立したときに前記音出力手段からの音の出力を停止させる音出力停止制御を実行する音出力停止制御手段を含み、
前記音出力停止制御手段は、音データが設定されているチャンネルについて音の出力を停止させるとともに音データが設定されていないチャンネルについても音の出力を停止させる前記音出力停止制御を実行する。この構成によれば、意図しない音が出力されて演出効果を損ねてしまうことを防止することができる。
【0062】
音出力手段は、特別条件が成立したときに特別音を出力し、
音制御手段は、特定チャンネルに設定された音データにもとづいて前記音出力手段から音を出力する制御を実行し、
音量低下制御手段は、特定チャンネル以外のチャンネルについて音量低下制御を実行す
る。この構成によれば、特別音が出力されることが担保され、特定条件の成立を好適に報知することができる。
【0063】
[音を出力させるためのコマンド]
また、本実施の形態では、音声出力回路94は、サブ制御部91からのコマンドに基づき、スピーカ53に音を出力させる制御を実行する。このような構成を採用した上で、以下のような構成を採用してもよい。
【0064】
遊技を行う遊技機(たとえば、遊技機1)において、
音を出力するための音出力手段(たとえば、スピーカ53)と、
遊技機の制御を行う制御手段(たとえば、サブ制御部91)と、
前記制御手段から送信された情報(たとえば、図5に示す第1コマンド(コマンド1~6)および第2コマンド(コマンド7~12))にもとづいて前記音出力手段から音を出力する制御を実行する音制御手段(たとえば、音声出力回路94)とをさらに備え、
前記制御手段は、
複数種類の音(たとえば、演出音A~C、通常音A~C)のうちいずれの音を前記音出力手段から出力するかと前記音出力手段から出力する音の音量(たとえば、音量5(最大音量))とを示す第1情報(たとえば、図5に示す第1コマンド)と、前記音出力手段から出力する音の音量(たとえば、音量0~5)のみを示す第2情報(たとえば、図5に示す第2コマンド)とを前記音制御手段に送信可能であり、
前記音出力手段から特定音(たとえば、演出音A~C、通常音A~Cのいずれか)を特定音量(たとえば、音量0~5のいずれか)で出力させるときに、前記特定音を出力することと一の音量とを示す第1情報を前記音制御手段に送信した後に前記特定音量を示す第2情報を前記音制御手段に送信する(たとえば、図5に示す第1コマンドが送信された後に第2コマンドが送信される)。
【0065】
この構成によれば、用意するデータの量を少なくすることができる。
【0066】
一の音量は最大音量である(たとえば、図5に示す音量5(最大音量))。この構成によれば、特定音が確実に聞こえるように特定音の出力設定を行うことができる。
【0067】
特定音は第1特定音(たとえば、演出音A~C、通常音A~Cのいずれか)と第2特定音(たとえば、演出音A~C、通常音A~Cのいずれかかつ第1特定音以外)とを含み、
制御手段は、音出力手段から前記第1特定音を特定音量で出力させるときと、音出力手段から前記第2特定音を特定音量で出力させるときとにおいて共通の第2情報を音制御手段に送信する(たとえば、図5に示す第2コマンド(コマンド7~12)を送信する部分)。この構成によれば、用意するデータの量を少なくすることができる。
【0068】
音制御手段は、一の種類の音の出力を開始した後、音量変更条件が成立(たとえば、ブラックアウト演出が実行されたこと)したときに音出力手段から出力する音の音量を変更する音量変更制御を実行する音量変更制御手段を含み、
前記音量変更制御手段は、制御手段からの第2情報にもとづいて音量変更制御を実行する。この構成によれば、用意するデータの量を少なくすることができる。
【0069】
制御手段は、第1情報を送信してから第2情報を送信するまでの間に他の情報を送信することなく、第1情報と第2情報とを連続的に送信する。この構成によれば、意図しない情報が送信されることを防止することができる。
【0070】
第2情報は、設定可能な音量の種類よりも少ない特定数の種類の音量を特定音量として示す(たとえば、図5に示すように、256段階に設定可能とすることができるが音量0
~5の6段階の音量で構成されている部分)。この構成によれば、用意するデータの量を少なくすることができる。
【0071】
[音声出力回路について]
音声出力回路94は、サブ制御部91からのコマンドや、複数のチャンネルの各々に設定された音の音声データおよび音量によりスピーカ53から音を出力する制御を実行する。
【0072】
具体的には、音声出力回路94は、サブ制御部91からのコマンドを受信したときに、圧縮された出力音の音声データおよび音量をROMから読み出し、読み出した音声データおよび音量をデコード(復号化、伸張)する。音声出力回路94は、音声の出力チャンネル(換言すると、再生チャンネル)として16チャンネル(チャンネル0~15)を備え、独立した16種類の音声を同時出力可能である。そして、音声出力回路94は、複数のチャンネルでデコードされた音声データから特定される音を、設定された音量に従ってスピーカ53から出力する。すなわち、サブ制御部91は、複数のチャンネルの各々において、音声出力回路94に対するコマンドにより、出力音を特定可能な音データと、スピーカ53から出力する音の音量を設定可能である。
【0073】
スピーカ53から出力される音の音量は、各チャンネルに音量を設定することにより調節可能であるとともに、音声出力回路94が備えるアッテネーターを制御することにより調節可能である。各チャンネルには後述する6種類の音量のいずれかを設定可能である。また、アッテネーターによる調節は最大音量から最小音量(すなわち、消音)に調節することが可能である。アッテネーターはチャンネルごとに設けられている。なお、音量のデータは8ビット(1バイト)であるため、256段階に設定可能とすることができるが、本実施形態では6段階で設定可能になっている。これにより、音量を調節するためのデータを少なくすることができる。
【0074】
[チャンネルごとの出力音の種類と音量の具体例]
図4は、チャンネルごとの出力音と音量との関係を説明するための図である。図4に示すように、音声出力回路94は、音の出力チャンネルとして16チャンネル(チャンネル0~15)を備え、独立した16種類の音を同時出力可能である。各チャンネルには、出力する音ごとに音量を設定することが可能である。本実施形態では、音の音量は音量0(消音)~音量5(最大音量)の6段階から設定可能である。
【0075】
図4(a)に示すように、チャンネル0~2は、演出音A~Cを出力するチャンネルである。また、チャンネル3~5は、通常音A~Cを出力するチャンネルである。図4(a)ではチャンネル0~5において音量が音量5に設定されている例を示している。チャンネル6~15は使用されていないチャンネルである。チャンネル6~15は、使用されていないチャンネルのため、チャンネル6~15には、音量も設定されていない。
【0076】
図4(b)に示すように、サブ制御部91は、ブラックアウト演出を実行するときは、音量低下制御を実行し、各チャンネルの音量データを書き換えることにより各チャンネルの音量を音量0(消音)に設定する。このとき、使用されているチャンネル0~5に限らず、未使用のチャンネル6~15の音量も音量0に設定する。ここで、ブラックアウト演出は、液晶表示器51において、演出画像、演出図柄や背景画像などを視認不可能とする画像(特定画像)を表示する演出である。
【0077】
このように、ブラックアウト演出を実行するときに、使用されているチャンネル0~5に限らず、未使用のチャンネル6~15の音量0に設定するので、意図しない音量で音が出力されて演出効果を損ねてしまうことを防止できる。また、音量低下制御を実行して音
量を音量0に設定するので、出力音の音量が確実に聞こえないようにすることができる。また、ブラックアウト演出を実行するときに音量低下制御を実行するので、ブラックアウト演出を実行するときの液晶表示器51での特定画像の表示と連動して演出効果を高めることができる。
【0078】
[音を出力させるためのコマンドの具体例]
図5は、サブ制御部が音声出力回路に送信するコマンドを説明するための図である。図5では、音をスピーカ53から出力させるために、サブ制御部91から音声出力回路94に送信されるコマンドの種類を示している。コマンド1~6は複数種類の音のうちいずれを出力するかを示すデータと出力音の音量を示すデータとからなる。コマンド7~12は出力音の音量を示すデータのみからなる。以下、コマンド1~6を第1コマンド(第1情報に相当)と称し、コマンド7~12を第2コマンド(第2情報に相当)と称することがある。
【0079】
図5に示すように、コマンド1は、演出音A(ファンファーレ)を音量5(最大音量)によって出力させることを示すコマンドである。同様に、コマンド2は演出音Bを音量5、コマンド3は演出音Cを音量5、コマンド4は通常音Aを音量5、コマンド5は通常音Bを音量5、コマンド6は通常音Cを音量5によって、それぞれ出力させることを示すコマンドである。コマンド7~12は、それぞれ、音量5のみ~音量0のみを示すコマンドである。
【0080】
サブ制御部91は、まず、コマンド1~6のいずれか(すなわち、第1コマンド)を音声出力回路94に送信する。これにより、サブ制御部91は、複数種類の音のうちスピーカ53から出力する特定の音(すなわち、特定音)と一の音量(音量5(最大音量))を音声出力回路94に指示する。次いで、サブ制御部91は音声出力回路94にコマンド7~12のいずれか(すなわち、第2コマンド)を送信する。これにより、スピーカ53から出力する音の音量を第2コマンドで示す特定音量に指示する。音声出力回路94は、コマンド1~6のいずれかを受信したときに、指示された特定の音に対応するチャンネルに音声データおよび音量をデコードする。また、音声出力回路94は、コマンド7~12のいずれかを受信したときに、指示された特定の音に対応するチャンネルに音量をデコードする。これにより、サブ制御部91は、音声出力回路94の複数のチャンネルの各々において、出力音を特定可能なデータと、スピーカ53から出力する音の音量を設定可能である。そして、音声出力回路94は、受信したコマンドが示す特定の音に対応するチャンネル(例えば、コマンド1を受信したときには、コマンド1が示す演出音Aに対応するチャンネル0)から一の音量(音量5(最大音量))によって特定の音を出力する。次いで、コマンド7~12のいずれかを受信したときに、受信したコマンドで示された特定音量(音量0~5のいずれか)によって特定の音を出力する。このような一連の制御により、特定の音が特定音量で出力される。なお、コマンド1~6のいずれかを受信して特定の音の出力を開始してからコマンド7~12のいずれかを受信して一の音量を特定音量に変更するまでの期間は音量が変更されたことを遊技者が認識できない程度の期間である。よって、遊技者は、最初からコマンド1~6のいずれかで示された特定の音がコマンド7~12のいずれかで示された特定音量で出力開始されたように聞こえる。
【0081】
ここで、図2(a)で示した例を用いて、具体的に説明する。図2(a)の例においては、演出音A(ファンファーレ)の設定音量として音量4が設定されている。また、所定音量は音量2である。
【0082】
t1において、演出音Aを出力させる場合は、サブ制御部91は、まず、演出音Aに対応するコマンド1(第1コマンド)を音声出力回路94に送信する。これにより、サブ制御部91は、スピーカ53から演出音Aを出力することを音声出力回路94に指示する。
【0083】
次いで、サブ制御部91は、音声出力回路94に設定音量である音量4に対応するコマンド8(第2コマンド)を送信する。これにより、サブ制御部91は、スピーカ53から音量4で出力することを指示する。その結果、音声出力回路94は、スピーカ53に演出音A(ファンファーレ)を音量4(設定音量)で出力させることになる。
【0084】
t4において、演出音Aを出力させる場合は、サブ制御部91は、まず、演出音Aに対応するコマンド1(第1コマンド)を音声出力回路94に送信する。次いで、サブ制御部91は音声出力回路94に所定音量である音量2に対応するコマンド10(第2コマンド)を送信する。これにより、音声出力回路94は、スピーカ53に演出音A(ファンファーレ)を音量2(所定音量)で出力させることになる。
【0085】
このように、いずれの種類の音を出力するかと一の音量(音量5(最大音量))を示すコマンド1~6(第1コマンド)を送信してから特定音量(音量0~5のいずれか)を示すコマンド7~12(第2コマンド)を送信することによって音を特定音量で出力するので、音ごとに6種類の特定音量のコマンドを用意しなくてもよくなり、音を出力するために用意するデータを少なくすることができる。
【0086】
また、第1コマンドは最大音量を示すので音が確実に聞こえるように音の出力設定を行うことができる。また、演出音A~C、通常音A~Cを出力するときに共通の第2コマンドを用いて音量を設定するので、音を出力するために用意するデータを少なくすることができる。
【0087】
また、サブ制御部91は、一の音(演出音A~C、通常音A~Cのいずれか)の出力を開始した後に音量変更条件が成立したときに第2コマンドを送信することにより一の音の音量を変更する制御を行うので、音を出力するために用意するデータを少なくすることができる。
【0088】
なお、サブ制御部91は、一の契機(例えば、スタートスイッチの操作、遊技球の発射、図柄の変動開始)にコマンド1~6のいずれかとコマンド7~12のいずれかを連続的に送信し、コマンド1~6のいずれかとコマンド7~12のいずれかとの間で異なるコマンドを送信しない。これにより音声出力回路94に意図しない指示がなされることを防止できる。
【0089】
また、前述したように、遊技機1では、音量の種類(段階)を256種類に設定可能であるが、本実施形態では6種類(段階)のうちから設定可能になっている。よって、第2コマンドは、設定可能な256種類の音量よりも少ない6種類の音量を特定音量として示す。これにより、音を出力するために用意するデータを少なくすることができる。
【0090】
[主な効果]
本実施の形態においては、図2(a)のt1に示すように、有利状態への移行が決定されないゲームが500ゲーム以上継続していないとき(特定条件が成立していないとき)には、遊技者によって設定された設定音量(音量4)でファンファーレを出力し、図2(a)のt4に示すように、有利状態への移行が決定されないゲームが500ゲーム以上継続しているとき(特定条件が成立しているとき)には、遊技者によって設定された設定音量に関わらず、周囲で聞こえにくくなるように予め定められた所定音量(音量2)でファンファーレを出力する。このように、特定条件が成立しているときは周囲で聞こえにくくなるように予め定められた所定音量でファンファーレが出力されることで、音量によって周囲に注目させない一方で、特定条件が成立していないときには遊技者によって設定された設定音量でファンファーレが出力されることで、遊技の興趣を損なわないようにするこ
とができる。
【0091】
また、図2(a)のt4に示すように、上記特定条件は、有利状態への移行が決定されないゲームが500ゲーム以上継続するという遊技者にとって不利な事象が発生することである。このように、不利な事象が発生して特定条件が成立しているときには、音量によって周囲に注目させない一方で、特定条件が成立していないときには、遊技の興趣を損なわないようにすることができる。
【0092】
また、図2(b)のt7に示すように、上記特定条件は、短期間で有利状態への制御が4回以上発生するという遊技者にとって有利な事象が発生することである。このように、有利な事象が発生して特定条件が成立しているときには、音量によって周囲に注目させない一方で、特定条件が成立していないときには、遊技の興趣を損なわないようにすることができる。
【0093】
また、図3のt2,t3,t4,t5に示すように、パスワード入力、2次元コード出力、デモ状態が所定期間継続、日跨ぎの電断が発生したときに、遊技履歴が初期化される。このように、遊技者が交代したと想定される場合には、あらためて特定条件を判定するための遊技履歴が再設定される。
【0094】
また、図2に示すように、特定条件が成立しているか否かに関わらず、設定スイッチ56および十字キー57によって設定された設定音量で通常音を出力することで、遊技の興趣を損なわないようにすることができる。
【0095】
[変形例]
以上、本発明における主な実施の形態を説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形例について説明する。
【0096】
[遊技機について]
上述した遊技機1は、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、可変表示部を変動表示した後、可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンであってもよい。上述した遊技機1は、各々が識別可能な複数種類の識別情報の変動表示の結果に応じて、遊技者にとって有利な大当り遊技状態に制御可能なパチンコ遊技機であってもよい。
【0097】
[設定音量、所定音量について]
本実施の形態では、調整操作手段により音量を調整する場合、6段階の音量のいずれかに設定可能としたが、これに限らず、次のようにしてもよい。たとえば、音を出力させるスピーカを複数備え、設定により音を出力させるスピーカの数を減少させることで、音量を低下させるようなものであってもよい。また、調整操作手段により、音質を調整する場合は、たとえば、出力される音の高音(高周波)をカットするなど、特定の周波数領域の音を調整するようなものであってもよい。
【0098】
本実施の形態において、設定音量として音量5~音量2が設定された場合は、所定音量として音量2が設定され、音量1または音量2が設定された場合は、当該音量が所定音量として出力されるようにしたが、所定音量は、設定可能な範囲における最小の音量に下げるものであってもよい。たとえば、音量5~音量0のいずれに設定された場合であっても、所定音量として音量0に設定するものであってもよい。
【0099】
また、設定音量として音量5~音量2の範囲で設定が可能とし、特定条件成立時には、設定可能な範囲の最小の音量(音量2)で出力させるようにしてもよい。また、設定音量として音量5~音量2の範囲で設定が可能とし、特定条件成立時には、設定可能な範囲より下の音量1で出力させるようにしてもよい。
【0100】
また、特定条件が成立した場合は、高音をカットするなどして音質を変えて、周囲で聞こえにくくなるように特定音を出力させるようにしてもよく、出力するスピーカの数を減らして、周囲で聞こえにくくなるように特定音を出力させるようにしてもよい。
【0101】
[特定条件の成立について]
本実施の形態において、図2で示したように、特定条件が成立すると、有利状態制御時音量(ファンファーレの音量)を所定音量にして出力されるようにした。しかし、これに限らず、有利状態中において、有利状態固有の演出音を全て所定音量にして出力されるようにしてもよい。たとえば、有利状態の演出において出力されるBGMの音量や有利状態の演出において発せされるセリフの音量を所定音量にして出力されるようにしてもよい。
【0102】
本実施の形態において、図2(a)で示したように、遊技者にとって不利な事象が発生する特定条件を、はまりゲーム数が500ゲーム以上継続したこととした。しかし、これに限らず、特定条件は、所定の演出の実行結果が不利な結果となり、当該結果が所定回数(たとえば、4回)以上連続したことであってもよい。たとえば、パチンコ遊技機において、特定条件は、大当り遊技状態へ制御される期待度が高いSPリーチ(スーパーリーチ)が実行された結果、所定回数連続して大当り遊技状態に制御されなかったことである。
【0103】
また、たとえば、スロットマシンにおいて、特定条件は、AT(アシストタイム)への制御に関する有利度合いが通常よりも高くなるCZ(チャンスゾーン)に制御されたが、ATに制御されずCZが終了した結果が所定回数以上連続したことである。また、たとえば、スロットマシンにおいて、特定条件は、ATに制御される期待度が高い特定の演出(たとえば、7を狙え演出)においてATに制御されなかった結果が所定回数以上連続したことである。また、ATゲーム数が上乗せされる期待度が高い演出においてATゲーム数が上乗せされなかった結果が所定回数以上連続したことである。また、ATゲーム数が上乗せされる確率が高くなる上乗せ特化ゾーンに制御される期待度が高い演出において上乗せ特化ゾーンに制御されなかった結果が所定回数以上連続したことである。
【0104】
また、特定条件は、特定条件は、不利な特典が所定回数以上連続して付与されたことであってもよい。たとえば、パチンコ遊技機において、有利な特典は出玉が多い16R(ラウンド)の大当り遊技状態への制御であるのに対して、不利な特典は出玉が少ない2Rの大当り遊技状態への制御である。また、有利な特典は、大当り種別が「確変」である大当り遊技状態への制御であるのに対して、不利な特典は大当り種別が「通常」である大当り遊技状態への制御である。大当り種別が「確変」である場合は、大当り遊技状態の終了後に、大当り確率が高くなる確率変動制御が行われる。また、スロットマシンにおいて、有利な特典は出玉が多いBB(ビッグボーナス)への制御であるのに対して、不利な特典は出玉が少ないRB(レギュラーボーナス)への制御である。
【0105】
本実施の形態において、図2(b)で示したように、遊技者にとって有利な事象が発生する特定条件を、短期間(直近の500ゲーム数内)で有利状態への制御が4回以上発生したこととした。しかし、これに限らず、特定条件は、所定の演出の実行結果が有利な結果となり、当該結果が所定回数(たとえば、4回)以上連続したことであってもよい。たとえば、パチンコ遊技機において、特定条件は、SPリーチが実行された結果、所定回数連続して大当り遊技状態に制御されたことである。また、たとえば、スロットマシンにおいて、特定条件は、CZ中においてATに制御される結果が所定回数連続したことや、7
を狙え演出においてATに制御された結果(または、ATゲーム数が上乗せされた結果や、上乗せ特化ゾーン制御された結果)が所定回数以上連続したことである。
【0106】
また、特定条件は、有利な特典が所定回数連続して付与されたことであってもよい。たとえば、パチンコ遊技機において、有利な特典は16Rの大当り遊技状態への制御であり、大当り種別が「確変」である大当り遊技状態への制御であり、スロットマシンにおいて、有利な特典はBBへの制御である。
【0107】
本実施の形態において、遊技履歴として、実行された総ゲーム数、有利状態へ制御された回数、はまりゲーム数を例示したが、これに限らず、次のようなものであってもよい。たとえば、特定の演出(7を狙え演出など)において不利な結果が連続した回数、特定の演出において有利な結果が連像した回数、不利な特典が連続して付与された回数、有利な特典が連続して付与された回数であってもよい。
【0108】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0109】
1 遊技機、7 操作部、41 メイン制御部、91 サブ制御部、51 液晶表示器、53 スピーカ。
図1
図2
図3
図4
図5