(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】給油口蓋の取付構造
(51)【国際特許分類】
B60K 15/05 20060101AFI20220426BHJP
【FI】
B60K15/05 B
(21)【出願番号】P 2018011385
(22)【出願日】2018-01-26
【審査請求日】2020-12-22
(31)【優先権主張番号】P 2017216098
(32)【優先日】2017-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】308039414
【氏名又は名称】株式会社FTS
(74)【代理人】
【識別番号】100097076
【氏名又は名称】糟谷 敬彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120765
【氏名又は名称】小滝 正宏
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 康行
(72)【発明者】
【氏名】樅山 貴司
(72)【発明者】
【氏名】下川 晋治
(72)【発明者】
【氏名】青木 優周
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-280243(JP,A)
【文献】特開2015-098284(JP,A)
【文献】特開2014-125010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/05
B65D 35/44 - 35/54
B65D 39/00 - 55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の給油口を塞ぐ給油口蓋を開閉する給油口蓋の取付構造において、
上記給油口蓋に取付アーム部材が取付けられ、上記給油口に給油口ボックスが取付けられ、該給油口ボックスに取付アーム部材を取付け、
上記取付アーム部材は、上記給油口蓋を取付ける蓋取付部と、上記給油口ボックスに回動自在に取付けるボックス取付腕を有し、該ボックス取付腕の先端に、上記給油口ボックスに上記取付アーム部材を回動自在に係止するボックス取付腕係合部を設け、
上記給油口ボックスは、給油口ボックス本体から延設されるアーム収納部が形成され、該アーム収納部に上記取付アーム部材のボックス取付腕係合部を係止するボックス係合ピンを取付ける係合ピン取付部を設け、
上記給油口ボックスと上記取付アーム部材に上記取付アーム部材を付勢する開閉バネを取り付け、該開閉バネは、上記給油口ボックスの上記アーム収納部に保持される開閉バネボックス取付部と、上記取付アーム部材のボックス取付腕係合部に保持される開閉バネアーム取付部と、上記開閉バネアーム取付部と上記開閉バネボックス取付部を接続する開閉バネ本体部を有し、上記開閉バネアーム取付部の先端から上記アーム収納部に当接する開閉バネボックス当接部を延設したことを特徴とする給油口蓋の取付構造。
【請求項2】
上記開閉バネの開閉バネボックス当接部は、上記給油口蓋を開くときに、上記給油口蓋を若干開くように上記取付アーム部材を付勢する請求項1に記載の給油口蓋の取付構造。
【請求項3】
上記開閉バネは、1本の金属線状部材で形成され、上記開閉バネボックス当接部は、
上記開閉バネアーム取付部から屈曲して形成され、上記給油口蓋が閉じられたときは、上記開閉バネボックス当接部の先端部が上記アーム収納部に当接する請求項1または請求項2に記載の給油口蓋の取付構造。
【請求項4】
上記開閉バネボックス当接部は、上記開閉バネアーム取付部が上記取付アーム部材のボックス取付腕係合部を付勢する方向よりも斜め方向に付勢する請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の給油口蓋の取付構造。
【請求項5】
上記開閉バネは、全体形状が略Z字状又は己字状に屈曲して形成された請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の給油口蓋の取付構造。
【請求項6】
上記開閉バネボックス当接部が延設された上記開閉バネアーム取付部の先端と反対側の先端と開閉バネ本体部との接続する付近を押さえるバネ押え突起を
上記取付アーム部材又は上記給油口ボックスに形成した請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の給油口蓋の取付構造。
【請求項7】
上記取付アーム部材に、上記開閉バネの上記開閉バネアーム取付部を保持する上記取付アーム部材のバネ取付部と、該バネ取付部を挟んで複数の上記取付アーム部材のバネ押え凸部を設け、上記取付アーム部材の上記バネ取付部と上記バネ押え凸部により、上記開閉バネアーム取付部を交互に挟持する請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の給油口蓋の取付構造。
【請求項8】
上記取付アーム部材の上記バネ取付部は、上記開閉バネアーム取付部を覆うように挟持する請求項7に記載の給油口蓋の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の給油口を塞ぐ給油口蓋を開閉する、給油口蓋の取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車用燃料タンクに燃料を給油する場合に、車体に設けられた給油口101を塞ぐ給油口蓋110を開いて、給油口101から燃料を給油する。
このとき、
図9と
図10に示すように、給油口蓋110は、裏面に蓋取付部材120が取付けられて、蓋取付部材120は、給油口ボックス140に取付けられている。給油口ボックス140とともに、給油口蓋110は、給油口101に取付けられている。
【0003】
給油口蓋110を開くときに、蓋取付部材120の給油口ボックス140に対する係合ピン121は、開閉スペースを確保するため、給油口101よりも横方向の奥の給油口蓋110の外側に設けられている。このため、蓋取付部材120も大きく湾曲して、給油口蓋110の横方向の外側まで延設されている。
【0004】
給油口蓋110を開くときは、給油口蓋110のロックピン(図示せず)を開いてロックを外して、給油口ボックス140に取付けられた弾性部材141で給油口蓋110の先端を若干持ち上げる。その後、給油口蓋110の先端を手で開いて、給油口蓋110を大きく開いている。
【0005】
その時、給油口蓋110を開いた位置で保持するために、給油口蓋110を保持するばね部材が使用されている。そのため、給油口蓋110の先端を若干持ち上げるための部材と、給油口蓋110を開いた位置で保持するための部材の2つが必要となり、組み付けの手間とコストが上昇していた。
【0006】
そのため、
図11に示すばね部材240を使用するものがある(例えば、特許文献1参照。)。この場合には、ばね部材240の本体側固定部241をボックス部に固定して、蓋部材側固定部242を蓋部材のアームに取付けて、ばね部材240の伸縮と伸縮方向に垂直な方向に付勢力を働かせて、給油口蓋110の先端を若干持ち上げるための付勢力と、給油口蓋110を開いた位置で保持する付勢力の両方を働かせるものである。
【0007】
しかしながら、この場合には、給油口蓋110の先端を若干持ち上げるには、蓋部材のアームをばね部材240の中央部分であるばね部材本体243で押しているため、蓋部材のアームの寸法や形状が異なった場合には、ばね部材240の全体の形状と蓋部材のアームの両方の寸法等を調整する必要がある。
このため、ばね部材240の汎用性が低かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、給油口蓋や取付アーム部材の形状が異なっても容易に調整可能な給油口蓋の取付構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、車体の給油口を塞ぐ給油口蓋を開閉する給油口蓋の取付構造において、
給油口蓋に取付アーム部材が取付けられ、給油口に給油口ボックスが取付けられ、給油口ボックスに取付アーム部材を取付け、
取付アーム部材は、給油口蓋を取付ける蓋取付部と、給油口ボックスに回動自在に取付けるボックス取付腕を有し、ボックス取付腕の先端に、給油口ボックスに取付アーム部材を回動自在に係止するボックス取付腕係合部を設け、
給油口ボックスは、給油口ボックス本体から延設されるアーム収納部が形成され、アーム収納部に取付アーム部材のボックス取付腕係合部を係止するボックス係合ピンを取付ける係合ピン取付部を設け、
給油口ボックスに取付アーム部材を付勢する開閉バネを取り付け、開閉バネは、給油口ボックスのアーム収納部に保持される開閉バネボックス取付部と、取付アーム部材のボックス取付腕係合部に保持される開閉バネアーム取付部と、開閉バネアーム取付部と開閉バネボックス取付部を接続する開閉バネ本体部を有し、アーム取付部の先端からアーム収納部に当接する開閉バネボックス当接部を延設したことを特徴とする給油口蓋の取付構造である。
【0011】
請求項1の本発明では、車体の給油口を塞ぐ給油口蓋を開閉する給油口蓋の取付構造において、給油口蓋に取付アーム部材が取付けられ、給油口に給油口ボックスが取付けられ、給油口ボックスに取付アーム部材が取付けられている。このため、給油口ボックスに取付アーム部材により給油口蓋が開閉自在に取付けられて、給油口蓋が車体の給油口を開閉することができる。
【0012】
取付アーム部材は、給油口蓋を取付ける蓋取付部と、給油口ボックスに回動自在に取付けるボックス取付腕を有し、ボックス取付腕の先端に、給油口ボックスに取付アーム部材を回動自在に係止するボックス取付腕取付部を設けられている。このため、給油口ボックスに取付けられたボックス取付腕取付部を中心に取付アーム部材が回動して、給油口蓋が車体の給油口を開閉することができる。
【0013】
給油口ボックスは、給油口ボックス本体から延設されるアーム収納部が形成され、アーム収納部に取付アーム部材のボックス取付腕係合部を係止するボックス係合ピンを取付ける係合ピン取付部を設けている。このため、給油口ボックスに取付けられたボックス係合ピンを中心に取付アーム部材が回動して、給油口蓋が車体の給油口を開閉することができる。
【0014】
給油口ボックスに給油口ボックスと取付アーム部材を付勢する開閉バネを取り付け、開閉バネは、給油口ボックスのアーム収納部に保持される開閉バネボックス取付部と、取付アーム部材のボックス取付腕係合部に保持される開閉バネアーム取付部と、開閉バネアーム取付部と開閉バネボックス取付部を接続する開閉バネ本体部を有する。このため、開閉バネが、弾性変形して、取付アーム部材を付勢して、給油中に給油口蓋が閉じないようにすることができる。
【0015】
アーム取付部の先端からアーム収納部に当接する開閉バネボックス当接部を延設している。このため、開閉バネボックス当接部は、給油口蓋を閉じたときに、アーム収納部に当接してアーム取付部の先端を付勢することができる。
【0016】
請求項2の本発明は、開閉バネの開閉バネボックス当接部は、給油口蓋を開くときに、給油口蓋を若干開くように取付アーム部材を付勢する給油口蓋の取付構造である。
【0017】
請求項2の本発明では、開閉バネの開閉バネボックス当接部は、給油口蓋を開くときに、給油口蓋を若干開くように取付アーム部材を付勢する。このため、給油口蓋のロックを解除すると、開閉バネボックス当接部が取付アーム部材を付勢して、給油口蓋の先端を若干開き、その後、給油口蓋を手で容易に大きく開くことができる。
【0018】
請求項3の本発明は、開閉バネは、1本の金属線状部材で形成され、開閉バネボックス当接部は、開閉バネアーム取付部から屈曲して形成され、給油口蓋が閉じられたときは、開閉バネボックス当接部の先端部がアーム収納部に当接する給油口蓋の取付構造である。
【0019】
請求項3の本発明では、開閉バネは、1本の金属線状部材で形成され、開閉バネボックス当接部は、開閉バネアーム取付部から屈曲して形成され、給油口蓋が閉じられたときは、開閉バネボックス当接部の先端部がアーム収納部に当接する給油口蓋の取付構造である。このため、一本の金属戦で形成されて、構造が簡単であり、製造が容易でコストも低く、取付アーム部材や給油口ボックスの形状が変化しても、開閉バネボックス当接部の角度や寸法を調整するのみで、形状の変化に対して調整して、容易に開閉バネを調整して取付けることができる。
【0020】
請求項4の本発明は、開閉バネボックス当接部は、開閉バネアーム取付部が取付アーム部材のボックス取付腕係合部を付勢する方向よりも斜め方向に付勢する給油口蓋の取付構造である。
【0021】
請求項4の本発明では、開閉バネボックス当接部は、開閉バネアーム取付部が取付アーム部材のボックス取付腕係合部を付勢する方向よりも斜め方向に付勢する。このため、開閉バネアーム取付部が取付アーム部材のボックス取付腕係合部を付勢する力とは別に、開閉バネボックス当接部がボックス取付腕係合部を付勢することができる。
【0022】
請求項5の本発明は、開閉バネは、全体形状が略Z字状又は己字状に屈曲して形成された給油口蓋の取付構造である。
【0023】
請求項5の本発明では、開閉バネは、全体形状が略Z字状又は己字状に屈曲して形成されたため、開閉バネを1本の線状部材を折り曲げて形成することができるとともに、開閉バネは、開閉バネアーム取付部と開閉バネボックス取付部が、取付アーム部材と給油口ボックスに取付けられても、開閉バネ本体部との接続部分が撓んで、取付アーム部材を付勢することができる。
【0024】
請求項6の本発明は、開閉バネボックス当接部が延設された開閉バネアーム取付部の先端と反対側の先端と開閉バネ本体部との接続する付近を押さえるバネ押え突起を取付アーム部材又は給油口ボックスに形成した給油口蓋の取付構造である。
【0025】
請求項6の本発明では、開閉バネボックス当接部が延設された開閉バネアーム取付部の先端と反対側の先端と開閉バネ本体部との接続する付近を押さえるバネ押え突起を取付アーム部材又は給油口ボックスに形成している。このため、開閉バネボックス当接部が給油口ボックスに当接して、取付アーム部材を付勢するときに、反力で開閉バネが回転することを防止することができる。
【0026】
請求項7の本発明は、取付アーム部材に、開閉バネの開閉バネアーム取付部を保持する取付アーム部材バネ取付部と、取付アーム部材バネ取付部を挟んで複数の取付アーム部材バネ押え凸部を設け、取付アーム部材バネ取付部と取付アーム部材バネ押え凸部により、開閉バネアーム取付部を交互に挟持する給油口蓋の取付構造である。
【0027】
請求項7の本発明では、取付アーム部材に、開閉バネの開閉バネアーム取付部を保持する取付アーム部材のバネ取付部と、バネ取付部を挟んで複数の取付アーム部材のバネ押え凸部を設け、取付アーム部材のバネ取付部とバネ押え凸部により、開閉バネアーム取付部を交互に挟持する。このため、開閉バネの開閉バネアーム取付部を取付アーム部材のバネ取付部とバネ押え凸部により開閉バネ本体部方方向及びにその反対方向にずれるのを防止して、開閉バネを安定して取付アーム部材に保持することができる。
【0028】
請求項8の本発明は、取付アーム部材のバネ取付部は、開閉バネアーム取付部を覆うように挟持する給油口蓋の取付構造である。
【0029】
請求項8の本発明では、取付アーム部材のバネ取付部は、開閉バネアーム取付部を覆うように挟持するため、開閉バネアーム取付部を横方向と上下方向の両方向で確実に安定して取付アーム部材に保持することができる。
【発明の効果】
【0030】
給油口ボックスに取付アーム部材を付勢する開閉バネを取り付け、開閉バネは、弾性変形して、取付アーム部材を付勢して、給油中に給油口蓋が閉じないようにすることができる。
アーム取付部の先端からアーム収納部に当接する開閉バネボックス当接部を延設し、開閉バネボックス当接部は、給油口蓋を開くときに、給油口蓋を若干開くように取付アーム部材を付勢するため、給油口蓋のロックを解除すると、開閉バネボックス当接部が取付アーム部材を付勢して、給油口蓋の先端を若干開くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の実施の形態を示すもので、給油口蓋を開いた状態の給油口ボックスと給油口蓋及び取付アーム部材の断面図である。
【
図2】本発明の実施の形態を示すもので、給油口蓋を開いた状態の取付アーム部材と給油口ボックスの取付部分の拡大断面図である。
【
図3】本発明の実施の形態を示すもので、開閉バネが取付けられた部分の拡大断面図であり、給油口蓋を開閉する状態を示す図である。
【
図4】本発明の実施の形態を示すもので、開閉バネが取付けられた部分の拡大断面図であり、給油口蓋をポップアップする状態を示す図である。
【
図5】本発明の実施の形態を示すもので、開閉バネの平面図である。
【
図6】本発明の実施の形態を示すもので、開閉バネの側面図である。
【
図7】本発明の実施の形態を示すもので、開閉バネの伸縮と撓み方向を示す斜視図である。
【
図8】本発明の実施の形態を示すもので、開閉バネを取付アーム部材に保持する他の状態を示す開閉バネの平面図である。
【
図9】従来の給油口蓋を開いた状態の給油口部分の斜め上方から見た斜視図である。
【
図10】従来の給油口蓋を開いた状態の給油口部分の断面図で、
図8のB-B線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、車体2の給油口1を塞ぐ給油口蓋10を開閉する給油口蓋10の取付構造に関するものである。本発明に実施の形態を
図1~
図8に基づき説明する。
本発明の実施の形態について、給油口蓋10と、給油口蓋10を車体2に取付ける給油口ボックス30と、給油口ボックス30と給油口蓋10を連結する連結部材である取付アーム部材20をそれぞれ説明するとともに、併せて、給油口蓋10の回動についても説明する。
【0033】
給油口蓋10は、
図1に示すように、車体2の給油口1を塞ぐために給油口1の形状に合わせて形成されている。本発明に実施の形態では、四角形に形成されているが、給油口1の形状に合わせて円形や楕円形に形成することができる。給油口蓋10の表面11は、車体2の色と合わせて塗装されて、平滑な平面を形成している。
自動車用燃料タンクに燃料を給油する場合に、車体2に設けられた給油口1を塞ぐ給油口蓋10を開いて、給油口1から燃料を給油する。
【0034】
給油口蓋10の裏面12には、給油口蓋10の取付部材である取付アーム部材20を取付ける給油口蓋アーム部材取付部13が設けられている。本実施の形態では、給油口蓋アーム部材取付部13は、2枚の平行板として形成されている。給油口蓋アーム部材取付部13には、取付アーム部材20が取付けられる給油口蓋アーム部材取付孔14が設けられている。
【0035】
取付アーム部材20は、
図1と
図2に示すように、円弧状に湾曲した板状の取付アーム部材20のボックス取付腕23と、ボックス取付腕23の一方の先端に形成され、給油口蓋10に取付けられる部分である取付アーム部材20の蓋取付部21と、ボックス取付腕23の他方の先端に形成され、給油口ボックス30に取付けられる部分である取付アーム部材20のボックス取付腕係合部24を有している。
【0036】
取付アーム部材20の蓋取付部21が給油口蓋アーム部材取付孔14にはめ込まれて、給油口蓋10が取付アーム部材20に取付けられる。
なお、給油口蓋10と取付アーム部材20を一体的に形成して、取付アーム部材20の蓋取付部21と給油口蓋アーム部材取付孔14を省略して、給油口蓋10の裏面12に取付アーム部材20の蓋取付部21を一体的に形成することができる。
【0037】
取付アーム部材20の蓋取付部21の先端には、給油口ボックス30側に延設された取付アーム部材20の蓋ロック部22が形成されている。蓋ロック部22は、給油口蓋10が閉まったときに、後述する給油口ボックス30のロックピン32と係合する。蓋ロック部22は、給油口蓋10に形成することもできる。
【0038】
取付アーム部材20のボックス取付腕係合部24は、後述する給油口ボックス30の係合ピン取付部35に係合する取付アーム部材20のボックス係合ピン25で回動自在に取付けられている。ボックス係合ピン25は、ボックス取付腕係合部24の先端を係合している。
【0039】
また、ボックス係合ピン25は、ボックス取付腕係合部24の先端の一方の側面から他方の側面まで連続した1本のピンとして形成することができる。
図2に示すように、ボックス取付腕係合部24のボックス係合ピン25と係合する部分から若干外れて、後述する開閉バネ40の開閉バネアーム取付部41が取付けられる取付アーム部材20のバネ取付部26が形成されている。
【0040】
次に、給油口蓋10が取付アーム部材20により取付けられる給油口ボックス30について、
図1~
図4に基づき説明する。
本実施の形態では、給油口ボックス30の本体である給油口ボックス本体31は、略四角形の箱状に形成されているが、給油口1が形成される車体2と給油口蓋10の形状に合わせて、円形、楕円形等に形成することができる。
【0041】
給油口ボックス本体31は、
図1に示すように、底部の中心に車体2の給油口1と連通する給油ガン(図示せず。)を挿入する給油口ボックス30の給油孔34が形成されている。
給油口ボックス30は、
図1と
図2に示すように、車体2に設けられている給油口ボックス保持部3に取付けられている。
【0042】
給油口ボックス30における取付アーム部材20のボックス取付腕係合部24が取付けられる部分は、車体2の給油口ボックス保持部3が形成されている部分よりも車体2の内側(
図1における左側)に入り込んで、給油口ボックス30のアーム収納部37として形成されている。アーム収納部37の詳細は、後述する。
【0043】
図1に示すように、給油口ボックス30のアーム収納部37と反対側には、給油口ボックス30のロックピン32が形成され、給油口蓋10が閉じられたときに、ロックピン32が取付アーム部材20の蓋ロック部22に係合して、給油口蓋10をロックすることができる。給油口蓋10を開くときは、ロックピン32が後退して、蓋ロック部22から外れる。
【0044】
給油口ボックス30の給油口ボックス本体31の上端の周囲には、
図2に示すように、給油口ボックス30のシール部材33が取付けられて、給油口ボックス本体31が、車体2の給油口ボックス保持部3に取付けられたときに、給油口ボックス保持部3と給油口ボックス本体31の上端の間をシールすることができる。
【0045】
給油口ボックス30のアーム収納部37は、取付アーム部材20のボックス取付腕係合部24を係合するボックス係合ピン25が取付けられる給油口ボックス30の係合ピン取付部35を有している。
給油口ボックス30のアーム収納部37の係合ピン取付部35に近接して、バネ取付部36が形成されている。給油口ボックス30のバネ取付部36は、後述する開閉バネ40の開閉バネボックス取付部42が取付けられる。バネ取付部36は、アーム収納部37の壁が屈曲して凹部を形成することにより形成することができる。
【0046】
次に、給油口ボックス30と取付アーム部材20に取付けられる開閉バネ40について
図5~
図7に基づき説明する。
開閉バネ40は、
図5に示すように、全体形状が略Z字状又は己字状に屈曲して形成されている。
【0047】
開閉バネ40は、給油口ボックス30に取付アーム部材20を付勢するように取付けられる。開閉バネ40は、
図5に示すように、給油口ボックス30のバネ取付部36に保持される開閉バネボックス取付部42と、取付アーム部材20のボックス取付腕係合部24に保持される開閉バネアーム取付部41と、開閉バネアーム取付部41と開閉バネボックス取付部42を接続する開閉バネ本体部43を有する。
【0048】
開閉バネアーム取付部41の先端から給油口ボックス30のアーム収納部37に当接する開閉バネボックス当接部44が延設されている。
開閉バネボックス当接部44は、
図6に示すように、開閉バネアーム取付部41の先端から開閉バネアーム取付部41と開閉バネ本体部43が形成する面の斜め下方(
図6における斜め左側下方)に延設されている。
【0049】
開閉バネ40は、
図5に示すように、1本の金属線状部材であるワイヤーで形成されている。このため、構造が簡単であり、一本の針金等の金属線状部材を折り曲げることにより容易に製造することができるとともに、構造がシンプルであり、他の部材を必要とせず、重量を軽減することができる。
【0050】
開閉バネ40は、本実施の形態では、全体形状が略己字状に屈曲して形成されている。上辺に相当する開閉バネアーム取付部41は、
図5に示すように、横方向に直線状に延設され形成されている。
また、同様に下辺に相当する開閉バネボックス取付部42は、
図5に示すように、横方向に直線状に延設され形成されている。
【0051】
そして、開閉バネアーム取付部41と開閉バネボックス取付部42を接続する開閉バネ本体部43は、横方向に直線状に延設されるとともに、開閉バネアーム取付部41側の先端は、U字状に湾曲して形成されて、開閉バネアーム取付部41の先端と接続され、開閉バネボックス取付部42側の先端は、U字状に湾曲して形成されて、開閉バネボックス取付部42の先端と接続されている。
【0052】
なお、開閉バネアーム取付部41と開閉バネボックス取付部42のそれぞれの先端を斜めに接続して全体形状がZ字状に形成することもできる。
図5に示すように、開閉バネアーム取付部41と開閉バネボックス取付部42が近接する方向や離れる方向(
図5に示す矢印Aの方向)に伸縮すると、
図7の矢印Cに示す方向に付勢力が生じる。
【0053】
また、上述のように、開閉バネボックス当接部44は、開閉バネアーム取付部41と開閉バネ本体部43が形成する面の斜め下方に延設されているため、
図6に示すように、開閉バネボックス当接部44は、開閉バネアーム取付部41との接続部を中心に、開閉バネアーム取付部41や開閉バネ本体部43に対して回転するように撓む。このため、
図7の矢印Dに示す方向に付勢力が生じる。
【0054】
なお、開閉バネボックス当接部44が延設された開閉バネアーム取付部41の先端と反対側の先端と開閉バネ本体部43との接続する付近を押さえるバネ押え突起27が形成されている。バネ押え突起27は、取付アーム部材20又は給油口ボックス30のいずれかに形成されている。バネ押え突起27は、開閉バネボックス当接部44が給油口ボックス30のアーム収納部37に当接して、取付アーム部材20を付勢するときに、反力で開閉バネ40が回転することを防止することができる。
【0055】
次に、
図1~
図8に基づき、開閉バネ40を取付アーム部材20と給油口ボックス30に取付けたときの開閉バネ40の働きについて説明する。
開閉バネ40は、
図3と
図4に示すように、開閉バネアーム取付部41が取付アーム部材20のバネ取付部26に取付けられて、開閉バネボックス取付部42は、給油口ボックス30のバネ取付部36に取付けられる。
【0056】
また、
図8に示すように、取付アーム部材20に、開閉バネ40の開閉バネアーム取付部41を保持する2個の取付アーム部材20のバネ取付部26と、一方のバネ取付部26を挟んで2個の取付アーム部材20のバネ押え凸部28を設けることもできる。この場合に、取付アーム部材20のバネ取付部26を1個設け、その両側に2個のバネ押え凸部28を設けることも、バネ取付部26を2個設け、その両側に3個のバネ押え凸部28を設けることもできる。
【0057】
これにより、取付アーム部材20のバネ取付部26とバネ押え凸部28により、開閉バネアーム取付部41を交互に挟持することができる。なお、取付アーム部材20のバネ取付部26は、開閉バネアーム取付部41を
図8における右側から挟持して、バネ押え凸部28は、
図8における左側から挟持する。
【0058】
このため、開閉バネ40の開閉バネアーム取付部41を取付アーム部材20のバネ取付部26とバネ押え凸部28により、
図8における左右方向、即ち、開閉バネ本体部43方向及びにその反対方向にがたつくのを防止して、開閉バネ40を安定して取付アーム部材20に保持することができる。
【0059】
さらに、取付アーム部材20のバネ取付部26は、開閉バネアーム取付部41を覆うように形成することができる。この場合は、バネ取付部26が開閉バネアーム取付部41の上面を覆い、下面は取付アーム部材20のボックス取付腕係合部24に密着し、バネ取付部26とバネ押え凸部28が左右方向を挟持するため、開閉バネアーム取付部41を横方向と上下方向の両方向で確実に安定して取付アーム部材20に保持することができる。
【0060】
この場合には、開閉バネ40の開閉バネアーム取付部41を取付アーム部材20に取付けるときは、取付アーム部材20のバネ取付部26は、開閉バネアーム取付部41を覆うように形成しているため開閉バネアーム取付部41を上から(
図8の紙面の上方から下方の方向)はめ込むことができず、開閉バネアーム取付部41の先端に開閉バネボックス当接部44が形成されているため、バネ取付部26とバネ押え凸部28の間を横から(
図8における上から下の方向)挿入することもできない。
【0061】
そのため、まず開閉バネ40の開閉バネボックス当接部44を倒して(
図8における左側に紙面と平行になる方向)、開閉バネアーム取付部41を
図8における上から挿入し、取付アーム部材20の上側のバネ取付部26と上側のバネ押え凸部28の間まで挿入する。
次に、開閉バネボックス当接部44を回転させて(
図8の紙面の上方に回転させる。)、上側のバネ押え凸部28の横を通り、上側のバネ押え凸部28と下側のバネ取付部26との間まで挿入する。
【0062】
さらに次に、開閉バネ40の開閉バネボックス当接部44を倒して(
図8における左側に紙面と平行になる方向)、開閉バネアーム取付部41を取付アーム部材20の下側のバネ取付部26と下側のバネ押え凸部28の間まで挿入する。
次に、開閉バネボックス当接部44を回転させて(
図8の紙面の上方に回転させる。)、下側のバネ押え凸部28の横を通り、開閉バネボックス当接部44が下側のバネ押え凸部28を通過するまで挿入する。
その後、開閉バネ40の開閉バネボックス当接部44を倒して(
図8における左側に紙面と平行になる方向)開閉バネアーム取付部41の取付けが完了する。
【0063】
給油口蓋10が閉じられたときは、開閉バネアーム取付部41と開閉バネボックス取付部42の間は縮むように開閉バネ本体部43が撓んで、
図3に示す矢印Eの方向に付勢されている。
開閉バネボックス当接部44は、給油口ボックス30のバネ取付部36に近接したアーム収納部37に当接して、
図4に示す矢印Fの方向に付勢されている。
【0064】
開閉バネ40が取付アーム部材20と給油口ボックス30に取付けられて、給油口蓋10が閉じられたときは、
図1の点線で示すように、取付アーム部材20の蓋ロック部22を給油口ボックス30のロックピン32がロックしている。
給油時等において、給油口蓋10を開けるときは、ロックピン32を解除する。そうすると
図4に示すように、開閉バネボックス当接部44が付勢力を働かせて、取付アーム部材20を若干回動させる。
【0065】
そのため、
図1に示すように、給油口蓋10の先端は、車体2の面から若干浮き上がることができる。その後、先端が浮き上がった給油口蓋10の先端を手で持ち上げて、給油口蓋10を完全に開くことができる。この時、バネ押え突起27が開閉バネ40の回転を防止して、確実に給油口蓋10の先端を浮き上がらせることができる。
【0066】
給油口蓋10が完全に開くと、取付アーム部材20のボックス取付腕23は、
図3に示す2点鎖線で記載した位置に回動する。そうすると、開閉バネアーム取付部41と開閉バネボックス取付部42の間が圧縮して取付けられていた開閉バネ40が開いて、ボックス取付腕23の回動を防止して、給油中に給油口蓋10が自重により、閉じられるのを防止することができる。
なお、給油口蓋10を閉じるときは、開閉バネ40の付勢力に抗して、給油口蓋10を手で閉じることができる。
【0067】
このように、開閉バネ40の開閉バネボックス当接部44は、開閉バネアーム取付部41から屈曲して形成され、開閉バネアーム取付部41と開閉バネボックス取付部42の間の伸縮による付勢力と、開閉バネボックス当接部44の撓みによる付勢力とは、開閉バネ40の別の部分で生じる。
【0068】
このため、取付アーム部材20や給油口ボックス30の形状が変化しても、開閉バネボックス当接部44の角度や寸法を調整と、開閉バネアーム取付部41、開閉バネ本体部43と開閉バネボックス取付部42の寸法の調整とは別々に行うことができ、取付アーム部材20や給油口ボックス30の形状の変化に対して調整して、容易に開閉バネ40を取付けることができる。
【符号の説明】
【0069】
10 給油口蓋
20 取付アーム部材
23 ボックス取付腕
26 バネ取付部
30 給油口ボックス
31 給油口ボックス本体
34 アーム収納部
36 バネ取付部
40 開閉バネ
41 開閉バネアーム取付部
42 開閉バネボックス取付部
44 開閉バネボックス当接部