(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】チャッキダンパー
(51)【国際特許分類】
F24F 13/14 20060101AFI20220426BHJP
F24F 13/15 20060101ALI20220426BHJP
【FI】
F24F13/14 E
F24F13/15 E
(21)【出願番号】P 2018015342
(22)【出願日】2018-01-31
【審査請求日】2020-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】390004879
【氏名又は名称】三菱マテリアルテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】落合 雅直
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 実
(72)【発明者】
【氏名】土館 英明
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-205341(JP,U)
【文献】特開平10-288393(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0178257(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1773967(KR,B1)
【文献】特開2000-337695(JP,A)
【文献】特開平06-241551(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0265806(US,A1)
【文献】実公昭59-006193(JP,Y2)
【文献】実開昭56-068834(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第106066084(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/14
F24F 13/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流通路の一方側から他方側に向かう気流の流通を可能とし、前記流通路の他方側から一方側に向かう気流の流通を抑止するチャッキダンパーであって、
流通路を画成する枠部材と、
前記枠部材における前記流通路をはさんで対向する部位の間に形成される複数の軸線と、
前記流通路に配置されて前記流通路における中央側が前記軸線回りの前記一方側から前記他方側に向かう第1回動方向に回動可能とされるとともに、協働して前記流通路を閉塞可能に構成された複数のダンパー部材と、
前記対向する部位に配置され前記軸線方向における両側で前記ダンパー部材を前記軸線回りに回動可能に支持する回動支持部材と、
を備え、
前記回動支持部材は、前記対向する部位の少なくともいずれか一方に付勢部材を備え、
前記回動支持部材は、前記付勢部材が前記流通路をはさんで対向する部位の双方に配置され、
前記ダンパー部材の一方の端部には、バランスウェイトが形成され、
前記付勢部材は、前記ダンパー部材が前記第1回動方向に回動するにしたがって前記第1回動方向と逆向きの第2回動方向の付勢力を付与するように構成されていることを特徴とするチャッキダンパー。
【請求項2】
請求項
1に記載のチャッキダンパーであって、
前記流通路内の中央部に配置されて前記一方側から前記他方側に向かう気流を前記流通路の外方側に移動させるバッフルプレートを備えることを特徴とするチャッキダンパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡単な構造で小型化することができ、流通路における気流を安定して流通させることが可能なチャッキダンパーに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、空調装置等においてダクトに接続され、あるいはファンに隣接配置されたチャッキダンパーが広く用いられている。
チャッキダンパーは、流通路の一方側から他方側に向かう気流の流通を可能とし、流通路の他方側から一方側に向かう気流の流通を抑止することを可能としている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このようなチャッキダンパーとして、
図7、
図8に示すような構成されたものが知られている。
図7は第1従来例に係るチャッキダンパーの概略構成の一例を説明する概念図であり、
図8は第2従来例に係るチャッキダンパーの概略構成の一例を説明する概念図である。
【0004】
第1従来例に係るチャッキダンパー200は、
図7に示すように、例えば、枠部材210と、枠部材210に形成された流通路210Hに配置されたバッフルプレート220と、流通路210Hに配置され軸線周りに回動するダンパー部材230、240とを備えている。
そして、チャッキダンパー200の一方側Fに配置された送風ファン260で気流を発生させて、この気流によりがダンパー部材230、240を矢印T21方向に回動させて流路を確保することで、流通路210Hを一方側Fから他方側Rに向かって気流を流通させるようになっている。
【0005】
また、第2従来例に係るチャッキダンパー300は、
図8に示すように、例えば、枠部材310と、枠部材310に形成された流通路310Hに配置され軸線周りに回動するダンパー部材320、330と、レバー式重錘340と、ストッパ311とを備えている。
【0006】
そして、チャッキダンパー300は、流通路310Hに気流がある場合は、ダンパー部材320、330が気流によって矢印T1方向に回動して流通路310Hが開放されて、流通路310H内を一方側Fから他方側Rに向かって気流W3が流通するようになっている。
【0007】
また、流通路310Hに気流がない場合は、ダンパー部材320はレバー式重錘340の荷重によって矢印T2方向に回動して原位置に復帰することでストッパ311と当接し、ダンパー部材330は自重によって矢印T2方向に回動してストッパ311と当接する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、第1従来例に係るチャッキダンパー200は、気流が流通路210Hを通過する際に、ダンパー部材230、240によって流通路210H内を下側に偏って移動させられてしまい、気流を流通路210H内において安定して直進させることが困難である。
【0010】
また、第2従来例に係るチャッキダンパー300は、ダンパー部材330を原位置に復元するために大型のレバー式重錘340を設ける必要があり、チャッキダンパー300が大型化してしまうという問題がある。
【0011】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、簡単な構造で小型化することができ、流通路において気流を安定して流通させることが可能なチャッキダンパーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に記載の発明は、流通路の一方側から他方側に向かう気流の流通を可能とし、前記流通路の他方側から一方側に向かう気流の流通を抑止するチャッキダンパーであって、流通路を画成する枠部材と、前記枠部材における前記流通路をはさんで対向する部位の間に形成される複数の軸線と、前記流通路に配置されて前記流通路における中央側が前記軸線回りの前記一方側から前記他方側に向かう第1回動方向に回動可能とされるとともに、協働して前記流通路を閉塞可能に構成された複数のダンパー部材と、前記対向する部位に配置され前記軸線方向における両側で前記ダンパー部材を前記軸線回りに回動可能に支持する回動支持部材と、を備え、前記回動支持部材は、前記対向する部位の少なくともいずれか一方に付勢部材を備え、前記回動支持部材は、前記付勢部材が前記流通路をはさんで対向する部位の双方に配置され、前記ダンパー部材の一方の端部には、バランスウェイトが形成され、前記付勢部材は、前記ダンパー部材が前記第1回動方向に回動するにしたがって前記第1回動方向と逆向きの第2回動方向の付勢力を付与するように構成されていることを特徴とする。
【0013】
この発明に係るチャッキダンパーによれば、流通路に配置されて流通路における中央側が軸線回りの一方側から他方側に向かう第1回動方向に回動可能とされるとともに、協働して流通路を閉塞可能に構成された複数のダンパー部材を備えているので、流通路内における気流を、流通路のダンパー部材に対して対称となる中央寄りに誘導することができる。したがって、流通路内を通過する気流が低風量の場合でも、気流を中央に対称に流通させることができる。
また、枠部材において対向する部位に配置され軸線方向における両側でダンパー部材を軸線回りに回動可能に支持する回動支持部材とを備え、回動支持部が対向する部位の少なくともいずれか一方に付勢部材を備え、付勢部材がダンパー部材が第1回動方向に回動するにしたがって第1回動方向と逆向きの第2回動方向の付勢力を付与するように構成されているので、レバー式重錘等の大掛かりな構成を備える必要がない。
その結果、簡単な構造で小型化することができ、流通路において気流を安定して流通させることができる。
また、この発明に係るチャッキダンパーによれば、回動支持部材は、付勢部材が流通路をはさんで対向する部位の双方に配置されているので、流通路をはさんで対向する間隔が大きい場合であっても、ダンパー部材を安定して回動させることができる。
【0016】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のチャッキダンパーであって、前記流通路内の中央部に配置されて前記一方側から前記他方側に向かう気流を前記流通路の外方側に移動させるバッフルプレートを備えることを特徴とする。
【0017】
この発明に係るチャッキダンパーによれば、流通路内の中央部に配置されるバッフルプレートを備えているので、流通路内における気流の偏りを小さくして、低風量の場合であっても流通路を流れる気流の直進性を向上することができる。
その結果、例えば、気流が送風ファン等によって発生され中央部に渦が形成されている場合であっても、下流側において気流を平行な流れに近づけることが可能となり気流を安定させることができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明に係るチャッキダンパーによれば、簡単な構造で小型化することができ、流通路において気流を安定して流通させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係るチャッキダンパーを適用した空調装置の概略構成の一例を説明する概念図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るチャッキダンパーの概略構成を説明する図であり、(A)は流通路に沿って見た概略構成図であり、(B)は側面から見た概念図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るチャッキダンパーの概略構成を説明する図であり、(A)はダンパー部材を側面から見た概略構成図であり、(B)はダンパー部材及び回動支持部材を側面から見た概略構成図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るチャッキダンパーの回動支持部材の概略構成を説明する図であり、(A)は(B)に矢視IVA‐IVAで示す縦断面図を示しており、(B)は回動支持部材をダンパー部材側から軸線に沿って見たときの概略構成図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るチャッキダンパーの回動支持部材の調整方法の概略を説明する概念図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るチャッキダンパーの作用の概略を説明する概念図である。
【
図7】第1従来例に係るチャッキダンパーの概略構成の一例を説明する概念図である。
【
図8】第2従来例に係るチャッキダンパーの概略構成の一例を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、
図1~
図6を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るチャッキダンパーを適用した空調装置の概略構成の一例を説明する概念図である。また、
図2は一実施形態に係るチャッキダンパーの概略構成を説明する図であり、
図2(A)は流通路に沿って見た概略構成図であり、
図2(B)は側面から見た概念図である。図において、符号10は空調装置を、符号100はチャッキダンパーを、符号110は枠部材を、符号110Hは流通路を、符号120は点検パネル(バッフルプレート)を、符号130、140はダンパー部材を、符号150は回動支持部材を示している。
【0021】
空調装置10は、
図1に示すように、例えば、チャッキダンパー100と、送風ファン160とを備え、サーバーが配置されるサーバールームの壁部に形成された開口部に配置されるようになっている。
送風ファン160は、例えば、モータ(不図示)と、モータによって回転されるファン(不図示)とを備え、モータによりファンを回転させることによって気流を発生するようになっている。
【0022】
そして、チャッキダンパー100は、送風ファン160が発生させた気流を流通路の一方側Fから他方側R(サーバールームの外方から内方)に向かって流通させるとともに、他方側Rから一方側F(サーバールームの内方から外方)に向かう気流を抑止してサーバールームの内部を空気調和するように構成されている。
【0023】
チャッキダンパー100は、
図1、2に示すように、枠部材110と、枠部材110により画成される流通路110Hと、流通路110Hをはさんで枠部材110の対向する部位の間に形成される2本(複数)の軸線J1、J2と、点検パネル(バッフルプレート)120と、軸線J1、J2周りに回動可能とされた2つ(複数)のダンパー部材130、140と、軸線J1、J2方向における両側でダンパー部材130及びダンパー部材140を支持する4つの回動支持部材150とを備えている。
【0024】
また、チャッキダンパー100は、流通路110Hの寸法が、例えば、幅(左右方向寸法)740mm、高さ(上下方向寸法)1090mm、厚さ(流通路110Hに沿った方向の寸法)100mmに設定されている。
【0025】
枠部材110は、
図1に示すように、一方側Fから他方側Rに延在し流通路110Hを画成する枠部材本体111と、枠部材本体111の一方側Fの端部に接続され枠部材本体111から外方に向かって延在するフランジ部111Fと、枠部材本体111の他方側Rの端部に接続され枠部材本体111から外方に向かって延在するフランジ部111Rと、上部ストッパ112と、下部ストッパ113と、枠部材本体111の左右の縦壁部に形成され回動支持部材50を取付ける取付け穴114と、取手115と、だるま穴116とを備えている。
【0026】
枠部材本体111は、一方側Fから他方側Rに沿って見たときに(以下、流通路に沿って見たときに、という)矩形形状に形成されている。
枠部材本体111は、この実施形態において、例えば、上下方向の寸法が横(幅)方向の寸法よりも長く設定されている。
また、枠部材本体111の左右に位置される縦壁部は、同じ高さに位置され互いに対向する部位に流通路110Hを挟んで軸線J1、J2が形成されるように構成されている。
【0027】
上部ストッパ112は、枠部材本体111の上側に位置する上側壁部の下面(内面)の一方側Fと他方側Rの中央近傍において上側壁部に沿って形成されるとともに、流通路110Hの内方側(下側)に向かって立設されている。
【0028】
下部ストッパ113は、枠部材本体111の下側に位置する下側壁部の上面(内面)の一方側Fと他方側Rの中央近傍において下側壁部に沿って形成されるとともに、流通路110Hの内方側(上側)に向かって立設されている。
【0029】
取付け穴114は、例えば、枠部材本体111の左右の縦壁部に軸線J1、J2と対応してそれぞれ2か所ずつ形成されている。
また、それぞれの取付け穴114は、この実施形態において、例えば、軸線J、J2を中心とする円周上に周方向に90°の間隔をあけて形成された4個のねじ穴を備えている。
【0030】
取手115は、例えば、丸棒をコの字形に曲げて形成され、フランジ部111Rの左右の縦壁部に沿って配置されていて、チャッキダンパー100及び枠部材110を効率的に取り扱い可能としている。
【0031】
だるま穴116は、例えば、フランジ部111Fの左右の縦壁部にそれぞれ1つ配置されていて、上側に位置される小径円形穴と下側に位置される大径円形穴の一部を互いに重ねることにより形成されている。
【0032】
そして、だるま穴116を備えていることにより、チャッキダンパー100を着脱する際に、サーバールームの壁部から突出させたスタッドボルトに仮置きすることが可能とされている。
その結果、チャッキダンパー100を、重筋作業が生じるのを抑制しつつ短時間で効率的に着脱することができるようになっている。
【0033】
点検パネル(バッフルプレート)120は、流通路110Hの上下方向における中央部に配置されていて、例えば、流通路110Hの左右方向幅と略等しい寸法の矩形平板に形成され、流通路110Hには点検パネル120の上側と下側に上下方向寸法が等しい開口部が形成されるようになっている。
また、点検パネル120の上端と下端には、それぞれ他方側Rに屈曲する屈曲部が形成されている。
【0034】
また、点検パネル(バッフルプレート)120の上下方向寸法は、例えば、流通路110Hを流れる気流に渦が形成される範囲や、気流の進行方向が偏る範囲と対応させて設定することが好適である。
また、点検パネル(バッフルプレート)120は、例えば、ボルト(不図示)等の取付け部材によって枠部材110に着脱可能に取付けられている。
そして、点検パネル(バッフルプレート)120を取り外すことにより、送風ファン160のメンテナンスを効率的に行うことが可能とされている。
【0035】
次に、
図2、
図3を参照して、ダンパー部材の概略構成について説明する。
図3は、一実施形態に係るチャッキダンパーの概略構成を説明する図であり、
図3(A)はダンパー部材を側面から見た概略構成図であり、
図3(B)はダンパー部材及び回動支持部材を側面から見た概略構成図である。なお、
図3に示すダンパー部材140は、
図2で示すダンパー部材140とは上下方向における向きを反対に示している。
【0036】
ダンパー部材130及びダンパー部材140は、
図1、
図2に示すように、流通路110Hに配置され、協働して流通路110Hを閉塞可能に構成されている。
また、ダンパー部材130は、点検パネル(バッフルプレート)120より下側に配置され、ダンパー部材140は点検パネル(バッフルプレート)120より上側に配置されている。
【0037】
ダンパー部材130は、
図2に示すように、流通路に沿って見たときに、矩形平板状に形成されていて、流通路110Hの幅と対応するとともに、ストッパ113と点検パネル(バッフルプレート)120の下端の間に形成される開口部と対応する寸法に設定されている。
【0038】
また、ダンパー部材130は、
図3に示すように、ダンパー本体131と、カバー部材134と、バランスウェイト135と、回動軸136とを備えている。
ダンパー本体131は、軸線J1に対して流通路110Hの中央側(上側)に位置される第1領域部131Aと、軸線J1に対して流通路110Hの外方側(下側)に位置される第2領域部131Bとを備えていて、ダンパー本体131の軸線J1と対応する位置には半円状凹部が形成されている。
【0039】
カバー部材134は、半円状凹部を有していて、カバー部材134の半円状凹部をダンパー本体131の半円状凹部と向い合せて連結することにより円筒部131Hが形成されるようになっている。
【0040】
バランスウェイト135は、例えば、左右方向寸法が第2領域部131Bと同等に形成された板状の部材からなり、例えば、第2領域部131Bの一方側Fの面に貼着されている。
そして、ダンパー部材130が軸線J1周りのどの周方向位置にあっても、軸線J1回りの回動方向においてバランスが取れるようになっている。
【0041】
回動軸136は、円筒部131Hに挿入され固定されるとともに、両端面には略L字形とされた係合溝(不図示)が形成されて回動支持部材150に装着されるようになっている。
そして、ダンパー部材130の回動を回動支持部材150に伝達するとともに回動支持部材150で発生した付勢力をダンパー部材130に伝達、付与するように構成されている。
【0042】
また、ダンパー部材130は、第1領域部131Aの上端部に一方側Fに屈曲する屈曲部132が形成されていて、屈曲部132の先端132Eは点検パネル120の下端部の他方側Rと当接可能とされている。
【0043】
また、ダンパー部材130は、第2領域部131Bの下端部に他方側Rに屈曲する屈曲部133が形成されていて、屈曲部133の先端133Eはストッパ113の一方側Fと当接可能とされている。
【0044】
ダンパー部材140は、
図2に示すように、流通路に沿って見たときに、矩形平板状に形成されていて、流通路110Hの幅と対応するとともに、ストッパ112と点検パネル(バッフルプレート)120の上端の間に形成される開口部と対応する寸法に設定されている。
【0045】
また、ダンパー部材140は、
図3において( )内に示すように、ダンパー本体141と、カバー部材144と、バランスウェイト145と、回動軸146とを備えている。
ダンパー本体141は、軸線J2に対して流通路110Hの中央側(下側)に位置される第1領域部141Aと、軸線J2に対して流通路110Hの外方側(上側)に位置される第2領域部141Bとを備えていて、ダンパー本体141の軸線J2と対応する位置には半円状凹部が形成されている。
【0046】
カバー部材144は、半円状凹部を有していて、カバー部材144の半円状凹部をダンパー本体141の半円状凹部と向い合せて連結することにより円筒部141Hが形成されるようになっている。
【0047】
バランスウェイト145は、例えば、左右方向寸法が第2領域部141Bと同等に形成された板状の部材からなり、例えば、第2領域部141Bの一方側Fの面に貼着されている。
そして、ダンパー部材140が軸線J2周りのどの周方向位置にあっても、軸線J2回りの回動方向においてバランスが取れるようになっている。
【0048】
回動軸146は、円筒部141Hに挿入され固定されるとともに、両端面には略L字形とされた係合溝(不図示)が形成されて回動支持部材150に装着されるようになっている。
そして、ダンパー部材140の回動を回動支持部材150に伝達するとともに回動支持部材150で発生した付勢力をダンパー部材140に伝達、付与するように構成されている。
【0049】
また、ダンパー部材140は、第1領域部141Aの上端部に一方側Fに屈曲する屈曲部142が形成されていて、屈曲部142の先端142Eは点検パネル120の上端部の他方側Rと当接可能とされている。
【0050】
また、ダンパー部材140は、第2領域部141Bの下端部に他方側Rに屈曲する屈曲部143が形成されていて、屈曲部143の先端143Eはストッパ112の一方側Fと当接可能とされている。
【0051】
次に、
図4、
図5を参照して、回動支持部材について説明する。
図4は、回動支持部材の概略構成を説明する図であり、
図4(A)は
図4(B)に矢視IVA‐IVAで示す縦断面図を示しており、
図4(B)は回動支持部材をダンパー部材側から軸線に沿って見たときの概略構成図である。また、
図5は、回動支持部材の調整方法の概略を説明する概念図である。
【0052】
回動支持部材150は、軸線J1、J2と対応して枠部材本体111の縦壁部の互いに対向する位置(部位)に配置されている。
【0053】
そして、回動支持部材150は、ダンパー部材130を軸線J1の両側で支持するとともに、ダンパー部材130の軸線J1より上側(流通路110Hにおける中央寄り)に位置される第1領域部131Aが、一方側Fから他方側Rに向かって回動する第1回動方向T1と、第1回動方向T1に対して逆向きの第2回動方向T2に回動可能とされている。
【0054】
また、回動支持部材150は、ダンパー部材140を軸線J2の両側で支持するとともに、ダンパー部材140の軸線J2より下側(流通路110Hの中央寄り)に位置される第1領域部141Aが、一方側Fから他方側Rに向かって回動する第1回動方向T1と、第1回動方向T1に対して逆向きとされる第2回動方向T2に回動可能とされている。
【0055】
すなわち、回動支持部材150は、軸線J1、J2の両側で鏡対称の構造とされている。また、左右それぞれの縦壁部に配置される軸線J1の回動支持部材150と、軸線J2の回動支持部材150は、互いに鏡対称の構造とされている。そのほかの基本的構造については、同様に構成されている。
【0056】
回動支持部材150は、
図4に示すように、例えば、断面略ハット形状とされたハウジング151と、ぜんまいバネ(付勢部材)152とを備えている。
この実施形態において、ぜんまいバネ(付勢部材)152は、例えば、流通路110Hをはさんで対向する左右双方の部位に配置された構成とされている。
【0057】
ハウジング151は、
図4(A)に示すように、円板状フランジ151Fと、円板状フランジ151Fの内周側に形成された遊底円筒状の凹部151Uと、円板状フランジ151Fに形成され調整穴151Hとを備えている。
【0058】
ぜんまいバネ(付勢部材)152は、弾性の高い板材を渦巻状に巻回して構成されたぜんまいバネ本体152Sと、ぜんまいバネ本体152Sの内周側先端に位置される係合部152Lとを備えている。
また、ぜんまいバネ152は、この実施形態において、凹部151Uの中に収容されている。
【0059】
係合部152Lは、例えば、内方に向かって屈曲するL字形に形成されていて、ダンパー部材130、140を構成する回動軸136、136の両端面に形成された係合溝(不図示)が挿入されて、ダンパー部材130、140と回動支持部材150とを連結するようになっている。
【0060】
ぜんまいバネ本体152Sは、回動軸部材によって、
図4(B)、
図5における軸線J1(J2)の時計回りの第1回動方向T1に巻回されるとこで、第2回動方向T2の付勢力が生じる構成とされている。
そして、第1回動方向T1への回動を大きくするにしたがって、第2回動方向T2の付勢力が大きくなるように構成されている。
【0061】
調整穴151Hは、この実施形態において、円板状フランジ151Fの同一円周上に周方向に30°の間隔をあけて12個(複数)形成されている。
そして、回動支持部材150を枠部材本体111の縦壁部に取付ける際に、調整穴151Hを取付け穴114と対応させて、回動支持部材150とダンパー部材130、140との周方向位置を調整可能とされている。
【0062】
具体的には、回動支持部材150を取付ける際に、例えば、
図5に示すように、回動支持部材150を矢印S方向に回動させて、取付け穴114A、114B、114C、114Dに取付ける調整穴151Hを変えることにより、ぜんまいバネ(付勢部材)152の軸線J1、J2周りの周方向における位置が調整され、ダンパー部材130、140が第1回動方向T1に回動した際に生じる付勢力が調整されるように構成されている。
【0063】
なお、ぜんまいバネ(付勢部材)152を1個にするか2個にするかは、ダンパー部材130、140が安定して回動可能な範囲内において、例えば、ダンパー部材130、140の寸法、重量、バランスウエイトの設定等に基づいて、任意に設定することができる。
【0064】
次に、
図6を参照して、チャッキダンパーの作用の概略を説明する。
図6は、チャッキダンパーの作用の概略を説明する概念図である。
チャッキダンパー100は、送風ファン160が駆動されて気流W1を発生させると、気流W1の風力によってダンパー部材130、140が第1回動方向T1に回動される。
【0065】
そして、流通路110H内に点検パネル(バッフルプレート)を挟んで上側と下側に開口部が形成されて、流通路110Hの一方側Fから他方側Rに向かって気流W1が流通させる。
このとき、気流W1は流通路110Hの上下方向における中央寄りに移動されて、下流側でほぼ直進する。
【0066】
また、送風ファン160が停止されると、回動支持部材150に生じた付勢力によってダンパー部材130、140は第2回動方向T2方向に回動されて、ダンパー部材130及びダンパー部材140が、協働して流通路110H内に形成された開口部を閉塞する。
【0067】
一実施形態に係るチャッキダンパー100によれば、流通路110Hにおける気流W1を流通路110Hの上下方向における中央寄りに誘導し、流通路110H内を通過する気流W1が低風量の場合であっても、下流側において気流W1をほぼ直進させることができる。
【0068】
また、ダンパー部材130、140を回動支持部材150により支持されていて、ダンパー部材130、140が第1回動方向T1に回動するにしたがって、第1回動方向T1と逆向きの第2回動方向T2の付勢力を付与するように構成されているので、レバー式重錘等の大掛かりな構成が必要とされない。
その結果、簡単な構造で小型化することができ、流通路110Hにおいて気流W1を安定して流通させることができる。
【0069】
一実施形態に係るチャッキダンパー100によれば、点検プレート(バッフルプレート)120を備えているので、流通路110H内における気流W1の偏りを小さくして、低風量の場合であっても流通路110Hを流れる気流W1の直進性を向上することができる。
その結果、例えば、送風ファン160によって気流W1に渦が形成されている場合であっても、下流側において気流W1を平行な流れに近づけることが可能となり気流W1を安定させることができる。
【0070】
また、一実施形態に係るチャッキダンパー100によれば、ダンパー部材130、140が回動支持部材150の付勢力によって元の位置に復元されるので、ダンパー部材 130、140の軸線J1、J2を水平方向以外に設定してもよく、チャッキダンパー100を設置する際の対象を広げることができる。
【0071】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更をすることが可能である。
【0072】
例えば、上記実施形態においては、チャッキダンパー100を、送風ファン160とともに用いて空調装置10に適用する場合について説明したが、チャッキダンパー100の用途については任意に設定することが可能である。例えば、チャッキダンパー100をダクトの端部やダクトの途中に配置してもよいし、その他の任意の用途に適用してもよい。
【0073】
また、上記実施形態においては、チャッキダンパー100が、点検プレート(バッフルプレート)120を備えている場合について説明したが、点検プレート(バッフルプレート)120を備えるかどうかは任意に設定することができる。
また、点検プレート(バッフルプレート)120に代えて、点検に使用しないバッフルプレートを設けてもよい。
【0074】
また、上記実施形態においては、回動支持部材150がぜんまいバネ152を備えている場合について説明したが、ぜんまいバネ152以外の付勢部材を有する構成としてもよい。
【0075】
また、上記実施形態においては、流通路110Hにそれぞれ一つのダンパー部材130及びダンパー部材140が配置される場合について説明したが、ダンパー部材の数については任意に設定することが可能であり、例えば、流通路110Hの中央より上側と下側に、それぞれ2つ以上の複数のダンパー部材を備えた構成してもよい。
【0076】
また、上記実施形態においては、回動支持部材150が、流通路110Hをはさんで対向する左右双方の部位にぜんまいバネ(付勢部材)152が配置されている場合について説明したが、流通路110Hをはさんで対向する部位のいずれか一方にぜんまいバネ(付勢部材)152が配置される構成としてもよい。
【0077】
また、上記実施形態においては、流通路110Hの上側と下側にダンパー部材130、140を配置する場合について説明したが、例えば、回動軸を鉛直方向に配置してもよいし、鉛直方向及び水平方向の双方と交差する方向に軸線を配置することも可能である。
【0078】
また、上記実施形態においては、流通路に沿って見たときに、流通路110Hが矩形に形成されている場合について説明したが、流通路の形状については任意に設定することが可能であり、例えば、多角形や円形に形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
この発明に係るチャッキダンパーによれば、簡単な構造で小型化することができ、流通路における気流を安定して流通させることができるので産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0080】
F 一方側
R 他方側
J1、J2 軸線
10 空調装置
100 チャッキダンパー
110 枠部材
110H 流通路
111 枠部材本体
111F、111R フランジ部
112 上部ストッパ
113 下部ストッパ
114 取付け穴
115 取手
116 だるま穴
120 点検パネル(バッフルプレート)
130、140 ダンパー部材
136、146 回動軸
150 回動支持部材
152 ぜんまいバネ(付勢部材)
152S ぜんまいバネ本体(付勢部材)
160 送風ファン