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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 45/10 20180101AFI20220426BHJP
   F21V 31/00 20060101ALI20220426BHJP
   H01R 13/187 20060101ALI20220426BHJP
   F21S 41/00 20180101ALI20220426BHJP
   F21W 105/00 20180101ALN20220426BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20220426BHJP
   F21W 103/55 20180101ALN20220426BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20220426BHJP
   F21W 102/00 20180101ALN20220426BHJP
【FI】
F21S45/10
F21V31/00 100
H01R13/187 B
F21S41/00
F21W105:00
F21W103:10
F21W103:55
F21W103:20
F21W102:00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018019151
(22)【出願日】2018-02-06
(65)【公開番号】P2019139842
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】山本 操
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-213002(JP,A)
【文献】実開昭62-031313(JP,U)
【文献】特開平11-345505(JP,A)
【文献】特開2009-136108(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/00
F21S 45/10
F21V 31/00
H01R 13/187
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1アセンブリと、
前記第1アセンブリに取り外し可能に結合されて前記第1アセンブリとの間に灯室を形成する第2アセンブリと、を備え、
前記第1アセンブリは、前記灯室に配置される相手コネクタと、前記相手コネクタから延びるケーブルとを有するワイヤハーネスと、前記相手コネクタを着脱可能に支持するコネクタ支持部とを備え、
前記第2アセンブリは、前記灯室に配置され前記相手コネクタに電気接続される待ち受けコネクタを備え、
前記ケーブルは、伸縮可能となるように成形され前記灯室に配置された伸縮可能区間を有し、
前記第2アセンブリが前記第1アセンブリから取り外されるとき、前記ケーブルの前記伸縮可能区間の伸長により、前記相手コネクタが、前記待ち受けコネクタと結合された状態で前記コネクタ支持部から離脱可能であることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記ケーブルは、前記伸縮可能区間においてコイル状または蛇腹状に湾曲していることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記コネクタ支持部は、前記ケーブルの前記伸縮可能区間を収容する収容室を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
第1アセンブリと、
前記第1アセンブリに取り外し可能に結合されて前記第1アセンブリとの間に灯室を形成する第2アセンブリと、を備え、
前記第1アセンブリは、前記灯室に配置される相手コネクタと、前記相手コネクタから延びるケーブルとを有するワイヤハーネスを備え、
前記第2アセンブリは、前記灯室に配置され前記相手コネクタに電気接続される待ち受けコネクタを備え、
前記ケーブルは、伸縮可能となるように成形され前記灯室に配置された伸縮可能区間を有し、
前記第1アセンブリは、前記ケーブルの前記伸縮可能区間を支持するケーブル支持部を備え
前記第2アセンブリが前記第1アセンブリから取り外されるとき、前記ケーブルの前記伸縮可能区間の伸長により、前記相手コネクタが前記待ち受けコネクタと結合された状態を可能とすることを特徴とする車両用灯具。
【請求項5】
前記ケーブル支持部は、前記ケーブルの前記伸縮可能区間を巻き付けて支持することを特徴とする請求項4に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記灯室の気密性を保持しかつ前記第2アセンブリを前記第1アセンブリから取り外し可能とするように前記第1アセンブリと前記第2アセンブリとの結合部に装着されたゲル状シール材を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具、例えば、自動車などの車両に用いられる車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、ランプハウジングとカバーとで灯室を形成する車両用灯具が開示されている。ランプハウジングには、主光源を有するランプユニットが搭載され、カバーには、別の光源を有する結合体が搭載されている。ランプハウジングに支持されたコネクタが結合体の結合部に結合され、外部電源から結合体への給電が可能となる。この構成では、ランプハウジングへのカバーの組み付けと同時にコネクタを結合体の結合部に結合することができる。コネクタまたは結合体が傾動自在に支持されているため、組付作業が容易となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-120734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、灯室内で電気接続にコネクタを用いる車両用灯具について鋭意研究を重ねた結果、作業性などの観点から、改善の余地があることを認識するに至った。車両用灯具においては通例、上述のランプハウジングとカバーのように、内部に灯室を形成するように2つのアセンブリが組み付けられる。組み付け後に再び取り外すことが可能であれば、点検や修理、部品交換などメンテナンス作業が容易となり、都合がよい。ところが、組み付けられた状態ではコネクタは灯室の中に収められているから作業者の手が届かず、取り外し前に予めコネクタ結合を解除し難い。上述のコネクタまたは結合体は傾動できるが、その支持された位置から大きく変位させることはできない。したがって、コネクタが結合されたままでは、ランプハウジングからカバーを取り外すことが容易でない。
【0005】
ひとつの解決策として、コネクタから延びるケーブルに余長を与えることが考えられる。作業者はコネクタが結合されたままの状態でケーブル余長の分だけ2つのアセンブリを離し、2つのアセンブリの間から手を入れてコネクタの結合を解除し、2つのアセンブリを分離できる。しかし、メンテナンス作業後に再び組み付ける際には、2つのアセンブリの結合部にケーブル余長が噛み込まれるおそれがある等、ケーブル余長は組み付け作業の邪魔になりうる。また、車両走行中にケーブルが振動しやすくなり、異音の原因ともなりうる。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両用灯具において灯室を形成する2つのアセンブリの取り外しと組み付けの両方の場面で作業性を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の車両用灯具は、第1アセンブリと、第1アセンブリに取り外し可能に結合されて第1アセンブリとの間に灯室を形成する第2アセンブリと、を備える。第1アセンブリは、灯室に配置される相手コネクタと、相手コネクタから延びるケーブルとを有するワイヤハーネスを備える。第2アセンブリは、灯室に配置され相手コネクタに電気接続される待ち受けコネクタを備える。ケーブルは、伸縮可能となるように成形され灯室に配置された伸縮可能区間を有する。
【0008】
この態様によると、2つのアセンブリを分離するときには、2つのコネクタが結合されたままの状態で、ケーブルの伸縮可能区間を伸長させることができる。そのため、作業者または自動組立機は、2つのアセンブリを引き離し、2つのアセンブリの間からコネクタを操作してコネクタ結合を解除し、2つのアセンブリを分離できる。また、2つのアセンブリを組み付けるときには、2つのアセンブリが離れた状態でケーブルを伸ばしてコネクタを予め結合することができる。2つのアセンブリを近づけるにつれてケーブルの伸縮可能区間は伸びる前のもとの形状へと自然に縮むことができ、ケーブルの噛み込みなどの不都合は起こりにくい。よって、2つのアセンブリの取り外しと組み付けの両方の場面で作業性を向上することができる。
【0009】
ケーブルは、伸縮可能区間においてコイル状または蛇腹状に湾曲していてもよい。
【0010】
第1アセンブリは、相手コネクタを着脱可能に支持するコネクタ支持部を備えてもよい。
【0011】
コネクタ支持部は、ケーブルの伸縮可能区間を収容する収容室を形成してもよい。
【0012】
第1アセンブリは、ケーブルの伸縮可能区間を支持するケーブル支持部を備えてもよい。
【0013】
車両用灯具は、灯室の気密性を保持しかつ第2アセンブリを第1アセンブリから取り外し可能とするように第1アセンブリと第2アセンブリとの結合部に装着されたゲル状シール材を備えてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、車両用灯具において灯室を形成する2つのアセンブリの取り外しと組み付けの両方の場面で作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態に係る車両用灯具の概略構造を模式的に示す鉛直断面図である。
図2】実施の形態に係る相手コネクタの支持構造を示す概略斜視図である。
図3】実施の形態に係る相手コネクタの支持構造を示す概略斜視図である。
図4】実施の形態に係る車両用灯具における2つのアセンブリの取り外しと組み付けの作業を説明するための概略図である。
図5】実施の形態に係る車両用灯具における2つのアセンブリの取り外しと組み付けの作業を説明するための概略図である。
図6】実施の形態に係る相手コネクタおよびその周辺構造の例示的な他の構成を示す概略図である。
図7】実施の形態に係る相手コネクタおよびその周辺構造の例示的な他の構成を示す概略図である。
図8図8(a)および図8(b)は、実施の形態に係る相手コネクタおよびその周辺構造の例示的な他の構成を示す概略図である。
図9】実施の形態に係る相手コネクタおよびその周辺構造の例示的な他の構成を示す概略図である。
図10】実施の形態に係る相手コネクタおよびその周辺構造の例示的な他の構成を示す概略図である。
図11図11(a)および図11(b)は、実施の形態に係る相手コネクタおよびその周辺構造の例示的な他の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に用いられる「第1」、「第2」等の用語は、いかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。
【0017】
図1は、実施の形態に係る車両用灯具10の概略構造を模式的に示す鉛直断面図である。本実施の形態において説明する車両用灯具10は、車両前方の左右に配置される一対の前照灯ユニットを有する車両用前照灯装置である。一対の前照灯ユニットは実質的に同一の構成であるため、図1には車両用灯具10として左右いずれか一方側に配置される前照灯ユニットの構造を示す。
【0018】
車両用灯具10は、前方に開口された凹部を有するランプボディ12と、ランプボディ12の開口を閉塞する透光性の前面カバー14とを備えている。ランプボディ12と前面カバー14とによって灯具筐体16が構成されている。灯具筐体16の内部空間は、灯室18として形成されている。ランプボディ12は、車体に取付可能に構成されている。前面カバー14は、ランプボディ12に取り外し可能に取り付けられ、ランプボディ12を介して車体に取り付けられる。
【0019】
ランプボディ12には、第1ランプユニット20が搭載されている。第1ランプユニット20は、例えば、主光源22とリフレクタ24を有している。前面カバー14には、エクステンション26が搭載されている。主光源22、リフレクタ24、およびエクステンション26は、車両用灯具10を前照灯として機能させるための構成要素として灯室18に配置されている。
【0020】
前面カバー14には、第2ランプユニット28が搭載されている。第2ランプユニット28は、例えば、光源部30と導光体32を有している。光源部30は、導光体32に光を出射する光源34と、光源34を駆動するための電子部品36とが搭載された基板38を有する。第2ランプユニット28は、クリアランスランプ、デイタイムランニングランプ、フロントターンシグナルランプなどの標識灯として機能するように構成されている。
【0021】
車両用灯具10は、灯室18の気密性を保持しかつ前面カバー14をランプボディ12から取り外し可能とするようにランプボディ12と前面カバー14との結合部40に装着されたゲル状シール材42を備える。ランプボディ12の外周部には灯室18を囲むようにシール溝12aが形成され、前面カバー14の外周部には灯室18を囲むようにシール足14aが形成されている。ゲル状シール材42は、シール溝12aに充填されている。シール溝12aとシール足14aとでゲル状シール材42を挟み込むようにしてシール溝12aにシール足14aが挿入され、前面カバー14がランプボディ12に固定される。
【0022】
室温および車両用灯具10の使用温度域ではゲル状シール材42は硬化し、前面カバー14はランプボディ12に接着される。メンテナンス作業に際し、例えばドライヤーそのほかの加熱器具で結合部40をいくらか昇温することにより、ゲル状シール材42は軟化する。よって、前面カバー14をランプボディ12から取り外すことができる。このようなゲル状シール材42それ自体は、公知の種々のシール材を採用可能であり、ここでは詳述しない。
【0023】
ランプボディ12は、第1ランプユニット20および第2ランプユニット28への給電経路となるワイヤハーネス44を備える。ワイヤハーネス44は、灯室18に配置される相手コネクタ46と、相手コネクタ46から延びるケーブル48と、灯室18の外に配置される車体側コネクタ50とを備える。すなわち、ケーブル48は、一端が相手コネクタ46に接続され、ランプボディ12を貫通して、他端が車体側コネクタ50に接続されている。また、ワイヤハーネス44は、一端が主光源22に接続され、ケーブル48とともにランプボディ12を貫通して、他端が車体側コネクタ50に接続された別のケーブル52を有する。車体側コネクタ50は、車載バッテリなどの外部電源、または外部電源に車両用灯具10を接続するための別のワイヤハーネスに接続可能である。
【0024】
ケーブル48は、灯室18に配置された伸縮可能区間48aを有する。ケーブル48の伸縮可能区間48aは、伸縮可能となるように予め成形されている。一例として、ケーブル48は、伸縮可能区間48aにおいてコイル状に湾曲している。伸縮可能区間48aは、ケーブル48のうち相手コネクタ46に近い一部分、例えば、相手コネクタ46から延び相手コネクタ46に最も近い部分に設けられている。ケーブル48のうち残りの部分は、一般的なケーブルと同様に、伸縮しない伸縮不能区間48bとされている。伸縮不能区間48bは、ランプボディ12の内面そのほか周囲の部材に固定的に支持されていてもよい。
【0025】
なお、ワイヤハーネス44の別のケーブル52は、伸縮可能区間を有しない。別のケーブル52は、例えば、ランプボディ12の内面そのほか周囲の部材に固定的に支持され、伸縮不能とされていてもよい。
【0026】
また、ランプボディ12は、相手コネクタ46を着脱可能に支持するコネクタ支持部54を備える。コネクタ支持部54は、ケーブル48の伸縮可能区間48aを収容する収容室56を形成する。
【0027】
前面カバー14は、灯室18に配置され相手コネクタ46に電気接続される待ち受けコネクタ58を備える。待ち受けコネクタ58は、第2ランプユニット28の一部を構成する。基板38の前面には光源34と電子部品36が搭載され、待ち受けコネクタ58は、基板38の背面に設置されている。一例として、相手コネクタ46がメスコネクタとされ、待ち受けコネクタ58がオスコネクタとされるが、これに限られない。
【0028】
待ち受けコネクタ58は、前面カバー14がランプボディ12に組み付けられた状態で、相手コネクタ46およびコネクタ支持部54の正面に位置するように配置されている。よって、ランプボディ12と前面カバー14が結合されているとき、相手コネクタ46と待ち受けコネクタ58との接続を保ちつつ、相手コネクタ46をコネクタ支持部54によって支持することができる。
【0029】
相手コネクタ46を待ち受けコネクタ58と結合することにより、外部電源からワイヤハーネス44を通じて第2ランプユニット28に給電することができる。また、ワイヤハーネス44を通じて第1ランプユニット20にも給電される。
【0030】
このようにして、灯室18は、ランプボディ12を含む第1アセンブリと前面カバー14を含む第2アセンブリとの間に形成されている。また第1アセンブリは第1ランプユニット20とワイヤハーネス44とを含み、第2アセンブリは第2ランプユニット28を含む。第1アセンブリはボディアセンブリとも呼ばれ、第2アセンブリはレンズアセンブリとも呼ばれる。第2アセンブリは、第1アセンブリに取り外し可能に結合される。
【0031】
図2および図3は、実施の形態に係る相手コネクタ46の支持構造を示す概略斜視図である。図2に示されるように、相手コネクタ46は、一例として、略直方体の形状を有し、その前面に端子部が設けられ、背面にケーブル48の伸縮可能区間48aが接続されている。コネクタ支持部54は、一例として、相手コネクタ46の側面を取り囲むようにランプボディ12から突出して形成された角筒状または箱状のリブであり、このリブの内部がケーブル48の伸縮可能区間48aを収容する収容室56として利用される。ただし、コネクタ支持部54は、ケーブル48を引き出すためのケーブル逃がし溝60を有する。このように、コネクタ支持部54は、相手コネクタ46の側面を完全に取り囲む必要はない。
【0032】
コネクタ支持部54は、相手コネクタ46と係合して相手コネクタ46を支持する任意の形状を有してもよく、例えば、相手コネクタ46が円柱状の形状を有する場合には、コネクタ支持部54は対応して円筒状のリブとして設けられてもよい。
【0033】
ケーブル48の伸縮可能区間48aは、コネクタ支持部54に接触して配置されてもよい。その場合、コネクタ支持部54は、ケーブル48の伸縮可能区間48aを支持するケーブル支持部を兼ねていると言える。
【0034】
図3に示されるように、相手コネクタ46は、コネクタ支持部54から引き出すことができる。相手コネクタ46がコネクタ支持部54から引き出されるとき、ケーブル48の伸縮可能区間48aは、初期形状、すなわちコイル状の湾曲形状から引き伸ばされる。伸ばされた状態から伸縮可能区間48aが初期形状へと縮むとき、図2に示されるように、相手コネクタ46はコネクタ支持部54に再び収まることができる。
【0035】
図4および図5は、実施の形態に係る車両用灯具10における2つのアセンブリの取り外しと組み付けの作業を説明するための概略図である。まず、図1に示されるように、第1アセンブリと第2アセンブリ、すなわちランプボディ12と前面カバー14は結合部40においてゲル状シール材42によって結合されている。それとともに、相手コネクタ46が待ち受けコネクタ58に結合され、前面カバー14の第2ランプユニット28がランプボディ12のワイヤハーネス44と接続されている。相手コネクタ46はランプボディ12のコネクタ支持部54に支持されている。
【0036】
作業者は、結合部40を加熱してゲル状シール材42を軟化させ、前面カバー14をランプボディ12から取り外すことができる。このとき、図4に示されるように、前面カバー14はランプボディ12から離れるが、ワイヤハーネス44は第2ランプユニット28にまだ接続されている。
【0037】
相手コネクタ46は待ち受けコネクタ58に結合されているから、前面カバー14がランプボディ12から離れる際に、相手コネクタ46は待ち受けコネクタ58によってコネクタ支持部54から離脱する。このように相手コネクタ46が前面カバー14に追従できるのは、ケーブル48が伸縮可能区間48aを有するからである。相手コネクタ46が待ち受けコネクタ58とともに移動されると、ケーブル48の伸縮可能区間48aが初期形状から直線的な形状へと引き伸ばされる。
【0038】
前面カバー14がランプボディ12から離間されると、作業者は、前面カバー14とランプボディ12の間から灯室18に手または工具を入れて、相手コネクタ46を待ち受けコネクタ58から取り外すことができる。こうして、第2ランプユニット28からワイヤハーネス44が取り外される。
【0039】
取り外された相手コネクタ46は、図5に示されるように、再びコネクタ支持部54に装着される。ケーブル48の伸縮可能区間48aは初期形状へと縮み、収容室56に再び収容される。伸縮可能区間48aは、いわばバネのように働く。伸縮可能区間48aが発生する復元力は、相手コネクタ46をコネクタ支持部54へと戻すことを容易にする。このようにして、前面カバー14がランプボディ12から完全に取り外される。
【0040】
前面カバー14をランプボディ12に再び組み付ける作業は、逆の手順で行うことができる。まず、図5に示されるように、前面カバー14がランプボディ12の近くに配置される。前面カバー14とランプボディ12が離れた状態で、相手コネクタ46がコネクタ支持部54から引き出され、待ち受けコネクタ58に接続される。このとき、図4に示されるように、ケーブル48の伸縮可能区間48aが初期形状から直線的な形状へと引き伸ばされる。この状態から、前面カバー14をランプボディ12に接近させ、ゲル状シール材42が充填されたランプボディ12のシール溝12aへと前面カバー14のシール足14aを挿入し、それにより、図1に示されるように、前面カバー14がランプボディ12に再び組み付けられる。このとき、前面カバー14がランプボディ12に近づくにつれてケーブル48の伸縮可能区間48aは初期形状へと自然に縮む。よって、結合部40へのケーブル48の噛み込みといった不都合は起こりにくい。
【0041】
これらの取り外し作業および組み付け作業は、作業者により人手で行われてもよいし、作業ロボットによって自動的に行われてもよい。
【0042】
以上説明したように、実施の形態に係る車両用灯具10によると、ワイヤハーネス44のケーブル48が、伸縮可能となるように成形されるとともに、灯室18に配置された伸縮可能区間48aを有している。これにより、前面カバー14とランプボディ12の取り外しと組み付けの両方の場面で作業性を向上することができる。
【0043】
2つのアセンブリの組み付けと同時にコネクタ接続もなされる従来典型的な構成では、個々のアセンブリに設置されたコネクタがそれぞれほぼ固定された配置をとる。こうした固定的なコネクタ配置は作業上の制約を与える。すなわち、コネクタ配置に適合する規定の角度方向から一方のアセンブリを他方のアセンブリへと接近させなければ、2つのアセンブリの組み付けと同時にコネクタ接続を正常に行い難い。
【0044】
しかし、実施の形態に係る車両用灯具10によると、ケーブル48が伸縮可能区間48aを有するので、相手コネクタ46をコネクタ支持部54から取り出して、待ち受けコネクタ58に接続したうえで、前面カバー14をランプボディ12に組み付けることができる。組み付けに際し2つのコネクタは既に結合されているから、従来構成のような作業上の制約がなくなるという利点も得られる。
【0045】
ケーブル48は、伸縮可能区間48aにおいてコイル状に湾曲している。このような湾曲形状をしたケーブル48は、製造が比較的容易であり、また入手しやすい。
【0046】
また、コネクタ支持部54は、相手コネクタ46を着脱可能に支持するように構成されている。前面カバー14をランプボディ12に組み付けた状態では、相手コネクタ46をコネクタ支持部54に保持することができる一方、前面カバー14をランプボディ12から取り外す際には、相手コネクタ46はコネクタ支持部54から離脱できる。その際、ケーブル48の伸縮可能区間48aが伸長するので、相手コネクタ46を待ち受けコネクタ58に追従させることができる。
【0047】
ケーブル48の伸縮可能区間48aは、コネクタ支持部54の収容室56に収容されている。前面カバー14をランプボディ12に組み付けた状態では伸縮可能区間48aが収容室56に収められ、車両走行に伴う振動などに起因したケーブル48の振動が抑制される。ケーブル48の振動によって異音が発生することも抑制される。また、ケーブル48の伸縮可能区間48aが収容室56に収められているので、第1ランプユニット20がエーミングなどのために動かされる場合に、その動作をケーブル48は妨げない。
【0048】
ランプボディ12と前面カバー14の結合部40にはゲル状シール材42が装着されている。これにより、前面カバー14をランプボディ12から取り外し可能とする構成を容易に実現することができる。
【0049】
実施の形態に係る相手コネクタ46およびその周辺構造には、種々の構成が考えられる。いくつかの例示的な構成を図6から図11(b)を参照して説明する。
【0050】
図6に示されるように、コネクタ支持部54が相手コネクタ46を受け入れる開口には、面取り部54aが形成されていてもよい。また、ケーブル48の伸縮可能区間48aが接続された相手コネクタ46の背面には、面取り部46aが形成されていてもよい。このようにすれば、コネクタ支持部54の面取り部54aによって相手コネクタ46を案内することができ、相手コネクタ46のコネクタ支持部54への着脱を円滑にすることができる。
【0051】
コネクタ支持部54は、筒状または箱状のリブには限られず、相手コネクタ46を支持する限りどのような形状を有してもよい。例えば、図7に示されるように、コネクタ支持部54は、ランプボディ12から突出して形成されたピンであってもよい。複数のピンが相手コネクタ46の側面を取り囲むように配置されている。場合によってはピンは1本であってもよい。相手コネクタ46には、ピンと係合するピン穴を有するピン係合部62がピンと対応する配置で形成されている。ここでは4本のピンが矩形状に配置されているから、4つのピン係合部62が相手コネクタ46の四隅に形成されている。
【0052】
図示されるように、相手コネクタ46のピン係合部62とコネクタ支持部54としてのピンとの係合が解除されていれば、ケーブル48の伸縮可能区間48aを伸長させることができる。一方、相手コネクタ46のピン係合部62がピンに係合して相手コネクタ46がコネクタ支持部54に支持されているときは、ケーブル48の伸縮可能区間48aは、ピンで囲まれた領域に収められる。また、図2に示されるケーブル逃がし溝60のように、ピン間の隙間からケーブル48を引き出すことができる。
【0053】
したがって、図7に示される相手コネクタ46およびコネクタ支持部54を図1に示される車両用灯具10の灯室18に適用した場合にも、ケーブル48の伸縮可能区間48aを伸長させて、相手コネクタ46を待ち受けコネクタ58に追従させることができる。よって、既述の実施の形態と同様に、前面カバー14とランプボディ12の取り外しと組み付けの両方の場面で作業性を向上することができる。
【0054】
図8(a)および図8(b)に示されるように、ランプボディ12は、ケーブル48の伸縮可能区間48aを支持するケーブル支持部64を備えてもよい。このようにすれば、ケーブル48の伸縮可能区間48aが支持されるので、車両走行に伴う振動などに起因したケーブル48の振動が抑制される。ケーブル48の振動によって異音が発生することも抑制される。
【0055】
ケーブル支持部64は、一例として、ランプボディ12から突出して形成された棒状の形状を有する。図8(a)に示されるように、ケーブル支持部64は、その周囲にケーブル48の伸縮可能区間48aを巻き付けて支持することができる。相手コネクタ46が引き出されるときには、図8(b)に示されるように、ケーブル48の伸縮可能区間48aのケーブル支持部64への巻き付きが解かれて、伸縮可能区間48aは伸長される。このような構成によっても、相手コネクタ46を待ち受けコネクタ58に追従させることができる。相手コネクタ46がもとの位置に戻るときは、ケーブル48の伸縮可能区間48aが縮むとともにケーブル支持部64に巻き付いて再び支持される。よって、既述の実施の形態と同様に、前面カバー14とランプボディ12の取り外しと組み付けの両方の場面で作業性を向上することができる。
【0056】
ケーブル支持部64が設けられている場合、ランプボディ12は、コネクタ支持部54を有しなくてもよい。あるいは、ランプボディ12は、ケーブル支持部64とともにコネクタ支持部54を有してもよく、その場合、例えば、ケーブル支持部64はコネクタ支持部54に囲まれるように配置されてもよい。
【0057】
図9に示されるように、ケーブル支持部64は、基部64a、先端部64b、およびヒンジ部64cを有してもよい。基部64aがランプボディ12に固定され、先端部64bがケーブル48の伸縮可能区間48aを支持する。先端部64bの末端には、先端部64bに巻き付けられたケーブル48の支持をより確実にするための突起64dが形成されていてもよい。ヒンジ部64cは、先端部64bが基部64aに対し傾動可能となるように先端部64bを基部64aに接続している。一例として、基部64a、先端部64b、およびヒンジ部64cは可撓性をもつ樹脂材料で一体に形成され、ヒンジ部64cはスリットまたは切り欠きとして構成されている。
【0058】
先端部64bに外力が作用してヒンジ部64cが変形することにより、先端部64bは基部64aに対し傾動することができる。外力が無くなればヒンジ部64cの変形は解消され先端部64bはもとの位置に戻る。このような先端部64bの動きは、相手コネクタ46が引き出されるとき、ケーブル48の伸縮可能区間48aの巻き付きを解きやすくするのに役立つ。
【0059】
なお、ケーブル支持部64が一体の部材とされることは必須ではない。基部64aと先端部64bは別部材とされ、先端部64bが基部64aに対し傾動可能となるように先端部64bが基部64aに取り付けられていてもよい。先端部64bの基部64aへの取付部がヒンジ部64cとして構成されていてもよい。
【0060】
図10に示されるように、ケーブル48の伸縮可能区間48aは、蛇腹状または蛇行状に湾曲していてもよい。このように、相手コネクタ46から延びるケーブル48の伸縮可能区間48aの形状は、コイル状には限られない。バネのように伸縮可能な形状であれば、ケーブル48の伸縮可能区間48aはどのような形状に成形されていてもよい。
【0061】
図11(a)に示されるように、ケーブル48の伸縮可能区間48aを収容する収容室56は、相手コネクタ46に設けられていてもよい。図11(b)に示されるように、ケーブル48の伸縮可能区間48aを支持するケーブル支持部64は、相手コネクタ46に設けられていてもよい。
【0062】
本発明は、上述した実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、実施の形態及び変形例を組み合わせたり、当業者の知識に基づいて各種の設計変更などのさらなる変形を加えることも可能であり、そのような組み合わせられ、もしくはさらなる変形が加えられた実施の形態や変形例も本発明の範囲に含まれる。上述した実施の形態や変形例、及び上述した実施の形態や変形例と以下の変形との組合せによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態、変形例及びさらなる変形それぞれの効果をあわせもつ。
【0063】
上述の実施の形態では、第1アセンブリに相手コネクタ46とケーブル48の伸縮可能区間48aが設けられ、第2アセンブリに待ち受けコネクタ58が設けられているが、本発明の実施の形態は、これに限られない。逆の配置も可能である。ランプボディ12に待ち受けコネクタ58が固定され、前面カバー14に固定された第2ランプユニット28がワイヤハーネス44を備えてもよい。相手コネクタ46はケーブル48によって基板38に接続され、ケーブル48が伸縮可能区間48aを有してもよい。
【符号の説明】
【0064】
10 車両用灯具、 12 ランプボディ、 14 前面カバー、 18 灯室、 40 結合部、 42 ゲル状シール材、 44 ワイヤハーネス、 46 相手コネクタ、 48 ケーブル、 48a 伸縮可能区間、 54 コネクタ支持部、 56 収容室、 58 待ち受けコネクタ、 64 ケーブル支持部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11