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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】ノズルおよび積層造形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/209 20170101AFI20220426BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20220426BHJP
   B29C 64/268 20170101ALI20220426BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20220426BHJP
   B22F 10/20 20210101ALI20220426BHJP
   B22F 12/53 20210101ALI20220426BHJP
【FI】
B29C64/209
B29C64/153
B29C64/268
B33Y30/00
B22F10/20
B22F12/53
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018058715
(22)【出願日】2018-03-26
(65)【公開番号】P2019166818
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-02-16
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)(出願人による申告)平成28年度 経済産業省「平成28年度エネルギー使用合理化技術開発費補助金(省エネルギー型製造プロセス実現に向けた三次元積層造形技術の開発・実用化事業)」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】514227988
【氏名又は名称】技術研究組合次世代3D積層造形技術総合開発機構
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】000003458
【氏名又は名称】芝浦機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津野 聡
(72)【発明者】
【氏名】大野 博司
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 光夫
(72)【発明者】
【氏名】山田 智彦
(72)【発明者】
【氏名】塩見 康友
(72)【発明者】
【氏名】藤巻 晋平
【審査官】清水 研吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-008315(JP,A)
【文献】特開2015-196264(JP,A)
【文献】特開2015-178191(JP,A)
【文献】特開2000-219932(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107587132(CN,A)
【文献】国際公開第2016/139775(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B22F 3/105
B22F 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギ線が通る第一通路を構成する第一内面と、
前記第一通路に沿って延びガスおよび材料の粉体が通る第二通路を構成する第二内面と、
を備え、
その先端部分において、前記第一通路が開口されるとともに、当該第一通路の近傍または周囲に第二通路が開口されたノズルであって、
前記第二内面の少なくとも一部に、前記第一内面、および前記先端部分の周囲の外周面のうち少なくとも一方よりも前記粉体に対する摩擦係数が大きく、尚且つ当該摩擦係数が0.55以上である第一領域が設けられた、積層造形装置用のノズル。
【請求項2】
前記第一領域の面粗度は、前記第一内面、および前記外周面のうち少なくとも一方の面粗度よりも、大きい、請求項1に記載のノズル。
【請求項3】
前記第二通路は、前記第一通路を囲う環状の通路であり、前記第二内面は、凸曲面と当該凸曲面を隙間をあけて囲う凹曲面とを有した、請求項1または2に記載のノズル。
【請求項4】
前記ノズルは、前記第一内面と前記凸曲面とを有した第一部品と、当該第一部品を取り囲み前記凹曲面と前記外周面とを有した第二部品と、を有した、請求項3に記載のノズル。
【請求項5】
エネルギ線が通る第一通路を構成する第一内面と、
前記第一通路に沿って延びガスおよび材料の粉体が通る第二通路を構成する第二内面と、
前記第二内面の少なくとも一部に設けられたテクスチャ面と、
を備えた、積層造形装置用のノズル。
【請求項6】
請求項1~5のうちいずれか一つに記載のノズルと、
前記エネルギ線を生成する光源と、
前記粉体を前記ノズルに供給する供給部と、
を備えた、積層造形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、ノズルおよび積層造形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、積層造形物を形成する積層造形装置が知られている。積層造形装置は、ノズルから材料の粉体を供給するとともにレーザ光を出射することにより粉体を溶融させて材料の層を形成し、当該層を積み重ねることにより積層造形物を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-1900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の装置では、例えば、造形位置に供給する材料の粉体の収束性をより高めることができれば有益である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の積層造形装置のノズルは、エネルギ線が通る第一通路を構成する第一内面と、第一通路に沿って延びガスおよび材料の粉体が通る第二通路を構成する第二内面と、を備える。ノズルの先端部分においては、第一通路が開口されるとともに、当該第一通路の近傍または周囲に第二通路が開口される。第二内面の少なくとも一部には、第一内面および先端部分の周囲の外周面のうち少なくとも一方よりも粉体に対する摩擦係数が大きく、尚且つ当該摩擦係数が0.55以上である第一領域が設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態の積層造形装置の構成を示す模式的かつ例示的な図である。
図2図2は、実施形態の積層造形装置による造形処理(製造方法)の手順の一例が示された模式的かつ例示的な説明図である。
図3図3は、実施形態のノズルの先端部分の模式的かつ例示的な断面図である。
図4図4は、実施形態のノズルの図3のIV-IV位置での模式的かつ例示的な断面図である。
図5図5は、実施形態のノズルの各面の粉体に対する摩擦係数の測定装置の模式的かつ例示的な図である。
図6図6は、実施形態のノズルの各面の粉体に対する摩擦係数に関する引張力と垂直荷重との相関関係を示す模式的かつ例示的なグラフである。
図7図7は、実施形態のノズルの各面の粉体に対する摩擦係数に関する材料の粉体の粒径と摩擦係数との相関関係を示す模式的かつ例示的なグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の例示的な実施形態および変形例が開示される。以下に示される実施形態および変形例の構成や制御(技術的特徴)、ならびに当該構成や制御によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。
【0008】
図1に示されるように、積層造形装置1は、処理槽11や、ステージ12、移動装置13、ノズル装置14、光学装置15、計測装置16、制御装置17等を備えている。
【0009】
積層造形装置1は、ステージ12上に配置された対象物110に、ノズル装置14で供給される材料121を層状に積み重ねることにより、所定の形状の積層造形物100を造形する。
【0010】
対象物110は、ノズル装置14によって材料121が供給される対象であって、ベース110aおよび層110bを含む。複数の層110bがベース110aの上面に積層される。材料121は、粉末状の金属材料や樹脂材料等である。造形には、一つ以上の材料121が用いられうる。
【0011】
処理槽11には、主室21と副室22とが設けられている。副室22は、主室21と隣接して設けられている。主室21と副室22との間には扉部23が設けられている。扉部23が開かれた場合、主室21と副室22とが連通され、扉部23が閉じられた場合、主室21が気密状態になる。
【0012】
主室21には、給気口21aおよび排気口21bが設けられている。給気装置(図示されず)の動作により、主室21内に給気口21aを介して窒素やアルゴン等の不活性ガスが供給される。排気装置(図示されず)の動作により、主室21から排気口21bを介して主室21内のガスが排出される。
【0013】
また、主室21内には、移送装置(図示されず)が設けられている。また、主室21から副室22にかけて、搬送装置24が設けられている。移送装置は、主室21で処理された積層造形物100を、搬送装置24に渡す。搬送装置24は、移送装置から渡された積層造形物100を副室22内に搬送する。すなわち、副室22には、主室21で処理された積層造形物100が収容される。積層造形物100が副室22に収容された後、扉部23が閉じられ、副室22と主室21とが隔絶される。
【0014】
主室21内には、ステージ12や、移動装置13、ノズル装置14の一部、計測装置16等が設けられている。
【0015】
ステージ12は、対象物110を支持する。移動装置13(移動機構)は、ステージ12を、互いに直交する3軸方向に移動することができる。
【0016】
ノズル装置14は、ステージ12上に位置された対象物110に材料121を供給する。また、ノズル装置14のノズル33は、ステージ12上に位置された対象物110にレーザ光200を照射する。ノズル装置14は、複数の材料121を並行して供給することができるし、複数の材料121のうち一つを選択的に供給することができる。また、ノズル33は、材料121の供給と並行してレーザ光200を照射する。レーザ光200は、エネルギ線の一例である。なお、レーザ光以外のエネルギ線を用いてもよい。エネルギ線は、レーザ光のように材料を溶融できるものであればよく、電子ビームや、マイクロ波から紫外線領域の電磁波などであってもよい。
【0017】
ノズル装置14は、供給装置31や、供給装置31A、排出装置32、ノズル33、供給管34等を有している。材料121は、供給装置31から供給管34を経てノズル33へ送られる。また、気体は、供給装置31Aから、供給管34Aを経てノズル33へ送られる。また、材料121は、ノズル33から排出管35を経て排出装置32へ送られる。
【0018】
供給装置31は、タンク31aと、供給部31bと、を含む。タンク31aには、材料121が収容される。供給部31bは、タンク31aの材料121を所定量供給する。供給装置31は、粉状の材料121が含まれたキャリアガス(気体)を供給する。キャリアガスは、例えば、窒素やアルゴン等の不活性ガスである。また、供給装置31Aは、供給部31bを含む。供給装置31Aは、供給装置31が供給するのと同種のガス(気体)を供給する。
【0019】
排出装置32は、分級装置32aと、排出部32bと、タンク32c,32dと、を含む。排出部32bは、ノズル33から気体を吸入する。分級装置32aは、材料121とヒュームとを分離する。タンク32cには、材料121が収容され、タンク32dにはヒューム124が収容される。これにより、処理領域から、気体とともに、造形に用いられなかった材料121の粉体や、造形によって生成されたヒューム(金属ヒューム)、塵芥等が、排出される。排出部32bは、例えば、ポンプである。
【0020】
また、図1に示されるように、光学装置15は、光源41と、光学系42と、を備えている。光源41は、発振素子(図示されず)を有し、発振素子の発振によりレーザ光200を出射する。光源41は、出射するレーザ光のパワー密度を変更することができる。
【0021】
光源41は、ケーブル210を介して光学系42に接続されている。光源41から出射されたレーザ光200は、光学系42を経てノズル33に入る。ノズル33は、レーザ光200を、対象物110や、対象物110に向けて噴射された材料121に照射する。
【0022】
光学系42は、具体的には、第1レンズ51や、第2レンズ52、第3レンズ53、第4レンズ54、ガルバノスキャナ55等を、備えている。第1レンズ51、第2レンズ52、第3レンズ53、および第4レンズ54は、固定されている。なお、光学系42は、第1レンズ51、第2レンズ52、第3レンズ53、および第4レンズ54を、2軸方向、具体的には光路に対して交叉する方向(例えば、直交方向)に移動可能な調整装置を備えてもよい。
【0023】
第1レンズ51は、ケーブル210を介して入射されたレーザ光200を平行光に変換する。変換されたレーザ光200は、ガルバノスキャナ55に入射する。
【0024】
第2レンズ52は、ガルバノスキャナ55から出射されたレーザ光200を収束する。第2レンズ52で収束されたレーザ光200は、ケーブル210を経てノズル33に至る。
【0025】
第3レンズ53は、ガルバノスキャナ55から出射されたレーザ光200を収束する。第3レンズ53で収束されたレーザ光200は、対象物110上に照射される。
【0026】
第4レンズ54は、ガルバノスキャナ55から出射されたレーザ光200を収束する。第4レンズ54で収束されたレーザ光200は、対象物110上に照射される。
【0027】
ガルバノスキャナ55は、第1レンズ51で変換された平行光を、第2レンズ52、第3レンズ53、および第4レンズ54のそれぞれに入る光に分ける。ガルバノスキャナ55は、第1ガルバノミラー57と、第2ガルバノミラー58と、第3ガルバノミラー59と、を備えている。各ガルバノミラー57,58,59は、光を分けるとともに、傾斜角度(出射角度)を変化することができる。
【0028】
第1ガルバノミラー57は、第1レンズ51を通過したレーザ光200の一部を通過させ、通過したレーザ光200を第2ガルバノミラー58に出射する。また、第1ガルバノミラー57は、レーザ光200の他部を反射させ、反射したレーザ光200を第4レンズ54に出射する。第1ガルバノミラー57は、その傾斜角度によって、第4レンズ54を通過したレーザ光200の照射位置を変化させる。
【0029】
第2ガルバノミラー58は、第1ガルバノミラー57を通過したレーザ光200の一部を通過させ、通過したレーザ光200を第3ガルバノミラー59に出射する。また、第2ガルバノミラー58は、レーザ光200の他部を反射させ、反射したレーザ光200を第3レンズ53に出射する。第2ガルバノミラー58は、その傾斜角度によって、第3レンズ53を通過したレーザ光200の照射位置を変化させる。
【0030】
第3ガルバノミラー59は、第2ガルバノミラー58を通過したレーザ光200の一部を第2レンズ52に出射する。
【0031】
光学系42では、第1ガルバノミラー57、第2ガルバノミラー58、および第3レンズ53によって、溶融装置45が構成されている。溶融装置45は、レーザ光200の照射によって、ノズル33から対象物110に供給された材料121(123)を加熱することにより、層110bを形成するとともにアニール処理を行う。
【0032】
また、光学系42では、材料121の除去装置46が構成されている。除去装置46は、ベース110a上または層110bに形成された不要な部位をレーザ光200の照射によって除去する。除去装置46は、具体的には、ノズル33による材料121の供給時における材料121の飛散によって発生する不要部位や、層110bの形成時に発生する不要部位等の、積層造形物100の所定の形状とは異なる部位を除去する。除去装置46は、当該不要部位を除去するのに足りるパワー密度を有するレーザ光200を出射する。
【0033】
計測装置16は、固化した層110bの形状および造形された積層造形物100の形状を計測する。計測装置16は、計測した形状の情報を制御装置17に送信する。計測装置16は、例えば、カメラ61と、画像処理装置62と、を備えている。画像処理装置62は、カメラ61で計測した情報に基づいて画像処理を行う。なお、計測装置16は、例えば、干渉方式や光切断方式等によって、層110bおよび積層造形物100の形状を計測する。
【0034】
移動装置71(移動機構)は、ノズル33を互いに直交する3軸方向に移動することができる。
【0035】
制御装置17は、移動装置13、搬送装置24、供給装置31、供給装置31A、排出装置32、光源41、ガルバノスキャナ55、画像処理装置62、および移動装置71に、信号線220を介して電気的に接続されている。
【0036】
制御装置17は、移動装置13を制御することで、ステージ12を3軸方向に移動させる。制御装置17は、搬送装置24を制御することで、造形した積層造形物100を副室22に搬送する。制御装置17は、供給装置31を制御することで、材料121の供給の有無ならびに供給量を調整する。制御装置17は、排出装置32を制御することで、材料121の粉体やヒュームの排出の有無ならびに排出量を調整する。制御装置17は、光源41を制御することで、光源41から出射されるレーザ光200のパワー密度を調整する。制御装置17は、ガルバノスキャナ55を制御することで、第1ガルバノミラー57、第2ガルバノミラー58、および第3ガルバノミラー59の傾斜角度を調整する。また、制御装置17は、移動装置71を制御することで、ノズル33の位置を制御する。
【0037】
制御装置17は、記憶部17aを備えている。記憶部17aには、造形する積層造形物100の形状(参照形状)を示すデータ等が記憶されている。また、記憶部17aには、3次元の処理位置(各点)毎のノズル33とステージ12との高さを示すデータ等が記憶されている。
【0038】
制御装置17は、ノズル33から複数の異なる材料121を選択的に供給し、複数の材料121の比率を調整(変更)する機能を備えることができる。例えば、制御装置17は、記憶部17aに記憶された各材料121の比率を示すデータに基づいて、当該比率で材料121の層110bが形成されるよう、供給装置31等を制御する。この機能により、積層造形物100の位置(場所)によって複数の材料121の比率が変化(漸減または漸増)する傾斜材料(傾斜機能材料)を造形することができる。具体的には、例えば、層110bの形成に際し、制御装置17が、積層造形物100の3次元座標の各位置に対応して設定された(記憶された)材料121の比率となるように、供給装置31を制御することにより、積層造形物100を、材料121の比率が3次元の任意の方向に変化する傾斜材料(傾斜機能材料)として造形することが可能である。単位長さあたりの材料121の比率の変化量(変化率)も、種々に設定することが可能である。
【0039】
制御装置17は、材料121の形状を判断する機能を備えている。例えば、制御装置17は、計測装置16で取得された層110bまたは積層造形物100の形状と、記憶部17aに記憶された参照形状と比較することで、所定の形状でない部位が形成されているか否かを判断する。
【0040】
また、制御装置17は、材料121の形状の判断により所定の形状でない部位と判断された不要な部位を除去することで、材料121を所定の形状にトリミングする機能を備えている。例えば、制御装置17は、まず、所定の形状とは異なる部位に材料121が飛散して付着している場合に、第1ガルバノミラー57を介して第4レンズ54から出射されたレーザ光200が材料121を蒸発可能なパワー密度となるように光源41を制御する。次いで、制御装置17は、第1ガルバノミラー57を制御して、レーザ光200を、当該部位に照射して材料121を蒸発させる。
【0041】
次に、図2を参照し、積層造形装置1による積層造形物100の製造方法について説明する。図2に示されるように、まずは、材料121の供給およびレーザ光200の照射が行われる。制御装置17は、材料121がノズル33から所定の範囲に供給されるよう供給装置31,31A等を制御するとともに、供給された材料121がレーザ光200によって溶融するよう、光源41やガルバノスキャナ55等を制御する。これにより、図2に示されるように、ベース110a上の層110bを形成する範囲に、溶融した材料123が所定の量だけ供給される。材料123は、ベース110aや層110bに噴射されると、変形して層状または薄膜状等の材料123の集合となる。あるいは、材料123は、材料121を運ぶガス(気体)によって冷却されるか若しくは材料121の集合への伝熱によって冷却されることにより、粒状で積層され、粒状の集合となる。
【0042】
次に、積層造形装置1では、アニール処理が行われる。制御装置17は、ベース110a上の材料123の集合にレーザ光200が照射されるよう、光源41や溶融装置45等を制御する。これにより、材料123の集合が再溶融されて層110bになる。
【0043】
次に、積層造形装置1では、形状計測が行われる。制御装置17は、アニール処理が行われたベース110a上の材料123を計測するよう、計測装置16を制御する。制御装置17は、計測装置16で取得された層110bまたは積層造形物100の形状と、記憶部17aに記憶された参照形状とを、比較する。
【0044】
次に、積層造形装置1では、トリミングが行われる。制御装置17は、形状計測ならびに参照形状との比較により、例えば、ベース110a上の材料123が所定の形状とは異なる位置に付着していたことが判明した場合には、不要な材料123が蒸発するよう、光源41や除去装置46等を制御する。一方、制御装置17は、形状計測ならびに参照形状との比較により、層110bが所定の形状であったことが判明した場合には、トリミングを行わない。
【0045】
上述した層110bの形成が終了すると、積層造形装置1は、当該層110bの上に、新たな層110bを形成する。積層造形装置1は、層110bを反復的に積み重ねることにより、積層造形物100を造形する。
【0046】
ここで、図3,4が参照され、本実施形態の例示的なノズル33の詳細な構成および機能が説明される。以下では、説明の便宜上、互いに直交するX方向、Y方向、およびZ方向が用いられる。X方向は、図3では左右方向であり、Y方向は、図3では紙面と垂直な方向であり、Z方向は、図3では上下方向である。X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに直交している。
【0047】
図3に示されるように、ステージ12、積層造形物100、対象物110、ベース110a、および層110bの上面は、X方向とY方向との平面に略沿って広がる。積層造形装置1では、ノズル33およびステージ12のうち少なくとも一方がX方向およびY方向に移動することによりノズル33とステージ12とが相対的に移動し、X方向およびY方向の平面に沿って材料121の層110bが形成される。そして、材料121の層110bが順次Z方向に積層されることで、立体的な積層造形物100が形成される。X方向およびY方向は、水平方向や横方向等と称されうる。Z方向は、鉛直方向や、垂直方向、高さ方向、厚さ方向、縦方向等と称されうる。X方向およびY方向は、走査方向とも称され、Z方向は、積層方向や、レーザ光200の出射方向とも称されうる。
【0048】
ノズル33は、ボディ330を備える。ボディ330は、全体的には細長い形状を有しており、例えば、窒化ホウ素(セラミック材料)等、耐熱性の高い材料で構成される。ボディ330の長手方向(軸方向)は、例えば、Z方向に沿う。ボディ330の短手方向(幅方向)は、例えば、X方向およびY方向に沿う。ボディ330の形状は、略円柱状である。ただし、ボディ330の先端部分330tの形状は、テーパ状である。
【0049】
図3に示されているボディ330の先端部分330tは、外面(外表面)としての、端面331や、外周面332等を有する。端面331は、ボディ330の長手方向の端部(下端)に位置され、下面とも称されうる。端面331は、ステージ12や、積層造形物100、対象物110、溶融プールP等と面する。端面331は、X方向およびY方向に沿った平面状に形成されている。
【0050】
外周面332は、ボディ330の短手方向の端部に位置されている。外周面332の直径は、端面331に近付くにつれて小さくなっている。外周面332の形状は、円錐外面である。外周面332は、側面とも称され得る。先端部分330tの周囲の外周面332とは、例えば、外周面332のうちボディ330(ノズル33)の先端(例えば端面331)の近傍の環状の領域であって、具体例としては、鏡面仕上げされている領域である。
【0051】
ボディ330内には、開口部333が設けられている。開口部333は、ボディ330の中心線C(中心軸)に沿いボディ330の長手方向に延びている。開口部333は、ボディ330をZ方向に貫通している。開口部333は、第一貫通孔とも称されうる。開口部333は、ボディ330の端面331に開口されている。
【0052】
開口部333は、レーザ光200の通路である。端面331において、開口部333からは、溶融プールPに向けてレーザ光200が出射される。Z方向は、ボディ330および開口部333の長手方向であり、開口部333が延びる方向であるとともに、レーザ光200の出射方向である。
【0053】
開口部333のZ方向と交差した短手方向の断面の形状は円形である。開口部333の円形断面の直径は、端面331に近付くにつれて小さくなっている。すなわち、開口部333の内面333a、言い換えると開口部333を構成する内面333aは、円錐内面である。開口部333は、第一通路の一例であり、内面333aは、第一内面の一例であり、レーザ光200は、エネルギ線の一例である。
【0054】
また、ボディ330内には、開口部334が設けられている。開口部334は、開口部333を間隔をあけて取り囲むように設けられている。また、開口部334は、ボディ330の長手方向に対して傾斜した方向に延びている。開口部334は、ボディ330を貫通している。開口部334は、第二貫通孔とも称されうる。開口部334は、ボディ330の端面331に開口されている。
【0055】
開口部334は、材料121の粉体の通路である。材料121の粉体は、開口部334内でガスによって移送される。端面331において、開口部334からは、材料121の粉体が溶融プールPに向けて吐出される。
【0056】
図4に示されるように、開口部334のZ方向と交差した短手方向の断面の形状は、円環状である。図3に示されるように、開口部334の円環状断面の直径は、端面331に近付くにつれて小さくなっている。開口部334の隙間dの大きさは、端面331からの距離によらず一定である。このような開口部334は、二つの内面334a(凸曲面334a1および凹曲面334a2)によって構成されている。二つの内面334aのうち内側に位置する凸曲面334a1の形状は、円錐外面である。また、二つの内面334aのうち外側に位置する凹曲面334a2の形状は、円錐内面である。凹曲面334a2は、凸曲面334a1と面し、当該凸曲面334a1を隙間dをあけて囲っている。開口部334は、第二通路の一例であり、内面334aは、第二内面の一例である。
【0057】
開口部334の二つの内面334a間の隙間の中央を通る仮想円錐面Vcの頂点Ptは、端面331からZ方向に所定距離Lだけ離れた位置である。頂点Ptは、開口部333の中心線Cと重なっている。よって、レーザ光200および材料121の粉体は、仮想円錐面Vcの頂点Ptの近傍に集束する。積層造形装置1では、溶融プールPにおいてレーザ光200と材料121の粉体とが集束するよう、端面331と、ステージ12や、積層造形物100、対象物110等とのZ方向における相対的な距離が、適宜に設定あるいは調整される。
【0058】
また、ボディ330は、開口部334の凸曲面334a1を外周面とする第一部品330aと、開口部334の凹曲面334a2を内周面とし外周面332を外周面とする第二部品330bと、を有している。第一部品330aと第二部品330bとが、所定の相対位置および所定の相対姿勢で一体化されることにより、開口部334が設けられたボディ330が構成される。
【0059】
発明者らの鋭意研究により、材料121の粉体が流れる開口部334の内面334aに、比較的粗い粗面領域が設けられた場合にあっては、内面334aが鏡面である場合に比べて、開口部334から吐出された材料121の粉体の収束性が高まることが判明した。発明者らの鋭意研究により、このような構成によって材料121の粉体の収束性が高まるのは、材料121の粉体が粗面領域で反射することにより、粉体のガスの流れ方向と略直交する方向の速度成分が低減し、各粉体がガスに乗って流れるようになるのが一因であることが、判明している。よって、このような粗面領域は、減速領域や、緩衝領域、低反射率領域とも称されうる。
【0060】
粗面領域は、例えば、ボディ330内の凸曲面334a1および凹曲面334a2の全域に亘って設けられる。粗面領域は、第一領域の一例である。
【0061】
粗面領域は、例えば、テクスチャ面であってもよい。テクスチャ面は、テクスチャ加工によって得られた面であり、テクスチャ加工面とも称されうる。テクスチャ加工とは、物体の表面、この場合は内面334aに、比較的微細な凹凸形状等を含むテクスチャ面を設ける加工である。
【0062】
凹凸形状としては、例えば、縞状(波状)の凹凸形状や、メッシュ状の凹凸形状、ドットパターンのような凹凸形状等がある。縞状の凹凸形状では、一方向に延びた複数の凹溝または凸条が当該一方向と交差した他方向に並んでいる。メッシュ状の凹凸形状では、一方向に延びて他方向に縞状に並ぶ複数の凹溝と他方向に延びて一方向に縞状に並ぶ複数の凹溝とが互いに交差するか、一方向に延びて他方向に縞状に並ぶ複数の凸条と他方向に延びて一方向に縞状に並ぶ複数の凸条とが互いに交差している。また、ドットパターン状の凹凸形状には、離散的に配置された複数のディンプルまたは小突起が含まれている。凹凸形状は、例えば、ミリスケールからナノメートルスケールまでの適宜な大きさや深さ(高さ)の微小な形状である。凹凸形状に含まれる凹溝、凸条、凹部、あるいは凸部は、規則的に設けられてもよいし、反復的に設けられてもよいし、ランダムに設けられてもよい。凹溝の深さ、凹溝の幅、凸条の高さ、凸条の幅、凹部の直径、凹部の深さ、凸部の直径、あるいは凸部の高さは、一例としては、材料121の粉体の粒径以上となるように設定される。凹溝や凸条が延びる方向は中心線Cの周方向であってもよいし、仮想円錐面Vcの母線と交差する方向であってもよい。開口部334内で渦流が生じる場合、凹溝や凸条が延びる方向は仮想円錐面Vcの母線と略平行であってもよい。
【0063】
テクスチャ加工には、種々の工法を採用することができる。テクスチャ加工は、例えば、サンドブラストや、ショットブラスト、ローラーバニッシュ加工、ローレット加工、切削、研磨、これらに類する機械加工等であってもよい。また、テクスチャ加工は、例えばレーザ加工のような高エネルギ加工や、ケミカルエッチング、イオンプレーティング、ナノインプリントのような処理であってもよい。また、テクスチャ加工は、それらの選択的な組み合わせであってもよい。
【0064】
テクスチャ加工は、例えば、第一部品330aと第二部品330bとが一体化されてボディ330が構成される前に、第一部品330aや第二部品330bのような単品に対して実行されうる。
【0065】
凹凸形状は、中心線C回りに環状に延びてもよい。この場合、粗面領域では、環状に設けられた微小幅の複数の凹溝あるいは凸条が、中心線Cの周方向に略沿っている。
【0066】
凹凸形状は、中心線C回りに螺旋状に延びてもよい。この場合、粗面領域には、例えば、微小幅の凹溝あるいは凸条の一重螺旋あるいは多重螺旋が設けられる。
【0067】
また、粗面領域は、例えば、材料121の粉体をランダムに反射する乱反射面であってもよい。乱反射面とは、材料121の粉体をランダムに反射する凹凸面である。乱反射面は、上述したテクスチャ加工等によって構成することができる。乱反射面は、拡散反射面とも称されうる。
【0068】
また、粗面領域は、例えば、ボディ330の他の面よりも面粗度が高い領域であってもよい。一例としては、粗面領域の面粗度が、開口部333の内面333aの面粗度よりも高く設定されうる。内面333aの面粗度が高いと、当該内面333aに材料121の粉体が付着し、レーザ光200の出射に支障を来したり塵芥となったりする虞がある。また、内面333aの面粗度が高いと、当該内面333aでレーザ光200の乱反射が生じ、レーザ光200の収束性が低下する虞がある。なお、面粗度としては、例えば、中心線平均粗さRaや、十点平均高さRz、最大高さRmax等が用いられうる。
【0069】
別の一例としては、粗面領域の面粗度が、ボディ330の先端部分330tの外周面332の面粗度よりも高く設定されうる。外周面332の面粗度が高いと、当該外周面332に材料121の粉体が付着し、塵芥となる虞がある。
【0070】
また、粗面領域は、例えば、ボディ330の他の面よりも材料121の粉体に対する摩擦係数が高い領域であってもよい。一例としては、粗面領域の摩擦係数が、開口部333の内面333aの摩擦係数よりも高く設定されうる。内面333aの摩擦係数が高いと、当該内面333aに材料121の粉体が付着し、レーザ光200の出射に支障を来したり塵芥となったりする虞がある。また、内面333aの摩擦係数が高いと、当該内面333aでレーザ光200の乱反射が生じ、レーザ光200の収束性が低下する虞がある。
【0071】
別の一例としては、粗面領域の材料121の粉体に対する摩擦係数が、ボディ330の先端部分330tの外周面332の摩擦係数よりも高く設定されうる。外周面332の摩擦係数が高いと、当該外周面332に材料121の粉体が付着し、塵芥となる虞がある。
【0072】
図5は、測定装置400を示す図である。ボディ330の各面の材料121の粉体に対する摩擦係数は測定装置400によって測定することができる。ステージ401上には、摩擦係数の測定対象として各面と同じ表面性状の被測定面301を有したサンプル300が固定される。サンプル300の被測定面301上に材料121の粉体の塊122が乗せられる。粉体の塊122の少なくとも被測定面301との当接面には、複数の粉体が密集した状態で露出している。塊122上に乗せた錘402によって被測定面301上に垂直荷重Nを与えながら、引張力測定器403が塊122を引っ張るとともに、引張力Fを測定する。引張力測定器403は、重さ(垂直荷重N)が異なる複数の錘402を乗せた場合のそれぞれについて、引張力Fを測定する。
【0073】
図6は、測定装置400における垂直荷重Nと引張力Fとの相関関係を示すグラフである。図6に示されるように、測定装置400において、各サンプル300について、異なる垂直荷重Nによる測定が実施され、各垂直荷重Nと引張力Fとの相関関係を実験的に取得する。図6において、被測定面301の摩擦係数μは、垂直荷重Nと引張力Fとの相関を示す1次の近似関数の傾き(tanθ)である。近似関数は、例えば最小二乗法等の回帰分析によって取得する。
【0074】
図7は、材料121の粉体の粒径(直径)と摩擦係数との相関関係を示すグラフである。d50は、材料121の粉体の粒径の分布のメジアン値であり、粒径の代表値の一例である。また、Rzは、表面粗さにおける凹凸形状の高さ(深さ)である。d50/Rzは、表面粗さによって無次元化された粒径であり、値が小さいほど表面粗さに対する相対的な粒径が小さく、値が大きいほど表面粗さに対する相対的な粒径が大きいことを示している。図7の相関関係は実験的に得られたものである。発明者らの鋭意研究により、粗面領域での表面粗さが材料121の粉体の粒径と同等以上、すなわち、d50/Rz≦1であれば、収束性を高める効果が得られることが判明している。図7のグラフから、d50/Rz≦1となるのは、μ≧0.55であるから、粗面領域の摩擦係数μが0.55以上であることが、収束性を高めることができる摩擦係数の条件となる。
【0075】
以上のように、本実施形態では、例えば、開口部334(第二通路)の内面334a(第二内面)の少なくとも一部に、開口部333(第一通路)の内面333a(第一内面)、および外周面332のうち少なくとも一方よりも、材料121の粉体に対する摩擦係数が大きい粗面領域(第一領域)が設けられている。このような構成によれば、例えば、開口部334から吐出される材料121の粉体の収束性をより高めることができるとともに、内面333aや外周面332に材料121の粉体が付着するのを抑制することができる。また、例えば、内面333aにおけるレーザ光の散乱を抑制することができる。
【0076】
また、本実施形態では、例えば、粗面領域の面粗度は、内面333aの面粗度および外周面332の面粗度のうち少なくとも一方よりも、大きい。このような構成によれば、例えば、開口部334から吐出される材料121の粉体の収束性をより高めることができるとともに、内面333aや外周面332に材料121の粉体が付着するのを抑制することができる。また、例えば、内面333aにおけるレーザ光の散乱を抑制することができる。
【0077】
また、本実施形態では、例えば、開口部334は環状の通路であり、開口部334の内面334aは、凸曲面334a1と凹曲面334a2とを有する。このような構成によれば、例えば、環状の開口部334を有したボディ330において、上述した粗面領域による効果を得ることができる。
【0078】
また、本実施形態では、例えば、ノズル33のボディ330は、開口部333の内面333aと開口部334の凸曲面334a1とを有した第一部品330aと、当該第一部品330aを取り囲み凹曲面334a2と外周面332とを有した第二部品330bと、を有する。このような構成によれば、例えば、粗面領域の加工を、第一部品330aまたは第二部品330bの単品に対して実行することができる。よって、第一部品330aと第二部品330bとが組み立てられた状態で粗面領域の加工が実行される場合に比べて、加工の手間やコストをより低減することができる。
【0079】
また、本実施形態では、例えば、開口部334の内面334aの少なくとも一部にテクスチャ面が設けられている。このような構成によれば、例えば、開口部334から吐出される材料121の粉体の収束性をより高めることができる。
【0080】
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、本発明は、上記実施形態に開示される構成や制御(技術的特徴)以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、技術的特徴によって得られる種々の結果(効果、派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることができる。
【0081】
例えば、上記実施形態では、粗面領域は、開口部334の内面334a(凸曲面334a1および凹曲面334a2)の全域に亘って設けられたが、これには限定されない。粗面領域は、例えば、凸曲面334a1および凹曲面334a2のうち一方のみに設けられてもよい。また、粗面領域は、凸曲面334a1および凹曲面334a2のうち少なくとも一方に部分的に設けられてもよい。また、粗面領域は、開口部334の端面331側の出口側端部と端面331とは反対側の入口側端部との間に設けられればよい。また、凸曲面334a1に設けられた粗面領域と、凹曲面334a2に設けられた粗面領域とが、互いに面してもよい。また、開口部334のうち粗面領域が面した区間は、環状であり、少なくとも中心線Cの周方向に連続している。この場合、当該区間には、凸曲面334a1および凹曲面334a2のうち少なくとも一方に設けられた粗面領域が、面している。具体的には、凸曲面334a1および凹曲面334a2のうち少なくとも一方に環状の粗面領域が設けられてもよいし、凸曲面334a1に設けられた粗面領域と凹曲面334a2に設けられた粗面領域とが周方向に互い違いに設けられてもよい。また、凸曲面334a1は、円錐外面には限定されないし、凹曲面334a2は、円錐内面には限定されない。
【0082】
また、凹凸形状を構成する凹溝、凸条、凹部、凸部等のスペックも適宜に変更して実施されうる。
【符号の説明】
【0083】
1…積層造形装置、31b…供給部、33…ノズル、41…光源、330a…第一部品、330b…第二部品、330t…先端部分、331…端面、332…外周面、333…開口部(第一通路)、333a…内面(第一内面)、334…開口部(第二通路)、334a…内面(第二内面)、334a1…凸曲面(第一領域)、334a2…凹曲面(第一領域)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7