(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】建材の持ち上げ装置及びその持ち上げ方法
(51)【国際特許分類】
E04G 21/16 20060101AFI20220426BHJP
E06B 9/56 20060101ALI20220426BHJP
【FI】
E04G21/16
E06B9/56 Z
(21)【出願番号】P 2018079267
(22)【出願日】2018-04-17
【審査請求日】2020-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100095212
【氏名又は名称】安藤 武
(72)【発明者】
【氏名】前田 隆行
(72)【発明者】
【氏名】山上 重雄
(72)【発明者】
【氏名】小林 正典
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-208532(JP,A)
【文献】特開平07-285795(JP,A)
【文献】特表2000-506478(JP,A)
【文献】実開昭62-128085(JP,U)
【文献】特開平07-125993(JP,A)
【文献】米国特許第6302034(US,B1)
【文献】特開2010-236307(JP,A)
【文献】特開2013-155517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/14-21/22
E06B 9/17-9/174、9/56-9/92
B66F 9/06、9/12、9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配置箇所が構造物の高所となっている建材を持ち上げるための建材の持ち上げ装置であって、
前記建材を前記配置箇所よりも低い箇所まで持ち上げ精度を低精度にして持ち上げるための第1持ち上げ手段と、この第1持ち上げ手段により前記配置箇所よりも低い箇所まで持ち上げられた前記建材の少なくとも一部を、持ち上げ精度を高精度にして持ち上げるための第2持ち上げ手段とを含んで構成されて
おり、
前記第1持ち上げ手段により持ち上げられる装置に前記建材が載置可能となっているとともに、この載置可能の建材は、前記構造物に形成されている開口部を開閉するシャッターカーテンを繰り出し自在に巻き取るための巻取軸と、渦巻き状に巻回されている前記シャッターカーテンと、前記巻取軸及びこの巻取軸に上端が結合されて前記巻取軸に渦巻き状に巻回された前記シャッターカーテンによる結合体との3種類の建材であり、
前記装置に前記3種類の建材が選択的に載置可能となっているとともに、選択された建材が前記第2持ち上げ手段により持ち上げられることを特徴とする建材の持ち上げ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の建材の持ち上げ装置において、前記装置には、前記建材を載置するための載置部材が設けられていることを特徴とする建材の持ち上げ装置。
【請求項3】
請求項2に記載の建材の持ち上げ装置において、前記載置部材は、一対をなす部材となっており、前記一対の部材となっている前記載置部材の上に前記建材が載置されることを特徴とする建材の持ち上げ装置。
【請求項4】
請求項3に記載の建材の持ち上げ装置において、前記一対の部材となっている前記載置部材には、前記巻取軸を載置するための載置部材と、前記渦巻き状に巻回されている前記シャッターカーテンを載置するための載置部材とが、それぞれ別の載置部材として設けられていることを特徴とする建材の持ち上げ装置。
【請求項5】
請求項4に記載の建材の持ち上げ装置において、前記巻取軸を載置するための前記一対の部材となっている前記載置部材の間隔は、小さくなっており、前記渦巻き状に巻回されている前記シャッターカーテンを載置するための前記一対の部材となっている前記載置部材の間隔は、大きくなっていることを特徴とする建材の持ち上げ装置。
【請求項6】
請求項5に記載の建材の持ち上げ装置において、前記巻取軸を載置するための前記一対の部材となっている前記載置部材は、前記渦巻き状に巻回されている前記シャッターカーテンを載置するための前記一対の部材となっている前記載置部材の間に配置されていることを特徴とする建材の持ち上げ装置。
【請求項7】
請求項4~6のいずれかに記載の建材の持ち上げ装置において、前記渦巻き状に巻回されている前記シャッターカーテンを載置するための前記一対の部材となっている前記載置部材に、前記結合体が載置可能となっていることを特徴とする建材の持ち上げ装置。
【請求項8】
請求項4~7のいずれかに記載の建材の持ち上げ装置において、前記渦巻き状に巻回されている前記シャッターカーテンを載置するための前記一対の部材となっている前記載置部材は、回転自在の回転部材となっていることを特徴とする建材の持ち上げ装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の建材の持ち上げ装置において、前記第1持ち上げ手段は、フォークリフト車両の昇降するフォークであることを特徴とする建材の持ち上げ装置。
【請求項10】
請求項9に記載の建材の持ち上げ装置において、前記フォークには、
前記装置となっているアタッチメント台が着脱可能にセットされ、前記フォークの上昇により前記建材を前記配置箇所よりも低い箇所まで持ち上げる前記アタッチメント台に、前記第2持ち上げ手段が設けられていることを特徴とする建材の持ち上げ装置。
【請求項11】
請求項10に記載の建材の持ち上げ装置において、前記フォークは前方へ延びる前方延出部を有しており、前記アタッチメント台は、前記前方延出部が内部に挿入される筒部材を備えていることを特徴とする建材の持ち上げ装置。
【請求項12】
請求項11に記載の建材の持ち上げ装置において、前記フォークは上下方向に延びる上下延出部を有しており、この上下延出部の下端から前記前方延出部が前方へ延びており、前記筒部材には、前記上下延出部と前記前方延出部との連結部よりも後側において前記筒部材の開口部の少なくとも一部を塞ぐことにより、前記筒部材が前記前方延出部から前方へ抜け出すことを阻止するための抜け出し阻止手段が設けられていることを特徴とする建材の持ち上げ装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかに記載の建材の持ち上げ装置において、前記第2持ち上げ手段は、前記建材の少なくとも一部を吊り下げて支持するための紐状部材を含んで構成され、この紐状部材の上昇により前記建材の少なくとも一部が持ち上げられることを特徴する建材の持ち上げ装置。
【請求項14】
配置箇所が構造物の高所となっている建材を持ち上げるための建材の持ち上げ方法であって、
前記建材を前記配置箇所よりも低い箇所まで持ち上げ精度を低精度にして持ち上げるための第1持ち上げ作業工程と、
この第1持ち上げ作業工程により前記配置箇所よりも低い箇所まで持ち上げられた前記建材の少なくとも一部を、持ち上げ精度を高精度にして持ち上げるための第2持ち上げ作業工程と、
を含
み、
前記第1持ち上げ手段により持ち上げられる装置に前記建材が載置可能となっているとともに、この載置可能の建材は、前記構造物に形成されている開口部を開閉するシャッターカーテンを繰り出し自在に巻き取るための巻取軸と、渦巻き状に巻回されている前記シャッターカーテンと、前記巻取軸及びこの巻取軸に上端が結合されて前記巻取軸に渦巻き状に巻回された前記シャッターカーテンによる結合体との3種類の建材であり、
前記3種類の建材のうち、選択されて前記装置に載置された建材を、この建材を前記配置箇所よりも低い箇所まで前記第1持ち上げ作業工程により低精度で持ち上げ、
この第1持ち上げ作業工程により前記配置箇所よりも低い箇所まで持ち上げられた前記建材の少なくとも一部を、第2持ち上げ作業工程により持ち上げ精度を高精度にして持ち上げることを特徴とする建材の持ち上げ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配置箇所が構造物の高所となっている建材を持ち上げるための建材の持ち上げ装置及びその方法に係り、例えば、シャッター装置のシャッターカーテンを繰り出し自在に巻き取るための巻取軸や、シャッターカーテン等の建材の持ち上げ作業に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、建物等の構造物に形成されている出入口等の開口部を開閉するためのシャッターカーテンと、このシャッターカーテンを繰り出し自在に巻き取ることにより、シャッターカーテンに開口部を開閉させるための巻取軸とが構成部材となって構成されているシャッター装置が示されている。このようなシャッター装置における巻取軸の軸方向の両端部は、出入口等の開口部の上側に、巻取軸の軸方向の間隔をあけて2個配設されているブラケットにより受けられるものになっているため、巻取軸や、この巻取軸に巻き取られるシャッターカーテンは、これらのブラケットと同様に構造物の高所に配置しなければならない建材となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来において、巻取軸の軸方向の両端部を構造物の高所に2個配設されているブラケットにより受けさせるための作業は、例えば、滑車等を用いた作業者の手作業によって巻取軸を所定高さ位置まで引き上げることにより行われている。このため、巻取軸を所定の高さ位置まで引き上げるために手間と時間がかかり、また、巻取軸の軸方向の両端部をブラケットにより受けさせることができる正確な高さ位置まで引き上げるためにも手間と時間がかかる。
【0005】
本発明の目的は、配置箇所が構造物の高所となっている建材の持ち上げ作業を迅速かつ高精度にして行えるようにし、作業の容易化を図ることができるようになる建材の持ち上げ装置及びその持ち上げ方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る建材の持ち上げ装置は、配置箇所が構造物の高所となっている建材を持ち上げるための建材の持ち上げ装置であって、前記建材を前記配置箇所よりも低い箇所まで持ち上げ精度を低精度にして持ち上げるための第1持ち上げ手段と、この第1持ち上げ手段により前記配置箇所よりも低い箇所まで持ち上げられた前記建材の少なくとも一部を、持ち上げ精度を高精度にして持ち上げるための第2持ち上げ手段とを含んで構成されているものである。
【0007】
このように本発明に係る建材の持ち上げ装置は、第1持ち上げ手段と第2持ち上げ手段とを含んで構成されており、第1持ち上げ手段は、建材を、この建材が配置される箇所よりも低い箇所まで持ち上げ精度を低精度にして持ち上げるための手段となっているため、持ち上げ速度を高速化することができ、また、第2持ち上げ手段は、第1持ち上げ手段により前記配置箇所よりも低い箇所まで持ち上げられた建材の少なくとも一部を、持ち上げ精度を高精度にして持ち上げるための手段となっているため、本発明に係る建材持ち上げ装置全体として、配置箇所が構造物の高所となっている建材の持ち上げ作業を迅速かつ高精度にして行え、作業の容易化を図ることができるようになる。
【0008】
以上の本発明に係る持ち上げ装置は、任意の建材を構造物の高所まで持ち上げるために用いることができ、その一例の建材は、構造物に形成されている開口部を開閉するシャッターカーテンを繰り出し自在に巻き取るための巻取軸である。
【0009】
このように構造物の高所まで持ち上げられる建材を、構造物に形成されている開口部を開閉するシャッターカーテンを繰り出し自在に巻き取るための巻取軸とする場合には、この巻取軸の軸方向の両端部は、不動部材に、巻取軸の配置箇所と同じ高さ位置又は略同じ高さ位置において、巻取軸の軸方向の間隔をあけて2個配設されているブラケットにより受けられるものとなっているため、第2持ち上げ手段を、巻取軸をこの巻取軸の軸方向に離れた少なくとも2箇所において支持する支持部材を含んで構成されたものとし、これらの支持部材を、それぞれ個別に巻取軸を昇降させることができるものにすることが好ましい。
【0010】
これによると、それぞれの支持部材を個別に昇降させることにより、2個のブラケットにより受けられる巻取軸の軸方向の両端部の高さ位置を個別に調整することができるため、これらの両端部をブラケットに受けさせるための作業をより正確かつ容易に行える。
【0011】
また、構造物の高所まで持ち上げられる建材は、構造物に形成されている開口部を開閉するシャッターカーテンでもよい。
【0012】
このように構造物の高所まで持ち上げられる建材を、構造物に形成されている開口部を開閉するシャッターカーテンとする場合には、第2持ち上げ手段を、シャッターカーテンの上端を支持し、この上端を、シャッターカーテンの上端が結合される巻取軸の高さ位置と同じ又は略同じ高さ位置まで持ち上げるための支持部材を含んで構成されているものとしてもよい。
【0013】
これによると、シャッターカーテンの上端を、第2持ち上げ手段を構成している支持部材によってシャッターカーテンの上端が結合される巻取軸の高さ位置と同じ又は略同じ高さ位置まで高精度にして持ち上げることができるため、この持ち上げ作業をより正確に行え、シャッターカーテンの上端を巻取軸に結合する作業も容易に行うことができる。
【0014】
また、構造物の高所まで持ち上げられる建材を、構造物に形成されている開口部を開閉するシャッターカーテンを繰り出し自在に巻き取るための巻取軸と、この巻取軸に上端が結合され、巻取軸に巻き取られているシャッターカーテンとの結合体としてもよい。
【0015】
このように構造物の高所まで持ち上げられる建材を、構造物に形成されている開口部を開閉するシャッターカーテンを繰り出し自在に巻き取るための巻取軸と、この巻取軸に上端が結合され、巻取軸に巻き取られているシャッターカーテンとの結合体とする場合には、前述したように、巻取軸の軸方向の両端部は、不動部材に、巻取軸の配置箇所と同じ高さ位置又は略同じ高さ位置において、巻取軸の軸方向の間隔をあけて2個配設されているブラケットにより受けられるものとなっているため、第2持ち上げ手段を、結合体における巻取軸の軸方向に離れた少なくとも2箇所において支持する支持部材を含んで構成されたものとし、これらの支持部材を、それぞれ個別に結合体を昇降させることができるものにすることが好ましい。
【0016】
これによると、それぞれの支持部材を個別に昇降させることにより、2個のブラケットにより受けられる巻取軸の軸方向の両端部の高さ位置を個別に調整することができるため、これらの両端部をブラケットに受けさせるための作業をより正確かつ容易に行える。
【0017】
また、以上の本発明において、第1持ち上げ手段は、巻取軸等の建材を、この建材の配置箇所となっている構造物の高所よりも低い箇所に高速かつ低精度で持ち上げることができるものであれば、任意な手段によるものでよく、例えば、フォークリフト車両の昇降するフォークでもよく、あるいは、クレーン車両のクレーンでもよく、あるいは、チェーンブロック等でもよい。
【0018】
第1持ち上げ手段をフォークリフト車両の昇降するフォークとする場合には、このフォークに、建材が載置されるアタッチメント台を着脱可能にセットできるようにし、フォークの上昇により建材を前記配置箇所よりも低い箇所まで持ち上げるためのこのアタッチメント台に上述した第2持ち上げ手段を設けてもよい。
【0019】
このようにした場合において、フォークが前方へ延びる前方延出部を有するものとなっているときには、アタッチメント台を、この前方延出部が内部に挿入される筒部材を備えているものとすることにより、フォークにアタッチメント台を着脱可能にセットできるようになる。
【0020】
また、このようにした場合には、フォークが上下方向に延びる上下延出部を有し、この上下延出部の下端から前方延出部が前方へ延びている場合には、筒部材には、フォークの上下延出部と前方延出部との連結部よりも後側において筒部材の開口部の少なくとも一部を塞ぐことにより、筒部材が前方延出部から前方へ抜け出すことを阻止するための抜け出し阻止手段を設けることが好ましい。
【0021】
これによると、フォークにアタッチメント台を着脱可能にセットできるようにしても、抜け出し阻止手段により筒部材が前方延出部から前方へ抜け出すことが阻止されるため、フォークからのアタッチメント台の脱落を防止することができる。
【0022】
また、本発明において、第2持ち上げ手段は、第1持ち上げ手段により建材の配置箇所よりも低い箇所まで持ち上げられた建材の少なくとも一部を、持ち上げ精度を高精度にして持ち上げることができるものであれば、任意の手段でよく、すなわち、第2持ち上げ手段は、建材の少なくとも一部を吊り下げて支持し、上昇することにより建材の少なくとも一部を持ち上げることができるワイヤー等による紐状部材を含んで構成されたものでもよく、あるいは、伸縮作動するピストンロッドを有するシリンダを含んで構成されたものでもよく、あるいは、送りねじが用いられたねじ式送り装置によるものでもよい。
【0023】
また、本発明に係る建材の持ち上げ方法は、配置箇所が構造物の高所となっている建材を持ち上げるための建材の持ち上げ方法であって、建材を前記配置箇所よりも低い箇所まで持ち上げ精度を低精度にして持ち上げるための第1持ち上げ作業工程と、この第1持ち上げ作業工程により前記配置箇所よりも低い箇所まで持ち上げられた前記建材の少なくとも一部を、持ち上げ精度を高精度にして持ち上げるための第2持ち上げ作業工程と、を含んでいることを特徴とするものである。
【0024】
この建材の持ち上げ方法によると、第1持ち上げ作業工程では、建材を前記配置箇所よりも低い箇所まで持ち上げ精度を低精度にして持ち上げるため、この作業を持ち上げ速度を高速化して行えることになり、また、第2持ち上げ作業工程では、第1持ち上げ作業工程により前記配置箇所よりも低い箇所まで持ち上げられた前記建材の少なくとも一部を、持ち上げ精度を高精度にして持ち上げるため、この作業を高精度の持ち上げ精度で行えることになり、このため、本発明に係る建材の持ち上げ方法全体としては、配置箇所が構造物の高所となっている建材の持ち上げ作業を迅速かつ高精度にして行え、作業の容易化を図ることができるようになる。
【0025】
以上説明した本発明に係る建材の持ち上げ装置及びその持ち上げ方法は、巻取軸やシャッターカーテン等のシャッター装置のための建材はもちろんのこと、天井面に配置される照明器具やエアコン等の任意の建材についても適用することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によると、配置箇所が構造物の高所となっている建材の持ち上げ作業を迅速かつ高精度にして行え、作業の容易化を図ることができるようになるという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る装置及び方法が適用される建材で構成されたシャッター装置の全体を示す正面図である。
【
図2】
図2は、シャッター装置のための建材となっている巻取軸の軸方向の両端部を、シャッター装置が設置される構造物の高所に2個配設されているブラケットにより受けさせたときの状態を示す正面図である。
【
図3】
図3は、巻取軸等を載置して搬送するための搬送台車の側面図である。
【
図6】
図6は、フォークリフト車両のフォークにセットされるアタッチメント台の側面図である。
【
図9】
図9は、搬送台車とアタッチメント台とフォークリフト車両をシャッター装置の設置現場に配置したときを示す側面図である。
【
図10】
図10は、アタッチメント台がフォークリフト車両のフォークにセットされたときを示す側面図である。
【
図12】
図12は、フォークリフト車両のフォークの前方延出部が内部に挿入されているアタッチメント台の筒部材が、抜け出し阻止手段により前方へ抜け出すことが阻止されていることを示す拡大図であって、(A)は、平面図であり、(B)は、側面図である。
【
図13】
図13は、巻取軸を搬送台車からアタッチメント台に受け渡すときにおける搬送台車とアタッチメント台の位置関係を示す側面図である。
【
図15】
図15は、フォークリフト車両のフォークの上昇により巻取軸が搬送台車からアタッチメント台に受け渡された後を示す側面図である。
【
図16】
図16は、アタッチメント台の巻取軸がフォークリフト車両によりシャッター装置の設置現場に搬送されたときを示す正面図であって、フォークリフト車両を二点鎖線で示した図である。
【
図19】
図19は、アタッチメント台の巻取軸が、この巻取軸の軸方向の両端部を受けるための2個のブラケットが配設されている高さ位置まで持ち上げられときを示す正面図であって、フォークリフト車両を二点鎖線で示した図である。
【
図22】
図22は、渦巻き状に巻回されたシャッターカーテンを搬送台車からアタッチメント台に受け渡すときにおける搬送台車とアタッチメント台の位置関係を示す側面図である。
【
図23】
図23は、フォークリフト車両のフォークの上昇によりシャッターカーテンが搬送台車からアタッチメント台に受け渡された後を示す側面図である。
【
図24】
図24は、アタッチメント台のシャッターカーテンの上端を巻取軸が配置されている高さ位置まで引き上げたときを、フォークリフト車両を省略して示した側面図である。
【
図26】
図26は、シャッターカーテンの上端を巻取軸に結合したときを示す
図24と同様の図である。
【
図27】
図27は、巻取軸の回転によりアタッチメント台のシャッターカーテンが巻取軸に巻き取られているときを示す
図24と同様の図である。
【
図28】
図28は、アタッチメント台に、巻取軸とシャッターカーテンとの結合体を載置した実施形態を示す
図9と同様の図である。
【
図31】
図31は、アタッチメント台の巻取軸とシャッターカーテンとの結合体を持ち上げるための別実施形態に係る作業を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明に係る装置が適用される建材を用いて組み立てられたシャッター装置の全体正面図が示されている。構造物である建物に設置されるこのシャッター装置は、建物に形成された開口部となっている出入口10を上下方向に開閉するシャッターカーテン1と、このシャッターカーテン1の上下移動を案内するために、建物の不動部材となっている柱等の躯体7に取り付けられ、シャッターカーテン1の幅方向の両端部が上下にスライド自在に挿入された左右2個のガイドレール2と、出入口10の上側に建物の不動部材となって設けられている壁等の躯体8に取り付けられた左右2個のブラケット3と、これらのブラケット3により軸方向の両端部が受けられている巻取軸4と、2個のブラケット3に水平に架け渡されている巻取軸4に上端が結合されたシャッターカーテン1を巻取軸4で巻き取り、巻取軸4から繰り出すために、2個のブラケット3のうちの一方に取り付けられ、巻取軸4を正逆回転させるための電動モータとブレーキの組み合せからなる開閉機5と、この開閉機5の駆動力を巻取軸4に伝達するためのスプロケットホイールやチェーンによる駆動力伝達装置6とを含んで構成されており、躯体8には、巻取軸4を内部に収納するシャッターケース9が取り付けられている。
【0029】
2個のブラケット3で軸方向の両端部が受けられている巻取軸4が開閉機5の駆動力で正逆回転することにより、上端が巻取軸4に結合されているシャッターカーテン1は、出入口10において、ガイドレール2に案内されながら上下に移動して出入口10を開閉し、シャッターカーテン1が全閉となったときには、シャッターカーテン1の下端を形成している座板1Aは床11に達する。また、シャッターカーテン1が全開となったときには、座板1Aは、シャッターカーテン1を上下に挿通させるためのスリットが形成されているシャッターケース9の下面9Aに達し、これにより、シャッターカーテン1は、出入口10の全体又は略全体を開放する。このため、シャッターカーテン1により出入口10の全部又は略全部が開閉される。
【0030】
なお、巻取軸4に結合されているシャッターカーテン1の上端は、
図24及び
図25で示されている吊元部材1Bにより形成されており、この吊元部材1Bと、シャッターカーテン1の下端を形成している座板1Aとを除くシャッターカーテン1の全部又は大部分は、
図1に示されているように、上下に多数連設されたスラット1Cにより形成されており、それぞれのスラット1Cの上下端部に設けられているカール部同士が回動自在に係合していることにより、スラット1C同士が連結されている。
【0031】
このシャッター装置では、シャッターカーテン1や巻取軸4は、建物に設置されるシャッター装置を構成するための部材となっているため、これらのシャッターカーテン1や巻取軸4は、本実施形態に係るシャッター装置のための建材となっている。なお、後述する本発明の一実施形態に係る装置及び方法は、開閉機5によりシャッターカーテン1が開閉移動する自動式シャッター装置のためのシャッターカーテン1と巻取軸4はもちろんのこと、手動操作によりシャッターカーテンが開閉移動する手動式シャッター装置のためのシャッターカーテンと巻取軸にも適用できる。
【0032】
図2には、
図1で示した巻取軸4を、この巻取軸4の軸方向の間隔をあけて躯体8に取り付けられている2個のブラケット3によって受けさせた作業が終了したときの状態が示されており、そして、
図2で示されている状態では、巻取軸4へのシャッターカーテン1の上端の結合作業がまだ行われておらず、また、躯体7へのガイドレール2の取付作業及び躯体8へのシャッターケース9の取付作業等もまだ行われていない。
【0033】
なお、
図2に示されているように、巻取軸4の軸方向の両端部は細径の首部4Aとなっており、これらの首部4Aが、それぞれのブラケット3に前方に向かって開口形成されている凹部3A(
図17等も参照)に挿入されることにより、巻取軸4の軸方向の両端部は2個のブラケット3により受けられることになる。また、それぞれの首部4Aには
図2の軸受部材12が回転自在に配置されており、これらの軸受部材12がビス等でブラケット3に結合されることにより、巻取軸4は、ブラケット3に軸受部材12を介して回転自在に支持されることになる。
【0034】
シャッターカーテン1と巻取軸4は予め工場で製造される。
図3~
図5には、工場で予め製造されたシャッターカーテン1と巻取軸4とが載置され、これらのシャッターカーテン1と巻取軸4を工場やシャッター装置の設置現場等で搬送するために用いられる搬送台車20が示されており、
図3は側面図、
図4は正面図、
図5は平面図である。なお、この搬送台車20に載置されるときのシャッターカーテン1は渦巻き状に巻回されていて、出入口10の全部又は略全部を開閉できる大きさを有するものとなっている。
【0035】
図4及び
図5に示されているように、搬送台車20は、シャッターカーテン1の幅方向である左右方向に配置された2個のベース部材21を備えたものとなっており、
図1の出入口10を閉じているときのシャッターカーテン1の厚さ方向となっている前後方向へ長さを有するこれらのベース部材21の前後両端部の下面には、
図3のキャスタによる走行輪22がキャスタブラケット22Aにより回転自在に取り付けられている。
図3に示されているように、それぞれのベース部材21の下面には、走行輪22同士の間において、下方への寸法を有する中間部材23が結合され、
図4に示されているように、これらの中間部材23は、棒状の連結部材24により連結されている。
図3及び
図5に示されているように、前後方向に2本設けられているこれらの連結部材24は、
図3で示されているクランプ25で中間部材23に結合され、それぞれのクランプ25は、一方が中間部材23の下面にビス等で止着された2個の挟着部材26,27と、これらの挟着部材26,27の一方の端部同士を回動自在に連結するピン28と、挟着部材26の他方の端部に軸方向の端部が回動自在に連結されていて、挟着部材27の他方に形成されているU字溝に挿入係合されるボルト軸29と、U字溝から突出したボルト軸29の端部に螺合されているナット30とを有するものとなっている。
【0036】
このため、ナット30を締め付けることにより、クランプ25は2個の挟着部材26,27により連結部材24を挟着するため、連結部材24は中間部材23を介してベース部材21に結合される。また、ナット30を緩めることにより、クランプ25は連結部材24の挟着を解除することになり、これにより、2個のベース部材21の間隔を、巻取軸4の長さ方向となっていて、連結部材24の長さ方向となっている左右方向に変更、調整することができる。
【0037】
図3に示されているように、それぞれのベース部材21の上面には、巻取軸4を載置するための一対の第1載置部材31と、前述したように渦巻き状に巻回されているシャッターカーテン1を載置するための一対の第2載置部材32とが、前後方向に離れて配置されている。前後方向に一対をなして離間配置されている第1載置部材31の上面31Aは、互いに近づく方向に下り傾斜した傾斜面となっており、これらの第1載置部材31よりも大きな間隔をもって前後方向に一対をなして離間配置されている第2載置部材32の上面32Aも、互いに近づく方向に下り傾斜した傾斜面となっている。これにより、一対の第1載置部材31に巻取軸4を安定して載置できるとともに、一対の第2載置部材32にもシャッターカーテン1を安定して載置できるようになっている。
【0038】
本実施形態では、
図3に示されているように、ベース部材21における上面の前後方向において、一対の第1載置部材31は後側に配置され、一対の第2載置部材32は前側に配置されている。また、
図4に示されているように、第2載置部材32に渦巻き状に巻回されて載置されているシャッターカーテン1の下端部1Dは、第1載置部材31に載置されている巻取軸4の下端部4Bよりも下側に達している。
【0039】
また、第1載置部材31と第2載置部材32は、
図5に示されているように、連結部材24の長さ方向である左右方向に2個配置されているベース部材21のそれぞれに設けられているため、一対の第1載置部材31は左右方向に離れて2個設けられているとともに、一対の第2載置部材32も左右方向に離れて2個設けられている。そして、左右方向は、搬送台車20により搬送される建材となっている巻取軸4の軸方向であって、渦巻き状に巻回されているシャッターカーテン1の軸方向でもあり、これらの軸方向は、巻取軸4と、渦巻き状に巻回されているシャッターカーテン1とを搬送台車20で搬送される建材とした場合におけるこれらの建材の長さ方向となるため、第1載置部材31も第2載置部材32も、これらの建材の長さ方向に離れて複数個、より具体的には、2個設けられていることになる。
【0040】
また、本実施形態では、搬送台車20の構成要素となっているそれぞれのベース部材21は、建材の長さ方向に離れてそれぞれ2個設けられている第1及び第2載置部材31,32ごとに設けられているとともに、これらのベース部材21は、上述したように連結部材24に対するクランプ25の挟着解除により、連結部材24との結合を解除できるものとなっているため、建材の長さ方向における第1及び第2載置部材31,32の間隔を変更、調整することができる。これにより、本実施形態に係る搬送台車20は、建材としての長さ方向の寸法がそれぞれ異なっている各種の巻取軸4とシャッターカーテン1を載置することができて、走行輪22の転動により、巻取軸4とシャッターカーテン1を走行搬送させることができるものになっている。
【0041】
また、本実施形態に係る搬送台車20には、作業者が搬送台車20を走行させるために手を掛けるための
図3及び
図4の手掛け部材33が設けられている。この手掛け部材33は、搬送台車20の収納等を小型化して容易に行えるようにするために、搬送台車20に対して着脱可能となっており、本実施形態では、長寸法の筒状部材となっている手掛け部材33が、ベース部材21に立設されている細長部材34の外周に上から挿入されることにより、手掛け部材33が搬送台車20に着脱可能に装着される。
【0042】
図6~
図8には、搬送台車20から巻取軸4とシャッターカーテン1を受け取るための受け取り台となっていて、
図9のフォークリフト車両60のフォーク61に着脱可能にセットされるアタッチメント台40が示されており、
図6は側面図、
図7は正面図、
図8は平面図である。アタッチメント台40は、搬送台車20から巻取軸4とシャッターカーテン1を受け取るための受け取り台であるため、搬送台車20は、アタッチメント台40に巻取軸4とシャッターカーテン1を受け渡すための受け渡し台になっている。
【0043】
アタッチメント台40は、
図7に示されているように、シャッターカーテン1の幅方向である左右方向が長さ方向となっている1本の基部材41と、この基部材41の上面に左右方向の間隔をあけて立設された複数本、より具体的には、5本の支柱42と、これらの支柱42の上端に、長さ方向が基部材41の長さ方向と同じになって結合され、基部材41と同じ長さ寸法を有しているトップ部材43と、
図6及び
図7に示されているように、基部材41の下面に長さ方向である前後方向の途中部が結合されていて、左右方向に2本設けられている筒部材44とを含んで構成され、これらの筒部材44は、断面形状が四角形となっている角型筒部材である。5本の支柱42のうち、左右両端部からそれぞれ2本目の支柱42と、それぞれの筒部材44のうち、基部材41から後方へ突出している部分44Aとの間には、補強のための控え部材45が斜めに架設されているとともに、2本の筒部材44の前端上面同士の間にも、補強のための水平部材46が架設されている。
【0044】
図6に示されているように、トップ部材43の上側には、2個の滑車47,48が前後方向に離れて配置され、これらの滑車47,48は、
図7及び
図8に示されているように、左右方向に並設されている2本の保持部材49の間に配置され、
図6のピン50で結合されているこれらの保持部材49に架設された軸49A,49Bを中心に回転自在となっている滑車47,48は、2本の保持部材49により保持されている。これらの滑車47,48と2本の保持部材49は、
図7及び
図8に示されているように、5本の支柱42のうち、控え部材45が設けられていない左右方向両端部と左右方向中央部の3本の支柱42の真上に配置において、3組設けられている。
【0045】
それぞれの組における滑車47,48には、
図6に示されているように、後述する支持部材となっていて、紐状部材ともなっているワイヤー51が掛けられており、前後2個の滑車47,48のうち、前側の滑車47から下方へ延びているワイヤー51の先端にはフック部材52が取り付けられ、また、後側の滑車48から下方へ延びているワイヤー51の後端は、支柱42にブラケット53により回転自在に保持されている
図7の巻取リール54に結合されている。それぞれの巻取リール54には、巻取リール54を正逆回転させて、巻取リール54にワイヤー51の巻き取り、繰り出しを行わせるための電動モータとブレーキからなる駆動装置55が接続されており、これらの駆動装置55は、駆動装置55ごとに設けられた図示外の制御装置により制御されるものとなっている。
【0046】
それぞれの駆動装置55には、作業者が操作する送信器から送信される光又は音による無線信号を受信する受信器56が取り付けられ、これらの受信器56が受信する信号によりそれぞれの制御装置が、駆動装置55を個別に駆動制御することにより、それぞれの巻取リール54は、ワイヤー51を巻き取り、繰り出すための正逆回転を行う。そして、送信器には、それぞれのワイヤー51ごとに設けられている駆動装置55を制御装置により個別に制御して操作するための操作部が設けられているため、この操作部の操作にしたがい、3個の巻取リール54は、それぞれのワイヤー51を個別に巻き取り、繰り出すための正逆回転を行うものとなっている。
【0047】
図6に示されているように、アタッチメント台40の構成部材となっている筒部材44のうち、基部材41から前方へ突出している部分44Bの上面には、巻取軸4を載置するための一対の第3載置部材57と、前述したように渦巻き状に巻回されているシャッターカーテン1を載置するための一対の第4載置部材58が配置され、これらの第3載置部材57と第4載置部材58は、
図8に示されているように、2本の筒部材44のそれぞれに設けられているため、第3載置部材57と第4載置部材58のそれぞれは、左右方向に2個設けられていることになる。また、
図6に示されているように、第3載置部材57は、筒部材44に固定された保持部材59Aの軸59Bを中心に回転自在となっている回転部材であり、第4載置部材58も、筒部材44に固定された保持部材59Cの軸59Dを中心に回転自在となっている回転部材である。
【0048】
そして、本実施形態に係るアタッチメント台40では、一対の第3載置部材57に載置されたときの巻取軸4の中心部と、渦巻き状に巻回されて一対の第4載置部材58に載置されたときのシャッターカーテン1との中心部とが、前後方向において、一致又は略一致するように、これらの第3載置部材57と第4載置部材58は、それぞれの筒部材44に配置されている。
【0049】
また、
図7に示されているように、アタッチメント台40に左右2個設けられている筒部材44の前端同士を連結している前述の水平部材46の左右寸法はL1であり、この寸法L1は、
図4で示した搬送台車20の左右のベース部材21に設けられている走行輪22のキャスタブラケット22A同士の内幅寸法L2よりも小さい。また、
図7で示されているアタッチメント台40において、第3載置部材57の上端と第4載置部材58の上端とのうち、上方への突出量が大きい第4載置部材58の上端と、筒部材44の下面との間の上下寸法はH1であり、この寸法H1は、
図4に示されている搬送台車20において、第1載置部材31に載置されている巻取軸4の下端部4Bと、連結部材24の上端との間の上下寸法H2よりも小さい寸法になっている。また、寸法H1は、
図4の巻取軸4の下端部4Bよりも下側に達しているシャッターカーテン1の部分であって、搬送台車20の第2載置部材32に載置されているシャッターカーテン1の下端部1Dと、連結部材24の上端との間の上下寸法H3よりも小さい寸法になっている。
【0050】
次に、巻取軸4を、
図2で示した2個のブラケット3で受けさせるために実施する作業について説明する。
【0051】
図9には、搬送台車20の第1載置部材31に載置された巻取軸4を2個のブラケット3で受けさせる作業を実施するために、搬送台車20とアタッチメント台40とフォークリフト車両60とを、シャッター装置が設置される建物の床11に並べて配置したときを示しており、搬送台車20の第2載置部材32には渦巻き状に巻回されたシャッターカーテン1が載置されている。フォークリフト車両60のフォーク61は、シリンダやチェーン等の駆動手段によりガイド部材63に沿って昇降する。また、フォーク61は、上下方向に延びる上下延出部61Aと、この上下延出部61Aの下端から連結部61Bを介して前方へ延びる前方延出部61CとからなるL字状又は略L字状となっている。
【0052】
図10には、フォーク61を下降させてフォークリフト車両60を前進させることにより、フォーク61の前方延出部61Cを、床11に置かれているアタッチメント台40の筒部材44の内部に挿入し、これにより、アタッチメント台40をフォーク61にセットしたときの状態が示されており、
図11は、このときの平面図である。
【0053】
また、
図12には、このときにおける筒部材44とフォーク61との関係が拡大されて示されており、
図12(A)は平面図、
図12(B)は側面図である。それぞれの筒部材44の後端上面には、フォーク61の上下延出部61Aを嵌入するための欠部44Cが形成され、また、それぞれの筒部材44の後端には、この後端に形成されている開口部44Dの一部を塞いでいる抜け出し阻止手段64が設けられている。この抜け出し阻止手段64は、軸部65Aが開口部44Dを横断しているボルト65と、筒部材44の外部で軸部65Aの端部に螺合されたナット66とからなるものであり、軸部65Aは、筒部材44の内部において、フォーク61の上下延出部61Aと前方延出部61Cとを湾曲して連結している連結部61Bの後側において、開口部44Dの一部を塞いでいる。
【0054】
このため、フォーク61にアタッチメント台40をセットした後に、ボルト65とナット66からなる抜け出し阻止手段64を筒部材44にセットすると、筒部材44がフォーク61の前方延出部61Cから前方へ抜け出すことは、抜け出し阻止手段64のボルト65の軸部65Aがフォーク61の連結部61Bに当接することで阻止され、このため、アタッチメント台40をフォーク61に脱落を防止して安定した状態でセットすることができる。また、抜け出し阻止手段64は、筒部材44から分離可能となっているボルト65とナット66からなるため、これらのボルト65とナット66を筒部材44から分離することにより、アタッチメント台40をフォーク61から取り外すことも可能である。
【0055】
図13には、以上のようにしてアタッチメント台40がセットされたフォークリフト車両60のフォーク61を少し上昇させた後に、フォークリフト車両60を搬送台車20に向けて前進走行させることにより、又は、
図3及び
図4で示した手掛け部材33を装着した搬送台車20を作業者が手掛け部材33によりアタッチメント台40に向けて前進走行させることにより、アタッチメント台40の左右2個の筒部材44を、搬送台車20の第1載置部材31に載置されている巻取軸4の下側に挿入した状態が示されており、この挿入作業は、巻取軸4を載置するために搬送台車20に設けられている一対の第1載置部材31の位置と、アタッチメント台40に設けられている一対の第3載置部材57の位置とが一致するまで行われる。
図14は、
図13のS14-S14線断面図である。前述したように、
図7の寸法L1は
図4の寸法L2よりも小さいため、上述の挿入作業を、
図14に示されているように、アタッチメント台40に左右2個設けられている筒部材44を、搬送台車20に左右2個設けられているベース部材21の間に侵入させて行うことができる。
【0056】
また、
図7の寸法H1は
図4の寸法H2とH3よりも小さいため、
図14に示されているように、アタッチメント台40に設けられている第3載置部材57を、搬送台車20に設けられている第1載置部材31に載置された巻取軸4の下端部4Bの下側であって、搬送台車20の2個のベース部材21を連結している連結部材24の上側において、侵入させることにより、上述の挿入作業を行わせることができる。さらに、
図14に示されているように、搬送台車20の2個のベース部材21のそれぞれに設けられていて、巻取軸4の軸方向に離れて2個配置されている第1載置部材31の間隔は、アタッチメント台40の2個の筒部材44のそれぞれに設けられていて、巻取軸4の軸方向に離れて2個配置されている第3載置部材57の間隔よりも大きいため、アタッチメント台40の2個の第3載置部材57を搬送台車20の2個の第1載置部材31の間に侵入させることにより、上述の挿入作業を行わせることができる。
【0057】
図15には、上述の挿入作業を行った後に、フォークリフト車両60のフォーク61を上昇させることにより、このフォーク61でアタッチメント台40を持ち上げたときを示している。この持ち上げ作業により、搬送台車20の第1載置部材31に載置されていた巻取軸4は、アタッチメント台40の第3載置部材57に受け渡されることになる。このため、本実施形態において、搬送台車20は、巻取軸4をアタッチメント台40に受け渡すための受け渡し台となっており、アタッチメント台40は、巻取軸4を搬送台車20から受け取るための受け取り台となっている。
【0058】
そして、搬送台車20の第1載置部材31に載置されていた巻取軸4をアタッチメント台40の第3載置部材57に受け渡すために、このアタッチメント台40を上昇させるためのフォーク61を備えているフォークリフト車両60は、本実施形態におけるリフト装置となっている。
【0059】
以上の作業を行った後に、フォークリフト車両60をシャッター装置の設置現場まで走行させ、
図16に示されているように、フォーク61をさらに上昇させることにより、第3載置部材57に載置されることでアタッチメント台40に載せられている巻取軸4を、
図2で示した建物の不動部材となっている躯体8に左右2個配置されているブラケット3の高さ位置よりも低い箇所まで持ち上げる。
図16では、フォークリフト車両60は二点鎖線で示されている。
【0060】
そして、このようにアタッチメント台40に載せられている巻取軸4を2個のブラケット3の高さ位置よりも低い箇所まで持ち上げるときまでには、フォークリフト車両60を省略して示した
図16の側面図となっている
図17と、
図16の背面図となっている
図18に示されているように、アタッチメント台40に左右3本設けられているワイヤー51により、第3載置部材57に載置されている巻取軸4を吊り下げ支持することができるようにしておく。本実施形態では、この吊り下げ支持は、アタッチメント台40に前後2個設けられている滑車47,48のうち、前側の滑車47から下方に延びているそれぞれのワイヤー51の下部を巻取軸4の下側に回し、ワイヤー51の下端に取り付けられているフック部材52を、巻取軸4の上側において、ワイヤー51に係止することにより行っている。このような作業は、
図13の状態から、フォークリフト車両60のフォーク61の上昇により、巻取軸4が搬送台車20の第1載置部材31からアタッチメント台40の第3載置部材57に受け渡された直後に、フォーク61の上昇を停止させることによって行うことができ、これにより、作業者は、梯子や脚立等の昇降具を用いることなく低位置でこの作業を行うことができる。
【0061】
次いで、作業者は前述した送信器を操作することにより、それぞれのワイヤー51ごとに設けられている駆動装置55の駆動により、それぞれのワイヤー51ごとに設けられている巻取リール54を正回転させ、これらの巻取リール54でワイヤー51を巻き取ることにより、巻取軸4を第3載置部材57からワイヤー51により持ち上げ支持する。そして、この巻取軸4の持ち上げ支持の高さ位置を、
図19~
図21に示されているように、巻取軸4を受けるために建物の不動部材となっている躯体8に2個設けられているブラケット3と同じ高さ位置又は略同じ高さ位置とした後に、送信器の操作によりそれぞれの巻取リール54の正回転を停止させる。この後に、フォークリフト車両60を前進させたり、ワイヤー51で吊り下げ支持されている巻取軸4を作業者が押すなどすることにより、巻取軸4の軸方向の両端部に設けられている前述の首部4Aを、それぞれのブラケット3に形成されている凹部3Aに挿入し、これにより、巻取軸4の軸方向の両端部を、巻取軸4の軸方向の間隔をあけて躯体8に2個配設されているブラケット3により受けさせる。
【0062】
次いで、それぞれの首部4Aに配置されている軸受部材12をそれぞれのブラケット3にビス等で止着する作業を行い、これにより、巻取軸4は2個のブラケット3により回転自在に支持される。
【0063】
なお、巻取軸4を2個のブラケット3により回転自在に支持させるためには、巻取軸4の軸方向の両端部に2個設けられている首部4Aを、2個のブラケット3の凹部3Aに正確に挿入することが求められ、このため、ワイヤー51による巻取軸4の持ち上げ支持を、それぞれの首部4Aの高さ位置がそれぞれのブラケット3の凹部3Aの高さ位置と一致又は略一致するまで行うことが必要となる。このため、本実施形態では、3本のワイヤー51のうち、左右両側に配置された2本のワイヤー51は、巻取軸4の軸方向に離れた2箇所を持ち上げ支持するものとなっていて、これらのワイヤー51を、作業者が前述した送信器の操作によりそれぞれの巻取リール54を個別に正逆回転させることにより、個別に昇降させることができるようになっており、これにより、巻取軸4の2個の首部4Aを個別に昇降させる作業を行うことにより、巻取軸4が自重等で下方へ湾曲変形していても、巻取軸のそれぞれの首部4Aの高さ位置をそれぞれのブラケット3の凹部3Aの高さ位置と正確に一致又は略一致させることができる。
【0064】
なお、以上の説明では、巻取軸4の持ち上げ支持を、アタッチメント台40に左右方向に3本設けられているワイヤー51により行ったが、この持ち上げ支持を左右両側の2本のワイヤー51だけで行ってもよい。
【0065】
以上説明した本実施形態では、搬送台車20の第1載置部材31からアタッチメント台40の第3載置部材57に受け渡された巻取軸4を、2個のブラケット3が配置されている建物の高所の箇所まで持ち上げる作業は、フォークリフト車両60のフォーク61の上昇により、アタッチメント台40に載せられている巻取軸4をブラケット3の配置箇所よりも低い箇所まで持ち上げるための第1持ち上げ作業工程と、この後に、アタッチメント台40に配置されているワイヤー51により、巻取軸4をブラケット3の配置箇所まで持ち上げるための第2持ち上げ作業工程とを含んだものとなっている。
【0066】
また、本実施形態では、上述の第1持ち上げ作業工程が、アタッチメント台40がセットされたフォークリフト車両60のフォーク61の上昇により行われるため、このフォーク61は、第1持ち上げ作業工程を実施するための第1持ち上げ手段となっており、また、アタッチメント台40に配置されているワイヤー51は、巻取軸4を2個のブラケット3が配置されている高さの箇所まで吊り下げて持ち上げ支持するものとなっているため、このワイヤー51と、ワイヤー51を巻き取り、繰り出すための巻取リール54と、巻取リール54を正逆回転させるための駆動装置55等により、アタッチメント台40に設けられていて、第2持ち上げ作業工程を実施するための第2持ち上げ手段が構成されている。そして、ワイヤー51は、この第2持ち上げ手段の一部を構成して、巻取軸4を吊り上げて支持するための支持部材となっているとともに、紐状部材ともなっている。
【0067】
以上の本実施形態において、上述の第1持ち上げ作業工程は、フォークリフト車両60のフォーク61を上昇させる作業であるため、ワイヤー51を巻取リール54で巻き取ることにより実施される第2持ち上げ作業工程よりも低精度の作業となっているが、第2持ち上げ作業工程よりも高速で実施することができる作業となっている。また、第2持ち上げ作業工程は、第1持ち上げ作業工程よりも低速で実施される作業であるが、巻取リール54によるワイヤー51の上下移動量の制御により、第1持ち上げ作業工程よりも高精度で実施することができる作業となっている。このため、本実施形態によると、配置箇所が構造物の高所となっている巻取軸4の持ち上げ作業を迅速かつ高精度にして行え、また、この作業の容易化を図ることができる。
【0068】
また、上述した支持部材や紐状部材となってアタッチメント台40に配置されているワイヤー51は、本実施形態では、巻取軸4の軸方向に離れた少なくとも2箇所を支持するものとなっていて、これらのワイヤー51を個別に昇降させることができるため、これらのワイヤー51により、前述したように、巻取軸4の軸方向に離れた2箇所を個別に昇降させることにより、巻取軸4が自重等で下方へ湾曲変形していても、巻取軸4の軸方向の両端部に設けられている首部4Aの高さ位置を個別に調整することができ、これにより、これらの首部4Aの高さ位置をそれぞれのブラケット3の凹部3Aの高さ位置と一致又は略一致させる作業を、一層正確かつ容易に行うことができる。
【0069】
次に、以上のようにして2個のブラケット3に受けさせた巻取軸4にシャッターカーテン1の上端を結合するための作業について説明する。
【0070】
図22には、この作業を行うために、シャッターカーテン1を搬送台車20の第2載置部材32からアタッチメント台40の第4載置部材58に受け渡すために行う最初の作業が示されている。この作業は、フォークリフト車両60のフォーク61にセットされたアタッチメント台40の筒部材44を、
図13で示した巻取軸4のときと同様にして、搬送台車20の第2載置部材32に渦巻き状に巻回されて載置されたシャッターカーテン1の下側に挿入する作業であり、この挿入作業を、搬送台車20に設けられている一対の第2載置部材32の位置と、アタッチメント台40に設けられている一対の第4載置部材58の位置とが一致するまで行う。
【0071】
このとき、前述したように、
図7の寸法H1は
図4の寸法H3よりも小さいため、搬送台車20の第2載置部材32に載置されているシャッターカーテン1の下端部1Dの下側であって、搬送台車20の2個のベース部材21を連結している連結部材24の上側において、アタッチメント台40の筒部材44を侵入させることにより、上述の挿入作業を行わせることができる。
【0072】
次いで、
図23に示されているように、フォークリフト車両60のフォーク61を上昇させることにより、このフォーク61でアタッチメント台40を持ち上げ、これにより、搬送台車20の第2載置部材32に載置されていたシャッターカーテン1をアタッチメント台40の第4載置部材58に受け渡すための作業を行う。この後に、フォークリフト車両60をシャッター装置の設置現場まで走行させるとともに、フォーク61を上昇させ、これにより、
図24から分かるように、アタッチメント台40の第4載置部材58に渦巻き状に巻回されて載置されているシャッターカーテン1の高さ位置が、2個のブラケット3により受けられている巻取軸4の高さ位置よりも低い位置となる箇所までアタッチメント台40を上昇させる。
【0073】
次いで、作業者は、ワイヤー51の先端に設けられている前述のフック部材52をシャッターカーテン1の上端に引っ掛ける作業を行う。この引っ掛け作業は、
図25から分かるように、シャッターカーテン1の上端を巻取軸4に結合するためにシャッターカーテン1の上端に設けられている吊元部材1Bの孔68にフック部材52を挿入する作業であり、孔68は、シャッターカーテン1の吊元部材1Bを巻取軸4に結合するためのボルトを挿入するボルト孔である。なお、吊元部材1Bは、渦巻き状に巻回されているシャッターカーテン1の軸方向である左右方向に複数個設けられており、それぞれの吊元部材1Bには、吊元部材1Bでの高さ位置が異なる複数個の孔68が左右方向に離れて形成されている。これにより、巻取軸4でシャッターカーテン1を巻き取ったときに、シャッターカーテン1が横ずれしないで巻取軸4で巻き取ることができる孔68を選択してボルトを挿入して、吊元部材1Bを巻取軸4に結合できるようになっている。
【0074】
本実施形態では、左右方向に複数個設けられている
図25の吊元部材1Bのうち、左右方向中央部の吊元部材1Bの孔68に、アタッチメント台40に左右方向に3本設けられているワイヤー51のうち、左右方向中央部のワイヤー51のフック部材52が挿入され、また、このフック部材52は、左右方向中央部の吊元部材1Bに左右方向に複数個形成されている孔68のうち、左右方向中央部の孔68に挿入されている。これにより、後述するように、左右方向中央部の1本のワイヤー51の引き上げにより、シャッターカーテン1の上端を引き上げた際に、この上端全体を均一に引き上げることができるようにする。
【0075】
以上の作業を行った後に、作業者は前述した送信器を操作することにより、左右方向に3本設けられているワイヤー51のうち、左右方向中央部の1本のワイヤー51だけを、このワイヤー51のためにアタッチメント台40に配置されている巻取リール54を駆動装置55で正回転させることで巻き取り、これにより、
図24及び
図25で示されているように、前述した支持部材となっているこのワイヤー51によってシャッターカーテン1の上端を引き上げ、この上端の高さ位置を、2個のブラケット3で支持されている巻取軸4の高さ位置と同じ又は略同じ高さ位置とする。次いで、作業者は、フック部材52を孔68から抜き取るとともに、それぞれの吊元部材1Bを、
図26に示されているように、上述のボルトにより巻取軸4に結合する。
【0076】
次いで、作業者は、2個のブラケット3に回転自在に支持されている巻取軸4を正回転させることにより、アタッチメント台40の第4載置部材58に渦巻き状に巻回されているシャッターカーテン1から、このシャッターカーテン1を形成するために連設されているそれぞれのスラット1Cを繰り出させて巻取軸4で巻き取る作業を行う。この作業を行っているときの状態が
図27に示されている。この際、渦巻き状に巻回されているシャッターカーテン1は第4載置部材58の上で回転するが、第4載置部材58は、前述したように、回転自在の回転部材となっているため、シャッターカーテン1を第4載置部材58の上で円滑に回転させることができ、これにより、それぞれのスラット1Cを巻取軸4で巻き取る作業をより確実に行うことができる。
【0077】
なお、このときまでに、巻取軸4を回転させるための
図1で示した開閉機5と駆動力伝達装置6とを2個のブラケット3の一方に取り付ける作業が終了している場合には、シャッターカーテンのそれぞれのスラット1Cを巻取軸4で巻き取るために巻取軸4を正回転させる作業を、これらの開閉機5と駆動力伝達装置6を用いて行ってもよい。
【0078】
巻取軸4でシャッターカーテン1の全体を巻き取る作業が終了した後に、
図1で示した左右のガイドレール2を躯体7に取り付ける作業や、シャッターケース9を躯体8に取り付ける作業等の残余の作業を行う。次いで、巻取軸4を開閉機5や駆動力伝達装置6等により逆回転させ、これにより、巻取軸4から繰り出されたシャッターカーテン1の幅方向の両端部を左右のガイドレール2の内部にスライド自在に挿入して、シャッターカーテン1を下降させる。この作業が終了すると、シャッター装置は、シャッターカーテン1により
図1の出入口10を開閉させることができる状態となる。
【0079】
以上の実施形態において、左右方向中央部のワイヤー51は、アタッチメント台40の第4載置部材58に載置されたシャッターカーテン1の上方から吊り下げられた紐状部材となっているとともに、シャッターカーテン1の上端を引き上げるための引き上げ部材ともなっている。そして、このように引き上げ部材となっているワイヤー51が配置されたアタッチメント台40は、引き上げ装置ともなっている。
【0080】
以上説明した本実施形態によると、2個のブラケット3で回転自在に受けられている巻取軸4に上端が結合されるシャッターカーテン1は、予め工場において、出入口10の全体又は略全体を開閉することができる大きさに形成されているため、シャッター装置の設置現場において、巻取軸4に吊元部材1Bをボルトで結合した後に、このような大きさを有しているシャッターカーテン1を巻取軸4によって巻き取るための作業を実施することができる。このため、シャッター装置の設置現場において、巻取軸4に吊元部材1Bをボルトで結合した後に、シャッターカーテン1の大部分を形成するそれぞれのスラット1Cを、これらのスラット1Cの上下端部に形成されているカール部同士を回動自在に係合させることで連結してシャッターカーテン1を形成するために、これらのスラット1Cを横方向から順次差し込むためのスライド作業を省略することができ、巻取軸4に巻き取られるシャッターカーテン1の形成作業を容易に行うことができる。
【0081】
また、本実施形態によると、上述の紐状部材及び引き上げ部材となっているワイヤー51の先端には、シャッターカーテン1の上端に設けられている吊元部材1Bの孔68に挿入されることで、シャッターカーテン1の上端を引っ掛けて引き上げるためのフック部材52が設けられているため、シャッターカーテン1の上端を巻取軸4に結合するためにこの上端を引き上げる作業を、巻取軸4にシャッターカーテン1の上端を結合するためにこの上端に設けられている吊元部材1Bを利用して行える。また、フック部材52を引っ掛けるための孔68は、吊元部材1Bを巻取軸4に結合するボルトを挿入するボルト孔であるため、このボルト孔を利用してワイヤー51によるシャッターカーテン1の引き上げ作業を行うことができる。
【0082】
さらに、本実施形態では、ワイヤー51のフック部材52によりシャッターカーテン1の上端を引き上げる作業を行う前に、アタッチメント台40の第4載置部材58に載置されているシャッターカーテン1は、前述したリフト装置となっているフォークリフト車両60のフォーク61により、2個のブラケット3で受けられている巻取軸4の高さ位置よりも少し低い位置まで高速で持ち上げられており、このため、引き上げ装置となっているアタッチメント台40の引き上げ部材となっているワイヤー51により、シャッターカーテン1の上端を巻取軸4の高さ位置と同じ又は略同じ高さ位置まで引き上げるための作業を短時間で行える作業とすることができ、これにより、シャッターカーテン1の上端を巻取軸4に結合するまでの全体の作業時間の短縮を図ることができる。
【0083】
以上説明した実施形態では、アタッチメント台40に左右方向に3本設けられているワイヤー51のうち、左右方向中央部の1本のワイヤー51により、シャッターカーテン1の上端を巻取軸4に結合するためにこの上端を引き上げる作業を行ったが、3本のワイヤー51を用いてシャッターカーテン1の上端を引き上げるための作業を実施してもよい。
【0084】
また、シャッターカーテン1のうち、シャッターカーテン1の下端を形成している
図1の座板1Aは、この座板1Aの左右方向両端部が左右のガイドレール2の内部に挿入されないものとなっているため、予め工場で形成されるシャッターカーテン1を、座板1Aが除外されたものとし、前述したように、巻取軸4の逆回転により、この巻取軸4から繰り出されたシャッターカーテン1の幅方向の両端部を左右のガイドレール2の内部にスライド自在に挿入して、シャッターカーテン1を下降させた後に、シャッターカーテン1の下端部に座板1Aを連結する作業を行ってもよい。
【0085】
これによると、座板1Aは、スラット1Cと異なり、シャッターカーテン1の厚さ寸法が大きいシャッターカーテン1の部材となっているため、搬送台車20の第2載置部材32に載置等するために、シャッターカーテン1を渦巻き状に巻回する際に、この巻回作業を、シャッターカーテン1の直径を小さくして容易に行える。
【0086】
なお、ワイヤー51のフック部材52をシャッターカーテン1の上端に引っ掛けることは、例えば、シャッターカーテン1を形成するために多数連設されているスラット1Cのうち、最上段のスラット1Cに設けた孔や突起等の係止部に引っ掛けることにより行ってもよい。しかし、上述したようにシャッターカーテン1の上端に設けられている吊元部材1Bにボルト孔として形成されている孔68にフック部材52を引っ掛けることにより、上述の作用効果を得られる。
【0087】
また、
図26及び
図27には、ワイヤー51のフック部材52により引き上げられて巻取軸4に上端が連結されたシャッターカーテン1は、アタッチメント台40の第4載置部材58において、右回転するように示されているが、この回転方向を逆方向にしてもよい。
【0088】
図28は、搬送台車20の第2載置部材32に載置した建材を、巻取軸4と、この巻取軸4に上端が結合されて巻取軸4に巻き取られているシャッターカーテン1とした実施形態を示し、このため、この実施形態の建材は、巻取軸4とシャッターカーテン1との結合体70である。この実施形態でも、シャッターカーテン1の場合を示した
図22の作業と同様の作業を行った後に、フォークリフト車両60のフォーク61を上昇させることにより、
図29に示されているように、結合体70を搬送台車20の第2載置部材32からアタッチメント台40の第4載置部材58に受け渡すことができる。
【0089】
図30には、
図18及び
図21の巻取軸4の場合と同様に、アタッチメント台40に3本設けられているそれぞれのワイヤー51により結合体70を吊り下げ支持した状態が示されている。この実施形態でも、巻取軸4の場合と同様に、巻取軸4の軸方向の両端部に設けられている首部4Aを2個のブラケット3で正確に受けさせる作業を実施しなければならないため、3本のワイヤー51のうち、結合体70における巻取軸4の軸方向に離れた左右両側の2箇所を支持している2本のワイヤー51を、作業者が前述した送信器の操作によってこれらのワイヤー51のための巻取リール54を個別に正逆回転させることにより、個別に昇降させ、これにより、巻取軸4の2個の首部4Aを個別に昇降させる作業を行うことにより、それぞれの首部4Aの高さ位置をそれぞれのブラケット3の凹部3Aの高さ位置と一層正確に一致又は略一致させることができる。
【0090】
なお、この実施形態に係る巻取軸4とシャッターカーテン1との結合体70でも、この結合体70を持ち上げるために、結合体70を吊り下げ支持することを、3本のワイヤー51のうち、左右両側の2本のワイヤー51だけを用いて行ってもよい。
【0091】
図31は、巻取軸4とシャッターカーテン1との結合体70をワイヤー51により持ち上げるために吊り下げ支持することについての別実施形態を示している。この実施形態でも、アタッチメント台40に前後2個設けられている滑車47,48のうち、前側の滑車47から下方へ延びているワイヤー51の下部を、第4載置部材58に載置されている結合体70の下側に回しているが、ワイヤー51の下端に取り付けられているフック部材52を、2個の滑車47,48を回転自在に保持している保持部材49’に、前側の滑車47よりもさらに前方において設けられているピン等による係止部材71に係止させている。
【0092】
この実施形態でも、ワイヤー51により結合体70を吊り下げ支持することができるとともに、ワイヤー51を巻き取り、繰り出すための巻取リール54の正回転により、ワイヤー51で結合体70を持ち上げることができ、また、巻取リール54の逆回転により、ワイヤー51で結合体70を支持したままこの結合体を下降させることもできる。
【0093】
このようなワイヤー51による吊り下げ支持は、結合体70だけではなく、巻取軸4についても実施することができ、渦巻き状に巻回されているシャッターカーテン1についても実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、配置箇所が構造物の高所となっている、例えば、シャッター装置のシャッターカーテンを繰り出し自在に巻き取るための巻取軸や、シャッターカーテン等の建材の持ち上げ作業のために利用することができる。
【符号の説明】
【0095】
1 シャッターカーテン
3 ブラケット
4 巻取軸
8 不動部材である建物の躯体
10 開口部である出入口
20 搬送台車
40 アタッチメント台
44 筒部材
44D 筒部材の後端の開口部
51 第2持ち上げ手段を構成し、巻取軸等の建材を吊り上げて支持する支持部材であって、紐状部材ともなっているワイヤー
60 フォークリフト車両
61 第1持ち上げ手段となっているフォーク
61A 上下延出部
61B 連結部
61 C 前方延出部
64 抜け出し阻止手段
70 巻取軸とシャッターカーテン1との結合体