(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】加熱調理装置、および加熱調理方法
(51)【国際特許分類】
A47J 27/16 20060101AFI20220426BHJP
F24C 1/00 20060101ALI20220426BHJP
【FI】
A47J27/16 G
F24C1/00 320Z
(21)【出願番号】P 2018105607
(22)【出願日】2018-05-31
【審査請求日】2021-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】390007456
【氏名又は名称】株式会社中西製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【氏名又は名称】板谷 康夫
(74)【代理人】
【識別番号】100125221
【氏名又は名称】水田 愼一
(74)【代理人】
【識別番号】100142077
【氏名又は名称】板谷 真之
(72)【発明者】
【氏名】長戸 光臣
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開平2-249443(JP,A)
【文献】特開2013-148285(JP,A)
【文献】特開2007-147129(JP,A)
【文献】特開平10-290752(JP,A)
【文献】特開2009-106403(JP,A)
【文献】登録実用新案第3075202(JP,U)
【文献】米国特許第5211106(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/16
F24C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱室内で搬送部により一方向に搬送される食品を、熱流体を噴射することにより加熱調理する加熱調理装置であって、
前記搬送部で搬送される食品に向けて熱流体を噴射する噴射口を有するノズル部と、
前記ノズル部に熱流体を吐出するための吐出手段と、
第1の分岐口と第2の分岐口とに流入開口部から流入した熱流体を分岐させる分岐ダクトと、
を備え、
前記吐出手段は、少なくとも第1のブロアと第2のブロアとにより構成され、
前記分岐ダクトの第1の分岐口を前記第1のブロアと接続し、前記分岐ダクトの第2の分岐口を前記第2のブロアと接続し、
前記分岐ダクトの内部に、前記第1のブロアと第2のブロアとの各々が吸い込む熱流体の流量を調整する流量調整手段を配置した
ことを特徴とする加熱調理装置。
【請求項2】
ノズル部は、複数のノズル部により構成され、
第1のブロアにより吐出された熱流体を、前記複数のノズル部の内の少なくとも一つから噴射し、
第2のブロアにより吐出された熱流体を、前記複数のノズル部の内の少なくとも他の一つから噴射する
ことを特徴とする請求項1に記載の加熱調理装置。
【請求項3】
分岐ダクトに有する第1の分岐口と第2の分岐口とを略対向配置して、流量調整手段を前記略対向配置した第1の分岐口と第2の分岐口との間に設け、
前記流量調整手段により、流入開口部から流入した熱流体を前記第1の分岐口と前記第2の分岐口とに分岐するとともに、前記第1の分岐口と前記第2の分岐口とに流動させる熱流体の流量を調整する
ことを特徴とする請求項2に記載の加熱調理装置。
【請求項4】
吐出手段から複数のノズル部へと熱流体が流動する距離のうち、少なくとも1つの距離が他の距離と異なる
ことを特徴とする請求項2または3に記載の加熱調理装置。
【請求項5】
第1のブロアと第2のブロアとの少なくともいずれか一方の運転周波数を調整して回転数を制御するインバータを備え、
前記第1のブロアと前記第2のブロアとのいずれからも正圧で熱流体を吐出する範囲で、前記少なくともいずれか一方のブロアの回転数を制御する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の加熱調理装置。
【請求項6】
第1のブロアと第2のブロアとに流入開口部から流入した流体を分岐する分岐ダクトにより、流入した流体を前記第1のブロアと第2のブロアとに分岐して、前記分岐ダクトの内部に配置した流量調整手段の位置を調整することにより、前記第1のブロアと第2のブロアとに分岐され吸い込まれる流体の流量の分岐する比率を調整する流量調整ステップを有し、
前記流量調整ステップにおいて調整した分岐する比率で、前記分岐ダクトの流入開口部から流入した熱流体を前記第1のブロアと第2のブロアとに分岐して吸い込ませ、前記第1のブロアと第2のブロアとから吐出した熱流体を、加熱室内に設けたノズル部から噴射することにより、前記加熱室内で搬送部により搬送される食品を加熱調理する調理ステップを有する
ことを特徴とする加熱調理方法。
【請求項7】
調理ステップにおいて、第1のブロアから吐出された熱流体を加熱室内に設けた複数のノズル部の内の少なくとも一つから噴射する流量と、第2のブロアから吐出された熱流体を前記複数のノズル部の内の少なくとも他の一つから噴射する流量と、が略等しくなるように、流量調整ステップで前記第1のブロアと前記第2のブロアとに分岐され吸い込まれる流体の流量の分岐する比率を調整する
ことを特徴とする請求項6に記載の加熱調理方法。
【請求項8】
調理ステップを行う前に、第1のブロアと第2のブロアとの少なくともいずれか一方の回転数を制御することで、複数のノズル部から噴射される流体または熱流体の流量を調整する調理前準備ステップを行う
ことを特徴とする請求項7に記載の加熱調理方法。
【請求項9】
流量調整ステップを行った後に、調理前準備ステップを行う
ことを特徴とする請求項8に記載の加熱調理方法。
【請求項10】
少なくとも調理前準備ステップにおいて、
第1のブロアと第2のブロアとのいずれからも正圧で熱流体を吐出する範囲で、前記第1のブロアと第2のブロアとの少なくともいずれか一方の回転数を制御する
ことを特徴とする請求項8または9に記載の加熱調理方法。
【請求項11】
流量調整ステップにおいて、第1のブロアと第2のブロアとの各々が吸い込む流体を常温空気とした
ことを特徴とする請求項6~10のいずれか1項に記載の加熱調理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱室で熱流体を噴射することにより食品を加熱調理する加熱調理装置、および加熱調理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、多様な食品の調理方法に対応するため、それぞれの食品に適した調理条件(食品を加熱する条件)で加熱調理するための工夫がなされてきた。業務用の加熱調理装置において、それぞれの食品に適した調理条件で食品を加熱調理するとき、ノズルから食品に噴射する熱流体、例えば過熱水蒸気の流量や温度を制御することが行われている。
【0003】
特許文献1の第2実施例に記載された過熱蒸気式熱処理装置は、食品などの物品を搬送するコンベア(搬送手段)の上方と下方、および食品の搬送方向に沿って、複数のノズルが配置されている。複数のノズルは、ブロア等の送気手段に接続されるが、分岐部により分岐する排気通路の末端に設けられている。また、排気通路の分岐部より下流側に流量調整手段を設け、流量調整手段により各々のノズルから噴射される過熱蒸気の流量を調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の第2実施例に記載されたものは、ブロワ等の送気手段の下流側に排気通路を分岐する分岐部を設け、分岐部から複数のノズルに接続されている。さらに、分岐部の下流側に流量調整手段を設け、流量調整手段により各々のノズルから噴射される過熱蒸気の流量を調整している。つまり、分岐部と流量調整手段とが別々に設けられている。そのため、装置の構成が複雑となり、装置本体が大型化するという課題がある。
【0006】
さらに分岐部により分岐した排気通路の分だけ流量調整手段を設ける必要があり、流量調整手段の数量が増え装置の構成が複雑となる。また、各々の流量調整手段の調整も必要となるため、流量を調整する作業が煩雑になるという課題がある。
【0007】
本発明は、構成を簡略化しつつ、食品に噴射する熱流体の流量を調整し、それぞれの食品に適した調理条件で加熱調理することができる加熱調理装置、および加熱調理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明に係る加熱調理装置は、
加熱室内で搬送部により一方向に搬送される食品を、熱流体を噴射することにより加熱調理する加熱調理装置であって、
前記搬送部で搬送される食品に向けて熱流体を噴射する噴射口を有するノズル部と、
前記ノズル部に熱流体を吐出するための吐出手段と、
第1の分岐口と第2の分岐口とに流入開口部から流入した熱流体を分岐させる分岐ダクトと、
を備え、
前記吐出手段は、少なくとも第1のブロアと第2のブロアとにより構成され、
前記分岐ダクトの第1の分岐口を前記第1のブロアと接続し、前記分岐ダクトの第2の分岐口を前記第2のブロアと接続し、
前記分岐ダクトの内部に、前記第1のブロアと第2のブロアとの各々が吸い込む熱流体の流量を調整する流量調整手段を配置した
ことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明に係る加熱調理方法は、
第1のブロアと第2のブロアとに流入開口部から流入した流体を分岐する分岐ダクトにより、流入した流体を前記第1のブロアと第2のブロアとに分岐して、前記分岐ダクトの内部に配置した流量調整手段の位置を調整することにより、前記第1のブロアと第2のブロアとに分岐され吸い込まれる流体の流量の分岐する比率を調整する流量調整ステップを有し、
前記流量調整ステップにおいて調整した分岐する比率で、前記分岐ダクトの流入開口部から流入した熱流体を前記第1のブロアと第2のブロアとに分岐して吸い込ませ、前記第1のブロアと第2のブロアとから吐出した熱流体を、加熱室内に設けたノズル部から噴射することにより、前記加熱室内で搬送部により搬送される食品を加熱調理する調理ステップを有する
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の加熱調理装置によれば、構成を簡略化しつつ食品に噴射する熱流体の流量を調整し、それぞれの食品に適した調理条件で加熱調理することができる。また、本発明の加熱調理方法によれば、食品を加熱調理する前に食品に噴射する熱流体の流量を調整し、それぞれの食品に適した調理条件で加熱調理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態1に係る加熱調理装置の構成を示す正面側斜視図。
【
図2】上記加熱調理装置の構成を示す背面側斜視図。
【
図3】上記加熱調理装置を構成するガス系統および燃焼系統の構成を示すブロック図。
【
図8】
図7のA-A線の位置における上方ノズル部および第2の吐出口の位置における下方ノズル部の構成を示す側部断面図。
【
図10】上記加熱調理装置の構成を示す背面側斜視図から、第2のダクトおよび制御盤の図示を省略した斜視図。
【
図11】上記加熱調理装置における熱流体の流れを示すブロック図。
【
図13】分岐ダクトの構成を示す上面断面図であって、(a)第1の流入開口と第2の流入開口とを略等しくした状態、(b)第1の流入開口を第2の流入開口より小さくした状態、(c)第1の流入開口を第2の流入開口より大きくした状態。
【
図15】(a)本発明の実施形態2に係る加熱調理装置の構成を示す斜視図、(b)連結ユニットの外観図。
【
図16】上記加熱調理装置を複数配置する場合の配置例を示す上面図であって、(a)は並列配置の状態、(b)は直列配置した状態をさらに並列配置とした状態。
【
図17】(a)(b)は、変形例1に係る加熱調理装置を構成する吐出部の配置を示す概略構成図。
【
図18】上記変形例1に係るダンパ部の構成を示す概略斜視図。
【
図19】(a)(b)は、変形例2に係る加熱調理装置を構成する吐出部およびノズル部の配置を示す概略構成図。
【
図20】本発明の変形例3に係る加熱調理装置の加熱室内の概略を示す正面図。
【
図21】(a)は、上記加熱調理装置における上方ノズル部の構成を示す正面側斜視図、(b)は、(a)に示した上方ノズル部における支持棒と係合部との係合状態を示す側部断面図。
【
図22】上記加熱調理装置における下方ノズル部の構成を示す正面側斜視図。
【
図23】
図21(a)のB-B線の位置における上方ノズル部および
図22のC-C線の位置における下方ノズル部の構成を示す側部断面図。
【
図24】
図23のE-E線の位置における加熱室の概略を示す上面断面図。
【
図25】(a)は、
図24のF-F線の位置における加熱室の概略を示す正面断面図、(b)は、(a)における上方ノズル部の1つの構成を示す正面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の請求項1に記載の発明は、
加熱室内で搬送部により一方向に搬送される食品を、熱流体を噴射することにより加熱調理する加熱調理装置であって、
前記搬送部で搬送される食品に向けて熱流体を噴射する噴射口を有するノズル部と、
前記ノズル部に熱流体を吐出するための吐出手段と、
第1の分岐口と第2の分岐口とに流入開口部から流入した熱流体を分岐させる分岐ダクトと、
を備え、
前記吐出手段は、少なくとも第1のブロアと第2のブロアとにより構成され、
前記分岐ダクトの第1の分岐口を前記第1のブロアと接続し、前記分岐ダクトの第2の分岐口を前記第2のブロアと接続し、
前記分岐ダクトの内部に、前記第1のブロアと第2のブロアとの各々が吸い込む熱流体の流量を調整する流量調整手段を配置した
ことを特徴とする加熱調理装置としたものである。
【0013】
この加熱調理装置によれば、流量調整手段を内部に設けた分岐ダクトにより、複数のブロアの各々に吸い込まれる熱流体を分岐させつつ、流量調整手段により複数のブロアの各々が吸い込む熱流体の流量を調整する。これにより、構成を簡略化しつつ食品に噴射する熱流体の流量を調整し、それぞれの食品に適した調理条件で加熱調理することができる。
【0014】
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
ノズル部は、複数のノズル部により構成され、
第1のブロアにより吐出された熱流体を、前記複数のノズル部の内の少なくとも一つから噴射し、
第2のブロアにより吐出された熱流体を、前記複数のノズル部の内の少なくとも他の一つから噴射する
ことを特徴とする加熱調理装置としたものである。
【0015】
これにより、複数のノズル部の各々から噴射される熱流体の流量を調整し、それぞれの食品に適した調理条件で加熱調理することができる。
【0016】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、
分岐ダクトに有する第1の分岐口と第2の分岐口とを略対向配置して、流量調整手段を前記略対向配置した第1の分岐口と第2の分岐口との間に設け、
前記流量調整手段により、流入開口部から流入した熱流体を前記第1の分岐口と前記第2の分岐口とに分岐するとともに、前記第1の分岐口と前記第2の分岐口とに流動させる熱流体の流量を調整する
ことを特徴とする加熱調理装置としたものである。
【0017】
これにより、第1のブロアと第2のブロアとの間に流量調整手段を配置することとなり、構成を簡略化しつつ、第1のブロアと第2のブロアとの各々に吸い込む熱流体の流量を調整することができる。
【0018】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の発明において、
吐出手段から複数のノズル部へと熱流体が流動する距離のうち、少なくとも1つの距離が他の距離と異なる
ことを特徴とする加熱調理装置としたものである。
【0019】
これにより、加熱調理装置の構造によらず、複数のブロアに対する複数のノズル部を配置する自由度が高まり、加熱調理装置の設計自由度を高めることができる。
【0020】
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1~4のいずれか1項に記載の発明において、
第1のブロアと第2のブロアとの少なくともいずれか一方の運転周波数を調整して回転数を制御するインバータを備え、
前記第1のブロアと前記第2のブロアとのいずれからも正圧で熱流体を吐出する範囲で、前記少なくともいずれか一方のブロアの回転数を制御する
ことを特徴とする加熱調理装置としたものである。
【0021】
これにより、流量調整手段による流量の調整に加え、運転周波数を調整して回転数の制御による複数のブロアの各々から吐出する熱流体の流量の調整をすることにより、ノズル部から噴射される熱流体の流量を調整し、より多様な食品に適したより多様な調理条件で加熱調理することができる。
【0022】
本発明の請求項6に記載の発明は、
第1のブロアと第2のブロアとに流入開口部から流入した流体を分岐する分岐ダクトにより、流入した流体を前記第1のブロアと第2のブロアとに分岐して、前記分岐ダクトの内部に配置した流量調整手段の位置を調整することにより、前記第1のブロアと第2のブロアとに分岐され吸い込まれる流体の流量の分岐する比率を調整する流量調整ステップを有し、
前記流量調整ステップにおいて調整した分岐する比率で、前記分岐ダクトの流入開口部から流入した熱流体を前記第1のブロアと第2のブロアとに分岐して吸い込ませ、前記第1のブロアと第2のブロアとから吐出した熱流体を、加熱室内に設けたノズル部から噴射することにより、前記加熱室内で搬送部により搬送される食品を加熱調理する調理ステップを有する
ことを特徴とする加熱調理方法としたものである。
【0023】
この加熱調理方法によれば、流量調整手段を内部に設け構成を簡略化した分岐ダクトにより、調理ステップの前に行う流量調整ステップにおいて複数のブロアの各々が吸い込む熱流体の流量を調整する。これにより、調理ステップ開始直後から、それぞれの食品に適した調理条件で加熱調理することができる。
【0024】
本発明の請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、
調理ステップにおいて、第1のブロアから吐出された熱流体を加熱室内に設けた複数のノズル部の内の少なくとも一つから噴射する流量と、第2のブロアから吐出された熱流体を前記複数のノズル部の内の少なくとも他の一つから噴射する流量と、が略等しくなるように、流量調整ステップで前記第1のブロアと前記第2のブロアとに分岐され吸い込まれる流体の流量の分岐する比率を調整する
ことを特徴とする加熱調理方法としたものである。
【0025】
これにより、複数のノズル部の各々から噴射される熱流体の流量を略等しくなるよう調整し、それぞれの食品に適した調理条件を設定するためのベースとなる状態とすることができる。
【0026】
本発明の請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、
調理ステップを行う前に、第1のブロアと第2のブロアとの少なくともいずれか一方の回転数を制御することで、複数のノズル部から噴射される流体または熱流体の流量を調整する調理前準備ステップを行う
ことを特徴とする加熱調理方法としたものである。
【0027】
これにより、流量調整ステップにおいて流量調整手段により流量を調整することに加えて、ブロアの回転数を変えることにより、複数のノズル部から噴射する熱流体の流量を調整し、より多様な食品に適したより多様な調理条件で加熱調理することができる。
【0028】
本発明の請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、
流量調整ステップを行った後に、調理前準備ステップを行う
ことを特徴とする加熱調理方法としたものである。
【0029】
これにより、流量調整ステップにおいて流量調整手段により流量を調整した上で、ブロアの回転数を変えることにより、複数のノズル部から噴射する熱流体の流量を調整し、より多様な食品に適したより多様な調理条件で食品を加熱調理することができる。
【0030】
本発明の請求項10に記載の発明は、請求項8または9に記載の発明において、
少なくとも調理前準備ステップにおいて、
第1のブロアと第2のブロアとのいずれからも正圧で熱流体を吐出する範囲で、前記第1のブロアと第2のブロアとの少なくともいずれか一方の回転数を制御する
ことを特徴とする加熱調理方法としたものである。
【0031】
これにより、流量調整手段による流量の調整に加え、ブロアの回転数の制御による流量の調整をすることにより、ノズル部から噴射される熱流体の流量を調整し、より多様な食品に適したより多様な調理条件で食品を加熱調理することができる。
【0032】
本発明の請求項11に記載の発明は、請求項6~10のいずれか1項に記載の発明において、
流量調整ステップにおいて、第1のブロアと第2のブロアとの各々が吸い込む流体を常温空気とした
ことを特徴とする加熱調理方法としたものである。
【0033】
これにより、調理ステップに至るまでの、熱流体の生成に必要となる熱エネルギーの使用量を削減することができる。
【0034】
(実施形態1)
(加熱調理装置の概要)
まず、本発明の実施形態1に係る加熱調理装置について
図1~
図14を参照して説明する。なお、本実施形態では、1つの加熱調理装置を用いて熱流体を食品に噴射し加熱調理する場合における加熱調理装置について説明する。また、本実施形態を含め後述する実施形態2、変形例1、変形例2、変形例3では、食品の加熱に用いる熱流体として、過熱水蒸気を用いた場合を一例として説明する。熱流体の詳細については後述する。
【0035】
図1、
図2に示すように、加熱調理装置1は、略矩形状のベースフレーム4の上部に位置する上部外郭体2と、ベースフレーム4の下部に位置する下部外郭体3とを有する。また、下部外郭体3は、ベースフレーム4を支持する立脚部と後述する燃焼系統20等を載置する基部(符号なし)により構成される。
【0036】
上部外郭体2には、外部から加熱調理装置1に過熱水蒸気の元となる飽和水蒸気を供給するための熱流体供給系統40(
図5参照)と、搬送部90(
図6等参照)により食品を搬送しながら過熱水蒸気を噴射することにより加熱調理するための加熱室70と、加熱室70に過熱水蒸気を吐出するための吐出部250を備える。
【0037】
一方、下部外郭体3には、
図3、
図4に示すように、加熱調理装置1に外部から供給された飽和水蒸気を加熱する燃焼排気を発生させるためのガス系統10および燃焼系統20と、燃焼排気により飽和水蒸気を加熱して過熱水蒸気とするための加熱手段28とを備える。
【0038】
さらに、上部外郭体2と下部外郭体3にわたって熱流体を循環流動させるための熱流体流動系統200および加熱調理装置1内で発生したドレン等を排出するための排水系統300(
図14参照)とを備える。
【0039】
ガス系統10は、
図3に示すように、外部のガス供給元から燃焼用ガスを所定の圧力に調整して、燃焼系統20へ供給する。燃焼系統20は、ガス系統10において所定の圧力に調整されて供給される燃焼用ガスを燃焼バーナ21により燃焼することで燃焼排気を発生させ、燃焼系統20を構成する加熱手段28にて、後述する熱流体流動系統200を流動する飽和水蒸気と燃焼排気とを熱交換させて、飽和水蒸気を加熱して所定の温度の過熱水蒸気を生成する。
【0040】
熱流体供給系統40は、
図5に示すように、例えば施設側に設けられた外部ボイラと熱流体供給系統40とを接続する蒸気供給配管P内のドレン等を排出するためのブロー系統50と、加熱調理に使用する飽和水蒸気に含まれるドレン等を除去し所定の圧力に調整して加熱調理装置1へ供給する供給系統60とにより構成される。
【0041】
加熱室70は、
図6に示すように、水平な一方向(後述する左右方向)に沿って長尺な形状を有し、加熱調理装置1の上部外郭体2の正面側に配置されている(
図1参照)。加熱室70は、加熱室70への食品の搬入、搬出および加熱室70内での食品の搬送を行う搬送部90を有し、搬送部90は、食品を食品搬送方向Dに搬送する(
図11参照)。
図6は、加熱室70の正面側に設けられた扉80を開いて加熱室70の内部が見えている状態を示している。
【0042】
加熱室70は、搬送部90の食品搬送方向Dの一端側に設けられ食品を外部から加熱室70に搬入するための搬入口100と、搬送部90の食品搬送方向Dの他端側に設けられ食品を加熱室70から外部に搬出するための搬出口110と、を有する(
図1参照)。
【0043】
また、加熱室70には、
図6に示すように、食品を加熱調理するための熱流体を噴射するノズル部120を備える。ノズル部120は搬送部90の上方と下方に配置され、上方ノズル部130および下方ノズル部160により構成されており、搬送部90により搬送される食品に向けて上方と下方から過熱水蒸気を噴射する。ノズル部120には、後に詳述する吐出部250により過熱水蒸気が吐出される。
【0044】
熱流体流動系統200は、
図2、
図10、
図11に示すように、熱流体供給系統40(図示なし)から飽和水蒸気が供給される蒸気供給部201と、加熱手段28を内部に設け過熱水蒸気を所定の温度に加熱するダクト状の加熱部202と、吐出部250と加熱室70とを接続するダクトと、により構成されており、加熱調理装置1の背面側の上部外郭体2および下部外郭体3に亘って配置される(
図2、
図10参照)。ダクトは後に
図11を参照して説明するように、第1のダクト(流動路)210、第2のダクト(流動路)220、第3のダクト(流動路)230および第4のダクト(流動路)240により構成されている。
図10は、
図2を基に、第2のダクト220を取り外した状態を示している。
【0045】
吐出部250は、
図1、
図2、
図10に示すように、加熱室70の上方に配置され、加熱室70に過熱水蒸気を吐出するための複数のブロアである第1のブロア251および第2のブロア252を有する。また、吐出部250は、第1のブロア251および第2のブロア252の各々に過熱水蒸気を分岐して流動させる分岐ダクト254を有し、分岐ダクト254は、第1のブロア251および第2のブロア252に吸い込まれる過熱水蒸気の流量を調整する流量調整ダンパ(流量調整手段)255を有する。詳細については後述する。
【0046】
また、
図11に示すように、熱流体が循環流動する吐出部250と、熱流体流動系統200と、加熱室70とにより熱流体循環系統(符号なし)が構成される。
【0047】
排水系統300は、
図14に示すように、熱流体供給系統40を構成するセパレータ63、熱流体流動系統200、加熱部202、吐出部250で発生したドレン等を、下部外郭体3に設けられた第1の排水回収枡301と第2の排水回収枡302を介して、加熱調理装置1の外部に排出するよう、金属製のフレキシブルホース等により接続されている。また、加熱室70の底面には、庫内排水管320が設けられ、加熱室70、搬入口100および搬出口110で発生したドレンを加熱調理装置1の外部に排出するよう構成されている。
【0048】
図1、
図2に示すように、加熱調理装置1は、加熱調理装置1とは別体で形成されて各種機器の動作を制御するための制御盤400を備え、制御盤400は、加熱調理装置1で制御を必要とする機器と電気的に接続されている。
【0049】
(熱流体について)
食品を加熱調理する熱流体は、過熱水蒸気、飽和水蒸気、熱風のうち1つまたは少なくとも2つを混合したものを含む。
【0050】
熱流体は、外部から加熱調理装置1に供給されてもよいし、加熱調理装置1の内部で発生させてもよい。熱流体を外部から供給する場合には、上記のように外部のボイラで発生させた飽和水蒸気や、外部の過熱水蒸気発生装置で発生させた過熱水蒸気が加熱調理装置1に供給される。
【0051】
また、熱流体を内部で発生させる場合には、例えば、加熱手段28で空気を加熱することで得られる加熱空気(熱風)、加熱調理装置1に設けた燃焼バーナ21でガスを燃焼させることで得られる燃焼排気(熱風)、加熱調理装置1に設けた内部ボイラで発生させた飽和水蒸気または同内部ボイラで発生させた飽和水蒸気を加熱手段28で加熱することで得られる過熱水蒸気が熱流体として用いられる。しかしながら、加熱調理装置1の小型化を図るためには、本実施形態のように外部ボイラを設けるのが好ましい。
【0052】
本実施形態の説明において、
図1に示すように、加熱室70に備えた扉80側を正面側、正面側と加熱室70を挟んで対向する側を背面側、扉80に向かって左側を左側面側、右側を右側面側、上側を上面側、下側を下面側と称する。また、正面側から背面側の方向を奥行方向、左側面側から右側面側の幅方向を左右方向、下面側から上面側への方向を高さ方向と称する。
【0053】
次に、加熱調理装置1の各機器の構成について、具体的に説明する。
【0054】
(ガス系統および燃焼系統の構成)
ここでは、
図3を参照して、圧力を調整しつつ外部より供給されたガスを燃焼系統20へと送るガス系統10と、ガス系統10により供給されたガスを燃焼バーナ21で燃焼させて外部ボイラから供給された飽和水蒸気を加熱する燃焼系統20と、について説明する。
【0055】
ガス系統10は、ガス供給元側から順に、外部から供給されるガス圧を測定する微圧計(圧力計)11と、燃焼系統20へのガスの供給または遮断を制御する開閉弁(バルブ)12と、ガス圧が所定のガス圧になっているかを検知するガス圧力スイッチ13と、第1のガス電磁弁(バルブ)14と、ガス供給量を調整するためのコントロールバルブ(バルブ)15と、第2のガス電磁弁(バルブ)16と、オリフィス差圧によりガス流量を測定するガス流量計(流量計)17と、基準となるガスの流量を調整するためのニードルバルブ(バルブ)18と、を有して構成されている。また、ガス圧力スイッチ13、第1のガス電磁弁14、コントロールバルブ15、第2のガス電磁弁16、ガス流量計17は、制御盤400と電気的に接続されている(図示なし)。
【0056】
燃焼系統20は、ガス系統10により供給されたガスを燃焼させるための燃焼バーナ21と、燃焼バーナ21に空気を供給するための燃焼ブロア22と、燃焼ブロア22により供給される空気が所定の圧力で供給されているかを検知するエア圧力スイッチ23と、燃焼バーナ21を点火するための点火トランス24と、燃焼バーナ21での燃焼を紫外線で確認するためのUVセンサ25と、燃焼バーナ21での燃焼を外部から目視で確認するための覗き窓26と、燃焼排気を加熱調理装置1の外部へ排出する排気筒27と、を有する。また、燃焼ブロア22、エア圧力スイッチ23、点火トランス24、UVセンサ25は、制御盤400と電気的に接続されている。
【0057】
燃焼系統20は、さらに加熱手段28を有し、加熱手段28は、後述する熱流体流動系統200を構成する加熱部202内に設けられ、燃焼系統20にて発生した燃焼排気を排気筒27から外部へ排出するまでの途中に設けられている。加熱部202は、燃焼バーナ21において燃焼後に排気筒27へ流動する燃焼排気と、熱流体流動系統200を流動する飽和水蒸気とを間接的に熱交換を行う熱交換器である。これにより、飽和水蒸気を加熱して過熱水蒸気を生成する。
【0058】
図4に示すように、ガス系統10(図示なし)および燃焼系統20は、加熱調理装置1の下部外郭体3で、且つ化粧板(図示なし)により覆われた空間S1(ドットで示す)に配置されている。また、空間S1の右側面側には、空間S1に外気を導入し、空間S1内部を冷却するための送風ファン30が設けられている。
【0059】
(熱流体供給系統の構成)
次に、
図5を参照して、外部ボイラで発生させた飽和水蒸気を加熱調理装置1に供給するための熱流体供給系統40について説明する。熱流体供給系統40は、ブロー系統50と供給系統60とに分岐している。
【0060】
ブロー系統50は、外部ボイラと熱流体供給系統40とを接続する蒸気配管P内のドレン等を排出する際に用いられる。ブロー系統50は、ブロー用電磁弁(バルブ)51と、ブロー用電磁弁51と並列に設けられ飽和水蒸気からドレンを排出するためのスチームトラップ52と、ブロー系統50からドレン等を排出するための排水管(符号なし)と、を有する。
【0061】
供給系統60は、外部ボイラから蒸気配管Pを介して、供給された飽和水蒸気を所定の圧力、蒸気量に調整して蒸気供給部201に供給する際に用いられる。供給系統60は、外部ボイラ側から順に、蒸気供給部201側へ飽和水蒸気を供給する、または供給を停止する調理用電磁弁(バルブ)61と、飽和水蒸気が所定の圧力で供給されているかを検知する圧力スイッチ62と、飽和水蒸気からドレンを排出するためのセパレータ63と、飽和水蒸気が所定の圧力よりも高い圧力に変動した場合に圧力を所定の圧力まで減圧するための減圧弁(バルブ)64と、飽和水蒸気の圧力を検知する圧力計65と、蒸気供給部201に供給される飽和水蒸気量を調整するための電動二方弁66と、蒸気供給部201内に飽和水蒸気を放散する蒸気供給手段67とを有し、外部ボイラから供給される飽和水蒸気を蒸気供給部201へと供給する。
【0062】
蒸気供給手段67は、管長方向に上方に向けて複数の孔を設けた中空の鋼管により構成されており、一方は閉塞し、他方は供給系統60側へと着脱自在に取り付ける。この蒸気供給手段67は後述する蒸気供給部201内に設けられ、外部ボイラより供給された飽和水蒸気はこの蒸気供給手段67から蒸気供給部201内へと放散される。
【0063】
なお、蒸気供給手段67は鋼管ではなく、一方は閉塞し、他方は供給系統60側へと着脱自在に取り付けた円筒状の焼結金属としてもよい。この場合、焼結金属の微細な隙間から飽和水蒸気が放散されるため、円筒状の焼結金属全周から略均一に効率よく飽和水蒸気を放散することができるので好ましい。また、供給系統60から供給される飽和水蒸気を濾過しながら放散することができる。
【0064】
これにより、供給系統60で除去しきれなかった微小な汚れやスケールなどを除去した飽和水蒸気を供給することができる。
【0065】
なお、蒸気供給手段67は供給系統60と着脱自在に接続されているため、後述する清掃ステップにおいて、取り外して清掃することができる。
【0066】
また、蒸気供給手段67に、円筒状の焼結金属を用いた場合、複数の孔を有する鋼管を用いた場合と比較して、飽和水蒸気を放散する際に発生する音を軽減することもでき、加熱調理装置1の運転音を軽減することができる。
【0067】
(加熱室の構成)
次に、食品を加熱調理するための加熱室70の構成について、
図1、
図2、
図6、
図9、
図11を用いて説明する。
【0068】
図1、
図2および
図6に示すように、加熱室70には、加熱室70の左側面側に設けられ、加熱調理する食品を加熱室70内へと搬入するための開口である搬入口100と、加熱室70の右側面側に設けられ、加熱調理された食品を加熱室70から搬出するための開口である搬出口110と、加熱室70への食品の搬入、搬出および加熱室70内での食品の搬送を行う搬送部90と、過熱水蒸気を食品に噴射するノズル部120と、過熱水蒸気を循環使用するために加熱室70内の過熱水蒸気を回収するための開口である循環口75と、開閉することにより加熱室70の正面側の開口(符号なし)を開放、密閉する扉80とを有する。
【0069】
さらに、搬入口100および搬出口110から漏れ出た過熱水蒸気を調理場へと漏れ出ないようにする覆いであるカバー103、113と、カバー103、113内に漏れ出た過熱水蒸気を、施設側に備えたフード等により吸い込むことで、搬入口100および搬出口110に流入しようとする外気とともに、加熱調理装置1の外側へと排気する排気管101、111および排気筒102、112とを有する。
【0070】
図6、
図11に示すように、搬送部90は、加熱室70の搬入口100および搬出口110を介して左右方向に貫通し、搬入口100に有するカバー103、および搬出口110に有するカバー113よりも外側へ延在して設けられた無端状のコンベアにより構成されている。この無端状のコンベアは、搬入口100側に設けられた一対のスプロケット(図示なし)と、搬出口110側に設けられた一対のスプロケット(図示なし)とに、編み上げて形成した無端状の金属製のネットを懸架して取り付けることで構成している。そして駆動源(図示なし)により、搬出口110側のスプロケットに挿通した軸(図示なし)を回動させ、搬送部90の往路側は搬入口100側から搬出口110側へと駆動する。
【0071】
なお、搬送部90は、一対の無端状のチェーンを各スプロケットに懸架し、一対の無端状のチェーンに金属製や樹脂製の棒状部材を取り付けたバーコンベアとしてもよい。その場合、一対の無端状のチェーンの間に取り付けたネットのように、下方から噴射された過熱水蒸気を透過させることができればよい。
【0072】
搬入口100の外側には、搬入口100から外部に漏れ出た過熱水蒸気を回収するための第1のカバー(カバー)103と、回収した過熱水蒸気を排気するために第1のカバー103の上方に接続された第1の排気管(排気管)101とが取り付けられている。第1のカバー103は、搬入口100と搬入口100より突出した搬送部90の一部を囲うように設けられている。また、第1のカバー103は内側から連通する筒状の第1の排気管101から、さらに上方に向けて伸びる第1の排気筒(排気筒)102を有する。
【0073】
第1の排気管101の内部には、過熱水蒸気に混ざり込んだミスト状のドリップを過熱水蒸気から濾過するグリスフィルタ(図示なし)が着脱自在に設けられている。なお、ミスト状のドリップについては後述する。
【0074】
搬出口110の外側には、搬出口110から外部に漏れ出た過熱水蒸気を回収するための第2のカバー(カバー)113と、回収した過熱水蒸気を排気するために第2のカバー113の上方に接続された第2の排気管(排気管)111とが設けられている。第2のカバー113は、搬出口110と搬出口110より突出した搬送部90の一部を囲うように設けられており、さらに第2の排気管111の上方に向かって伸びる第2の排気筒(排気筒)112を有する。
【0075】
第2の排気管111の内部には、過熱水蒸気に混ざり込んだミスト状のドリップを過熱水蒸気から濾過するグリスフィルタ(図示なし)が着脱自在に設けられている。
【0076】
加熱調理装置1の上方には、第1の排気筒102および第2の排気筒112を覆うように施設側に備えたフード(図示なし)を設け、第1の排気筒102および第2の排気筒112から排出された過熱水蒸気を回収し、フードから施設側の排気設備によって施設の外部へ排気されるよう構成している。
【0077】
なお、第1の排気筒102および第2の排気筒112の上端部は、ダクト等により施設側の排気装置に接続されていてもよい。また、第1の排気筒102および第2の排気筒112の内部に、第1の排気筒102および第2の排気筒112の上端部に向けて送風する送風ファンを設けてもよい。
【0078】
図9に示すように、加熱室の背面71には、後述する吐出部250から吐出される過熱水蒸気を噴射するノズル部120を構成する上方ノズル部130へと流動させるための開口である第1の吐出口72と、下方ノズル部160へと流動させるための開口である第2の吐出口73と、が設けられている。第1の吐出口72は、上方ノズル部130の搬入口100側で、後述する上方ノズル部130に設けられた嵌込部155に対応した位置に設けられている。また、第2の吐出口73は、下方ノズル部160の搬出口110側で、後述する下方ノズル部160に設けられた嵌込部185に対応した位置に設けられている。
【0079】
図1に示すように、加熱室の天面74には、ノズル部120より加熱室70内に噴射された過熱水蒸気を再び熱流体流動系統200へと流動させて循環させるための開口である循環口75が設けられている。循環口75は、加熱室の天面74を貫通して設けられ、グリスフィルタ(図示なし)を介して蒸気供給部201と連通している。なお、過熱水蒸気の循環経路である熱流体循環系統については後述する。
【0080】
図9に示すように、上方ノズル部130と加熱室の天面74との間には、過熱水蒸気が通過することができる大きさの隙間G1が設けられている。また、上方ノズル部130と加熱室70の搬入口100側の内面との隙間G2と、上方ノズル部130と加熱室70の搬出口110側の内面との隙間G3と、が設けられている。
【0081】
加熱室70は、
図1、
図6に示すように、正面側に設けられた開口(符号なし)と、この開口を開閉可能とする扉80と、を有する。扉80は、上方に跳ね上げる跳ね上げ式の扉としている(
図6参照)。このような扉80は、開閉の際に正面側への突出が少ないので、加熱調理装置1を狭い場所に設置した場合でも開閉することができる。なお、扉80は、スライド形式の扉や他の形式の扉により構成されていてもよい。
【0082】
(ノズル部の構成)
ここでは、
図6~
図11を用いて、加熱室70において搬送部90(
図6のドットで示す)で搬送される食品に向けて過熱水蒸気を噴射するノズル部120の構成について説明する。
【0083】
ノズル部120は、搬送部90の上方に設けられた上方ノズル部130と、搬送部90の下方に設けられた下方ノズル部160と、により構成されている。搬送部90の上方に設けられた上方ノズル部130は、食品搬送方向Dに沿って伸長した平面視矩形の箱型状に形成され、加熱室70内において食品搬送方向Dに亘って掛け渡された支持棒131により搬送部90および加熱室の天面74、搬入口100側の内面、搬出口110側の内面から離間した状態で架設されている(
図9、
図11を参照)。
【0084】
また、搬送部90の下方に設けられた下方ノズル部160は、食品搬送方向Dに沿って伸長した平面視矩形の箱型状に形成され、加熱室70内において食品搬送方向Dに亘って掛け渡された支持棒161により搬送部90および加熱室の底面(符号なし)、搬入口100側の内面、搬出口110側の内面から離間した状態で架設されている(
図9、
図11を参照)。
【0085】
なお、支持棒131、161は、加熱室70の搬入口100側の内面と、搬出口110側の内面とに設けられ、搬送部90の上方と下方とにそれぞれ配置された係止部146(
図7参照)に着脱自在に取り付けられており、支持棒131、161ごと上方ノズル部130および下方ノズル部160を加熱室70から取り外すことができるように構成されている。
【0086】
また、上方ノズル部130および下方ノズル部160は、搬送部90と相対する面にそれぞれ過熱水蒸気を噴射するノズル132、162を有する。ノズル132、162は、上方ノズル部130および下方ノズル部160において奥行方向に亘って設けられている。
【0087】
次に、ノズル部120の詳細な構成について、まずは上方ノズル部130から説明する。
【0088】
図7に示すように、上方ノズル部130は、支持棒131に架設された本体部140と、本体部140に対して着脱自在に取り付けられた蓋部150と、を有する。本体部140は、左右方向に伸長した長尺な矩形の枠体により構成され、蓋部150は、本体部140に対して奥行方向にスライド着脱自在な矩形の枠体により構成されている。本実施形態では、1つの本体部140に対して複数の蓋部150が取り付けられている。
【0089】
本体部140は、食品搬送方向Dに沿って伸びる長尺な矩形平板状の本体平面部141と、本体平面部141の上面に設けられ支持棒131に架設するための複数の架設部142と、本体平面部141の下面から下方に伸び蓋部150を保持するための保持部143と折曲部144と、本体平面部141の背面側の辺を下面から下方に伸び本体部140の背面側を形成する背面部(図示なし)を有する。
【0090】
架設部142は、本体平面部141を支持棒131に対して着脱自在となるように構成されている。
【0091】
保持部143は、本体平面部141の奥行方向に亘って設けられ、さらに、その下端部に食品搬送方向Dに沿って水平に折り曲げられた折曲部144が設けられる。折曲部144は、蓋部150の蓋平面部151を保持する。これにより、本体部140に対して、蓋部150をスライド着脱自在に保持している。
【0092】
本体部140の背面部(図示なし)には、後述する加熱室の背面71を貫通して設けられた第1の吐出口72に対応した箇所に、過熱水蒸気を流動させる開口部154が設けられている(
図8参照)。開口部154には、第1の吐出口72に嵌まり込む嵌込部155が設けられている。第1の吐出口72は、第1のブロア251へと繋がる第3のダクト230と連通している。
【0093】
蓋部150は、矩形平板状の蓋平面部151と、蓋平面部151の正面側の一辺を上方に折り曲げ加工することで形成され蓋部150を本体部140にスライド着脱する際に持ち手となる持手部152と、蓋平面部151の左右の辺を上方に折り曲げ加工することで形成された一対の側部153と、を有する。
【0094】
持手部152が正面側を向いた状態で、蓋平面部151が折曲部144に案内され、蓋部150を本体部140に対してスライド自在としている。蓋部150が本体部140に完全にスライド装着されると、持手部152は、本体平面部141の正面側端部145に当接し、蓋部150の背面側の辺が、本体部140の背面側から正面側に向かって延在する折り曲げ部である当接部156(
図8参照)の上面に当接する。
【0095】
図8に示すように、持手部152が本体平面部141の正面側端部145に当接するまで蓋部150を本体部140にスライド装着すると、本体部140および複数の蓋部150により囲まれ、且つ背面側に開口部154を有する1つの空間S2が形成される。
【0096】
蓋部150は、鉛直方向の下方に頂点を有する断面形状略三角形のノズル132を有する。ノズル132は食品搬送方向Dに直交する方向に沿って、食品搬送方向Dで所定の間隔をおいて2つ設けられている(
図6参照)。なお、ノズル132は、食品搬送方向Dで所定の間隔をおいて1つのみ、もしくは3つ以上配置してもよい。
【0097】
ノズル132は、断面形状略三角形の下方の頂点に、ノズル132の長手方向に沿って、空間S2から連通する複数の長孔である噴射口133を有する(
図8参照)。なお、噴射口133の形状は、丸孔や矩形状でもよく、形状は長孔に限定されない。また、噴射口133は、ノズル132に1つだけ有していても良く、数量は限定されない。
【0098】
このように構成することで、第1のブロア251により吐出された過熱水蒸気は、第3のダクト230を流動し第1の吐出口72を介して開口部154から空間S2に流動し、ノズル132の噴射口133から加熱室70の内部に噴射される。
【0099】
図9に示すように、第1の吐出口72は、加熱室の背面71において搬入口100側の上方に設けられている。第1の吐出口72から吐出された過熱水蒸気は、まず、第1の吐出口72に略対向配置された上方ノズル部130の搬入口100側の蓋部150に流動し、次いで、空間S2内を食品搬送方向Dの下流側に向かって流動し、隣接した蓋部150へと拡散していく。詳細は後述する。
【0100】
下方ノズル部160は、上方ノズル部130を搬送部90を挟んで上下反対にした構成を有し、下方ノズル部160への過熱水蒸気の供給は、上方ノズル部130の場合と同様にして、加熱室の背面71において搬出口110側の下方に設けられた第2の吐出口73を介して行われる。この場合、第2の吐出口73から流動した過熱水蒸気は、まず、第2の吐出口73に略対向配置された下方ノズル部160の搬出口110側の蓋部180に流動し、次いで、空間S3(
図8参照)内を食品搬送方向Dの上流側に向かって流動し、隣接した蓋部180へと拡散していく。
【0101】
上方ノズル部130と加熱室の天面74との間には、過熱水蒸気が流動することができる隙間G1が設けられている。また、上方ノズル部130と搬入口100との間および上方ノズル部130と搬出口110との間にも、それぞれ過熱水蒸気が通過することができる大きさの隙間G2、G3が設けられている。加熱室70内に噴射された過熱水蒸気は、これら隙間G1、G2、G3を介して、循環口75に流動し、後述する熱流体循環系統へと循環流動する。
【0102】
また、加熱室70内に設けた部材、例えばノズル部120である上方ノズル部130や下方ノズル部160、加熱室70の内面に設けた係止部146とは、折り曲げ加工や溶接を用いて組立てている。そのため、後述する調理ステップで、搬送部90により搬送する食品に加熱室70内に設けた部材の部品、例えばビス等が落下することがなく、安全に食品を加熱調理することができる。
【0103】
(熱流体流動系統の構成)
次に、
図2、
図10、
図11を参照して、蒸気供給部201、加熱部202、吐出部250および加熱室70を接続する熱流体流動系統200について説明する。
【0104】
熱流体流動系統200は、蒸気供給部201と加熱部202とを接続する第1のダクト210と、加熱部202と後述する吐出部250の分岐ダクト254とを接続する第2のダクト220と、吐出部250を構成する第1のブロア251と第1の吐出口72を介して上方ノズル部130とを接続する第3のダクト230と、吐出部250の第2のブロア252と第2の吐出口73を介して下方ノズル部160とを接続する第4のダクト240と、により構成されている。
【0105】
蒸気供給部201は、板金により略直方体形状に形成され、加熱室70の上方に配置される。また、循環口75と連通した開口(図示なし)を有し、開口にはグリスフィルタ(図示なし)を備え、内部に供給系統60より供給された飽和水蒸気を放散する蒸気供給手段67が位置する(
図5参照)。
【0106】
また、蒸気供給部201は、その背面側に開口(図示なし)を有し、この開口を介して第1のダクト210に接続される。
【0107】
図2および
図10に示すように、第1のダクト210、第2のダクト220、第3のダクト230、第4のダクト240は、それぞれ上面視における断面が矩形状であり、左右方向の幅に対して奥行方向における厚みが小さくなるように形成されている。また、矩形の一辺(長辺)が左右方向と平行となるように配置されている。
【0108】
図10に示すように、第1のダクト210は、蒸気供給部201の背面側開口(図示なし)と接続され鉛直方向に伸びる鉛直部211と、鉛直部211から所定の角度で屈曲する屈曲部212と、屈曲部212から鉛直方向の下方に伸びる鉛直部213と、鉛直部213から水平方向で正面側に屈曲する屈曲部214と、屈曲部214から水平方向の搬出口110側へと伸び、加熱部202の上流側に接続する水平部215とを有する。
【0109】
図2に示すように、第2のダクト220は、加熱部202の下流側へ接続され、水平方向の搬入口100側へと伸びる水平部221と、水平部221から上方に所定の角度で屈曲する屈曲部222と、屈曲部222から鉛直方向に伸びて後述する分岐ダクト254の流入開口部260へと接続される鉛直部223と、を有する。
【0110】
第3のダクト230は、第1のブロア251の吐出側に接続され、鉛直方向の下方に伸びる鉛直部231と、鉛直部231から水平方向で搬入口100側に所定の角度で屈曲する屈曲部232と、屈曲部232から水平方向で搬入口100側へと伸び、第1の吐出口72に接続する水平部233と、を有する。
【0111】
第4のダクト240は、第2のブロア252の吐出側に接続され、鉛直方向の下方に伸びる鉛直部241と、鉛直部241から水平方向で搬出口110側に所定の角度で屈曲する屈曲部242と、屈曲部242から水平方向で搬出口110側へと伸び、第2の吐出口73に接続する水平部243と、を有する。
【0112】
図2、
図10に示すように、第3のダクト230の鉛直部231と、第4のダクト240の鉛直部241の高さ方向の長さは、第1のブロア251および第2のブロア252が、加熱室70の上方の同じ高さ位置に配置しており、かつ、第1の吐出口72の高さ方向の位置より第2の吐出口73の高さ方向の位置が低いため、第3のダクト230に比べ、第4のダクト240の方が長く形成されている。
【0113】
つまり、第1のブロア251から第1の吐出口72を介して上方ノズル部130へと過熱水蒸気が流動する第3のダクト230の距離と、第2のブロア252から第2の吐出口73を介して下方ノズル部160へと過熱水蒸気が流動する第4のダクト240の距離とは、異なる距離となっている。すなわち、複数のブロアから複数のノズル部へと熱流体が流動する距離のうち、少なくとも1つの距離が他の距離と異なっている。
【0114】
後述する分岐ダクト254の内部に配置した流量調整ダンパ255により、各々のブロアに吸い込まれる過熱水蒸気の流量を調整することで、複数のノズル部から噴射される過熱水蒸気の流量を調整することができるので、複数のブロアから複数のノズル部へと過熱水蒸気が流動する距離のうち、少なくとも1つの距離が他の距離と異なるよう構成することができる。これにより、加熱調理装置1の構造によらず、複数のブロアに対する複数のノズル部を配置する自由度を高め、加熱調理装置の設計自由度を高めることができる。
【0115】
加熱調理装置1の最も背面側に第2のダクト220が配置され、第1のダクト210の鉛直部211、屈曲部212の背面側の面は、第2のダクト220の鉛直部223の正面側の面と隣接している。
【0116】
また、第3のダクト230の鉛直部231の搬出口110側の側面は、第1のダクト210の鉛直部211の搬入口100側の側面および第2のダクト220の鉛直部223の搬入口100側の側面の一部と隣接している。
【0117】
また、第4のダクト240の鉛直部241の搬入口100側の側面は、第1のダクト210の鉛直部211の搬出口110側の側面および第2のダクト220の鉛直部223の搬出口110側の側面の一部と隣接している。
【0118】
(吐出部の構成)
次に、分岐ダクト254と、第1のブロア251および第2のブロア252とを有する吐出部250について、
図10、
図12、
図13を用いて説明する。
【0119】
図10に示すように、吐出部250は、加熱室70の上方で加熱調理装置1の左右方向の略中央に配置され、略直方体形状に形成した分岐ダクト254と、その搬入口100側の側面に設けた第1のブロア251と、搬出口110側の側面に設けた第2のブロア252とにより構成される。
【0120】
図12に示すように、分岐ダクト254は、第2のダクト220の鉛直部223から接続する略矩形状の流入開口部260と、第1のブロア251の吸込み側に接続する第1の分岐口256と、第2のブロア252の吸込み側に接続する第2の分岐口257と、を有する。第1の分岐口256と第2の分岐口257とは略対向配置され、流入開口部260は、略対向配置された第1の分岐口256と第2の分岐口257と水平方向で直交する方向の面に設けられている。略矩形状の流入開口部260は4つの角が略等しい略長方形の形状であり、高さ方向の2辺が略等しくなるよう形成されている。
【0121】
また、分岐ダクト254は内部に略矩形の板金により形成した流量調整ダンパ255を有する。流量調整ダンパ255には、上辺と下辺のそれぞれの中点M1、M2に回転軸Axを設け、回転軸Axを分岐ダクト254の上面と下面との略中央に設けた孔(図示なし)に差し込むように取付けて回動自在となるよう構成している。
【0122】
中点M1より上方に伸びる回転軸Axの先端は雄ネジとなっており、分岐ダクト254の上面の孔を貫通した先端にダブルナットを取付けることにより、手動にて回動した流量調整ダンパ255の位置を固定可能としている。
【0123】
図13(a)に示すように、流入開口部260は、流量調整ダンパ255の背面側端部263により、第1の分岐口256側に分岐された第1の流入開口(流入開口)261と、第2の分岐口257側に分岐された第2の流入開口(流入開口)262と、に分けられる。そして、背面側端部263と第1の流入開口261の端部との距離をL1とし、背面側端部263と第2の流入開口262の端部との距離をL2とする。
【0124】
図13(b)に示すように、
図13(a)の状態から流量調整ダンパ255を反時計回り(左回り)に回動させ、ダブルナットにより回転軸Axの上方側の先端を固定することにより、背面側端部263と第1の流入開口261の端部との距離、および背面側端部263と第2の流入開口262の端部との距離は変化する。そのときの背面側端部263と第1の流入開口261の端部との距離をL3とし、背面側端部263と第2の流入開口262の端部との距離をL4とする。
【0125】
図13(c)に示すように、
図13(a)の状態から流量調整ダンパ255を時計回り(右回り)に回動させ、ダブルナットにより回転軸Axの上方側の先端を固定することにより、背面側端部263と第1の流入開口261の端部との距離、および背面側端部263と第2の流入開口262の端部との距離は変化する。そのときの背面側端部263と第1の流入開口261の端部との距離をL5とし、背面側端部263と第2の流入開口262の端部との距離をL6とする。
【0126】
図13(a)~
図13(c)のいずれの場合においても、第1の流入開口261と第2の流入開口262とのそれぞれの面積は、
図12に示す流入開口部260の高さ方向の寸法と、背面側端部263と流入開口部260のそれぞれの端部との距離(L1~L6)の積に略等しい。なお、本実施形態では便宜的に、以下として扱う。
・
図13(a)において、第1の流入開口261の面積は流入開口部260の高さ方向の寸法とL1との積。第2の流入開口262の面積は流入開口部260の高さ方向の寸法とL2との積。
・
図13(b)において、第1の流入開口261の面積は流入開口部260の高さ方向の寸法とL3との積。第2の流入開口262の面積は流入開口部260の高さ方向の寸法とL4との積。
・
図13(c)において、第1の流入開口261の面積は流入開口部260の高さ方向の寸法とL5との積。第2の流入開口262の面積は流入開口部260の高さ方向の寸法とL6との積。
【0127】
図13(a)においては、背面側端部263と第1の流入開口261の端部との距離L1と、背面側端部263と第2の流入開口262の端部との距離L2とが略等しく、第1の流入開口261の面積と第2の流入開口262との面積は略等しくなる。
【0128】
図13(b)においては、背面側端部263と第1の流入開口261の端部との距離L3は、背面側端部263と第2の流入開口262の端部との距離L4より小さく、第1の流入開口261の面積は、第2の流入開口262の面積より小さくなる。
【0129】
図13(c)においては、背面側端部263と第1の流入開口261の端部との距離L5は、背面側端部263と第2の流入開口262の端部との距離L6より大きく、第1の流入開口261の面積は、第2の流入開口262の面積より大きくなる。
【0130】
図10、
図12に示すように、分岐ダクト254の第1の分岐口256には第1のブロア251の吸込側を接続し、吐出側を第3のダクト230へと接続している。分岐ダクト254の第2の分岐口257には第2のブロア252の吸込側を接続し、吐出側を第4のダクト240へと接続している。
【0131】
第1のブロア251および第2のブロア252は、制御盤400に設けられたインバータ(図示なし)に電気的に接続されている。そのため、インバータにより、第1のブロア251および第2のブロア252の運転周波数を調整して、それぞれの回転数を制御し、第1のブロア251および第2のブロア252から吐出する過熱水蒸気の流量を変更可能とするよう構成している。
【0132】
また、後述する流量調整ステップにて説明するが、第1のブロア251と第2のブロア252とは、吐出容量やその他性能を略同等とする。そのため、第1のブロア251と第2のブロア252には同メーカーの同型式のものを用いるのが好ましい。
【0133】
なお、分岐ダクト254の上面の孔を貫通した回転軸Axの先端からステッピングモータやサーボモータに接続して、流量調整ダンパ255の回動する角度を制御してもよい。その場合、後述する流量調整ステップにおける流量調整ダンパ255の位置を容易に調整することができる。
【0134】
(熱流体循環系統の構成)
次に、加熱室70に噴射された過熱水蒸気が循環流動する流路となる熱流体循環系統について、
図11を用いて説明する。
【0135】
熱流体循環系統は、吐出部250の第1のブロア251と第2のブロア252から順に、第3のダクト230と第4のダクト240、上方ノズル部130と下方ノズル部160、加熱室70、隙間G2とG3、隙間G1、循環口75、蒸気供給部201、第1のダクト210、加熱部202、第2のダクト220を経て、吐出部250の分岐ダクト254へ流動する循環流路により構成される。
【0136】
具体的には、第1のブロア251から吐出された過熱水蒸気は、第3のダクト230を流動し、第1の吐出口72を介して上方ノズル部130へ流動し、ノズル132の噴射口133より加熱室70に噴射される。また、第2のブロア252から吐出された過熱水蒸気は、第4のダクト240を流動し、第2の吐出口73を介して下方ノズル部160へ流動し、ノズル162の噴射口163より加熱室70に噴射される。
【0137】
加熱室70に噴射された過熱水蒸気は、隙間G2、G3を流動して隙間G1へと流動し、循環口75からグリスフィルタ(図示なし)を介して蒸気供給部201へ流動し、第1のダクト210、加熱部202、第2のダクト220を介して、分岐ダクト254へ流動する。分岐ダクト254にて流量調整ダンパ255により第1のブロア251と第2のブロア252とに分岐される。
【0138】
流量調整ダンパ255により分岐される過熱水蒸気は、第1の流入開口261から第1の分岐口256を介して第1のブロア251へ吸い込まれ吐出され、第2の流入開口262から第2の分岐口257を介して第2のブロア252へ吸い込まれ吐出される。熱流体循環系統は、このような循環経路により構成される。
【0139】
なお、熱流体循環系統は、吐出部250と加熱部202との順番を入れ替えてもよい。この場合、例えば、加熱室70の循環口75から順に、蒸気供給部201、ダクト、吐出部250、ダクト、加熱部202、ダクト、上方ノズル部130と下方ノズル部160、加熱室70へ流動する循環経路により構成される。このような構成の場合、必ずしも吐出部250に分岐ダクト254を有する必要はなく、加熱部202の下流側に分岐ダクト254を設けてもよい。
【0140】
(排水系統の構成)
次に、
図14を用いて、加熱室70および熱流体流動系統200で発生したドレン等を外部に排出するための排水系統300について説明する。
【0141】
排水系統300は、分岐ダクト254、第1のブロア251およびセパレータ63(
図5参照)で発生したドレンを排出するための第1の排水管群(排水管)311と、第2のブロア252で発生したドレン等を排出するための第2の排水管(排水管)312と、第3のダクト230で発生したドレン等を排出するための第3の排水管(排水管)313と、第4のダクト240で発生したドレン等を排出するための第4の排水管(排水管)314と、加熱部202で発生したドレン等を排出するための第5の排水管(排水管)315と、を有する。
【0142】
第1の排水管群311、第3の排水管313および第5の排水管315は、下部外郭体3の搬入口100側の背面底部に設けられた第1の排水回収枡301とそれぞれ接続され、第1の排水回収枡301には本排水管(排水管)310が設けられている。
【0143】
第2の排水管312および第4の排水管314は、下部外郭体3の搬出口110側の背面底部に設けられた第2の排水回収枡302とそれぞれ接続され、第2の排水回収枡302は第1の排水回収枡301と排水回収枡接続管303により接続されている。
【0144】
加熱室70は、加熱室70で発生したドレン等やドリップ、また、後述する清掃ステップで加熱室70内を清掃する際の排水を行うため、加熱室70の底部に庫内排水管320を有する。
【0145】
また、第1のカバー103の下方で下部外郭体3の左側面側に着脱自在に取り付けられた第1のドレンパン(ドレンパン)321には、ドレン等を加熱室70へと流動させるように接続する第6の排水管(排水管)316、第2のカバー113の下方で下部外郭体3の右側面側に着脱自在に取り付けられた第2のドレンパン(ドレンパン)322には、ドレン等を加熱室70へと流動させるように接続する第7の排水管(排水管)317がそれぞれ設けられている。
【0146】
これにより、第1のドレンパン321および第2のドレンパン322で受けたドレン等は、加熱室70内へ流動するよう構成されており、加熱室70内で発生したドレン等やドリップとともに庫内排水管320を介して外部に排水されるよう構成されている。
【0147】
それぞれの排水管は、配管経路の形成が容易な耐熱性に優れる金属製のフレキシブルホースにより構成されている。なお、排水管310、311、312、313、314、315、316、317、320は、一部もしくはすべてが鋼管により構成されてもよい。その場合、金属製のフレキシブルホースに比較して管路内を平坦とすることができ、排水系統300を流動するドレン等を円滑に流動させ、施設側の排水設備へと流動させることができる。
【0148】
(制御盤の構成)
次に、加熱調理装置1に備えた制御を必要とする機器を制御するための制御盤400の構成について、
図1を用いて説明する。
【0149】
図1に示すように、制御盤400は、加熱調理装置1のメイン電源のオンオフ、搬送部90の駆動オンオフ、加熱運転(第1のブロア251、第2のブロア252、燃焼バーナ21等)のオンオフ、蒸気供給手段67への蒸気供給のオンオフ等を行う複数のスイッチ404と、これらのオンオフの状態を示す表示灯401と、第1のブロア251および第2のブロア252の運転周波数、過熱水蒸気の温度、搬送部90の駆動速度、各種食品毎に設定された調理モード等を記憶する記憶部402と、現在選択されている調理モード等を表示するモニタ403と、を有する。
【0150】
制御盤400は、加熱調理装置1に有する各機器と電気的に接続することにより、メイン電源のオンオフ、搬送部90の駆動速度、第1のブロア251および第2のブロア252のオンオフおよび運転周波数の制御、ブロー用電磁弁51および調理用電磁弁61の開閉、電動二方弁66の開閉、第1のガス電磁弁14および第2のガス電磁弁16の開閉、コントロールバルブ15の調整、燃焼バーナ21の点火および消火、燃焼ブロア22のオンオフ、点火トランス24のオンオフ、送風ファン30のオンオフ等を遠隔制御することができるように構成されている。
【0151】
記憶部402に記憶する調理モードの詳細については後述するが、例えば、上方ノズル部130および下方ノズル部160から噴射される過熱水蒸気の温度、流量および比率や搬送部90の搬送速度等が任意に設定され、これにより、調理条件を詳細に設定することができる。モニタ403は、タッチパネル式モニタにより構成され、タッチ操作により、調理条件や制御を必要とする機器の動作等の設定ができるようになっている。
【0152】
(加熱調理装置の構成による効果)
本実施形態に記載した加熱調理装置1によれば、上部外郭体2の上部であり加熱室70の上方に吐出部250が配置され、下部外郭体3内であり加熱室70の下方に加熱手段28が配置されているので、加熱手段および吐出部を加熱室の背面側に配置した従来の加熱調理装置に比べて、加熱調理装置1の奥行方向における厚みを小さくして加熱調理装置1をスリム化することができる。
【0153】
これにより、加熱調理装置1が占める床面積を小さくして省スペース化を図ることができるので、従来装置では設置することができなかった狭い場所にも設置することができる可能性が拓け、また、限られたスペースに従来装置よりも多くの装置を配置することができる等、装置の配置自由度を高めることができる。
【0154】
また、第1のダクト210、第2のダクト220、第3のダクト230、第4のダクト240が、左右方向の幅に対して奥行方向における厚みが小さくなるように形成されているので、加熱調理装置1の奥行方向の寸法をさらに小さくして、より一層加熱調理装置1の省スペース化を図ることができる。
【0155】
さらに、加熱調理装置1が占める床面積が小さくなることで、第1の排気筒102および第2の排気筒112から排出される過熱水蒸気を回収し外部に排出するために、加熱調理装置1の上方に設けられる施設側のフードも小型化することができる。施設側のフードからは過熱水蒸気と一緒に、施設に設けられた空気調整設備等により温度や湿度等が調整された調理場内の空気も吸い込まれ排出されるが、フードを小型化することにより、過熱水蒸気とともにフードに吸い込まれ、施設の外側へと排気される調理場内の空気を減らすことができ、調理場の空気の温度や湿度等を調整するための空気調整設備等の負荷を減らすことができる。
【0156】
さらに、加熱部202を第1のブロア251および第2のブロア252の上流側に設けているので、第1のブロア251および第2のブロア252の下流側に設けた場合と比較して、過熱水蒸気が加熱部202内を流動するときに生じる圧力損失や流量の減少が少ない。
【0157】
そのため、後述する調理ステップでは、第1のブロア251および第2のブロア252から吐出された時の単位時間あたりの流量により近い状態で、加熱室70内で搬送される食品に向けて過熱水蒸気を噴射することができる。そして、意図した流量に近い状態で過熱水蒸気を食品に向けて噴射し、各々の食品に合わせた調理条件で食品を加熱調理することができる。
【0158】
分岐ダクト254の内部に流量調整ダンパ255を配置したことにより、それぞれを個別に配置した場合と比べ、構成を簡略化することができる。
【0159】
(加熱調理装置の運転動作)
次に、加熱調理装置1により、食品を加熱調理する際の運転動作について説明する。
【0160】
まず、加熱調理装置1の動作の概略について説明する。本動作は、上方ノズル部130および下方ノズル部160の各々から噴射される過熱水蒸気の流量が略等しくなるように調整する流量調整ステップと、食品を加熱する条件(調理条件)の設定や過熱水蒸気の生成および調理条件に応じた過熱水蒸気の噴射が行えるようにする調理前準備ステップと、設定した調理条件で食品を実際に調理する調理ステップと、食品の調理を終了し加熱調理装置1の運転を停止させる調理終了ステップと、調理後の加熱調理装置1の清掃を行う清掃ステップと、から成る。
【0161】
流量調整ステップでは、分岐ダクト254に備える流量調整ダンパ255の位置を調整することで、上方ノズル部130および下方ノズル部160から噴射される過熱水蒸気の流量が略等しくなるように調整する。
【0162】
流量調整ステップの後に行う調理前準備ステップでは、調理条件を設定し、設定した温度の過熱水蒸気の生成を行い、設定した調理条件で上方ノズル部130および下方ノズル部160から過熱水蒸気が噴射されるようにする。
【0163】
調理前準備ステップの後に行う調理ステップでは、設定した調理条件で上方ノズル部130および下方ノズル部160から過熱水蒸気が噴射されている加熱室70内を搬送部90により食品を搬送しながら、食品を加熱調理する。
【0164】
調理ステップの後に行う調理終了ステップでは、食品の加熱調理が終了し、飽和水蒸気の供給と加熱手段28を停止し、過熱水蒸気の生成を終了させて、加熱調理装置1の運転を停止する。
【0165】
調理終了ステップの後に行う清掃ステップでは、食品の加熱調理により汚れた加熱室70内、搬送部90、ノズル部120、熱流体流動系統200、吐出部250の分岐ダクト254、排水系統300等を清掃し、次回の加熱調理装置1での加熱調理に備える。
【0166】
【0167】
扉80が閉まっていることを確認し、制御盤400に備えたスイッチ404を操作して加熱調理装置1のメイン電源をオンにする。そして流量調整ダンパ255が流動する流体として常温空気の量を略等しく分岐する位置、つまり
図13(a)の状態となっていることを確認し、第1のブロア251および第2のブロア252を駆動する。
【0168】
このとき、制御盤400に備えたモニタ403をタッチ操作して、第1のブロア251および第2のブロア252を各々の回転数が同じになるように、ブロアに備えたモータの運転周波数を同じに設定して駆動する。
【0169】
そうすると、
図2、
図10に示すように、加熱室70内の常温空気は、循環口75からグリスフィルタ(図示なし)を通過して蒸気供給部201へ流動し、第1のダクト210の鉛直部211へと流動する。鉛直部211へ流動した常温空気は、鉛直部211から順に、屈曲部212、鉛直部213、屈曲部214、水平部215を流動し、加熱部202へと流動する。このとき、燃焼バーナ21を燃焼させていないので燃焼排気は加熱手段28内を流動しておらず、常温空気は加熱部202で加熱されず、常温のまま熱流体循環系統を循環流動する。
【0170】
加熱部202へ流動した常温空気は、第2のダクト220の水平部221へと流動し、水平部221へ流動した常温空気は、水平部221から順に、屈曲部222、鉛直部223を流動し、分岐ダクト254へと流動する。
【0171】
このとき、
図12、
図13(a)に示すように、分岐ダクト254の背面側の流入開口部260は、流量調整ダンパ255の背面側の辺である背面側端部263により左右に分岐され、第1の分岐口256側の第1の流入開口261と、第2の分岐口257側の第2の流入開口262とが形成される。
【0172】
流量調整ダンパ255が
図13(a)の状態では、背面側端部263と第1の流入開口261の端部との距離L1と、背面側端部263と第2の流入開口262の端部との距離L2とが略等しく、第1の流入開口261の面積と第2の流入開口262との面積は略等しくなる。
【0173】
これにより、分岐ダクト254へ流動してきた常温空気は、流量調整ダンパ255の背面側端部263により第1の流入開口261と第2の流入開口262とに分岐され、第1の流入開口261に分岐された常温空気は、第1の分岐口256を介して第1のブロア251へ吸い込まれる。また、第2の流入開口262に分岐された常温空気は、第2の分岐口257を介して第2のブロア252へ吸い込まれる。
【0174】
第1のブロア251へ吸い込まれた常温空気は、第3のダクト230の鉛直部231へと吐出される。鉛直部231へ吐出された常温空気は、鉛直部231から順に、屈曲部232、水平部233を流動し、第1の吐出口72から上方ノズル部130の空間S2の搬入口100側へ流動し、上方ノズル部130の空間S2内を搬出口110側(食品搬送方向Dの下流側)へ順次拡散し空間S2全体に行き渡る。そして蓋部150に備えたノズル132の噴射口133より加熱室70内へ噴射される。
【0175】
また、第2のブロア252へ吸い込まれた常温空気は、第4のダクト240の鉛直部241へと吐出される。鉛直部241へ吐出された常温空気は、鉛直部241から順に、屈曲部242、水平部243を流動し、第2の吐出口73から下方ノズル部160の空間S3の搬出口110側へ流動し、下方ノズル部160の空間S3内を搬入口100側(食品搬送方向Dの上流側)へ順次拡散し空間S3全体に行き渡る。そして蓋部180に備えたノズル162の噴射口163より加熱室70内へ噴射される。
【0176】
そして、ノズル132、162から加熱室70内に噴射された常温空気は、隙間G2、G3を介して隙間G1へと流動し、循環口75からグリスフィルタ(図示なし)を介して蒸気供給部201へと流動していく。
【0177】
このように、第1のブロア251および第2のブロア252の稼働により、熱流体循環系統を常温空気が循環流動する。
【0178】
次に、制御盤400に備えた第1のブロア251および第2のブロア252のインバータ(図示なし)に表示される電流値を確認する。
【0179】
このとき、前述したように第1の流入開口261および第2の流入開口262の面積は略等しくなるが、第1のブロア251から上方ノズル部130へと接続される第3のダクト230の鉛直部231の方が、第2のブロア252から下方ノズル部160へと接続される第4のダクト240の鉛直部241よりも高さ方向の長さが短く圧力損失が小さくなり、上方ノズル部130から噴射される常温空気の流量の方が、下方ノズル部160から噴射される常温空気の流量よりも多くなる。
【0180】
つまり、上方ノズル部130へ常温空気を吐出する第1のブロア251に備えたモータへの負荷の方が少なくなり、インバータに表示される電流値は、第2のブロア252よりも第1のブロア251の方が低くなる。
【0181】
このように第1のブロア251の電流値が低くなるので、流量調整ダンパ255の回転軸Axを上面視で反時計回り(左回り)に回動させ、
図13の(b)に示すように、背面側端部263と第1の流入開口261の端部との距離L3を、背面側端部263と第2の流入開口262の端部との距離L4よりも小さくし、第1の流入開口261の面積を第2の流入開口262の面積よりも小さくする。
【0182】
つまり、流量調整ダンパ255を回動させることにより、第2のダクト220の鉛直部223から分岐ダクト254の背面側の流入開口部260へ流動してきた常温空気を、流量調整ダンパ255の背面側端部263によって第1の流入開口261と第2の流入開口262とに分岐する比率を変更することができ、第1のブロア251と第2のブロア252とが吸い込むことができる常温空気の流量を変更することができる。
【0183】
これにより、流量調整ダンパ255によって狭くなった第1の流入開口261から第1の分岐口256を介して第1のブロア251へ吸い込まれる際の流動抵抗は大きくなり、第1のブロア251の吸い込み量が低下し、また、広くなった第2の流入開口262から第2の分岐口257を介して第2のブロア252へ吸い込まれる流動抵抗は小さくなり、第2のブロア252の吸い込み量が増加する。
【0184】
このように、第1の流入開口261と第2の流入開口262とに分岐する比率を変更することにより、第1のブロア251と第2のブロア252に吸い込まれる常温空気の流量の比率を変えることができる。そして、同じ回転数で駆動するブロアにて吸い込まれ吐出される常温空気の量に差を作り、第3のダクト230と第4のダクト240との流動長さの違いによる圧力損失の差と相殺することで、上方ノズル部130および下方ノズル部160から噴射される常温空気の流量を略等しく調整することができる。
【0185】
なお、第2のブロア252の電流値が低い場合は、流量調整ダンパ255の回転軸Axを上面視で時計回り(右回り)に回動させ、
図13の(c)に示すように、背面側端部263と第1の流入開口261の端部との距離L5を、背面側端部263と第2の流入開口262の端部との距離L6よりも大きくし、第1の流入開口261の面積を第2の流入開口262の面積よりも大きくする。
【0186】
これにより、上面視で反時計回り(左回り)に回動させたときと同様に、第1のブロア251と第2のブロア252とが吸い込むことができる常温空気の流量を変更することができる。
【0187】
第1のブロア251および第2のブロア252のインバータに表示される電流値を確認し、電流値が略等しくなるよう流量調整ダンパ255を回動させ、電流値が略等しくなった状態で、回転軸Axに備えたダブルナット等の締結手段で固定する。
【0188】
これにより、第1のブロア251から吐出され上方ノズル部130から噴射される常温空気の流量と、第2のブロア252から吐出され下方ノズル部160から噴射される常温空気の流量とを、略等しく調整することができる。
【0189】
このとき、流量調整ダンパ255の正面側の端部(符号なし)と分岐ダクト254の正面側の内面とは隙間ができるため、一旦、第1の流入開口261から第1の分岐口256側へ分岐した常温空気の一部は、この隙間から第2の分岐口257側へと流動するが、ブロアの電流値を略等しく調整することは、この隙間からの流動分も含めた流量として、調整されていることになる。
【0190】
流量調整ダンパ255を固定した後、再度電流値が略等しくなっていることを確認して、制御盤400を操作して、第1のブロア251および第2のブロア252の駆動を停止する。
【0191】
このように流量調整ステップを行うことで、第3のダクト230のダクト長さと第4のダクト240のダクト長さが異なることにより、第3のダクト230と第4のダクト240とを流動する常温空気に圧力損失の差が生じたとしても、第1のブロア251および第2のブロア252の回転数を微調整することなく、後述する調理前準備ステップや調理ステップにおける上方ノズル部130および下方ノズル部160から噴射される過熱水蒸気の流量を略等しくすることができる。
【0192】
そして、後述する調理前準備ステップにおいて、それぞれの食品に適した調理条件を設定するためのベースとなる状態を作り出すことができる。
【0193】
これにより、ブロア回転数による微調整を行う場合よりも、加熱調理時の調理条件の設定作業が容易となる。なお、流量調整ダンパ255を用いずブロア回転数のみによる微調整をした場合は、他方のブロアに比べて高い回転数に設定されたブロアのモータ等の使用条件が厳しくなり、耐久性に課題を有することとなるため好ましくない。
【0194】
また、後述する調理前準備ステップにおいて、ブロアの回転数の調整により過熱水蒸気の流量を調整する際にも、流量調整ダンパ255を用いずブロア回転数のみによる調整をした場合、ブロアの回転数を大きく調整することとなり、耐久性に課題を有することとなるため好ましくない。
【0195】
なお、流量調整ダンパ255の位置調整は、加熱調理の都度、実施してもよいし、加熱調理装置1のメンテナンス時等、定期的に実施してもよい。
【0196】
なお、上方ノズル部130の噴射口133と下方ノズル部160の噴射口163、それぞれから噴射される過熱水蒸気の流量を電流値により確認しつつ調整したが、吐出もしくは噴射される流量を計測する流量計を加熱調理装置1内に設けてもよい。その場合、流量計は第3のダクト230内や第4のダクト240内、上方ノズル部130内や下方ノズル部160内に設けることができるが、これら流量計の設置場所は例示した箇所に限定されるものではなく、上方ノズル部130の噴射口133と下方ノズル部160の噴射口163、それぞれから噴射される過熱水蒸気の流量を直接、もしくは間接的に計測できる箇所であればよい。
【0197】
なお、流量調整ダンパ255は、上方ノズル部130および下方ノズル部160の各々から噴射される過熱水蒸気の流量を積極的に変更するのに用いてもよい。その場合、上方ノズル部130の噴射口133および下方ノズル部160の噴射口163から噴射される過熱水蒸気の流量を、流量調整ダンパ255の位置調整による調整と、後述する調理前準備ステップで行う第1のブロア251および第2のブロア252の電源の運転周波数の調整による回転数の調整という2つの手段で行うことができるので、多様な過熱水蒸気の噴射状態を実現して、多様な食品に適した調理条件に対応することができる。
【0198】
【0199】
流量調整ステップが終了した後に、
図1に示すように扉80が閉まっていることを確認する。
【0200】
そして、制御盤400のモニタ403のタッチ操作にて、調理条件を設定する。調理条件は、ノズル部120から噴射される過熱水蒸気の温度、第1のブロア251および第2のブロア252の運転周波数、搬送部90の搬送速度および外部ボイラから供給される飽和水蒸気の量等により設定される。飽和水蒸気の量は、0%~100%まで段階的に調節可能で、例えば、0%、20%、30%、40%、50%、70%、80%および100%の8段階で調節される。
【0201】
これら調理条件の設定が完了したら制御盤400に備えたスイッチ404を操作して、搬送部90を駆動する。
【0202】
次に、ブロー系統50のブロー用電磁弁51を開き、且つ供給系統60の調理用電磁弁61を閉じた状態で、外部ボイラから加熱調理装置1に飽和水蒸気の供給を開始する。これにより、外部ボイラから供給される飽和水蒸気は、蒸気配管P内の残っていたドレン等や低温の蒸気とともにブロー系統50へ流動し、ブロー用電磁弁51を介して加熱調理装置1の外部へ排出される(
図5参照)。
【0203】
その後、ブロー系統50のブロー用電磁弁51を閉じ、且つ供給系統60の調理用電磁弁61を開くと、外部ボイラから供給される飽和水蒸気は供給系統60へと流動する。
【0204】
このとき、外部ボイラから供給される飽和水蒸気には、蒸気配管P内を流動する際に蒸気配管P内で発生したドレン等を、いくらか含んでいる。このドレン等は、外部ボイラから流動する飽和水蒸気の一部とともにブロー用電磁弁51と並列に設けられたスチームトラップ52へ流動し、スチームトラップ52にて飽和水蒸気の漏れを抑制しつつ、外部へ排出される。これはブロー用電磁弁51が閉じていて、かつ調理用電磁弁61が開いている状態で、外部ボイラから飽和水蒸気が供給されている間は、常時行われている。
【0205】
蒸気配管Pから供給系統60へと流動した飽和水蒸気は、調理用電磁弁61を介して、圧力スイッチ62へと流動する。このとき、流動してくる飽和水蒸気が所定の圧力で供給されているかを検知し、その信号を制御盤400へと送る。その信号を受けた制御盤400は、例えば供給される飽和水蒸気が所定の圧力よりも低い場合に、外部ボイラからの飽和水蒸気の供給不良の警報を出して作業者に注意を促す。
【0206】
圧力スイッチ62を流動した飽和水蒸気は、セパレータ63へと流動する。このとき、流動してくる飽和水蒸気には、スチームトラップ52で除去しきれなかったドレン等や供給系統60を流動してくる際に発生するドレン等が含まれるため、セパレータ63により加熱調理に用いる飽和水蒸気から、さらにドレン等を除去する。セパレータ63で除去されたドレン等は、第1の排水管群311を流動し、第1の排水回収枡301へと流動落下し、本排水管310を介して外部に排出される。
【0207】
セパレータ63を流動した飽和水蒸気は、減圧弁64へと流動する。このとき、流動してくる飽和水蒸気が所定の圧力より高い場合は、減圧弁64にて減圧される。
【0208】
減圧弁64にて所定の圧力に調整された飽和水蒸気は、電動二方弁66へと流動する。このとき、圧力計65により流動する飽和水蒸気の圧力を目視にて確認できる。
【0209】
電動二方弁66へ流動してきた飽和水蒸気は、制御盤400にて設定した飽和水蒸気の供給量へと調整されて、蒸気供給手段67へと流動する。
【0210】
このように供給系統60を流動してきた飽和水蒸気は、ドレン等が除去され、所定の圧力および蒸気量に調整された後、蒸気供給手段67へ流動する。
【0211】
蒸気供給手段67へ流動してきた飽和水蒸気は、蒸気供給手段67から蒸気供給部201内に放散される。
【0212】
次に、制御盤400に備えたモニタ403のタッチ操作により、第1のブロア251および第2のブロア252を駆動する。
【0213】
そうすると、
図2、
図10に示すように、蒸気供給部201に放散された飽和水蒸気は、第1のダクト210の鉛直部211へと流動する。鉛直部211へ流動した飽和水蒸気は、鉛直部211から順に、屈曲部212、鉛直部213を下方へと流動し、屈曲部214にて水平方向に流動方向を変えられ、水平部215を正面側へ流動し、稼働していない加熱部202へと流動する。
【0214】
加熱部202へ流動した飽和水蒸気は、第2のダクト220の水平部221へと流動して水平部221を搬入口100側へと流動し、屈曲部222にて上方向に流動方向を変えられて、鉛直部223を上方へ流動し、分岐ダクト254へと流動する。
【0215】
分岐ダクト254へ流動してきた飽和水蒸気は、流量調整ステップにて予め位置調整された流量調整ダンパ255により分岐された第1の流入開口261と第2の流入開口262とに、分岐されて流動する。
【0216】
そして、搬入口100側に分岐された飽和水蒸気は、第1の流入開口261から流量調整ダンパ255の搬入口100側の側面および分岐ダクト254の正面側の内面により搬入口100側に流動方向を所定の角度(例えば90度等)変えられ、第1の分岐口256を介して第1のブロア251へ吸い込まれる。
【0217】
また、搬出口110側に分岐された飽和水蒸気は、第2の流入開口262から流量調整ダンパ255の搬出口110側の側面および分岐ダクト254の正面側の内面により搬出口110側に流動方向を所定の角度(例えば90度等)変えられ、第2の分岐口257を介して第2のブロア252へ吸い込まれる。
【0218】
第1のブロア251へ吸い込まれた飽和水蒸気は、第3のダクト230の鉛直部231へと吐出される。鉛直部231へ吐出された飽和水蒸気は、鉛直部231を下方へと流動し、屈曲部232にて搬入口100側に流動方向を変えられ、水平部233を搬入口100側へ流動し、第1の吐出口72から上方ノズル部130の空間S2の搬入口100側へ流動し、上方ノズル部130の空間S2内を食品搬送方向Dの下流側へ順次拡散し空間S2全体に行き渡る。そして蓋部150に備えたノズル132の噴射口133より搬送部90に向かって加熱室70内へ噴射される。
【0219】
また、第2のブロア252へ吸い込まれた飽和水蒸気は、第4のダクト240の鉛直部241へと吐出される。鉛直部241へ吐出された飽和水蒸気は、鉛直部241を下方へと流動し、屈曲部242にて搬出口110側に流動方向を変えられ、水平部243を搬出口110側へ流動し、第2の吐出口73から下方ノズル部160の空間S3の搬出口110側へ流動し、下方ノズル部160の空間S3内を食品搬送方向Dの上流側へ順次拡散し空間S3全体に行き渡る。そして蓋部180に備えたノズル162の噴射口163より搬送部90に向かって加熱室70内へ噴射される。
【0220】
そして、上方ノズル部130のノズル132の噴射口133と、下方ノズル部160のノズル162の噴射口163とから加熱室70内に噴射された飽和水蒸気は、隙間G2、G3を介して隙間G1へと流動し、循環口75からグリスフィルタ(図示なし)を介して蒸気供給部201へと流動していく。
【0221】
このとき、循環口75は、加熱室70内の上方となる加熱室の天面74に設けられているため、加熱室70内に噴射された飽和水蒸気のうち、加熱室70内の上方に集まった、温度が高く比重の小さい飽和水蒸気を加熱室70内からより確実に回収し、再利用することができる。
【0222】
このように、第1のブロア251および第2のブロア252の稼働により、熱流体循環系統を飽和水蒸気が循環流動する。
【0223】
このとき、加熱室70内は、上方ノズル部130および下方ノズル部160から噴射された飽和水蒸気によって充満し、加熱室70内は外気よりも陽圧状態となる。このため、加熱室70内に噴射された飽和水蒸気の一部は、熱流体循環系統を循環流動せず、搬入口100および搬出口110から外部に漏れ出る。
【0224】
搬入口100から外部へと漏れ出た飽和水蒸気は、第1のカバー103により回収され、排気管101、排気筒102へと流動し、施設側に設けられた排気設備により施設の外部へ排出される。このとき、第1のカバー103の外側(左側面側)から外気も一緒に吸い込まれ、飽和水蒸気とともに排気管101、排気筒102へと流動し、施設側に設けられた排気設備により施設の外部へ排出される。
【0225】
また、搬出口110から外部へと漏れ出た飽和水蒸気は、第2のカバー113により回収され、排気管111、排気筒112へと流動し、施設側に設けられた排気設備により施設の外部へ排出される。このとき、第2のカバー113の外側(右側面側)から外気も一緒に吸い込まれ、飽和水蒸気とともに排気管111、排気筒112へと流動し、施設側に設けられた排気設備により施設の外部へ排出される。
【0226】
熱流体循環系統を循環流動する飽和水蒸気により、第1のダクト210、加熱部202、第2のダクト220、分岐ダクト254、第1のブロア251および第2のブロア252、第3のダクト230および第4のダクト240、上方ノズル部130および下方ノズル部160、加熱室70は加熱される。このとき、熱流体循環系統を構成する各部の加熱に伴い、結露によるドレン等が発生する。
【0227】
このとき、飽和水蒸気は、第1のダクト210、第2のダクト220、第3のダクト230、第4のダクト240を流動する際、所定の角度で屈曲した屈曲部にて流動方向を変えられる。また、飽和水蒸気は、分岐ダクト254内を流入開口部260から第1の分岐口256および第2の分岐口257へと流動する際、所定の角度で流動方向を変えられる。
【0228】
これにより、流動する飽和水蒸気中に含まれる水滴等を、屈曲部の内面および分岐ダクト254の正面側の内面に付着させ飽和水蒸気から除去することができ、除去した水滴等をドレンとして排出する。なお、この屈曲部の内面および分岐ダクト254の正面側の内面における飽和水蒸気からの水滴等の除去は、後述する調理ステップにおけるミスト状のドリップの除去と同様の作用効果であるため、後述する調理ステップにて詳細は説明する。
【0229】
分岐ダクト254および第1のブロア251で発生したドレン等は、第1の排水管群311へと流動し、セパレータ63から流動してくるドレン等とともに、第1の排水回収枡301を介して、本排水管310から外部へ排出される。
【0230】
また、第1のダクト210および第2のダクト220で発生したドレン等は、下部外郭体3に配置された加熱部202へと流動し、加熱部202で発生したドレン等とともに、第5の排水管315へと流動し、第1の排水回収枡301を介して、本排水管310から外部へ排出される。
【0231】
また、第3のダクト230で発生したドレン等は、第3の排水管313へと流動し、第1の排水回収枡301を介して、本排水管310から外部へ排出される。
【0232】
また、第4のダクト240で発生したドレン等は、第4の排水管314へと流動し、第2の排水回収枡302および排水回収枡接続管303を介して第1の排水回収枡301へと流動し、本排水管310から外部へ排出される。
【0233】
また、第2のブロア252で発生したドレン等は、第2の排水管312へと流動し、第2の排水回収枡302および排水回収枡接続管303を介して第1の排水回収枡301へと流動し、本排水管310から外部へ排出される。
【0234】
また、搬入口100から漏れ出た飽和水蒸気が、搬入口100が設けられた加熱室70の左側面側の外面、第1のカバー103および搬入口100より左側面側に突出した搬送部90に付着しドレン等となって、第1のドレンパン321へと落下する。第1のドレンパン321へ落下したドレン等は、第6の排水管316を介して、加熱室70内へと流動する。
【0235】
また、搬出口110から漏れ出た飽和水蒸気が、搬出口110が設けられた加熱室70の右側面側の外面、第2のカバー113および搬出口110より右側面側に突出した搬送部90に付着しドレン等となって、第2のドレンパン322へと落下する。第2のドレンパン322へ落下したドレン等は、第7の排水管317を介して、加熱室70内へと流動する。
【0236】
また、加熱室70内で発生したドレン等は、加熱室70の底面へと落下流動し、第1のドレンパン321および第2のドレンパン322より流動してきたドレン等とともに、加熱室70の底面に設けられた庫内排水管320から外部へ排出される。
【0237】
次に、制御盤400に備えたスイッチ404を操作して、
図3に示すガス系統10および燃焼系統20を稼働させる。まず燃焼ブロア22を駆動させ、燃焼ブロア22より吐出される燃焼用空気が所定の圧力で吐出されているかをエア圧力スイッチ23にて検知しながら、燃焼用空気を燃焼バーナ21へと供給する。
【0238】
次に、ガス系統10にて所定の圧力および流量に調整されたガスを燃焼バーナ21へ供給し、点火トランス24へ信号が送られて燃焼バーナ21が点火され、燃焼バーナ21が燃焼を始める。
【0239】
このとき、UVセンサ25が燃焼時に発せられる紫外線によって燃焼バーナ21の燃焼状態を検知して、制御盤400へ信号を送る。また、燃焼ブロア22の燃焼用空気の吐出状態をエア圧力スイッチ23が検知して、制御盤400へ信号を送る。
【0240】
このようにUVセンサ25による燃焼状態の検知と、エア圧力スイッチ23による燃焼用空気の吐出状態の検知によって、燃焼バーナ21の燃焼が正常に行われているかを監視し、燃焼バーナ21の燃焼が安全に行われるよう制御される。
【0241】
燃焼バーナ21の燃焼により発生した燃焼排気は、熱流体循環系統を構成する加熱部202に備えた加熱手段28を通過し排気筒27へと流動する際、熱流体循環系統である加熱部202内で流動する飽和水蒸気と間接的に熱交換し加熱する。飽和水蒸気と熱交換し加熱した燃焼排気は、排気筒27を介して外部へ排出される(
図11参照)。
【0242】
熱流体循環系統を循環流動する飽和水蒸気は、循環を繰り返しながら加熱手段28を通過する際に徐々に加熱される。この加熱は、飽和水蒸気が設定した温度の過熱水蒸気になるまで継続され、過熱水蒸気を所定の温度、例えば20分かけて300度Cまで継続される。
【0243】
このとき、もし燃焼バーナ21が正常に燃焼していない場合は、UVセンサ25が燃焼時に発せられる紫外線の異常を検知し、制御盤400に信号を送り、制御盤400から、ガス系統10によるガスの供給を停止し、燃焼系統20の燃焼ブロア22の駆動を停止して、燃焼バーナ21の燃焼を停止するよう、ガス系統10と燃焼系統20の各機器に信号を送り、燃焼排気の発生を停止し、安全に加熱手段28による加熱を停止させる。
【0244】
飽和水蒸気は、熱流体循環系統を循環流動しながら加熱部202での加熱を継続されることで、上方ノズル部130および下方ノズル部160からは所定の温度、例えば300度Cまで加熱された過熱水蒸気が加熱室70内に噴射されるようになる。
【0245】
これにより、加熱室70内は、上方ノズル部130および下方ノズル部160から噴射された過熱水蒸気が充満し、加熱室70内は外気よりも陽圧状態となる。このため、加熱室70内の過熱水蒸気の一部は、熱流体循環系統を循環流動せず、搬入口100および搬出口110から外部に漏れ出る。
【0246】
搬入口100から外部へと漏れ出た過熱水蒸気は、第1のカバー103により回収され、第1の排気管101、第1の排気筒102へと流動し、施設側に設けられた排気設備により施設の外部へ排出される。このとき、第1のカバー103の外側(左側面側)から外気も一緒に吸い込まれ、過熱水蒸気とともに第1の排気管101、第1の排気筒102へと流動し、施設側に設けられた排気設備により施設の外部へ排出される。
【0247】
また、搬出口110から外部へと漏れ出た過熱水蒸気は、第2のカバー113により回収され、第2の排気管111、第2の排気筒112へと流動し、施設側に設けられた排気設備により施設の外部へ排出される。このとき、第2のカバー113の外側(右側面側)から外気も一緒に吸い込まれ、過熱水蒸気とともに第2の排気管111、第2の排気筒112へと流動し、施設側に設けられた排気設備により施設の外部へ排出される。
【0248】
また、搬送部90は、上方ノズル部130および下方ノズル部160より噴射される過熱水蒸気が吹き付けられることで加熱される。これにより、次の調理ステップにて、低温の食品が搬送部90に直接載せられた際、搬送部90への食品の張り付きを低減することができる。
【0249】
また、熱流体循環系統を循環流動しながら所定の温度まで加熱された過熱水蒸気は、熱流体流動系統200である第1のダクト210、第2のダクト220、第3のダクト230および第4のダクト240を流動する。
【0250】
このとき、
図2、
図10に示すように、第1のダクト210の背面側の面と第2のダクト220の正面側の面が隣接し、第3のダクト230の搬出口110側の側面と第1のダクト210および第2のダクト220の搬入口100側の側面とが隣接し、第4のダクト240の搬入口100側の側面と第1のダクト210および第2のダクト220の搬出口110側の側面とが隣接している。
【0251】
これにより、第1のダクト210、第2のダクト220、第3のダクト230および第4のダクト240内を流動する過熱水蒸気により加熱されたこれらのダクト同士を隣接させる。そして、加熱されたこれらのダクト同士の放熱により保温してこれらのダクトが外気により冷却されることを抑制し、隣接するダクト内を流動する過熱水蒸気の温度を維持することができる。
【0252】
特に、加熱手段28で加熱されて直ぐの最も高温の過熱水蒸気は、加熱調理装置1の最も背面側に位置する第2のダクト220を流動し、外部ボイラから供給された飽和水蒸気や加熱室70において加熱調理に用いられた後の比較的低温の過熱水蒸気は第1のダクト210を流動するので、第2のダクト220の正面側の面と第1のダクト210の背面側の面とが隣接していることで、第2のダクト220を通る最も高温の過熱水蒸気の熱によって第1のダクト210を通る過熱水蒸気の温度低下を抑制することができる。
【0253】
さらに、第1のダクト210の搬入口100側の側面は、第1のブロア251から吐出された高温の過熱水蒸気が流動する第3のダクト230の搬出口110側の側面と隣接し、第1のダクト210の搬出口110側の側面は、第2のブロア252から吐出された高温の過熱水蒸気が流動する第4のダクト240の搬入口100側の側面と隣接している。これにより、第1のダクト210の背面、搬入口100側の側面および搬出口110側の側面が、第1のダクト210を流動する過熱水蒸気よりも高温の過熱水蒸気が流動するダクトにより囲まれているので、第1のダクト210の温度低下をより一層抑制することができる。
【0254】
また、
図4に示すように、下部外郭体3における加熱室70の下方の空間S1に加熱手段28および燃焼系統20が設けられているので、空間S1には加熱手段28からの熱や燃焼バーナ21でガスを燃焼させたときに発生した熱がこもる。このこもった熱によって空間S1上方の食品の加熱調理時における加熱室70の温度低下を抑制することができ、加熱室70内での熱流体の温度低下を抑制して食品を効果的に加熱調理することができる。
【0255】
また、熱がこもることで空間S1の内部温度が高温となり過ぎた場合には、送風ファン30を作動させ、空間S1に外気を取り入れることで空間S1の内部温度を低下させる。これにより、空間S1を目隠ししている化粧板(図示なし)や空間S1内に存在する板金等の熱変形を防止することができる。
【0256】
また、空間S1内の空気が燃焼ブロア22により吸い込まれて燃焼バーナ21に供給されるので、低温の空気が供給される場合に比べて燃焼バーナ21による燃焼排気の温度がより高くなり、飽和水蒸気または過熱水蒸気の加熱効率を向上させることができる。
【0257】
また、加熱室70内は、上方ノズル部130および下方ノズル部160より過熱水蒸気が噴射されるため、加熱室70内は外気に対して陽圧状態となり、搬入口100および搬出口110からの外気の侵入を抑えることができる。加えて、加熱室70内は過熱水蒸気で充満することにより、加熱室70内への酸素の侵入が抑えられ、加熱室70内の酸素濃度を低く抑えることができる。
【0258】
これにより、加熱室70内を低酸素状態とすることができ、後述する調理ステップにおける食品加熱時の酸化による栄養素の酸化破壊を抑制することができる。
【0259】
また、加熱室70内の温度低下を抑制できると共に、加熱室70内の温度を安定に維持することができる。
【0260】
また、上方ノズル部130および下方ノズル部160より噴射された過熱水蒸気の一部は、加熱室70から搬入口100および搬出口110から外部に漏れ出るが、漏れ出た過熱水蒸気は、外気とともに第1のカバー103および第2のカバー113より回収される。
【0261】
このとき、施設側の排気設備により、第1のカバー103および第2のカバー113内でも過熱水蒸気を上方に向かって流すことによりカーテン作用を生じさせて、加熱室70への外気の流入をより効果的に抑制することができる。
【0262】
また、第1のカバー103および第2のカバー113の開口から漏れ出た過熱水蒸気を、加熱調理装置1が設置された施設の外部に排出することで、加熱室70内への外気の侵入をより効果的に防止することができるとともに、調理場への過熱水蒸気の漏えいを防止し、調理場の空気の温度や湿度等を快適に維持することができ、調理作業者の作業環境を良好に保つことができる。
【0263】
また、加熱室70内で上方ノズル部130および下方ノズル部160から噴射された過熱水蒸気は、隙間G2、G3を介して上方ノズル部130の上方へと流動する。つまり、加熱室70内の搬入口100および搬出口110近傍において過熱水蒸気を上方に向かって流動させてカーテン作用を生じさせ、加熱室70への外気の流入をより効果的に抑制することができる。
【0264】
これにより、加熱室70内の酸素濃度をより低く抑え、加熱室70内を低酸素状態とすることができ、後述する調理ステップにおける食品加熱時の酸化による栄養素の酸化破壊を抑制することができる。
【0265】
さらに、過熱水蒸気が隙間G2、G3を通るので、過熱水蒸気を加熱室70内の搬入口100側の端部および搬出口110側の端部まで行き渡らせることができる。これにより、加熱室70内の温度を均一にして、温度むら無く食品を加熱調理することができる。
【0266】
このように加熱調理に用いる過熱水蒸気の生成が完了し、流量調整ステップと調理前準備ステップとにより設定した調理条件が整った後に、次の調理ステップを始める。これにより、調理ステップの開始直後から、それぞれの食品に適した調理条件で加熱調理を行うことができる。
【0267】
(調理ステップについて)
次に、実際に食品を加熱調理する調理ステップについて、
図2、
図10、
図11、
図14を用いて具体的に説明する。
【0268】
まず、加熱調理する食品を準備し、第1のカバー103よりも左側面側に突出した搬送部90に載置し加熱室70へと搬入する。搬送部90に載置された食品は、第1のカバー103内を通過して、搬入口100より加熱室70へと搬送される。
【0269】
図11に示すように、食品は、第1のカバー103内を搬送される際、搬入口100から漏れ出た過熱水蒸気に触れ、徐々に加熱され始める。漏れ出た過熱水蒸気は、低温の食品と接触することで温度低下し(凝縮)、液体の水(凝縮水)となって食品の表面に付着し、大量の熱が食品に伝達され食品が加熱される。但し、この段階では、漏れ出た過熱水蒸気の温度は、加熱室70内の過熱水蒸気の温度よりも温度低下しており、食品に接触する過熱水蒸気の量も少ないため、食品を十分に加熱するには至らない。
【0270】
このとき、食品に付着した凝縮水は、食品表面のドリップとともに食品表面を流動落下し、搬送部90に付着したり、第1のドレンパン321へ落下する。搬送部90に付着したドリップを含む凝縮水は、搬送部90より第1のドレンパンへ321へと落下する。第1のドレンパン321に落下したドリップを含む凝縮水は、第6の排水管316を介して、加熱室70内へと流動する。ドリップを含む凝縮水の排出については後述する。
【0271】
搬入口100より加熱室70へ搬送された食品は、まず加熱室70に充満した過熱水蒸気の雰囲気により加熱され始める。加熱室70内の過熱水蒸気は、搬入口100から第1のカバー103へ漏れ出る過熱水蒸気よりも多量に存在している(過熱水蒸気雰囲気)。加熱室70内に搬送された食品は、この過熱水蒸気雰囲気中で多量の過熱水蒸気により加熱される。
【0272】
低温の食品表面に付着した過熱水蒸気は温度低下し(凝縮)、液体の水(凝縮水)となって食品の表面に付着し、大量の熱が食品に伝達され食品が加熱される。この段階では、搬入口100から第1のカバー103へ漏れ出た過熱水蒸気による加熱よりも、食品に伝達される熱量が多くなり、食品表面から食品内部へも熱が伝達され加熱されるようになる。
【0273】
このとき、食品に付着した凝縮水は、食品表面に加え食品内部からのドリップとともに食品表面を流動落下し、搬送部90に付着したり、加熱室70の底面へ落下する。搬送部90に付着したドリップを含む凝縮水は、搬送部90より加熱室70の底面へと落下する。
【0274】
加熱室70内の過熱水蒸気雰囲気中で加熱されながら食品搬送方向Dへ搬送される食品は、ノズル部120から過熱水蒸気が噴射される噴射エリア、つまり、最も搬入口100側に設けた噴射口133、163から、最も搬出口110側に設けた噴射口133、163までの間の食品搬送方向Dの範囲に入る。
【0275】
噴射エリアでは、加熱室70内を食品搬送方向Dに搬送されながら、加熱室70内の過熱水蒸気雰囲気による加熱に加え、上方ノズル部130から噴射された過熱水蒸気による食品の主に上半部の加熱と、下方ノズル部160から噴射され搬送部90を通過した過熱水蒸気による食品の主に下半部の加熱が行われる。これは、噴射エリアを搬送部90で食品搬送方向Dに搬送され通過し終わるまで継続される。
【0276】
上方ノズル部130の噴射口133から食品の上半部へと噴射された過熱水蒸気は、食品表面の上半部に接触して温度低下し(凝縮)、液体の水(凝縮水)となって食品の表面に付着し、大量の熱が食品に伝達され食品が加熱される。
【0277】
さらに、上方ノズル部130の噴射口133から食品の上半部へと噴射された過熱水蒸気は、噴射された流速を維持した状態で食品に順次接触する。つまり、食品は噴射された流速を維持した状態の所定の温度の過熱水蒸気により加熱されることになる。
【0278】
また、下方ノズル部160の噴射口163から食品の下半部へと噴射された過熱水蒸気は、食品表面の下半部に接触して温度低下し(凝縮)、液体の水(凝縮水)となって食品の表面に付着し、大量の熱が食品に伝達され食品が加熱される。
【0279】
さらに、下方ノズル部160の噴射口163から食品の下半部へと噴射された過熱水蒸気は、噴射された流速を維持した状態で食品に順次接触する。つまり、食品は噴射された流速を維持した状態の所定の温度の過熱水蒸気により加熱されることになる。
【0280】
これにより、上方ノズル部130および下方ノズル部160から噴射された過熱水蒸気により食品に伝達される熱量が、第1のカバー103内を通過するときよりも、さらに多くなり、食品表面から食品内部への熱伝達が促進され食品の芯部まで加熱されることとなる。したがって、食品の加熱効率が高いものとなる。
【0281】
このとき、食品表面に付着した凝縮水は、食品表面に加え食品内部からのドリップとともに食品表面を流動落下し、搬送部90に付着したり、下方ノズル部160に落下する。搬送部90に付着したドリップを含む凝縮水は、搬送部90より下方ノズル部160の蓋部180に落下し、さらに蓋部180に落下したドリップは、加熱室70内におけるノズル部120からの過熱水蒸気の噴射による対流等により、蓋部180から加熱室70の底面へと落下したり、また、ドリップの一部は加熱室70の過熱蒸気雰囲気中と蓋部180の温度で加熱され、蓋部180に付着し一部は焦げ付いたりする。
【0282】
さらに加熱が進行すると食品温度が上昇し、食品表面は高温となり、食品表面に付着した凝縮水は蒸発し始める。蒸発した凝縮水は、加熱室70内の食品に付着しなかった過熱水蒸気に混ざり合い、加熱室70内の隙間G2、G3を介して隙間G1を流動し、循環口75からグリスフィルタ(図示なし)を介して蒸気供給部201へと流動する。蒸気供給部201では蒸気供給手段67により放散される飽和水蒸気が混ざり合い熱流体循環系統を循環流動する。
【0283】
このとき、食品、例えば肉を過熱水蒸気により加熱することにより、食品からは肉汁等の加熱タンパク質を含むドリップが染み出す。染み出したドリップは、食品表面が高温に加熱されることで気泡状になり、気泡がはじけることで細かな粒子(ミスト状)のドリップが発生することがある。このミスト状のドリップは、蒸発した凝縮水とともに加熱室70内の食品等に付着しなかった過熱水蒸気に混ざり合い、熱流体循環系統を循環流動する。
【0284】
ミスト状のドリップを含む過熱水蒸気は、循環口75からグリスフィルタ(図示なし)を介して蒸気供給部201に流動する際にドリップ成分が濾過されて、第1のダクト210の鉛直部211へと流動する。しかしグリスフィルタで濾過されても完全には除去されず、残留する場合がある。このため、蒸気供給部201から第1のダクト210へ流動する過熱水蒸気には、まだミスト状のドリップが含まれる。
【0285】
図2、
図10に示すように、蒸気供給部201から第1のダクト210の鉛直部211へ流動したミスト状のドリップを含む過熱水蒸気は、鉛直部211から順に、屈曲部212、鉛直部213を下方へ流動し、屈曲部214にて、水平方向に流動方向を変えられて水平部215を正面側へと流動し、加熱部202へと流動する。
【0286】
このとき、ミスト状のドリップを含む過熱水蒸気は、略クランク状の屈曲部212を流動する際に、一部がダクト内面へと接触し、ミスト状のドリップの一部は屈曲部212の内面に付着して、流動する過熱水蒸気から除去される。屈曲部212に付着したミスト状のドリップは、第1のダクト210内で発生したドレン等とともに加熱部202へと流動する。
【0287】
さらに、ミスト状のドリップを含む過熱水蒸気は、屈曲部214を流動する際に、一部がダクトの内面へと接触し、ミスト状のドリップの一部は屈曲部214の内面に付着して、流動する過熱水蒸気から除去される。屈曲部214に付着したミスト状のドリップは、第1のダクト210内で発生したドレン等とともに加熱部202へと流動する。
【0288】
加熱部202へ流動したミスト状のドリップを含む過熱水蒸気は、加熱手段28により加熱された後、第2のダクト220の水平部221へと流動し、屈曲部222を流動する際に、一部がダクト内面へと接触する。鉛直部223を上方へ流動し、分岐ダクト254へと流動する。
【0289】
このとき、ミスト状のドリップを含む過熱水蒸気は、屈曲部222を流動する際に、一部がダクト内面へと接触し、ミスト状のドリップの一部は屈曲部222の内面に付着して、流動する過熱水蒸気から除去される。屈曲部222に付着したミスト状のドリップは、第2のダクト220内で発生したドレン等とともに加熱部202へと流動する。
【0290】
分岐ダクト254へ流動してきたミスト状のドリップを含む過熱水蒸気は、流量調整ステップにて予め位置調整された流量調整ダンパ255により第1の流入開口261と第2の流入開口262とに分岐される。
【0291】
そして第1の流入開口261に分岐されたミスト状のドリップを含む過熱水蒸気は、第1の流入開口261から流量調整ダンパ255の搬入口100側の側面および分岐ダクト254の正面側の内面により搬入口100側に流動方向を変えられ、第1の分岐口256を介して第1のブロア251へ吸い込まれる。
【0292】
このとき、ミスト状のドリップを含む過熱水蒸気は、分岐ダクト254から第1の分岐口256へと流動方向を所定の角度(例えば90度等)変えられる際、一部が流量調整ダンパ255の搬入口100側の側面および分岐ダクト254の正面の内側に付着して、流動する過熱水蒸気から除去される。
【0293】
また、第2の流入開口262に分岐されたミスト状のドリップを含む過熱水蒸気は、第2の流入開口262から流量調整ダンパ255の搬出口110側の側面および分岐ダクト254の正面側の内面により搬出口110側に流動方向を変えられ、第2の分岐口257を介して第2のブロア252へ吸い込まれる。
【0294】
このとき、ミスト状のドリップを含む過熱水蒸気は、分岐ダクト254から第2の分岐口257へと流動方向を所定の角度(例えば90度等)変えられる際、一部が流量調整ダンパ255の搬出口110側の側面および分岐ダクト254の正面の内側に付着して、流動する過熱水蒸気から除去される。
【0295】
分岐ダクト254の正面側の内面および流量調整ダンパ255に付着したミスト状のドリップは、分岐ダクト254内で発生したドレン等とともに、第1の排水管群311へと流動する。
【0296】
第1のブロア251へ吸い込まれたミスト状のドリップを含む過熱水蒸気は、第3のダクト230の鉛直部231へと吐出される。鉛直部231へ吐出されたミスト状のドリップを含む過熱水蒸気は、鉛直部231を下方へ流動し、屈曲部232にて流動方向を水平に変えられ、水平部233を搬入口100側へ流動し、第1の吐出口72から上方ノズル部130の空間S2の搬入口100側へ流動し、上方ノズル部130の空間S2内を食品搬送方向Dの下流側へ順次拡散し空間S2全体に行き渡る。そして蓋部150に備えたノズル132の噴射口133より搬送部90に向かって加熱室70内へ噴射される。
【0297】
このとき、ミスト状のドリップを含む過熱水蒸気は、屈曲部232を流動する際、一部がダクトの内面へと接触する。このとき、ミスト状のドリップの一部は屈曲部232の内面に付着して、流動する過熱水蒸気から除去される。屈曲部232に付着したミスト状のドリップは、第3のダクト230内で発生したドレン等とともに第3の排水管313へと流動する。
【0298】
また、第2のブロア252へ吸い込まれた飽和水蒸気は、第4のダクト240の鉛直部241へと吐出される。鉛直部241へ吐出された飽和水蒸気は、鉛直部241を下方へ流動し、屈曲部242にて流動方向を水平方向に変えられ、水平部243を搬出口110側へ流動し、第2の吐出口73から下方ノズル部160の空間S3の搬出口110側へ流動し、下方ノズル部160の空間S3内を食品搬送方向Dの上流側へ順次拡散し空間S3全体に行き渡る。そして蓋部180に備えたノズル162の噴射口163より搬送部90に向かって加熱室70内へ噴射される。
【0299】
このとき、ミスト状のドリップを含む過熱水蒸気は、屈曲部242を流動する際、一部がダクト内面へと接触する。このとき、ミスト状のドリップの一部は屈曲部242の内面に付着して、流動する過熱水蒸気から除去される。屈曲部242に付着したミスト状のドリップは、第4のダクト240内で発生したドレン等とともに第4の排水管314へと流動する。
【0300】
そして、上方ノズル部130のノズル132の噴射口133と、下方ノズル部160のノズル162の噴射口163とから加熱室70内に噴射された過熱水蒸気は、食品へ吹き付けられ、食品表面に接触して加熱する。食品に付着しなかった過熱水蒸気に再び食品から発生するミスト状のドリップが混ざり合い、隙間G2、G3を介して隙間G1へと流動し、循環口75からグリスフィルタを介して蒸気供給部201へと流動する。蒸気供給部201内で、蒸気供給手段67から放散される飽和水蒸気と混ざり合い、再び第1のダクト210の鉛直部211へと流動していく。
【0301】
このように、加熱室70内で食品からのミスト状のドリップが含まれる過熱水蒸気は、蒸気供給部201に備えたグリスフィルタ、各ダクトの屈曲部212、214、222、232、242、流量調整ダンパ255および分岐ダクト254の正面側の内面にてドリップ成分が除去されながら流動して、上方ノズル部130および下方ノズル部160へと流動し、上方ノズル部130のノズル132の噴射口133と、下方ノズル部160のノズル162の噴射口163とから噴射エリアを搬送される食品に向かって噴射される。
【0302】
食品は、ノズル部120から過熱水蒸気が噴射されるエリアを通過してから、搬出口110へ搬送されるまでは、加熱室70内に充満した過熱水蒸気雰囲気による加熱が継続される。この段階では、食品の芯温が所定の温度に達し、食品の加熱調理は完了する。
【0303】
このとき、食品を加熱する過熱水蒸気は、熱流体循環系統を循環流動することで、所定の温度に加熱されながら、繰り返し食品を加熱調理している。これにより、食品の加熱調理に用いる過熱水蒸気の消費量を減らすことができる。また、加熱された過熱水蒸気を循環させるため、循環流動する過熱水蒸気に供給される飽和水蒸気を所定の温度まで加熱するためのエネルギを節約することができる。
【0304】
また、加熱室70内に噴射された過熱水蒸気は、循環口75より回収されて熱流体循環系統を循環流動し加熱調理に繰り返し使用される。このとき、調理前準備ステップでも記載したが、循環口75は、加熱室70内の上方となる加熱室の天面74に設けられていることにより、加熱室70内に噴射された過熱水蒸気のうち、加熱室70内の上方に集まった、温度が高く比重の小さい過熱水蒸気を加熱室70内からより確実に回収し、再利用することができる。
【0305】
加熱室70から搬出口110を介して、第2のカバー113内へと搬送される。搬送される加熱調理が完了した食品は、第2のカバー113内において、搬出口110から漏れ出た過熱水蒸気が接触し加熱はされるが、接触する過熱水蒸気は加熱室70の過熱水蒸気比べて温度が低く量も少ない。このため、加熱されて高温となっている食品に付着しても熱量は少なく、食品の加熱に対する寄与度は低い。
【0306】
このとき、加熱調理が完了した食品からは、引き続きドリップが発生している場合がある。このドリップは、搬送中に搬送部90へと付着したり、第2のドレンパン322へと落下する。搬送部90から下方に備えた第2のドレンパン322へと落下し、第2のドレンパン322から第7の排水管317を介して、加熱室70へと流動する。
【0307】
加熱調理が完了した食品は、第2のカバー113内を通過して、第2のカバー113の外側に突出した搬送部90まで搬送され、加熱調理装置1から取り出され、加熱調理が終了する。取り出された加熱調理済みの食品は、冷却工程や包装工程や盛り付け工程等へ移送される。
【0308】
図14に示すように、調理ステップにおいて加熱調理により各部で発生するドリップを含む凝縮水や循環流動における結露等で発生するドレン等とともに、排水系統300によって排出される。
【0309】
まず、熱流体供給系統40におけるセパレータ63で発生したドレン等と、分岐ダクト254で発生したドレン等および除去されたドリップと、第1のブロア251で発生したドレン等および除去されたドリップは、第1の排水管群311を介して、第1の排水回収枡301へと流動する。
【0310】
第1のダクト210で発生したドレン等および屈曲部212、214で除去されたドリップは、加熱部202へと流動する。また、第2のダクト220で発生したドレン等および屈曲部222で除去されたドリップは、加熱部202へと流動する。これらドレン等やドリップは、加熱部202内で発生したドレン等とともに、第5の排水管315を介して、第1の排水回収枡301へと流動する。
【0311】
第3のダクト230で発生したドレン等および屈曲部232で除去されたドリップは、第3の排水管313を介して、第1の排水回収枡301へと流動する。
【0312】
第2のブロア252で発生したドレン等およびドリップは、第2の排水管312を介して、第2の排水回収枡302へと流動する。
【0313】
第4のダクト240で発生したドレン等および屈曲部242で除去されたドリップは、第4の排水管314を介して、第2の排水回収枡302へと流動する。
【0314】
第2の排水回収枡302へ流動したドレン等やドリップは、排水回収枡接続管303を介して第1の排水回収枡301へと流動し、本排水管310を介して外部へ排出される。
【0315】
第1のドレンパン321から、第6の排水管316を介して加熱室70へ流動したドレンや除去されたドリップと、第2のドレンパン322から第7の排水管317を介して加熱室70へ流動したドレン等や除去されたドリップは、加熱室70内で発生したドレン等やドリップとともに、庫内排水管320を介して外部へ排出される。
【0316】
また、上方ノズル部130に対して過熱水蒸気を吐出する第1のブロア251と下方ノズル部160に対して過熱水蒸気を吐出する第2のブロア252とが互いに独立しているので、これら第1のブロア251および第2のブロア252の回転数を別々に制御することで、上方ノズル部130および下方ノズル部160の各々から噴射される過熱水蒸気の流量を自在に調整することができる。
【0317】
これにより、搬送部90で搬送される食品の上半部と下半部とに異なる流量の過熱水蒸気を噴射することで、食品の上半部と下半部とに与える加熱量を異なる状態とし、それぞれの食品に適した加熱調理が可能となる。
【0318】
以下に、上方ノズル部130および下方ノズル部160から噴射される過熱水蒸気の流量を変更するために第1のブロア251および第2のブロア252の回転数を調整する際の動作を説明する。
【0319】
まず、第1のブロア251および第2のブロア252を同じ回転数で回転させている状態から、同じ過熱水蒸気の温度で食品の上半部を弱く加熱したい場合、上方ノズル部130から噴射される過熱水蒸気の流量を減らすための動作について説明する。
【0320】
前述した調理前準備ステップにおいて上方ノズル部130へ過熱水蒸気を吐出する第1のブロア251の回転数のみを制御盤400の操作により低くすることで、第1のブロア251による吸い込み量が減少し、吐出量が減少する。このとき、1つの循環経路から2つのブロア(第1のブロア251および第2のブロア252)が過熱水蒸気を取り合うため、一方のブロア(例えば第1のブロア251)からの吐出量を減少させることで、他方のブロア(例えば第2のブロア252)からの吐出量が増えることとなる。つまり、第2のブロア252が吸い込む過熱水蒸気の吸い込み量が増加するため、結果、第2のブロア252からの吐出量が増加する。
【0321】
これにより、上方ノズル部130から噴射される過熱水蒸気の流量を減らし、食品の上半部を弱く加熱することができる。このとき、食品の下半部は強く加熱されることになる。
【0322】
さらに、同じ過熱水蒸気の温度で食品の上半部をより弱く加熱したい場合は、第2のブロア252の回転数を上げて、第2のブロア252が吸い込む過熱水蒸気の吸い込み量をさらに増加させることで、第1のブロア251が吸い込む過熱水蒸気の吸い込み量をさらに減少させ、吐出量をさらに減少させる。
【0323】
これにより、上方ノズル部130から噴射される過熱水蒸気の流量をさらに減らし、食品の上半部をより弱く加熱することができる。このとき、食品の下半部はより強く加熱されることになる。
【0324】
次に、第1のブロア251および第2のブロア252を同じ回転数で回転させている状態から、同じ過熱水蒸気の温度で食品の下半部を弱く加熱したい場合、下方ノズル部160から噴射される過熱水蒸気の流量を減らすための動作について説明する。
【0325】
前述した調理前準備ステップにおいて下方ノズル部160へ過熱水蒸気を吐出する第2のブロア252の回転数のみを制御盤400の操作により低くすることで、第2のブロア252による吸い込み量が減少し、吐出量が減少する。つまり、第1のブロア251が吸い込む過熱水蒸気の吸い込み量が増加するため、結果、第1のブロア251からの吐出量が増加する。
【0326】
これにより、下方ノズル部160から噴射される過熱水蒸気の流量を減らし、食品の下半部を弱く加熱することができる。このとき、食品の上半部は強く加熱されることになる。
【0327】
さらに、同じ過熱水蒸気の温度で食品の下半部をより弱く加熱したい場合は、第1のブロア251の回転数を上げて、第1のブロア251が吸い込む過熱水蒸気の吸い込み量をさらに増加させることで、第2のブロア252が吸い込む過熱水蒸気の吸い込み量をさらに減少させ、吐出量をさらに減少させる。
【0328】
これにより、下方ノズル部160から噴射される過熱水蒸気の流量をさらに減らし、食品の下半部をより弱く加熱することができる。このとき、食品の上半部はより強く加熱されることになる。
【0329】
このとき、1つの循環経路(第2のダクト220)から2つのブロア(第1のブロア251および第2のブロア252)が過熱水蒸気を取り合うため、例えば、第1のブロア251の回転数を上げすぎると第2のブロア252は回転しているにも関わらず、第2のブロア252の吸い込もうとする力(吸込力)と、第1のブロア251の吸い込もうとする力(吸込力)との差が大きくなり、第2のブロア252から過熱水蒸気が吸い込まれなくなり、逆流してくる場合がある。
【0330】
加熱室70内の過熱水蒸気が下方ノズル部160から吸い込まれ、第4のダクト240、第2のブロア252から分岐ダクト254へと逆流してきた過熱水蒸気は、吸込力の大きい第1のブロア251へ吸い込まれ吐出されるようになる。こうなると第2のブロア252は吐出しようと回転しているにも関わらず過熱水蒸気が吐出側から吸い込み側へと逆方向に流動してしまうため、食品の下半部が加熱されなくなるだけでなく、下方ノズル部160からの吸い込みにより加熱室70内への外気の侵入が発生することがあり加熱室70内の酸素濃度の上昇や温度低下を引き起こしたり、最悪の場合は回転数が低い側のブロアの破損に繋がってしまう。
【0331】
このような事態を避けるため、第1のブロア251および第2のブロア252の回転数は、第1のブロア251および第2のブロア252の一方の吐出量を増加させたときに、他方は加熱室70からの逆流が発生しない範囲で吐出量が確保されるように、ブロアの運転周波数により制御される。つまり、第1のブロア251および第2のブロア252から正圧で吐出されるよう制御する。
【0332】
このようにすることで、加熱室70から第1のブロア251または第2のブロア252への過熱水蒸気の逆流を防止し、上方ノズル部130および下方ノズル部160から確実に過熱水蒸気を噴射することができる。
【0333】
なお、第1のブロア251と第2のブロア252の回転数の変更は、調理ステップで行ってもよい。
【0334】
また、本実施形態の加熱調理装置1は、制御盤400の記憶部402に複数の調理モードを記憶させることができるよう構成している。
【0335】
複数の調理モードは、加熱調理装置1により加熱調理する食品に合わせて、加熱手段28により加熱する過熱水蒸気の温度、供給系統60から供給する飽和水蒸気の量、搬送部90の搬送速度、第1のブロア251と第2のブロア252とからそれぞれ吐出する過熱水蒸気の流量の比率等を、あらかじめ設定し、呼び出せるよう作成されている。また、新たに調理モードを追加して402に記憶させて呼び出すことができる。
【0336】
なお、搬送部90には直接食品を載置せず、食品を載置したロースパンを載置することも可能である。その場合、ソースのかかった食品であれば搬送部90により搬送するとき、搬送部90から下方にソースが垂れ落ちることを防止することができる。また、柔らかい食品やバランスのよくない食品、例えば生地から焼き上げるパン等であれば、搬送部90の隙間から食品が落下することを防ぐことができる。
【0337】
また、食品の加熱調理において、例えば焼き魚の場合では、食品内部にある油分が溶け出し、食品表面に移行してきた油分等が、凝縮水とともに食品より流下していく。その後、食品の表面に残った凝縮水は、食品温度の上昇に伴い蒸発するため、表面は乾燥した状態で加熱調理することができる。
【0338】
また、蒸気供給部201では、熱流体供給系統40の供給系統60から供給される飽和水蒸気が蒸気供給手段67から放散され、加熱室70から循環流動してくる過熱水蒸気と混ざり合い、第1のダクト210へと流動する。このとき、蒸気供給部201内に放散される飽和水蒸気の量は、調理前準備ステップの時とは異なり、食品に接触し凝縮水として付着して加熱に用いられたり、搬入口100および搬出口110より漏れ出たり、循環流動途中で熱流体循環系統において結露等によってドレン等として失われた過熱水蒸気を補えるだけの量であればよい。また、意図的に供給する蒸気量を増減させてもよい。
【0339】
また、飽和水蒸気を供給して過熱水蒸気の温度が下がったときや食品調理に伴って過熱水蒸気の温度が下がったときにだけ、燃焼バーナ21により燃焼排気を発生させて、加熱手段28により過熱水蒸気の加熱をすればよいので、省エネルギ且つ安定した温度で食品を加熱調理することができる。
【0340】
また、調理前準備ステップでも記載したが、第1のダクト210、第2のダクト220、第3のダクト230および第4のダクト240内を流動する過熱水蒸気により加熱されたこれらのダクト同士を隣接させることにより、加熱されたこれらのダクト同士の放熱により保温してこれらのダクトが外気により冷却されることを抑制し、隣接するダクト内を流動する過熱水蒸気の温度を維持することができる。
【0341】
また、第1のダクト210、第2のダクト220、第3のダクト230、第4のダクト240において、それぞれのダクトに屈曲部を設けて、過熱水蒸気の流動方向を変えることで、蒸気供給部201に備えるグリスフィルタで濾過しきらなかった過熱水蒸気中に含まれるミスト状のドリップが徐々に取り除かれることで、上方ノズル部130および下方ノズル部160まで流動してきた過熱水蒸気に含まれるミスト状のドリップが少ない状態、つまり過熱水蒸気の純度を高く維持することができる。
【0342】
これにより、加熱調理に使用された過熱水蒸気を循環使用しても、上方ノズル部130および下方ノズル部160から噴射される過熱水蒸気中に食品からのミスト状のドリップが含まれることを抑制し、風味の変化等を抑えて、加熱調理した食品の品質を安定させて食品の歩留まりを向上させることができる。
【0343】
また、同じ加熱調理装置1にて、例えば過熱水蒸気の温度や流量を変更して連続して異なる食品を加熱調理する場合、熱流体循環系統を循環流動する過熱水蒸気に混ざり合い、先に加熱調理した食品のミスト状のドリップが、後に加熱調理する異なる食品に付着することを抑制し、食品の品質を安定させて食品の歩留まりを向上させることができる。
【0344】
なお、このような効果を得るには、ドリップやドレン等が付着するのに十分な程度に第1のダクト210、第2のダクト220、第3のダクト230、第4のダクト240が屈曲していればよく、必ずしも第1のダクト210、第2のダクト220、第3のダクト230、第4のダクト240が水平部および鉛直部を有する必要は無い。また、必ずしも第1のダクト210、第2のダクト220、第3のダクト230、第4のダクト240のすべてが屈曲部を有する必要はなく、第1のダクト210、第2のダクト220、第3のダクト230、第4のダクト240の少なくとも一つが屈曲部を有していればよい。
【0345】
また、搬送部90から流下し下方ノズル部160の蓋部180に付着したドリップは、後述する清掃ステップで除去することができる。
【0346】
このように、加熱調理中に各部で発生したドレン等とともにドリップを排出することによって、過熱水蒸気の純度を高い状態で維持することを容易として、加熱調理する食品の品質を安定させて食品の歩留りを向上させることができる。
【0347】
また、途中から種類の違う食品を加熱調理する場合には、制御盤400において過熱水蒸気の温度、第1のブロア251および第2のブロア252の運転周波数、搬送部90の搬送速度および外部ボイラから供給される飽和水蒸気量等を食品に合わせた加熱調理条件に設定し直す。この場合、制御盤400のモニタ403により食品に合わせた加熱調理条件になったことを確認し、調理ステップから始めることができる。
【0348】
また、食品の種類変更に伴って、ノズル部120全体を洗浄済みのものに交換してもよいし、上方ノズル部130の蓋部150および/または下方ノズル部160の蓋部180のみを洗浄済みのものに交換してもよい。
【0349】
特に、上方ノズル部130の蓋部150および下方ノズル部160の蓋部180は、搬送部90で搬送される食品に面しているので、食品からのドリップや食品から搬送中に脱落した食材等の汚れが付着しやすい。そのため、例えば、加熱調理する食品の種類が変わる毎に蓋部150、180を交換するようにすれば、蓋部150、180に付着した汚れが次に調理する食品に付着して食品の品質が低下してしまうことを防止することができる。
【0350】
さらに、食品に適した過熱水蒸気を噴射するため、ノズル132、162の噴射口133、163のサイズ、数、ノズル高さ等が異なる蓋部150、180に変更してもよい。
【0351】
このようにノズル部120を変更する場合は、後述する調理終了ステップを経て、ノズル部120の交換作業が可能な程度に温度低下したことを確認した上で交換作業を行い、調理前準備ステップより始める。
【0352】
また、上方ノズル部130が食品搬送方向Dに沿って伸長した長尺な箱型状に形成されているので、加熱室の天面74に付着したドリップや蒸気供給部201に備えたグリスフィルタ(図示なし)にて濾過されたミスト状のドリップが落下したとしても、その汚れを上方ノズル部130の本体平面部141で受け、汚れが食品に付着するのを防止することができる。
【0353】
なお、例えば、シュウマイの蒸し調理には、過熱水蒸気ではなく飽和水蒸気を用いて加熱調理する方が好ましい。この場合には、燃焼バーナ21の燃焼を停止し、加熱手段28による加熱をせずに外部ボイラから供給する飽和水蒸気を循環流動させる。
【0354】
また、例えば、鯖の切り身の塩焼きには、より香ばしく仕上げるために過熱水蒸気ではなく熱風を用いて加熱調理する方が好ましい。この場合には、外部ボイラからの飽和水蒸気の供給を停止し、燃焼バーナ21により燃焼排気を発生させて加熱手段28により熱流体循環系統内に存在する空気を加熱し、熱風として加熱調理装置1内を循環流動させる。
【0355】
なお、本実施形態では熱流体に過熱水蒸気を用いたが、空気を所定の温度に加熱した熱風、外部ボイラより供給された飽和水蒸気、実施形態1で説明した過熱水蒸気を主に用いて食品を加熱調理してもよい。
【0356】
つまり、いずれか1つを単独で使用してもよいし、少なくとも2つを組み合わせて使用してもよい。熱流体を自由に選択できるようにすることで、より多様な食品の加熱調理を行うことができる。
【0357】
また、制御盤400の調理モードにより熱流体を選択できるように設定することで、容易に幅広い加熱調理を行うことができる。
【0358】
(調理終了ステップについて)
次に、食品の加熱調理が終了し、加熱調理装置1を停止させる動作を説明する。
【0359】
食品の加熱調理が終了すると、制御盤400に備えたモニタ403のタッチ操作やスイッチ404の操作により調理終了の操作を行う。まず加熱手段28による加熱を停止するために、ガス系統10と燃焼系統20の各機器に信号を送り、ガスの供給を停止させて燃焼バーナ21の燃焼を停止させ、燃焼排気の発生を停止する。
【0360】
次いで第1のブロア251および第2のブロア252を停止し、過熱水蒸気の循環を停止する。
【0361】
次いで供給系統60の調理用電磁弁61を閉じて、外部ボイラからの飽和水蒸気の供給を停止し、熱流体供給系統40から、蒸気供給部201への飽和水蒸気の供給を停止する。その後、搬送部90を停止する。
【0362】
このように加熱手段28への燃焼排気の供給を停止させ、高温の過熱水蒸気の発生を先に止めるようにすることで、安全に加熱調理を終了することができる。
【0363】
(清掃ステップについて)
次に、加熱調理を終了し、次回の加熱調理に備えて加熱調理装置1を清掃する清掃ステップについて、
図1、
図5、
図6、
図11を用いて具体的に説明する。
【0364】
まず、
図11に示す搬送部90を駆動させる。加熱室70内が所定の温度、例えば100度C以下となっていることを確認した上で、
図1に示す扉80を開けて加熱室70内の汚れが付着している箇所を中心に洗剤を噴霧して投入し扉80を閉める。これにより、洗剤の水分が蒸発するのを抑制することができる。
【0365】
次いで、第1のブロア251および第2のブロア252は停止したまま、外部ボイラからの飽和水蒸気の供給を開始する。このとき、
図5に示す調理用電磁弁61が開いた状態であることを確認し、供給系統60を介して蒸気供給手段67より蒸気供給部201へ飽和水蒸気を供給する。
【0366】
なお、調理終了ステップ後、時間をおいて清掃ステップを行う場合など、蒸気配管P内にドレン等や低温蒸気が残っていれば、調理用電磁弁61を開いた状態とする前に、ブロー用電磁弁51を開いて、蒸気配管P内にドレン等や低温蒸気を外部に排出してもよい。
【0367】
蒸気供給部201に供給された飽和水蒸気は、熱流体循環系統全体に広がり充満することで、加熱室70および熱流体循環系統に付着した、加熱調理の際に食品から発生した水分やドリップを含む凝縮水やミスト状のドリップ等の汚れ成分に水分を含ませて湿潤させ、また、汚れ成分と付着対象との間に水分を浸透させて汚れ成分を浮かせる(
図11参照)。
【0368】
なお、加熱室70を重点的に清掃したい場合には、蒸気供給部201と第1のダクト210との間に遮蔽板(図示なし)を設け、加熱室70に飽和水蒸気が強制的に行き渡るようにしてもよい。
【0369】
次いで、制御盤400の操作により、調理用電磁弁61を閉じることにより飽和水蒸気の供給を停止し、
図6に示す扉80を開けて加熱室70内に充満した飽和水蒸気を逃がす。そして上方ノズル部130および下方ノズル部160を加熱室70から取外す。
【0370】
上方ノズル部130および下方ノズル部160全体の取り外しは、まず全ての蓋部150、180を正面側にスライドさせて取り外し、次いで本体部140、170を支持棒131、161ごと加熱室70より取り外すことで行う。取り外した本体部140、170より支持棒131、161を抜き取ることで、上方ノズル部130および下方ノズル部160は、本体部140、170、蓋部150、180、支持棒131、161に容易に分解することができる。
【0371】
分解した上方ノズル部130および下方ノズル部160の各部は、シンク等を設けた別の洗い場で清掃する。
【0372】
これにより、ノズル部120の各部の清掃を容易にすることができる。なお、汚れが少ない場合は蓋部150、180だけを取り外し、蓋部150、180のみを清掃してもよい。
【0373】
次に、上方ノズル部130および下方ノズル部160が取り外された加熱室70内を、ホース等で散水しながら清掃し、汚れ成分と噴霧した洗剤を洗い流す。洗い流された汚れ成分と噴霧した洗剤は、庫内排水管320を経て、外部に排出される。
【0374】
また、このとき、上方ノズル部130および下方ノズル部160全体を取り外していることにより、加熱室の背面71、加熱室の天面74、加熱室70の搬入口100側の内面および搬出口110側の内面、底面(符号なし)を容易に清掃することができる。
【0375】
加熱室70の乾燥は、扉80を開けたまま、制御盤400のモニタ403およびスイッチ404の操作により、第1のブロア251および第2のブロア252を駆動させ、燃焼バーナ21により燃焼排気を発生させて加熱手段28により熱流体循環系統内に存在する空気を、所定の温度、例えば100度Cに加熱した熱風により行われる。これにより、水分を含んだ熱風が効果的に加熱調理装置1から外部に排出されることで、乾燥時間を短縮することができる。
【0376】
なお、加熱室70の乾燥は、扉80を閉めて行ってもよい。これにより、乾燥時間は扉80を開けた場合に比べ長くなるが、調理場の空気の温度や湿度等を快適に維持することができ、調理作業者の作業環境を良好に保つことができる。
【0377】
その後、搬送部90を停止し、搬送部90の拭き取り可能な範囲を拭き取り清掃する。搬送部90の拭き取れなかった部分は、拭き取り可能となるまで搬送部90を駆動して拭き取り清掃し、同動作を搬送部90の全体を拭き取るまで繰り返す。
【0378】
そして、
図1に示す制御盤400のモニタ403とスイッチ404の操作により、第1のブロア251および第2のブロア252、加熱手段28、搬送部90を停止し、加熱調理装置1のメイン電源をオフにする。その後、第1のドレンパン321および第2のドレンパン322を取り外して清掃する。また、蒸気供給部201に設けられたグリスフィルタと、第1の排気管101および第2の排気管111に設けられたグリスフィルタを取り外し、洗剤への浸け込み、水洗いおよび乾燥を行った後、グリスフィルタを再度蒸気供給部201と第1の排気管101および第2の排気管111に取り付ける。
【0379】
なお、清掃された予備の上方ノズル部130および下方ノズル部160を準備しておいて、交換するだけでもよい。この場合、取り外した上方ノズル部130および下方ノズル部160は、清掃および乾燥した後、次の交換まで保管される。
【0380】
このように加熱室70から取り外すことができる部品を清掃して乾燥させてから、取り外したときと逆の手順で加熱室70に装着して清掃ステップは終了する。
【0381】
なお、調理ステップの終了後、すぐに清掃ステップを行う場合には、燃焼バーナ21の燃焼を停止して加熱手段28による過熱水蒸気の加熱を停止する。そして、外部ボイラからの飽和水蒸気の供給を停止し、第1のブロア251および第2のブロア252を駆動させたまま扉80を開ければ、速やかに加熱室70を冷却することができる。そして、加熱室70内の温度が所定の温度、例えば100度C以下になった段階で、第1のブロア251および第2のブロア252を停止し、加熱室70内に洗剤を投入すればよい。
【0382】
なお、流量調整ステップ、調理前準備ステップ、調理ステップ、調理終了ステップおよび清掃ステップは、制御盤400のモニタ403に表示されたボタンにタッチすることで選択されるようにしてもよい。この場合、例えば、流量調整ステップでは、飽和水蒸気の供給や加熱手段28を駆動するためのボタンを表示させず、また、清掃ステップでは、加熱室70の乾燥において飽和水蒸気の供給を停止しないと加熱手段28を駆動するためのボタンが表示されないようにする。つまり各ステップにおいて操作に必要なボタンだけが表示されるようにすることで、誤操作を防止して安全に作業することができる。
【0383】
なお、本実施形態ではガス燃焼式の熱交換器を例に説明したが、電気ヒータにより熱流体を加熱する方式を採用してもよい。この場合、ガス系統10および燃焼系統20は備えず、加熱部202に備える加熱手段28の代わりに電気式のヒータを備える。また、電気式のヒータを備える箇所は、加熱部202に限らず、第1のダクト210、第2のダクト220、第3のダクト230、第4のダクト240に備えてもよい。
【0384】
なお、流量調整ステップでは、常温空気を用いた説明としたが、実際に加熱調理に使用する熱流体を流動させながら行ってもよい。その場合、調理ステップで実際に使用する熱流体に合わせて、より正確に流量調整を行うことができる。
【0385】
なお、それぞれのステップを加熱調理装置1のメイン電源をオンにしたまま行ったが、流量調整ステップの後、および/または調理ステップの後とには、加熱調理装置1のメイン電源をオフにしてもよい。
【0386】
なお、本実施形態1では、流量調整ステップを行った後に、調理前準備ステップを行ったが、流量調整ステップの前に、調理前準備ステップを行ってもよい。
【0387】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2に係る加熱調理装置について
図15および
図16を参照して説明する。
【0388】
本実施形態2は、多くの食品を一度に加熱調理したり、一つの食品を複数の調理条件で加熱調理する場合に適用されるもので、複数の加熱調理装置を用いて食品を加熱調理する。
【0389】
実施形態1と異なる点は、複数の加熱調理装置を組み合わせて配置することである。構成としては、例えば3つの加熱調理装置1を組み合わせて連結する場合に、加熱調理装置1より第2のカバー113が取り外され搬出口110が露出した第1の加熱調理装置511と、加熱調理装置1より第1のカバー103および第2のカバー113が取り外され搬入口100および搬出口110が露出した第2の加熱調理装置512と、加熱調理装置1より第1のカバー103が取り外され搬入口100が露出した第3の加熱調理装置513と、に連結ユニット500を取り付けることで連結している。また、連結ユニット500により連結された複数の加熱調理装置全体に亘って架け渡された搬送部90を有している。
【0390】
また、調理前準備ステップおよび調理ステップの運転動作において、連結したそれぞれの加熱調理装置の搬入口100および搬出口110から漏れ出た飽和水蒸気および過熱水蒸気の流動の仕方が異なる。
【0391】
それぞれの加熱調理装置の構成および運転動作は、上記を除いて同様であるので説明は省略する。
【0392】
まず、複数の加熱調理装置、例えば3つの加熱調理装置を直列に連結する場合の構成について
図15を用いて説明する。
【0393】
加熱調理装置1は、ユニット化されており、
図15(a)に示すように、複数の加熱調理装置を連結して一体化された加熱調理装置510は、搬入口100の外側に第1のカバー103を取り付け、搬出口110が露出した第1の加熱調理装置511と、搬入口100および搬出口110が露出した第2の加熱調理装置512と、搬入口100が露出し、搬出口110の外側に第2のカバー113を取り付けた第3の加熱調理装置513と、第1の加熱調理装置511および第2の加熱調理装置512と、第2の加熱調理装置512と第3の加熱調理装置513とを接続する連結ユニット500と、により構成されている。
【0394】
連結ユニット500は、
図15(b)に示すように、それぞれの加熱調理装置における連結ユニット500側の搬入口100および搬出口110から漏れ出た過熱水蒸気が調理場へと漏れ出ないようにする覆いであるカバー503と、カバー503の内側と連通し、カバー503に漏れ出た過熱水蒸気を施設側に備えたフード等により吸い込むことで、それぞれの加熱調理装置の外側へと排気する排気管501と、排気管501からさらに上方に向けて伸びる排気筒502とを有する。さらに、連結ユニット500は、隣り合う加熱調理装置間を搬送部90により搬送する際、加熱調理中の食品からのドリップ等を受けて調理場へと落下しないようにするための底板504を有する。
【0395】
カバー503と底板504とは、ビス等の締結手段により一体化が可能で、一体化することでトンネル状に形成され、一方の開口部505と、他方の開口部506を形成する。
【0396】
排気管501の内部には、過熱水蒸気に混ざり込んだミスト状のドリップを過熱水蒸気から濾過するグリスフィルタ(図示なし)が着脱自在に設けられている。
【0397】
第1の加熱調理装置511の搬出口110の外側には、連結ユニット500の一方の開口部505が取り付けられ、第2の加熱調理装置512の搬入口100の外側には、連結ユニット500の他方の開口部506が取り付けられる。
【0398】
また、第2の加熱調理装置512の搬出口110の外側には、連結ユニット500の一方の開口部505が取り付けられ、第3の加熱調理装置513の搬入口100の外側には、連結ユニット500の他方の開口部506が取り付けられる。
【0399】
連結ユニット500は、それぞれの加熱調理装置とビス等の締結手段(図示なし)により取り付けられる。
【0400】
これにより、第1の加熱調理装置511、第2の加熱調理装置512、第3の加熱調理装置513は、連結ユニット500を介して直列に接続され、一体化された加熱調理装置510を形成する。
【0401】
第1の加熱調理装置511の搬入口100は、連結により一体化された加熱調理装置510の搬入口100を構成し、第1の加熱料理装置511の搬入口100の外側に備えた第1のカバー103、第1の排気管101および第1の排気筒102は、一体化された加熱調理装置510の搬入口100から漏れ出た過熱水蒸気を回収するよう構成される。
【0402】
また、第3の加熱調理装置513の搬出口110は、連結により一体化された加熱調理装置510の搬出口110を構成し、第3の加熱調理装置513の搬出口110の外側に備えた第2のカバー113、第2の排気管111および第2の排気筒112は、一体化された加熱調理装置510の搬出口110から漏れ出た過熱水蒸気を回収するよう構成される。
【0403】
一体化された加熱調理装置510の上方には、少なくとも第1の排気筒102と、第2の排気筒112と、連結ユニット500の排気筒502とを覆うように施設側に備えたフード(図示なし)を設け、第1の排気筒102と、第2の排気筒112と、連結ユニット500から排出された過熱水蒸気を回収し、フードから施設側の排気設備によって施設の外部へ排出されるよう構成している。
【0404】
搬送部90(図示なし)は、一体化された加熱調理装置510の搬入口100と搬出口110を介して左右方向に貫通し、第1の加熱調理装置511に備えた第1のカバー103および第3の加熱調理装置513に備えた第2のカバー113よりも外側へ延在して設けられた無端状のコンベアにより構成される。この無端状のコンベアは、一体化された加熱調理装置510の搬入口100側に設けられた一対のスプロケット(図示無し)と、一体化された加熱調理装置510の搬出口110側に設けられた一対のスプロケット(図示なし)とに、編み上げて形成した無端状の金属製のネットを懸架して取り付けることで構成している。そして駆動源(図示なし)により、一体化された加熱調理装置510の搬出口110側のスプロケットに挿通した軸(図示なし)を回動させ、搬送部90の往路側は一体化された加熱調理装置510の搬入口100側から搬出口110側へと駆動する。
【0405】
なお、搬送部90は、一対の無端状のチェーンを各スプロケットに懸架し、一対の無端状のチェーンに金属製や樹脂製の棒状部材を取り付けたバーコンベアとしてもよい。その場合、一対の無端状のチェーンの間に取り付けたネットのように、下方から噴射された過熱水蒸気を透過させることができればよい。
【0406】
連結ユニット500は、第1の加熱調理装置511の搬出口110と第2の加熱調理装置512の搬入口100との間、および第2の加熱調理装置512の搬出口110と第3の加熱調理装置513の搬入口100との間に取り付けられて配置され、これらの搬入口100および搬出口110から漏れ出た過熱水蒸気を回収するよう構成される。
【0407】
次に、複数の加熱調理装置を一体化した加熱調理装置510の運転動作について説明する。
【0408】
第1の加熱調理装置511、第2の加熱調理装置512、第3の加熱調理装置513は、それぞれ実施形態1における流量調整ステップ、調理前準備ステップ、調理ステップ、調理終了ステップおよび清掃ステップと同様のステップで動作する。
【0409】
このとき、調理前準備ステップおよび調理ステップにおける、それぞれの加熱調理装置の搬入口100および搬出口110から外部に漏れ出た飽和水蒸気および過熱水蒸気の流動の仕方について、調理ステップを例に説明する。
【0410】
第1の加熱調理装置511、第2の加熱調理装置512および第3の加熱調理装置513では、それぞれ個別に設定された調理条件で、それぞれの加熱室70内に、過熱水蒸気が噴射される。
【0411】
第1の加熱調理装置511の搬入口100から漏れ出た過熱水蒸気は、第1のカバー103により回収され、第1の排気管101を介して第1の排気筒102へと流動し、施設側に設けられた排気設備により施設の外部へ排出される。このとき、第1のカバー103の外側から外気も一緒に吸い込まれ、過熱水蒸気とともに第1の排気管101、第1の排気筒102へと流動し、施設側に設けられた排気設備により施設の外部へ排出される。
【0412】
第1の加熱調理装置511の搬出口110から漏れ出た過熱水蒸気は、連結ユニット500の一方の開口部505を介してカバー503により回収され、排気管501を介して排気筒502へと流動し、施設側に設けられた排気設備により施設の外部へ排出される。
【0413】
また、第2の加熱調理装置512の搬入口100から漏れ出た過熱水蒸気は、連結ユニット500の他方の開口部506を介してカバー503により回収され、排気管501を介して排気筒502へと流動し、施設側に設けられた排気設備により施設の外部へ排出される。
【0414】
このとき、第1の加熱調理装置511の搬出口110および第2の加熱調理装置512の搬入口100から漏れ出た過熱水蒸気は、共にカバー503から排気管501を介して排気筒502へと流動し、施設側に設けられた排気設備により施設の外部へ排出される。
【0415】
また、第2の加熱調理装置512の搬出口110から漏れ出た過熱水蒸気は、連結ユニット500の一方の開口部505を介してカバー503により回収され、排気管501を介して排気筒502へと流動し、施設側に設けられた排気設備により施設の外部へ排出される。
【0416】
また、第3の加熱調理装置513の搬入口100から漏れ出た過熱水蒸気は、連結ユニット500の他方の開口部506を介してカバー503により回収され、排気管501を介して排気筒502へと流動し、施設側に設けられた排気設備により施設の外部へ排出される。
【0417】
このとき、第2の加熱調理装置512の搬出口110および第3の加熱調理装置513の搬入口100から漏れ出た過熱水蒸気は、共にカバー503から排気管501を介して排気筒502へと流動し、施設側に設けられた排気設備により施設の外部へ排出される。
【0418】
また、第3の加熱調理装置513の搬出口110から漏れ出た過熱水蒸気は、第2のカバー113により回収され、第2の排気管111、第2の排気筒112へと流動し、施設側に設けられた排気設備により施設の外部へ排出される。このとき、第2のカバー113の外側から外気も一緒に吸い込まれ、過熱水蒸気とともに排気管101、排気筒102へと流動し、施設側に設けられた排気設備により施設の外部へ排出される。
【0419】
このように、一体化された加熱調理装置510では、第1の加熱調理装置511の搬出口110の外側と第2の加熱調理装置512の搬入口100の外側とが連結ユニット500により連結され、第2の加熱調理装置512の搬出口110の外側と第3の加熱調理装置513の搬入口100の外側とが連結ユニット500により連結されており、隣り合う加熱調理装置間を搬送する際、加熱調理中に食品に付着した凝縮水やドリップが、搬送部90へ流動落下し、さらに搬送部90から落下しても、連結ユニット500の底部504で受け止めるため、調理場の床面を汚すことなく、作業環境を保全することができる。
【0420】
また、加熱調理中の食品からのミスト状のドリップが漏れ出たとしても、漏れ出た過熱水蒸気とともに施設側に設けられた排気設備により施設の外部へ排出されるため、調理場の空気の温度や湿度等を快適に維持することができ、調理作業者の作業環境を良好に保つことができる。
【0421】
また、隣り合う加熱調理装置において、加熱調理に用いる熱流体が異なる場合でも、お互いの熱流体が、お互いの加熱室70内で混ざり合うのを防止し、設定した調理条件で加熱調理が確実に行える。
【0422】
また、連結ユニット500内は、隣り合う加熱調理装置から漏れ出る過熱水蒸気により陽圧状態となるため、連結ユニット500の排気筒502からの外気の流入を防ぐことができる。これにより、隣り合う加熱調理装置において、飽和水蒸気および過熱水蒸気を加熱調理に用いる場合は、連結ユニット500内でも低酸素状態とすることができ、一体化された加熱調理装置510における食品加熱時の酸化による栄養素の酸化破壊を抑制することができる。
【0423】
また、連結ユニット500を介して複数の加熱調理装置を連結するため、例えば、第1の加熱調理装置511の搬出口110の外側と、第2の加熱調理装置512の搬入口100の外側とを、連結ユニット500を用いずに直接連結する場合に比べ、第1の加熱調理装置511の搬出口110の外側と連結ユニット500の一方の開口部505と、他方の開口部506と第2の加熱調理装置512の搬入口100外側のみの気密性を確保するだけで良く、気密性を確保する面積が少なくなる。これにより、連結部分の構成を簡素化しつつ気密性の確保が容易になり、意図しない箇所からの過熱水蒸気の漏えいを防止することができる。
【0424】
また、連結ユニット500は加熱調理装置から着脱可能であるため、一体化された加熱調理装置510のメンテナンスも容易とすることができる。一体化された加熱調理装置510からカバー503と底板504とを分離して、連結ユニット500を取り外すことが可能なため、加熱調理装置の移動や搬送部90の取り外し等を行うことなく、加熱調理装置間に位置する搬送部90の一部、搬入口100、搬出口110、連結ユニット500等のメンテナンスが可能となる。
【0425】
また、各々の加熱調理装置は、同じ調理条件で過熱水蒸気を噴射してもよいし、それぞれ異なる調理条件で過熱水蒸気を噴射して、各々の加熱調理装置を食品が搬送される際に段階的に食品を加熱調理してもよい。
【0426】
このような一体化された加熱調理装置510において、例えば第1の加熱調理装置511、第2の加熱調理装置512および第3の加熱調理装置513の調理条件を同じに設定した場合、加熱調理できる加熱室70が増えることで、多くの食品を一度に加熱調理することができる。
【0427】
この場合は、連結ユニット500は、排気管501および排気筒502を有さないカバー503と、底板504により構成されてもよい。
【0428】
このような構成によれば、第1の加熱調理装置511と第2の加熱調理装置512の間と、第2の加熱調理装置512と第3の加熱調理装置513との間では、連結ユニット500から外部に過熱水蒸気が排出されないため、第1の加熱調理装置511と第2の加熱調理装置512と、第3の加熱調理装置513とに供給する飽和水蒸気の量を低減させることができる。これにより、一体化された加熱調理装置510全体における飽和水蒸気の消費量を削減することができる。
【0429】
また、第1の加熱調理装置511、第2の加熱調理装置512および第3の加熱調理装置513の調理条件を異なる条件とした場合は、例えば第1の加熱調理装置511では、飽和水蒸気による蒸し調理をしたあと、第2の加熱調理装置512で低い温度の過熱水蒸気で食品を焼き、第3の加熱調理装置513で高温の過熱水蒸気で食品をさらに焼くといったように、各々の加熱調理装置ごとに、熱流体の種類、加熱温度、上方ノズル130および下方ノズル部160から噴射される熱流体の流量の変更が可能となり、多様な調理条件で食品を加熱調理することができる。
【0430】
また、搬送部90を一体化された加熱調理装置510の全体に亘って1つのコンベアにより構成することで、構成を簡略化することができると共に、搬送部90間での乗り継ぎが無いので食品を安定して搬送することができる。このような特性は、例えば、焼きいものような搬送中に転がりやすい形状の食品を、ロースパンに入れず直接に搬送部90に載せる場合に特に重要となる。
【0431】
なお、一体化された加熱調理装置510の全体に亘って1つのコンベアにより構成する場合を例に説明したが、各々の加熱調理装置の搬送部90を食品搬送方向Dに一直線上に互いに近接させて並べることでも、食品を搬送することができる。この場合は、食品をロースパンに入れて搬送することが好ましく、ロースパンが搬送部90を乗り継ぐ際に多少の振動等があっても、食品が搬送部90から落下することを防止することができる。
【0432】
この場合も上記と同様に、第1の加熱調理装置511の搬出口110と第2の加熱調理装置512の搬入口100とは連結ユニット500により接続され、第2の加熱調理装置512の搬出口110と第3の加熱調理装置513の搬入口100とは連結ユニット500により接続される。
【0433】
このように構成することで、各々の加熱調理装置において搬送部90の搬送速度を変えることができるので、例えば、下流側で搬送速度を上げて加熱時間を短くする等、より多様な調理条件で加熱調理することができる。
【0434】
また、3つの加熱調理装置を連結する例で説明したが、2つもしくは4つ以上の加熱調理装置を連結ユニット500により連結してもよい。
【0435】
また、連結ユニット500を構成するカバー503および底板504は、連結し隣り合う加熱調理装置同士の間隔に合わせて、左右方向の幅を適宜設定してもよい。この場合、連結する加熱調理装置同士の間隔に合わせた寸法のカバー503および底板504とするか、左右方向にスライドして伸縮する構成としてもよい。また、連結する加熱調理装置同士の間隔に合わせて、複数の連結ユニット500を接続して、隣り合う加熱調理装置間に取り付けてもよい。
【0436】
なお、複数の加熱調理装置は、並列に配置されてもよい。
図16(a)に示すように、例えば、複数の異なる食品を同時に加熱調理するために、2つの加熱調理装置を並列に配置する場合には、第1の加熱調理装置521と第2の加熱調理装置522の背面側同士を隣接させることで、各々の熱流体流動系統200を隣接して配置させることができる。
【0437】
これにより、第1の加熱調理装置521の第2のダクト220の背面と、第2の加熱調理装置522の第2のダクト220の背面とが隣接することで、第1の加熱調理装置521と第2の加熱調理装置522の熱流体流動系統200を流動する過熱水蒸気の熱がダクト表面から大気中への放熱されるのをさらに抑制することができ、各々の加熱調理装置の加熱室(符号なし)へ噴射される過熱水蒸気の温度を安定して保つことができる。
【0438】
各々の加熱調理装置は、互いに同じ加熱調理条件で熱流体を噴射してもよいし、それぞれ異なる加熱調理条件で熱流体を噴射してもよい。
【0439】
第1の加熱調理装置521および第2の加熱調理装置522の調理条件を同じとした場合は、加熱調理できる加熱室(符号なし)が増えることで、多くの食品を一度に加熱調理することができる。
【0440】
また、並列に配置した各々の加熱調理装置の食品搬送方向Dを同じとし、第1の加熱調理装置521と第2の加熱調理装置522とで同じ方向に食品を搬送するよう構成されている。
【0441】
これにより、第1の加熱調理装置521と第2の加熱調理装置522とで同じ方向から食品を搬入および搬出することができるようになり、食品を各々の加熱調理装置へ載置する作業と、加熱調理が終了した食品を取り出して後工程へ移送する作業が、それぞれ同じ方向から行うことができる。
【0442】
また、複数の異なる食品を同時に加熱調理する場合は、各々の加熱調理装置の調理条件を食品に合わせた別々の調理条件とすることができる。例えば、第1の加熱調理装置521では飽和水蒸気による蒸し調理をする食品を加熱調理し、第2の加熱調理装置522では過熱水蒸気で焼く調理をする食品を加熱調理するなど、加熱調理装置ごとに、熱流体の種類、加熱温度、上方ノズル部130および下方ノズル部160から噴射される熱流体の流量等の変更が可能となる。
【0443】
また、各々の加熱調理装置で加熱調理した食品を搬出する際、搬送経路を合流させて一つにまとめる合流レーンを別途設けてもよい。
【0444】
また、
図15(a)に示した直列配置と
図16(a)に示した並列配置とを互いに組み合わせて、
図16(b)に示すように、連結ユニット500(ドットで示す)により直列に連結され一体化された加熱調理装置510、530を、さらに並列に配置してもよい。
【0445】
すなわち、連結ユニット500を介して直列に接続され一体化された加熱調理装置510と同様に構成された、第4の加熱調理装置531、第5の加熱調理装置532、第6の加熱調理装置533を連結ユニット500を介して接続され一体化された加熱調理装置530を形成し、一体化された加熱調理装置510、530の背面同士を隣接させて並列に配置する。
【0446】
これにより、上記したような直列配置とした場合と並列配置した場合の両方の効果を併せ持つ加熱調理が可能となり、より多様な調理条件で食品を加熱調理することができる。
【0447】
なお、本発明に係る加熱調理装置は、実施形態1、2に限定されず種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態1、2では下部外郭体3内であり加熱室70の下方に加熱手段28が配置され、上部外郭体2の上部であり加熱室70の上方に吐出部250が配置されたが、これとは逆に、下部外郭体3内であり加熱室70の下方に吐出部250が配置され、上部外郭体2の上部であり加熱室70の上方に加熱手段28が配置されてもよい。このような場合でも、加熱調理装置1の奥行きを短くして、加熱調理装置1を省スペースで配置自由度の高いものにすることができる。
【0448】
なお、実施形態1、2では加熱室70に隙間G1、G2、G3が設けられているが(
図9参照)、少なくとも隙間G1、G2もしくは隙間G1、G3を設けるよう構成してもよい。また、実施形態1、2では熱流体(過熱水蒸気)が熱流体循環系統を循環流動する構成を示したが、必ずしも熱流体は加熱調理装置1内を循環する必要は無く、加熱室70に噴射された熱流体は食品を加熱調理した後、搬入口100および搬出口110から外部に排気する構成としてもよい。なお、熱流体を循環させない場合には、必ずしも隙間G1、G2、G3を設けなくてもよい。
【0449】
(変形例1)
次に、本発明の変形例1に係る加熱調理装置について
図17および
図18を参照して説明する。
【0450】
本変形例1において、実施形態1と異なる点は、加熱部202から第1のブロア251および第2のブロア252とそれぞれ接続される複数のダクトを設ける構成として、それぞれのダクトの途中にダンパ部610を設けて、それぞれのダクトを流動する過熱水蒸気の流量を調整することである。
【0451】
加熱調理装置1の構成および動作は上記を除いて同様であるので説明は省略する。
【0452】
図17(a)に示すように、加熱部202と第1のブロア251を互いに接続する第2のダクト(流動路)600aと、加熱部202と第2のブロア252を互いに接続する第2のダクト(流動路)600bが別々に設けられ、これら第2のダクト600a、600bの途中に略直方体形状に形成したダンパ部610が設けられている。
【0453】
図18に示すように、ダンパ部610は、加熱部202側に接続する側に設けた、例えば矩形状の開口である流入開口部620と、第1のブロア251および第2のブロア252の吸込み側に接続する側に設けた、例えば矩形状の開口である流出開口部630と、を有する。略矩形状の流入開口部620と流出開口部630とは、4つの角が略等しい略長方形の形状であり、高さ方向の2辺が略等しくなるよう形成されている。
【0454】
また、ダンパ部610は内部に略矩形の板金により形成した流量調整ダンパ255を有する。流量調整ダンパ255には、上辺と下辺のそれぞれの中点M1、M2に回転軸Axを設け、回転軸Axをダンパ部610の上面と下面との略中央に設けた孔(図示なし)に差し込むように取付けて回動自在となるよう構成している。なお、ダンパ部610の上面の孔を貫通した回転軸Axの先端からステッピングモータやサーボモータに接続して、流量調整ダンパ255の回動する角度を制御してもよい。
【0455】
中点M1より上方に伸びる回転軸Axの先端は雄ネジとなっており、ダンパ部610の上面の孔を貫通した先端にダブルナットを取付けることにより、手動にて回動した流量調整ダンパ255の位置を固定可能としている。
【0456】
第2のダクト600a、600bに設けられたそれぞれのダンパ部610に備える流量調整ダンパ255の位置を調整し、それぞれのダンパ部610を流動する過熱水蒸気の流動抵抗に差を持たせることで、第1のブロア251および第2のブロア252に吸い込まれる過熱水蒸気の流量を変更し、第1のブロア251および第2のブロア252から吐出される過熱水蒸気の流量を変更するように作用する。
【0457】
例えば、加熱部202と第1のブロア251とを接続する第2のダクト600aに設けられたダンパ部610の流量調整ダンパ255を平板状の二面を流動方向に沿うようにした位置で固定する。そして、加熱部202と第2のブロア252とを接続する第2のダクト600bに設けられたダンパ部610の流量調整ダンパ255を回動させ流動方向に対して角度を持たせた位置で固定する。
【0458】
これにより、第2のダクト600bに設けたダンパ部610では、流量調整ダンパ255が邪魔板の役目をすることで、第2のダクト600aに比べて第2のダクト600bの流動抵抗が大きくなり、第2のブロア252の吸い込み量が減少する。このとき、第1のブロア251の吸い込み量が増加する。結果、第1のブロア251からの吐出量が増加し、第2のブロア252からの吐出量が減少する。
【0459】
このように、実施形態1における分岐ダクト254による流量調整と同様の効果を得ることができる。
【0460】
また、
図17(b)に示すように、加熱部202の下流直後に分岐ダクト611を設け、分岐ダクト611と第1のブロア251を互いに接続する第2のダクト(流動路)600cおよび分岐ダクト611と第2のブロア252を互いに接続する第2のダクト(流動路)600dを別々に設けた構成としてもよい。
【0461】
このような構成としても、第1のブロア251および第2のブロア252に吸い込まれる過熱水蒸気の流量を分岐ダクト611にて分岐される比率を調整することができ、実施形態1における分岐ダクト254と同様の効果を得ることができる。
【0462】
(変形例2)
次に、本発明の変形例2に係る加熱調理装置について
図19を参照して説明する。
【0463】
本変形例2において、実施形態1と異なる点は、2つのブロアで上方ノズル部130と下方ノズル部160とに、それぞれ過熱水蒸気を吐出していたものを、2つのブロアで1つのノズル部120の異なる箇所に過熱水蒸気を吐出するように構成したことである。
【0464】
具体的には、上方ノズル部130には、第1のブロア711、712から吐出される過熱水蒸気を上方ノズル部130へ流動させるための吐出口を搬入口100側と搬出口110側とに設け、複数の吐出口から上方ノズル部130に過熱水蒸気を流動させることである。
【0465】
加熱調理装置1の構成および運転動作は上記を除いて同様であるので省略する。
【0466】
まず、上方ノズル部130の構成および運転動作について、
図19(a)を用いて説明する。
【0467】
吐出部700は、上方ノズル部130の搬入口100側に過熱水蒸気を吐出するための第1のブロア711と、上方ノズル部130の搬出口110側に過熱水蒸気を吐出するための第1のブロア712を備える。
【0468】
第1のブロア711は、加熱室の背面71の上方ノズル部130の搬入口100側に設けられた搬入口100側の第1の吐出口772aとダクト(符号なし)により接続され、分岐ダクト731の搬入口100側の側面と接続されている。また、第1のブロア712は、加熱室の背面71の上方ノズル部130の搬出口110側に設けられた搬出口110側の第1の吐出口772bとダクト(符号なし)により接続され、分岐ダクト731の搬出口110側の側面と接続されている。
【0469】
このように構成することで、第2のダクト220から流動してくる過熱水蒸気は分岐ダクト731の内部に備える流量調整ダンパ255により流量を調整されて搬入口100側と搬出口110側とに分岐され、分岐された過熱水蒸気は第1のブロア711および712にそれぞれ吸い込まれる。上方ノズル部130には、搬入口100側の第1の吐出口772aおよび搬出口110側の第1の吐出口772bから過熱水蒸気が流動する。
【0470】
このとき、第1のブロア711、712の運転周波数を別々に制御することで、上方ノズル部130の搬入口100側のノズル132から噴射される過熱水蒸気の流量と、搬出口110側のノズル132から噴射される過熱水蒸気の流量を別々に調整することができる。例えば、搬入口100側の第1のブロア711の運転周波数を搬出口110側の第1のブロア712の運転周波数よりも低く設定することにより、上方ノズル部130の搬出口110側から噴射する熱流体の流量に比べて、搬入口100側から噴射する熱流体の流量を少なくすることができる。
【0471】
これにより、搬入口100を入って直ぐの食品は上方ノズル部130から噴射される過熱水蒸気の流量は少なくじっくりと加熱され、搬出口110へ搬送されるにつれ過熱水蒸気の流量が増えて徐々に高い熱量で加熱され、搬出口110側で過熱水蒸気の噴射量が最も多くなり表面を香ばしく焼き上げる等、すべてのノズル132から同じ流量の過熱水蒸気が噴射される場合に比べて多様な噴射状態を実現し、より詳細な加熱調理条件を設定することができる。
【0472】
また、例えば、搬入口100側の第1のブロア711の運転周波数を搬出口110側の第1のブロア712の運転周波数よりも高く設定することにより、上方ノズル部130の搬出口110側から噴射する熱流体の流量に比べて、搬入口100側から噴射する熱流体の流量を多くすることも可能である。
【0473】
なお、1つの上方ノズル部130に対しての吐出手段の数は2つに限定されず、3つ以上の吐出手段を設け、各々の吐出手段が異なるノズル132に対して過熱水蒸気を吐出する構成としてもよい。また、上方ノズル部130のみを設ける例で説明したが、下方ノズル部160のみを設け、下方から過熱水蒸気を噴射する構成としてもよい。
【0474】
また、分岐ダクト731内での流量調整ダンパ255の位置を積極的に調整することで、搬入口100側のノズル132および搬出口110側のノズル132から噴射される過熱水蒸気の噴射量を別々に調整してもよい。
【0475】
また、
図19(b)に示すように、ノズル部120として上方ノズル部130および下方ノズル部160を設け、上方ノズル部130に対して2つの第1のブロア713、714により過熱水蒸気を吐出し、且つ下方ノズル部160に対して2つの第2のブロア721、722により過熱水蒸気を吐出する構成としてもよい。
【0476】
この場合は、搬入口100側の第1のブロア713および第2のブロア721は、分岐ダクト732の一方の分岐口および他方の分岐口(図示なし)にそれぞれ接続されている。また、搬出口110側の第1のブロア714および第2のブロア722は、分岐ダクト733の一方の分岐口および他方の分岐口(図示なし)にそれぞれ接続されている。そして、分岐ダクト732、733は、分岐ダクト734の一方の分岐口および他方の分岐口(図示なし)とそれぞれ接続され、分岐ダクト732、733、734の内部には流量調整ダンパ255がそれぞれ設けられている。
【0477】
第2のダクト220を流動してきた熱流体は、分岐ダクト734により分岐ダクト732、733へ分岐された後、一方は分岐ダクト732により第1のブロア713および第2のブロア721へ分岐され、また、他方は分岐ダクト733により第1のブロア714および第2のブロア722へ分岐される。
【0478】
さらに分岐ダクト732により、搬入口100側の第1のブロア713および第2のブロア721へ分岐され、第1のブロア713および第2のブロア721から吐出される過熱水蒸気を、それぞれ別に設けられたダクト(符号無し)に流動させ、加熱室の背面71に設けられた、搬入口100側上方の第1の吐出口772aおよび下方の第2の吐出口773aに流動させる。
【0479】
第1の吐出口772aは、上方ノズル部130に設けられた搬入口100側の開口部(図示無し)と接続され、また、第2の吐出口773aは、下方ノズル部160に設けられた搬入口100側の開口部(図示無し)と接続されている。
【0480】
同様に、分岐ダクト733により、搬出口110側の第1のブロア714および第2のブロア722へ分岐され、第1のブロア714および第2のブロア722から吐出される過熱水蒸気を、それぞれ別に設けられたダクト(符号無し)に流動させ、加熱室の背面71に設けられた、搬出口110側上方の第1の吐出口772bおよび下方の第2の吐出口773bに流動させる。
【0481】
第1の吐出口772bは、上方ノズル部130に設けられた搬出口110側の開口部(図示無し)と接続され、また、第2の吐出口773bは、下方ノズル部160に設けられた搬出口110側の開口部(図示無し)と接続されている。
【0482】
これにより、上方ノズル部130には、搬入口100側の第1の吐出口772aおよび搬出口110側の第1の吐出口772bから過熱水蒸気が流動し、下方ノズル部160には、搬入口100側の第2の吐出口773aおよび搬出口110側の第2の吐出口773bから過熱水蒸気が流動する。
【0483】
このような構成において、第1のブロア713、714は、それぞれ上方ノズル部130の搬入口100側および搬出口110側からノズル132に対して過熱水蒸気を流動させる。また、第2のブロア721、722は、それぞれ下方ノズル部160の搬入口100側および搬出口110側からノズル162に対して過熱水蒸気を流動させる。
【0484】
そして、第1のブロア713、714および第2のブロア721、722の運転周波数をそれぞれ別々に制御することで、上方ノズル部130の搬入口100側のノズル132および搬出口110側のノズル132、並びに下方ノズル部160の搬入口100側のノズル162および搬出口110側のノズル162の各々から噴射される過熱水蒸気の流量を別々に調整することができる。これにより、食品を上下から多様な噴射状態で加熱調理することができるので、
図19(a)に示した例に比べて、さらに詳細な加熱調理条件を設定することができる。
【0485】
また、分岐ダクト732、733、734内での流量調整ダンパ255の位置を調整することで、上方ノズル部130の搬入口100側のノズル132および搬出口110側のノズル132、並びに下方ノズル部160の搬入口100側のノズル162および搬出口110側のノズル162の各々から噴射される過熱水蒸気の流量を別々に調整することができる。これにより、食品を上下から多様な噴射状態で加熱調理することができるので、
図19(a)に示した例に比べて、さらに詳細な加熱調理条件を設定することができる。
【0486】
なお、実施形態1、2では流量調整手段が流量調整ダンパ255により構成されているが、流量調整手段は、流量調整ダンパ255に限定されず、例えば、分岐ダクト254に備えた第1の分岐口256および第2の分岐口257に設けられた流量調整シャッタにより構成されてもよい。流量調整シャッタは、例えば開口面積を調整できるスライド式シャッタにより開閉自在に構成され、2つの分岐口のうちの少なくとも一方に設けられている。流量調整シャッタの開口面積を調整することで、第1のブロア251および第2のブロア252へと流動する過熱水蒸気の量を制御すれば、流量調整ダンパ255を用いたときと同様の効果を得ることができる。
【0487】
なお、
図19(b)では、4つのブロアによる構成を示したが、これに限らず、複数の分岐ダクトと少なくとも6つのブロア(偶数個のブロア)とを接続し、少なくとも6つのブロアから複数のノズル部へと接続するよう構成してもよい。
【0488】
この場合、分岐ダクト254の内部に配置した流量調整ダンパ255により、各々のブロアに吸い込まれる過熱水蒸気の流量を調整することで、複数のノズル部から噴射される過熱水蒸気の流量を調整することができるので、複数のブロアから複数のノズル部へと過熱水蒸気が流動する距離のうち、少なくとも1つの距離が他の距離と異なるよう構成することができる。
【0489】
なお、複数の分岐ダクトと、少なくとも5つのブロア(奇数個のブロア)とを接続し、少なくとも5つのブロアから複数のノズル部へと接続するよう構成してもよい。この場合、1つの流入開口部から複数の分岐ダクトを介して少なくとも5つのブロアを接続するようにしてもよい。また、少なくとも1つのブロアは、分岐ダクトと接続されていなくてもよい。
【0490】
このように、複数のブロアから複数のノズル部へと熱流体が流動する距離のうち、少なくとも1つの距離が他の距離と異なるよう構成することができることにより、加熱調理装置1の構造によらず、複数のブロアに対する複数のノズル部を配置する自由度を高め、加熱調理装置の設計自由度を高めることができる。
【0491】
(変形例3)
次に、本発明の変形例3に係る加熱調理装置について
図20~
図25を用いて説明する。
【0492】
本変形例3において、実施形態1と異なるのは加熱調理装置1の加熱室70内の構成であり、特に、加熱室70内に備えるノズル部120を、構成が異なるノズル部820に置き換えて加熱室800としたことにある。また、加熱室800内に備えるノズル部820を構成する上方ノズル部830および下方ノズル部860に流動する過熱水蒸気が、アダプタ855、885により、複数の本体部840、870に備えた誘導管847、877へと分配され、誘導管847、877を介して、ノズル832、862より加熱室800内に噴射されるよう構成したことにある。
【0493】
加熱調理装置1の構成および運転動作は、上記を除いて同様であるので説明は省略する。
【0494】
(加熱室内の構成)
まず、加熱室800内の構成について、
図20、
図23を用いて、具体的に説明する。
【0495】
図20に示すように、加熱室800は、加熱室800の左側面側に設けられて加熱調理する食品を加熱室800内へと搬入するための開口である搬入口100と、加熱室800の右側面側に設けられて加熱調理された食品を加熱室800から搬出するための開口である搬出口110と、加熱室800への食品の搬入、搬出および加熱室800内での食品の搬送を行う搬送部90と、過熱水蒸気を食品に噴射するノズル部820と、過熱水蒸気を循環使用するために加熱室800内の過熱水蒸気を回収するための開口である循環口75と、を有する。
【0496】
ノズル部820は、搬送部90の上方に設けられた上方ノズル部830と、搬送部90の下方に設けられた下方ノズル部860と、により構成されている。
【0497】
加熱室の背面801(加熱室800内における背面)には、吐出部250から吐出される過熱水蒸気を噴射する上方ノズル部830へと流動させるための開口である第1の吐出口72と、下方ノズル部860へと流動させるための開口である第2の吐出口73と、が設けられている。第1の吐出口72は、上方ノズル部830の搬入口100側で、後述する上方ノズル部830に設けられたアダプタ855の嵌込部856に対応した位置に設けられている。また、第2の吐出口73は、下方ノズル部860の搬出口110側で、後述する下方ノズル部860に設けられたアダプタ885の嵌込部886に対応した位置に設けられている。
【0498】
また、上方ノズル部830は、搬送部90の上方から搬送部90に向かって過熱水蒸気を噴射するノズル832を有し、下方ノズル部860は、搬送部90の下方から搬送部90に向かって過熱水蒸気を噴射するノズル862を有する。
図23に示すように、ノズル832、862は、上方ノズル部830および下方ノズル部860において奥行方向に亘って設けられている。
【0499】
図20に示すように、加熱室の天面802(加熱室800内における天面)には、ノズル部820より加熱室800内に噴射された過熱水蒸気を再び熱流体流動系統200へと流動させて循環させるための開口である循環口75が設けられている。循環口75は、加熱室の天面802を貫通して設けられ、グリスフィルタ(図示なし)を介して蒸気供給部201と連通している。
【0500】
加熱室800内の搬入口100側の内面と、搬出口110側の内面とには、後述する支持棒831、861を係止するための係止部846、876が溶接等により設けられており、支持棒831、861は、係止部846、876により、搬入口100側の内面から搬出口110側の内面に亘って架け渡されて、略水平に着脱自在に係止されている。
【0501】
(ノズル部の構成)
次に、ノズル部820の詳細な構成について、
図20、
図21、
図23、
図25を用いて、まず上方ノズル部830から説明する。
【0502】
(上方ノズル部の構成の概要)
図20、
図21(a)および
図23に示すように、上方ノズル部830は、複数の本体部840と、支持棒831と、複数の蓋部850と、アダプタ855と、複数の誘導管847と、で構成されている。
【0503】
それぞれの本体部840は、奥行方向に伸長した矩形の枠体により形成され、加熱室800内において食品搬送方向Dに亘って架け渡された支持棒831に、長手方向が奥行方向となるように並設して係合されている。また、支持棒831により、搬送部90と、加熱室の天面802と、搬入口100側の内面と、搬出口110側の内面とから離間した状態で係合されている。
【0504】
それぞれの本体部840には、本体部840に対して着脱自在に蓋部850が取り付けられている。蓋部850には、搬送部90で搬送される食品に向かって過熱水蒸気を噴射するノズル832を有する。本体部840の内部には、後述するアダプタ855から流動してくる過熱水蒸気をノズル832へと誘導するための誘導管847が設けられ、誘導管847はノズル832に対応した位置に設けられている。
【0505】
本変形例3では、1つの本体部840に1つの蓋部850が取り付けられている。そして、蓋部850を取り付けた本体部840は、食品搬送方向Dに沿って5つ並設されている。
【0506】
(本体部の構成)
図21に示すように、本体部840は、板金により奥行方向に長手となる矩形の枠体に形成され、枠体の上面となる矩形平板状の本体平面部841と、本体平面部841の上面に設けられ支持棒831に係合するための係合部842と、本体平面部841の正面側の一辺を下方に折り曲げ加工され、さらに奥行方向背面側に折り曲げ加工することで形成される正面側端部845と、本体平面部841の左右の辺を下方へ折り曲げ加工された一対の本体側部843と、本体側部843と一体に形成された蓋部850を保持するための一対の折曲部844と、を有する。
【0507】
図21(b)に示すように、係合部842は、本体部840の本体平面部841から鉛直方向で上方に向かって立設した立設部842aと、立設部842aの上端部から奥行方向の背面側に伸び、後述する支持棒831に備えたスリット831aに係合する爪部842bと、を有する。
【0508】
図25(b)に示すように、折曲部844は、本体側部843の奥行方向に亘って設けられ、本体側部843から本体部840の外側へ向かって略水平に折り曲げ加工され、さらに上方に折り曲げ加工することで正面側断面視略コの字形に形成されている。また、折曲部844は、後述する蓋部850に設けられた保持部853の内側に挿入されることで、本体部840に対して蓋部850をスライド着脱自在に保持する。
【0509】
図23に示すように、折曲部844の下面(本体部840の下面に相当する)は略水平に形成されている。これに対して、本体平面部841は奥行方向で背面側から正面側に向かうにつれて、鉛直方向の高さが低くなる(先細りとなる)よう傾斜して形成されている。なお、
図23における上方ノズル部830の断面図は、
図21(a)において、蓋部850を所定の位置までスライド装着された状態の図となっている。
【0510】
(支持棒の構成)
図21(a)に示すように、支持棒831は、長尺な角管状に形成されており、正面側の面には、係合部842の爪部842bが係合するスリット831aを有し、食品搬送方向Dに亘って複数の本体部840を所定の間隔で着脱自在に係合するよう設けられている。つまり、それぞれの本体部840は、爪部842bが支持棒831のスリット831aに係合することで、奥行方向に長手となるように所定の間隔で食品搬送方向Dに亘って並設され、支持棒831に着脱自在に係止されている。
【0511】
加熱室800内の係止部846に支持棒831が係止された状態で、本体部840の爪部842bを支持棒831のスリット831aに係合すると、本体部840の背面側の3辺(本体平面部841の背面側の水平方向の辺と、本体側部843の背面側の鉛直方向の辺)が、後述するアダプタ855の正面側の面に当接する。
【0512】
なお、支持棒831は、長尺な角管状の背面側の面を無くした、断面視コの字状に形成してもよい。これにより、清掃ステップにおいて、コの字状の内面側も容易に清掃することができる。
【0513】
(蓋部の構成)
蓋部850は、板金により矩形平板状に形成された蓋平面部851と、蓋平面部851の正面側の一辺を上方に折り曲げ加工することで形成され、蓋部850を本体部840にスライド着脱する際に持ち手となる持手部852と、蓋平面部851の左右の辺を上方に折り曲げ加工され、さらに蓋部850の内側方向に折り曲げ加工することで正面側断面視略コの字形に形成された一対の保持部853と、蓋平面部851の背面側の一辺を上方に折り曲げ加工され、さらに奥行方向の背面側に折り曲げ加工され、さらに下方に折り曲げ加工することで形成される背面側端部854と、を有する。
【0514】
蓋部850は、持手部852が正面側を向いた状態で、保持部853の内側に本体部840の折曲部844を挿入して装着し、本体部840に対して水平にスライド着脱自在に保持される。蓋部850が本体部840に所定の位置にスライド装着されると、持手部852は、本体部840の正面側端部845に当接し、蓋部850の背面側端部854が、後述するアダプタ855の正面側の面に当接する。
【0515】
図25(b)に示すように、蓋部850は、鉛直方向の下方に頂点を有する正面視断面形状略三角形に形成された溝状のノズル832を有する。ノズル832は、食品搬送方向Dに直交する方向に沿って蓋平面部851に設けられている。本変形例3では、1つの蓋部850に有するノズル832は、1つもしくは食品搬送方向Dにおいて所定の間隔で平行して2つ設けられている。なお、ノズル832は、食品搬送方向Dにおいて、所定の間隔で3つ以上設けてもよい。また、ノズル832は、正面視断面形状が略矩形の溝状に形成されていてもよく、形状は限定されない。
【0516】
図23に示すように、ノズル832は、正面視断面形状略三角形の下方の頂点に、ノズル832の長手方向に沿って、本体部840の内部から加熱室800内へと連通する複数の長孔である噴射口833を有する。なお、噴射口833の形状は、丸孔や矩形状でもよく、長孔に限定されない。また、噴射口833は、ノズル832に1つだけ有していても良く、数量は限定されない。また、噴射口833の大きさは、噴射口833の形状、数量と過熱水蒸気の流量から、適宜設定されてよく、特に限定されない。
【0517】
(アダプタの構成)
図21に示すように、上方ノズル部830には、加熱室の背面801に設けられた第1の吐出口72と接続され、かつ、複数の本体部840内に設けられた複数の誘導管847と接続され、第1の吐出口72から流動してくる過熱水蒸気をそれぞれの誘導管847に分配して流動させるためのアダプタ855が設けられている。
【0518】
アダプタ855は、板金により左右方向に伸長した長尺な角管形状に形成され、搬入口100側の開口および搬出口110側の開口は閉塞されている。アダプタ855の背面側の面には、第1の吐出口72に対応した位置に背面側に向かって突出した開口である嵌込部856を有し、嵌込部856は第1の吐出口72に接続される。また、
図25(a)に示すように、アダプタ855の正面側の面には、後述する誘導管847を接続する分配口857が、食品搬送方向Dで所定の間隔をおいてノズル832に対応した箇所に設けられている。
【0519】
なお、アダプタ855と第1の吐出口72との接続は、上記した方法に限らず、第1の吐出口72側に加熱室800内に正面側に向かって突出した開口である嵌込部を設け、アダプタ855側に設けた開口に接続されてもよい。また、第1の吐出口72と、嵌込部856との接続は、着脱自在となるよう構成されてもよい。
【0520】
図23および
図24に示すように、上方ノズル部830の内部には、アダプタ855と接続され、アダプタ855を介して流動してくる過熱水蒸気を、蓋部850に有するノズル832に誘導するための誘導管847が設けられている。誘導管847は、ノズル832の数と同じ数だけ本体部840内に設けられる。
【0521】
(誘導管の構成)
誘導管847は、奥行方向に伸長した両端部が閉塞された角管形状であり、背面側には、背面側へと突出し、角管の内腔と連通する円管状の接続口848を有する。接続口848は、接続口848の内側にアダプタ855の分配口857を挿入することで、着脱自在に接続される。
【0522】
誘導管847の下面(蓋部850と対向する面)となる吐出面部847aは、ノズル832に向かって過熱水蒸気を流動させるための複数の孔847cが設けられている。誘導管847をアダプタ855の所定の位置に略水平となるよう接続した際、蓋部850の蓋平面部851の内面と離間して配置されている。
【0523】
誘導管847の上面(吐出面部847aと対向する面)となる誘導管平面部847bは、奥行方向で背面側から正面側に向かうにつれて鉛直方向の高さが低くなる(先細りとなる)よう傾斜して形成されている。誘導管847をアダプタ855の所定の位置に略水平となるよう接続した際、本体部840の本体平面部841の内面と離間して配置されている。
【0524】
なお、誘導管平面部847bの傾斜角度は、誘導管847の奥行方向の長さ、内腔の容積、孔847cの大きさ、数量、形状、間隔等により、適宜設定されるものである。
【0525】
(空間S4について)
図23および
図25(b)に示すように、爪部842bを支持棒831のスリット831aに係合し、支持棒831に本体部840を係止する。係止した本体部840に、蓋部850を所定の位置、例えば、持手部852を正面側端部845に当接させる位置までスライド装着する。これにより、本体部840の内面と、蓋部850の内面と、アダプタ855の正面側の面とにより囲まれた内部空間を形成し、形成された内部空間から誘導管847を除いた空間が、空間S4となる。
【0526】
空間S4には、蓋部850に有するノズル832の内部空間を含み、誘導管847内部の空間は含まない。つまり、
図25(b)において、本体部840と、蓋部850(ノズル832の内部空間を含む)とに囲まれた内部空間において、誘導管847の断面を除いた空間が、空間S4となる。本変形例3では、上方ノズル部830において、5つの空間S4が形成されている。
【0527】
また、本体平面部841が奥行方向で背面側から正面側に向かうにつれて、鉛直方向の高さが低くなる(先細りとなる)よう傾斜して形成されている。そのため、空間S4は、奥行方向の背面側から正面側に向かうにつれて、鉛直方向の高さが低くなる(先細りとなる)ように形成される。
【0528】
(隙間G1、G2、G3について)
図25(a)に示すように、上方ノズル部830は、搬送部90と、加熱室の天面802と、加熱室800内の搬入口100側の内面と、搬出口110側の内面と、から離間した状態で配置されている。上方ノズル部830を構成するそれぞれの本体部840の本体平面部841と加熱室の天面802との間には、過熱水蒸気が流動することができる大きさの隙間G1が設けられている。
【0529】
また、上方ノズル部830と加熱室800の搬入口100側の内面との間、上方ノズル部830と加熱室800の搬出口110側の内面との間には、過熱水蒸気が流動することができる隙間G2、G3が設けられている。すなわち、本変形例3においては、隙間G2は上方ノズル部830の本体側部843および保持部853と加熱室800の搬入口100側の内面との間に設けられ、隙間G3は上方ノズル部830の本体側部843および保持部853と加熱室800の搬出口110側の内面との間に設けられている。
【0530】
(下方ノズル部の構成)
図22および
図23に示すように、下方ノズル部860は、上方ノズル部830を搬送部90を挟んで上下反対にした構成を有し、下方ノズル部860への過熱水蒸気の流動は、加熱室の背面801において搬出口110側に設けられた第2の吐出口73に接続されたアダプタ885を介して行われる。
【0531】
また、下方ノズル部860には、上方ノズル部830と同様に、本体部870の内面と、蓋部880の内面と、アダプタ885の正面側の面とにより囲まれた内部空間が形成され、形成された内部空間から誘導管877を除いた空間が、空間S5となる。
【0532】
なお、上方ノズル部830、下方ノズル部860を構成する本体部840、870と、蓋部850、880の数量と、誘導管847、877の数量と、アダプタ855、885の分配口857、887の数量とは特に限定されることはなく、加熱室800の大きさや調理条件等により適宜変更することができる。
【0533】
また、加熱室800内に設けた各部材、例えばノズル部820である上方ノズル部830および下方ノズル部860と、加熱室800の内面に設けた係止部846、876とはビス等を使用せず、板金を折り曲げ加工して溶接したものである。また、係止部846、876は、加熱室800の搬入口100側の内面と、搬出口110側の内面とに、溶接により取り付けられている。
【0534】
(加熱調理装置の運転動作について)
次に、本変形例3のノズル部820における運転動作について調理ステップおよび清掃ステップを例に説明する。
【0535】
本変形例3における加熱調理装置1の運転動作で実施形態1と異なる点は、第1の吐出口72から流動し上方ノズル部830の噴射口833から加熱室800内に噴射するまでの過熱水蒸気の流動と、第2の吐出口73から流動し下方ノズル部860の噴射口863から加熱室800内に噴射するまでの過熱水蒸気の流動の仕方と、清掃ステップにおける上方ノズル部830および下方ノズル部860の取り外しと取り付けの仕方である。
【0536】
加熱調理装置1における運転動作については、上記を除いて同様であるため、説明は省略する。
【0537】
(調理ステップについて)
過熱水蒸気の流動の仕方について、調理ステップを例に
図23~
図25を参照して説明する。なお、流量調整ステップ、調理前準備ステップにおいても、常温空気または過熱水蒸気の流動の仕方は、以下に説明する調理ステップと同様となる。
【0538】
第1のブロア251から吐出された過熱水蒸気は、第3のダクト230を流動し、第1の吐出口72を介して、上方ノズル部830のアダプタ855の嵌込部856から、アダプタ855内の搬入口100側へと流動し、アダプタ855の内腔を搬出口110側へと流動していく。
【0539】
このとき、過熱水蒸気は、それぞれの分配口857に分配されながら、搬入口100側から搬出口110側のそれぞれの誘導管847へと流動していく(
図24参照)。
【0540】
それぞれの誘導管847へと流動した過熱水蒸気は、吐出面部847aに設けられた複数の孔847cから、相対するノズル832に向かって流動する。複数の孔847cから空間S4に流動してきた過熱水蒸気は、ノズル832に備えた噴射口833から加熱室800内に噴射される。
【0541】
このとき、誘導管847の内腔を奥行方向の背面側から正面側へと流動する際、誘導管847内の空間が奥行方向で背面側から正面側に向かって先細りとなるよう形成されていることで、正面側へ流動するほど流路面積が小さくなり、背面側から正面側へ流動する流量が順次少なくなる。
【0542】
これにより、複数の孔847cからノズル832へと流動する過熱水蒸気の流量を、奥行方向で背面側から正面側まで略均一とすることができる。
【0543】
複数の孔847cからノズル832へ流動する過熱水蒸気は、空間S4における吐出面部847aとノズル832との間(ノズル832の内部となる断面略三角形の空間)で、一旦滞留してから、噴射口833から加熱室800内に噴射される。
【0544】
誘導管847からノズル832へと流動した過熱水蒸気の一部は、吐出面部847aと蓋平面部851との間から空間S4内全体に流動し充満する。そして、吐出面部847aからノズル832に向かって流動する過熱水蒸気は、これ以上、空間S4全体へ流動せず、空間S4におけるノズル832の内部に滞留しやすくなる。このため、ノズル832内部において、奥行方向で背面側から正面側までの過熱水蒸気の圧力がより略均一となり、噴射口833から噴射される過熱水蒸気の流量が、奥行方向で背面側から正面側まで略均一となる。これにより、食品の搬送部90への奥行方向の載置位置の違いによる温度むらの無い加熱調理を実現することができる。
【0545】
また、空間S4は、奥行方向で背面側から正面側に向かって先細りとなるよう形成されているため、空間S4が先細りでない(背面側と正面側の高さが略同じ)場合と比較して空間S4の容積が少ないので、少ない過熱水蒸気の量で空間S4内に充満させて、噴射口833から噴射される過熱水蒸気の流量を、略均一にすることができる。
【0546】
第2のブロア252から吐出された過熱水蒸気は、第4のダクト240を流動し、第2の吐出口73を介して、下方ノズル部860と接続されるアダプタ885の嵌込部886から、アダプタ885内の搬出口110側へと吐出され、アダプタ885の内腔を搬入口100側へと流動していく。
【0547】
このとき、過熱水蒸気は、アダプタ885の内腔を搬出口110側から搬入口100側へと流動していく際に、それぞれの分配口887に分配されながら、搬出口110側から搬入口100側のそれぞれの誘導管877へと流動していく。
【0548】
それぞれの誘導管877へと流動した過熱水蒸気は、吐出面部877aに設けられた複数の孔877cから、相対するノズル862に向かって流動する。複数の孔877cから空間S5に流動してきた過熱水蒸気は、ノズル862に備えた噴射口863から加熱室800内に噴射される。以降の過熱水蒸気の流動状態については、上方ノズル部830と同様であるため説明は省略する。
【0549】
このように、上方ノズル部830では、アダプタ855を用いることで、実施形態1の上方ノズル部130に比べて、第1の吐出口72から流動する過熱水蒸気を略均一に搬出口110側へ分配することができ、搬入口100側から搬出口110側のそれぞれのノズル832から噴射される過熱水蒸気の流量をより均一にすることができる。
【0550】
加えて、誘導管847を用いることで、奥行方向で背面側から正面側に亘って均一かつ直接的にノズル832へと過熱水蒸気を流動させることにより、奥行方向におけるそれぞれの噴射口833から噴射される過熱水蒸気の流量を、より均一にすることができる。つまり、上方ノズル部830の全ての噴射口833から噴射される過熱水蒸気の流量をより均一にすることができる。
【0551】
また、下方ノズル部860では、アダプタ885を用いることで、実施形態1の下方ノズル部160に比べて、第2の吐出口73から流動する過熱水蒸気を略均一に搬入口100側へ分配することができ、搬出口110側から搬入口100側のそれぞれのノズル862から噴射される過熱水蒸気の流量をより均一にすることができる。
【0552】
加えて、誘導管877を用いることで、奥行方向で背面側から正面側に亘って均一かつ直接的にノズル862へと過熱水蒸気を流動させることにより、奥行方向におけるそれぞれの噴射口863から噴射される過熱水蒸気の流量を、より均一にすることができる。つまり、下方ノズル部860の全ての噴射口863から噴射される過熱水蒸気の流量をより均一にすることができる。
【0553】
これにより、食品の搬送部90への奥行方向の載置位置の違いによる温度むらの無い加熱調理を実現し、品質の高い食品を得ることができる。
【0554】
加熱室800内に噴射された過熱水蒸気は、隙間G2、G3を介して隙間G1へ流動し、循環口75から蒸気供給部201へと流動して熱流体循環系統を循環流動していく。
【0555】
また、上方ノズル部830には食品搬送方向Dに沿って複数の本体部840と蓋部850とが並設されているので、加熱室の天面802に付着したドリップや蒸気供給部201に備えたグリスフィルタ(図示なし)に付着したミスト状のドリップが落下したとしても、上方ノズル部830の複数の本体平面部841と、折曲部844と、保持部853と、アダプタ855とで受け、汚れが食品に付着するのを防止することができる。
【0556】
(清掃ステップについて)
清掃ステップにおける上方ノズル部830および下方ノズル部860の取り外しは、まず全ての蓋部850、880を正面側にスライドして取り外し、次いで全ての本体部840、870を正面側に引き抜いて取り外し、次いで全ての誘導管847、877を正面側に引き抜いて取り外し、次いで支持棒831、861を加熱室800に備える係止部846、876より取り外すことで行う。このように、上方ノズル部830および下方ノズル部860は、本体部840、870、蓋部850、880、誘導管847、877、支持棒831、861を、工具等を用いることなく容易に分解して取り外すことができる。
【0557】
分解して取り外した上方ノズル部830および下方ノズル部860の各部は、シンク等を設けた別の洗い場で清掃する。
【0558】
これにより、ノズル部820の各部の清掃を容易にすることができる。なお、汚れが少ない場合は蓋部850、880だけを取り外し、蓋部850、880のみを清掃してもよい。
【0559】
また、上方ノズル部830および下方ノズル部860全体を取り外していることにより、アダプタ855、885、加熱室の背面801、加熱室の天面802、加熱室800の搬入口100側の内面および搬出口110側の内面、底面(符号なし)を容易に清掃することができる。
【0560】
清掃ステップにおける上方ノズル部830および下方ノズル部860の取り付けは、取り外したときと逆の手順で加熱室800に装着することにより行う。
【0561】
なお、変形例3では、
図20および
図25(a)に示すように、加熱室800に隙間G1、G2、G3が設けられているが、少なくとも隙間G1、G2もしくは隙間G1、G3を設け、循環口75へ過熱水蒸気が流動するよう構成してもよい。
【0562】
なお、隙間G2、G3の左右方向の幅は、上方ノズル部830に備える本体部840の数を変えることで調節することができる。例えば、
図25(a)の上方ノズル部830において、最も搬入口100側の本体部840と、蓋部850と、内部に配置された誘導管847と、を取り外し、この部分のアダプタ855の分配口857を目隠し板等で塞ぐことで、隙間G2の左右方向の幅を広げることができる。また、最も搬出口110側の本体部840と、蓋部850と、内部に配置された誘導管847と、を取り外し、この部分のアダプタ855の分配口857を目隠し板等で塞ぐことで、隙間G3の左右方向の幅を広げることができる。
【0563】
これにより、加熱室800内に噴射された過熱水蒸気が、隙間G2、G3を介して隙間G1へと流動し、隙間G1から循環口75を介して蒸気供給部201へと流動する際の流動抵抗が低減して、熱流体循環系統を循環流動する際の流動抵抗が低減することで、ブロアの回転負荷を軽減しながら、過熱水蒸気を循環流動させることができる。
【0564】
なお、必ずしも過熱水蒸気を循環使用する必要は無く、加熱室800に噴射された過熱水蒸気は食品を加熱調理した後、例えば、搬入口100および搬出口110から外部に排気する構成としてもよい。この場合、必ずしも隙間G1、G2、G3を設けなくてもよい。
【0565】
隙間G1、G2、G3を設けない構成とする場合は、加熱室800の鉛直方向の高さ寸法と、左右方向の幅寸法とを、隙間G1、G2、G3の分だけ小さくすることができる。これにより、加熱調理装置1の鉛直方向の高さ寸法と、左右方向の幅寸法とを小さくすることができ、加熱調理装置1を設置するためのスペースをより小さくすることができる。
【0566】
また、隙間G2、G3のみを設けない構成としてもよい。例えば、隙間G2、G3が埋まるように、上面視における隙間G2、G3の開口形状に合わせた板(目隠し板)を上方ノズル部830と並設して支持棒831に係合されるようにしてもよい。これにより、隙間G2、G3を設けないように構成された上方ノズル部830を新たに準備する必要はなく、既存の上方ノズル部830を流用できる上、過熱水蒸気を循環使用する場合と循環使用しない場合との切り替えを容易にすることができる。
【0567】
また、循環口75を設けない構成としてもよい。この場合、加熱室800に循環口75を設けない構成とする、もしくは、循環口75を塞ぐことができる板(目隠し板)等で塞ぐよう構成としてもよい。循環口75を設けない構成とする場合は、蒸気供給部201と加熱室の天面802との間にグリスフィルタを設けなくてもよい。循環口75を目隠し板等で塞ぐ場合は、加熱室800内の構成を大きく変更することなく、過熱水蒸気を循環使用する場合と循環使用しない場合との切り替えを容易にすることができる。
【0568】
なお、加熱調理する食品を変更する際に、ノズル部820全体を洗浄済みのものに交換してもよい。また、上方ノズル部830の蓋部850および/または下方ノズル部860の蓋部880のみを洗浄済みのものに交換してもよい。
【0569】
なお、加熱調理する食品に適した過熱水蒸気の噴射状態とするため、ノズル832、862の噴射口833、863の大きさ、形状、数量、噴射口833、863と食品との間の距離を決めるノズル高さ等が異なる蓋部850、880を準備しておき、加熱調理する食品に合わせて、蓋部850、880の全部または一部を変更してもよい。
【0570】
なお、加熱調理する食品に適した過熱水蒸気の噴射状態とするため、誘導管847、877の複数の孔847c、877cの大きさ、形状、数量、間隔等が異なる誘導管847、877を準備しておき、加熱調理する食品に合わせて、誘導管847、877の全部または一部を変更してもよい。
【0571】
なお、第3のダクト230から吐出される過熱水蒸気を、上方ノズル部830と接続するアダプタ855内の搬出口110側へと流動させるために、アダプタ855の内部もしくは嵌込部856内に整流板を設けてもよい。同様に、第4のダクト240から吐出される過熱水蒸気を、下方ノズル部860と接続するアダプタ885内の搬入口100側へと流動させるために、アダプタ885の内部もしくは嵌込部886内に整流板を設けてもよい。
【0572】
これにより、アダプタ855、885全体に過熱水蒸気をより均一に行き渡らせ、食品搬送方向Dに亘って、誘導管847、877のそれぞれに過熱水蒸気を略均一に分配することができる。したがって、予め設定した調理条件に合わせた過熱水蒸気の噴射状態を容易に得ることができる。
【0573】
また、加熱調理する食品を変更する際に、変更した食品に適した蓋部850、880に変更した場合も、略均一に分配された過熱水蒸気をベースとして、変更した蓋部850、880のノズル832、862の噴射口833、863から、加熱調理する食品に適した過熱水蒸気の噴射状態を得ることができる。つまり、様々な食品に対して、様々な加熱調理を実現することができ、安定して品質の高い食品を得ることができる。
【0574】
なお、例えば、食品の下半部を弱く加熱したい場合、下方ノズル部860において、いずれか1つ、もしくは複数の本体部870と、蓋部880と、内部に備えた誘導管877と、を取り外し、この部分のアダプタ885の分配口887を目隠し板等で塞いでもよい。これにより、下方ノズル部860から過熱水蒸気が噴射される箇所を減らすことができる。
【0575】
したがって、噴射エリア内において、下方ノズル部860は、上方ノズル部830より少ない流量とした過熱水蒸気の噴射状態とすることができる。これにより、多様な過熱水蒸気の噴射状態を実現して、多様な食品に適した調理条件に対応することができる。
【0576】
さらに、実施形態1で説明したように、上方ノズル部830の噴射口833および下方ノズル部860の噴射口863から噴射される過熱水蒸気の流量を、流量調整ダンパ255の位置調整による調整と、第1のブロア251および第2のブロア252の電源の運転周波数の調整による回転数の調整という2つの手段を組み合わせることにより、より多様な過熱水蒸気の噴射状態を実現して、より多様な食品に適した調理条件に対応することができる。
【0577】
なお、本発明の加熱調理装置1の加熱手段28は、電気式のヒータ等による加熱としてもよい。この場合、ガス系統10および燃焼系統20を備える必要はない。また、電気式のヒータ等は、必ずしも加熱部202に備える必要はなく、ダクト内に設けてもよい。
【0578】
なお、加熱調理装置1の構成は、上記の説明の構成に限らず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変形構成の採用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0579】
本発明の加熱調理装置は、食器や医療機器の消毒や、工業製品における樹脂部の焼成除去にも展開することができる。
【符号の説明】
【0580】
1 加熱調理装置
2 上部外郭体
3 下部外郭体
4 ベースフレーム
10 ガス系統
11 微圧計(圧力計)
12 開閉弁(バルブ)
13 ガス圧力スイッチ
14 第1のガス電磁弁(バルブ)
15 コントロールバルブ(バルブ)
16 第2のガス電磁弁(バルブ)
17 ガス流量計(流量計)
18 ニードルバルブ(バルブ)
20 燃焼系統
21 燃焼バーナ
22 燃焼ブロア
23 エア圧力スイッチ
24 点火トランス
25 UVセンサ
26 覗き窓
27 排気筒
28 加熱手段
30 送風ファン
40 熱流体供給系統
50 ブロー系統
51 ブロー用電磁弁(バルブ)
52 スチームトラップ
60 供給系統
61 調理用電磁弁(バルブ)
62 圧力スイッチ
63 セパレータ
64 減圧弁(バルブ)
65 圧力計
66 電動二方弁
67 蒸気供給手段
70 加熱室
71 加熱室の背面
72 第1の吐出口
73 第2の吐出口
74 加熱室の天面
75 循環口
80 扉
90 搬送部
100 搬入口
101 第1の排気管(排気管)
102 第1の排気筒(排気筒)
103 第1のカバー(カバー)
110 搬出口
111 第2の排気管(排気管)
112 第2の排気筒(排気筒)
113 第2のカバー(カバー)
120 ノズル部
130 上方ノズル部
131 支持棒
132 ノズル
133 噴射口
140 本体部
141 本体平面部
142 架設部
143 保持部
144 折曲部
145 正面側端部
146 係止部
150 蓋部
151 蓋平面部
152 持手部
153 側部
154 開口部
155 嵌込部
156 当接部
160 下方ノズル部
161 支持棒
162 ノズル
163 噴射口
170 本体部
171 本体平面部
172 架設部
175 正面側端部
180 蓋部
181 蓋平面部
182 持手部
184 開口部
185 嵌込部
186 当接部
200 熱流体流動系統
201 蒸気供給部
202 加熱部
210 第1のダクト(流動路)
211 鉛直部
212 屈曲部
213 鉛直部
214 屈曲部
215 水平部
220 第2のダクト(流動路)
221 水平部
222 屈曲部
223 鉛直部
230 第3のダクト(流動路)
231 鉛直部
232 屈曲部
233 水平部
240 第4のダクト(流動路)
241 鉛直部
242 屈曲部
243 水平部
250 吐出部
251 第1のブロア(吐出手段)
252 第2のブロア(吐出手段)
254 分岐ダクト
255 流量調整ダンパ(流量調整手段)
256 第1の分岐口
257 第2の分岐口
260 流入開口部
261 第1の流入開口(流入開口)
262 第2の流入開口(流入開口)
263 背面側端部
300 排水系統
301 第1の排水回収枡
302 第2の排水回収枡
303 排水回収枡接続管
310 本排水管(排水管)
311 第1の排水管群(排水管)
312 第2の排水管(排水管)
313 第3の排水管(排水管)
314 第4の排水管(排水管)
315 第5の排水管(排水管)
316 第6の排水管(排水管)
317 第7の排水管(排水管)
320 庫内排水管(排水管)
321 第1のドレンパン(ドレンパン)
322 第2のドレンパン(ドレンパン)
400 制御盤
401 表示灯
402 記憶部
403 モニタ
404 スイッチ
500 連結ユニット
501 排気管
502 排気筒
503 カバー
504 底板
505 一方の開口部
506 他方の開口部
510 一体化された加熱調理装置
511 第1の加熱調理装置
512 第2の加熱調理装置
513 第3の加熱調理装置
521 第1の加熱調理装置
522 第2の加熱調理装置
530 一体化された加熱調理装置
531 第4の加熱調理装置
532 第5の加熱調理装置
533 第6の加熱調理装置
600a、600b、600c、600d 第2のダクト(流動路)
610 ダンパ部
611 分岐ダクト
620 流入開口部
630 流出開口部
700 吐出部
711、712、713、714 第1のブロア(吐出手段)
721、722 第2のブロア(吐出手段)
731、732、733、734 分岐ダクト
772a 搬入口側の第1の吐出口(吐出口)
772b 搬出口側の第1の吐出口(吐出口)
773a 搬入口側の第2の吐出口(吐出口)
773b 搬出口側の第2の吐出口(吐出口)
800 加熱室
801 加熱室の背面
802 加熱室の天面
820 ノズル部
830 上方ノズル部(ノズル部)
831 支持棒
831a スリット
832 ノズル
833 噴射口
840 本体部
841 本体平面部
842 係合部
842a 立設部
842b 爪部
843 本体側部
844 折曲部
845 正面側端部
846 係止部
847 誘導管
847a 吐出面部
847b 誘導管平面部
847c 孔
848 接続口
850 蓋部
851 蓋平面部
852 持手部
853 保持部
854 背面側端部
855 アダプタ
856 嵌込部
857 分配口
860 下方ノズル部(ノズル部)
861 支持棒
861a スリット
862 ノズル
863 噴射口
870 本体部
871 本体平面部
872 係合部
872a 立設部
872b 爪部
873 本体側部
874 折曲部
875 正面側端部
876 係止部
877 誘導管
877a 吐出面部
877b 誘導管平面部
877c 孔
878 接続口
880 蓋部
881 蓋平面部
882 持手部
883 保持部
884 背面側端部
885 アダプタ
886 嵌込部
887 分配口
D 食品搬送方向
G1 隙間
G2 隙間
G3 隙間
P 蒸気配管
S1 空間
S2 空間
S3 空間
S4 空間
S5 空間