(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】ダイカスト鋳造装置
(51)【国際特許分類】
B22D 17/22 20060101AFI20220426BHJP
B22C 9/08 20060101ALI20220426BHJP
【FI】
B22D17/22 T
B22C9/08 E
(21)【出願番号】P 2018123579
(22)【出願日】2018-06-28
【審査請求日】2021-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596002767
【氏名又は名称】トヨタ自動車九州株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】中野 泰良
(72)【発明者】
【氏名】井上 裕二
(72)【発明者】
【氏名】小椋 真吾
(72)【発明者】
【氏名】田中 佑太
(72)【発明者】
【氏名】山田 敏光
(72)【発明者】
【氏名】吉田 豊
【審査官】酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-204821(JP,A)
【文献】特開2007-326114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 17/22,18/04,
B22C 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶湯が供給されるスリーブと、
キャビティを形成する金型と、を備え、
前記スリーブに供給された溶湯を、前記スリーブと前記キャビティとを連通するランナーを介して、前記キャビティに射出するダイカスト鋳造装置であって、
前記ランナーに、溶湯が流れる方向に沿って延設されると共に、前記ランナーの幅方向に櫛歯状に並設された複数の突起が形成されて
おり、
前記複数の突起の高さが、前記ランナーの深さの90%以上であり、
前記複数の突起の長手方向に垂直な断面形状が、頂部よりも根元部の幅が大きい三角形状であり、
隣接する前記複数の突起同士の間に形成される隙間の前記長手方向に垂直な断面形状が、三角形状である、
ダイカスト鋳造装置。
【請求項2】
前記複数の突起の高さが、前記ランナーの深さと等しい、
請求項1に記載のダイカスト鋳造装置。
【請求項3】
前記複数の突起は、前記金型に嵌合された入子部に形成されている、
請求項
1又は2に記載のダイカスト鋳造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はダイカスト鋳造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されているように、ダイカスト鋳造装置では、プランジャスリーブに溶湯を供給した後、プランジャチップがプランジャスリーブ内を前進することにより、当該溶湯を金型のキャビティ内に射出する。プランジャスリーブに溶湯を供給した際、プランジャスリーブに接触した溶湯は、冷却され、凝固する。そのため、溶湯とプランジャスリーブとの接触面には、初期凝固片が形成される。プランジャチップがプランジャスリーブ内を前進する際、この初期凝固片がプランジャスリーブから剥離し、溶湯と共に金型のキャビティ内に射出されると、鋳造欠陥となり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者らは、ダイカスト鋳造装置によって製造された鋳物における初期凝固片による鋳造欠陥を低減すべく鋭意検討した結果、以下の課題を見出した。
初期凝固片による鋳造欠陥を低減するために、発明者らが、プランジャスリーブと金型のキャビティとを連通するランナー(湯道)に円柱状の突起を設けたところ、一定の効果が得られた。初期凝固片が突起に衝突して粉砕されたり、突起による溶湯の流れの乱れによって初期凝固片が粉砕されたりするためであると推察される。
しかしながら、突起が円柱状であるため、高い圧力で溶湯に繰り返し押圧されることによって、突起が破損し易く、金型の耐久性に劣るという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、初期凝固片による鋳造欠陥を低減可能であると共に、金型の耐久性に優れたダイカスト鋳造装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るダイカスト鋳造装置は、
溶湯が供給されるスリーブと、
キャビティを形成する金型と、を備え、
前記スリーブに供給された溶湯を、前記スリーブと前記キャビティとを連通するランナーを介して、前記キャビティに射出するダイカスト鋳造装置であって、
前記ランナーに、溶湯が流れる方向に沿って延設されると共に、前記ランナーの幅方向に櫛歯状に並設された複数の突起が形成されているものである。
【0007】
本発明に係るダイカスト鋳造装置では、ランナーに、溶湯が流れる方向に沿って複数の突起が延設されている。そのため、高い圧力で溶湯に繰り返し押圧されても、突起が破損し難く、金型の耐久性に優れている。また、複数の突起がランナーの幅方向に櫛歯状に並設されている。そのため、溶湯に含まれる初期凝固片が、突起自体や突起により発生する流れの乱れによって粉砕され、初期凝固片による鋳造欠陥を低減することができる。すなわち、本発明に係るダイカスト鋳造装置は、初期凝固片による鋳造欠陥を低減可能であると共に、金型の耐久性に優れている。
【0008】
前記複数の突起の高さが、前記ランナーの深さと等しくてもよい。このような構成によって、初期凝固片による鋳造欠陥をより低減することができる。
【0009】
前記複数の突起の断面形状が、頂部よりも根元部の幅が大きい三角形状でもよい。突起の根元部が安定し、例えば断面矩形状の突起に比べて破損し難くなる。
【0010】
前記複数の突起は、前記金型に嵌合された入子部に形成されていてもよい。突起が破損した場合に、突起を有する入子部のみを交換することができ、メンテナンス性に優れている。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、初期凝固片による鋳造欠陥を低減可能であると共に、金型の耐久性に優れたダイカスト鋳造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図6】第1の実施形態の実施例に係るダイカスト鋳造装置における固定型20の部分正面写真である。
【
図7】突起形成による湯流れの変化のシミュレーション結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、本発明が以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0014】
(第1の実施形態)
<ダイカスト鋳造装置の全体構成>
まず、
図1~
図3を参照して、第1の実施形態に係るダイカスト鋳造装置の全体構成について説明する。
図1~
図3は、ダイカスト鋳造装置の模式的断面図である。
なお、当然のことながら、
図1及びその他の図面に示した右手系xyz直交座標は、構成要素の位置関係を説明するための便宜的なものである。通常、z軸正向きが鉛直上向き、xy平面が水平面であり、図面間で共通である。
【0015】
図1~
図3に示すように、第1の実施形態に係るダイカスト鋳造装置は、可動型10、固定型20、プランジャスリーブ30、プランジャ40を備えている。ここで、
図1~
図3は、ダイカスト鋳造装置の動作を表している。
図1は、ダイカスト鋳造装置において、プランジャスリーブ30に溶湯Mが供給された様子を示している。
図2は、ダイカスト鋳造装置において、キャビティCへの溶湯Mの射出が完了した様子を示している。
図3は、ダイカスト鋳造装置において、金型(可動型10、固定型20)から鋳物50を取り出した様子を示す模式的断面図である。
【0016】
可動型10は、x軸方向にスライド移動可能なダイスである。一方、固定型20はダイカスト鋳造装置に固定されたダイスである。可動型10がx軸正方向に移動し、固定型20に当接することにより、
図1に示すように、可動型10と固定型20との間に鋳造される製品形状に応じたキャビティCが形成される。
図2に示すように、このキャビティCに溶湯Mが充填されることにより、
図3に示した鋳物50が鋳造される。そして、可動型10がx軸負方向に移動し、固定型20から離型することにより、
図3に示すように、鋳物50を取り出すことができる。
可動型10、固定型20は、例えば熱間金型用の合金工具鋼などからなる。なお、可動型10及び固定型20は、それぞれ入子であってもよい。
【0017】
例えば
図1に示すように、固定型20にはx軸に平行な中心軸を有する断面円形状の貫通孔が形成されている。この貫通孔に円筒状のプランジャスリーブ30が嵌合されている。プランジャスリーブ30の内部をプランジャ40がx軸方向に摺動する。
プランジャスリーブ30の可動型10側(x軸負方向側)の端部上側には、固定型20と可動型10との間に、プランジャスリーブ30とキャビティCとを連通し、溶湯MをキャビティCに導くランナー(湯道)Rが形成されている。
【0018】
プランジャスリーブ30は、x軸に平行な中心軸を有する円筒状の部材である。上述のように、プランジャスリーブ30は、固定型20の貫通孔に嵌合されている。プランジャスリーブ30に溶湯Mが注入される。プランジャスリーブ30の後方(x軸正方向側)の端部近傍の上面には、プランジャスリーブ30に溶湯Mを注ぎ込むための給湯口31が形成されている。例えばラドル(不図示)などを用いて、給湯口31からプランジャスリーブ30内に溶湯Mが注ぎ込まれる。
プランジャスリーブ30は、例えば熱間金型用の合金工具鋼などからなる。
【0019】
プランジャ40は、プランジャチップ41、プランジャロッド42を備えている。
プランジャチップ41は、プランジャスリーブ30内の溶湯Mに直接接触する円柱状の部材である。プランジャチップ41は、x軸に平行な中心軸を有する棒状部材であるプランジャロッド42によって、駆動源(不図示)に連結されており、プランジャスリーブ30内をx軸方向に摺動することができる。
図2に示すように、プランジャチップ41が、プランジャスリーブ30の後端部からx軸負方向に摺動することにより、プランジャスリーブ30内に注入された溶湯MがキャビティCに射出される。
【0020】
<ダイカスト鋳造装置の動作>
次に、
図1~
図3を参照して、第1の実施形態に係るダイカスト鋳造装置の動作について説明する。まず、
図1に示すように、プランジャスリーブ30内でプランジャチップ41をx軸正方向に後退させた状態で、可動型10を固定型20に当接させ、キャビティCを形成する。そして、プランジャスリーブ30の給湯口31から、例えばラドル(不図示)などを用いて、プランジャスリーブ30内に溶湯Mを供給する。
【0021】
次に、
図2に示すように、プランジャスリーブ30においてプランジャ40を前進させ、ランナーRを介して溶湯MをキャビティC内に射出する。ここで、プランジャ40を前進させることにより、溶湯Mを押しながらキャビティC内に充填させることができる。
【0022】
次に、
図3に示すように、キャビティC内において溶湯Mが凝固した後、可動型10を固定型20から離型させ、鋳造された鋳物50を取り出す。
図3に示すように、鋳物50は、製品部51に加え、ランナー部52及びビスケット部53を有している。
図3における鋳物50内に示した一点鎖線は、製品部51と、ランナー部52及びビスケット部53との便宜的な境界線である。
【0023】
ランナー部52は、ランナーRにおいて溶湯Mが凝固した部位である。ビスケット部53は、プランジャチップ41の先端面と金型(可動型10、固定型20)によって囲まれた溶湯Mが凝固した部位である。なお、ランナー部52及びビスケット部53は最終的に除去され、製品部51が製品として利用される。
【0024】
ここで、上述の通り、プランジャスリーブ30に溶湯Mを供給した際、プランジャスリーブ30に接触した溶湯Mは、冷却され、凝固する。そのため、溶湯Mと接触したプランジャスリーブ30の内面には、初期凝固片が形成される。プランジャチップ41がプランジャスリーブ30内を前進する際、この初期凝固片がプランジャスリーブ30から剥離し、溶湯Mと共に金型(可動型10、固定型20)のキャビティC内に射出されると、鋳造欠陥となり得る。
以下に説明するように、第1の実施形態に係るダイカスト鋳造装置では、ランナーRに初期凝固片による鋳造欠陥を低減するための突起が設けられている。
【0025】
<金型におけるランナーの構成>
次に、
図4、
図5を参照して、第1の実施形態に係るダイカスト鋳造装置においてプランジャスリーブ30と金型(可動型10、固定型20)のキャビティCとを連通するランナーRの構成について説明する。
図4は、固定型20の部分正面図である。
図5は、
図4のV-V切断線に沿った断面図である。
図5には、可動型10も描かれている。
図4、
図5に示された例では、固定型20及びプランジャスリーブ30に溝状のランナーRが形成されているが、可動型10に形成されていてよく、可動型10及び固定型20の両方などに形成されていてもよい。
【0026】
図4、
図5に示すように、プランジャスリーブ30の端面及び固定型20の前面に、射出された溶湯をキャビティCに導く溝状のランナーRが形成されている。ランナーRは、プランジャスリーブ30の内周面からキャビティCまで延設されている。そして、ランナーRの長手方向すなわち溶湯が流れる方向(
図4の例ではz軸正方向)に沿って複数の突起22が延設されている。図の例では7本の突起22が設けられている。
【0027】
さらに、複数の突起22は、ランナーRの幅方向に櫛歯状に並設されている。図示した突起22は断面三角形状すなわち楔形状(三角柱状)の形状を有しているが、これに限定されるものではない。例えば、突起22は断面矩形状すなわち四角柱状の形状を有していてもよい。但し、突起22は、断面形状が三角形状であるため、頂部よりも根元部の幅が大きく、例えば断面矩形状の突起に比べて突起22の根元部が安定し、又は、離型時の抵抗を低減し、破損し難い。なお、
図5の例では断面三角形状の突起22の頂部は鋭角的な形状を有しているが、R形状や平坦であってもよい。
【0028】
ランナーRの幅方向に櫛歯状に並設された複数の突起22を形成することによって、初期凝固片による鋳造欠陥を低減することができる。
図4に矢印で示すように、溶湯は突起22に衝突しながら、突起22同士の間を通過する。そのため、溶湯に含まれる初期凝固片が突起22に衝突して粉砕されたり、突起22による溶湯の流れの乱れによって初期凝固片が粉砕されたりするものと推察される。
【0029】
ここで、突起22が、溶湯が流れる方向に沿って延設されている。すなわち、突起22の長さ(z軸方向の長さ)は、突起22の幅(y軸方向の長さ)よりも大きい。そのため、高い圧力で溶湯に繰り返し押圧されても、例えば円柱状の突起に比べて突起22は破損し難く、金型(
図4、
図5の例では、固定型20)の耐久性に優れている。例えば、突起22の長さは、突起22の幅の2倍以上であること、又は、高さの1/2倍以上であることが好ましい。
【0030】
初期凝固片による鋳造欠陥を低減するためには、突起22の高さは、高い程好ましい。例えば、突起22の高さは、ランナーRの深さの80%以上、さらには90以上であることが好ましい。そのため、
図5に示すように、突起22の高さは、ランナーRの深さと等しいことが最も好ましいが、これに限定されるものではない。なお、突起22の高さが、ランナーRの深さと等しいとは、完全に等しい場合のみでなく、同程度であることも含む。
【0031】
また、
図4、
図5に示すように、全ての突起22は入子部23に形成されている。換言すると、全ての突起22は根元において入子部23と一体に形成されている。そして、入子部23は、固定型20に嵌合され、固定されている。すなわち、突起22は交換可能な入子部23に設けられている。そのため、突起22が破損した場合に、突起22を有する入子部23のみを交換することができ、メンテナンス性に優れている。もちろん、突起22を固定型20又は可動型10と一体に形成してもよい。
【0032】
以上の通り、第1の実施形態に係るダイカスト鋳造装置では、ランナーRに、溶湯が流れる方向に延設された複数の突起22が形成されている。そのため、高い圧力で溶湯に繰り返し押圧されても、突起22が破損し難く、金型の耐久性に優れている。また、複数の突起22がランナーRの幅方向に櫛歯状に並設されている。そのため、溶湯に含まれる初期凝固片が、突起22自体や突起22により発生する流れの乱れによって粉砕され、初期凝固片による鋳造欠陥を低減することができる。すなわち、第1の実施形態に係るダイカスト鋳造装置は、初期凝固片による鋳造欠陥を低減可能であると共に、金型の耐久性に優れている。
【0033】
<実施例>
以下に、第1の実施形態に係るダイカスト鋳造装置について、比較例及び実施例を挙げて詳細に説明する。しかしながら、第1の実施形態に係るダイカスト鋳造装置は、以下の実施例のみに限定されるものではない。
図6は、第1の実施形態の実施例に係るダイカスト鋳造装置における固定型20の部分正面写真である。
図6の実施例では、可動型10と当接する固定型20の前面に、2本のランナーR1、R2がプランジャスリーブ30の内周面から互いに離れるようにキャビティCに向かって形成されている。
【0034】
ランナーR1は、3本のランナーR11、R12、R13に分岐して互いに離れるようにキャビティCに至る。ランナーR2は、3本のランナーR21、R22、R23に分岐して互いに離れるようにキャビティCに至る。すなわち、6本のランナーR11、R12、R13及びランナーR21、R22、R23は、プランジャスリーブ30の内周面から略放射状に拡がるように形成されている。
【0035】
ランナーR11、R12の分岐元には、溶湯が流れる方向に沿って7本の突起22aが延設されている。7本の突起22aは、ランナーR11、R12の幅方向に櫛歯状に並設されている。
ランナーR13には、溶湯が流れる方向に沿って2本の突起22bが延設されている。2本の突起22bは、ランナーR13の幅方向に櫛歯状に並設されている。
【0036】
ランナーR21には、溶湯が流れる方向に沿って1本の突起22cが延設されている。
ランナーR22、R23の分岐元には、溶湯が流れる方向に沿って4本の突起22dが延設され、さらに下流側に4本の突起22eが延設されている。すなわち、ランナーR22、R23の幅方向に櫛歯状に並設され4本の突起22dと4本の突起22eとが2段階で設けられている。
実施例での突起の寸法は、いずれも根元部の長さ21mm、根元部の幅5mm、高さ14mmとした。
【0037】
図6に示した実施例では、ランナーに突起が設けられていない比較例に比べ、製造された鋳物における初期凝固片の面積率を5.8%から1.3%に劇的に低減させることができた。このように、ランナーの幅方向に櫛歯状に並設された複数の突起をランナーに設けることによって、初期凝固片による鋳造欠陥を低減することができた。また、溶湯が流れる方向に沿って突起が延設されているため、高い圧力で溶湯に繰り返し押圧されても、突起22が破損し難く、金型の耐久性に優れている。
【0038】
ここで、
図7は、突起形成による湯流れの変化のシミュレーション結果を示す図である。
図7に示すように、ランナーに突起が設けられていない比較例に比べ、実施例では突起22a、22b、22c、22d、22eを通過した溶湯の流れに乱れが生じている。
図7から、溶湯に含まれる初期凝固片は、突起に衝突して粉砕されたり、流れの乱れによって粉砕されたりするものと推察される。
【0039】
なお、本発明は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0040】
10 可動型
20 固定型
22、22a、22b、22c、22d、22e 突起
23 入子部
30 プランジャスリーブ
31 給湯口
40 プランジャ
41 プランジャチップ
42 プランジャロッド
50 鋳物
51 製品部
52 ランナー部
53 ビスケット部
C キャビティ
M 溶湯
R、R1、R2、R11~R13、R21~R23 ランナー