IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 浜松ホトニクス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-光モジュール及び反射型エンコーダ 図1
  • 特許-光モジュール及び反射型エンコーダ 図2
  • 特許-光モジュール及び反射型エンコーダ 図3
  • 特許-光モジュール及び反射型エンコーダ 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】光モジュール及び反射型エンコーダ
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/347 20060101AFI20220426BHJP
   H01L 31/12 20060101ALI20220426BHJP
【FI】
G01D5/347 110V
H01L31/12 E
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018133450
(22)【出願日】2018-07-13
(65)【公開番号】P2020012666
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】桑原 洋介
【審査官】岩本 太一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-216471(JP,A)
【文献】国際公開第2012/128323(WO,A1)
【文献】特開2009-99950(JP,A)
【文献】米国特許第4953933(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/26- 5/38
H01L 31/12-31/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射型エンコーダに適用される光モジュールであって、
配線が設けられた底壁部、及び、前記底壁部の一方側から見た場合に前記底壁部上の領域を包囲する側壁部を有する支持体と、
第1受光面及び第2受光面を有し、前記第1受光面及び前記第2受光面が前記一方側を向くように前記底壁部上に配置され、前記一方側から見た場合に前記側壁部によって包囲された受光素子と、
複数の第1光ファイバの一端面によって構成された第1入力面、及び、前記複数の第1光ファイバの他端面によって構成された第1出力面を有し、前記第1出力面が前記第1受光面と向かい合うように前記受光素子上に配置された第1ファイバオプティックプレートと、
複数の第2光ファイバの一端面によって構成された第2入力面、及び、前記複数の第2光ファイバの他端面によって構成された第2出力面を有し、前記第2出力面が前記第2受光面と向かい合うように前記受光素子上に配置された第2ファイバオプティックプレートと、
前記第1ファイバオプティックプレートと前記第2ファイバオプティックプレートとの間に位置するように前記受光素子上に配置された発光素子と、
前記側壁部の内側において前記配線の端子と前記受光素子の第1端子とを接続する第1ワイヤと、
前記側壁部の内側において前記底壁部上に配置され、前記配線の前記端子、前記受光素子の前記第1端子及び前記第1ワイヤを覆う第1樹脂部材と、を備え、
前記側壁部における前記一方側の端面は、前記第1受光面及び前記第2受光面よりも前記一方側に配置されている、光モジュール。
【請求項2】
前記第1ファイバオプティックプレートにおいては、前記一方側から見た場合に前記第1入力面と前記発光素子との距離が前記第1出力面と前記発光素子との距離よりも小さくなるように、前記複数の第1光ファイバが傾斜しており、
前記第2ファイバオプティックプレートにおいては、前記一方側から見た場合に前記第2入力面と前記発光素子との距離が前記第2出力面と前記発光素子との距離よりも小さくなるように、前記複数の第2光ファイバが傾斜している、請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記端面は、前記第1樹脂部材よりも前記一方側に配置されている、請求項1又は2に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記第1ファイバオプティックプレート及び前記第2ファイバオプティックプレートを前記受光素子に固定する第2樹脂部材を更に備え、
前記第2樹脂部材は、前記受光素子上において、前記発光素子の側面に接触している、請求項1~3のいずれか一項に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記第1入力面、前記第2入力面、及び前記発光素子の発光面は、同一平面に沿って配置されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の光モジュール。
【請求項6】
前記受光素子の第2端子と前記発光素子の端子とを接続する第2ワイヤを更に備え、
前記端面は、前記第2ワイヤよりも前記一方側に配置されている、請求項5に記載の光モジュール。
【請求項7】
前記受光素子の第2端子と前記発光素子の端子とを接続する第2ワイヤを更に備え、
前記第1入力面及び前記第2入力面は、前記第2ワイヤよりも前記一方側に配置されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の光モジュール。
【請求項8】
前記第1入力面及び前記第2入力面は、前記端面よりも前記一方側に配置されている、請求項7に記載の光モジュール。
【請求項9】
光反射パターンを有する回転板と、
請求項1~8のいずれか一項に記載の光モジュールと、
を備える反射型エンコーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュール及び反射型エンコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
光通過パターンを有する回転板と、回転板の一方側に配置された光源と、回転板の他方側に配置された受光素子と、を備える透過型エンコーダが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-37333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、エンコーダの種類としては、上述したような透過型エンコーダだけでなく、光反射パターンを有する回転板と、回転板の同一の側に配置された光源及び受光素子と、を備える反射型エンコーダも知られている。透過型エンコーダと反射型エンコーダとを比較すると、エンコーダの小型化や低コスト化の観点においては、透過型エンコーダよりも反射型エンコーダのほうが有利と言われている。一方、検出精度の観点においては、反射型エンコーダよりも、透過型エンコーダのほうが有利と言われている。
【0005】
そこで、本発明は、反射型エンコーダに適用された場合に良好な検出精度を得ることができる光モジュール、及びそのような光モジュールを備える反射型エンコーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光モジュールは、反射型エンコーダに適用される光モジュールであって、配線が設けられた底壁部、及び、底壁部の一方側から見た場合に底壁部上の領域を包囲する側壁部を有する支持体と、第1受光面及び第2受光面を有し、第1受光面及び第2受光面が一方側を向くように底壁部上に配置され、一方側から見た場合に側壁部によって包囲された受光素子と、複数の第1光ファイバの一端面によって構成された第1入力面、及び、複数の第1光ファイバの他端面によって構成された第1出力面を有し、第1出力面が第1受光面と向かい合うように受光素子上に配置された第1ファイバオプティックプレートと、複数の第2光ファイバの一端面によって構成された第2入力面、及び、複数の第2光ファイバの他端面によって構成された第2出力面を有し、第2出力面が第2受光面と向かい合うように受光素子上に配置された第2ファイバオプティックプレートと、第1ファイバオプティックプレートと第2ファイバオプティックプレートとの間に位置するように受光素子上に配置された発光素子と、側壁部の内側において配線の端子と受光素子の第1端子とを接続する第1ワイヤと、側壁部の内側において底壁部上に配置され、配線の端子、受光素子の第1端子及び第1ワイヤを覆う第1樹脂部材と、を備え、側壁部における一方側の端面は、第1受光面及び第2受光面よりも一方側に配置されている。
【0007】
この光モジュールでは、例えば、エンコーダが備える回転板の光反射パターンに対して、発光素子から光が発せられると、光反射パターンで反射された光が、第1ファイバオプティックプレートの第1入力面及び第2ファイバオプティックプレートの第2入力面に入射する。第1入力面に入射した光は、複数の第1光ファイバによって導光され、第1ファイバオプティックプレートの第1出力面を介して受光素子の第1受光面に入射する。第2入力面に入射した光は、複数の第2光ファイバによって導光され、第2ファイバオプティックプレートの第2出力面を介して受光素子の第2受光面に入射する。これにより、第1ファイバオプティックプレート及び第2ファイバオプティックプレートが設けられていない場合に比べ、光反射パターンで反射されて第1受光面及び第2受光面に入射する光の拡散及び減衰が抑制される。また、発光素子が受光素子上に配置されているため、発光素子の発光面、第1受光面及び第2受光面の相互の位置関係が高精度に維持される。また、発光素子が第1ファイバオプティックプレートと第2ファイバオプティックプレートとの間に位置しているため、例えば物理的な接触から発光素子が保護される。また、側壁部の端面が第1受光面及び第2受光面よりも一方側に配置されているため、例えば物理的な接触から受光素子が保護される。更に、配線の端子、受光素子の第1端子及び第1ワイヤが第1樹脂部材によって覆われているため、例えば、外力、反射型エンコーダの使用時に飛散する油等から、配線の端子、受光素子の第1端子及び第1ワイヤが保護される。以上により、この光モジュールによれば、反射型エンコーダに適用された場合に良好な検出精度を得ることができる。
【0008】
本発明の光モジュールでは、第1ファイバオプティックプレートにおいては、一方側から見た場合に第1入力面と発光素子との距離が第1出力面と発光素子との距離よりも小さくなるように、複数の第1光ファイバが傾斜しており、第2ファイバオプティックプレートにおいては、一方側から見た場合に第2入力面と発光素子との距離が第2出力面と発光素子との距離よりも小さくなるように、複数の第2光ファイバが傾斜していてもよい。これによれば、発光素子から発せられて第1入力面に至る光の光路長、及び発光素子から発せられて第2入力面に至る光の光路長が短くなるため、光反射パターンで反射されて第1受光面及び第2受光面に入射する光の拡散及び減衰をより一層抑制することができる。
【0009】
本発明の光モジュールでは、端面は、第1樹脂部材よりも一方側に配置されていてもよい。これによれば、例えば物理的な接触から第1樹脂部材、延いては第1ワイヤを保護することができる。また、配線の端子、受光素子の第1端子及び第1ワイヤを覆う第1樹脂部材を安定した状態に維持することができる。
【0010】
本発明の光モジュールは、第1ファイバオプティックプレート及び第2ファイバオプティックプレートを受光素子に固定する第2樹脂部材を更に備え、第2樹脂部材は、受光素子上において、発光素子の側面に接触していてもよい。これによれば、受光素子に対する発光素子の接合強度を向上させることができる。
【0011】
本発明の光モジュールでは、第1入力面、第2入力面、及び発光素子の発光面は、同一平面に沿って配置されていてもよい。これによれば、例えば、エンコーダが備える回転板の光反射パターンに対する光モジュールの位置が多少ずれたとしても、当該位置ずれに起因して第1入力面及び第2入力面のそれぞれに入射する光のパターンに歪が生じるのを抑制することができるため、より良好な検出精度を得ることができる。
【0012】
本発明の光モジュールは、受光素子の第2端子と発光素子の端子とを接続する第2ワイヤを更に備え、端面は、第2ワイヤよりも一方側に配置されていてもよい。第1入力面、第2入力面、及び発光素子の発光面が同一平面に沿って配置されていると、第2ワイヤが当該平面よりも一方側に突出する場合がある。そのような場合にも、例えば物理的な接触から第2ワイヤを保護することができる。
【0013】
本発明の光モジュールは、受光素子の第2端子と発光素子の端子とを接続する第2ワイヤを更に備え、第1入力面及び第2入力面は、第2ワイヤよりも一方側に配置されていてもよい。これによれば、例えば物理的な接触から第2ワイヤを保護することができる。
【0014】
本発明の光モジュールでは、第1入力面及び第2入力面は、端面よりも一方側に配置されていてもよい。これによれば、例えば物理的な接触から第2ワイヤを保護しつつ、第1入力面及び第2入力面を光反射パターンに近づけることができる。したがって、発光素子から発せられて第1入力面に至る光の光路長、及び発光素子から発せられて第2入力面に至る光の光路長が短くなるため、光反射パターンで反射されて第1受光面及び第2受光面に入射する光の拡散及び減衰をより一層抑制することができる。
【0015】
本発明の反射型エンコーダは、光反射パターンを有する回転板と、上述した光モジュールと、を備える。この反射型エンコーダによれば、上述した理由により、良好な検出精度を得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、反射型エンコーダに適用された場合に良好な検出精度を得ることができる光モジュール、及びそのような光モジュールを備える反射型エンコーダを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態の光モジュールを備える反射型エンコーダの斜視図である。
図2図1に示される光モジュールの平面図である。
図3図2のIII-III線に沿っての光モジュールの断面図である。
図4】第2実施形態の光モジュールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[第1実施形態]
[エンコーダの構成]
【0019】
図1に示されるように、反射型エンコーダ1は、回転軸2と、回転板3と、光モジュール10Aと、処理部100と、を備えている。反射型エンコーダ1は、例えば、アブソリュート型のロータリーエンコーダであり、軸線Aを中心線として回転する回転軸2に連結された測定対象物の絶対角度を検出する。
【0020】
回転板3は、回転軸2に固定されており、回転軸2と共に回転する。回転板3は、本体部4及び光反射パターン5を有している。本体部4は、例えば、円板状に形成されており、軸線Aと直交するように中心部において回転軸2に取り付けられている。本体部4は、光の反射を低減するように構成されている。光反射パターン5は、本体部4の表面4aに設けられている。光反射パターン5は、Cr等の金属によって形成された光反射膜である。光反射パターン5は、グレイコード等の所定パターンを表している。
【0021】
光モジュール10Aは、本体部4の表面4aの一部と対向するように、すなわち、光反射パターン5の一部と対向するように、配置されている。光モジュール10Aの位置は、回転板3に対して固定されている。光モジュール10Aは、光反射パターン5に対して光を発し、光反射パターン5で反射された光(すなわち、回転板3の回転に応じて変化する光反射パターン5の像)を検出する。
【0022】
処理部100は、例えば、信号処理回路である。処理部100は、光モジュール10Aによる光検出結果を符号化し、回転軸2の回転角の絶対値を表すグレイコードを出力する。
[光モジュールの構成]
【0023】
図2及び図3に示されるように、光モジュール10Aは、支持体20と、受光素子30と、第1FOP(第1ファイバオプティックプレート)40と、第2FOP(第2ファイバオプティックプレート)50と、発光素子60と、を備えている。
【0024】
支持体20は、底壁部21及び側壁部22を有している。底壁部21には、複数の配線23が設けられている。底壁部21は、例えば、ガラスエポキシ樹脂によって矩形板状に形成されている。側壁部22は、底壁部21の一方側Sから見た場合に底壁部21上の領域を包囲している。側壁部22は、例えば、ガラスエポキシ樹脂によって矩形枠状に形成されている。各配線23の一端部は、底壁部21における一方側Sの表面21aに配置されており、端子24を構成している。複数の端子24は、一方側Sから見た場合に、例えば、側壁部22の内縁に沿って配列されている。各配線23の他端部は、底壁部21における表面21aとは反対側の表面21bに配置されており、外部端子(図示省略)を構成している。外部端子は、外部配線(図示省略)を介して処理部100と電気的に接続される端子である。
【0025】
受光素子30は、底壁部21の表面21aに固定されており、一方側Sから見た場合に側壁部22によって包囲されている。受光素子30は、例えば、矩形板状に形成された半導体受光素子である。受光素子30は、第1受光部31、第2受光部32、複数の第1端子33、及び第2端子34を有している。第1受光部31及び第2受光部32は、互いに離間した状態で、受光素子30における一方側Sの表面30aに設けられている。つまり、受光素子30は、第1受光部31の第1受光面31a及び第2受光部32の第2受光面32aが一方側Sを向くように底壁部21上に配置されている。第1受光部31及び第2受光部32のそれぞれは、例えば、フォトダイオードアレイであり、第1受光面31a及び第2受光面32aのそれぞれは、例えば、矩形状に形成されている。受光素子30は、例えば、それぞれがフォトダイオードアレイからなる第1受光部31及び第2受光部32を有するフォトダイオードアレイチップである。複数の第1端子33、及び第2端子34は、受光素子30の表面30aに配置されている。複数の第1端子33は、一方側Sから見た場合に、第1受光面31a及び第2受光面32aを包囲するように、例えば、受光素子30の外縁に沿って配列されている。第2端子34は、一方側Sから見た場合に、第1受光面31aと第2受光面32aとの間に配置されている。
【0026】
第1FOP40は、複数の光ファイバが束ねられて構成された光学デバイスであり、例えば、矩形板状に形成されている。第1FOP40は、複数の第1光ファイバ41の一端面によって構成された第1入力面40a、及び、複数の第1光ファイバ41の他端面によって構成された第1出力面40bを有している。各第1光ファイバ41は、第1入力面40aから第1出力面40bに導光可能となるように延在している。第1FOP40は、第1出力面40bが第1受光面31aと向かい合うように受光素子30上に配置されている。
【0027】
第2FOP50は、複数の光ファイバが束ねられて構成された光学デバイスであり、例えば、矩形板状に形成されている。第2FOP50は、複数の第2光ファイバ51の一端面によって構成された第2入力面50a、及び、複数の第2光ファイバ51の他端面によって構成された第2出力面50bを有している。各第2光ファイバ51は、第2入力面50aから第2出力面50bに導光可能となるように延在している。第2FOP50は、第2出力面50bが第2受光面32aと向かい合うように受光素子30上に配置されている。
【0028】
発光素子60は、一方側Sから見た場合に第1受光面31aと第2受光面32aとの間に位置し且つ発光面60aが一方側Sを向くように、受光素子30の表面30aに実装されている。つまり、発光素子60は、第1FOP40と第2FOP50との間に位置するように受光素子30上に配置されている。発光素子60は、例えば、表面実装型のLEDチップである。発光素子60は、その一方側Sの表面に設けられた端子61を有している。
【0029】
第1FOP40においては、一方側Sから見た場合に第1入力面40aと発光素子60との距離が第1出力面40bと発光素子60との距離よりも小さくなるように、複数の第1光ファイバ41が傾斜している。第2FOP50においては、一方側Sから見た場合に第2入力面50aと発光素子60との距離が第2出力面50bと発光素子60との距離よりも小さくなるように、複数の第2光ファイバ51が傾斜している。本実施形態では、第1FOP40及び第2FOP50は、それぞれ、スラントファイバオプティックプレートである。
【0030】
底壁部21に設けられた複数の端子24、及び受光素子30に設けられた複数の第1端子33において、対応する端子24と第1端子33とは、第1ワイヤ11によって互いに接続されている。受光素子30に設けられた第2端子34と発光素子60に設けられた端子61とは、第2ワイヤ12によって互いに接続されている。光モジュール10Aでは、受光素子30及び発光素子60に対し、複数の配線23を介して電気信号が入出力される。
【0031】
複数の端子24、複数の第1端子33及び複数の第1ワイヤ11は、側壁部22の内側において底壁部21上に配置された第1樹脂部材13によって覆われている。第1FOP40の第1入力面40a、第2FOP50の第2入力面50a及び発光素子60の発光面60aは、第1樹脂部材13によって覆われていない。本実施形態では、第1入力面40a、第2入力面50a及び発光面60aは、第1樹脂部材13より一方側Sに配置されている。第1樹脂部材13は、例えば、黒色の保護樹脂部材である。第1FOP40及び第2FOP50は、それぞれ、第2樹脂部材14によって受光素子30に固定されている。第2樹脂部材14は、例えば、屈折率整合作用を有する光学樹脂部材である。第2樹脂部材14は、受光素子30上において、発光素子60の側面60bに接触している。第1入力面40a、第2入力面50a及び発光面60aは、第2樹脂部材14によって覆われていない。本実施形態では、第1入力面40a、第2入力面50a及び発光面60aは、第2樹脂部材14より一方側Sに配置されている。
【0032】
ここで、図3を参照して、一方側Sにおける各部の位置関係について説明する。側壁部22における一方側Sの端面22aは、受光素子30の第1受光面31a及び第2受光面32aよりも一方側Sに配置されている。側壁部22の端面22aは、第1樹脂部材13よりも一方側Sに配置されている。第1FOP40の第1入力面40a、第2FOP50の第2入力面50a、及び発光素子60の発光面60aは、同一平面Pに沿って配置されている。側壁部22の端面22aは、第2ワイヤ12よりも一方側Sに配置されている。なお、第1入力面40a、第2入力面50a及び発光面60aが同一平面Pに沿って配置されている状態とは、平面Pに対して一方側Sに0.1mmの範囲及びその反対側に0.1mmの範囲の計0.2mmの範囲内に第1入力面40a、第2入力面50a及び発光面60aが配置されている状態であり、例えば、第1入力面40a、第2入力面50a及び発光面60aが同一平面P上に配置されている状態である。
【0033】
以上説明したように、光モジュール10Aでは、反射型エンコーダ1が備える回転板3の光反射パターン5に対して、発光素子60から光が発せられると、光反射パターン5で反射された光が、第1FOP40の第1入力面40a及び第2FOP50の第2入力面50aに入射する。第1入力面40aに入射した光は、複数の第1光ファイバ41によって導光され、第1FOP40の第1出力面40bを介して受光素子30の第1受光面31aに入射する。第2入力面50aに入射した光は、複数の第2光ファイバ51によって導光され、第2FOP50の第2出力面50bを介して受光素子30の第2受光面32aに入射する。これにより、第1FOP40及び第2FOP50が設けられていない場合に比べ、光反射パターン5で反射されて第1受光面31a及び第2受光面32aに入射する光の拡散及び減衰が抑制される。また、発光素子60が受光素子30上に配置されているため、発光素子60の発光面60a、第1受光面31a及び第2受光面32aの相互の位置関係が高精度に維持される。また、発光素子60が第1FOP40と第2FOP50との間に位置しているため、例えば物理的な接触から発光素子60が保護される。また、側壁部22の端面22aが第1受光面31a及び第2受光面32aよりも一方側Sに配置されているため、例えば物理的な接触から受光素子30が保護される。更に、配線23の端子24、受光素子30の第1端子33及び第1ワイヤ11が第1樹脂部材13によって覆われているため、例えば、外力、反射型エンコーダ1の使用時に飛散する油等から、配線23の端子24、受光素子30の第1端子33及び第1ワイヤ11が保護される。以上により、この光モジュール10Aによれば、反射型エンコーダ1に適用された場合に良好な検出精度を得ることができる。
【0034】
また、光モジュール10Aでは、第1FOP40においては、一方側Sから見た場合に第1入力面40aと発光素子60との距離が第1出力面40bと発光素子60との距離よりも小さくなるように、複数の第1光ファイバ41が傾斜しており、第2FOP50においては、一方側Sから見た場合に第2入力面50aと発光素子60との距離が第2出力面50bと発光素子60との距離よりも小さくなるように、複数の第2光ファイバ51が傾斜している。これによれば、発光素子60から発せられて第1入力面40aに至る光の光路長、及び発光素子60から発せられて第2入力面50aに至る光の光路長が短くなるため、光反射パターン5で反射されて第1受光面31a及び第2受光面32aに入射する光の拡散及び減衰をより一層抑制することができる。
【0035】
また、光モジュール10Aでは、端面22aは、第1樹脂部材13よりも一方側Sに配置されているため、例えば物理的な接触から第1樹脂部材13、延いては第1ワイヤ11を保護することができる。また、配線23の端子24、受光素子30の第1端子33及び第1ワイヤ11を覆う第1樹脂部材13を安定した状態に維持することができる。
【0036】
また、光モジュール10Aは、第1FOP40及び第2FOP50を受光素子30に固定する第2樹脂部材14を更に備え、第2樹脂部材14は、受光素子30上において、発光素子60の側面60bに接触しているため、受光素子30に対する発光素子60の接合強度を向上させることができる。
【0037】
また、光モジュール10Aでは、第1入力面40a、第2入力面50a、及び発光素子60の発光面60aは、同一平面Pに沿って配置されている。これによれば、例えば、反射型エンコーダ1が備える回転板3の光反射パターン5に対する光モジュール10Aの位置が多少ずれたとしても、当該位置ずれに起因して第1入力面40a及び第2入力面50aのそれぞれに入射する光のパターンに歪が生じるのを抑制することができるため、より良好な検出精度を得ることができる。
【0038】
また、光モジュール10Aは、受光素子30の第2端子34と発光素子60の端子61とを接続する第2ワイヤ12を更に備え、端面22aは、第2ワイヤ12よりも一方側Sに配置されている。第1入力面40a、第2入力面50a、及び発光素子60の発光面60aが同一平面Pに沿って配置されていると、第2ワイヤ12が平面Pよりも一方側Sに突出する場合がある。そのような場合にも、例えば物理的な接触から第2ワイヤ12を保護することができる。
[第2実施形態]
【0039】
図4に示されるように、光モジュール10Bは、一方側Sにおける各部の位置関係において、上述した光モジュール10Aと相違している。光モジュール10Bでは、第1FOP40の第1入力面40a及び第2FOP50の第2入力面50aは、第2ワイヤ12よりも一方側Sに配置されており、且つ側壁部22の端面22aよりも一方側Sに配置されている。側壁部22の端面22aは、発光素子60の発光面60aよりも一方側Sに配置されている。本実施形態では、側壁部22の端面22aは、第2ワイヤ12よりも一方側Sに配置されている。
【0040】
光モジュール10Bによれば、上述した光モジュール10Aと同様の理由により、反射型エンコーダ1に適用された場合に良好な検出精度を得ることができる。
【0041】
また、光モジュール10Bでは、第1FOP40の第1入力面40a及び第2FOP50の第2入力面50aが、第2ワイヤ12よりも一方側Sに配置されているため、例えば物理的な接触から第2ワイヤ12を保護することができる。
【0042】
また、光モジュール10Bでは、第1FOP40の第1入力面40a及び第2FOP50の第2入力面50aが、第2ワイヤ12よりも一方側Sに配置されており、且つ側壁部22の端面22aよりも一方側Sに配置されているため、第1入力面40a及び第2入力面50aを光反射パターン5に近づけることができる。したがって、発光素子60から発せられて第1入力面40aに至る光の光路長、及び発光素子60から発せられて第2入力面50aに至る光の光路長が短くなるため、光反射パターン5で反射されて第1受光面31a及び第2受光面32aに入射する光の拡散及び減衰をより一層抑制することができる。
[変形例]
【0043】
本発明は、上述した第1実施形態及び第2実施形態に限定されない。例えば、各構成の材料及び形状には、上述した材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を採用することができる。
【0044】
配線23は、底壁部21に設けられたものであればよい。配線23は、底壁部21に直接的に形成された配線に限定されず、例えば、底壁部21上に配置された配線基板が有する配線であってもよい。第1FOP40においては、一方側Sから見た場合に第1入力面40aと発光素子60との距離が第1出力面40bと発光素子60との距離と同一となるように、複数の第1光ファイバ41が設けられていてもよい。第2FOP50においては、一方側Sから見た場合に第2入力面50aと発光素子60との距離が第2出力面50bと発光素子60との距離と同一となるように、複数の第2光ファイバ51が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1…反射型エンコーダ、3…回転板、5…光反射パターン、10A,10B…光モジュール、11…第1ワイヤ、12…第2ワイヤ、13…第1樹脂部材、14…第2樹脂部材、20…支持体、21…底壁部、22…側壁部、22a…端面、23…配線、24…端子、30…受光素子、31a…第1受光面、32a…第2受光面、33…第1端子、34…第2端子、40…第1FOP(第1ファイバオプティックプレート)、40a…第1入力面、40b…第1出力面、41…第1光ファイバ、50…第2FOP(第2ファイバオプティックプレート)、50a…第2入力面、50b…第2出力面、51…第2光ファイバ、60…発光素子、60a…発光面、60b…側面、61…端子、P…平面。
図1
図2
図3
図4