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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】電気部品用ソケット
(51)【国際特許分類】
   H01R 33/76 20060101AFI20220426BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20220426BHJP
【FI】
H01R33/76 503C
G01R31/26 J
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018136399
(22)【出願日】2018-07-20
(65)【公開番号】P2020013740
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(72)【発明者】
【氏名】稲邊 匠
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-005130(JP,A)
【文献】特開2004-228042(JP,A)
【文献】特開2016-001546(JP,A)
【文献】特開2008-275421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 33/76
G01R 31/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品を収容するソケット本体に、前記電気部品の周縁側に配設された第1端子に離接するコンタクトピンと、前記電気部品の中央側に配設された第2端子に離接するグランドピンと、を備え、前記グランドピンは、前記ソケット本体に配設された受け部に昇降可能に支持されたプランジャを有し、前記ソケット本体に対して操作部材を操作して前記プランジャを昇降させることで 前記プランジャの当接面を前記第2端子に圧接及び離間させる電気部品用ソケットであって、
前記プランジャが上昇して前記当接面が前記第2端子に圧接するときに、前記プランジャの前記当接面を回転させる回転手段を備えていることを特徴とする電気部品用ソケット。
【請求項2】
前記ソケット本体は、付勢手段により上方に付勢された前記プランジャを収容する貫通孔を有し、
前記回転手段は、前記貫通孔の内周面に下向きに設けられて、前記付勢手段の付勢力で上昇する前記プランジャの前記当接面が前記第2端子に圧接するときに前記プランジャが当接して一方向に回転させられる第1ガイド面を有することを特徴とする請求項1に記載の電気部品用ソケット。
【請求項3】
前記ソケット本体は、前記貫通孔内で前記プランジャを前記付勢手段の付勢力に抗して下方へ押し下げる押圧レバーを有し、
前記回転手段は、前記貫通孔の内周面に上向きに設けられて、前記押圧レバーにより下降する前記プランジャが当接することで、他方向に回転させられる第2ガイド面を有することを特徴とする請求項2に記載の電気部品用ソケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置(以下「ICパッケージ」という)等の電気部品を収容する電気部品用ソケット、特に、電気部品の周縁側の多数の端子と離接するコンタクトピンと、中央側の端子と離接するグランドピンと、を備えた電気部品用ソケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の「電気部品用ソケット」として、例えば特許文献1に記載されたようなICソケットなどが知られている。特許文献1のICソケットでは、ICパッケージの周縁側に配設された多数の端子と離接するように多数のコンタクトピンが設けられ、さらにICパッケージを収容するフローティングの中央部にストッパーピンとしてのグランドピンが設けられてICパッケージの中央側に当接するように構成されている。
【0003】
このようなICソケットでは、ストッパーピンとしてのグランドピンによりフローティングの上昇を規制することで電気部品用ソケットの小型化が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-1546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来のICソケットにあっては、ストッパーピンとしてのグランドピンをICパッケージに当接させて使用していたが、グランドピンとICパッケージとの伝熱性や導電性を向上させることが望まれていた。
【0006】
そこで、この発明は、グランドピンを電気部品の端子に確実に安定して圧接させることができて電気部品との伝熱性及び導電性を向上できる電気部品用ソケットを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するために、本発明の電気部品用ソケットは、電気部品を収容するソケット本体に、前記電気部品の周縁側に配設された第1端子に離接するコンタクトピンと、前記電気部品の中央側に配設された第2端子に離接するグランドピンと、を備え、前記グランドピンは、前記ソケット本体に配設された受け部に昇降可能に支持されたプランジャを有し、前記ソケット本体に対して操作部材を操作して前記プランジャを昇降させることで前記プランジャの当接面を前記第2端子に圧接及び離間させる電気部品用ソケットであって、前記プランジャが上昇して前記当接面が前記第2端子に圧接するときに、前記プランジャの前記当接面を回転させる回転手段を備えていることを特徴としている。
【0008】
本発明の電気部品用ソケットでは、前記ソケット本体が、付勢手段により上方に付勢された前記プランジャを収容する貫通孔を有し、前記回転手段は、前記貫通孔の内周面に下向きに設けられて、前記付勢手段の付勢力で上昇する前記プランジャの前記当接面が前記第2端子に圧接するときに前記プランジャが当接して一方向に回転させられる第1ガイド面を有していてもよい。
【0009】
また本発明の電気部品用ソケットでは、前記ソケット本体が、前記貫通孔内で前記プランジャを前記付勢手段の付勢力に抗して下方へ押し下げる押圧レバーを有し、前記回転手段は、前記貫通孔の内周面に上向きに設けられて、前記押圧レバーにより下降する前記プランジャが当接することで、他方向に回転させられる第2ガイド面を有していてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の電気部品用ソケットによれば、プランジャが上昇して当接面が第2端子に圧接するときにプランジャの当接面を回転させる回転手段を備えているので、ソケット本体に対して操作部材を操作してプランジャを上昇させることで、プランジャの当接面を電気部品の第2端子に回転させつつ圧接できる。
【0011】
そのためグランドピンのプランジャの当接面と電気部品の第2端子の表面との間におけるワイピング作用が得られ、プランジャの当接面を電気部品の第2端子に確実に安定して圧接させることができ、グランドピンと電気部品との伝熱性及び導電性を向上できる電気部品用ソケットを提供することができる。
【0012】
本発明の電気部品用ソケットにおいて、ソケット本体が付勢手段により上方に付勢されたプランジャを収容する貫通孔を有し、回転手段が貫通孔の内周面に下向きに設けられて、付勢手段の付勢力で上昇するプランジャの当接面が第2端子に圧接するときにプランジャが当接して一方向に回転させられる第1ガイド面を有していれば、プランジャを上昇させるための付勢手段により、プランジャの上昇動作と回転動作との両方を行うことができる。そのためプランジャを動作させるための構造を簡素化することができる。
【0013】
本発明の電気部品用ソケットにおいて、ソケット本体が貫通孔内でプランジャを付勢手段の付勢力に抗して下方へ押下げる押圧レバーを有し、回転手段が貫通孔の内周面に上向きに設けられて、押圧レバーにより下降するプランジャが当接することで、他方向に回転させられる第2ガイド面を有していれば、プランジャを下降させるための押圧レバーにより、プランジャの下降動作と、一方向に回転したプランジャを他方向へ回転させて復元する復元動作と、の両方を行うことができる。 そのためプランジャを動作させるための構造をさらに簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態に係るICソケットの断面図で、左半分は開状態、右半分は閉状態を示している。
図2】本発明の実施の形態に係るICソケットのソケット本体を示す斜視図である。
図3】本発明の実施の形態に係るICソケットのソケット本体を示す平面図である。
図4】本発明の実施の形態に係るICソケットのソケット本体を示し、図3のA-A断面で切断した斜視図である。
図5】本発明の実施の形態に係るICソケットのグランドピンのプランジャを示す斜視図である。
図6】本発明の実施の形態に係るICソケットのグランドピンのプランジャがICソケットに圧接した状態を示し、一部を断面で示す部分斜視図である。
図7】本発明の実施の形態に係るICソケットの操作部材及び押圧レバーの動作を説明するための要部側面図であり、(a)は操作部材を下降させたときの開状態を示し、(b)は操作部材を上昇させたときの閉状態を示している。
図8】本発明の実施の形態に係るICソケットの押圧レバー及びプランジャの動作を説明するためのソケット本体の縦断面図であり、(a)は操作部材を下降させたときの開状態を示し、(b)は操作部材を上昇させたときの閉状態を示している。
図9】本発明の実施の形態に係るICソケットのプランジャの動作を説明するための要部拡大断面斜視図であり、(a)は操作部材を下降させたときの開状態を示し、(b)は操作部材を上昇させたときの閉状態を示している。
図10】本発明の実施の形態に係るICソケットのプランジャの動作を説明するための要部拡大平面図であり、(a)は操作部材を下降させたときの開状態を示し、(b)は操作部材を上昇させたときの閉状態を示している。
図11】本発明の実施の形態に係るICソケットのプランジャの動作を説明するために周方向の断面で内側から見た端面図であり、(a)は図10(a)のB-B端面を示し、(b)は図10(b)のC-C端面を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態について説明する。
【0016】
図1乃至図6に示すように、この実施の形態の「電気部品用ソケット」としてのICソケット10は、図示省略の配線基板上に配置され、上面に「電気部品」としてのICパッケージ1が収容されて、配線基板とICパッケージとを電気的に接続させるように構成されている。そして、このICソケット10は、例えばICパッケージ1に対するバーンイン試験等の導通試験の試験装置などに用いられる。
【0017】
本実施形態のICパッケージ1は、方形状のパッケージ本体における一対の周縁側の下面に複数の第1端子1bが配列されて、中央側の下面に第1端子1bより大きい第2端子1cが配設されている。
【0018】
一方、ICソケット10は、図1に示すように、図示しない配線基板上に取り付けられる樹脂製のソケット本体11を有し、ソケット本体11に収容されたICパッケージ1の第1端子1bに離接する複数のコンタクトピン12と、第2端子1cに離接するグランドピン16と、が配設されている。
【0019】
また、収容されたICパッケージ1の上面を押圧するラッチ13がソケット本体11に回動自在に設けられており、さらにコンタクトピン12、グランドピン16及びラッチ13を操作するための操作部材14がソケット本体11に上下動自在に設けられている。
【0020】
ソケット本体11は、図2乃至図4に示すように、上面側の中央部にICパッケージ1を収容する収容部11bが設けられている。本実施形態の収容部11bは、ICパッケージ1の形状に応じた凹形状に設けられており、底面が同一面状に形成されるとともに、側周囲の複数位置にICパッケージ1の側周縁の対応部位を精度よく位置決めする位置決め部11cと、その上方に形成されたテーパー形状の案内面11dと、が設けられている。
【0021】
ソケット本体11の収容部11bの互いに対向する一対の側方部には、複数のコンタクトピン12が配置される複数のスリット11eが設けられ、さらに収容部11bの中央部には上下方向に貫通してグランドピン16が収容配置される貫通孔11fが設けられている。
【0022】
ソケット本体11の各スリット11eには、それぞれコンタクトピン12が配設されている。
【0023】
各スリット11e内には、図1に示すように、ソケット本体11を横方向に突出させた圧入部11aが設けられており、複数のコンタクトピン12はそれぞれスリット11e内で圧入部11aに固定されている。
【0024】
ソケット本体11に配設される各コンタクトピン12は、導電性及び弾性を有する板材から形成されている。各コンタクトピン12は略コ字状の固定部12aを有しており、この固定部12aがソケット本体11の圧入部11aに横方向から圧入して固定されている。
【0025】
各コンタクトピン12は、固定部12aから下方に延長されて図示しない配線基板に電気的に接続されるリード部12bを有し、さらに、固定部12aから上方に延長された弾性部12cと、この弾性部12cの先端部から上方に突設されてICパッケージ1の第1端子1bに下方から離接する接触部12dと、を有している。
【0026】
本実施形態では、このようなコンタクトピン12の接触部12dが、後述するラッチ軸13aにより下方に押圧されることで下降してICパッケージ1の第1端子1bから離間でき、ラッチ軸13aによる押圧が軽減されると上昇し、ICパッケージ1の第1端子1bに接触することが可能となっている。
【0027】
ソケット本体11の貫通孔11fには、下向きに開口した小径部11gと、小径部11gの上方に隣接して収容部11bに開口した大径部11hと、が設けられており、小径部11g及び大径部11hを貫通して複数の部品からなるグランドピン16が貫通孔11fに収容配置されている。
【0028】
グランドピン16は、図4乃至図6に示すように、ソケット本体11に配設された受け部15と、受け部15に昇降可能に支持された軸方向に延びるプランジャ17と、プランジャ17と受け部15との間に配置されてプランジャ17を軸方向に沿って上方に付勢する「付勢手段」としてのコイルスプリング18と、を備えるとともに、プランジャ17を軸周りの両方向に回転させる回転手段19を備えている。
【0029】
このグランドピン16は、収容部11bに収容されるICパッケージ1と配線基板との間を電気的に接続するため、受け部15及びプランジャ17がいずれも導電性を有する金属により形成されて、互いに十分に導通可能に接触した状態で配置されている。
【0030】
受け部15は、図4に示すように、有端の円筒形状に形成されて貫通孔11fの小径部11gに固定して配置された筒状部15cと、大径部11hの底部における小径部11gの開口周囲に係止された鍔状の係止部15aと、筒状部15cの下端部が閉塞して設けられた接続端部15bと、を有している。
【0031】
接続端部15bは、コンタクトピン12と共にソケット本体11の下方に突出しており、図示しない配線基板のアース孔に挿入されて電気的に接続されている。
【0032】
プランジャ17は、受け部15に昇降可能に支持されており、図5及び図6に示すように、上端部17bと、上端部17bより小径に形成されて上端部17bから下方に軸線方向に延びる軸部17cと、を有している。
【0033】
上端部17bは円板乃至円柱状に形成され、上面にはICパッケージ1との当接面17aが設けられ、側周面には径方向に突出した複数の突部7dが設けられている。
【0034】
当接面17aは、図6に示すように、軸線に対して直交する平面形状に設けられている。プランジャ17が下降した下降位置では当接面17aが貫通孔11fの大径部11h内に収容されるとともに、プランジャ17が昇降した上昇位置では当接面17aが貫通孔11fより上方に突出して、ICパッケージ1の中央部に第1端子1bより大きく設けられた第2端子1cに圧接及び離間するように配置されている。
【0035】
突部17dは、上端部17bの側周囲における当接面17aより下方となる互いに対向した位置に、直径方向に突出して一対設けられている。各突部17dは軸線に対して直交する板片形状に形成されている。突部17dはプランジャ17の下降位置から上昇位置まで常時貫通孔11f内に配置されており、昇降時には後述のように回転手段19の一部として使用される。
【0036】
軸部17cは、上端部17bより小径の円柱形状を有して上端部17bと同軸に形成され、下端側が受け部15の筒状部15cに摺接して昇降可能に支持されている。
【0037】
コイルスプリング18は、プランジャ17の軸部17cの外周に、受け部15の係止部15aの上面とプランジャ17の上端部17bの下面との間に配置されており、受け部15及びソケット本体11に対してプランジャ17を軸方向に沿って上方に付勢している。このコイルスプリング18は導電性及び弾性を有する金属により形成されている。
【0038】
回転手段19は、プランジャ17が上昇して当接面17aがICパッケージ1の第2端子1cに圧接するときにプランジャ17の当接面17aを含むプランジャ17全体を軸線周りに回転させる手段である。
【0039】
この回転手段19は、図4に示すように、貫通孔11fの内周面に下向きに設けられて、コイルスプリング18の付勢力で上昇するプランジャ17が当接することで一方向Lに回転させられる第1ガイド面19Rを備えている。この実施形態では、図10(a)及び図11(a)に示すように、プランジャ17の当接面17aが第2端子1cに圧接するときにプランジャ17の突部17dにおける第1端部17dRが第1ガイド面19Rに当接することで、プランジャ17が一方向Lに回転させられるようになっている。
【0040】
本実施形態では、第1ガイド面19Rは貫通孔11fの内壁面から内側に突出して設けられた内面第1突起部11jの下端に設けられており周方向に傾斜した平面形状の傾斜面により構成されている。
【0041】
さらにこの回転手段19は、図4に示すように、貫通孔11fの内周面に上向きに設けられて、後述する押圧レバー21により下降するプランジャ17が当接することで他方向Rに回転させられる第2ガイド面19Lを備えている。この実施形態では、図10(b)及び図11(b)に示すように、プランジャ17の突部17dにおける第2端部17dLが第2ガイド面19Lに当接することで、プランジャ17が他方向Rに回転させられるようになっている。
【0042】
本実施形態では、第2ガイド面19Lは貫通孔11fの内壁面から内側に突出して設けられた内面第2突起部11kの上端に設けられており周方向に傾斜した平面形状の傾斜面により構成されている。
【0043】
本実施形態の回転手段19には、プランジャ17を貫通孔11f内でコイルスプリング18の付勢力に抗して下方へ押し下げるために押圧レバー21がソケット本体11に設けられている。
【0044】
押圧レバー21は、図3及び図7(a)(b)に示すように、ソケット本体11に回動中心21aを中心に回動可能に支持されており、側面視で略L字形状を有している。一方の入力端21bが後述する操作部材14に下向きに設けられた押圧突起14cにより押圧可能に立設して配置され、他方の出力端21cがプランジャ17の各突部17dの上方に配置されている。
【0045】
押圧突起14cは下向きに傾斜した押圧傾斜面14dを有しており、押圧突起14cが操作部材14とともに昇降することで、入力端21bが押圧傾斜面14dにより押圧されて傾倒及び起立するように構成されている。
【0046】
この押圧レバー21では、図7(b)に示すように、プランジャ17がコイルスプリング18により上方へ付勢されているため、出力端21cにはプランジャ17の突部17dが当接して上向きに付勢されており、入力端21bが押圧突起14cの押圧傾斜面14d側に付勢されている。
【0047】
そして押圧突起14cが下降したときに、図7(a)に示すように、入力端21bが傾倒されるとともに、出力端21cが下降してプランジャ17の各突部17dを下方へ押圧し、プランジャ17が付勢力に抗して下降するようになっている。
【0048】
ソケット本体11に装着されたラッチ13は、図1に示すように、左右に一対配設されており、ソケット本体11にラッチ軸13aを介して回動自在に設けられ、閉状態(図中、中心から右半分に示す)でICパッケージ1を押圧し、開状態(図中、中心から左半分に示す)でICパッケージ1の収容及び取出し範囲から退避されるようになっている。

具体的には、ラッチ13は、一端部側にICパッケージ1を押圧する押圧部13bが形成され、中間部13cがラッチ軸13aを介して回動自在に設けられ、他端部側に操作部材14に摺接する被操作部13dが形成されている。
【0049】
ソケット本体11に装着された操作部材14は、略枠形状を呈し、ソケット本体11の各辺に設けられた案内部11mに被案内部14eが係止され、上下方向に案内されて昇降自在となっている。また四隅に設けられた図示しない操作部材用スプリングにより上方に付勢されている。
【0050】
この操作部材14には、図7に示すように、押圧レバー21の入力端21bを操作する押圧突起14cが、各押圧レバー21に対応する位置に設けられている。
【0051】
操作部材14が昇降すると、押圧レバー21の入力端21bを傾倒又は起立させて、出力端21cによりプランジャ17を昇降させることができる。
【0052】
また操作部材14には、図1に示すように、各ラッチ13に対応する位置に、ラッチ13の被操作部13dを操作するための断面視略円弧形状のガイド部14bが設けられて、ラッチ13の被操作部13dが当接している。
【0053】
この操作部材14が下方へ押圧されると、被操作部13dがガイド部14b内で摺動してラッチ13が回動し、さらにガイド部14bでラッチ軸13aが押圧され、ソケット本体11の収容部11bの上方からラッチ13が離脱して完全な開状態となる。
【0054】
操作部材14の押圧力が解除されると、操作部材14が操作部材用スプリングの付勢力で上方に移動し、操作部材14の上昇に伴ってラッチ13が内側に回動し、ラッチ13が開状態から閉状態となるように構成されている。
【0055】
次に、このようなICソケット10の動作について説明する。
【0056】
ICソケット10が、図示しない配線基板に電気的に接続されて配置されている。
【0057】
通常は、図1の右側のように、操作部材14がソケット本体11に対して最も上昇した位置に配置されている。ソケット本体11の収容部11bに対し、各ラッチ13が閉状態となっている。また図7図9(b)に示すように、押圧レバー21は入力端21bが最も後退した状態で、プランジャ17が最も上昇した位置に配置されている。
【0058】
検査を行うICパッケージ1が自動機等により運ばれ、当該自動機等によって、上方位置にある操作部材14が図1の左側のように、下方位置に押し下げられると、ソケット本体11の収容部11bに対し、各ラッチ13が開状態に回動する。これにより収容部11bの上方が全開状態となる。
【0059】
また図7~9(a)に示されるように、操作部材14の下方の押圧突起14cが最も下降することで、押圧傾斜面14dにより押圧レバー21の入力端21bが最も内側に移動した状態となり、出力端21cがプランジャ17の突部17dを最も押し下げて、これによりプランジャ17が最も下降した位置に配置される。この状態ではプランジャ17の上端部17bの当接面17aが収容部11bの底面より下方に配置される。
【0060】
さらに回転手段19では、図10及び11(a)に示されるように、プランジャ17の突部17dが下降する際、突部17dの第2端部17dLが第2ガイド面19Lに当接して案内されることで、プランジャ17が他方向Rへ最も回転した位置に配置される。
【0061】
このような開状態とすることで、ソケット本体11の収容部11bにICパッケージ1が収容可能となり、自動機等により、収容部11bにICパッケージ1を収容する。
【0062】
そして自動機等による操作部材14への押圧力を解除して、操作部材用スプリングの付勢力により操作部材14を上方位置に復元すると、ICパッケージ1を収容した状態で各部位が復元する。
【0063】
このとき、まず操作部材14が上昇すると、図1の右側に示されるように、ラッチ13が閉状態側に回動し、ICパッケージ1の上面がラッチ13により押圧された状態で、ICパッケージ1が収容部11bの所定位置における底面上に載置されて固定される。
【0064】
そして操作部材14が上昇することで押圧突起14cが上昇する。このときプランジャ17がコイルスプリング18により上方に向けて付勢されているので、プランジャ17の突部17dにより押圧レバーの出力端21cも上方に付勢されており、図7~9(b)に示されるように、押圧突起14cが上昇して押圧傾斜面14dと入力端21bとの当接位置が後退する。これによりプランジャ17が上昇を開始する。
【0065】
このとき図10及び11(b)に示されるように、プランジャ17が上昇するに伴い、回転手段19では、プランジャ17の突部17dが上昇して突部17dの第1端部17dRが第1ガイド面19Rに当接して案内される。これによりプランジャ17が一方向Lへ回転しつつ上昇し、プランジャ17の上端部17bの当接面17aが貫通孔11fから上方へ上昇し、当接面17aが回転しつつICパッケージ1の中央部に設けられた第2端子1cに圧接される。
【0066】
また操作部材14の上昇に伴うラッチ13の動作により、ラッチ軸13aが回動して多数のコンタクトピン12の押圧位置が上昇することで、コンタクトピン12の接触部12dも上昇し、ICパッケージ1の各第1端子1bに圧接される。
【0067】
この状態で、グランドピン16により配線基板と第2端子1cとが接続されるとともに、各コンタクトピン12により配線基板と第1端子1bとを接続された状態で、バーンイン試験等の導通試験が行なわれる。

試験終了後には、自動機等により、再び、操作部材14を下方位置に押し下げ、ラッチ13を開状態に回動させるとともに、グランドピン16のプランジャ17及びコンタクトピン12をICパッケージの下方へ離間させる。
【0068】
その状態でICパッケージ1をICソケットから取り出すことで、検査を終了する。
【0069】
以上のようなICソケット10によれば、プランジャ17が上昇して当接面17aが第2端子1cに圧接するときに、プランジャ17の当接面17aを回転させる回転手段19を備えているので、ソケット本体11に対して操作部材14を操作してプランジャ17を上昇させることで、プランジャ17の当接面17aをICパッケージ1の第2端子1cに回転させつつ圧接できる。
【0070】
そのためグランドピン16のプランジャ17の当接面17aとICパッケージ1の第2端子1cの表面との間におけるワイピング作用が得られる。これによりコンタクトピン12及び第1端子1bに比べてプランジャ17の当接面17a及び第2端子1cが広い接触面積を有していても、対向当接する表面形状に微細な相違、微細な異物や酸化膜などの影響をワイピング作用により低減でき、良好な接触を実現できる。
【0071】
その結果、グランドピン16のプランジャ17の当接面17aをICパッケージ1の第2端子1cに確実に安定して圧接させることができ、グランドピン16によりICパッケージ1との伝熱性及び導電性を向上することが可能である。
【0072】
本実施形態のICソケット10では、ソケット本体11がコイルスプリング18により上方に付勢されたプランジャ17を収容する貫通孔11fを有し、回転手段19が貫通孔11fの内周面に下向きに設けられて、コイルスプリング18の付勢力で上昇するプランジャ17の当接面17aが第2端子1cに圧接するときにプランジャ17の突部17dの第1端部7dRが当接して一方向Lに回転させられる第1ガイド面19Rを有している。
【0073】
そのためプランジャ17を上昇させるためのコイルスプリング18により、プランジャ17の上昇動作と回転動作との両方を行うことができる。これによりプランジャ17を動作させるための構造を簡素化することができる。
【0074】
本実施形態のICソケット10では、ソケット本体11が貫通孔11f内でプランジャ17をコイルスプリング18の付勢力に抗して下方へ押下げる押圧レバー21を有し、回転手段19が貫通孔11fの内周面に上向きに設けられて、押圧レバー21により下降するプランジャ17の突部17dの第2端部17dLが当接することで、他方向Rに回転させられる第2ガイド面19Lを有している。
【0075】
そのためプランジャ17を下降させるための押圧レバー21により、プランジャ17の下降動作と、一方向Lに回転したプランジャ17を他方向Rへ回転させて復元する復元動作と、の両方を行うことができる。 これによりプランジャ17を動作させるための構造をさらに簡素化することができる。
【0076】
上記実施形態は本発明の範囲内において適宜変更可能である。例えば上記実施形態では、回転手段19として貫通孔11fの内壁面から内側に突出して設けられた内面第1突起部11jや内面第2突起部11kに第1ガイド面19Rや第2ガイド面19Lを設けた例について説明したが、特に限定されるものではなく、貫通孔11fの内周面をらせん状に形成して第1ガイド面19R及び第2ガイド面19Lとしてもよい。
【0077】
また上記実施形態では、プランジャ17に径方向に突出した突部17dを設け、この突部17dを貫通孔11f内の第1ガイド面19R及び第2ガイド面19Lに当接させることで、プランジャ17を軸周りに回転するように構成していたが、例えばプランジャ17の当接面17aが設けられている上端部17b自体が当接したり摺接したりすることで、昇降時に回転させられるように構成することも可能である。
【0078】
さらに回転手段19を貫通孔11fの内周面に形成するのではなく、プランジャ17を昇降させるためのレバー等の作動部材におけるプランジャとの当接部をテーパー形状にしたり螺旋形状にしたりすることで、構成してもよい。
【0079】
また上記実施形態では、ICパッケージ1を位置決めして収容する収容部11bをソケット本体11に固定的に設けた例について説明したが、特に限定されるものではない。例えばソケット本体11に昇降可能なフローティングを設け、このフローティングにICパッケージ1の収容部11bを設けてもよく、さらにそのフローティングを上向きに付勢して配置したりすることも可能である。
【0080】
さらにラッチの形状やコンタクトピンの形状等も適宜選択することが可能であり、上記実施形態に限定されるものではない。ICパッケージについても、QFNタイプやDFNタイプ等に限らず、LGA(Land Grid Array)タイプやBGA(Ball Grid Array)タイプ等、他のタイプのものでも良い。
【0081】
また、この実施の形態では、収容部11bに収容されたICパッケージ1をラッチ13によって下方に押圧するようになっていたが、これに限るものではなく、例えば自動機等の他の構成によって、ICパッケージ1を下方に押圧するようになっていても良い。
【0082】
さらに上記ではICソケットに適用したが、他の電気部品にも適用することは可能である。
【符号の説明】
【0083】
1 ICパッケージ(電気部品)
1b 第1端子
1c 第2端子
10 ICソケット(電気部品用ソケット)
11 ソケット本体
11a 圧入部
11b 収容部
11c 位置決め部
11d 案内面
11e スリット
11f 貫通孔
11g 小径部
11h 大径部
11j 内面第1突起部
11k 内面第2突起部
11m 案内部
12 コンタクトピン
12a 固定部
12b リード部
12c 弾性部
12d 接触部
13 ラッチ
13a ラッチ軸
13b 押圧部
13c 中間部
13d 被操作部
13e 切欠き部
14 操作部材
14b ガイド部
14c 押圧突起
14d 押圧傾斜面
14e 被案内部
15 受け部
15a 係止部
15b 接続端部
15c 筒状部
16 グランドピン
17 プランジャ
17a 当接面
17b 上端部
17c 軸部
17d 突部
17dR 第1端部
17dL 第2端部
18 コイルスプリング(付勢手段)
19 回転手段
19R 第1ガイド面
19L 第2ガイド面
21 押圧レバー
21a 回動中心
21b 入力端
21c 出力端
L 一方向
R 他方向
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