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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】ワーク加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23B 31/36 20060101AFI20220426BHJP
   B23Q 3/12 20060101ALI20220426BHJP
   B23Q 3/06 20060101ALI20220426BHJP
【FI】
B23B31/36 Z
B23Q3/12 J
B23Q3/06 304B
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018205649
(22)【出願日】2018-10-31
(65)【公開番号】P2020069602
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-02-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000237499
【氏名又は名称】富士精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】八木 正純
(72)【発明者】
【氏名】北村 敬広
(72)【発明者】
【氏名】小島 秋広
(72)【発明者】
【氏名】富岡 三彦
(72)【発明者】
【氏名】柴田 薫
(72)【発明者】
【氏名】島田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】中村 義樹
【審査官】村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-098438(JP,A)
【文献】特開2007-030101(JP,A)
【文献】特開2005-022048(JP,A)
【文献】特開2014-100776(JP,A)
【文献】特開2006-255818(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0309282(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 31/36
B23Q 3/12
B23Q 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な主軸と、
前記主軸に設けられ、円筒状のワークの一端を先端部で支持する複数の基準金と、
前記主軸に設けられ、前記ワークの他端を前記基準金側に先端部で押付けることで、該ワークを固定する複数のクランプと、を備え、
前記主軸を回転させて、前記各基準金の先端部及び各クランプの先端部により固定されたワークの内面に対し加工を行うワーク加工装置であって、
前記主軸の中心軸を中心にして該主軸に対して相対回動可能に該主軸に設けられ、前記中心軸を中心に円弧状に形成された第1溝と、該中心軸から外れた中心点を中心に円弧状に形成された第2溝と、が形成されたクランプ用プレートと、
前記クランプ用プレートを前記主軸に固定し、前記主軸に対する前記クランプ用プレートの相対回転位置を決めるクランプ固定部と、
前記クランプ用プレートの内側に前記中心軸を中心にして該主軸に対して相対回動可能に該主軸に設けられ、該主軸の径方向に第3溝が形成された基準金用プレートと、
前記基準金用プレートを前記主軸に固定し、前記主軸に対する前記基準金用プレートの相対回転位置を決める基準金固定部と、
一端が前記主軸に回転可能に設けられ、前記第1溝を挿通し他端が前記クランプを支持するクランプ軸と、
前記クランプ軸を前記主軸の軸方向に移動させる移動機構と、
一端が前記クランプ軸に連結されたクランプ用カムと、
前記クランプ用カムの他端に連結され、前記第2溝内に嵌っており、前記クランプ用プレートが相対回動することで、該第2溝に沿って摺動し、前記クランプ用カムを搖動させ、前記クランプ軸を回転させ、前記クランプの先端部を回転させるクランプ用カム軸と、
一端が前記主軸に回転可能に設けられ、他端が前記基準金を支持する基準金軸と、
前記基準金軸の一端に、該基準金軸の中心から外れた位置に設けられ、前記第3溝内に嵌っており、前記基準金用プレートが相対回動することで、該第3溝に沿って摺動し、前記基準金軸を回転させ、前記基準金の先端部を回転させる基準金用カム軸と、
を備える、
ことを特徴とするワーク加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを加工するワーク加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転可能な主軸と、主軸に設けられ、円筒状のワークの一端を支持する複数の基準金と、主軸に設けられ、ワークの他端を基準金側に押付けることで、ワークを固定する複数のクランプと、を備え、主軸を回転させて各基準金及び各クランプにより固定されたワークの内面に対し加工を行うワーク加工装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-030101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記ワーク加工装置において、各基準金及び各クランプの主軸径方向の位置は、固定されている。このため、径の異なる複数種類のワークの加工を行う場合、各ワークの径に合わせて、基準金及びクランプを交換する必要がある。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、ワークの径に合わせて、基準金及びクランプを交換することなく、複数種類のワークの加工に対応できるワーク加工装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、
回転可能な主軸と、
前記主軸に設けられ、円筒状のワークの一端を先端部で支持する複数の基準金と、
前記主軸に設けられ、前記ワークの他端を前記基準金側に先端部で押付けることで、該ワークを固定する複数のクランプと、を備え、
前記主軸を回転させて、前記各基準金の先端部及び各クランプの先端部により固定されたワークの内面に対し加工を行うワーク加工装置であって、
前記主軸の中心軸を中心にして該主軸に対して相対回動可能に該主軸に設けられ、前記中心軸を中心に円弧状に形成された第1溝と、該中心軸から外れた中心点を中心に円弧状に形成された第2溝と、が形成されたクランプ用プレートと、
前記クランプ用プレートを前記主軸に固定し、前記主軸に対する前記クランプ用プレートの相対回転位置を決めるクランプ固定部と、
前記クランプ用プレートの内側に前記中心軸を中心にして該主軸に対して相対回動可能に該主軸に設けられ、該主軸の径方向に第3溝が形成された基準金用プレートと、
前記基準金用プレートを前記主軸に固定し、前記主軸に対する前記基準金用プレートの相対回転位置を決める基準金固定部と、
一端が前記主軸に回転可能に設けられ、前記第1溝を挿通し他端が前記クランプを支持するクランプ軸と、
前記クランプ軸を前記主軸の軸方向に移動させる移動機構と、
一端が前記クランプ軸に連結されたクランプ用カムと、
前記クランプ用カムの他端に連結され、前記第2溝内に嵌っており、前記クランプ用プレートが相対回動することで、該第2溝に沿って摺動し、前記クランプ用カムを搖動させ、前記クランプ軸を回転させ、前記クランプの先端部を回転させるクランプ用カム軸と、
一端が前記主軸に回転可能に設けられ、他端が前記基準金を支持する基準金軸と、
前記基準金軸の一端に、該基準金軸の中心から外れた位置に設けられ、前記第3溝内に嵌っており、前記基準金用プレートが相対回動することで、該第3溝に沿って摺動し、前記基準金軸を回転させ、前記基準金の先端部を回転させる基準金用カム軸と、
を備える、
ことを特徴とするワーク加工装置
である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ワークの径に合わせて基準金及びクランプを交換することなく、複数種類のワークの加工に対応できるワーク加工装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係るワーク加工装置の概略的構成を示す断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るワーク加工装置を正面から見た正面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るワーク加工装置を斜め方向から見た斜視図である。
図4図2に示すクランプ用プレートを主軸に対して時計方向へ相対回動させた状態を示す図である。
図5図3に示すクランプ用プレートを主軸に対して時計方向へ相対回動させた状態を示す図である。
図6】クランプの回転機構を説明するための概略図である。
図7】クランプの回転機構を説明するための概略図である。
図8】基準金の回転機構を示す断面図である。
図9】基準金の回転機構を説明するための概略図である。
図10】基準金の回転機構を説明するための概略図である。
図11】クランプピンを示す断面図である。
図12】本発明の一実施形態に係るワーク加工装置による加工方法のフローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るワーク加工装置の概略的構成を示す断面図である。なお、図1において、主要部材である、主軸2、基準金3、及びクランプ4、の関係を明確にするため、各部材の形状を省略及び簡略化している。各部材の詳細な形状、構成等は、図2乃至図11を用いて後述する。
【0010】
本実施形態に係るワーク加工装置1は、回転可能な主軸2と、主軸2に設けられた複数の基準金3と、主軸2に設けられた複数のクランプ4と、を備えている。各基準金3の先端部31は、円筒状のワークWの一端を支持する。各クランプ4は、各基準金3に対応して設けられている。各クランプ4の先端部41は、ワークWの他端を基準金3側に押付けることで、ワークWを固定する。例えば、3つの基準金3及びクランプ4が主軸周方向に等間隔で設けられているが、これに限定されず、設けられる数及び位置は任意でよい。
【0011】
ワーク加工装置1は、例えば、主軸2を回転させて、各基準金3の先端部31及び各クランプ4の先端部41により固定されたワークWを回転させつつ、ワークWの内面に対し、研削具、切削具など治具を当接させて、その内面の加工を行う。
【0012】
ところで、従来のワーク加工装置において、各基準金及び各クランプの主軸径方向の位置は、固定されている。このため、径の異なる複数種類のワークの加工を行う場合、各ワークの径に合わせて、基準金及びクランプを交換する必要がある。
【0013】
これに対し、本実施形態に係るワーク加工装置1において、各ワークWの径に応じて、基準金3の先端部31及びクランプ4の先端部41を夫々回転させる。これにより、基準金3の先端部31及びクランプ4の先端部41の主軸径方向の位置を調整することができ、ワークWの径に合わせて基準金3及びクランプ4を交換することなく、複数種類のワークWの加工に対応できる。
【0014】
図2は、本実施形態に係るワーク加工装置を正面から見た正面図である。図3は、本実施形態に係るワーク加工装置を斜め方向から見た斜視図である。本実施形態に係るワーク加工装置1は、上記構成に加えて、さらに、主軸2に設けられたクランプ用プレート5と、クランプ4を支持するクランプ軸6と、クランプ軸6に連結されたクランプ用カム7と、クランプ用カム7に連結されたクランプ用カム軸8と、を備えている。
【0015】
クランプ用プレート5は、主軸2の中心軸21を中心にして、該主軸2に対して相対回動可能に、主軸2に設けられている。クランプ用プレート5には、第1溝51及び第2溝52が形成されている。第1溝51は、中心軸21を中心に円弧状に形成されている。第2溝52は、第1溝51よりも中心軸21寄りに形成され該中心軸21から外れた中心点を中心に円弧状に形成されている。
【0016】
クランプ軸6は、一端が主軸2に回転可能に設けられ、第1溝51を挿通している。クランプ軸6の他端は、クランプ4を支持する。クランプ用カム7の一端は、クランプ軸6に連結されている。クランプ用カム軸8は、クランプ用カム7の他端に連結されている。クランプ用カム軸8は、第2溝52内に嵌っている。
【0017】
クランプ軸6には、クランプ軸6を主軸2の軸方向に移動させる移動機構が設けられている。移動機構は、例えば、シリンダ内を油圧や空気圧によって加減圧することでクランプ軸6を主軸2の軸方向へ移動させるシリンダ機構として構成されているがこれに限定されない。移動機構は、例えば、伸縮機構などの任意の移動機構であってもよい。移動機構は、上述の如く、基準金3及びクランプ4の先端部31、41が主軸径方向に調整された位置で、クランプ軸6を主軸2の軸方向へ移動させ、クランプ4の先端部41をワークWの端面に押付け、ワークWをクランプする。一方、移動機構は、クランプ軸6を主軸2の軸方向へ移動させ、クランプ4の先端部41をワークWの端面から離間させ、ワークWをアンクランプする。
【0018】
ここで、クランプ用プレート5を主軸2に対して相対回動させたときのクランプ4の回動について説明する。図4及び図5は、それぞれ、図2及び図3に示すクランプ用プレート5を主軸2に対して時計方向へ相対回動させた状態を示す図である。なお、図2乃至5において、クランプ4の動作を明確にするために、基準金3の形状を簡略化している。
【0019】
図6及び図7は、クランプの回転機構を説明するための概略図である。図6及び図7において、主要部材(クランプ用プレート5、クランプ軸6、クランプ用カム7、クランプ用カム軸8)の動作を見易くするために、その主要部材の形状を簡略化及び変更を行っている。
【0020】
図6に示す状態から、クランプ用プレート5を主軸2に対して時計方向へ相対回動させると、図7に示す如く、クランプ用カム軸8は、クランプ用プレート5の第2溝52に沿って摺動し、クランプ用カム7がクランプ軸6を中心に反時計方向へ搖動する。このとき、クランプ軸6は、第1溝51内を第1溝51の形状に沿って相対移動する。クランプ用カム7の搖動により、クランプ軸6は、反時計方向へ回転し、クランプ4の先端部41が反時計方向へ回転する。
【0021】
クランプ4がクランプ軸6を中心にして回転するため、クランプ4の先端部41を主軸径方向へ移動させことができる。したがって、クランプ4の先端部41の主軸径方向の位置を調整することができる。
【0022】
なお、クランプ用プレート5に形成される第1及び第2溝52の形状は、ワークWの径、主軸2の形状、クランプ軸6の位置などを考慮して決定されている。
【0023】
図8は、基準金の回転機構を示す断面図である。図9及び図10は、基準金の回転機構を説明するための概略図であり、基準金を軸方向に見た図である。図9及び図10において、主要部材(基準金用プレート9、基準金軸10、基準金用カム軸11)の動作を見易くするために、その主要部材の形状を簡略化及び変更を行っている。
【0024】
本実施形態に係るワーク加工装置1は、上記構成に加えて、さらに、主軸2のクランプ用プレート5の内側に設けられた基準金用プレート9と、基準金3を支持する基準金軸10と、基準金軸10の一端に設けられた基準金用カム軸11と、を備えている。
【0025】
基準金用プレート9は、主軸2の中心軸21を中心にして、該主軸2に対して相対回動可能に、主軸2のクランプ用プレート5の内側に設けられている。例えば、図8に示す中心軸部分92を治具で固定した状態で、主軸2を回転させることで、基準金用プレート9は、主軸2に対して相対回動する。中心軸部分92は、基準金用プレート9の中心に形成されている。基準金用プレート9には、第3溝91が形成されている。第3溝91は、主軸2の径方向に形成されている。
【0026】
基準金軸10は、一端が主軸2に回転可能に設けられている。基準金軸10の他端は、基準金3を支持する。基準金用カム軸11は、基準金軸10の一端に、該基準金軸10の中心から外れた位置に設けられている。基準金用カム軸11は、第3溝91内に嵌っており、基準金用プレート9が相対回動することで、第3溝91に沿って摺動し、基準金軸10を回転させ、基準金3の先端部31を回転させる。
【0027】
例えば、図9に示す状態から、基準金用プレート9を主軸2に対して反時計方向へ相対回動させると、図10に示す如く、基準金用カム軸11は、基準金用プレート9の第3溝91に沿って、中心軸21の方向へ摺動する。この基準金用カム軸11の摺動により、基準金軸10は、時計方向へ回転し、基準金3の先端部31が時計方向へ回転する。
【0028】
これにより、基準金3が基準金軸10を中心にして回転するため、基準金3の先端部31を主軸径方向へ移動させことができる。したがって、基準金3の先端部31の主軸径方向の位置を調整することができる。
なお、基準金用プレート9に形成される第3溝91の形状は、ワークWの径、主軸2の形状、基準金軸10の位置などを考慮して決定されている。
【0029】
以上により、ワークWの径に合わせて、クランプ用プレート5を主軸2に対し相対回動させることで、各クランプ軸6を回転させて各クランプ4の先端部41の主軸径方向の位置を調整できる。さらに、ワークWの径に合わせて、基準金用プレート9を主軸2に対し相対回動させることで、基準金軸10を回転させて基準金3の先端部31の主軸径方向の位置を調整できる。すなわち、ワークWの径に合わせて基準金3及びクランプ4を交換することなく、複数種類のワークWの加工に対応できる。
【0030】
クランプ用プレート5を主軸2に対し相対回動させることで、クランプ4の先端部41の主軸径方向の位置を調整し、その位置で、クランプ用プレート5を主軸2に固定するためのクランプピン12が主軸2に設けられている(図11)。クランプピン(クランプ固定部)12は、主軸2に対するクランプ用プレート5の相対回転位置を決めるものである。
【0031】
例えば、クランプピン12は、図11に示す如く、テーパ状に形成されたピンである。クランプ用プレート5と一体化したクランプピン12は、主軸2に形成された穴22に嵌る。これにより、クランプ用プレート5を主軸2に固定することができる。
【0032】
また、基準金用プレート9を主軸2に対し相対回動させることで、基準金3の先端部31の主軸径方向の位置を調整し、その位置で、基準金用プレート9を主軸2に固定するための基準金ピンが主軸2に設けられている。基準金ピン(基準金固定部)は、主軸2に対する基準金用プレート9の相対回転位置を決めるものである。
【0033】
基準金ピンは、上記クランプピン12と同様の構成となっている。例えば、基準金ピンは、テーパ状に形成されたピンである。基準金用プレート9と一体化した基準金ピンは、主軸2に形成された穴に嵌る。これにより、基準金用プレート9を主軸2に固定することができる。
【0034】
クランプ用プレート5のみをクランプピン12で固定した状態で、主軸2を回転させることで、クランプ用プレート5を主軸2に対し相対回動させ、各クランプ4の先端部41の主軸径方向の位置を調整できる。また、基準金用プレート9のみを基準金ピンで固定した状態で、主軸2を回転させることで、基準金用プレート9を主軸2に対し相対回動させ、基準金3の先端部31の主軸径方向の位置を調整できる。このようにして、ワークWの形状に応じて、クランプ4の径と基準金3の径とを夫々独立して調整できる。
【0035】
また、上述の如く、単にクランプ用プレート5又は基準金用プレート9を固定し、予めワーク加工装置1に設けられていたアクチュエータを用いて、主軸2を回転させてもよい。このアクチュエータは、例えば、ワーク加工装置1の主軸2を回転させるための主軸用モータである。これにより、クランプ用プレート5又は基準金用プレート9を主軸2に対し相対回動させるための特別な動力機構が不要となるため、ワーク加工装置1の構成を簡素化でき、軽量化及び小型化を図ることができる。
【0036】
クランプ用プレート5の主軸2に対する相対回動量を調整することで、各クランプ4の先端部41の径方向の大きさを連続的に調整できる。同様に、基準金用プレート9の主軸2に対する相対回動量を調整することで、各基準金3の先端部の径方向の大きさを連続的に調整できる。このように、クランプ用プレート5及び基準金用プレート9の相対回動量を調整することで、例えば、径φA及びφBの2種類のワークWを加工できるだけなく、φA~φBの間のいずれの径のワークWに対しても加工が可能となる。これにより、製品競争力を担保するために必要な新形状のワークも生産可能となり、フレキシブルな生産技術の向上が図れる。
【0037】
次に、本実施形態に係るワーク加工装置による加工方法について説明する。図12は、本実施形態に係るワーク加工装置による加工方法のフローを示すフローチャートである。
【0038】
クランプ用プレート5のみをクランプピン12で固定する(ステップS101)。例えば、クランプ用プレート5に形成された外周方向に突出する突出部を固定する。この状態で、主軸2を主軸用モータにより回転させることで、クランプ用プレート5を主軸2に対し相対回動させる(ステップS102)。
【0039】
クランプ用カム軸8は、クランプ用プレート5の第2溝52に沿って摺動し、クランプ用カム7がクランプ軸6を中心に搖動する。このクランプ用カム7の搖動により、クランプ軸6は回転し、クランプ4の先端部41も回転する(ステップS103)。これにより、ワークWの径に応じて、クランプ4の先端部41の主軸径方向の位置を調整することができる。この調整した位置で、クランプピン12により、クランプ用プレート5を主軸2に固定する。
【0040】
続いて、基準金用プレート9のみを基準金ピンなどで固定する(ステップS104)。この状態で、主軸2を主軸用モータにより回転させることで、基準金用プレート9を主軸2に対し相対回動させる(ステップS105)。
【0041】
基準金用カム軸11は、基準金用プレート9の第3溝91に沿って摺動する。この基準金用カム軸11の摺動により、基準金軸10は回転し、基準金3の先端部31も回転する(ステップS106)。これにより、ワークWの径に応じて、基準金3の先端部31の主軸径方向の位置を調整することができる。この調整した位置で、基準金ピンにより、基準金用プレート9を主軸2に固定する。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
1 ワーク加工装置、2 主軸、3 基準金、4 クランプ、5 クランプ用プレート、6 クランプ軸、7 クランプ用カム、8 クランプ用カム軸、9 基準金用プレート、10 基準金軸、11 基準金用カム軸、12 クランプピン、21 中心軸、31 先端部、41 先端部、51 第1溝、52 第2溝、91 第3溝、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12