(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】空気清浄機
(51)【国際特許分類】
F24F 8/80 20210101AFI20220426BHJP
F24F 13/28 20060101ALI20220426BHJP
B01D 46/42 20060101ALI20220426BHJP
【FI】
F24F8/80 115
F24F13/28
B01D46/42 Z
(21)【出願番号】P 2018237862
(22)【出願日】2018-12-20
【審査請求日】2020-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】清水 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】山田 浩嗣
(72)【発明者】
【氏名】原田 寿子
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2006-0087015(KR,A)
【文献】特開2015-183868(JP,A)
【文献】特開2011-017492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/003
F24F 8/80
F24F 13/28
B01D 46/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気清浄機の外壁の一部が、空気清浄機本体に対して開閉可能なドア構造であり、かつ前記ドア構造は前記空気清浄機本体から着脱可能であり、
前記ドア構造は、金属部品のアームマグネットプレートを有し、
前記空気清浄機本体は、前記アームマグネットプレートに磁力吸着するマグネットを前側先端に備えたパネルアームを有し、
前記パネルアームは、
前記ドア構造の開閉動作に合わせて伸縮すると共に後側端部にストッパーを備え、
前記ドア構造と前記空気清浄機本体を接続する
前記アームマグネットプレートが、前記ドア構造の開閉動作に合わせて移動し、前記ストッパーが前記空気清浄機本体側に位置するストッパーに干渉し、前記ドア構造の開動作の移動を規制することを特徴とする空気清浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、空気清浄機は空気を取り入れる吸気口を持ち、吸気口から取り入れた空気を内部フィルタで濾過することで清浄された空気を機体外へと排出する仕組みとなっている。
【0003】
このような空気清浄機において、使用を続けて行くにつれ、内部に設置したフィルタには空気中に含まれる塵埃が堆積して行く。空気清浄機の性能を維持するためには、このフィルタに溜まった塵埃の掃除や、フィルタそのものの交換といったメンテナンスが必要となる場面が訪れる。
【0004】
そこで、フィルタの掃除や交換といったメンテナンス時に空気清浄機内部のフィルタに容易にアクセス出来る機構として、空気清浄機の壁の一部をドアのように開閉可能な構造とした例がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では空気清浄機の前面側壁がドアのように開閉するが、そのドアは空気清浄機本体からは取り外せないため、フィルタの掃除や交換は容易に行える一方で、ドアそのものに付着した塵埃を掃除するのは困難である。
【0007】
本発明の目的は、空気清浄機の壁の一面を開閉可能なドア構造とすることにより内部のフィルタへのアクセスを容易にした上で、更にそのドア自体を着脱可能とすることでドア自体の掃除もしやすくした空気清浄機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、空気清浄機の壁の一部を開閉可能なドア構造とし、かつドア自体も着脱可能な構造とすることを特徴とする。ドアと空気清浄機本体を繋ぐ部品の一部及びドアの固定部を着脱可能な構造とすることで、ドア開閉動作と着脱動作の両立を実現する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、空気清浄機の壁の一部が開閉可能なドア構造となっていることで、内部のフィルタをメンテナンスする際にはドアを開いてフィルタを取り出すことができる。
【0010】
また、ドア自体に塵埃が付着している場合もドアを空気清浄機本体から取り外して、丸ごと水洗い等の掃除ができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係る空気清浄機の外観斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る空気清浄機の分解斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る空気清浄機のフロントパネルを開いた状態の側面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る空気清浄機のフロントパネルを開いた状態の側断面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る空気清浄機のフロントパネルを開いた状態のアーム部側断面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る空気清浄機のフロントパネルを開いた状態のアーム部側断面図の部分拡大図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る空気清浄機のフロントパネルを閉じた状態の軸部側断面図の部分拡大図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る空気清浄機のフロントパネルを開いた状態の軸部側断面図の部分拡大図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る空気清浄機のフロントパネルを開いた状態のアーム部側断面図の部分拡大図である。
【
図10】本発明の第2実施形態に係る空気清浄機のフロントパネルを開いた状態のアーム部上面図の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。上下左右前後等の方向については図面に記載の表記を元に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る空気清浄機1の外観斜視図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る空気清浄機1は、前面を覆うフロントパネル2と、後述する送風機構9等を備えるハウジング3と、ハウジング3の上に位置する前側フラップ4と後側フラップ5と、を有する。ハウジング3は、左右の側面を覆うサイドケース3a(
図1には左側のサイドケースのみ図示)と、後面を覆うリアケース3bと、上面に位置するフラップフレーム3cと、フラップフレーム3c(
図1の外観には見えないため
図2参照)で覆われる操作パネル3dと、を有する。フラップフレーム3cは、前側フラップ4と後側フラップ5も覆い、前から、操作パネル3d、前側フラップ4、後側フラップ5の順に位置する。
【0014】
図2は、本発明の実施形態に係る空気清浄機の分解斜視図である。
図2に示すように、空気清浄機1のハウジング3内には、フロントパネル2側(前側)からリアケース3b側(後側)に向かって、浄化フィルタ類16と、送風機構9がこの順番で配置されている。
浄化フィルタ類16は、プレフィルタ16aと、集塵フィルタ16bと、脱臭フィルタ16cとで主に構成されている。送風機構9は、遠心ファン10と、スクロール11と、モータ12とで主に構成されている。
【0015】
このハウジング3内には、後記する送風機構9の遠心ファン10が回転することによって、フロントパネル2の前面側に設けた吸気口からハウジング3の外部の空気が流入する。そして、この空気流は浄化フィルタ類16を流通する。
その後、フィルタ類により濾過された空気は遠心ファン10が収納されるスクロール11の上部開口から前側フラップ4及び後側フラップ5を介して空気清浄機1のハウジング3外に送り出される。前側フラップ4は、後側フラップ5よりも左右方向の長さが大きいものである。
【0016】
浄化フィルタ類16は、フロントパネル2側(前側)からリアケース3b側(後側)に向かって、プレフィルタ16aと、集塵フィルタ16bと、脱臭フィルタ16cと、がこの順番で配置されて構成されている。
【0017】
プレフィルタ16aは、綿ゴミ等の比較的大きなゴミを捕集するものである。集塵フィルタ16bは、チリ、ホコリ、花粉等の比較的小さな微粒子を捕集するものである。脱臭フィルタ16cは、臭いの元となる化学物質を吸着するものである。
【0018】
送風機構9は、スクロール11内に配置される遠心ファン10と、この遠心ファン10を回転させるモータ12とを備えて構成されている。
この送風機構9は、前記したように、遠心ファン10が回転することにより、フロントパネル2の吸気口から導入した空気を浄化フィルタ類16に流通させた後、前側フラップ4及び後側フラップ5を介してハウジング3外に送り出す。
【0019】
前側フラップ4と後側フラップ5はそれぞれ固定軸部を中心に回動することで開閉角度を調整し、清浄後の空気を排出する角度を調整する。
【0020】
図3は、本発明の実施形態に係る空気清浄機のフロントパネルを開いた状態の側面図である。
図4は、本発明の実施形態に係る空気清浄機のフロントパネルを開いた状態の側断面図である。
図3及び
図4に示すように、フロントパネル2は、部品下部に位置する固定軸部を中心としてハウジング3に対して回動可能である。つまり、フロントパネル2はハウジング3に対して開閉可能な機構となる。言い換えると、フロントパネル2は、空気清浄機本体に対して回動可能である。ここで、空気清浄機本体とは、少なくとも、ハウジング3と、ハウジング3内に備える送風機構9とを含むものを指す。フロントパネル2をドアのように回動可能、開閉可能とすることで、空気清浄機1の内部に備えることができるプレフィルタ16a、集塵フィルタ16b、脱臭フィルタ16cを、フロントパネル2をハウジング3に対して開いた状態とした際にできる空気清浄機1上部に開いた空間より、容易に取り出し、取付けることができるようになる。
【0021】
図5は、本発明の実施形態に係る空気清浄機のフロントパネルを開いた状態のアーム部側断面図である。
図5に示すように、フロントパネル2はハウジング3に対してある一定の角度まで開いた状態で係止する。空気清浄機本体とフロントパネル2を繋ぐ部品がパネルアーム15であり、フロントパネル2の左右両側に位置する。フロントパネル2がハウジング3に対して開くことができる角度は、浄化フィルタ類16を取り出すことができる角度であれば良いが、例えば、10度、20度、30度、40度、50度、60度、70度、80度、90度である。もちろん上記角度に限るものではなく、15度などとしても良い。言い換えると、前記ドア構造と前記空気清浄機本体を接続するアームは、前記ドア構造の開閉動作に合わせて伸縮もしくは形状変化、もしくは移動することによって、前記ドア構造と前記空気清浄機本体の位置関係を任意の位置に規制可能である。
【0022】
図6は、本発明の実施形態に係る空気清浄機のフロントパネルを開いた状態のアーム部側断面図の部分拡大図である。
図6に示すように、パネルアーム15は、フロントケース6に固定されたレール状部品アームガイド15dにて保持されており、空気清浄機1の前後方向に摺動可能である一方で、ある一定の部分まで飛び出るとストッパー15eと15fが干渉し、それ以上飛び出ることはない構造となっている。ストッパー15eは空気清浄機本体側に位置するリブ形状を有する部分であり、ストッパー15fはパネルアーム15の後側端部に位置する部分である。フロントパネル2をハウジング3に対して開いていった際に、パネルアーム15も摺動し、ある一定の角度まで開くと、ストッパー15eのリブ部分と、ストッパー15fが係止し、パネルアーム15のそれ以上の摺動を押さえる。なお、ストッパー15eや15fの形状は上記に限るものではない。
【0023】
パネルアーム15の側面にはラック形状が設けてあり、アームガイド15dに固定したロータリーダンパ15cのギア部と噛み合うことで、摺動速度を減衰し、急激な開閉動作に対してもゆっくりと開閉するようになっている。アームガイド15dは、空気清浄機本体側に位置する部材である。
【0024】
パネルアーム15の前側先端にはマグネット15bが埋め込まれており、フロントパネル2に固定した金属部品アームマグネットプレート15aと磁力で吸着する。この磁力吸着による保持力によって、通常使用時において、フロントパネル2はパネルアーム15と接続されているが、必要に応じてこの磁力吸着による保持力を上回る力でフロントパネル2を前方向に引っ張ることで、フロントパネル2を空気清浄機本体から取り外すことができる。言い換えると、空気清浄機1の外壁の一部であるフロントパネル2が、空気清浄機本体に対して開閉可能なドア構造であり、かつ前記ドア構造は前記空気清浄機本体から着脱可能である。また、ドア構造と空気清浄機本体を接続するアームは、一部着脱可能であると言える。
【0025】
この際、アームマグネットプレート15aとマグネット15bとの磁力吸着による保持力は、フロントパネル2及びそれに付属する部品群全体の自重を支えられる大きさを最低限とし、さらにフロントパネル2を開けた場合にかかる慣性力を加えても磁力吸着が外れない程度を目安とする。この磁力の設定により、通常使用時において外れることなくフロントパネル2の開閉動作を行えるようにする。
【0026】
フロントパネル2を丸ごと掃除したい等、フロントパネル2を空気清浄機本体から取り外そうとした場合には、使用者がフロントパネル2を手で掴み、空気清浄機1前側へ引っ張ることで磁力吸着による保持力を上回る外力を与える必要がある。磁力が強過ぎるとこの際に必要となる外力が大きくなる為、使用者に負担がかからない範囲で取り外せるような磁力設定が必要となる。
【0027】
図7は、本発明の実施形態に係る空気清浄機のフロントパネルを閉じた状態の軸部側断面図の部分拡大図である。
図8は、本発明の実施形態に係る空気清浄機のフロントパネルを開いた状態の軸部側断面図の部分拡大図である。
磁力吸着による保持でフロントパネル2とパネルアーム15の接続が行われている他、フロントパネル2を固定する軸部にも着脱機構を設ける。
本実施例ではフロントパネル2側に軸部品であるシャフト2aを、フロントケース6側に軸受部品であるシャフトサポート6aを設置している。軸と軸受の位置関係は逆でも可とする。
【0028】
図7に示すように、フロントパネル2が閉まった状態においては、シャフト2aはシャフトサポート6aにて覆われ、フロントパネル2を引っ張ったとしても軸回転方向以外には動かず、フロントパネル2が空気清浄機1本体から外れることはない。
【0029】
図8に示すように、フロントパネル2を最大まで開いた状態においては、シャフト2aとシャフトサポート6aの接触角度が変化する。この状態において、シャフトサポート6aの上面斜め前側に開いている隙間に対して、同じ斜め前方向にフロントパネル2を引っ張ることで、シャフト2aがシャフトサポート6aから取り外せるようになる。
この機構により、通常時は外れないフロントパネル2を必要に応じて空気清浄機1から取り外せる機能が実現する。
【0030】
前記ドア構造を前記空気清浄機本体に固定する軸部(シャフト2a)が、前記空気清浄機本体から着脱可能であり、前記軸部(シャフト2a)は、ある任意の角度では前記空気清浄機本体から着脱不可である一方で、前記任意の角度を超えると前記空気清浄機本体から着脱可能である。
【0031】
フロントパネル2を取り外した後に再度取り付けたい場合には、元の位置にシャフト2aとシャフトサポート6aを合わせた後、フロントパネル2を後方に押すことでアームマグネットプレート15aとマグネット15bが磁力吸着し、本体との接続が容易に完了する。
【0032】
アームマグネットプレート15aとマグネット15bが磁力吸着するため、フロントパネル2を取り外した状態から再度取り付ける場合に、空気清浄機本体の左右に位置するパネルアーム15は、空気清浄機本体から引き出された状態でも良いし、空気清浄機本体に収納された状態や、摺動途中の状態でも良いし、左右のパネルアーム15毎に異なる状態でも良く、容易にフロントパネル2と空気清浄機本体とを接続することができる。
以降は、本発明におけるフロントパネル2の着脱方式の別実施例を挙げる。
【0033】
本発明の第2実施形態について、
図9及び
図10を用いて説明する。以下、説明する点以外は第1実施形態と同じ構成とする。第2実施形態では、フロントパネル2側にアームフック27を固定し、パネルアーム15の先端部はこのアームフック27の先端が入るような箱型とする。
【0034】
図10はアームフック27とパネルアーム15の接続部を上から見た図である。アームフック27の先端は変形可能なフック形状となっており、パネルアーム15にはこのフックが引っ掛かるようなツメ形状を設ける。これらの嵌合により、アームフック27とパネルアーム15は互いに離れる方向(フロントパネル開方向)に引っ張っても外れない構造となる。
【0035】
一方、フロントパネル2を空気清浄機1から取り外したい場合には、フロントパネル2を上方に引くだけで取り外しが可能になる。パネルアーム15の箱部は上面が開いており、アームフック27とパネルアーム15の嵌合はフロントパネル2が前方に倒れるのを規制するだけのものであるため、このように上方に対しては自由に動かせる。
【0036】
フロントパネル2を空気清浄機1に戻す際は、外す際と逆の要領で上からフロントパネル2を降ろしてくる方法でも可能だが、より簡単に組立て可能とするために部品の弾性変形を利用する。フロントパネル2の下部の軸部分を装着してからフロントパネル2を閉める動作をすると、まずアームフック27先端とパネルアーム15のツメがぶつかる。この際、更にフロントパネル2を空気清浄機1側に押していくことでアームフック27の先端にある左右フック部が内側に撓み、そのままアームフック27がパネルアーム15の箱部の奥まで入るようになる。その後アームフック27とパネルアーム15はロックされ、フロントパネル2が一定角度以上開かない状態となる。
【符号の説明】
【0037】
1 空気清浄機
2 フロントパネル
3 ハウジング
3a サイドケース
3b リアケース
3c フラップフレーム
3d 操作パネル
4 前側フラップ
5 後側フラップ
6 フロントケース
7 グリル
8 BMプレート
9 送風機構
10 遠心ファン
11 スクロール
12 ファンモータ
13 ソウフウグリル
14 ベースプレート
15 パネルアーム
15a アームマグネットプレート
15b マグネット
15c ロータリーダンパ
15d アームガイド
15e ストッパー(アームガイド側)
15f ストッパー(パネルアーム側)
16 浄化フィルタ類
16a プレフィルタ
16b 集塵フィルタ
16c 脱臭フィルタ
27 アームフック