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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20220426BHJP
   F16L 3/015 20060101ALI20220426BHJP
   F16L 11/18 20060101ALI20220426BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20220426BHJP
【FI】
B60R16/02 623T
F16L3/015
F16L11/18
H01B7/00 301
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018240582
(22)【出願日】2018-12-25
(65)【公開番号】P2020102976
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2020-02-19
【審判番号】
【審判請求日】2021-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】足立 英臣
(72)【発明者】
【氏名】小久江 健
(72)【発明者】
【氏名】鶴 正秀
(72)【発明者】
【氏名】吉田 博之
(72)【発明者】
【氏名】長嶋 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】山田 哲生
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 健太
【合議体】
【審判長】篠原 功一
【審判官】山崎 慎一
【審判官】須田 勝巳
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-035803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R16/02
F16L3/015
F16L11/18
H01B7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一又は複数本の導電路と、該導電路が内側に挿通される外装部材とを備えてハーネス本体が構成され、
該ハーネス本体の中間には、ハーネス梱包時に適した位置の曲げ部分となる梱包時曲げ部が形成され、
該梱包時曲げ部の前記位置には、ハーネス配索時において所望の経路に規制するための配索時経路規制部が設けられ、
前記外装部材には、前記梱包時曲げ部の前記位置に合わせて関節機構が設けられ、
該関節機構は、前記外装部材の軸方向中間を分断したような形状に形成される一方の分断部及び他方の分断部と、前記一方の分断部及び前記他方の分断部に跨るように配置されるベース部と、該ベース部の一端に対し前記一方の分断部を回転自在にするための一方の回転軸部と、前記ベース部の他端に対し前記他方の分断部を回転自在にするための他方の回転軸部とを備えて構成され、
前記関節機構にて前記一方の分断部及び前記他方の分断部が略折り畳まれたような状態の配置になると前記梱包時曲げ部が形成され、
前記関節機構にて前記一方の分断部及び前記他方の分断部が略直線状態のような配置になると前記梱包時曲げ部の前記位置に前記配索時経路規制部が設けられ、
さらに、前記外装部材は、可撓性を有する第1管状部材からなる可撓管部と、前記導電路をストレートに配索する部分としての可撓性を有さない第2管状部材からなるストレート管部とが、前記外装部材の軸方向に交互に配置形成されており、
前記関節機構は、前記ストレート管部の軸方向中間の分断位置に配設され
前記分断位置には、前記可撓管部を構成する前記第1管状部材が配置されていない
ことを特徴とするワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電路と外装部材とを備えるワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電気自動車やハイブリッド自動車に配索されるワイヤハーネスは、長尺なものであって、一又は複数本の導電路と、この導電路が挿通される管体形状の外装部材とを備えて構成される。このようなワイヤハーネスは、ハーネス製造現場で製造された後に梱包されて車両組み立て現場まで搬送される。車両組み立て現場では、梱包された状態のワイヤハーネスが通箱から取り出され、そして、取り出されたワイヤハーネスは車両の所定位置に配索される(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-243900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術にあっては、ワイヤハーネスが長尺なものであることから、製造後にそのままの状態で車両組み立て現場まで搬送することは非常に困難である。そこで、ワイヤハーネスを折り畳んだ状態にするような梱包にすれば、ワイヤハーネスがコンパクトになって搬送も容易になる。そのため上記従来技術では、車両配索時に曲げ可能となる部分を活用し、これを梱包時の曲げ部分(折り畳み部分)としている。しかしながら、車両配索時に曲げ可能となる部分が、梱包時の曲げ部分(折り畳み部分)に適した位置にあるとは限らない。これは、車両配索時において経路規制をしたい部分が多いためである。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、梱包時に曲げ可能であり且つ車両配索時には経路規制をすることが可能なワイヤハーネスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の本発明のワイヤハーネスは、一又は複数本の導電路と、該導電路が内側に挿通される外装部材とを備えてハーネス本体が構成され、
該ハーネス本体の中間には、ハーネス梱包時に適した位置の曲げ部分となる梱包時曲げ部が形成され、
該梱包時曲げ部の前記位置には、ハーネス配索時において所望の経路に規制するための配索時経路規制部が設けられ、
前記外装部材には、前記梱包時曲げ部の前記位置に合わせて関節機構が設けられ、
該関節機構は、前記外装部材の軸方向中間を分断したような形状に形成される一方の分断部及び他方の分断部と、前記一方の分断部及び前記他方の分断部に跨るように配置されるベース部と、該ベース部の一端に対し前記一方の分断部を回転自在にするための一方の回転軸部と、前記ベース部の他端に対し前記他方の分断部を回転自在にするための他方の回転軸部とを備えて構成され、
前記関節機構にて前記一方の分断部及び前記他方の分断部が略折り畳まれたような状態の配置になると前記梱包時曲げ部が形成され、
前記関節機構にて前記一方の分断部及び前記他方の分断部が略直線状態のような配置になると前記梱包時曲げ部の前記位置に前記配索時経路規制部が設けられ、
さらに、前記外装部材は、可撓性を有する第1管状部材からなる可撓管部と、前記導電路をストレートに配索する部分としての可撓性を有さない第2管状部材からなるストレート管部とが、前記外装部材の軸方向に交互に配置形成されており、
前記関節機構は、前記ストレート管部の軸方向中間の分断位置に配設され
前記分断位置には、前記可撓管部を構成する前記第1管状部材が配置されていない
ことを特徴とする。
【0007】
このような請求項1の特徴を有する本発明によれば、梱包に適した位置に梱包時曲げ部が形成されることから、この梱包時曲げ部によってワイヤハーネスをコンパクトな状態で梱包することができる。また、本発明によれば、梱包時曲げ部の位置に配索時経路規制部が設けられることから、梱包時曲げ部があってもハーネス配索時に所望の経路に規制することができる。
【0009】
また、本発明によれば、外装部材に関節機構が採用され、そして、関節機構を用いて梱包に適した位置に梱包時曲げ部が形成されることから、この梱包時曲げ部によってワイヤハーネスをコンパクトな状態で梱包することができる。また、本発明によれば、関節機構にて梱包時曲げ部の位置に配索時経路規制部が設けられることから、梱包時曲げ部があってもハーネス配索時に所望の経路に規制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ハーネス梱包時に曲げ可能であり且つ車両配索時には経路規制をすることが可能なワイヤハーネスを提供することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、ワイヤハーネスをコンパクトな状態で梱包することができるという効果も奏する。これにより、従来よりも多くのワイヤハーネスを通箱に収容してこれを搬送することができるという効果を奏する。また、一度に多くのワイヤハーネスを搬送することができるようになることから、例えば搬送コストの削減を図ることができるという効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のワイヤハーネスの一実施形態を示す図であり、(a)は高電圧のワイヤハーネスの配索状態を示す模式図、(b)は(a)とは別の低電圧のワイヤハーネスの配索状態を示す模式図である(実施例1)。
図2】ワイヤハーネスの構成を示す模式図である。
図3図2の関節機構に係る図であり、(a)はハーネス製造時の状態を示す模式図、(b)は梱包時の状態を示す模式図、(c)は配索時の状態を示す模式図である。
図4】他のワイヤハーネスの構成を示す模式図である(実施例2)。
図5図4のワイヤハーネスに係る図であり、(a)はハーネス製造時の状態を示す模式図、(b)は梱包時の状態を示す模式図、(c)は配索前の状態を示す模式図である。
図6図5から続く配索直前の図であり、(a)は連結筒部にて繋ぐ前の状態を示す模式図、(b)は連結筒部にて繋いだ後の状態を示す模式図である。
図7】他のワイヤハーネスの構成を示す模式図である(実施例3)。
図8図7のワイヤハーネスに係る図であり、(a)はハーネス製造時の状態を示す模式図、(b)は梱包時の状態を示す模式図、(c)は配索前の状態を示す模式図である。
図9図8から続く配索直前の図であり、(a)は後付け部材を組み付けた後の状態を示す模式図、(b)は他の後付け部材を組み付けた後の状態を示す模式図である。
図10】他のワイヤハーネスの図であり、長さ調節部材を組み付けた後の状態を示す模式図である(実施例4)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ワイヤハーネスのハーネス本体は、一又は複数本の導電路と、この導電路が内側に挿通される外装部材とを備えて構成される。ハーネス本体の中間には、ハーネス梱包時に適した位置の曲げ部分となる梱包時曲げ部が形成される。この梱包時曲げ部の位置には、ハーネス配索時において所望の経路に規制するための配索時経路規制部が設けられる。
【0019】
外装部材の軸方向中間には、関節機構が設けられる。この関節機構にて一方の分断部及び他方の分断部が略折り畳まれたような状態の配置になると梱包時曲げ部が形成される。また、関節機構にて一方の分断部及び他方の分断部が略直線状態のような配置になると梱包時曲げ部の位置に配索時経路規制部が設けられる。
【実施例1】
【0020】
以下、図面を参照しながら実施例1を説明する。図1は本発明のワイヤハーネスの一実施形態を示す図であり、(a)は高電圧のワイヤハーネスの配索状態を示す模式図、(b)は(a)とは別の低電圧のワイヤハーネスの配索状態を示す模式図である。また、図2はワイヤハーネスの構成を示す模式図、図3図2の関節機構に係る図であり、(a)はハーネス製造時の状態を示す模式図、(b)は梱包時の状態を示す模式図、(c)は配索時の状態を示す模式図である。
【0021】
本実施例においては、ハイブリッド自動車に配索されるワイヤハーネスに本発明を採用するものとする。尚、ハイブリッド自動車に限らず、PHVや電気自動車のようなモータを駆動源とする自動車、或いは、エンジンのみで走行する一般的な自動車等であってもよいものとする。また、エンジンに関しては、発電のためだけに用いられるものであってもよいものとする。この他、燃料電池自動車や自動運転車両であってもよいものとする。
【0022】
<ハイブリッド自動車1の構成について>
図1(a)において、引用符号1はハイブリッド自動車を示す。ハイブリッド自動車1は、エンジン2及びモータユニット3の二つの動力をミックスして駆動する車両であって、モータユニット3にはインバータユニット4を介してバッテリー5(電池パック)からの電力が供給される。エンジン2、モータユニット3、及びインバータユニット4は、本実施例において前輪等がある位置のエンジンルーム6に搭載される。また、バッテリー5は、後輪等がある自動車後部7に搭載される(エンジンルーム6の後方に存在する自動車室内の位置に搭載してもよいものとする)。
【0023】
モータユニット3とインバータユニット4は、高圧のワイヤハーネス8(高電圧用のモーターケーブル)により接続される。また、バッテリー5とインバータユニット4も高圧のワイヤハーネス9により接続される。ワイヤハーネス9は、この中間部10が車両における(車体における)車両床下11に配索される。また、中間部10は、車両床下11に沿って略平行に配索される。車両床下11は、公知のボディ(車体)であるとともに所謂パネル部材であって、所定位置には貫通孔が形成される。この貫通孔には、ワイヤハーネス9が水密に挿通される。
【0024】
ワイヤハーネス9とバッテリー5は、このバッテリー5に設けられるジャンクションブロック12を介して接続される。ジャンクションブロック12には、ワイヤハーネス9の後端側のハーネス端末13に配設されたシールドコネクタ14等の外部接続手段が電気的に接続される。また、ワイヤハーネス9とインバータユニット4は、前端側のハーネス端末13に配設されたシールドコネクタ14等の外部接続手段を介して電気的に接続される。
【0025】
モータユニット3は、モータ及びジェネレータを含んで構成される。また、インバータユニット4は、インバータ及びコンバータを構成に含んで構成される。モータユニット3は、シールドケースを含むモータアッセンブリとして形成される。また、インバータユニット4もシールドケースを含むインバータアッセンブリとして形成される。バッテリー5は、Ni-MH系やLi-ion系のものであって、モジュール化することによりなる。尚、例えばキャパシタのような蓄電装置を使用することも可能である。バッテリー5は、ハイブリッド自動車1や電気自動車等に使用可能な高電圧用のものであれば特に限定されないのは勿論である。
【0026】
図1(b)において、引用符号15はワイヤハーネスを示す。ワイヤハーネス15は、低圧の(低電圧用の)ものであって、ハイブリッド自動車1における自動車後部7の低圧バッテリー16と、自動車前部17に搭載される補器18(機器)とを電気的に接続するために備えられる。ワイヤハーネス15は、図1(a)のワイヤハーネス9と同様に、車両床下11を通って配索される(一例であり、車室側を通って配索されてもよいものとする)。ワイヤハーネス15における引用符号19はハーネス本体を示す。また、引用符号20はコネクタを示す。
【0027】
図1(a)及び(b)に示す如く、ハイブリッド自動車1には、高圧のワイヤハーネス8、9及び低圧のワイヤハーネス15が配索される。本発明は、いずれのワイヤハーネスであっても適用可能であるが、代表例として高圧のワイヤハーネス9を挙げて以下に説明をする。先ず、ワイヤハーネス9の構成及び構造について説明をする。
【0028】
<ワイヤハーネス9の構成について>
図1(a)において、車両床下11を通って配索される長尺なワイヤハーネス9は、ハーネス本体21と、このハーネス本体21の両端末(ハーネス端末13)にそれぞれ配設されるシールドコネクタ14(外部接続手段)とを備えて構成される。また、ワイヤハーネス9は、これ自身を所定位置に配索するためのクランプC(図2参照)と、図示しない止水部材(例えばグロメット等)とを備えて構成される。
【0029】
<ハーネス本体21の構成について>
図2において、ハーネス本体21は、二本の長尺な導電路22と、この導電路22を一括して覆うシールド部材23と、シールド部材23に覆われた二本の導電路22が内側に挿通される外装部材24とを備えて構成される。実施例1では、外装部材24が特徴部分になる。具体的には、外装部材24に設けられる関節機構29(図3を参照しながら後述する)が特徴部分になる。
【0030】
<導電路22について>
図2において、導電路22は、導電性の導体25と、この導体25を被覆する絶縁性の絶縁体26とを備えて構成される。導電路22は、本実施例において、シースの存在しないものが採用される(一例であるものとする)。導電路22は、これにシースが存在しないことから、その分、軽量なものになる(導電路22は長尺であることから、シースがあるものと比べ大幅に軽量化を図ることができる)。尚、導電路22の本数は一例であるものとする。
【0031】
導体25は、銅や銅合金、或いはアルミニウムやアルミニウム合金により断面円形に形成される。導体25に関しては、素線を撚り合わせてなる導体構造のものや、断面円形(丸形)になる棒状の導体構造(例えば丸単心となる導体構造であり、この場合、導電路自体も棒状となる)のものの、いずれであってもよいものとする。以上のような導体25は、この外面に絶縁性の樹脂材料からなる絶縁体26が押出成形される。
【0032】
絶縁体26は、熱可塑性樹脂材料を用いて導体25の外周面に押出成形される。絶縁体26は、断面円形状の被覆として形成される。絶縁体26は、所定の厚みを有して形成される。上記熱可塑性樹脂としては、公知の様々な種類のものが使用可能であり、例えばポリ塩化ビニル樹脂やポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などの高分子材料から適宜選択される。
【0033】
<シールド部材23について>
図2において、シールド部材23は、二本の導電路22を一括して覆うものであって、本実施例においては編組が採用される(一例であるものとする。金属箔や、金属箔を踏むシート等であってもよいものとする)。シールド部材23は、シールド機能を発揮させるために設けられる。上記編組(シールド部材23)は、導電性を有する極細の素線を編んで筒状に形成される。また、編組は、絶縁体26の一端から他端にかけて外周面全体を覆うような形状及びサイズに形成される。尚、シールド部材23は、二本の導電路22に対し一本一本覆ってもよいものとする。
【0034】
<外装部材24について>
図2及び図3において、外装部材24は、絶縁性を有する樹脂材料を用いて成形される樹脂成形品であって、二本の導電路22を収容することができるように例えば断面円形状に形成される(これに限らず、断面矩形や断面長円形状等であってもよいものとする)。外装部材24は、可撓性を有する可撓管部27と、導電路22をストレートに配索する部分としてのストレート管部28とを有する(この構成は一例であるものとする)。可撓管部27とストレート管部28は、管軸方向に複数形成される。また、これら可撓管部27とストレート管部28は、交互に配置形成される。ストレート管部28には、特徴部分としての関節機構29が設けられる。
【0035】
<可撓管部27について>
図2において、可撓管部27は、ワイヤハーネス9の梱包状態や輸送時、さらには車両への配索時(経路配索時)に、それぞれ所望の角度で撓ませることができるような部分に形成される。すなわち、可撓管部27は、撓ませて曲げ形状にすることができるような部分に形成される。また、可撓管部27は、曲げる前の状態(樹脂成形時の状態)に戻すことも当然にできるような部分に形成される。可撓管部27は、図示の如く蛇腹管形状に形成される。すなわち、外側から見て周方向の蛇腹凹部及び蛇腹凸部を有する形状に形成される。また、可撓管部27は、上記蛇腹凹部及び蛇腹凸部が管軸CL方向に交互に連続する形状に形成される。
【0036】
<ストレート管部28について>
図2において、ストレート管部28は、直管形状に形成される。また、ストレート管部28は、可撓管部27のような可撓性を持たない部分に形成される。また、ストレート管部28は、梱包状態や輸送時、さらには経路配索時において曲がらない部分に形成される(曲がらない部分とは、可撓性を積極的に持たせない部分という意味である。尚、後述する関節機構29がある箇所だけは曲がるものとする)。ストレート管部28の外周面(外面)は、凹凸のない形状に形成される(一例であるものとする)。ストレート管部28の外周面は、クランプCの取り付け部分として形成される。クランプCは、ワイヤハーネス9の配索時に車両床下11や相手固定部材30に対してボルトBで固定される固定用の部品である。
【0037】
ストレート管部28は、可撓管部27と比べ、リジッドな部分に形成される。このようなストレート管部28は、相手固定部材30(車両取付形状)に合わせた位置や長さに形成される。ストレート管部28は、複数あるうちの一番長いものが車両床下11に配置される。
【0038】
車両床下11に配置されるストレート管部28は、上記の如く一番長いものであることから、これが曲がらない部分になるとハーネス梱包時の状態が大きくなって、通箱も大きなスペースを確保する必要がある。そこで、少なくとも車両床下11に配置されるストレート管部28に関節機構29を設け、この関節機構29によってコンパクト化を図れるようにしたものが本実施例である。
【0039】
<関節機構29について>
図2及び図3において、関節機構29は、ハーネス梱包時に曲げ可能となり、且つ、車両配索時には経路規制をすることができるように構成される。関節機構29は、従来、曲がらない部分になるストレート管部28の所定位置に、ハーネス梱包時に適した曲げ部分(梱包時曲げ部31)を持たせることができるように構成される。関節機構29は、ハーネス梱包時に適した曲げ部分(梱包時曲げ部31)に合わせてストレート管部28に配設される。
【0040】
関節機構29は、ストレート管部28の管軸方向中間を分断したような形状に形成される一方の分断部32及び他方の分断部33と、この一方の分断部32及び他方の分断部33に跨るように配置されるベース部34と、ベース部34の一端に対し一方の分断部32を回転自在にするための一方の回転軸部35と、ベース部34の他端に対し他方の分断部33を回転自在にするための他方の回転軸部36とを備えて構成される。
【0041】
尚、一方の分断部32及び他方の分断部33を回転自在にするため、一方の分断部32及び他方の分断部33には、ベース部34との干渉を防止するスリット等が形成されるものとする(図示省略)。本実施例のベース部34は、一方の分断部32及び他方の分断部33の内側に配置されるようになるが、この限りでないものとする。すなわち、ベース部34が外側に配置される場合であってもよいものとする。
【0042】
<ワイヤハーネス9の製造~経路配索について>
上記構成及び構造において、ワイヤハーネス9は次のようにして製造される(図2及び図3参照)。すなわち、ワイヤハーネス9は、関節機構29を有する外装部材24の一端開口から他端開口へとシールド部材23で覆われた二本の導電路22を挿通することにより製造される。また、ワイヤハーネス9は、関節機構29を有する外装部材24の外面所定位置にクランプCやグロメット、ブーツ等を取り付けることにより製造される。さらに、ワイヤハーネス9は、導電路22の端末部分にシールドコネクタ14を設けることにより製造される。
【0043】
上記の如くワイヤハーネス9が製造された後は、可撓管部27を所定の位置で折り畳むようにして曲げを施し、そして、この曲げ状態を保持する。また、関節機構29にて一方の分断部32及び他方の分断部33を真っ直ぐな状態から略平行になるような状態に折り畳み、そして、この折り畳みによって梱包時曲げ部31(図3(a)及び(b)参照)を形成する。これらによりワイヤハーネス9の梱包が完了する(通箱に収納される)。ワイヤハーネス9は従来存在しない梱包時曲げ部31が形成されることから梱包状態がコンパクトになり、このようなコンパクトな梱包状態のままで車両組み付け現場まで搬送される。
【0044】
車両組み付け現場では、車両床下11に対応する長尺な部分から(関節機構29があるストレート管部28から)ワイヤハーネス9は車両に取り付けられる。この時、関節機構29にて一方の分断部32及び他方の分断部33を真っ直ぐな状態に戻す作業が行われ(図3(b)及び(c)参照)、これによりそれまで梱包時曲げ部31が形成されていた部分に、真っ直ぐな経路に規制するための配索時経路規制部37が設けられる。車両床下11に対応する長尺な部分がクランプC等で固定された後には、外装部材24における可撓管部27の部分を撓ませつつ(曲げつつ)残りの部分をクランプCにて固定すると、ワイヤハーネス9の経路配索に係る一連の作業が完了する。ワイヤハーネス9は、所望の経路で配索された状態になる。
【0045】
<ワイヤハーネス9の効果について>
以上、図1ないし図3を参照しながら説明してきたように、本発明の一実施形態であるワイヤハーネス9によれば、外装部材24に関節機構29が採用され、そして、関節機構29を用いて梱包に適した位置に梱包時曲げ部31が形成されることから、この梱包時曲げ部31によってワイヤハーネス9をコンパクトな状態で梱包することができる。また、ワイヤハーネス9によれば、関節機構29にて梱包時曲げ部31の位置に配索時経路規制部37が設けられることから、梱包時曲げ部31があっても経路配索時に(ハーネス配索時に)所望の経路に規制することができる。
【0046】
従って、ハーネス梱包時に曲げ可能であり且つ車両配索時には経路規制をすることが可能なワイヤハーネス9を提供することができるという効果を奏する。また、ワイヤハーネス9をコンパクトな状態で梱包することができるという効果も奏する。これにより、従来よりも多くのワイヤハーネス9を通箱に収容してこれを搬送することができるという効果を奏する。また、一度に多くのワイヤハーネス9を搬送することができるようになることから、例えば搬送コストの削減を図ることができるという効果も奏する。
【0047】
尚、本実施例においては、関節機構29がストレート管部28に設けられているが、例えば外装部材24に対し後付けされるプロテクタにも適用可能であるのは勿論である。この場合、プロテクタの部分に梱包時曲げ部や配索時経路規制部が設けられるようになる。また、関節機構29が車両床下11に対応する長尺なストレート管部28に設けられているが、これに限らず短い方のストレート管部28にも適用可能であるのは勿論である。
【実施例2】
【0048】
以下、図面を参照しながら実施例2を説明する。図4は他のワイヤハーネスの構成を示す模式図である。また、図4図6はワイヤハーネスの製造から配索に係る図である。尚、上記実施例1と基本的に同じ構成部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0049】
<実施例2のワイヤハーネス9及びハーネス本体21の構成について>
図4において、車両床下11を通って配索される長尺なワイヤハーネス9は、ハーネス本体21と、このハーネス本体21の両端末にそれぞれ配設されるシールドコネクタ14とを備えて構成される。また、ワイヤハーネス9は、これ自身を所定位置に配索するためのクランプCと、図示しない止水部材(例えばグロメット等)とを備えて構成される。ハーネス本体21は、二本の長尺な導電路22と、この導電路22を一括して覆うシールド部材23と、シールド部材23に覆われた二本の導電路22が内側に挿通される外装部材24とを備えて構成される。実施例2では、外装部材24が特徴部分になる。具体的には、外装部材24のストレート管部28に設けられた配索時経路規制部38(図5及び図6を参照しながら後述する)が特徴部分になる。
【0050】
<配索時経路規制部38について>
図4ないし図6において、配索時経路規制部38は、ハーネス梱包時に曲げ可能であり且つ車両配索時には経路規制をすることが可能なワイヤハーネス9を提供するために、例えば外装部材24のストレート管部28に設けられる。配索時経路規制部38は、車両床下11に対応するストレート管部28の管軸方向中間を分断したような形状に形成される一方の分断部39及び他方の分断部40と、所望の経路(本実施例では略S字の経路)になる内部空間41が形成されて一方の分断部39及び他方の分断部40を繋ぐ樹脂製の連結筒部42とを備えて構成される。
【0051】
一方の分断部39及び他方の分断部40には、嵌合用、位置決め用、抜け止め用の穴43が二つずつ形成される。連結筒部42は、二つ割り構造のものであって、半筒部44、45にて構成される。半筒部44、45には、穴43に嵌合する突起46がそれぞれ形成される。また、半筒部44、45には、これらが一体化するためのロック部47、48がそれぞれ形成される。
【0052】
<ワイヤハーネス9の製造~経路配索について>
上記構成及び構造において、ワイヤハーネス9は次のようにして製造される(図4ないし図6参照)。すなわち、ワイヤハーネス9は、外装部材24の一端開口から他端開口へとシールド部材23で覆われた二本の導電路22を挿通することにより製造される。この時、シールド部材23で覆われた二本の導電路22は、ストレート管部28における一方の分断部39及び他方の分断部40の位置で一部露出するようになる。
【0053】
また、ワイヤハーネス9は、外装部材24の外面所定位置にクランプCやグロメット、ブーツ等を取り付けることにより製造される。さらに、ワイヤハーネス9は、導電路22の端末部分にシールドコネクタ14を設けることにより製造される。
【0054】
上記の如くワイヤハーネス9が製造された後は、可撓管部27を所定の位置で折り畳むようにして曲げを施し、そして、この曲げ状態を保持する。また、一方の分断部39及び他方の分断部40を真っ直ぐの状態から略平行になるような状態に折り畳むようにし、そして、一方の分断部39及び他方の分断部40から露出した部分を梱包時曲げ部49(図5(a)及び(b)参照)として形成する。これらによりワイヤハーネス9の梱包が完了する(通箱に収納される)。ワイヤハーネス9は従来存在しない梱包時曲げ部49が形成されることから梱包状態がコンパクトになり、このようなコンパクトな梱包状態のままで車両組み付け現場まで搬送される。
【0055】
車両組み付け現場では、車両床下11に対応する長尺な部分から(一方の分断部39及び他方の分断部40があるストレート管部28から)ワイヤハーネス9は車両に取り付けられる。この時、一方の分断部39及び他方の分断部40を略真っ直ぐな状態に戻す作業が行われるとともに(図5(b)及び(c)参照)、連結筒部42としての半筒部44、45の組み付け準備が行われる。また、一方の分断部39及び他方の分断部40から露出した部分を覆うようにして、連結筒部42にて一方の分断部39及び他方の分断部40を繋ぐ作業が行われると、梱包時曲げ部49であった部分に対し配索時経路規制部38が設けられる(図6(a)及び(b)参照)。
【0056】
それまで梱包時曲げ部49が形成されていた部分に、略S字状に経路を規制するための配索時経路規制部38が設けられ、そして、車両床下11に対応する長尺な部分がクランプC等で固定された後に、外装部材24における可撓管部27の部分を撓ませつつ(曲げつつ)残りの部分をクランプCにて固定すると、ワイヤハーネス9の経路配索に係る一連の作業が完了する。ワイヤハーネス9は、所望の経路で配索された状態になる。
【0057】
<ワイヤハーネス9の効果について>
以上、図4ないし図6を参照しながら説明してきたように、本発明の一実施形態であるワイヤハーネス9によれば、外装部材24の中間に一方の分断部39及び他方の分断部40が形成され、そして、この分断部分を用いて梱包時曲げ部49が形成されることから、梱包時曲げ部49によってワイヤハーネス9をコンパクトな状態で梱包することができる。また、ワイヤハーネス9によれば、所望の経路になる連結筒部42を用いて一方の分断部39及び他方の分断部40を繋げば、梱包時曲げ部49の位置に配索時経路規制部38が設けられることから、梱包時曲げ部49があっても経路配索時に(ハーネス配索時に)に所望の経路に規制することができる。
【0058】
従って、ハーネス梱包時に曲げ可能であり且つ車両配索時には経路規制をすることが可能なワイヤハーネス9を提供することができるという効果を奏する。また、ワイヤハーネス9をコンパクトな状態で梱包することができるという効果も奏する。これにより、従来よりも多くのワイヤハーネス9を通箱に収容してこれを搬送することができるという効果を奏する。また、一度に多くのワイヤハーネス9を搬送することができるようになることから、例えば搬送コストの削減を図ることができるという効果も奏する。
【実施例3】
【0059】
以下、図面を参照しながら実施例3を説明する。図7は他のワイヤハーネスの構成を示す模式図である。また、図8図9はワイヤハーネスの製造から配索に係る図である。尚、上記実施例1と基本的に同じ構成部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0060】
<実施例3のワイヤハーネス9及びハーネス本体21の構成について>
図7において、車両床下11を通って配索される長尺なワイヤハーネス9は、ハーネス本体21と、このハーネス本体21の両端末にそれぞれ配設されるシールドコネクタ14とを備えて構成される。また、ワイヤハーネス9は、これ自身を所定位置に配索するためのクランプCと、図示しない止水部材(例えばグロメット等)とを備えて構成される。ハーネス本体21は、二本の長尺な導電路22と、この導電路22を一括して覆うシールド部材23と、シールド部材23に覆われた二本の導電路22が内側に挿通される外装部材24とを備えて構成される。実施例3では、外装部材24が特徴部分になる。具体的には、外装部材24のストレート管部28に設けられた配索時経路規制部50(図8及び図9を参照しながら後述する)が特徴部分になる。
【0061】
<配索時経路規制部50について>
図7ないし図9において、配索時経路規制部50は、ハーネス梱包時に曲げ可能であり且つ車両配索時には経路規制をすることが可能なワイヤハーネス9を提供するために、例えば外装部材24の可撓管部27に設けられる。配索時経路規制部50は、本実施例において、車両床下11に対応するストレート管部28と共に配置された、比較的短い可撓管部27に対して後付け部材51を組み付けることにより設けられる。
【0062】
後付け部材51は、樹脂製又は金属製のものであって、所望の経路(例えば略S字の経路)が形成される凹部52と、この凹部52の縁に連成される一対の固定部53とを有して、例えば図8(c)に示す如くの形状に形成される(図7のものは模式的に示したものである)。固定部53には、ボルトBにて車両床下11に対し固定するためのボルト挿通孔54が形成される。後付け部材51は、後述する梱包時曲げ部55の曲げ形状を変えて所望の経路となる形状に規制することができるような部材である。
【0063】
<ワイヤハーネス9の製造~経路配索について>
上記構成及び構造において、ワイヤハーネス9は次のようにして製造される(図7ないし図9参照)。すなわち、ワイヤハーネス9は、外装部材24の一端開口から他端開口へとシールド部材23で覆われた二本の導電路22を挿通することにより製造される。また、ワイヤハーネス9は、外装部材24の外面所定位置にクランプCやグロメット、ブーツ等を取り付けることにより製造される。さらに、ワイヤハーネス9は、導電路22の端末部分にシールドコネクタ14を設けることにより製造される。
【0064】
上記の如くワイヤハーネス9が製造された後は、可撓管部27を所定の位置で折り畳むようにして曲げを施し、そして、この曲げ状態を保持する。また、車両床下11に対応する位置の可撓管部27(図8(a)参照)を曲げ、そして、これを梱包時曲げ部55(図5(b)参照)として形成する。これらによりワイヤハーネス9の梱包が完了する(通箱に収納される)。ワイヤハーネス9は梱包時曲げ部55が形成されることから梱包状態がコンパクトになり、このようなコンパクトな梱包状態のままで車両組み付け現場まで搬送される。
【0065】
車両組み付け現場では、車両床下11に対応する長尺な部分から(梱包時曲げ部55が形成された可撓管部27が連続するストレート管部28から)ワイヤハーネス9は車両に取り付けられる。この時、梱包時曲げ部55が形成された可撓管部27を略真っ直ぐな状態に戻す作業が行われるとともに(図8(b)及び(c)参照)、後付け部材51の組み付け準備が行われる。また、この後に可撓管部27を覆うようにして後付け部材51を組み付ける作業が行われると、梱包時曲げ部55であった部分に対し配索時経路規制部50が設けられる(図9(a)参照)。尚、真っ直ぐな状態での経路規制をしたい場合であれば、図9(b)に示す如くの後付け部材56を採用すればよい。
【0066】
図8及び図9において、それまで梱包時曲げ部55が形成されていた部分に、略S字状に経路を規制するための配索時経路規制部50が設けられ、そして、車両床下11に対応する長尺な部分がクランプC等で固定された後に、外装部材24における可撓管部27の部分を撓ませつつ(曲げつつ)残りの部分をクランプCにて固定すると、ワイヤハーネス9の経路配索に係る一連の作業が完了する。ワイヤハーネス9は、所望の経路で配索された状態になる。
【0067】
<ワイヤハーネス9の効果について>
以上、図7ないし図9を参照しながら説明してきたように、本発明の一実施形態であるワイヤハーネス9によれば、外装部材24の中間に可撓管部27が形成され、そして、この可撓管部27を用いて梱包時曲げ部55が形成されることから、梱包時曲げ部55によってワイヤハーネス9をコンパクトな状態で梱包することができる。また、ワイヤハーネス9によれば、所望の経路になる凹部52が形成された後付け部材51を組み付けることで、梱包時曲げ部55の位置に配索時経路規制部50が設けられることから、梱包時曲げ部55があっても経路配索時に(ハーネス配索時に)に所望の経路に規制することができる。
【0068】
従って、ハーネス梱包時に曲げ可能であり且つ車両配索時には経路規制をすることが可能なワイヤハーネス9を提供することができるという効果を奏する。また、ワイヤハーネス9をコンパクトな状態で梱包することができるという効果も奏する。これにより、従来よりも多くのワイヤハーネス9を通箱に収容してこれを搬送することができるという効果を奏する。また、一度に多くのワイヤハーネス9を搬送することができるようになることから、例えば搬送コストの削減を図ることができるという効果も奏する。
【実施例4】
【0069】
以下、図面を参照しながら実施例4を説明する。図10は他のワイヤハーネスの図であり、長さ調節部材を組み付けた後の状態を示す模式図である。尚、上記実施例3と基本的に同じ構成部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0070】
<長さ調節部材57について>
図10において、実施例4は実施例3の変形例であり、引用符号57は長さ調節部材を示す。長さ調節部材57は、本実施例において、略90度に折り曲がった状態での経路規制をするために採用される。長さ調節部材57は、長さ調節可能な部分になる管添え部58と、この管添え部58の両端部を保持する保持部59とを有する。長さ調節部材57は、管添え部58の長さを調節して経路を変えることができるような部材である。引用符号60は配索時経路規制部を示す。尚、長さ調節部材57は、図示の如く可撓管部27の内側の曲がり部分に配置されるが、これに限らず外側の曲がり部分に配置されてもよいものとする。
【0071】
以上、図10を参照しながら説明してきたように、本発明の一実施形態であるワイヤハーネス9によれば、外装部材24の中間に可撓管部27が形成され、そして、この可撓管部27を用いて梱包時曲げ部55(図8(b)参照)や配索時経路規制部60が形成されることから、梱包時曲げ部55によってワイヤハーネス9をコンパクトな状態で梱包することができる。また、ワイヤハーネス9によれば、所望の経路になるような管添え58部が形成された長さ調節部材57を組み付けることで、梱包時曲げ部55の位置に配索時経路規制部60が設けられることから、梱包時曲げ部55があってもハーネス配索時に所望の経路に規制することができる。
【0072】
この他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0073】
1…ハイブリッド自動車、 2…エンジン、 3…モータユニット、 4…インバータユニット、 5…バッテリー、 6…エンジンルーム、 7…自動車後部、 8、9…ワイヤハーネス、 10…中間部、 11…車両床下、 12…ジャンクションブロック、 13…ハーネス端末、 14…シールドコネクタ、 15…ワイヤハーネス、 16…低圧バッテリー、 17…自動車前部、 18…補器、 19…ハーネス本体、 20…コネクタ、 21…ハーネス本体、 22…導電路、 23…シールド部材、 24…外装部材、 25…導体、 26…絶縁体、 27…可撓管部、 28…ストレート管部、 29…関節機構、 30…相手固定部材、 31…梱包時曲げ部、 32…一方の分断部、 33…他方の分断部、 34…ベース部、 35…一方の回転軸部、 36…他方の回転軸部、 37、38…配索時経路規制部、 39…一方の分断部、 40…他方の分断部、 41…内部空間、 42…連結筒部、 43…穴、 44、45…半筒部、 46…突起、 47、48…ロック部、 49…梱包時曲げ部、 50…配索時経路規制部、 51…後付け部材、 52…凹部、 53…固定部、 54…ボルト挿通孔、 55…梱包時曲げ部、 56…後付け部材、 57…長さ調節部材、 58…管添え部、 59…保持部、 60…配索時経路規制部、 B…ボルト、 C…クランプ、 CL…管軸


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10