(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-04-25
(45)【発行日】2022-05-09
(54)【発明の名称】非相反光伝搬システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/35 20060101AFI20220426BHJP
G02F 1/035 20060101ALI20220426BHJP
【FI】
G02F1/35 501
G02F1/035
(21)【出願番号】P 2018567191
(86)(22)【出願日】2017-06-23
(86)【国際出願番号】 GB2017051848
(87)【国際公開番号】W WO2017221028
(87)【国際公開日】2017-12-28
【審査請求日】2020-06-23
(32)【優先日】2016-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】509251143
【氏名又は名称】エヌピーエル マネージメント リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】特許業務法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デル ビノ, レオナルド
(72)【発明者】
【氏名】ステビングス,サラ ルイーズ
(72)【発明者】
【氏名】デルヘイヤ,パスカル パトリス
(72)【発明者】
【氏名】シルバー,ジョナサン マイケル
【審査官】野口 晃一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0116802(US,A1)
【文献】特開平08-334800(JP,A)
【文献】特開平07-012576(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0123780(US,A1)
【文献】藤井 瞬他,WGM微小共振器におけるCW-CCW結合の光カーコム発生への影響 The impact of CW-CCW coupling in Kerr comb generation in WGM microcavity,<第63回>応用物理学会春季学術講演会講演予稿集,日本,応用物理学会,2016年,20p-P3-6
【文献】Chao WANG and Christopher P. SEARCH,A NONLINEAR MICRORESONATOR REFRACTIVE INDEX SENSOR,JOURNAL OF LIGHTWAVE TECHNOLOGY,米国,IEEE,2015年10月15日,Vol.33, No.20,pp.4360 - 4366,http://dx.doi.org/10.1109/JLT.2015.2464105
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00-1/125
1/21-7/00
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向伝搬する光の存在が、同一強度の順方向に伝搬する光の周波数の変化よりも
大きい共振周波数の変化を誘導するように、非相反光学非線形性を持つ材料で作製された光ループ共振器、第1の光波を前記共振器内に誘導するための第1の腕部、前記第1の光波と同じ周波数を持つ対向伝搬する第2の光波を前記共振器内に誘導するための第2の腕部、前記第1および第2の光波を発する少なくとも一つの光源、を含み、前記第1および第2の光波は、第1および第2の光波の間の非線形相互作用を生じる強度を持ち、前記腕部の一つは減衰器または増幅器を含み、前記共振器によって共振された前記第1および第2の光波がそれぞれ異なる共振周波数で異なる方向に伝搬する、光学信号処理システム。
【請求項2】
前記腕部は1個の共通の光源により提供される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
カー効果を用いる、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
各腕部はそれぞれの測定手段に接続されている光分岐手段を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の光波を前記共振器内に導入する1つ以上のさらなる手段および/または前記第2の光波を前記共振器内に導入する1つ以上のさらなる手段を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記共振器はキャビティー線幅を持ち、前記共振周波数は少なくとも前記キャビティー線幅分だけ異なる、請求項1~5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記システムのすべての部品は静止している、請求項1~6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記光波の少なくとも1つは非線形の光学的効果または光学的利得により前記共振器自体の内部で生成される、請求項1~7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のシステムを含む光ダイオードまたは光アイソレーター、光サーキュレーター、光学フリップ・フロップ、光入力比較器、近接センサー、屈折率センサー、粒子センサー、オシレーター、またはパワーリミッターを提供するために用いられる、請求項1~8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記共振器は前記システムの他の部品に対して回転可能である、請求項1~6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムを含む、サニャック効果センサー。
【請求項12】
非相反光学非線形性を持つ材料で作製された光ループ共振器内に対向方向の異なる光学的効果を生成する方法であって、対向伝搬する光波は、同じ強度の対向伝播する光波の周波数変動より
大きい共振周波数変動を誘導し、前記方法は、対向方向で、同じ周波数で、第1および第2の光波の間の非線形相互作用を生じる強度で少なくとも一つの光源から第1および第2の各腕部を介して前記第1および第2の光波を前記共振器内に導入し、前記共振器によって共振された前記第1および第2の光波がそれぞれ異なる共振周波数で異なる方向に伝搬する工程を含む、方法。
【請求項13】
反射部を含まない出力装置に光源を接続し、前記光源は第1カプラーを介して結合された第1ポートからの光を前記共振器内の第1方向で導入し、第2のカプラーを介して前記共振器から発生する光を前記出力装置に導入し、前記第2カプラーに戻る前記出力装置から反射した光は前記共振器内に戻って結合しない、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
非相反光学非線形性を持つ材料で作製され、第1および第2の腕部を含む静的光共振器内で対向伝搬する波の間の相対入力を調節する方法であって、
前記共振器内前記第1および第2の腕部から、略同一かつ非線形相互作用を生じる強度、および略同一の周波数を有する前記波を、対向方向に結合する工程を含み、前記共振器は2つの前記波に対して異なる効果を持つ、方法。
【請求項15】
前記波のうちの1つまたはそれぞれの周波数を調整して前記異なる効果を変更する、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光共振システムおよび方法に関し、詳細には非線形光共振器内で対向伝搬する光波の対称性の破れを用いたシステムおよび方法に関する。
【0002】
「A. E. Kaplan, P. Meystre, Enhancement of the Sagnac effect due to nonlinearly induced nonreciprocity(非線形誘導された非相反性によるサニャック効果の向上). Optics Letters. 6, 590-2 (1981)」という研究論文に、非線形媒質中にインデックス格子を形成することで対向伝搬波の非線形誘導された非相反性が生じる非線形リング干渉計が開示されている。
【0003】
米国特許第2003/0123780A1号には光波が対向方向に伝搬する集積リング共振器にカー効果を組み込むことが開示されている。一方向に進む光が他方向の入力を変調する。用いられる入力は対称性の破れを生成するほど十分に高くはなく、明確な共鳴シフトは見られない。
【0004】
複数の従来技術文献、例えば国際公開第WO00/54080A、国際公開第2010/025258A1、特開第平8-334800A、米国特許5677767A、および欧州特許3046191A1には共振器ではない光ループ回路が開示されている。
本発明の複数の側面は光を光で制御する効率的な方法を提供しようとするものである。
【0005】
本発明の第1の側面によれば、対向伝搬する光の存在が同一強度の順方向に伝搬する光よりも強い共振周波数の変化を誘導するように非相反光学非線形性を持つ材料で作製された光ループ共振器、および少なくとも1つの光源から対向する第1および第2の光波との間の非線形相互作用を生成する総強度で対向方向の前記第1および第2の対向伝搬する光波を共振器内に導入し、それにより2つの異なる方向の光伝搬のための異なる共振周波数を確立する手段を含む共振システムを提供する。
【0006】
光波は1つ以上のレーザーで生成される。
【0007】
前記第1および第2の対向伝搬する光波はそれぞれの共振周波数を持ち、共振周波数間の差は第1光波と第2光波の間の差とは異なるのが好ましい。
【0008】
本発明の実施形態では、対称性の破れは対向伝搬する(しかし、それ以外では同一の)2つの光波のうちの一方のみが共振器内で循環することを可能にする共振周波数分裂に対応する。同様に、対称性の破れは共振器内で定常波が崩壊して進行波に移行することと見ることができる。結果として生じる効果は広範な実際的用途を可能にするという利点を持つ。
【0009】
非線形相互作用はカー効果により生成されるのが好ましい。あるいは、非線形相互作用は別の非線形効果、例えばブルリアン散乱またはラマン散乱により生成してもよく、これによりリング共振器または線形共振器を使用できるようになる。あるいは、非線形効果は対向伝搬する光波の間の対称性を破る他の光学的非線形性により生成することもできる。
【0010】
共振器はリング共振器を含み、光波は時計回りおよび反時計回りの方向で共振器内で結合されるのが好ましい。「リング」という用語は共振器が円形でなければならないことを示唆するものではない。本発明の好ましい実施形態の利点は共振器が一体型で鏡を必要としないことである。
【0011】
前記システムは共振器に時計回りの伝搬波を導入する第1腕部と、共振器に反時計回りの伝搬波を導入する第2腕部を含むのが好ましい。これらの腕部は1個の共通のレーザー源により提供してもよい。これは小型で制御可能な装置を提供する利点を持つ。
【0012】
あるいは、これらの腕部を共振器内で共振する同一または異なる周波数で動作する異なる光源により提供してもよい。
【0013】
共通の光源とともに、これらの腕部のうちの一方は減衰手段および/または変調手段、例えばマッハ・ツェンダー変調器を含むのが好ましい。これによりそれぞれの腕部に提供される光入力、すなわち強度および/または周波数の比の調節を可能にする。
【0014】
各腕部はそれぞれの測定手段に接続されているそれぞれの光分裂手段を含むのが好ましい。光分裂手段は共振器から送られる光を分裂させ、例えば光ダイオードを用いて共振器の時計回りおよび/または反時計回りの共振入力の測定ができるようにする。あるいはまたはさらに、時計回りと反時計回りの周波数または位相を測定してもよい。
【0015】
本発明の第2側面によれば、非相反光学非線形性を持つ材料で作製された光ループ共振器内に対向方向の異なる光学的効果を生成する方法が提供される。この方法は少なくとも1つ光源から第1および第2の光波の間の非線形相互作用を生成する総強度で対向方向の前記第1および第2の光波を共振器に導入し、それにより前記第1および第2の対向伝搬する光波の間の異なる共振周波数を確立する工程を含む。
【0016】
本発明の第3側面によれば、静的光共振器内で対向伝搬する波の間の相対入力を調節する方法が提供される。この方法は、共振器内で、対向方向の波の間に非線形相互作用を生成する総強度を持つ実質的に同一の波を結合する工程を含み、共振器は2つの波に対して異なる効果を持ち、波の差が検出される外部効果を受ける。
【0017】
非線形相互作用はカー効果を伴うことが好ましい。
【0018】
共振器はリング共振器であり、波は時計回りおよび反時計回りの方向に共振器内で結合されるのが好ましい。
【0019】
波は共振器内に異なる入力および/または周波数、ならびに/あるいは偏光および/または結合位置で結合されてもよい。これにより光学的フリップ・フロップ回路、二進数記憶装置、入力比較器、切替可能なサーキュレーターまたはアイソレーターとして機能する装置を製造することができる。
【0020】
あるいは、実質的に同一の波を共振器内で結合し、共振器は2つの波に対して異なる効果を持ち、波の差異が検出される外部効果を受け、検出した差異を測定することができる。これにより回転センサー、近接センサー、粒子センサー、または屈折率センサーとして機能する装置を製造することができる。
【0021】
共振システムをサニャック効果センサーとして用いてもよい。共振器はシステムの他の部品に対して回転可能であってもよく、または実質的にシステム全体が回転するようになっていてもよい。
【0022】
本発明の第4の側面によれば、光共振器内で対向伝搬し、非線形相互作用を波の間に生じさせる総強度を持つ波の間の相対入力を調整する方法が提供される。この方法は非線形の光学的効果または光学的利得により共振器自体の内部で対向伝搬する波のうちの少なくとも1つを生成する工程を含む。
【0023】
本発明の実施形態はキャビティー線幅を持つ光共振器を動作させる方法を提供する。この方法は、総強度で対向方向の第1光波および第2光波を共振器内に導入して光波間に非線形相互作用を生成する工程、および一方向の共振周波数を他方向の共振周波数からキャビティー線幅以上に分裂させる共振に波を調整する工程を含む。
【0024】
波は、光共振器の材料が要求される波長で透明であれば赤外線領域、可視光領域、または紫外線領域にあってもよい。「光」という用語もこれに合わせて解釈するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
ここで図面を参照して本発明の好ましい実施形態を例示としてのみ説明する。
【
図1】非線形カー媒質中を対向伝搬する光束の相互作用を示す。
【
図2】低入力での双方向励起(pumping)を示す。
【
図5】上昇する入力を用いる共振周波数分裂を示す。
【
図6】本発明による共振システムの実施形態を示す。
【
図7】共振システムの考えられる2つの条件を示す。
【
図8】共振システムの考えられる2つの条件を示す。
【
図9】共振システムで得ることができる履歴効果を示す。
【
図10a】一連の異なる総入射値に対する入力不均衡増幅の実際の結果および理論的結果を示す。
【
図10b】一連の異なる総入射値に対する入力不均衡増幅の実際の結果および理論的結果を示す。
【
図11】総入射値に対する最大結合入力差に対応する曲線を示す。
【
図12a】レーザー周波数補正値に対する結合入力の理論曲線および実曲線を示す。
【
図12b】レーザー周波数補正値に対する結合入力の理論曲線および実曲線を示す。
【
図13】本発明の第2実施形態による共振システムを示す。
【
図14】本発明の第3実施形態による共振システムを示す。
【
図15a】本発明の第4実施形態による共振システムを示す。
【
図16】本発明による実施形態の様々な実際の用途を説明する上で有用な図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1に非線形カー媒質10を通る入力P
AおよびP
Bを持つ対向伝搬する光波間の非線形相互作用を示す。
図1は共振器を用いずにカー非線形性により対向伝搬する光の間の相互作用の原理を示す。同じ周波数を持ち、対向伝搬するが空間的には重複する2つの光波は入力(P
A、P
B)に応じて有効屈折率変化量Δnが異なる。より低い光学入力(P
B)を持つ光波は屈折率の増加がより急激であり、これにより波長はより短くなる。したがって、非線形カー媒質の外では対向伝搬する同じ波長の2つの光波は、2つの光波の入力に不均衡が起きた場合には媒質内で異なった波長を持つ。これは2つの光波の間の相互位相変調により説明することができる。すなわち、より弱い光波は屈折率の変化がより急激である。より詳細には、非線形の相互作用により誘導された屈折率変化量Δnは次式で与えられる。
【数1】
式中、下付文字AおよびBは対向伝搬し、P
A,Bの入力を持つ2つの波を示す。n
2は媒質の非線形屈折率である。A
effは有効モード断面積である。重要なことは、対向伝搬する光波が存在することで自己位相変調により誘導された屈折率変化量と比べて2倍強い屈折率変化量を誘導することである。したがって、用いる入力値を考慮して米国特許第2003/0123780A1で用いられる通常のカー効果とは対照的な対向伝搬波を用いる場合にはカー効果は効果的に2倍になる。
【0027】
非線形性χ
(3)を持つ光共振器の場合、屈折率変化量に差があるので対向伝搬モードによる光路長は異なる。これは
図3および
図4に示す時計回り(CW)モードと反時計回り(CCW)モードの共振周波数の分裂に示されている。そのような共振器20は時計回りおよび反時計回りの両方向で同じ入力で同時に励起された場合には対称性の破れを示す。これは以下のように説明することができる。すなわち、両方向で同じ周波数を有することを前提とする励起光に共振器を安定的に熱固定するために、光は共振の中心から青方離調しなければならない。この条件で、仮に時計回り方向でより多くの入力が結合した場合、反時計回りの共振の周波数は時計回りの共振以上に下方向にずれて(励起から離れて)結合入力間の差がさらに大きくなり、モード分裂の自己増幅が生じる。
【0028】
本発明の実施形態による共振器は以下の非線形屈折率の非線形性χ(3)を有するのが好ましい。
n2 > 0.8×10-20m2/W
【0029】
図2に低入力で定常波を生成するささやき回廊(whispering gallery)モード共振器20の双方向の励起を示す。(
図2に示す)低くて等しい励起入力で分裂は誘導されず、時計回りおよび反時計回りの循環入力は等しいままである。しかし、特定の励起入力閾値を超えると、結合された同じ入力の状態は不安定になり、系は崩壊して
図3および
図4に示す2つの状態のうちの一方となり時計回りと反時計回りの対称性が破れる。
図2~
図4の直線22は励起レーザーの周波数を示す。
【0030】
図5に上昇する入力を用いる共振周波数分裂を示す。周波数は小さな循環入力では両方向で変わらない。入力閾値を超えると対称性が破れて両方向で異なる周波数変化が生じ、一方の入力は他方よりも多く共振器に結合する。共振周波数分裂は米国特許第2003/0123780A1号に開示される共振周波数変化とは区別されるべきである。
【0031】
定量的観点からは、結合されてささやき回廊モード共振器内の時計回りと反時計回りの循環モードに結合される光入力は以下の結合方程式で与えられる。
【数2】
【数3】
【0032】
式中、Pin,CWおよびPin,CCWは入射励起入力である。δはカー・シフト(Kerr shift)を用いない共振周波数に対するレーザー周波数の離調である。γは共振の負荷半値線幅であり、固有の線幅と結合誘導された半値線幅の和γ0+κに等しい。η=4κγ0/γ2は結合効率である。量P0=πn0Aeff /(QF0n2)は非線形効果が生じる結合入力である。この式でn0およびn2は共振器の線形屈折率および非線形屈折率である。Aeffはモード有効断面積である。Qは負荷品質係数である。F0は固有フィネスである。重要なことは、方程式(2)および(3)で対向伝搬する光波との非線形相互作用が自己位相変調で誘導された相互作用の2倍強力であることである。これは方程式(2)のPCW+2PCCWの項における2という係数に見出すことができる。さらに方程式(2)および(3)を分析すると、Pin,CW+Pin,CCWである場合にはηPin,CW/P0の値に依存するδ/γの範囲に対してηPin,CW/P0>8/(3√3)≒1.54になると対称性の破れが生じ、励起入力閾値のこの範囲は-5/√3≒-2.89の一点に限定されることが分かる。
【0033】
図6に本発明の実施形態を示す。本実施形態は直径2.7mmの高品質係数のささやき回廊モードの溶融石英マイクロロッド共振器30に基づく。共振器は約7×10
7の品質係数Q
0と約60μm
2の有効モード断面積A
effを持つ。外部の増幅連続波キャビティダイオードレーザー32から送られる波長範囲が1.55μmの光をエルビウムでドープしたファイバー増幅器40、ループ腕部42および44、ならびに先細の光ファイバー34経由で両方向に共振器内で結合する。光は共振器30のキャビティモードのうちの1つで共振または略共振する。2個の光サーキュレーター36および38はマイクロ共振器から送られる光を分離し、2個の光ダイオード46および48を用いてマイクロ共振器の時計回りおよび反時計回りの共振周波数の測定を可能にする。光ダイオード46および48の出力信号をオシロスコープ52に表示して比較する。対向伝搬する励起光の間の相対入力を振幅変調器50を用いて調節することができる。ファイバー結合したマッハ・ツェンダー電気光学変調器により励起入力P
in,CW対P
in,CCWの比を調節することができる。
【0034】
好ましい品質係数は106超であり、106~109の範囲内であるのが好ましい。好ましい有効モード断面積Aeffは100μm2未満であり、40~100μm2の範囲内であるのが好ましい。
【0035】
本発明によるシステムは1μW~10Wの範囲内で動作するが、1mW~100mWの範囲内で動作するのが好ましい。
【0036】
図7および
図8に対称性の自発的破れを示す。
図7および
図8はP
iCW=P
iCCWおよびηP
iCW/P
0≒4の全く同じ実験構成で2つの連続的な曲線上に取ったレーザー周波数に対する先細ファイバー34による伝送を示す。両方向で励起入力が等しいにもかかわらず、システムは考えられる2つの構成のうちの1つを自発的に「選択」する。縦軸は共振器から離れているときの先細ファイバーの送信に対して正規化されている。
【0037】
双安定状態の特徴は
図9に示すヒステリシスである。時計回りの波CWは破線で表され、反時計回りの波CCWは実線で表される。差込線は2つの状態の入力の流れを示す。双安定の状態でレーザー周波数を一定に保持して、P
in,CCWを±25%、5kHzで調節した。観察された履歴現象を2つの安定状態の間の共振周波数分裂で説明することができる。共振分裂を克服して他方の状態に切り替えるため、初期的により弱い励起方向の入力を対向伝搬する光の入力を超えるレベルまで顕著に増大させる必要がある。このヒステリシスの存在が重要である。ヒステリシスによりシステムを全光学フリップ・フロップまたは二進数記憶装置として用いることができるからである。さらに、安定な各状態で非相反の光伝搬を用いて切替可能な光サーキュレーターまたは光アイソレーターを実現することもできる。
【0038】
図10aおよび
図10bに入力不均衡増幅の実際の結果および理論的結果を示す。
図10aは増大する入射入力のレーザー周波数に応じて共振器内で結合される光の量を示す。入力が大きくなると、時計回りおよび反時計回りのモード分裂も増加する。入射入力を時計回りの方向で10%高くして相対的入力の変動により切替えが生じるのを防止する。総励起入力P
in,T=P
in,CW+P
in,CCWの範囲の共振全体でレーザー周波数を走査しつつ、P
in,CCW/P
in,CWの比を0.9に保持する。非線形の閾値未満のP
in,Tでは、対向伝搬する2つのモードは共振全体で緩やかに延びる場合には(
図10aの最下方の入力曲線)同じ増加を示す。さらに入力を増大させると、励起入力の差がわずか10%であるという事実にもかかわらず、相互位相変調誘導されたカーシフトの効果により60%以上の大きな差が生じる。
図10bに示す理論的結果では
図10aで実際に用いるのと同じパラメーターが用いられる。結合入力の合計に比例し、カーシフトの約70倍の強度である周波数の熱変化もこの計算に含まれている。
【0039】
図11に示す結合入力の最大差と総励起入力P
in,Tの一致は測定した入力分裂と完全に対応している。
図11は総入力に対応する時計回りの入力と反時計回りの入力との間の最大差を示す。点は実験の測定値を示すが、曲線は0.9の励起入力比での理論的一致である。
図10aおよび
図10bの曲線間の小さなずれは、共振周波数の熱変化は即時的であるが、実際には大きな時間規模で生じるという前提を用いて系をモデル化することに起因する場合がある。更なる誤差がQ値またはモード断面積の測定値から生じる場合がある。
【0040】
図12aの論理上のグラフにより上記の効果を要約する。
図12aは正規化レーザー離調周波数δ/γに応じて共振器内で結合された時計回り方向の入力P
CWの理論上の予測を示す。入射入力の不均衡は時計回り方向のより高い入力に対応する上方左側の傾斜と、反時計回り方向のより高い入力に対応する下方右側の傾斜で表される。下方左側から上方右側へ延びる中間線130は(2つの直線202と204の間の双安定領域の)等しい励起入力での対称性の破れを示す。この領域では広範な入力不均衡に対して2つの安定解が存在する。直線202および204の内側の傾斜が緩い中央領域は不安定解を含む。1.54の非線形モード分裂の閾値をわずかに超えるηP
in,CW/P
0=1.8の場合のグラフを示す。直線202および204で境界を引いた双安定性領域の外側では、結合入力間の差の範囲で任意の励起入力不均衡が増幅される。直線202および204が近づくと、利得係数が分岐し、システムを正確な励起入力と離調および共振器内の損失に対して極めて感度の良いものとする。これにより高度な検出、例えば屈折率または入力差分を検出する用途に適したものとなる。特に、サニャック効果による共振周波数の分裂も増幅されるので、光ジャイロスコープを形成することができる。
図12bにこれらの異なる形態を実際のデータで明示する。励起入力比を周波数の掃引中に約±3%で調節する。レーザー周波数を共振全体で走査しつつ、設定における後方散乱誘導による干渉効果によりP
in,CCW/P
in,CWはレーザー周波数の170MHzまでの周期では約±3%変化する。直線202および204の外側では、結合入力差は非相反カーシフトにより入射入力不均衡に対して高くなる。結合入力差が高くなることで双安定状態に近づき、システムは2つの安定した構成の間で発振する。差込線は等しい入力を持つマイクロ共振器モードにわたる曲線を示し、
図12aの直線130に対応する「泡」形状の対称性の破れを生じさせる。第1領域では、結合入力は、次第に強くなり、直線202に近づく振動の上昇を示す。この直線の右側では、2つの安全解の間で切り替えることによりシステムは振動に反応し、不安定な領域を瞬時に横断する。時計回りモードと反時計回りモードの間の最大分裂領域では、入力変調は状態間の切り替えを誘導するほどには十分ではない。これにより光入力の変動とは独立に時計回りの状態または反時計回りの状態の動作を可能にする。等しい入力を持つ二方向の励起の場合、
図12bの差込線で示す分裂が観察される。これは理論計算と完全に一致する(
図12aの直線130)。
【0041】
上記で開示した実際の構成に対して様々な変形を行うことができる。ささやき回廊モードのオシレーターに加えて、対向伝搬する光モードを支持する場合には非線形光共振器を用いることができる。例えば、共振器は非線形要素を持つファイバーループ、導波管ループ、ファイバーキャビティー、および/または自由空間キャビティーのうちの1つ以上を含んでもよい。特に有用な例はチップ集積型光子導波管ループである。
【0042】
単一の共通レーザー源32に代えて、2つのレーザー源を対向伝搬する各波に対して1個ずつ用いてもよい。
【0043】
単一のレーザー源32を用いる場合、光束分配器、光ファイバーに基づくカプラー、導波管カプラー、偏光束分配器、複屈折性材料、部分的反射性鏡、空間光変調器、1つ以上の回折格子、および/または1つ以上の波長依存性多重化装置のうちの1つ以上でレーザー光を分裂させてもよい。
【0044】
先細ファイバー34に代えて、導波管、プリズム、自由空間、角度分裂光ファイバー、分裂光ファイバー、部分的反射性鏡のうちの1つ以上、またはエバネセント結合技術で共振器の内部および外部の1つ以上の位置で光を結合することができる。
【0045】
光を結合して共振器内外に導くことに代えて、共振器内の光波のうちの1つ以上を非線形の光学的効果または共振器自体の内部の光学的利得で発生させることができる。非線形の光学的効果はラマン散乱、ブルリアン散乱、パラメトリック下方変換、四光波混合、第二高調波発生、第三高調波発生、光周波数コム生成、和周波発生、または差周波発生のうちの1つ以上であってもよい。共振器材料をドープし、適切な波長で励起することで光学的利得を生成することができる。マッハ・ツェンダー装置50に代えて、対向伝搬する光波の間の周波数差を他の種類の電気光学変調器、音響光学変調器、または一方のレーザーの他方のレーザーへの周波数固定もしくは位相固定により生成することもできる。
【0046】
Q値を変更することで共振器内の損失または利得を得ることができる。共振器の間近に物体を配置して1μm程度の共振器損失を増加させ、共振モードのエバネッセント電界を阻害することができる。損失を利得で、例えば使用する波長で発光する原子、例えば1550nmの波長でエルビウムを用いて共振器をドープすることでも補償できる。
【0047】
サーキュレーター36および38に代えて、共振器に出入りする光波を他の手段、例えばファイバーカプラー、導波管カプラー、二色性鏡、またはビームスプリッタ、例えば偏光ビームスプリッタのうちの1つ以上で分裂させてもよい。
【0048】
図13に循環手段の使用を避ける本発明の別の実施形態を示す。光ファイバー34とは異なる先細光ファイバー334を用いて共振器で結合される各方向の光に比例する信号を検出する。信号を光ダイオード336および338で測定する。
【0049】
図14に循環手段の使用をやはり回避する本発明のさらなる実施形態を示す。第1先細光ファイバー434は時計回りの波を受け取る。第1先細光ファイバー434は時計回りの波を第1光ダイオード436に送る。第2先細光ファイバー534は反時計回りの波を受け取る。第2先細光ファイバー534は反時計回りの波を第2光ダイオード438に送る。
【0050】
図6、
図13、および
図14の全実施形態で、波を受け取り、および/または送るために共振器30のさらなる箇所に追加の先細光ファイバー(または他の結合手段)を設けてもよい。
【0051】
例えば平衡型光ダイオードを用いて(波と相互作用した)共振器を出る光波の特性(入力、位相、絶対周波数、対向伝搬する光波間の周波数差、偏光、相対位相、および/または相対入力)のうちの1つ以上を検出することができる。
【0052】
共振器30の材料は溶融シリカ、窒化ケイ素、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、ケイ素、結晶性シリカ、酸化ゲルマニウム、酸化バリウム、水、ヒ化アルミニウムガリウム、ダイヤモンド、サファイア、カルコゲニドガラス、ドープガラス、ニオブ酸リチウム、セレン化亜鉛、セレン化ガリウム、ZBLAN、フッ化テルル酸塩ガラス、および/または窒化アルミニウム、あるいは他の非線形光学材料のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0053】
以下は本発明の実施形態の実際の用途である。
【0054】
A)光ダイオード。光ダイオードまたはアイソレーターは光を一方向のみに流すことができる2ポートの装置である。
図15aに示すそのような1つの構成は出力装置から反射した信号が当該信号を発しているレーザーに到達するのを阻止するのに有用である。ポート3に到達したレーザー信号は先細ファイバーカプラー734により共振器30内で結合される。これにより共振器内で反時計回りの共振状態を確立し、出力信号が不図示の出力装置、例えばポート1の光ダイオード検出器に提供される。実際には、微量の信号がポート1で反射する。共振器30で用いられる非相反状態を考慮して、結合されて共振器内に戻る可能性が高い反射波は時計回り方向の共振周波数を持たず、破壊的に干渉し合う。したがって、ポート1から反射した波はほとんどがポート2を通る。ダイオードの動作にとってさらに重要なのは、共振器30を通る波は著しく抑制され、その結果ポート3でレーザーに再反射する波は実質的にない。当然のことであるが、ポート1で反射した波が比較的弱いものであっても、共振器は非相反非線形動作を示す。この動作が時計回りの波と反時計回りの波の有意な総入力だからである。この要因は本発明のすべての実施形態にあてはまる。
【0055】
図15bは時計回りの波と反時計回りの波の共振周波数、および
図15aに示すシステムのレーザー周波数を示す。
【0056】
図15の光ダイオード構成を用いてファラデー回転子を利用する従来の光ダイオードまたはアイソレーターを置き換えることができるのは有利である。特に有利なのは、この光ダイオード構成を共振システムの他の部品とともにマイクロチップに集積できることである。
【0057】
図16に2つの先細光ファイバー634および734を含む光ダイオードまたは光アイソレーターの一般的構成を示す。ポート1および2は信号光の入力部/出力部として用いられる。信号光と同じか異なる周波数または信号光よりも高い入力を持つ制御光がポート3に入光されると、装置は反時計回りの状態に設定される。この状態で、信号光はポート1からポート2に進むが、ポート2からポート1には進まない。これに代えてポート4に制御光を入光すると、信号はポート2からポート1に進むことができるが、その逆には進むことができない。
【0058】
信号光にポート1および3を用い、制御光にポート2および4を用いても同じ動作を得ることができる。2つのポートのみ、例えばポート1および2を用いても類似の動作を得ることができる。制御光をポート1に送ることで光がポート1からポート2ではなく、ポート2からポート1に進むことができる時計回りの状態にシステムを設定する。
【0059】
所望であれば、追加のポートを用いて方向を選択してもよい。
【0060】
このように、本構成により全光学スイッチまたは切り替え可能な光ダイオードを提供する。
【0061】
B)光サーキュレーター。光サーキュレーターは3ポートの装置であり、入力部に入光された光を共通ポートに送り、共通ポートに入光された任意の光を出力ポートに送る。再び
図16に示すように、信号光と同じか異なる周波数または信号光よりも高い入力を持つ制御光をポート3に入光する。共振器が反時計回りの状態にある本構成では、光はポート1からポート2、ポート2からポート4、ポート4からポート3、およびポート3からポート1に進む。動作中に他の信号よりも高い光がポート1からシステムに送られる代替的な設定をすることができる。この場合にはポート1が入力ポートになり、ポート3が共通ポートになり、ポート4が出力ポートになり、ポート2は用いられない。
【0062】
C)光学フリップ・フロップ。これは
図9に示したヒステリシス効果を用いる。このシステムは時計回りの曲線または反時計回りの曲線のうちの一方の地点Pの領域で動作する。他方の方向の入力が大きくなると、動作地点は
図9の曲線の実質的に垂直の領域R1およびR2に向かって移動し、他方の方向に伝搬を変更することができる。
【0063】
再び
図16に示すように、ポート1はセット入力部であり、ポート3はリセット入力部であり、ポート4はQ出力部であり、ポート2はNOT-Q出力部である。この装置は動作のために両側のポートでほぼ等しい入力を必要とし、対応する入力ポートで入力が大きくなるか、反対側の入力ポートで入力が小さくなると、信号を送信することができる。
【0064】
装置を有効状態に保持するために必要な励起光および信号光は異なる周波数を持っていてもよい。
【0065】
入力を得ている不定の時間中、光学フリップ・フロップは状態線1および0(この場合、それぞれ時計回りと反時計回り)を格納することができる。光束のみを用いて装置にこの状態をプログラムし、所望の場合に光ダイオードで状態を読み取ることができる。
【0066】
D)光入力比較器。この装置を用いて不定の利得まで光入力差を増幅することができ、顕著な感度と差動光ダイオードよりも高い精度でどの光束がより高い入力を持っているかを明らかにする比較器として機能する。このシステムは
図12の直線202および204のうちの一方の領域、すなわちヒステリシスが存在しないか、実質的に存在しない増大領域の縁部で動作する。システムが直線202または204付近で振動する場合には一地点での動作が実際に直線上にあることを保証する。
【0067】
E)光近接界の近接センサー。
図6のシステムはセンサーで使用するのに適している。光は共振器の表面モードで捕捉されるので、共振器外部の表面付近に電磁界の一部が存在する(波長の大きさは例えば数μmである)。共振器近くに物体を配置すると電磁界が変化し、非線形の上昇が生じるので変化を検出することができる。
図2に示す山と谷に対する物体の位置を確定することができる場合には、分裂の強度によりどの位近いかを検出することができる。
【0068】
F)屈折率センサー。この装置を用いて用途E)と同様にマイクロ共振器近くに配置した材料の屈折率の変化を感知することができる。
【0069】
G)単一粒子センサー。用途E)およびF)と同様に任意の粒子が共振器に接触すると、粒子の特性が変化し、これにより粒子を検出することができる。
【0070】
H)全光学オシレーター。対向伝搬する波間の競合により連続波光からパルス光を生成するオシレーターとして機能する。
【0071】
I)パワーリミッター。わずかな入射光が反対方向に結合され、特定の入力レベルに達すると、飽和が生じる。少なくとも1つの腕部をシステムに追加して当該腕部で有効入力を測定し、帰還構成を用いて当該入力を安定化してもよい。
【0072】
J)高度な回転センサー。サニャック効果により光路で囲まれた領域で速度に比例する回転設定で対向方向に進む光の共振周波数に変化が生じる。共振器の非線形性によりサニャック効果で誘導された変化が増幅される。さらに、Q値が高いと、光は共振器内で数千回も行き来することになり、有効光路長および関連する領域が大きくなる。サニャック効果による共振周波数の分裂が増幅され、一種の光ジャイロスコープを形成することができる。上述のKaplan研究論文に開示されるシステムとは対照的に、共振器30とそれに隣接する結合部のみが回転すればよく、システムの残りの部品は静止したままでもよい。波の対向伝搬は共振器30内のみで生じるので、回転を感知するのは共振器自身である。Kaplanの構成とは異なり、共振器は導波管リング共振器またはささやき回廊モード共振器であり、光キャビティー(媒質としての気体があるか、真空になっている)を形成する4個の鏡を含まない。
【0073】
K)論理要素。
図16の例を用いると、「論理和」ゲートでは時計回りの状態と反時計回りの状態を切り替えるために、ポート1またはポート4からの入力信号は共振器の入力を閾値超まで上昇させることができる。同様に「論理積」ゲートでは、システムはポート1とポート4の合成出力でシステムの切り替えを行うようにシステムを動作させることができる。他の論理要素構成も提供してもよい。
【0074】
本発明の実施形態によるすべての実際の用途の利点は光チップに集積できることである。
【0075】
記載した様々な実施形態および変形形態、ならびに特許請求の範囲の特徴は適宜、互いに置き換え、または組み合わせてもよい。